説明

ポリペプチド及びタンパク質の鼻内送達

本発明は、ナノボディ(登録商標)、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含む治療ポリペプチド及びタンパク質の鼻内送達に関する。本発明は、治療的に有効な量のこのようなポリペプチド又はタンパク質を含み、さらに薬学的に許容可能な鼻担体を含む組成物を提供する。本発明は、被験体を治療する方法であって、経鼻経路による当該被験体への当該ポリペプチド及び当該タンパク質の送達を含む、方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチド及びタンパク質の鼻内送達に関する。より具体的には、本発明は、ナノボディ(登録商標)、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含むポリペプチド及びタンパク質の鼻内送達に関する(備考:ナノボディ(登録商標)、ナノボディ(Nanobodies)(登録商標)及びナノクローン(登録商標)は、Ablynx N.V.の商標である)。本発明は、当該ポリペプチド及び当該タンパク質の鼻内送達に適した組成物及び送達装置を提供する。本発明は、被験体を治療する方法であって、鼻経路による当該被験体への当該ポリペプチド及び当該タンパク質の送達を含む、方法にも関する。
【0002】
本発明の他の態様、実施の形態、利点及び用途は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【背景技術】
【0003】
非侵襲性経路による従来の低分子量薬剤の投与は既に確立された実施法である。しかし、治療ペプチド及びタンパク質は、自然状態で不安定であり分子量が大きく、極性であることが多い。これらの特性によって、生体膜への浸透性が低くなる。例えば治療ペプチド及びタンパク質は、経口投与の際、胃腸管中でタンパク質分解しやすく、体液に入るだけでも困難を極める。このためこれまでは、治療ペプチド及びタンパク質は、ほとんど注射又は注入によって投与されてきた。
【0004】
しかし注射は常に不便であり、一定間隔で長期間治療に投与を行うと、患者にかなりの苦痛及び不快感を与える恐れがある。したがって、患者にとって不便さが緩和され、好ましくは容易に自己適用することができる一方で、同時に効果的な治療に十分な有効性を達成する、実施可能な代替的投与手段の発見が望まれている。非経口注射に匹敵する薬物動態能がある治療ペプチド及びタンパク質に対する便利で非侵襲性な代替的投与経路の開発によって、ペプチド及びタンパク質治療が飛躍的に進歩する。
【0005】
鼻内送達は、針を使わない患者に優しい投与経路である。針を伴わないので、この薬剤送達方法は実質的に無痛である。注射を恐れる患者には鼻内送達は、より受け入れやすい代替手段となる。さらに鼻内送達は、その単純さから、家庭での自己投与を可能にする。この経路は、一般的に医師の管理下で行われる非経口投与よりも大きな利点があることは明らかである。鼻内送達の他の利点には、鼻上皮の高浸透性、及び鼻腔の表面積がかなり大きく、相対的に血流が多くなることによる迅速吸収が含まれる。経口製剤等の他の非注射投与に比べて、鼻内投与は、肝初回通過効果を避け、作用発現(on set action)が迅速であり、バイオアベイラビリティが高くなるというその特徴のために魅力的な経路である(非特許文献1、非特許文献2)。
【0006】
しかし、鼻粘膜を通過する様々なより大きなペプチド及びタンパク質の吸収は、血流中でこれらのペプチドが効果的な治療を与えるのに十分な量となるには不十分であることが多い。鼻腔からのペプチドの吸収における第一段階は、粘液の通過である(非特許文献3)。粘液における主要タンパク質であるムチンは、溶質と結合する能力があり、拡散するのを妨げる。また、環境的変化(即ちpH、温度等)の結果として粘液層における構造的変化が起こり得る。粘液を通過後の粘膜を介した吸収機構が幾つか存在する(非特許文献4)。これらには、膜を通過する細胞間拡散又は単純拡散、細胞間の運動を介した傍細胞輸送、及び小胞担体によるトランスサイトーシスが含まれる(非特許文献5)。治療ペプチド及びタンパク質の分解を起こす可能性がある、鼻粘膜表面上、傍細胞、及び上皮細胞中にタンパク質分解酵素が幾つか存在する(非特許文献6、非特許文献7)。したがって鼻粘膜の通過中の妨害に加えて、ペプチド及びタンパク質の吸収に対する別の障害は、体循環に達する前の潜在的な代謝であり、鼻腔内での残存が制限される。結果として、鼻投与後の治療ペプチド及びタンパク質のバイオアベイラビリティは、主に容易な通過を可能にする分子サイズが大きいため、また酵素分解が迅速であるために相対的に低い傾向にある。アミノ酸の数が約20を超えて増えると、バイオアベイラビリティは非常に低くなる(非特許文献8)。
【0007】
したがって、鼻送達には多くの利点があるが、鼻経路を通る治療ペプチド及びタンパク質の送達は未だにほとんど探査されておらず、主に固有の低浸透性及び代謝のために注射よりも有効性が低いと考えられている。それでも、鼻粘膜によって与えられる浸透障壁のために、バイオアベイラビリディが比較的低い単純な製剤であるにもかかわらず、ペプチド製品の中には鼻内製剤として市場に参入することに成功しているものもある(非特許文献9)。FDAに認可された例としては、DDAVP(登録商標)、Miacalcin(商標)(カルシトニン(calcitonin))及びSynarel(商標)(ナファレリン(nafarelin))が挙げられる。臨床試験によって、インフルエンザ(三価)及びジフテリア毒素(diphtheria toxin)(CRM−197)を良好な効果を伴って鼻送達することができることが実証された(非特許文献10)。非特許文献11によって、低分子量ポリペプチドであるブセレリン(buserelin)の鼻内適用が、信頼性のある投与形態を示すことが結論付けられた。インスリン(insulin)、ヒト成長ホルモン、グルカゴン(glucagon)、ヒルジン(hirudin)、ヒトインターフェロン(interferon)−β及びヒト副甲状腺ホルモン等のペプチドの鼻内製剤の他の例は、非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16で考慮されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Hussain, Adv. Drug Deliv. Rev. 1998 Jan 5; 29(1-2): 39-49
【非特許文献2】Illum, J. Control Release 2003 Feb 21; 87(1-3): 187-98
【非特許文献3】Khanvilkar et al. Adv. Drug Deliv. Rev. 2001; 28: 173-193
【非特許文献4】Marttin et al., Pharm. Res. 1997; 14: 631-637
【非特許文献5】McMartin et al., J. Pharm. Sci. 1987; 76: 535-540
【非特許文献6】Sarkar, Pharm. Res. 1992; 9: 1-9
【非特許文献7】Yamamoto et al., Life Sci. 1990; 47: 2465
【非特許文献8】Wearly, Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst. 1991; 8: 331-394
【非特許文献9】Illum, The nasal route for delivery of polypeptides. In: Peptide and Protein Drug Delivery. Eds. Frokjaer, S., Christrup, L., Krogsgaard-Larsen, P., Munksgaard, Copenhagen 1990, p 157-170
【非特許文献10】Davis, Adv. Drug Del. Rev. 2001; 51: 21-42
【非特許文献11】Larsen et al. (Eur. J. Clin. Pharmacol. 1987; 33: 155-159)
【非特許文献12】Costantino et al. (www.ondrugdelivery.com, 2005)
【非特許文献13】Sakr, Int. J. Pharmaceutics 1996, 132: 189-194
【非特許文献14】O'Hagan et al., Pharm. Res. 1990, 7: 772-776
【非特許文献15】Cefalu, Diabetes Care 2004, 27: 239-245
【非特許文献16】Zhang et al., Biol. Pharm. Bull 2005, 28: 2263-2267
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは現在、或る特定のクラスの治療ポリペプチド又はタンパク質、即ちナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含むポリペプチド及びタンパク質を、鼻経路を介して、即ち鼻粘膜への適用によって血流中に送達することができることを見出している。さらに、完全に耐容性及び実行可能性の範囲内にある投与量レベルの鼻投与後に、血中の機能的ポリペプチド又はタンパク質の高バイオアベイラビリティレベルを達成することができる。したがって、これらのポリペプチド及びタンパク質は、当該ポリペプチド又は当該タンパク質と、薬学的に許容可能な鼻担体とを含む組成物を使用して、鼻経路によって被験体に都合よく投与することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって本発明は、不活性になることなく(即ち機能性を維持して)、被験体の血流及び/又は他の器官及び/又は組織(例えば腎臓、膀胱、肺及び/又は脳)に、ポリペプチド又はタンパク質、即ち治療ポリペプチド又はタンパク質を送達又は投与(両用語は本発明を通じて区別なく使用される)する方法であって、鼻経路によって(即ち鼻に(nasally)又は鼻内に(intranasal)、両用語は本発明を通じて区別なく使用される)当該被験体に、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を含む組成物を投与する工程を含む、方法に関する。本発明は、治療的に有効な量の(治療)ポリペプチド又はタンパク質を含み、さらに薬学的に許容可能な鼻担体を含む(薬学的)組成物(以下、本発明の組成物又は薬学的組成物と称する)を提供する。(治療)ポリペプチド又はタンパク質(以下、本発明のポリペプチド又はタンパク質、或いは本発明の治療ポリペプチド又はタンパク質と称する)は、少なくともナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含むアミノ酸配列を有する。好ましい実施の形態では、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、本質的にナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」から成るアミノ酸を有する。さらに好ましい実施の形態では、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、本質的にナノボディ(本発明のナノボディとも呼ばれる)から成るアミノ酸配列を有する。さらなる実施の形態では、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」は、V又はVHHに由来する。詳細な記載にさらに記載するように、本発明のポリペプチド又はタンパク質は概して、「フレームワーク配列」即ち「FR」と「相補性決定領域」即ち「CDR」とを含むと考えることができる単一アミノ酸鎖を含む。
【0011】
また、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の一部、断片、類似体、突然変異体、変異体、対立遺伝子及び/又は誘導体を使用すること、及び/又はこれを含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド又はタンパク質を使用することは、本明細書中で想定される使用に適していれば、本発明の範囲内である。このような一部、断片、類似体、突然変異体、変異体、対立遺伝子、誘導体、ポリペプチド及び/又はタンパク質は、本明細書中のさらなる記載に記載する。
【0012】
具体的ではあるが、非限定的な実施の形態によれば、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列は、本明細書にさらに記載されるように「ヒト化」、「ラクダ化」又は修飾することができる。
【0013】
概して、単一のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド又はタンパク質は、本明細書中で「一価」ポリペプチド又はタンパク質、即ち「一価構築物」と称される。2つ以上のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド及びタンパク質は本明細書中で「多価」ポリペプチド又はタンパク質、即ち「多価構築物」と称され、これらは、対応する一価のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」に比べて或る特定の利点を与え得る。
【0014】
具体的ではあるが、非限定的な一実施の形態によれば、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、少なくとも2つのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」(2つ又は3つのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」等)を含むか、又は本質的にこれから成る。本明細書にさらに記載されるように、このような多価構築物は、単一のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド又はタンパク質に比べて或る特定の利点(その抗原に対して大きく向上した親和性及び/又は特異性等)を与え得る。このような多価構築物は、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかである。
【0015】
具体的ではあるが、非限定的な別の実施の形態によれば、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、1つのエピトープ、抗原、標的、タンパク質又はポリペプチドに対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の少なくとも1つと、もう1つのエピトープ、抗原、標的、タンパク質又はポリペプチドに対して指向性を有する別のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の少なくとも1つとを含むか、又は本質的にこれから成る。このようなポリペプチド又はタンパク質は、「多重特異性」ポリペプチド又はタンパク質、即ち「多重特異性構築物」とも称され、これらは、対応する一価の又は一重特異性(monospecific:単一特異性)のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」に比べて或る特定の利点を与え得る。このような多重特異性構築物は、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかである。
【0016】
さらに別の具体的ではあるが、非限定的な実施の形態によれば、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、少なくとも1つのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と、任意で1つ又は複数のさらなるナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」及び/又は得られる融合タンパク質に少なくとも1つの所望の特性を与える少なくとも1つの他のアミノ酸配列(タンパク質又はポリペプチド等)とを含むか、又は本質的にこれから成る。さらに、このような融合タンパク質は、対応する一価のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」に比べて或る特定の利点を与え得る。このようなアミノ酸配列及びこのような融合構築物の幾つかの非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。特定の実施の形態では、当該少なくとも1つの他のアミノ酸配列によって、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」及び/又は得られる融合タンパク質に対する半減期が増大する。別の特定の実施の形態では、当該少なくとも1つの他のアミノ酸配列によって、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」及び/又は得られる融合タンパク質が粘膜及び/又は血液脳関門に対して指向性を有し、これに浸透し、及び/又はこれを通過することが可能になる。
【0017】
上記構築物において、1つ又は複数のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」及び/又は他のアミノ酸配列は直接連結しても、或いは1つ又は複数のリンカー配列を介して連結してもよい。このようなリンカーの好適ではあるが、非限定的な幾つかの例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0018】
好ましくは、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、任意で1つ又は2つのリンカーを介して連結した、1つ又は複数のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含むか、或いは1つ又は複数のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と、被験体に送達後、半減期が増大する、特に生理学的環境内(例えば鼻粘膜表面、血流中、及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織及び/又は器官(腎臓、膀胱、肺及び/又は脳等)内)において活性状態で代謝の持続が延長される、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の少なくとも1つとを含む多重特異性ポリペプチドである。例としては、血清タンパク質、特にヒト血清タンパク質(ヒト血清アルブミン(albumin)等)に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」であり、当該ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」はまた、任意で1つ又は複数のリンカーを介して連結する。このような構築物は、本明細書中の開示に基づき当業者にとって明らかである。
【0019】
本発明の好ましい一実施の形態において、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、得られる本発明のポリペプチド又はタンパク質が、粘膜に対して指向性を有し、これに浸透し、及び/又はこれを通過するか、又は血管脳関門を通過することを可能にする1つ又は複数(例えば2つ及び好ましくは1つ)のアミノ酸配列と(任意で1つ又は複数の好適なリンカー配列を介して)連結した、1つ又は複数(例えば2つ又は好ましくは1つ)のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含む。特に、得られる本発明のポリペプチドが血液脳関門を通過することを可能にする上記1つ又は複数のアミノ酸配列は、1つ又は複数(例えば2つ及び好ましくは1つ)のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」(国際公開第02/057445号パンフレットに記載のナノボディ等)であってもよく、その中のFC44(配列番号35)及びFC5(配列番号36)は、幾つかの好ましいが、非限定的な例である。特に、得られる本発明のポリペプチドが粘膜を通過することを可能にする上記1つ又は複数のアミノ酸配列は、粘膜上の上皮膜透過タンパク質に対して指向性を有する、1つ又は複数のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」であってもよく、当該ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」は、当該上皮膜透過タンパク質と結合すると粘膜を通過する。
【0020】
別の好ましい実施の形態において、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、in vivoで得られる本発明のポリペプチドの半減期が増大する、特に生理学的環境内(例えば鼻粘膜表面、血流中、及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織及び/又は器官(腎臓、膀胱、肺及び/又は脳等)内)において活性状態で代謝の持続が延長される、1つ又は複数(例えば2つ及び好ましくは1つ)のアミノ酸配列と(任意で1つ又は複数の好適なリンカー配列を介して)連結した、1つ又は複数(例えば2つ又は好ましくは1つ)のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含む。特に、in vivoで得られる本発明のポリペプチドの半減期を増大させる当該アミノ酸配列は、1つ又は複数(例えば2つ及び好ましくは1つ)のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」、特にヒト血清アルブミン(albumin)等のヒト血清タンパク質に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」であり得る。マウス又はヒト血清アルブミン(albumin)に対する好適なナノボディの例は、国際公開第03/035694号パンフレット、国際公開第04/041865号パンフレット、及び国際公開第06/122825号パンフレットに記載されている。
【0021】
さらに別の好ましい実施の形態において、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、1つ又は複数(例えば2つ又は好ましくは1つ)のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と、得られる本発明のポリペプチドが、粘膜に対して指向性を有し、これに浸透し、及び/又はこれを通過するか、又は血管脳関門を通過することを可能にする1つ又は複数(例えば2つ及び好ましくは1つ)のアミノ酸配列と、in vivoで得られる本発明のポリペプチドの半減期が増大する、特に生理学的環境内〔例えば鼻粘膜表面、血流中、及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織及び/又は器官(腎臓、膀胱、肺及び/又は脳等)内〕において活性状態で代謝の持続が延長される、1つ又は複数(例えば2つ及び好ましくは1つ)のアミノ酸配列とを(任意で1つ又は複数の好適なリンカー配列を介して)含む。また、得られる本発明のポリペプチド又はタンパク質が、粘膜に対して指向性を有し、これに浸透し、及び/又はこれを通過するか、又は血管脳関門を通過することを可能にする上記の1つ又は複数のアミノ酸配列は、(本明細書で言及するような)1つ又は複数(例えば2つ及び好ましくは1つ)のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」であってもよく、in vivoで得られる本発明のポリペプチドの半減期を増大させる当該アミノ酸配列は、(同じように本明細書で言及するような)1つ又は複数(例えば2つ及び好ましくは1つ)のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」であってもよい。
【0022】
本発明の組成物は鼻粘膜への局所投与用に配合する。したがって、上記のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の他に、本発明の組成物は、薬学的に許容可能な鼻担体、及び任意で他の治療成分又は薬学的に許容可能な添加剤及び/又は作用物質も含んでいる必要がある。
【0023】
したがってさらなる態様において、本発明は、少なくとも本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質と、薬学的に許容可能な鼻担体とを含む組成物に関する。担体は、液体、半液体、ゲル、クリーム、ペースト、粉末若しくは固体であってもよく、又はフィルム若しくは封入材料(マイクロカプセル又はナノカプセル)であってもよい。鼻担体の使用は、薬理学の当業者にとって既知である。鼻担体の幾つかの非限定的な例は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0024】
任意で、本発明の組成物は、他の添加剤及び/又は作用物質も含む。したがって、本発明の別の実施の形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質と、薬学的に許容可能な鼻担体と、1つ又は複数の薬学的に許容可能な添加剤及び/又は作用物質とを含む組成物が提供される。防腐剤、緩衝剤、抗酸化剤又は粘性上昇剤等の添加剤の使用は、薬理学の当業者にとって既知であり、本明細書にさらに記載される。鼻投与用の組成物において使用される作用物質としては、薬理学の当業者にとって既知でもあり、本明細書にさらに記載される送達向上剤が挙げられる。
【0025】
様々な実施の形態において、本発明の組成物は、1つ又は複数の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質と、1つ又は複数の薬学的に許容可能な鼻担体と、任意で1つ又は複数の添加剤及び/又は作用物質とを含み得る。
【0026】
本発明の別の実施の形態において、この組成物は、1つ又は複数のさらなる治療成分(又は活性物質)をさらに含んでもよい。好ましい実施の形態では、本発明の組成物の活性物質は、2つ以上の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質から成る。複合組成物及び治療の他の実施の形態は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0027】
