説明

ポリマーから一酸化窒素を放出するための、マイクロカプセルに封入されたプロトンドナーを含む装置、システム、およびその製造方法

NO溶出ポリマーを有する装置に関する。この装置は、水、体液、アルコールといったプロトンドナー(102)を内包するマイクロカプセル(101)を備え、この水、体液、アルコールは、マイクロカプセルが破壊された際、この装置からNOの溶出を開始する。更に、この装置を生産する方法も明らかにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、一酸化窒素(NO)溶出ポリマーを含む装置の分野に関し、ポリマーからのNOの溶出を促進し、開始するために結合液体を使用することを含む。さらに詳細には、本発明は、結合液体を有する前記NO溶出ポリマーを製造する装置、前記NO溶出ポリマーおよび結合液体を含むシステム、および、前記装置およびシステムを生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一酸化窒素(NO)は、多くの細胞機能を引き起こす極めて反応性の高い分子である。実際、一酸化窒素は、免疫系において重要な役割を果たしており、マクロファージによって、例えば、真菌類、ウィルス類、細菌類などのいくつかの病原体および一般に微生物の進入に対して自身を守るためにエフェクター分子として利用されている。この治癒向上の一部は、NOの血小板の活性化または凝集の抑制、さらには、NOのインプラント部位における炎症過程の緩和によってもたらされる。
【0003】
NOは、抗病原体作用、特に抗ウィルス作用を持つことでも知られ、さらに、NOは、治療濃度において細胞毒性、細胞静止性を持つので、抗癌作用を有する。すなわち、NOは、外にもいろいろの作用を持つ中でも、特に抗腫瘍および殺菌作用を有する。NOは、例えば、白血病またはリンパ腫患者から得られたヒトの血清学的に悪性の細胞に対して細胞傷害作用を持つ。そのため、NOは、それらの細胞が通常の抗癌剤に対して耐性を持つようになった場合であっても、このような血清学的障害の治療のための化学療法剤として使用が可能である。
【0004】
しかしながら、NOの半減期は短いので、ウィルス、細菌、ウィルス、真菌、または酵母感染をNOによって治療するのはこれまで極めて困難であった。これは、NOが実際に毒性を持つのは高濃度においてであるが、大量に投与した場合、生体に対し悪影響を及ぼすからである。
【0005】
さらに、実際には、NOは血管拡張因子であり、生体にNOが大量に導入されると、循環系の完全な崩壊を招く。一方、NOは、一旦放出されると、1秒の数分の1から数秒というごく短い半減期を持つ。したがって、NOの短い半減期および毒性による投与制限が、これまで抗病原体治療および抗癌治療の分野にNOを使用する際の制限要因となっていた。
【0006】
近年、水に接触すると窒素酸化物を放出することが可能となるポリマーに対し研究の関心が向けられている。このようなポリマーとして、例えば、L-PEI(直鎖ポリエチレンイミン)、およびB-PEI(分枝鎖ポリエチレンイミン)などのポリアルキレンイミンがある。これらのポリマーは、生体適合的であるという利点を有する。
【0007】
NO溶出ポリマーの他の例が、米国特許第5,770,645号に記載される。この特許には、ポリマーの1200原子量単位毎に少なくとも一つの-NOx基によって誘導体形成されるポリマーが開示される。前式においてXは1または2である。一つの例は、S-ニトロシル化ポリマーであり、遊離チオール基をニトロシル化するのに好適な条件下で、ポリチオール化されるポリマーを、ニトロシル化剤と反応させることによって調製される。
【0008】
アクロン大学は、生体に恒久的に埋め込まれるべき医学的装置、例えば、埋め込み移植片の表面でナノスピニングすることが可能なNO-溶出L-PEI分子を開発し、治癒過程の著明な改善、およびそのような装置を埋め込む際の炎症の緩和を示した。米国特許第6,737,447号によれば、直鎖ポリ(エチレンイミン)-ジアゼニウムジオレートから成るナノファイバーを用いることによって、医学装置のコーティングは酸化窒素輸送を実現する。直鎖ポリ(エチレンイミン)ジアゼニウムジオレートは、組織または器官に対し、調節的やり方で一酸化窒素(NO)を放出し、それによって治癒過程を支援し、損傷の危機にある組織を損傷から保護する。直鎖ポリ(エチレンイミン)ジアゼニウムジオレートのナノファイバーを電気的にスピニングすることによって、医学的装置の周囲の組織に対し治療レベルのNOが輸送され、一方、装置の性質の変化は最小に抑えられる。ナノファイバーコーティングは、サイズの小さいこと、および、ナノファイバーの単位質量当たりの表面積が大きいために、単位質量当たりの表面積が極めて大きくなる一方で、装置の他の性質における変化は最小に抑えられる。
【0009】
上記に従い医学的用途においてNO溶出ポリマーを使用する場合、前記ポリマーは、NOの溶出を開始し、促進するために、水の存在を必要とする。本発明者は、以前に、前記使用において水または水分を獲得する一つの方法は、前記NO溶出ポリマーの近傍に水バッグまたはスポンジを設置することであると示した。次に、この水バッグまたはスポンジを破って、ポリマーを水に接触させる。あるいはまた、医学的装置直下の皮膚から分泌される汗を使用してもよいし、医学的装置が治療部位に設置された後、前記医学的装置に水を与えてもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このアイデアは画期的であるが、水バッグまたはスポンジの使用にはいくつかの欠点がある。水バッグは、その医学的装置の使用者によって破損しやすいため、繊細である必要がある。この繊細性は、ある程度前記医学装置の輸送性や物流性を損なう。さらに、水バッグまたはスポンジは幾分嵩張るので、物流性および使用効力を損なう。分泌される汗の使用は、必ずしも全ての人が、治療される部位において十分なNOの溶出を実現させるほど十分に発汗するとは限らないという欠点を有する。人によって発汗量はまちまちであることは周知の事実である。さらに、十分な水および/または水分を獲得するのに、発汗による濡れを利用するのは、時間的に効果的なやり方ではない。なぜなら、汗の十分な分泌は、実現するのに若干の時間を要することがあるからである。
【0011】
以上から、NO溶出ポリマーを含む改良型のまたはより有利な装置では、NOの溶出を促進・開始するために結合液体として、例えば、水、または水含有液体の使用を含む装置が従来技術において求められている。前記液体は、従来技術に関連して前述された問題点を排除するやり方で、前記装置に結合されることが望ましく、またそうなれば有利であると考えられる。
【0012】
したがって、本発明は、特許請求の範囲に記載された装置、システム及びその製造方法により、上述した問題の少なくとも一つを解消し、単独で又は組み合わせることによる問題点、1又は2以上の上述した弊害を緩和し、軽減し、又は取り除く方法を研究することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、本発明者は、NO溶出ポリマーと、水などの液体または水含有液体の微小封入体とを組み合わせることが可能であることを発見した。
【0014】
現時点まで、NO溶出ポリマーとマイクロカプセル化水または水含有液体とを含む装置またはシステムを開発した人は誰もいない。
【0015】
液体のマイクロカプセル化の分野では、二つの方法、尿素ホルムアルデヒドおよびゼラチンカプセルが広く使われているが、これに限定されず、当業者であれば公知の他の技術を利用することができる。この技術分野におけるマイクロカプセルは、約8マイクロメートル程度まで小さくても良く、約2ミリメートル程度まで大きくても良い。このマイクロカプセルは、最大約85%の液体含量を保持してもよい。このタイプのマイクロカプセルでは、液体は、圧力、せん断力、または熱によってマイクロカプセルの被殻を物理的に破ることによって放出される。
【0016】
本発明の実施の形態によれば、NO溶出ポリマーとマイクロカプセル化水または水含有液体と、を含み、医学装置として使用されるように構成される装置が提供される。
【0017】
本発明の他の実施の形態によれば、NO溶出ポリマーとマイクロカプセル化水または水含有液体と、を含む装置が提供される。
【0018】
