説明

ポリマーポリオールを製造するための溶融分散プロセス

機械的分散プロセスによりポリスチレンをポリオールの中に分散させる。分散ポリマー粒子を安定化させるための安定剤が存在する。安定剤には、(1)4000〜20,000の分子量、1分子あたり0.2〜約1.2個の重合可能なエチレン性不飽和基及び1分子あたり約3〜約8個のヒドロキシル基を有する、10〜70重量%の分枝ポリオールと、(2)30〜90重量%のスチレンと、あるいはスチレン及び1以上のその他の低分子量モノマーの混合物との共重合体が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール中のポリマー粒子の分散体を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる「ポリマーポリオール」(「共重合体ポリオール」として公知な場合もある)は、よく知られた材料である。それらは複数のヒドロキシル基を有する1以上の化合物で構成されている連続相を有する。もう一つのポリマーの粒子は、ポリオール相に分散される。一般的な分散相粒子は、数ある中でも、スチレンポリマー及び共重合体(スチレン−アクリロニトリルポリマーを含む)、ポリ尿素ポリマー及びポリウレタン−尿素ポリマーである。
【0003】
ポリマーポリオールは、数十年間、分散相ポリマーを連続するポリオール相中で直接重合させることにより製造されてきた。このような方法でポリマーポリオールを製造する利点は、粒子を直接所望の粒径に調製することができることである。しかし、このプロセスにはある種の欠点がある。この欠点には、連続相に移動してその粘度を増加させる可能性のあるオリゴマー種の形成が挙げられる。分散相ポリマーと連続するポリオール相との間に起こるグラフトの程度を制御することは多くの場合困難である。その上、この重合プロセスは、様々な追加の材料、例えばフリーラジカル開始剤、連鎖移動剤などをプロセスに加えることを必要とする。これらの材料又はその分解生成物は、ポリマーポリオール生成物の中にとどまり得る。
【0004】
ポリマーポリオールを製造するためのもう一つの可能性のあるアプローチは、不連続相ポリマーを別々に重合し、次にそのポリマーをポリオール中に分散させることである。不連続相ポリマーは安価なバルク重合プロセスで製造され得るため、このアプローチは経済的な利点を提供し得ると考えられる。バルク重合プロセスではより良好な分子量制御が可能であり得る。分散ポリマーとポリオール相との間の不要なグラフトは低減するか又は回避することができる。実際的な問題は、ポリマー粒子を所望の粒径で幾分均一な分子量分布でポリオールの中に分散させることが非常に難しいことである。
【0005】
これまで形成したポリマーをポリオールの中に分散させる一方法は、ポリマーの微粉末を製造し、粉末をポリオールの中に分散させることである。非常に難しいのは、まず第一に、安い費用でポリマーをそのような微粉末に、特に幾分均一な粒径で形成すること、そして第二に、粉末を均一にポリオールの中に分散させることである。これらの理由から、この種類の方法には商業的価値がほとんどない。
【0006】
これまで形成したポリマーを分散させるもう一つの方法は、ポリマーを溶融させ、その後に溶融したポリマーとポリオールを剪断下でブレンドすることである。剪断作用により溶融ポリマーは割れて小さな液滴となり、それをポリオール相に分散させる。冷却することにより、ポリマー粒子の分散体が形成される。このアプローチは、米国特許第6,613,827号に記載されている。その特許には、これまで形成したポリマーが押出機で溶融され、押出機で界面活性剤及びポリエーテルポリオールと混合され、その後にさらに多くのポリエーテルポリオールと混合されるプロセスが記載されている。次に、混合物を冷却して粒子を凝固させる。
【0007】
米国特許第6,613,827号には、分散相ポリマーが自己分散性でない場合、安定した分散体を製造するために安定剤が必要であることが記載されている。その特許には、安定剤が、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性又はポリマー性あるいはその一部の組合せであってもよいことが言及されている。ポリエチレン粒子に適した安定剤は、無水マレイン酸変性ポリエチレンとモノアミノポリオールの反応生成物と考えられている。もう一つの適した安定剤は、エチレン−アクリル酸共重合体とモノアミンポリオールの反応生成物とされている。しかし、これらの安定剤における酸価は、これらのポリマーポリオール生成物が後にポリウレタンを製造するために使用される場合、有機錫触媒を失活させ得る。
【0008】
ポリスチレンはポリウレタンフォーム用途において分散相材料として非常によく機能するので、ポリスチレンのポリオール中の分散体が対象となる。従来の製造アプローチでは、スチレンモノマーは連続するポリオール相において現場で重合される。結果として得られるポリスチレン粒子は安定させることが非常に困難である。この粒子は生成物から沈降する傾向がある。粒子を安定させようと様々な種類の安定剤がこれらの生成物中に用いられてきた。これらの一部は、例えば、米国特許第4,640,935号、同第4,588,830号、同第4,513,124号、同第5,081,180号及び同第4,745,153号、ならびに欧州特許第1675885号に記載されている。米国特許第4,745,153号には、ビニルでキャップされたポリオールと、約10重量%までのモノマー、例えばスチレン又はアクリロニトリルを重合することにより製造される、事前に形成された分散剤が記載されている。このような安定剤を使用する場合でさえ、安定したポリスチレン粒子の分散体を形成することは非常に難しい。市販の生成物は、安定した分散体を形成するために一部のアクリロニトリルとスチレンをほぼ均一に共重合する。アクリロニトリルはポリオール連続相に容易にグラフトされてさらなる安定をもたらすが、このグラフトは、生成物の粘度を増加させる、ポリオール可溶性スチレン−アクリロニトリル種の形成を導く場合が多い。ニトリル基はまた、黄変を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,613,827号明細書
【特許文献2】米国特許第4,640,935号明細書
【特許文献3】米国特許第4,588,830号明細書
【特許文献4】米国特許第4,513,124号明細書
【特許文献5】米国特許第5,081,180号明細書
【特許文献6】米国特許第4,745,153号明細書
【特許文献7】欧州特許第1675885号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、ポリオール中のポリスチレンポリマーの分散体を製造するための有用な方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、(a)液体ポリオールの連続相の中の液滴の形態でポリスチレンポリマーを分散させるために十分な条件下、安定剤の存在下で、溶融した熱可塑性ポリスチレンポリマーと液体ポリオールを混合すること、及び(b)前記液滴を冷却して前記ポリスチレンポリマーを凝固させることを含む、ポリマーポリオールを製造するための方法であり、前記安定剤には、(1)4000〜20,000の分子量、1分子あたり0.2〜約1.0個の重合可能なエチレン性不飽和基及び1分子あたり約3〜約8個のヒドロキシル基を有する、10〜70重量%の分枝ポリオールと、(2)30〜90重量%のスチレンと、あるいはスチレン及び1以上のその他の低分子量モノマーの混合物との共重合体が含まれる。
【0012】
好ましい安定剤には、以下により完全に記載されるように、20〜80重量%の共重合体及び80〜20重量%の1以上の担体が含まれる。
【0013】
もう一つの態様では、本発明は(1)4000〜20,000の分子量、1分子あたり0.2〜約1.0個の重合可能なエチレン重合可能な基及び1分子あたり約3〜約8個のヒドロキシル基を有する、10〜70重量%の分枝ポリオールと、(2)30〜90重量%のスチレンと、あるいはスチレン及び1以上のその他の低分子量モノマーの混合物との共重合体である。
【0014】
さらにもう一つの態様では、本発明は、20〜80%のA)(1)4000〜20,000の分子量、1分子あたり0.2〜約1.0個の重合可能なエチレン重合可能な基及び1分子あたり約3〜約8個のヒドロキシル基を有する、10〜70重量%の分枝ポリオールと、(2)30〜90重量%のスチレンと、あるいはスチレン及び1以上のその他の低分子量モノマーの混合物との共重合体の、B)80〜20%の1以上の担体中の分散体である。
【0015】
さらなる態様において、本発明は、ポリマーポリオール、ポリウレタン触媒、有機イソシアネート及び界面活性剤及び発泡剤を使用し、前記ポリマーポリオールが前記のポリマーポリオールを含むことを特徴とする、ポリウレタンフォームの調製のための組成物に関する。
