説明

ポリヌクレオチドプライマー

下記プライマー配列の一つの少なくとも最後の6ヌクレオチド、又はこれと相補的な配列を含むことを特徴とするポリヌクレオチドプライマー:
配列番号1〜18、21〜45又は74〜77。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含むキット及び遺伝子における変異の存在又は不存在を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上皮細胞成長因子(Epidermal Growth Factor)(EGF)及びその対応するレセプター(EGFR)は、多くの種類の細胞の増殖を調節する役割を果たす。EGFRの変異は、制御されていない細胞増殖及び腫瘍増殖に関係している。
【0003】
腫瘍マーカーとして可能性をもつ核酸の変化についての多くの例があるが、癌診断、ステージング(staging)又はスクリーニングにおける臨床ツール(clinical tool)としてのそれらの価値が示され、かつ二つの重要な条件が満たされなければならない。第一に、適当な収率及び質の核酸が、臨床材料から抽出されなければならない;第二に、頑強でありかつ正確な分析方法が要求される。疾患のステージングにおいて有用となりうる信頼できる腫瘍のジェノタイピング(genotyping)のため、全ての試験は十分確認されていなければならず、現在の方法以上の利益を示すことができなければならない。
【0004】
肺癌及びそのゲフィニチブ(gefinitib)(アストラゼネカ(AstraZeneca)のイレッサ(IRESSA))に対する応答と、オンコジーンである、EGFRにおける変異との関連を検討している多数の研究がある。しかしながら、スペクトル(有効範囲)と、報告されているEGFR変異の頻度に差がある。一つの重大な問題は、可能性のある変異が広範であるためEGFR遺伝子のキナーゼドメインのヌクレオチドの配列決定が、切除された腫瘍について試みられるということである。このアプローチの利用は、多数の要因、主として下記により制限される:
1.バイオプシーサンプルの全てが腫瘍とは限らない
2.全ての腫瘍が変異を伴うとは限らない
【0005】
例えば、検体のうち10%程度が腫瘍であり、残りは辺縁の非腫瘍細胞であるかもしれない。腫瘍は、それらの遺伝子構造において異質であることはよく知られ、腫瘍細胞の10%ほどには、いくつかの特定の遺伝的な変化が含まれるであろう。したがって、全体で遺伝子分析の腫瘍サンプルの1%ほどには、対象の特定のバリエーションが含まれるであろう。
【0006】
配列決定の検出限界は、15〜25%程度である;即ち、配列決定により希少な対立遺伝子(rarer allele)が4分の1から6分の1よりも悪くないレベルで検出されうる。上述したように、一定の腫瘍サンプルにおける変異の割合は、そのようなレベルよりも有意に低いことがある。現在のアプローチでは、ある程度のサンプル濃縮を行うことが必要とされる、即ちパラフィン包埋した腫瘍切片から腫瘍材料を選択的に切除する試みがなされる。これは、費用がかかり、時間を消費し、感度に欠ける。
【0007】
本願において、本発明者らは、例えば、特許文献1に開示されているようなARMS(amplification refractory mutation system)法に基づきEGFR変異を検出するための新規診断方法を発明した。4つのEGFR点変異体及び4つの欠失について確認されるテストが開発されており、そのテストは患者からの腫瘍における変異の発生率の検討に利用されている。ARMS技術は、特定の配列の変異体を別の配列のバックグラウンドにおいて選択的に増幅することができる。
【0008】
ARMS法は、簡単かつ正確な方法であり、これには他のPCRベースの変異検出システムを超える利点がいくつかある。具体的に、前記技術では、放射性同位元素の使用も固定化されたPCR単位複製配列の多重プロービングもPCR単位複製配列のクローニングも必要とされない。
【0009】
ARMS法では、1本鎖高次構造多型産物のDNA配列決定、即ち上述したような配列の代表不足によって制約されうると予想されうる処置が必要とされない。同様に、標本として不十分である変異配列は、PCRを制限断片長多型と組み合わせて用いる場合には偽陽性の結果をなくすためPCRについては低サイクル数に制限されるので、検出されないであろう。したがって、先に産生した単位複製配列においては、PCRを再び続けると、持ち越し汚染(carry over contamination)が引き起こされる可能性がある。ARMS法では、高いPCRサイクル数を用いることができ、かつ非常に高い検出感度で結果を生じるので、持ち越し汚染がない条件下で行うことができる
【特許文献1】欧州特許出願公開第0332435号(EP-A-0332435)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、大まかに言えば、本発明は、ARMS法を用いて癌、特に肺癌におけるEGFR変異を検出するための診断方法に関する。本発明はまた、前記方法において使用するのに適した変異特異的なプライマー及びこれらのプライマーを含む診断キットに関する。
【0011】
本発明の一つの視点によれば、下記プライマー配列の一つの少なくとも最後の6ヌクレオチド、又はこれと相補的な配列を含むことに特徴を有するポリヌクレオチドが提供される:
配列番号1〜18、21〜45又は74〜77。
「最後の6ヌクレオチド(final six nucleotides)」は、ポリヌクレオチドの3’末端の6つのヌクレオチドを意味する。
【0012】
好都合なことには、前記ポリヌクレオチドは、100ヌクレオチド長よりも小さい、好ましくは80ヌクレオチド長よりも小さい、より好ましくは60ヌクレオチド長よりも小さい、更に好ましくは40ヌクレオチド長よりも小さい、更に好ましくは30ヌクレオチド長よりも小さい。
【0013】
好ましくは、前記ポリヌクレオチドは、下記プライマー配列の一つの最後の8、10、12、14、16、17、18又は20ヌクレオチド、又はその全部の少なくとも75%、より好ましくは100%、又はこれと相補的な配列を含む:
配列番号1〜18、21〜45又は74〜77。
【0014】
有利には、前記ポリヌクレオチドは、更に、消光基(quencher group)及び蛍光基(fluorophore group)を含む。「蛍光基(fluorophore group)」は、第一の波長の光を吸収し、これに対して第二の波長の光を発することができる基である。「消光基(quencher group)」は、蛍光基の十分近傍にあるときに、その蛍光基からの発光を防ぐ、又は「消す(quenching)」ことができる基である。典型的には、ある特定の消光基は、ある一定の蛍光基に関してのみ作用するであろう。
【0015】
好都合なことには、前記消光基と前記蛍光基とは、第一及び第二領域を含むヌクレオチド尾部配列によって隔てられ、前記第一領域のヌクレオチドは、前記第二領域のヌクレオチドと相補的であるが前記第二領域のヌクレオチドとは逆向きの配列であり、前記第一領域の前記第二領域へのハイブリダイゼーションによって前記消光基は、前記蛍光基を消光できる前記蛍光基の十分近くにあるようになされる。
