説明

ポリマー層を有する膜

【課題】少なくとも部分的に配向した液晶材料からなる少なくとも一つの異方性ポリマー層(32)を有する膜(5)、特に、スタンピング膜、積層膜又はステッカー膜を提供する。
【解決手段】少なくとも部分的に配向した前記液晶材料からなる前記異方性ポリマー層(32)は、第一防犯機能(21)を形成し且つ前記異方性ポリマー層(32)が直線偏光又は回転方向を回転させる特性を有する一つ以上の第一領域(41、43、45、48及び50)と、第二防犯機能(22)を形成し且つ前記異方性ポリマー層(32)が円偏光特性を有する一つ以上の第二領域(42、44、46、47、49及び51)とを備え、前記第一防犯機能は、第一偏光子を介して見たとき視覚化され、前記第二防犯機能は、別の偏光状態に対応して第二偏光子を介して見たとき視覚化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に配向した液晶材料からなる少なくとも一つの光学異方性層を有する膜、特に、スタンピング膜、積層膜又はステッカー膜に関する。
【背景技術】
【0002】
EP1 227 347には、感光性樹脂膜上に液晶ポリマー(=LCP)を整列させ、偏光子により認識することができる防犯機能を生成することについて記載されている。
【0003】
第一配向層は、インクジェットプリンターにより基板上に印刷される。前記配向層は、偏光の照射により所定の配向方向に整列可能な感光性樹脂からなる。
【0004】
そして、第一配向層は偏光で照射される。その後、液晶材料からなる層は、液晶材料が整列した状態でインクジェットプリンターにより配向層に塗付される。そして、液晶材料は紫外線で硬化する。従って、配向した液晶材料からなる異方性ポリマー層は、感光性樹脂及び液晶層からなる配向層が印刷により塗付された領域で形成されることから、その領域に入射した光は直線偏光する。
【0005】
また、EP1 227 347には、互いに重複関係で基板上に塗付可能な2つの配向層について記載されている。この場合、これらの2つの層は、それぞれ異なる偏光で照射され、固定される。その結果、互いに重複関係で配置された異なる配向を有する2つの配向層が形成される。従って、個々の対応のパターン構造と組み合わせた多重塗装は、互いに重複したポリマー層において、異なる配向を含み、異なる方向に光を直線偏光する領域を形成することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、WO01/55960には、領域において異なる配向方向へ整列された液晶材料からなる層の防犯部材を提供することについて記載されている。また、この場合、液晶分子の配向は、直線偏光で露光され、その後、液晶分子の架橋結合の前に液晶分子を配向させる感光性樹脂膜を用いて行われる。この場合、液晶分子が異なって整列している領域は、これらの領域において、特別に関連した偏光子により複号化される対象物が符号化されるように、配置される。また、この偏光子は、防犯部材と一致し、領域において異なる方向に配向する相応の液晶層を有する。この方法では、画像情報の2つの異なる項目を光学防犯部材に取り入れることができ、防犯部材を「通常」の偏光子を介して見た場合、第一潜像が表示される。防犯部材を、該防犯部材に一致し、領域において異なる方向に配向した液晶層を有する前記偏光子(以下「鍵」と呼ぶ。)を介して見た場合、第二画像が復号化され、これにより第二画像を見ることができる。そのような方法は、防犯部材と「鍵」(アナライザー手段)とが互いに完全に一致しなければならないとうい点と、適切な「鍵」がない場合は追加の防犯情報を読み出すことができないという点とについて不都合である。従って、適切な「鍵」の生産は、実際の防犯部材の生産と同様に大変複雑であり費用も掛かる。
【0007】
従って、本発明の目的は、配向した液晶層に基づき、市販の低価格なアナライザー手段により選択的に読み出すことができる潜像情報の2つの異なる項目を組み合わせる光学防犯部材のための簡単且つ低価格な工程を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
その目的は、少なくとも部分的に配向したポリマー材料、特に、液晶ポリマーからなる少なくとも一つの異方性層を有する膜、特に、スタンピング層、積層層又はステッカー層により達成される。この場合、少なくとも部分的に配向したポリマー材料からなる異方性層又は複数の異方性層は、入射光の異なる偏光状態に対応し、それに応じて画像情報の異なる項目を含む領域を形成する。
【0009】
この場合、第一潜像防犯機能は、第一偏光子、例えば直線偏光子を介して見たとき視覚化され、第二潜像防犯機能は、異なる偏光状態に対応する第二偏光子、例えば円偏光子を介して見たとき視覚化される。
【0010】
従って、本発明によると、一つの防犯機能において、一つの作業工程で重複関係にある潜像情報の2つ以上の項目を提供することができ、簡単な方法、すなわち、直線偏光に対応する偏光子及び円偏光に対応する偏光子により、画像情報の項目を選択的に視認することができる。前記目的に必要なアナライザー手段としての偏光子は、市販のものを使用することができ、その偏光子を変更せずに使用することができる。多種の偏光状態に異なる方法で対応する領域を組み合わせることにより、本発明により形成された防犯機能は、複雑になり、複製を難しくすることができる。一つの防犯部材の複製を試みると、他の防犯部材に影響が及ぶため、本発明に係る膜により提供された防犯機能の偽造又は複製は、非常に難しくなる。従って、膜は、前記利益を組み合わせた高い防犯性を提供し、その簡単、低価及び広域な方法を、隠された防犯特性の復号化に用いることができる。
