説明

ポリシロキサン化合物とその製造方法

【課題】耐熱性、電気絶縁性、耐候性、硬度、力学的強度、耐薬品性に優れたポリシロキサン化合物を提供する。
【解決手段】特定な構造を有するシルセスキオキサン化合物をシラン化合物で縮重合して得られたポリシルセスキオキサン構造を有するポリシロキサン、およびその製造方法。さらに該ポリシルセスキオキサン構造を有するポリシロキサンをエポキシ化合物等で変性した各種誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シルセスキオキサン誘導体を用いて得られるポリシロキサンとその製造方法に関する。このポリシロキサンは、電子材料、光学材料、電子光学材料、塗料、プライマーなど様々な分野での応用が期待されている。
なお、「シルセスキオキサン」とは、各ケイ素原子が3個の酸素原子と結合し、各酸素原子は更に1個のケイ素原子と結合している化合物の総称である。本発明において用いる「シルセスキオキサン骨格」とは、シルセスキオキサン構造およびその一部が変形したシルセスキオキサン類似構造の総称である。
【背景技術】
【0002】
シルセスキオキサン骨格を含む重合体は、その特異な骨格構造を有することから、様々な分野での用途が検討されている。これまで、トリエトキシシランのようなアルコキシシランを用いたゾル−ゲル法によってシルセスキオキサン骨格構造を有する重合体の合成が行われてきた。しかし、ゾル−ゲル法には、反応時間が長い、反応の制御が難しい、微細な空孔が残りやすいなどの多くの課題が残されている。
【0003】
また近年、かご型構造を有するシルセスキオキサンまたはその誘導体を用いた重合体に関する研究が行われ、この重合体は、耐候性、耐熱性、物理的特性、光学的特性などに優れていると期待されている。例えば、Lichtenhan等は、シルセスキオキサンのかご型構造に欠損がある化合物、いわゆる不完全なかご型構造(完全な8面体状ではなく、その1部が欠損した構造)のものをシロキサンで結合した共重合体の製造方法を開示している(特許文献1および2)。この製造方法は、多面体オリゴメリックシルセスキオキサン(polyhedral oligomeric Silsesquioxane)を、アミノ基など官能基として有する二官能性のシラン、シロキサン、または有機金属化合物を用いて架橋する方法である。Lichtenhan等は、不完全なかご型構造のシルセスキオキサンをシロキサン等で結合したものを主鎖とする共重合体の製造方法、およびかご型構造のシルセスキオキサンをペンダント共重合成分とし、メタクリル酸を共重合体主鎖成分とした共重合体の製造方法を開示している(非特許文献1)。Lichtenhan等はシルセスキオキサンの不完全なかご型構造の隅に位置するSiに結合したOHと、ビス(ジメチルアミノ)シラン等とを反応させてシルセスキオキサン−シロキサン共重合体の製造方法を開示されている(非特許文献2)。Anderson等はシラノールを有するシルセスキオキサンをn−ブチルリチウムでリチオ化したのち、完全なかご型構造に一箇所Si−Cl基を有するシルセスキオキサンを反応することによりシルセスキオキサンオリゴマーを得ている(非特許文献3)
【0004】
発明者らは、シラノールを含有するダブルデッカー構造と称される有機ケイ素化合物を単独で、或いはSi−Cl基を有するシラン、シロキサンと反応することによりポリシロキサンが得られることを報告した(特許文献3)。更に、対称の位置にシラノールを2個有するシルセスキオキサンにSi−Cl基を有するシロキサンを反応することによって、主鎖に完全なかご型構造を有する線状ポリマーが得られることを報告している(特許文献4)。しかし、これらの文献にはシルセスキオキサンの重合体を得る方法は開示されているが、本願により提供される重合体の主鎖末端に反応性を有する基を含有するポリシロキサンに関しては、化合物も製造方法も記載されていなかった。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,412,053号明細書
【特許文献2】米国特許第5,589,562号明細書
【特許文献3】再公表 WO2005/000857
【特許文献4】特開2006−22207
【非特許文献1】Comments Inorg. Chem., 1995, 17, 115-130
【非特許文献2】Macromolecules, 1993, 26, 2141-2142
【非特許文献3】Chem.Mater., 2006, 18(6), 1490-1497
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気・電子材料においては、特に、耐熱性、電気絶縁性、耐久性、成形性等の更なる改善が求められている。しかしながら、従来のシルセスキオキサン共重合体ではこれらの特性を満たすことはできていなかった。そのために、優れた耐熱性、電気絶縁性、耐候性、硬度、力学的強度、耐薬品性等を持つかご型構造を有するシルセスキオキサンを主鎖とし、結合の位置が明確に限定された化合物が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、下記の式(1)および式(2)で示されるポリシロキサンは、式(1−0−1)で表されるシルセスキオキサンと式(1−0−2)で表されるシランを任意の割合で反応させることにより合成できることを見出した。さらに、反応性を有するクロロシランなどで反応を行うことにより、主鎖末端に反応性を有する基を含有するポリシロキサンが得られることを確認し、本発明を完成させた。
即ち、上記の課題は下記の構成からなる本発明によって解決される。
【0008】
[1]式(1)または式(2)で示されるポリシロキサン。
【化1】

式(1)および式(2)において、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜45のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、或いは置換または非置換のアリールアルキルであり;炭素数1〜45のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置換されてもよく;アリールおよびアリールアルキルのベンゼン環において、任意の水素はハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルで置換されてもよく;この炭素
数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−またはフェニレンで置換されてもよく;アリールアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、またはフェニレンで置換されてもよく;mおよびnは1以上1000以下の整数である。
1はm=1のとき、水酸基、アルコキシ、アセトキシ、−OSi(A)3からそれぞれ独立して選ばれる基であり、2≦m≦1000のときは水素、水酸基、ハロゲン、アルコキシ、アセトキシ、−OSi(A)3またはRと同様に定義される基から、それぞれ独立して選ばれる基である。R1が−OSi(A)3であるとき、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサシクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい。
2はそれぞれ独立して水素、または、−Si(A)3であり;このAは上記R1におけるAと同様に定義される基である。
[2]式(1−0)または式(2−0)で示されるポリシロキサン。
【化2】

式(1−0)または式(2−0)において、R1はm=1のとき、水酸基、アルコキシ、アセトキシ、−OSi(A)3からそれぞれ独立して選ばれる基であり、2≦m≦1000のときは水素、水酸基、ハロゲン、アルコキシ、アセトキシ、−OSi(A)3、炭素数が1から10のアルキル、フェニルからそれぞれ独立して選ばれる基である。R1が−OSi(A)3であるとき、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニ
ル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい。
2はそれぞれ独立して水素または−Si(A)3であり;このAは上記R1におけるAと同様に定義される基である。
[3]式(1−1)で示されるポリシロキサン。
【化3】

式(1−1)において、mは1以上1000以下の整数である。
[4]式(1−2)で示されるポリシロキサン。
【化4】

式(1−2)において、mは1以上1000以下の整数である。
[5]式(1−3)で示されるポリシロキサン。
【化5】

式(1−3)において、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサシクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキ
シル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよく;mは1以上1000以下の整数である。
[6]式(1−4)で示されるポリシロキサン。
【化6】

式(1−4)において、mは1以上1000以下の整数である。
[7]式(1−5)で示されるポリシロキサン。
【化7】

式(1−5)において、mは1以上1000以下の整数である。
[8]式(1−6)で示されるポリシロキサン。
【化8】

式(1−6)において、mは1以上1000以下の整数である。
[9]式(2−1)で示されるポリシロキサン。
【化9】

式(2−1)において、nは1以上1000以下の整数である。
[10]式(2−2)で示されるポリシロキサン。
【化10】

式(2−2)において、nは1以上1000以下の整数であり、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサシクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。
[11]式(1−0−1)で表される化合物と、式(1−0−2)で表される化合物を反応させることを特徴とする、式(1−a)または式(2−a)で表されるポリシロキサンの製造方法。
【化11】

式(1−0−1)において、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜45のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、或いは置換または非置換のアリールアルキルであり;炭素数1〜45のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;アリールおよびアリールアルキルのベンゼン環において、任意の水素はハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルで置換されてもよく;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;アリールアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−は−O−で置換されてもよく、式(1−0−2)において、Xはシラノールと反応することができる置換基である。
【化12】

式(1−a)および(2−a)におけるRは式(1−0−1)と同様に定義される基であり;式(1−a)におけるXは式(1−0−2)と同様に定義される基であり;mおよびnは1以上1000以下の整数である。
[12]式(1−0−1’)で表される化合物と、式(1−0−2’)で表される化合物を反応させることを特徴とする、式(1−a’)または式(2−a)で表されるポリシロキサンの製造方法。
【化13】