本発明の他の実施の形態によれば、このような装置の製造法、すなわち、複数の一酸化窒素溶出ポリマー粒子、例えば、ナノファイバー、ファイバー、ナノ粒子、またはマイクロ粒子を選択することと、前記一酸化窒素溶出粒子を展開することと、マイクロカプセル化水または水含有液体を前記ポリマー粒子に向けて展開することと、を含む製造法が提供される。
【0019】
本発明は、輸送性および物流性をより容易にし、使い勝手がよく、したがって嵩張らないやり方で、NOの溶出を開始し、促進する装置およびシステムを提供するという点で、少なくとも従来技術に優る利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面を用いて、本発明が可能とする上記および他の局面、特質、および利点説明する。本発明は、以下の実施の形態を説明することで、明白かつ明らかになる。
【0021】
下記の説明は、例えば、医学的応用のために構成される装置、およびシステムに対して適用される本発明の実施態様を重点的に述べる。しかしながら、本発明は、このような応用のみに限定されず、NOの溶出が求められる、他の、多くの技術分野に応用されてもよいことは言うまでもない。
【0022】
窒素一酸化物(NO)に関しては、その生理学的および薬理学的役割が、多くの注目を集めており、研究されてもいる。NOは、一酸化窒素シンターゼ(NOS)によってアルギニンを基質として合成される。NOSは、生体の正常状態においても存在する構成型酵素であるcNOS、および、ある刺激に反応して大量に生産される誘導型酵素であるiNOSに分類される。cNOSによって生産されるNOの濃度に比べ、iNOSによって生産されるNOの濃度は、2から3桁高いこと、および、iNOSは極端に大量のNOを生産することが知られる。
【0023】
iNOSによる生産の場合のように、大量のNOが生成される場合、NOは活性酸素と反応し、外来微生物および癌細胞を攻撃するのみならず、同時に炎症および組織傷害をもたらすことが知られる。一方、cNOSによる生産の場合のように、少量のNOが生成される場合では、NOは、サイクリックGMP(cGMP)を通じて、生体のために種々の保護活動、例えば、血管拡張作用、血液循環の改善、抗血小板凝集作用、抗菌作用、抗ウィルス作用、抗炎症作用、抗癌作用、消化管吸収の促進、腎機能調節、神経伝達作用、勃起(生殖)、学習、食欲などを担当すると考えられる。したがって、生体において大量に生成されるNOによるものと考えられる、炎症および組織傷害を防ぐ目的で、NOSの酵素活性阻害剤が調べられている。一方、NOSの酵素活性を増強し、NOを適切に生産することによって、生体に対する様々な保護的活動を発揮することを目的として、NOS(特に、cNOS)の酵素活性(または、発現量)を増進する方法については調べられていない。
【0024】
近年、水に接触すると、窒素酸化物を放出する能力を持つポリマーに研究の関心が向けられている。このようなポリマーとして、例えば、L-PEI(直鎖ポリエチレンイミン)、B-PEI(分枝鎖ポリエチレンイミン)、PEI-C(ポリエチレンイミンセルロース)などのポリアルキレンイミンがある。これらのポリマーは、生体適合性であるという利点を有する。もう一つの利点は、NOが、有害な副作用をもたらす可能性のある二次的産物を全く伴うことなく放出されることである。
【0025】
本発明において、「調節または制御」とは、様々な溶出プロフィールを実現するように一酸化窒素の溶出を変動させることができる可能性を意味する。
【0026】
O-ニトロシル化基を含むポリマーも、一酸化窒素溶出可能ポリマーである。したがって、本発明の一実施態様では、一酸化窒素溶出ポリマーは、ジアゾニウムジオレート基、S-ニトロシレートおよびO-ニトロシレート基、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0027】
本発明のさらに別の実施態様では、前記一酸化窒素溶出ポリマーは、例えば、L-PEI-NO(直鎖ポリ(エチレンイミン)ジアゼニウムジオレート)などのポリ(アルキレンイミン)ジアゼニウムジオレートである。前記一酸化窒素溶出ポリマーは、ジアゼニウムジオレート基を介して一酸化窒素を運搬され、治療部位において一酸化窒素を放出するように調整される。
【0028】
好適な一酸化窒素溶出ポリマーとしては、例えば、アミノセルロース、アミノデキストラン、キトサン、アミン化キトサン、ポリエチレンイミン、PEI-セルロース、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリウレタン、ポリ(ブタンジオールスペルメート)、ポリ(イミノカルボネート)、ポリペプチド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニール)、およびポリジメチルシロキサン、またはこれらの任意の組み合わせから成るグループから選ばれ、これらのポリマーは、不活性バックボーン、例えば、ポリサッカリド主鎖またはセルロース主鎖にグラフト接合される。
【0029】
本発明の他の実施態様では、一酸化窒素溶出ポリマーは、O-誘導体形成NONOエートである。この種のポリマーは、一酸化窒素の放出に酵素反応を必要とする。
【0030】
一酸化窒素溶出ポリマーとして好適な他のポリマーとしては、例えば、L-PEIのような二次アミン基(=N-H)を含むポリマーや、例えば、アミノセルロースのような側枝として二次アミン(=N-H)を含むポリマーがある。
【0031】
前述したように、一酸化窒素溶出ポリマーは、主鎖の中または側枝に二次アミンを含んでもよい。このようにしても、良好な、一酸化窒素溶出ポリマーが得られる。二次アミンは、一酸化窒素によって簡単に運搬されるように、強い陰性荷電を持っていなければならない。この二次アミンの近くに、例えば、窒素原子に隣接する原子、例えば、炭素原子に、窒素(N)よりも高い電気的陰性を持つリガンドが存在する場合、このポリマーに一酸化窒素を負荷することは極めて困難となる。一方、二次アミンの近くに、例えば、窒素原子に隣接する原子、例えば炭素原子に、電気的陽性のリガンドが存在する場合、アミンの電気的陰性は増すので、この一酸化窒素溶出ポリマーが一酸化窒素を運搬する可能が増す。
【0032】
本発明の他の実施態様では、一酸化窒素ポリマーは、塩によって安定化されてもよい。一酸化窒素溶出基、例えば、ジアゼニウムジオレート基は通常陰性であるので、この一酸化窒素溶出基を安定化するのに、陽性のカウンターイオン、例えば、陽イオンを用いてもよい。この陽イオンは、例えば、周期律表の1族または2族の任意の陽イオン、例えば、Na+、K+、Li+、Be2+、Ca2+、Mg2+、Ba2+、および/またはSr2+を含むグループから選ばれてもよい。同じ一酸化窒素溶出ポリマーの、異なる塩は、異なる性質を持つ。このようにして、異なる目的のために好適な塩(または陽イオン)を選んでもよい。陽イオン安定化ポリマーの例としては、L-PEI-NO-Na、すなわち、ナトリウムによって安定化したL-PEIジアゼニウムジオレート、および、L-PEI-NO-Ca、すなわち、カルシウムによって安定化したL-PEIジアゼニウムジオレートがある。
【0033】
一酸化窒素溶出ポリマーからの一酸化窒素溶出を調節及び制御するに当たって重要な三つの要因がある。プロトンドナーがいかに速やかに一酸化窒素溶出ポリマーの、例えば、ジアゾリウムジオレート基に接触するか、一酸化窒素溶出ポリマーを取り巻く環境の酸性度、および、一酸化窒素溶出ポリマーを取り巻く環境の温度(温度が高いほど、一酸化窒素の溶出が促進される)である。
【0034】