【0011】
本発明の有益な構造は、従属項に記載されている。
【0012】
偽造に対する特に高いレベルの防護対策は、個々の異方性ポリマー層が、直線偏光又は配向方向を回転させる特性を有する第一領域と、円偏光特性を有する第二領域とを有する場合に達成される。この場合、異方性ポリマー層の第一領域及び第二領域は、直接互いに隣接関係に配置されることが好ましい。この方法により、防犯機能の変更を試みると、同時に他の防犯機能を変更させてしまうため、防犯機能の操作又は偽造は極端に難しくなる。更に、そのような異方性ポリマー層の模倣は、非常に複雑であり費用も掛かる。
【0013】
本発明の好ましい実施例によると、膜は、液晶材料からなる異方性ポリマー層が塗付された少なくとも一つの複製層を有する。この場合、回折構造は、異方性ポリマー材料の配向のために機能する。このような技術により、一方では、低価格な生産工程で液晶材料からなる異方性ポリマー層をより正確に配向することができる。また、直線偏光又は配向方向を回転させる特性を有する第一領域と、円偏光特性を有する第二領域とを有する前記したような異方性ポリマー層を生産するための特に効果的な方法を提供する。
【0014】
回折構造の構造パラメータ、特に、領域すなわち隣接する異方性ポリマー層の直偏光又は偏光方向を回転させる特性を有する領域と円偏光特性を有する領域とで平均構造深さが異なるように、回折構造は選択される。
【0015】
回折構造の構造パラメータを選択することにより、複製層に塗付された液晶材料からなる異方性ポリマー層の配向を調整することができるだけでなく、異方性ポリマー層が直線偏光又は偏光の方向を回転させる特性を有するか、円偏光特性を有するかを判断することができる。その点に関して、異方性ポリマー層の配向は、実質的に、回折構造の方位により決められる。構造形状、空間周波数及び特に平均構造深さは、そこに設けられた液晶材料からなる異方性ポリマー層の偏光特性を決める。これらのパラメータの選択により、液晶材料からなる重複した異方性ポリマー層が、直線偏光又は回転方向を回転させる特性を有するか、円偏光特性を有するかの調整をすることができる。この方法では、重複した異方性ポリマー層の各領域において、適切な回折構造を選択することにより、液晶の配向方向及び液晶が有する局所的配向特性、すなわち直線偏光又は偏光の方向を回転させる特性を有するか、円偏光特性を有するかを、正確に調整することができる。
【0016】
そのような効果は、偏光による照射によって配向した感光性樹脂層の液晶材料の配向又はマイクロスクラッチのある配向層の液晶材料の配向によってのみ達成され、配向層の異方性ポリマー層の厚さを、対応の塗付工程によってのみ制御することができる。
【0017】
回折構造は、第一及び第二構造を重ね合わせることにより形成されることが好ましい。その点に関して、第一構造は、液晶材料の配向のために機能する。第二構造は、複製層に隣接する異方性ポリマー層の直線偏光又は偏光方向を回転させる特性、又は円偏光特性を調節するために機能する。そのような作業手順により、前記異方性ポリマー層は、簡単、低価及び正確な方法で製造される。例えば、1500本/mm〜3500本/mmの範囲の空間周波数及び50nm〜500nmの範囲の深さを有する線格子を、第一構造として用いる。一例として、200nm〜800nmの範囲の構造深さ及び数マイクロメータの横相関長を有する等方マット構造を、第二構造として用いることができる。
【0018】
等方マット構造及び多数の線を有する線格子からなる組み合わせ格子が用いられることが好ましい。この点に関して、線状格子として、例えば正弦格子を用いることができる。この点に関して、マット構造の深さは、50nm〜2000nmの範囲であることが好ましく、マット構造の相関長は、μm範囲であることが好ましい。
【0019】
この点に関して、等方マット構造と複数の線を有する線格子との前記したような組み合わせ格子が用いられている場合、比較的浅く、高周波数の格子、例えば正弦格子(例えば140nmの格子の深さ)は、液晶分子の空間的配向機能を行う。この点に関して、正弦格子の比較的多数の線(例えば、2860 l/mm)は、必要であるとは限らないが有益である。微細な構造が液晶材料により満たされていることから、組み合わせ格子の比較的深い等方マット構造(例えば、一般的に600nm)は、液晶層の比較的厚い部分を含む。その層の厚さの効果は、等方性であり、すなわち優先空間配向を備えていない。好ましい空間方向は、高周波浅線格子によってのみもたらされる。従って、比較的浅い高周波数の正弦格子(例えば、通常140nm)のみを含む領域は、独占的に入射光を直線偏光し、浅い正弦格子及び深いマット構造の組み合わせ格子は、結合配列と、結果として円偏光光学機能を導く層の厚さ効果とをもたらす。
【0020】
そのような種類の構造を用いた場合、方位及び複製層に隣接する異方性ポリマー層の偏光特性の正確な調整を行うことができる。
【0021】
また、膜が少なくとも部分的に配向した液晶材料からなる2つ以上の異方性ポリマー層を有することができ、異方性ポリマー層の一方は、直線偏光又は偏光方向を回転させる特性を有する領域を有し、第二異方性ポリマー層は、円偏光特性を有する領域を有する。第一及び第二領域を有する前記異方性ポリマー層の利点を達成するために、2つの層が高いレベルの関係で互いに塗付されることにより、特別な要求が生じる。
【0022】
