説明

ポリプロピレン系樹脂組成物、および、発泡成形体

【課題】発泡性および発泡状態の初期厚さ非依存性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物、ならびに、前記ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体を提供すること。
【解決手段】プロピレン重合体(A)を50〜99.8質量%、変性ポリオレフィン樹脂(B)を0.1〜30質量%、および、膨潤性層状珪酸塩(C)を0.1〜20質量%含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、(A)、(B)及び(C)の合計を100質量%とする。)、前記ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物、および、発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンは、機械的性質、耐薬品性等に優れ、経済性とのバランスにおいて極めて有用なため各成形分野に広く用いられている。
ポリプロピレンを発泡成形した発泡成形体は、自動車分野での緩衝材や、吸音材、透水用ドレン材、各種充填剤等に用いられている。ポリプロピレンの発泡成形体が得られる組成物またはポリプロピレン成形発泡体を得る手段として、例えば、メタロセン担持型触媒を用いて製造された、プロピレンおよびα,ω−ジエンからなる共重合体、該共重合体に発泡剤が含有されたポリプロピレン系樹脂組成物、該組成物を加熱、溶融、混練、発泡成形した発泡体および該発泡体を成形した発泡成形体が開示されている(特許文献1)。
【0003】
一方、以下に示す特許文献2〜6が知られている。
特許文献2には、物品の製造方法であって、約0〜99質量%のポリオレフィン、約1〜100質量%の官能化ポリオレフィン及び約10〜50質量%の有機的に変性された粘土から形成されるポリオレフィン/粘土ナノ複合体マスターバッチを用意する工程、約1〜30質量%の該ナノ複合体マスターバッチと約70〜99質量%のポリオレフィンブレンドを溶融ブレンドして最終ポリオレフィンブレンドを形成し、該最終ポリオレフィンブレンド中への該有機的に変性された粘土の十分な展開を確実にして該最終ポリオレフィンブレンドの溶融強度が該ナノ複合体マスターバッチでの変性前の該ポリオレフィンブンレンドの溶融強度よりも大きくなる様にする工程、及び該最終ポリオレフィンブレンドを使用して物品を形成する工程、を含む事を特徴とする方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、ポリプロピレン系樹脂100質量部に、以下に示す(B)および(C)(B)有機化変性粘土が0.1質量部以上50質量部以下(C)以下に示す(C−1)、(C−2)、(C−3)、(C−4)および(C−5)の条件を満たす無水マレイン酸変性ポリプロピレンが0.5質量部以上30質量部以下(C−1)未反応無水マレイン酸が定量分析限界外である(C−2)ポリマー鎖数に対する酸含有率の割合が0.8以上2.0以下である(C−3)分子量分布が2.5以下である(C−4)分子量1万以下の成分量が0.5質量%以下である(C−5)極限粘度〔η〕が1以上であるが配合されたことを特徴とした複合樹脂組成物が開示されている。
特許文献4には、熱可塑性樹脂100重量部、層状珪酸塩0.1〜100重量部、酸変性ポリオレフィン系樹脂0.1〜50重量部及び発泡剤を含有することを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
特許文献5には、熱可塑性樹脂100重量部及び層状珪酸塩0.1〜50重量部を主成分として含むことを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体が開示されている。
特許文献6には、平均気泡径A(μm)と発泡倍率Bとが、下記の式(1)を満足することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体が開示されている。
平均気泡径A/(発泡倍率B−1)1/3≦30・・・(1)
【0005】
【特許文献1】特開2001−316510号公報
【特許文献2】特表2004−529226号公報
【特許文献3】特開2003−73510号公報
【特許文献4】特開2002−356574号公報
【特許文献5】特開2001−288293号公報
【特許文献6】特開2001−123000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、発泡性および発泡状態の初期厚さ非依存性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物、ならびに、前記ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の<1>または<2>に記載の手段により達成された。
<1> プロピレン重合体(A)を50〜99.8質量%、変性ポリオレフィン樹脂(B)を0.1〜30質量%、および、膨潤性層状珪酸塩(C)を0.1〜20質量%含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物、
(ただし、(A)、(B)及び(C)の合計を100質量%とする。)
<2> 上記<1>に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発泡性および発泡状態の初期厚さ非依存性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物、ならびに、前記ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン重合体(A)を50〜99.8質量%、変性ポリオレフィン樹脂(B)を0.1〜30質量%、および、膨潤性層状珪酸塩(C)を0.1〜20質量%含有することを特徴とする。
(ただし、(A)、(B)及び(C)の合計を100質量%とする。)
なお、数値範囲を示す「50〜99.8質量%」等の記載は、「50質量%以上、99.8質量%以下」と同義であり、特に断りのない限り他の数値範囲の記載も同様とする。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、発泡成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物として好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
<プロピレン重合体(A)>
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン重合体(A)として、プロピレン単独重合体(A−1)および/またはプロピレン−エチレン共重合体(A−2)を含むことが好ましく、プロピレン単独重合体(A−1)、または、プロピレン単独重合体(A−1)とプロピレン−エチレン共重合体(A−2)との混合物であることがより好ましい。
また、本発明に用いることができるプロピレン重合体(A)としては、プロピレン単独重合体(A−1)、プロピレン−エチレン共重合体(A−2)、プロピレン−α−オレフィン共重合体、および/または、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体が例示できる。
【0011】
プロピレン−エチレン共重合体(A−2)としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A−2−1)、または、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)が挙げられる。プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)とは、プロピレン単独重合体成分と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分とからなる共重合体である。
プロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、または、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体が挙げられる。プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体とは、プロピレン単独重合体成分と、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体成分とからなる共重合体である。なお、本発明におけるα−オレフィンとしては、炭素数4以上のα−オレフィンが挙げられる。
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、または、プロピレン−エチレン−α−オレフィンブロック共重合体が挙げられる。プロピレン−エチレン−α−オレフィンブロック共重合体とは、プロピレン単独重合体成分と、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体成分とからなる共重合体である。
プロピレン−α−オレフィン共重合体およびプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体で用いられるα−オレフィンとしては、炭素数が4〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。プロピレン重合体(A)は2種類以上併用してもよい。
好ましくは本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン単独重合体(A−1)およびプロピレン−エチレン共重合体(A−2)を含む。
【0012】
プロピレン重合体(A)として、好ましくは、剛性、耐熱性または硬度を高めるという観点から、プロピレン単独重合体(A−1)およびプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)である。
【0013】
プロピレン単独重合体(A−1)の13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は0.95以上が好ましく、さらに好ましくは0.98以上である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン単独重合体成分の、13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は0.95以上が好ましく、さらに好ましくは0.98以上である。
【0014】
