説明

ポリビニルアルコール系フィルム、及びポリビニルアルコール系フィルムの製造方法

【課題】 難燃性に優れたポリビニルアルコール系フィルム及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 ポリビニルアルコール系フィルム中のホウ素原子含有量が3000〜50000mg/kgであることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムに関し、さらに詳しくは、難燃性および透明性に優れたポリビニルアルコール系フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリビニルアルコール系フィルムは、親水性、耐有機溶剤性、透湿性、離型性等の特性を有し、広範囲に使用されている。
しかし、その化学構造上、ポリビニルアルコール系フィルム自体は可燃性であり、容易に着火、燃焼するという重大な問題点を有している。
一方、最近では、安全保安面から、構造物、内装材、シートなどの難燃化が要求されており、特に、カーテン等のインテリア製品、工事用シート、養生シート、ロープ等の産業用資材、テント、帆布等の繊維製品に対して難燃化の要請が高まっているのが実情で、これらの用途にポリビニルアルコール系フィルムを適用する場合には、難燃性を付与することが不可欠となっている。
【0003】
従来より、ポリビニルアルコールに難燃性を付与するには、一般に含ハロゲン有機化合物、含リン有機化合物、含硫黄化合物、含窒素化合物、無機化合物等を配合することが知られているが、特に含ハロゲン有機化合物については、環境に対する配慮からその使用に制約を受けることが多く、ハロゲンフリーであることが求められており、例えば、樹脂組成物中に、ポリホウ酸ナトリウムを混練して含有させる難燃性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−24281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示技術は、樹脂にポリホウ酸ナトリウムを混練するものであり、例えば、樹脂として、ポリビニルアルコールを用いた場合には混練時に粘度が高くなって充分な均一混合ができないうえに、ポリビニルアルコール系フィルムとして製膜することも非常に困難なものであった。そのため、難燃性に優れたポリビニルアルコール系フィルムを得るにはまだまだ改良の余地の残るものであった。
【0006】
そこで、本発明においてはこのような背景において、難燃性に優れたポリビニルアルコール系フィルムを提供することを目的とするものであり、更に、そのポリビニルアルコール系フィルムの製造方法も提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコール系フィルム中におけるホウ素含有量が難燃性に大きく寄与することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系フィルム中のホウ素原子含有量が3000〜50000mg/kgであるポリビニルアルコール系フィルムに関するものである。
【0009】
また、本発明においては、ただ単に、ポリビニルアルコール系樹脂に難燃剤を含有させ製膜しようとするのではなく、一旦製膜したポリビニルアルコール系フィルムをホウ素化合物溶液中に浸漬することにより、ポリビニルアルコール系フィルム中にホウ素原子を有効に含有せしめることができるものであり、生産性の点で好ましいものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、難燃性および透明性に優れた効果を有するものであり、特に、産業用資材や建築用資材等の用途(例えば、引火性物質使用環境下で用いられる養生シート等)や内装材用途等に非常に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルム(以下、ポリビニルアルコールをPVAと略記することがある。)は、PVA系フィルム中のホウ素原子含有量が3000〜50000mgである。
【0012】
本発明において、PVA系フィルム中のホウ素原子含有量が少なすぎると十分な難燃効果を得ることができず、多すぎるとフィルムが脆くなりすぎることになる。かかるPVA系フィルム中のホウ素原子含有量の好ましい範囲は5000〜40000mg/kg、特に好ましい範囲は8000〜30000mg/kgである。
【0013】
なお、本発明のPVA系フィルム中のホウ素原子の含有量は、以下のようにして測定される。
