説明

ポリマー材料を接着するための1部溶媒ベースの接着剤

接着剤、ならびに、熱可塑性ポリマー、特に熱可塑性エラストマーを効果的に接着する溶媒ベースの接着剤の単一被覆を用いる接着方法を開示する。接着剤成分は、オルガノシラン−イソシアネート付加物及びイソシアナト−オルガノシランから選択されるオルガノシラン成分、プロピレン反復単位を含む後塩素化ポリマー又はその誘導体、ならびに、溶媒である。射出成型又は押出しを介して、硬質構造基材をTPEなどの溶融ポリマーへ接合する方法も開示する。熱可塑性溶融物への接合に先立つ接着剤被覆基材への事前の加熱処理が有っても無くても、硬質基材の接着剤処理済部分と溶融加工ポリマーとの間の耐久力のある接着が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、類似又は非類似の基材へ熱可塑性エラストマー及びエラストマー加硫物といったポリマーを接着する、溶媒ベースの接着剤に関する。該接着剤はシラン含有成分及び塩素化ポリマーを用いる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
種々のポリオレフィン含有プラスチック材料から形成される熱可塑性製品は、表面張力、粗さ及び柔軟性を含む種々の表面性質を有することが周知である。接着した複合材を形成するために使用する基材にとって、耐久性、即ち、環境耐性接着を達成することは継続した挑戦であった。つなぎ被覆又はポリオレフィンベースの材料へのペイントのプライマーとして使用される多数の公知の接着促進剤が存在する。つなぎ被覆の適用は、通常、被覆方法における付加工程である。接着促進剤は、通常、薄層(通常、約6〜10ミクロン(μm))で適用される。
【0003】
オレフィンベースの熱可塑性表面の被覆のための公知の接着促進剤には、塩素化ポリオレフィンが含まれ、その一部の例は、米国特許4,997,882; 5,319,032及び 5,397,602に記載されている。他の例にはカルボキシ変性ポリオレフィンが含まれる。芳香族又は脂肪族炭化水素又は塩素化炭化水素中のカルボキシレート変性ポリオレフィンを教示する米国特許4,299,754を参照されたい。
【0004】
被覆用つなぎ層において塩素化ポリオレフィンで得られた性能は、スチールやアルミニウムといった典型的に直面する基材に対する、オレフィンベース製品の接着について予言するものではない。このことは、塩素化ポリオレフィンのためのthe Journal of Coating Technology, 65, No. 827 p. 21 (1993)の論文で示される。
【0005】
溶融オレフィンベース熱可塑性プロフィールへのインラインにおいて、又は挿入−射出成型において、硬質基材を接着する場合には、加工温度を超える温度又は加熱ドエル時間を避けなければならない。溶融加工可能な熱可塑性エラストマー、即ちTPE's, TPV's, TPO's(以後、集合的に「TPE」)は、窓チャンネル、隙間ふさぎ、種々の自動車装飾部材などの製品を形成するための望ましい材料である。金属又は硬質熱可塑性物質などの硬質構造基材は、溶融プロフィール中にインラインで連結される。同様に、硬質基材やTPEを挿入射出成形によって接着する公知の方法がある。基材とTPEとの間の接着の改良が望まれる。
【0006】
Warrenらの米国特許5,051,474は、線状ポリエステルポリウレタン、ハロゲン化ポリオレフィン、フェノール樹脂、架橋剤を含む接着剤を開示する。該剤は好ましくは、金属といった種々の基材へポリマーブレンドベースの熱可塑性エラストマーを接着する2成分接着剤として用いられる。
【0007】
Mowreyの米国特許5,268,404は、金属表面の最初のプライミングの必要性無くして、良好な環境耐性をもった強いゴム−金属結合を示す1部接着組成物を開示する。該組成物は、ハロゲン化ポリオレフィン、芳香族ニトロソ化合物、酸化金属(酸化亜鉛や酸化マグネシウムなど)、及び場合によっては、加硫剤(硫黄やセレニウムなど)、フェノールエポキシ樹脂、又はカーボンブラックを含む。
【0008】
Fennらの米国特許5,432,246は、2級アミノ−アルコキシシラン、ポリイソシアネート、及び場合によっては、単一イソシアネートから製造されるシランオリゴマーにより、遊離の残存イソシアネート基が無い置換ウレアを得ることを開示する。
