説明

ポリテトラフルオロエチレン製の埋め込み可能なチューブ状プロテーゼ

【課題】血液保持性能の優れたプロテーゼ埋め込み物を提供すると共に、プロテーゼの周辺組織への同化を改善し、治癒プロセスを促進する。
【解決手段】埋め込み可能プロテーゼにおいて、フィブリルで相互接続された間隔をあけた節を有し、節とフィブリルの間に孔が有る構造を有する拡張したポリテトラフルオロエチレンの本体と、孔に含まれる天然原料からなる生物分解性組成とを備える。生物分解性組成が、温度とpHの選択した条件で、沈殿を形成して孔をほぼ満たし、細胞を付着するための不溶性の基体の部分を形成する。このプロテーゼを作成する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には人体組織と結合する改善された能力を有し、縫合部の漏れに対する抵抗を増し、血液をしっかり保持する拡張したポリテトラフルオロエチレン(e−PTFE)から作られた埋め込み可能なデバイスに関する。より詳しくは、本発明はシート状又はチューブ状の埋め込み可能プロテーゼ即ち多孔性e−PTFE構造を有する管状プロテーゼ又は外科用パッチ即ちメッシュで、前記多孔性構造が、孔内にある天然原料からなる固体で不溶性の、生物学的適合性、生物分解性材料を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
拡張と焼結により作られたe−PTFE多孔性チューブは、人工血管用のチューブ状プロテーゼとして長年使用されてきた。これらのポリマーチューブは従来の繊維のプロテーゼと比較して利点があるが、固有の欠点もある。e−PTFEチューブは、多くの薄いフィブリル(小繊維)で相互に連結された小さい節(ノード)からなる微孔のある構造を有する。フィブリルの直径は処理条件によるが、かなり制御することができ、できた柔軟性の構造は、従来の繊維のグラフト(移植片)より色々な面で融通性が大きい。例えば、e−PTFEグラフトは、大きい直径即ち6mm以上の人工血管としても、5mm以下の直径でも使用することができる。
【0003】
しかし、拡張したPTFEチューブの1つの固有の問題は、縫合孔で血液が漏れる傾向があり、縫合の開始点で引き裂き線が伝播することがあることである。その結果、引き裂きの伝播を防止するため、節とフィブリルの構造を方向付ける多くの方法が開発された。これらの方法はしばしば複雑で、この目的を達成するため特殊な機械と材料を要する。
さらに、拡張したPTFE動脈プロテーゼは、周囲の組織により、微孔のある構造の細胞の浸透とコラーゲンの析出が少ないという欠点がある。従って、血液との適合性と組織結合性能を改善しようとする多くの開発は不十分であった。例えば、グイドインらにより報告されたバイオマテリアル1993年14巻、9号の「拡張したPTFEの組織変化」の研究では、e−PTFEの微孔のある構造の細胞の浸透が最小であると述べられている。グラフト表面上に内皮細胞の単層を作る開発で、低温保存し、培養した人体潜伏静脈の内皮細胞が、強化したPTFEプロテーゼ上で培養された。プロテーゼ上に内皮細胞を供給する前に、グラフト表面が人体のフィブロネクチンでプレコートされる。カデレッツらにより報告された胸部心臓外科35(1987 )143-147 頁の「低温保存した潜伏静脈の内皮細胞によるフィブロネクチンでコーティングしたPTFEグラフトの生体外ライニング」の研究では、落胆するような結果を報告している。より最近、e−PTFEグラフト上の内皮細胞を供給する前にプレコート材料としてフィブロネクチンと共にラミニン、コラーゲンタイプI/IIIを使用した研究が、カーラーらにより行われ、導管外科雑誌9巻4号4月(1989)に「プレコート基体と表面構成が、ポリテトラフルオロエチレングラフト上に供給した内皮細胞の付着と広がりを決める」として報告された。この研究はフィブロネクチンとタイプI/IIIコラーゲンでプレコートした表面上で、細胞の付着と細胞の広がりは、明らかに優れていると報告している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、e−PTFE基体は依然として内皮細胞付着の問題がある。本発明は、e−PTFEプロテーゼの多孔性の壁内にコラーゲン、ゼラチン、又はこれらの材料の誘導体等の固体自然材料を導入することにより、縫合孔出血の問題と共にこの問題を解決しようとするものである。上述の利点に加えて、コラーゲン等の材料はe−PTFEを取り外すのにも役立つ。取り外すと、エアポケットを除去し、それゆえe−PTFE表面の塞栓の生じやすさを減少させる。従って、本発明は、より血液保持性能の優れたプロテーゼ埋め込み物を提供すると共に、プロテーゼの周辺組織への同化を改善し、治癒プロセスを促進しようとするものである。
【0005】