本発明は、本発明の組成物を調製する方法も提供する。またこれらの方法は、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0028】
本発明は、本発明の組成物の鼻投与に適した送達装置をさらに提供する。したがって、本発明は、本発明の組成物を含み、当該組成物の鼻粘膜への適用を可能にする手段を備える送達装置に関する。滴剤、鼻スプレー(spray)、鼻内液、粉末エアロゾル、カプセル又は鼻インサート(insert)の形態で与えられるような送達装置は、当業者に既知であり、本明細書中のさらなる記載から明らかになる。
【0029】
このような送達装置は、単位用量の本発明の組成物を(繰り返し)送達すること、特に本質的に鼻投与に適した送達量を含む(即ち本明細書にさらに記載されるような)単位用量の本発明の組成物を(繰り返し)送達することが可能であるのが好ましい。
【0030】
この組成物は、被験体に本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む組成物を鼻投与した後に、当該被験体において当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の全身性の治療活性又は生体活性を与えることができる。本発明の実施の形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、血中において血液1ml当たり少なくとも1ngのナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。別の実施の形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、5mg/kg(体重)の用量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の鼻内投与後に、血中において血液1ml当たり少なくとも1ngのナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。本発明のさらなる実施の形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、120分未満のTmaxで血流に達する。別のさらなる実施の形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を含む組成物を鼻内投与した後に、120分未満内で、血中において血液1ml当たり少なくとも1ngのナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。別のさらなる実施の形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、5mg/kg(体重)の用量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の鼻内投与後120分未満内に、血中において血液1ml当たり少なくとも1ngのナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。本発明の一実施の形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む組成物を鼻内投与した後の血中の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のAUCは、少なくとも500ng/ml/分のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質である。本発明の別の実施の形態では、5mg/kg(体重)の用量の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻内投与した後の血中の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のAUCは、少なくとも500ng/ml/分のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質である。本発明の別のさらなる実施の形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む組成物を鼻内投与した後の血中の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のバイオアベイラビリティは、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の非経口投与に比べて少なくとも1%である。
【0031】
さらに別の態様において、本発明の組成物は、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む組成物を被験体に鼻投与した後に当該被験体の脳において当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の治療活性又は生体活性を与えることができる。本発明の実施の形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む組成物を鼻内投与した後の脳における当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のバイオアベイラビリティは、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の非経口投与に比べて少なくとも1%である。
【0032】
本発明は、不活性化することなく、被験体の血流に、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド又はタンパク質を送達する方法であって、当該被験体に、本発明のナノボディ、ポリペプチド、タンパク質又は組成物を鼻投与する工程を含む、方法をさらに提供する。本発明は、不活性化することなく、被験体の脳にナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド又はタンパク質を送達する方法であって、当該被験体に、本発明のナノボディ、ポリペプチド、タンパク質又は組成物を鼻投与する工程を含む、方法も提供する。
【0033】
本発明は、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、上記のように当該被験体に組成物を鼻投与する工程を含む、方法も提供する。本発明の組成物のさらなる治療用途は、以下で詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1A】ウィスターラットにおける鼻内投与の2時間、4時間及び6時間後の尿、血液、肝臓及び腎臓における99mTcトリカルボニル(tricarbonyl)及び99mTc−FC44の生体内分布(%ID/g)を示す図である。
【図1B】ウィスターラットにおける静脈内投与の2時間後の尿、血液、肝臓及び腎臓における99mTc−FC44の生体内分布(%ID/g)を示す図である。
【図2】ウィスターラットにおける99mTc−FC44の鼻内投与後の尿及び腎臓抽出物のSDS−PAGE解析を示す図である。
【図3】雄ウィスターラットにおける99mTc−FC44の鼻内投与後の99mTc−FC44の血液レベル(%ID/g)を示す図である。
【図4A】ウィスターラットにおける鼻内投与の4時間後の99mTc標識CEA1、ALB1及びTNF1ナノボディの血液レベル(%ID/g)を示す図である。
【図4B】ウィスターラットにおける鼻内投与の4時間後の99mTc標識CEA1、ALB1及びTNF1ナノボディの尿及び腎臓のレベル(%ID/g)を示す図である。
【図5】99mTc−FC44の鼻内送達又は経口送達の直後のラットのガンマカメラによる活性の二次元画像化を示す図である。
【図6】99mTc−FC44の鼻内送達及び経口送達後の血中の活性(%ID/g)の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[発明の詳細な説明]
本発明の上記及び他の態様、実施形態及び利点は、本明細書中の以下のさらなる記載から明らかになる。
【0036】
a)特に他に指示又は規定がなければ、使用される全ての用語は当該技術分野における通常の意味を有し、当業者にとって明らかである。例えば標準的なハンドブック(例えばSambrook et al, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual"(2nd.Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、F. Ausubel et al, eds., "Current protocols in molecular biology", Green Publishing and Wiley Interscience, New York(1987)、Lewin, "Genes II", John Wiley & Sons, New York, N.Y.,(1985)、Old et al., "Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering", 2nd edition, University of California Press, Berkeley, CA(1981)、Roitt et al., "Immunology"(6th. Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh(2001)、Roitt et al., Roitt's Essential Immunology, 10th Ed. Blackwell Publishing, UK(2001)、及びJaneway et al., "Immunobiology"(6th Ed.), Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New York(2005))、並びに本明細書で言及される一般的な背景技術、Rosenfeld G.C., Loose-Mitchell D.S., Pharmacology (3rd Edition) Lippincott Williams & Wilkins, New York、Shlafer M. Pharmacology PreTestTM Self-Assessment and Review (11th Edition) McGraw-Hill Medical Publishing Division, New York、Yang K.Y., Graff L.R., Caughey A.B. Blueprints Pharmacology, Blackwell Publishingを参照する。
【0037】
b)特に他に指示がなければ、具体的に詳しくは記載されていない全ての方法、工程、技法及び操作を実施することができ、当業者にとって明らかなそれ自体が既知の方法で実施する。また例えば、例えば標準的なハンドブック及び本明細書で言及される一般的な背景技術、並びに本明細書で言及されるさらなる参考文献を参照する。
【0038】
c)用語「抗原決定基」は、抗原結合分子(本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質等)によって、及びより具体的には当該分子の抗原結合部位によって認識される抗原上のエピトープを表す。用語「抗原決定基」及び「エピトープ」は、本明細書で区別なく使用することもできる。
【0039】
d)特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質と(特異的に)結合することができる、特定の抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質(又は少なくともこれらの一部、断片若しくはエピトープ)に対する親和性を有する、及び/又はこれらに対する特異性を有するアミノ酸配列(本発明のナノボディ、ポリペプチド若しくはタンパク質、又は概して抗原結合タンパク質若しくはポリペプチド、又はその断片等)は、当該抗原決定基、当該エピトープ、当該抗原又は当該タンパク質「に対する」、又はこれ「に指向性を有する」と言われる。
【0040】
e)特に他に指示がなければ、用語「免疫グロブリン(配列)」(本明細書中で、重鎖抗体、又は従来の4鎖抗体を表すのに使用されるかに関係なく)は、完全長の抗体、その個々の鎖と、その全ての部分、ドメイン又は断片との両方(それぞれ、抗原結合ドメイン、又はVHHドメイン若しくはV/Vドメイン等の断片を含むが、これらに限定されない)を含む一般的な用語として使用する。
【0041】
f)本明細書でさらに記載されるように、ナノボディのアミノ酸配列及び構造は、これらに限定されないが、4つのフレームワーク領域即ち「FR」から構成されていると考えることができ、当該技術分野及び本明細書中でそれぞれ、「フレームワーク領域1」即ち「FR1」、「フレームワーク領域2」即ち「FR2」、「フレームワーク領域3」即ち「FR3」及び「フレームワーク領域4」即ち「FR4」と称され、このフレーム領域の間には、3つの相補性決定領域即ち「CDR」が挿入され、これは当該技術分野でそれぞれ、「相補性決定領域1」即ち「CDR1」、「相補性決定領域2」即ち「CDR2」及び「相補性決定領域3」即ち「CDR3」と称される。
【0042】
g)また本明細書でさらに記載されるように、ナノボディにおけるアミノ酸残基の総数は、110〜120、好ましくは112〜115の範囲内、及び最も好ましくは113であり得る。しかし、ナノボディの一部、断片、類似体又は誘導体(本明細書中にさらに記載される)は、本明細書に概説されるさらなる要求を満たし、また好ましくは本明細書に記載の目的に適していれば、その長さ及び/又はサイズに特に限定されないことに留意されたい。
【0043】
h)ナノボディのアミノ酸残基は、本明細書で言及されるRiechmann and Muyldermansの論文(例えば当該参考文献の図2を参照されたい)においてラクダ由来のVHHドメインに適用されるように、Kabat et al. ("Sequence of proteins of immunological interest", US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91)によって与えられたVドメインに関する一般的なナンバリングに従って数字が付けられる。このナンバリングに従うと、ナノボディのFR1は1位〜30位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR1は31位〜35位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR2は36位〜49位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR2は50位〜65位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR3は66位〜94位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR3は95位〜102位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR4は103位〜113位のアミノ酸残基を含む。[これに関して、Vドメイン及びVHHドメインに関して当該技術分野で既知のように、CDRそれぞれにおけるアミノ酸残基の総数は変わる可能性があり、カバットナンバリングで示されるアミノ酸残基の総数に対応していなくてもよい(即ちカバットナンバリングによる1つ又は複数の位置が実際の配列で占められていなくてもよく、又は実際の配列が、カバットナンバリングが可能な数より多くのアミノ酸残基を含有していてもよい)ことに留意されたい。このことは、概してカバットによるナンバリングは、実際の配列におけるアミノ酸残基の実際のナンバリングに対応していても、又は対応していなくてもよいことを意味する。しかし一般的に、CDRにおけるアミノ酸残基の数に関係なく、カバットナンバリングに従うと、カバットナンバリングによる1位は、FR1の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる36位は、FR2の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる66位は、FR3の出発点に対応し(逆もまた同様)、カバットナンバリングによる103位は、FR4の出発点に対応する(逆もまた同様)]。
【0044】
ドメインのアミノ酸残基の数字を付ける代替方法(この方法は、類似の方法でラクダ由来のVHHドメイン及びナノボディに適用することもできる)は、Chothia et al.(Nature 342, 877-883(1989))で記載される方法、いわゆる「AbM定義」及びいわゆる「接触定義」である。
【0045】
i)図面及び実験部/実施例は、本発明をさらに説明するためだけに与えられ、特に他にはっきりと本明細書中に指示がなければ、本発明の範囲及び/又は添付の特許請求の範囲を限定するものとしては決して解釈すべきではない。
【0046】
これに限定されないが、ナノボディ、(単一)ドメイン抗体又は「dAb」は、4鎖抗体の可変領域及び重鎖抗体の可変領域に由来し得る。また下記の参考文献で使用される専門用語に従って、天然重鎖抗体に存在する可変ドメインは、この可変ドメインを従来の4鎖抗体に存在する重鎖可変ドメイン(以下「Vドメイン」と称する)と、及び従来の4鎖抗体に存在する軽鎖可変ドメイン(以下、「Vドメイン」と称する)と区別するために、「VHHドメイン」とも称される。
【0047】
重鎖抗体及びその可変ドメインの概要に関しては、特に一般的な背景技術として言及される以下の参考文献を参照する:Vrije Universiteit Brusselの国際公開第94/04678号パンフレット、国際公開第95/04079号パンフレット、及び国際公開第96/34103号パンフレット;Unileverの国際公開第94/25591号パンフレット、国際公開第99/37681号パンフレット、国際公開第00/40968号パンフレット、国際公開第00/43507号パンフレット、国際公開第00/65057号パンフレット、国際公開第01/40310号パンフレット、国際公開第01/44301号パンフレット、欧州特許第1134231号明細書及び国際公開第02/48193号パンフレット;Vlaams Instituut voor Biotechnologie(VIB)の国際公開第97/49805号パンフレット、国際公開第01/21817号パンフレット、国際公開第03/035694号パンフレット、国際公開第03/054016号パンフレット及び国際公開第03/055527号パンフレット;Algonomics N.V.及び出願人の国際公開第03/050531号パンフレット;カナダのNational Research Councilによる国際公開第01/90190号パンフレット;Institute of Antibodiesによる国際公開第03/025020号パンフレット(=欧州特許第1433793号明細書);並びに出願人による国際公開第04/041867号パンフレット、国際公開第04/041862号パンフレット、国際公開第04/041865号パンフレット、国際公開第04/041863号パンフレット、及び国際公開第04/062551号パンフレット、並びに出願人によってさらに公開された特許出願、Hamers-Casterman et al., Nature 1993 June 3; 363 (6428): 446-8;Davies and Riechmann, FEBS Lett. 1994 Feb 21; 339(3): 285-90;Muyldermans et al., Protein Eng. 1994 Sep; 7(9): 1129-3;Davies and Riechmann, Biotechnology (NY) 1995 May; 13(5): 475-9;Gharoudi et al., 9th Forum of Applied Biotechnology, Med. Fac. Landbouw Univ. Gent. 1995; 60/4a part I: 2097-2100;Davies and Riechmann, Protein Eng. 1996 Jun; 9(6): 531-7;Desmyter et al., Nat. Struct. Biol. 1996 Sep; 3(9): 803-11;Sheriff et al., Nat. Struct. Biol. 1996 Sep; 3(9): 733-6;Spinelli et al., Nat. Struct. Biol. 1996 Sep; 3(9): 752-7;Arbabi Ghahroudi et al., FEBS Lett. 1997 Sep 15; 414(3): 521-6;Vu et al., Mol. Immunol. 1997 Nov-Dec; 34(16-17): 1121-31;Atarhouch et al., Journal of Camel Practice and Research 1997; 4: 177-182;Nguyen et al., J. Mol. Biol. 1998 Jan 23; 275(3): 413-8;Lauwereys et al., EMBO J. 1998 Jul 1; 17(13): 3512-20;Frenken et al., Res. Immunol. 1998 Jul-Aug; 149(6): 589-99;Transue et al., Proteins 1998 Sep 1; 32(4): 515-22;Muyldermans and Lauwereys, J. Mol. Recognit. 1999 Mar-Apr; 12 (2): 131-40;van der Linden et al., Biochim. Biophys. Acta 1999 Apr 12; 1431(1): 37-46;Decanniere et al., Structure Fold. Des. 1999 Apr 15; 7(4): 361-70;Ngyuen et al., Mol. Immunol. 1999 Jun; 36(8): 515-24;Woolven et al., Immunogenetics 1999 Oct; 50 (1-2): 98-101;Riechmann and Muyldermans, J. Immunol. Methods 1999 Dec 10; 231 (1-2): 25-38;Spinelli et al., Biochemistry 2000 Feb 15; 39(6): 1217-22;Frenken et al., J. Biotechnol. 2000 Feb 28; 78(1): 11-21;Nguyen et al., EMBO J. 2000 Mar 1; 19(5): 921-30;van der Linden et al., J. Immunol. Methods 2000 Jun 23; 240 (1-2): 185-95;Decanniere et al., J. Mol. Biol. 2000 Jun 30; 300 (1): 83-91;van der Linden et al., J. Biotechnol. 2000 Jul 14; 80(3): 261-70;Harmsen et al., Mol. Immunol. 2000 Aug; 37(10): 579-90;Perez et al., Biochemistry 2001 Jan 9; 40(1): 74-83;Conrath et al., J. Biol. Chem. 2001 Mar 9; 276 (10): 7346-50;Muyldermans et al., Trends Biochem. Sci. 2001 Apr; 26(4): 230-5;Muyldermans S., J. Biotechnol. 2001 Jun; 74 (4): 277-302;Desmyter et al., J. Biol. Chem. 2001 Jul 13 ; 276 (28): 26285-90;Spinelli et al., J. Mol. Biol. 2001 Aug 3; 311 (1): 123-9;Conrath et al., Antimicrob. Agents Chemother. 2001 Oct; 45 (10): 2807-12;Decanniere et al., J. Mol. Biol. 2001 Oct 26; 313(3): 473-8;Nguyen et al., Adv. Immunol. 2001; 79: 261-96;Muruganandam et al., FASEB J. 2002 Feb; 16 (2): 240-2;Ewert et al., Biochemistry 2002 Mar 19; 41 (11): 3628-36;Dumoulin et al., Protein Sci. 2002 Mar; 11 (3): 500-15;Cortez-Retamozo et al., Int. J. Cancer 2002 Mar 20; 98 (3): 456-62;Su et al., Mol. Biol. Evol. 2002 Mar; 19 (3): 205-15;van der Vaart JM., Methods Mol. Biol. 2002; 178: 359-66;Vranken et al., Biochemistry 2002 Jul 9; 41 (27): 8570-9;Nguyen et al., Immunogenetics 2002 Apr; 54 (1): 39-47;Renisio et al., Proteins 2002 Jun 1; 47 (4): 546-55;Desmyter et al., J. Biol. Chem. 2002 Jun 28; 277 (26): 23645-50;Ledeboer et al., J. Dairy Sci. 2002 Jun; 85 (6): 1376-82;De Genst et al., J. Biol. Chem. 2002 Aug 16; 277 (33): 29897-907;Ferrat et al., Biochem. J. 2002 Sep 1; 366 (Pt 2): 415-22;Thomassen et al., Enzyme and Microbial Technol. 2002; 30: 273-8;Harmsen et al., Appl. Microbiol. 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Bio.l Chem. 2004 Jan 9; 279 (2): 1256-61;Cortez-Retamozo et al., Cancer Res. 2004 Apr 15; 64 (8): 2853-7;Spinelli et al., FEBS Lett. 2004 Apr 23; 564 (1-2): 35-40;Pleschberger et al., Bioconjug. Chem. 2004 May-Jun; 15 (3): 664-71;Nicaise et al., Protein Sci. 2004 Jul; 13 (7): 1882-91;Omidfar et al., Tumour Biol. 2004 Jul-Aug; 25 (4): 179-87;Omidfar et al., Tumour Biol. 2004 Sep-Dec; 25(5-6): 296-305;Szynol et al., Antimicrob. Agents Chemother. 2004 Sep;48(9):3390-5;Saerens et al., J. Biol. Chem. 2004 Dec 10; 279 (50): 51965-72;De Genst et al., J. Biol. Chem. 2004 Dec 17; 279 (51): 53593-601;Dolk et al., Appl. Environ. Microbiol. 2005 Jan; 71(1): 442-50;Joosten et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 2005 Jan; 66(4): 384-92;Dumoulin et al., J. Mol. Biol. 2005 Feb 25; 346 (3): 773-88;Yau et al., J. Immunol. Methods. 2005 Feb; 297 (1-2): 213-24;De Genst et al., J. Biol. Chem. 2005 Apr 8; 280 (14): 14114-21;Huang et al., Eur. J. Hum. Genet. 2005 Apr 13;Dolk et al., Proteins 2005 May 15; 59 (3): 555-64;Bond et al., J. Mol. Biol. 2005 May 6; 348(3): 699-709;Zarebski et al., J. Mol. Biol. 2005 Apr 21[刊行前の電子出版]。