アイソタクチック・ペンタッド分率とは、プロピレン重合体分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率であり、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖(以下、mmmmと表す。)の中にあるプロピレンモノマー単位の分率である。アイソタクチック・ペンタッド分率の測定方法は、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に記載されている方法、すなわち13C−NMRによって測定される方法である(ただし、NMR吸収ピークの帰属は、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて決定される。)。
【0015】
具体的には、13C−NMRスペクトルによって測定されるメチル炭素領域の吸収ピークの面積に対する、mmmmピークの面積の割合が、アイソタクチック・ペンタッド分率である。この方法によって測定された英国 NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14Polypropylene PP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率は、0.944であった。
【0016】
上記プロピレン単独重合体(A−1)の135℃のテトラリン溶媒中で測定される固有粘度(「極限粘度数」と同じ)([η]P)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン単独重合体成分の135℃のテトラリン溶媒中で測定される固有粘度([η]P)、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A−2−1)の135℃のテトラリン溶媒中で測定される固有粘度([η])は、それぞれ好ましくは、0.7〜5.0dl/gであり、より好ましくは0.8〜4.0dl/gであり、さらに好ましくは0.8〜2.0dl/gである。
【0017】
また、プロピレン単独重合体(A−1)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン単独重合体成分、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A−2−1)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(Q値、Mw/Mn)は、それぞれ好ましくは3〜7である。上記の数値の範囲内であると、優れた機械強度が得られるので好ましい。
【0018】
上記ブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分に含有されるエチレン含有量は好ましくは20〜65質量%、より好ましくは25〜50質量%である(ただし、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の全量を100質量%とする)。上記の数値の範囲内であると、シルバーストリークの発生量が少ないため好ましい。
【0019】
上記ブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の135℃のテトラリン溶媒中で測定される極限粘度数([η]EP)は、好ましくは2〜8dl/gであり、より好ましくは3〜8dl/gであり、さらに好ましくは4〜8dl/gである。上記の数値の範囲内であると、セルの微細性が高まるため好ましい。
【0020】
上記ブロック共重合体(A−2−2)を構成するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含有量は、好ましくは10〜60質量%であり、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜40質量%、特に好ましくは20〜40重量%である。
【0021】
上記プロピレン単独重合体(A−1)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1〜400g/10分であり、より好ましくは1〜300g/10分である。但し、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgである。本発明におけるメルトフローレート(MFR)の測定は、JIS K7210に規定された方法に準じて行うことが好ましく、以下同様である。
【0022】
上記プロピレン−エチレン共重合体(A−2)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1〜200g/10分であり、より好ましくは5〜150g/10分である。但し、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgである。
また、プロピレン重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1〜200g/10分であり、より好ましくは5〜150g/10分である。但し、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgである。上記の数値の範囲内であると、発泡成形性に優れるため好ましい。
【0023】
上記プロピレン重合体(A)の製造方法としては、例えば、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法によって製造する方法が挙げられる。
上記プロピレン重合体(A)の製造方法で用いられる公知の重合触媒としては、例えば、(1)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分と、(2)有機アルミニウム化合物と(3)電子供与体成分からなる触媒系が挙げられる。この触媒の製造方法としては、例えば、特開平1−319508号公報、特開平7−216017号公報や特開平10−212319号公報に記載されている製造方法が挙げられる。
【0024】
上記の製造方法で用いられる公知の重合方法としては、例えば、バルク重合法、溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法等が挙げられる。これらの重合方法は、バッチ式、連続式のいずれでもよく、また、これらの重合方法を任意に組み合わせてもよい。
【0025】
上記のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)の製造方法として、好ましくは、前記の固体触媒成分(1)と、有機アルミニウム化合物(2)と電子供与体成分(3)とからなる触媒系の存在下に少なくとも2槽からなる重合槽を直列に配置し、上記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン単独重合体成分を製造した後、製造された前記成分を次の重合槽に移し、その重合槽でプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を連続して製造して、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)を製造する方法である。
上記の製造方法で用いられる固体触媒成分(1)、有機アルミニウム化合物(2)および電子供与体成分(3)の使用量や、各触媒成分を重合槽へ供給する方法は、適宜、決めればよい。
【0026】
重合温度は、通常、−30〜300℃であり、好ましくは20〜180℃である。重合圧力は、好ましくは常圧〜10MPaであり、より好ましくは0.2〜5.0MPaである。分子量調整剤として、例えば、水素を用いてもよい。
【0027】
上記プロピレン重合体(A)の製造において、本重合を実施する前に、公知の方法によって、予備重合を行ってもよい。公知の予備重合の方法としては、例えば、固体触媒成分(1)および有機アルミニウム化合物(2)の存在下、少量のプロピレンを供給して溶媒を用いてスラリー状態で実施する方法が挙げられる。
【0028】
<変性ポリオレフィン樹脂(B)>
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、変性ポリオレフィン樹脂(B)を0.1〜30質量%含む。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における変性ポリオレフィン樹脂(B)の含有量は、0.1〜30質量%であり、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%である。ただし、(A)、(B)および(C)の合計量を100質量%とする。
変性ポリオレフィン樹脂(B)の含有量が0.1質量%未満であると、発泡成形性が低下する傾向にあり、また、変性ポリオレフィン樹脂(B)の含有量が30質量%を超えると、成形体の剛性が低下する傾向にある。
【0029】
本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂(B)は、ポリオレフィン樹脂を、後述する少なくとも一種の不飽和基(i)および少なくとも一種の極性基(ii)を有する少なくとも一種の化合物(b)により変性した変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましく、ポリオレフィン樹脂(a)100質量部と、少なくとも一種の不飽和基(i)および少なくとも一種の極性基(ii)を有する少なくとも一種の化合物(b)0.01〜20質量部と、有機過酸化物(c)0.001〜20質量部と、を反応させて得られる変性ポリオレフィン樹脂であることがより好ましい。
【0030】
中でも、本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂(B)は、
分子量分布(Mw/Mn)が1〜4であり、テトラリン中135℃で測定される極限粘度数が0.5〜10dl/gであり、JIS K7122に従う示差走査熱量測定によって、−50℃〜200℃の範囲に観測される結晶の融解熱量が30J/g以下であり、エチレンに由来する構造単位の含有量が60モル%以下である非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)0.1〜100質量%と結晶性ポリオレフィン樹脂(a2)99.9〜0質量%とからなるポリオレフィン樹脂(a)100質量部と(ここで、非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)と結晶性ポリオレフィン樹脂(a2)の合計を100質量%とする)、
少なくとも一種の不飽和基(i)および少なくとも一種の極性基(ii)を有する少なくとも一種の化合物(b)0.01〜20質量部と、