式(1−0−1’)において、Mはアルカリ金属であり;Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜45のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、或いは置換または非置換のアリールアルキルであり;炭素数1〜45のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;アリールおよびアリールアルキルのベンゼン環において、任意の水素はハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルで置換されてもよく;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;アリールアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−は−O−で置換されてもよく、式(1−0−2’)において、X1はハロゲンである。
【化14】

式(1−a’)および(2−a)におけるRは式(1−0−1’)と同様に定義される基であり;式(1−a’)におけるX1は式(1−0−2’)と同様に定義される基であり;mおよびnは1以上1000以下の整数である。
[13] [11]の方法により式(1−a)で表される化合物を製造し、得られた式(1−a)で表される化合物を加水分解することを特徴とする、式(1−b)で表される化合物の製造法。
【化15】

式(1−b)において、Rは式(1−a)と同様に定義される基であり;mは1以上1000以下の整数である。
[14] [12]の方法により式(1−a’)で表される化合物を製造し、得られた式(1−a’)で表される化合物を加水分解することを特徴とする、式(1−b)で表される化合物の製造法。
【化16】

式(1−b)において、Rは式(1−a’)と同様に定義される基であり;mは1以上1000以下の整数である。
[15] [13]または[14]の方法により式(1−b)で表される化合物を製造し、得られた式(1−b)で表される化合物を式(1−0−3)で表される化合物と反応させることを特徴とする、式(1−c)で表される化合物の製造法。
【化17】

式(1−c)において、Rは式(1−b)と同様に定義される基であり;mは1以上1000以下の整数である。
式(1−0−3)において、Xはシラノールと反応することができる置換基である。
式(1−0−3)および式(1−c)において、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。
[16] [11]の方法により式(1−a)で表される化合物を製造し、得られた式(1−a)で表される化合物を式(1−0−4)で表される化合物と反応させることを特徴とする、式(1−c)で表される化合物の製造法。
【化18】

式(1−c)において、Rは式(1−a)と同様に定義される基であり;mは1以上1000以下の整数である。
式(1−0−4)および式(1−c)において、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。
[17] [12]の方法により式(1−a’)で表される化合物を製造し、得られた式(1−a’)で表される化合物を式(1−0−4)で表される化合物と反応させることを特徴とする、式(1−c)で表される化合物の製造法。
【化19】

式(1−c)において、Rは式(1−a’)と同様に定義される基であり;mは1以上1000以下の整数である。
式(1−0−4)および式(1−c)において、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3
,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。
[18] [11]または[12]の方法により式(2−a)で表される化合物を製造し、得られた式(2−a)で表される化合物を式(1−0−3)で表される化合物と反応させることを特徴とする、式(2−b)で表される化合物の製造法。
【化20】

式(2−b)において、Rは式(2−a)と同様に定義される基であり;nは1以上1000以下の整数である。
式(1−0−3)において、Xはシラノールと反応することができる置換基である。
式(1−0−3)および式(2−b)において、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。
[19] [15]〜[17]の何れかの方法によって、少なくとも1つのAが水素であり、残りのAが炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである式(1−c)で表される化合物を製造し、得られた化合物を式(1−0−5)で表される化合物と反応させることを特徴とする式(1―d)で表される化合物の製造法。
【化21】

式(1−0−5)において、A1は、水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシもしくはメルカプト、または任意の水素がこれらの置換基で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜8のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜8であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい。式(1−d)においてRは式(1−c)のRと同様に定義される基であり、12個のA2のうち少なくとも1つは−CH2CH21であり、残りのA2はそれぞれ独立して炭素数1から10のアルキル、フェニル、フェニルアルキルから選ばれる基である。
[20] [18]の方法によって、少なくとも1つのAが水素であり、残りのAが炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである式(2−b)で表される化合物を製造し、得られた化合物を式(1−0−5)で表される化合物と反応させることを特徴とする式(2―d)で表される化合物の製造法。
【化22】

式(1−0−5)において、A1は、水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシもしくはメルカプト、または任意の水素がこれらの置換基で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル、フェニルまた
はフェニルアルキルであり;この炭素数1〜8のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜8であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい。式(2−d)においてRは式(2−b)と同様に定義される基であり、12個のA2のうち少なくとも1つは−CH2CH21であり、残りのA2はそれぞれ独立して炭素数1から10のアルキル、フェニル、フェニルアルキルから選ばれる基である。
【0009】
本発明で用いる用語は、次のように定義される。アルキルおよびアルキレンは、どちらも直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。このことは、これらの基において任意の水素がハロゲンや環式の基などと置き換えられた場合も、任意の−CH2−が−O−、−CH=CH−、シクロアルキレン、フェニレンなどで置き換えられた場合も同様である。本発明で用いる「任意の」は、位置のみならず個数も任意であることを示す。複数の基が別の基で置き換えられるときには、それぞれの基が異なる別の基で置き換えられてもよい。例えば、アルキルにおいて任意の−CH2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよい場合には、アルコキシアルケニルまたはアルケニルオキシアルキルであってもよいことを示す。そして、これらの基におけるアルコキシ、アルケニレン、アルケニルおよびアルキレンのいずれの基も、直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。但し、本発明において、隣接する複数の−CH2−が−O−で置き換えられることはない。また炭素数とは該当する基が有する炭素原子の数を表す。
【0010】
さらに本発明では、Siに4個の酸素が結合している構造をQ構造、Siに3個の酸素が結合している構造をT構造、Siに2個の酸素が結合している構造をD構造、Siに1個の酸素が結合している構造をM構造とする。したがってT82構造とは8つのT構造と2つのQ構造とが組み合わされている構造を意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば Q(T8Q)n構造またはT8(QT8n構造を有するシルセスキオキサン骨格を主鎖に有するポリシロキサン化合物を得ることができる。さらに得られたポリシロキサンに反応性を有する基を含有するケイ素化合物でキャッピングすることによりM2Q(T8Q)n2構造、DT8(QT8nD構造、M28(QT8n2構造などのポリシロキサン化合物を得ることができる。さらに、得られたポリシロキサンを用いることによって、有機−無機複合材料を作製するこができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明においては、式(1)で示される構成単位を有するケイ素化合物を化合物(1)と表記することがある。式(2)で示される化合物を化合物(2)と表記することがある。他の式で示される化合物についても、同様の方法で簡略化して表記することがある。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0013】
本発明で提供されるポリシロキサンは式(1)または式(2)で表される。
【化23】