即ち、ホウ素原子が含有されたPVA系フィルムの約1gをアルカリ(炭酸ナトリウムカリウム)8gで溶融分解し、250mlに定容して、サーモフィッシャーサイエンディフィック株式会社製のICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析装置に導入してフィルム中のホウ素含有量を定量する。
【0014】
本発明において、PVA系フィルム中に含有されるホウ素原子としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂、ポリホウ酸金属塩等のホウ素化合物に由来されるもの等が挙げられ、ポリホウ酸金属塩としては、例えば、ポリホウ酸金属ナトリウム、ポリホウ酸金属カリウム等が挙げられる。中でも、水溶性が良好なホウ素化合物であることがPVA系フィルム中に容易にホウ素原子を含有させることができる点で好ましい。
【0015】
PVA系フィルム中にホウ素原子を含有させる方法としては、例えば、(1)PVA系フィルムを製膜する前のPVA系樹脂中にホウ素化合物を含有させ、かかる樹脂溶液をフィルム製膜する方法が考えられるが、かかる方法では、混練時に粘度が高くなって充分な均一混合ができない等の問題が発生したりして、ポリビニルアルコール系フィルムとして製膜することが困難となる。そのため、例えば、(2)予めPVA系樹脂よりフィルム製膜しPVA系フィルムを製造した後にかかるPVA系フィルムをホウ素化合物溶液中に浸漬させる方法、(3)予め製造したPVA系フィルムにホウ素化合物溶液を噴霧する方法、(4)予め製造したPVA系フィルムにホウ素化合物溶液をコートする方法、などが挙げられるが、効率よくホウ素化合物を含有させることができる点で(2)の方法がより好ましい。
【0016】
また、本発明のPVA系フィルムについては、30℃の水中に10分間浸漬させた後の重量減少率が20%以下であることが形状安定性や加工適正の点で好ましい。かかる重量減少率が高すぎるとフィルムの形状が浸漬前と比べ変化が大きくフィルムとしての形状が維持できないことに加え、ホウ素化合物溶液への浸漬工程に支障をきたす傾向がある。かかる重量減少率の好ましい範囲は15%以下、特に好ましくは10%以下である。なお、重量減少率の下限値としては、通常0.1%である。
【0017】
ここで、上記の重量減少率は、以下のようにして測定される。
即ち、100mm×100mmのサイズでフィルムを切り出し、切り出したフィルムを100℃の環境で5分間乾燥させた後、その重量(α)を測定する。その後、フィルムを30℃の水に10分間浸漬させた後、水中から取り出し、そのままの状態で100℃の環境で10分間乾燥させ、その重量(β)を測定する。測定された重量(α)と重量(β)より、以下の式に従い、重量減少率を算出する。
重量減少率(%)=〔(α)−(β)/(α)〕×100
【0018】
本発明のPVA系フィルムは、PVA系樹脂を用いて、以下のようにして製造される。
本発明で用いられるPVA系樹脂は、常法に従って、ビニルエステル系化合物を重合し、次いでこれをケン化することにより得られるものである。本発明では、PVA系樹脂は単独のみならず必要に応じて2種以上混合して用いてもよい。
【0019】
上記ビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられるが、実用上、酢酸ビニルが好適に用いられる。
【0020】
また、本発明で用いられるPVA系樹脂としては、通常未変性のPVA樹脂を用いることが好ましいが、部分的に変性された変性PVA系樹脂を用いてもよい。変性PVA系樹脂としては、ビニルエステル系化合物に他の単量体を少量共重合させたものが挙げられ、この場合の単量体の割合は本発明の効果を阻害しない範囲であり、例えば10モル%以下、好ましくは7モル%以下である。
【0021】
上記他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノまたはジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン〔1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル〕エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、ジアクリルアセトンアミド、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等があげられる。これらの他の単量体は、単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。なお、本発明において、(メタ)アリルとはアリルあるいはメタリル、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリル、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味する。
