説明

ポリマーを使用して粘度付与したヒドロアルコール組成物

【課題】術前手消毒用配合物およびローションとして有用な皮膚消毒用製品を提供する。
【解決手段】(a)低級アルコールおよび水を少なくとも約50:50の重量比で含むヒドロアルコール溶剤系と、(b)環境温で固体である少なくとも1種の陽イオンポリマー粘度付与剤を含む粘度付与剤系であって、組成物が23℃で少なくとも約10,000センチポアズの粘度を有するように陽イオン粘度付与剤が選択され、組成物の総重量を基準にして少なくとも約0.5重量%の量で粘度付与剤系が存在する、粘度付与剤系と、(c)二次的な抗菌薬とを含む、抗菌性ヒドロアルコール組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用手消毒配合物および抗菌性ハンドローションとして有用な組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、非イオンポリマーまたは陽イオンポリマーを使用して粘度付与した安定なヒドロアルコール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
院内感染および感染症への曝露を管理することは、病院および外科センターで働く医師、看護婦および臨床医にとって最高の関心事である。感染を抑制する最も有効な方法の1つは、各患者との接触前およびできる限り接触後および特に各外科手技の前後の、厳格に管理された手の消毒である。手の消毒は、一般に抗菌性石鹸と水を使用して行われる。通常、これらの石鹸は、有効な抗菌薬としてポビドンヨード(通常は7.5重量%)かクロルヘキシジンジグルコネート(CHG)(通常は2重量%または4重量%)のいずれかを含むように配合される。さらに、こうした配合石鹸は界面活性剤および低レベルの保湿剤(たとえば、グリセリン)を含んでもよい。
【0003】
また、手の消毒は、術前洗浄用代替品を使用して行われる。これらは、石鹸と水洗いの代わりに使用される。術前洗浄用代替品は、伝統的な石鹸および水洗いと同等以上の殺菌を、より短時間で理想的に達成する。さらに、術前洗浄用代替品は、細菌汚染および化学汚染に対する皮膚の天然バリヤーを維持または改善すると同時に、許容できる触質性を提供する。術前洗浄用代替品の例としては、一般に高レベルのエタノールまたはイソプロパノールを消毒薬として含み、粘度付与剤および場合に応じて保湿剤(たとえば、グリセリン)も含むヒドロアルコールゲルなどがある。
【0004】
今日まで、ヒドロアルコールゲルに使用される粘度付与剤は、主としてポリアクリル酸(BF Goodrich Specialty Polymers and Chemicals Division of Cleveland,Ohioによって「CARBOPOL」の商品名で販売されている)などの陰イオンポリマーを主成分としていた(たとえば、米国特許第4,956,170号(Lee)および第5,167,950号(Lins)参照)。一般に、これらの組成物は、クロルヘキシジングルコネートなどの陽イオン化合物と不相溶性である。その上、使用されている陰イオンポリマー粘度付与剤および陽イオンポリマー粘度付与剤に関する報告も少ない。たとえば、米国特許第4,478,853号(Chausee)および国際公告WO93/007903号(Deckner)を参照されたい。これらのヒドロアルコール組成物は、比較的低レベルのアルコールを含み、一般に、急速且つ有効な抗菌活性を提供するには低すぎる。
【0005】
米国特許第(Khan)には、非イオンポリマー系および陽イオンポリマー系の皮膚軟化薬および保湿剤が混合されているヒドロアルコール拭取り用組成物が開示されている。これらの組成物は粘度が非常に低く、ローションとして使用するにはあまりにも低粘度である。米国特許第4,915,934号(Tomlinson)および第4,981,698号(Tomlinson)は、ポリグリセロールやポリビニルピロリドンなどの低分子量ポリマー皮膚軟化薬が混合されているヒドロアルコール殺菌組成物を提供している。こうしたポリマーは、ヒドロアルコールローションにおいて十分な粘度付与を提供しない。
【0006】
別のヒドロアルコール系では、米国特許出願番号第08/493,714号および第08/493,695号(両者とも1995年6月22日に提出され、3M Companyに譲渡された)に記載されているもののような、非イオン、陰イオン、陽イオン、または両性イオンの乳化剤が、広範囲のアルコール濃度用の粘度付与剤として使用される。これらの系は極めて望ましいものの、たとえば、抗菌性ローションとして有用な、他の高粘度ヒドロアルコール組成物が依然として必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、好ましくは、明白な残留物を全く残さずに、水で手から容易に洗い落とされる、術前手消毒用配合物およびローションとして有用な皮膚消毒用製品を提供する。本発明の好ましい組成物は、一般に、1回適用後も多回適用後も、非常に感じがよい。好ましい組成物は、多回適用後、皮膚の状態を維持または改善し、適用後の手洗い中にぬるぬるした感じや異常な感じがしない。術前洗浄用代替品として使用したとき、本発明は、伝統的な石鹸および水洗いと同等以上の細菌、真菌、およびウイルスの死滅を、より短時間で達成し、同時に、細菌汚染および化学的汚染に対する皮膚の天然バリヤーを維持または改善する。さらに、これらの組成物は、陽イオン添加物、たとえば、クロルヘキシジンジグルコネートと相溶性である。本発明は、実質的に非粘着性であり、且つ皮膚の状態を維持または改善し、さらに陽イオン添加物と相溶性である、化粧品的に上品な粘性ローションを提供することによって、これまでの組成物の欠点を克服する。さらに、本組成物は、化粧品的に上品な感じがあり、ローションまたはフォームとして調剤することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施態様は、低級アルコールと水を少なくとも約50:50の重量比で含むヒドロアルコール溶剤系と、環境温で固体である少なくとも1種の陽イオンポリマー粘度付与剤を含む粘度付与剤系であって、本組成物が23℃で少なくとも約10,000センチポアズの粘度を有するように陽イオン粘度付与剤が選択され、組成物の総重量を基準にして少なくとも約0.5重量%の量で粘度付与剤系が存在する粘度付与剤系と、二次的な抗菌薬とを含む、抗菌性ヒドロアルコール組成物である。
【0009】
本発明の別の実施態様は、低級アルコールと水を少なくとも約60:40の重量比で含むヒドロアルコール溶剤系と、本質的に1種以上の非イオンポリマー粘度付与剤から成り、そのうち少なくとも1種が環境温で固体である粘度付与剤を含む粘度付与剤系であって、本組成物が23℃で少なくとも約4,000センチポアズの粘度を有するように上記1種以上のポリマー粘度付与剤が選択され、さらに、組成物の総重量を基準にして少なくとも約0.5重量%の量で粘度付与剤系が存在する粘度付与剤系と、二次的な抗菌薬とを含む、抗菌性ヒドロアルコールローションである。
【0010】
本発明のさらに別の実施態様は、低級アルコールと水を少なくとも約60:40の重量比で含むヒドロアルコール溶剤系と、環境温で固体である少なくとも1種の会合性ポリマー粘度付与剤を含む粘度付与剤系であって、本組成物が23℃で少なくとも約4,000センチポアズの粘度を有するように上記会合性ポリマー粘度付与剤が選択され、さらに、組成物の総重量を基準にして少なくとも約0.5重量%の量で粘度付与剤系が存在する粘度付与剤系と、二次的な抗菌薬とを含む、抗菌性ヒドロアルコールローションである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】過剰なイオン濃度の関数としての粘度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本明細書で使用される「環境温」は、約21〜25℃の範囲の温度を指す。
本明細書で使用される「皮膚軟化薬」は、繰返し使用したとき、皮膚の水分レベル、コンプライアンス、または外観を維持または改善することができる物質を広く指す。
本明細書で使用される「乳化剤」は、「界面活性剤」と同義であり、同一分子上に親水性(極性)領域および疎水性(非極性)領域を含む分子を指す。
本明細書で使用される「乳剤」は、第2の混合することができない液体中に第1の液体が分散された安定な分散液を指す。また、乳剤は、固体組成物の凝固点未満に冷却することによって固体が形成された、混合することができない液体中に固体が分散された安定な分散液も指す。
【0013】
「ローション」は、噴射薬を含まない液体またはクリームを意味する。
本明細書で使用される「ポリマー」は、反復単位および少なくとも約20,0000の数平均分子量を有する、天然分子、改質天然分子、または合成分子を指す。
本明細書で使用される「溶剤」、「溶剤系」または「ヒドロアルコール溶剤」は、本発明におけるアルコールと水の配合物を指す。
本明細書で使用される「安定な」は、環境温で、1545×gで30分間遠心分離した後、10容量%以下の分離を示す組成物を指す。
本明細書で使用される「界面活性剤」は「乳化剤」と同義であり、その定義は上記の通りである。
本明細書で使用される「粘度付与剤系」は、環境温で固体である少なくとも1種の陰イオンポリマーまたは陽イオンポリマーを指す。
【0014】
本発明は、低級アルコール、水、粘度付与系、および二次的な抗菌薬(すなわち、低級アルコール以外の抗菌薬)を含むヒドロアルコール組成物を提供する。この粘度付与系は、環境温で固体である少なくとも1種の非イオンポリマー粘度付与剤または陽イオンポリマー粘度付与剤(またはそれらの混合物)を含む。いみじくも、このポリマー粘度付与剤は、低級アルコールと水を約50:50の比率、およびさらに高い比率(たとえば、60:40)で含むヒドロアルコール溶剤系に粘度付与することができる。このような高濃度のアルコールは、極めて有効な抗菌活性を有し且つ速乾性である組成物を提供するために重要である。
【0015】
さらに、本発明の組成物は、好ましくは少なくとも約5、さらに好ましくは少なくとも約5.5、最も好ましくは少なくとも約6のpHを有する。pHは、好ましくは約9.5以下であり、さらに好ましくは約8.5以下であり、最も好ましくは約8である。
【0016】
ヒドロアルコール溶剤系
本発明の組成物は、水と組み合せた1種以上のアルコールを含み、その結果、ヒドロアルコール溶剤系を生じる。本発明の組成物に使用されるアルコールは、低級炭化水素アルコール(本明細書では「低級アルコール」と呼ぶ)、特に、C1〜C4アルコール(すなわち、炭素原子を1〜4個含むアルコール)である。好ましい実施態様では、アルコールはエタノール、2−プロパノール(すなわち、イソプロパノール)、またはn−プロパノールである。さらに好ましい実施態様では、アルコールはエタノールである。エタノールは、広域細菌スペクトルを迅速に死滅させるため、エタノールが好ましいアルコールである。さらに、エタノールは、ヘルスケア従業者および患者に受け入れられる臭いを有する。
【0017】
本発明の組成物中の低級アルコールと水の比率は、重量で少なくとも約50:50であり(すなわち、低級アルコールは、組成物内の水と低級アルコールを加えた重量のみを基準にして、少なくと約も50重量%の量で存在し、水は約50重量%の量で存在する)、好ましくは重量で少なくとも約60:40である。一般に、本発明の組成物は、アルコールと水の比率が重量で約99:1以下である。アルコールと水の比率が重量で約50:50から95:5の範囲内の(すなわち、組成物中の水と低級アルコールを加えた重量のみを基準にして、50〜95重量%のアルコールと5〜50重量%の水を有する)組成物は、特に二次的な抗菌薬(すなわち、低級アルコール以外の抗菌薬)と組み合せて使用したとき、必ず、効果的に即座に細菌を死滅させる。特に好ましい実施態様では、低級アルコールと水の比率は約50:50から約85:1の範囲内であり、さらに好ましくは約60:40から約75:25の範囲内である。二次的な抗菌薬を含む好ましい実施態様では、最適抗菌活性を得るためおよび組成物を必ず急速に乾燥させるために、これより高いアルコールと水の比率が使用される。
【0018】
粘度付与剤系
本発明に有用な粘度付与剤系は、最終組成物の化粧品特性に影響を及ぼす。好ましくは、本発明の手消毒用配合物は、以下の望ましい化粧品特性を有する。本組成物を使用した結果、粉をつけた外科用手袋の下に手袋用粉末が過剰に凝集してはならず、手袋材料の完全性に影響を及ぼしてはならない。好ましい組成物を皮膚に適用して乾燥させた場合、擦ったときに球状の塊を形成してはならない。本組成物は、環境温(すなわち、21〜25℃)で、好ましくは最高約35℃まで、許容できる粘度(たとえば、少なくとも4000センチポアズ)を好ましく維持すべきである。好ましい組成物は、加熱冷却周期(50℃以上までの加熱および環境温までの冷却)ならびに凍結/解凍周期(−30℃までの冷却および環境温までの加温)に対して安定である。以上の化粧品特性はすべて、選択されるポリマーのタイプおよび量に影響される。
【0019】
本発明の粘度付与剤系は、適当な安定性、許容できる化粧品特性、および適当な粘度を提供するために、上述のヒドロアルコール溶剤系と相溶性である。本発明の組成物は、超低剪断粘度計、たとえば、ヘリオパスアダプターを備えたBrookfield LVDV−1+粘度計およびTスピンドルを使用して測定したとき、23℃で少なくとも約4,000センチポアズ(cps)、好ましくは少なくとも約10,000cps、さらに好ましくは少なくとも約20,000cps、さらにいっそう好ましくは少なくとも約50,000cps、最も好ましくは少なくとも約80,000cps(500,000cps以上という高さでも)の粘度を有する。ある一定の任意の成分、たとえば、皮膚軟化薬は、粘度に影響を及ぼす可能性があり(正または負のいずれにも)、測定された粘度は、最終組成物のものである。
【0020】
本粘度付与剤系は、1種以上の非イオンポリマーまたは陽イオンポリマー、好ましくは非イオンポリマーと陽イオンポリマーの両者から調製することができる。その各々は、1クラスの化合物または1種より多いクラスから選択してもよい。一般に、ヒドロアルコール溶剤系の粘度付与には陰イオン粘度付与剤が使用されてきた。非イオンポリマーおよび陽イオンポリマーも、ヒドロアルコール溶剤系、特に高レベルのアルコールを含むものに、粘度付与できることは予想外であった。
【0021】
いみじくも、本発明の粘度付与剤系は、比較的低い総ポリマー濃度で、高い粘度を得ることができる。粘度付与剤系中に存在する非イオンポリマーまたは陽イオンポリマー(または両者)の総濃度は、好ましくは、本発明の全組成物の約10重量%未満であり、さらに好ましくは約8重量%未満であり、最も好ましくは約6重量%未満である。好ましくは、ポリマー粘度付与剤系の総濃度は、組成物の総重量を基準にして、約0.5重量%と低くてもよい。しかし、ある実施態様の場合、粘度付与剤系の総濃度は、組成物の総重量を基準にして、約2重量%より高い。