本発明の一実施態様では、一酸化窒素溶出ポリマー、例えば、L-PEI-NOは、一酸化窒素の溶出を遅らせる、または長引かせるために担体ポリマーと混ぜ合わされる。さらに、他の実施態様では、一酸化窒素溶出ポリマーは、溶出または放出が、特定の要求にぴったりとマッチするように、1個を超える担体ポリマーと混ぜ合わされる。このような要求は、例えば、一酸化窒素溶出ポリマーの環境が疎水性である、第1期間では低い溶出で、一酸化窒素溶出ポリマーの環境が変化してより親水性となった第2期間ではより速やかな溶出であってもよい。これは、例えば、生物分解性ポリマーを用いることによって実現してもよい。その場合、第1期間の低溶出が実現され、その後、疎水性ポリマーが溶解した後、親水性ポリマーが、より高い一酸化窒素の溶出を実現する。したがって、比較的疎水性の担体ポリマーが、比較的遅い一酸化窒素の溶出を実現する。なぜなら、例えば、水又は体液のような活性化プロトンドナーの担体ポリマーに対する浸透は比較的遅いからである。一方、親水性ポリマーの振る舞いは逆となる。親水性ポリマーの一例はポリエチレンオキシドであり、疎水性ポリマーの一例はポリスチレンである。これらの担体ポリマーは、一酸化窒素溶出ポリマーと混ぜ合わされて、適切なファイバーに対し電気回転させられてもよい。当業者であれば、同様の目的のために、他にどのようなポリマーの使用が可能であるかは明らかである。図9は、二つの異なるポリマー混合物における、二つの溶出プロフィール(NO濃度・対・時間)を示す。すなわち、酸性環境で親水性担体ポリマーと混ぜ合わせた一酸化窒素溶出ポリマー(A)、および、中性環境で疎水性担体ポリマーと混ぜ合わせた一酸化窒素溶出ポリマー(B)である。
【0035】
他の実施態様では、この担体ポリマーは、疎水性または親水性を有する別の材料によって置き換えられる。したがって、本明細書の文脈における「担体材料」という用語は、担体ポリマー、および、親水性または疎水性を有する他の材料を含むものと解釈しなければならない。
【0036】
本発明の他の実施態様では、一酸化窒素溶出ポリマー、例えば、L-PEI-NOからの一酸化窒素の溶出は、プロトンの存在によって影響される。このことは、より酸性度の高い環境であればあるほど、一酸化窒素がより速やかに溶出されることを意味する。一酸化窒素溶出ポリマー、または、一酸化窒素溶出ポリマーおよび担体材料の混合物を、酸性液体、例えば、アスコルビン酸溶液によって活性化することによって、一酸化窒素の溶出を促進してもよい。
【0037】
前述の担体ポリマーおよび担体材料は、一酸化窒素溶出の調節よりも他の特性に影響を及ぼすことがある。このような特性としては、例えば、機械的強度である。
【0038】
担体ポリマーまたは担体材料に関して言うと、本発明の全ての実施形態において、NO-溶出ポリマーは、これらの材料の任意のものの中又はその上のスピニングを通じて一体化されてもよい。このスピニングとしては、電気スピニング、空気スピニング、乾燥スピニング、ウェットスピニング、溶融スピニング、およびゲルスピニングが挙げられる。このようにして、指定の一酸化窒素溶出特性を持つ一酸化窒素溶出ポリマーと担体ポリマーまたは担体材料とを含むポリマー混合物のファイバーを製造してもよい。これらの特性は、異なる用途における異なる溶出プロフィールにぴったりマッチするように調整されてもよい。
【0039】
ポリマーは、電気スピニング、気体スピニング、空気スピニング、ウェットスピニング、乾燥スピニング、溶融スピニング、およびゲルスピニングによって製造されてもよい。電気スピニングとは、縣濁ポリマーが帯電されるプロセスである。ある特徴的電圧において、ポリマーの微粒子ジェットが、印加電場とジェットによって運ばれる電荷との相互作用によって生成される張力に反応して表面から放出される。このプロセスによって、ポリマーファイバー、例えば、ナノファイバーの束が生産される。このポリマーファイバーのジェット流を、治療すべき表面に向けてもよい。
【0040】
さらに、米国特許第6,382,526号、米国特許第6,520,425号、および米国特許第6,695,992号は、このようなポリマーファイバー生産方法及びその装置を開示する。これらの技術は、一般にガススピニングと呼ばれる技術に基づいている。このガススピニングは、ファイバー形成業界ではエアースピニングと呼ばれ、液体及び/又は溶液によるファイバー形成に有効である。
【0041】
NO溶出ポリマーの他の例が、米国特許第5,770,645号に記載される。この特許文献には、ポリマーの1200原子量単位当たり少なくとも一つの-NOX基を誘導体としてもつポリマーが開示される。前式においてXは1または2である。一つの例は、S-ニトロシレートポリマーで、これは、遊離チオール基をニトロシレートするのに好適な条件下で、ポリチオール化ポリマーを、ニトロシレート剤と反応させることによって調製される。
【0042】
アクロン大学は、恒久的に埋め込まれるべき医学的装置、例えば、埋め込み移植片の表面でナノスピニングすることが可能なNO-溶出L-PEI分子を開発し、治癒過程の著明な改善、およびそのような装置を植え込む際の炎症の緩和を示した。米国特許第6,737,447号によれば、直鎖ポリ(エチレンイミン)-ジアゼニウムジオレートから成るナノファイバーを用いることによって、医学装置のコーティングによる酸化窒素輸送が実現される。直鎖ポリ(エチレンイミン)ジアゼニウムジオレートは、調節的やり方で一酸化窒素(NO)を放出する。
【0043】
しかしながら、米国特許第6,737,447号の文脈における“controled”の意味は、一酸化窒素が、ある期間コーティングから溶出される、すなわち、一酸化窒素はいっぺんに全て溶出されるのではないという事実にのみ向けられている。したがって、米国特許第6,737,447号に関する“controled”の解釈は、本発明の「制御」の意味とは異なる。
【0044】
本発明の一実施態様では、図1に示すように、NO溶出ポリマーとして、例えば、L-PEI(直鎖ポリエチレンイミン)、B-PEI(分枝鎖ポリエチレンイミン)、PEI-C(ポリエチレンイミンセルロース)などのポリアルキレンイミンが提供され、および/または、例えば、水のようなマイクロカプセル化液体、または水含有液体と組み合わされる。図1は、シェル101、および封入液体102、例えば、水、または水含有液体を含むマイクロカプセル100を示す。
【0045】
このとき、従来技術に従って、先ず、水または水含有液体を含むマイクロカプセルを製造することによって実行してもよい。次に、これらのマイクロカプセルを、フィルム、テープ、外筒などの形状としてもよい。次に、フィルム、テープ、外筒などの形状を取るこれらのマイクロカプセルを、図6および図7に従って、NO溶出ポリマーの上に塗布する。図6は、NO溶出ポリマーと、マイクロカプセルのフィルムの平面図であり、図7は、図6の形態の断面図である。NO溶出ポリマーに対するマイクロカプセルの塗布は、例えば、接着やパターン接着で行ってもよいし、あるいは、前記マイクロカプセルの上にNO溶出ポリマーを回転させることによって行ってもよい。このようにして、NO溶出ポリマー、およびマイクロカプセル封入水、または水含有液体を含む装置またはシステムが製造される。前記装置は、パッチ、軟膏、美容処置用テープ;テープ、コンドーム、パッチ、口腔内の外傷または感染治療用シート;パッチ、ソックス、爪真菌症治療用コンドーム;パッチ、ソックス、テープ、神経障害、例えば、糖尿病神経障害、糖尿病潰瘍、血管収縮障害、および巨視的血管障害の治療および/または予防用シート;直腸障害、例えば、切れ痔、潰瘍、痔、および挙上筋痙攣などの障害の治療用コンドーム、シート、パッチ;胃および胃腸合併症、例えば、胃潰瘍の標的治療用装置;外傷処置用コンドーム/シース、テープ/コーティング、ファイバー、ナノ粒子、またはマイクロ粒子;感染予防および抗血栓作用実現装置;食材または食物;および、カテーテル、ヴェンフローンなどの挿入前に部位の前処置をするためのパッチ、などのグループから選ばれる任意の装置であってもよい。前記装置は、係属中の欧州特許出願第04029796.2;05006474.0;05002937.0;05002935.4;05002934.7;05002933.9;05006495.5;05006489.8;05011785.2;および05011786.0に言及される任意のものであってもよい。これらの係属中の欧州特許出願は、本発明者によって為された発明に基づく。なお、これら係属中の出願は、引用することにより本出願に参考文献として組み込まれる。
【0046】
もちろん、本発明の他の実施態様では、マイクロカプセルに含まれる液体は、他の、任意のプロトンドナーであってもよく、例えば、水、体液(血液、リンパ、胆汁など)、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、フェノール、ナフトール、ポリオールなど)、水性酸性バッファー(リン酸塩、コハク酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、ブチル酸塩、脂肪酸、アミノ酸など)、または、これらの任意の組み合わせ、または、前記NO溶出ポリマーからNOの溶出を開始・生成することが可能な他の任意の極性溶媒であってもよい。