本発明の好ましい実施例によると、異方性ポリマー層は、40μm未満の領域(すなわち、人間の目の解像力より極めて小さい)の複数の画像領域を有し、各画像領域には、それぞれ直線偏光又は偏光の方向を回転させる特性を有する少なくとも一つの第一領域と、円形偏光特性を有する少なくとも一つの第二領域とが配置されている。この場合、第一又は第二偏光子を介して見たとき、観察者は、完全に異なる複合防犯機能を一つ及び同じ視角領域で見ることができる。従って、符号化された防犯機能が用いられている場合は、アナライザー手段及び防犯部材として使用された偏光子の構造及び形状の間の依存はなくなる。
【0023】
模倣の難しい特に印象的な防犯機能を、グレースケール画像を生成するために、方位を偏光することにより第一領域に関連付けられた対象を含む第一防犯機能により生成することができる。また、グレースケール画像を生成するために、第二防犯機能は、方位を偏光することにより第二領域に関連づけられた対象を含むことができる。第一偏光子を用いた場合、第一グレースケール画像が視覚化され、第二偏光子を用いた場合、第二グレースケール画像が視覚化される。
【0024】
防犯機能には、異なる掌性を有する異なる光学異方性ポリマーが部分的に塗付された2つ以上の領域を含ませることができる。この点に関して、直線偏光子を介して視角化される第一潜像のほかに、異なる潜像をもたらす右旋性又は左旋性の円偏光子を介して見るという左旋性又は右旋性の液晶材料の特別な使用により、前記したような回折構造により取り込まれ、直線又は円偏光子により選択的に視覚化される領域を、対偽造防止の点で更に向上させることができる。
【0025】
従って、観察者は、使用される偏光子の特性(直線偏光のための偏光子、左旋又は右旋関係における円偏光のための偏光子)と、膜に対する偏光子の角度位置とに基づいて異なる対象物を見ることができる。
【0026】
偽造に対する防犯性のレベルを更に向上させるために、第三防犯機能又は第四防犯機能をそれぞれ符号化し、関連した複号化された偏光パターンが設けられた第三又は第四偏光子を介して見た場合、視覚化することができる第一及び第二領域を配置することができる。しかしながら、関連した複号偏光パターンが設けられ直線偏光を複号化するための領域及び円偏光を複号化するための領域を有する第五偏光子を介して見た場合見ることができる第五防犯機能を符号化するための第一及び第二領域を配置することが特に有益である。
【0027】
また、偽造に対する防犯性のレベルを向上させるために、例えば、ホログラム又はキネグラム(登録商標)防犯機能を生成する光学的に効果的な回折構造を有する更なる層を膜に設けることが可能である。干渉による色ずれをもたらす薄膜システム層を膜に組み込むことにより、偽造に対する防犯性を向上させることができる。膜が反射層を有する反射部材の形状、特に、金属層又はHRI層である場合は、反射層の部分的な構成により更なる光学的に認識可能な防犯機能が提供される。
【0028】
ここでは、反射層が、別の光学的に認識可能な防犯機能として視角依存色ずれ効果を生成するコレステリック液晶材料からなる層により形成される場合は特に有益である。それは、異方性画像支持ポリマーの第一層及びコレステリック液晶材料層の間に設けられた追加の第一層半透明層、特に、薄いアルミニュウム層と組み合わせで選択的に実行される。
【0029】
膜は、紙幣、クレジットカード、身分証明書及び書類を安全に防護するための光学防犯部材として用いられることが好ましい。また、本発明に係る膜により提供された隠された光学防犯機能を、例えば、一次元又は二次元バーコードとして機械解読可能な情報の項目が符号化された機械解読可能な光学防犯機能の形状にすることは特に有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、多くの実施例に基づいて本発明について添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0031】
図1は、図2に示された防犯部材を偏光子なしで見た場合、直線偏光子を介して見た場合、及び円偏光子を介して見た場合、観察者に示される各種の表示11、12、13、14及び15を示す。防犯部材を偏光子なしで見た場合、表示11が観察者に示される。表示13において直線偏光子が表示12に対して45°回転した状態で、直線偏光子を介して防犯部材を見た場合、表示12及び13が観察者に示される。表示15において円偏光子が表示14に対して90°回転した状態で、円偏光子を介して防犯部材を見た場合、表示14及び15が観察者に示される。図1に示されたように、直線偏光子を用いた場合は、観察者は第一防犯機能21すなわちテキスト「VALID」を視認し、円偏光子を用いた場合は、観察者は第二防犯機能22、すなわちクラーラシューマンの表示を視認する。
【0032】
図1に関して記載された効果を示す防犯部材の正確な構造について図2、3及び5を参照して説明する。
【0033】
図2は、防犯書類0及び2つの偏光子すなわち直線偏光子61及び円偏光子62の概略的な構成を示す。
【0034】
防犯書類0は、例えば、紙幣、身分証明書又はパス、チケット、又はソフトウエア証明書である。防犯書類0は、坦持部材1及び該坦持部材に設けられた膜3(又は坦持部材に取り込まれた膜)を備える。この場合、坦持部材1は、例えば紙又はプラスチック材料からなる。膜3は、防犯ストリップ又は防犯パッチの形で坦持部材に塗付され、又は、防犯繊維の形で坦持部材に組み込まれることが好ましい。また、追加の防犯機能を坦持部材1に含めることもできる。坦持部材1に、例えばカラー印刷及び/又は例えばカードホルダーの名前のようにエンボス加工することもできる。
【0035】
膜3は、転写膜、特に熱間スタンピング膜の転写層の形で坦持部材1に塗付されることが好ましい。この場合、膜3は、保護ラッカー層31、複製層33、異方性ポリマー層32、反射層34及び接着剤層35を有する。
【0036】