【0048】
(単一)ドメイン抗体又は「dAb」の概要に関しては、Ward et al.(Nature 1989 Oct 12; 341 (6242): 544-6)、欧州特許第0368684号明細書及びHolliger and Hudson(Nature Biot. 2005, 23: 1126-1136)を参照する。特に、(単一)ドメイン抗体又は「dAb」のアミノ酸配列は、これらに限定されないが、ナノボディに関して上記されるように、4つのフレームワーク領域即ち「FR」と、3つの相補性決定領域即ち「CDR」とで構成されると考えられ得る。
【0049】
したがって、これらに限定されないが、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1〜CDR3)を含むか、又は本質的にこれから成るアミノ酸配列を有する。このようなアミノ酸配列は好ましくは、80個〜200個のアミノ酸残基、例えば、90個〜150個のアミノ酸残基、例えば、約100個〜130個のアミノ酸残基〔このようなアミノ酸配列の好適な断片(即ち、本発明のナノボディ又はそれらの等価物に関して本質的に本明細書中に記載)を使用してもよい〕を含有し、好ましくは、免疫グロブリンフォールドを形成するか、又は好適な条件下で免疫グロブリンフォールドを形成することができるような(即ち、好適なフォールディングによる)ものである。アミノ酸配列は好ましくは、本明細書中に規定のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」から選択され、最も好ましくはナノボディである。CDRは、ポリペプチド又はタンパク質に所望の特性を与える任意の好適なCDRであり得る。
【0050】
ナノボディのヒト化及び/又はラクダ化、並びに部分又は断片、誘導体又は「ナノボディ融合体」、多価構築物(リンカー配列の幾つかの非限定的な例を含む)の修飾、並びにナノボディ、ポリペプチド及びタンパク質の半減期を増大させる様々な修飾を包含する、最も広義での本発明のナノボディ、ポリペプチド及びタンパク質のさらなる記載は例えば、国際公開第06/040153号パンフレット、国際公開第06/122825号パンフレット、国際公開第06/122786号パンフレット、国際公開第07/042289号パンフレット、国際公開第07/104529号パンフレット及び国際出願PCT/EP2007/058587号明細書に見出すことができる。また本発明のナノボディ、ポリペプチド及びタンパク質の調製の詳細な記載は例えば、国際公開第06/040153号パンフレット、国際公開第06/122825号パンフレット、国際公開第06/122786号パンフレット、国際公開第07/042289号パンフレット、国際公開第07/104529号パンフレット及び国際出願PCT/EP2007/058587号明細書に見出すことができる。
【0051】
一実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質はまた、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が、特定の粘膜細胞又は当該細胞の一部若しくは区画に対して指向性を有し、及び/又はこれに浸透又は侵入すること、及び/又は本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が、粘膜、粘膜の細胞層等の生物学的障壁に浸透又は通過することを可能にする配列又はシグナルを形成し得る。
【0052】
別の好ましい実施形態において、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の少なくとも1つと、本発明のポリペプチド又はタンパク質に対して指向性を有し、及び/又は本発明のポリペプチド又はタンパク質が、特定の粘膜細胞又は当該細胞の一部若しくは区画に浸透又は侵入すること、及び/又は本発明のポリペプチド又はタンパク質が、粘膜又は粘膜の細胞層等の生物学的障壁に浸透又は通過することを可能にするナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の少なくとも1つとを含む多重特異性のポリペプチドである。このようなナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の例としては、粘膜細胞の特定の細胞表面タンパク質、マーカー又はエピトープに対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」が挙げられる。
【0053】
これに関して、本発明のポリペプチド又はタンパク質は、所望の標的に対して指向性を有する、1つ又は複数のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と、粘膜上の上皮膜透過タンパク質に対して指向性を有する1つ又は複数のリガンド(膜通過リガンドとも呼ばれる)とを含んでもよく、当該ポリペプチド又は当該タンパク質は、リガンドと当該上皮膜透過タンパク質とが結合すると粘膜を通過する。
【0054】
本発明の上皮膜透過タンパク質は、リガンドと結合すると、粘膜を通って当該リガンドの輸送を媒介する粘膜上に提示されたタンパク質又は受容体である。
【0055】
本発明の一実施形態において、リガンドは、粘膜上の上皮膜透過タンパク質に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」である。ポリペプチド又はタンパク質は、当該ナノボディ、当該ドメイン抗体、当該単一ドメイン抗体又は当該「dAb」と、当該上皮膜透過タンパク質とが結合すると粘膜を通過する。膜を通過するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」は、上皮膜透過タンパク質との結合、又は通過特性に関してスクリーニングされたペプチドライブラリから調製することができる。
【0056】
別の実施形態において、ポリペプチド構築物は、粘膜上の上皮膜透過タンパク質に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と共有結合又は非共有結合する治療ポリペプチド又は作用物質を含む。これらのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」は、粘膜を通過するのに又は通るのに、本発明のポリペプチド又はタンパク質に対するタグとして添加することができることは、本発明の一態様である。
【0057】
さらに別の実施形態において、所望の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、上皮膜透過タンパク質の別のリガンド(例えば天然リガンド)と連結する。リガンドと、上皮膜透過タンパク質との結合の際に得られる構築物は、粘膜を通って輸送される。
【0058】
本発明の別の実施形態は、上皮膜透過タンパク質に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を選択する方法であって、当該ナノボディ、当該ドメイン抗体、当該単一ドメイン抗体又は当該「dAb」は、当該上皮膜透過タンパク質と結合すると粘膜を通過する、方法である。当該方法は、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」のファージライブラリ(ナイーブ又は免疫)で、上皮膜透過タンパク質提示膜をパニングすること、及び輸送ファージを膜から回収することによって、膜を通過するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を選択することを含む。本発明は、上皮膜透過タンパク質と結合するファージのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の選択を容易にするのに、上皮膜透過タンパク質を過剰発現する細胞株、又は上皮膜透過タンパク質遺伝子でトランスフェクトした細胞株を使用する選択方法を含む。このことによって、タンパク質の発現及び精製のために、膜を通過するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の生成速度を大幅に上げる必要がなくなる。別の実施形態では、本発明は、受容体媒介性の内在化を示すファージのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の選択を可能にする細胞を使用する選択方法を含む。当該方法は、細胞に、ファージのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を添加すること、及び内在化を受けた細胞から、ファージのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を回収することを含む。さらに別の実施形態では、本発明は、細胞単層を通ってトランスサイトーシスするファージのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の選択を可能にするためにフィルター上、トランスウェルシステム、ボイデンチャンバで播種した細胞を使用する選択方法を含む。当該方法は、区画1に、ファージのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を添加すること、ファージのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」が細胞単層を通過して移動すること、及び区画2に移動するファージのナノボディを回収することを可能にすることを含む。
【0059】
概して、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を鼻投与するのを可能にする、それ自体が既知の任意の好適な方法により配合することができ、これらについては、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Company, USA (1990)、又はRemington, the Science and Practice of Pharmacy, 21th Edition, Lippincott Williams and Wilkins (2005)等の標準的なハンドブックを参照する。好ましくは、鼻投与のために、本発明のナノボディ、ポリペプチド及びタンパク質は、少なくとも治療的に有効な量の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な鼻担体と、任意で1つ又は複数のさらなる治療成分(又は活性物質)、薬学的に許容可能な添加剤及び/又は作用物質とを含む組成物又は薬学的組成物として配合される。本発明で規定される「鼻担体」は、鼻経路を介した適用、即ち鼻粘膜への適用に適した担体である。鼻担体は、固体、半液体又は液体の充填剤、希釈剤又は封入材料であり得る。鼻担体は、液体又は半液体又は粘性溶液、ゲル、クリーム、ペースト、粉末、マイクロスフェア及び鼻粘膜に直接適用するフィルムを含む様々な形態で与えられ得る。鼻担体は、他の製剤成分に適合し、且つ被験体において許容不可能な有害効果を誘起しないという点で「薬学的に許容可能である」必要がある。好ましい鼻担体は、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質と鼻粘膜との接触を改善するか、又は組成物から鼻粘膜へのナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の拡散を容易にする、例えば組成物の鼻残留時間を延長させ、及び/又はナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質と粘膜との間の距離を縮めて、吸収を増大させるものである。好適な鼻担体は、以下に記載されるか、又はそうでなければ薬理学の技術分野の当業者にとって既知である。このような担体は、それ自体が既知の好適な量で使用してもよく、本明細書に言及される開示及び従来技術に基づき、当業者にとって明らかである。
【0060】
担体は、例えば水、エタノール(ethanol)、ポリオール(polyol)(例えば、グリセロール(glycerol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、及び液体ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)等)、及びこれらの好適な混合物を含有する液体又は溶媒又は分散媒であり得る。他の好ましい液体担体は、食塩水溶液、例えば生理食塩水、又は緩衝水溶液、例えばリン酸/クエン酸緩衝液である。他の液体鼻担体の非限定的な例は、国際公開第04/093917号パンフレット及び国際公開第05/120551号パンフレットに与えられる。
【0061】
固体担体が存在する場合、例えば水不溶性、水難溶性、吸水性、水膨潤性、ゲル形成性、又は水溶性であってもよい。固体組成物では、医薬品等級のマンニトール(mannitol)、ラクトース(lactose)、デンプン、ステアリン酸マグネシウム(magnesium stearate)、サッカリンナトリウム(sodium saccharin)、タルカム(talcum)、セルロース(cellulose)、グルコース(glucose)、スクロース(sucrose)、及び炭酸マグネシウム(magnesium carbonate)等を含む従来の非毒性で薬学的に許容可能な担体を使用することができる。他の好ましい担体としては、ポリアクリレート(polyacrylates)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxy methyl cellulose)、デンプン及びその誘導体、アルギン酸(alginic acid)及び塩、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)及び塩、ペクチン酸(pectic acid)及び塩、ゼラチン及びその誘導体、ゴム、ポリ乳酸(polylactic acid)及びそのコポリマー、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、セルロース(celluloses)及びその誘導体、被覆セルロース(celluloses)、架橋デキストラン(dextrans)、より好ましくはポリ乳酸(polylactic acid)及びそのコポリマー、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、セルロース(celluloses)及びその誘導体、被覆セルロース(celluloses)及び架橋デキストラン(dextrans)が挙げられる。他の固体鼻担体の非限定的な例は、欧州特許第490806号明細書、国際公開第04/093917号パンフレット及び国際公開第05/120551号パンフレットに記載される。
【0062】
ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の放出は、鼻担体の拡散又は崩壊によるものであり得る。幾つかの状況では、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、好適なポリマー、例えばイソブチル2−シアノアクリレート(isobutyl 2-cyanoacrylate)から調製されたマイクロカプセル(マイクロスフェア)又はナノカプセル(ナノスフェア)中で分散する(例えばMichael et al., J. Pharmacy Pharmacol. 1991; 43: 1-5を参照されたい)。これらの特定のマイクロスフェアは、粘膜接着性を示すだけでなく、酵素分解も防止する。さらにこれらのマイクロスフェアによって、長期間にわたって持続送達及び生体活性が得られるように、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の放出速度を操作することが可能になる(Morimoto et al., Eur. J. Pharm. Sci. 2001 May; 13(2): 179-85)。
【0063】
鼻吸収を高めるのに役立つ別の技法は、生体接着性の鼻担体の利用である。これらの化合物は、ファンデルワールス相互作用、イオン相互作用、水素結合等の化学結合若しくは物理的結合によって、又はポリマー鎖の絡み合い(entanglement)によって鼻粘膜に接着する。接着は、上皮(細胞)表面、又は表面を覆う粘液で起こり得る。これらの化合物は、鼻腔における薬剤と生体物質との結合を促進し、それによって残留時間を延長し、吸収を増大させる。一般的な生体接着物質は、カルボポール(carbopol)、セルロース(cellulose)作用物質、デンプン、デキストラン(dextran)及びキトサン(chitosan)である(Illum, Bioadhesive formulations for nasal peptide delivery. In: E Mathiowitz, DE Chickering III, C Lehr, eds. Bioadhesive Drug Delivery Systems. New York: Marcel Dekker, 1999: 507-541、国際公開第96/03142号パンフレット)。
【0064】
本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の粘膜送達をさらに高めるために、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を含む製剤は、鼻担体、基剤又は賦形剤として親水性低分子量化合物を含有してもよい。このような親水性低分子量化合物は、水溶性活性剤(本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質等)が、当該活性ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が吸収される鼻粘膜に基剤を通して拡散し得る通過媒体を提供する。任意で、親水性低分子量化合物は、粘膜又は添加雰囲気から水分を吸収し、水溶性の活性ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を溶解する。例示的な親水性低分子量化合物は、国際公開第05/120551号パンフレットに開示され、ポリオール化合物、例えばスクロース(sucrose)、マンニトール(mannitol)、ラクトース(lactose)、L−アラビノース(L-arabinose)、D−エリトロース(D-erytrose)、D−リボース(D-ribose)、D−キシロース(D-xylose)、D−マンノース(D-mannose)、D−ガラクトース(D-galactose)、ラクツロース(lactulose)、セロビオース(cellobiose)、ゲンチオビオース(gentibiose)、グリセリン(glycerin)及びポリエチレングリコール(polyethylene glycol)等のオリゴ糖、二糖及び単糖を含む。このような担体又は基剤として有用な親水性低分子量化合物の他の非限定的な例としては、N−メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)及びアルコール(例えばオリゴビニルアルコール(oligovinyl alcohol)、エタノール(ethanol)、エチレングリコール(ethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)等)が挙げられる。これらの親水性低分子量化合物は、単独、又は互いと、又は鼻内製剤の他の活性成分若しくは不活性成分と組合せて使用することができる。
【0065】
担体は、酸性化剤、アルカリ化剤、抗菌性防腐剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート化剤、錯化剤、可溶化剤、保湿剤、溶媒、懸濁剤及び/又は増粘剤、安定化剤、等張化剤、湿潤剤又は他の生体適合性材料等の薬学的に許容可能な添加剤をさらに含有してもよい。上記のカテゴリーに挙げられた成分の作成表は、the U. S. Pharmacopeia National Formulary, pp. 1857-1859, 1990に見出すことができる。薬学的に許容可能な防腐剤の例としては、塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(methyl p-hydroxybenzoate)及びp−ヒドロキシ安息香酸プロピル(propyl p-hydroxybenzoate)等のp−ヒドロキシ安息香酸アルキル(alkyl p-hydroxybenzoate)(パラベン(paraben))、又はメチル水銀チオサリチル酸ナトリウム(sodium methylmercurithiosalicylate)(チオマーサル(Thiomersal))が挙げられる。薬学的に許容可能な防腐剤のさらなる非限定的な例は、米国特許第5,759,565号明細書、欧州特許第490806号明細書及び国際公開第04/093917号パンフレットに記載されている。薬学的に許容可能な抗酸化剤の例としては、アルカリ金属亜硫酸塩(alkali metal sulfites)、アルカリ金属亜硫酸水素塩(alkali metal bisulfites)、アルカリ金属ピロ亜硫酸塩(alkali metal pyrosulfites)、チオ硫酸ナトリウム(sodium thiosulfate)、チオジプロピオン酸(thiodipropionic acid)、遊離形態又は塩形態のシステイン(cysteine)(塩酸システイン(cysteine hydrochloride)等)、アスコルビン酸(ascorbic acid)、シトラコン酸(citraconic acid)、没食子酸プロピル又は没食子酸エチル(propyl or ethyl gallate)、ノルジヒドログアイアレチン酸(nordihydroguaiaretic acid)、ブチル化ヒドロキシアニソール又はブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxyanisole or -toluene)、トコール(tocol)が挙げられる。薬学的に許容可能な抗酸化剤のさらなる非限定的な例は、欧州特許第490806号明細書、国際公開第04/093917号パンフレット及び国際公開第05/120551号パンフレットに与えられる。薬学的に許容可能な粘性上昇剤の例としては、メチルセルロース(methylcellulose)、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxymethylcellulose)、PVA、PVP、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)又は天然ポリマーが挙げられる。粘性上昇剤のさらなる非限定的な例は、欧州特許第490806号明細書に記載されている。薬学的に許容可能な安定化剤の例としては、アルブミン(albumin)(ヒト血清アルブミン(albumin)等)、アプロチニン(aprotinin)又はε−アミノカプロン酸(aminocaproic acid)が挙げられる。安定化剤のさらなる非限定的な例は、欧州特許第490806号明細書に与えられる。薬学的に許容可能な等張化剤の例としては、鼻において許容可能な糖、例えばグルコース(glucose)、マンニトール(mannitol)、ソルビトール(sorbitol)、リボース(ribose)、マンノース(mannose)、アラビノース(arabinose)、キシロース(xylose)又は別のアルドース(aldose)若しくはグルコサミン(glucosamine)が挙げられる。等張化剤のさらなる非限定的な例は、欧州特許第490806号明細書に与えられる。このような添加剤は、それ自体が既知の好適な量で使用することができ、本明細書で言及される開示及び従来技術に基づき当業者には明らかである。
【0066】
鼻担体が液体である場合、等張となる(taken as unity)0.9%(w/v)生理食塩溶液の張性を参照して測定される製剤の張性は典型的に、鼻粘膜における投与部位で実質的に不可逆的な組織損傷を誘導しない値に調整する。概して、溶液の張性は、約1/3〜3、より典型的には1/2〜2、最も頻繁には3/4〜1.7の値に調整する。本発明の液体組成物は、鼻の炎症を最小限に抑えるために、弱酸性pH、例えば3〜6.5、3.5〜6.5、好ましくは4.5〜6.5であるのがさらに好ましい(Behl et al. Adv. Drug Delivery Rev. 1998; 29: 89-116)。要求される酸性度は、例えば緩衝剤(例えばクエン酸(citric acid)とリン酸水素二ナトリウム(disodium hydrogen phosphate)との混合物)、又はHCl等の酸、又は別の適切な無機酸若しくは有機酸(例えばリン酸(phosphoric acid))の添加によって都合よく達成され得る。固体組成物はまた、上記で示されるpH値に緩衝した液体組成物の凍結乾燥によって調製される場合、緩衝剤を含んでいてもよい。薬学的に許容可能な緩衝剤の非限定的な例は、欧州特許第490806号明細書、国際公開第04/093917号パンフレット及び国際公開第05/120551号パンフレットに与えられる。
