説明

ポリフェニレンエーテル極細繊維およびその繊維集合体

【課題】極めて小さな繊維径を有するポリフェニレンエーテルからなる繊維および繊維集合体を提供する。
【解決手段】ハロゲン化炭化水素系化合物と沸点が140℃以上の低揮発性溶媒、及び芳香族炭化水素系溶媒と、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドの中から選択される少なくとも1種類の溶媒との混合溶媒からなるポリフェニレンエーテル溶液を静電紡糸法により紡糸して、平均繊維径が0.01〜10μmであるポリフェニレンエーテル極細繊維、および該繊維の集合体を得る。静電紡糸法の溶液には0.01〜5%の有機酸塩又は無機酸塩を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェニレンエーテル極細繊維、ポリフェニレンエーテル極細繊維からなる繊維集合体に関し、特に繊維径が細く、均一なポリフェニレンエーテル極細繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス分野や環境・エネルギー分野における有機材料に関する技術開発はめざましく、有機材料に求められる性能も耐熱性、難燃性、寸法安定性、電気特性など多岐にわたり、部品の小型化に伴い加工技術のファイン化も求められている。
その中で、ポリフェニレンエーテルは非晶性であり、耐熱性、高周波における電気特性に特に優れる材料として注目されており、電子部品、OA機器、自動車部品として幅広く利用されている。
しかし、ポリフェニレンエーテル単体ではその流動性の悪さから溶融成形加工が困難であり、そのため、ポリスチレンやポリアミド等の流動性の良好なポリマーとのアロイ化により、市場展開されているのが現状であり、ポリフェニレンエーテル単体での使用は、まだ完成されていない。
【0003】
従来、ポリフェニレンエーテル繊維の製造に関してもその流動性の悪さからポリフェニレンエーテル単体での溶融紡糸は困難である。例えば、特許文献1では、ポリフェニレンエーテルと結晶性熱可塑性樹脂とのポリマーアロイにより得られた溶融紡糸繊維が開示されているが、結晶性熱可塑性樹脂とアロイ化することでポリフェニレンエーテルがもつ本来の耐熱性や電気特性を低下させてしまっている。
また、湿式紡糸法によるポリフェニレンエーテル単体の繊維化は、凝固浴等が必要なため設備が高価になってしまう等の経済的な問題があることが特許文献2,3に開示されている。
いずれにしても、これらの方法によるポリフェニレンエーテルの繊維化は、繊維径がせいぜい十〜数十μmの範囲であり、ポリフェニレンエーテル単体からなる極細繊維および極細繊維からなる繊維集合体については、その報告例はない。
【0004】
一般的に、ナノサイズの繊維径を有する繊維および繊維集合体を製造する方法として静電紡糸法が知られている。静電紡糸法とは、高分子溶液の入ったノズルの先端とコレクター基板間に高電圧を加え、静電気的反発力によりポリマー溶液が極細化されると同時に溶液が蒸発し、続いてポリマーを捕集することにより、ワンステップで超極細繊維および繊維集合体を得る紡糸方法であり、非特許文献1などにより公知である。
しかしながら、静電紡糸法によりナノオーダーの繊維径を有するポリフェニレンエーテル繊維および繊維集合体を実際に製造したという報告例はなく、ポリフェニレンエーテルの持つ優れた電気特性、耐熱性を有する極細繊維および極細繊維からなる繊維集合体を製造することにより様々な用途展開が広がるといえ、ポリフェニレンエーテル単体からなる極細繊維およびその繊維集合体の提案が期待されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−190156号公報
【特許文献2】米国特許第3,457,343号明細書
【特許文献3】米国特許第3,476,849号明細書
【非特許文献1】「Jornal of Colloid and Interface Science」36,1,71,1971
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、繊維径が極めて小さく、繊維径の揃った、均一で、ビーズ状の欠点の少ないポリフェニレンエーテル極細繊維およびその繊維集合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリフェニレンエーテルを静電紡糸法により特定の溶媒を用いることで、極細で均一な繊維を安定して生産できることを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち本発明は以下のとおりである。
1.平均繊維径が0.01〜10μmであることを特徴とするポリフェニレンエーテル極細繊維。
2.静電紡糸法により得たことを特徴とする上記1に記載の極細繊維。
3.静電紡糸法の溶媒が、ハロゲン化炭化水素系化合物と沸点が140℃以上の低揮発性溶媒とを含む混合溶媒であることを特徴とする上記2に記載の極細繊維。
4.静電紡糸法の溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒と、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドの中の少なくとも1種類の中から選択される溶媒との混合溶媒であることを特徴とする上記2に記載の極細繊維。
