説明

ポリペプチド等と反応し得る官能基を含むリビングラジカル重合開始剤、それを用いて得られる櫛形ポリマー、それから得られるポリペプチド複合体及び薬剤

本出願は、櫛形ポリマーの製造方法であって、(a)(i)線状、分枝状又は星形の、置換又は非置換の、且つオレフィン性不飽和部分を有する、モノマーであって、該オレフィン性不飽和部分が付加重合を受け得る複数のモノマー;(ii)開始剤化合物であって、均等開裂可能な結合を含む化合物;及び上記(iii)モノマーの重合を触媒し得る触媒を準備する工程、及び(b)上記開始剤と組合せて、上記触媒に上記複数のモノマーの重合を触媒させる工程を含む方法を提供する。該製法により得られる触媒及びポリマーも提供される。好ましくはタンパク質と結合することができる櫛形ポリマーであり、且つアルコキシポリエーテル、例えばポリ(アルキレングリコール)又はポリテトラヒドロフランであるモノマーから生成され得る櫛形ポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシポリエーテル、例えばポリ(エチレングリコール)のようなポリアルキレングリコール、又はポリテトラヒドロフラン(PTHF)を含むモノマーからの櫛形ポリマーの製造方法に関する。このような方法は、櫛形ポリマーに結合された場合、タンパク質又はポリマーと結合し得る部分を含む開始剤化合物の使用を包含し得る。開始剤化合物及び得られた櫛形ポリマー並びにそれらの使用も、本発明の範囲内である。
【背景技術】
【0002】
略号PEGにより既知であるポリ(エチレングリコール)のようなポリマーを用いたタンパク質の修飾は、当該技術分野でよく知られている。PEG誘導体は、例えばShearwater Corporation, Huntsville, AL., USA及びEnzon, Inc., Bridgewater, NJ., USAにより製造されている。PEGの使用は、これらの会社のカタログ、そして実際に、2002 Enzon, Inc. Annual Reportで検討されている。
【0003】
PEG化として既知である、タンパク質又はポリペプチドへのPEGの結合は、多数の利点を有することが判明している。第一に、これは、PEGが結合される分子の抗原性及び免疫原性を低減させる。PEGは、ポリマーの見かけサイズが糸球体濾過限界を超すまで増大する結果として、腎クリアランスを回避し、及び/又は細胞クリアランスメカニズムを回避することにより、in vivoでの循環半減期の顕著な改善も生じさせる。PEGは、それが結合されるタンパク質及びポリペプチドの溶解度を顕著に改善することができ、例えばPEGは、水から多数の有機溶媒、例えばトルエン、塩化メチレン、エタノール及びアセトンにわたる多数の異なる溶媒中で可溶性であることが判明している。この一用途は、例えば相分配標的分子又は細胞にPEG修飾抗体を使用することである。PEG化は、複合タンパク質のタンパク質分解耐性を増強し、且つ皮下注射部位での損失を低減することにより生物学的利用能を改善することも見出されている。PEG化は、それが結合されるタンパク質又はポリペプチドの毒性を低減すること、分子の熱的及び機械的安定性を改善すること、且つ改善処方物をいくつかの除放投与方法に用いられる物質にすることも観察されている。これらの利点は、例えばChapman A.P. (Advanced Drug Delivery
Reviews, Vol. 54 (2002), pages 531-545)による論文で検討されている。ポリペプチド及びタンパク質PEG化の化学は、Roberts, M.J., et al. (Advanced Drug Delivery Reviews, Vol. 54 (2002), pages 459-476)による論文及びKinstler, O., et al. (Advanced Drug Delivery Reviews, Vol. 54 (2002), pages 477-485)による論文でもさらに検討されている。
【0004】
多数のPEG化薬剤が市販されており、例えばPEG−INTRON(商標)は、Schering-Plough 及びEnzon, Inc.により製造されたα−インターフェロン製品であり、これはC型肝炎及び癌を治療するのに用いられる。Prothecan(商標)は、いくつかの癌に対して有効であるトポイソメラーゼI阻害剤であるカンプトテシンのPEG増強バージョンである。非PEG化化合物と比較して、例えば腫瘍中での良好な摂取及び副作用低減を示す、PEG化タキソール及びいくつかの酵素ベースの製品も製造されている。Roberts(上記)による再検討で考察されているように、PEGのようなポリマーは、リシン、システイン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、N末端アミノ基及びC末端カルボン酸基などのタンパク質又はポリペプチド分子上の多数の反応性アミノ酸を介して結合され得る。糖タンパク質の場合、近接ヒドロキシル基は過ヨウ素酸塩で酸化されて、2つの反応性ホルミル部分を生成し得る。PEGのような化合物に広範囲の官能基を結合させて、リシンアミン基及びN末端アミ
ン基に結合される。これらの例としては、スクシンイミジルスクシネート、ヒドロキシスクシンアミド及びヒドロキシスクシンアミドエステル、例えばプロピオンアルデヒド及びアセトアルデヒドのようなアルデヒド誘導体、スクシンイミジルのプロピオネート及びスクシンイミジルのブタノエート誘導体、ベンゾトリアゾールカルボネート、p−ニトロフェニルカルボネート、トリクロロフェニルカルボネート及びカルボニルイミダゾールが挙げられる。トレシレート(tresylate)のような化合物は、求核攻撃によりタンパク質と結合することが既知である。タンパク質又はポリペプチド上のシステイン残基と反応し得る多数の化合物も存在する。これらの例としては、マレイミド、ビニルスルホン、ピリジルスルフィド及びヨードアセトアミドが挙げられる。さらにスクシンイミジルカルボネートも、PEG又はその他のポリマーを、タンパク質又はポリペプチド内のアラニン又はヒスチジンアミノ酸に結合するための官能基として用いられ得る。すでに示されたように、このような官能化された基の反応は、Roberts、Kinsler及びChapmanによる論文中に示されたように、そして実際に、例えばShearwaterカタログ(2001)に示されているように、すでに十分に特徴付けられている。
【0005】
一般に市販されているPEGは、通常は長いポリ(エチレングリコール)ポリマー、又は分枝状若しくは星形ポリ(エチレングリコール)の形態である。
【0006】
生物学的物質、例えばタンパク質及びポリペプチド、核酸(DNA及びRNA)、炭水化物及び脂肪に結合されたポリマーのサイズを変更させ、且つ制御させる櫛形ポリマーを生成し得る、ということを本出願人等はここに確認した。タンパク質及びポリペプチドと結合する、様々なサイズ及び流体力学的容積である広範な種々の異なるポリマーを生成する可能性は、ポリマーが結合される化合物の特性を変化させる。例えばこれは、このようなコポリマーと共有結合された薬剤の安定性、溶解性、毒性及び/又は薬剤保持時間を変更するために用いられ得る。このようなコポリマーは、いわゆるリビングラジカル重合により制御された方法で製造され得る。
【0007】
リビングラジカル重合は、国際特許出願WO 97/47661の対象である。担持重合触媒及び特定重合開始剤も、WO 99/28352及びWO 01/94424に示されている。基本的に、当該系は、遷移金属と錯体形成された化合物を用いる。この化合物は好ましくは、オルガノジイミンであるが、ジイミンの窒素の一つが好ましくは芳香族環の一部にない(例えば1,4−ジアザ−1,3−ブタジエン、2−ピリジンカルバルデヒドイミン、オキサゾリドン又はキノリンカルバルデヒド)。
【0008】
フリーラジカル開始剤の使用を包含するリビングフリーラジカル系も既知である(例えばWO 96/30421及びWO 97/18247参照)。これは、Kamigaito, et al., Chem. Rev. (2001), Vol. 12, pages 3689-3745で再検討されている。
【発明の開示】
【0009】
触媒及び開始剤の組合せは、オレフィン性不飽和モノマー、例えばビニルモノマーを重合するために、従来用いられている。発明者等は、これらの系を用いて制御的に櫛形ポリマーを生成させた。これらの櫛形ポリマーは、慣用的化学作用によりそれらに結合された官能基を有し得る。しかしながら、発明者等は、リビングラジカル重合に用いられる開始剤を、開始剤とモノマーとの反応の結果として、櫛形ポリマーに結合させることを達成した。これは、官能基を有する開始剤を用いることにより、コポリマーを生成すると同時に櫛形ポリマーを官能化し得る、ということを意味する。
【0010】
したがって、本発明の第一の態様は、櫛形ポリマーの製造方法であって
(a)
(i)線状、分枝状又は星形の、置換又は非置換の、好ましくは2、特に3〜10
の炭素原子を含み、且つ付加重合を受け得るオレフィン性不飽和部分を有する複数のモノマーであって、
(ii)均等開裂可能な結合を含む開始剤化合物、
(iii)上記モノマーの重合を触媒し得る触媒、
を準備する工程と、
(b)上記櫛形ポリマーを生成するために、上記開始剤と組合せて、上記触媒に上記複数のモノマーの重合を触媒させる工程と、
を含み、上記開始剤化合物(ii)が、上記櫛形ポリマーに結合したときに、生物学的物質と結合し得る部分を含むことを特徴とする櫛形ポリマーの製造方法を提供する。
【0011】
(i)におけるモノマーが、ポリ(アルキレングリコール)又はポリテトラヒドロフランのようなアルコキシポリエーテルであることが好ましい。
【0012】
櫛形ポリマーは、櫛形ポリマーに結合された場合、慣用的化学作用を用いてそれに結合される、例えばタンパク質又はポリペプチドを結合し得る部分を有し得る。しかしながら、すでに示したように、それらに結合される部分を有する開始剤化合物を生成することができる。したがって、好ましい開始剤化合物は、櫛形ポリマーに結合された場合、例えばタンパク質又はポリペプチド、核酸(DNA又はRNA)、炭水化物又は脂肪などの生物学的物質と結合し得る部分を有する。
【0013】
好ましくは、ポリ(アルキレングリコール)は、2〜10、好ましくは少なくとも3個の炭素原子を含有するアルキレングリコールのポリマー、最も好ましくはポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)又はポリ(ブチレングリコール)である。例えばポリ(エチレングリコール)が用いられ得る。
【0014】
その最も一般的形態では、これは、ヒドロキシル基末端の線状又は分枝状ポリエーテルである。これは、エポキシド環の水酸化物イオンの求核攻撃により開始される酸化エチレンの陰イオン性開環重合によって合成される。例えば、モノメトキシPEG(mPEG)を生成するために、一端にモノメトキシ基を配置するなど、ポリエチレングリコールを修飾することも可能である。これは、メトキシドイオンで開始されるイオン性開環重合により合成され、市販されている。しかしながら、反応混合物中に存在する微量の水は、ヒドロキシ基により両端が終結されているかなりの量のPEGを生成させる。タンパク質又はペプチドと結合し得る部分がポリマー鎖の両端に結合し、このことが望ましくない身体中のタンパク質の架橋を生じるので、これは望ましくない。
【0015】
この不純物の生成を最小限にする方法は、エポキシド環上のベンゾイルオキシイオンの求核攻撃により酸化エチレンの開環を開始することである。上記の方法と似た方法で、ヒドロキシにより両端が終結されているPEG鎖と同様に、モノベンゾイルオキシPEGが生成される。この混合物はメチル化されて、BzO及びOMeで終結される一鎖、並びにジメトキシPEGを生成する。この混合物の水素化は、ベンゾイルオキシ基を排除して、mPEG及びジメトキシPEGを産生する。ジメトキシPEGは、不活性不純物として依然として存在する。しかしながらこの方法を用いる場合でも、得られた生成物は、その分析証明書によれば、5〜10%の望ましくないジヒドロキシPEGを依然として含有する。
【0016】
本発明の方法は、実質的に100%純粋である生成物を産生し、実質的に全てのジヒドロキシPEG不純物を排除し、したがって既知の方法の欠点を回避して、タンパク質の架橋の可能性を除去する。
【0017】
PEGのような分枝状及び星形ポリマーは、多数の商業的供給元、例えばEnzon及びShe
arwaterから入手可能である。ポリテトラヒドロフランも、商業的供給元、例えばAldrich(Gillingham, Dorset, UK)から入手され得る。
【0018】
好ましくはPEGメタクリレートの分子量は、475、1,100、2,080、5,000又は20,000である。
【0019】
ポリアルキレングリコール及びポリテトラヒドロフランは、例えばポリマー鎖の末端に、オレフィン性不飽和部分を含む。このオレフィン性不飽和部分は、付加的重合を受け得る。
【0020】
オレフィン性不飽和モノマーは、メタクリレート、アクリレート、スチレン、メタクリロニトリル又はブタジエンのようなジエンであり得る。
【0021】
用いられ得るオレフィン性不飽和部分の例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート(全て異性体)、ブチルメタクリレート(全て異性体)、及びその他のアルキルメタクリレート;アクリレート類似物;さらにまた官能化メタクリレート及びアクリレート、例えばグリシジルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、例えばジメチルエチルアミノメタクリレート;フルオロアルキル(メタ)アクリレート;メタクリル酸、アクリル酸;フマル酸(及びエステル)、イタコン酸(及びエステル)、無水マレイン酸;スチレン、α−メチルスチレン;ビニルハロゲン化物、例えば塩化ビニル及びフッ化ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル;グリセロール;式CH=C(Hal)(ここで、各ハロゲンは独立してCl又はFである)のビニリデンハロゲン化物;式CH=C(R15)C(R15)=CH(ここで、R15は、独立してH、C1〜C10アルキル、Cl又はFである)の任意に置換されたブタジエン;式CH=CHSOOM(ここで、MはNa、K、Li、N(R16(ここで、R16は、各々独立して、H又はC〜C10アルキル、COZ、ON、N(R16又はSOOZであり、ZはH、Li、Na、K又はN(R16である)である)のスルホン酸又はその誘導体;式CH=CHCON(R16のアクリルアミド又はその誘導体、及び式CH=C(CH)CON(R16のメタクリルアミド又はその誘導体が挙げられる。
【0022】
このようなモノマーの混合物を用いてもよい。
【0023】
このような不飽和部分は、慣用的化学作用により、例えばポリマーの一端に結合され得る。あるいはこのようなモノマーは、商業的に入手され得る。例えばPEGアクリレート、ジアクリレート、メタクリレート及びジメタクリレートは、Aldrich(Gillingham, Dorset, UK)から市販されている。
【0024】
不飽和部分は、任意の適切な結合基により、例えばメチルエーテル結合を介して、ポリアルキレングリコール又はポリテトラヒドロフランに結合され得る。それゆえ、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(Aldrich Chemicalsから入手可能)を用いることができる。リビングラジカル重合技術の一利点は、フリーラジカル阻害剤、例えばヒドロキノンを有するこのような市販化合物を、さらに精製することなく用いられ得ることである。従来のフリーラジカルベースの系を用いた場合、フリーラジカル阻害剤の存在は、付加的重合反応を防止する。これは、リビングラジカル重合ではこのような事はない。
【0025】
開始剤化合物は、ハロゲン原子による均等開裂可能な結合を含み得る。これは、均等開
裂においてどちらの原子上でも積分電荷生成を伴わずに切れる結合を含有し得る。WO 97/01589、WO 99/28352及びWO 01/94424に記載されているように、実際のフリーラジカルは、いくつかの触媒を用いて生成されるようには見えないと考えられる。これは、系において別個のフリーラジカル種の生成を伴わずに、モノマーが結合中に挿入される協奏的方法で起こる、と考えられる。即ち、成長中、これは、フリーラジカル生成を伴わずに新規の炭素−炭素結合及び新規の炭素−ハロゲン結合の形成を生じる。不対電子を有する原子又は原子の基であり、相互作用を伴わない別個の存在物であるフリーラジカルは、開始剤化合物とそれが相互作用するモノマーとの相互作用により生成されない。
【0026】
適切な開始剤化合物は、例えばWO 97/47661に記載されている。しかしながら、開始剤化合物は、櫛形ポリマーに結合された場合、タンパク質又はポリペプチドと結合し得る部分も含むことが好ましい。これらの部分は、Roberts他(上記)、Chapman(上記)に、そして例えばEnzon及びShearwaterのカタログに、実際に記載されているように、当該技術分野で既知である。
【0027】
開始剤は、チオエステル又はキサンテートであり得る。これらは、いわゆるRAFT(付加−開裂移動反応及び酸化窒素媒介性重合)及びMADIX触媒化に用いられる。開始剤及びそれらの反応は、WO 99/31144、WO 98/01478及び米国特許第6,153,705号に記載されている。
【0028】
好ましい上記開始剤化合物(ii)は、以下の中から選ばれる。
A−S−C(O)−R、A−S−C(S)−O−R、R−S−C(O)−A、R−S−C(S)−O−A(ここで、RはC〜C20の置換又は非置換の、直鎖、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキルである);
A−B−X;
【0029】
【化1】

