説明

ポリマー光導波路及びその製造方法

【課題】 低伝送損失性に優れたポリマー光導波路を、スタンパ法により製作可能にすること。
【解決手段】 含フッ素(メタ)アクリレート(a1)と非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)とを共重合して得られるフッ素化アクリル共重合体(A)、含フッ素(メタ)アクリレート(B)、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)を含有し、得られる硬化物のガラス転移温度が60〜150℃であるUV硬化性組成物(I)からなるクラッド用材料と、前記フッ素化アクリル共重合体(A)、前記含フッ素(メタ)アクリレート(B)、前記非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)、前記多官能(メタ)アクリレート(D)を含有し、得られる硬化物のガラス転移温度が60〜150℃であり、且つ得られる硬化物の屈折率が前記クラッド用材料を用いて得られる硬化物の屈折率よりも大きいUV硬化性組成物(II)からなるコア用材料を用いてスタンパ法によりUV硬化させ、クラッド層とコア層を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のUV(紫外線)硬化性組成物を用いたポリマー光導波路、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信技術の進歩に伴い、光ファイバ網の整備及び周辺機器・部材の開発が盛んに行われている。この中で、光導波路及びそれを用いた光学素子は、光通信をオフィスや各家庭の末端ユーザーに普及させる上での必要不可欠な部材である。従来、導波路材としては光特性に優れた石英系材料を用いて実用化されていた。しかし、末端ユーザーに普及させるための材料としては高価であり、且つ加工性に劣るためニーズに合致した多様な光学素子を製造することが困難であった。
【0003】
このような状況の中で、石英に比較し安価で加工性に優れた高分子材料を用いたポリマー光導波路の検討が進められている。特にフッ素系ポリマーはフッ素原子固有の特性に由来し、可視光から近赤外光領域に亘り吸収および散乱損失が少ないため低伝搬損失であり、さらには撥水性が高いため吸湿に伴う伝搬損失増大への抑制効果が高く、該用途に好適に用いることが期待される。また、(メタ)アクリル系モノマーやオリゴマーは原料の入手容易性、反応性等から工業材料として好ましい。
【0004】
例えば、ポリマー光導波路の従来技術として、透明性とパターン形成能の向上を目的とし、特定の2官能フッ素化アクリルオリゴマーの重合物をコア層又はクラッド層の少なくとも一方に使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記特許文献1におけるフッ素化アクリルオリゴマーとは、一般には含フッ素ジ(メタ)アクリレートと称されるモノマーであり、含フッ素部分の構造が異なる化合物を併用したり、当該化合物配合量を変化させたりすることにより、目的に合致したポリマー光導波路を作製している。また、前記特許文献1には、フッ素化アクリルオリゴマー以外に、反応性化合物として少なくとも一方の末端に二重結合を有する化合物や、分子内に少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する化合物を反応性希釈剤として含んでも良いという記載がある。ここで、反応性化合物と称されている多官能オリゴマー型(メタ)アクリレートとして例示されている化合物は全て非フッ素系化合物であり、反応性希釈剤としてはフッ素系または非フッ素系(メタ)アクリレートが例示されている。一般にフッ素系化合物と非フッ素系化合物が混合された組成物において、特にある程度の分子量を有する重合性化合物を含む場合、硬化前及び硬化後における透明性を維持するための相溶性発現は、非常に困難である。通常、あらゆる組成範囲において透明性を維持できることは希であり、該組成物中における各成分の種類及び/又は量が最適化されなければ実現できない。
【0005】
一方、ポリマー光導波路に関しては、目的に応じてコア層及びクラッド層のサイズ、形態を決定し、また工業上は大量生産可能な方法で製造できなければならない。しかし、従来は、目的とするポリマー光導波路の微細なコアパターンを実現するために、安価で大量生産という点では不向きなフォトリソグラフィー法により製造されており、前記特許文献1においても、フォトリソグラフィー法を用いている。安価で大量生産可能な製造方法としては、例えばスタンパを用いた成形法(以下、スタンパ法と略記する)が挙げられるが、前記特許文献1に記載の組成物をスタンパ法に適用しようとすると、反応性化合物と称されている多官能オリゴマー型(メタ)アクリレートの種類及び/又は量を最適化し、透明性を維持し目的とする粘度を実現する必要があるが、前記特許文献1に記載された範囲の化合物では達成できなかった。
【0006】
即ち、特許文献1に記載の組成物において、透明性ひいては低伝搬損失を維持しようとすると、低い粘度になってしまいスタンパ法が適用できなかった。逆に、スタンパ法に適用するために粘度を上げようとして多官能オリゴマー型(メタ)アクリレートを導入すると、透明性が低下するという欠点があり、ポリマー光導波路をスタンパ法で安価に大量生産することはできなかった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−182046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記実状に鑑み、本発明の課題は低伝搬損失性に優れたフッ素系UV硬化性組成物を材料とするポリマー光導波路を提供すること、及び該ポリマー光導波路を工業的に大量生産可能な方法であるスタンパ法により製作可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意研究したところ、下記一般式(1)
2n+1CHCHOCOC(R)=CH ……(1)
(式中、nは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレートと非フッ素モノ(メタ)アクリレートとを共重合して得られるフッ素化アクリル共重合体、
下記一般式(2)
2m+1CHCHOCOC(R)=CH ……(2)
(式中、mは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート、非フッ素モノ(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートを含有し、得られる硬化物の動的粘弾性測定によるガラス転移温度が60〜150℃であるUV硬化性組成物からなるクラッド用材料と、前記フッ素化アクリル共重合体、前記含フッ素(メタ)アクリレート、前記非フッ素モノ(メタ)アクリレート、前記多官能(メタ)アクリレートを含有し、得られる硬化物の動的粘弾性測定によるガラス転移温度が60〜150℃であり、且つ得られる硬化物の屈折率が前記クラッド用材料を用いて得られる硬化物の屈折率よりも大きいUV硬化性組成物からなるコア用材料を用いることにより、工業的に大量生産可能なスタンパを用いた成形法が適用でき、その結果、低伝搬損失性に優れたポリマー光導波路を見出し、その合理的な製造を可能にした。
【0010】
即ち、本発明は、下記一般式(1)
2n+1CHCHOCOC(R)=CH ……(1)
(式中、nは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート(a1)と非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)とを共重合して得られるフッ素化アクリル共重合体(A)、
下記一般式(2)
2m+1CHCHOCOC(R)=CH ……(2)
(式中、mは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート(B)、
非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)、
多官能(メタ)アクリレート(D)を含有し、得られる硬化物の動的粘弾性測定によるガラス転移温度が60〜150℃であるUV硬化性組成物(I)からなるクラッド用材料と、
前記フッ素化アクリル共重合体(A)、前記含フッ素(メタ)アクリレート(B)、前記非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)、前記多官能(メタ)アクリレート(D)を含有し、得られる硬化物の動的粘弾性測定によるガラス転移温度が60〜150℃であり、且つ得られる硬化物の屈折率が前記クラッド用材料を用いて得られる硬化物の屈折率よりも大きいUV硬化性組成物(II)からなるコア用材料
を、スタンパを用いた成形法により製造したことを特徴とするポリマー光導波路を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、下記一般式(1)
2n+1CHCHOCOC(R)=CH ……(1)
(式中、nは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート(a1)と非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)とを共重合して得られるフッ素化アクリル共重合体(A)、
下記一般式(2)
2m+1CHCHOCOC(R)=CH ……(2)
(式中、mは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート(B)、