【0016】
さらにもう一つの態様では、本発明は、有機ポリイソシアネートとポリマーポリオールの反応により調製されたフォームに関し、前記ポリマーポリオールは前記のポリマーポリオールを含む。
【0017】
なおもう一つの態様では、本発明は、有機ポリイソシアネートとポリオール組成物の反応により調製されたフォームに関し、前記ポリオール組成物は、20〜90重量%の前記のポリマーポリオールを含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、それによりポリスチレンポリマーをポリオール中に安定して分散させて共重合体ポリオール生成物を形成する、効率的かつ経済的なプロセスを提供する。安定剤が存在することにより、ポリスチレンを、ポリオールの中に安定して分散させることのできる液滴に形成することができる。この液滴は、ひとたび冷却されて粒子を形成すると、ポリオール中に分散したままとなり、沈降に抵抗性である。このプロセスは、従来のポリマーポリオール製造プロセスでは安定化が困難なポリスチレンホモポリマーでさえも効果がある。このプロセスはまた、様々なスチレン共重合体の粒子を安定化させるためにも使用することができる。
【0019】
ポリマーポリオール生成物中の連続相を形成するポリオールは、室温(25℃)で液体であり、1分子あたり平均少なくとも1.5個のイソシアネート反応性基を含む、有機材料又は有機材料の混合物である。本発明の目的において、用語「ポリオール」は、たとえ実際のイソシアネート基が特定の場合において必ずしもヒドロキシル基でないとしても、このような材料に対する簡単な用語として使用される。液体ポリオールは、平均1.8〜8個のイソシアネート反応性基/分子、特に2〜4個のこのような基を含むことが好ましい。イソシアネート反応性基は、脂肪族ヒドロキシル基、芳香族ヒドロキシル基、第一級アミノ基及び/又は第二級アミノ基であることが好ましい。ヒドロキシル基が好ましい。ヒドロキシル基は、第一級もしくは第二級ヒドロキシル基であることが好ましい。
【0020】
イソシアネート反応性基あたりのポリオールの当量は、意図する用途によって決まる。400以上、例えば400〜3000などの当量を有するポリオールは、エラストマーポリウレタン、例えばスラブ材又は成形ポリウレタンフォーム、微細気泡ポリウレタンエラストマー及び非気泡ポリウレタンエラストマーなどを形成するために好ましい。それより低い当量のポリオール、例えば31〜399の当量を有するポリオールは、硬質ポリウレタンフォーム及び構造用ポリウレタンを製造するのに好ましい。
【0021】
好ましい種類の液体ポリオールには、植物油又は動物性脂肪から調製されるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及び様々な種類のポリオールが挙げられる。
【0022】
ポリエーテルポリオールには、例えば、酸化プロピレン、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシドのポリマー、そのブロック及び/又はランダム共重合体などが挙げられる。特に対象となるものは、ポリ(プロピレンオキシド)ホモポリマー;ポリ(エチレンオキシド)含量が例えば約1〜約30重量%である、酸化プロピレン及びエチレンオキシドのランダム共重合体;エチレンオキシドでキャップされたポリ(プロピレンオキシド)ポリマー;及びエチレンオキシドでキャップされた、酸化プロピレン及びエチレンオキシドのランダム共重合体である。ポリエーテルポリオールは、低レベル(例えば、0.02meq/g未満又は0.01meq/g未満)の末端の不飽和を含んでもよい。このような低不飽和ポリエーテルポリオールの例としては、米国特許第3,278,457号、同第3,278,458号、同第3,278,459号、同第3,404,109号、同第3,427,256号、同第3,427,334号、同第3,427,335号、同第5,470,813号及び同第5,627,120号に記載されるようないわゆる二重金属シアニド(DMC)触媒を用いて製造されたものが挙げられる。ポリエステルポリオールは、一般に1分子あたり約2個のヒドロキシル基を含み、約400〜1500のヒドロキシル基あたりの当量を有する。
【0023】
適したポリエステルには、ポリオール、好ましくはジオールと、ポリカルボン酸又はそれらの無水物、好ましくはジカルボン酸又はジカルボン酸無水物の反応生成物が含まれる。その他の適したポリエステルには、環状ラクトンのポリマー、例えばポリカプロラクトンなどが含まれる。
【0024】
植物油及び動物性脂肪から調製される適したポリオールとしては、例えば、国際公開第04/096882号及び同第04/096883号に記載される、ヒドロキシメチル基を含有するポリオール;ヒマシ油、いわゆる「吹込」植物油、ならびに、植物油とアルカノールアミン(例えばトリエタノールアミンなど)を反応させて、モノグリセリド、ジグリセリド、及び脂肪酸アミドの反応生成物の混合物を形成することにより調製されるポリオールが挙げられ、それらは活性を増大させ、やや大きい親水特性をもたらすためにエトキシル化される。最後の種類の材料は、例えば英国特許第1248919号に記載されている。
【0025】
適した低当量ポリオールとしては、1分子あたり2〜8個、特に2〜6個のヒドロキシル基、第一級アミン基又は第二級アミン基を含有し、30〜約200、特に50〜125の当量を有する材料が挙げられる。このような材料の例としては、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ−ジ−又はトリ(イソプロパノール)アミン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ビス(3−クロロ−4−アミノフェニル)メタン及び2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンが挙げられる。
【0026】
ポリスチレンポリマーは、2%(すなわち、100グラムのポリオール中2グラムの熱可塑性ポリマー)以下の程度までポリオールに可溶性である。溶解度は、より好ましくは1%以下、さらにより好ましくは0.5%以下である。また、ポリスチレンポリマーは好ましくは非分散性であり、これはポリスチレンポリマーが安定剤の非存在下でポリオール相中に安定した分散体を形成しないことを意味する。
【0027】
ポリスチレンポリマーは、ホモポリマーであってもスチレンの共重合体であってもよい。共重合体である場合、重合したスチレンはポリマーの少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%及び特に85〜100重量%を構成し得る。重合したコモノマー(存在する場合)は、(1)ブロック又はランダム様式でスチレンと共重合可能であり、(2)好ましくは高い極性又は親水性でなく、かつ(3)ポリマーポリオールが生成される条件下で、又はポリマーポリオールとポリイソシアネートが反応してポリウレタン及び/又はポリ尿素ポリマーを形成する条件下で、アルコール、第一級もしくは第二級アミン、又はイソシアネート基と反応性でないべきである。適したコモノマーの例としては、例えば、アクリロニトリル、ブタジエン、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ビニルアセテートなどが挙げられる。
【0028】
ポリスチレンポリマーは、熱可塑性である。ポリスチレンポリマーは、少なくとも80℃、好ましくは少なくとも110℃、より好ましくは少なくとも130℃の溶融もしくは軟化温度を有するべきである。しかし、ポリスチレンポリマーは、ポリオールが液体であり、かつポリオールが熱的に分解されない程度の温度で加工可能なように、溶融又は軟化しなくてはならない。
【0029】
ポリスチレンポリマーの分子量は、ポリマーが所望の溶融もしくは軟化温度を有し、かつ溶融もしくは軟化したポリマーがポリマーポリオールを製造するのに適した温度でポリマーを直径100μm以下の液滴に分散させることを可能にする粘度を有するというのであれば、特に重要ではない。ポリスチレンポリマーは、ASTM D−1238に従って200℃にて5kgの加荷重下で測定した場合、適切に1〜20デシグラム/分のメルトフローインデックスを有する。
【0030】
安定剤は、少なくとも一部分、(1)4000〜20,000の数平均分子量、1分子あたり0.2〜約1個の重合可能なエチレン性不飽和基及び1分子あたり約3〜約8個のヒドロキシル基を有する10〜70重量%の分枝ポリオールと、(2)30〜90重量%のスチレンとあるいはスチレン及び1以上のその他の低分子量モノマーの混合物との共重合体である。共重合体は、好ましくは、10〜40重量%の前記(1)と60〜90重量%の前記(2)との共重合体である。より好ましくは、共重合体は、15〜35重量%の前記(1)と65〜85重量%の前記(2)との共重合体である。「低分子量」モノマーは、500以下、好ましくは150以下の分子量を有する。