【0030】
上記Aは、スクシンイミジルスクシネート、N−ヒドロキシスクシンイミド、スクシンイミジルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド、トレシレート(tresylate)、トリアジン、ビニルスルホン、ベンゾトリアゾールカルボネート、マレイミド、ピリジルスルフィド、ヨードアセトアミド及びスクシンイミジルカルボネートから選択されることが好ましい。
【0031】
上記リンカーは、C〜C20の置換又は非置換の、直鎖、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキル基;−(CHZ)CH−、−CHZCH−、−(CHCHZ)R、−(CHCH(CH)Z)R、−(CH−C(O)−NH−(CH−、−(CH−NH−C(O)−(CH−、−N(R)−;−S−;−N−R;又は−O−R(ここで、R=C〜C20の置換又は非置換の、直鎖
、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキル、ZはO又はSであり、n、a、b及びcは独立して1〜10の選択可能な整数である)から選択されることが好ましい。好ましくは、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子を含有する。最も好ましくは、リンカーは、メチル、エチル、プロピル、ブチル又はペンチルである。
【0032】
好ましくは、タンパク質又はポリペプチドと反応し得る部分が次式を有する。
【0033】
【化2】

【0034】
最も好ましい開始剤(ii)は、次式を有する。
【0035】
【化3】

【0036】
開始剤は、次式から選ばれる化合物を有する。
【0037】
【化4】

【0038】
触媒は、リビングラジカル重合(例えばWO 97/47661参照)又はリビングフリーラジカル重合(例えばWO 96/30421、WO 97/18247及びKamagaito, M., et al., Chem. Rev. (2001), Vol. 101 (12), pages 3689-3745)により重合反応に触媒作用を及ぼす。
【0039】
好ましい触媒は、遷移金属と成長中のポリマーラジカルとの間の直接結合が形成されないよう、δ−結合で遷移金属と配位結合し得る任意のN−、O−、P−又はS−含有化合物、又はπ−結合で遷移金属と配位結合し得る任意の炭素含有化合物であるリガンドを含む。
【0040】
触媒は、第一化合物:
MY
(式中、Mは、一形式酸化状態により酸化され得る酸化状態を有する遷移金属であり、
Yは、一価、二価又は多価の対イオンである)
を含み得る。
【0041】
触媒は次式によっても定義され得る。
[MLn+n−
(式中、Mは一形式酸化状態により酸化され得る酸化状態を有する遷移金属、
Lはジイミンの窒素のうちの少なくとも1つが芳香族環の一部にないオルガノジイミン、
Aは陰イオン、
nは1〜3の整数、
mは1〜2の整数)
【0042】
金属イオンは、配位結合リガンド、例えば(CHCN)に結合され得る。Yは、Cl、Br、F、I、NO、PF、BF、SO、CN、SPh、SCN、SePh又はトリフレート(CFSO)から選択され得る。銅(I)トリフレートを用いてもよい。これは、市販ベンゼン複合体(CFSOCu)の形態で利用可能である。
【0043】
用いられるのに特に好ましい化合物は、CuBrである。
【0044】
Aは、F、Cl、Br、I、N、O、SO又はCuX(ここで、Xはハロゲンである)であり得る。
【0045】
遷移金属は、Cu、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Ru2+、Ru3+、Cr2+、Cr3+、Mo2+、Mo3+、W2+、W3+、Mn3+、Mn4+、Rh3+、Rh4+、Re2+、Re3+、Co、Co2+、V2+、V3+、Zn、Zn2+、Au、Au2+、Ag及びAg2+から選択され得る。
【0046】
好ましいオルガノジイミンは、以下から選択される式を有する。
【0047】
【化5】