【0022】
そして、上記ビニルエステル系化合物を用いて重合(あるいは共重合)を行うに際しては、特に制限はなく公知の重合方法が用いられるが、通常は、メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が行なわれる。また、溶液重合以外に、乳化重合、懸濁重合も可能である。
【0023】
また、重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行われ、反応温度は通常35℃〜沸点、より好ましくは50〜80℃程度の範囲から選択される。
【0024】
つぎに、得られたビニルエステル系重合体をケン化するにあたっては、上記ビニルエステル系重合体をアルコールに溶解してアルカリ触媒の存在下にて行なわれる。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール等があげられ、上記アルコール中のビニルエステル系共重合体の濃度は、20〜50重量%の範囲内にて適宜選択される。
【0025】
上記ケン化時のアルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートのようなアルカリ触媒を用いることができる。上記アルカリ触媒の使用量は、ビニルエステル系重合体に対して1〜100ミリモル当量の範囲内にて適宜選択すればよい。なお、場合によっては、酸触媒によりケン化することも可能である。
このようにしてPVA系樹脂が得られる。
【0026】
また、PVA系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂を用いることも好ましく、上記側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
【0027】
本発明において、上記PVA系樹脂の平均ケン化度が、90モル%以上あることが好ましく、特には93〜99.9モル%、更には95〜99.9モル%、殊には96〜99.9モル%であることが好ましい。PVA系樹脂の平均ケン化度が低すぎるとホウ素原子を含有させるに際して、ホウ素化合物水溶液に浸漬する場合に水温によっては溶解が進み形状が維持されなくなってしまう傾向がある。なお、上記平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定される。
【0028】
さらに、PVA系樹脂の20℃における4重量%水溶液の平均粘度は、5〜70mPa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは15〜60mPa・sの範囲である。4重量%水溶液の平均粘度が低すぎるとフィルムの強度が低下する傾向がある。一方、4重量%水溶液の平均粘度が高すぎると粘度が高く製膜するのに困難となる傾向がある。なお、上記4重量%水溶液の20℃における平均粘度は、JIS K 6726に準じて測定される。
【0029】
そして、PVA系フィルムは、上記PVA系樹脂を用いて製膜することにより製造されるが、かかるPVA系樹脂のみからなる場合以外にも、かかるPVA系樹脂に、可塑剤、界面活性剤、フィラーなどを適宜配合して製膜することにより製造することも好ましい。
【0030】
上記可塑剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピリングリコール等のアルキレングリコール類やトリメチロールプロパン等があげられる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。
【0031】
上記PVA系樹脂に配合される可塑剤の配合量は、PVA系樹脂100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましく、特に好ましくは20重量部以下である。上記可塑剤の配合量が多すぎると、フィルムの腰がなくなり扱いにくくなる傾向がある。
【0032】
上記界面活性剤は、PVA系フィルムの製膜装置であるドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの剥離性の向上を目的として配合される。上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、剥離性の点でポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを用いることが好適である。
【0033】