【0031】
共重合体は、適切に約20,000〜約300,000の数平均分子量を有する。
【0032】
モルベースでは、重合した不飽和分枝ポリオールは、安定剤中に微量に存在する。結果として、共重合体は、使用することのできる多数の重合スチレン単位及びその他の低分子量モノマー単位を含むが、非常に少数しか含まれないのが重合した不飽和分枝ポリオール単位である。平均して、共重合体は1分子あたり約1〜約10、特に1〜5の重合した不飽和分枝ポリオール単位を含み得る。重合スチレン及びその他の低分子量単位の数は、数百であっても数千であってもよい。結果として、共重合体は、たいていの場合、単独重合スチレンの、又は別の低分子量モノマーもしくはモノマー類と共重合したスチレンの、長いブロックを含む。好ましくは、共重合体は、質量が少なくとも18,000ダルトンの少なくとも1つのこのような鎖を含む。このような鎖又は鎖群は、共重合体分子の中の末端又は内部に位置し得る。そのような鎖又は差群の存在により、共重合体はポリスチレンポリマーの分子と絡まることができると考えられる。これは、共重合体をポリスチレン粒子の液滴に付着させ、それらを安定させるのに役立つと考えられる。
【0033】
エチレン性不飽和分枝ポリオールは、出発分枝ポリオールから便宜に調製される。出発分枝ポリオールは、1分子あたり平均約3.5〜約9個のヒドロキシル基を含む。好ましい出発分枝ポリオールは、1分子あたり4〜8個のヒドロキシル基を含む。本発明の目的において、ヒドロキシル基/分子の数は公称値であり、ポリオールを製造するために使用する出発物質に基づく。周知の通り、実際のポリオールの官能価は、重合プロセス中に形成される単官能種の存在に起因して、特に酸化プロピレンポリマーについて多少低い場合が多い。
【0034】
出発分枝ポリオールは、ポリマーポリオール生成物の連続相を形成するポリオールと一緒に選定される。分枝ポリオールは、連続相ポリオールに高度に混和性であるべきである。
【0035】
出発分枝ポリオールは、好ましくは、少なくとも6000、より好ましくは少なくとも8,000の分子量を有する。その分子量は、好ましくは16,000までである。好ましくは、出発分枝ポリオール中のヒドロキシル基は、少なくとも800ダルトン、より好ましくは少なくとも1500ダルトンの質量を有するポリマー鎖によって相互に分離される。特に好ましい出発分枝ポリオールは、「星型」ポリマーであり、小さなセンター(small center)から生じる複数のヒドロキシル基末端鎖を含む。
【0036】
好ましい出発分枝ポリオールは、ポリエーテル、特に酸化プロピレンのホモポリマー又は共重合体である。これらは、アルキレンオキシド又はアルキレンオキシドの混合物を、複数のヒドロキシル又はアミノ基を含む開始剤分子に添加することにより調製される。開始剤上のヒドロキシル及びアミノプロトンの数が、出発分枝ポリオール中のヒドロキシル基/分子の公称数を決定する。
【0037】
重合可能なエチレン性不飽和は、ヒドロキシル基と反応してその上に共有結合を形成するエチレン性不飽和基及び官能基を有する分子によって出発分枝ポリオールをキャップすることにより、その出発分枝ポリオールに誘導される。エチレン性不飽和イソシアネート、エチレン性不飽和シロキサン、エチレン性不飽和カルボン酸及びエチレン性不飽和エポキシドが、適したキャッピング剤である。具体的なキャッピング剤としては、イソシアナトエチルメタクリレート、イソプロペニルジメチルベンジルイソシアネート及びビニルトリメトキシシランが挙げられる。
【0038】
キャッピング剤及び出発分枝ポリオールは、出発分枝ポリオール1モルあたり約0.05〜約1モル、好ましくは0.08〜0.7モルのキャッピング剤の割合で反応する。キャッピングのレベルが高いほうが、共重合体に架橋を導くことができる。レベルが低いほうが、キャップされないままであり、従って重合反応に参加することのできない大部分の出発分枝ポリオール分子を生じる。これは、担体として働くさらなる量の出発分枝ポリオールと共に共重合体を分散体又は混合物として用いる場合には望ましい。キャッピング反応の生成物は、分枝したエチレン性不飽和ポリオールであり、これは一定量のキャップされない種と混合することができる。存在し得るどのキャップされない種も、以下に記載される担体材料の全て又は一部を形成する。一部のヒドロキシル基はキャッピング反応で消費されるので、この生成物は、出発分枝ポリオールが含むよりも多少少ない分子あたりヒドロキシル基を含む。分枝したエチレン性不飽和ポリオールは、1分子あたり平均3〜8個のヒドロキシル基を含むべきである。1分子あたりのヒドロキシル基の数は、出発分枝ポリオールの1モルあたりのキャッピング剤のモルの数を、キャップされた出発ポリオールの公称官能価から減算することにより計算される。
【0039】
一般に、キャッピング反応の生成物は、エチレン性不飽和を含まないキャップされない種と、エチレン性不飽和を実際に含むキャップされた種の混合物である。キャップされない種は、混合物の0〜95、好ましくは0〜70重量%を構成し得る。2以上のエチレン性不飽和基を含有する少量の種も形成され得る。
【0040】
不飽和分枝ポリオールを製造するための代替経路は、アルキレンオキシドをエチレン性不飽和アルコール又はチオール化合物上に重合することである。分枝剤、例えばグリシドールなどを重合反応に含めて必要な分枝を導入する。一般に、上記のようにヒドロキシル基の分離をもたらすために、分枝剤を重合の早期に導入し、アルコキシ化反応をさらなる分枝剤の非存在下で継続する。
【0041】
次に、不飽和分枝ポリオールを、上記のようにスチレン及び場合により1以上のその他の低分子量モノマーと重合させて、共重合体を生成する。重合は、フリーラジカル開始剤の存在下で行われることが好ましい。温度条件は、妥当な反応速度を生じるように、フリーラジカル開始剤と併せて選定される。
【0042】
重合はバルクで行ってもよいが、担体との混合物又は分散体として行われることが好ましい。担体は、担体及びモノマーの総合重量の約80%まで、好ましくは約20〜80%、より好ましくは約50〜80%を構成する。担体材料には、例えば、出発分枝ポリオール、及び又は別のポリオールが含まれてもよい。既に述べたように、キャップされたポリオールは、不完全なキャッピングに起因して、ある程度の量の出発分枝ポリオールを含み得る。あるいは又はそれに加えて、より多くの出発分枝ポリオール又は別のポリオールを重合段階の間に添加して、生成物の粘度を低下させ、かつ/又は溶媒和させる助けとすることができる。別のポリオールを担体の全部又は一部として使用する場合、そのヒドロキシル当量は31〜3,000以上であってもよく、1分子あたり2〜8個又はそれ以上のヒドロキシル基を有してもよい。それはエチレン性不飽和分枝ポリオールと混和性であるべきである。好ましいポリオール担体材料(出発分枝ポリオール以外)は、300〜2,000のヒドロキシル当量を有するポリエーテルポリオールである。
【0043】
あるいは又はそれに加えて、担体には、約250以下の分子量を有し、ポリオールでなく、スチレンの溶媒である、1以上の化合物が含まれてもよい。この種類の適した担体としては、芳香族炭化水素、例えばトルエンなど、脂肪族炭化水素、例えばヘキサンなど、モノアルコール、例えばエタノール及びイソプロパノールなど、ならびにケトン、例えばアセトンなどが挙げられる。
【0044】
好ましくは、担体の重量の少なくとも50%は、31〜3,000又はそれ以上のヒドロキシル当量を有し、かつ1分子あたり2〜8個又はそれ以上のヒドロキシル基を有する、出発分枝ポリオール及び/又は別のポリオールで構成されている。好ましくは、担体の重量の50%以下は、250以下の分子量を有する、スチレンの非ポリオール溶媒で構成されている。非ポリオール溶媒は、仮に存在する場合、より好ましくは担体材料の40重量%以下、さらにより好ましくは30重量%以下を構成する。
【0045】
低分子量の非ポリオールが担体の全部又は一部として使用される場合、それは、ポリマーポリオールを製造するために安定剤が使用される時間の前、最中、又は後に除去されるべきである。同様に、残留モノマー及びその他の揮発性重合副生成物を、ポリマーポリオールが調製される前、最中、又は後に安定剤から除去することができる。これらの材料は、安定剤又はポリマーポリオールを減圧及び/又は高温に供することによるか、又は様々なその他のストリッピング技術により、除去することができる。
【0046】
好ましい安定剤は、
a)5〜15重量%の前記エチレン性不飽和分枝ポリオール;