式(1)、式(2)において、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜45のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、或いは置換または非置換のアリールアルキルである。
炭素数1〜45のアルキルは、好ましくは炭素数が1から30であり、より好ましくは炭素数が1〜8である。そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、シクロアルキレンで置き換えられてもよい。
炭素数1〜30の非置換アルキルの具体例は、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、オクチル、2,4,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシル、トリアコンチルなどである。
炭素数1〜30のフッ素化アルキルの例は、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナデカフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−ドデシル、パーフルオロ−1H,1H,2H,2H−テトラデシルなどである。
炭素数4〜8のシクロアルキルの例は、シクロヘキシル、シクロペンチル、2−ビシクロヘプチル、シクロオクチルなどである。
【0014】
式(1)中のRが置換または非置換のアリールであるとき、任意の水素はハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよい。ハロゲンの好ましい例は、フッ素、塩素および臭素である。炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、またはフェニレンで置き換えられてもよい。即ち、Rが置換または非置換のアリールである場合の好ましい例は、フェニル、アルキルフェニル、アルキルオキシフェニル、アルケニルフェニル、任意の−CH2−がフェニレンで置き換えられた炭素数1〜10のアルキルを置換基として有
するフェニルである。そして、ここに列挙したそれぞれの基において、ベンゼン環の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。なお、本発明においては、特に断らずに単にフェニルと称するときは、非置換のフェニルを意味する。
【0015】
ハロゲン化フェニルの具体例は、ペンタフルオロフェニル、4−クロロフェニル、4−ブロモフェニルなどである。アルキルフェニルの例は、4−メチルフェニル、4−エチルフェニル、4−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−ペンチルフェニル、4−ヘプチルフェニル、4−オクチルフェニル、4−ノニルフェニル、4−デシルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,4,6−トリエチルフェニル、4−(1−メチルエチル)フェニル、4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,4,6−トリス(1−メチルエチル)フェニルなどである。アルキルオキシフェニルの例は、4−メトキシフェニル、4−エトキシフェニル、4−プロポキシフェニル、4−ブトキシフェニル、4−ペンチルオキシフェニル、4−ヘプチルオキシフェニル、4−デシルオキシフェニル、4−オクタデシルオキシフェニル、4−(1−メチルエトキシ)フェニル、4−(2−メチルプロポキシ)フェニル、4−(1,1−ジメチルエトキシ)フェニルなどである。アルケニルフェニルの例は、4−エテニルフェニル、4−(1−メチルエテニル)フェニル、4−(3−ブテニル)フェニルなどである。
【0016】
任意の−CH2−がフェニレンで置き換えられた炭素数1〜10のアルキルを置換基として有するフェニルの例は、4−(2−フェニルエテニル)フェニル、4−フェニルオキシフェニル、3−フェニルメチルフェニル、ビフェニル、ターフェニルなどである。4−(2−フェニルエテニル)フェニルは、エチルフェニルのエチル基において、1個の−CH2−がフェニレンで置き換えられ、もう1個の−CH2−が−CH=CH−で置き換えられた例である。
【0017】
ベンゼン環の水素の一部がハロゲンで置き換えられ、さらに他の水素がアルキル、アルキルオキシまたはアルケニルで置き換えられたフェニルの例は、3−クロロ−4−メチルフェニル、2,5−ジクロロ−4−メチルフェニル、3,5−ジクロロ−4−メチルフェニル、2,3,5−トリクロロ−4−メチルフェニル、2,3,6−トリクロロ−4−メチルフェニル、3−ブロモ−4−メチルフェニル、2,5−ジブロモ−4−メチルフェニル、3,5−ジブロモ−4−メチルフェニル、2,3−ジフルオロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−4−メトキシフェニル、3−ブロモ−4−メトキシフェニル、3,5−ジブロモ−4−メトキシフェニル、2,3−ジフルオロ−4−メトキシフェニル、2,3−ジフルオロ−4−エトキシフェニル、2,3−ジフルオロ−4−プロポキシフェニル、4−エテニル−2,3,5,6−テトラフルオロフェニルなどである。
【0018】
式(1)中のRが置換または非置換のアリールアルキルであるとき、アリールアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、またはシクロアルキレンで置き換えられてもよい。アリールアルキルの好ましい例はフェニルアルキルである。
【0019】
非置換のフェニルアルキルの具体例は、フェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、11−フェニルウンデシル、1−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、1−メチル−2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、3−フェニルブチル、1−メチル−3−フェニルプロピル、2−フェニルブチル、2−メチル−2−フェニルプロピル、1−フェニルヘキシルなどである。
フェニルアルキルにおいて、ベンゼン環の任意の水素はハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルで置き換えられてもよい。この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水
素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、またはフェニレンで置き換えられてもよい。
フェニルの任意の水素がフッ素で置き換えられたフェニルアルキルの具体例は、4−フルオロフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルメチル、2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)エチル、3−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)プロピル、2−(2−フルオロフェニル)プロピル、2−(4−フルオロフェニル)プロピルなどである。
【0020】
ベンゼン環の任意の水素が塩素で置き換えられたフェニルアルキルの具体例は、4−クロロフェニルメチル、2−クロロフェニルメチル、2,6−ジクロロフェニルメチル、2,4−ジクロロフェニルメチル、2,3,6−トリクロロフェニルメチル、2,4,6−トリクロロフェニルメチル、2,4,5−トリクロロフェニルメチル、2,3,4,6−テトラクロロフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニルメチル、2−(2−クロロフェニル)エチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(2,4,5−クロロフェニル)エチル、2−(2,3,6−クロロフェニル)エチル、3−(3−クロロフェニル)プロピル、3−(4−クロロフェニル)プロピル、3−(2,4,5−トリクロロフェニル)プロピル、3−(2,3,6−トリクロロフェニル)プロピル、4−(2−クロロフェニル)ブチル、4−(3−クロロフェニル)ブチル、4−(4−クロロフェニル)ブチル、4−(2,3,6−トリクロロフェニル)ブチル、4−(2,4,5−トリクロロフェニル)ブチル、1−(3−クロロフェニル)エチル、1−(4−クロロフェニル)エチル、2−(4−クロロフェニル)プロピル、2−(2−クロロフェニル)プロピル、1−(4−クロロフェニル)ブチルなどである。
【0021】
フェニルの任意の水素が臭素で置き換えられたフェニルアルキルの具体例は、2−ブロモフェニルメチル、4−ブロモフェニルメチル、2,4−ジブロモフェニルメチル、2,4,6−トリブロモフェニルメチル、2,3,4,5−テトラブロモフェニルメチル、2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニルメチル、2−(4−ブロモフェニル)エチル、3−(4−ブロモフェニル)プロピル、3−(3−ブロモフェニル)プロピル、4−(4−ブロモフェニル)ブチル、1−(4−ブロモフェニル)エチル、2−(2−ブロモフェニル)プロピル、2−(4−ブロモフェニル)プロピルなどである。
【0022】
ベンゼン環の任意の水素が炭素数1〜10のアルキルで置き換えられたフェニルアルキルの具体例は、2−メチルフェニルメチル、3−メチルフェニルメチル、4−メチルフェニルメチル、4−ドデシルフェニルメチル、(3,5−ジメチルフェニルメチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、2−(2,5ジメチルフェニル)エチル、2−(4−エチルフェニル)エチル、2−(3−エチルフェニル)エチル、1−(4−メチルフェニル)エチル、1−(3−メチルフェニル)エチル、1−(2−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)プロピル、2−(2−メチルフェニル)プロピル、2−(4−エチルフェニル)プロピル、2−(2−エチルフェニル)プロピル、2−(2,3−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,5−ジメチルフェニル)プロピル、2−(3,5−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,4−ジメチルフェニル)プロピル、2−(3,4−ジメチルフェニル)プロピル、2−(2,5−ジメチルフェニル)ブチル、4−(1−メチルエチル)フェニルメチル、2−(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)エチル、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)プロピル、2−(3−(1−メチルエチル)フェニル)プロピルなどである。
【0023】
ベンゼン環の任意の水素が炭素数1〜10のアルキルで置き換えられたフェニルアルキルであって、このアルキル中の水素がフッ素で置き換えられた場合の具体例は、3−トリフルオロメチルフェニルメチル、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチル、2−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、2−(4−トリデカフルオロヘキシルフェ
ニル)エチル、2−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチル、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル、1−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチル、1−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、1−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)エチル、1−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチル、2−(4−ノナフルオロブチルフェニル)プロピル、1−メチル−1−(4−ノナフルオロブチルフェニル)エチル、2−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)プロピル、1−メチル−1−(4−トリデカフルオロヘキシルフェニル)エチル、2−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)プロピル、1−メチル−1−(4−ヘプタデカフルオロオクチルフェニル)エチルなどである。
【0024】
ベンゼン環の任意の水素が炭素数1〜10のアルキルで置き換えられたフェニルアルキルであって、このアルキル中の−CH2−が−CH=CH−で置き換えられた場合の具体例は、2−(4−エテニルフェニル)エチル、1−(4−エテニルフェニル)エチル、1−(2−(2−プロペニル)フェニル)エチルなどである。
【0025】
ベンゼン環の任意の水素が炭素数1〜10のアルキルで置き換えられたフェニルアルキルであって、このアルキル中の−CH2−が−O−で置き換えられた場合の具体例は、4−メトキシフェニルメチル、3−メトキシフェニルメチル、4−エトキシフェニルメチル、2−(4−メトキシフェニル)エチル、3−(4−メトキシフェニル)プロピル、3−(2−メトキシフェニル)プロピル、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピル、11−(4−メトキシフェニル)ウンデシル、1−(4−メトキシフェニル)エチル、(3−メトキシメチルフェニル)エチル、3−(2−ノナデカフルオロデセニルオキシフェニル)プロピルなどである。
【0026】
ベンゼン環の任意の水素が炭素数1〜10のアルキルで置き換えられたフェニルアルキルであって、このアルキル中の−CH2−の1つがシクロアルキレンで置き換えられた場合の具体例は、もう1つの−CH2−が−O−で置き換えられた場合も含めて例示すると、シクロペンチルフェニルメチル、シクロペンチルオキシフェニルメチル、シクロヘキシルフェニルメチル、シクロヘキシルフェニルエチル、シクロヘキシルフェニルプロピル、シクロヘキシルオキシフェニルメチルなどである。
【0027】
ベンゼン環の任意の水素が炭素数1〜10のアルキルで置き換えられたフェニルアルキルであって、このアルキル中の−CH2−の1つがフェニレンで置き換えられた場合の具体例は、もう1つの−CH2−が−O−で置き換えられた場合も含めて例示すると、2−(4−フェノキシフェニル)エチル、2−(4−フェノキシフェニル)プロピル、2−(2−フェノキシフェニル)プロピル、4−ビフェニリルメチル、3−ビフェニリルエチル、4−ビフェニリルエチル、4−ビフェニリルプロピル、2−(2−ビフェニリル)プロピル、2−(4−ビフェニリル)プロピルなどである。
【0028】
ベンゼン環の少なくとも2つの水素が異なる基で置き換えられたフェニルアルキルの具体例は、3−(2,5−ジメトキシ−3,4,6−トリメチルフェニル)プロピル、3−クロロ−2−メチルフェニルメチル、4−クロロ−2−メチルフェニルメチル、5−クロロ−2−メチルフェニルメチル、6−クロロ−2−メチルフェニルメチル、2−クロロ−4−メチルフェニルメチル、3−クロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,5−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、3,5−ジクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5−トリクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−メチルフェニルメチル、2,3,4,6−テトラクロロ−5−メチルフェニルメチル、2,3,4,5−テトラクロロ−6−メチルフェニルメチル、4−クロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2−クロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,4−ジクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,6−
ジクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、2,4,6−トリクロロ−3,5−ジメチルフェニルメチル、3−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、4−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、5−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、6−ブロモ−2−メチルフェニルメチル、3−ブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3−ジブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5−トリブロモ−4−メチルフェニルメチル、2,3,5,6−テトラブロモ−4−メチルフェニルメチル、11−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)ウンデシルなどである。
【0029】
そして、フェニルアルキル中のフェニルの最も好ましい例は、非置換のフェニル、並びに置換基としてフッ素、炭素数1〜4のアルキル、エテニルおよびメトキシの少なくとも1つを有するフェニルである。アルキレンの−CH2−が−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられたフェニルアルキルの具体例は、3−フェノキシプロピル、1−フェニルエテニル、2−フェニルエテニル、3−フェニル−2−プロペニル、4−フェニル−4−ペンテニル、13−フェニル−12−トリデセニル、フェニルシクロヘキシル、フェノキシシクロヘキシルなどである。ベンゼン環の水素がフッ素またはメチルで置き換えられたフェニルアルケニルの例は、4−フルオロフェニルエテニル、2,3−ジフルオロフェニルエテニル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルエテニル、4−メチルフェニルエテニルなどである。
【0030】
これらの基のうち好ましいRは、炭素数1〜45のアルキルの群、置換または非置換のフェニルの群、置換または非置換のフェニルアルキルの群から選択される基である。Rのより好ましい例は、置換または非置換のフェニルの群、置換または非置換のフェニルアルキルの群から選択される基である。
【0031】
置換または非置換のフェニルアルキルにおいては、好ましくは、アルキレンの炭素数は1〜8であり、ベンゼン環の任意の水素はフッ素、炭素数1〜4のアルキルで置き換えられてもよく、アルキレン中の任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置き換えられてよい。
これらの基においてフェニルが複数の置換基を有するときは、それらの置換基は同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。そして、式(1)中のRのすべてが、これらの好ましい例から選択される同一の基であることが好ましい。
【0032】
なお、更に好ましいRの具体例は、フェニル、ハロゲン化フェニル、少なくとも1つのメチルを有するフェニル、メトキシフェニル、フェニルメチル、フェニルエチル、フェニルブチル、2−フェニルプロピル、1−メチル−2−フェニルエチル、ペンタフルオロフェニルプロピル、4−エチルフェニルエチル、3−エチルフェニルエチル、4−(1,1−ジメチルエチル)フェニルエチル、4−エテニルフェニルエチル、1−(4−エテニルフェニル)エチル、4−メトキシフェニルプロピルである。このうちフェニルが最も好ましい。
【0033】
次に式(1)の mについて説明する。 mは1〜1000の整数であり、好ましくは1〜100である。
mが1の時、R1は水酸基、アルコキシ、アセトキシ、−OSi(A)3から、それぞれ独立して選ばれる基である。
また、mが2以上1000以下の時、R1は水素、水酸基、ハロゲン、アルコキシ、アセトキシ、−OSi(A)3およびRと同様に定義される基から、それぞれ独立して選ばれる基である。
1が−OSi(A)3であるとき、Aで表される基はそれぞれ独立して水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサシクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシ
クロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニル、フェニルアルキルである。この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。なお、水酸基、カルボキシル、アミノ基、メルカプトの水素原子は、トリメチルシリル等で置換されていてもよい。
なお、2つのAがジカルボン酸無水物を形成してもよい。
【0034】
式(2)においてnは1〜1000の整数であり、好ましくは1〜100であり、R2は、水素、−Si(A)3からそれぞれ独立して選ばれる基である。
【0035】
式(2)のR2が−OSi(A)3であるとき、Aはそれぞれ独立して水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサシクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニル、フェニルアルキルである。この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。なお、水酸基、カルボキシル、アミノ基、メルカプトの水素原子は、トリメチルシリル等で置換されていてもよい。なお、2つのAがジカルボン酸無水物を形成してもよい。
具体的には下記の群からそれぞれ独立して選ばれる基である。
【0036】
【化24】