【0048】
(式中、R、R、R10、R11、R12及びR13は独立して変更されることがあり、R、R、R10、R11、R12及びR13はH、直鎖、分枝鎖又は環状の飽和アルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アリール(例えばフェニル又は置換されたフェニル(ここで、置換はR〜Rに関して記載されたのと同様である))、CHAr(ここで、Ar=アリール又は置換アリール)又はハロゲンである。好ましくはR、R、R10、R11、R12及びR13は、C〜C20のアルキル、ヒドロキシアルキル又はカルボキシアルキル、特にC〜Cアルキル、特にメチル又はエチル
、n−プロピルイソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチルデシル又はラウリルである。
【0049】
好ましいリガンドとしては、以下のものが挙げられる:
【0050】
【化6−1】

【化6−2】

【0051】
好ましい触媒は以下のものである。
【0052】
【化7】

【0053】
好ましいオルガノジイミンは、N−(n−プロピル)−2−ピリジルメタンイミン(NMPI)、N−エチル−2−ピリジルメタンイミン又はN−(n−エチル)−2−ピリジルメタンイミンである。
【0054】
その他の触媒は、WO 96/30421及びWO 97/18247に記載されている。
【0055】
好ましい触媒は、例えば4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジル(dNbpy)のようにビピリジン基を含む。
【0056】
本発明のパート(i)に明示されたような複数の異なるモノマーが用いられ得る。これは、統計コポリマーの製造を可能にする。
【0057】
代替的に又は付加的に、1つ又は複数の異なるオレフィン性不飽和モノマーをさらに重合することにより、ブロックコポリマーが生成され得る。例えばオレフィン性不飽和モノマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート(全て異性体)、ブチルメタクリレート(全て異性体)、及びその他のアルキルメタクリレート;アクリレート類似物;さらにまた官能化メタクリレート及びアクリレート、例えばグリシジルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート;フルオロアルキル(メタ)アクリレート;メタクリル酸、アクリル酸;フマル酸(及びエステル)、イタコン酸(及びエステル)、無水マレイン酸;スチレン、α−メチルスチレン;ビニルハロゲン化物、例えば塩化ビニル及びフッ化ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル;式CH=C(Hal)(ここで、各ハロゲンは独立してCl又はFである)のビニリデンハロゲン化物;式CH=C(R15)C(R15)=CH(式中、R15は独立してH、C〜C10アルキル、Cl又はFである)の任意に置換されたブタジエン;式CH=CHSOOM(ここで、MはNa、K、Li、N(R16(ここで、R16は、各々独立して、H又はC〜C10アルキル、COZ、ON、N(R16又はSOOZであり、ZはH、Li、Na、K又はN(R16である)である)のスルホン酸又はその誘導体;式CH=CHCON(R16のアクリルアミド又はその誘導体、及び式CH=C(CH)CON(R16のメタクリルアミド又はその誘導体から選択され得る。
【0058】
モノマーは、本発明のパート(I)に記載されているようなモノマーの重合の前又は後に重合され得る。
【0059】
重合反応は、多数の異なる溶媒中で、例えば疎水性又は親水性溶媒中で反応する。これらの例としては、水、プロピオニトリル、ヘキサン、ヘプタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、ジエチルエーテル、N,N−ジ
メチルホルムアミド、アニソール、アセトニトリル、ジフェニルエーテル、メチルイソブチレート、ブタン−2−オン、トルエン及びキシレンが挙げられる。
【0060】
反応温度は、−20℃から200℃より高い温度で、特に+5〜130℃で実行され得る。例えばWO 97/47661は、リビングラジカル重合の例及び用いられ得る典型的条件を示す。
【0061】
好ましいオルガノジイミン:遷移金属の比は、0.01:1,000、好ましくは0.1:10であり、遷移金属イオン(MYの場合):開始剤は、0.0001:1,000、好ましくは0.1:10であり、この場合、重合度は、モノマー対開始剤の比により制御される。比率は全て、重量:重量として示される。好ましい構成成分は、触媒:開始剤の比が3:1〜1:100である式:[MLn+n−(上記)の触媒である。
【0062】
系に用いられるジイミン:金属の好ましい量は、(重量で)100:1〜1:1、好ましくは5:1〜1:1、さらに好ましくは3:1〜1:1である。
【0063】
用いられる溶媒中のモノマーの好ましい濃度は、100%〜1%、好ましくは100%〜5%(容量:容量)である。
【0064】
開始剤対触媒の好ましい比は、1:100〜100:1、典型的には1:1である。
【0065】
モノマー:開始剤の好ましい比は、1:1〜10,000:1、特に5:1〜100:1である。
【0066】
反応は、不活性雰囲気下で、例えば窒素又はアルゴン下で着手され、懸濁液、乳濁液、ミニエマルジョン中で、又は分散液中で実行され得る。
【0067】
好ましい触媒は担持触媒であり、即ち、触媒の少なくとも一部が担体に結合される。このような担持触媒は、例えばWO 99/28352に示されている。
【0068】
担体は、無機物質、例えばシリカ、特にシリカゲルであり得る。あるいは担持体は、有機物質、特に有機ポリマー、例えば架橋有機ポリマー、例えばポリ(スチレン−w−ジビニルベンゾン)であり得る。担持体は、ビーズの形態であり得る。担持触媒を使用する利点は、それが系から触媒を除去させ、且つリサイクル/再使用させる点である。
【0069】
櫛形ポリマーは、蛍光標識モノマーを組み入れ得る。例えば本方法は、付加重合を受け得る少なくとも1つの蛍光標識モノマーと共重合するか又はブロック重合する工程をさらに包含し得る。これは、オレフィン性不飽和部分に結合された蛍光部分、例えばフルオレセイン又はクマリンを有するモノマーを用いることにより簡単に実行され得る。オレフィン性不飽和部分は、上記の不飽和部分から選択され得る。
【0070】
好ましい蛍光標識は、クマリン、特にクマリン343である。クマリンは、タンパク質に結合するのに用いられる櫛形ポリマーやタンパク質の結合を、共焦点顕微鏡を用いて可視化させるため、特に有益である。これは、例えば個々のタンパク質の検出を、又は実際に細菌若しくはその他の細胞全体の可視化を可能にする。実際、細菌細胞は、大腸菌及びストレプトミセス細胞に結合する本発明の櫛形ポリマーを用いて容易に可視化することができる、ということを初期成果は示している。
【0071】
本発明のさらなる態様は、ポリマーに結合したときに、タンパク質又はポリペプチドと結合し得る部分を含む、リビングラジカル重合反応に用いられ得る開始剤化合物を提供す
る。また、以下の式を有するリビングラジカル重合反応に用いる開始剤も提供する。
【0072】
A−S−C(O)−R、A−S−C(S)−O−R、R−S−C(O)−A、R−S−C(S)−O−A(ここで、RはC〜C20の置換又は非置換の、直鎖、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキルである);
A−B−X;
【0073】
【化8】

【0074】
好ましくいAは、スクシンイミジルスクシネート、N−ヒドロキシスクシンイミド、スクシンイミジルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド、トレシレート(tresylate)、トリアジン、ビニルスルホン、ベン
ゾトリアゾールカルボネート、マレイミド、ピリジルスルフィド、ヨードアセトアミド及びスクシンイミジルカルボネートから選択される。
【0075】
好ましいリンカーは、C〜C20の置換又は非置換の、直鎖、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキル基;−(CHZ)CH−、−CHZCH−、−(CHCHZ)−R、−(CHCH(CH)Z)−R、−(CH−C(O)−NH−(CH−、−(CH−NH−C(O)−(CH−、−N(R)−;−S−;−N−R;又は−O−R(ここで、R=C〜C20の置換又は非置換の、直鎖、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキル、ZはO又はSであり、n、a、b及びcは独立して1〜10の選択可能な整数である)から選択される。
【0076】
好ましくは、タンパク質又はポリペプチドと反応し得る部分が次式を有する。
【0077】
【化9】

【0078】
好ましくは開始剤が、次式を有する。
【0079】
【化10】

【0080】
開始剤は特に、次式を有する。
【0081】
【化11】

【0082】
標準条件下で、アルデヒドベースの開始剤はタンパク質と非選択的に反応する傾向があり、即ち、反応条件が制御されない場合、それらは末端窒素原子、及び例えばリシンNH基の両方と実質的に等しく反応する。しかしながら、選択された特定のアルデヒドにとって適切な反応pKa下では、アルデヒドが末端窒素を特異的に対象とするよう制御される。
【0083】
本発明のさらなる態様は、本発明の方法により得られる、タンパク質又はポリペプチドと結合し得る櫛形ポリマーを提供する。
【0084】
さらなる態様は、一般式:
A−(D)−(E)−(F)
(式中、Aは、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、タンパク質又はポリペプチドと結合し得る部分であり;
Dは、存在する場合、Eに記載されない1つ又は複数のオレフィン性不飽和モノマーの付加的重合により得られ;
Eは、線状、分枝状又は星形の置換又は非置換であり、且つオレフィン性不飽和部分を有する複数のモノマーの付加的重合により得られ;
Fは、存在する場合、Eに記載されない1つ又は複数のオレフィン性不飽和モノマーの付加的重合により得られ;
d及びfは0〜500、特に0〜300又は0〜100の整数であり;
eは0〜1,000、特に0〜10、50、100、200、300、400、500、600、700、800又は900の整数であって;
Aが存在する場合、D、E及びFのうちの少なくとも1つが存在する)
を有する櫛形ポリマーを提供する。
【0085】
Eを得るのに用いられる好ましいモノマーはポリ(アルキレングリコール)又はポリテトラヒドロフランである。
【0086】
これは、官能化櫛形ポリマー及び非官能化櫛形ポリマーの両方を含み、この場合、タンパク質又はポリペプチドに結合し得る部分は他の化学作用により後に結合され得る。
【0087】
好ましい櫛形ポリマーは、2,000〜80,000、特に20,000〜40,000の平均総分子量を有する。
【0088】
本発明の方法により得られる好ましい櫛形ポリマーの例は、以下のものである。
【0089】
【化12−1】