b)15〜35重量%のスチレン、あるいはスチレン及び150以下の分子量を有する1以上のその他のモノマーの混合物;
c)20〜80重量%の前記出発分枝ポリオール及び/又は少なくとも1つのその他のポリオール;及び
d)0〜50重量%の約250以下の分子量を有する非ポリオール溶媒
を含有する混合物の反応生成物である。
【0047】
より好ましい安定剤は、
a)5〜12重量%の前記エチレン性不飽和分枝ポリオール;
b)18〜30重量%のスチレン、あるいはスチレン及び150以下の分子量を有する1以上のその他のモノマーの混合物;
c)25〜77重量%の前記出発分枝ポリオール及び/又は300〜2000のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つのその他のポリオール;及び
d)0〜48重量%の約250以下の分子量を有する非ポリオール溶媒
を含有する混合物の反応生成物である。
【0048】
さらにより好ましい安定剤は、
a)5〜10重量%の前記エチレン性不飽和分枝ポリオール;
b)20〜30重量%のスチレン;
c)40〜75重量%の前記出発分枝ポリオール;及び
d)0〜35重量%の約250以下の分子量を有する非ポリオール溶媒
を含有する混合物の反応生成物である。
【0049】
適したフリーラジカル開始剤には、様々なアゾ型開始剤ならびにペルオキシ型開始剤、例えばペルオキシド、ペルエステル、ペルカルボネートなどが含まれる。フリーラジカル開始剤の具体的な例としては、アゾビス(イソブチロニトリル)、t−ブチルペルオキシジエチルアセテート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどが挙げられる。連鎖移動剤を用いて分子量を制御するのに役立たせてもよい。フリーラジカル開始剤及び連鎖移動剤(存在する場合)の量は、上記のような分子量を有する共重合体分子を生成するように選定される。
【0050】
ポリマーポリオールは、熱可塑性ポリスチレンポリマーを溶融すること及び安定剤の存在下で溶融したポリスチレンポリマーを液体ポリオールの中に分散させることにより製造される。条件は、ポリスチレンポリマーを液体ポリオールの連続相の中に液滴の形態で分散させるために十分なものである。次に、分散体を冷却してポリスチレンポリマー液滴を凝固させて粒子を形成する。
【0051】
ポリマーポリオールを製造するために適した装置及び方法は、例えば、米国特許第6,613,827号に記載されている。装置は、溶融したポリスチレンポリマーをポリオールの存在下で剪断して液滴にすることができ、次いで分散した液滴を冷却及び凝固することができるまで攪拌又は剪断下で維持することのできる、あらゆる装置であってもよい。好ましい装置は押出機である。この方法は回分式、連続式、又は半連続式で実行してもよい。
【0052】
好ましいプロセスでは、押出機の第1の混合部分で、溶融したポリスチレンポリマーを安定剤、又は安定剤と一部のポリオールの混合物と最初に混合する。ポリスチレンポリマーは、押出機の第1の混合部分、又は押出機の上流の部分で溶融されてもよい。あるいは、ポリスチレンポリマーは、溶融した材料として押出機に供給されてもよい。後者の場合では、溶融ポリマーは、注入ポート、ホッパー又は粘稠な流体を取り扱うことのできる同様の供給装置を通じて押出機に供給されてもよい。好ましい実施形態では、ポリスチレンポリマーは第1の押出機で溶融され、その溶融体は第2の押出機のバレルの中に供給されて、そこでポリマーポリオールを形成するために使用される。
【0053】
「押出機」によって、長いバレル、バレルの一端にあるか又はその近くにある出口、長いバレル内の混合エレメント、及び、液体又は溶融した材料を、基本的に混合エレメントを通り抜けるプラグ流として出口に、そして出口の外に押し出すための手段を有する装置が意味される。最も一般的に、押出機は、バレルの内部に位置する1以上の長手方向の回転スクリューを有する。1又は複数のスクリューは、一般に押出し機能及び混合機能の両方を行うように設計されているが、スクリューがこれらの機能の一方又は他方だけを行い、何らかの他の装置がもう一方を行うことも可能である。例えば、押出機バレルには、混合機能が行われる静的混合エレメントによって(though)材料を押出すように設計されている、1以上のスクリューが含まれてもよい。しかし、最も好ましい装置は、スクリューに混合エレメントが含まれる、単軸もしくは二軸スクリュー押出機である。
【0054】
好ましいプロセスでは、押出機は、第1の混合部分の内部又は上流に少なくとも1つの注入ポートを含む。安定剤又は安定剤/ポリオール混合物は、1又は複数の注入ポートで押出機に導入され、第1の混合部分で溶融したポリスチレンポリマーと混合される。ポリスチレンポリマーを安定剤又は安定剤/ポリオール混合物と事前にブレンドし、そのブレンドを第1の混合部分(以下に記載されるように、そこでそれらは混合される)に導入することが可能である。
【0055】
好ましいプロセスでは、ポリスチレンポリマーは、第1の混合部分で形成された混合物の少なくとも約35重量%を構成するべきである。ポリスチレンポリマーが、第1の混合部分で形成された混合物の約50〜90重量%を構成することがより好ましい。安定剤は、混合物の1〜35重量%、好ましくは5〜25重量%を構成し得る。先行する文中、及び本明細書の他の場所の安定剤の重量には、不飽和分枝ポリオールの共重合体、スチレン及び任意のコモノマー、並びに安定剤が添加される時点に存在する任意の担体(たとえ一部又は全部のそれらの担体がその後の操作で除去される可能性があるとしても)の総合重量が含まれる。この部分で添加されるいずれのポリオールも、好ましくは混合物の重量の約25%より多くを構成するべきでない。
【0056】
好ましいプロセスでは、第1の混合部分中の成分の割合は、一般にポリスチレンポリマーの連続相の形成をもたらす。安定剤は、部分的に又は完全にポリスチレンポリマーに溶解されるか、又は液滴としてポリスチレンポリマーの中に分散されてもよい。ポリオールが第1の混合部分に存在する場合、それはポリスチレン相中に分散した液滴を形成する傾向があり、その場合安定剤分子はポリオールとポリスチレン相の境界で濃縮する傾向がある。そのため、第1の混合部分中の混合条件は、安定剤(及び使用する場合はポリオール)を溶融したポリスチレンポリマーの中に分散させるように選択される。
【0057】
第1の混合部分中の混合物の温度は、ポリスチレンポリマーが溶融したままであるように十分高い。大部分のポリスチレンポリマーは非晶質であり、その場合のプロセス温度は一般にガラス転移温度よりも上であり、好ましくはガラス転移温度よりも少なくとも15℃、より好ましくは少なくとも25℃高い。
【0058】
第1の混合部分において、ポリスチレンポリマーの溶融粘度を低下させるために、様々な材料の熱安定性に一致する、可能な限り高い温度を使用することは利点がある場合が多い。材料の著しい分解をもたらす温度条件は避けるべきである。どのような場合であっても、必要な温度は当然使用する特定の出発物質に依存する。ポリスチレンポリマーの結晶溶融温度又はガラス転移温度よりも80℃超過した温度を使用することは、通常回避することが好ましい。
【0059】
安定剤(及び存在し得るすべてのポリオール)は、それが第1の混合部分に導入される前に、第1の混合部分において望ましい温度まで、又はその温度の近くまで予熱することが好ましい。これにより、局所的なクールスポットを防ぎ、溶融したポリスチレンポリマーが局所的に凝固することを防ぐために役立つ。
【0060】
好ましいプロセスでは、結果として得られる、ポリスチレンポリマー、液体ポリオール及び安定剤(存在する場合)の混合物は、次に第2の混合部分に運搬され、そこでそれはポリオールと組み合わされてポリマーポリオールを形成する。所望であればこの段階でさらなる安定剤を添加してもよい。この文脈において「運搬される」は、単に混合物を押出機の下流に向かって第2の混合段階が行われる区画に移動させることを意味する。これは、一般に、プラグ流の様式で押出機を通じて材料を前方に移動させる、1又は複数の押出機スクリューの通常の操作によって行われる。
【0061】
第2の混合段階の混合比は、一般にそこで形成されるポリマーポリオールが約1〜約70重量%、好ましくは15〜60重量%、より好ましくは約25〜55重量%のポリスチレンポリマーの分散液滴を含むような比である。安定剤は、ポリマーポリオールの1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、さらにより好ましくは4〜7重量%を構成してもよい。液体ポリオール相は、ポリマーポリオールの40〜98重量%を構成してもよい。好ましくは、ポリオール相は、ポリマーポリオールの重量の33〜80%を構成する。
【0062】