【0009】
Mowreyの米国特許6,512,039は、金属を過酸化物硬化エラストマーへ接着するために設計された接着剤を開示する。代表的な接着剤は、クロロスルホン化ポリエチレン10〜20%、酸スカベンジャー15〜25%、ポリマレイミド35〜45%、沈殿シリカ5〜15%、イソシアナトシラン10〜20%を含む。
【0010】
EP 0187171は、熱可塑性ポリオレフィンのプライマーを開示する。これらのプライマーの代表は、塩素化ポリオレフィン、例えばポリプロピレン、又はグラフト変性ポリプロピレン、架橋性バインダー、及び、アミン、アミドアミン、イソシアネート、ポリイソシアネート、シアヌレート、及び−OHもしくは−COOH基を含むアクリレートから選択される架橋剤を含む組成物である。
【0011】
ポリイソシアネートを含む代表的な接着剤、又はアミノシランなどのバインダーは公知である。米国特許4,031,120 (Lord)は、イソシアナトシラン又はイソシアネート−オルガノシラン付加物ベースの1被覆接着剤を開示する。種々のフィルム形成剤が示唆される。最適には、接着剤はニトロソ化合物を含む。押出接着又はクラッドなどといった限定加熱の条件下で、あるいは、挿入射出成形において、2タイプ以上のTPEへの1被覆接着剤の良好なプライマリー接着結合を提供することは産業的に重要であろう。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
1局面で、本発明は、オルガノシラン−イソシアネート付加物(A)又はイソシアナト−オルガノシラン(B)から選択されるオルガノシラン成分、並びに、プロピレン反復単位をもつ後塩素化ポリマーを含む、単一被覆で、液体で、溶媒ベースの接着剤を使用することによる、TPEの基材への接着方法を提供する。典型的な非揮発性成分量は、オルガノシラン成分10〜90重量%及び後塩素化ポリマー90〜10重量%であり、有機溶媒中の全固形分量は5〜50重量%の範囲である。
【0013】
方法の局面で、本発明は、溶融ポリマーへの硬質構造基材の接着方法であって、溶融押出物を処理済基材と接触させることを有する上記方法を含む。基材は、接着剤を塗布して乾燥することによって処理される。別の方法局面は、ポリマー射出溶融物の接着方法であって、射出鋳型に含まれる処理済基材へ、射出溶融物を接触させることを含む方法である。基材は、接着剤を塗布して乾燥することによって処理される。基材の接着剤処理済部分へ射出溶融物を接触した後、複合材を冷却して鋳型から取り出す。TPEへの接合に先立って接着剤被覆基材へ加熱処理が適用されてもされなくても、挿入した硬質基材の接着剤処理済部分と溶融処理ポリマーとの間の耐久力のある接着が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
好適実施態様の説明
重合フィルム形成剤は、後塩素化ポリプロピレン(CPP)であるベースポリマーを用いる。ベースポリマーはプロピレン反復単位を含む。フィルム形成剤は、後塩素化ポリプロピレンの誘導体を包含してもよい。ベースポリマーの重量平均分子量は、5,000〜60,000であり、好ましくは15,000〜45,000である。塩素含量は、10〜60重量%の範囲にすべきであり、好ましくは20〜50重量%の範囲である。プロピレン反復単位を含むベースポリマーとして、結晶性ポリプロピレン、非結晶性ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー、及びプロピレン−C−C10−α−オレフィンコポリマーが使用できる。ベースポリマーは、実際には、ポリプロピレンホモポリマーと、プロピレン反復単位を含むコポリマーとのブレンドであってもよい。ブレンドの1例として、ポリプロピレンホモポリマー25〜95重量%が、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンに基く反復単位を含むランダムプロピレンコポリマーを、5〜75重量%、好ましくは10〜60重量%と混合される。Harden(登録商標)という名称で市販される塩素化ポリプロピレンが最も好ましい。例として、Toyo Kasei Kogyo Co.,Ltd.のHardlen 13-LP塩素化ポリプロピレン、及びEastman CP-343-1及びCP-343-3という名称の製品が挙げられる。