上記界面活性剤の含有量については、PVA系樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部であることが好ましく、0.03〜3重量部であることがより好ましい。上記界面活性剤の含有量が少なすぎると、製膜装置のドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの剥離性が低下して製造困難となる傾向があり、逆に多すぎるとブリードアウトし、例えば表面が白化するなどの表面性が低下する原因となる傾向がある。
【0034】
上記フィラーとしては、例えば、澱粉(各種未加工品だけでなく、エーテル化、酸化、変性品でも良い)やポリメチルメタクリレート等の有機粉末、タルク、雲母、シリカ等の無機粉末等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、澱粉が好適に用いられる。
【0035】
上記PVA系樹脂に配合されるフィラーの配合量は、PVA系樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.3〜10重量部、特に好ましくは0.5〜8重量部である。フィラーの配合量が少なすぎると、ブロッキングしやすい傾向があり、逆に多すぎると、フィルム強度が低下する傾向がある。
【0036】
さらに、本発明の効果を妨げない範囲で、抗酸化剤(フェノール系、アミン系等)、安定剤(リン酸エステル類等)、着色料、香料、増量剤、消泡剤、防錆剤、紫外線吸収剤、さらには他の水溶性高分子化合物(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)等の他の添加剤を適宜配合してもよい。
【0037】
本発明のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法について、更に以下の通り詳述する。
まず、上記PVA系樹脂、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、フィラー、他の添加剤等を所定の配合量にて配合しフィルム形成材料を調製する。つぎに、Tダイからフィルム形成材料を製膜ベルト上または製膜ドラム上に流延させ、乾燥させることによりフィルム状化させ、必要に応じてさらに熱処理することにより製造される。
【0038】
ここで、上記製膜ベルトとは、一対のロール間に架け渡されて走行する無端ベルトを有し、Tダイから流れ出たフィルム形成材料を無端ベルト上に流延させるとともに乾燥させるものである。上記無端ベルトは、例えば、ステンレススチールからなり、その外周表面は鏡面仕上げが施されているものが好ましい。
【0039】
また、上記製膜ドラムとは、回転するドラム型ロールのことであり、Tダイから流れ出たフィルム形成材料を1個以上の回転ドラム型ロール上に流延し乾燥させるものである。
乾燥温度について、製膜ベルトを用いる場合は、通常、80〜160℃であることが好ましく、特には90〜150℃が好ましい。乾燥温度が低すぎると乾燥不足となりベルトからの剥離が重くなる傾向があり、高すぎると水分率が低くなりすぎ、フィルムが脆くなる傾向がある。
【0040】
また、製膜ドラムを用いる場合は、製膜第一ドラムが通常、80〜100℃であることが好ましく、特には82〜99℃であることが好ましい。乾燥温度が低すぎると乾燥不足となりドラムからの剥離が重くなる傾向があり、高すぎると水分率が低くなりすぎ、フィルムが脆くなる傾向がある。ここで、上記製膜第一ドラムとは、Tダイから流れ出たフィルム形成材料が流延される最上流側に位置するドラム型ロールのことである。
【0041】
上記乾燥の後、必要に応じて熱処理が行われるが、かかる熱処理の方法としては、例えば、熱ロール(カレンダーロールを含む)、熱風、遠赤外線、誘電加熱等の方法があげられる。また、熱処理される面は、製膜ベルトまたは製膜ドラムに接する面と反対側となる面が好ましいが、ニップしても問題はない。また、熱処理を施すフィルムの水分含有量は、通常、4〜8重量%程度であることが好ましい。さらに、熱処理された後のフィルムの水分含有量は通常、2〜6重量%であることが好ましい。なお、PVA系フィルムの水分率は、例えば、カールフィッシャー水分計(京都電子工業社製、「MKS−210」)を用いて測定することができる。
【0042】
上記熱処理機による熱処理は、通常50〜130℃で行うことが好ましく、より好ましくは60〜120℃である。すなわち、上記熱処理の温度が低すぎると、製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムに接する面のカールが生じる傾向があり扱いづらくなり、熱処理の温度が高すぎるとフィルムが柔らかくなるため、皺が入らぬように巻き取ろうと引っ張ると長手方向への配向が強まり、幅が縮まる傾向がみられる。さらに、上記熱処理に要する時間は、熱処理ロールの場合、その表面温度にもよるが、通常0.2〜15秒間、好ましくは0.5〜12秒間とすることが好ましい。上記熱処理は、通常、フィルム乾燥のための乾燥ロール処理に引き続き、別体の熱処理ロールあるいはエンボスロールにして通常行われる。