【0067】
本発明の組成物の所望の粘性は、特定の投与形態、例えば鼻滴剤又は鼻スプレーのどちらで投与するかによって変わる。鼻滴剤では、適切な粘性は、約2×10−3Pa・s〜約40×10−3Pa・sである。鼻スプレーでは、粘性は、2×10−3Pa・s未満、例えば1×10−3Pa・s〜2×10−3Pa・sであるのが適している。
【0068】
本発明の固体鼻組成物における担体(例えばセルロース(cellulose)担体)を含む成分の粒径は、5μ〜500μ、好ましくは10μ〜250μ、より好ましくは20μ〜200μであり得る。例えば、平均粒径は、50μ〜100μの範囲であり得る。
【0069】
代替的に、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質はそれ自体を、例えば粒径が本明細書に示された範囲内である、例えば粉末形態(凍結乾燥粉末又は微粒粉末等)又はミスト形態で鼻内送達に好適に配合してもよい。
【0070】
本発明の組成物は、1つ又は複数の粘膜送達向上剤をさらに含んでもよい。本明細書で使用されるように、「粘膜送達向上剤」は、本発明のナノボディ、ポリペプチド若しくはタンパク質、又はさらなる生物学的に活性のある成分(複数可)の(例えば製剤送達ビヒクルからの)放出又は可溶性、拡散速度、透過能及び透過のタイミング、取り込み、残留時間、安定性、有効半減期、ピークレベル又は持続濃度レベル、クリアランス及び(例えば送達部位、又は血流等の選択された標的となる活性部位、及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織及び/又は器官(腎臓、膀胱、肺及び/又は脳等)で測定されるような)他の所望の粘膜送達特徴を向上させる作用物質を含む。したがって粘膜送達の向上は、任意の様々な機構、例えば本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の拡散、輸送、存在又は安定性の増大、酵素阻害、膜流動性の増大、カルシウム及び細胞内浸透又は傍細胞浸透を調節する他のイオンの利用可能性又は作用の調整、粘膜成分(例えば液体)の可溶化、粘膜組織中の非タンパク質及びタンパク質のスルフヒドリル(sulfhydryl)レベルの変更、粘膜表面を通過する水フラックス(flux)の増大、上皮接合部の生理機能の調整、粘膜上皮を覆う粘液の粘性の低減、粘膜繊毛クリアランス速度の低減、鼻血流の増大及び他の機構によって起こり得る。好適な粘膜送達向上剤は、薬理学の技術分野の当業者にとって明らかであり、以下でさらに記載される。このような粘膜送達向上剤は、それ自体が既知の好適な量で使用してもよく、本明細書に言及される開示及び従来技術に基づき、当業者にとって明らかである。
【0071】
粘膜送達向上剤としては、(a)凝集阻害剤、(b)電荷修飾剤、(c)pH制御剤、(d)分解酵素阻害剤、(e)粘液溶解剤又は粘液除去剤、(f)繊毛抑制剤、(g)膜透過向上剤、(h)上皮連結部の生理機能調整剤(一酸化窒素(NO)刺激剤、キトサン及びキトサン誘導体等)、(i)血管拡張剤、(j)選択的輸送向上剤、及び(k)本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を効果的に混合、連結、含有、封入又は結合して、鼻粘膜送達の向上のために本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を安定化する、安定送達ビヒクル、担体、支持体又は複合体形成種が挙げられる。これらの粘膜送達向上剤は、欧州特許第037943号明細書、欧州特許第094157号明細書、欧州特許第173990号明細書、欧州特許第214898号明細書、欧州特許第215697号明細書、欧州特許第327756号明細書、欧州特許第490806号明細書、米国特許第4,476,116号明細書、米国特許第5,759,565号明細書、国際公開第04/093917号パンフレット及び国際公開第05/120551号パンフレットにおいて、本発明の組成物に含まれるさらなる作用物質でさらに例示されるが、これらに限定されない。
【0072】
一実施形態において、抗凝集剤は本発明の組成物に添加する。凝集阻害剤としては、例えば安定性を大幅に増大させ、且つ凝集阻害剤と混合されたか、又は凝集剤と連結したペプチド及びタンパク質の固相凝集を低減する様々な機能性を有するポリマー(ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)、デキストラン(dextran)、ジエチルアミノエチルデキストラン(diethylaminoethyl dextran)、及びカルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)等)が挙げられる。幾つかの例では、タンパク質の活性又は物理的安定性は、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質薬剤の水溶液に様々な添加剤を加えることによって向上させることもできる。例えば、添加剤〔ポリオール(polyols)(糖を含む)、アミノ酸及び様々な塩等〕を使用してもよい。或る特定の添加剤、特に糖及び他のポリオール(polyols)はまた、有意の物理的安定性を与え、例えば凍結乾燥タンパク質を乾燥させる。これらの添加剤は、凍結乾燥中だけでなく、乾燥状態で保存中にもタンパク質を凝集から保護するために本発明内で使用することもできる。例えば、スクロース(sucrose)及びフィコール70〔スクロース(sucrose)単位を有するポリマー〕は、様々な条件下での固相インキュベート中のペプチド又はタンパク質凝集に対する有意な保護を示す。これらの添加剤はまた、ポリマーマトリクス内に組み入れた固体タンパク質の安定性を高め得る。さらに別の添加剤〔例えばスクロース(sucrose)〕は、本発明の或る特定の持続放出製剤で起こり得るように、高温湿潤雰囲気下で固体状態凝集に対してタンパク質を安定化させる。これらの添加剤は、本発明内のポリマー溶融プロセス及び組成物に組み込むことができる。例えば、ポリペプチド微粒子は、上記の様々な安定化添加剤を含有する溶液を単純に凍結乾燥又は噴霧乾燥することによって調製することができる。これによって長期間にわたって、非凝集ペプチド及びタンパク質の持続放出を得ることができる。広範で非限定的な範囲の好適な方法及び抗凝集剤が、国際公開第05/120551号パンフレット、Breslow et al.(J. Am. Chem. Soc. 1996; 118: 11678-11681)、Breslow et al.(PNAS USA 1997; 94: 11156-11158)、Breslow et al.(Tetrahedron Lett. 1998; 2887-2890)、Zutshi et al.(Curr. Opin. Chem. Biol. 1998; 2: 62-66)、Daugherty et al.(J. Am. Chem. Soc. 1999; 121: 4325-4333)、Zutshi et al.(J. Am. Chem. Soc. 1997; 119: 4841-4845)、Ghosh et al.(Chem. Biol. 1997; 5: 439-445)、Hamuro et al.(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1997; 36: 2680-2683)、Alberg et al.(Science 1993; 262: 248-250)、Tauton et al.(J. Am. Chem. Soc. 1996; 118: 10412-10422)、Park et al.(J. Am. Chem. Soc. 1999; 121: 8-13)、Prasanna et al.(Biochemistrv 1998; 37:6883-6893)、Tiley et al.(J. Am. Chem. Soc. 1997; 119: 7589-7590)、Judice et al.(PNAS USA 1997; 94: 13426-13430)、Fan et al.(J. Am. Chem. Soc. 1998; 120: 8893-8894)、Gamboni et al.(Biochemistry 1998; 37: 12189-12194)に開示されるような本発明の組成物内への組み込みに利用可能である。
【0073】
別の実施形態において、酵素阻害剤を本発明の組成物に添加する。鼻粘膜は、克服しなければならない加水分解酵素(リパーゼ(lipases)及びプロテアーゼ(proteases)等)を含有する。この酵素「障壁」は、分解を防ぐか、又は少なくとも分解の程度を抑える酵素阻害剤を投与することによって緩和することができる。本発明内で使用する酵素阻害剤は、効力及び毒性の程度が異なる広範の非タンパク質阻害剤から選択される(例えばL. Stryer, Biochemistry, WH: Freeman and Company, NY, NY, 1988を参照されたい)。非限定的な例としては、アマスタチン(amastatin)及びベスタチン(bestain)が挙げられる(O'Hagan et al., Pharm. Res. 1990, 7: 772-776)。様々なクラスの酵素阻害剤が、本発明の組成物での使用に限定されないが、国際公開第05/120551号パンフレットで広く記載及び例示される。別の分解を抑制する手段は、PEG分子、好ましくは低分子量PEG分子(例えば2kDa、Lee et al., Calcif Tissue Int. 2003, 73: 545-549)によるペグ化である。酵素阻害剤としての上記酵素に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の使用も本発明の範囲内である。したがって、本発明は、所望の標的に対して指向性を有する、1つ又は複数のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と、鼻粘膜の酵素に対して指向性を有する、1つ又は複数のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」とを含むか、又は本質的にこれから成る二重特異性又は多重特異性の構築物にも関する。
【0074】
別の実施形態において、粘液溶解剤を、鼻粘膜の粘性をさらに低減させるために本発明の組成物に添加する。粘液溶解剤は、国際公開第04/093917号パンフレットに記載され、粘液ポリマーにおけるスルフヒドリル(sulfhydryls)の質量作用及びジスルフィド結合によって競合する、n−アセチル−システイン(n-acetyl-cysteine)、没食子酸プロピル(propyl gallate)及びシステインメチオニンダイマー(cysteine methionine dimers)を含む。ジスルフィド結合が破壊されると、粘液の全体的な粘性が有意に低減する。粘膜における他の形態の二次構造は、多糖及びアミノサッカリド(aminosaccharide)鎖を含む共同(cooperative)水素結合構造である。この共同水素結合は、カオトロピック(chaotropes)によって低減されるが、実際は、水素結合した規則構造がランダム化し、水素結合した規則構造からの増大エントロピーの自由エネルギーとして、これらの化合物を含む組成物の適用中に鼻腔における心地良い暖感を与える。
【0075】
さらなる実施形態において、膜透過向上剤を、本発明の組成物に添加する。(i)界面活性剤、(ii)胆汁塩又は胆汁塩誘導体、(iii)リン脂質又は脂肪酸添加物、混合ミセル、リポソーム、又は担体、(iv)アルコール、(v)エナミン(enamine)、(vi)NO供与体化合物、(vii)長鎖両親媒性分子、(viii)低分子疎水性浸透促進剤、(ix)ナトリウム(sodium)又はサリチル酸(salicylic acid)誘導体、(x)アセト酢酸(acetoacetic acid)のグリセロール(glycerol)エステル、(xi)シクロデキストリン(cyclodextrin)又はβ−シクロデキストリン(beta-cyclodextrin)誘導体、(xii)中鎖脂肪酸、(xiii)キレート化剤(例えば、クエン酸(citric acid)、サリチル酸塩(salicylates))、(xiv)アミノ酸又はその塩、(xv)N−アセチルアミノ酸(N-acetylamino acid)又はその塩、(xvi)選択された膜成分に対する分解能がある酵素、(xvii)脂肪酸合成の阻害剤、(xviii)コレステロール合成の阻害剤、(xix)カチオン性ポリマー、又は(xx)(i)〜(xix)の膜透過向上剤の任意の組合せ等の様々な膜透過向上剤が記載されている。膜透過向上剤は、これらに限定されないが、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)(DMSO)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、エタノール(ethanol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、及び2−ピロリドン(2-pyrrolidones)を含む低分子親水性分子から選択することができる。代替的に、長鎖両親媒性分子、例えばデアシルメチルスルホキシド(deacylmethyl sulfoxide)、アゾン(azone)、ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate)、オレイン酸(oleic acid)、及び胆汁塩(例えば、不飽和環状尿素及びトランスクトール(Transcutol))を本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の粘膜透過を向上するのに利用してもよい。さらなる態様では、界面活性剤〔例えばTween80、Poloxamer188、ポリソルベート(polysorbates)、界面活性剤のさらなる非限定的な例は、欧州特許第490806号明細書、米国特許第5,759,565号明細書、及び国際公開第04/093917号パンフレットにも与えられる〕を、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の鼻内送達を向上するための付加化合物、処理剤、又は製剤添加物として利用する。これらの透過向上剤は典型的に、鼻粘膜の内側を覆う上皮細胞の脂質二重層を含む分子の極性頭部基又は親水性尾部領域のいずれかと相互作用する(Barry, Pharmacology of the Skin, Vol. 1, pp. 121-137, Shroot et al., Eds., Karger, Basel, 1987、及びBarry, J. Controlled Release 1987; 6: 85-97)。これらの部位での相互作用は、脂質分子のパッキングの破壊、二重層の流動性の増大、及び粘膜障壁を通過する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の輸送を容易にする効果を有し得る。膜透過向上剤のさらなる非限定的な例は、国際公開第04/093917号パンフレット、国際公開第05/120551号パンフレット及びDavis and Illum(Clin. Pharmacokinet 2003, 42: 1107-1128)に記載されている。
【0076】
本発明の様々な実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、上記の(a)〜(k)で言及される、1つ、2つ、3つ、又は4つ以上の粘膜(例えば鼻内)送達向上剤と組合せる。これらの粘膜送達向上剤は、単独で又は共に、鼻担体と、及びナノボディ、ポリペプチド若しくはタンパク質と混合しても、又はそうでなければ薬学的に許容可能な製剤若しくは送達ビヒクルにおいてこれらと組合せてもよい。本明細書中の教示に従った粘膜送達向上剤の1つ又は複数(任意で上記の(a)〜(k)から選択される2つ以上の粘膜送達向上剤の任意の組合せを含む)を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の配合によって、被験体の鼻粘膜表面へ送達後に、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のバイオアベイラビリティが増大する。
【0077】
吸収促進機構は、様々な本発明の鼻内送達向上剤によって変わり得るが、これに関連して有用な試薬は、粘膜組織に対して実質的に悪影響がなく、特定のナノボディ、ポリペプチド若しくはタンパク質、又は他の活性成分、又は送達向上剤の物理化学的特徴に従って選択される。これに関連して、粘膜組織の透過又は浸透性を増大する送達向上剤によって、粘膜の保護浸透性障壁が幾らか変化することが多い。このような送達向上剤が本発明内で有用であるためには、概して粘膜の浸透性の任意の有意な変化は、所望の薬剤送達期間に適切な時間枠内で可逆であるのが望ましい。さらに、実質的な蓄積毒性も、長期間の使用によって粘膜の障壁特性において誘導される任意の永続的な有害変化も存在してはいけない。
【0078】
本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、鼻担体、及び任意で1つ又は複数のさらなる添加剤及び/又は作用物質の他に、本発明の組成物は、1つ又は複数のさらなる治療成分(即ち活性物質)をさらに含んでいてもよい。これらの治療成分は、被験体において所望の活性、又は治療的反応若しくは生物学的反応を誘起する任意の化合物であり得る。好ましい実施形態では、2つ以上の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を組合せて、即ち複合治療計画として使用してもよい。
【0079】
上記で示すように、本発明の組成物又は薬学的組成物は、少なくとも治療的に有効な量の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む必要がある。本発明に使用される「治療的に有効な量」は広義で、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を受ける被験体において所望の活性、又は所望の生物学的反応、予防的反応、及び/又は治療的反応を誘起することができる、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の量を意味する。本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の投与量、したがって本発明の組成物における活性成分の量は当然ながら、化合物のバイオアベイラビリティ、被験体の疾患兆候、及び特定の状態(例えば、被験体の年齢、体格、健康状態、症状の程度、感受性因子等)、標的となる細胞、腫瘍、組織、グラフト又は器官、同時に施される他の薬剤又は治療、並びに被験体において所望の活性、又は生物学的反応、予防的反応、若しくは治療的反応を誘起するための本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の特定の薬理機能等の要素によって変わる。投与計画は、最適な活性、又は生物学的反応、予防的反応、若しくは治療的反応を与えるように調整し得る。投与量はまた、投与される製剤の放出速度(例えば鼻スプレー対粉末)に基づき調整する必要がある。治療的に有効な量は、臨床的用語において本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の任意の毒性作用又は有害な副作用を、治療的に有益な作用が上回る量でもある。用量は、注射経路と効力が等しくなるように選択してもよい。
【0080】
これに関連して、本発明の組成物の鼻投与後の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の絶対的バイオアベイラビリティは、注入時に達成されるレベルのおよそ1%、2%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%以上である。絶対的バイオアベイラビリティによって、静脈投与と比べて、鼻内投与後の体循環における活性剤の利用可能性を判断する。本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の絶対的バイオアベイラビリティは、静脈(IV)投与後のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の濃度対時間プロットと、鼻内(IN)投与後のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の濃度対時間プロットとを比較することによって求める。本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の絶対的バイオアベイラビリティは、(AUCIN×用量IN)/(AUCIV×用量IV)×100と規定する。
【0081】
本発明の組成物の鼻投与後の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の相対的バイオアベイラビリティは、注射時に達成されるレベルのおよそ1%、2%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%以上である。相対的バイオアベイラビリティによって、同じ薬剤の別の投与形態〔筋肉内(IM)又は皮下(SC)等〕と比べて、鼻内投与後の体循環における活性剤の利用可能性を判断する。本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の相対的バイオアベイラビリティは、筋肉内(IM)又は皮下(SC)投与後のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の濃度対時間プロットと、鼻内(IN)投与後のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の濃度対時間プロットとを比較することによって求める。本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の相対的バイオアベイラビリティは、(AUCIN×用量IN)/(AUCSC/IM×用量SC/IM)×100と規定する。したがって、注射経路と効力を等しくするために、鼻投与は適切に、鼻適用頻度に応じて、注射による治療に必要な投与速度のおよそ1倍〜100倍、好ましくは1倍〜50倍、より好ましくは1倍〜20倍、さらにより好ましくは1倍〜10倍程度の投与速度を与えるように行う。
【0082】
概して活性化合物の量は、1回の投与で効果的な治療を与えるように選択される。代替的に、投与は、1日の間に間隔を空けて例えば2回〜4回の一連の適用に分けてもよい。副投与(sub-dose)自体を、例えば多くの別々に大まかに間隔を空けた投与(吸入器からの複数回の吸入に、又は複数の滴剤の適用等)にさらに分割してもよい。より一貫した又は規格化した本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の治療レベルを維持するために、本発明の組成物を、被験体の鼻粘膜に繰り返し、例えば24時間内に1回又は2回以上、24時間内に4回以上、24時間内に6回以上、又は24時間内に8回以上投与することに留意する。血中のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の規格化した及び/又は高い治療レベルを維持するのにパルス送達を行う送達装置を以下に記載する。投与計画は、長期間にわたる毎日の治療を含み得る。「長期間」とは、少なくとも2週間、及び好ましくは数週間、数ヶ月、又は数年の期間を意味する。概して臨床医は、本明細書で言及される要因によって、好適な日用量を決定することができる。特定の場合、臨床医は、例えば上記で言及された要因、及び自身の専門的な判断に基づき、これらの量を避けることを選択してもよいことも明らかである。
【0083】
効果的な投与量の最終的な決定は、ヒト臨床試験で追跡調査した動物モデル研究に基づき、被験体における標的となる病状又は状態の発生又は重症度を有意に低減する、効果的な投与量及び鼻投与プロトコルの決定によって導かれる。これに関して好適なモデルとしては例えば、ネズミ、ラット、ブタ、ネコ、非ヒト霊長類、及び当該技術分野で既知の他の許容される動物モデル被験体が挙げられる。最終的に、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の投与量は、付添人(attendant)、医師又は臨床医の裁量で決まる。投与量は、任意の合併症事象において個々の医師によって調整することもできる。
【0084】
非限定的な例として、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、1日当たり体重1kg当たり約0.1μg〜0.1g、例えば1日当たり体重1kg当たり1μg〜0.1g、例えば1日当たり体重1kg当たり0.01mg〜100mg、例えば単日用量として、又は1日の間に複数回で分けられた用量としてのいずれかの1日当たり体重1kg当たり0.05mg〜100mg、例えば0.05mg〜50mg、0.05mg〜30mg、0.1mg〜20mg、又は約1mg〜10mg、又は約5mg〜10mgの遊離ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質濃度を与えるような量で本発明の組成物中に好適に存在する。
【0085】
本発明の鼻組成物におけるそれぞれのさらなる成分の割合は、使用される成分によって変わり得る。例えば、これらに限定されないが、鼻担体の量は、組成物の総重量又は総体積の0.1重量%〜99.9重量%の範囲であり得る。存在する場合、界面活性剤の量は、組成物の総体積又は総重量の約0.01重量%〜約10重量%以上及び好ましくは約0.05重量%〜約1.0重量%の範囲である可能性があり、その量は使用される特定の界面活性剤によって変わる。概してこの量は、或る特定のレベルを超えると吸収の向上を達成することができず、また界面活性剤のレベルが高すぎると鼻粘膜の炎症が引き起こされる恐れがあるため、できる限り低く維持する。送達向上剤の量は、組成物の総重量の少なくとも0.1%、好適には約0.5%〜10%の範囲であり得る。組成物が液体である場合、好適には向上剤は、全組成物の0.1%(w/v)〜5%(w/v)の量で存在し得る。保存剤は、組成物の総重量又は総体積の約0.002重量%〜0.02重量%の量で存在し得る。