非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)、
多官能(メタ)アクリレート(D)を含有し、得られる硬化物の動的粘弾性測定によるガラス転移温度が60〜150℃であるUV硬化性組成物(I)からなるクラッド用材料とを透光性を有する基板の上に滴下する工程と、
前記クラッド用材料を前記基板とスタンパとの間に挟み込み、UV照射により硬化させてクラッド層を形成すると共にクラッド層の表面にコア溝を形成する工程と、
前記フッ素化アクリル共重合体(A)、前記含フッ素(メタ)アクリレート(B)、前記非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)、前記多官能(メタ)アクリレート(D)を含有し、得られる硬化物の動的粘弾性測定によるガラス転移温度が60〜150℃であり、且つ得られる硬化物の屈折率が前記クラッド用材料を用いて得られる硬化物の屈折率よりも大きいUV硬化性組成物(II)からなるコア用材料を前記コア溝に充填し、UV照射により硬化させてコア層を形成する工程
とからなるポリマー光導波路の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低伝搬損失性、力学的強度、耐久性(耐環境特性)等に優れ、コア層とクラッド層との密着性も良好である、フッ素系のUV硬化性組成物を材料として用いたポリマー光導波路を、工業的に安価に大量生産可能な方法であるスタンパを用いる成形法により提供することができる。また、該ポリマー光導波路の製造方法は、加工性に優れる材料と微細なコアパターンを確実に実現できる成形法を用いていることから、目的に応じた種々のポリマー光導波路を容易に作製することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲等において用いられている「〜(メタ)アクリレート」という表記は、「〜アクリレート」でもよく、「〜メタアクリレート」でもよく、また両者が含まれていてもよいということを意味する。
【0014】
本発明で得られるポリマー光導波路の特徴は、コア用材料及びクラッド用材料に特定のフッ素系UV硬化性組成物を用いることにある。
【0015】
ポリマー光導波路を安価に大量に生産する観点からは、短時間で硬化させ得ることが可能で、低コストなUV硬化性組成物を用いることは有効である。UV硬化性組成物を用いない代表的な方法として、熱硬化性組成物を用いる方法が挙げられるが、熱硬化性組成物は硬化に要する時間が長いため、熱硬化が主な硬化工程である製造方法は、コスト、生産性、作業性の観点から不利益な場合が多い。
【0016】
ポリマー光導波路を形成するコア層とクラッド層は、光導波路の目的に合致した厳密な屈折率差を必要とする。一方、コア層とクラッド層との界面で密着性不良を生じると、伝搬損失が大きくなるばかりでなく、力学的強度も低下する。また、たとえ両者の密着性が良好であっても、線膨張係数や吸湿性等の違いによって長期的に界面不整が生じ、耐久性が得られないこともある。従って、密着性が高くその他の諸物性も類似の特性を示す化合物からなる組成物を、コア用材料及びクラッド用材料として用いることは有効な手段である。(ここで言うコア用材料、クラッド用材料とは、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物の屈折率等の諸特性をコア層又はクラッド層として最適であるように調整した該組成物である。)そこで、できる限りコア用材料とクラッド用材料の組成を変化させないようにするためには、コア用材料及びクラッド用材料に対して同じ組成のベース材料を用いた上で屈折率の異なる化合物を少量導入して微小屈折率差を実現することが有効である。一般にフッ素系化合物は、フッ素原子に由来し低屈折率性を有する。従って、高フッ素含有量(低屈折率性)組成物に対して非フッ素系化合物を、逆に低フッ素含有量またはフッ素を含まない(高屈折率性)組成物に対してフッ素系化合物を少量添加することにより、コア用材料とクラッド用材料の組成ひいては諸物性を大きく変化させることなく、目的とする微小な屈折率差を得ることができる。さらに、同じ組成のベース材料を用いていることから、コア層とクラッド層を組み合わせた際の界面での密着性も良好で、ポリマー光導波路としての諸特性に優れたものとなる。本特性は、本発明で用いるUV硬化性組成物が、フッ素系化合物と非フッ素系化合物の混合物から形成されていることにより実現する特徴であり、各種シングルモードあるいはマルチモード対応の光導波路に対して容易に屈折率調整が可能となる。
【0017】
しかし、通常、フッ素系化合物と非フッ素系化合物を混合した組成物またはその硬化物は、両者の相溶性の悪さに起因し、該組成物に濁りを生じたり、硬化物において透過率の低下を引き起こしたりする。
【0018】
また、ポリマー光導波路の製造に一般的に用いられているフォトリソグラフィー法は、スピンコーティングにより構成材料が塗布されるため、ポリマー成分を含まない低粘度組成物(一般的には30mPa・s/25℃以下、すなわち25℃における粘度が30mPa・s以下)であることが好ましい。しかし、スタンパ法では後述するように該構成材料を基板若しくは硬化物上に滴下し、その形状を一定時間保持する必要があるため、ある程度の粘度を有することが好ましい。この為、塗布される該構成材料中にオリゴマー及び/又はポリマー成分が含まれることが好ましいが、オリゴマー及び/又はポリマーを含むフッ素系化合物と非フッ素系化合物との混合物では、組成物の透明性や硬化物の高透光性を実現するための相溶性制御は一層困難であり、従って、後述する特定のUV硬化性組成物をコア用材料及びクラッド用材料として用いることが必須である。
【0019】
次に、本発明で用いるコア用材料及びクラッド用材料の材料であるフッ素系のUV硬化性組成物について説明する。コア用材料及びクラッド用材料は、前述のように、得られる硬化物の屈折率差が異なる点以外では同一の必須成分を含有するUV硬化性組成物を用いており、以下の説明では、コア用材料とクラッド用材料の区別をせず、必須とする各成分について記載する。
【0020】
まず、第1の必須成分である下記一般式(1)
2n+1CHCHOCOC(R)=CH ……(1)
(式中、nは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート(a1)と非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)とを共重合して得られるフッ素化アクリル共重合体(A)について述べる。
【0021】
フッ素化アクリル共重合体(A)は、前記一般式(1)で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート(a1)と非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)とを共重合して得られる共重合体であれば、何ら制限なく用いることができる。前記含フッ素(メタ)アクリレート(a1)は、共重合体(A)を低屈折率化するために必要不可欠な成分であり、また、後述する含フッ素モノ(メタ)アクリレート(B)と他の成分である非フッ素(メタ)アクリレート(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)との相溶性維持、さらにはポリマー光導波路における透明性等の観点から重要である。前記含フッ素(メタ)アクリレート(a1)の具体例としては、以下の如き化合物が挙げられる。
a1−1 : CH=CHCOOCHCH17
a1−2 : CH=C(CH)COOCHCH17
a1−3 : CH=CHCOOCHCH1021
a1−4 : CH=C(CH)COOCHCH1021
a1−5 : CH=CHCOOCHCH13
a1−6 : CH=C(CH)COOCHCH13
a1−7 : CH=CHCOOCHCH
a1−8 : CH=C(CH)COOCHCH
a1−9 : CH=CHCOOCHCH
【0022】
本発明者等の知見によれば、前記一般式(1)で表される含フッ素(メタ)アクリレート(a1)中の炭素原子数が増加するに従い、フッ素原子含有量も増加し、得られる硬化物の低屈折率化に寄与できるものであるが、nが6近傍から該化合物の結晶性が炭素原子数と共に増加し、組成物として使用しにくくなり、nが10を超えるものでは均一な組成物を得る事が出来ない。従って、得られるポリマー光導波路の低屈折率性、力学的強度と低伝搬損失を両立させるためには、前記一般式(1)中のnが4〜8のものを用いることが好ましく、nが6〜8のものが特に好ましい。また、前記一般式(1)で示される化合物としては、1種類だけを用いても2種類以上の化合物を同時に用いても構わない。
【0023】