【化12−2】

【化12−3】

【0090】
これらのポリマーは、有用な生体分子と直接反応させるために、又は有用な生体分子と反応する新規の高分子に単に転化するためのどちらかに用いられ得る。
【0091】
櫛形ポリマーは、特にクマリンで蛍光標識され得る。本発明のさらなる態様は、化合物へのポリマーの結合方法であって、本発明の櫛形ポリマーを上記化合物と反応させることを包含する方法を提供する。化合物はタンパク質又はポリペプチドであってもよく、又は実際、用いられる開始剤に応じて、好適な遊離チオール又は遊離アミン基を有する任意の化合物であってもよい。このような化合物としては、アミン、例えばベンジルアミン及びエチレンジアミン、アミノ酸及び糖のような炭水化物が挙げられる。
【0092】
好ましいこのような化合物は、生物学的活性化合物、例えば薬剤である。薬学的に許容可能な担体と組合せたこのような化合物の組合せも提供される。化合物は、癌化学療法薬、抗生物質、抗真菌剤及び/又は免疫抑制薬を包含し得る。
【0093】
例えば図23及び図24は、リゾチームと本発明により調製されるポリマーとの反応に関するHPLC追跡及びSDS−PAGEを示す。これらの図は、ポリマーが、リゾチームの7つのアミノ基のうちの1つだけと選択的に接合している反応の進行を明白に例示する。
【0094】
本発明のさらなる態様は、化合物、ウイルス、微生物又は細胞を蛍光標識する方法であって、化合物、ウイルス、微生物又は細胞を本発明の蛍光標識櫛形ポリマーと反応させる工程を包含する方法を提供する。蛍光標識としての櫛形ポリマーの使用もまた提供される。
【0095】
蛍光標識櫛形ポリマーは抗体を結合するのに用いられ、これは次々に確定前の抗原に選択的に結合するのに用いられ得る。このように化合物の選択的標識が起きる。
【0096】
このような抗体の産生方法は、当該技術分野で既知であり、実際、モノクローナル抗体は既知のKohler−Milstein法により産生され得る。
【0097】
従来、ポリマーがタンパク質と結合するのに用いられた場合、それらは、例えば20,000の分子量を有するポリマーは肝臓により身体から排出することができないので、低分子量のものでなければならなった。この問題と対抗し、約5,000分子量の4つのポリマーが各々タンパク質に結合され、結局、問題なく排出された。本発明の櫛形ポリマーにより提供される利点は、これらが20,000の分子量を有し、且つ従来のポリマーを用いた場合に見出される排出の問題を伴わずにタンパク質に依然として結合され得る、ということである。これは、櫛形ポリマーの各「指」に見られるエステル結合のためである。予備的結果は、このエステル結合が酵素により容易に加水分解されて、指を次第に徐々にポリマー主鎖から外させる、ということを示す。これは、肝臓により排出させ得る分子量に達するまで、時間とともに20,000分子量ポリマーをより小さくさせる。従来の鎖ポリマーは、この利点を提供できず、排出されずに血流中に残存する。
【0098】
初期成果は、本発明の櫛形ポリマーがラット血清中で数週間に亘って安定であるが、徐々に上記で詳述したように分解する、ということを示す。
【0099】
ここで、例としてのみ以下の実施例を参照しながら本発明を説明する。
【0100】
N−[2−(2’−ブロモ−2’−メチルプロピオニルオキシ)−エチル]フタルイミド、6の合成
【0101】
【化13】

【0102】
磁気撹拌機を装備した500mL丸底フラスコ中に窒素下でトリエチルアミン(28.1mL、0.2mol)を含有する無水THF(250mL)中に、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド(Aldrich、99%)(19.12g、0.1mol)を溶解した。フラスコを氷浴で0℃に冷却した後、臭化2−ブロモイソブチリル(13.9mL、0.11mol)を滴下した。混合物を45分間撹拌し、室温に達しさせた。その後、反応混合物を余分量の冷水中に注ぎ入れ、ジエチルエーテル(3×50mL)で抽出した。有機層をNaCOの飽和水溶液(3×50mL)、酸性化水(pH=4.5、3×50mL)、再びNaCOの飽和水溶液(3×50mL)で洗浄した。有機層を無水MgSO上で乾燥し、濾過した。最後に、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で溶媒を除去して、表題化合物を帯黄色個体として単離した(30.6g、収率90%)。
【0103】
m.p. 63〜65°C, IR (固形、ATRセル) ν (cm−1) 1774 (Ccycl=O),1705 (C=O);H NMR (CDC1, 298 K, 300 MHz) δ 1.81 (s, 6H, C(CHBr), 3.95 (t, 2H, J=5.3 Hz, CHN), 4.35 (t,
2H, J= 5.4 Hz, CHO), 7.67 (m, 2H, CH Ar), 7.78 (m, 2H, CH Ar)。 13C NMR (CDC1
298 K, 75 MHz) δ 31.00 (2C, C(CHBr),
37.12 (1C, CHN), 55.92 (1C, C(CHBr), 63.42 (1C, CHO), 123.78 (2C, CH Ar), 132.35 (1C, C Ar), 133.54 (2C, CH Ar), 168.40 (2C, Ccycl=O), 171.87(1C, C=0)。
【0104】
N−(2−ブロモ−2−メチルプロピオニルオキシ)スクシンイミド、7の合成
【0105】
【化14】

【0106】
化合物6の合成に関して上記したのと同様の手法を用いて、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)から、これを調製した。NHSがTHFに不溶性であるので、この場合に用いた溶媒は無水ジクロロメタンであった。収率85%で白色個体として表題化合物を得た。
【0107】
m.p. 72〜74°C; IR (固形、ATRセル) ν (cm−1) 1772 (Ccycl=O), 1728 (C=0); H NMR (CDCl, 298 K, 300 MHz) δ 2.08 (s, 6H, C(CHBr), 2.87 (s, 4H, CH)。 13C NMR(CDCl, 298
K, 75 MHz) δ 26.03 (2C, CH), 31.09(2C,
C(CHBr), 51.60 (1C, C(CHBr), 167.89 (1C, C=0), 169.02 (2C, Ccycl=O); MS (+EI), (m/z) 266, 265, 156, 151, 149, 123, 121, 116, 115, 91, 87, 70, 69。 C10NOBrに関する分析計算値(Anal.Calcd for C10NOBr):
C = 36.39; H 3.82; N = 5.30, Br = 30.26。
実測値(Found): C=36.35; H = 3.82; N = 5.03;
Br=30.17。
【0108】
4−[(4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]フェノール、4
【0109】
アセトン100mL中の2,4−ジクロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン29(9.00g、50.0mmol)の溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら、固体4−アミノフェノール(5.46g、50.0mmol)を約2分間に亘って少量ずつ付加した。次に、NaCOの2M水溶液で中和しながら、白色懸濁液を室温に暖めたままにして、さらに1時間撹拌した。次に混合物を500mLの氷/水中に注ぎ入れ、その結果生じた白色沈殿物を濾過し、乾燥して、9.60g(38.0mmol、収率76%)の4−[(4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]フェノールを得たが、これは、精製せずに次の過程のために用い得る。フラッシュクロマトグラフィー(CC、SiO、石油エーテル/EtO 1:1、R=0.14)により、分析用試料を得た。NMR分析(d−DMSO)は、溶液中に、2回転異性体(モル比7:3)の存在を明示した。
【0110】
m.p. 172℃ 検出値; IR ν(NH) 3476 cm−1. ν(OH)
3269 cm−1
主要異性体 H NMR (d−DMSO, 298K, 300 MHz) δ 3.94 (s, 3H, CH); 6 .79 (d, J = 8.8 Hz,
2H, CH Ar), 7.48 (d, J = 8.8 Hz, 2H, CH
Ar), 9.40 (s, 1H, OH), 10.46 (s, 1H, NH); 13C{H} NMR (d−DMSO, 298K, 75 MHz) δ
55.52 (1C, OCH); 115.46 (2C, CH Ar), 123.91 (2C, CH Ar), 129.49 (1C, C Ar), 154.44 (1C, C Ar), 164.81 (1C,C Ar), 169.57 (1C, C Ar), ,171.23 (1C, C Ar)。
非主要異性体 H NMR (d−DMSO, 298K, 300 MHz) δ
3.96 (s, 3H, OCH); 6.79 (d, J = 8.9 Hz, 2H, CH Ar), 7.39 (d, J= 8.9 Hz, 2H, CH
Ar), 9.42 (bs, 1H, OH), 10.10.32 (s, 1H, NH); 13C{H} NMR (d−DMSO, 298 K, 75 MHz) δ 55.10 (1C, OCH); 115.46 (2C, CH Ar), 123.03 (2C, CH Ar), 129.26 (1C, C Ar), 154.76 (1C, C Ar), 165.20(1C, C Ar), 170.48 (1C, C Ar), 170.64 (1C, C Ar); C10ClNに関する分析計算値(Anal.Calcd for C10ClN): C = 47.54, H = 3.59, N = 22.18, Cl = 14.03, 実測値(Found): C = 47.57, H = 3.55, N = 22.10, Cl = 14.8。
【0111】
4−[(4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]フェニル2−ブロモ−2−メチルプロピオネート、5
【0112】
【化15】