保護ラッカー層31の厚さは、約0.3〜1.2μmの範囲であることが好ましい。層33は、回折構造がスタンピングエンボス手段によりエンボス加工された複製層である。この場合、複製層33は、例えば印刷工程により塗付可能な透明な熱可塑性材料からなることが好ましい。
【0037】
この点に関して、例えば複製ラッカーの組成は以下の通りである。
【0038】
【表1】

【0039】
従って、乾燥後、複製層33は、2.2g/cmの塗付重量で、例えばラインラスタインタリオ印刷シリンダーを用いて塗付され、その後、前記複製層を100℃〜120℃の範囲の乾燥通路で乾燥する。その後、回折構造が例えばニッケルからなる雌型により約130℃で複製層33にエンボス加工される。回折構造のエンボス加工において、雌型を電気的に加熱することが好ましい。エンボス加工後の複製層33から雌型が持ち上げられる前に、雌型を再度冷却することができる。回折構造が複製層にエンボス加工された後、複製ラッカーは、架橋結合又は別の方法で硬化する。
【0040】
その後、光学異方性ポリマー材料、好ましくは液晶材料(液晶=LC)からなる層は、複製層33に塗付される。原則として、上記した全ての液晶材料を層32に用いることができる。スイスのバーゼルのVantico株式会社からのOPALVA(登録商標)系のネマティック液晶材料を用いることが好ましい。この液晶材料は、好ましくは平面で厚さ0.5μm〜5μmの範囲の層を有する塗付量で、好ましくは印刷工程により、複製層33の全面又は一部に塗付される。この場合、液晶材料が塗付された後局所的に形成された異方性ポリマー層32の効果的な層の厚さは、複製層32にエンボス加工された回折構造に影響される。
【0041】
その後、必要に応じて、異方性ポリマー層32の液晶を加熱することにより整列させる。最後に、液晶材料のUV硬化又は熱的に誘導されたラジカル架橋結合は、液晶分子の配向を固定するために行われる。
【0042】
また、印刷により塗付され溶媒液晶材料からなる層に乾燥工程を行うこともでき、回折構造に応じて、液晶分子を溶媒の蒸発中に配向させることもできる。また、配向が架橋結合により固定された後、無溶媒液晶材料を印刷工程により塗付することもできる。
【0043】
また、印刷工程により保護ラッカー層を異方性ポリマー層32に任意に塗付することもできる。保護ラッカー層の厚さは、例えば0.5μm〜3μmの範囲である。保護ラッカー層は、UV架橋結合可能なアクリレート又は対磨耗性熱可塑性アクリレートからなることが好ましい。
【0044】
その後、反射層34が塗付される。反射層34は、薄い蒸着金属層又はHRI層(HRI=high refraction index(高反射率))を含むことが好ましい。前記金属層の材料としては、本質的に、クロム、アルミニュウム、銅、ニッケル、銀又は金、又はこれらの材料の合金が考えられる。
【0045】
その後、熱活性化接着剤からなることが好ましい接着剤層35が塗付される。
【0046】
隣接する複製層33に組み込まれた回折構造の異なる構造パラメータにより律則されると、異方性ポリマー層32は、領域において、異なる偏光特性を有する。従って、一例として、図2は、異方性ポリマー層32が異なる偏光特性を有する相互に並列的に配置された複数の領域41乃至51を示す。第一領域41、43、45、48及び50では、異方性ポリマー層32に用いられた液晶材料に応じて、異方性ポリマー層32は、直線偏光特性又は偏光方向を回転させる特性を有する。第二領域42、44、46、47、49及び51では、異方性ポリマー層32は略円偏光特性を有する。この場合、円偏光特性は、直線偏光の位相位置の状態が適用されないX−Y方向における場のベクトルの位相位置のずれを示すために用いられる(位相差=mπ,m=整数)。
【0047】
図2に示されたように、液晶分子の方位は、一方では直線偏光領域41及び45と、他方では直線偏光領域43、48及び50とで異なる。また、異方性ポリマー層32は、例えば、領域42、47及び49では右旋性円偏光特性を有し、領域44、46及び51では左旋性円偏光特性を有する。この点に関して、円偏光の掌性は、各領域で使用され、例えば印刷工程により部分的に塗付された液晶材料により決まる。
【0048】
一例として、図3は、防犯書類0を製造するために使用することのできる転写膜の概略構成を示す。図3は、坦持膜39と、保護ラッカー層31、複製層33、異方性ポリマー層32、反射層34及び接着剤層35からなる転写膜とを示す。坦持膜39は、例えば約12μm〜50μmの範囲の厚さを有し、ポリエステル膜からなることが好ましい。
【0049】
図示しない剥離層を坦持膜39と保護ラッカー層31との間に設けることが好ましい。
【0050】
図3に示すように、回折構造36は複製層33にエンボス加工されている。この場合、図3に示されたように、回折構造の構造パラメータは、一方では、直線偏光又は入射光の回転方向を回転させる第一領域に関連した領域と、他方では、円偏光領域に関連した領域とで異なる。これらの領域における液晶の配向は、実質的に、回折構造の方位により決まる。偏光特性、すなわち、領域が円偏光特性、又は直線偏光又は回転の方向を回転させる特性を有するかは、本質的に、各領域における回折構造の平均構造深さにより決まる。この点に関して、200〜500nmの範囲且つλ/4の状態を満たさない平均構造深さにおける差は、各領域における偏光特性を変える。
【0051】
例えば、円偏光により見ることのできる領域に次の構成を選択すると良い結果が得られる。
【0052】
等方マット構造と、多数の線を有する線格子とからなる組み合わせ格子が使用される。この点に関して、直線格子として、例えば正弦格子を用いることができる。この場合、マット構造は、200nm〜800nmの範囲の深さを有することが好ましく、μm範囲の相間長を有する。