【0086】
さらに検討するために、本発明の組成物における様々な化合物の濃度の他に、送達量が重要である。送達量は、鼻腔の大きさによって制限される。好適な送達量は、薬理学の技術分野における当業者にとって明らかである。好ましくは、それぞれの鼻適用で投与される全組成物量は好適に、約0.05ml〜0.5ml、好ましくは約0.07ml〜0.3ml、典型的に約0.09ml〜0.1mlを含む。固体組成物は、1回の投与当たり担体1mg〜30mg、より具体的には4mg〜20mgを含み得る。
【0087】
本発明は、上記の組成物を調製する方法であって、ナノボディ(登録商標)、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と、薬学的に許容可能な鼻担体とを含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド又はタンパク質を緊密混合物にさせることを含む、方法をさらに提供する。
【0088】
本発明は、上記の組成物を調製する方法であって、ナノボディ(登録商標)、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と、薬学的に許容可能な鼻担体と、任意で1つ又は複数のさらなる治療成分、及び/又は薬学的に許容可能な添加剤及び/又は作用物質とを含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド又はタンパク質を緊密混合物にさせることを含む、方法をさらに提供する。
【0089】
本発明の液体組成物は、任意でさらなる成分、添加剤及び/又は作用物質と共に液体担体において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を緊密混合物にすることによって調製し得る。好ましくは、それによって得られた混合物を凍結乾燥し、本発明による液体形態での使用のために水又は生理食塩水溶液中に溶解する。本発明の固体の鼻組成物は、従来の方法で調製し得る。本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、従来の方法において担体粒子〔例えばポリマー基剤又はセルロース(cellulose)生成物〕と、任意で上記に示したようなさらなる成分、添加剤及び/又は作用物質、例えば開示されるような粘膜送達向上剤又は界面活性剤と混合し得る。本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、担体粒子、及び例えば凍結乾燥又は噴霧乾燥時に蒸発する溶媒と混合した場合、溶液、例えば水溶液又はアルコール溶液中に存在し得る。このような乾燥処理は従来条件下で行い得る。代替的に、混合物を圧縮又は造粒した後、微粉砕及び/又は篩過し得る。必要に応じて、粒子をコーティングしてもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、鼻組成物は、凍結乾燥によって調製する。本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質と、任意で上述のようなさらなる成分、添加剤及び/又は作用物質とを含有する、均一溶液、好ましくは水溶液を調製した後、既知の凍結乾燥手順に類似の凍結乾燥、その後乾燥処理を行う。それから、例えば鼻滴剤、ゲル又はスプレーを再構成するために、得られた粉末を投与前に液体賦形剤又は鼻担体中に溶解してもよい。代替的にこの粉末はそれ自体を、凍結乾燥粉末形態で投与してもよく、又は上述のようなさらなる成分、添加剤及び/又は作用物質と混合してもよい。例えば、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含むが、鼻担体を全く含まない凍結乾燥粉末を調製した後に、所望の鼻担体又は鼻担体の混合物と混合してもよい。
【0090】
多くの送達装置が、点滴カテーテル、点滴器、単位用量コンテナ、瓶型搾り出し容器(squeeze bottles:スクィーズボトル)、ポンプスプレー、無気スプレー及び保存剤が入っていない(preservative-fee)スプレー、圧縮空気ネブライザ、定量(metered-dose)吸入器、注入器並びに加圧定量吸入器等の鼻内投与に利用可能である。送達の正確性、用量再現性、コスト、及び使用の容易性によって装置を変える。現在、定量システムによって、最も大きい用量の正確性及び再現性が与えられる。本発明の組成物に好適な送達装置は、薬理学の技術分野の当業者にとって明らかであり、本明細書にさらに記載される。
【0091】
本発明は、上記の組成物の鼻適用及び/又は投与に適した、即ち鼻粘膜に上記の組成物を配置する手段を与える任意の送達装置を包含する。好ましくは、このような手段によって、計量用量の組成物が与えられる。本発明の組成物は、鼻粘膜に(固定用量又は計量用量の)組成物を送達する手段を与えられれば、任意の適切な形態又はコンテナ内に入れてもよい。
【0092】
このような送達装置は、単位用量の本発明の組成物を(繰り返し)送達すること、特に鼻投与に適した送達量を本質的に含む(即ち本明細書にさらに記載されるような)単位用量の本発明の組成物を(繰り返し)送達することができるのが好ましい。
【0093】
滴剤形態での液体の投与のために、このような組成物は、例えば好ましくは実質的に固定量の組成物/滴剤を送達するピペット等を含む従来の点滴/蓋装置を備えたコンテナに入れるのが適している。
【0094】
鼻スプレーとしての水溶液の投与のために、水溶液は、当業者に既知の様々な方法によってスプレー形態に分注してもよい。例えば、このような組成物を適切な散布装置、例えばポンプ散布器等に入れる。散布装置は、鼻孔への噴霧水の送達に適切な手段、例えば噴霧アダプタを備える。好ましくは、実質的に固定量の組成物/アクチュエーション(actuation)(即ち噴霧単位1つ当たり)の送達を確実にする手段を備える。鼻スプレーの例としては、Ing. Erich Pfeiffer GmbH, Radolfzell, Germanyによって作製される鼻アクチュエータが挙げられる(米国特許第4,511,069号明細書、米国特許第4,778,810号明細書、米国特許第5,203,840号明細書、米国特許第5,860,567号明細書、米国特許第5,893,484号明細書、米国特許第6,227,415号明細書、及び米国特許第6,364,166号明細書を参照されたい)。さらなるエアロゾル送達形態には例えば、圧縮空気ネブライザ、ジェットネブライザ、超音波ネブライザ、及び圧電ネブライザが含まれ得る。
【0095】
代替的にスプレーは、加圧下でエアロゾル装置中に入れられ得る。「エアロゾル」は、加圧下で容器に入れられ、適切なバルブシステムの作動時に放出又は送達される薬学的に活性のある成分を含有する生成物である。推進剤は、気体又は液体(例えばフッ素化炭化水素及び/又は塩素化炭化水素)であり得る。スプレー組成物は、液体推進剤中に懸濁又は溶解し得る。安定化剤及び/又は懸濁剤及び/又は共溶媒が存在してもよい。
【0096】
乾燥粉末は、米国特許第6,514,496号明細書に記載の吸入装置において容易に分散され得る。これらの乾燥粉末組成物は、0.4μm〜5μmの質量中央径範囲、又は20μm〜250μmの質量中央径範囲の平均粒径を有する複数の分離乾燥粒子を含む(Garcia-Arieta et al., Biol. Pharm. Bull. 2001; 24: 1411-1416)。
【0097】
必要に応じて、粉末又は液体を、軟カプセル若しくは硬カプセル、又は鼻投与に適合した単回投与装置に充填してもよい。ゼラチンカプセル等のカプセルに充填する前に、粉末を篩過してもよい。送達装置は、カプセルを開裂させる手段を有してもよい。粉末状の鼻組成物を単位用量形態の粉末として直接使用することができる。例えば注入器を使用して、カプセル又は単回投与装置の内容物を投与してもよい。好ましくは、実質的に固定量の組成物/アクチュエーションの投与を確実にする手段を備える。
【0098】
送達力、放出される液滴径及び噴霧パターンにも違いがある。送達装置は、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を送達するだけでなく、保存に適切な環境を与えるのにも重要である。このことには、微生物汚染及び化学分解からの保護が含まれる。潜在的な漏出又は吸収を避けるように、装置と製剤とは適合性がなければいけない。
【0099】
コンテナは、単回経鼻投与又は例えば1日、数日又は数週間にわたる数回の順次投与の供給に十分な組成物を収容し得る。個々の投与の好適な量は上記に規定する。好ましくは、これらの量が、約0.05ml〜0.15ml、典型的に約0.09ml〜0.1mlの個々に固定の量での収容された組成物の適用を可能にする。
【0100】
送達装置は、それ自体が既知の方法で好適に容器に入れられてもよい。送達装置(又はその容器(packaging))は、任意でラベル、及び/又は使用のための取扱説明書(組成物が鼻内で使用されるべきであることを示している)を備え得る。
【0101】
別の実施形態において、本発明の組成物は、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻中で分散させる鼻インサートとして与えられる。「鼻インサート」は、鼻孔への配置及び残留のためにサイズ分類、成形、及び適合されるか、又は鼻孔への挿入を目的とするか、又は鼻腔への挿入及び/又は鼻孔における残留のために形成、成形若しくはそうでなければ適合されるか、又は鼻孔の内表面に実質的に適合するように成形するか、又は鼻孔への効果的な挿入をもたらすための取扱説明書を共に備える装置である。インサートは、鼻孔に残留してもよいが、鼻粘液で洗い流されても、鼻孔における同じ場所に本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を放出するように設計してもよい。好適な鼻インサートの種類としては、鼻栓及び鼻タンポン等が挙げられる。鼻インサートのさらなる例、これらの特徴及び調製は、欧州特許第490806号明細書に記載される。
【0102】
本発明の組成物は、鼻粘膜への局所投与のために配合され、被験体においてナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の全身性の治療的反応又は生物学的反応を与えること、及び/又は被験体の脳においてナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の治療的反応又は生物学的反応を与えることができる。このことは、所望の治療効果を得るために(即ち当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を受ける被験体において所望の活性又は所望の生物学的反応、予防的反応若しくは治療的反応を誘発するために)、血液〔及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織、及び/又は器官(腎臓、膀胱及び/又は肺等)〕中に、及び/又は脳において、十分量の本発明の機能的な(即ち活性のある又は不活性ではない)ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が存在することを意味する。本発明の組成物の投与後の血液〔及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織、及び/又は器官(腎臓、膀胱及び/又は肺等)〕中の、及び/又は脳における本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のバイオアベイラビリティは、当業者に既知の薬物動態パラメータCmax(ピーク濃度)、AUC(濃度対時間曲線下面積(area under concentration vs. time curve))及び/又はTmax(最大の血液濃度に対する時間)を測定することによって決定する(Laursen et al., Eur. J. Endocrinology, 1996; 135: 309- 315)。本発明のナノボディ、ペプチド又はタンパク質のバイオアベイラビリティは、任意の従来方法、例えばラジオイムノアッセイによって決定し得る。
【0103】
本発明で使用される「Cmax」は、被験体への単位用量の組成物の鼻投与後に血液〔及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織、及び/又は器官(腎臓、膀胱及び/又は肺等)〕中で、及び/又は脳において達成される本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の平均最大濃度を意味する。本発明で使用される血液又は血流は、任意の形態及び/又は血液分画であり得る。限定されないが、血液又は血流は、血漿及び/又は血清を含む。本発明の組成物に含まれるナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxは、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質は、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を必要とする被験体に所望の活性、又は治療的反応若しくは生物学的反応が与えられれば、任意の値であり得る。本発明の一実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、血中において血液1ml当たり少なくとも1ngのナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。さらなる実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、血中において血液1ml当たり少なくとも2ng、5ng、10ng、15ng、20ng、30ng、40ng、50ng、100ng、150ng、200ng、300ng、400ng、500ng、750ng、又は1000ng以上のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。
【0104】
別の実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、5mg/kg(体重)の用量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の鼻内投与後に、血中において血液1ml当たり少なくとも1ngのナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。さらなる実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、5mg/kg(体重)の用量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の鼻内投与後に、血中において血液1ml当たり少なくとも2ng、5ng、10ng、15ng、20ng、30ng、40ng、50ng、100ng、150ng、200ng、300ng、400ng、500ng、750ng、又は1000ng以上のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。
【0105】
本発明の別の実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の鼻内投与後に、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質は、血中において同量のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の非経口投与後に達するCmaxの少なくとも1%のCmaxに達する。さらなる実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の鼻内投与後に、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質は、血中において同量のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の非経口投与後に達するCmaxの少なくとも2%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、又は50%以上のCmaxに達する。
【0106】
本発明の別の実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の鼻内投与後に、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質は、脳において同量のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の非経口投与後に達するCmaxの少なくとも1%のCmaxに達する。さらなる実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の鼻内投与後に、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質は、脳において同量のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の非経口投与後に達するCmaxの少なくとも2%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、又は50%以上のCmaxに達する。
【0107】
本発明で使用される「Tmax」は、単位用量の本発明の組成物の鼻投与後に被験体の血液〔及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織、及び/又は器官(腎臓、膀胱及び/又は肺等)〕中で、及び/又は脳において最大濃度の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質に達する平均時間である。本発明の組成物に含まれるナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のTmaxは、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質が、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を必要とする被験体に所望の活性、又は治療的反応若しくは生物学的反応を与える限り、任意の値であり得る。本発明の一実施形態では、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、120分未満のTmaxで血流に達する。さらなる実施形態では、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、90分、60分、50分、40分、30分、20分、10分、又は5分未満のTmaxで血流に達する。本発明の別の実施形態では、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、120分未満のTmaxで脳に達する。さらなる実施形態では、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、90分、60分、50分、40分、30分、20分、10分、又は5分未満のTmaxで脳に達する。
【0108】
「濃度対時間曲線」は、本発明の組成物を用量投与した後の時間に対する被験体の血液(及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織、及び/又は器官(腎臓、膀胱及び/又は肺等))中の、及び/又は脳におけるナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の濃度の測定単位となる。
【0109】
一実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、本発明の組成物の鼻内投与後120分未満内で、血中において血液1ml当たり少なくとも1ngのナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。さらなる実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、本発明の組成物の鼻内投与後120分未満内で、血中において血液1ml当たり少なくとも2ng、5ng、10ng、15ng、20ng、30ng、40ng、50ng、100ng、150ng、200ng、300ng、400ng、500ng、750ng、又は1000ng以上のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。別の実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、本発明の組成物の鼻内投与後90分、60分、50分、40分、30分、20分、10分、又は5分未満内で、血中において血液1ml当たり少なくとも1ngのナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。さらなる実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、本発明の組成物の鼻内投与後90分、60分、50分、40分、30分、20分、10分、又は5分未満内で、血中において血液1ml当たり少なくとも2ng、5ng、10ng、15ng、20ng、30ng、40ng、50ng、100ng、150ng、200ng、300ng、400ng、500ng、750ng、又は1000ng以上のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。
【0110】
別の実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、5mg/kg(体重)の用量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を鼻内投与した後120分未満内で、血中において血液1ml当たり少なくとも1ngのナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。さらなる実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、5mg/kg(体重)の用量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を鼻内投与した後120分未満内で、血中において血液1ml当たり少なくとも2ng、5ng、10ng、15ng、20ng、30ng、40ng、50ng、100ng、150ng、200ng、300ng、400ng、500ng、750ng、又は1000ng以上のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。別の実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、5mg/kg(体重)の用量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を鼻内投与した後90分、60分、50分、40分、30分、20分、10分、又は5分未満内で、血中において血液1ml当たり少なくとも1ngのナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。さらなる実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、5mg/kg(体重)の用量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を鼻内投与した後90分、60分、50分、40分、30分、20分、10分、又は5分未満内で、血中において血液1ml当たり少なくとも2ng、5ng、10ng、15ng、20ng、30ng、40ng、50ng、100ng、150ng、200ng、300ng、400ng、500ng、750ng、又は1000ng以上のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のCmaxに達する。
【0111】
本発明で使用される「曲線下面積(AUC)」は、時間に対する血液〔及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織、及び/又は器官(腎臓、膀胱及び/又は肺等)〕中の、及び/又は脳におけるナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の濃度プロットにおける曲線下面積である。数学的に、この値は、時間間隔の間の瞬間的濃度積分の評価基準である。AUCは通常、0から無限大の時間間隔で与えられ、他の時間間隔を示す(例えばAUC(t1,t2)(t1及びt2は、時間間隔の開始時間及び終了時間である))。血液〔及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織、及び/又は器官(腎臓、膀胱及び/又は肺等)〕の、及び/又は脳におけるナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の濃度は、被験体に関して「無限大まで」測定することは明らかに不可能であるので、数学的アプローチを使用して、限定数の濃度の測定結果からAUCを推定する。AUC(0から無限大まで)を使用して、吸収率に関係なく身体によって吸収されたナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の総量を測定する。このことは、同用量の2つの適用製剤が身体に同用量のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を(例えば非経口的に又は鼻内)放出するか否かを決定しようとする際に有用である。
【0112】
本発明の組成物に含まれるナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質のAUCは、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質が、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質を必要とする被験体に所望の活性又は生物学的反応を与える限り、任意の値であり得る。本発明の一実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む組成物の鼻内投与後の血中の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のAUCは、少なくとも500ng/ml/分のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質である。さらなる実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む組成物の鼻内投与後の血中の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のAUCは、少なくとも600ng/ml/分、700ng/ml/分、800ng/ml/分、900ng/ml/分、又は少なくとも1μg/ml/分、1.5μg/ml/分、2μg/ml/分、3μg/ml/分、4μg/ml/分、5μg/ml/分、10μg/ml/分若しくは15μg/ml/分のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質である。