前記非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)は、得られる共重合体(A)の透明性、硬化性組成物中の他の成分である含フッ素モノ(メタ)アクリレート(B)、非フッ素(メタ)アクリレート(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)との相溶性や、得られるポリマー光導波路の目的とする力学特性や寸法安定性、透明性等を実現する上で必須な成分である。非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)としては、分子中にフッ素原子を含まずに、アクリロイル基またはメタクリロイル基を1個含む化合物であれば、種々の化合物を制限なく用いることができ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族基エステル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アロニックス M−5700(東亞合成工業株式会社製)、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングルコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングルコール(メタ)アクリレート、AR−200、MR−260、AR−200、AR−204、AR−208、MR−200、MR−204、MR−208(以上、大八化学株式会社製)、ビスコート 2000、ビスコート 2308(以上、大阪有機化学工業株式会社製)、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリスチリルエチル(メタ)アクリレート、ライトエステル HOA−MS、ライトエステル HOMS(以上、共栄社化学株式会社製)、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、FANCRYL FA−512A、FANCRYL FA−512M(以上、日立化成工業株式会社製)、さらには、サイラプレーン TM−0701、サイラプレーン FM−0711、サイラプレーン FM−0721、サイラプレーン FM−0725(以上、チッソ株式会社製)等のシリコーン含有モノマーが挙げられ、1種類だけを用いても良いし、2種類以上をどのような組み合わせで用いても構わない。
【0024】
これらの中でも、得られるフッ素化アクリル共重合体(A)の透明性、他の成分との相溶性ひいては得られるポリマー光導波路の低伝搬損失性を向上させるものとして、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)のエステル部置換基が脂肪族環式構造を有する、
a2−1 : ベンジル(メタ)アクリレート
a2−2 : シクロヘキシル(メタ)アクリレート
a2−3 : ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート
a2−4 : ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート
a2−5 : イソボルニル(メタ)アクリレート
a2−6 : メトキシ化シクロデカリン(メタ)アクリレート
a2−7 : フェニル(メタ)アクリレート
a2−8 : FANCRYL FA−512A(日立化成工業株式会社製)
a2−9 : FANCRYL FA−512M(日立化成工業株式会社製)
a2−10 : アダマンチル(メタ)アクリレート
a2−11 : ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート
を用いることが好ましい。さらに、ポリマー光導波路の低伝搬損失、力学的強度、寸法安定性の観点から、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートを用いることが特に好ましい。
【0025】
フッ素化アクリル共重合体(A)の製造方法には何ら制限はなく、種々の方法、即ちラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法等の重合機構に基づき、溶液重合法、塊状重合法、さらにエマルジョン重合法等によって、熱、光、電子線、放射線等を重合開始エネルギーとして製造できるが、工業的には、熱及び/又は光を開始エネルギーとするラジカル重合法が好ましい。
【0026】
重合開始エネルギーとして、熱を利用する場合は、無触媒であっても良く、または種々の熱重合開始剤を制限なく使用することができる。前記重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジアシル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、フェニルアゾトリフェニルメタン等のアゾ化合物、Mn(acac)等の金属キレート化合物等が挙げられる。また、紫外線のような光を利用する場合にも種々の光重合開始剤(例えば、後述のF−1〜F−11に示す化合物)を用いて行うことができる。また、必要に応じてアミン化合物、リン化合物等の種々の光増感剤を添加することにより、重合を迅速化することも可能である。電子線または放射線よって重合体を得る場合には、通常、重合開始剤の添加は必要としない。
【0027】
さらに、ラジカル重合を行う場合には、必要に応じて種々の連鎖移動剤を併用することにより、分子量を調整することも可能である。連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、エチルチオグリコール酸、オクチルチオグリコール酸、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の化合物を挙げることができる。
【0028】
溶液重合を行う場合に用いる溶剤の種類にも特に制限はなく、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−オキシプロピオン酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル等のモノカルボン酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶剤、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、エチルセロソルブアセテート等のエーテル類、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコール類及びそのエステル類、1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、さらにパーフルオロオクタン、パーフルオロトリ−n−ブチルアミン等のフッ素化イナートリキッド類のいずれも使用でき、単独でも、2種以上の混合溶剤として使用しても良い。
【0029】
また、共重合体を製造する場合、モノマーの組み合わせにより決定されるブロック、交互、ランダムのシークエンスの他に、重合機構、開始剤、連鎖移動剤等の選択によりこれらのシークエンスを自由に制御することが可能であり、如何なるシークエンスを有する重合体であっても用いることができる。さらに、共重合体は1種類のみを用いることも、2種類以上を同時に用いることもできる。
【0030】
フッ素化アクリル共重合体(A)は、本発明で用いるUV硬化性組成物の必須成分の中で唯一の高分子量成分であり、その組成、分子量、導入量等によって該組成物の粘度、硬化反応時の体積収縮率、硬化物の力学的特性ひいては光導波路の寸法安定性等が変化する。
【0031】
前記フッ素化アクリル共重合体(A)の分子量、分子量分布にも特に制限はない。重合体の分子量は、ポリマー光導波路を製造する際に用いるUV硬化性組成物の加工方法・条件ひいては該組成物の粘度、要求される光導波路の寸法安定性等により適宜選択されるものであるが、数平均分子量で5,000〜3,000,000、好ましくは10,000〜2,000,000である。さらに、粘度ひいては光導波路を製造する際の作業性、光導波路の寸法安定性発現等の観点から、分子量の異なる2種類以上の重合体を該組成物中に導入することも可能である。フッ素化アクリル共重合体(A)の分子量は、後述するスタンパ法に適した粘度に影響するため、その導入量と共に、形状、サイズ等の光導波路の設計要因、スタンパの形状、製造条件等の設備要因等を考慮して選択される。
【0032】
本発明者等の知見によれば、フッ素化アクリル共重合体(A)の共重合組成、分子量等を制御することによりスタンパからの離型性を向上させ得ることも可能である。このような場合、組成物の粘度及び硬化反応時の体積収縮率の制御、硬化物の力学的特性ひいては光導波路の寸法安定性等のフッ素化アクリル共重合体(A)の該組成物中での本質的な役割を維持した上で、離型性を発現させることも可能であるが、目的とする光導波路の寸法、パターン、使用するスタンパ等の条件によっては、離型性向上を目的としたフッ素化アクリル共重合体(A)を別途導入することが好ましい。このような離型効果を得るためには、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)として、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の極性基含有モノマー、サイラプレーン FM−0711、サイラプレーン FM−0721、サイラプレーン FM−0725(以上、チッソ株式会社製)等のシリコーン含有モノマーを用いることが好ましい。さらに、離型効果を効率的に発現するためには、フッ素化アクリル共重合体の分子量としては、数平均分子量で1,000〜50,000の範囲であることが好ましく、2,000〜10,000の範囲であることが特に好ましい。このように、離型効果を効率的に発現させる好ましい分子量の範囲は、組成物の粘度及び硬化反応時の体積収縮率の制御、硬化物の力学的特性ひいては光導波路の寸法安定性等を実現する上での好ましい分子量の範囲と異なる。この点からも、離型効果が重要視される場合、フッ素化アクリル共重合体(A)は2種類以上を使用することが好ましい。但し、本発明で用いるUV硬化性組成物に適用する離型剤としては、フッ素化アクリル共重合体(A)の他にも、後述する離型剤(E)を用いることも可能であり、これらの選択は、該組成物の相溶性、光導波路の寸法・パターンに応じた金型の設計、離型性のレベル等によって行われる。
【0033】