【0047】
他の実施態様では、水と接触すると色を変える物質が装置の中に組み込まれる。したがって、水カプセル、または水バッグが破れると、物質は色を変え、該物質が活性化されることを示す。
【0048】
本発明の他の実施態様では、装置またはシステムは、一方向にのみNO-溶出するようにしてもよい。本実施態様では、装置の一側面は、一酸化窒素に対し低い浸透性しか持たず、またはほとんど浸透性を持たない。これは、本発明に従って装置の一側面にNOに対して不透の物質を塗布することによって実現される。このような物質は、普通のプラスチック、例えば、フルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニ−ル、ポリ乳酸、でん粉、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニールアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク系ポリマー、ゼラチン、生物分解性ポリマー、綿、およびラテックス、上記の任意の組み合わせを含むグループから選ばれてもよい。本実施形態は、製造も容易である。なぜなら、NO溶出ポリマー、例えば、L-PEI(または、下記に詳述する、一酸化窒素溶出ポリマーおよび担体ポリマー)や、上述のプラスチック、ラテックス、または綿から成る本発明の装置の表面に、電気または気体ジェットとしてスピニング塗布してもよいからである。
【0049】
さらに他の実施態様では、装置には、その第1側面に一酸化窒素に対して透過的な1枚の膜が、前記装置の第2側面には一酸化窒素に対して、低い透過性かまたはほとんど透過性を持たないもう1枚の膜が設けられる。この実施態様は、装置の第1側面の方から溶出するが、前記第2側面からの一酸化窒素の溶出は、実質的に阻止される。こうすることにより、より多量の一酸化窒素が、治療を意図する部位に達することが可能になる。
【0050】
一酸化窒素溶出ポリマーの活性化は、前記ポリマーを適切なプロトンドナーに接触させることによって実現してもよい。また、一実施態様では、プロトンドナーは、水、体液(血液、リンパ、胆汁など)、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、フェノール、ナフトール、ポリオールなど)、水性酸性バッファー(リン酸塩、コハク酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、ブチル酸塩、脂肪酸、アミノ酸など)、または、これらの任意の組み合わせを含むグループから選ばれてよいもよい。
【0051】
プロトンドナーに界面活性剤を加えることによって、装置の湿性を増大することが可能である。界面活性剤は表面張力を下げるので、活性化液は、簡単に装置全体に輸送される。
【0052】
本発明のもう他の実施態様は、一酸化窒素溶出ポリマー、または、一酸化窒素溶出ポリマーと担体材料の混合物を、吸収剤と混合するステップを含む。この実施態様は、一酸化窒素の溶出を加速するという利点を持つ。なぜなら、ポリマー又はポリマー混合物は、この吸収剤によって活性化流体である、例えば、水または体液をはるかに速やかに吸収するようになるからである。一実施例では、80%(w/w)吸収剤と、一酸化窒素溶出ポリマー又は、一酸化窒素溶出ポリマーと担体材料との混合物と、混合され、他の実施態様では、10から50%(w/w)の吸収剤と、一酸化窒素溶出ポリマー又は、一酸化窒素溶出ポリマーと担体材料との混合物と、混合される。
【0053】
一酸化窒素の溶出は水をはじめとするプロトンドナーによって活性化されるため、一酸化窒素溶出ポリマー又は、一酸化窒素溶出ポリマーと担体材料との混合物と、前記プロトンドナーとの接触を維持することは有利と考えられる。長期間の一酸化窒素の溶出を要求する場合、プロトンドナーと一酸化窒素溶出ポリマーとの、又は、一酸化窒素溶出ポリマーと担体材料の混合物との接触を維持する可能性を表示するシステムは有利である。したがって、本発明の他の実施態様では、一酸化窒素の溶出は、吸収剤を加えることによって調節してもよい。吸収剤は、水をはじめとするプロトンドナーを吸収し、長期間、プロトンドナーと一酸化窒素溶出ポリマーとの緊密な接触を維持する。前記吸収剤は、ポリアクリレート、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース、およびミクロ結晶セルロース、綿、およびでん粉を含むグループから選ばれてもよい。この吸収剤は、充填剤として使用されてもよい。この場合、前記充填剤は、一酸化窒素溶出ポリマー、または、前記一酸化窒素溶出ポリマーと担体材料との混合物に対し、所望の全体質感を与える。
【0054】
次に、装置又はシステムは、NOへの暴露が望まれる標的部位に当てられる。このような標的部位は、動物の器官、例えば、皮膚、粘膜などに局在していてもよいし、あるいは、上述した係属中の欧州特許出願に言及される、他の任意の部位であってもよい。
【0055】
装置またはシステムが、標的部位に当てられると、装置またはシステムは、圧迫または捻じ込まれる。前記圧迫または捻じ込みによって、マイクロカプセルが破壊される。このようにして、NO溶出ポリマーは、前記水又は水含有液体に暴露され、標的部位において、NO溶出ポリマーからのNOの溶出が開始される。
【0056】
本発明の他の実施態様では、マイクロカプセル内の液体は、マイクロカプセルが破裂するまで、該マイクロカプセルを加熱、またはせん断することによって放出される。
【0057】
前記ポリマーからのNOの溶出は、考えられる限りの任意の目的のために、例えば、抗菌作用および/または抗ウィルス作用、血管拡張作用、抗真菌作用などを実現するために使用してよい。
【0058】
本発明の他の実施態様では、水又は水含有液体を含むマイクロカプセルは、従来技術による方法で製造される。次に、このマイクロカプセルを、上記に従ってNO溶出ポリマーで覆う。マイクロカプセルの被覆は、例えば、図2に従って、水又は水含有液体を含むマイクロカプセルに対し、NO溶出ポリマーをスピニングすることによって実行される。図2において、NO溶出ポリマー103は、マイクロカプセル101を覆う。この組み合わせ粒子200を圧迫すると、あるいは、他の何らかのやり方で破裂させると、水をはじめとする液体又は水含有液体が、NO溶出ポリマー103と接触し、NOの溶出が開始される。粒子200は、例えば、図4に示すように、フィルム、シース、テープ状であってもよい。
【0059】
スピニングは、例えば、空気スピニング、電気スピニング、気体スピニング、ウェットスピニング、乾燥スピニング、溶融スピニング、およびゲルスピニングによって実行してもよい。このようにして、NO溶出ポリマーによって覆われるマイクロカプセルが製造されてもよい。
【0060】
本発明の他の実施態様では、NO溶出ポリマーは、他の好適な材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸、でん粉、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニールアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク系ポリマー、ゼラチン、生物分解性ポリマー、綿、およびラテックス、または、上記の任意の組み合わせと共に混ぜ合わされ、製造されてもよい。本実施態様の全てにおいて、NO-溶出ポリマーは、上記材料の内のいずれかと一体化されてもよいし、ともにスピニングされてもよいし、あるいは、その表面にスピニング塗布されてもよい。上記の実施態様において、NOの溶出は、例えば、溶出速度を下げることによって、混合材料によって調節される。
【0061】
本発明のある実施態様では、NO溶出ポリマーは、ナノ粒子、またはマイクロ粒子の形をとる。これらのナノ粒子又はマイクロ粒子は、紡糸されたポリマーファイバーを小部分に磨砕するか、または他の何らかの方法によって小部分に分割することによって、NO-溶出ポリマーから形成してもよい。
【0062】