有機過酸化物(c)0.001〜20質量部と、
を反応させて得られる変性ポリオレフィン樹脂であることが特に好ましい。
【0031】
本発明で用いられる非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)は、少なくとも2種のオレフィンの共重合体であることが好ましい。非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)として、該共重合体を単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。
非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)に用いられるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、炭素数4〜20のα−オレフィン、環状オレフィン等が挙げられる。
【0032】
炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、直鎖状のα−オレフィン、分岐状のα−オレフィンが挙げられ、直鎖状のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン等が挙げられる。分岐状のα−オレフィンとしては、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0033】
環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、4−メチルシクロペンテン、4,4−ジメチルシクロペンテン、シクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン、4,4−ジメチルシクロヘキセン、1,3−ジメチルシクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3,5−シクロヘプタトリエン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、シクロドデセン等が挙げられる。
【0034】
少なくとも2種のオレフィンの共重合体に用いられる好ましい少なくとも2種のオレフィンは、本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂(B)を安定的に製造するという観点から、炭素数の合計が6以上となる少なくとも2種のオレフィンである。
【0035】
好ましい少なくとも2種のオレフィンの共重合体としては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体、エチレン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−オクタデセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−1−オクテン共重合体、1−ブテン−1−デセン共重合体、1−ブテン−1−オクタデセン共重合体、1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、1−ヘキセン−1−デセン共重合体、1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−オクテン−1−デセン共重合体、1−オクテン−1−オクタデセン共重合体、1−オクテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−デセン−1−オクタデセン共重合体、1−デセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−オクタデセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−デセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−デセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−デセン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン−1−デセン共重合体、エチレン−1−オクテン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−1−オクテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−デセン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−1−デセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクタデセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−オクタデセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−オクテン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−オクテン−1−オクタデセン共重合体、プロピレン−1−オクテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−デセン−1−オクタデセン共重合体、プロピレン−1−デセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−オクタデセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン−1−デセン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ブテン−1−オクテン−1−デセン共重合体、1−ブテン−1−オクテン−1−オクタデセン共重合体、1−ブテン−1−オクテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ブテン−1−デセン−1−オクタデセン共重合体、1−ブテン−1−デセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ブテン−1−オクタデセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン−1−デセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン−1−デセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン−1−デセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体等が挙げられる。
【0036】
本発明で用いられる非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)の分子量分布(Mw/Mn)は1〜4であることが好ましく、本発明の変性熱可塑性樹脂組成物の塗装密着性を高めるという観点から、1〜3であることがより好ましい。ここで、Mwは重量平均分子量を示し、Mnは数平均分子量を示す。
【0037】
非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)の数平均分子量(Mn)は、本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂(B)を安定的に生産するという観点から、好ましくは50,000〜2,000,000であり、より好ましくは70,000〜1,300,000である。
【0038】
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定される数値であって、その測定方法は、次のとおりである。
【0039】
非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)約5mgをo−ジクロロベンゼン5mlに溶解して得られる溶液を用い、以下の条件下、ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法によって、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)を測定する。
(1)GPC装置として、Waters社製の商品名150C/GPCを用いる。
(2)カラムとして、昭和電工(株)製の商品名Sodex Packed ColumnA−80Mを用いる。
(3)樹脂(a1)のo−ジクロロベンゼンの上記溶液400μlをインジェクションする。
(4)溶出温度を140℃とする。
(5)溶出溶媒流速を1.0ml/分とする。
(6)検出器として、屈折率検出器を用いる。
(7)分子量標準物質として、東ソー(株)製の分子量が6,800,000〜8,400,000であるポリスチレンを用いる。
(8)ポリスチレンの分子量に換算された値として、非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を得、分子量分布(Mw/Mn)を算出する。
【0040】
非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)のテトラリン中135℃で測定される極限粘度([η])は、本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂(A)を安定的に生産するという観点から、0.5〜10dl/gであることが好ましく、0.7〜7dl/gであることがより好ましく、1〜5dl/gであることがさらに好ましい。
【0041】
非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)のJIS K7122に従う示差走査熱量測定によって、−50℃〜200℃の範囲に観測される結晶の融解熱量は30J/g以下であり、好ましくは20dl/g以下であり、より好ましくは10dl/g以下である。
【0042】
非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)に含有されるエチレンに由来する構造単位の含有量は60モル%以下であり、好ましくは55モル%以下である。ただし、非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)の全量を100モル%とする。
【0043】