【0113】
本発明の別の実施形態において、5mg/kg(体重)の用量の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻内投与した後の血中の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のAUCは、少なくとも500ng/ml/分のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質である。さらなる実施形態では、5mg/kg(体重)の用量の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻内投与した後の血中の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のAUCは、血液1ml当たり少なくとも600ng/ml/分、700ng/ml/分、800ng/ml/分、900ng/ml/分、又は1μg/ml/分、1.5μg/ml/分、2μg/ml/分、3μg/ml/分、4μg/ml/分、5μg/ml/分若しくは10μg/ml/分のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質である。
【0114】
上述のように、本発明の一実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む組成物の鼻内投与後の血中の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のバイオアベイラビリティ(絶対的又は相対的)は、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の非経口投与に比べて少なくとも1%である。さらなる実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む組成物の鼻内投与後の血中の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のバイオアベイラビリティは、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の非経口投与に比べて少なくとも2%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%以上である。
【0115】
本発明の別の実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む組成物の鼻内投与後の脳における当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のバイオアベイラビリティ(絶対的又は相対的)は、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の非経口投与に比べて少なくとも1%である。さらなる実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を含む組成物の鼻内投与後の脳における当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質のバイオアベイラビリティは、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質の非経口投与に比べて少なくとも2%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%以上である。
【0116】
被験体への1つ又は複数の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の鼻内投与によって、被験体における所望の活性又は生物学的反応を誘起するために血液〔及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織、及び/又は器官(腎臓、膀胱及び/又は肺等)〕中に、及び/又は脳に、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が効果的に送達される。本発明の好ましい実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質によって、当該被験体において選択された疾患又は状態の予防及び/又は治療が与えられる。したがって、本発明の別の態様は、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質、及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法に関する。
【0117】
本発明に関して、「予防及び/又は治療」という用語は、疾患の予防及び/又は治療を含むだけでなく、概して疾患の発症の予防、疾患の進行の緩徐又は逆転、疾患に関連する1つ又は複数の症状の発症の予防又は緩徐、疾患に関連する1つ又は複数の症状の軽減及び/又は緩和、疾患及び/又は疾患に関連する任意の症状の重症度及び/又は期間の低減、及び/又は疾患及び/又は疾患に関連する任意の症状の重症度のさらなる増大の予防、疾患によって引き起こされる任意の生理学的損傷の予防、低減又は逆転、並びに概して治療される患者に対して有益である任意の薬理作用も含む。
【0118】
治療される被験体は、任意の温血動物であり得るが、具体的には哺乳動物、より具体的にはヒトである。当業者にとって明らかなように、治療される被験体は特に、疾患及び/又は障害を患うか、又はその危険性があるヒトである。
【0119】
本発明は、疾患又は障害を患う被験体に、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。したがって本発明は、被験体に本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための本発明のナノボディ、ポリペプチド、タンパク質又は組成物に関する。
【0120】
別の実施形態において本発明は、免疫療法、特に受動免疫療法のための方法であって、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質による免疫療法によって治癒又は緩和することができる疾患及び/又は障害を患うか、又はこの危険性がある被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻内投与することを含む、免疫療法、特に受動免疫療法のための方法に関する。
【0121】
本発明の組成物中に存在するナノボディ及びナノボディベースのポリペプチド又はタンパク質は、治療的対象又は診断的対象となる任意の好適な標的に対して指向性を有し得る。ナノボディ及びナノボディベースのポリペプチド又はタンパク質は、アゴニスト及びアンタゴニストとして機能的であり得る。例としては、TNF−α、IgE、IFN−γ、MMP−12、EGFR、CEA、ピロリ菌(H. pylori)、ヒト型結核菌(M. tuberculosis)、インフルエンザ、β−アミロイド(amyloid)、vWF、IL−6、IL−6R、PDK1、CD40、OVA、VSG、ネズミチフス菌(S. typhimurium)、ロタウイルス、ブルセラ菌、副甲状腺ホルモン由来ペプチド等の治療的対象である標的が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
本発明は、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の全身送達を提供する。所望の標的は、任意の生理学的な区画、組織又は器官における標的であり得る。一実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有し、本発明は、腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法に関する。本発明は、疾患又は障害を患う被験体に、腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。本発明は、腎臓又は膀胱の疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。したがって本発明は、本発明の組成物であって、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が、腎臓又は膀胱の疾患又は障害を予防及び/又は治療するために腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有する、本発明の組成物にも関する。
【0123】
別の実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、肺内の標的に対して指向性を有し、本発明は、肺内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法に関する。本発明は、疾患又は障害を患う被験体に、肺内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。本発明は、肺の疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の肺内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。したがって本発明は、本発明の組成物であって、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が、少なくとも1つの肺の疾患又は障害を予防及び/又は治療するために肺内の標的に対して指向性を有する、本発明の組成物にも関する。
【0124】
別の好ましい実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、腫瘍細胞上の標的に対して指向性を有し、本発明は、腫瘍細胞上の標的に対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法に関する。本発明は、疾患又は障害を患う被験体に、腫瘍細胞上の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。本発明は、腫瘍関連の疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の腫瘍上の標的に対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。したがって本発明は、本発明の組成物であって、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が、少なくとも1つの腫瘍関連の疾患又は障害を予防及び/又は治療するために腫瘍上の標的に対して指向性を有する、本発明の組成物にも関する。
【0125】
本発明は、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の脳への送達も提供する。所望の標的は脳における任意の標的であり得る。一実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、脳における標的(例えばβ−アミロイド等)に対して指向性を有し、本発明は、脳内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法に関する。本発明は、疾患又は障害を患う被験体に、脳内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。本発明は、脳の疾患又は障害〔神経遺伝疾患(ハンチントン病及び筋ジストロフィ等)、発達障害(脳性麻痺等)、成人期変性疾患(パーキンソン病及びアルツハイマー病等)、代謝性疾患(ゴーシェ病等)、脳血管疾患(脳卒中及び血管性認知症等)、外傷(脊髄及び頭部の外傷等)、痙攣性疾患(癲癇等)、感染性疾患(AIDS認知症等)、肥満症、糖尿病、拒食症、抑鬱症、脳腫瘍、レヴィー小体認知症、多臓器萎縮症、進行性核上麻痺、前頭側頭認知症、血管性認知症又はダウン症候群等〕を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の脳内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。したがって本発明は、本発明の組成物であって、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が、少なくとも1つの脳の疾患又は障害〔神経遺伝疾患(ハンチントン病及び筋ジストロフィ等)、発達障害(脳性麻痺等)、成人期変性疾患(パーキンソン病及びアルツハイマー病等)、代謝性疾患(ゴーシェ病等)、脳血管疾患(脳卒中及び血管性認知症等)、外傷(脊髄及び頭部の外傷等)、痙攣性疾患(癲癇等)、感染性疾患(AIDS認知症等)、肥満症、糖尿病、拒食症、抑鬱症、脳腫瘍、レヴィー小体認知症、多臓器萎縮症、進行性核上麻痺、前頭側頭認知症、血管性認知症又はダウン症候群等〕を予防及び/又は治療するために脳内の標的に対して指向性を有する、本発明の組成物にも関する。
【0126】
別の実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、TNFに対して指向性を有し、本発明は、TNFに対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法に関する。本発明は、疾患又は障害を患う被験体に、TNFに対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。本発明は、自己免疫疾患(例えば関節リウマチ又は炎症性腸疾患等)を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量のTNFに対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。したがって本発明は、本発明の組成物であって、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が、少なくとも1つの自己免疫疾患(例えば関節リウマチ又は炎症性腸疾患等)等の疾患又は障害を予防及び/又は治療するためにTNFに対して指向性を有する、本発明の組成物にも関する。
【0127】
別の実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、vWFに対して指向性を有し、本発明は、vWFに対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法に関する。本発明は、疾患又は障害を患う被験体に、vWFに対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。本発明は、血小板媒介性凝集に関連する疾患又は障害〔非閉塞型血栓の形成、閉塞型血栓の形成、動脈血栓の形成、急性冠動脈閉塞、末梢動脈閉塞性疾患、冠動脈バイパス移植、冠動脈弁置換術及び血管形成術、ステント植込み術(stenting)又はアテローム切除術等の冠動脈インターベンションによって起こる再狭窄及び障害、血管形成術、アテローム切除術又はステント植込み術後の過形成、血管系閉塞性症候群若しくは罹患動脈の開存性喪失、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、一過性脳虚血発作、不安定若しくは安定狭心症、脳梗塞、HELLP症候群、頸動脈内膜剥離術、頸動脈狭窄、重症虚血肢、心臓塞栓症、末梢血管疾患、再狭窄及び心筋梗塞等〕を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量のvWFに対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。したがって本発明は、本発明の組成物であって、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が、少なくとも1つの血小板媒介性凝集に関連する疾患又は障害(非閉塞型血栓の形成、閉塞型血栓の形成、動脈血栓の形成、急性冠動脈閉塞、末梢動脈閉塞性疾患、冠動脈バイパス移植、冠動脈弁置換術及び血管形成術、ステント植込み術又はアテローム切除術等の冠動脈インターベンションによって起こる再狭窄及び障害、血管形成術、アテローム切除術又はステント植込み術後の過形成、血管系閉塞性症候群若しくは罹患動脈の開存性喪失、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、一過性脳虚血発作、不安定若しくは安定狭心症、脳梗塞、HELLP症候群、頸動脈内膜剥離術、頸動脈狭窄、重症虚血肢、心臓塞栓症、末梢血管疾患、再狭窄及び心筋梗塞等)を予防及び/又は治療するためにvWFに対して指向性を有する、本発明の組成物にも関する。
【0128】
別の実施形態において、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、IL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有し、本発明は、IL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法に関する。本発明は、疾患又は障害を患う被験体に、IL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。本発明は、IL−6R、IL−6及び/又はIL−6/IL−6R複合体に関連する疾患又は障害〔敗血症、多発性骨髄腫(MM)、腎細胞癌(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性疾患(BLPD)及び前立腺癌等の様々な形態の癌、骨吸収(骨粗鬆症)、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、リウマチ性関節炎、全身発症型若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息(特にアレルギー性喘息)及び自己免疫インスリン依存性糖尿病等の炎症性疾患及び障害等〕を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量のIL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有するナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法にも関する。したがって本発明は、本発明の組成物であって、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が、少なくとも1つのIL−6R、IL−6及び/又はIL−6/IL−6R複合体に関連する疾患又は障害〔敗血症、多発性骨髄腫(MM)、腎細胞癌(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性疾患(BLPD)及び前立腺癌等の様々な形態の癌、骨吸収(骨粗鬆症)、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、リウマチ性関節炎、全身発症型若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息(特にアレルギー性喘息)及び自己免疫インスリン依存性糖尿病等の炎症性疾患及び障害等〕の少なくとも1つを予防及び/又は治療するためにIL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有する、本発明の組成物にも関する。
【0129】
鼻送達は、経口投与等の他の送達方法に比べて、投与された化合物の迅速吸収及び迅速な作用発現のために魅力的な経路である。したがって、好ましい実施形態では、急性であり、迅速な送達が必要な疾患又は障害を予防及び/又は治療するのに、本発明のナノボディ、ポリペプチド若しくはタンパク質、又はこれを含む組成物を使用する。したがって本発明は、急性の障害又は疾患を予防及び/又は治療する方法であって、当該被験体に、治療的に有効な量の、当該障害又は疾患の症状を緩和すること、或いは当該障害又は疾患を治癒することができるナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻投与することを含む、方法にも関する。
【0130】
本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、及び/又はこれを含む組成物は、予防又は治療される疾患又は障害を予防及び/又は治療するのに適した治療のレジュメに従って鼻投与する。臨床医は概して、予防又は治療される疾患又は障害、治療される疾患の重症度及び/又はその症状の重症度、使用される特定の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、及び使用される薬学的製剤又は組成物、被験体の年齢、性別、体重、食事、全身状態、並びに臨床医にとって既知の同様の要因等の要因に応じて、好適な治療計画を決定することができる。
【0131】
概して、治療計画には、1つ又は複数の治療的に有効な量又は用量での1つ又は複数の本発明のナノボディ、ポリペプチド若しくはタンパク質、又はこれを含む1つ又は複数の組成物の鼻投与が含まれる。臨床医は、投与される特定の量(複数可)又は用量を、これも上記で言及された要因に基づいて決定することができる。
【0132】
本発明のナノボディ及びポリペプチドは、1つ又は複数のさらなる治療成分(即ち薬学的に活性のある化合物又は主物質(principles))と組合せて、即ち複合治療計画として使用してもよく、それにより相乗効果がもたらされても、又はもたらされなくてもよい。また臨床医は、上記で言及された要因、及び自身の専門的な判断に基づき、このようなさらなる化合物又は主物質、及び好適な複合治療計画を選択することができる。
【0133】
第2の活性のある物質又は主物質は、複合治療計画の一部として使用する際、本質的に同じ時点又は別々の時点で(例えば本質的に同時に、連続して、又は代わりのレジュメに従って)同じ鼻投与経路を介して、又は異なる投与経路を介して投与することができる。物質又は主物質は、同じ鼻投与経路を介して同時に投与する際、当業者にとって明らかなように、異なる製剤若しくは組成物、又は複合製剤若しくは複合組成物の一部として投与してもよい。
【0134】
また、2つ以上の活性のある物質又は主物質は、複合治療計画の一部として使用する際、化合物又は主物質を単独で使用する場合に使用されるのと同じ量で、同じ計画に従って、それぞれの物質又は主物質を投与してもよく、このような複合使用によって、相乗効果がもたらされても、又はもたらされなくてもよい。しかし、2つ以上の活性のある物質又は主物質の複合使用によって相乗効果がもたらされる場合、投与される1つ、複数又は全ての物質又は主物質の量を低減する一方で、依然として所望の治療作用を達成することが可能であり得る。例えばこのことは、所望の薬学的効果又は治療効果を得る一方で、1つ又は複数の物質又は主物質が通常の量で使用される際の、この使用に関連がある任意の不要な副作用を回避、制限又は低減するのに有用である。
【0135】
本発明に従って使用される治療計画の有効性は、臨床医にとって明らかなように、関連する疾患又は障害に対してそれ自体が既知の任意の方法で決定され得るか、及び/又はこれに従い得る。必要に応じて、及び/又は臨機応変に、臨床医は、所望の治療効果が達成されるように、不要な副作用を回避、制限又は低減するように、及び/又は一方で所望の治療効果の達成と、他方で不要な副作用の回避、制限又は低減との間で適切な均衡が達成されるように特定の治療計画を変更又は修正することもできる。
【0136】
概して、所望の治療効果が達成されるまで、及び/又は所望の治療効果が維持されている限り、治療計画に従う。また、これは臨床医によって決定することができる。
【0137】