本発明で用いるフッ素化アクリル共重合体(A)のUV硬化性組成物中における導入量としては、光導波路を製造する際に要求される最適な粘度、加工方法、他の成分との相溶性等により変化するが、該組成物中のフッ素化アクリル共重合体(A)、後述する含フッ素(メタ)アクリレート(B)、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)および多官能(メタ)アクリレート(D)の合計100重量部中に通常0.01〜80重量部含まれ、好ましくは0.05〜50重量部、さらに好ましくは0.1〜20重量部である。
【0034】
次に、下記一般式(2)
2m+1CHCHOCOC(R)=CH ……(2)
(式中、mは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート(B)について述べる。含フッ素(メタ)アクリレート(B)の例示化合物には、上記したフッ素化アクリル共重合体(A)に用いる含フッ素(メタ)アクリレート(a1)と同様の化合物が挙げられるが、これら具体例によって、本発明が何等限定されるものでないことは勿論である。
【0035】
含フッ素(メタ)アクリレート(B)は、コア用材料及びクラッド用材料の目的とする屈折率の調整、フッ素化アクリル共重合体(A)との相溶性向上、該組成物の粘度調整等の役割を果す。目的とする光導波路の屈折率、コア層とクラッド層の屈折率差、光導波路製造条件方法に依存する該組成物の粘度等により、適宜前記一般式(2)の範囲内から最適な化合物が選択される。前述のフッ素化アクリル共重合体(A)に用いる含フッ素(メタ)アクリレート(a1)と含フッ素(メタ)アクリレート(B)とは、何れも前記一般式(1)及び(2)で表わされる化合物という点において同類の化合物である。これは、前記フッ素化アクリル共重合体(A)との相溶性向上ひいては光導波路の低伝搬損失化において有利に働く。ここで、含フッ素(メタ)アクリレート(B)は前記一般式(2)で表わされる化合物であれば、必ずしも含フッ素(メタ)アクリレート(a1)と同一の化合物である必要はなく、目的とする光導波路の屈折率、コア層とクラッド層の屈折率差、光導波路製造方法に依存する該組成物の粘度等により選択される。
【0036】
含フッ素(メタ)アクリレート(B)の導入量としては、目的とする光導波路の屈折率、該組成物の粘度、光導波路の耐久性レベルにより異なるが、該組成物中のフッ素化アクリル共重合体(A)、含フッ素(メタ)アクリレート(B)、後述する非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)および多官能(メタ)アクリレート(D)の合計100重量部中に5〜80重量部含まれる事が好ましく、10〜60重量部含まれる事が特に好ましい。
【0037】
次に、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)について述べる。非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)の例示化合物としては、上記したフッ素化アクリル共重合体(A)に用いる非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)と同様の化合物が挙げられ、1種類でも、2種類以上の混合物として使用しても良い。
【0038】
非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)は、フッ素化アクリル共重合体(A)との相溶性向上、該組成物の粘度調整、光導波路の低伝搬損失化、寸法安定性等のパターン形成能、力学的強度、耐久性向上等の役割を果す。フッ素化アクリル共重合体(A)との相溶性向上の観点からは、フッ素化アクリル共重合体(A)中に用いる非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)と同類さらには同一の化合物を用いることが好ましい。また、硬化物の透明性向上ひいては光導波路の低伝搬損失化及び寸法安定性等のパターン形成能、力学的強度、耐久性向上の観点からは、脂肪族環式構造を有する(メタ)アクリレートが好ましく、これらの例示化合物として上記した(a2−1)〜(a2−11)が挙げられ、その中でも、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0039】
非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)の導入量としては、目的とする該組成物の粘度、他の成分との相溶性により異なるが、組成物の相溶性を向上させることによって光導波路の伝搬損失を低減でき、かつ非フッ素セグメント含有量が適切であり、近赤外域の吸収が起こりにくく、該組成物の屈折率調整が容易で、光導波路の寸法安定性や環境変化に対する耐久性に優れる点から、該組成物のフッ素化アクリル共重合体(A)、含フッ素(メタ)アクリレート(B)、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)および後述する多官能(メタ)アクリレート(D)の合計100重量部中に、10〜70重量部含有する事が好ましく、15〜55重量部含有する事が特に好ましい。
【0040】
次に、多官能(メタ)アクリレート(D)について述べる。多官能(メタ)アクリレート(D)としては、分子中に2個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を含む化合物であれば制限なく用いることが可能である。この様な化合物の具体例としては、
D−1 : エチレングリコールジ(メタ)アクリレート
D−2 : ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
D−3 : トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
D−4 : ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
(数平均分子量:150〜1000)
D−5 : プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート
D−6 : ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート
D−7 : トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート
D−8 : ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート
(数平均分子量:150〜1000)
D−9 : ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート
D−10 : 1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート
D−11 : 1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート
D−12 : 1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート
D−13 : ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート
D−14 : CH=C(R')COOCHC(CHCHOCOCHC(CHCHOCOC(R')=CH
(R'はH又はCH
D−15 : ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート
D−16 : トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
D−17 : ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート
D−18 : ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート
D−19 : ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート
D−20 : トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート
D−21 : ジペンタエリスルトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート
D−22 : CH=CHCOO(CH(CF(CHOCOCH=CH
D−23 : CH=C(CH)COO(CH(CF(CHOCOC(CH)=CH
D−24 : CH=CHCOO(CH(CF(CHOCOCH=CH
D−25 : CH=C(CH)COO(CH(CF(CHOCOCH=CH
D−26 : CH=CHCOO(CH(CF(CF)CF(CHOCOC(CH)=CH
D−27 : CH=CHCOO(CH(CF(CF)CF(CF(CHOCOC(CH)=CH
(a、bは1〜6の整数)
【0041】
上記以外の具体例として、ネオマー NA−305、ネオマー BA−601、ネオマー TA−505、ネオマー TA−401、ネオマー PHA−405X、ネオマー TA705X、ネオマー EA400X、ネオマー EE401X、ネオマー EP405X、ネオマー HB601X、ネオマー HB605X(以上、三洋化成工業株式会社製)、KAYARAD HY−220、KAYARAD HX−620、KAYARAD D−310、KAYARAD D−320、KAYARAD D−330、KAYARAD DPHA、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120(以上、日本化薬株式会社製)等も挙げられる。
【0042】