非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)として、好ましくは、アタクチック構造を有するオレフィン共重合体である。ここで、アタクチック構造を有するオレフィン共重合体とは、プロピレン単位からなる側鎖の構造、プロピレン単位と炭素数4〜20のα−オレフィン単位とからなる側鎖の構造、および、炭素数4〜20のα−オレフィン単位からなる側鎖の構造のいずれもが、アタクチック構造であるオレフィン共重合体を意味する。
【0044】
非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)として、より好ましくは、JIS K7122に従う示差走査熱量計を用いる測定において、結晶の融解に基づく融解熱量が1J/g以上であるピーク、及び、結晶化に基づく結晶化熱量が1J/g以上であるピークのいずれのピークも有しないポリオレフィン樹脂である。
【0045】
非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)の製造方法としては、当該樹脂(a1)として分子量分布が狭いオレフィン共重合体が得られるという観点から、好ましくは、メタロセン触媒を用いる製造方法である。メタロセン触媒としては、少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族〜第6族の遷移金属錯体が挙げられ、具体的には、特開平9−151205号公報(対応欧州特許出願公開第708117号明細書)、特開昭58−19309号公報(対応米国特許第4542199号明細書)、特開昭60−35005号公報(対応米国特許第4536484号明細書)、特開昭60−35006号公報(対応米国特許第4937299号明細書)、特開昭60−35007号公報(対応米国特許第5324800号明細書)、特開昭60−35008号公報(対応米国特許第4530914号明細書)、特開昭61−130314号公報(対応米国特許第4769510号明細書)、特開平3−163088号公報(対応米国特許第5703187号明細書)、特開平4−268307号公報(対応米国特許第5243001号明細書)、特開平9−12790号公報(対応欧州特許出願公開第751182号明細書)、特開平9−87313号公報(対応米国特許第6329478号明細書)、特開平11−193309号公報(対応米国特許第6084048号明細書)、特開平11−80233号公報(対応米国特許第6121401号明細書)、特表平10−508055号公報(対応米国特許第5986029号明細書)に記載されたメタロセン触媒が挙げられる。
【0046】
非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)の製造に用いられるメタロセン触媒として、好ましくは、下式[I]〜[III]で表される遷移金属錯体(d)の中の少なくとも一種と、下記(e1)〜(e3)のアルミニウム化合物(e)の中の少なくとも一種及び/又は下記(f1)〜(f3)のホウ素化合物(f)の中のいずれか一種とを接触させて得られる重合触媒である。
【0047】
【化1】

【0048】
上式[I]〜[III]において、M1は元素の周期律表の第4族の遷移金属原子であり;Aは元素の周期律表の第16族の原子であり;Jは元素の周期律表の第14族の原子であり;Cp1はシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基であり;X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基であって、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、任意に相互に結合して環を形成してもよく;X3は元素の周期律表の第16族の原子であり;上式[II]または[III]における二つの、M1、A、J、Cp1、X1、X2、X3、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ、相互に同じであっても異なっていてもよい。
【0049】
(e1):式 E1aAlZ3-aで表される有機アルミニウム化合物
(e2):式{−Al(E2)−O−}bで表される構造を有する環状のアルミノキサン
(e3):式 E3{−Al(E3)−O−}cAlE32で表される構造を有する線状のアルミノキサン
(e1)〜(e3)において、E1、E2及びE3はそれぞれ炭化水素基であって、E1が複数個の場合、夫々のE1は同じであっても異なっていてもよく、夫々のE2やE3は同じであっても異なっていてもよく、Zは水素原子またはハロゲン原子であって、Zが複数個の場合、夫々のZは同じであっても異なっていてもよく、aは0<a≦3を満足する整数であり、bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。
【0050】
(f1):式 BQ123で表されるホウ素化合物
(f2):式 G+(BQ4567-で表されるホウ素化合物
(f3):式 (L−H)+(BQ891011-で表されるホウ素化合物
(f1)〜(f3)において、Bはホウ素原子であり、Q1〜Q11はハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基であって、Q1〜Q11は同じであっても異なっていてもよく、G+は無機または有機のカチオンであり、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸である。
【0051】
上記の遷移金属錯体(d)、アルミニウム化合物(e)およびホウ素化合物(f)は、上記特開平11−80233号公報の第10欄第4行〜第33欄第44行(対応米国特許第6121401号公報の第5欄第10行〜第19欄63行)に、詳細に記載されている。
【0052】
成分(f)を用いない場合(つまり、成分(d)と(e)とを用いる場合)、成分(e)として、成分(e2)、成分(e3)または両者の組合せが好ましい。成分(d)、(e)及び(f)の組合せが好ましく、その際の成分(e)として、成分(e1)が好ましい。
【0053】
成分(e)は、成分(d)1モルあたり、好ましくは0.1〜10,000モル、より好ましくは5〜2,000モル使用される。
成分(f)は、成分(d)1モルあたり、好ましくは0.01〜100モル、より好ましくは0.5〜10モル使用される。
【0054】
成分(d)、(e)および(f)の溶液または懸濁液を用いる場合、成分(d)の溶液または懸濁液の濃度は、溶液または懸濁液の1gあたり、好ましくは0.01〜500μmol、より好ましくは0.05〜100μmol、さらに好ましくは、0.05〜50μmolである。成分(e)の溶液または懸濁液の濃度は、溶液または懸濁液の1gあたり、成分(e)中に含まれるAl原子の量に換算して、好ましくは0.01〜10,000μmol、より好ましくは、0.1〜5,000μmol、さらに好ましくは、0.1〜2,000μmolである。成分(f)の溶液または懸濁液の濃度は、溶液または懸濁液の1gあたり、好ましくは0.01〜500μmol、より好ましくは0.05〜200μmol、さらに好ましくは0.05〜100μmolである。溶液または懸濁液の濃度は、溶液または懸濁液を重合反応器へ供給する装置に応じて、上記範囲内で適宜選択される。
【0055】
非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)の重合方法として、溶媒を用いる溶媒重合またはスラリー重合や、ガス状のモノマー中での気相重合が挙げられる。溶媒重合またはスラリー重合で用いられる溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等が挙げられ、脂肪族炭化水素としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等が、芳香族炭化水素としてはベンゼン、トルエン等が、ハロゲン化炭化水素としてはメチレンジクロライド等が挙げられる。
【0056】
重合方法としては、連続重合方法や回分式重合方法が挙げられる。重合温度は、好ましくは−50〜200℃であり、より好ましくは−20〜100℃である。重合圧力は、常圧〜60kg/cm2Gが好ましい。重合時間は、使用する触媒の種類や反応装置に応じて適宜決定すればよく、好ましくは1分間〜20時間である。得られる共重合体の分子量を調節するために、水素のような連鎖移動剤を添加することができる。
【0057】
本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂(a2)は、JIS K7122に従う示差走査熱量計を用いる測定において、結晶の融解に基づく融解熱量が1J/g以上であるピーク、または、結晶化に基づく結晶化熱量が1J/g以上であるピークのいずれかのピークを有するポリオレフィン樹脂であり、好ましくは結晶の融解に基づく融解熱量が30J/gを超えるピーク、または、結晶化に基づく結晶化熱量が30J/gを超えるピークのいずれかのピークを有するポリオレフィン樹脂である。
【0058】
結晶性ポリオレフィン樹脂(a2)としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)樹脂等挙げられ、好ましくはポリプロピレン樹脂である。
【0059】
結晶性ポリオレフィン樹脂(a2)として用いられるポリプロピレン樹脂としては、前述したプロピレン重合体(A)を好適に用いることができ、また、前述した好ましい態様も同様である。
【0060】
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(a)は、非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)および/または結晶性ポリオレフィン樹脂(a2)であり、好ましくは非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)0.1〜100質量%と結晶性ポリオレフィン樹脂(a2)99.1〜0質量%とからなるポリオレフィン樹脂である。ここで、非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)と結晶性ポリオレフィン樹脂(a2)の合計を100質量%とする。
【0061】
前記樹脂(a1)と前記樹脂(a2)の含有量として、好ましくは、生産性の観点から、前記樹脂(a1)40〜95質量%と前記樹脂(a2)60〜5質量%であり、より好ましくは前記樹脂(a1)50〜90質量%と前記樹脂(a2)50〜10質量%である。
【0062】
本発明で用いられる化合物(b)は、少なくとも一種の不飽和基(i)および少なくとも一種の極性基(ii)を有する化合物である。
【0063】
不飽和基(i)としては、炭素−炭素二重結合、または、炭素−炭素三重結合である。