装置またはシステムの別の実施態様では、前記装置またはシステムは、ポリウレタンまたはポリエチレンのテープ、またはコーティングの形で製造されてもよい。このポリウレタンのテープまたはコーティングは、治療される標的部位に簡単に巻きつけたり、当接させたりすることが可能である。少なくとも生体に直面する側面は、NO-溶出ポリマー、マイクロ粒子、又はNO-溶出ポリマーのナノフィラメントによって覆われてもよい。NO-溶出ナノ粒子、マイクロ粒子、又はNO-ポリマーのナノフィラメントの被覆は、次に、水又は水含有液体を含むマイクロカプセルによって覆われてもよい。マイクロカプセルが圧迫または捻じ込まれ、最終的にマイクロカプセルが破れ、マイクロカプセル内の水又は水含有液体が溢出する。このため、これらの粒子またはフィラメントが、マイクロカプセル内の水、水分又は水含有液体と接触すると、NO溶出ポリマーは、NOの溶出を開始する。
【0063】
本発明の他の実施態様では、装置またはシステムから得られる血液還流および血管拡張の増大は、活性成分を含む他の製剤と組み合わされると、改善作用をもたらす。このようにして、NOと、外傷治癒、抗菌性、抗炎症性、又は抗ウィルス性成分との相乗作用は、本発明の範囲内に含まれる。
【0064】
本実施態様に含まれる上述したファイバー、ナノ粒子又はマイクロ粒子は、L-PEI(直鎖ポリエチレンイミン)、B-PEI(分枝鎖ポリエチレンイミン)及びPEI-C(ポリエチレンイミンセルロース)をはじめとする本発明を構成するポリアルキレンイミンから形成されてもよく、これらのポリマーは生物分解性という利点を有する。ファイバー、ナノ粒子、またはマイクロ粒子は、適切なものであれば、任意の材料の中に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニ−ル、ポリ乳酸、でん粉、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニールアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク系ポリマー、ゼラチン、生物分解性ポリマー、綿、およびラテックス、又は上記の任意の組み合わせの中に封入されてもよい。本実施態様では、「封入」という用語は、三次元基質、例えば、泡、フィルム、ナノファイバーの不織マット、ファイバー、NO溶出ポリマーを固定させることが可能な他の材料、又は任意の好適な材料の中に一酸化窒素溶出ポリマーを封じ込めることが可能な他の材料の中に、一酸化窒素溶出ポリマーを固定することを意味する。したがって、本実施態様における「封入」という用語は、本発明の説明において使用される「マイクロカプセル化」、または「マイクロカプセル封入」という用語と混同してはならない。
【0065】
さらに他の実施態様では、NO溶出ポリマーから成るファイバー、ナノ粒子、又はマイクロ粒子は、図3に示すように、水又は水含有液体を含むミクロカプセルと混ぜ合わされる。同図において、NO溶出ポリマーのファイバー、ナノ粒子又はマイクロ粒子200が、マイクロカプセル100と混ぜ合わされる。次に、この混合物300は、担体材料、たとえば、ポリエチレン又は他の任意の適切な担体材料から成るテープの上に塗布される。このテープからパッチやシートなどが構築され、次に、これらのパッチやシートなどが、NOの溶出が望まれる標的部位に塗布される。ファイバー、ナノ粒子又はマイクロ粒子200、およびマイクロカプセル100の混合物から直接フィルムやテープなどを生産することも可能である。
【0066】
さらに他の実施態様では、図6および図7に示すように、水又は水含有液体を含むマイクロカプセルが加工されて、フィルム、テープ又はシース602の形状を取る。その後、NO溶出ポリマー601から成るフィルム、テープ又はシースが、水又は水含有液体を含むマイクロカプセルのフィルム、テープ又はシース602の上に糊付けされる。NO溶出ポリマー601のフィルム、テープ又はシースは、模様として、水又は水含有液体を含むマイクロカプセルのフィルム、テープ又はシースの上に糊付けされるのが好ましい。得られたパターンは、糊のない隙間を含むが、マイクロカプセルが圧迫または捻じ込みによって破れると、この隙間において、水又は水含有液体は、NO溶出ポリマーに輸送される。水又は水含有液体が、NO溶出ポリマーに接触すると、NOの溶出が始まる。したがって、水又は水含有液体を含むマイクロカプセルのフィルム、テープ又はシースと、NO溶出ポリマーの、この組み合わせを、図8に示すような標的部位に塗布してもよい。その後、この組み合わせ体が、圧迫又は捻じ込みされると、標的部位がNOに暴露されることになる。
【0067】
他の実施態様では、NO溶出ポリマーは、図5に示すように、水又は水含有液体を含むマイクロカプセルのフィルム、テープ又はシースの上に直接スピニング塗布される。図5において、NO溶出ポリマーのファイバー501は、マイクロカプセル100の上にスピニング塗布される。水又は水含有液体を含むマイクロカプセルのフィルム、テープ又はシースと、スピニング塗布されたNO溶出ポリマーとの組み合わせ体は、標的部位に塗布されてもよい。その後、この組み合わせ体が、圧迫又は捻じ込みされると、標的部位がNOに暴露されることになる。
【0068】
本発明の他の実施態様では、装置またはシステムに活性化インディケータが設けられる。この活性化インディケータは、マイクロカプセルが望みどおりに破れた時点、したがって、NO溶出ポリマーが有効量のNOを溶出するのに十分な水又は水含有液体に暴露される時点を示す。この活性化インディケータは、例えば、マイクロカプセル内に捕捉される水又は水含有液体を着色することによって実現してもよい。マイクロカプセルが破れると、着色された水又は水含有液体がマイクロカプセルを脱出し、NO溶出ポリマーを効果的に濡らす一方、その色により視覚化される。活性化インディケータを実現するもう一つのやり方は、製造時、マイクロカプセルの材料、または、前記マイクロカプセルの壁厚を、マイクロカプセルが破れた時に音を発するように選択することである。さらに、マイクロカプセルの中に含まれる水又は水含有液体の中に香料を混ぜることも可能である。これによって、装置またはシステムのユーザーは、マイクロカプセルの破裂後、水又は水を含む液体が該マイクロカプセルから脱出する際、その匂いを嗅ぐことが可能になる。さらに、放出されたNOは、この匂い感覚を、それ自体として増強してもよいし、あるいは、嗅覚器官に影響を及ぼすことによって、例えば、該器官の血管拡張をもたらすことによって共同作用的に増強してもよい。
【0069】
本発明の他の実施態様では、装置またはシステムは、一方向のNO-溶出しか認容しない。この種の実施態様では、本発明による装置の一側は、NOに対し非透過的である。これは、本発明による装置の一側に、NOに対し不透過な材料を適用することによって実現される。このような材料は、一般的プラスチック、例えば、ポリエチレンやポリウレタンなどを含むグループから選ばれてもよい。この実施態様は製造も容易である。なぜならば、L-PEIナノファイバーをはじめとするNO溶出ポリマー、前述のプラスチック、ラテックス又は綿から成る本発明による装置の表面上に電気または気体ジェットスピニングによって塗布すればよいためである。
【0070】
本発明のさらに他の実施態様では、NO-溶出装置またはシステムは、例えば製剤、ビタミン類、ニコチン又はニトログリセリンのような薬剤溶出パッチ、例えば、ジクロフェナック、イブプロフェン、アスピリン、ナプロキセン、COX-2阻害剤、コリンマグネシウムトリサリチレート、ジフルニサル、サルサレート、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、インドメタシン、スリンダック、トルメチン、メロキシカム、ピロキシカム、メクロフェナメート、メフェナミン酸、ナブメトン、エトダラック、ケトロラック、セレコキシブ、バルデコキシブ、およびロフェコキシブ;ステロイド類、例えば、コルチゾン、プレドニソン、メチルプレドニソロン、プレドニソロン、ビタミンD、エストロゲン、コレステロール、ベクロメタゾン、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、デソニド、クロベタソル、アルクロメタソル、デソキシメタゾン、ベータメタゾン、ハルシノニド及びデキサメタゾンのような非ステロイド系坑炎症材(NSAID)、例えば、モツリン、フェルデン、ナプロシン、リドカイン及びプリロカインのような鎮痛剤および、例えば、インディナビルスルフェート、フィナステリド、アプレピタント、モンテルカストナトリウム、アレンドトネートナトリウム、ロフェコキシブ、リザトリプタンベンゾエート、シンバスタチン、フィナステリド、エゼチミベ、カスポフンジンアセテート、エルタペネムナトリウム、ドルゾラミドヒドロクロリド、チモロールマレエート、ロサルタンカリウム及びヒドロクロロチアジドなどのその他の物質のためのブースターとして作動する。本実施態様は、顕著な効力を有する二つの治療体を、一つの治療体に組み合わせるという利点を有する装置を提供する。