より最近、埋め込みに先立ち、繊維基体を予備凝固させる必要性をなくすため、コラーゲンとゼラチン等の材料が、繊維性グラフトへのコーティング又は含浸として適用された。例えば米国特許第3,272,204 号、第4,842,575 号、第5,197,977 号は、この種の人工管状グラフトを開示する。さらに、第5,197,977 号特許は、いったん人体に埋め込まれた後、治癒とグラフトの受容を促進するため、活性剤の使用を含む。これらの特許で使用されるコラーゲンの源泉は、人工繊維グラフトに適用された水性溶液に分散した牛の皮膚又は腱であり、マッサージ又は他の圧力を加えることにより、人工繊維グラフトに塗布され、全表面領域を覆い、多孔性構造に浸透するようにするのが好ましい。
沖田らに与えられた米国特許第4,193,138 号は、チューブの孔が水溶性ポリマーで満たされた多孔性PTFEチューブからなる複合構造を開示する。水溶性ポリマーは、e−PTFEチューブに塞栓しない性質を与える親水性層を形成するために使用される。このようなポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸とポリメタクリル酸等の窒素含有ポリマーと非イオン性ポリマーがある。さらに、セルロースと多糖類のヒドロキシエステル又はカルボキシエステルも開示されている。この特許は、水溶性ポリマーがチューブの孔内に拡散し、次に乾燥することを記述する。次に水に不溶にするため水溶性ポリマーの架橋処理を行う。熱処理、アセタール化、エステル化、イオン化放射線誘導架橋反応等の架橋処理が開示される。この特許に開示される水溶性材料はその性質上人工のものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロテーゼは、基体の壁構造に孔を有する拡張したPTFE基体を含み、前記孔は天然原料からなる固体の生物学的適合性材料を含む。これらの生物学的適合性、生物分解性材料は、細胞外のマトリックス蛋白質から選択される。細胞外のマトリックス(基質)蛋白質は、一般に細胞−細胞と細胞−マトリックスの接着機構に含まれることが知られている。本発明の孔は、節(ノード)/フィブリル配置の隙間として拡張したPTFE構造内にある。前述したように、孔(ポア)の大きさはチューブ状基体の作成に使用される処理と拡張パラメーターによる。本発明で「孔」という言葉は、隙間、ボイド、チャンネル等の他の言葉で置き換えることができる。
【0007】
本発明はまた、生体適合物質含有PTFEプロテーゼを作る方法に関する。この方法は、e−PTFEの基体のボイドに接触し、ボイドを可溶の生物学的適合性材料を含む流体で満たすことを含み、いったんボイドに十分に接触し、そこを満たすと固まり好ましくは架橋して不溶性材料を形成し、好ましくは生体適合材料の架橋が行われる。
いったん生物学的適合性材料がe−PTFEの基体のボイド内で固まり、即ち架橋すると、固体を自然に拘束する表面として働き、さらに内皮細胞の付着と組織が内へ延びることを促進する傾向があり、これはプロテーゼの適正な受容と治癒に非常に重要である。前述したように、本発明以前には、PTFEの表面の不活性の化学的性質のため、内皮細胞を付着させるよい方法はなく、そのため内皮の細胞を容易に剥離するようになった。本発明は、このような欠点を克服しようとするものである。重要なことであるが、本発明の構造はe−PTFE構造を取り外すのに役立つ。また、縫合孔からの出血を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の目的のためには、PTFEという言葉は、ポリテトラフルオロエチレンのみでなく、フッ素化したエチレンプロピレンポリマー、パーフルオロアルコキシテトラフルオロエチレンを含み、これらは全て押し出し成形し、拡張し、焼結して、多孔性壁のチューブ状構造のe−PTFEを形成することができる。また本発明の目的のためには、チューブ状プロテーゼという言葉は、人体内の導管の修理、保持、取り替えのため埋め込み可能なデバイスとして有用なグラフト、内腔プロテーゼ、その他のチューブ状プロテーゼ等の管状プロテーゼを含む。本発明の好適なプロテーゼデバイスは、管状システムで使用されるものである。管状で使用するチューブは本発明の好適な実施例として記述されるが、それに限られない。ヘルニアの治療又は心筋の治療等の他の目的に使用するシート及び他の構造もまた、本発明の範囲内に入る。
【0009】
本発明のこれらの生物学的適合性、生物分解性材料は、一般に細胞−細胞と細胞−マトリックスの接着機構に含まれる細胞外のマトリックス蛋白質である。これらの材料は、コラーゲンI−Vを含むコラーゲン、ゼラチン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、マサチューセッツのベッドフォードのコラボラティブバイオメディカルプロダクツ社により商標MATRIGELで売られている再構成した基部膜マトリックス及びそれらの誘導体と混合物からなる細胞外マトリックス蛋白質の群から選択される。これらの細胞外マトリックス蛋白質は、好ましくは水性分散即ち溶液にしてボイドに導入し、沈殿して固体を形成し、選択的に架橋して、人体液体に不溶の材料を形成することができる。又は、生物学的適合性、生物分解性材料を、液圧又は予備架橋等の他の技術を使用して固体の形に導くことができる。ここで使用する生物分解性という言葉は、分解して人体に吸収されることを意味する。これらの生物学的適合性、生物分解性材料は、実質的にe−PTFEの壁のボイドを満たし、取り囲む組織が容易に付くことができる天然原料からなる結合する基体を与えるのが好ましい。単にe−PTFEの一部の被覆というよりも、これらの材料はボイドを満たすフィラーとして役立つように意図している。