本発明は、被験体に、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための組成物の調製のための本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、被験体に、腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための組成物の調製のための腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、少なくとも1つの腎臓又は膀胱の疾患又は障害を予防及び/又は治療するための組成物の調製のための腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、被験体に、肺内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための組成物の調製のための肺内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、少なくとも1つの肺の疾患又は障害を予防及び/又は治療するための組成物の調製のための肺内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、被験体に、腫瘍上の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための組成物の調製のための腫瘍上の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、少なくとも1つの癌を予防及び/又は治療するための組成物の調製のための腫瘍上の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、被験体に、脳内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための組成物の調製のための脳内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、少なくとも1つの脳の疾患又は障害〔神経遺伝疾患(ハンチントン病及び筋ジストロフィ等)、発達障害(脳性麻痺等)、成人期変性疾患(パーキンソン病及びアルツハイマー病等)、代謝性疾患(ゴーシェ病等)、脳血管疾患(脳卒中及び血管性認知症等)、外傷(脊髄及び頭部の外傷等)、痙攣性疾患(癲癇等)、感染性疾患(AIDS認知症等)、肥満症、糖尿病、拒食症、抑鬱症、脳腫瘍、レヴィー小体認知症、多臓器萎縮症、進行性核上麻痺、前頭側頭認知症、血管性認知症又はダウン症候群等〕を予防及び/又は治療するための組成物の調製のための脳内の標的に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、被験体に、TNFに対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための組成物の調製のためのTNFに対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、少なくとも1つの自己免疫疾患(例えば関節リウマチ又は炎症性腸疾患等)等の疾患又は障害を予防及び/又は治療するための組成物の調製のためのTNFに対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、被験体に、vWFに対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための組成物の調製のためのvWFに対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、少なくとも1つの血小板媒介性凝集に関連する疾患又は障害〔非閉塞型血栓の形成、閉塞型血栓の形成、動脈血栓の形成、急性冠動脈閉塞、末梢動脈閉塞性疾患、冠動脈バイパス移植、冠動脈弁置換術及び血管形成術、ステント植込み術又はアテローム切除術等の冠動脈インターベンションによって起こる再狭窄及び障害、血管形成術、アテローム切除術又はステント植込み術後の過形成、血管系閉塞性症候群若しくは罹患動脈の開存性喪失、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、一過性脳虚血発作、不安定若しくは安定狭心症、脳梗塞、HELLP症候群、頸動脈内膜剥離術、頸動脈狭窄、重症虚血肢、心臓塞栓症、末梢血管疾患、再狭窄及び心筋梗塞等〕を予防及び/又は治療するための組成物の調製のためのvWFに対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、被験体に、IL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質を鼻投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための組成物の調製のためのIL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。本発明は、少なくとも1つのIL−6R、IL−6及び/又はIL−6/IL−6R複合体に関連する疾患又は障害(敗血症、多発性骨髄腫(MM)、腎細胞癌(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性疾患(BLPD)及び前立腺癌等の様々な形態の癌、骨吸収(骨粗鬆症)、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、リウマチ性関節炎、全身発症型若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息(特にアレルギー性喘息)及び自己免疫インスリン依存性糖尿病等の炎症性疾患及び障害等)を予防及び/又は治療するための組成物の調製のためのIL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有する本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用にも関する。
【0138】
上述のように、1つ又は複数の本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の被験体への鼻内投与によって、被験体における所望の活性又は生物学的反応を誘起するために血液(及び/又は別の選択された生理学的な区画、組織、及び/又は器官(腎臓、膀胱及び/又は肺等))中に、及び/又は脳に、ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質が効率的に送達される。上述のような予防的反応及び治療的反応の他に、本発明のナノボディ、ポリペプチド及びタンパク質は、他の活性及び生物学的反応を誘導してもよい。好ましい実施形態では、本発明は、例えば放射性標識化等のin situ又はin vivo標識化及び画像化のための本発明のナノボディ、ポリペプチド及びタンパク質の診断的使用も提供する。したがって、本発明は、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、及び/又はこれを含む組成物を鼻投与する工程を含む診断方法にも関する。本発明の一実施形態では、本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質、及び/又はこれを含む組成物を鼻投与する工程と、当該ナノボディ、当該ポリペプチド又は当該タンパク質をin situ検出する工程とを含む診断方法が与えられる。検出は、当該技術分野で既知の任意の方法で行ってもよい。
【0139】
本発明のナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、SPECT及びPET、又はCortez-Retamozo V.(Nanobodies: single domain antibody fragments as imaging agents and modular building blocks for therapeutics, PhD Dissertation, Vrije Universiteit Brussel, Belgium, June 2004)、Arbit et al.(Eur. J. Nucl. Med. 1995; 22: 419-426.)、Tamada et al.(Microbiol-Immunol. 1995; 39: 861-871)、Wakabayashi et al.(Noshuyo-Byori 1995; 12: 105-110)、Huang et al.(Clin. Med. J. 1996; 109: 93-96)、Sandrock et al.(Nucl. Med. Commun. 1996; 17: 311-316)、及びMariani et al.(Cancer 1997; 15: 2484-2489)によって記載される画像化方法を含むが、これらに限定されない非侵襲的な方法によってin situで測定することができる。これらのin vivo画像化方法によって、例えば或る特定の標的を特異的に認識する標識ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の使用によって、当該標的を局在化及び場合によっては定量化することができる。in vivo多光子顕微鏡検査(Bacskai et al., J. Cereb. Blood Flow Metab. 2001; 22: 1035-1041)を使用して、或る特定の標的に特異的な標識ナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質によってその標的の存在を画像化することができる。
【0140】
本発明の診断方法で鼻投与されるナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質は、適切な標識によって標識され得る。この方法に使用される特定の標識又は検出可能な基は、この方法に使用されるナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質の特異的結合を有意に妨げなければ、本発明の必須の態様ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的特性又は化学的特性を有する任意の材料であり得る。このような検出可能な標識は、イムノアッセイ分野で既に開発されており、概してこのような方法に有用な大抵の任意の標識は、本発明の方法に適用することができる。したがって、標識は、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、光学的手段、放射線学的手段又は化学的手段によって検出可能な任意の組成物である。本発明に有用な標識としては、磁気ビーズ〔例えばダイナビーズ(Dynabeads)(商標))、蛍光色素(例えばフルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate)、テキサスレッド、ローダミン(rhodamine)、Cy3、Cy5、Cy5.5、Alexi647及び誘導体)、放射性標識(例えばH、125I、35S、14C、32P又は99mTc)、酵素(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びELISAに一般的に使用される他のもの)、及びコロイド金、着色ガラス又はプラスチック(例えばポリスチレン(polystyrene)、ポリプロピレン(polypropylene)、ラテックス等〕ビーズ等の比色標識が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
標識は、当該技術分野で既知の方法に従ってナノボディ、ポリペプチド又はタンパク質と直接又は間接的に連結し得る。上記のように、多種多様な標識を使用してもよく、要求される感度、化合物との共役の容易性、安定性要件、利用可能な器具、及び処分規定に応じて標識を選択する。非放射活性標識は、間接的手段によって接着することが多い。標識を検出する手段は当該技術分野で既知である。したがって、例えば標識が放射活性標識である場合、検出手段には、オートラジオグラフィのようなシンチレーションカウンタ又は写真フィルムが含まれる。標識が蛍光標識である場合、光の適切な波長でフルオロフォアを励起すること、及び得られる蛍光を検出することによって、標識を検出することができる。蛍光は、電荷結合素子(CCD)又は光電子増倍管等の電子検知器の使用によって、写真フィルムを使用して視覚的に検出することができる。
【0142】
最終的に、(本明細書に規定の)本発明のナノボディ、並びに当該本発明のナノボディを含むポリペプチド及びタンパク質の使用はかなり好ましいが、本明細書中の記載に基づき、当業者がまた、他の(単一)ドメイン抗体、並びにこのような(単一)ドメイン抗体を含むポリペプチド及びタンパク質(「ドメイン抗体」、「単一ドメイン抗体」及び「dAb」という用語は、当該技術分野でのそれらの通常の意味を有する)も本発明の範囲内に包含されることを理解することは明らかである。
【0143】
これより、以下の非限定的な実施例及び図面によって本発明をさらに記載する。
【実施例】
【0144】
実施例1
ナノボディFC44の鼻内投与によって全身送達がもたらされた
ナノボディの鼻内投与によって全身送達がもたらされるか否かを評価するために、放射性標識したナノボディFC44の生体内分布を鼻内送達後に求めた。ナノボディは、99mTcトリカルボニル(tricarbonyl)によって、hisタグで部位特異的に放射性標識した。要するに、IMAC(固定化金属アフィニティクロマトグラフィ)、サイズ排除クロマトグラフィ及びアニオン交換クロマトグラフィを使用して、FC44ナノボディを精製した。リポ多糖(LPS)のレベルは、定量発色カブトガニ変形細胞分解産物アッセイ(quantitative chromogenic limulus amebocyte lysate assay )(BioWhittaker/Cambrex, Verviers, Belgium)によって決定し、5EU/mgのタンパク質未満であることが見出された。
【0145】
市販のIsolinkキット(Mallinckrodt, Hazelwood, MO, USA)を使用して、99mTcトリカルボニル(tricarbonyl)([99mTc(CO)(OH])を調製した。100μlのFC44(1.1mg/ml)を、400μlの99mTc(CO)(OH(30mCi〜40mCi)及び100μlの炭酸緩衝液に添加し、52℃で60分間インキュベートした。薄層クロマトグラフィによって求められた標識効率は、90%を超えていた。効率を確認した後すぐに、放射性標識したナノボディをin vivo実験に使用した。雄のウィスターラット(300g〜400g)(n=5)を、遊離99mTcトリカルボニル(tricarbonyl)又は99mTc−FC44のいずれかで鼻内処理し、2時間、4時間及び6時間後、標識の生体内分布を求めた。0の時点で、フルオラン(fluorane)でラットを麻酔し、ラットの鼻孔それぞれに50μlの遊離放射性標識又は放射性標識されたFC44を適用した。指定時間で、ペントバルビタールナトリウム(pentobarbital sodium)を使用してラットを屠殺し、組織サンプルを回収し(尿、血液、肝臓、腎臓)、秤量した。並行して、ラット(n=2)に、99mTc−FC44を静脈内注射し、2時間で同じ組織サンプルを回収した。ガンマカウンタを使用して、99mTcレベルを検出し、得られた計数を放射性崩壊に対して補正した。結果は、%注射用量/組織g(%ID/g)で表す。
【0146】
図1Aで示すように、99mTc−FC44は、腎臓で強い集積を示した一方で、尿ではより低いレベルの集積が観察された。さらに、尿及び腎臓における遊離99mTc−トリカルボニル(tricarbonyl)のそれぞれより高いレベル及びより低いレベルは、99mTc−FC44で観察されたシグナルが、遊離放射性標識よりも放射性標識されたナノボディに由来するものであったことを示している。循環血液中のナノボディは主に、腎臓及び尿によって除去され、鼻腔と腎臓との間の輸送は循環血液を介してのみ可能であるので、これらの結果によって、ナノボディは、鼻内投与後に全身に送達されたことが示される。また、投与の2時間後、鼻内送達に比べて、静脈内注射で腎臓においてほんのわずかに高いナノボディレベルを検出した(図1A及び図1B)。
【0147】
結果として、FC44ナノボディの鼻内送達によって、腎臓及び尿レベルが高くなり、全身送達が明確に示された。
【0148】
実施例2
FC44ナノボディは、鼻内送達後でも無傷のままであった
実施例1に記載したように、FC44ナノボディを精製し、99mTc放射性標識した。実施例1に記載したように、雄のウィスターラットを99mTc−FC44で鼻内処理し、4時間後、腎臓及び尿を回収した。ホモジナイザを使用して、生理学的血清中で腎臓ホモジネートを調製した。両方のサンプルを、15%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)で解析した。単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT:SiemensのECAMカメラ、デュアルヘッド)を使用して99mTc放射性標識を視覚化した。図2は、尿におけるシグナル(レーン2)がFC44ナノボディ(レーン1)と同じサイズで検出され、ナノボディの少なくとも一部分が鼻内投与及び結果として起こる全身送達後でも無傷のままであったことをはっきりと示している。さらに、腎臓サンプル(レーン3)でシグナルを検出したが、尿のシグナルに比べると、検出バンドは拡散していた。これは、腎臓サンプルの粘性がより高かったためであった。
【0149】
結果として、鼻内送達後に尿及び腎臓において無傷ナノボディを検出することができる。
【0150】
実施例3
FC44ナノボディは循環血液中で検出した
実施例1に記載したように、FC44ナノボディを精製し、99mTc放射性標識した。実施例1に記載したように、雄のウィスターラットにおいて99mTc−FC44の鼻内投与及び静脈内投与を行った。2匹のラット(No.139及びNo.140)の血液サンプルを0分、20分、40分、60分及び120分で回収した。別のラット(No.018)で、血液サンプルを0分、5分、10分、15分、20分及び40分で採取した。血液サンプルをガンマカウンタで計測し、得られた計数を放射性崩壊に対して補正した。鼻内投与の結果は、%注射用量/組織g(%ID/g)で表す。可能な限り1つの時点での99mTcシグナルの平均を算出した。この平均%ID/g及び個々の%ID/gの値を図3に示す。最大ナノボディレベルは、0.021%ID/gであり(Cmax)、20分(Tmax)後に達成された。40分の間に、安定状態のナノボディレベルが循環血液中で観察され、その後、レベルの低下が始まった。0.021%ID/gの補外値は、0.1mg/kg〜0.3mg/kgの用量での±14.6ng/mlのCmax及び1258ng/ml/分のAUC0〜2hを示唆している。静脈内注射と比べた絶対的バイオアベイラビリティは7.4%であった。
【0151】
結果として、寿命の短い一価のナノボディの鼻内投与によって、ng/ml範囲の循環血液レベルがもたらされた。
【0152】
実施例4
複数のナノボディは、鼻内投与後に全身に送達され、機能的なままであった
ヒトCEA(CEA1:8.56mg/ml)、ヒトTNF(TNF1:4mg/ml)及びヒトアルブミン(albumin)(ALB1:4mg/ml)を標的とする複数のナノボディを精製し、実施例1に記載したように99mTc放射性標識した。実施例1に記載されたように、様々なナノボディを雄のウィスターラットに鼻内投与した。4時間後、実施例1に記載したように、血液、尿及び腎臓を回収した。サンプルをガンマカウンタで計測し、放射活性シグナルを放射性崩壊に対して補正した。データは、%ID/gで表す。図4Aは、血中のナノボディのレベルを示し、図4Bは、尿及び腎臓におけるナノボディのレベルを示す。
【0153】
全てのナノボディは、腎臓、尿及び/又は血液のいずれかで検出することができ、ナノボディの全身送達が明確に示された。さらに、ALB1は、他のナノボディに比べて、少なくとも5倍高い血液レベルを示した。またALB1ナノボディは、循環血液中のラットアルブミン(albumin)と相互作用するので、ALB1ナノボディは、CEA1及びTNF1のような他の一価のナノボディに比べて、より長い半減期をもたらすアルブミン(albumin)半減期を取った。このことは、鼻内投与後のナノボディが循環血液中で機能的なままであったこと、及びナノボディの鼻内投与経路は、治療的に有意性があり得ることを示している。
【0154】
実施例5
CEA1ナノボディの鼻内投与がCEA陽性腫瘍の標的化をもたらした
CEA(癌胎児性抗原)腫瘍マーカーと特異的に結合するCEA1ナノボディの静脈内送達によって、CEA陽性腫瘍画像化が得られることが示されている(Cortez-Retamozo V., Nanobodies: single domain antibody fragments as imaging agents and modular building blocks for therapeutics, PhD Dissertation, Vrije Universiteit Brussel, Belgium, June 2004)。CEA1の鼻内送達もCEA陽性腫瘍画像化をもたらすか否かを評価した。
【0155】
ヌードラット(Nu/Nu)の各大腿部でLS174T細胞又はA431細胞のいずれかを移植した。LS174T腫瘍細胞がCEA抗原を発現する一方で、A431細胞系はCEA陰性である。腫瘍がはっきりと目視可能であった約10日後に、CEA1ナノボディの標的となる腫瘍を評価した。実施例1で記載のように、CEA1ナノボディを生成、精製及び放射性標識した。静脈内及び鼻内でそれぞれ、3匹及び5匹の腫瘍保持ラットを99mTc−CEA1で処理した。投与の3時間後の腫瘍組織を単離することによって、腫瘍の標的化を求めた。ガンマカウンタを使用して腫瘍における99mTcレベルを求め、得られた計数を放射性崩壊に対して補正した。結果は、%注射用量/組織g(%ID/g)で表す。
【0156】
表1は、CEA1の静脈内注射によって、A431腫瘍に比べて、5倍のLS174T腫瘍の特異的標的化がもたらされた(LS174T/A431比)ことを示している。同様に、CEA1の鼻内送達によって、2.5倍の特異的集積がもたらされ、これはまた鼻内送達後の機能的ナノボディの循環血液への送達をはっきりと示していた。
【0157】
表1:CEA1ナノボディのCEA腫瘍特異的集積。IN:鼻内送達、IV:静脈内送達
【表1】

【0158】
実施例6
経口送達対鼻内送達の比較
観察されたPKプロファイル(実施例3を参照されたい)が、鼻内吸収又は経口吸収のためであるか否かを確認するために、FC44をこれらの2つの経路に従って適用した。
【0159】
実施例1に記載のように、FC44ナノボディを精製し、99mTc放射性標識した。実施例1に記載のように、鼻内経路(n=5)を介して、又は胃腸管を使用して経口経路(n=5)を介して雄のウィスターラットに99mTc−FC44を投与した。ラットのガンマカメラによる二次元画像化は、放射性標識されたナノボディは実際に各投与部位に局在したこと:FC44の鼻内送達によって、鼻腔、食道及び胃への分布がもたらされ、経口投与によって主に、下部食道及び胃への分布がもたらされることを示した(図5)。投与の1時間後及び3時間後に、血液サンプルを回収し、ガンマカウンタで計測した。得られた計数を放射性崩壊に対して補正した。結果は、%注射用量/組織g(%ID/g)で表す。鼻内送達の血液活性曲線は、前記ピーク(10分〜15分)及び後期ピーク(60分)を示す(図6)。経口送達に関する曲線は、鼻内送達の後期ピークと一致する後期ピーク(60分)のみを示す。このことは、鼻内投与後に観察された後期ピークは、放射性標識されたナノボディの不要な胃腸への局在化及びその結果としての胃腸吸収に寄与し得ることを示唆している。このことは、10分〜15分で観察された早期ピークがFC44の鼻内吸収によるものであることをはっきりと示している。
【0160】
結果として、ナノボディは、迅速な鼻内吸収を通して全身に送達することができる。
【0161】
用いられる用語及び表現は、説明のために使用され、限定するものではなく、このような用語及び表現を使用する際に示され、記載される特徴の任意の等価物又はその一部を排除する意図はなく、この実施形態の範囲内で様々な修正が可能であることが認識されている。
【0162】
本明細書に記載する全ての参考文献は、参照、特に上記に参照される教示により援用される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含む治療的に有効な量のポリペプチド又はタンパク質を含む組成物であって、薬学的に許容可能な鼻担体をさらに含むことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、単一ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含むか、又は本質的にこれから成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の少なくとも2つを含むか、又は本質的にこれから成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、1つのエピトープ、抗原、標的、タンパク質又はポリペプチドに対するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の少なくとも1つと、もう1つのエピトープ、抗原、標的、タンパク質又はポリペプチドに対して指向性を有する別のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の少なくとも1つとを含むか、又は本質的にこれから成る、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、前記被験体に送達した後に半減期を増大させる、1つ又は複数のアミノ酸配列と連結する、1つ又は複数のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記1つ又は複数のアミノ酸配列が、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記別のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」が、血清タンパク質に対して指向性を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、得られたポリペプチド又はタンパク質が、粘膜及び/又は血管脳関門に対して指向性を有し、これに浸透し、及び/又はこれを通るのを可能にする、1つ又は複数のアミノ酸配列と連結する、1つ又は複数のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記1つ又は複数のアミノ酸配列が、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、粘膜上の上皮膜透過タンパク質に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と連結する治療ポリペプチド又は作用物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ナノボディ、前記ドメイン抗体、前記単一ドメイン抗体又は前記「dAb」が、V又はVHHに由来する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ナノボディ、前記ドメイン抗体、前記単一ドメイン抗体又は前記「dAb」が、ヒト化VHH又はラクダ化Vである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
被験体に鼻内投与する際、該被験体において全身性の治療的反応又は生物学的反応を誘導する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
被験体に前記組成物を鼻内投与する際、5mg/kg(体重)の用量の前記ポリペプチド又は前記タンパク質を鼻内投与した後に、該ポリペプチド又は該タンパク質が、血液1ml当たり少なくとも1ngのポリペプチド又はタンパク質のCmaxで血流に達する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
被験体に前記組成物を鼻内投与する際、前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、同量の該ポリペプチド又は該タンパク質を非経口投与した後に達するCmaxの少なくとも1%の血中Cmaxに達する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
被験体に前記組成物を鼻内投与する際、該被験体に該組成物を鼻内投与した後に、前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、120分未満のTmaxで血流に達する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