【0113】
20mLのTHF中の臭化2−ブロモイソブチリル(1.0mL、7.90mmol)の溶液を、−10℃で100mLのTHF中の4−[(4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]フェノール(1.9g、7.52mmol)及びトリエチルアミンの溶液に滴下した。付加中(約15分)、臭化トリエチルアンモニウムの沈殿物を観察した。TLC(SiO、石油エーテル/EtO 1:1、4−[(4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]フェノール(出発物質)R=0.14;4−[(4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]フェニル2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(最終生成物)R=0.26)により、反応をモニタリングした。1.5時間後、白色懸濁液を、150mLのEtOを含有する三角フラスコ中に注ぎ入れ、焼結ガラスフリット上での濾過によりアンモニウム塩を除去した。次に溶媒を減圧下で蒸発させて、精製されていない白色残渣を得て、これを10mLのペンタン中に懸濁し、濾過した。白色固体として4−[(4−クロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]フェニル2−ブロモ−2−メチルプロピオネート2.56g(6.37mmol、収率85%)を得た。H NMR分析(d−DMSO)は、溶液中に、2回転異性体(モル比7:3)の存在を明示した。
【0114】
m.p. 107〜108 ℃; IR ν(NH) 3365 cm−1. ν(c=o) 1747 cm−1
主要異性体: H NMR (d−DMSO, 298 K, 400 MHz) δ 2.05 (s, 6H, C(CHBr), 3.96 (s, 3H, OCH), 7.17 (d,J = 8.9 Hz, 2H, CH Ar), 7.77 (d,J = 8.9 Hz, 2H, CH Ar), 10.78 (s,
1H, NH); 13C{H} NMR(d−DMSO, 298 K, 100.6 MHz) δ 30.42 (2C, CH), 55.75 (bs, 1C, OCH), 57.29 (1C, C(CHBr), 121.96 (2C, CH Ar), 122.12 (2C, CH Ar), 136.29 (1C, C Ar), 146.61 (bs, 1C, C Ar), 165.10 (bs, 1C, C Ar), 169.89 (bs, 1C, C Ar),, 170.16 (1C, C=O), 171.33 (bs, 1C, C Ar)。
非主要異性体: H NMR (d−DMSO, 298 K, 400 MHz)
δ 2.05 (s, 6H, C(CHBr), 3.96 (s, 3H,
OCH3), 7.17 (d,J = 8.9 Hz,2H, CH Ar), 7.69 (d,J = 8.9 Hz,2H, CH Ar), 10.66(s, 1H, NH); 13C{H} NMR(d−DMSO, 298 K, 100.6 MHz) δ 30.42 (2C, CH), 55.75 (bs, 1C,
OCH), 57.29 (1C, C(CHBr), 121.96(2C, CH Ar), 122.73 (2C, CH Ar), 136.29 (1C
, C Ar), 146.61 (bs, 1C, C Ar), 165.10 (bs, 1C, C Ar), 169.89 (bs, 1C, C Ar),, 170.16 (1C, C=O), 171.33 (bs,1C,C Ar).
【0115】
MMAの代表的重合。
CuBr(0.134g、0.934mmol)を、オーブン乾燥したシュレンク管中に入れた。管にゴム隔壁を取り付けて、ドライNを排気し、流し込むことを3回行なった。メチルメタクリレート(10mL、93.4mmol)及びキシレン(20mL)を脱気した注射器を用いて管に移した。混合物を窒素下で迅速に撹拌し、N−(n−プロピル)−2−ピリジルメタンイミン(NMPI)(0.408g、1.86mmol)を付加すると、これは溶液に深赤色/褐色を付与した。適切な開始剤(0.934mmol)を付加し、その結果生じた溶液を3回の凍結ポンプ解凍循環により脱気した。その結果生じた混合物を90℃の熱安定性制御油浴中に入れた。転化及び分子量分析のために、試料を定期的に採取した。70℃の真空炉中で一定重量に乾燥することにより、重量測定により転化を測定した。SECの前に活性化塩基性アルミナのカラムに通すことにより、試料から触媒を除去した(図1参照)。
【0116】
【表1】

【0117】
スチレンの代表的重合。
CuBr(0.055g、0.38mmol)を、炉乾燥シュレンク管中に入れた。管にゴム隔壁を取り付けて、ドライNを排気し、流し込むことを3回行なった。スチレン(10mL、96mmol)を脱気した注射器を用いて管に移した。混合物を窒素下で迅速に撹拌し、4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジル(dNbpy)(0.314g、0.768mmol)を付加し、溶液に深赤色/褐色を付与した。開始剤1(0.035g、0.048mmol、0.192mmolの開始部位)を付加し、その結果生じた溶液を3回の凍結ポンプ解凍循環により脱気した。その結果生じた混合物を110℃の熱安定性制御油浴中に4.5時間入れた。SECの前に活性化塩基性アルミナのカラムに通すことにより、試料から触媒を除去した。
【0118】
開始剤6及び7に関する反応速度論試験。
転化及び分子量分析のために、脱気注射器を用いて定期的に試料を取り出し、液体窒素中で急冷した。Bruker DPX300でのNMRにより、転化を測定した。開始剤6により開始されたリビングラジカル重合に関しては、塩基性アルミナカラム上に試料を通して、次に0.22μmの疎水性フィルターを装備した注射器で濾過した後、分子量試験を実施した。開始剤7により開始されたLRPの場合、試料をTHFで希釈し、それを一晩放置して触媒残渣を沈殿させることにより、分子量を定量した。次に上部液を0.22μm疎水性フィルターで濾過した。N−ヒドロキシスクシンイミド官能化ポリマーに関しては、これらのポリマーは塩基性アルミナ上を通過することができないので、この方法を選択した。
【0119】
N−ベンジルアミド官能化ポリ(MMA)の合成
【0120】
無水THF中のN−ヒドロキシスクシンイミド末端ポリ(メチルメタクリレート)の溶液に、ベンジルアミンを付加した。N−ヒドロキシスクシンイミド末端ポリ(メチルメタクリレート)(M=3,200gmol−1、PDI=1.06)(1.00g、0.313mmol)及び3当量のベンジルアミン(0.100mL、0.938mmol)を乾燥シュレンク管中のドライTHF10mL中に溶解し、窒素下で50℃で3日間撹拌した。反応後、ポリマーを冷石油エーテル中で沈殿させた(図2参照)。
【0121】
これは、N−ベンジルアミド官能基が付加され、そしてこれを用いて、タンパク質中に見出される種類の遊離アミド基と反応させる、ということを示す。
【0122】
【化16】

【0123】
試薬。
使用前に30分間ドライ窒素でバブリングすることにより、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(M=約475、Aldrich、99%)及び無水トルエンを脱気した。上記と同様に、リガンドN−(n−プロピル)−2−ピリジルメタンイミンを調製した。ケラー(Keller)及びウィコフ(Wycoff)の方法を基礎にした方法により、必要に応じて臭化銅(I)(Avocado、98%)を精製した。その他の試薬は全ての市販製品であり、さらなる精製なしに用いた。
【0124】
代表的手順。
臭化銅(I)/N−(n−プロピル)−2−ピリジルメタンイミンで媒介させて、30℃で重合を実行した。代表的重合配合は、トルエン中の33%v/vモノマーをもとにする。開始剤/Cu(I)Br/リガンドの比は、モル比基準で1/1/2.1である。乾燥シュレンク管にCu(I)Br(0.3099g、2.16×10−3mol)、NHS−Br(1)(0.5704g、2.16×10−3mol)及び磁気棒を投入した後、窒素及び真空間を3回循環することにより酸素を除去した。次にフラスコにPEGMA(10ml、2.27×10−2mol)及びトルエン(20ml)を付加した。混合物を直ちに3回の凍結ポンプ解凍循環に付した。最後にN−(n−プロピル)−2−ピリジルメタンイミン(0.707ml、4.54×10−3mol)を付加し、フラスコを30℃に熱制御した油浴中に入れた。
【0125】
反応速度論試験。
転化及び分子量分析のために、脱気注射器を用いて定期的に試料を取り出し、液体窒素中で急冷した。Bruker DPX300MHzでのNMRにより、転化を測定した。試料をトルエンで希釈し、それを一晩放置して銅錯体を除去することにより、分子量を確定した。次に上部液を0.22μm疎水性フィルターで濾過した。塩基性アルミナカラム上をポリマーが通過するには困難が生じるため、この方法を選択した。5mmガードカラム、2つのPolymer Labs混合Eカラム、示差屈折率検出器及び自動試料採取器を装備した系で、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により、数平均分子量(M)を定量した。系を1mL/分の速度でTHFで溶離した。トルエンを流動マーカーとして用いた。
【0126】
精製。
ジエチルエーテル中のトルエン溶液からの2連続精製により、N−ヒドロキシスクシンイミド官能化ポリ(PEGMA)を精製した。
【0127】
【表2】