多官能(メタ)アクリレート(D)としては1種類だけを用いても、2種類以上のものを同時に用いても構わない。このような多官能(メタ)アクリレート(D)は、その種類と導入量により、本発明で用いるUV硬化性組成物の架橋形態が大きく変化するため、光導波路のパターン形成能、寸法安定性、高温高湿、低温低湿等の環境変化に伴う十分な耐久性、耐熱性を実現する上で重要である。多官能(メタ)アクリレート(D)の種類あるいは導入量によっては、相溶性が低下する場合があるため、該多官能(メタ)アクリレート(D)の種類あるいは導入量は適正に選択する必要がある。適正な選択によって相溶性が維持若しくは向上される場合には、得られる硬化物の強靭性が増大し、光導波路に必要な力学的強度を増加させることができる。さらに、他の成分との相溶性に優れた多官能(メタ)アクリレート(D)を適量配合することにより、硬化物の透明性ひいては光導波路の低伝搬損失化にも著効を示す。従って、多官能(メタ)アクリレート(D)は、他の成分との相溶性、目的とする光導波路の製造方法に関わるパターン形成能、力学的強度、耐久性を考慮し最適な種類および導入量を選択する必要がある。
【0043】
本発明者等の知見によれば、上記した観点から、多官能(メタ)アクリレート(D)としてトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及び/又はネオペンチルグリコール(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
【0044】
多官能(メタ)アクリレート(D)の導入量としては、架橋密度が適正でパターン形成能が良好であり、光導波路としての寸法安定性、力学的強度に優れる点、及び他の組成物との相溶性が向上し、伝搬損失を低下させ、均質な架橋構造を形成することにより光導波路自体の強度に優れる点から、該組成物中のフッ素化アクリル共重合体(A)、含フッ素(メタ)アクリレート(B)、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)および多官能(メタ)アクリレート(D)の合計100重量部中に、10〜65重量部含有することが好ましく、20〜55重量部含有する事が特に好ましい。
【0045】
本発明のポリマー光導波路の製造方法としては、上述のUV硬化性組成物を材料とするスタンパを用いる成形法である以外には特に制限はない。すなわち、本発明で得られるポリマー光導波路の構造は、特に限定されることはない。スタンパを用いた成型法では、例えば、まず、コア溝の形状を複製したスタンパを用意しておき、基板とスタンパの間にクラッド用に調製されたUV硬化性組成物(I)(即ちクラッド用材料)を挟み込んで紫外線照射して硬化させ、下クラッド層を成形する。下クラッド層の上面には、コア層を成形するためのコア溝が形成されているので、このコア溝内にコア用に調製されたUV硬化性組成物(II)(即ちコア用材料)を充填してUV硬化させ、コア層を成形する、さらに、この上にクラッド用に調製されたUV硬化性組成物(I)(クラッド用材料)を用いて上クラッド層を成形する方法が挙げられる。
【0046】
本発明で用いるUV硬化性組成物は含フッ素組成物であるため、フッ素化アクリル共重合体(A)のところで述べたようにスタンパを用いてポリマー光導波路を生産する場合の離型性は得られ易いが、大量生産を効率良く行うためには更に離型剤を導入することが好ましい。導入する離型剤としては特に制限はなく、種々の材料を制限なく用いることが可能である。しかし、本発明で用いるUV硬化性組成物が含フッ素化合物を含むことを考慮すると、これら化合物との良好な相溶性を維持し、繰り返し使用に堪え得る離型性を得るためには、含フッ素系離型剤、特にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系離型剤(E)を含むことが好ましい。通常、フッ素系離型剤の作用機構は以下のように推定される。まず、該組成物中において少量の導入量であっても、スタンパ界面に吸着し易いセグメントまたは官能基がスタンパ界面に吸着することにより、離型剤分子がスタンパ界面に濃縮する。そこで、同一分子内に存在する離型効果が高い含フッ素セグメント、特にパーフルオロアルキル基が強制的にスタンパ界面近傍に濃縮されることにより離型効果を発現すると考えられる。従って、フッ素系離型剤(E)には、パーフルオロアルキル基と共に同一分子内に存在するスタンパ界面に吸着し易いセグメントまたは官能基がある事が好ましい。これらのセグメントまたは官能基のスタンパ界面への吸着性は、単純にスタンパ界面への吸着性の要因だけでなく、積極的な意味でのスタンパ界面への吸着性は低いセグメントや官能基であっても、該離型剤が該組成物中に対する溶解性が低ければ結果としてスタンパ界面に存在することもある。
【0047】
このようなフッ素系離型剤(E)の具体例としては、以下の如き化合物が挙げられる。
E−1 : C17CHCHSCHCHCOOLi
E−2 : C13CHCHSCHCHCOONa
E−3 : C13CHCHSCHCHCOOH
E−4 : C17CHCHSCHCH(CH)COOK
E−5 : C17CHCHSO
E−6 : C17CHCHSON(CH)CH
E−7 : C1021CHCHOPO(OH)
E−8 : C17CHCHOPO(OH)
E−9 : C13CHCHOPO(OH)
E−10 : CCHCHOPO(OH)
E−11 : (C13CHCHO)PO(OH)
E−12 : (C13CHCHO)PO
E−13 : C2y+1CHCHO(CHCHO)
(yは1〜20の整数、zは1〜30の整数)
E−14 : C2y+1CHCHO(CHCHO)CH
(yは1〜20の整数、zは1〜30の整数)
E−15 : C17CHCHSONH(CHN(CH・Cl
【0048】
本発明で用いるUV硬化性組成物を硬化させるために、光開始剤を導入せずに硬化し光導波路を製造することも可能であるが、通常光開始剤を適量導入して硬化させることが好ましい。導入する光開始剤(F)としては特に制限はなく、種々の光開始剤を用いることが可能である。光開始剤(F)の具体例としては、
F−1 : ベンゾフェノン
F−2 : アセトフェノン
F−3 : ベンゾイン
F−4 : ベンゾインエチルエーテル
F−5 : ベンゾインイソブチルエーテル
F−6 : ベンジルメチルケタール
F−7 : アゾビスイソブチロニトリル
F−8 : 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
F−9 : 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン
F−10: 1−(4'−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン
F−11: 1−(4'−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン
等を挙げることができる。
【0049】
光開始剤は1種類のみを用いても、2種類以上を同時に併用しても構わない。本発明者らの知見によれば、光源の種類、目的とする硬化速度、硬化させる雰囲気、硬化させる構造(例えば、石英ガラス越しに硬化させる構造であるか、ポリエチレンテレフタレートのような高分子フィルム越しに硬化させる構造)により2種類以上の開始剤を併用する方が好ましい場合がある。
【0050】
また、必要に応じてアミン化合物またはリン化合物等の光増感剤を添加し、重合を迅速化することもできる。本発明で用いるUV硬化性組成物中に占める光開始剤の導入量としては、0.01〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.3〜7重量%である。
【0051】
また、本発明で用いるUV硬化性組成物には、必要に応じて種々の各種添加剤を添加することも可能である。添加剤としては、粘度調整のための溶剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、着色剤、表面改質剤、更にはガラス等の基材との密着性を向上させるためのカップリング剤が挙げられる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、ジルコ−アルミネート系が挙げられ、これらの中でジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシラン系が特に好ましい。
【0052】
本発明者らの知見によれば、目的とする導波路の良好なパターン形成能及び寸法安定性と、高温高湿または低温低湿等の環境変化に対する光学的、力学的及び熱的耐久性を発現させるためには、該組成物の硬化物の動的粘弾性測定によるガラス転移温度(Tg)が60〜150℃であることが必要であり、90〜140℃であることが好ましい。ここで、通常、ガラス転移温度Tgは、測定方法及び条件によりその絶対値は変化することが知られているため以下の通り定義した。
【0053】
ガラス転移温度Tg測定用サンプルは、以下の通り調整した。まず、該組成物中の必須成分であるフッ素化アクリル共重合体(A)、含フッ素(メタ)アクリレート(B)、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)および多官能(メタ)アクリレート(D)の合計重量部に対して0.6重量部の光開始剤F−9(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン)を添加したもの準備し、測定用配合液とする。また、ガラス板上に、厚さ1mmのガラス板で5mm×35mm×1mmの大きさの注型枠を形成したものと、スライドガラスを準備する。次に、調整した測定用配合液を注型枠中に注入し、スライドガラスで封止する。次いで、160W/cmのメタルハライドランプを用い、照度;94mW/cm、照射エネルギー量;900mJ/cmにて硬化させ、ガラス転移温度Tg測定用試料を作製する。これを用いて、動的粘弾性測定装置により、サンプルサイズ;5mm×35mm×1mm、周波数;1Hz、昇温速度;3℃/min、測定モード;引張り(チャック間距離20mm)により測定し、tanδのピーク温度をガラス転移温度Tgと定義した。