【0037】
これらの式において、maは2〜10の整数である;naは0〜15の整数である;qは2または3の整数であり、rは2〜200の整数である;tは1〜3の整数である;そして、Eは水素または炭素数1〜4のアルキルである。上記の例において、ベンゼン環に結合する−CF3の結合位置はそれぞれ任意である。rの好ましい範囲は2〜100であり、より好ましい範囲は2〜20である。
【0038】
式(1)または式(2)で示されるポリシロキサンの特に好ましい例としては、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明の化合物は以下のものには限定されない。
【化25】

【化26】

なお、式(1−3)において、上記式(1)、(2)における−Si(A)3のAと同様に定義される基である。
【0039】
次に、式(1)のR1がアルコキシ、アセトキシ、ハロゲン、または水酸基で表される化合物の製造方法について説明する。
これらは、下記反応式(I)に示す式(1−a)または(1−b)として示すことができ、発明者らにより開示されている方法(特開2006−182650号公報)によって得られる式(1−0−1)で表される化合物と、一般に市販され入手が容易である式(1−0−2)で表されるシラン化合物を、有機溶媒中、それぞれの混合比率が化合物(1−0−1)のモル数(M)に対して化合物(1−0−2)のモル数(N)が1倍モル以上、好ましくは1〜10倍モルで反応することにより得ることができる。
この反応に用いることができる有機溶媒としては、反応の進行を阻害するものでなければ特に制限はない。好ましい有機溶媒の例は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエ−テル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類であり、これらは単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
また、この有機溶媒の使用量は本発明を限定するものではないが、効率的に製造することを考慮すると、反応液の固形分濃度が1%以上50%以下であることが好ましい。
【化27】

ここで式(1−0−2)においてXは、シラノールと反応することができる基であり、
ここではハロゲン、アルコキシ、またはアセトキシである。具体的な化合物を例示すると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラヨードシラン、テトラアセトキシシランを例示することができる。このうち、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシランは一般に市販されており、容易に入手することが可能であるので好ましい。
そして得られた化合物(1−a)は、必要に応じて塩酸、酢酸、硫酸などの酸を触媒として加水分解することにより、化合物(1−b)を得ることができる。
【化28】

【0040】
次に式(1)のR1が−OSi(A)3で、その置換基Aがそれぞれ独立して、水素(Siに結合した)、任意の水素が、水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサシクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい、炭素原子の数が1から10のアルキル(任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよい)、フェニルまたはフェニルアルキル(アルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい)である化合物(1−c)の製造方法について説明する。
これらは、式(II)に示すとおり化合物(1−b)と化合物(1−0−3)とを、有機溶媒中、好ましくは3級アミン(NR3)の存在下反応することによって得ることができる。
この反応に用いることができる有機溶媒は、反応の進行を阻害するものでなければ特に制限はない。好ましい溶剤は、へキサンやヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエ−テル類、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチルなどのエステル類などである。これら有機溶媒は単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。より好ましい有機溶媒は芳香族炭化水素類、エーテル類であり、さらに好ましくはトルエンまたはTHFである。
またこの反応は、トリエチルアミン等の3級アミンを添加することによって、容易に促進させることができる。3級アミンの添加量は反応を進行させることができれば特に制限はないが、トリエチルアミンの場合を例示すれば、化合物(1−0−3)に対して0.1倍モルから10倍モル、好ましくは1倍モルから5倍モルである。
【化29】