【0015】
本発明で有用な塩素化ポリプロピレンの多くの適切な誘導体が公知である。このような代表的な誘導体は、1種以上のエチレン性不飽和モノマー(例えば、アクリレートもしくはメタクリレートモノマー、マクロモノマー、ビニル機能性オルガノシラン、液体の末端エチレン性ポリジエンポリマー及び/又は他のグラフト官能性材料(例えば、無水マレイン酸又はマレイミド))を組み込むことによって変性されたプロピレン反復単位を有するポリマーである。これらは、日本公開No. 24316 (1976), No. 36128 (1982), No. 215667 (1986), 米国特許4,608,415及び5,130,373で教示されるように、塩素化ポリプロピレンと共に溶液中に導入される。出発CPP材料は、例えば、重量平均分子量が約30,000、塩素含量が27%(トルエン中の30%溶液として)の、Toyo Kasei Kogyo Co.,Ltd.製のHarden(登録商標)14-LLBである。過酸化物開始反応において、モノマー、及び/又はマクロモノマー及び/又は液体ポリマーなどは40重量部まで、有機溶媒の溶液中に、CPP100重量部と共に存在する。別の塩素化ポリプロピレン誘導体では、塩素化ポリプロピレンは、公知の方法に従って無水マレイン酸0.1〜10重量「phr」(100CPP当たりの部)で誘導体化(「マレエート化」)される。更なる別の誘導体として、無水マレイン酸及びアクリル−もしくはメタクリル−変性水素化ポリブタジエンが、公知条件下、過酸化物を用いて組み込まれる。
【0016】
塩素化ポリプロピレンの好適誘導体として、無水マレイン酸変性、即ち、マレエート化塩素化ポリプロピレンが挙げられる。代表的無水マレイン酸誘導体は、還流コンデンサーを装着したリアクター中、塩素含量、例えば30%を有する塩素化ポリプロピレン100重量部と、無水マレイン酸10重量部と、クロロベンゼン300部とを混合して、110℃で加熱して溶解することによって製造できる。この溶液に、添加に6時間かけて、ベンゾイルペルオキシド10重量部を加える。添加終了後、同温度で3時間、混合物を撹拌しながら反応させる。反応完了後、クロロベンゼンと未反応無水マレイン酸を、大気圧下、蒸留で除去し、次いで、140℃、1 mmHgで真空蒸発させる。塩素化ポリプロピレンの結合無水マレイン酸含量は約8重量%、結合塩素含量約27%である。この誘導体は、固形分5〜25重量%の範囲という典型的な接着剤の製造のために使用する溶媒にただちにとられる。無水マレイン酸で変性された塩素化ポリプロピレンの市販の誘導体として、Eastman Chemical Company, Kingsport Tenn.のCP 343-1;Toyo Kasei Kogyo, Ltd. ,大阪、日本のHARDEN(登録商標)CY-9122P;DuPont Dow Elastomers L. L. C., Wilmington, Delawareから入手できるHYPALON(登録商標)CP-826が挙げられる。
【0017】
CPPの具体的な代表的誘導体化剤として、液体型ポリブタジエン(数平均分子量500〜5000)、ヒドロキシル価95、分子量570を有するアクリル酸オリゴマー、末端メタクリロイル基を有するスチレン/アクリロニトリルマクロモノマー、末端メタクリロイル基を有するイソブチルメタクリレートマクロモノマー(分子量6000)、及び2−エチルヘキシルカリレートが挙げられる。誘導体化に有用な、アクリル−、マレイン酸−、又はメタクリル−変性ポリブタジエンは公知であり、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸への水素化OH−末端ポリブタジエンのエステル化反応による、(ii)OH−ポリブタジエンへの、ジイソシアネート−ヒドロキシアクリレート又はヒドロキシメタクリレートプレポリプロピレンの付加反応による、(iii)グリシジルアクリレートもしくはグリシジルメタクリレートへの、カルボキシル基を含む水素化ポリブタジエンの開環エステル化反応による、(v)カルボキシル基を含む水素化ポリブタジエンへの、イミノールアクリレートもしくはイミノールメタクリレートの付加反応による、又は(v)Ene反応による、などといった公知の方法で製造される。同様に、他の適切な塩素化ポリプロピレン誘導体は、塩素化ポリプロピレンと反応可能な、スルホネート基、無水カルボン酸基、ヒドロキシル基、エポキシド基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、カルボン酸基などといった官能基を含む公知のポリオレフィン変性剤を用いて、製造できる。