【0071】
したがって、本装置またはシステムが、医学的応用として使用される場合、NOが前記装置またはシステムから溶出されると、相乗作用を実現することが可能である。組み合わせ化合物を有する装置が活性化される領域において、NOは、血管拡張作用を有する。血管拡張された組織は、ある種の薬剤に対しより感受性を帯び、したがって、その医学的製剤によってより容易に治療されるようになり、それに加えてさらに、NOは、抗炎症、抗菌作用を有する。したがって、予期しない、驚くべき効果的な治療が実現される。
【0072】
本装置またはシステムは、前記溶出ポリマーから治療用量の一酸化窒素(NO)を溶出する。本装置は、前記溶出ポリマーから、治療用量、例えば、0.001から5000 ppm、例えば、0.01から3000 ppm、例えば、0.1から1000 ppm、例えば、1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19,20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39,40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59,60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79,80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99、または100 ppmの用量の一酸化窒素(NO)を溶出する。この濃度は、濃度をどこで測定するかに応じて大きく変動してよい。濃度を、実際のNO溶出ポリマーの近くで測定する場合には、濃度は、数千ppmほど高い場合もあるが、一方、この場合、組織内部の濃度は、それよりもかなり低く、例えば、1から1000 ppmであることが多い。
【0073】
本発明の実施態様では、本発明による装置からのNO放出期間を制御または調節してもよい。これは、前記装置の中に他のポリマーまたは材料を組み込むことによって実現してもよい。これらのポリマーまたは材料は、適切であれば、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニ−ル、ポリ乳酸、でん粉、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニールアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク系ポリマー、ゼラチン、生物分解性ポリマー、綿、およびラテックスなどの任意の材料又はポリマー、若しくは上記の任意の組み合わせから選ばれてもよい。
【0074】
装置またはシステムのNO-溶出ポリマーは、水活性化銀などの銀を組み合わせてもよい。装置に対する銀の組み込みは、治癒過程に、さらに新たな相乗効果を加える。この銀は、銀イオンの形で装置から放出可能であることが好ましい。装置に対する銀の組み込みは、いくつかの利点を発揮する。そのような利点の一例として、一酸化窒素溶出ポリマーが、標的部位に対し治療用量の一酸化窒素を溶出する一方で、銀自身は、細菌またはウィルスの接近から装置を防止する点が挙げられる。
【0075】
装置またはシステムは、例えば、L-PEIやL-PEIを含んでもよく、L-PEIと組み合わせて配置させたその他のポリマーを電気スピニングすることによって製造してもよい。L-PEIは、ある特徴的電圧において帯電され、微細なL-PEIジェット流が、L-PEIポリマーファイバーの束を放出する。このポリマーファイバーのジェットを、治療される表面に向けてもよい。治療される表面は、例えば、適切なものであれば任意の材料であってよい。次に、前記材料に、L-PEIの電気スピニングされたファイバーが付着し、本発明による装置の上に、L-PEIのコーティング/層を形成する。
【0076】
もちろん、上記に従って、他のNO-溶出ポリマーを、本発明による装置の上に電気スピニングで塗布することも可能であり、このようにしても依然として本発明の範囲内にある。
【0077】
一実施態様では、純粋なNO-溶出ポリマーファイバーだけが得られるやり方で、NO-溶出ポリマーが電気スピニングされる。
【0078】
NO-溶出ポリマーを、他の適切な、一つのパリマー/複数のポリマーと共に電気スピニングすることも本発明の範囲内にある。
【0079】
マイクロカプセル封入水または水含有液体から成るフィルム、マイクロカプセル封入水および水含有液体と、任意の適切なNO-溶出ポリマー又は非NO溶出ポリマーとの組み合わせ体から成るフィルムに対し、前記NO-溶出ポリマーを、気流スピニング、乾燥スピニング、ウェットスピニング、溶融スピニング、ゲルスピニング、または空気スピニング塗布することも、本発明の技術的範囲内に含まれる。
【0080】
この製造工程は、NO-溶出ポリマーファイバーの、NO溶出ポリマーによって覆われるべき面積との接触表面が大きくなること、NO-溶出ポリマーの効果的使用、および、装置またはシステムのコスト効率的な生産法という利点を提示する。
【0081】
以後、本発明について、その可能な他の実施例を述べる。
【0082】
前記治療とマイクロカプセルとを使用する際に治療容量の窒素酸化物(NO)を溶出し、液体を含むプロトンドナーを有し、水又は水を含有する液体を有し、前記NO溶出ポリマーと接触する液体を有する前記プロトンドナーを配置するための前記マイクロカプセルを破壊するための窒素酸化物(NO)溶出ポリマーを備え、前記ポリマーの使用する際に、治療量の一酸化窒素を前記一酸化窒素溶出ポリマーから前記治療部位に溶出することで窒素酸化物(NO)を溶出する際に、前記器官を窒素酸化物(NO)に露出する、装置又はシステムへの適用を含む動物の器官を治療する方法。
【0083】
少なくとも一箇所の傷を有する前記部位は、例えば人のような動物の体の頭部、顔面、頸部、肩、背中、腕、手、胃、生殖器、大腿、脚、または足であり、装置の適用を含む前記方法は、前記頭部、顔面、頸部、肩、背中、腕、手、胃、生殖器、大腿、脚、または足に前記露出を適用する上記による方法。
【0084】
器官の少なくとも一部を治療的に処置および/または予防するための治療用量として一酸化窒素(NO)を用いる使用。
【0085】
本発明は、適切であれば、どのような形状で実現されてもよい。本発明による実施態様の要素および成分は、適切であればどのようなやり方で物理的、機能的、および論理的に実施されてもよい。実際、機能性は、単一ユニット、複数ユニット、または、他の機能的ユニットの一部として実現してもよい。
【0086】
本発明は、上に、特定の実施態様を参照しながら説明されてきたわけであるが、本発明は、本明細書に記載される特定の形状に限定されるものではない。むしろ本発明は、特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるもので、上記特定例以外の他の実施態様も、本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0087】
その特許請求項において、「含む/含んでいる」とは、他の要素または工程の存在を排除するものではない。さらに、個別に列挙される場合でも、複数の手段、要素、または方法工程を実施することが可能である。さらに、個別の特質が異なる請求項に含まれるが、これらは、組み合わされると有利となる可能性があり、これらが異なる請求項に含まれることは、これらの特質の組み合わせが実行不可能および/または不利であることを意味するものではない。さらに、単数の言及は、複数を排除するものではない。「ある」、「一つの」、「第1」、「第2」などの用語は、複数を排除するものではない。特許請求項における参照符号は、単に、実施例の明示のために提供されるものであって、いかなる意味でもこれら請求項の範囲を限定するものと考えてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、本発明の実施態様によるマイクロカプセルの図である。