【0041】
次に、式(1)のR1が−OSi(A)3で、その置換基Aはそれぞれ独立して少なくとも1つが、水酸基、ハロゲン、エステル、シアノ、ビニル、アセトキシ、(メタ)アクリロイル、カルボキシル、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、メルカプト、2,4−ジオキソ−3−オキサシクロペンチルまたはアルキレンオキシで置換されてもよい、炭素原子の数が2から10のアルキル(任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよい)、フェニルまたはフェニルアルキル(アルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい)であり、残りのAが炭素原子の数が1から10のアルキルまたはフェニルである化合物(1)の製造方法について説明する。
これらは、以下に示すとおり2段階の工程により得ることができる。即ちまず化合物(1−b)と、Aの少なくとも1個が水素であり、Aの残りがそれぞれ独立して炭素原子の数が1から10のアルキル(任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよい)、フェニルまたはフェニルアルキル(アルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい)である化合物(1−0−3)とを、上記方法と同様に反応してAの少なくとも1個が水素であり、Aの残りが炭素原子の数が1から10のアルキルまたはフェニルである化合物(1−c)を合成する第1工程を行う。
なお、ここで「Aの少なくとも1個が水素であり、Aの残りがそれぞれ独立して炭素原子の数が1から10のアルキルまたはフェニルである化合物(1−0−3)」を具体的に例示すると、ジメチルクロロシラン、ジエチルクロロシラン、メチルエチルクロロシラン、メチルヘキシルクロロシラン、ジイソプロピルクロロシラン、ジターシャリーブチルクロロシラン、ジシクロペンチルクロロシラン、ジシクロヘキシルクロロシラン、ジノルマルオクチルクロロシラン、メチルフェニルクロロシラン、ジフェニルクロロシランなどである。
そして、式(III)に示すとおり、この第1工程で得られた化合物(1−c)と、下記化合物(1−0−5)とを、有機溶媒中、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応する第2工程を行うことによって、化合物を(1−d)を得ることができる。
【化30】

式(1−0−5)において、A1は、水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシもしくはメルカプト、または任意の水素がこれらの置換基で置換された炭素数1〜8のアルキル(任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよい)、フェニルまたはフェニルアルキル(アルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい)である。なお、水酸基、カルボキシル、アミノ基、メルカプトの水素原子は、トリメチルシリル等で置換されていてもよい。
式(1−d)においてRは式(1−c)のRと同様に定義される基であり、12個のA2のうち少なくとも1つは−CH2CH21であり、残りのA2はそれぞれ独立して炭素数1から
10のアルキル、フェニル、フェニルアルキルから選ばれる基である。
【0042】
ここに化合物(1−0−5)として表される、水酸基とアルケニルを同時に有する化合物とは、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、エチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールエタンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1−エテニル−シクロブタノール、2−エテニル−シクロブタノール、3−エテニル−シクロブタノール、ビニルフェノール、2−アリルフェノール、4−アリルフェノール、4−アリル−2−メトキシフェノール、4−アリル−2,6−ジメトキシフェノール、4−(2−プロペニル)−1,2−ベンゼンジオール、4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−3−ブテンー2−オンなどである。これらの化合物の水酸基は、炭素数3〜30の環状および分岐鎖状のカルボニル類、エステル類、またはエーテル類や、アセタール類、ケタール類、ならびにシリルエーテル類として保護されていてもよい。また入手し易さを考慮すると、これらのうち好ましい化合物は、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、2−アリルフェノール、および4−アリルフェノールである。
【0043】
カルボキシルとアルケニルとを有する化合物(1−0−5)の例は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、3−ブテン酸、2−メチル−3−ブテン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2−n−プロピル−3−ペンテン酸、4−ペンテン酸、3−メチル−4−ペンテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、3,3−ジメチル−4−ペンテン酸、4−ヘキセン酸、5−ヘキセン酸、2,6−ヘプタジエン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、11−ドデセン酸、プロピオル酸、2−ブチン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アセチレンカルボン酸、2−ビニル安息香酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、4−アリル−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸などである。なお、(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸とを示す。これらの化合物中のカルボキシル基は、エステル類、トリアルキルシリル類として保護されていてもよい。そして、これらのうち好ましい化合物は、入手し易さを考慮すると、(メタ)アクリル酸、ビニル酢酸、4−ペンテン酸、10−ウンデセン酸、4−ビニル安息香酸などである。
【0044】
イソシアネートとアルケニルとを有する化合物(1−0−5)の例は、ビニルイソシアナート、アリルイソシアナート、3−イソシアナート−2−メチル−1−プロペン、メタクリロイルイソシアナート、イソシアナートエチルメタクリレート、ビニルベンジルイソシアナート、3−イソシアナート−1−ブテン、3−イソシアナート−3−メチル−1−ブテン、4−イソシアナート−2−メチル−1−ブテン、4−イソシアナート−3,3−ジメチル−1−ブテン、4−イソシアナート−4−メチル−1−ペンテン、5−イソシアナート−1−ペンテンなどである。入手し易さを考慮すると、これらのうちの好ましい化合物は、ビニルイソシアナート、アリルイソシアナート、メタクリロイルイソシアナートなどである。
【0045】
オキシラニルとアルケニルとを有する化合物(1−0−5)の例は、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルマレエート、グリシジルイタコネート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、1,2−エポキシ−6−ヘプテン、1,2−エポキシ−3−ブテン、2-シクロヘキセン-1-グリシジルエーテル、シクロヘキセン−4,5−ジグリシジルカルボキシレート、シクロヘキセン−4−グリシジルカルボキシレート、5−ノルボルネン−2−メチル−2−グリシジルカルボキシレート、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプ
テン−2,3−ジグリシジルジカルボキシレートなどである。そして、入手し易さを考慮するとアリルグリシジルエーテルが好ましい。
【0046】
メルカプトとアルケニルとを有する化合物(1−0−5)の例は、アリルメルカプタン、2−メチル−2−プロペン−1−チオールなどである。
【0047】
2,4−ジオキソ−3−オキサシクロペンチルとアルケニルとを有する化合物(1−0−5)の例は、アリルこはく酸 無水物、イソブチルこはく酸 無水物、イソブテニル こはく酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などである。また入手し易さを考慮すると、これらのうち好ましい化合物は、アリルこはく酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などである。
【0048】
アルキレンオキシとアルケニルを有する化合物(1−0−5)は、日本油脂株式会社等によって市販されている。例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテルの例は、ユニオックスPKA−5001、PKA−5002、PKA−5003、PKA−5004、PKA−5005などである。メトキシポリエチレングリコールアリルエーテルの例は、ユニオックスPKA−5006、PKA−5007、PKA−5008、PKA−5009、PKA−5010などである。ポリプロピレングリコールモノアリルエーテルの例は、ユニセーフPKA−5014である。ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテルの例は、ユニセーフPKA−5011、PKA−5012、PKA−5013などである。市販品がない場合は、ポリアルキレングリコールまたはそのモノエーテル化合物に水素化ナトリウムを反応させてナトリウムアルコラートとし、次いでこれにアリルブロマイドを作用させることにより、アルキレンオキシ基を有するアリルエーテルを得ることができる。
【0049】
アミノ基とアルケニルを有する化合物(1−0−5)の例は、アリルアミン、ブテニルアミン、ヘキセニルアミン、オクテニルアミン、デセニルアミン等を例示することができる。
【0050】
オキセタニルとアルケニルを有する化合物(1−0−5)の例は、オキセタニルとアルケニルを有する化合物(1−0−5)は、3−ビニルオキセタン、3−メチル−3−ビニルオキセタン、3−エチル−3−ビニルオキセタン、3−アリルオキセタン、3−アリル−3−メチルオキセタン、3−アリル−3−エチルオキセタン、[(3−オキセタニル)メチル]ビニルエーテル、[(3−メチル−3−オキセタニル)メチル]ビニルエーテル、[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]ビニルエーテル、3−アリロキシメチルオキセタン、3−アリロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−アリロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−アリロキシエチルオキセタン、3−アリロキシエチル−3−メチルオキセタン、3−アリロキシエチル−3−エチルオキセタンなどを挙げることができ、特に3−アリロキシメチルオキセタン、3−アリロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−アリロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−アリロキシエチルオキセタン、3−アリロキシエチル−3−メチルオキセタン、3−アリロキシエチル−3−エチルオキセタンが好ましい。
【0051】
なお、化合物(1−c)を得る上記第1工程は、下記の化合物(1−a)と化合物(1−0−4)とを反応させる方法や、化合物(1−a’)と化合物(1−0−4)を反応させる方法で行ってもよい。
【0052】
上記の官能基とアルケニルを有する化合物(1−0−5)から1つを選んで、Aの少なくとも1個が水素であり、Aの残りがそれぞれ独立して炭素原子の数が1から10のアル
キルまたはフェニルである化合物(1−c)と反応させれば、Aの少なくとも1個が−CH2CH21であり、Aの残りがそれぞれ独立して炭素原子の数が1から10のアルキルまたはフェニルである化合物(1−d)が得られる。少なくとも2つの異なる官能基を有する化合物(1−d)を合成するには、官能基を有する化合物(1−0−5)を少なくとも2種類用いて、Aの少なくとも2個が水素である化合物(1−c)と反応させればよい。このとき、官能基を有する化合物(1−0−5)の反応性の違いを考慮すれば、それらを混合物として反応させるか、または1つずつ逐次的に反応させることによって得ることができる。
【0053】
Aの少なくとも1個が水素であり、Aの残りがそれぞれ独立して炭素原子の数が1から10のアルキルまたはフェニルである化合物(1−c)と、官能基を有する化合物(1−0−5)とのヒドロシリル化反応に用いる溶剤は、反応を阻害しないものであれば特に制限はない。好ましい溶剤は、ヘキサンやヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンやトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステルである。これらの溶剤は単独で使用しても、複数を組合わせて使用してもよい。これら溶剤の中でも、芳香族炭化水素、その中でもトルエンが最も好ましい。
【0054】
この化合物(1−c)と官能基を有するアルケニル化合物(1−0−5)とを反応させるとき、溶剤は必ずしも必要ではないが、使用する場合は、濃度が0.05〜80重量%となるように調製する。より好ましい割合は30〜70重量%である。
【0055】
この化合物(1−c)に対する官能基を有する不飽和炭化水素類(1−0−5)の仕込む割合は、目的によって異なる。例えば化合物(1−c)のすべてのSiH基を反応させる場合には、化合物(1−c)のSiH基に対して等モル以上必要である。そして、一部の−SiH基を残す場合には、官能基を有する不飽和炭化水素類の割合を、化合物(1−c)に対して等モル以下にすればよい。
【0056】
反応温度は室温でもよいが、反応を促進させるためには加熱してもよい。また反応熱による副反応を制御するためには、必要に応じて冷却してもよい。
【0057】
次に本発明でヒドロシリル化反応に用いるヒドロシリル化触媒について説明する。ヒドロシリル化触媒とは、一般に市販されている白金、ロジウム、パラジウムなどの遷移金属を含む化合物を用いることができる。好ましいヒドロシリル化触媒の例は、カールステッド(Karstedt)触媒、スパイヤー(Spier)触媒、ヘキサクロロプラチニック酸などであり、これらは当該技術分野において一般的によく知られた化合物である。
添加するヒドロシリル化触媒の量は、含有する遷移金属がSiH基に対して10-9〜1モル%となる範囲で使用すればよい。好ましい添加量は10-7〜10-3モル%である。
【0058】
また化合物(1−c)の製造方法の別法として、下記式(IV)に示すとおり、化合物(1-a)と、化合物(1−0−4)とを反応させることもできる。
【化31】