【0018】
本発明の接着剤組成物は、1種以上の有機溶媒中での通常の混合によって製造される。当業界では普通であるが、塗布を容易にするために、成分を混合して不活性有機液体希釈剤中に分散する。不活性有機液体希釈剤は、均一かつ精製された固体の混合物の主要な担体であり、湿った接着剤組成物がひとたび塗布されると、該担体は蒸発によって容易に除去される。適切な有機溶媒の例は、芳香族及びハロゲン化芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなど);ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、プロピレンジクロリドなど);ケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エーテル、ナフサなどであり、こららの担体の混合物を含む。好適な有機溶媒は、キシレンやトルエン、オルト−及びパラ−クロロトルエンであり、場合によっては、テトラクロロエチレンと組合せる。使用する溶媒量は、塗布が容易な接着剤としての使用に適した組成物を与える量であり、通常、全固形分量(TSC)が約5〜50重量%、好ましくは約10〜約30重量%、より好ましくは10〜20重量%の範囲で提供される量である。
【0019】
イソシアナトシラン付加物は、機械的なスターラーもしくは同様のデバイスで混合物を撹拌しながら約10℃〜約100℃の温度範囲で、ポリイソシアネート(また、好ましくは希釈して)へオルガノシラン(好ましくは希釈溶液として)を加えて、共反応性オルガノシランとポリイソシアネートとの間の反応を生じさせることによって製造する。ポリイソシアネート中のイソシアネート基の当量の化学量論的量は、オルガノシランの共反応性基と反応でき、又は好ましくは、共反応性オルガノシランへイソシアネート基の化学量論的過剰が使用される。本質的ではないが、適切な触媒、例えば、ジブチルチンジラウレートが使用できる。触媒を使用すると、反応は容易に進んで穏やかに発熱的である。
【0020】
1実施態様では、オルガノシラン含有成分は、イソシアネート−反応性オルガノシランと、それと共反応性であるモル過剰のポリイソシアネートとの付加物(A)である(「オルガノシラン−イソシアネート付加物」)。オルガノシランは、シリコンに直接結合した官能性ヒドロカルビル基を介し結合している。この結合は、-NH-C(O)-A-R-Siという略様式で表せる(式中、Aで表される基は、O, S, >N-を含み、Rは2価ヒドロカルビルC1-C20基、特にC2-C4である)。イソシアナト−オルガノシラン付加物は、米国特許4,031,120に教示され、機械的なスターラーもしくは同様のデバイスで混合物を撹拌しながら約10℃〜約100℃の温度範囲にて希釈溶液中で、多官能性オルガノシランとポリイソシアナト−オルガノシランとを反応させることによって製造される。場合によっては、ジブチルチンジラウレートといった通常の触媒を使用できる。触媒を使用すると、反応は即時であり、発熱的である。反応中に存在するポリイソシアネートの量は、少なくとも1つの遊離イソシアネート基を有する生成付加物が確実に得られる量が最適である。
【0021】
イソシアナト−オルガノシラン付加物の具体的な説明は、米国特許5,623,044で開示され、2級アミノアルコキシシランとポリイソシアネートとの反応産物である。1例として、HDI 485 g(Desmodur N-100 ex. Mobay) (2.59当量)とアルキルブタレート225 gとを、機械的な撹拌器、温度計、N2入口アダプターおよび添加漏斗を備えた樹脂ケトルにチャージする。混合物を徹底的に混合して、N2ブランケット下でパージする。シラン(N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)−プロピル]アミン)(0.88当量)約300 gを混合物にゆっくりと加える。生じた付加物はイソシアネート含量7.0%を有する。