【0053】
そのような目的に用いることができる等方マット構造は、例えば、底面が1μm〜100μmの範囲の横寸法を含み、側面が膜の自由面に対して45°の傾斜角を含む略同一形状の3次元構造部材からなる。また、この点に関して、底面に正確に周期的に配置されない小さい横寸法を含む等方マット構造を用いることもできる。その後、マット構造を、例えば付加的及び倍数的に前記線格子に重ね合わせる。該線格子は、例えば毎mm1500本〜毎mm3500本の範囲及び50nm〜500nm範囲の深さを有する多数の線から構成される。それは、例えば図4aに示されたように、そのような種類の等方空間マット構造を構造深さ363及び格子期間362を含む線格子に重ね合わせることにより形成された構造361を提供する。この場合、図4aは、そのようなマット構造の実際のスケールではない概略図のみを示す。本発明の好ましい実施例によると、高周波正弦格子は、実質的にはマット構造よりも浅い。
【0054】
更に、マット構図が、例えば平均粗さ、相関長等のような統計的特性値によってのみ示されるように、マット構造として、微視的レリーフ構造部材が不規則に配置される等方マット構造を使用することもできる。
【0055】
使用することができるマット構造の詳細に関しては、WO 03/055691 A1に記載されている。
【0056】
図4bは、マット構造に構造部材の統計的分配及び上記したような多数の線を有する線格子を重ね合わせることにより形成された構造364の概略図を示す。図4bに示された実施例では、比較的浅く且つ高周波な正弦格子が粗く且つ極めて深いマット構造に重ね合わせられている。
【0057】
構造が異なる方位に存在することによりグレースケール画像の各種グレートーンを復号化することができることから、情報の項目が示される。シンプルなグレートーン画像を図1に示す。図1は、2つのグレースケールを有するグレートーン画像、すなわち白黒画像を示す。この場合、背景すなわち「四角」と、表面すなわち「クラーラシューマン」とは、同じ基底構造を有する。この点に関し、背景には、90°の線格子の方位が使用され、表面には、0°の線格子の方位が使用される。情報のこれらの項目(四角、クララ)の表示に関連した領域では、例えば、500nmの深さ及び数μmの横相関長を有するマット構造と、2800本/mm及び120nmの深さの多数の線を有する正弦格子との組み合わせ格子を用いる。
【0058】
一例として、比較的多数の線を有する線格子が、直線偏光子により視覚化される構造の組み合わせとして利用される。この場合、前記したような組み合わせ格子を背景として利用することができる。利用することができる線格子は、例えば2000本/mm〜3500本/mmの範囲及び50nm〜500nmの範囲の深さを有する多数の線を備える。従って、図1に示された情報「VALID」に関連した領域は、例えば、2860本/mm及び約120nmの深さを有する多数の線を有する線格子に向けられる。この点に関して、線格子(45°)と組み合わせ格子(0°又は90°)との間で生じるコントラスを直線偏光子により視覚化することができるように、互いの格子の配向が選択される。
【0059】
図5を参照しながら異方性ポリマー層32の第一及び第二領域の有益な配置について説明する。
【0060】
図5は、線状ラスターパターンに整列された複数の画像領域501乃至504を示す異方性ポリマー層32の一部を示す。これらの各画像領域は、直線偏光又は偏光方向を回転させる特性を有する少なくとも一つの第一領域と、円偏光特性を有する少なくとも一つの第二領域とを有する。従って、例えば画像領域501は、そのような種類の第一領域54及びそのような種類の第二領域53から構成される。異方性ポリマー層32は、人間の目の解像度よりも低い線密度を有する関心範囲50%でラスター化されることが好ましい。従って、線ラスターは、例えば80μmの間隔で40μmの線から構成される。しかしながら、また、情報の2つ以上の項目を互いにラスター化することもできる。このような場合、ラスター線の間隔は、人間の目の解像度よりも低い。
【0061】
また、膜3を、反射層34を利用しない透過型の膜の形とすることもできる。これにより、立証された法則に応じて、そのような種類の透過型の膜は、直線偏光又は円偏光により照射される。この場合、直線又は円偏光子を用いて見ることにより防犯機能21及び22が示される。また、直線又は円偏光子を介して観察することにより、直線偏光のみの放射が可能になる。この場合、そのような種類の直線偏光子を膜3に予め組み込むことができる。その結果、非偏光を透光した場合、直線偏光子を介して見ると、第一防犯機能が視覚化されると同時に、円偏光子を介して見ると、第二防犯特性が視覚化される。
【0062】
情報の別の項目が本発明係る膜に符号化され、そのような情報が特別な構成の偏光子により復号化される本発明の別の実施例について、図6を参照して説明する。
【0063】
図6は、坦持部材1に塗付され、保護ラッカー層31、複製層33、異方性ポリマー層32、反射層34及び接着剤層35を有する膜4を示す。保護ラッカー層31、複製層33、異方性ポリマー層32、反射層34及び接着剤層35の構造は、それぞれ図1乃至5に示された層と同様の構造である。異方性ポリマー層32は、複数の領域411、421、431、441、451、461、471、481、491、551及び501を有する。これらの領域は、直線偏光又は異方性ポリマー層を回転させる特性を有する第一領域(411、431、451、481及び551)の形状又は円偏光特性を有する第二領域(421、441、461、471、491及び561)の形状である。前記実施例に記載された防犯機能は、一方で円形偏光子を介して見た場合、他方で直線偏光子を介して見た場合、防犯機能が視覚化されるこれらの領域の特別な構造を用いて膜4で実行される。