【0022】
本明細書で使用されるポリマー粘度付与剤が非イオン性または陽イオン性であり、且つ組成物中に存在する結果として、その組成物の粘度が上昇する場合、これは、粘度付与剤系の一部と考えられる。こうした特徴がないポリマーは、組成物中に存在してもよいが、組成物の粘度に有意に寄与しない。本発明の意向では、このようなポリマーを粘度付与剤系の一部と考えない。たとえば、ある種の陰イオンポリマー、たとえば、低分子量ポリエチレングリコール(たとえば、約20,000未満の分子量を有するもの)は、組成物の粘度を有意に上昇させない。これらは、粘度付与剤系の一部というよりむしろ、たとえば、皮膚軟化薬または保湿剤であると考えられる。
【0023】
本発明の陽イオンポリマーは、永続的に帯電した第四級ポリマー(後述のPolyquaternium4、10、24、32、37のような第四級アミンを含むポリマー)ならびに適当なプロトニック酸で陽子が付加された第一級、第二級および第三級アミン官能ポリマーの両者から選択される。好ましい陽子付加陽イオンポリマーは、第三級アミンに基づいている。陽子付加陽イオンポリマーは、不当な皮膚刺激を招来しない適当な酸、たとえば、任意に酸素で置換されているC1〜C10アルキルカルボン酸(たとえば、酢酸、乳酸やグルコン酸などのようなα−ヒドロキシ酸)、C1〜C10アルキル硫酸水素(たとえば、メチル硫酸水素)および無機酸(たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、および塩酸等々)で陽子付加されることが好ましい。陽子付加陽イオンポリマー上の電荷は、pH依存的である。このような理由から、必ずポリマーに十分に陽子付加するためにはpHを適切に調整しなければならず、5〜9.5、好ましくは6〜8、最も好ましくは6.5〜7.5の範囲にすべきである。個々のポリマー上のアミン全部に陽子付加する必要はないことに注目すべきである。陽子付加のレベルは、ある程度、pH依存的である。皮膚刺激性が低い最適粘度付与を得るために、ある種のポリマーを使用する場合、利用できるアミン基のほんの一部に陽子付加することが有益なこともあり、他のポリマーを使用する場合、実質的に全てのアミン基に陽子付加することが有益なこともある。これは、当業者によって容易に決定されるであろう。天然ポリマー、改質天然ポリマーならびに合成ポリマーから、第四級、第三級、第二級および第一級アミン官能ポリマーを選択することが可能である。こうしたポリマーは、ヒドロアルコール溶剤中で可溶性であってもよく、膨潤性であってもよい。さらに、こうしたポリマーは、疎水性側鎖も有していてもよく、したがって、会合性ポリマーであってもよい。
【0024】
本発明の組成物では、純粋な状態のポリマー粘度付与剤のうち少なくとも1種は環境温で固体である。好ましい実施態様では、ポリマー粘度付与剤は全て、環境温で固体である。一般に、このような固体ポリマーは、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有するものである。好ましくは、固体ポリマーは少なくとも約25℃、さらに好ましくは少なくとも約50℃、最も好ましくは少なくとも約80℃のTgを有する。好ましくは、固体ポリマー粘度付与剤は、組成物が23℃で少なくとも約4,000センチポアズの粘度を有するように選択される。
【0025】
本発明の組成物に使用される好ましい粘度付与剤系は、非常に安定な粘弾性組成物を生成することができる。ポリマーの量およびタイプを変えることによって、ほぼ純粋に粘性の組成物から、極めて弾性でゲル様組成物まで、弾性の程度を調節することができる。皮膚軟化薬を加える場合、弾性を高めることおよび/または系の応力を生じることによって、さらに安定性が得られ、混合することができない皮膚軟化薬の分離が防止される。しかし、弾性組成物は通常は化粧品的に魅力的な製品を実現しないため、過剰な弾性は好ましくない。
【0026】
本粘度付与剤系は、環境温で固体である少なくとも1種の陽イオンポリマーまたは非イオンポリマーを含む。好ましい陽イオンポリマー粘度付与剤群には、陽イオン的改質セルロース、第四級化天然アミノ官能ポリマー、およびアクリレート、アクリルアミド、ビニルラクタム、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、スチレンおよびアクリロニトリルからなる群から選択されるエチレン的不飽和モノマーを基本とするポリマーが含まれる。好ましい非イオンポリマー粘度付与剤群には、改質セルロース、少なくとも1種のコモノマーが少なくとも16個の炭素原子を有する非イオン性エチレン的不飽和モノマーを基本とする会合性ポリマー、およびアクリレート、アクリルアミド、ビニルラクタム、酢酸ビニルおよびその加水分解誘導体、メチルビニルエーテル、スチレンおよびアクリロニトリルからなる群から選択されるエチレン的不飽和モノマーを基本とするモノマーが含まれる。
【0027】
このようなポリマーは、ヒドロアルコール溶剤系中で可溶性、膨潤性、または会合性として分類される。これらのクラスの1つまたは2つ以上に分類することが可能なポリマーもある。たとえば、ある種の会合性ポリマーは、ヒドロアルコール溶剤系中で可溶性であり得る。それらがヒドロアルコール溶剤系中で可溶性、膨潤性、または会合性であると考えられても考えられなくても、本発明の組成物に使用するのに適したポリマーは、耐水性フィルムを形成することができないものである。このようなポリマーは、たとえば、適用して乾燥させた後、容易に水で洗い落とすことができない外科用手消毒配合物および抗菌性ハンドローションを生成するため、望ましくない。
【0028】
本明細書で使用する可溶性ポリマーは、希薄(すなわち、望ましいヒドロアルコール溶剤系中に約0.01〜0.1重量%)中で、あらゆる潜在的可溶性成分を確実に可溶化させるのに十分な時間加熱した後、たとえば、Malvern Co.,Boston,MAから入手可能なMalvern Masterisizer E Laser Particle Size Analyzerを使用して、光散乱測定法で測定したとき、粒子サイズが約1μより大きい明らかな観察可能な粒子を全く含まないものである。
【0029】
本明細書で使用する膨潤性ポリマーは、希薄(すなわち、望ましいヒドロアルコール溶剤系中に約0.01〜0.1重量%)溶液中で、あらゆる潜在的可溶性成分を確実に可溶化させるのに十分な時間加熱した後、たとえば、Malvern Masterisizer E Laser Particle Size Analyzerで測定したとき、かなりの数の、粒子サイズが約1μより大きい観察可能な粒子を含むものである。
【0030】
本明細書で使用する会合性ポリマーは、約16個より多い炭素原子を有するポリマー分子当たり2個より多い疎水鎖を有するものである。このようなポリマーの例は以下の通りである。
【0031】
可溶性ポリマー−陽イオン天然ポリマー誘導体:
陽イオン改質セルロースポリマーは、水に可溶性であると文献に報告がある。このようなポリマーは、本発明に有用であることが確認されている。適当な皮膚軟化薬と組み合せて低レベルで試用するとき、中性の改質セルロースポリマーでしばしば見られる球状の塊が生じない。最も好ましい改質セルロース製品は、「CELQUAT」(National Starch and Chemicals Corp.,Bridgewater,NJ)および「UCARE」(Amerchol Corporation,Edison,NJ)の商品名で販売されている。「CELQUAT」は、ポリエトキシル化セルロースとジメチルジアリル塩化アンモニウムとのコポリマーであり、化粧品・洗面用化粧品および芳香剤協会(Cosmetic,Toiletry and Fragrance Association(CTFA)の名称、Polyquaternium-4を有する。最も好ましい「CELQUAT」ポリマーは「CELQUAT」SC−230MおよびH−100である。「UCARE」は、ヒドロキシエチルセルロースとトリメチル塩化アンモニウム置換エポキシドの高分子第四級アンモニウム塩であり、CTFA名Polyquaternium-10を有する。好ましい「UCARE」ポリマーは、高度の陽イオン置換を有する。最も好ましい「UCARE」ポリマーは、「UCARE」JR−30Mである。
【0032】
ヒドロキシエチルセルロースとトリメチル塩化アンモイウム置換エポキシドのアルキル修飾第四級アンモニウム塩も有用であることが判明している。CTFA名Polyquaternium 24と一致するポリマーが、「QUATRISOFT]LM−200としてAmerchol Corp.,Edison,NJから市販されている。
【0033】
可溶性ポリマー−陽イオン合成ポリマー
本発明に有用な合成陽イオン線状ポリマーは、好ましくは陽イオン電荷密度がかなり高い(一般に10重量%より多い陽イオンモノマーを有し、好ましくは25重量%より多く、さらに好ましくは50重量%より多い)。これによって、すぐれた化粧品の感触が確保され、ヒドロアルコール溶解性を実質的に改良することが可能である。一般に、本発明に有用なポリマーは、一般に約5重量%未満のポリマーで粘度付加を達成するのに十分であるが、ローション/クリームがぬるぬるしたりねばねばしたりするほど高すぎない分子量を有する。このポリマーの組成物は、十分な粘度付与が発生する分子量に劇的な影響を及ぼすが、一般に、ポリマーは約250,000Da〜約3,000,000Daの分子量を有し、さらに好ましくは約500,000Da〜約1,000,000Daの分子量を有する。ホモポリマーは、以下のモノマーの1つを含む。メタクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩、アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩、および第四級化ジアルキルアミノアルキルアクリルアミジン塩。好ましくは、ポリマーは、トリアルキルアミノアルキルアクリレート塩、トリアルキルアミノアルキルメタクリレート塩、ジアルキルジアリルアンモニウム塩、アクリルアミドアルキルトリアルキル塩、メタクリルアミドアルキルトリアルキル塩、アルキルイミダゾリニウム塩、N−ビニルピロリジノン、N−ビニルカプロラクタム、メチルビニルエーテル、アクリレート、メタクリレート、スチレン、およびアクリロニトリルから選択される少なくとも2種のモノマーを含むコポリマーである。一般に、塩には、対イオンがF-、Cl-、Br-、およびn=0〜4であるCH3(CH2)n(SO4)であることが好ましい。
【0034】
メチル側鎖、エチル側鎖、またはプロピル側鎖を有するアミノアクリレートのホモポリマーまたはコポリマーを基本とする、第四級化が変化する様々な第四級コポリマーを合成することができる。これらのモノマーは、第四級アクリルホモポリマー、たとえば、2−メタクリルオキシエチルトリメチル塩化アンモニウムや2−メタクリルオキシエチルメチルジエチル臭化アンモニウムのホモポリマーを含む他の非イオンモノマー、および第四級アクリレートモノマーと水溶性モノマーとのコポリマー、たとえば、登録商標を持つ線状第四級アクリレートとアクリルアミドとのコポリマーであるPetrolite Product No.Q-0043と、高分子量(MW 4〜500万)で共重合することができる。
【0035】
別の有用な可溶性陽イオンポリマーは、ポリアクリロニトリルのブロックに結合したN,N−ジメチルアミノプロピル−N−アクリルアミジン(ジエチルススフェートで第四級化されている)である。このブロックコポリマーは、Lipo Chemicals Inc.,Paterson,NJから「Hypan QT−100」として入手できる。これは、ヒドロアルコール系の粘度付与に際してかなり有効であり、すぐれた化粧品感を有する。しかし、受け取ったままのこのポリマーは、不快なアミン臭を有する。この臭いは、適当な香水で隠すことができるが、香水を含まない配合物を供給することができるように、調合する前に(たとえば、溶剤浄化工程で)除去することが好ましい。
【0036】
可溶性ポリマー−非イオン性
様々なセルロース誘導体のエーテルが、水に可溶性であると文献に報告されている。このようなポリマーは、約50:50より高い比率のアルコールと水を含むヒドロアルコール溶剤系を粘性化できることが証明されている。非イオン性であり、且つ有用であることが判明しているこのクラスの物質を以下に示す。Aqualon,Wilmington,DEから「BENECEL MP 943」として入手可能なメチルヒドロキシプロピルセルロース、Aqualon,Wilmington,DEから「KLUCEL」(LF、GF、MF、HF)として入手可能なヒドロキシプロピルセルロース、およびScientific Polymer Products,Ontario,NYから入手可能なヒドロキシブチルメチルセルロース(3.5%のヒドロキシブチルおよび30%のメトキシル)。
【0037】
膨潤性ポリマー
多くの膨潤性ポリマーは、僅かに架橋しており、ヒドロアルコ一ル溶剤系における粘性化剤として機能する。手に汗をかいたり、取扱後に手を水に曝露したりするとすぐ、およびその後、これらの膨潤性ポリマは「ねばねば」の進行がはるかに少ない傾向があるため、好ましい。過度に可溶すると、組成物の粘度を高めることができる程十分に膨潤しないポリマーが生じる。必ず十分に膨潤させるために、化学的架橋剤を使用する場合、架橋剤の濃度はかなり低く、たとえば、乾燥ポリマーの重量を基準にして約1000ppm未満、好ましくは500ppm未満である。
【0038】
本発明で使用するのに適した1クラスの架橋ポリマーは、アクリルアミド、およびトリアルキルアミノアルキルアクリレート塩、トリアルキルアミノアルキルメタクリレート塩、ジアルキルジアリルアンモニウム塩、アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩、メタクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム塩、およびイミダゾリニウム塩を含むモノマーからなる群から選択される少なくとも1種の他の第四級モノマーを含む。対イオンは、好ましくはF-、Cl-、Br-、およびn=0〜4であるCH3(CH2nSO4-である。N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、メチルビニルエーテル、アクリレート、メタクリレート、スチレン等々を含む他のコモノマーも加えてもよい。特に好ましいポリマーは、ポリ(2−メタクリルオキシエチルトリメチル塩化アンモニウム)ポリジメチルアミノエチルメタクリレートを含み、これは、CTFA名Polyquaternium37と一致する。別の好ましいポリマーは、アクリルアミドおよびメタクリロイルオキシエチルトリメチル塩化アンモニウムを含み、これはCTFA名Polyquaternium32と一致する。これらは、Allied Colloids Inc.,Suffolk,Virginiaから「SALCARE」SC95、SC96、およびSC92として市販されている。