【0022】
ポリイソシアネートとの付加物製造に適した代表的イソシアネート反応性オルガノ官能性シランとして、特に限定なく、除去可能水素、例えば、アミノ、メルカプト、及びヒドロキシ基、--COOH,--NH--,--CONH2,ポリオールを含む--CONH--、ポリアミン、ポリメルカプタン、ポリ酸を含む公知のシランが挙げられる。出発シランの例は、N, N-ビス [ (3-トリエトキシシリル) プロピル] アミン; N, N-ビス [ (3-トリプロポキシシリル) プロピル] アミン; N- (3-トリメトキシシリル) プロピル-3- [N- (3-トリメトキシシリル)-プロピルアミノ] プロピオンアミド ; N- (3 -トリエトキシシリル) プロピル-3- [N-3-トリエトキシシリル)-プロピルアミノ] プロピオンアミド; N- (3- トリメトキシシリル) プロピル-3-[N-3-トリエトキシシリル)-プロピルアミノ] プロピオンアミド; 3- トリメトキシシリルプロピル 3- [N- (3-トリメトキシシリル)-プロピルアミノ]-2-メチル プロピオネート; 3- トリエトキシシリルプロピル 3- [N- (3-トリエトキシシリル)-プロピルアミノ]-2-メチル プロピオネート; 3- トリメトキシシリルプロピル 3- [N- (3-トリエトキシシリル)-プロピルアミノ]-2-メチル プロピオネート;などである。市販例のシランは、ガンマ−メルカプトプロピル- トリメトキシシラン(Union CarbideからA189として入手できる)又はN, N'-ビス ( (3- トリメトキシシリル) プロピル) アミンである。
【0023】
アミノ官能性オルガノシランは最も好ましく、構造(A)
【0024】
【化1】

【0025】
(式中、R、R、R、「a」は、構造(A)のための上記の定義の通りである;Rは、水素、1〜8個の炭素原子を有する1価脂肪族基、4〜7個の環炭素原子を有する1価脂環式基、6個の核炭素原子を有するアルクアリール基であって、1〜4個の炭素原子を有する1個以上の置換基アルキル基を含むアルクアリール基、及び−R−NH−R−(Rは、1〜20個の炭素を有する、2価脂肪族基、脂環式基、芳香族基からなる群から選択され、但し、好ましくは、窒素原子の任意の対を分離している少なくとも2個の炭素原子があり、但し、Rは好ましくは、2〜9個の炭素原子のアルキレン基であり、Rは、Rと同じで、好ましくは水素である)からなる群から選択される)を有するアミノ官能性オルガノシランが挙げられるが、限定されない。
具体的なイソシアネート−反応性オルガノシラン(ここで、「g」及び「d」はそれぞれガンマ及びデルタを表す)は、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン, ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン, ヒドロキシブチルトリメトキシシラン, g- アミノプロピルトリメトキシシラン g-アミノプロピルトリエトキシシラン, メチルアミノプロピルトリメトキシシラン, g-アミノプロピルトリプロポキシシラン, g- アミノイソブチルトリエトキシシラン, g-アミノプロピルメチルジエトキシシラン, g- アミノプロピルエチルジエトキシシラン, g-アミノプロピルフェニルジエトキシシラン, d- アミノブチルトリエトキシシラン, d-アミノブチルメチルジエトキシシラン, d-アミノブチルエチルジエトキシシラン, g-アミノイソブチルメチルジエトキシシラン, N-メチル-g- アミノプロピルトリエトキシシラン, N-フェニル-g-アミノイソブチルメチルジエトキシシラン, N- エチル-d-アミノブチルトリエトキシシラン, N-g-アミノプロピル-g-アミノプロピルトリエトキシシラン, N-ベータ-アミノエチル-g-アミノイソブチルトリエトキシシラン, N-g-アミノプロピル-d-アミノブチルトリエトキシシラン, N-アミノヘキシル-g-アミノイソブチルメチルジエトキシシラン, メチルアミノプロピルトリエトキシシラン, g-アミノプロピルメトキシジエトキシシランなどである。市販のアミノ-官能性オルガノシランの例として、OSI, Inc.から入手できる、Silquest(登録商標) Y-9669,N-フェニル-ガンマ-アミノプロピルトリメトキシシラン,Silquest(登録商標)A1170,ビス- (g-トリメトキシシリルプロピル) アミン,Silquest(登録商標)A1100, g- アミノプロピルトリエトキシシラン, Silquest(登録商標)A1110, g-アミノプロピルトリメトキシシラン, 及びSilquest(登録商標)A1120, and Sifquesf A1120が挙げられる。