5.静電紡糸法の溶液に0.01〜5%の有機酸塩もしくは無機酸塩を含む上記2〜4のいずれかに記載の極細繊維。
6.上記1〜5に記載の極細繊維からなることを特徴とするポリフェニレンエーテル繊維集合体。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、繊維径が極めて小さなポリフェニレンエーテルからなる極細繊維、その繊維集合体およびその製造方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳述する。
本発明の極細繊維およびその繊維集合体は、ポリフェニレンエーテル単体からなるものである。
本発明のポリフェニレンエーテルとは、下記式1の繰り返し単位構造からなり、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)が0.15〜1.0dl/gの範囲にある単独重合体および共重合体であることが好ましい。さらに好ましいくは還元粘度は0.20〜0.70dl/gの範囲、最も好ましくは0.40〜0.60dl/gの範囲である。粘度がこの範囲にあると、静電紡糸法において、ポリマーの濃度、溶液の粘度を適切な範囲とすることができる。
【化1】

(式中、R1、R4はそれぞれ独立して、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル基、フェニル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基を表す。R2、R3はそれぞれ独立して、水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル基、フェニル基を表す。)
【0010】
このポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類、例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノールとの共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が特に好ましい。
【0011】
本発明の極細繊維の平均繊維径は、0.01〜10μmの範囲であり、平均繊維径が10μmを超えると、それによって得られる不織布の均一性、緻密性が劣るようになるので好ましくない。繊維の平均繊維径は、好ましくは0.03〜1μmであり、より好ましくは0.03〜0.5μm(30〜500nm)である。
本発明の繊維集合体とは、得られた単数または複数の繊維がランダムに積層された3次元の構造体を指す。具体的には、不織布が適している。不織布の構成は、平均繊維径が30〜1000nmで、目付けは5〜100g/m2 、密度は0.05〜0.3g/cm3 の範囲が好ましいが、特に限定されない。本発明の繊維集合体の特徴は、極細繊維が緻密に積層されて構成されており、極めて小さな開孔が均一に存在することである。例えば、平均繊維径が300nm、目付けが7g/m2 、密度が0.1g/cm3 において、バブルポイント法での開孔分布は、最小孔径が260nm、平均流量孔径が880nm、最大孔径が1400nmである。本発明の繊維集合体は、他の不織布などと積層して用いると好適であり、その効果を有効に発揮することができる。
【0012】
本発明における極細繊維の繊維径の均一性は、繊維集合体を構成する繊維の繊維径分布、すなわち平均繊維径Daとその標準偏差Sの比であるCV値で評価することができる。つまり、CV値が小さいほど、繊維径分布が小さいことを表し、均一な繊維径であることを示すものであり、CV値が小さいほど開孔径分布等の各種性能に優れている。本発明の繊維集合体のCV値は35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。後述の実施例において、平均繊維径が50〜500nmにおいて、CV値は、20〜35%の範囲であり極細で均一な繊維が得られている。
また、本発明の極細繊維はスムーズな表面をもち、静電紡糸法により紡糸した繊維において通常良く見られるビーズ状の欠点が少ないことが特徴である。ビーズ状の欠点を多く有する繊維からなる繊維集合体は、比表面積、強度、均一性の面で劣るため好ましくない。ビーズ状の欠点の生成機構については、明確には判明していないが、溶媒の誘電率、溶液の電気伝導度が大きく影響しているものと推定され、本発明で、初めてその影響度を調査した。そこで、混合溶媒による誘電率の調整および溶液への塩添加による電気伝導度の調整によって、ビーズ状の欠点のない均一な繊維を生成し得る静電紡糸法用のポリマー溶液の調製について鋭意研究をした結果、本発明のようなビーズ状の欠点の少ないスムーズな表面を持つ、均一なポリフェニレンエーテル繊維および繊維集合体の発明に至った。
【0013】
本発明ではポリフェニレンエーテルからなる極細繊維および極細繊維からなる繊維集合体を静電紡糸法で紡糸するのであるが、以下にその方法を詳細に説明する。
本発明で用いる静電紡糸法では、ポリフェニレンエーテル溶液を電極間で形成された静電場中にノズル等を用いて吐出することで、静電気力と溶媒の揮発により、溶液を細化・固化させて極細繊維状物質をコレクターに堆積させることによって、繊維や繊維集合体を得ることができる。