【0039】
架橋するために電離放射線を使用して、他の膨潤性ポリマー(すなわち、僅かに架橋したポリマー)を調製することができる。たとえば、N−ビニルピロリドンのようなN−ビニルラクタムを含むポリマーは、γ線に曝露されると分子量が増加し、事実上架橋すると考えられる。この架橋は、さらに効率のよい(ある一定の粘度を達成するのに、より少量のポリマーを必要とする)有効な粘度付与を可能にし、化粧品の感触を改良することができる。γ線に曝露したとき、その結果として架橋する他のポリマーとしては、「LUVIQUAT HM552」(ビニルイミダゾリウムメトクロリドとビニルピロリドンとのコポリマー、CTFA名Polyquaternium−16と一致する)や「GAFQUAT HS−100」(CTFA名Polyquaternium−28と一致するビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチル塩化アンモニウムコポリマー)などがある。
【0040】
ポリ不飽和モノマー、たとえば、ジアリルマレアートを使用する化学的架橋も有用と思われる。他の適当な架橋剤は、エチレンがビニル基(イソプロペニル基のような置換ビニル基を含む)、アリル基、および/またはメタリル基であり、これらの基が、窒素原子または酸素原子に結合している、多重エチレン的不飽和化合物である。本明細書で使用されるビニル基、アリル基、およびメタリル基は、置換誘導体を含む。具体例としての化合物には、ジビニル、ジアリル、またはジメタクリルのエステル類、エーテル類、アミド類、またはウレア類が含まれる。米国特許第5,225,473号(Duan)および第4,931,282号(Asmusら)には、詳細な例が開示されている。
【0041】
ジアリルマレアートを用いた共有結合型架橋または線状PVP粉末の放射線架橋によって、ある範囲の架橋ポリビニルピロリドン(PVP)材料を調製することができる。これらの技術に従って調製される架橋PVPは、ヒドロアルコール溶液中で非常に膨潤し、その結果粘稠液を生じる、コロイド状の粒子を生成することができる。このポリマーは、非イオン性であり、クロルヘキシジンジグルコネートとのすぐれた相溶性を有する。
【0042】
会合性ポリマー
本発明の組成物の粘度付与系に会合性ポリマーを使用することができる。このようなポリマーは、疎水性側鎖の疎水会合またはファンデルワールス(Van de Waals)会合の結果として粘度付与する。このような会合性ポリマーは、比較的低分子量であるにもかかわらず、粘性からゲル化までのヒドロアルコール溶液を形成する。長鎖疎水基を付加することによって、アルコール可溶性であるポリマーを修飾することができる。このような会合性ポリマーの好ましいクラスは、少なくとも1種のコモノマーが少なくとも16個の炭素原子を有する非イオン性エチレン的不飽和モノマーを基本とする。
【0043】
一例は、「NATROSOL PLUS」としてAqualonから入手できるセチルヒドロキシエチルセルロースであり、これによって生じる粘性を、会合機構を利用して増強する。セチルアルキル基のグラフト側鎖は、隣接したアルキル疎水と会合することができる。これらの共重合体会合は、ポリマーの粘性化効率を劇的に高めることができる。C16基はさらに長鎖のアルキルほど不溶性ではないため、本発明のヒドロアルコール系で、セチル基の代わりに、さらに長鎖の疎水基を使用すると、共重合体会合が大幅に改善される。たとえば、18〜31個の炭素原子、好ましくは20〜34個の炭素原子を含むアルキル鎖は、少なくとも約63:35の比率でアルコールと水を含むヒドロアルコール溶剤系において特に望ましいポリマー粘度付与剤を提供する。長鎖アルケニル基およびアラルキル基も適当であろう。
【0044】
ポリマー粘度付与剤の純度
粘度付与剤系の純度に注意を払うことが必要と考えられる。たとえば、本発明の高度に帯電したポリマー粘度付与剤は、イオンを含む物質、たとえば、塩類の混合によって悪影響を受ける。低レベルのイオン汚染でも、粘度を有意に低下させる可能性がある。このような理由から、多くの市販されているポリマーは、最適性能を得るために余分なイオンが実質的にないように、使用前に浄化することが好ましい。本明細書で使用される「余分なイオン」は、溶剤で繰り返し洗浄することによってポリマーから除去することができる(陽イオンポリマー中に存在する陽イオンおよび対イオン以外の)イオンを指す。
【0045】
第四級粘度付与剤は、溶液中の余分なイオンに対して特に敏感である。たとえば、二次的な抗菌薬がクロルヘキシジン塩(たとえば、クロルヘキシジンジグルコネート)のような帯電した分である実施態様では、少なくとも約0.5重量%のクロルヘキシジンジグルコネート濃度で、低級アルコールが60%を超える極めて粘性の系を調合することが非常に困難であるという具合に、余分なイオンは第四級粘度付与剤の増粘効率を低下させる。市販の第四級粘度付与剤、たとえば、「SALCARE SC95」(本明細書ではDMAEMA Qとも呼ぶ)は、75%エタノール溶液に粘度付与する能力を妨げる余分なイオンを有していた。これらの余分なイオンを、たとえば、反復沈澱によって除去することにより、たとえば、余分な塩類およびポリマーは、75%アルコール溶液でさえも効果的に粘度付与することができる。このように、たとえば、余分のイオンを除去することによって、陽イオンポリマー粘度付与剤を用いて、組成物の総重量を基準にして少なくとも約0.5重量%のクロルヘキシジン塩を含む組成物を、23℃で約60,000cpsより高い粘度まで粘度付与することができる。
【0046】
35%エタノール溶液中の浄化ポリマーおよび未浄化ポリマーをイオン伝導度計で評価することによって、溶液中の余分なイオンをモニタリングすることができる。浄化ポリマーと未浄化ポリマーのイオン伝導度の差は、余分なイオンに起因する。望ましいヒドロアルコール溶剤系(他の添加物を含まない)で測定したとき、ポリマー粘度付与剤中の余分なイオンのイオン伝導度寄与は、Enginerred Systems & Designs,Newark,DEによる76型伝導度計(Model 76 Conductivity Meter)を使用して測定したとき、ポリマーのイオン寄与の約50%未満、好ましくは約35%未満、さらに好ましくは15%未満、最も好ましくは5%未満であることが望ましい。一般に、これはエタノール35%/水65%で行われるが、ポリマーが溶剤系に溶解しない場合、水100%で実行される。いずれの状況でも、伝導度試験の前にイオンを抽出するために、60℃の溶剤中で24時間、ポリマーを状態調整しなければならない。DMAEMA Q系の場合、2.5%ポリマー負荷における35%エタノールのイオン伝導度は、1,200μmho未満、好ましくは1,000μmho、さらに好ましくは900μmho未満、最も好ましくは800μmho未満であることが望ましい。
【0047】
抗菌薬
本発明の組成物中に存在する低級アルコールに加えて、本発明の組成物の抗菌作用を増強するために、他の抗菌薬を加えてもよい。このような抗菌薬を本明細書では「二次的な抗菌薬」と呼ぶ。これは、術前手用スクラブまたは術前の患者の皮膚洗浄代替品のような重要なようとで特に望ましい。適する補足的抗菌薬としては、ヨウ素やその錯体、たとえば、ポビドン/ヨード、クロルヘキシジンジグルコネート(CHG)などのようなクロルヘキシジン塩、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、ヘキサクロロフェン、フェノール類、長鎖疎水性物質(C12〜C22)および第四級基を含む界面活性剤、トリクロサン、「LAURICIDIN」グリセリルモノラウレート、第四級シラン類、過酸化水素、フェノール類、銀、銀塩類、たとえば、塩化銀、酸化銀、スルファジアジン銀等々がある。刺激の可能性を減らし、しかも効果を維持するために、適用後6時間、最も好ましくは12時間、低い細菌学的カウントを維持する最低レベルに抗菌薬レベルを調整すべきである。
【0048】
クロルヘキシジンは長期抗菌効果を確実にすることができるため、最も好ましい二次的な抗菌薬はクロルヘキシジンである。クロルヘキシジンを本発明に加える場合、クロルヘキシジンは可溶性の塩として存在する可能性がある。ジアセテート塩およびジグルコネート塩が好ましい。最も好ましい抗菌薬はクロルヘキシジンジグルコネート(CHG)である。CHGは、組成物の総重量を基準にして、好ましくは約0.05〜5.0重量%の濃度で存在し、さらに好ましくは約0.1〜3重量%、いっそう好ましくは約0.25〜2重量%、最も好ましくは約0.5〜1重量%で存在する。クロルヘキシジンはビス(ジグアニド)であり、したがって、非常に塩基性であり、陰イオン物質と多様なイオン結合を形成することができる。
【0049】
任意の成分
アルコール、水、粘度付与剤系、および抗菌薬に加えて、本発明の組成物はpH緩衝液、皮膚軟化薬、酸化防止剤、芳香剤、医薬品、および噴射薬などのような成分を任意に含んでもよい。疎水性皮膚軟化薬を組み込んでいる系の長期安定性を確保するために、ある種の乳化剤を本発明の組成物に組み込むことは有益と思われる。
【0050】
皮膚軟化薬
皮膚軟化薬は、角質層の水分含有量を増加させるように作用するため、一般に、ハンドローションまたは手消毒用配合物に添加される。一般に、皮膚軟化薬は、その作用に基づいて、2つの大まかなクラスに分けられる。第1のクラスの皮膚軟化薬は、閉塞性のバリヤーを形成して、角質層から水分が蒸発するのを防止することによって作用する、親油性である。第2のクラスの皮膚軟化薬は、角質層内に浸透して水を物理的に結合し、蒸発を防止する。第1のクラスの皮膚軟化薬は、室温でワックスである化合物と、液体の油である化合物に細分される。第2のクラスの皮膚軟化薬には、水溶性であり且つしばしば保湿剤と呼ばれるものが含まれる。
【0051】
本発明の趣旨では、乳化剤系は、乳化剤が閉塞性皮膚軟化薬として機能することができ、且つ皮膚の状態を維持または改善するのを助けることが認められていても添加してもよい皮膚軟化薬系とは別であり、異なると考えられる。皮膚軟化薬は本発明の好ましい実施態様に含まれており、好ましくは重量で、配合物の約1%〜約30%、さらに好ましくは約2%〜約20%、最も好ましくは約3%〜約12%を構成する。
【0052】
皮膚軟化薬は、本技術分野で周知のクラスのいずれから選択してもよい。米国特許第4,478,853号およびEPO特許出願第0522624A1号、およびThe Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Wash.D.C.(1992)出版のCFTA Cosmetic Ingredient Handbookの「皮膚コンデイショニング剤」「皮膚軟化薬」「保湿剤」「その他」「閉塞作用」の一覧表の下には、有用な皮膚軟化薬の総合リストが掲載されており、これらの各参考文献は、参照により本明細書に援用される。本発明の好ましい実施態様は、ワックスと液体皮膚軟化薬の両者を含む。
【0053】
好ましい実施態様では、以下の一般的皮膚軟化薬、閉塞性親油性皮膚軟化薬および保湿剤の非限定的リストから皮膚軟化薬が選択される。一般的皮膚軟化薬の例としては、長い直鎖または分岐鎖のアルキルアルコールまたはアルケニルアルコールまたは酸酸(C8〜C36)の短鎖アルキルエステルまたはアリールエステル(C1〜C6)およびそれらのポリエトキシル化誘導体、利用可能な位置で任意に−OHで置換されているC4〜C12二酸類またはジオール類の短鎖アルキルエステルまたはアリールエステル(C1〜C6)、グリセロール、ペンタエリトリトール、エチレングリコール、プロピレングリコールのアルキルまたはアリールC1〜C9エステル、ならびにこれらのポリエトキシル化誘導体およびポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのC12〜C22アルキルエステルまたはアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールコポリマーのC12〜C22アルキルエステルまたはアルキルエーテル、およびポリエチレンポリシロキサンコポリマーなどがある。好ましい乳化剤系の乳化剤の多くに加えて、閉塞性皮膚軟化薬のさらなる例としては、環状ジメチコーン類、ポリジアルキルシロキサン類、ポリアリール/アルキルシロキサン、長い直鎖または分岐鎖のアルキルまたはアルケニルアルコールまたは酸の長鎖(C8〜C36)アルキルエステルおよびアルケニルエステル、長い直鎖または分岐鎖(C8〜C36)のアルキルまたはアルケニルアミンまたは酸の長鎖(C8〜C36)アルキルアミドおよびアルケニルアミド、直鎖および分岐鎖のアルカン類およびアルケン類、たとえば、スクワレン、スクワラン、鉱油を含む炭化水素、ポリシロキサンポリアルキレンコポリマー、ジアルコキシジメチルポリシロキサン、利用できる位置で任意にOHで置換されたC12〜C22二酸またはジオールの短鎖アルキルエステルまたはアリールエステル(C1〜C6)、およびC12〜C22アルキルアルコールおよびアルケニルアルコール。好ましい保湿剤タイプの皮膚軟化薬の非限定的例としては、グリセロール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、パントテノール、グルコン酸等々がある。
【0054】
粘度付与剤系は、本発明の組成物の安定性および粘稠性の原因であるが、皮膚軟化薬も組成物の粘度および安定性に影響する可能性がある。ただ1種の皮膚軟化薬を本発明に加えてもよく、あるいは2種以上の皮膚軟化薬を組成物に加えてもよいことが予期される。広範囲の皮膚軟化薬を本発明の配合物に加えてもよい。水溶性皮膚軟化薬に加えて、好ましいワックスおよび油タイプの皮膚軟化薬が使用される。好ましい実施態様では、皮膚軟化薬系は、閉塞性ワックスおよび油皮膚軟化薬に加えて、潤いを与える濃度で保湿剤を含むが、繰返し使用したとき、皮膚の状態を維持および改善する脂っぽい組成物ではない。理想的には、皮膚軟化薬は非面皰誘発性であり、皮膚の刺激または感作反応が全く起きないように選択される。本発明の組成物は、手術用手袋の下の閉塞条件で身につける可能性があるため、これは特に重要である。さらに、手袋材料の保全性に影響しない皮膚軟化薬を選択すべきである。さらに、鉱油やペトロラタムのような炭化水素皮膚軟化薬は、手術用手袋の剪断強さに悪影響を及ぼす可能性があるため、術前消毒薬として使用される組成物については、これらの皮膚軟化薬を避けることが必要である。
【0055】
ヒドロアルコール溶剤に溶解しないある種の皮膚軟化薬を、別の異なる乳剤であると考えられるものの中に乳化することができる。これらの皮膚軟化薬は組成物の溶融温度にほとんど影響しない。たとえば、ポリエーテル/ポリシロキサンコポリマー界面活性剤を使用して、ある種の環状シリコーン類、ポリシロキサン類、およびジアルコキシポリシロキサン類を、ヒドロアルコール溶剤中に乳化することができる。
【0056】
以下は、本発明の粘度付与/安定性を改善する乳化剤/皮膚軟化薬成分の非限定的例を示す。