被験体に前記組成物を鼻内投与する際、5mg/kg(体重)の用量の前記ポリペプチド又は前記タンパク質を該被験体に鼻内投与した後に、該ポリペプチド又は該タンパク質が、120分未満内に血液1ml当たり少なくとも1ngのポリペプチド又はタンパク質のCmaxで血流に達する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
被験体に前記組成物を鼻内投与する際、5mg/kg(体重)の用量の前記ポリペプチド又は前記タンパク質を該被験体に鼻内投与した後に、血中の該ポリペプチド又は該タンパク質のAUCが、少なくとも500ng/ml/分のポリペプチド又はタンパク質である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
被験体に前記組成物を鼻内投与する際、前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、血中で少なくとも1%の絶対的及び/又は相対的アベイラビリディを有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
被験体に鼻内投与する際、該被験体の脳において治療的反応又は生物学的反応を誘導する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
被験体に前記組成物を鼻内投与する際、前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、同量のポリペプチド又はタンパク質を非経口投与した後に達するCmaxの少なくとも1%の脳におけるCmaxに達する、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
被験体に前記組成物を鼻内投与する際、該被験体に該組成物を鼻内投与した後に、前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、120分未満のTmaxで前記脳に達する、請求項20又は21に記載の組成物。
【請求項23】
被験体に前記組成物を鼻内投与する際、前記ポリペプチド又は前記タンパク質が、脳において少なくとも1%の絶対的及び/又は相対的アベイラビリディを有する、請求項20〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記鼻担体が、液体、半液体、ゲル、クリーム、ペースト、粉末若しくは固体であるか、又はフィルム若しくは封入材料であり得る、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
滴剤、鼻スプレー、鼻内液、粉末エアロゾル、カプセル又は鼻インサートの形態である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
1つ又は複数のさらなる治療成分をさらに含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
1つ又は複数の薬学的に許容可能な添加剤及び/又は作用物質をさらに含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物を含むと共に、前記鼻粘膜への該組成物の適用を可能にする手段を備える、鼻内投与用の送達装置。
【請求項29】
滴剤、鼻スプレー、鼻内液、粉末エアロゾル、カプセル又は鼻インサートの形態である、請求項28に記載の送達装置。
【請求項30】
定量システムである、請求項29に記載の送達装置。
【請求項31】
不活性になることなく、被験体の血流に、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体若しくは「dAb」を含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド又はタンパク質を送達する方法であって、該被験体に、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物を鼻投与する工程を含む、方法。
【請求項32】
不活性になることなく、被験体の脳に、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体若しくは「dAb」を含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド又はタンパク質を送達する方法であって、該被験体に、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物を鼻投与する工程を含む、方法。
【請求項33】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」と、薬学的に許容可能な鼻内担体とを含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド又はタンパク質を緊密混合物にさせることを含む、方法。
【請求項34】
さらに1つ又は複数のさらなる治療成分を緊密混合物にさせることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
さらに1つ又は複数の添加剤及び/又は作用物質を緊密混合物にさせることを含む、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を含むか、又は本質的にこれから成るポリペプチド又はタンパク質を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与する工程を含む、方法。
【請求項37】
疾患又は障害を患う被験体に、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を投与することによって予防及び/又は治療することができる該疾患又は該障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与する工程を含む、方法。
【請求項38】
免疫療法のための方法であって、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」による免疫療法によって治癒又は緩和することができる疾患及び/又は障害を患うか、又はこの危険性がある被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻内投与することを含む、方法。
【請求項39】
被験体に、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を鼻投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物の調製のためのナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の使用。
【請求項40】
被験体に、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を鼻投与することによって予防及び/又は治療することができる疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するためのものである、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項42】
疾患又は障害を患う被験体に、腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を投与することによって予防及び/又は治療することができる該疾患又は該障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項43】
前記腎臓又は膀胱の疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、前記被験体に、治療的に有効な量の腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体若しくは「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項44】
腎臓又は膀胱の疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物の調製のための腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の使用。
【請求項45】
前記ナノボディ、前記ドメイン抗体、前記単一ドメイン抗体又は前記「dAb」が、腎臓又は膀胱の疾患又は障害を予防及び/又は治療するために腎臓又は膀胱内の標的に対して指向性を有する、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
肺内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項47】
疾患又は障害を患う被験体に、肺内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を投与することによって予防及び/又は治療することができる該疾患又は該障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項48】
肺の疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、前記被験体に、治療的に有効な量の肺内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体若しくは「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項49】
少なくとも1つの肺の疾患又は障害を予防及び/又は治療するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物の調製のための肺内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の使用。
【請求項50】
前記ナノボディ、前記ドメイン抗体、前記単一ドメイン抗体又は前記「dAb」が、少なくとも1つの肺の疾患又は障害を予防及び/又は治療するために肺内の標的に対して指向性を有する、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
腫瘍細胞上の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項52】
疾患又は障害を患う被験体に、腫瘍細胞上の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を投与することによって予防及び/又は治療することができる該疾患又は該障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項53】
腫瘍関連の疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、前記被験体に、治療的に有効な量の腫瘍上の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体若しくは「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項54】
少なくとも1つの腫瘍関連の疾患又は障害を予防及び/又は治療するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物の調製のための腫瘍上の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の使用。
【請求項55】
前記ナノボディ、前記ドメイン抗体、前記単一ドメイン抗体又は前記「dAb」が、少なくとも1つの腫瘍関連の疾患又は障害を予防及び/又は治療するために腫瘍上の標的に対して指向性を有する、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
脳内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項57】
疾患又は障害を患う被験体に、脳内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を投与することによって予防及び/又は治療することができる該疾患又は該障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項58】
脳の疾患又は障害〔神経遺伝疾患(ハンチントン病及び筋ジストロフィ等)、発達障害(脳性麻痺等)、成人期変性疾患(パーキンソン病及びアルツハイマー病等)、代謝性疾患(ゴーシェ病等)、脳血管疾患(脳卒中及び血管性認知症等)、外傷(脊髄及び頭部の外傷等)、痙攣性疾患(癲癇等)、感染性疾患(AIDS認知症等)、肥満症、糖尿病、拒食症、抑鬱症、脳腫瘍、レヴィー小体認知症、多臓器萎縮症、進行性核上麻痺、前頭側頭認知症、血管性認知症又はダウン症候群等〕を予防及び/又は治療する方法であって、前記被験体に、脳内の標的に対して指向性を有する、治療的に有効な量のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体若しくは「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項59】
脳の疾患又は障害〔神経遺伝疾患(ハンチントン病及び筋ジストロフィ等)、発達障害(脳性麻痺等)、成人期変性疾患(パーキンソン病及びアルツハイマー病等)、代謝性疾患(ゴーシェ病等)、脳血管疾患(脳卒中及び血管性認知症等)、外傷(脊髄及び頭部の外傷等)、痙攣性疾患(癲癇等)、感染性疾患(AIDS認知症等)、肥満症、糖尿病、拒食症、抑鬱症、脳腫瘍、レヴィー小体認知症、多臓器萎縮症、進行性核上麻痺、前頭側頭認知症、血管性認知症又はダウン症候群等〕の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物の調製のための脳内の標的に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の使用。
【請求項60】
前記ナノボディ、前記ドメイン抗体、前記単一ドメイン抗体又は前記「dAb」が、脳の疾患又は障害〔神経遺伝疾患(ハンチントン病及び筋ジストロフィ等)、発達障害(脳性麻痺等)、成人期変性疾患(パーキンソン病及びアルツハイマー病等)、代謝性疾患(ゴーシェ病等)、脳血管疾患(脳卒中及び血管性認知症等)、外傷(脊髄及び頭部の外傷等)、痙攣性疾患(癲癇等)、感染性疾患(AIDS認知症等)、肥満症、糖尿病、拒食症、抑鬱症、脳腫瘍、レヴィー小体認知症、多臓器萎縮症、進行性核上麻痺、前頭側頭認知症、血管性認知症又はダウン症候群等〕の少なくとも1つを予防及び/又は治療するために脳内の標的に対して指向性を有する、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
TNFに対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項62】
疾患又は障害を患う被験体に、TNFに対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を投与することによって予防及び/又は治療することができる該疾患又は該障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項63】
自己免疫疾患(リウマチ性関節炎又は炎症性大腸炎等)等の疾患又は障害を予防及び/又は治療する方法であって、前記被験体に、TNFに対して指向性を有する、治療的に有効な量のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体若しくは「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項64】
自己免疫疾患(リウマチ性関節炎又は炎症性大腸炎等)等の疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物の調製のためのTNFに対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の使用。
【請求項65】
前記ナノボディ、前記ドメイン抗体、前記単一ドメイン抗体又は前記「dAb」が、自己免疫疾患(リウマチ性関節炎又は炎症性大腸炎等)等の疾患又は障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療するためにTNFに対して指向性を有する、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
vWFに対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項67】
疾患又は障害を患う被験体に、vWFに対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を投与することによって予防及び/又は治療することができる該疾患又は該障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項68】
血小板媒介性凝集に関連する疾患又は障害〔非閉塞型血栓の形成、閉塞型血栓の形成、動脈血栓の形成、急性冠動脈閉塞、末梢動脈閉塞性疾患、冠動脈バイパス移植、冠動脈弁置換術及び血管形成術、ステント植込み術又はアテローム切除術等の冠動脈インターベンションによって起こる再狭窄及び障害、血管形成術、アテローム切除術又はステント植込み術後の過形成、血管系閉塞性症候群若しくは罹患動脈の開存性喪失、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、一過性脳虚血発作、不安定若しくは安定狭心症、脳梗塞、HELLP症候群、頸動脈内膜剥離術、頸動脈狭窄、重症虚血肢、心臓塞栓症、末梢血管疾患、再狭窄及び心筋梗塞等〕を予防及び/又は治療する方法であって、前記被験体に、vWFに対して指向性を有する、治療的に有効な量のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体若しくは「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項69】
血小板媒介性凝集に関連する疾患又は障害〔非閉塞型血栓の形成、閉塞型血栓の形成、動脈血栓の形成、急性冠動脈閉塞、末梢動脈閉塞性疾患、冠動脈バイパス移植、冠動脈弁置換術及び血管形成術、ステント植込み術又はアテローム切除術等の冠動脈インターベンションによって起こる再狭窄及び障害、血管形成術、アテローム切除術又はステント植込み術後の過形成、血管系閉塞性症候群若しくは罹患動脈の開存性喪失、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、一過性脳虚血発作、不安定若しくは安定狭心症、脳梗塞、HELLP症候群、頸動脈内膜剥離術、頸動脈狭窄、重症虚血肢、心臓塞栓症、末梢血管疾患、再狭窄及び心筋梗塞等〕の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物の調製のためのvWFに対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の使用。
【請求項70】
前記ナノボディ、前記ドメイン抗体、前記単一ドメイン抗体又は前記「dAb」が、血小板媒介性障害に関連する疾患又は障害〔非閉塞型血栓の形成、閉塞型血栓の形成、動脈血栓の形成、急性冠動脈閉塞、末梢動脈閉塞性疾患、冠動脈バイパス移植、冠動脈弁置換術及び血管形成術、ステント植込み術又はアテローム切除術等の冠動脈インターベンションによって起こる再狭窄及び障害、血管形成術、アテローム切除術又はステント植込み術後の過形成、血管系閉塞性症候群若しくは罹患動脈の開存性喪失、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、一過性脳虚血発作、不安定若しくは安定狭心症、脳梗塞、HELLP症候群、頸動脈内膜剥離術、頸動脈狭窄、重症虚血肢、心臓塞栓症、末梢血管疾患、再狭窄及び心筋梗塞等〕の少なくとも1つを予防及び/又は治療するためにvWFに対して指向性を有する、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
IL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を必要とする被験体を予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項72】
疾患又は障害を患う被験体に、IL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を投与することによって予防及び/又は治療することができる該疾患又は該障害の少なくとも1つを予防及び/又は治療する方法であって、該被験体に、治療的に有効な量の該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項73】
IL−6R、IL−6及び/又はIL−6/IL−6R複合体に関連する疾患又は障害〔敗血症、多発性骨髄腫(MM)、腎細胞癌(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性疾患(BLPD)及び前立腺癌等の様々な形態の癌、骨吸収(骨粗鬆症)、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、リウマチ性関節炎、全身発症型若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息(特にアレルギー性喘息)及び自己免疫インスリン依存性糖尿病等の炎症性疾患及び障害等〕を予防及び/又は治療する方法であって、前記被験体に、IL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有する、治療的に有効な量のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体若しくは「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与することを含む、方法。
【請求項74】
IL−6R、IL−6及び/又はIL−6/IL−6R複合体に関連する疾患又は障害〔敗血症、多発性骨髄腫(MM)、腎細胞癌(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性疾患(BLPD)及び前立腺癌等の様々な形態の癌、骨吸収(骨粗鬆症)、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、リウマチ性関節炎、全身発症型若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息(特にアレルギー性喘息)及び自己免疫インスリン依存性糖尿病等の炎症性疾患及び障害等〕の少なくとも1つを予防及び/又は治療するための、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物の調製のためのIL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」の使用。
【請求項75】
前記ナノボディ、前記ドメイン抗体、前記単一ドメイン抗体又は前記「dAb」が、IL−6R、IL−6及び/又はIL−6/IL−6R複合体に関連する疾患又は障害〔敗血症、多発性骨髄腫(MM)、腎細胞癌(RCC)、形質細胞性白血病、リンパ腫、B−リンパ増殖性疾患(BLPD)及び前立腺癌等の様々な形態の癌、骨吸収(骨粗鬆症)、悪液質、乾癬、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、リウマチ性関節炎、全身発症型若年性特発性関節炎、高ガンマグロブリン血症、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、キャッスルマン病、IgM免疫グロブリン血症、心臓粘液腫、喘息(特にアレルギー性喘息)及び自己免疫インスリン依存性糖尿病等の炎症性疾患及び障害等〕の少なくとも1つを予防及び/又は治療するためにIL−6、IL−6R及び/又はIL−6/IL−6R複合体に対して指向性を有する、請求項1〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項76】
急性の障害又は疾患を予防及び/又は治療する方法であって、前記被験体に、該障害若しくは該疾患の症状を緩和するか、又は該障害若しくは該疾患を治癒することができる、治療的に有効な量のナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を鼻投与することを含む、方法。
【請求項77】
上皮膜透過タンパク質と結合すると粘膜を通過する、該上皮膜透過タンパク質に対して指向性を有するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を選択する方法であって、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」のファージライブラリ(ナイーブ又は免疫)で、上皮膜透過タンパク質提示膜をパニングする工程と、前記輸送ファージを該膜から回収することによって、膜を通過するナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体又は「dAb」を選択する工程とを含む、方法。
【請求項78】
診断方法であって、被験体に、ナノボディ、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体若しくは「dAb」及び/又はこれを含む組成物を鼻投与する工程と、該ナノボディ、該ドメイン抗体、該単一ドメイン抗体若しくは該「dAb」を検出する工程とを含む、診断方法。
【請求項79】
前記ナノボディ、前記ドメイン抗体、前記単一ドメイン抗体又は前記「dAb」をin situで検出する、請求項78に記載の診断方法。


【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−507624(P2010−507624A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533846(P2009−533846)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061493
【国際公開番号】WO2008/049897
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(509104997)
【Fターム(参考)】