まず最初に、ポリフェニレンエーテルを溶媒に溶解したポリマー溶液を調製する段階について説明する。
本発明における溶媒とは、常圧での沸点が250℃以下であり、常温で液体である物質であって、ポリフェニレンエーテルを溶解可能な溶媒であれば特に制限は無く、例えば、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられる。
【0014】
また、ベンゼン、トルエン、o−キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル系溶媒、o−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても、2種類以上の混合溶媒として用いてもかまわない。
ハロゲン化炭化水素系化合物と沸点が140℃以上の低揮発性溶媒を含む混合溶媒がポリフェニレンエーテルの溶解性が良く、低揮発速度のため針汚れ、針詰まりが起こりにくく、長時間安定紡糸することが可能である点から好ましい。
芳香族炭化水素系溶媒と、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドの中から選択される少なくとも1種類の溶媒との混合溶媒であることが溶媒が低毒性で、かつポリフェニレンエーテルの溶解性がよく、低揮発速度のため針汚れ、針詰まりが起こりにくく、長時間安定紡糸することが可能である点から好ましい。
【0015】
溶媒の誘電率を上げるため、ポリフェニレンエーテルが析出しない程度の量の貧溶媒を混合してもよい。貧溶媒の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。
本発明において、溶液の電気伝導度を上げるために、静電紡糸法の溶液に0.01〜5wt%の有機酸塩又は無機酸塩を含むことが好ましく、より好ましくは0.1〜2wt%の範囲である。無機酸塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム等、臭化リチウム、臭化カリウム、フッ化カリウム等の一価の無機塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウム、フッ化カルシウム等の二価の無機塩、有機酸塩としては、例えば、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等のアンモニウム塩などが挙げられる。
【0016】
本発明のポリフェニレンエーテル溶液のポリマー濃度としては、用いるポリマー分子量にもよるが、重量平均分子量5×104程度のものを用いた場合には、5〜20wt%の範囲である。
ポリマー濃度が5wt%未満であると、溶液粘度が低すぎて、繊維構造体を形成することが困難となり好ましくない。また、ポリマー濃度が20wt%を超えると溶液粘度が大きすぎて、得られる繊維の繊維径が大きくなり好ましくない。
また、本発明の静電紡糸法において、ポリマー溶液をノズルで供給する場合に、溶媒が常圧における沸点が100℃以下の低沸点溶媒成分のみであるとノズル汚れや詰まりが発生しやすく、連続生産時に効率が悪くなる。そこで、溶媒として常圧での沸点が140℃以上の溶媒を20〜100重量%用いると針詰まりや針汚れが起こらず連続安定して極細繊維が生産可能になるので好ましい。より好ましい割合は50〜100重量%である。常圧で沸点が140℃以上の高沸点溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,1,2,2−テトラクロロエタン、o−クロロフェノール、N−メチル−2−ピロリドン、o−キシレン等が挙げられる。
【0017】
次に、前記ポリマー溶液を静電紡糸法にて紡糸する段階について説明する。
該溶液を静電場に導入するには、任意の便宜の方法を用いることができる。例えば、図1に示すように、溶液保持槽1に該溶液を入れ、定量ポンプ2により金属製ノズル3を通じて該溶液を任意の流量で押出すと同時に、高電圧発生装置4によりノズル3に高電圧を印加することで、ノズル3と接地されたコレクター5の間に静電場を形成させる。静電場中に押出されたポリマー溶液は溶液内の電荷の反発により引き伸ばされ極細繊維化し、コレクターに捕集される。
なお、本方法ではノズル3とコレクター5との間に静電場を生じさせればよく、コレクターに高電圧を印加させ、ノズル3を接地しても構わない。また、印加する電圧の大きさは5〜100kVの範囲が好ましい。印加電圧が5kV未満だと溶液中の電荷の反発力が小さすぎて繊維化が起こらず、100kVを超えると空気の絶縁破壊が生じやすくなり好ましくない。より好ましい範囲は10〜50kVの範囲である。
ノズル3とコレクター5の距離は5〜20cmが好ましい。ノズル−コレクター間距離が5cm未満であると、溶液がコレクターに到達する前に、溶媒が完全に揮発しないことがあるので好ましくない。また、20cmを超えると繊維化可能な静電場を形成させるのに、非常に大きな印加電圧が必要となり好ましくない。
【0018】
ノズル3の内径は、0.1〜2mmの範囲であることが好ましく。生産性と得られる繊維径のバランスを考慮すると、0.5〜1.2mmの範囲がより好ましい。
また、ノズルは生産性を上げるためにマルチノズルを用いるのが好ましい。
溶液保持槽1およびノズル3の温度は、溶媒の組み合わせにもよるが、ポリマーが均一に溶解している範囲の温度なら任意に選ぶことができ、好ましくは20〜80℃の範囲である。