a.ある種のワックス乳化剤/皮膚軟化薬は、特に有用なことが確認されており、次のような蝋質エステルが含まれる:ミリスチルミリステート、セチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ステアリルベヘネート、ベヘニルイソステアレート、イソステアリルベヘネート、ベヘニルベヘネート、ラウリルベヘネート、ベヘニルエルケート。これらは、次式:R12−CO−R13を有し、R12は炭素原子を少なくとも14個有するアルキル基またはアルケニル基であり、R13は炭素原子を少なくとも4個有するアルキル基またはアルケニル基である。
【0057】
b.グリセロールトリベヘネートおよびソルビタントリステアレートのような固体エステルを含む、融点が23℃より高い多価アルコールの長鎖炭化水素ジエステルまたはトリエステル。
c.油皮膚軟化薬と組み合せて使用したとき、すぐれた皮膚軟化性を提供するが、乳剤の安定性も改善する、純ラノリンおよびラノリン誘導体(たとえば、水素化ラノリン)。
d.油質および蝋質の長鎖炭化水素であり、油皮膚軟化薬と組み合せて使用したとき、すぐれた皮膚軟化性を提供し、且つ乳剤の安定性も改善する、ペトラタム。
【0058】
e.融点が50℃より高く、且つ分子量が400より大きいミクロクリスタリンワックスおよび分枝炭化水素ワックス。この例としては、共にPetrolite Corp.,Tulsa,Oklahomaから入手できる、数平均分子量が2800である「VYBAR 103」分枝炭化水素および「ULTRAFLEX」ミクロクリスタリンワックがあるが、これらに限定されない。
f.酸化によって改質したワックスから調製される酸化ワックスおよび改質炭化水素ワックス、酸化ワックスの塩類、ポリオレフィン類の無水マレイン酸付加物、および酸化された合成ワックスまたは石油ワックスのウレタン誘導体。適切なワックスとしては、Petrolite's CardisまたはPetronaubaミクロクリスタリンおよびポリエチレン系酸化生成物Polymekon(塩類)およびCeramer(無水物付加物)などがある。
【0059】
g.ポリエチレンの完全飽和ホモポリマー、または融点が130℃未満であり、且つ溶融粘度が低い、3,000以下の分子量を有する様々なアルケンモノマーのコポリマー。適当なワックスの例としては、Petrolite Corp.から入手可能な「POLYEWAX」などがある。
【0060】
芳香剤
本発明の組成物は芳香剤を含んでもよい。芳香剤を含む場合、皮膚刺激および/または感作反応を惹起することが判明している芳香剤もあるため、注意深く芳香剤を選択しなければならない。
【0061】
噴射薬
本発明の組成物は、適当な噴射薬を加えることによって、エアゾールフォームまたはムースに調合することが可能である。弁が詰るのを防止するために、容器からの適切なデリバーを確実にするように、噴射薬を選択しなければならない。この噴射薬は、クロロフルオロカーボン類(CFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン類(HCFC)、ヒドロフルオロカーボン類(HFC)、過フッ素化アルカン類、および低級アルカン類(C1〜C%)ならびに酸化窒素ジメチルエーテルおよび他の溶剤可溶性噴射薬から選択することができる。好ましい噴射薬は低級アルカン類、たとえば、プロパン、ブタン、およびイソブタンであり、これは、低級アルカン類を使用すると粘性が劇的に失われ、配合物の分取が容易になるためである。特に好ましい実施態様はプロパン/イソブタノールの70:30混合物である。エアゾール組成物を製造するために、抗菌ローションを先ず調合し、適当な圧力定格容器に充填する。便宜上、充填を容易にするために、配合物を溶融温度より高い温度まで加熱してもよい。次いで、約2〜30容量%、好ましくは3〜20容量%の圧力下で噴射薬を加える。噴射約は分離した層を形成してもよく、組成物中で乳化したままであってもよい。
【0062】
医薬品
本発明の組成物で使用するのに適した医薬品(たとえば、薬剤、薬物、プロドラッグなど)は、生物学的機能を変えて、疾患または異常な状態を治療、治癒および/または予防するために、哺乳動物に経皮的に(すなわち、皮膚内および/または皮膚を通って循環系に)デリバーされることを意図した化合物である。
【0063】
適当な医薬品は、水溶性、極性、構造、および分子量などのような特性の最適組み合わせを示す。たとえば、分子量は約100Da〜約5000Daであり、好ましくは約200Da〜1200Daである。適当な医薬品の例としては、米国特許第4,752,612号(Saitoら)に記載のものなどがある。
【0064】
適当な医薬品としては、抗炎症薬(ステロイド系(たとえば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン)も非ステロイド系(たとえば、ナプロクサン、ピロキシカム)も)、抗菌薬(たとえば、ペニシリン類、たとえばペニシリンV、セファロスポリン類、たとえば、セファレキシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン、スルファチアゾール、ニトロフラントイン、およびキノロン、たとえば、ノルフロキサシン、フルメキン、およびイバフロキサシン)、抗原虫薬(たとえば、メトロニダゾール)、抗真菌薬(たとえば、ナイスタチン)、血管拡張薬(たとえば、ニトログリセリン)、カルシウムチャネル遮断薬(たとえば、ニフェジピン、ジルチアゼム)、気管支拡張薬(たとえば、テオフィリン、ピルブテロール、サルメテロール、イソプロテレノール)、酵素インヒビター、たとえば、コラゲナーゼインヒビター、プロテアーゼインヒビター、エラスターゼインヒビター、リポキシゲナーゼインヒビター(たとえば、A64007)、およびアンギオテンシン変換酵素インヒビター(たとえば、カプトプリル、リシノプリル)、他の降圧剤(たとえば、プロプラノロール)、ロイコトリエン拮抗薬(たとえば、ICI204,219)、H2拮抗薬などのような抗潰瘍薬、ステロイドホルモン(たとえば、プロゲステロン、テストステロン、エストラジオール、レボモルゲステレル)、抗ウイルス薬および/または免疫調節薬(たとえば、1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4アミン、1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4アミン、アシクロビル)、局所麻酔薬(たとえば、ベンゾカイン、プロポホール)、強心薬(たとえば、ジギタリス、ジゴキサン)、鎮咳薬(たとえば、コデイン、デキストロメトルファン)、抗ヒスタミン薬(たとえば、ジフエンヒドラミン、クロルフェニラミン、テルフェナジン)、麻薬性鎮痛薬(たとえば、モルヒネ、フェンタニル)、ペプチドホルモン(たとえば、ヒトまたは動物性町ホルモンLHRH)、心作用生成物、たとえば、アトリオペプチド、タンパク生成物(たとえば、インスリン)、酵素(たとえば、抗ペスト酵素、リゾチーム、デキストラナーゼ)、鎮吐薬(たとえば、スコポラミン)、抗痙攣薬(たとえば、カルバマゼピン)、免疫抑制薬(たとえば、サイクロスポリン)、精神治療薬(たとえば、ジアゼパム)、鎮静薬(たとえば、フェノバルビタール)、抗凝血薬(たとえば、ヘパリン)、鎮痛薬(たとえば、アセトアミノフェン)、抗偏頭痛薬(たとえば、エルゴタミン、メラトニン、スマトリプタン)、抗不整脈薬(たとえば、フレカイニド)、悪心抑制剤(たとえば、メトクロプラミド、オンダンセトロン)、抗癌剤(たとえば、メトトレキサート)、抗不安薬などのような神経薬、止血薬、抗肥満薬、ニコチン等々、ならびに医薬品的に許容できる塩類およびそれらのエステル類などがある。
【0065】
医薬品は、治療的有効量、すなわち、病気の治療において所望の治療成績をもたらすのに有効な量で、本発明の経皮的デリバリー装置内に存在する。治療的有効量を構成する量は、装置内に組み込まれる具体的な医薬品、治療すべき病気、選択される医薬品と一緒に投与される医薬品、望ましい治療期間、装置を載せる皮膚の表面積、使用する装置のタイプ、賦形剤の選択、および装置の他の成分に応じて変化する。
【0066】
浸透増強剤
個々の医薬品の浸透をさらに高めるために、低級アルコールまたは乳化剤系以外にも、さらなる化合物が組成物中に存在してもよい。これらの浸透増強剤は、乳剤の油様相またはヒドロアルコール相のいずれかに主に存在していてもよい。さらなる浸透増強剤の非限定的例としては、イソステアリン酸、オクタン酸、およびオレイン酸のようなC8〜C22脂肪酸、オレイルアルコールやラルリルアルコールのようなC8〜C22脂肪アルコール、エチルオレアート、イソプロピルミリステート、ブチルステアレート、およびメチルラウレートなどのようなC8〜C22脂肪酸の低級アルキルエステル、ジイソプロピルアジペートのようなC6〜C8二酸のジ(低級)アルキルエステル、グリセリルモノラウレートのようなC8〜C22脂肪酸のモノグリセリド、テトラヒドロフラニルアルコールポリエチレングリコールエーテル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレンオキシドのアルキルアリールエーテル、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル、ポリエチレンオキシドジメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、グリセロール、酢酸エチル、アセト酢酸エステル、N−アルキルピロリドン、およびテルペン類などがある。ある種の乳化剤系は、個々の医薬品の流動性を有意に高める。これは、純粋な状熊で、皮膚温度で液体である乳化剤、たとえば、より短鎖の疎水性物質(たとえば、メチルラウレート)、不飽和疎水性物質(メチルオレアート、オレイン酸、オレイルアルコール、グリセロールモノオレアート)、および分枝疎水性炭化水素鎖(イソステアリルアルコール)を有するものに特にあてはまる。
【0067】
経皮デリバリーシステム
本発明の組成物は、様々な経皮デリバリーシステム(たとえば、装置)で使用することができる。様々なこのようなシステムを記載してきた。最も単純なものは、本発明の組成物中の医薬品のローションである。他には、本発明の組成物に医薬品を組み込んで、ヒドロゲル層や接着剤などのような高分子物質内に入れるマトリックス装置、速度制御膜を通して医薬品含有ヒドロアルコール組成物を皮膚にデリバーする貯蔵器装置、接着剤組成物の一部として医薬品を本発明の組成物内に入れる接着剤中薬剤装置、異なる数層(たとえば、医薬品を含むための層、賦形剤を含むための層、医薬品および賦形剤の放出速度を制御するための層、装置を皮膚に付着させるためのの層)を含む、より複雑な多層装置などがある。
【0068】
これらの各装置は、患者の皮膚との接触を維持するための接着剤、および使用中に外部因子から装置を保護するためのバッキングを含み、その結果、パッチを形成する。
具体例としての貯蔵器装置は、バッキング、医薬品を中に含む本発明の組成物を含むマトリックス、および任意に医薬品を皮膚にデリバーする速度を制御するための膜、接着剤層、および剥離ライナーを含む。
【0069】
組成物の代替適用法
速乾性サンスクリーンをデリバーするために、本発明の組成物をUV吸収体および油と混合してもよい。過酸化ベンゾイルのような抗菌薬も本配合物に加えてもよく、この配合物はアクネ薬として有用と思われる。本発明のシステムは、保護クリームおよびローションを形成するための保護化合物を加えて調合することも可能である。おむつかぶれから保護するための皮膚バリヤー用のバリヤー保護を提供するために加えることができる物質としては、0.1〜60%のアルジオキサ、アラントイン、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、次硝酸ビスマス、ホウ酸、カラミン、セルロース(ミクロ細孔)、コレカルシフェロール、ココアバター、タラ肝油(併用)、コロイド状オートミール、塩酸システイン、デクスパンテノール、ジメチコーン、グリセリンカロリン、ラノリン(併用)、生酵母細胞誘導体、鉱油、ペルーバルサム、ペルーバルサム油、ペトロラタム、タンパク加水分解物(1−ロイシン、1−イソロイシン、1−メチオニン、1−フェニルアラニン、および1−チロシン)、ラセメチオニン、サメ肝油、重炭酸ナトリウム、イオウ、タルク、タンニン酸、局所用スターチ、ビタミンA、白色ペトロラタム、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、および酸化亜鉛などがあるが、これらに限定されない。配合物は、競技者の足などの皮膚の真菌感染を治療するための抗真菌薬を含有することも予期される。1996年6月21に提出された、「抗菌液用ディスペンサー(Dispenser for Antimicrobial Liquids)」と題する、出願者の譲受人の同時係属米国特許第出願番号第08/668,198号および1996年6月21日に提出された「ディスペンサー用滴抵抗性ノズル(Drip Resistant Nozzle for a Dispenser)」と題する第088/668,270号に開示されているディスペンサーを使用して、不連続の、実質的に均一な量で本発明の組成物を分取することができる。
【0070】
調製方法
本発明の組成物を様々な技術で調製することができる。たとえば、その方法は、多くの場合、あらゆる固体乳化剤の融点より高い温度でポリマーをヒドロアルコール溶剤に加え、短時間混合して冷却するという簡単なものである。不溶性皮膚軟化薬および/または乳化剤を含む組成物の場合、成分を高剪断下で(たとえば、ホモジナイザーを使用して)混合することが有益と思われる。
【0071】
一般に、乳化剤のようなあらゆる固体成分を水不溶性皮膚軟化薬と一緒に1つの容器内で溶融し、これをポリマー粘度付与剤と一緒に、ヒドロアルコール溶剤および水混和性皮膚軟化薬に加える。系を加熱することが有益と思われる。高剪断混合の量および強度、冷却速度、加える順序を含む処理変数は、当業者により容易に決定される。
【0072】
試験方法
粘度
以下の実施例で(指示された場合は除く)、D型Brookfieldヘリオパスを備えたBrookfield LVDV-I+粘度計およびTスピンドルB−Fを使用して、23℃、環境圧で、粘度を測定した。スピンドルおよび速度は、粘度計がその範囲の中間で作動するように、各個に合せてスピンドルおよび速度を選択した。測定前に、全ての試料を23℃で24時間平衡化させた。好ましくは粘度計範囲の20〜80%、さらに好ましくはその範囲の30〜70%の中にとどまりながら、可能な最低速度で粘度を測定することが好ましい。全ての場合に、壁効果が全くないように、試料サイズおよび容器の幾何学を選択した。「壁効果」は、粘度値が容器による影響を受けず、無限大の容器内で測定した粘度と本質的に同等であることを意味する。このような理由から、低粘度の試料は、より大きいスピンドルに合せるために大きな試料サイズを必要とした。下表に、様々な試料の粘度に好ましいスピンドルを略述する。
【0073】
【表1】