【0010】
チューブ状プロテーゼを作る材料としてe−PTFEを使用する利点は、自然の抗血栓性能である。e−PTFEの固有の表面化学が、抗血栓性を助長するが、ネオティマ(neotima) の恒久的な接着性は一般に弱まる。例えば、グラフト周辺の材料の外側カプセルがPTFEプロテーゼの外側表面に容易に形成されるが、容易に剥離する。典型的には、従来の繊維のグラフトと比較して、e−PTFEグラフトの内腔表面には、非常に薄い内側カプセルが形成されるのみである。これが起こると、ネオティマの一部又全部が分離し、小さい血管内で捕らえられると塞栓が起こる場合がある。さらに、PTFEプロテーゼの壁の縫合孔の止血を行うためには、一般に圧力又は局所的圧力を要する。
それゆえ、本発明のプロテーゼは、e−PTFEの自然の抗血栓性能と血栓の形成の一因となる傾向のあるコラーゲンの性質のバランスをとり、一方で組織が内部に延びるため血液を通さない硬い表面を与えなければならないのは明らかである。
【0011】
本発明のプロテーゼを作成するには、生物学的適合性、生物分解性材料の溶液即ち分散を別に形成しなければならない。分散/溶液に使用される細胞外マトリックス蛋白質は、可溶性の形であってもよい。これらの材料は、水に溶解するのが難しい場合がある。コラーゲンは、環境温度ではゼラチンと同様に水に不溶と考えられている。この困難を克服するため、コラーゲン又はゼラチンは酸性のpHで即ち7以下で形成されるのが好ましく、pH約2から約4が好ましい。これらの分散/溶液を形成する温度範囲は、約4℃から約40℃であり、約30℃から約35℃が好ましい。
他のタイプも使用することができるが、タイプIコラーゲンは本発明に使用するには好適なコラーゲンである。この分子は、平均長さ300nm、平均直径約1.4nmのロッド状構造である。トロホコラーゲンと言われるこれらのロッドは、3つのα連鎖からなる。個々の連鎖は、約1,000 のアミノ酸からなる左巻螺旋である。左巻螺旋は相互に巻きつき、大きな右巻螺旋を形成する。
【0012】
生理的条件下では、コラーゲン分子は自発的に5つの分子のユニットに集まり、他の5ユニットの集合体と横に結合すると理論化されている。より大きな集合体は次に同じような集合体と直線状に結合し、ついにコラーゲン繊維を形成する。コラーゲン繊維は、コラーゲンをモノマー要素の網目組織に変える共有架橋のため生理学的流体に不溶である。コラーゲン繊維は、血管と他の器官の構造的構成の補強と同様に、骨、軟骨、皮膚を機能的に完全にする。コラーゲンは、水酸化プロピレン、グリシン型蛋白質であり、各種方法で変成してゼラチンを形成することができる。
コラーゲンの他の重要な性質は、全血に晒されると凝固反応を始めることである。従って、プロテーゼのボイドにあるコラーゲンは、埋め込み中と埋め込みの直後に、プロテーゼが漏れるのを防止する。
【0013】
いったん生物学的適合性、生物分解性材料が、e−PTFEのボイドに導入され、沈殿して固形になると、選択的に架橋する。材料の架橋は、e−PTFEの基体に破壊的又は負の影響がない限り、従来のどの方法ででも行うことができる。例えば、コラーゲンの場合架橋は、無水アルデヒド蒸気に晒し、次に乾燥して過度の蒸気とアルデヒドを除去することで、又はボイド内に分散で導入する前にコラーゲンを予備架橋することで行うことができる。ゼラチンの場合、同様の方法で架橋が行われる。
一実施例では、本発明のe−PTFEプロテーゼを作成する方法は、生物学的適合性材料の分散を生じさせる力を使い、プロテーゼのチューブ状壁に浸透させ、それにより節間のボイドに接触させることを含む。チューブ状プロテーゼの端部をクランプし、生物学的適合性、生物分解性材料の分散で内腔を満たし、圧力をかけてe−PTFEの壁の隙間内に分散の移動を起こさせることにより行うことができるが、これは多くの方法で行うことができる。分散の管腔を超える流れにより、生物学的適合性、生物分解性材料とボイドの間の十分な接触をすることができると信じられる。浸透する時間は、e−PTFEの孔の大きさ、グラフトの長さ、浸透圧、コラーゲンの濃度、他の要因によるが、例えば30℃から35℃の好適な温度範囲で1分以下から10分までの一般に短時間で行うことができる。しかし、ボイドが生物学的適合性、生物分解性材料でほぼ満たされたとしてもこれらの限界は重要ではない。可溶の生物学的適合性、生物分解性材料は、適所で固まるように選択的に架橋処理を行うことができる。例えば、各種架橋剤に晒すことによる架橋が行われ、ホルムアルデヒド蒸気等の方法で行われるのが好ましい。架橋したコラーゲンの形成に続いて、次にプロテーゼをリンスし、公知の方法で滅菌する準備をすることができる。過度の水分と架橋剤を除去するため、真空乾燥又は熱処理を使用することができる。所望の含浸を得るのに必要により、e−PTFEを分散/溶液と接触させる全工程を数回繰り返すことができる。