【0016】
好ましくは、前記尾部配列は、更にEGFR遺伝子の領域に相補的な配列を有する第三の領域を含む。
【0017】
有利には、前記ポリヌクレオチドは、配列番号3又は10の少なくとも最後の6ヌクレオチドを含み、前記尾部配列が、配列番号19を含む。
【0018】
これに代えて、前記ポリヌクレオチドは、配列番号6又は12の少なくとも最後の6ヌクレオチドを含み、前記尾部配列が、配列番号20を含む。
【0019】
これに代えて、前記ポリヌクレオチドは、少なくとも配列番号76の最後の6ヌクレオチドを含み、前記尾部配列が、配列番号77を含む。
【0020】
好都合なことには、前記消光基は、ブラックホールクエンチャー1(Black Hole Quencher 1)(BHQ1)を含み、前記蛍光基は、FAMを含む。
【0021】
これに代えて、前記消光基は、ブラックホールクエンチャー2(Black Hole Quencher 2)(BHQ2)を含み、前記蛍光基は、Cal Redを含む。
【0022】
好ましくは、前記プライマー配列と前記尾部配列との間にブロッキング成分(blocking moiety)を設けて、前記尾部配列のポリメラーゼ媒介の鎖伸長(polymerase mediated chain extension)を防止する。好ましいブロッキング成分は、ヘキサエチレングリコール(hexethylene glycol)(HEG)モノマーである。
【0023】
本発明の別の視点によれば、少なくとも一組のポリヌクレオチドを含むキットであって、前記一組のポリヌクレオチドは、下記組のプライマー配列の一つの最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5のそれぞれ、又はこれと相補的な配列を含むことに特徴を有するキットが提供される:
配列番号1と配列番号15、又は配列番号2と配列番号15、又は配列番号3と配列番号15、又は配列番号4と配列番号15、又は配列番号5と配列番号15、又は配列番号6と配列番号16、又は配列番号7と配列番号17、又は配列番号8と配列番号18、又は配列番号9と配列番号18、又は配列番号10と配列番号15、又は配列番号11と配列番号15、又は配列番号12と配列番号16、又は配列番号13と配列番号17、又は配列番号14と配列番号18、又は配列番号21と配列番号15、又は配列番号22と配列番号24、又は配列番号23と配列番号24、又は配列番号25と配列番号41、又は配列番号26と配列番号41、又は配列番号27と配列番号41、又は配列番号28と配列番号41、又は配列番号29と配列番号42、又は配列番号30と配列番号43、又は配列番号31と配列番号44、又は配列番号32と配列番号44、又は配列番号33と配列番号41、又は配列番号34と配列番号45、又は配列番号35と配列番号41、又は配列番号36と配列番号41、又は配列番号37と配列番号42、又は配列番号38と配列番号43、又は配列番号39と配列番号44、又は配列番号40と配列番号45、又は配列番号74と配列番号76、又は配列番号75と配列番号76。例えば、前記一組のポリヌクレオチドは、配列番号1の最後の6ヌクレオチドからなる第一のポリヌクレオチド及び配列番号15の最後の6ヌクレオチドからなる第二のポリヌクレオチドを含む。
【0024】
本発明の更なる視点によれば、少なくとも三つのポリヌクレオチドのセットを含むキットであって、前記三つのポリヌクレオチドのセットは、下記三つのプライマー配列のセットの一つの最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5のそれぞれ、又はこれと相補的な配列を含むことに特徴を有するキットが提供される:
配列番号1と配列番号10と配列番号15、又は配列番号2と配列番号10と配列番号15、又は配列番号3と配列番号10と配列番号15、又は配列番号4と配列番号11と配列番号15、又は配列番号5と配列番号11と配列番号15、又は配列番号6と配列番号12と配列番号16、又は配列番号7と配列番号13と配列番号17、又は配列番号8と配列番号14と配列番号18、又は配列番号9と配列番号14と配列番号18、又は配列番号21と配列番号10と配列番号15、又は配列番号22と配列番号23と配列番号24、又は配列番号25と配列番号35と配列番号41、又は配列番号26と配列番号35と配列番号41、又は配列番号27と配列番号36と配列番号41、又は配列番号28と配列番号36と配列番号41、又は配列番号29と配列番号32と配列番号42、又は配列番号30と配列番号38と配列番号43、又は配列番号31と配列番号39と配列番号44、又は配列番号32と配列番号39と配列番号44、又は配列番号33と配列番号35と配列番号41、又は配列番号34と配列番号40と配列番号45、又は配列番号74と配列番号75と配列番号76。例えば、前記三つのポリヌクレオチドのセットは、配列番号1の最後の6ヌクレオチドからなる第一のポリヌクレオチド、配列番号10の最後の6ヌクレオチドからなる第二のポリヌクレオチド及び配列番号15の最後の6ヌクレオチドからなる第三のポリヌクレオチドを含む。
【0025】
好都合なことには、前記キット中のポリヌクレオチドは、前記したのと同様である。
【0026】
好ましくは、前記キットは、更に、ヌクレオチド三リン酸、重合酵素及び/又はバッファ溶液を含む。
【0027】
本発明の別の視点によれば、少なくともEGFR遺伝子のフラグメントを含む核酸サンプルにおける変異を検出するための、前記したポリヌクレオチド或いは前記したキット;又は配列番号1〜18、21〜45若しくは74〜77の最後の6ヌクレオチドの4又は5、又はこれと相補的な配列を含むことに特徴を有するポリヌクレオチドの使用が提供される。
【0028】
有利には、前記核酸サンプル中のEGFR遺伝子のフラグメントは、少なくとも10ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも20ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも30ヌクレオチド長、更に好ましくは少なくとも40ヌクレオチド長である。
【0029】
本発明の更なる視点によれば、下記工程を含むことに特徴を有するEGFR遺伝子における変異の存在又は不存在を検出する方法が提供される:
a)少なくともEGFR遺伝子のフラグメントを含む核酸サンプルを、前記EGFR遺伝子のフラグメントの1つの領域と相補的なポリヌクレオチドと混合する工程;及び
b)変異の存在又は不存在を示す前記ポリヌクレオチドの前記核酸サンプルへのハイブリダイゼーションを検出し、ハイブリダイゼーションによって変異の存在又は不存在が示される工程。
【0030】
有利には、前記ポリヌクレオチドは、前記したポリヌクレオチドであり、かつ配列番号1〜9、21、22、25〜34若しくは75の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5、又はこれと相補的な配列を含み、そして工程b)は変異の存在を示す。
【0031】