【0074】
ヘリオパスアダプターを使用して、横切った最初のパスで達成された比較的安定な最高の読み値として、各資料の粘度を測定した。
【0075】
安定性
15mlの目盛り付き遠心分離管に、ローション/クリームを形成した配合物12mlを入れることによって、環境条件で状態調整した24時間後に試料の安定性を測定した。この遠心分離管を、Labofuge B(Heraeus Sepatech GmbH,Model 2650、回転子2150およびバケツ#2101)内で、23℃、2000rpmで遠心分離した。安定性を、容量%分離として以下の実施例に記録した。
【0076】
最小阻止濃度(MIC)
トリプチカーゼ大豆寒天プレートで培養した、E.coli ATCC8739(実験株223)および/またはS.Aureus ATCC14154の一夜培養を、0.6〜1.2×106コロニー形成単位/mlの細胞密度に、ミューラー−ヒントンブロス(Mueller-Hinton Broth)に懸濁した。クロルヘキシジンをミューラー−ヒントンブロス中512μg/mlに調節し、ミューラー−ヒントンブロスで連続2倍希釈することによって、クロルヘキシジン試料を調製した。CHG含有ミューラー−ヒントンブロスを96ウェル滅菌微量滴定プレートに入れ、各ウェルを細菌と共にインキュベートした。次いで、プレートを37℃で24〜48時間インキュベートした。プレートを比較することによって、細菌の成長を視覚的に決定した。被験微生物が完全に死滅するCHGの最低濃度としてMICを決定した。
【実施例】
【0077】
以下の実施例は、本発明の一例を提供するものであって、本発明の範囲を限定する意図はない。
実施例1:第四級セルロース粘度付与剤および粘度
以下の基本配合物を使用して、一連の抗菌性組成物を調製した。
【0078】
【表2】