なお、式(1−0−3)、式(1−0−4)、式(1−c)におけるAは、式(1)、(2)のR1またはR2としての−OSi(A)3におけるAと同様に定義される基である。
【0059】
また下記式(V)に示すように化合物(1−0−1)のモル数(M)に対して化合物(1−0−2)のモル数(N)が1倍モル以下、好ましくは0.1〜1倍モルとなるように反応させると、式(2-a)で表される化合物を得ることができる。そして得られた化合物(2−a)から、式(II)または式(III)と同様の方法により、化合物(2−b)を得ることができる。
【化32】

【0060】
なお、N>Mの割合で化合物(1−0−1)と化合物(1−0−2)を反応させ化合物(1-a)を得た後に、化合物(1-a)を化合物(1−0−1)と反応させてもよいし、M>Nの割合で化合物(1−0−1)と化合物(1−0−2)を反応させ化合物(2-a)を得た後に、化合物(2-a)を化合物(1−0−2)と反応させてもよい。さらに、このような反応を交互に繰り返してもよい。
【0061】
なお、化合物(1−0−1)の代わりに、化合物(1−0−1’)を使用し、化合物(1−0−2’)と反応することによっても上記と同様の反応を行うことができる。式(1−0−1’)において、Mはアルカリ金属であり、好ましくは、ナトリウム、またはカリウムである。
【化33】

この場合、下記化合物(1−a’)または上記化合物(2−a)が得られる。
【化34】

この場合、式(1−a’)と式(1−0−2’)においては、X1はハロゲンであり、好ましくは塩素である。また(1−b)から(1−c)を合成する方法、(2−a)から(2−b)を合成する方法は、前述の式(II)で示される化合物(1−b)と(1−0−3)から(1−c)を得る方法、および前述の式(VI)で示される化合物(2−a)と(1−0−3)から(2−b)を得る方法と同様にして反応を行うことができる。
【0062】
また、下記のような反応を行うことにより、化合物(1−d)を得ることもできる。ここで、Aは式(1)および(2)の−OSi(A)3におけるAと同様に定義される基であり、Xはシラノールと反応することができる置換基であり、例えばハロゲン、アルコキシ、アセトキシである。(1−0−6)の具体例としては、ジクロロシラン、ジクロロジフェニルシランが挙げられる。
【化35】

【0063】
上記の式(1−0−1)で表される化合物と式(1−0−2)で表される化合物の反応は、有機溶媒中で行うことができる。上記の式(1−0−1’)で表される化合物と式(1−0−2’)で表される化合物の反応は、有機溶媒中で行うことができる。
本発明のポリシロキサンを製造する際に用いられる、有機溶剤は反応の進行を阻害するものでなければ使用することができる。例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso−プロパノールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、アセトン、2−ブタノン、メチル−iso−ブチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなどを具体的に例示することができる。なかでも、テトラヒドロフランや酢酸エステル類が原料および生成物を溶解することができるので好ましい。そして、その使用量は、本発明を制限するものではないが、化合物(1−0−1)1重量部に対して0.01から100重量部である。反応は室温で行ってもよく、また反応を促進させるために加熱してもよい。反応による発熱が好ましくない場合は、反応を制御する目的で冷却してもよい。
このように反応させることにより、シルセスキオキサンとQ構造が交互に結合されたポリシロキサン[式(1−a)および式(2−a)]を製造することができる。
【0064】
次いで得られたポリシロキサン[式(1−a)および式(2−a)]に反応性の基を有するクロロシランでキャッピングする方法について説明する。この方法は、従来から良く知られているシラノールとクロロシランを反応させる方法を適用することにより、式(1)および式(2)で表される反応性の基を有するポリシロキサンを製造することができる。
【0065】
本発明により得られる、かご型構造の骨格を主鎖に導入することによって得られる重合体は、主鎖の動きが制限されることにより剛直性が付与され、耐熱性や物理的強度が高くなると予測され、その構造の特異性から高い光学透過性が期待できる。そして本発明の重合体は、溶解性、耐熱性、機械強度、光学透過性、ガス透過性、誘電率、難燃性、接着性、加工性等の優れた効果が期待できるので、幅広い用途に利用できる。例えば電気・電子材料としての用途の例は、金属溶出防止膜、ガスバリア膜、反射防止膜等の基板用コーティング剤、液状封止剤、層間絶縁膜等の半導体用コーティング剤、マイクロレンズ、導光板、光導波路材料等の光学素子、ディスプレイ基板およびプリント配線用基板等への応用が期待される。また必要に応じ、初期の性状を損なわない範囲で、重合体への他の成分、例えば、酸化防止剤、着色剤、充填剤等をブレンドして使用してもよい。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中に記載した式においては、Phはフェニルであり、Meはメチルを表す。また核磁気共鳴スペクトルは、特に断りが無い限り重テトラヒドロフランを溶媒、テトラメチルシランを内部標準物質として室温で測定した。
【0067】
[合成例1]
<化合物(3−1)の合成>
環流冷却器、温度計、および滴下漏斗を取り付けた反応容器に、フェニルトリメトキシシラン(6.54kg)、水酸化ナトリウム(0.88kg)、水(0.66kg)、および2−プロピルアルコール(26.3リットル)を仕込んだ。窒素気流下、撹拌しながら加熱を開始した。還流開始から6時間撹拌を継続したのち室温で1晩静置した。そして反応液を濾過器ヘ移し窒素ガスで加圧して濾過した。得られた固体を2−プロピルアルコ
ールで1回洗浄、濾過したのち80℃で減圧乾燥を行うことにより、白色固体を(3.3kg)を得た。これを化合物(3−1)とする。
【0068】
[合成例2]
<化合物(3−2)の合成>
滴下漏斗、温度計、撹拌機を具備した反応容器に、合成例1で得られた化合物(3−1)(162g)、酢酸エチル(1400ml)を仕込み撹拌した。窒素気流下、反応液の温度が5℃になるように冷却した。そして反応液の温度を15℃以下に保ちつつ、酢酸(42g)を滴下し、1時間反応させた。次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (100g)で未反応の酢酸を中和したのち、イオン交換水で水洗し、1規定の塩酸(10g)処理したのち、イオン交換水で水洗して反応液を中性とした。得られた有機相は50℃で減圧濃縮をおこない、残渣に酢酸メチル (180ml)加え、室温で2時間攪拌を行ったのち、濾過して白色固体を得た。得られた白色固体は50℃で減圧乾燥を行い、粉末状の白色固体として化合物(3−2)を(116g)得た。
1H NMR δ;7.11−7.59(m,40H).
29Si NMR δ;−79.22,−69.11.
【化36】