好ましくは、前記ポリヌクレオチドは、前記したポリヌクレオチドであり、配列番号10〜14、23、35〜40若しくは74の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5、又はこれと相補的な配列を含み;そして工程b)は変異の不存在を示す。
【0032】
好都合なことには、前記方法は、更に、工程a)より前に、熱サイクリング核酸増幅(thermal cycling nucleic acid amplification)、好ましくはPCRを用いてEGFR遺伝子のコピー数を増幅する工程を含む。
【0033】
好ましくは、工程b)は、前記ポリヌクレオチドを第一のプライマーとして用いてDNA重合を行うこと及び重合の伸長産物を検出することを含む。
【0034】
有利には、工程b)は、前記核酸サンプル及びポリヌクレオチドを、当該ポリヌクレオチドが相補的である領域の下流のEGFR配列のフラグメントの領域に対応する第二のプライマーと混合する工程並びに前記混合物についてPCRを行う工程を含む。
【0035】
好都合なことには、前記第二のプライマーは:
配列番号15を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号1〜5、10、11若しくは21の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号16を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号6若しくは12の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号17を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号7若しくは13の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号18を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号8、9若しくは14の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号24を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号22若しくは23の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号41を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号25〜28、33、35若しくは36の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号42を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号29若しくは37の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号43を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号30〜38の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号44を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号31、32若しくは39の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号45を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号34若しくは40の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;或いは
配列番号76を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号74若しくは75の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含む。
【0036】
好ましくは、工程a)は、核酸サンプルを、変異特異的なポリヌクレオチドと野生型特異的なポリヌクレオチドとのペアと混合する工程を含み、前記ペアは、下記配列の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5の中から選択される:
配列番号1と配列番号10、又は配列番号2と配列番号10、又は配列番号3と配列番号10、又は配列番号4と配列番号11、又は配列番号5と配列番号11、又は配列番号6と配列番号12、又は配列番号7と配列番号13、又は配列番号8と配列番号14、又は配列番号9と配列番号14、又は配列番号21と配列番号10、又は配列番号22と配列番号23、又は配列番号25と配列番号35、又は配列番号26と配列番号35、又は配列番号27と配列番号36、又は配列番号28と配列番号36、又は配列番号29と配列番号37、又は配列番号30と配列番号38、又は配列番号31と配列番号39、又は配列番号32と配列番号39、又は配列番号33と配列番号35、又は配列番号34と配列番号40、又は配列番号74と配列番号75。
【0037】
有利には、前記核酸サンプルは、野生型の配列と変異した配列を含み、前記方法は、更に、前記野生型の配列を所定量まで増幅するのに必要とされる増幅サイクル数を、前記変異した配列を所定量まで増幅するのに必要とされる増幅サイクル数と比較し、それによってサンプル中の野生型の配列と変異した配列の比を示す工程c)を含む。
【0038】
好都合なことには、前記核酸サンプルは、腫瘍組織の一部及び非腫瘍組織の一部を含み、工程c)は、更に、サンプル中の非腫瘍組織に対する腫瘍組織の比を決定する工程を含む。
【0039】
好ましくは、前記方法は、更に、工程a)より前に、前記核酸サンプルを濃縮してサンプル中の非腫瘍組織に対する腫瘍組織の比を増加させる工程を含む。
【0040】
好ましくは、工程b)は、EGFR遺伝子の少なくとも一部の増幅が起こるかどうかを検出することを含む。
【0041】
有利には、前記ポリヌクレオチドは、消光基及び蛍光基を含み、工程b)は、混合物に対して、蛍光体が消光基の不存在の際に応答する波長の光を当てること及び消光基の不存在の際に蛍光基によって発せられる波長の光を検出することを含む。
【0042】
本明細書において、参照配列の「最後の6ヌクレオチド(at four or five of the final six sequences)の少なくとも4又は5」について言及している場合には、これは、参照配列の6つのヌクレオチドのうち1つ又は2つのヌクレオチドが欠落しているか又は異なるヌクレオチドと置換されていてもよいという意味である。当然、いくつかの形態では、配列は、前記参照配列の6つのヌクレオチド全てを含む。
【0043】