【0079】
この基本的な皮膚軟化薬/溶剤系に、「CELQUAT」ポリマーおよびクロルヘキシジンジグルコネート(CHG)を下表に示す量で加えた。ポリマーを粉末として加え、勢いよく振り動かし、60℃のオーブンに一晩入れて、確実に完全に溶解させる。指示された最終濃度に到達するのに必要な量のCHGを、20%(w/v)水溶液として加えた。
【0080】
【表3】

【0081】
Brookfield LVT粘度計とスピンドル#3を使用したブルックフィールド粘度(Brookfield Viscosity)。
【0082】
結果から、両「CELQUAT」ポリマーはともに、ヒドロアルコール溶剤系に粘度付与できることがあわかる。また、粘度は、CHGの存在によって有意に影響されない。結果から、2重量%の「CELQUAT 230M」は、3重量%の「CELQUAT H−100」よりもはるかに有効な粘度付与剤であり、有意に高い粘度を達成することがわかる。一般に、低固形物含有量で粘度が高いほど、結果としてすぐれた化粧品特性が得られる。
【0083】
実施例2:第四級セルロース粘度付与剤および溶剤および皮膚軟化薬系の影響
CHGとシリコーン粘着防止剤(存在する場合)の両者を加えたこと以外は、実施例1に記載のものと同様の方式で以下の配合物を調製した。
【0084】
【表4】