【0128】
参考文献。
(a)D.M. Haddleton, M.C. Crossman, B.H. Dana, D.J. Duncalf, A.M. Henning, D.
Kukulj and A.J. Shooter, Macromolecules, 1999, 32, 2110.
(b)R.N. Keller and W.D. Wycoff, Inorg. Synth., 1947, 2, 1.
【0129】
N−ヒドロキシスクシンイミド由来の開始剤を用いたメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(2080)の重合
30℃での80%トルエン溶液(AJ U2−27a)中の[PEG]/[I]/[Cu]/[L]=19.2/1/1/2
N−ヒドロキシスクシンイミド開始剤(0.05g、0.189mmol)、Cu(I
)Br(0.027g、0.189mmol、1当量)及びメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEG)(平均分子量=2,080、7.55g、3.63mmol)、並びに磁気ホロワをオーブン乾燥したシュレンク管中に入れた。シュレンク管にドライNを排気し、流し込むことを3回行なった。酸素が除去されたトルエン(28mL)をシュレンク管に付加した。その結果生じた溶液を3回の凍結ポンプ解凍サイクルにより脱酸素して、次に脱気N−エチル−2−ピリジルメタンイミン(0.05g、0.38mmol)を付加した。反応物を30℃(t=0)の熱安定制御油浴中に入れて、転化及び分子量分析のために定期的に試料を取り出した。H NMR分光分析により転化を追跡調査し、SECにより分子量分析を実施した。
【0130】
ジエチルエーテル(400mL)を激しく撹拌した溶液に反応溶液を滴下することにより、ポリマーを精製した。その結果生じた白色粉末を濾過し、トルエン(20mL)中に溶解し、ジエチルエーテル(400mL)中で沈殿させた。この手順を、3回反復した。
【0131】
【表3】

【0132】
水を全て除去するために、使用前にBisomer S20W(メトキシポリエチレングリコールメタクリレートの50%水溶液)を凍結乾燥した。
【0133】
50℃での80%トルエン溶液(AJ U2−27b)中の[PEG]/[I]/[Cu]/[L]=19.2/1/1/2
N−ヒドロキシスクシンイミド開始剤(0.05g、0.189mmol)、Cu(I)Br(0.027g、0.189mmol、1当量)及びメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEG)(平均分子量=2,080、7.55g、3.63mmol)、並びに磁気ホロワをオーブン乾燥したシュレンク管中に入れた。シュレンク管にドライ窒素を排気し、流し込むことを3回行なった。酸素を除去したトルエン(28mL)をシュレンク管に付加した。その結果生じた溶液を3回の凍結ポンプ解凍サイクルにより脱酸素して、次に脱気N−エチル−2−ピリジルメタンイミン(0.05g、0.38mmol)を付加した。反応物を50℃(t=0)の熱安定制御油浴中に入れて、転化及び分子量分析のために定期的に試料を取り出した。H NMR分光分析により転化を追跡調査し、SECにより分子量分析を実施した。
【0134】
ジエチルエーテル(400mL)を激しく撹拌した溶液に反応溶液を滴下することにより、ポリマーを精製した。その結果生じた白色粉末を濾過し、トルエン(20mL)中に溶解し、ジエチルエーテル(400mL)中で沈殿させた。この手順を、3回反復した。
【0135】
【表4】

【0136】
水を全て除去するために、使用前にBisomer S20W(メトキシポリエチレングリコールメタクリレートの50%水溶液)を凍結乾燥した。
【0137】
90℃での80%トルエン溶液(AJ U2−27c)中の[PEG]/[I]/[Cu]/[L]=19.2/1/1/2
N−ヒドロキシスクシンイミド開始剤(0.05g、0.189mmol)、Cu(I)Br(0.027g、0.189mmol、1当量)及びメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEG)(平均分子量=2,080、7.55g、3.63mmol)、並びに磁気ホロワをオーブン乾燥したシュレンク管中に入れた。シュレンク管にドライ窒素を排気し、流し込むことを3回行なった。酸素が除去されたトルエン(28mL)をシュレンク管に付加した。その結果生じた溶液を3回の凍結ポンプ解凍サイクルにより脱酸素して、次に脱気N−エチル−2−ピリジルメタンイミン(0.05g、0.38mmol)を付加した。反応物を90℃(t=0)の熱安定制御油浴中に入れて、転化及び分子量分析のために定期的に試料を取り出した。H NMR分光分析により転化を追跡調査し、SECにより分子量分析を実施した。
【0138】
ジエチルエーテル(400mL)を激しく撹拌した溶液に反応溶液を滴下することにより、ポリマーを精製した。その結果生じた白色粉末を濾過し、トルエン(20mL)中に溶解し、ジエチルエーテル(400mL)中で沈殿させた。この手順を、3回反復した。
【0139】
【表5】

【0140】
水を全て除去するために、使用前にBisomer S20W(メトキシポリエチレン
グリコールメタクリレートの50%水溶液)を凍結乾燥した。
【0141】
90℃での66%トルエン溶液(AJ U2−11)中の[PEG]/[I]/[Cu]/[L]=23.9/1/1/2
N−ヒドロキシスクシンイミド開始剤(2.5g、9.47mmol)、Cu(I)Br(1.35g、9.47mmol、1当量)及びメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEG)(平均分子量=628,142.0g、0.226mol)、並びに磁気ホロワをオーブン乾燥したシュレンク管中に入れた。シュレンク管に窒素で排気し、流し込むことを3回行なった。酸素が除去されたトルエン(261mL)をシュレンク管に付加した。その結果生じた溶液を3回の凍結ポンプ解凍サイクルにより脱酸素して、次に脱気N−プロピル−2−ピリジルメタンイミン(2.80g、0.019mol)を付加した。反応物を90℃(t=0)の熱安定制御油浴中に入れて、転化及び分子量分析のために定期的に試料を取り出した。H NMR分光分析により転化を追跡調査し、SECにより分子量分析を実施した。
【0142】
ジエチルエーテル(1,000mL)の激しく撹拌中の溶液に反応溶液を滴下することにより、ポリマーを精製した。その結果生じた油をジエチルエーテル(3×1,000mL)で洗浄した後、真空乾燥した。
【0143】
【表6】

【0144】
規定通りのBisomer MPEG550MAを用いた。
【0145】
N−ヒドロキシスクシンイミド由来開始剤を用いたメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(1080)の重合
90℃での66%トルエン溶液(AJ U2−13)中の[PEG]/[I]/[Cu]/[L]=13.9/1/1/2
N−ヒドロキシスクシンイミド開始剤(0.526g、1.99mmol)、Cu(I)Br(0.29g、2.02mmol、1当量)及びメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEG)(平均分子量=1,080、29.62g、0.027mol)、並びに磁気ホロワをオーブン乾燥したシュレンク管中に入れた。シュレンク管にドライ窒素を排気し、流し込むということを3回行なった。酸素が除去されたトルエン(60mL)をシュレンク管に付加した。その結果生じた溶液を3回の凍結ポンプ解凍サイクルにより脱酸素して、次に脱気N−エチル−2−ピリジルメタンイミン(0.51g、3.96mol)を付加した。反応物を90℃(t=0)の熱安定制御油浴中に入れて、転化及び分子量分析のために定期的に試料を取り出した。H NMR分光分析により転化を追跡調査し、SECにより分子量分析を実施した。
【0146】
ジエチルエーテル(1,000mL)の激しく撹拌中の溶液に反応溶液を滴下することにより、ポリマーを精製した。その結果生じた油をジエチルエーテル(3×1,000mL)で洗浄した後、真空乾燥した。
【0147】
【表7】

【0148】
90℃での66%トルエン溶液(AJ U2−15)中の[PEG]/[I]/[Cu]/[L]=9.3/1/1/2
N−ヒドロキシスクシンイミド開始剤(0.5g、1.89mmol)、Cu(I)Br(0.27g、1.89mmol、1当量)及びメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEG)(平均分子量=1,080、18.90g、0.018mol)、並びに磁気ホロワをオーブン乾燥したシュレンク管中に入れた。シュレンク管にドライ窒素を排気し、流し込むということを3回行なった。酸素が除去されたトルエン(35mL)をシュレンク管に付加した。その結果生じた溶液を3回の凍結ポンプ解凍サイクルにより脱酸素して、次に脱気N−エチル−2−ピリジルメタンイミン(0.51g、3.79mmol)を付加した。反応物を90℃(t=0)の熱安定制御油浴中に入れて、転化及び分子量分析のために定期的に試料を取り出した。H NMR分光分析により転化を追跡調査し、SECにより分子量分析を実施した。
【0149】
【表8】

【0150】
水を全て除去するために、使用前にBisomer S10W(メトキシポリエチレングリコールメタクリレートの50%水溶液)を凍結乾燥した。
【0151】
N−ヒドロキシスクシンイミド由来開始剤を用いたメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(628)の重合
30℃での66%トルエン溶液(AJ U2−31a)中の[PEG]/[I]/[Cu]/[L]=6.4/1/1/2
N−ヒドロキシスクシンイミド開始剤(0.5g、1.89mmol)、Cu(I)Br(0.27g、1.89mmol、1当量)及びメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEG)(平均分子量=628,7.57g、0.012mol)、並びに磁気ホロワをオーブン乾燥したシュレンク管中に入れた。シュレンク管にドライ窒素を排
気し、流し込むということを3回行なった。酸素が除去されたトルエン(14mL)をシュレンク管に付加した。その結果生じた溶液を3回の凍結ポンプ解凍サイクルにより脱酸素して、次に脱気N−エチル−2−ピリジルメタンイミン(0.51g、3.79mmol)を付加した。反応物を30℃(t=0)の熱安定制御油浴中に入れて、転化及び分子量分析のために定期的に試料を取り出した。H NMR分光分析により転化を追跡調査し、SECにより分子量分析を実施した。
【0152】
【表9】

【0153】
規定通りのBisomer MPEG550MAを用いた。
【0154】
50℃での66%トルエン溶液(AJ U2−31b)中の[PEG]/[I]/[Cu]/[L]=6.4/1/1/2
N−ヒドロキシスクシンイミド開始剤(0.5g、1.89mmol)、Cu(I)Br(0.27g、1.89mmol、1当量)及びメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEG)(平均分子量=628,7.57g、0.012mol)、並びに磁気ホロワをオーブン乾燥したシュレンク管中に入れた。シュレンク管にドライ窒素を排気し、流し込むということを3回行なった。酸素が除去されたトルエン(14mL)をシュレンク管に付加した。その結果生じた溶液を3回の凍結ポンプ解凍サイクルにより脱酸素して、次に脱気N−エチル−2−ピリジルメタンイミン(0.51g、3.79mmol)を付加した。反応物を50℃(t=0)の熱安定制御油浴中に入れて、転化及び分子量分析のために定期的に試料を取り出した。H NMR分光分析により転化を追跡調査し、SECにより分子量分析を実施した。
【0155】
【表10】