本発明の好ましい形態では、「EGFR」についての言及は、2006年3月30日付ヒト染色体7(Homo sapiens chromosome 7)、領域55054219..55242525で受入番号NC_000007として入手できるヒトEGFR遺伝子についてなされうる。いくつかの他の形態では、言及は、2005年3月4日付のものについてなされうる。配列は、両方とも参照により本願に組み入れられる。いくつかの形態では、前記EGFR遺伝子は、これらの配列と同一ではないが、それらの配列のいずれか又は両方と少なくとも90%同一である。
【0044】
本明細書において、参照ポリヌクレオチドと比較したポリヌクレオチドの割合が言及されるが、これは公知のアルゴリズムによって測定されうる。
【0045】
例えば、二つの配列間における同一性の割合を、既定パラメータを用いるBLASTPアルゴリズム バージョン2.2.2(Altschul、Stephen F.、Thomas L. Madden、Alejandro A. Schaeffer、Jinghui Zhang、Zheng Zhang、Webb Miller、及びDavid J. Lipman(1997)、「Gapped BLAST及びPSI−BLAST:新世代の蛋白質データベース検索プログラム(Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs)」、Nucleic Acids Res.25:3389−3402))を用いて測定することができる。
【詳細な説明】
【0046】
ここで、本発明がより容易に理解され、その結果その更なる特徴が理解されるように、本発明の実施形態が、実施例により、添付した図を参照して記載される。
【0047】
大まかに言えば、本発明は、癌におけるEGFR変異の検出の診断方法であって、核酸のテストサンプルをEGFR変異の診断用プライマーと適当なヌクレオチド三リン酸及び重合剤の存在下において、EGFR変異体が前記サンプル中に存在するときにのみ前記診断用プライマーが有効に伸長されるように、接触させること;並びに診断用プライマーの伸長産物の存在又は不存在を基準にしてEGFR変異体の存在又は不存在を検出することを含む方法を提供する。
【0048】
本願には、本発明の方法において使用することができるプライマー(配列番号1〜9、21、22、及び75)が開示されている。
【0049】
診断用プライマーのそれぞれによって、下記EGFR変異体の一つの存在又は不存在が検出される:
1)del E746−A750(二つの異なる変異体が存在)
2)del L747−T751 insS
3)del L747−P753 insS
4)del S752−I759
5)Exon 21 L858R
6)Exon 21 L861Q
7)Exon 18 G719C
8)Exon 18 G719S
9)Exon 20 T790M
【0050】
変異体1)〜8)は、個体のゲフィニチブに対する感受性を与えるのに対して、変異体9)は、ゲフィニチブに対する抵抗性を与える。
【0051】
いくつかの形態において、逆DNA鎖(opposite DNA strand)に対応する変異体に特異的な診断用プライマーが使用される(配列番号25〜34)。
【0052】
前記核酸のテストサンプルは、簡便には、血液、糞便、痰、結腸洗浄(colonic lavage)、気管支洗浄(bronchial lavage)又はその他の体液、或いは個体から得られる組織のサンプルである。前記個体は、簡便には、ヒト、好ましくは学術的なヒト(Homo sapiens)である。前記テストサンプルは、そのテストサンプルにおける配列に対応する核酸配列と同等であってもよいと理解されるであろう。即ち、核酸サンプルにおける領域の全部又は一部は、本発明の方法において使用される前に、先ず、PCRや全ゲノム増幅法(whole genome amplification)(WGA)等のいくつかの簡便な技術を用いて増幅されてもよい。
【0053】
DNAポリメラーゼが正常鋳型(テンプレート)配列と変異鋳型配列とを識別する能力にある程度までは影響を与えないという条件で、重合のためいくつかの適切な酵素が使用されてもよい。適切な酵素の例には、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を全く有しない熱安定性の酵素、例えば、TaqDNAポリメラーゼ、特に「Ampli Taq Gold」(登録商標)DNAポリメラーゼ(PE Applied Biosystems)、Stoffelフラグメント、又はその他のTaq若しくはTth(高度好熱菌(Thermus thermophilus))DNAポリメラーゼの適当にN末端除去した修飾体(appropriately N-terminal deleted modification)が含まれる。
【0054】
本書において、特定の変異体を確実に、かつ頑強に検出するため示されている上記EGFR点変異体のためのプライマーが開示されている。したがって、本発明の更なる視点では、本発明者らは、配列番号1〜9、21、22、25〜34又は75及びその誘導体を含み、3’末端で6〜8のヌクレオチドが前記配列と同一であり、8、6、4、2、1まで等、10までの残りのヌクレオチドが、診断用プライマーの特性に著しく影響を与えることなしに任意に変更される診断用プライマーを提供する。好都合なことには、前記診断用プライマーの配列は、ちょうど配列番号1〜9、21、22、25〜34又は75の何れかで示されるようなものである。
【0055】
上記した診断方法の代わりのバージョンは、前記診断用プライマーの伸長によってEGFR変異体の非存在が示されるように構成されると理解されるであろう。例えば、特定の形態では、前記プライマーは、配列番号10〜14、23又は74の何れかの3’末端から6〜8ヌクレオチドを含む。いくつかの形態では、相補DNA鎖の対応する切片を示す野生型配列に特異的なプライマーが使用される(配列番号35〜40)。
【0056】
多くの形態では、1以上のサイクルのPCR増幅において本発明の診断用プライマーを更に増幅プライマーと併用することが適切である。この視点の適切な例が、欧州特許出願公開第0332435号(EP-A-0332435)に記載されている。更なる増幅プライマーは、順方向共通プライマー又は逆方向共通プライマーである。そのような共通プライマーの例は、相補鎖用プライマーと併用されうる配列番号15〜18、24及び76、並びに配列番号41〜45である。
【0057】
任意の適切なコントロールプライマー対が使用されてもよい。ゲノムの無関係の領域からのコントロールプライマー、即ちヒトアルブミン遺伝子の一部が本願において使用される。
【0058】
先に概説した本発明の診断方法は、いくつかの形態において1以上の反応容器中で簡便に実施される。1を超える診断用変異体が測定されうる場合には、前記診断用プライマー(及び対応する増幅プライマー)は、個々の管、即ちある一定の形態では変異体毎に一つの管に供給される。これに代えて、これらの反応液は、複合化される、即ち他の形態では全ての診断用プライマー及び増幅プライマーが一つの管の中にある(欧州特許出願公開第0332435号参照)。
【0059】