極性基(ii)としては、例えば、カルボキシル基、エステル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトリル基、エポキシ基、水酸基、イソシアナート基、2−オキサ−1,3−ジオキソ−1,3−プロパンジイル基、ジヒドロオキサゾリル基等が挙げられ、またアミノ基から誘導されるアンモニウム塩の構造を有する基も挙げられる。
【0064】
化合物(b)としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル化合物、不飽和カルボン酸のアミド化合物、不飽和カルボン酸の無水物、不飽和エポキシ化合物、不飽和アルコール、不飽和アミン、不飽和イソシアナート化合物等が挙げられる。
【0065】
化合物(b)として、さらに具体的には、
(1)マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジド、無水メチルナジック酸、無水ジクロロマレイン酸、マレイン酸アミド、イタコン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、
【0066】
(2)無水マレイン酸とジアミンの反応物、例えば、下式で表される構造を有する化合物類、
【0067】
【化2】

(ただし、上式において、Rは脂肪族基、または、芳香族基を表す。)
【0068】
(3)大豆油、キリ油、ヒマシ油、アマニ油、麻実油、綿実油、ゴマ油、菜種油、落花生油、椿油、オリーブ油、ヤシ油、イワシ油等の天然油脂類、
(4)エポキシ化天然油脂類、
【0069】
(5)アクリル酸、ブテン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、α−エチルアクリル酸、β−メチルクロトン酸、4−ペンテン酸、2−ヘキセン、2−メチル−2−ペンテン酸、3−メチル−2−ペンテン酸、α−エチルクロトン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2−ヘプテン酸、2−オクテン酸、4−デセン酸、9−ウンデセン酸、10−ウンデセン酸、4−ドデセン酸、5−ドデセン酸、4−テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、9−ヘキサデセン酸、2−オクタデセン酸、9−オクタデセン酸、アイコセン酸、ドコセン酸、エルカ酸、テトラコセン酸、ミコリペン酸、2,4−ヘキサジエン酸、ジアリル酢酸、ゲラニウム酸、2,4−デカジエン酸、2,4−ドデカジエン酸、9,12−ヘキサデカジエン酸、9,12−オクタデカジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、アイコサジエン酸、アイコサトリエン酸、アイコサテトラエン酸、リシノール酸、エレオステアリン酸、オレイン酸、アイコサペンタエン酸、エルシン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘキサコジエン酸、オクタコセン酸、トラアコンテン酸等の不飽和カルボン酸類、
(6)上記の不飽和カルボン酸のエステル化合物、アミド化合物または無水物、
【0070】
(7)アリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、アリルカルビノール、メチルプロピペニルカルビノール、4−ペンテン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、プロパルギルアルコール、1,4−ペンタジエン−3−オール、1,4−ヘキサジエン−3−オール、3,5−ヘキサジエン−2−オール、2,4−ヘキサジエン−1−オール等の不飽和アルコール、
【0071】
(8)3−ブテン−1,2−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、2,6−オクタジエン−4,5−ジオール等の不飽和アルコール、
【0072】
(9)上記の不飽和アルコールの水酸基が、アミノ基に置換された不飽和アミン、
(10)ブタジエンやイソプレン等の分子量が低い重合体(例えば、数平均分子量が500から10000ぐらいの重合体)に無水マレイン酸やフェノール類を付加したもの、
【0073】
(11)ブタジエンやイソプレン等の分子量が高い重合体(例えば、数平均分子量が10000以上の重合体)に無水マレイン酸やフェノール類を付加したもの、
(12)ブタジエンやイソプレン等の分子量が低い重合体(例えば、数平均分子量が500〜10,000ぐらいの重合体)にアミノ基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基等を導入したもの、
【0074】
(13)ブタジエンやイソプレン等の分子量が高い重合体(例えば、数平均分子量が10,000以上の重合体)にアミノ基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基等を導入したもの、
(14)イソシアン酸アリル、
等が挙げられる。そして、化合物(b)を、単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用しても良い。
【0075】
化合物(b)として、好ましくは、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0076】
本発明で用いられる有機過酸化物(c)は、分解してラジカルを発生した後、ポリオレフィン樹脂(a)からプロトンを引き抜く作用を有する有機過酸化物であり、化合物(b)のポリオレフィン樹脂(a)へのグラフト量を向上させるという観点や、ポリオレフィン樹脂(a)の分解を防止するという観点から、好ましくは、半減期が1分である分解温度が50〜210℃の有機過酸化物である。
【0077】
半減期が1分である分解温度が50〜210℃の有機過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、パーオキシケタール化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカボネート化合物等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ジアシルパーオキサイド化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカボネート化合物である。
【0078】
さらに具体的には、ジセチルパーオキシジカルボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカルボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジミリスチルパーオキシカルボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブテン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレラート、ジ−t−ブチルベルオキシイソフタレート、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
【0079】
本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂(B)は、ポリオレフィン樹脂(a)100質量部と、化合物(b)0.01〜20質量部と、有機過酸化物(c)0.001〜20質量部とを反応させて得られる変性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
化合物(b)の使用量として、好ましくは、ポリオレフィン樹脂(a)100質量部に対して0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.3〜3質量部である。有機過酸化物(c)の使用量として、好ましくは、ポリオレフィン樹脂(a)100質量部に対して、0.05〜10質量部である。
【0080】
本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂(B)を得るときに、ポリオレフィン樹脂(a)と化合物(b)と有機過酸化物(c)に、スチレンやジビニルベンゼン等のビニル芳香族化合物を使用しても良い。ビニル芳香族化合物を使用する場合、ポリオレフィン樹脂(a)100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部であり、より好ましくは0.1〜7質量部である。また、変性ポリオレフィン樹脂(B)を得るときに、さらに、酸化防止剤、耐熱安定剤や中和剤等の公知の添加剤を使用してもよい。
【0081】
本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂(B)を得る方法としては、ポリオレフィン樹脂(a)と化合物(b)と有機過酸化物(c)とを均一な混合物にして反応させる方法が挙げられる。ポリオレフィン樹脂(a)と化合物(b)と有機過酸化物(c)とを均一に混合する方法としては、ヘンシェルミキサーやボンブレンダー等の混合装置によって、混合する方法が挙げられる。
【0082】
ポリオレフィン樹脂(a)と化合物(b)と有機過酸化物(c)との均一な混合物を反応させる方法としては、前記混合物を
〔1〕有機溶剤に溶解させ、得られた溶液を加熱する方法、
〔2〕水中に懸濁させ、得られた懸濁液を加熱する方法、
〔3〕気相中で加熱する方法、
〔4〕溶融混練する方法
等が挙げられ、経済的であるという観点から、好ましくは上記〔4〕の方法である。
【0083】
上記〔4〕の方法における溶融混練の方法としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、一軸押出機、二軸押出機等の公知の装置を用いる方法が挙げられる。好ましくは、連続生産ができ生産性が高いという観点から、一軸押出機または二軸押出機を用いて溶融混練する方法である。
【0084】
溶融混練する製造方法としては、
〔1〕非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)と結晶性ポリオレフィン樹脂(a2)と化合物(b)と有機過酸化物(c)の全部を一括して溶融混練する方法、
〔2〕前記樹脂(a1)と前記樹脂(a2)を予め溶融混練した後に、化合物(b)と有機過酸化物(c)を同時または任意の順番に添加して溶融混練する方法、
〔3〕前記樹脂(a1)と前記樹脂(a2)を予め溶融混練した後に、前記樹脂(a1)と化合物(b)と有機過酸化物(c)を同時または任意の順番に添加して溶融混練する方法、
〔4〕前記樹脂(a1)と前記樹脂(a2)を予め溶融混練した後に、前記樹脂(a2)と化合物(b)と有機過酸化物(c)を同時または任意の順番に添加して溶融混練する方法、