【0054】
得られる硬化物のガラス転移温度Tgが60℃未満の該組成物を用いると、その硬度が低いために光導波路を製造する際のパターン形成能が劣悪となり、製造時の歩留まりが低下するばかりでなく、目的とする光導波路の寸法が安定せず、伝搬特性や力学特性に悪影響を及ぼす。また、硬化物のガラス転移温度Tgが150℃を超える組成物の場合も、硬度が高いために欠けなどが生じ易く、パターン形成能が低下し光導波路製造時の歩留まりが低下する。
【0055】
本発明で用いるUV硬化性組成物の硬化物のガラス転移温度Tgを60〜150℃とする手段には特に制限はない。有効な手段としては、フッ素化アクリル共重合体(A)に用いる非フッ素(メタ)アクリレート(a2)や非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)として、該(メタ)アクリレートのホモポリマーのガラス転移温度Tgが高い化合物、例えば、メチルメタクリレート、脂肪族環式構造を有する(メタ)アクリレート、具体的には、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート等を使用する方法、多官能(メタ)アクリレート(D)における官能基数、導入量を他の成分に応じて最適化し架橋密度を高める方法、光開始剤の導入量を最適化する方法等が挙げられ、目的とする光導波路を形成するUV硬化性組成物の組成、光導波路の形状等により適宜決定される。
【0056】
また、本発明で用いるUV硬化性組成物の粘度としては、ポリマー光導波路を製造する際の作業性が良好で、歩留まりに優れ、目的とする光導波路のサイズが得られる点から50〜150mPa・s/25℃(25℃における粘度。以下同じ。)であることが好ましい。粘度は、該組成物中の各成分の種類、導入量、フッ素化アクリル共重合体(A)の分子量等により決定されるものである。
【0057】
本発明で用いるUV硬化性組成物を硬化させるための設備、すなわちポリマー光導波路を製造する設備としては、特に限定されるものではなく、種々の装置、照度、照射時間、照射エネルギー量、雰囲気温度で行うことが出来、目的とする導波路の所望の性能に応じて適正に選択する事が可能である。例えばエネルギー源としては、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧または高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ等を使用することができる。また、重合効率化の点からは、空気や酸素に曝される条件では、窒素ガス等の不活性ガスで硬化雰囲気を置換し、UV照射することが好ましい。また、必要に応じて熱をエネルギー源と併用すること、例えばUVにて硬化せしめた後熱処理を行うことも可能である。
【0058】
本発明のポリマー光導波路を製造するために、UV硬化性組成物を塗布或いは賦型する基材の形状及び材質にも特に制限なく、石英ガラス等のガラス、ポリメタクリル酸メチル等の高分子フィルム、ゴム等の材料を自由な形状で用いることができる。また、このような基材には光導波路の構成、製造上の作業性等の理由により、基材との接着性を向上させる様な処理(例えば、シランカップリング処理、コロナ処理等が挙げられる。)或いは基材との離型性を向上させるような処理(例えば、シリコーン系或いはフッ素系離型剤の塗布)を行うことも可能である。
【0059】
本発明のポリマー光導波路を製造する際、該組成物を目的とする基材上に塗布する方法にも制限はない。例えば、刷毛塗り、アプリケーター、バーコーター、ローラーブラシ、またはロールコーター等による塗布法、エアースプレーまたはエアーレススプレー塗装機等によるスプレー塗布法、シャワーコーターまたはカーテンフローコーター等による流し塗り法(フローコート)、ディッピング法、キャスティング法、スピンコーティング法、ディスペンサー法を用いることができる。これらの方法は、目的とする光導波路のサイズ、製造条件及びそれに関わるに作業性、コスト等を加味して適宜選択される。
【0060】
次に、光導波路の具体的な製造方法について説明するが、これらの説明によって本発明が何等限定されるものでないことは勿論である。
【0061】
ポリマー光導波路は、コア層と呼ばれる領域の周囲をコア層よりも屈折率の小さいクラッド層と呼ばれる領域で囲んで、コア層に光を閉じ込めて伝搬させるものであり、光導波路のコア層の形状、クラッド層の厚さ等の構造、両層の屈折率差などの設計は、従来の石英光導波路と基本的には同一である。一般的には、シングルモード光導波路の場合は、シングルモード光ファイバとの接続を考慮し、MFD(モードフィールド径)が同一になるようにコア層の断面の大きさとしては縦横とも約5μmの矩形状、コア層とクラッド層との屈折率差としては0.3〜0.5%という非常に微細な形状と微小な屈折率差が要求される。更に、光導波路として実用できるものは、例えば波長1.31μm付近の伝搬損失として0.5dB/cm以下である事が必要であり、更には0.3dB/cm以下である事が好ましい。
【0062】
本発明のポリマー光導波路は、上記のような特定のUV硬化性組成物を用いてスタンパ法により製造することを特徴とするものである。図1(a)〜(d)及び図2(a)〜(d)はスタンパ法によるポリマー光導波路の基本的な製造工程を表わしている。以下、これらの図に従ってポリマー光導波路の製造工程を説明する。
【0063】
まず始めに、目的とするポリマー光導波路のコア溝の形状を凸パターンとして形成されたスタンパを作製しておく。通常、スタンパは、フォトリソグラフィ等の半導体プロセスやレーザー精密加工などを用いて原盤を作製した後、この原盤を基にして電鋳法により何度か複製することによってニッケル等で作製される。また、UV硬化性組成物(I)で屈折率等の特性をクラッド用に調整したクラッド用材料と、UV硬化性組成物(II)で屈折率等の特性をコア用に調整したコア用材料とを準備する。
【0064】
ついで、ガラス、石英、シリコン等からなる透光性を有する基板11の上に適量の未硬化のクラッド用材料12を滴下し(図1(a))、上面からスタンパ13により押圧する。このとき、押圧されたクラッド用材料12は基板11とスタンパ13の端まで押し広げられ、所望の厚さとなるまで押圧される。クラッド用材料12が所望の厚さになった時点で、基板11を通してクラッド用材料12に高圧水銀灯やメタルハライド灯などからUVを照射し、クラッド用材料12を硬化させる(図1(b))。クラッド用材料12の反応が進んでクラッド用材料12が十分に硬化したら、クラッド用材料12からスタンパ13を離型する。スタンパ13を離型すると、基板11の上には均一な厚みの下クラッド層14が成形され、下クラッド層14の上面にはスタンパの凸パターンに相当するコア溝15が成形される(図1(c))。
【0065】
下クラッド層14の上面に未硬化のコア用材料16を滴下した後、透光性を有する平板17でコア用材料16を押圧し(図1(d))、コア用材料16をコア溝15内に充填させる。なお、コア用材料16をコア溝15内に充填させる方法としては、スピンコート法などを利用してもよい。コア用材料16がコア溝15に充填されたら、平板17を通してコア用材料16にUVを照射し、コア用材料16を硬化させる(図2(a))。このとき、コア溝15のみにコア用材料16が充填され、コア溝15以外の下クラッド層14上にはコア用材料16が残らないことが望ましいが、コア形状に比較して十分に薄い厚さであれば光の伝搬特性に影響を与えない。コア用材料16が硬化したら、その上の平板17を剥離させると、コア溝15内にコア層18が成形される(図2(b))。
【0066】
ついで、コア層18の上から下クラッド層14の上に未硬化のクラッド用材料12を滴下し(図2(c))、カバーガラス19でクラッド用材料12を押圧し、クラッド用材料12を下クラッド層14とカバーガラス19の間で所定の厚みとなるように押し広げる。クラッド用材料12が所定の厚みとなったら、カバーガラス19を通してクラッド用材料12にUVを照射し、クラッド用材料12を硬化させる。なお、クラッド用材料12を均一な所定厚みに広げる方法としては、スピンコート法などを利用してもよい。下クラッド層14の上のクラッド用材料12が硬化すると、上部クラッド層20が成形される(図2(d))。
【0067】
こうしてポリマー光導波路21がスタンパ法によって製作され、高屈折率のコア層18が低屈折率の下クラッド層14及び上部クラッド層20の間に挟み込まれ、低損失な光の伝搬が実現される。
【0068】
このようなスタンパ法及びUV硬化法による光導波路の作製では、作製工程数が少なく、ホトマスクは用いず、しかも、未硬化のコア用材料やクラッド用材料を除去するための工程が不要である。コア層と上下クラッド層の硬化物のわずかな屈折率差は、UV硬化性組成物を構成する各成分の配合比を少し変えるだけで、容易に調整できるので、狭い幅の屈折率制御が容易である。また、コア層と上下クラッド層の硬化物は、わずかに配合比が異なるだけUV硬化性組成物からなるものであるから、界面の密着性は良好である。同一組成のUV硬化性組成物を用いるので下クラッド層と上クラッド層の界面の密着性も良好であることはいうまでもない。
【0069】
また、このようにして製作することにより、低伝搬損失性に優れたポリマー光導波路を得ることができる。
【0070】