【図2】図2は、本発明の実施態様による、NO溶出ポリマーによって覆われたマイクロカプセルの図である。
【図3】図3は、本発明の実施態様による、マイクロカプセル、およびナノ粒子またはマイクロ粒子との混合物の図である。
【図4】図4は、本発明の実施態様による、例えば、フィルム形状の、複数のマイクロカプセルの図である。
【図5】図5は、本発明の実施態様による、マイクロカプセルにスピニング塗布されたNO溶出ポリマーの図である。
【図6】図6は、マイクロカプセルのフィルムと組み合わされた、NO溶出ポリマーフィルムの平面図である。
【図7】図7は、マイクロカプセルのフィルムと組み合わされた、NO溶出ポリマーフィルムの断面図である。
【図8】図8は、標的部位に塗布された、図6および7によるフィルムの組み合わせ体の図である。
【図9】図9は、一酸化窒素溶出ポリマーおよび担体材料から成る、二つの異なるポリマー混合物における、二つの溶出プロフィール(NO濃度・対・時間)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトンドナーとNO溶出ポリマーとが接触すると、前記NO溶出ポリマーから一酸化窒素(NO)を溶出するように構成されるNO溶出ポリマーを含む装置であって、
前記装置には、前記接触のために構成されるプロトンドナーを有し、
前記プロトンドナーは、マイクロカプセルの中にマイクロカプセル化され、
前記プロトンドナーを含む前記マイクロカプセルは、前記マイクロカプセルの破裂後、前記プロトンドナーの少なくとも一部が放出されるように調整され、
前記プロトンドナーが、前記破裂後に放出されたとき、前記NO溶出ポリマーに少なくとも部分的に接触し、それによって、前記NO溶出ポリマーからNOの溶出が開始されるように、前記マイクロカプセルが調整される、
前記装置。
【請求項2】
前記一酸化窒素(NO)溶出ポリマーは、ジアゼニウムジオレート基、S-ニトロシレート基、O-ニトロシレート基、又はそれらの任意の組み合わせである、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記一酸化窒素(NO)溶出ポリマーは、ジアゼニウムジオレート基、S-ニトロシレート基、またはO-ニトロシレート基、またはそれらの任意の組み合わせを介して一酸化窒素(NO)が負荷されるL-PEI(直鎖ポリエチレンイミン)である、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記一酸化窒素溶出ポリマーは、アミノセルロース、アミノデキストラン、キトサン、アミノ化キトサン、ポリエチレンイミン、PEI-セルロース、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリウレタン、ポリ(ブタンジオールスペルメート)、ポリ(イミノカルボネート)、ポリペプチド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニ−ル)、ポリジメチルシロキサン、またはこれらの任意の組み合わせより成るグループから選ばれ、
前記ポリマーは、不活性主鎖、例えば、ポリサッカリド主鎖又はセルロース主鎖のような不活性主鎖にグラフト重合している、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記プロトンドナーは、水、血液、リンパ、胆汁、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、フェノール、ナフトール、ポリオール、リン酸、コハク酸、炭酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、ブチル酸、脂肪酸、アミノ酸、又はこれらの任意の組み合わせよりなる群から選ばれる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記マイクロカプセル化液体は、ホルムアルデヒドおよびゼラチンマイクロカプセルの中にマイクロカプセル化される、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記NO溶出ポリマーは、前記マイクロカプセルの中に前記液体がマイクロカプセル化されるフィルム上でスピンされる、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記NO溶出ポリマーは、前記プロトンドナーを含む前記マイクロカプセルを混ぜたものである、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
NOを溶出するように構成される前記NO溶出ポリマーは、ファイバー、ナノ粒子および/またはマイクロ粒子で形成される、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記NO溶出ポリマーは、フィルム、シート又はテープ状であり、フィルム、シート又はテープ上に前記マイクロカプセル内にマイクロカプセル化されている前記プロトンドナーを有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記一酸化窒素溶出ポリマーは、主鎖又は側鎖に第2アミンを有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第2アミンは、該第2アミンの隣接炭素原子に陽性リガンドを有する、
請求項16に記載の装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置であって、
吸収剤を含む、装置。
【請求項14】
前記吸収剤は、ポリアクリレート、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ミクロ結晶セルロース、綿、またはでん粉、またはそれらの任意の組み合わせよりなる群から選ばれる、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
請求項1又は13に記載の装置であって、
一酸化窒素溶出ポリマーを安定化する陽イオンを含む装置。
【請求項16】
前記陽イオンは、Na+、K+、Li+、Be2+、Ca2+、Mg2+、Ba2+および/またはSr2+、またはそれらの任意の組み合わせよりなる群から選ばれる、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記接着は、接着剤により接着されるものである、
請求項8に記載の装置。
【請求項18】
前記接着剤は、前記マイクロカプセルの破裂後、該マイクロカプセル内の液体が前記NO溶出ポリマーと接触するようなパターンとして塗布されている、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、活性型インディケータにより供給される、
請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記活性型インディケータは、色、匂いおよび/または音によるインディケータである、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
プロトンドナーと一酸化窒素(NO)溶出ポリマーとが接触するとNOが溶出するNO溶出ポリマーを備え、
前記プロトンドナーは、マイクロカプセルにマイクロカプセル化され、該マイクロカプセルが壊れた後、NO溶出ポリマーからNOの溶出が始まるように構成される、
医学治療用装置に使用されるよう構成されたシステム。
【請求項22】
前記NO溶出ポリマーは、ジアゼニウムジオレート基、S-ニトロシレート基、O-ニトロシレート基、又はそれらの任意の組み合わせである、
請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記一酸化窒素(NO)溶出ポリマーは、ジアゼニウムジオレート基、S-ニトロシレート基、またはO-ニトロシレート基、またはそれらの任意の組み合わせを介して一酸化窒素(NO)を負荷されるL-PEI(直鎖ポリエチレンイミン)である、