【0156】
規定通りのBisomer MPEG550MAを用いた。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)開始剤により開始されるメチルメタクリレートのLRP(リビングラジカル重合)に関する分子量分布及び高分子分散度の発生を示す。
【図2】NHS官能化ポリ(MMA)(実線曲線)並びに生成物(N−ベンジルアミド官能化ポリ(MMA)(破線曲線))に関するSEC曲線を示す。
【図3】NHS−Brにより開始されるPEGMAのLRPに関する一次反応速度論プロット、[PEGMA]/[CuBr]/[NHSBr]/[L]=10/1/1/2.1(30℃でトルエン(33%v/v)中)を示す。
【図4】NHS−Brにより開始されるPEGMAのLRPに関する分子量分布及び高分子分散度の発生、[PEGMA]/[CuBr]/[NHSBr]/[L]=10/1/1/2.1(30℃でトルエン(33%v/v)中)を示す。
【図5】開始剤1を用いて開始されるMPEG(395)MAのLRPに関する分子量分布及び高分子分散度の発生、[MPEG(395)MA]/[CuBr]/[NHSBr]=10/1/1/2(30℃でトルエン(50%v/v)中)を示す。
【図6】開始剤1(M=6,400g.mol−1、M/M=1.09)から調製されたNHSエステル官能化ポリ(MPEG(395)MA)のH NMRスペクトルの選択領域(2.7〜4.3ppm)を示す。
【図7】開始剤2を用いたMPEG(395)MAのLRPに関する一次反応速度論プロット、[MPEG(395)MA]/[CuBr]/[NHSBr]/[プロピルリガンド]=10/1/1/2(30℃でトルエン(50%v/v)中)を示す。
【図8】開始剤2を用いたMPEG(395)MAのLRPに関する分子量分布及び高分子分散度の発生、[MPEG(395)MA]/[CuBr]/[NHSBr]/[プロピルリガンド]=10/1/1/2(30℃でトルエン中)を示す。
【図9】開始剤8 MPEG(1000)MAのTMM−LRPに関する速度プロット、[モノマー]:[開始剤]:[CuCl]:[L]=5:1:2:2、T=70℃を示す。
【図10】開始剤8 MPEG(1000)MAに関する転化に対するMの依存関係、[モノマー]:[開始剤]:[CuCl]:[L]=5:1:1:2、T=70℃を示す。
【図11】開始剤8 MPEG(1000)MAのTMM−LRPに関する速度プロット、[モノマー]:[開始剤]:[CuBr]:[L]=20:1:1:2、T=50℃を示す。
【図12】開始剤8 MPEG(1000)MAのTMM−LRPに関する転化に対するMの依存関係、[モノマー]:[開始剤]:[CuBr]:[L]=20:1:1:2、T=50℃を示す。
【図13】開始剤10を用いたMPEG(395)MAのTMM−LRPに関する速度プロット、[モノマー]:[開始剤]:[CuBr]:[L]=6:1:1:2を示す。
【図14】開始剤10を用いたMPEG(395)MAのTMM−LRPに関する転化に対するMの依存関係、[モノマー]:[開始剤]:[CuBr]:[L]=6:1:1:2を示す。
【図15】開始剤10を用いたMPEG(395)MAのTMM−LRPに関する速度プロット、[モノマー]:[開始剤]:[CuBr]:[L]=28:1:1:2、T=40℃を示す。
【図16】開始剤10を用いたMPEG(395)MAのTMM−LRPに関する転化に対するMの依存関係、[モノマー]:[開始剤]:[CuBr]:[L]=6:1:1:2、T=40℃を示す。
【図17】開始剤10を用いたMPEG(395)MAのTMM−LRPに関する速度プロット、[モノマー]:[開始剤]:[CuBr]:[L]=28:1:1:2、T=60℃を示す。
【図18】開始剤10を用いたMPEG(395)MAのTMM−LRPに関する転化に対するMの依存関係、[モノマー]:[開始剤]:[CuBr]:[L]=6:1:1:2、T=60℃を示す。
【図19】オンラインH NMR実験:開始剤10を用いたMPEG(395)MAのTMM−LRPに関する速度プロット、[モノマー]:[開始剤]:[CuBr]:[L]=10:1:1:2、T=40℃を示す。
【図20】開始剤11を用いたMPEG(395)MAのTMM−LRPに関する速度プロット、[モノマー]:[開始剤]:[CuBr]:[L]=8:1:1:2、T=30℃を示す。
【図21】開始剤11を用いたMPEG(395)MAのTMM−LRPに関する転化に対するMの依存関係、[モノマー]:[開始剤]:[CuBr]:[L]=8:1:1:2、T=30℃を示す。
【図22】異なる緩衝液中で1により開始されるN−スクシンイミジル末端ポリ(MPEG(395)MA)の加水分解に関する反応速度論プロットを示す。
【図23】リゾチーム([ポリマー]/[リゾチーム]20:1)を伴う開始剤1(M=6,400g.mol−1、M/M=1.11)から調製されたスクシンイミド末端ポリ(MPEG(395)MA)の反応に関するHPLC追跡を示す。
【図24】開始剤1(M=6,400g.mol−1、M/M=1.11)(20当量)から調製されたスクシンイミド末端ポリ(MPEG(395)MA)とのリゾチームの接合に関するSDS−PAGEを示す。
【図25】リゾチーム([ポリマー]/[リゾチーム]5:1)を伴う開始剤1(M=6,400g.mol−1、M/M=1.11)から調製されたスクシンイミド末端ポリ(MPEG(395)MA)の反応に関するHPLC追跡を示す。
【図26】リゾチーム([ポリマー]/[リゾチーム]2:1)を伴う開始剤1(M=6,400g.mol−1、M/M=1.11)から調製されたスクシンイミド末端ポリ(MPEG(395)MA)の反応に関するHPLC追跡を示す。
【図27】開始剤1から調製されたスクシンイミド末端ポリ(MPEG(395)MA)を用いた異なる比率のポリマー/リゾチームを用いて得られたリゾチームの種々の接合体のHPLC追跡の比較を示す。
【図28】異なる緩衝液中で2により開始されたポリ(MPEG(395)MA)ポリマーのスクシンイミド末端基の加水分解に関する反応速度論プロットを示す。
【図29】NHSエステル官能化(開始剤2)ポリ(MPEG(395)MA)(M=2,700g.mol−1、M/M=1.12)のH NMRスペクトルを示す。
【図30】N−ベンジルアミド官能化ポリ(MPEG(395)MA)(M=2,800g.mol−1、M/M=1.15)のH NMRスペクトルを示す。
【図31】リゾチーム([ポリマー]/[リゾチーム]30:1)を伴う開始剤2(M=2,700g.mol−1、M/M=1.12)から調製されたポリ(MPEG(395)MA)の反応に関するHPLC追跡を示す。
【図32】異なる反応時間で、異なる比率のポリマー/タンパク質(a)5/1、ポリマー/タンパク質(b)10/1及びポリマー/タンパク質(c)30/1でリゾチームを用いた開始剤2から調製されたポリ(MPEG(395)MA)の接合に関するSDS−PAGEを示す。
【図33】アルデヒド末端ポリマー(M〜22,000、PDi 1.09)とのリゾチームの接合反応のSEC−HPLCクロマトグラフィーを示す。
【図34】逆ディールス・アルダー反応:(黒四角=「開始剤」及び黒三角=マレイミドシグナル)a)t=0;b)t=3.5h;c)t=7hを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
櫛形ポリマーの製造方法であって、
(a)
(i)線状、分枝状又は星形の、置換又は非置換の、且つ付加重合を受け得るオレフィン性不飽和部分を有する複数のモノマー、
(ii)均等開裂可能な結合を含む開始剤化合物、
(iii)前記モノマーの重合を触媒し得る触媒、
を準備する工程と、
(b)前記櫛形ポリマーを生成するために、前記開始剤と組合せて、前記触媒に前記複数のモノマーの重合を触媒させる工程と、を含み、
前記開始剤化合物(ii)が、前記櫛形ポリマーに結合したときに、生物学的物質と結合し得る部分を含むことを特徴とする、櫛形ポリマーの製造方法。
【請求項2】
(i)における前記モノマーがアルコキシポリエーテルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルコキシポリエーテルがポリ(アルキレングリコール)又はポリテトラヒドロフランであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記生物学的物質がタンパク質又はポリペプチドであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒がリビングラジカル重合又はリビングフリーラジカル重合による前記モノマーの重合を触媒し得ることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
遷移金属と成長中のポリマーラジカルとの間に直接結合が形成されないよう、δ−結合で前記遷移金属と配位結合し得る任意のN−、O−、P−又はS−含有化合物、又はπ−結合で前記遷移金属と配位結合し得る任意の炭素含有化合物であるリガンドを、前記触媒が含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が
Mが一形式酸化状態により酸化され得る遷移金属、特にCu、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Ru2+、Ru3+、Cr2+、Cr3+、Mo2+、Mo3+、W2+、W3+、Mn3+、Mn4+、Rh3+、Rh4+、Re2+、Re3+、Co、Co2+、V2+、V3+、Zn、Zn2+、Au、Au2+、Ag及びAg2+であり、Yは一価又は二価の対イオンである、第一化合物MYと、
窒素のうちの少なくとも1つが芳香族環の一部にないオルガノジイミンとを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒が次式で表される化合物:
[MLn+n−
(式中、Mは一形式酸化状態により酸化され得る遷移金属、特にCu、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Ru2+、Ru3+、Cr2+、Cr3+、Mo2+、Mo3+、W2+、W3+、Mn3+、Mn4+、Rh3+、Rh4+、Re2+、Re3+、Co、Co2+、V2+、V3+、Zn、Zn2+、Au、Au2+、Ag及びAg2+
Aは陰イオン、
nは1〜3の整数、
mは1〜2の整数、
Lは窒素のうちの少なくとも1つが芳香族環の一部にないオルガノジイミン)
を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記オレフィン性不飽和部分がアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、メチルアクリレート又はブタジエンのようなジエンであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリ(アルキレングリコール)がポリ(エチレングリコール)(PEG)又はポリ(プロピレングリコール)であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記モノマーのPEG部分の分子量が450〜20,000であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
チオエステル含有化合物又はキサンテートである開始剤を用いることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記開始剤がハロゲン原子との均等開裂可能な結合を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記開始剤化合物(ii)が
A−S−C(O)−R、A−S−C(S)−O−R、R−S−C(O)−A、R−S−C(S)−O−A(ここで、RはC〜C20の置換又は非置換の、直鎖、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキルである);
A−B−X;
【化1】