【0069】
[実施例1]
<化合物(1−2−1)の合成>
還流冷却器、温度計、撹拌装置を具備した2Lの3つ口フラスコに、合成例2で得た化合物(3−2)56g(52mmol)、テトラアセトキシシラン 42g(159mmol)、酢酸エチル 900ml仕込んだ。窒素気流下、攪拌しながら60℃に加熱した。そして5時間反応させたのち、室温まで冷却した。水を100g仕込み、撹拌した。固形物を濾過したのち50℃で濃縮して約850ml留去した。そして得られた反応液を濾過して固体を得た。得られた固体は70℃で2時間減圧乾燥を行い白色固体の化合物(1−2−1)を49g得た。
1H NMR δ(ppm);6.15(s,4H),7.09−7.70(m,40H).29Si NMR δ(ppm);−89.8,−79.28,−78.75.
【化37】

【0070】
[実施例2]
<化合物(1−4−1)の合成>
還流冷却器、温度計、滴下漏斗、撹拌装置を具備した1Lの4つ口フラスコに、クロロジメチルシラン 23g(240mmol)、トルエン(400ml)を仕込んだ。窒素気流下、攪拌しながらトリエチルアミン 22g(216mmol)を滴下した。次に化合物(1−2−1)48g(40mmol)を酢酸エチル(210ml)に溶解して、反応液温度が35℃以下に保たれるように滴下した。3時間反応を継続したのち、水(50g)加え30分間撹拌を継続した。そして分液漏斗で有機相と水相に分けた。得られた有機相は水洗して中性としたのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次に無水硫酸マグネシウムを濾過で除去したのち50℃で減圧濃縮した。得られた残渣にメチルアルコール(120ml)加え4時間撹拌したのち濾過して固体を得た。得られた白色固体は70℃で2時間減圧乾燥を行い白色固体として化合物(1−4−1)を(g)得た。
1H NMR δ(ppm);0.11(s,24H),4.70−4.73(m,4H),7.15−7.58(m,40H).
29Si NMR δ(ppm);−106.22,−79.38,−78.95,−3.04.
【化38】

【0071】
[実施例3]
<化合物(1−5−1)の合成>
還流冷却器、温度計、滴下漏斗、シリコン製 Wキャップ、攪拌子を具備した200mlの4つ口フラスコに、実施例2で合成した(1−4−1)47g(33mmol)、アリルグリシジルエーテル23g(202mmol)、トルエン(70g)仕込んだ。窒素気流下、攪拌しながら加熱して 40℃にした。マイクロシリンジでKarstedt's触媒 (20μl)を添加し反応を開始した。発熱が収まったのを確認したのち、加熱し還流状態に
した。3時間反応を行ったのち、反応液の一部をサンプリングし赤外線吸収スペクトル分析を行ったところ、Si−H基に由来する2138cm-1のピークが消失していることを確認して反応の終点とした。そして120℃で1時間、130℃で1時間減圧濃縮して粘ちょうな液体62g得た。得られた粘ちょうな液体を酢酸メチル(250ml)に溶解したのち、粉末状活性炭 (1.3g)加えた。40℃で1時間撹拌を行ったのち濾過して活性炭を除去した。得られた反応液を80℃で減圧濃縮し無色透明で粘ちょう液体 (61g)得た。次に得られた粘ちょう液体を酢酸エチル(40ml)で溶解して、ノルマルヘプタン(1200ml)で再沈殿精製を行った。生成した固体を濾過したのち40℃で3時間減圧と乾燥を行い白色固体として化合物(1−5−1)を(55g)得た。
1H NMR(CDCl3 ):δ(ppm);0.04(s,24H),0.48−0.52(m,8H),1.46−1.53(m,8H),2.46(dd,4H),2.67(t,4H),2.96−3.00(m,4H),3.09−3.17(m,12H),3.45(dd,4H),7.18(t,8H),7.25(t,8H),7.33(t,4H),7.39(t,4H),7.43(d,8H),7.57(d,8H).
29Si NMR(CDCl3 ):δ(ppm);−106.95,−79.38,−79.12,11.45
【化39】

【0072】
[実施例4]
<化合物(1−6−1)の合成>
還流冷却器、温度計、滴下漏斗、シリコン製 Wキャップ、攪拌子を具備した50mlの4つ口フラスコに、実施例2で製造した(1−4−1)1.0g(0.7mmol)、4−ビニル−1−シクロヘキセン 1,2−エポキシド 0.4g(3.2mmol)、トルエン (1.0g)仕込んだ。窒素気流下、攪拌しながら60℃に加熱した。マイクロシリンジでKarstedt's触媒 (0.9μl)添加し反応を開始した。発熱が収まったのを確認したのち、還流状態に加熱した。2時間反応を行ったのち、反応液の一部をサンプリングし赤外線吸収スペクトル分析を行ったところ、Si−H基に由来する2137cm-1のピークが消失していることを確認して反応の終点とした。そして80℃で2時間減圧濃縮して黄色固体を(1.4g)得た。得られた黄色固体は酢酸エチル(1.4g)に溶解したのち、ノルマルヘキサン(28g)に滴下して撹拌した。そして口径0.1μmのメンブランフィルターで濾過し、濾液を80℃で2時間減圧濃縮して白色固体として化合物(1−6−1)を(1.3g)得た。
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm);0.01(s,24H),0.40−0.44(m,8H),0.52−0.63(m,2H),0.82−0.87(m,4H),0.95−1.26(m,18H),1.43−1.49(m,2H),1,59−1.78(m,6H),1.94(dd,4H),2.91−3.01(m,8H),7.17(t,8H),7.25(t,8H),7.33(t,4H),7.38−7.43(m,12H),7.56(d,8H).
29Si−NMR(CDCl3):δ(ppm);−106.92,−79.41,−79.18,11.26,11.28,11.34,11.36.
【化40】

【0073】
[実施例5]
<化合物(1−3−2)の合成>
還流冷却器、温度計、撹拌装置を具備した反応容器に、合成例2で得られた化合物(3−2)6.4g(6.0mmol)、テトラアセトキシシラン2.2g(8.3mmol)、酢酸エチル(120ml)仕込んだ。窒素気流下、攪拌しながら75℃に加熱し4時間反応を行った。室温まで冷却したのち、テトラアセトキシシラン1.1g(4.2mmol)を加えたのち75℃に加熱して1時間反応を行った。そして室温まで冷却したのち水を加え遠心分離を行い、固液分離を行った。得られた溶液にトルエンを(40ml)添加し再度、遠心分離を行い固液分離する操作を3度繰り返して行った。このようにして得られた濾液を、減圧濃縮を行うことで化合物(1−3−2)を白色固体として得た。
1H−NMR δ(ppm);6.17(s,4H).6.83−7.69(m,80H).
29Si−NMR δ(ppm);−108.91,−89.70,−89.66,−78.84,−78.51,−77.67.
【化41】

【0074】
[実施例6]
<化合物(2−1−1)の合成>
還流冷却器、温度計、撹拌装置を具備した反応容器に、合成例2で得られた化合物(3−2)1g(0.9mmol)、テトラアセトキシシラン0.8g(3.0mmol)、酢酸エチル (40ml)仕込んだ。窒素気流下、攪拌しながら55℃に加熱し5時間反応を行った。そして室温まで冷却したのち、化合物(3−2)6.4g(6.0mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)に溶解して添加した。そして55℃に加熱して6時間反応を行った。そして室温まで冷却したのち中和、水洗、濾過、濃縮を行い、白色固体(7.8g)得た。次に得られた白色固体に酢酸エチル(30ml)加え撹拌したのち固液分離を行った。そして得られた濾液にトルエン(40ml)を加え生成した固体を濾別した。さらに濾液にヘキサンを加え再結晶を行ったところ化合物(2−1−1)を白色固
体として得た。
29Si−NMR δ(ppm);−109.10,−78.99,−78.58,−77.81,−77.68,−69.02.
【化42】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)または式(2)で示されるポリシロキサン。
【化1】

式(1)および式(2)において、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜45のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、或いは置換または非置換のアリールアルキルであり;炭素数1〜45のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−またはシクロアルキレンで置換されてもよく;アリールおよびアリールアルキルのベンゼン環において、任意の水素はハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルで置換されてもよく;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−またはフェニレンで置換されてもよく;アリールアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−、またはフェニレンで置換されてもよく;mおよびnは1以上1000以下の整数である。
1はm=1のとき、水酸基、アルコキシ、アセトキシ、−OSi(A)3からそれぞれ独立して選ばれる基であり、2≦m≦1000のときは水素、水酸基、ハロゲン、アルコキシ、アセトキシ、−OSi(A)3またはRと同様に定義される基から、それぞれ独立して選ばれる基である。R1が−OSi(A)3であるとき、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサシクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい。
2はそれぞれ独立して水素、または、−Si(A)3であり;このAは上記R1におけ
るAと同様に定義される基である。
【請求項2】
式(1−0)または式(2−0)で示されるポリシロキサン。
【化2】