【0085】
スピンドル#3を使用して、Brookfield LVT粘度計で試料Aおよび試料Bの粘度を測定し、以下の結果が得られた。
【0086】
【表5】

【0087】
以上の結果から、エタノール:水の比率が64:36から71:29の範囲内で、粘度はエタノールのレベルに左右されないことがわかる。粘度計の回転速度が速い方が、粘度が低いため、剪断速度は粘度に影響を及ぼすようである。
【0088】
試料Aおよび試料Bは、適用中に幾らかぬるぬる感があり、ローションが乾燥するにつれて、さらに乾燥後でも、粘着性になった。試料Cおよび試料Dも、適用中に幾らかぬるぬる感があったが、試料Cはローションが乾燥したときおよび乾燥後に、僅かに粘着性であったにすぎない。試料Dは、いったん乾燥した後は非粘着性であった。試料EおよびFは、乾燥したとき、粘着性が有意に低く、よい感じであった。試料Gは幾らかぬるぬるが進行していたが、乾燥したときよい感じであり、球状の塊を形成しなかった。
【0089】
実施例3:第四級アクリレート
第四級アクリレートや第四級アクリレートコポリマーなどのポリマーを含有する第四級エチレン的不飽和モノマーは、イオン濃度にかなり敏感であり、塩濃度を少し加えると、粘度を劇的に喪失することがある。図1に示すグラフは、以下の粘度喪失を示す。
【0090】
a.CTFA名Polyquaternium32を有するアクリルアミドとメタクリルロイルオキシエチルトリメチル塩化アンモニウム、SALCARE SC92
b.CTFA名Polyquaternium37を有するメタクリロイルオキシエチルトリメチル塩化アンモニウムのホモポリマー、SALCARE SC95
【0091】
これらの製品は、鉱油逆乳剤中50%ポリマー濃度として供給される。各ポリマーについて、ポリマー乳剤4g(ポリマー2g)を温い(60℃)68:32エタノール水96gに加え、勢いよく振り動かした。この混合物を一晩静置させた。CHGを20%水溶液として少量加え、各々を添加した後、D型ヘリオパスを備えたBrookfield DV-I+およびTスピンドルを使用して粘度を測定した。粘度を図1に示す。
【0092】
図1から、CHGを加えるにつれて粘度が次第に低下することがわかる。「SALCARE SC92」の粘度は、各濃度で、SC95の粘度より高い。塩類の混入または塩汚染を確実に最小限に抑えることによって、到達する粘度をさらに上昇させることが可能である。たとえば、供給者から受け取ったままの「SALCARE SC92」はイオン混入物を含んでいる。これらを実施例9の手順によって除去すると、粘度がより高い組成物が生じる。これを、0.5%のCHGおよび4%のポリマーを含む68:32エタノール/水について以下に示す。
【0093】
【表6】

【0094】
実施例4:「SALCARE SC92」ポリマー含有組成物
「SALCARE SC−92」を粘度付与剤として使用して、以下の配合物を調製した。エタノール/水溶液に皮膚軟化薬を加え、65℃に1時間加熱すると、その時点で全てのワックスが融解した。「SALCARE」を加え、この内容物を勢いよく振り動かし、次いで高剪断回転子/固定子ミキサーを使用して十分に混合した。評価する前に、この配合物を一晩静置させた。
【0095】
【表7】

【0096】
この配合物は、適用中、濃厚な感じがした。このローションは、粘着せずに急速に乾燥し、いったん乾燥するとよい感じであった。
【0097】
実施例5:「HYPAN QT−100」または「SALCARE SC−92」を含む組成物
粘度付与剤として「HYPAN QT−100」または「SALCARE SC−92」を使用して、以下の配合物を調製した。皮膚軟化薬をエタノール/水溶液に加え、65℃に1時間加熱すると、その時点で全てのワックスが融解した。高剪断回転子/固定子ミキサーを用いて高速で混合しながら、「HYPAN QT−100」ポリマーを徐々に加えた。十分に配合されるまで、これを混合した。試料Cに、「SALCARE SC−92」を加え、内容物を勢いよく振り動かし、もう一度、高剪断ミキサーで剪断混合した。
【0098】
【表8】

【0099】
試料Aは、ゼリー/カスタード様粘稠度を有し、乾燥時間がかなり長かった。乾燥後、本品は滑らかな感じであった、「HYPAN」ポリマーは、急速に褪せる不快な臭気を生成物に与えた。この臭気は、ポリマーを適切に浄化することによって排除できると考えられる。試料Bは、Aより濃厚な粘稠度を有し、柔らかい感じであった。試料Cは快い粘稠度を有し、ゼリーまたはカスタード様ではなかった。試料Cは滑らかで、非粘着性であり、且つ脂っぽくなかった。
【0100】
実施例6:線状合成第四級ポリマーを含む組成物
一連の線状第四級ポリマーをNalco Chemical Company,Naperville,IIIから入手し、ヒドロアルコール系における使用について評価した。各ポリマーは炭化水素油中逆乳剤として供給された(水溶液として供給された2240を除く)。ポリマーを2重量%の濃度でヒドロアルコール溶液に加えた。下表にポリマー特性をまとめる。
【0101】
【表9】

【0102】
以上のデータは、線状合成ポリマーは、好ましくは1MMcps未満の分子量を有することを示すようである。明らかに、分子量が>5MMのポリマーは、所望のものより弾力のある組成物を形成する。データから、帯電率のみで溶解特性が決定されるのではないこともわかる。
【0103】
実施例7:γ線曝露N−ビニルピロリドンコポリマーを含む組成物
γ線に曝露することによって、ポリビニルピロリドン(PVP)を架橋することができる。これは、NVPと少なくとも1種の他のモノマーとのコポリマーを使用して行うこともできる。本発明で使用するためには、コポリマーが第四級官能基を含むことが好ましい。使用した2種のポリマーを以下に記載する。
【0104】
【表10】

【0105】
これらのポリマーの一部(20%水溶液として供給される)を、室温で乾燥させ、フィルムにした。フィルムを約0.5cm2に細かく破ってガラスジャーに封じ込め、コバルトγ滅菌装置内を通過させた。ポリマーを、42.2〜44.7Mradおよび15Mradの2種類の放射線量で曝露した。これは過度のレベルであった。γ線に曝露した後、Warning配合機を使用して、乾燥ポリマーを細かい粉末に粉砕した。下表のデータは、2重量%のポリマーを含む組成物の粘度を示す。このポリマーを溶剤(重量で、60:40エタノール/水)に加え、70℃に2時間加熱し、一晩冷却した。γ線照射した「LUVIQUAT HM552」の別の試料を高剪断ミキサーで剪断混合した。試料eは、ポリマーを加熱して完全に膨張させた後で剪断混合した。試料b、c、f〜j、l〜mは、ポリマーをエタノール/水溶液に加えた直後に剪断混合し、続いて、この混合物を72℃に4分間加熱した。冷却し、下表に表示した試料に、0.5重量%の濃度までCHGを加えた。
【0106】
【表11】

【0107】
このデータから、「LUVIQUAT HM552」(NVPとビニルイミダゾリウムメトクロリドとのコポリマー)の場合、十分な粘度増強を確実にするためには、γ照射のレベルがかなり高いことが必要なことがわかる。Gafquat HS−100を高レベル(43Mrad)のγ照射に曝露すると、過度の架橋が生成した結果として、粘度が低下する可能性がある。「GAFQUAT HS−100」ポリマーの場合、17Mradも過度である可能性がある。この実験で、最適曝露レベルは決定されなかった。
【0108】
実施例8.会合性ポリマー
オクタデシルイソシアネート(Mondur O,Bayer Pittsburg,PA)をポリエチレンイミン(Polymin P SG,BASF Corp.Mount Olive NJ)と反応させ、さらに残留アミン基の一部を中和させることによって会合性ポリマーを調製した。具体的には、あらゆる微粒子を除去するために0.2μmの注射器フィルターを通して、Polymin P SGのエタノール/水溶液にMondur Oを加えた。これを、室温で60分間反応させた。この後、濃HCl(37%)を使用して、ポリエチレンイミン上の残留アミノ基の一部を中和した。官能性会合性粘度付与剤、すなわち、4000cpsより高い粘度を有する安定した組成物を生成するポリマーを実現するために、適当なレベルの疎水性置換(Mondur Oとの反応)およびHClを用いた中和が必要であった。下表に、使用した反応物のレベルに関して幾つかの配合物をまとめる。重量はすべてグラムで表してある。
【0109】
【表12】