【0026】
代表的なヒドロキシル基含有オルガノシランは、一般構造(B)
【0027】
【化2】

【0028】
(式中、Rは、1〜20の炭素原子を有する、2価の、脂肪族、脂環式、又は芳香族の、飽和又は不飽和基、好ましくは1〜9、最も好ましくは2〜4の炭素原子を有するアルキレン基;Rは、1〜20の炭素原子を有する、1価の、脂肪族基、脂環式基、又は芳香族基、好ましくは、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、4〜7の環炭素原子を有するシクロアルキル基、及び6、10もしくは14の核炭素原子を有するアリール基であって、1〜4の炭素原子を有する1個以上の置換基アルキル基を含むようなアリール基を含むアリール基からなる群から選択される;Rは、1〜8の炭素原子を有する、1価の脂肪族有機、脂環式有機、又は芳香族有機、そして、好ましくは、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、−R−O−R、及び
【0029】
【化3】

【0030】
(式中、Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基(メチル、エチル、プロピル、ブチル)、Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)からなる群から選択される;aは、0又は1、好ましくは0)の化合物を含むが、それに限定されない。
【0031】
ポリイソシアネートに対して反応性である代表的なメルカプト官能性シランは、構造(C)
【0032】
【化4】

【0033】
(式中、R、R、R、「a」は、構造A又はBに関して定義された通りである)を有するものを含むが、それに限定されない。
市販のメルカプトシランは、OSIによってSILQUEST A-189, メルカプトプロピルトリメトキシシランとして販売されている。
【0034】
好適な出発原料のオルガノシランは、シリコンに結合した1〜20の炭素原子を有する単一有機鎖(ここで、該鎖は少なくとも1つの抽出可能水素原子を有し、該抽出可能水素原子は、好ましくは、少なくとも3個の相互連結炭素原子によってシリコン原子から分離される官能基に結合している)を含む。活性水素部分は分子の任意の位置にあり、それによって、この基は、the Journal of the American Chemical Society, Vol. 49, p. 3181 (1927)中のWohlerによって記載されるZerewitnoff試験に従ってかなりの活性を示す。
【0035】
イソシアナト−オルガノシラン付加物(A)の製造用の出発ポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、複素環又は芳香族のポリイソシアネート、又はそれらの混合物であってよく、平均イソシアネート官能度は、少なくとも約2.0であり、当量重量は、少なくとも約80である。好ましくは、ポリイソシアネートのイソシアネート官能度は、少なくとも約2.0であり、より好ましくは少なくとも約2.2であり、より好ましくは少なくとも約2.3であり、好ましくは約4.0以下であり、より好ましくは約3.5以下であり、最も好ましくは約3.0以下である。