各種の方法は、診断用プライマー伸長産物及び/又は増幅産物の存在或いは不存在を検出するために使用されてもよい。これらは、核酸検出処理の技術分野において通常の知識を有する者に明確に理解できるであろう。好ましい方法は、放射標識試薬を必要としない。特定の検出方法は、例えば米国特許第5487972号及び米国特許第5210015号;Scorpions(国際公開第99/066071号(WO-A-99/066071))に記載されたような、特定の診断用プライマーは、ゲノムの同一の領域から多数の変異体の標的を検出することを可能にするとき、特定のディテクター蛍光体(detector fluorophore)に結合されうるため、特定の利点がある「TaqMan」(登録商標)産物の検出を含む。
【0060】
好都合なことには、サンプル中の変異体(又は複数の変異体)の定量を可能にするリアルタイム検出が用いられる。より具体的には、野生型の配列に特異的なプライマーを用いて所定のレベルまでDNAサンプルを増幅するのに必要とされるサイクル数が、変異体の配列に特異的なプライマーを用いて必要とされるサイクル数と比較される。この比較を使用して、更に標準化された割合の変異体の標的を含むコントロールの増幅物を基準として、野生型DNAの量に対する変異体を含むサンプル中のDNAの量の比が定量される。当然、これは与えられているサンプルとの関連を示すだけであり、サンプル中の腫瘍の提示が低いことを補償しない。このため、この定量対立遺伝子特異的アプローチ(quantitative allele specific approach)を、サンプル中の腫瘍のレベルを測定する方法と組み合わせることが好ましい。これに代えて、定量対立遺伝子特異的アプローチが、全サンプルから腫瘍材料を特異的に切除することによりサンプルを濃縮する方法と組み合わされる。
【0061】
いくつかの形態において、本発明の診断用プライマーは、本発明の方法について使用するための指示書及び適当な梱包材料と共に適切に包装され、キットとして販売される。前記キットは、下記のうち1以上を含む:適当なヌクレオチド三リン酸、例えばdATP、dCTP、dGTP、dTTP、先に記載したようなポリメラーゼ、及びバッファ溶液。
【0062】
ここで、本発明を、下記の実施例を参照して、詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。
【0063】
材料及び方法
【0064】
合成テンプレートの構築
変異体のそれぞれを保有する確認された均一のゲノム材料がないので、合成テンプレートを構築することが必要であった。EGFR欠失テストのため、それぞれが約半分の目的単位複製配列を含む長い合成重複オリゴヌクレオチド(long synthetic overlapping oligonucleotide)を用いて合成テンプレートを構築した。これらの長いオリゴヌクレオチドの配列を表1に示す。
【0065】
表1

【0066】
標的を作成するため、二つの重複1/2単位複製配列を、等モル濃度で、ポリメラーゼ、バッファ及びdNTPsの存在下、混合した。その後プライマーミックスを添加し、50℃〜75℃まで1サイクル毎に1℃上昇させてそれぞれ1分間の25サイクルとしてインキュベーションした。PCR反応においてコントロールとして使用するため、合成テンプレートをゲノムDNA中に百万分の一希釈した。
【0067】
SNPテストのために、合成カセット(synthetic cassette)を、PCRを用いて作成して、必要とされる変異を二つのハーフカセット(half cassette)に組み入れた。その後ハーフカセットを、等モル濃度で混合し、必要とされるSNP標的変異体を含む完全長カセットの作成用テンプレートとして使用した。カセット作成用の特定のプライマー配列を、図2に示す。
【0068】
表2

【0069】
変異体特異的PCR(Variant Specific PCR)
各ARMS反応及びコントロール用の特定のプライマー配列を、表3及び4に示す。
【0070】
反応を、0.2ml容器中で行った(単一チューブ、条片(strip)又はプレート)。反応液(25μl)は、典型的に以下のものを含有していた:
・250nM 診断用プライマー
・250nM 逆方向プライマー
・250nM それぞれのコントロールプライマー(使用される場合)
・200μM 各dNTP
・10mM Tris−HCl(pH8.3)
・50mM KCl
・2.5〜4mM MgCl
【0071】
いくつかの反応を、硫酸アンモニウム、MgCl、並びにポリ(エチレングリコール)分子量8000、及び/又はデキストラン(分子量50,000)体積防除剤(volume excluder)の独自の混合物を含むQiagen Multiplex Reactionバッファの存在下で良好に行った;米国特許2004−0115712号を参照されたい。
【0072】
リアルタイム定量PCR(Real Time Quantitative PCR)のために、YO−PRO−1(モレキュラー・プローブ(Molecular Probes))を、1μMの最終濃度で含有させた。この色素は、二本鎖DNAに結合し、高効率で蛍光を発し、その結果、この色素によって、反応においてPCR産物の大まかな検出が可能となる。これに代えて、より好ましくは、発明者らは、標的単位複製配列を特異的に検出することを可能にするScorpions(プライマーと蛍光プローブを結合させる分子)を用いた。
【0073】
表3

【0074】
表4

【0075】
PCRを、下記条件を用いてリアルタイムPCRサイクル(ストラタジーン(Stratagene)製のMx4000及びMx3000P)で行った:
ホットスタート用酵素(hot-start emzyme)を活性化させるため95℃10〜15分間、次いで95℃、60秒、65℃、60秒−欠失テスト50サイクルまで。
SNPテストのため、アニーリング/伸長ステップを、60℃、60秒間に変更した。
【0076】
抽出したDNAの測定
各腫瘍サンプルから抽出したDNAの量を、コントロール部位(control locus)のリアルタイム増幅によって測定した。この反応の標準曲線を、既知濃度の株化細胞(ECACC、ウィルトシア、UK)から抽出した高品質DNAを用いて作成した。
【0077】
コントロール及び陽性サンプルの配列決定
エクソン特異的プライマーから生成した単位複製配列について、配列決定を、big−dyeターミネーターを用いて標準サイクル配列決定(standard cycle sequencing)によって行った。反応液を、ABIキャピラリー配列決定装置を用いてメーカーの指示書に従って分離した。
【0078】
結果及び考察
【0079】
ARMS試験の改良及び変更
欠失及びSNPのそれぞれに特異的なARMS試験を、下記に対してテストした:
1.「正常」ゲノムDNA(gDNA)
2.ミスマッチ合成標的
3.バッファで希釈した合成標的
4.gDNAで希釈した合成標的(腫瘍の状態を模倣するため)
5.テンプレートなし(テンプレートの代わりに水)
【0080】
反応液に、蛍光DNA結合色素YO−PRO−1を含有させ、これを、リアルタイムでモニターした。そのような反応液において、ベースライン上に増幅が現れる点(Ctとして知られている)は、標的の量の指標である。
【0081】
同一の変異体に特異的であるが相補DNA鎖の一つであるプライマーも開発されており、これらを、表5及び6に示す。