【0110】
実施例9:架橋ジメチルアミノエチルメタクリレートの第四級アクリレートポリマー
少し架橋した、塩化メチルを使用して第四級化したジメチルアミノエチルメタクリレートのコロイド状粒子を含む第四級アクリレートポリマーは、Allied Colloids Inc.からSalcare SC95およびSC96として入手した。担体油から沈澱によって一度浄化したこの基本ポリマーおよび残留物を調合して、安定した粘性ヒドロアルコールローションを実現することができる。浄化手順は、最大限の粘度増強ならびに最小限の臭気を確実にするために望ましい。
【0111】
200gのSALCARE SC95をガラス容器に入れ、200gのトルエンを加えることによってポリマーを浄化する。この溶液を混合し、次いで約2500gのアセトンを加え、さらに混合する。高剪断ミキサーを容器に入れ、渦巻きを作った。この渦巻きに125gの蒸留水を徐々に加えた。白色のポリマーが沈澱した。凝塊形成後、溶剤相を注ぎ出した。このポリマー軟塊に、500gの蒸留水および700gのアセトンを加えた。ミキサーを使用して、均質溶液を作った。渦巻きを作ためにミキサーを再度使用して、600gのアセトンを加えた。ポリマーが再度凝塊を形成したため、液相注ぎ出した。このポリマー軟塊に350gの蒸留水と700gのアセトンを加えた。このミキサーを使用して均質溶液を作った。渦巻きを作るためにミキサーを再度使用して、600gのアセトンを加えた。ポリマーが凝塊を形成したため、液相を注ぎ出した。このポリマー軟塊をポリエチレンバッグに入れ、圧迫して溶剤をさらに除去した。このようにして得られたポリマー軟塊を真空炉内、30℃で且つ最高の真空で、一晩乾燥させた。
【0112】
エタノール/水(重量比68:32)中で十分に膨潤した「SALCARE 95」(DMAEMA Q)コロイド状粒子のサイズは、1〜25μの範囲である。光散乱を使用して、Malvern Mastersizer Eで測定するとき、平均粒子サイズは7μである。
【0113】
浄化した「SALCARE 95」(DMAEMA Q)を使用し、上述の手順に従って、以下の組成物を調製した。最初に、アルコールと水の溶液にDMAEMA Qポリマー入れ、時々混合しながら膨潤させる。次いで、この粘稠液に皮膚軟化薬ミリスチルアルコール、ジメチコーン、PG−15ステアリルエーテルおよびCHG(使用する場合)を一様になるまで混合しながら加えた。
【0114】
処方
A(0%CHG)
0.85g DMAEMA Qポリマー
0.25gミリスチルアルコール、Lanette 14、Henkel
0.25gジメチコーン、L45/350、Union Carbide
0.25g PPG-15ステアリルエーテル、Arlamol E、ICI
34.67g 190プルーフのエタノール
13.78g蒸留水
【0115】
B(0.25%CHG)
1.30g DMAEMA Qポリマー
0.25gミリスチルアルコール、Lanette 14、Henkel
0.25gジメチコーン,L45/350、Union Carbide
0.25g PPG-15ステアリルエーテル、Arlamol E、ICI
0.65gクロルヘキシジングルコネート溶液、20.48% w/v
34.24g 190プルーフのエタノール
13.06g蒸留水
【0116】
C(0.5%CHG)
1.75g DMAEMA Qポリマー
0.25gミリスチルアルコール、Lanette 14、Henkel
0.25gジメチコーン、L45/350、Union Carbide
0.25g PPG-15ステアリルエーテル、Arlamol E、ICI
1.30gクロルヘキシジングルコネート溶液、20.48% w/v
33.79g 190プルーフのエタノール
12.41g蒸留水
【0117】
D(1.00%CHG)
1.75g DMAEMA Qポリマー
0.25gミリスチルアルコール、Lanette 14、Henkel
0.25gジメチコーン、L45/350、Union Carbide
0.25g PPG-15ステアリルエーテル、Arlamol E、ICI
2.60gクロルヘキシジングルコネート溶液、20.48% w/v
33.69g 190プルーフのエタノール
11.26g蒸留水
【0118】
処方A〜Cは、ゲル様ローションであり、処方Dは半粘稠液であった。これらの高アルコールレベルでは、塩濃度が高いとDMAEMAの粘性化効率が低下する傾向があった。組成物A〜Cは本質的にゲル化しており、外見上は半透明であり、非常に滑らかな化粧品特性を備えていた。この処方は所望の乾燥時間、化粧品感、粘着性、皮膚軟化性、および最小限の臭いを有していた。
【0119】
これらの組成物の抗菌硬化および安定性も調査した。
【0120】
【表13】

【0121】
MIC成績から、CHGは、DMAEMA Q粘度付与剤または皮膚軟化薬によって不活化しないことがわかる。試料を3,000rpmで30分間遠心分離することによって、遠心分離安定性を測定した。遠心分離機はAmerican Scientific Products,Labofuge Bであった。試料の保持に使用したバイアルは、Corningの直径16mm−15mlのポリプロピレンバイアルであった。
【0122】
浄化したときと受け取ったまま使用したときの、CHGを含むときと含まないときの、且つアルコール/水の比率を変えた、「SALCARE SC95」粘度プロフィールを下表に示す。処方は、DMAEMA Q固形物2.5%であった。伝導度成績も報告する。
【0123】
伝導度は、Engineered Systems & Designs,Newark,DEの76型伝導度計(Model 76 Conductivity Meter)を使用して測定した・試料の温度を測定し、伝導度計をこの温度に調整した。電極を試料に浸漬し、これを穏やかに攪拌した。溶液の読み値を与えるように、計器の範囲を選択した。試料と試料の間に、電極を脱イオン水ですすいだ。
【0124】
【表14】

【0125】
【表15】

【0126】
実施例10:改質セルロース粘度付与剤
最初にKlucelをアルコール/水溶剤に入れ、均質になるまで時々攪拌することによって、以下の配合物を調製した。いったん均質になったら、皮膚軟化薬セチルアルコールおよびフェニルトリメチコーンを加えた。
【0127】
1.0g Klucel HF
2.0g セチルアルコール
1.0g フェニルトリメチコーン、Dow Corning 556
24.0g 脱イオン水
72.0g IPA
【0128】
この溶液は、濡れたとき、つるつるした感じがする透明な粘稠液であった。乾燥すると、この材料は乾燥中に手のひらに球状の固まりを形成する傾向があった。
【0129】
1.0g Klucel HF
2.0g セチルアルコール
1.0g フェニルトリメチコーン、Dow Corning 556
24.0g 脱イオン水
72.0g 無水エタノール
【0130】
この溶液は、濡れたとき、つるつるした感じがする不透明な粘稠液であった。乾燥すると、この材料は乾燥中に手のひらに球状の固まりを形成する傾向があった。
【0131】
特許法に従って、好ましい重量比、処理条件、および製品の使用法に関する説明を提供したが、本発明の範囲を、それらに、またはそれによって限定しようとするものではない。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明の様々な修正および変更が当業者に明白になるであろう。本出願に記載の実施例は、組成のタイプ、量および比率、ならびに本発明の配合物の製造方法が変化する可能性を例証するものである。本明細書に引用されている全ての特許、特許出願、および公告は、個々に組み込まれるかのように、その全部が参照により本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)低級アルコールおよび水を少なくとも約50:50の重量比で含むヒドロアルコール溶剤系と、
(b)環境温で固体である少なくとも1種の陽イオンポリマー粘度付与剤を含む粘度付与剤系であって、組成物が23℃で少なくとも約10,000センチポアズの粘度を有するように陽イオン粘度付与剤が選択され、組成物の総重量を基準にして少なくとも約0.5重量%の量で粘度付与剤系が存在する、粘度付与剤系と、
(c)二次的な抗菌薬
とを含む、抗菌性ヒドロアルコール組成物。
【請求項2】
pHが少なくとも約5である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記二次的な抗菌薬が、前記組成物の総重量を基準にして少なくとも約0.5重量%のクロルヘキシジン塩を含み、前記組成物が23℃で約60,000cpsより高い粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記陽イオンポリマー粘度付与剤が、陽イオン的改質セルロース、第四級化天然アミノ−官能ポリマー、およびアクリレート類、アクリルアミド類、ビニルラクタム類、酢酸ビニル類、メチルビニルエーテル類、スチレン、およびアクリロニトリルから成る群から選択されるエチレン的不飽和モノマーを基本とするポリマーから成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記粘度付与剤系が少なくとも1種の非イオンポリマー粘度付与剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記非イオンポリマー粘度付与剤が改質セルロース、少なくとも1種のコモノマーが少なくとも16個の炭素原子を有する非イオンエチレン的不飽和モノマーを基本とする会合性ポリマー、およびアクリレート類、アクリルアミド類、ビニルラクタム類、酢酸ビニル類、メチルビニルエーテル類、スチレン、およびアクリロニトリルから成る群から選択されるエチレン的不飽和モノマーを基本とするポリマーから成る群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記陽イオンポリマーが合成のポリ第四級アミンポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が23℃で少なくとも約50,000センチポアズの粘度を有するように前記ポリマー粘度付与剤が選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリマー粘度付与剤系が、前記陽イオンポリマーと会合した対イオンおよび陽イオン以外のイオンを実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが少なくとも部分的に架橋されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記陽イオンポリマー粘度付与剤が会合性ポリマー粘度付与剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の親油性皮膚軟化薬をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
安定であり、且つ1545×gで30分間遠心分離したとき約10容量%より多く分離しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
医薬品をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
(a)低級アルコールおよび水を少なくとも約60:40の重量比で含むヒドロアルコール溶剤系と、
(b)本質的に1種以上の非イオンポリマー粘度付与剤から成り、その少なくとも1種が環境温で固体である粘度付与剤系であって、組成物が23℃で少なくとも約4,000センチポアズの粘度を有するように前記1種以上のポリマー粘度付与剤が選択され、さらに、組成物の総重量を基準にして少なくとも約0.5重量%の量で粘度付与剤系が存在する、粘度付与剤系と、
(c)二次的な抗菌薬と、
を含む、抗菌性ヒドロアルコール組成物。
【請求項16】
pHが少なくとも約5である請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記非イオンポリマー粘度付与剤が、改質セルロース、少なくとも16個の炭素原子を有するアルキル側鎖を有する非イオンエチレン的不飽和モノマーを基本とする会合性ポリマー、およびアクリレート類、アクリルアミド類、ビニルラクタム類、酢酸ビニル類、メチルビニルエーテル類、スチレン、およびアクリロニトリルから成る群から選択されるエチレン的不飽和モノマーを基本とするポリマーから成る群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が23℃で少なくとも約50,000センチポアズの粘度を有するように前記ポリマー粘度付与剤が選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記ポリマー粘度付与剤が少なくとも部分的に架橋されている、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
前記非イオンポリマー粘度付与剤が会合性である、請求項15に記載の組成物。
【請求項21】
安定であり、且つ1545×gで30分間遠心分離したとき約10容量%より多く分離しない、請求項15に記載の組成物。
【請求項22】
医薬品をさらに含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項23】
(a)低級アルコールおよび水を少なくとも約60:40の重量比で含むヒドロアルコール溶剤系と、
(b)環境温で固体である少なくとも1種の会合性ポリマー粘度付与剤を含む粘度付与剤系であって、組成物が23℃で少なくとも約4,000センチポアズの粘度を有するように前記会合性ポリマー粘度付与剤が選択され、組成物の総重量を基準にして少なくとも約0.5重量%の量で粘度付与剤系が存在する、粘度付与剤系と、
(c)二次的な抗菌薬と、
を含む、ローションの形の抗菌性ヒドロアルコール組成物。
【請求項24】
pHが少なくとも約5である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記会合性ポリマー粘度付与剤が陽イオン性である、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記会合性ポリマー粘度付与剤が非イオン性である、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が23℃で少なくとも約50,000センチポアズの粘度を有するように前記ポリマー粘度付与剤が選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
医薬品をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物を不連続で且つ実質的に均一な量で分取することを含む、請求項1〜28のいずれか1項に記載の組成物を分取する方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−42680(P2011−42680A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−242066(P2010−242066)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【分割の表示】特願平10−530910の分割
【原出願日】平成9年12月18日(1997.12.18)
【出願人】(590000422)スリーエム カンパニー (144)
【Fターム(参考)】