【0043】
上記エンボスロールによるエンボス処理はブロッキング防止目的で行われる場合があるが、透明性が低下することから絹目エンボスに限らず梨地エンボスであってもよい。
【0044】
上記方法によりPVA系フィルムが得られるが、得られたPVA系フィルムの水分率としては、2〜6重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは2.3〜5.5重量%である。水分率が低すぎると脆くなる傾向があり、特に可塑剤が少ないとその傾向は高くなる。逆に水分率が高すぎると、ブロッキングする傾向がある。
【0045】
上記PVA系フィルムの水分率の調整方法としては、例えば、下記に示す方法があげられる。すなわち、下記に示す水分率の調整方法に従い、上記範囲内のPVA系フィルムの水分率に設定することが可能となる。
【0046】
(1)PVA系樹脂を溶解したドープを乾燥して製膜する際の乾燥機温度を上下させてPVA系フィルムの加湿・除湿を行う方法により水分率の調整を行う。ドープの温度は、その温度により乾燥効率に対して影響を及ぼすため、70〜98℃の範囲内にて調整する。また、乾燥に際しては、好ましくは150〜50℃の間で、より好ましくは145〜60℃の間で温度勾配を有する少なくとも2つ以上の熱風乾燥機中にて行うことが好ましく、さらに1〜12分間、より好ましくは1〜11分間乾燥を行うことが水分調整という観点から好ましい。
【0047】
上記乾燥温度の勾配範囲が大きすぎたり、乾燥時間が長すぎたりすると、乾燥過多となる傾向があり、逆に乾燥温度の勾配範囲が小さすぎたり、乾燥時間が短すぎたりすると、乾燥不足となる傾向がある。
【0048】
上記温度勾配は、150〜50℃の間で段階的に乾燥温度を変えていくものであり、通常は、乾燥開始時から温度を徐々に上げていき、所定の含水率になるまで一旦設定した乾燥温度範囲の、最高の乾燥温度に至らせ、つぎに徐々に乾燥温度を低くすることにより最終的に目的とする含水率とすることが効果的である。これは結晶性や剥離性、生産性等を制御するために行われるものであり、例えば、120℃−130℃−115℃−100℃、130℃−120℃−110℃、115℃−120℃−110℃−90℃等の温度勾配設定があげられ、適宜選択され実施される。
【0049】
(2)PVA系フィルムの巻き取り前に調湿槽に通過させることによりPVA系フィルムの加湿・除湿を行い、水分率の調整を行う。
【0050】
(3)PVA系フィルムの巻き取り前、もしくは巻き取り後に、熱処理を行うことによりPVA系フィルムの除湿を行い、水分率の調整を行う。
【0051】
つぎに、上記PVA系フィルムのヘイズとしては、40%以下であることが好ましく、より好ましくは35%以下である。ヘイズが高すぎるとPVA系フィルムの強度が低下するだけでなく、隠蔽性が高まりすぎる傾向がある。なお、ヘイズの下限値としては通常0.1%程度である。PVA系フィルムのヘイズは、例えば、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH 2000)を用いて測定することができる。
【0052】
また、上記PVA系フィルムの破断伸度としては、23℃、50%RH調湿条件下において、150%以上であることが好ましく、さらには180%以上が好ましい。破断伸度が低すぎると使用時に破断しやすくなる傾向がある。なお、破断伸度の上限としては通常、350%である。ここで、フィルムの破断伸度は、JIS K 7127(1999年)に準拠して測定される。
【0053】
このようにして本発明で用いられるPVA系フィルムが得られる。かかるPVA系フィルムの膜厚は扱いやすさの点及びホウ素原子を含有させやすさの点で10〜120μmであることが好ましく、特には20〜100μm、更には30〜80μmであることが好ましい。
【0054】
また、本発明においては、機械的強度を安定付与できる点で、上記PVA系フィルムは延伸されていても良く、かかる延伸方法について以下に説明する。
【0055】
延伸するにあたっては、縦(機械)方向に一軸延伸してもよいが、縦・横両方向に二軸延伸することが、上記の物性をより改善することができる点で好ましい。
【0056】