第2の混合部分では、ポリスチレンポリマーは、液体ポリオールの連続相に分散される液滴に形成される。安定剤は主にポリオール相とポリスチレンポリマー液滴の間の界面又はその近くに存在する。
【0063】
混合物は、第2の混合部分においてポリスチレンポリマーを所望のサイズの別個の液滴に分散させるために十分な剪断に供される。一般に、ポリスチレンポリマーは、直径約100nm〜100μmの液滴に形成される。好ましい最小粒径は、少なくとも250nmである。好ましい最小粒径は20μmである。特に好ましい粒径は、500nm〜20μmである。
【0064】
第2の混合部分の温度条件は、一般に第1の混合部分に関して記載されるとおりである。温度は2つの混合部分で必ずしも同一である必要はないが、同一であってもよい。これまでのように、液体ポリオールを第2の混合部分に添加する前に予熱して、ポリスチレンポリマー粒子の局所冷却及び早期凝固を防ぐことが好ましい。
【0065】
「第1」及び「第2」の混合部分という用語の使用は、本明細書において好ましいプロセスのこれらの部分の相対順序を示すためだけに用いられる。混合部分を「第1」及び「第2」として記述することは、このプロセスにおいて行われるその他の混合段階の可能性を排除することを意図するものではない。また、記載される混合段階の一方又は両方は、一連の2以上の異なる下位段階、一連の2以上の押出機の異なる混合部分、又はさらに複数の装置において、行うことも可能である。
【0066】
ポリオールは多くの場合相対的に粘度の低い材料であるので、押出機において逆圧を維持してポリスチレンが分散されるより前にポリオール相が押出機から流れ出ることを防ぐことが常に必要である。圧力は、特に(好ましいプロセスにおいて)第2の混合部分で、500kPa以上に維持される。好ましい圧力は、少なくとも1000kPaである。5000kPaを超過する圧力は、一般に必要でなく、あるとしてもさらなる利点はほとんどない。3000kPaまでの圧力がより好ましい。好ましいプロセスの第1の混合部分の圧力は、一般にそれほど重要ではないが、大抵の場合、そこの圧力は、第2の混合部分の圧力と同じになるか又は非常に近くなる。
【0067】
押出機は基本的にプラグ流様式で動作するので、第2の混合部分(及び全体として押出機)の圧力を制御する便宜な方法は、制限流領域を第2の混合部分の下流に設けることである。この制限流領域は、便宜には、押出機の出口の端部又はその近くに位置する。「出口の端部」は、第2の混合部分から下流の押出機の部分であり、それを通じてポリマーポリオール生成物が押出機から除去される。
【0068】
制限流領域は、一般に、ポリマーポリオールが押出機から除去されるために流れねばならない小さな断面領域として記述され得る。この小さな断面は、ポリマーポリオールが所与の圧力で流れることのできる速度を制限する。この時点で流れを制限することにより、第2の混合部分及びほとんどの場合は押出機全体において、上流に逆圧が作り出される。この圧力は、この小さな断面領域により形成される制限に対する、スクリューの作用又は押出機を通じて材料を押し出すその他の推進力の作用の結果である。実際の圧力は当然、領域の断面、ポリマーポリオールの粘度、及び加えた力の関数となる。
【0069】
ポリマーポリオールの流れを制限するために好ましい装置は、背圧レギュレーターである。これらの背圧レギュレーターには、変動する断面を有する1又は複数の導管が含まれる。それらは、所定の圧力が背圧レギュレーターの上流に維持されるように1又は複数の導管の断面積を調節することにより動作する。この種類の装置の多くは市販されており、それには、Fluid Control Systems,Inc.,Spartanburg,South CarolinaによりGO Regulatorsの商標名で販売されるものが含まれる。好ましい背圧レギュレーターは、第2の混合部分(及び所望であれば押出機のその他の部分)において所定の背圧を得るよう調節することができ、所定の最大圧力を超過した場合に過剰圧力を開放させる高圧開放機構(high pressure release mechanism)を有する。
【0070】
ポリスチレンポリマーをポリオールの中に分散させた後、結果として得られるポリマーポリオールを、分散ポリスチレンポリマー液滴を凝固させて粒子を形成するために十分なほど冷却する。ポリマーポリオールは、凝集及び/又は機器の付着を避けるために粒子が凝固するまで攪拌するべきである。結果として得られる粒子のサイズは、冷却される前の液滴のサイズに非常に近くなるが、結晶性もしくは半結晶性ポリマーの場合には相変化に起因するか、または熱膨張もしくは収縮に起因するいくらかの小さな差異があり得る。冷却段階は、押出機の内部で、又はポリマーポリオールが押出機から排出された後に行ってもよい。ポリマーポリオールを押出機の内部で冷却する場合、それが制限流領域に達するまでにそれを冷却することが好ましい。これにより、装置のその領域における機器の付着物を低減又は防止することができ、そこで粒子の凝集が生じるのを防止又は低減することができる。あるいは、冷却は、ポリマーポリオールが押出機から排出された後に(例えばポリマーポリオールが並流(co-flow)もしくは向流熱交換器を通過するなど)、行ってもよい。また、押出機からの排出物を急冷するために、ポリマーポリオールを低温で動作する混合容器中で冷却することも可能である。
【0071】
このようにして生成したポリマーポリオールは、揮発性物質、反応副生成物、未反応モノマー及びその他の不純物を除去するように処理することができる。安定剤がこれまで除去されていない溶媒を含む場合、この段階でポリマーポリオール生成物からその溶媒を除去してもよい。これは、ポリマーポリオールを熱及び/又は減圧に供することにより便宜に行われる。温度は、ポリスチレンポリマーの分散粒子が溶融又は軟化するほど高くあってはならない。
【0072】
冷却段階の前又は後に、押出機の減圧区画においてポリマーポリオールを液化させることも可能である。
【0073】
ポリマーポリオールは、幅広い種類のポリウレタン及び/又はポリ尿素生成物を製造するために有用である。ポリウレタン及び/又はポリ尿素生成物は、ほとんどの場合エラストマー材料であり、非気泡型、微細気泡型又はフォームであってもよい。ポリウレタンは、一般に、ポリマーポリオール又は分散体とポリイソシアネートを反応させることにより調製される。ポリマーポリオール生成物は、上記の種類のポリオールを含む1以上のさらなるポリオールとブレンドして、固形分を所望のレベルに調整するか、又は特定の特性をポリウレタンにもたらしてもよい。ポリイソシアネートとの反応は、気泡型の生成物が望ましい場合には発泡剤又はガスの存在下で行われる。反応は密閉金型中で行ってもよいが、一部の用途、例えばスラブ材フォームなどでは、反応混合物は、一般に多少自由に膨らんで低密度フォーム材料を形成することが許される。一般に、本発明のポリマーポリオールは、従来の材料に用いられているものと同じ一般的な種類のプロセスを用いて、従来のポリマーポリオール材料と同じように使用することができる。
【0074】
一実施形態では、ポリマーポリオールは、ポリマーポリオールがポリマーポリオール/ポリオールブレンドの20〜90重量%を構成するポリウレタンフォームの製造のために1以上のさらなるポリオールとブレンドされる。さらなる実施形態では、ポリマーポリオールは、ポリマー/ポリオールブレンドの少なくとも25又は30重量%を構成する。その他の実施形態では、ポリマーポリオールは、ポリマーポリオール/ポリオールブレンドの90重量%未満又は81重量%未満を構成する。一般に軟質もしくは粘弾性フォームを生成する場合、ポリマーポリオールはさらなるポリオールと組み合わされ、このようなポリオールは一般に2〜4の公称官能価及び20〜200のヒドロキシル価を有する。
【0075】
一般にポリマーポリオールを硬質もしくは半硬質フォームを生成する際に使用する場合、ポリマーポリオールは、3〜8の公称官能価及び250〜800のヒドロキシル価を有するポリオールと組み合わされる。
【0076】