なお、本発明においては、UV硬化法と熱硬化法を組み合わせた硬化法を用いてもよい。この場合は、コア用材料又はクラッド用材料を適当な程度にまでUV硬化させた後、熱硬化により完全硬化させる硬化法が挙げられる。得られた硬化物のスタンパの離型性や微細形状賦形性は、単独UV硬化法による硬化物の作製の場合と同じように良好である。
【0071】
次に、光分岐/結合用のポリマー光導波路(以下、光カプラという。)の製造工程を説明する。まず、複数に分岐したコアパターンを有する光カプラ用のマスクを作製し、このマスクを用いてシリコン基板に露光し、フォトリソグラフィ法によりエッチングを施して下クラッド層とほぼ同等の凹凸形状23を有する原盤22を作製する(図3(a))。ここで、ほぼ同等であるとは、後の工程により発生するシュリンク、例えば、組成物の硬化反応時の収縮等を考慮し、下クラッド層成形時に所望の形状となるようにマスク設計を行うことを意味する。
【0072】
ついで、この原盤22に基づいて、電鋳法によりニッケル材質のスタンパ24を作製する(図3(b))。このとき、スタンパ24は、下クラッド層と凹凸が反転した凹凸形状を有している。また、生産性を向上させるためには、スタンパ24には、下クラッド層の複数個分の領域25を形成しておくことが望ましい。
【0073】
この後、上記方法と同様にして、下クラッド層14と上部クラッド層20との間にコア層18が形成され、その上下をカバーガラス19と基板11で挟まれた複数個分の光カプラ26を形成する。最後に、ダイシング装置によって各光カプラ26を1個ずつチップ状に切り離す(図3(c))ことによって、所望の光カプラを得る事ができる。
【0074】
図4(a)は光カプラ26のコア分岐部分を示す平面図、図4(b)はそのY−Y断面図である。光カプラ26のコア分岐部分においては、図4(a)(b)に示すように、下クラッド層14を挟んでコア層18同士が隣接した構造となっている。従って、コア層18間に挟まれた領域の下クラッド層14については、アスペクト比の高い断面形状となっている。しかし、本発明で得られる光カプラ26では、クラッド用材料のガラス転移温度Tgが60℃以上であるため、コア層18の形状が正しく転写される。これに対し、クラッド用材料を用いて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが60℃未満の場合には、コア分岐部分における下クラッド層14のアスペクト比が高くて下クラッド層14が横に倒れ易いので、下クラッド層14を形成した後、コア層18を成形する際の押圧力や上クラッド層20を成形する際の押圧力により、図5(a)に示すようにコア分岐部分において下クラッド層14が湾曲するように変形する。また、クラッド用材料を用いて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが60℃未満の場合には、下クラッド層14の成形時においてスタンパ24を離型させたとき、コア分岐部分における下クラッド層14の先端部(図5(b)で破線で示した部分)がスタンパ24と一緒に剥がれ、下クラッド層14の一部が欠けた状態になる。従って、クラッド用材料を用いて得られる硬化物のガラス転移温度Tgは、60℃以上である必要があり、90℃以上が望ましい。
【0075】
更に、コア層の形状の異なるポリマー光導波路を示す。図6(a)は該ポリマー光導波路の断面図、図6(b)はそのポリマー光導波路の製造工程においてスタンパ13で下クラッド層を成形する工程を説明する概略図である。この導波路では、コア溝15の断面形状を両側面が傾斜して上方で広がった台形となっている。このようなコア溝15を成形するためには、スタンパ13の凸パターン27の断面も下方で狭くなった断面台形状にしておけばよい。このようにスタンパ13の凸パターン27の断面を下方で狭い台形状にしておくことにより、図6(b)に示すように、スタンパ13を容易にコア溝15及び下クラッド層14から離型できるようになり、下クラッド層14の離型時における欠けを防止することができる。台形断面の両側面は、シングルモード導波路の場合は、対称(同心円状)のモードフィールドパターンを実現するために、テーパー角は20°以内である事が望ましい。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、実施例中「部」、「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
【0077】
合成例1 フッ素化アクリル共重合体(A)の合成
攪拌機及び温度計を備えた500mlのガラス製円筒フラスコに、含フッ素(メタ)アクリレートとして(a1−1):192.0g、非フッ素モノ(メタ)アクリレートとして(a2−3):101.6g、(a2−5):101.6g、(a2−4):4.0g及び光開始剤として(F−9):0.7gを採取し、窒素置換しながら、側面から80W/cmの高圧水銀灯を1灯照射することにより、発熱により6℃昇温するまで反応を行った。得られた反応生成物は、無色透明な粘ちょう液体であった。本反応生成物をサンプリングし、10倍量のメタノール中に沈殿させて得られた転化率(フッ素化アクリル共重合体(A)の含有量)は7.3%であった。本重合反応物(フッ素化アクリル共重合体(A)と未反応モノマー類である含フッ素(メタ)アクリレート(a1−1)、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2−3)、(a2−5)、(a2−4)の混合物)をフッ素化アクリルシラップ1とする。得られた重合反応物のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるTHF(テトラヒドロフラン)溶液中におけるポリスチレン換算の数平均分子量は、970,000であった。
【0078】
合成例2〜4
合成例1において、表1に示す組成比で各々のアクリレートを用いた以外は、合成例1と同様の条件にて反応を行い、フッ素化アクリルシラップ2、3及び4を得た。
【0079】
なお、含フッ素(メタ)アクリレート(a1−1)、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2−3)、(a2−5)、(a2−4)は、全てアクリレートを用いた。
【0080】
【表1】

【0081】
ついで、上記シラップ1〜4、含フッ素(メタ)アクリレート(B)として前記構造式(a1−1)で示されるアクリレート、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)として前記(a2−3)、(a2−4)、(a2−5)のアクリレート、多官能(メタ)アクリレート(D)として、前記(D−9)、(D−16)のアクリレート、光開始剤(F−9)、フッ素系離型剤(E)として前記一般式中(E−13)でy=8、zの平均値が8のものを表2〜3に示す割合で配合してクラッド用材料であるUV硬化性組成物(I−1)〜(I−7)、及びコア用材料であるUV硬化性組成物(II−1)〜(II−7)を作製した。ここで、(I−1)〜(I−4)及び(II−1)〜(II−4)を組み合わせたものが本発明の実施例であり、(I−5)〜(I−7)及び(II−5)〜(II−7)を組み合わせたものが比較例である。すなわち、比較例1では硬化物のガラス転移温度Tgが本発明で用いるUV硬化性組成物を用いて得られる硬化物の下限値60℃よりも低く、比較例2ではフッ素化アクリル共重合体(A)成分を欠いており、比較例3では多官能(メタ)アクリレート(D)成分を欠いている。
【0082】
表2〜3には、コア用材料及びクラッド用材料の各配合組成を表しており、併せて各UV硬化性組成物の粘度及びメタノール沈殿量、硬化物のガラス転移温度Tg、屈折率、ショアD硬度を示した。粘度は、25℃の温度でB型粘度計を用いて測定したものである。また、メタノール沈殿量は、最終組成物の10倍量のメタノールに対する沈殿量であって、最終組成物中のフッ素化アクリル共重合体(A)の割合を示す。硬化物のガラス転移温度Tgは、動的粘弾性測定装置(Rheometrics社 Solids Analyzer RSA−2)を用いて測定した。屈折率は、サイズが10mm×40mm×1mmの各サンプルの硬化試験片を用いて、アッベ屈折率計(株式会社アタゴ製、多波長アッベ屈折率計DR−M2)により測定した波長589nm(NaD線)の光に対する屈折率値である。ショアD硬度は、サイズ15mm×15mm×5mmの各サンプルの硬化試験片を用いて測定したものである。なお、硬化物はガラス板を用いて所定サイズの硬化試験片が成形されるような注型枠を作製し、各配合物中に気泡が混入しないようにして注型枠内に配合物を注入した後、その上面をガラス板で覆って、160W/cmのメタルハライドランプを用い、照度;94mW/cm、照射エネルギー量;900mJ/cmにて硬化させることにより作製した。
【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
比較例3では、多官能(メタ)アクリレート(D)が含まれていないので、相溶性が低下し、組成物の透明性が悪く、硬化物が不透明となり、光導波路として使用できるレベルに満たなかった。さらに、硬化物にタック感があり、柔軟すぎるためガラス転移温度Tg、ショアD硬度も測定不能であり、スタンパ法による光導波路を成形できなかった。
【0086】
次に、上記で得られた各UV硬化性組成物を用いて、直線導波路及び分岐導波路を作製した。
直線導波路
上記で得られたUV硬化性組成物を用いて、図1及び図2に従った製造方法で、基板としてガラスを用い、コア層の断面の大きさが5.25μm×5.25μm、上クラッド層及び下クラッド層厚さ20μmの直線導波路を作製した。硬化条件は、前述の硬化物を得る際の硬化条件に従った。
分岐導波路