【0082】
表5

【0083】
表6

【実施例】
【0084】
実施例1
変異特異的プライマーEGFR Del 12を、適正合成標的(matched synthetic target)及び三つのミスマッチ変異合成標的(mismatched mutant synthetic target)(del 15(1)、del 18及びdel 24)についてテストし、加えて、正常DNA及び水コントロールをテストした。それらの結果を、図1に示す。
【0085】
この反応においてプライマーは、独自の標的に対する絶対的な特異性を示し、そのプライマーによって野生型配列もその遺伝子領域で見出される如何なる他の欠失変異体も検出されないということは明らかである。
【0086】
実施例2 腫瘍サンプルへのARMS試験の使用
非小細胞肺癌(Non-Small Cell Lung Cancer)及び株化細胞からの42のDNAサンプルを、変異特異的プライマー配列1〜9のそれぞれを用いて分析した。腫瘍DNAは、スライド上のパラフィン包理組織から採取した。
【0087】
多数のサンプルは、この方法を用いて陽性であることが分かった:L858R SNPについて9つ及び15の塩基対欠失del 746−A750について1つ。
【0088】
推定変異の周辺領域について、確認的な配列決定を行った。
【0089】
図2は、del S752−I759特異的プライマーについてテストした8つのサンプル群の典型的な陰性の結果を示す。変異特異的プライマー(配列番号5)は増幅しないのでこれらのサンプル中にこの変異体が存在しないことを示すが、野生型の特異的反応は遂行するということは明らかである。
【0090】
図3は、8つの陽性サンプルのL858R分析を示す。それぞれの場合において、変異プライマー(配列番号6)を用いる反応は、野生型の反応と同様、陽性であった。変異の反応は対応する野生型の反応よりも遅い数サイクルで生じるという事実によって、変異体がサンプルにおいて大部分の配列ではないということが示される。
【0091】
図4は、このサンプルからの同一のエクソンの配列決定と組み合わせた対立遺伝子特異的PCR分析のより詳細な分析を示す。このサンプルにおいて、配列決定アプローチによっては、ARMSアプローチにより明らかに同定される変異体を検出できないであろう(丸で囲んだ部分にはピークは全く認められない)。
【0092】
図5は、このサンプルからの同一のエクソンの配列決定と組み合わせた対立遺伝子特異的PCR分析のより詳細な分析を示す。このサンプルにおいて、配列決定アプローチよって、ARMSアプローチにより明らかに同定される変異体を検出することができた(丸で囲んだ部分に、かなり弱いピークが認められる)。分析が図4において示されているサンプルにおいて、変異が比較的に、より蔓延していることを示したので、このサンプルにおいて、野生型の特異的反応と変異の特異的反応との差(ΔCt)は、より小さかった。
【0093】
実施例3
図6は、T790M変異を有するDNAを含むサンプル、及びT790M変異を有しないDNAを含むサンプルのPCR増幅の結果を示す。T790M変異を有するDNAを0%、1%、10%、50%又は100%含む5つのサンプルを用意した。サンプルを、配列番号75の変異プライマー及び配列番号76及び77のリバースScorpionプライマーを用いて増幅した。結果として、変異を有するDNAを全く含まないサンプルは全く増幅を示さなかったことから、変異プライマーはT780M変異を有するDNAに特異的であったということが示される。更に、検出は、過剰なミスマッチ標的の存在下であっても、Ct(閾サイクル(threshold cycle))は適正標的の相対量に直接関係するという点で定量的であることが示された。
【0094】
図7は、図6においてテスト・報告したサンプルについて行われたコントロールアッセイの結果を示す。PCR増幅を、コントロールプライマーを用いて行った。図7によって、各サンプルについての閾サイクルがこのコントロール増幅において同一であったことから、各サンプルは同一総量の標的を含むことが確認される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明のプライマー及びコントロールのプライマーの存在下においてサンプルについて行われたPCR増幅の結果を示す図である。
【図2】図2は、del S752−1759(配列番号5)に特異的なプライマー及び対応する野生型特異的なプライマーの存在下においてサンプルについて行われたPCR増幅の結果を示す図である。
【図3】図3は、L858R変異体(配列番号6)に特異的なプライマー及び対応する野生型特異的なプライマーの存在下においてサンプルについて行われたPCR増幅の結果を示す図である。
【図4】図4は、変異体に特異的なプライマー及び対応する野生型特異的なプライマーの存在下においてサンプルについて行われたPCR増幅の結果を示す図(上部)、並びにそのサンプルの配列決定の結果を示す図(下部)である。
【図5】図5は、変異体に特異的なプライマー及び対応する野生型特異的なプライマーの存在下においてサンプルについて行われたPCR増幅の結果を示す図(上部)、並びにそのサンプルの配列決定の結果を示す図(下部)である。
【図6】図6は、変異体に特異的なプライマーの存在下において、サンプルのセットについて行われたPCR増幅の結果を示す図である。
【図7】図7は、図6において示した結果について分析されたサンプルの、コントロールのプライマーを用いるPCR増幅の結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記プライマー配列の一つの少なくとも最後の6ヌクレオチド、又はこれと相補的な配列を含むことを特徴とするポリヌクレオチド:
配列番号1〜18、21〜45又は74〜77。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドは、100ヌクレオチド長よりも小さい、好ましくは80ヌクレオチド長よりも小さい、より好ましくは60ヌクレオチド長よりも小さい、更に好ましくは40ヌクレオチド長よりも小さい、更に好ましくは30ヌクレオチド長よりも小さい請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
下記プライマー配列の一つの最後の8、10、12、14、16、17、18又は20ヌクレオチド又はその全部の少なくとも75%、又はこれと相補的な配列を含む請求項1又は2に記載のポリヌクレオチド:
配列番号1〜18、21〜45又は74〜77。
【請求項4】