適したポリイソシアネートとしては、芳香族、脂環式及び脂肪族イソシアネートが挙げられる。例となるポリイソシアネートとしては、m−フェニレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、1,3−及び/又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(シス及び/又はトランス異性体を含む)メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、水素化ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、水素化ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4−4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート及び4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートが挙げられる。好ましくは、ポリイソシアネートは、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、PMDI、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート又はそれらの混合物である。ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート及びそれらの混合物は、総称的にMDIと呼ばれ、全て使用することができる。トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート及びそれらの混合物は、総称的にTDIと呼ばれ、全て使用することができる。
【0077】
ポリウレタンを製造する際に使用されるポリイソシアネートの量は、一般にイソシアネート指数、すなわち反応混合物(発泡剤として使用される場合は水により提供される混合物も含む)中のNCO基のイソシアネート反応性基に対する比の100倍、で表される。従来のスラブ材フォームの製造において、イソシアネート指数は、一般に約95〜140、特に約105〜115の範囲である。成形及び高弾性スラブ材フォームでは、イソシアネート指数は、一般に約50〜約150、特に約85〜約110の範囲である。
【0078】
触媒は、多くの場合ポリウレタン形成反応を促進するために使用される。特定の触媒パッケージの選定は、特定の適用、使用する特定のポリマーポリオール又は分散体、及び配合物中のその他の構成成分によって多少変動し得る。触媒は、ポリオールとポリイソシアネートの間の「ゲル化」反応、及び/又は、多くのポリウレタンフォーム配合物において、尿素結合及び遊離二酸化炭素を生成してフォームを膨張させる水/ポリイソシアネート(発泡(blowing))反応を触媒することができる。水発泡性フォームを製造する際には、発泡反応を好む少なくとも1つの触媒とゲル化反応を好む少なくとも1つのその他の触媒の混合物を使用することが典型的である。
【0079】
幅広い種類の材料がポリウレタン形成反応を触媒することで知られており、それには、第三級アミン、第三級ホスフィン、様々な金属キレート、酸金属塩、強塩基、様々な金属アルコラート及びフェノラートならびに有機酸の金属塩が含まれる。最も重要な触媒は、第三級アミン触媒及び有機錫触媒である。第三級アミン触媒の例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジザオビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン及び、アルキル基が4〜18個の炭素原子を含むジメチルアルキルアミンが挙げられる。これらの第三級アミン触媒の混合物が使用される場合が多い。
【0080】
有機錫触媒の例は、塩化第二錫、塩化第一錫、第一錫オクトエート、第一錫オレエート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、その他の式SnR(OR)4−n(式中、Rはアルキル又はアリールであり、nは0〜2である)の有機錫化合物などである。有機錫触媒は、一般に、使用する場合には1以上の第三級アミン触媒と併せて使用される。有機錫触媒は強いゲル化触媒である傾向があるので、それらは、特に高弾性フォーム配合物中で、少量で使用されることが好ましい。市販されている対象の有機錫触媒としては、Dabco(商標)T−9及びT−95触媒(両方ともAir Products and Chemicals社より入手可能な第一錫オクトエート組成物)が挙げられる。
【0081】
触媒は、一般に少量で使用され、例えば、各々の触媒が高当量ポリオールの約0.0015〜約5重量%で用いられる。
【0082】
フォームを形成する場合、ポリイソシアネートとポリオール成分の反応は、発泡剤の存在下で行われる。適した発泡剤としては、物理的発泡剤、例えば様々な低沸点クロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、炭化水素などが挙げられる。地球温暖化及びオゾン除去可能性が低いか又はゼロであるフルオロカーボン及び炭化水素が、物理的発泡剤の中でも好ましい。ポリウレタン形成反応の条件下で分解又は反応する化学発泡剤も有用である。非常に最も好ましい化学発泡剤は水であり、水はイソシアネート基と反応して二酸化炭素を遊離させ、尿素結合を形成する。水は、好ましくは単独で発泡剤として使用され、この場合、100重量部の高当量ポリオールあたり約1〜約7、特に約2.5〜約5重量部の水が一般に使用される場合に唯一の発泡剤として使用される。また、水は物理的発泡剤、特にフルオロカーボンもしくは炭化水素発泡剤と組み合わせて使用される。その上、ガス、例えば二酸化炭素、空気、窒素又はアルゴンなどを、起泡プロセスにおいて発泡剤として使用してもよい。二酸化炭素はまた、液体として、又は超臨界流体として使用することができる。
【0083】
界面活性剤もポリウレタンフォームを調製する場合に使用される。ポリウレタンフォームを製造する際に慣用される幅広い種類のシリコーン界面活性剤を、本発明のポリマーポリオール又は分散体を用いるフォームの製造に使用することができる。このようなシリコーン界面活性剤の例は、Tegostab(商標)(Th.Goldschmidt and Co.)、Niax(商標)(GE OSi Silicones)及びDabco(商標)(Air Products and Chemicals)の商品名で市販されている。
【0084】
前述の成分に加えて、ポリウレタン配合物は、様々なその他の随意の構成成分、例えば気泡開放剤(cell openers);充填剤、例えば炭酸カルシウムなど;色素及び/又は着色剤、例えば二酸化チタン、酸化鉄、クロムオキシド、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン類及びカーボンブラックなど;補強剤、例えばファイバーガラス、カーボンファイバー、フレークガラス、マイカ、タルクなど;殺生物剤;防腐剤;酸化防止剤;難燃剤などを含んでもよい。
【0085】
一般に、ポリウレタンフォームは、要望に応じ、発泡剤、界面活性剤、触媒及びその他の随意の構成成分の存在下で、ポリイソシアネート及びポリオールが反応してポリウレタン及び/又はポリ尿素ポリマーを形成すると同時に発泡剤が反応混合物を膨張させるガスを生成するような条件下で、ポリイソシアネートとポリマーポリオールを混合することにより調製される。フォームは、いわゆるプレポリマー法(例えば、米国特許第4,390,645号に記載)により形成されてもよく、その方法では、化学量論的に過剰なポリイソシアネートを最初に高当量ポリオールと反応させてプレポリマーを形成し、それを第2段階で鎖延長剤及び/又は水と反応させて所望のフォームを形成する。起泡法(例えば、米国特許第3,755,212号;同第3,849,156号及び同第3,821,130号に記載)も適している。いわゆるワンショット法(例えば米国特許第2,866,744号に記載)が好ましい。このようなワンショット法では、ポリイソシアネート及び全てのポリイソシアネート反応性成分を同時に一緒にして反応させる。本発明での使用に適した、広く用いられる3種類のワンショット法には、スラブ材フォームプロセス、高弾性スラブ材フォームプロセス、及び成形フォーム法が含まれる。
【0086】
以下の実施例は本発明の説明するために提供されるが、その範囲を制限することを意図しない。全ての部及び百分率は特に断りのない限り重量による。
【0087】
実施例1〜13
12,000分子量のソルビトール開始ポリオールを、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(TMI)と1:0.45のモル比で反応させる。この反応により、ポリオール分子の約40%で末端ビニル不飽和を有する、TMIでキャップされたポリオールが導入される。この生成物は、約60%の出発分枝ポリオールと40%のTMIでキャップされたポリオール分子の混合物である。TMIでキャップされた分子は、約5個のヒドロキシル基/分子を含む。この反応生成物を使用して、以下の一般法を用いて安定剤1〜13を製造する。
【0088】