【0014】
好適な実施例では、プロテーゼのe−PTFE表面は、親水性をより大きくするため化学的に変成するのが好ましい。例えば、グロー放電プラズマ処理又は他の手段で、e−PTFE表面に親水性基が付けられ又は組み合わされることにより行うことができる。このような処理は、e−PTFEの生物学的適合性のある分散/溶液を吸収する能力を強める。
プロテーゼに含浸させる前に生物学的適合性の分散に、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗生物質、発育因子、ヘパリン等の血液凝固阻止薬等の各種薬理学的活性剤をその混合物、複合層も同様に添加することができる。
本発明の他の実施例では、コラーゲン又はゼラチン分散はプロテーゼに晒す前に不溶化することができる。これはもちろん、プロテーゼの含浸と隙間のボイドを満たすのをいくらか困難にする。
【0015】
本発明のプロテーゼを作成する好適な方法は、pHが約2から約4の範囲で、好ましくはpHが約3.5から約3.9のコラーゲン、ゼラチン、コラーゲンの誘導体、ゼラチンの誘導体とそれらの混合物からなる群から選択された生物学的適合性、生物分解性材料の混合物即ち濃度の分かった溶液又は分散を作成することを含む。分散は、イオン力が低く、約4℃から約40℃の温度で好ましくは約30℃から約35℃で作成されることが必要である。プロテーゼを生物学的適合性の分散と接触させる前に、e−PTFE表面がグロー放電プラズマ放電蒸着により親水性を強める変成をされるのが好ましい。チューブ状プロテーゼは、力をかけて分散と接触されて含浸し、プロテーゼの壁を通る分散の導腔を超える流れを行うことができ、それによりほぼ隙間のボイドを満たす。次にプロテーゼは約pH7.4で緩衝剤を加えた燐酸塩等の化学溶液で処理され、適所で生物学的適合性材料を不溶化する。いったんボイドに堆積した材料を架橋するため、選択的に次にホルムアルデヒド蒸気に晒すことができる。
【0016】
本発明を例示的な実施例で説明したが、本発明はこれに限らず、当業者は本発明の精神から離れずに、各種改良と構造変化を行うことができるので、ここに示した例に制限するものではないことが分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】壁10,11、節14、フィブリル15、ボイド12、不溶化した生物学的適合性、生物分解性材料13を有する埋め込み可能な拡張したPTFE部材1の一部を示す。
【図2】埋め込み可能なチューブ状プロテーゼ20に形成した図1の部材1を示す。
【図3】埋め込み可能な外科用メッシュ即ちパッチ30に形成した図1の部材1を示す。
【符号の説明】
【0018】
1・・PTFE部材
10,11・・壁
12・・ボイド
13・・生分解性材料
14・・節
15・・フィブリル
20・・チューブ状プロテーゼ
30・・パッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能プロテーゼにおいて、
フィブリルで相互接続された間隔をあけた節を有し、前記節と前記フィブリルの間に孔が有る構造を有する拡張したポリテトラフルオロエチレンの本体と、
前記孔に含まれる天然原料からなる生物分解性組成とを備え、
前記生物分解性組成が、温度とpHの選択した条件で、沈殿を形成して前記孔をほぼ満たし、細胞を付着するための不溶性の基体の部分を形成することを特徴とするプロテーゼ。
【請求項2】
請求項1に記載した埋め込み可能プロテーゼであって、
前記生物分解性組成が、細胞外マトリックス蛋白質又はゼラチンを含むことを特徴とするプロテーゼ。
【請求項3】
請求項2に記載した埋め込み可能プロテーゼであって、
前記組成が、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ゼラチン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、再構成した基部膜マトリックスとそれらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項4】
請求項2に記載した埋め込み可能プロテーゼであって、
前記細胞外マトリックス蛋白質が、コラーゲンを備えることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項5】
請求項2に記載した埋め込み可能プロテーゼであって、
前記組成が、緩衝材を加えた燐酸塩を含むことを特徴とするプロテーゼ。
【請求項6】
請求項5に記載した埋め込み可能プロテーゼであって、
前記緩衝材を加えた燐酸塩は、約pH7.4に保持されることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項7】
節と、節間の空間と、前記節を相互接続するフィブリルとを含む微孔性の壁構造を有する拡張したポリテトラフルオロエチレン(e−PTFE)チューブ状プロテーゼであって、前記節間の空間が、固体不溶性、生物学的適合性材料で含浸されたチューブ状プロテーゼを作成する方法において、