から選択されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記Aが、スクシンイミジルスクシネート、N−ヒドロキシスクシンイミド、スクシンイミジルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、トリアジン、ビニルスルホン、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド、トレシレート(tresylate)、ベンゾトリアゾールカルボネート、マレイミド、ピリジルスルフィド、ヨードアセトアミド及びスクシンイミジルカルボネートから選択されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記リンカーが、存在する場合、C〜C20の置換又は非置換の、直鎖、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキル基;−(CHZ)CH−、−CHZCH−、−(CHCHZ)R、−(CHCH(CH)Z)R、−(CH−C(O)−NH−(CH−、−(CH−NH−C(O)−(CH−、−
N(R)−;−S−;−N−R;又は−O−R(ここで、RはC〜C20の置換又は非置換の、直鎖、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキル、ZはO又はSであり、n、a、b及びcは独立して選択可能な1〜10の整数である)から選択されることを特徴とする、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
タンパク質又はポリペプチドと反応し得る前記部分が次式を有することを特徴とする、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【化2】

【請求項18】
前記開始剤(ii)が、次式を有することを特徴とする、請求項14〜17のいずれか
一項に記載の方法。
【化3】

【請求項19】
前記開始剤が、次式を有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【化4】

【請求項20】
前記オルガノジイミンが、
【化5】

(式中、R、R、R10、R11、R12及びR13は独立して選択可能であり、H、直鎖、分枝鎖又は環状の飽和アルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アリール、CHAr(ここで、Arはアリール又は置換アリールである)又はハロゲンから選択されてよく;
〜Rは独立して選択可能であり、H、直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アリール、CH、Ar、ハロゲン、OCH2n+1(ここで、nは1〜20の整数である)、NO、CN、O=CR(ここで、R=アルキル、アリール、置換アリール、ベンジルPhCH又は置換ベンジル)から選択さ
れてよい)
から選択されることを特徴とする、請求項7〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記オルガノジイミンが、N−(n−プロピル)−2−ピリジルメタンイミン(NMPI)、N−(n−エチル)−2−ピリジルメタンイミン又はN−エチル−2−ピリジルメタンイミンであることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記触媒がビピリジン基を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記触媒が4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジル(dNbpy)であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項1のパート(i)に記載された複数の異なるモノマーの使用を含むことを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
請求項1のパート(i)に記載されたモノマーと、1つ又は複数の異なるオレフィン性不飽和モノマーとのブロックコポリマーを生成する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ又は複数の異なるオレフィン性不飽和モノマーの付加の前に、前記請求項1のパート(i)に記載されたモノマーを含む前記櫛形ポリマーが、前記開始剤(ii)及び前記触媒(iii)で重合されることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1のパート(i)に記載されたモノマーの重合の前に、前記1つ又は複数の異なるオレフィン性不飽和モノマーが前記開始剤(ii)及び前記触媒(iii)で重合されることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記1つ又は複数の異なるオレフィン性不飽和モノマーが、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アクリレート、メタクリレート及びスチレンから選択されることを特徴とする、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記反応体が疎水性又は親水性溶媒中で反応されることを特徴とする、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記溶媒が水、プロピオニトリル、ヘキサン、ヘプタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、アニソール、アセトニトリル、ジフェニルエーテル、メチルイソブチレート、ブタン−2−オン、トルエン及びキシレンから選択されることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記重合反応が−20℃〜200℃で行なわれることを特徴とする、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記触媒が担持触媒であることを特徴とする、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
付加的重合を受け得る少なくとも1つの蛍光標識モノマーと共重合又はブロック重合する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記蛍光標識がクマリンであることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ポリマーに結合したとき、タンパク質又はポリペプチドと結合し得る部分を含む、リビングラジカル重合反応に用いられ得る開始剤化合物。
【請求項36】
A−S−C(O)−R、A−S−C(S)−O−R、R−S−C(O)−A、R−S−C(S)−O−A(ここで、RはC〜C20の置換又は非置換の、直鎖、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキルである);
A−B−X;
【化6】

から選択される式を有し、リビングラジカル重合反応に用いるための開始剤。
【請求項37】
前記Aがスクシンイミジルスクシネート、N−ヒドロキシスクシンイミド、スクシンイ
ミジルプロピオネート、スクシンイミジルブタノエート、プロピオンアルデヒド、アセトアルデヒド、トレシレート(tresylate)、ベンゾトリアゾールカルボネート、マレイミド、トリアジン、ビニルスルホン、ピリジルスルフィド、ヨードアセトアミド及びスクシンイミジルカルボネートから選択されることを特徴とする、請求項35又は36に記載の開始剤。
【請求項38】
リンカーが、存在する場合、C〜C20の置換又は非置換の、直鎖、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキル基;−(CHZ)CH−、−CHZCH−、−(CHCHZ)−R、−(CHCH(CH)Z)−R、−(CH−C(O)−NH−(CH−、−(CH−NH−C(O)−(CH−、−N(R)−;−S−;−N−R;又は−O−R(ここで、R=C〜C20の置換又は非置換の、直鎖、分枝鎖、環状、複素環式又は芳香族のアルキル、ZはO又はSであり、n、a、b及びcは独立して選択可能な1〜10の整数である)から選択されることを特徴とする、請求項35〜37のいずれか一項に記載の開始剤。
【請求項39】
タンパク質又はポリペプチドと反応し得る前記部分が次式を有することを特徴とする、請求項35〜38のいずれか一項に記載の開始剤。
【化7】

【請求項40】
前記開始剤が、次式を有することを特徴とする、請求項34〜39のいずれか一項に記載の開始剤。
【化8】

【請求項41】
前記開始剤が、次式を有することを特徴とする、請求項34〜40のいずれか一項に記載の開始剤。
【化9】

【請求項42】
請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法により得られる、タンパク質又はポリペプチドと結合し得る櫛形ポリマー。
【請求項43】
一般式:
A−(D)−(E)−(F)
(式中、Aは、存在しても存在しなくてもよく、タンパク質又はポリペプチドと結合し得る部分であり;
Dは、存在する場合、Eに記載されない1つ又は複数のオレフィン性不飽和モノマーの付加的重合により得られ;
Eは、線状、分枝状又は星形の置換又は非置換であり、且つオレフィン性不飽和部分を有する複数のモノマーの付加的重合により得られ;
Fは、存在する場合、Eに記載されない1つ又は複数のオレフィン性不飽和モノマーの付加的重合により得られ;
d及びfは0〜500の整数であり;
eは0〜1,000の整数)
を有する櫛形ポリマーであって、Aが存在する場合、D、E及びFのうちの少なくとも1つが存在することを特徴とする、櫛形ポリマー。
【請求項44】
前記Eがポリ(アルキレン)グリコール又はポリテトラヒドロフランであることを特徴とする、請求項43に記載の櫛形ポリマー。
【請求項45】
2,000〜80,000の平均分子量を有することを特徴とする、請求項42又は43に記載の櫛形ポリマー。
【請求項46】
蛍光標識されることを特徴とする、請求項42〜45のいずれか一項に記載の櫛形ポリマー。
【請求項47】
クマリンで蛍光標識されることを特徴とする、請求項46に記載の櫛形ポリマー。
【請求項48】
ポリマーを化合物に結合させる方法であって、請求項42〜47のいずれか一項に記載の櫛形ポリマーを前記化合物と反応させることを包含する方法。
【請求項49】
前記櫛形ポリマーに共有結合されたタンパク質、ポリペプチド、チオール、アミン及び/又はベンジルアミン含有化合物を生成するために、請求項42〜47のいずれか一項に記載の櫛形ポリマーとタンパク質、ポリペプチド、チオール、炭水化物、ジアミン及び/又はベンジルアミン含有化合物とを反応させて得られる化合物。
【請求項50】
タンパク質又はポリペプチド、チオール及び/又はベンジルアミン含有化合物であることを特徴とする、請求項48又は49に記載の化合物。
【請求項51】
生物学的に活性であることを特徴とする請求項48〜50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項52】
薬剤であることを特徴とする請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
薬学的に許容可能な担体と組合せた請求項49〜52のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項54】
癌化学療法薬、抗生物質、抗真菌剤及び/又は免疫抑制剤であることを特徴とする、請求項49〜53のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項55】
化学療法剤、抗生物質、抗真菌剤及び/又は免疫抑制剤として使用するための、請求項54に記載の化合物。
【請求項56】
化学療法剤、抗生物質、抗真菌剤及び/又は免疫抑制剤としての、請求項54に記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公表番号】特表2007−516302(P2007−516302A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516436(P2006−516436)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002608
【国際公開番号】WO2004/113394
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505469182)ワーウィック イフェクト ポリマーズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】