更に、消光基及び蛍光基を含む請求項1〜3の何れかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記消光基と前記蛍光基とは、第一及び第二領域を含むヌクレオチド尾部配列によって隔てられ、前記第一領域のヌクレオチドは、前記第二領域のヌクレオチドと相補的であるが前記第二領域のヌクレオチドとは逆向きの配列であり、前記第一領域の前記第二領域とのハイブリダイゼーションによって前記消光基は、前記蛍光基を消光できる前記蛍光基の十分近くにあるようになされる請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記尾部配列は、更にEGFR遺伝子の領域に相補的な配列を有する第三の領域を含む請求項5に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号3又は10の少なくとも最後の6ヌクレオチドを含み、前記尾部配列が、配列番号19を含む請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号6又は12の少なくとも最後の6ヌクレオチドを含み、前記尾部配列が、配列番号20を含む請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号76の最後の6ヌクレオチドを少なくとも含み、前記尾部配列が、配列番号77を含む請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記消光基は、ブラックホールクエンチャー1(BHQ1)を含み、前記蛍光基は、FAMを含む請求項4〜9の何れかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記消光基は、ブラックホールクエンチャー2(BHQ2)を含み、前記蛍光基は、Cal Redを含む請求項4〜9の何れかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
少なくとも一組のポリヌクレオチドを含むキットであって、前記一組のポリヌクレオチドは、下記組のプライマー配列の一つの最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5のそれぞれ、又はこれと相補的な配列を含むことを特徴とするキット:
配列番号1と配列番号15、又は配列番号2と配列番号15、又は配列番号3と配列番号15、又は配列番号4と配列番号15、又は配列番号5と配列番号15、又は配列番号6と配列番号16、又は配列番号7と配列番号17、又は配列番号8と配列番号18、又は配列番号9と配列番号18、又は配列番号10と配列番号15、又は配列番号11と配列番号15、又は配列番号12と配列番号16、又は配列番号13と配列番号17、又は配列番号14と配列番号18、又は配列番号21と配列番号15、又は配列番号22と配列番号24、又は配列番号23と配列番号24、又は配列番号25と配列番号41、又は配列番号26と配列番号41、又は配列番号27と配列番号41、又は配列番号28と配列番号41、又は配列番号29と配列番号42、又は配列番号30と配列番号43、又は配列番号31と配列番号44、又は配列番号32と配列番号44、又は配列番号33と配列番号41、又は配列番号34と配列番号45、又は配列番号35と配列番号41、又は配列番号36と配列番号41、又は配列番号37と配列番号42、又は配列番号38と配列番号43、又は配列番号39と配列番号44、又は配列番号40と配列番号45、又は配列番号74と配列番号76、又は配列番号75と配列番号76。
【請求項13】
前記一組のポリヌクレオチドは、請求項1〜11の何れかに記載のそれぞれのポリヌクレオチドからなる請求項12に記載のキット。
【請求項14】
少なくとも三つのポリヌクレオチドのセットを含むキットであって、前記三つのポリヌクレオチドのセットは、下記三つのプライマー配列のセットの一つの最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5のそれぞれ、又はこれと相補的な配列を含むことを特徴とするキット:
配列番号1と配列番号10と配列番号15、又は配列番号2と配列番号10と配列番号15、又は配列番号3と配列番号10と配列番号15、又は配列番号4と配列番号11と配列番号15、又は配列番号5と配列番号11と配列番号15、又は配列番号6と配列番号12と配列番号16、又は配列番号7と配列番号13と配列番号17、又は配列番号8と配列番号14と配列番号18、又は配列番号9と配列番号14と配列番号18、又は配列番号21と配列番号10と配列番号15、又は配列番号22と配列番号23と配列番号24、又は配列番号25と配列番号35と配列番号41、又は配列番号26と配列番号35と配列番号41、又は配列番号27と配列番号36と配列番号41、又は配列番号28と配列番号36と配列番号41、又は配列番号29と配列番号32と配列番号42、又は配列番号30と配列番号38と配列番号43、又は配列番号31と配列番号39と配列番号44、又は配列番号32と配列番号39と配列番号44、又は配列番号33と配列番号35と配列番号41、又は配列番号34と配列番号40と配列番号45、又は配列番号74と配列番号75と配列番号76。
【請求項15】
前記三つのポリヌクレオチドのセットは、請求項1〜11の何れかに記載のそれぞれのポリヌクレオチドからなる請求項14に記載のキット。
【請求項16】
更に、ヌクレオチド三リン酸、重合酵素及び/又はバッファ溶液を含む請求項12〜15の何れかに記載のキット。
【請求項17】
少なくともEGFR遺伝子のフラグメントを含む核酸サンプルにおける変異を検出するための、請求項1〜11の何れかに記載のポリヌクレオチド或いは請求項12〜15の何れかに記載のキット;又は配列番号1〜18、21〜45若しくは74〜77の最後の6ヌクレオチドの4又は5、又はこれと相補的な配列を含むポリヌクレオチドの使用。
【請求項18】
前記核酸サンプル中のEGFR遺伝子のフラグメントは、少なくとも10ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも20ヌクレオチド長、より好ましくは少なくとも30ヌクレオチド長、更に好ましくは少なくとも40ヌクレオチド長である請求項17に記載の使用。
【請求項19】
下記工程を含むことを特徴とするEGFR遺伝子における変異の存在又は不存在を検出する方法:
a)少なくともEGFR遺伝子のフラグメントを含む核酸サンプルを、前記EGFR遺伝子のフラグメントの1つの領域と相補的なポリヌクレオチドと混合する工程;及び
b)前記ポリヌクレオチドの前記核酸サンプルとのハイブリダイゼーションを検出し、ハイブリダイゼーションによって変異の存在又は不存在が示される工程。
【請求項20】
前記ポリヌクレオチドは、請求項1〜10の何れかに記載のポリヌクレオチドであり、かつ配列番号1〜9、21、22、25〜34若しくは75の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5、又はこれと相補的な配列を含み、そして工程b)は変異の存在を示す請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリヌクレオチドは、請求項1〜10の何れかに記載のポリヌクレオチドであり、配列番号10〜14、23、35〜40若しくは74の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5、又はこれと相補的な配列を含み;そして工程b)は変異の不存在を示す請求項19に記載の方法。
【請求項22】