請求項21又は22に記載のシステム。
【請求項24】
前記プロトンドナーは、水、血液、リンパ、胆汁、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、フェノール、ナフトール、ポリオール、リン酸、コハク酸、炭酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、ブチル酸、脂肪酸、およびアミノ酸、又はこれらの任意の組み合わせよりなる群から選ばれる、
請求項21、22、又は23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記マイクロカプセル化プロトンドナーは、ホルムアルデヒドおよびゼラチンマイクロカプセルの中にマイクロカプセル化される、
請求項21〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記NO溶出ポリマーは、ファイバー、ナノ粒子、および/またはマイクロ粒子で形成される、
請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記装置は、活性型インディケータが供給される、
請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
前記活性型インディケータは、色、匂い、および/または音による、
請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
ナノファイバー、ナノ粒子、又はマイクロ粒子を含む複数のNO溶出粒子重合体を選択するステップと、
前記装置を形成するために、プロトンドナーをマイクロカプセル化されたマイクロカプセルを少なくとも一つ含むNO溶出粒子を配置するステップと、
を含み、
前記配置は、前記粒子の電気、空気、気流、乾燥、湿気、溶融、またはゲルスピニングである、
請求項1に記載の装置を生産する方法。
【請求項30】
治療用量の一酸化窒素(NO)を溶出する一酸化窒素(NO)溶出ポリマーを選択するステップと、
前記治療用量の一酸化窒素(NO)の溶出を調節および制御する担体材料を選択するステップと、
前記装置で使用する際、前記担体材料が前記治療容量の一酸化窒素(NO)の溶出を調節及び制御するように、NO溶出材料を含む前記担体材料を有するNO溶出ポリマーを組み込むステップと、
前記一酸化窒素溶出材料を適切な形状又は担体の表面を覆うように配置し、前記NO溶出ポリマーが一酸化窒素(NO)を溶出するとき、使用時に前記装置が治療標的部位を前記一酸化窒素(NO)に露出するように前記装置の少なくとも一部を形成するステップと、
を含む、請求項29に記載の装置を生産する方法。
【請求項31】
前記一酸化窒素(NO)溶出ポリマーを選択するステップは、複数の一酸化窒素(NO)溶出粒子重合体、好ましくは、ナノファイバー、ナノ粒子、またはマイクロ粒子を選択するステップである、
請求項30に記載の装置を生産する方法。
【請求項32】
前記担体材料を有する前記NO溶出ポリマーを組み込むステップは、前記装置の一酸化窒素溶出特性を予め定めるために、該NO溶出ポリマーと該担体材料を一体化し、該担体材料内の該NO溶出ポリマーが該担体材料と共にスピニングし、又は該担体材料の上でスピニングする、
請求項30又は31に記載の装置を生産する方法。
【請求項33】
請求項29に記載の装置を生産する方法であって、
前記装置に銀を一体化させるステップを含む、
装置を生産する方法。
【請求項34】
請求項29に記載の装置を生産する方法であって、
前記一酸化窒素(NO)溶出ポリマーを配置する前に、前記マイクロカプセル内に前記プロトンドナーをマイクロカプセル化するステップを含む、
装置を生産する方法。
【請求項35】
前記適用は、パターン接着又は前記マイクロカプセルの上にNO溶出ポリマーのスピニングである、
請求項29に記載の装置を生産する方法。
【請求項36】
前記マイクロカプセルを第1フィルム、テープ又は外筒のいずれかの形状に形成するステップを含む請求項29に記載された装置の製造方法であって、
前記NO溶出ポリマー有する第2フィルム、テープ又は外筒のいずれかの形状に形成するステップと、
第1フィルム、テープ又は外筒のいずれかの形状のマイクロカプセルと前記NO溶出ポリマーを有する前記第2フィルム、テープ又は外筒とを接着するステップと、
を含む装置を生産する方法。
【請求項37】
前記接着するステップは、接着の無い領域を有するパターンでの接着である、
請求項36に記載の装置を生産する方法。
【請求項38】
マイクロカプセルを第1フィルム、テープ又は外筒のいずれかの形状に形成するステップと、
プロトンドナーを含み、前記フィルム、テープ又は外筒のいずれかの形状のマイクロカプセルの上のNO溶出ポリマーを含む材料を直接スピニングするステップと、
を含む、請求項29に記載の装置を生産する方法。
【請求項39】
請求項29に記載の装置を生産する方法であって、
マイクロカプセルが破れ、NO溶出ポリマーが前記プロトンドナーに暴露されてNOを溶出する時を示す活性型インディケータを提供するステップと、
を含む装置を生産する方法。
【請求項40】
前記活性型インディケータを提供するステップは、マイクロカプセル内に着色剤を提供するステップである、
請求項39に記載の装置の生産方法。
【請求項41】
前記活性型インディケータを提供するステップは、マイクロカプセルが破裂する際に音をたてるように、前記マイクロカプセルの材料を選択するか又は前記マイクロカプセルの壁厚を選択するステップである、
請求項39に記載の装置の生産方法。
【請求項42】
前記活性型インディケータを提供するステップは、前記マイクロカプセルの中に匂い物質を混ぜ込むステップである、
請求項39に記載の装置の生産方法。
【請求項43】
前記活性型インディケータを提供するステップは、プロトンドナーと接触すると色を変える物質を提供するステップである、
請求項39に記載の装置の生産方法。
【請求項44】
前記プロトンドナーを有するマイクロカプセルの近傍に前記NO溶出ポリマーを調整するステップと、
前記NO溶出ポリマーと前記プロトンドナーとを接触させるために、前記マイクロカプセルを破裂させることで前記プロトンドナーを放出するステップと、
を含む、プロトンドナーと接触すると一酸化窒素(NO)を溶出するNO溶出ポリマーから一酸化窒素(NO)の溶出を活性化する方法。
【請求項45】
前記破裂は、圧迫、せん断又は熱によって実行される、
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記治療とマイクロカプセルとを使用する際に治療容量の窒素酸化物(NO)を溶出し、液体を含むプロトンドナーを有し、水又は水を含有する液体を有し、前記NO溶出ポリマーと接触する液体を有する前記プロトンドナーを配置するための前記マイクロカプセルを破壊するための窒素酸化物(NO)溶出ポリマーを備え、
前記ポリマーの使用する際に、治療量の一酸化窒素を前記一酸化窒素溶出ポリマーから前記治療部位に溶出することで窒素酸化物(NO)を溶出する際に、前記器官を窒素酸化物(NO)に露出する、
装置又はシステムへの適用を含む動物の器官を治療する方法。
【請求項47】
少なくとも一箇所の傷を有する前記部位は、例えば人のような動物の体の頭部、顔面、頸部、肩、背中、腕、手、胃、生殖器、大腿、脚、または足であり、
装置の適用を含む前記方法は、前記頭部、顔面、頸部、肩、背中、腕、手、胃、生殖器、大腿、脚、または足に前記露出を適用する、
請求項46に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−514792(P2009−514792A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527405(P2008−527405)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050902
【国際公開番号】WO2007/023005
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(507271798)ノーラブズ エービー (11)
【Fターム(参考)】