TMIでキャップされたポリオール混合物をさらなる担体の存在下で次の通りスチレンと共重合させる:TMIでキャップされたポリオール混合物及びさらなる担体(表1に示される通り)を、電気加熱、還流冷却器及びオーバーヘッド攪拌器を備えた三口の1リットル丸底フラスコに充填し、125℃に加熱する。スチレン、0.1部のアゾ型フリーラジカル開始剤及び0.1部のメルカプタン連鎖移動剤の混合物を120分の時間供給する。供給が完了した後、混合物を125℃にて30分間維持し、さらなる量の0.1重量%のアゾ型開始剤を導入する。次に、温度を125℃にてさらに40分間維持し、その時間の後、反応生成物を攪拌下で周囲温度まで冷却する。結果として得られる生成物は、スチレン及びTMIでキャップされたポリオールの担体中の共重合体の混合物である。出発物質の割合は、表1に示される。
【表1】

【0089】
安定剤実施例1〜13がポリエーテルポリオール中のポリスチレン粒子を安定化させる能力を、次の通り評価する:
30部のポリスチレン(200℃、5kgにて39g/10分のメルトフローインデックス、M145,000Da.)、10部の表1からの安定剤、及び、60部の3000分子量の、11%エチレンオキシドと89%酸化プロピレンの三官能性ランダム共重合体)を、2500rpmで運転するCowlesタービンミキサーを装備した500mLのステンレス鋼反応器中で混合する。混合は、190℃にて窒素雰囲気下で40分間行われる。結果として得られる分散体を、次に、一定に攪拌しながらポリスチレンポリマーのT(80℃)よりも十分低い温度まで冷却する。粒子のサイズは測定され、この特定の系の安定剤活性の指標として役立つ。
【表2−1】

【0090】
表2の結果は、この特定の系において様々な安定剤が粒子を安定化させる異なる能力を有することを示す。一部の一般的な傾向が示される。担体としてより大きい割合の出発分枝ポリオールを使用する安定剤は、良好な結果をもたらす傾向がある。これは、実施例3の結果を実施例1及び2と、実施例5を実施例4と、実施例7及び8を実施例6と、そして実施例12及び13と実施例11と比較することにより分かる。その上、共重合体中に70重量%以上のスチレン単位を有する安定剤もより良く機能する傾向がある。これは、例として、実施例8及び13を実施例3と比較することにより分かる。
【0091】
実施例14
ポリスチレン(Styron PS640、The Dow Chemical Company製)を210℃の単軸スクリュー押出機で溶融し、38の長さ/直径比を有する25mm Clextral共回転二軸スクリュー押出機の一つの端部に継続的に供給する。この二軸スクリュー押出機には、順番に、第1の混合部分(200℃の設定温度に維持される)、第2の混合部分(190℃の設定温度に維持される)、及び180℃の設定温度を有する冷却部分が含まれる。二軸スクリュー押出機の出口の端部には、背圧レギュレーター(Fluid Control Systems,Inc.,,Spartanburg,South Carolina製GO BP−60)が取り付けられ、背圧レギュレーターはスクリューの作用とともに、二軸スクリュー押出機において1000−2000kPaの圧力を作り出し、維持する。
【0092】
実施例3由来の安定剤及び、11%エチレンオキシド及び89%酸化プロピレンからなる3000分子量の三官能性ランダム共重合体の混合物を、混合部分の開始と同時に二軸スクリュー押出機に供給する。供給速度は、最終ポリマーポリオール生成物の重量に基づいて4〜7重量%の安定剤を提供するのに十分である。ポリスチレン及びポリオール/安定剤混合物は、回転スクリューの作用により混合され、35〜40%の分散ポリスチレン粒子を有するポリマーポリオールを生成するために十分な速度で押出機バレルの下方に移動され、そこで3000より多くの分子量のポリオールが計量される。材料は、第2の混合部分で混合及び剪断されて、ポリスチレンを連続するポリオール相に分散した液滴に形成する。次に、結果として得られる分散体は冷却部分を通過し、その次に背圧レギュレーターによりもたらされる制限された断面積を通り、押出機から外に出て攪拌槽の中に入り、そこで攪拌しながら冷却される。分散したポリスチレン粒子は攪拌槽で凝固してポリマーポリオールを形成する。結果として得られるポリマーポリオールは、7.9μmの容積平均粒子サイズ(Coulter LS230粒径測定装置を用いて測定)、35重量%の固形分及び6350mPasの粘度を有した。
【0093】
実施例15〜18
機械的に分散させたポリマーポリオール(mCPP)は、安定剤、ポリオール及びポリスチレン粒質物をZSK−25押出機に供給することにより調製する。(二軸スクリュー押出機、スクリュー直径25mm)。ポリオール及び安定剤は、別々の加熱ラインにより供給され、ポリスチレン粒質物はホッパーから供給される。ポリスチレン粒質物(Styron640)は、2.1kg/時の速度で押出機バレル(200℃に加熱され、500rpmで回転する)に供給される。押出機バレル長の約3分の1で、実施例8によって調製した安定剤を2.1kg/時及び90℃で供給する。形成された分散体をグリセリン開始ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンキャップポリオール(The Dow Chemical Companyより入手可能なVORANOL(商標)CP4735ポリオール)で希釈し、押出機バレル長の約3分の2で2.8kg/時の速度で160℃にて注入する。共重合体ポリオール生成物は、7kg/時で押出機ダイから出て、生成物取り扱い部分を経て回収され、攪拌すると同時に室温まで冷却される。分散体は、長期間安定している。
【0094】
ポリマーポリオールの特性は、固形分が35.9重量%、平均粒度が4.0〜4.5μm、25℃での粘度が7400mPa.sである。
【0095】
ポリウレタンフォームは、手動混合手順及び約200gのポリオールに基づくブレンドを用いて、ベンチで製造される。最初にポリオール、水、触媒及び界面活性剤をプラスチックカップで秤量する。加水分解のリスクを避けるため、成分を30秒間2,000RPMにて混合する直前に錫触媒を添加する。所望の量のイソシアネートが添加された直後に、混合物を5秒間混合し、次に反応体を20×20×20cmのボール箱に注入し、自由に膨張させる(free rise)。全ての生成物は25℃であった。
【0096】
フォームを室温にて少なくとも48時間硬化させた後、特性を試験する。フォームの試験は、次の試験法に従って行われる。
【表2−2】

【0097】
本発明のポリマーポリオールを用いて生成したフォームの配合及び特性を表3に示す。比較できるフォームの配合及び特性を表4に示す。表中では、次の成分が使用される。
【0098】
SPECFLEX(商標)NC632ポリオールは、The Dow Chemical Company(TDCC)より入手可能な約32.5のヒドロキシル価を有するソルビトール/グリセリン開始ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリオールである。SPECFLEX(商標)NC700ポリオールは、TDCCより入手可能な、約40%の固形分を有するコポリマー(copoymer)ポリオールである。Specflexは、TDCCの商品名である。
【0099】
DEOEは、ジエタノールアミンである。DABCO(商標)33LV、NIAX(商標)A−1及びNIAX(商標)A−300はアミン触媒である。TEGOSTAB B−8715LF及びTEGOSTAB B−8719LFは、シリコーン界面活性剤である。使用したイソシアネート(isocyante)は、TDCCよりSPECFLEX(商標)TM20として入手可能な、20% ポリマージフェニルメタンジイソシアネート(pMDI)と80% トルエンジイソシネートのブレンドである。
【表3】

【表4】

【0100】
これらの結果は、現場重合に基づく市販のポリマーポリオールに基づく対照に対して、本発明のポリマーポリオールが、より多くの量の固形分とともに硬度の増加をもたらすことを示す。
【0101】
予想外にも、本発明のポリマーポリオールは、対照よりも少ないシリコーン界面活性剤を要する。さらに、本発明のポリマーポリオールを用いて生成されたフォームは、良好な物理特性を有するフォームをもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーポリオールを製造するための方法であって、
(a)液体ポリオールの連続相の中の液滴の形態でポリスチレンポリマーを分散させるために十分な条件下、安定剤の存在下で、溶融した熱可塑性ポリスチレンポリマーと液体ポリオールを混合すること、及び
(b)前記ポリマーポリオールを冷却して前記ポリスチレンポリマーを凝固させること
を含み、
前記安定剤には、(1)4000〜20,000の分子量、1分子あたり0.2〜約1.2個の重合可能なエチレン性不飽和基及び1分子あたり約3〜約8個のヒドロキシル基を有する、10〜70重量%の分枝ポリオールと、(2)30〜90重量%のスチレンと、あるいはスチレンと1以上のその他の低分子量モノマーの混合物との共重合体が含まれる、