導波路長10mm、分岐部分岐角1deg、出力ポート間隔250μm、コア層の断面の大きさが5.25μm×5.25μm、基板(ガラス)及びカバーガラスの厚みが1mmであり、また、下クラッド層の厚みが25.25μm、上クラッド層の厚みが20μmである導波路を図1〜3に従って作製した。硬化条件は、前述の硬化物を得る際の硬化条件に従った。
【0087】
得られた直線光導波路の直線部分における1.31μmの波長帯における光損失及び分岐導波路の分岐部における光損失を、光損失測定装置(Agilent Technologies社製、81632A/81657A)を用いて測定した。結果を表4に示す。
【0088】
【表4】

【0089】
表4の脚注
成形性評価:スタンパによって下クラッド層を成形した際の成形性(転写性)の良否を判断した。
1):下クラッド層の断面形状が成形時の圧力で歪みが生じた。従って、コア層も歪みが生じ、光が閉じ込められない状態になった。
2):組成物の粘度が低いため、基板上に滴下したときにクラッド用材料がすぐに拡がり、クラッド層の厚みが2μm以下になった。従って、光が閉じ込められない状態になった。
【0090】
実施例における直線導波路の光損失の値は、いずれも0.2dB/cm以下であった。この値はほとんど組成物(コア用材料)の透過率と同等であり、光導波路としてすぐれた形状実現性と安定性を有した製法と材料との組み合わせであると考えられる。また、実施例で得られた光カプラのチップの両端に1芯および4芯の光ファイバアレイを調芯して接着し、1×4光カプラを実現し、その評価を行った結果、7.0dBの挿入損失であった。これは従来の石英導波路に材料損失の差だけ加えた値であり、直線導波路のみならず、分岐導波路を有する光導波路においても、すぐれた形状実現性と安定性を有した製法と材料との組み合わせであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】(a)、(b)、(c)及び(d)は本発明の一実施形態によるポリマー光導波路の製造工程を示す概略図である。
【図2】(a)、(b)、(c)及び(d)は図1(a)〜(d)の後の工程を示す概略図である。
【図3】(a)、(b)及び(c)は本発明の別な実施形態による光カプラの製造工程を示す概略図である。
【図4】(a)は同上の光カプラのコア分岐部分を示す平面図である。(b)は(a)のY−Y断面図である。
【図5】(a)はコア分岐部分における下クラッド層の歪みを示す平面図である。(b)はコア分岐部分における下クラッド層の欠けを示す平面図である。
【図6】(a)は本発明のさらに別な実施形態によるポリマー光導波路の概略断面図であり、(b)はその製造工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0092】
11 基板
12 クラッド用材料
13 スタンパ
14 下クラッド層
15 コア溝
16 コア用材料
17 平板
18 コア層
19 カバーガラス
20 上クラッド層
21 ポリマー光導波路
22 原盤
23 凹凸形状
24 スタンパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
2n+1CHCHOCOC(R)=CH ……(1)
(式中、nは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート(a1)と非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)とを共重合して得られるフッ素化アクリル共重合体(A)、
下記一般式(2)
2m+1CHCHOCOC(R)=CH ……(2)
(式中、mは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート(B)、
非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)、
多官能(メタ)アクリレート(D)を含有し、得られる硬化物の動的粘弾性測定によるガラス転移温度が60〜150℃であるUV硬化性組成物(I)からなるクラッド用材料と、
前記フッ素化アクリル共重合体(A)、前記含フッ素(メタ)アクリレート(B)、前記非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)、前記多官能(メタ)アクリレート(D)を含有し、得られる硬化物の動的粘弾性測定によるガラス転移温度が60〜150℃であり、且つ得られる硬化物の屈折率が前記クラッド用材料を用いて得られる硬化物の屈折率よりも大きいUV硬化性組成物(II)からなるコア用材料と
を用いて、スタンパを用いる成形法によりUV硬化させ、クラッド層とコア層を得ることを特徴とするポリマー光導波路。
【請求項2】
前記UV硬化性組成物(I)において、多官能(メタ)アクリレート(D)を、フッ素化アクリル共重合体(A)、含フッ素(メタ)アクリレート(B)、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)および多官能(メタ)アクリレート(D)の合計100重量部中に20〜55重量部含有し、且つ、
前記UV硬化性組成物(II)において、多官能(メタ)アクリレート(D)を、フッ素化アクリル共重合体(A)、含フッ素(メタ)アクリレート(B)、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)および多官能(メタ)アクリレート(D)の合計100重量部中に20〜55重量部含有する
請求項1に記載のポリマー光導波路。
【請求項3】
多官能(メタ)アクリレート(D)がトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及び/又はネオペンチルグリコール(メタ)アクリレートである請求項2に記載のポリマー光導波路。
【請求項4】
非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)が脂肪族環式構造を有する(メタ)アクリレートである請求項1に記載のポリマー光導波路。
【請求項5】
前記UV硬化性組成物(I)において、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)を、フッ素化アクリル共重合体(A)、含フッ素(メタ)アクリレート(B)、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)および多官能(メタ)アクリレート(D)の合計100重量部中に15〜55重量部含有し、且つ、
前記UV硬化性組成物(II)において、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)を、フッ素化アクリル共重合体(A)、含フッ素(メタ)アクリレート(B)、非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)および多官能(メタ)アクリレート(D)の合計100重量部中に15〜55重量部含有する
請求項4に記載のポリマー光導波路。
【請求項6】
前記UV硬化性組成物(I)の粘度が50〜150mPa・s/25℃であり、且つ
前記UV硬化性組成物(II)の粘度が50〜150mPa・s/25℃である
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー光導波路。
【請求項7】
前記UV硬化性組成物(I)中に、パーフルオロアルキル基を含有するフッ素系離型剤(E)を含有し、且つ、
前記UV硬化性組成物(II)中に、パーフルオロアルキル基を含有するフッ素系離型剤(E)を含有する請求項6に記載のポリマー光導波路。
【請求項8】
下記一般式(1)
2n+1CHCHOCOC(R)=CH ……(1)
(式中、nは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート(a1)と非フッ素モノ(メタ)アクリレート(a2)とを共重合して得られるフッ素化アクリル共重合体(A)、
下記一般式(2)
2m+1CHCHOCOC(R)=CH ……(2)
(式中、mは1〜10の整数であり、Rは水素原子またはメチル基である。)
で表わされる含フッ素(メタ)アクリレート(B)、
非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)、
多官能(メタ)アクリレート(D)を含有し、得られる硬化物の動的粘弾性測定によるガラス転移温度が60〜150℃であるUV硬化性組成物(I)からなるクラッド用材料とを透光性を有する基板の上に滴下する工程と、
前記クラッド用材料を前記基板とスタンパとの間に挟み込み、UV照射により硬化させてクラッド層を形成すると共にクラッド層の表面にコア溝を形成する工程と、
前記フッ素化アクリル共重合体(A)、前記含フッ素(メタ)アクリレート(B)、前記非フッ素モノ(メタ)アクリレート(C)、前記多官能(メタ)アクリレート(D)を含有し、得られる硬化物の動的粘弾性測定によるガラス転移温度が60〜150℃であり、且つ得られる硬化物の屈折率が前記クラッド用材料を用いて得られる硬化物の屈折率よりも大きいUV硬化性組成物(II)からなるコア用材料を前記コア溝に充填し、UV照射により硬化させてコア層を形成する工程
とからなるポリマー光導波路の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−316094(P2007−316094A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211778(P2004−211778)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】