かかる二軸延伸は、逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸のどちらでもよく、二軸延伸するにあたっては、上記で得られたポリビニルアルコール系フィルムの含水率を3〜30重量%に調整しておくことが好ましく、5〜30重量%に調整しておくことがより好ましい。かかる含水率が低すぎても高すぎでも延伸倍率を充分に高めることができない傾向がある。かかる含水率の調整にあたっては、例えば、上記のポリビニルアルコール系フィルムの乾燥時に含水率を調整したり、含水率3重量%未満のポリビニルアルコール系フィルムを水浸漬、水噴霧あるいは調湿等を施して含水率を調整する方法等をあげることができる。
【0057】
二軸延伸を施した後は、熱固定を行うことが好ましく、かかる熱固定の温度は、ポリビニルアルコール系樹脂の融点より低い温度を選択することが好ましい。ただし、融点より80℃以上低い温度より低い場合は寸法安定性が悪く、収縮率が大きくなり、一方融点より高い場合はフィルムの厚み変動が大きくなる傾向がある。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂が酢酸ビニル単独重合体のケン化物である場合の熱固定温度は、140〜250℃が好ましく、より好ましくは150〜230℃であり、また、熱固定時間は1〜30秒間であることが好ましく、より好ましくは5〜10秒間である。
【0058】
延伸倍率については、特に制限はないが、縦方向の延伸倍率が1.1〜5倍であることが好ましく、3〜4.5倍であることがより好ましく、横方向の延伸倍率が1.1〜5倍であることが好ましく、3〜4倍であることがより好ましい。該縦方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難い傾向があり、高すぎるとフィルムが縦方向へ裂けやすくなる傾向がある。また、横方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難い傾向があり、高すぎるとフィルムが破断する傾向がある。
【0059】
かくして本発明で用いるPVA系フィルムが得られるが、本発明においては、PVA系フィルム中のホウ素原子含有量が上記の所定含有量となるように含有させるわけであるが、上述の通り、予め製造したPVA系フィルムにホウ素化合物溶液を浸漬する方法が好ましい。
【0060】
PVA系フィルムにホウ素化合物溶液を浸漬するに際して、ホウ素化合物溶液とする溶媒については、ホウ素化合物を溶解するものであればよいが、中でもPVA系フィルムを膨潤させやすい点で水が好ましい。
【0061】
また、ホウ素化合物溶液の濃度は、効率よくPVA系フィルムにホウ素原子を含有させることができる点で0.05〜5重量%が好ましく、特には0.1〜4重量%、更には0.2〜3重量%が好ましい。かかる濃度が低すぎるとホウ素原子を効率よく含有させることが困難な傾向があり、高すぎるとフィルム中のホウ素原子含有量にバラツキが生じやすくなる傾向がある。
【0062】
更に、浸漬温度は10〜50℃であることが好ましく、特には20〜50℃、更には30〜50℃であることが好ましい。かかる浸漬温度が低すぎると効率よくホウ素原子を含有させることが困難となる傾向があり、高すぎると浸漬槽の水分が揮発して濃度が変わってしまう傾向がある。
【0063】
浸漬時間は、浸漬温度にもよるが通常30秒〜2時間の範囲で行われるが、特には1分〜1時間、更には2分〜30分であることが好ましい。浸漬時間が短すぎるとホウ素原子含有量が少なくなる傾向があり、長すぎるとホウ素原子が多く含有されフィルムが脆くなる傾向があり、更に生産効率の点でも低下する傾向がある。
【0064】
かくして得られた本発明のPVA系フィルム(ホウ素原子が含有されたPVA系フィルム)は、難燃性能を有し、かつ透明性に優れたフィルムであり、産業用資材や建築用資材等の用途(例えば、引火性物質使用環境下で用いられる養生シート等)や内装材用途等に非常に有用である。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
【0066】
実施例1
平均ケン化度99モル%、4%水溶液の平均粘度(20℃)28mPa・sのPVA100部、グリセリン10部、界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)0.3部からなる20%(固形分濃度)のドープをTダイより、表面温度が90℃に調整された回転するステンレス製エンドレスベルトに吐出して流延製膜し、引き続き120℃に調整された梨地エンボスロールにて熱処理を行い、厚み50μmのPVAフィルムを得た。
得られたPVAフィルムを、40℃に調整した2%のホウ酸水溶液に15分浸漬させた後、フィルム表面を特に拭き取ることなくそのままの状態で80℃乾燥機内で5分乾燥させた。得られたホウ素含有PVAフィルムに含まれるホウ素原子含有量の定量を行ったところ17000mg/kgであった。
【0067】
なお、ホウ素原子含有量の測定は、以下のようにして行った。