方法。
【請求項2】
前記ポリマーポリオールが25〜55重量%の分散したポリスチレン粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーポリオールが約2〜10重量%の安定剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記安定剤が、
(1)4000〜20,000の分子量、1分子あたり0.2〜約1.2個の重合可能なエチレン性不飽和基及び1分子あたり約3〜約8個のヒドロキシル基を有する、10〜40重量%の分枝ポリオールと、
(2)60〜90重量%のスチレンと、あるいはスチレンと1以上のその他の低分子量モノマーの混合物と
の共重合体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記安定剤が、前記共重合体を混合又は分散させている担体をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記共重合体が、安定剤の20〜80重量%を構成する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記安定剤が、
a)5〜15重量%の前記エチレン性不飽和分枝ポリオール;
b)15〜35重量%のスチレン、あるいはスチレン及び250以下の分子量を有する1以上のその他のモノマーの混合物;
c)20〜80重量%の前記出発分枝ポリオール及び/又は少なくとも1つのその他のポリオール;及び
d)0〜50重量%の約250以下の分子量を有する非ポリオール溶媒
を含有する混合物の反応生成物である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記安定剤が、
a)5〜12重量%の前記エチレン性不飽和分枝ポリオール;
b)18〜30重量%のスチレン、あるいはスチレン及び250以下の分子量を有する1以上のその他のモノマーの混合物;
c)25〜77重量%の前記出発分枝ポリオール及び/又は300〜2000のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つのその他のポリオール;及び
d)0〜48重量%の約250以下の分子量を有する非ポリオール溶媒
を含有する混合物の反応生成物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記安定剤が、
a)5〜10重量%の前記エチレン性不飽和分枝ポリオール;
b)20〜30重量%のスチレン;
c)40〜75重量%の前記出発分枝ポリオール;及び
d)0〜35重量%の約250以下の分子量を有する非ポリオール溶媒
を含有する混合物の反応生成物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(1)4000〜20,000の分子量、1分子あたり0.4〜約1.2個の重合可能なエチレン重合可能な基及び1分子あたり約3〜約8個のヒドロキシル基を有する、10〜70重量%の分枝ポリオールと、(2)30〜90重量%のスチレンと、あるいはスチレン及び1以上のその他の低分子量モノマーの混合物との共重合体。
【請求項11】
(1)4000〜20,000の分子量、1分子あたり0.2〜約1.2個の重合可能なエチレン性不飽和基及び1分子あたり約3〜約8個のヒドロキシル基を有する、10〜40重量%の分枝ポリオールと、
(2)60〜90重量%のスチレンと、あるいはスチレン及び1以上のその他の低分子量モノマーの混合物と
の共重合体である、請求項10に記載の共重合体。
【請求項12】
(1)4000〜20,000の分子量、1分子あたり0.2〜約1.2個の重合可能なエチレン性不飽和基及び1分子あたり約3〜約8個のヒドロキシル基を有する、15〜35重量%の分枝ポリオールと、
(2)65〜85重量%のスチレンと、あるいはスチレン及び1以上のその他の低分子量モノマーの混合物と
の共重合体である、請求項10に記載の共重合体。
【請求項13】
前記分枝ポリオールの分子量が8000〜16,000である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の共重合体。
【請求項14】
20,000〜300,000の分子量を有する、請求項10〜13のいずれか一項に記載の共重合体。
【請求項15】
1〜5の分枝ポリオール反復単位を含む、請求項10〜14のいずれか一項に記載の共重合体。
【請求項16】
A)20〜80%の(1)4000〜20,000の分子量、1分子あたり0.2〜約1.0個の重合可能なエチレン重合可能な基及び1分子あたり約3〜約8個のヒドロキシル基を有する、10〜70重量%の分枝ポリオールと、(2)30〜90重量%のスチレンと、あるいはスチレン及び1以上のその他の低分子量モノマーの混合物との共重合体の、B)80〜20%の1以上の担体中の混合物。
【請求項17】
前記担体が、前記出発分枝ポリオール、別のポリオール、約250以下の分子量を有する非ポリオール化合物を含み、スチレン、あるいはその2以上の混合物のための溶媒である、請求項16に記載の混合物。
【請求項18】
前記担体が、前記出発分枝ポリオール、又は前記出発分枝ポリオールと約250以下の分子量を有する非ポリオール化合物の混合物を含み、スチレンのための溶媒である、請求項17に記載の混合物。
【請求項19】
約50〜80重量%の前記担体を含む、請求項16〜18のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項20】
a)5〜15重量%の前記エチレン性不飽和分枝ポリオール;
b)15〜35重量%のスチレン、あるいはスチレン及び150以下の分子量を有する1以上のその他のモノマーの混合物;
c)20〜80重量%の前記出発分枝ポリオール及び/又は少なくとも1つのその他のポリオール;及び
d)0〜50重量%の約250以下の分子量を有する非ポリオール溶媒
を含有する混合物の反応生成物である、請求項16〜19のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項21】
a)5〜12重量%の前記エチレン性不飽和分枝ポリオール;
b)18〜30重量%のスチレン、あるいはスチレン及び150以下の分子量を有する1以上のその他のモノマーの混合物;
c)25〜77重量%の前記出発分枝ポリオール及び/又は300〜2000のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つのその他のポリオール;及び
d)0〜48重量%の約250以下の分子量を有する非ポリオール溶媒
を含有する混合物の反応生成物である、請求項16〜19のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項21】
a)5〜10重量%の前記エチレン性不飽和分枝ポリオール;
b)20〜30重量%のスチレン;
c)40〜75重量%の前記出発分枝ポリオール;及び
d)0〜35重量%の約250以下の分子量を有する非ポリオール溶媒
を含有する混合物の反応生成物である、請求項16〜19のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項22】
ポリマーポリオール、ポリウレタン触媒、有機ポリイソシアネート、界面活性剤及び発泡剤を使用し、前記ポリマーポリオールが、請求項10〜15のいずれか一項に記載のポリマーポリオールを含むことを特徴とする、ポリウレタンフォームの調製のための組成物。
【請求項23】
有機ポリイソシアネートとポリマーポリオールの反応により調製されるフォームであって、前記ポリマーポリオールが、請求項10〜15のいずれか一項に記載のポリマーポリオールを含む、フォーム。
【請求項24】
有機ポリイソシアネートとポリオール組成物の反応により調製されるフォームであって、前記ポリオール組成物が、20〜90重量%の請求項10〜15のいずれか一項に記載のポリマーポリオールを含む、フォーム。

【公表番号】特表2011−525208(P2011−525208A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514810(P2011−514810)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/047808
【国際公開番号】WO2009/155427
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【出願人】(309007575)サントル・ナシオナル・ドウ・ラ・ルシエルシユ・シアンテイフイク(セー・エヌ・エール・エス) (11)
【Fターム(参考)】