式(1−0)または式(2−0)において、R1はm=1の時、水酸基、アルコキシ、アセトキシ、−OSi(A)3からそれぞれ独立して選ばれる基であり、2≦m≦1000の時は水素、水酸基、ハロゲン、アルコキシ、アセトキシ、−OSi(A)3、炭素数が1から10のアルキル、フェニルからそれぞれ独立して選ばれる基である。R1が−OSi(A)3であるとき、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい。
2はそれぞれ独立して水素または−Si(A)3であり;このAは上記R1におけるAと同様に定義される基である。
【請求項3】
式(1−1)で示されるポリシロキサン。
【化3】

式(1−1)において、mは1以上1000以下の整数である。
【請求項4】
式(1−2)で示されるポリシロキサン。
【化4】

式(1−2)において、mは1以上1000以下の整数である。
【請求項5】
式(1−3)で示されるポリシロキサン。
【化5】

式(1−3)において、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサシクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよく;mは1以上1000以下の整数である。
【請求項6】
式(1−4)で示されるポリシロキサン。
【化6】

式(1−4)において、mは1以上1000以下の整数である。
【請求項7】
式(1−5)で示されるポリシロキサン。
【化7】

式(1−5)において、mは1以上1000以下の整数である。
【請求項8】
式(1−6)で示されるポリシロキサン。
【化8】

式(1−6)において、mは1以上1000以下の整数である。
【請求項9】
式(2−1)で示されるポリシロキサン。
【化9】

式(2−1)において、nは1以上1000以下の整数である。
【請求項10】
式(2−2)で示されるポリシロキサン。
【化10】

式(2−2)において、nは1以上1000以下の整数であり、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサシクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。
【請求項11】
式(1−0−1)で表される化合物と、式(1−0−2)で表される化合物を反応させることを特徴とする、式(1−a)または式(2−a)で表されるポリシロキサンの製造方法。
【化11】

式(1−0−1)において、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜45のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、或いは置換または非置換のアリールアルキルであり;炭素数1〜45のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;アリールおよびアリールアルキルのベンゼン環において、任意の水素はハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルで置換されてもよく;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;アリールアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−は−O−で置換されてもよく、式(1−0−2)において、Xはシラノールと反応することができる置換基である。
【化12】

式(1−a)および(2−a)におけるRは式(1−0−1)と同様に定義される基であり;式(1−a)におけるXは式(1−0−2)と同様に定義される基であり;mおよびnは1以上1000以下の整数である。
【請求項12】
式(1−0−1’)で表される化合物と、式(1−0−2’)で表される化合物を反応させることを特徴とする、式(1−a’)または式(2−a)で表されるポリシロキサンの製造方法。
【化13】

式(1−0−1’)において、Mはアルカリ金属であり;Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜45のアルキル、炭素数4〜8のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、或いは置換または非置換のアリールアルキルであり;炭素数1〜45のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;アリールおよびアリールアルキルのベンゼン環において、任意の水素はハロゲンまたは炭素数1〜10のアルキルで置換されてもよく;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;アリールアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−は−O−で置換されてもよく、式(1−0−2’)において、X1はハロゲンである。
【化14】

式(1−a’)および(2−a)におけるRは式(1−0−1’)と同様に定義される基であり;式(1−a’)におけるX1は式(1−0−2’)と同様に定義される基であり;mおよびnは1以上1000以下の整数である。
【請求項13】
請求項11に記載の方法により式(1−a)で表される化合物を製造し、得られた式(1−a)で表される化合物を加水分解することを特徴とする、式(1−b)で表される化合物の製造法。
【化15】

式(1−b)において、Rは式(1−a)と同様に定義される基であり;mは1以上1000以下の整数である。
【請求項14】
請求項12に記載の方法により式(1−a’)で表される化合物を製造し、得られた式(1−a’)で表される化合物を加水分解することを特徴とする、式(1−b)で表される化合物の製造法。
【化16】

式(1−b)において、Rは式(1−a’)と同様に定義される基であり;mは1以上1000以下の整数である。
【請求項15】
請求項13または14に記載の方法により式(1−b)で表される化合物を製造し、得られた式(1−b)で表される化合物を式(1−0−3)で表される化合物と反応させることを特徴とする、式(1−c)で表される化合物の製造法。
【化17】

式(1−c)において、Rは式(1−b)と同様に定義される基であり;mは1以上1000以下の整数である。
式(1−0−3)において、Xはシラノールと反応することができる置換基である。
式(1−0−3)および式(1−c)において、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。
【請求項16】
請求項11に記載の方法により式(1−a)で表される化合物を製造し、得られた式(1−a)で表される化合物を式(1−0−4)で表される化合物と反応させることを特徴とする、式(1−c)で表される化合物の製造法。
【化18】

式(1−c)において、Rは式(1−a)と同様に定義される基であり;mは1以上1000以下の整数である。
式(1−0−4)および式(1−c)において、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。
【請求項17】
請求項12に記載の方法により式(1−a’)で表される化合物を製造し、得られた式(1−a’)で表される化合物を式(1−0−4)で表される化合物と反応させることを特徴とする、式(1−c)で表される化合物の製造法。
【化19】

式(1−c)において、Rは式(1−a’)と同様に定義される基であり;mは1以上1000以下の整数である。
式(1−0−4)および式(1−c)において、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3
−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。
【請求項18】
請求項11または12に記載の方法により式(2−a)で表される化合物を製造し、得られた式(2−a)で表される化合物を式(1−0−3)で表される化合物と反応させることを特徴とする、式(2−b)で表される化合物の製造法。
【化20】

式(2−b)において、Rは式(2−a)と同様に定義される基であり;nは1以上1000以下の整数である。
式(1−0−3)において、Xはシラノールと反応することができる置換基である。
式(1−0−3)および式(2−b)において、Aで表される基は、それぞれ独立して、水素、任意の水素が水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシまたはメルカプトで置換されてもよい炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜10のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜10であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレンまたは−O−で置換されてもよい。
【請求項19】
請求項15〜17の何れかに記載の方法によって、少なくとも1つのAが水素であり、残りのAが炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである式(1−c)で表される化合物を製造し、得られた化合物を式(1−0−5)で表される化合物と反応させることを特徴とする式(1―d)で表される化合物の製造法。
【化21】

式(1−0−5)において、A1は、水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシもしくはメルカプト、または任意の水素がこれらの置換基で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜8のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜8であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい。式(1−d)においてRは式(1−c)のRと同様に定義される基であり、12個のA2のうち少なくとも1つは−CH2CH21であり、残りのA2はそれぞれ独立して炭素数1から10のアルキル、フェニル、フェニルアルキルから選ばれる基である。
【請求項20】
請求項18に記載の方法によって、少なくとも1つのAが水素であり、残りのAが炭素数1〜10のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルである式(2−b)で表される化合物を製造し、得られた化合物を式(1−0−5)で表される化合物と反応させることを特徴とする式(2―d)で表される化合物の製造法。
【化22】

式(1−0−5)において、A1は、水酸基、ハロゲン、カルボキシル、エステル、2,4−ジオキソ−3−オキサ−シクロペンチル、アセトキシ、アミノ基、イソシアネート、オキシラニル、3,4−エポキシシクロヘキシル、オキセタニル、シアノ、ビニル、(メタ)アクリロイル、4−ビニルフェニル、アルキレンオキシもしくはメルカプト、または
任意の水素がこれらの置換基で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル、フェニルまたはフェニルアルキルであり;この炭素数1〜8のアルキルにおいて、任意の水素はフッ素で置換されてもよく、隣接しない任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置換されてもよく;フェニルアルキルのアルキレンにおいて、炭素原子の数は1〜8であり、隣接しない任意の−CH2−はフェニレン、または−O−で置換されてもよい。式(2−d)においてRは式(2−b)と同様に定義される基であり、12個のA2のうち少なくとも1つは−CH2CH21であり、残りのA2はそれぞれ独立して炭素数1から10のアルキル、フェニル、フェニルアルキルから選ばれる基である。

【公開番号】特開2008−150478(P2008−150478A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339095(P2006−339095)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 研究集会名 日本接着学会第44回年次大会 主催者 日本接着学会長 滝 欽二 開催日 平成18年6月30日・7月1日
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】