〔5〕前記樹脂(a1)と前記樹脂(a2)を予め溶融混練した後に、前記樹脂(a1)と前記樹脂(a2)と化合物(b)と有機過酸化物(c)を同時または任意の順番に添加して溶融混練する方法、
等が挙げられ、好ましくは、非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)の互着を防止するという観点から、上記〔2〕の方法または上記〔4〕の方法である。
【0085】
溶融混練の温度(押出機の場合はシリンダの温度)は、ポリオレフィン樹脂(a)への化合物(b)のグラフト量を向上させるという観点や、ポリオレフィン樹脂(a)の分解を抑えるという観点から、好ましくは50〜300℃であり、より好ましくは80〜270℃である。
溶融混練の時間は、グラフト量を充分に向上させるという観点から、好ましくは0.1〜30分であり、より好ましくは0.5〜5分である。
【0086】
<膨潤性層状珪酸塩(C)>
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、膨潤性層状珪酸塩(C)を0.1〜20質量%含む。
膨潤性層状珪酸塩(C)としては、特に制限はなく、スメクタイト類、バーミキュライト類、および、雲母類が好ましく例示でき、スメクタイト類、および、雲母類がより好ましく例示できる。
また、膨潤性層状珪酸塩(C)は、天然で産出される天然膨潤性層状珪酸塩であっても、合成により得られる合成膨潤性層状珪酸塩であってもよい。
なお、膨潤性層状珪酸塩における「膨潤性」とは、層状珪酸塩の結晶層間に水やアルコール、エーテル等の溶媒が侵入したときに膨潤する性質をいう。
【0087】
スメクタイト類しては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等が挙げられる。
バーミキュライト類としては、トリオクタヘドラルバーミキュライト、ジオクタヘドラルバーミキュライト等が挙げられる。
雲母類としては、黒雲母、金雲母、鉄雲母、イーストナイト、シデロフィライトテトラフェリ鉄雲母、鱗雲母、ポリリシオナイト、白雲母、セラドン石、鉄セラドン石、鉄アルミノセラドン石、アルミノセラドン石、砥部雲母、ソーダ雲母、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四ケイ素フッ素雲母、Li型四ケイ素フッ素雲母等が挙げられる。
【0088】
また、膨潤性層状珪酸塩(C)は、有機化された膨潤性層状珪酸塩であってもよい。
膨潤性層状珪酸塩の有機化については、特に制限はなく、公知の方法により有機化を行えばよい。膨潤性層状珪酸塩の有機化に使用する化合物としては、例えば、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオン、ジステアリルアンモニウムイオン等が挙げられる。
【0089】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における膨潤性層状珪酸塩(C)の含有量は、0.1〜20質量%であり、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。ただし、(A)、(B)および(C)の合計量を100質量%とする。
膨潤性層状珪酸塩(C)の含有量が0.1質量%未満であると、組成物の十分な伸張粘度得られず、発泡成形体の形成時に、発泡セルの肥大化やセルサイズの不均一化が生じ、器械物性の低下が生じる。膨潤性層状珪酸塩(C)の含有量が20質量%を超えると樹脂組成物を製造する工程での作業性が悪化するだけでなく、ポリプロピレン系樹脂組成物の発泡成形性が悪化することがある。
【0090】
膨潤性層状珪酸塩(C)の平均粒子径としては、好ましくは0.01〜50μmであり、より好ましくは0.1〜30μmであり、さらに好ましくは0.1〜5μmである。ここで膨潤性層状珪酸塩(C)の平均粒子径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
【0091】
膨潤性層状珪酸塩(C)は、無処理のまま使用してもよく、ポリプロピレン系樹脂組成物との界面接着強度を向上させる、またはポリプロピレン系樹脂組成物中での膨潤性層状珪酸塩(C)の分散性を向上させるために、公知の各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類あるいは他の界面活性剤で膨潤性層状珪酸塩(C)の表面を処理して使用してもよい。
膨潤性層状珪酸塩(C)は、事前に、プロピレン重合体(A)と溶融混練し、マスターバッチとして使用してもよい。
【0092】
<エチレン−α−オレフィン重合体(D)>
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、エチレン−α−オレフィン共重合体(D)を含むことが好ましい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物におけるエチレン−α−オレフィン共重合体(D)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましい。
【0093】
前記エチレン−α−オレフィン共重合体(D)は、密度が0.85〜0.89g/cm3であることが好ましく、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が1〜40g/10分であることが好ましい。
【0094】
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体(D)は、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、または、これらの混合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0095】
エチレン−α−オレフィン共重合体(D)に用いられるα−オレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。α−オレフィンとして、好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数4〜12のα−オレフィンである。
【0096】
エチレン−α−オレフィン共重合体(D)の製造方法としては、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等によって、所定のモノマーを、メタロセン系触媒を用いて重合する方法が挙げられる。
メタロセン系触媒としては、例えば、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報等に記載されているメタロセン系触媒が挙げられる。
メタロセン系触媒を用いるエチレン−α−オレフィン共重合体(D)の製造方法として、好ましくは、欧州特許出願公開第1211287号明細書に記載されている方法が挙げられる。
【0097】
エチレン−α−オレフィン共重合体(D)に含有されるエチレン含量は、好ましくは20〜95質量%であり、より好ましくは30〜90質量%であり、さらに好ましくは60〜90質量%である。α−オレフィン含量は、好ましくは80〜5質量%であり、より好ましくは70〜10質量%であり、さらに好ましくは40〜10質量%である。
【0098】
エチレン−α−オレフィン共重合体(D)の密度は、0.85〜0.89g/cm3であることが好ましく、より好ましくは0.85〜0.88g/cm3であり、さらに好ましくは0.86〜0.88g/cm3である。密度が0.85g/cm3以上であると、発泡成形性に優れ、また、0.89g/cm3以下であると発泡セルの均一性、微細性が良好であるので好ましい。
【0099】
エチレン−α−オレフィン共重合体(D)のメルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)は、1〜40g/10分であることが好ましく、10〜35g/10分がよりさらに好ましい。メルトフローレートが1g/10分以上であると、得られる発泡成形体のシルバーストリークの発生が抑制されるので好ましい。
【0100】
<添加剤>
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、添加剤を含有させてもよく、例えば、中和剤、酸化防止剤、耐光剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、分散剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、造核剤、難燃剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、着色剤、顔料等が挙げられる。
【0101】
<ポリプロピレン系樹脂組成物の物性>
(メルトフローレート)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)は、40〜200g/10分であることが好ましく、40〜150g/10分であることがより好ましく、40〜120g/10分であることがさらに好ましい。
【0102】
<ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、特に制限はないが、前記プロピレン重合体(A)、前記変性ポリオレフィン樹脂(B)および前記層状珪酸塩(C)を溶融混練装置に供給する工程、ならびに、前記プロピレン重合体(A)、前記変性ポリオレフィン樹脂(B)および前記層状珪酸塩(C)を含む樹脂組成物を前記溶融混練装置により熱処理する工程を含むことが好ましい。
上記の熱処理は、溶融混練することで行われるものである。
【0103】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、各成分を溶融混練する工程を有し、溶融混練に用いられる溶融混練装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等が挙げられる。
熱処理(溶融混練)の温度は、好ましくは170〜250℃であり、熱処理時間は、好ましくは20秒〜20分である。また、各成分の溶融混練は同時に行ってもよく、分割して行ってもよい。例えば樹脂組成物の各成分を所定量計量し、タンブラー等で均一に予備混合する工程と、予備混合物を溶融混練する工程とを含むことが好ましい。
【0104】
<発泡成形体>
本発明の発泡成形体は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体であり、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に発泡剤を添加し、成形することによって得られる発泡成形体であることが好ましい。
【0105】
本発明で使用される発泡剤は特に限定されるものではなく、公知の化学発泡剤や物理発泡剤を用いることができる。