【0064】
さらに、図6は、膜4に関連し、実質的に坦持体633と、直線偏光を検出するための領域及び円偏光を検出するための領域を有する2つの層632及び631と、保護ラッカー層630とからなる特別な偏光子63を示す。この場合、膜632は、直線偏光子により形成され、膜631は、図示しない複製層に配向され、異方性ポリマー層32に応じて、偏光方向を回転させる特性を有する第一領域412、432、452、482及び552と、円偏光特性を有する第二領域422、462、472、492及び562とを有する液晶層により形成される。従って、第一領域で直線偏光子として機能し、第2領域で円偏光子として機能する偏光子63を提供する。その点に関して、直線偏光の検出された方位角を領域において異なって選択することができるように、層632の偏光方向を層631の各領域に応じて異なって選択することができる。
【0065】
領域412、422、432、442、452、462、472、482、492、552及び562に対して適切に選択された領域411、421、431、441、451、461、471、481、491、551及び561の配置により、特別な偏光子63を用いてのみ視覚化される更なる防犯機能を、異方性ポリマー層32に符号化することができる。防犯機能の画素、2つの異なる防犯機能の画素に、すなわち直線偏光及び円偏光領域に用いることができることから、個々の防犯機能の特定の構成及び形状の防犯機能の依存性はなくなる。
【0066】
図7は、坦持部材1に塗付された本発明に係る別の膜5を示す。膜5は、保護ラッカー層31、異方性ポリマー層32、複製層33、システム層70及び接着剤層35を備える。保護ラッカー層31、異方性ポリマー層32、複製層33及び接着剤層35は、図1乃至5の実施例に示された通りである。
【0067】
システム層70は、観察者が偏光子を使用せずに見ることができる別の光学防犯機能を提供する。従って、システム層70は、例えば、反射層が設けられた光学効果回折構造及び、光学防犯機能として、例えばホログラムを提供する光学効果回折構造を含む。また、この場合、透過型又は反射型の特性を有し、干渉により視角依存色ずれ効果をもたらす薄膜システム層を含むことができる。本実施例によると、システム層70は、吸収層と、コレステリック液晶材料からなる層72とを備えるシステム層である。一例として、WO 01/55960に記載されたコレステリック液晶材料をコレステリック液晶材料として使用することができる。この場合、膜72の厚さは、1〜10μmの範囲とすることが好ましい。塗付によるせん断力により層72の液晶を配向させる。また、必要であれば、コレステリック液晶材料を塗付する前に、マイクロスクラッチのある又はつや消し配向層を層71に塗付することもできる。この場合、視角依存色ずれ効果が認識されるように、層72は、入射光の入射角に応じて、光の特定の波長成分のみを反射するフィルターとして機能する。
【0068】
層72の円偏光作用による異方性ポリマー層32の上記特性を失わず第一領域及び第二領域に層72により生成された色ずれ効果の認識性を確実にするために、ここでは、層71が設けられる。層71は、例えば厚さ1nm〜50nmの範囲のアルミニウム層からなる、例えば構造化された薄い金属層の半透明ミラーである。
【0069】
入射光の一部は層71で反射され、これにより、層71は、前記したような効果をもたらす。入射光の一部のみが層72に作用し、これにより、入射光の一部は円偏光する。従って、システム層70は、入射直線偏光を直線偏光として又は選択的にフィルターされた円偏光として反射するシステム層である。
【0070】
層35は、コレステリック層72の光学的外観及び/又は光学的機能(吸収)を向上させるために、光学的に着色される接着剤層を示す。
【0071】
図8は、本発明の別の実施例を示す。
【0072】
図8は、坦持膜80、保護ラッカー層81、抑制層82、第一異方性ポリマー層83、第二異方性ポリマー層84、反射層85及び接着剤層88からなるスタンピング膜8を示す。保護ラッカー層81、反射層85及び接着剤層88の構造は、図1乃至5の実施例に示された対応する層30、31、34及び35と同様の構造である。各異方性ポリマー層83及び84は、それぞれ、前記実施例において前記したように、回折構造を有する複製層に配向し、又は転写工程により膜に設けられた配向液晶材料からなる層を有する。後者の場合は、転写異方性ポリマー層83及び84が、接着剤層と、配向層と、配向層に配向し、架橋結合された液晶層とを有することが好ましい。この点において、異方性ポリマー層83が領域において直線偏光特性又は偏光方向回転特性を有し、異方性ポリマー層84が領域において円偏光特性を有するように、異方性ポリマー層83及び84の厚さ及び液晶材料が選択される。
【0073】
この場合、図8に示されたように、2つの異方性ポリマー層83及び84は、お互いに正確な関係で設けられる。これにより、各層は、それぞれ直線偏光又は偏光方向回転特性を有する領域41、43、45、48及び50と、円偏光特性を有する領域42、44、46、47、49及び51とを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る膜を異なる偏光子を介して見た場合、観察者に示される表示を一例として示す概略図である。
【図2】図1に示された膜を有する防犯部材の一部と、2つの異なる偏光子とを示す断面図である。
【図3】図1に示された膜を詳細に示す断面図である。