更に、工程a)より前に、熱サイクリング核酸増幅、好ましくはPCRを用いてEGFR遺伝子のコピー数を増幅する工程を含む請求項19〜21の何れかに記載の方法。
【請求項23】
工程b)は、前記ポリヌクレオチドを第一のプライマーとして用いてDNA重合を行うこと、及び重合の伸長産物を検出することを含む請求項19〜22の何れかに記載の方法。
【請求項24】
工程b)は、前記核酸サンプル及びポリヌクレオチドを、当該ポリヌクレオチドが相補的である領域の下流のEGFR配列のフラグメントの領域に対応する第二のプライマーと混合する工程並びに前記混合物についてPCRを行う工程を含む請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記第二のプライマーは:
配列番号15を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号1〜5、10、11若しくは21の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号16を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号6若しくは12の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号17を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号7若しくは13の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号18を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号8、9若しくは14の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号24を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号22若しくは23の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号41を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号25〜28、33、35若しくは36の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号42を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号29若しくは37の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号43を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号30〜38の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号44を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号31、32若しくは39の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;
配列番号45を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号34若しくは40の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含むか;或いは
配列番号76を含み、かつポリヌクレオチドは配列番号74若しくは75の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5を含む
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
工程a)は、核酸サンプルを、変異特異的なポリヌクレオチドと野生型特異的なポリヌクレオチドとのペアと混合する工程を含み、前記ペアは、下記配列の最後の6ヌクレオチドの少なくとも4又は5から選択される請求項23に記載の方法:
配列番号1と配列番号10、又は配列番号2と配列番号10、又は配列番号3と配列番号10、又は配列番号4と配列番号11、又は配列番号5と配列番号11、又は配列番号6と配列番号12、又は配列番号7と配列番号13、又は配列番号8と配列番号14、又は配列番号9と配列番号14、又は配列番号21と配列番号10、又は配列番号22と配列番号23、又は配列番号25と配列番号35、又は配列番号26と配列番号35、又は配列番号27と配列番号36、又は配列番号28と配列番号36、又は配列番号29と配列番号37、又は配列番号30と配列番号38、又は配列番号31と配列番号39、又は配列番号32と配列番号39、又は配列番号33と配列番号35、又は配列番号34と配列番号40、又は配列番号74と配列番号75。
【請求項27】
前記核酸サンプルは、野生型の配列と変異した配列を含み、前記方法は、更に、前記野生型の配列を所定量まで増幅するのに必要とされる増幅サイクル数を、前記変異した配列を所定量まで増幅するのに必要とされる増幅サイクル数と比較し、それによってサンプル中の野生型の配列と変異した配列の比を規定する工程c)を含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記核酸サンプルは、腫瘍組織の一部及び非腫瘍組織の一部を含み、工程c)は、更に、サンプル中の非腫瘍組織に対する腫瘍組織の比を決定する工程を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に、工程a)より前に、前記核酸サンプルを濃縮してサンプル中の非腫瘍組織に対する腫瘍組織の比を増加させる工程を含む請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
工程b)は、EGFR遺伝子の少なくとも一部の増幅が起こるかどうかを検出することを含む請求項24〜29の何れかに記載の方法。
【請求項31】
前記ポリヌクレオチドは、消光基及び蛍光基を含み、工程b)は、混合物に対して、蛍光体が消光基の不存在の際に応答する波長の光を当てること及び消光基の不存在の際に蛍光基によって発せられる波長の光を検出することを含む請求項19〜30の何れかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−534025(P2008−534025A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504838(P2008−504838)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001227
【国際公開番号】WO2006/106316
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(502310852)ディー・エックス・エス・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】