酸性pHで、コラーゲン、ゼラチン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、再構成した基部膜マトリックス、及びそれらの混合物からなる群から選択された細胞外マトリックス蛋白質を含む可溶の生物学的適合性、生物分解性材料の分散又は溶液を作成し、
前記節間の空間を前記可溶の生物学的適合性材料で含浸させるため、前記プロテーゼを前記分散又は溶液と接触させ、
前記分散又は溶液のpHを大きくして、前記可溶の生物学的適合性、生物分解性材料を沈殿させて不溶性の状態にし、前記節間の空間が、前記不溶の生物学的適合性、生物分解性材料でほぼ満たされるようにするステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載した方法であって、
固体不溶性、生物学的適合性、生物分解性材料を形成するため、前記沈殿は緩衝剤を加えた燐酸塩溶液で処理することで行われることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載した方法であって、
前記固体不溶性、生物学的適合性、生物分解性材料は、アルデヒド蒸気に晒すことで架橋されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7に記載した方法であって、
前記e−PTFE構造は、水溶性ポリマーの溶液に浸漬することにより親水性にされることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載した方法であって、
前記水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される、酸素含有炭化水素であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載した方法であって、
前記水溶性ポリマーは、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン、ポリエチレンアミンからなる群から選択される、窒素含有ポリマーであることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項7に記載した方法であって、
前記プロテーゼを滅菌溶液でリンスするステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載した方法であって、
前記リンスするステップは、酸化エチレン溶液で処理することを含むことを特徴とする方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能プロテーゼにおいて、
フィブリルで相互接続された間隔をあけた節を有し、前記節と前記フィブリルの間に孔が有る構造を有する拡張したポリテトラフルオロエチレンの本体と、
前記孔に含まれる天然原料からなる生物分解性組成とを備え、
前記生物分解性組成が、温度とpHの選択した条件で、沈殿を形成して前記孔をほぼ満たし、細胞を付着するための不溶性の基体の部分を形成することを特徴とするプロテーゼ。
【請求項2】
請求項1に記載した埋め込み可能プロテーゼであって、
前記生物分解性組成が、細胞外マトリックス蛋白質又はゼラチンを含むことを特徴とするプロテーゼ。
【請求項3】
請求項2に記載した埋め込み可能プロテーゼであって、
前記組成が、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、ゼラチン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、再構成した基部膜マトリックスとそれらの誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項4】
請求項2に記載した埋め込み可能プロテーゼであって、
前記細胞外マトリックス蛋白質が、コラーゲンを備えることを特徴とするプロテーゼ。
【請求項5】
請求項2に記載した埋め込み可能プロテーゼであって、
前記組成が、緩衝材を加えた燐酸塩を含むことを特徴とするプロテーゼ。
【請求項6】
請求項5に記載した埋め込み可能プロテーゼであって、
前記緩衝材を加えた燐酸塩は、約pH7.4に保持されることを特徴とするプロテーゼ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−102533(P2006−102533A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−572(P2006−572)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【分割の表示】特願2003−356680(P2003−356680)の分割
【原出願日】平成7年8月11日(1995.8.11)
【出願人】(594197377)ミードックス メディカルズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】