本発明によって得られる繊維および繊維集合体は単独で用いても良いが、取扱い性や強度等のその他の要求事項に合わせて、他の部材と組み合わせて使用しても良い。例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、フィルム、紙等の上に極細繊維を堆積させることで積層体を形成させることも可能である。
本発明によって得られる繊維および不織布の用途は、高性能フィルター、燃料電池電解質膜支持体等の各種支持体、フレキシブルプリント基板のような高周波用電子部品、各種電池セパレーター等、各種用途に用いることができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
実施例中にある各値は以下の方法により求めた。
(1)還元粘度
ポリフェニレンエーテルをクロロホルムに0.5g/dlの濃度となるように溶解させ、30℃における粘度をウベローデ粘度管を用いて測定した。
(2)平均繊維径
静電紡糸法によって得られた不織布を走査型電子顕微鏡を用いて5000倍の倍率で撮影し、任意の50本の繊維径を測定し,その平均値を平均繊維径Daとした。
(3)繊維径分布の評価
静電紡糸によって得られた繊維の繊維径分布の標準偏差Sと平均繊維径Daの比である変動係数(CV値)の大きさで繊維径分布を評価した。CV値が小さいほど、繊維径分布の狭いより均一な繊維集合体であるといえる。
変動係数CV=〔S/Da〕×100(%)
(4)ビーズ状欠点の評価
繊維集合体をSEMで1000倍に拡大し、SEM写真内でのビーズ状欠点の多少を評価した。
○ ほとんど見られなかった。(個数が2個以内)
△ 3〜10個程度見られた。
× 多く見られた。
【0020】
[実施例1〜6]
還元粘度0.515g/dlのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を用いて、表1に示した混合溶媒、添加塩の組成で静電紡糸溶液を調製し、均一な溶液になるまで攪拌した。各溶液を静電紡糸法により表1に示した紡糸条件で紡糸を行った。すべての実施例において、針詰まりや針汚れがおこらず1時間以上連続して紡糸することが可能であった。また、得られた繊維集合体の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ図2(実施例1),図3(実施例2)に示すようにビーズ状の欠点の少ない表面の滑らかな繊維が得られていることが分かった。各実施例から得られた繊維集合体の繊径およびCV値を表1に示す。
【0021】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によって得られた極細繊維および繊維集合体は、ポリフェニレンエーテルの持つ優れた耐熱性と電気特性をもち、繊維径が極めて小さく、繊維径の揃った、均一で、ビーズ状の欠点の少なく、非常に小さな開孔径をもち、構造が均一であり、各種用途への展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の静電紡糸法で用いる装置の一例の概略図である。
【図2】実施例1で得られた繊維集合体の表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。
【図3】実施例2で得られた繊維集合体の表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。
【符号の説明】
【0024】
1.溶液保持槽
2.定量ポンプ
3.金属製ノズル
4.高電圧発生装置
5.コレクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均繊維径が0.01〜10μmであることを特徴とするポリフェニレンエーテル極細繊維。
【請求項2】
静電紡糸法により得たことを特徴とする請求項1に記載の極細繊維。
【請求項3】
静電紡糸法の溶媒が、ハロゲン化炭化水素系化合物と沸点が140℃以上の低揮発性溶媒とを含む混合溶媒であることを特徴とする請求項2に記載の極細繊維。
【請求項4】
静電紡糸法の溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒と、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドの中から選択される少なくとも1種類の溶媒との混合溶媒であることを特徴とする請求項2に記載の極細繊維。
【請求項5】
静電紡糸法の溶液に0.01〜5%の有機酸塩又は無機酸塩を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の極細繊維。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の極細繊維からなることを特徴とするポリフェニレンエーテル繊維集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−69478(P2008−69478A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249173(P2006−249173)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】