発泡剤の添加量は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.2〜8質量%である。
【0106】
化学発泡剤としては、無機化合物であっても有機化合物であってもよく、2種以上を併用してもよい。無機化合物としては、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩などが挙げられる。有機化合物としては、クエン酸などのポリカルボン酸、アゾジカルボンアミド(ADCA)などのアゾ化合物などが挙げられる。
物理発泡剤としては、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスや揮発性有機化合物などが挙げられる。中でも超臨界状態の二酸化炭素、窒素、あるいはこれらの混合物を使用することが好ましい。物理発泡剤は2種以上を併用してもよく、化学発泡剤と物理発泡剤とを併用してもよい。
【0107】
物理発泡剤を用いる場合には、物理発泡剤を超臨界状態で溶融状のポリプロピレン系樹脂組成物に混合することが好ましい。超臨界状態の物理発泡剤は樹脂への溶解性が高く、短時間で溶融状のポリプロピレン系樹脂組成物に均一に拡散することができるため、発泡倍率が高く、均一な発泡セル構造をもつ発泡成形体を得ることができる。
溶融状のポリプロピレン系樹脂組成物に物理発泡剤を混合する工程としては、物理発泡剤を射出成形装置のノズルまたはシリンダ内に注入する工程が挙げられる。
【0108】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形する工程として、具体的には、射出発泡成形法、プレス発泡成形法、押出発泡成形法、スタンパブル発泡成形法などの公知の方法を用いた工程が挙げられる。
【0109】
物理発泡剤を用いる場合には、超臨界状態で溶融状のポリプロピレン系樹脂組成物に混合することが好ましい。超臨界状態の物理発泡剤は樹脂への溶解性が高く、短時間で溶融状のポリプロピレン系樹脂組成物に均一に拡散することができるため、発泡倍率が高く、均一な発泡セル構造をもつ発泡成形体を得ることができる。
【0110】
溶融状のポリプロピレン系樹脂組成物に物理発泡剤を混合する方法としては、物理発泡剤を射出成形装置のノズルまたはシリンダ内に注入する方法が挙げられる。
【0111】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形する方法は、具体的には射出発泡成形法、プレス発泡成形法、押出発泡成形法、スタンパブル発泡成形法などの公知の方法が挙げられる。
【0112】
本発明の発泡成形体は、インサート成形、接着などの方法により表皮材を貼合して加飾発泡成形体とすることもできる。
【0113】
前記の表皮材としては、公知の表皮材を使用できる。具体的な表皮材としては、織布、不織布、編布、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーからなるフィルム、シート等が例示される。さらに、これらの表皮材に、ポリウレタン、ゴム、熱可塑性エラストマー等のシートを積層した複合表皮材を使用してもよい。
表皮材には、さらにクッション層を設けることができる。かかるクッション層を構成する材料は、ポリウレタンフォーム、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)フォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォーム等が例示される。
【0114】
<発泡成形体の用途>
本発明の発泡成形体の用途としては、例えば、自動車内装部品および外装部品等の自動車部品、二輪車部品、家具や電気製品の部品等が挙げられる。中でも、本発明の発泡成形体は、自動車部品用に好適に用いることができ、自動車内装用部品により好適に用いることができる。
【0115】
自動車内装部品としては、例えば、インストルメンタルパネル、トリム、ドアーパネル、サイドプロテクター、コンソールボックス、コラムカバー等が挙げられ、自動車外装部品としては、例えば、バンパー、フェンダー、ホイールカバー等が挙げられ、二輪車部品としては、例えば、カウリング、マフラーカバー等が挙げられる。
【実施例】
【0116】
以下、実施例および比較例によって、本発明を説明する。
【0117】
実施例または比較例では、以下に示した樹脂および添加剤を用いた。
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)
特開2004−182876号公報に記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分、および、そのα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法に準拠して調製した固体触媒成分を用いて、気相重合法により製造した。
MFR:130g/10min
プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の極限粘度[η]T:1.4dl/g
プロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]P:0.8dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の共重合体全体に対する質量比率:12質量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EP:7.0dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン単位含量:32質量%
【0118】
(2)プロピレン単独重合体(A−2)
特開平7−216017号公報記載の固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。
MFR:20g/10min
【0119】
(3)プロピレン単独重合体(A−3)
特開平7−216017号公報記載の固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。
MFR:120g/10min
【0120】
(4)プロピレン単独重合体(A−4)
特開平7−216017号公報記載の固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。
MFR:300g/10min
【0121】
(5)プロピレン単独重合体(A−5)
住友化学(株)社製 商品名:FS2011DG3
【0122】
(6)非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)
攪拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、分子量調節剤として水素を用い、エチレン、プロピレンおよび1−ブテンを以下の方法で連続的に共重合させて、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体(a1)を得た。
重合器の下部から、重合溶媒としてヘキサンを239L/時間の供給速度で、エチレンを3.27kg/時間の供給速度で、プロピレンを0.70kg/時間の供給速度で、1−ブテンを6.23kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
重合器の上部から、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出し、重合器の下部から、重合用触媒の成分として、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.017g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.967g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを1.984g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、42℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマーおよび水洗浄をし、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体を得、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。該共重合体の生成速度は3.06kg/時間であった。
得られたエチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体(a1)の物性評価結果を、表1に示す。
【0123】
【表1】

【0124】
(7)変性ポリオレフィン(B)
(7−1)変性非晶性オレフィン重合体マスターバッチ(B−1)
上記で得られた非晶性オレフィン重合体(a1)とプロピレン単独重合体(A−5)とを55/45wt%の割合で混練したマスターバッチペレットを事前に準備し、当該マスターバッチペレット100質量部に、無水マレイン酸2.0質量部、有機過酸化物(化薬アクゾ(株)製、商品名:パーカドックス14RP)0.15質量部、有機過酸化物(化薬アクゾ(株)製、商品名:パーカドックス24)0.56質量部を加え、均一に予備混合した後、2軸押出機(日本プラコン(株)製、L/D=32)を用いて、250℃、スクリュー回転数150rpmの条件で混練押出して、変性非晶性オレフィン重合体マスターバッチ(B−1)を製造した。MFRは50g/10min、無水マレイン酸グラフト率は0.7質量%であった。
(7−2)変性プロピレン重合体(B−2)
プロピレン単独重合体(MFR:0.5g/10min)100質量部に、無水マレイン酸1.0質量部、スチレン1.0質量部、有機過酸化物(化薬アクゾ(株)製、商品名:パーカドックス14RP)0.048質量部、有機過酸化物(化薬アクゾ(株)製、商品名:パーカドックス24)0.5質量部を加え、均一に予備混合した後、2軸押出機を用いて、220℃、スクリュー回転数240rpmの条件で混練押出して、変性プロピレン重合体(B−2)を製造した。MFRは23g/10min、無水マレイン酸グラフト率は0.8質量%であった。
(7−3)変性プロピレン重合体(B−3)
無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンブロック共重合体
住友化学(株)製 商品名: EXM003−2
【0125】
(8)膨潤性層状珪酸塩(C)
(C−1) (株)ホージュン製 商品名:エスベンNX(有機化モンモリロナイト:膨潤性層状珪酸塩)
(C−2) コープケミカル(株)製 商品名:ソマシフMAE(有機化雲母:膨潤性層状珪酸塩)