【図4a】異なる回折構造を示す概略図である。
【図4b】異なる回折構造を示す概略図である。
【図5】図1に示された膜の異方性ポリマー層の一部を示す概略図である。
【図6】本発明に係る膜を有する防犯部材と、本発明の別の実施例による偏光子とを示す断面図である。
【図7】本発明に係る別の実施例による膜を有する防犯部材を示す断面図である。
【図8】本発明に係る別の実施例による膜を示す断面図である。
【符号の説明】
【0075】
0 防犯書類
1 坦持部材
3、4、5及び8 膜
11、12、13、14及び15 表示
21 第一防犯機能
22 第二防犯機能
31 保護ラッカー層
32 異方性ポリマー層
33 複製層
34 反射層
35 接着剤層
36 回折構造
39 坦持膜
41乃至51 領域
61 直線偏光子
62 円偏光子
70 システム層
83 第一異方性ポリマー層
84 第二異方性ポリマー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に配向した液晶材料からなる少なくとも一つの異方性ポリマー層(32、83及び84)を有する膜(3、4、5及び8)、特に、スタンピング膜、積層膜又はステッカー膜であって、
少なくとも部分的に配向した前記液晶材料からなる前記異方性ポリマー層(32)又は複数の異方性ポリマー層(83及び84)は、第一防犯機能(21)を形成し且つ前記異方性ポリマー層(32及び83)が直線偏光又は回転方向を回転させる特性を有する一つ以上の第一領域(41、43、45、48、50及び54)と、第二防犯機能(22)を形成し且つ前記異方性ポリマー層(32及び84)が円偏光特性を有する一つ以上の第二領域(42、44、46、47、49、51及び53)とを備え、前記第一防犯機能は、第一偏光子(61)を介して見たとき視覚化され、前記第二防犯機能は、別の偏光状態に対応して第二偏光子(62)を介して見たとき視覚化されることを特徴とする膜。
【請求項2】
少なくとも一つの前記異方性ポリマー層(32)は、直線偏光又は偏光の方向を回転させる特性を有する前記第一領域(41、43、45、48、50及び54)と、円偏光特性を有する前記第二領域(432、44、46、47、49、51及び53)とを有し、前記異方性ポリマー層(32)の前記第一領域及び第二領域は、互いに並列関係に配置されることが好ましいことを特徴とする請求項1に記載の膜。
【請求項3】
前記膜(3、4、5及び8)は、液晶材料からなる前記異方性ポリマー層(32)が塗布された少なくとも一つの複製層(33)を備え、液晶材料からなる前記異方性ポリマー層(32)の配向のための回折構造(36、361、364及び365)は、液晶材料からなる前記異方性ポリマー層(32)に向いて前記複製層(33)の表面に組み込まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の膜。
【請求項4】
前記回折構造(36、361、364及び365)の一つ以上の構造パラメータは、隣接する前記異方性ポリマー層(32)の直線偏光又は偏光方向を回転させる特性を有する前記第一領域(41、43、45、48、50及び54)に関連した第一領域と円偏光特性を有する前記第二領域(42、44、46、47、49、51及び53)に関連した第二領域とで異なることを特徴とする請求項3に記載の膜。
【請求項5】
前記回折構造(36、361、364及び365)の平均構造深さは、前記第一領域と前記第二領域とで異なることを特徴とする請求項4に記載の膜。
【請求項6】
前記回折構造(36及び361)は、前記液晶材料の配向のための第一構造と、前記複製層(33)に隣接する前記異方性ポリマー層(32)の前記直線偏光特性、前記偏光方向回転特性又は前記円偏光特性を調節するための第二構造との重ね合わせにより形成されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一つに記載の膜。
【請求項7】
前記第一構造は、1500本/mm〜3500本/mmの範囲の空間周波数と、50nm〜500nmの範囲の深さとを有する線格子であることを特徴とする請求項6に記載の膜。
【請求項8】
前記線格子は、領域において、異なる方位を有し、連続的に変化する方位角変化を有することが好ましい請求項7に記載の膜。
【請求項9】
前記第二構造は、平均構造深さが第一領域及び第二領域で異なる構造を備えることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一つに記載の膜。
【請求項10】
前記第二構造は、前記第一領域又は前記第二領域に設けられ、200nm〜800nmの範囲の構造深さを有するマット構造を備えることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一つに記載の膜。
【請求項11】
前記マット構造は、1〜10μmの範囲の横相関長を有する等方マット構造であることを特徴とする請求項10に記載の膜。
【請求項12】
前記膜(8)は、少なくとも部分的に配向した液晶材料からなる2つ以上の異方性ポリマー層(83、84)を有し、前記異方性ポリマー層の一方(83)は、直線偏光又は偏光方向を回転させる特性を有する領域(41、43、45、48及び50)を有し、前記異方性ポリマー層の他方は、円偏光特性を有する領域(42、44、46、47、49及び51)を有することを特徴とする請求項1に記載の膜。
【請求項13】
前記膜(3、5及び8)は、少なくとも部分的に円偏光特性を有する異方性ポリマー層(31及び82)を有し、円偏光特性を有する前記異方性ポリマー層(31及び82)の領域は、少なくとも一つの異方性ポリマー層(32、83及び84)の前記第一及び第二領域(41乃至54)の上方又は下方に配置されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の膜。