ホウ素含有PVAフィルムの約1gをアルカリ(和光純薬社製、炭酸ナトリウムカリウム(特級))8gで溶融分解し、250mlに定容して、サーモフィッシャーサイエンディフィック株式会社製のICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析装置に導入してフィルム中のホウ素含有量を定量した。
【0068】
また、得られたホウ素含有PVAフィルムについて、30℃の水中に10分間浸漬させた後の重量減少率を測定したところ6%であった。
なお、重量減少率は以下のようにして測定を行った。
100mm×100mmのサイズでフィルムを切り出し、切り出したフィルムを100℃の環境で5分間乾燥させた後、その重量(α)を測定した。その後、フィルムを30℃の水に10分間浸漬させた後、水中から取り出し、フィルム表面を特に拭き取ることなくそのままの状態で100℃の環境で10分間乾燥させ、その重量(β)を測定した。測定された重量(α)と重量(β)より、以下の式に従い、重量減少率を算出した。
重量減少率(%)=〔(α)−(β)/(α)〕×100
【0069】
得られたホウ素含有PVAフィルムについて、以下の評価を行った。
<燃焼試験>
ホウ素含有PVAフィルムを幅25mm×長さ150mmの短冊状に切り出し、一端をピンセットでつまみ、もう一端(下端)より火を着けたローソクの炎を3秒間当ててフィルムの延焼状態を観察し、下記の基準にて評価を行った。
(判定)
×:一旦着火する炎は拡がり10秒以内に全焼した(自消性無し)。
△:着火して一旦燃えるものの5秒以内に炎は消えた。
○:着火しても燃え広がらず消えた。
【0070】
実施例2
実施例1において、グリセリンを添加しなかった以外は同様に行いPVAフィルムを得た。
得られたPVAフィルムを、40℃に調整した水浴中に3分間浸漬した後、40℃に調整した1%のポリホウ酸ナトリウム水溶液に30分浸漬させ、その後、特にフィルム表面を拭き取ることなくそのままの状態で80℃乾燥機内で5分乾燥させた。得られたホウ素含有PVAフィルムに含まれるホウ素原子含有量の定量を行ったところ20000mg/kgであった。
また、得られたホウ素含有PVAフィルムについて、重量減少率を測定したところ3%であった。
得られたホウ素含有PVAフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0071】
実施例3
平均ケン化度99モル%、4%水溶液の平均粘度(20℃)28mPa・sのPVA100部、界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)0.3部からなる20%(固形分濃度)のドープをTダイより、表面温度が90℃に調整された回転するステンレス製エンドレスベルトに吐出して流延製膜して未延伸フィルムを得た後、さらに二軸延伸機により3×3倍の二軸延伸を行い、厚み30μmの二軸延伸PVAフィルムを得た。
得られた二軸延伸PVAフィルムを、50℃に調整した2%のポリホウ酸ナトリウム水溶液に30分浸漬させた後、特にフィルム表面を拭き取ることなくそのままの状態で80℃乾燥機内で5分乾燥させた。得られたホウ素含有二軸延伸PVAフィルムに含まれるホウ素原子含有量の定量を行ったところ20000mg/kgであった。
また、得られたホウ素含有PVAフィルムについて、重量減少率を測定したところ2%であった。
得られたホウ素含有PVAフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0072】
実施例4
実施例1と同様のPVAフィルムを用いて、40℃に調整した水浴中に3分間浸漬した後、20℃に調整した2%のホウ酸水溶液に30分浸漬させ、その後、特にフィルム表面を拭き取ることなくそのままの状態で80℃乾燥機内で5分乾燥させた。得られたホウ素含有PVAフィルムに含まれるホウ素原子含有量の定量を行ったところ13000mg/kgであった。
また、得られたホウ素含有PVAフィルムについて、重量減少率を測定したところ6%であった。
得られたホウ素含有PVAフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0073】
比較例1
実施例1において、PVAを、平均ケン化度99モル%、4%水溶液の平均粘度(20℃)63mPa・sのPVAに変更した以外は同様に行い、PVAフィルムを得た。
また、得られたPVAフィルムについて、重量減少率を測定したところ9%であった。
得られたPVAフィルムに対して、ホウ素化合物溶液処理を行わず、実施例1と同様の評価を行った。
【0074】
比較例2
実施例1において、PVAを、平均ケン化度99モル%、4%水溶液の平均粘度(20℃)63mPa・sのPVAに変更した以外は同様に行い、PVAフィルムを得た。