(C−3) 林化成(株)製 商品名:JR−46(タルク、粒径2.7μm)
【0126】
(9)エチレン−α−オレフィン共重合体(D)
エチレン−ブテン共重合体ゴム
商品名: CX5505(住友化学(株)製)
密度: 0.878(g/cm3
MFR(190℃、2.16kg荷重): 14(g/10分)
【0127】
(実施例1〜4、比較例1)
表2に示した各成分を所定量、計量し、タンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機((株)日本製鋼所製TEX44SS 30BW−2V型)を用いて、押出量30〜50kg/hr、スクリュー回転数300rpm、ベント吸引下で混練押出して、ポリプロピレン系樹脂組成物ペレットを製造した。
このペレットを用い、エンゲル社製ES2550/400HL−MuCell(型締力400トン)射出成形機を用いて、射出発泡成形を行った。
金型として、成形体概略寸法が、図1に示した成形品部寸法が290mm×370mm、高さ45mm、型締めした状態の基本キャビティクリアランス(初期板厚)1.5mmtに、一部1.6mmtの部分を有する箱型形状(ゲート構造:ダイレクトゲート)のものを用いた。
シリンダ温度250℃、金型温度50℃に設定し、型締め後、発泡剤を含む前記組成物の射出を開始した。前記組成物を、金型キャビティ内に完全に射出充填した後、金型のキャビティ壁面を2.0mm後退させて該キャビティを増加させて組成物を発泡させた。発泡した組成物を更に冷却し、完全に固化させて発泡成形体を得、ゲートから100mmの部位にて発泡成形体の評価を行った。結果を表2に示す。
【0128】
実施例および比較例で用いた樹脂成分及び組成物の物性の測定法を以下に示した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K6758に規定された方法に従って測定した。特に断りのない限り、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgfで測定した。
【0129】
(2)プロピレン−エチレンブロックコポリマーの構造分析
(2−1)プロピレン−エチレンブロックコポリマーの固有粘度
(2−1−a)プロピレン単独重合体部分(第1セグメント)の固有粘度:[η]P
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の固有粘度:[η]Pはその製造時に、第1工程であるプロピレン単独重合体の重合後に重合槽内よりプロピレン単独重合体を取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体の[η]Pを測定して求めた。
【0130】
(2−1−b)プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の固有粘度:[η]EP
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の第2セグメントであるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の固有粘度:[η]EPは、プロピレン単独重合体部分の固有粘度:[η]Pとプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の固有粘度:[η]Tをそれぞれ測定し、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する質量比率:Xを用いて次式から計算により求めた。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の固有粘度(dl/g)
[η]T:ブロック共重合体全体の固有粘度(dl/g)
【0131】
(2−2)プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する質量比率:X
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する質量比率:Xはプロピレン単独重合体部分(第1セグメント)と結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の結晶融解熱量をそれぞれ測定し、次式を用いて計算により求めた。結晶融解熱量は、示唆走査型熱分析(DSC)により測定した。
X=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレン単独重合体部分の融解熱量(cal/g)
【0132】
(2−3)結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量:(C2’)EP
結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体のエチレン−プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量:(C2’)EPは、赤外線吸収スペクトル法により結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体全体のエチレン含量(C2’)Tを測定し、次式を用いて計算により求めた。
(C2’)EP=(C2’)T/X
(C2’)T:ブロック共重合体全体のエチレン含量(質量%)
(C2’)EP:プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量(質量%)
X:プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する質量比率
【0133】
(3)発泡体の外観評価
(3−1)板厚方向の発泡性
発泡成形により得られたポリプロピレン系樹脂組成物の発泡成形体において、図1に示す初期板厚1.5mmtの部分(3)の断面を目視で評価し、以下に示すように判定した。
○:断面の板厚方向で、発泡セル構造がほぼ均等の大きさで配列しており、発泡状態が均一である。
×:断面の板厚方向により発泡セル構造に大小があり、発泡状態が不均一である。
(3−2)発泡状態の板厚依存性
発泡成形により得られたポリプロピレン系樹脂組成物の発泡成形体において、図1に示す初期板厚1.5mmtの部分(3)と初期板厚1.6mmtの部分(4)の断面を目視で評価し、以下に示すように判定した。
○:初期板厚1.5mmtの部分(3)と初期板厚1.6mmtの部分(4)の発泡セル構造がほぼ同等で、発泡成形体の発泡状態が均一である。
△:初期板厚1.5mmtの部分(3)よりも初期板厚1.6mmtの部分(4)の発泡セルが粗く、発泡成形体の発泡状態がやや不均一である。
×:初期板厚1.6mmtの部分(4)の発泡セルに破れ、裂け等が見られ、発泡成形体の発泡状態が明らかに不均一である。
【0134】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】実施例において作製した本発明の発泡成形体の一例を表す斜視図である。
【符号の説明】
【0136】
1:発泡成形体
2:初期厚みが1.6mmtである部位
3:ゲート部から100mmの部位を含む範囲(初期板厚1.5mmtの部分)
4:ゲート部から100mmの部位を含む範囲(初期板厚1.6mmtの部分)
5:ゲート部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン重合体(A)を50〜99.8質量%、
変性ポリオレフィン樹脂(B)を0.1〜30質量%、および、
膨潤性層状珪酸塩(C)を0.1〜20質量%含有することを特徴とする
ポリプロピレン系樹脂組成物。
(ただし、(A)、(B)及び(C)の合計を100質量%とする。)
【請求項2】
前記膨潤性層状珪酸塩(C)が、スメクタイト、バーミキュライト、および、雲母よりなる群から選ばれた少なくとも1つの膨潤性層状珪酸塩である請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項3】
前記変性ポリオレフィン樹脂(B)が、分子量分布(Mw/Mn)が1〜4であり、テトラリン中135℃で測定される極限粘度数が0.5〜10dl/gであり、JIS K7122に従う示差走査熱量測定によって、−50℃〜200℃の範囲に観測される結晶の融解熱量が30J/g以下であり、エチレンに由来する構造単位の含有量が60モル%以下である非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)0.1〜100質量%と結晶性ポリオレフィン樹脂(a2)99.9〜0質量%とからなるポリオレフィン樹脂(a)100質量部と(ここで、非晶性ポリオレフィン樹脂(a1)と結晶性ポリオレフィン樹脂(a2)の合計を100質量%とする)、少なくとも一種の不飽和基(i)および少なくとも一種の極性基(ii)を有する少なくとも一種の化合物(b)0.01〜20質量部と、有機過酸化物(c)0.001〜20質量部とを反応させて得られる変性ポリオレフィン樹脂である請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項4】
(A)、(B)及び(C)の合計100質量部に対して、エチレン−α−オレフィン共重合体(D)を0.1〜30質量部含有する請求項1〜3のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項5】
前記エチレン−α−オレフィン共重合体(D)の密度が、0.85g/cm3以上0.89g/cm3以下である請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項6】
前記プロピレン重合体(A)が、プロピレン単独重合体および/またはプロピレン−エチレン共重合体である請求項1〜5のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項7】
前記プロピレン−エチレン共重合体が、極限粘度数2dl/g以上8dl/g以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を含有するプロピレン−エチレンブロック共重合体である請求項6に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体。

【図1】
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【公開番号】特開2010−43163(P2010−43163A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206920(P2008−206920)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】