【請求項14】
少なくとも一つの異方性ポリマー層(32)は、40μm未満の領域の複数の画像領域(501乃至541)を有し、各画像領域(501乃至504)には、それぞれ直線偏光又は偏光方向を回転させる特性を有する少なくとも一つの前記第一領域(53)と、円偏光特性を有する少なくとも一つの第二領域(54)とが配置されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の膜。
【請求項15】
前記第一防犯機能は、グレースケール画像を生成するために方位を変えることにより第一領域に関連した対象物を含むことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の膜。
【請求項16】
前記第二防犯機能は、グレースケール画像を生成するために方位を変えることにより第二領域に関連した対象物を含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の膜。
【請求項17】
前記第一防犯機能は、直線偏光又は偏光方向回転特性を異なって有する第一領域に関連した2つ以上の対象物を含むことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の膜。
【請求項18】
前記第二防犯機能は、円偏光特性、特に左旋又は右旋円偏光能力を異なって有する第二領域に関連した2つ以上の対象物を含むことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の膜。
【請求項19】
第三防犯機能又は第4防犯機能をそれぞれ符号化するための第一領域又は第二領域が配置され、前記第三防犯機能又は第四防犯機能は、それぞれ関連した復号偏光パターンに設けられた第三又は第四偏光子を介して見たとき視覚化されることを特徴とする請求項1に記載の膜(4)。
【請求項20】
第5防犯機能を符号化するための第一及び第二領域(411、421、431、441、451、461、471、481、491、551及び561)が配置され、前記第5防犯機能は、関連する復号偏光パターン に設けられた第5偏光子を介して見たとき視覚化され、該第5偏光子は、直線偏光を検出するための領域(412、432、452、482及び552)と、円偏光を検出するための領域(422、441、462、472、492及び562)とを有することを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の膜(4)。
【請求項21】
膜は、別の光学的に認識可能な防犯機能を提供する別の光学効果回折構造を備える層を有することを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の膜。
【請求項22】
前記光学効果回折構造は、領域において、前記第一及び第二領域を覆うことを特徴とする請求項21に記載の膜。
【請求項23】
前記膜は、干渉により色ずれを生成し、別の光学的に認識可能な防犯機能を提供する薄膜システム層を有することを特徴とする請求項1乃至22のいずれか一つに記載の膜。
【請求項24】
前記薄膜システム層は、領域において、前記第一及び第二領域を覆うことを特徴とする請求項21乃至23のいずれか一つに記載の膜。
【請求項25】
前記膜(3、4、5及び8)は、反射層(34、72及び85)、特に金属層又はHRI層を備えることを特徴とする請求項1乃至24のいずれか一つに記載の膜。
【請求項26】
前記反射層(72)は、光学的に認識可能な別の防犯機能としての視角依存色ずれ効果を生成するコレステリック液晶材料からなる層により形成されることを特徴とする請求項2、22、23、24及び25のいずれか一つに記載の膜。
【請求項27】
前記膜(5)は、コレステリック液晶材料からなる前記層(72)と少なくとも一つの前記異方性ポリマー層(32)との間に配置された半透明膜(71)、特に薄いアルミニュウム層を有することを特徴とする請求項26に記載の膜(5)。
【請求項28】
前記反射層は部分的であり、これにより前記反射層は、光学的に認識可能な別の防犯機能を提供することを特徴とする請求項25乃至27のいずれか一つに記載の膜。
【請求項29】
前記膜は、紙幣、クレジットカード、パス、身分証明書等を防護するための光学防犯部材を有することを特徴とする請求項1乃至28のいずれか一つに記載の膜(3、4、5及び8)。
【請求項30】
前記膜は、防犯繊維の形状に形成されていることを特徴とする請求項29に記載の膜。
【請求項31】
前記第一及び/又は前記第二防犯機能は、潜像防犯機能であることを特徴とする請求項1乃至30のいずれか一つに記載の膜。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−532959(P2007−532959A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507663(P2007−507663)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000667
【国際公開番号】WO2005/101101
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(506088850)レオンハード クルツ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー (15)
【Fターム(参考)】