得られたPVAフィルムを、5℃に調整した1%のポリホウ酸ナトリウム水溶液に3分浸漬させ、その後、特にフィルム表面を拭き取ることなくそのままの状態で80℃乾燥機内で5分乾燥させた。得られたホウ素含有PVAフィルムに含まれるホウ素原子含有量の定量を行ったところ2000mg/kgであった。
また、得られたホウ素含有PVAフィルムについて、重量減少率を測定したところ8%であった。
得られたホウ素含有PVAフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
上記の結果から、比較例1のPVA系フィルム単独や、比較例2のホウ素原子を所定量より少なすぎる程度のPVA系フィルムでは炎に接することで一気に燃え広がる結果となるものの、実施例のようなホウ素原子を所定量含有するPVA系フィルムでは、燃え広がることなく炎が消失する結果となり、難燃性を有し、延焼を抑制することができることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、難燃性および透明性に優れた効果を有するものであり、特に、産業用資材や建築用資材等の用途(例えば、引火性物質使用環境下で用いられる養生シート等)や内装材用途等に非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール系フィルム中のホウ素原子含有量が3000〜50000mg/kgであることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項2】
30℃の水中に10分間浸漬させた後の重量減少率が20%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項3】
平均ケン化度が90モル%以上、20℃における4重量%水溶液の平均粘度が5〜70mPa・sのポリビニルアルコール系樹脂から構成されることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項4】
ポリビニルアルコール系フィルムが、一軸延伸または二軸延伸されたポリビニルアルコール系フィルムであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項5】
ポリビニルアルコール系フィルム中のホウ素原子が、ポリホウ酸金属塩由来のものであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項6】
ポリビニルアルコール系フィルムをホウ素化合物溶液中に浸漬することによりポリビニルアルコール系フィルム中にホウ素原子を含有せしめてなることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項7】
ポリビニルアルコール系フィルムを予め水膨潤させてからホウ素化合物溶液中に浸漬することを特徴とする請求項6記載のポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項8】
ホウ素化合物溶液の濃度が0.05〜5重量%であることを特徴とする請求項6または7記載のポリビニルアルコール系フィルム。
【請求項9】
ポリビニルアルコール系フィルムをホウ素化合物溶液中に浸漬することによりポリビニルアルコール系フィルム中にホウ素原子を含有せしめることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
【請求項10】
ポリビニルアルコール系フィルムを予め水膨潤させてからホウ素化合物溶液中に浸漬することを特徴とする請求項9記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
【請求項11】
ポリビニルアルコール系フィルムをホウ素化合物溶液中に浸漬することによりポリビニルアルコール系フィルム中にホウ素原子を含有せしめることを特徴とするポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
【請求項12】
ポリビニルアルコール系フィルムを予め水膨潤させてからホウ素化合物溶液中に浸漬することを特徴とする請求項11記載のポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。

【公開番号】特開2012−72353(P2012−72353A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151328(P2011−151328)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】