有用なジイソシアネートの例として、2,4-トリレンジイソシアネート, 2,6-トリレンジイソシアネート (TDI), ジフェニルメタン 4,4'-ジイソシアネート (MDI), 1, 4-フェニレン ジイソシアネート, ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート (H12-MDI), イソホロンジイソシアネート (IPDI), 1,6-ヘキサンジイソシアネート, 及び 1, 3-(α,α,α',α'-テトラメチル) キシリレン ジイソシアネート (TMXDI) 2,2, 4-トリメチルヘキサメチレン-1, 6-ジイソシアネート; ヘキサメチレン-1, 6- ジイソシアネート, ジフェニルメタン-4, 4'-ジイソシアネート, トリフェニルメタン-4, 4'4- トリイソシアネート, 3-イソシアナトメチル-3, 5, 5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート, ポリメチレン ポリフェニルイソシアネート, m-フェニレンジイソシアネート, p- フェニレンジイソシアネート, 2, 6-トリレン ジイソシアネート, 1, 5-ナフタレンジイソシアネート, ナフタレン-1, 4-ジイソシアネート,ジフェニレン-4, 4'-ジイソシアネート, 3, 3'-ビ-トリレン- 4,4'-ジイソシアネート, エチレン ジイソシアネート, プロピレン-1, 2-ジイソシアネート, ブチレン- 2,3-ジイソシアネート, エチリデン ジイソシアネート, ブチリデンジイソシアネート, キシリレン-1, 4- ジイソシアネート, キシリレン-1, 3-ジイソシアネート, メチルシクロヘキシルジイソシアネート, シクロペンチレン-1, 3-ジイソシアネート, シクロヘキシレン-1, 4-ジイソシアネート, 4,4'- メチレン-ビス (シクロヘキシルイソシアネート), p-フェニレン-2, 2'-ビス (エチルイソシアネート), 4,4' -ジフェニレン エーテル-2, 2'-ビス (エチルイソシアネート), トリス(2, 2', 2"-エチルイソシアネート ベンゼン), 5-クロロ-フェニレン-1, 3-ビス (プロピル-3-イソシアネート), 5-メトキシ- フェニレン-1, 3-ビス (プロピル-3-イソシアネート), 5-シアノフェニレン-1, 3-ビス (プロピル-3- イソシアネート), 4-メチル-フェニレン-1, 3-ビス (プロピル-3-イソシアネート)などが挙げられる。
ポリイソシアネートは、通常の公知の適切な触媒を用いて、ダイマー、トライマー、テトラマーなどとして形成できる。オリゴマーにおいて、遊離のイソシアネート基は、ウレトジオン、ビューレット、イソシアヌレート、ウレア、及び/又はアロファネートと共に存在し得る。オリゴマー化は、トリメチロールプロパン又はホモトリメチロールプロパン、グリセロールなどの低分子量ポリオールによって容易に行うことができる。ダイマーは、例えば、米国特許2,671,082から公知である。
【0036】
好適なジイソシアネート官能性化合物として、IPDI, MDI,及びブレンド、例えば、アイソマーの混合物、例えば、2, 4-トリレン ジイソシアネート及び2,6-トリレンジイソシアネートが挙げられる。ポリイソシアネートとオルガノシランとの付加物を形成した後、遊離イソシアネート基が好ましくは残存するが、別の実施態様では、遊離NCOは、通常のブロッキング剤を用いて部分的又は完全にブロックされ、又は隣接基は、例えば、ウレトジオン構造の形成によって内部でブロックされる。公知のブロッキング剤の例は、任意の適切な脂肪族、脂環式、芳香族、又はアルキル芳香族モノアルコール、モノアミド、モノアミン、又はモノオキシムから得られる。ケトオキシムは周知であり、120℃などといった比較的低温で反応する。より立体障害の、酸安定のブロッキング剤として、アミノ酸のラクタム、例えば、6−アミノヘキサン酸及び/又はベンゾトリアゾールのラクタムが挙げられる。他のブロッキング剤として、活性メチレン化合物、エチルsec-ブチルマロネート、アセトアセテート、例えばCl-C8アルキルアセトアセテート、例えば、n-ブチル アセトアセテート, イソブチル アセトアセテート, sec-ブチル アセトアセテート, 及び t-ブチル アセトアセテート;及びベータジケトン、例えば、アセチルラクトンが挙げられる。
【0037】
接着剤中のシラン成分としてのイソシアナトシラン付加物の代替物は、カルバメート(シリルオルガノハライドや金属シアネート)の熱分解、又は水素化シリコンとアリルイソシアナトシランの反応によって製造されるようなイソシアナトシランである。少なくとも1つ、又は2個以上の加水分解可能基と1つの遊離イソシアナト基を含むイソシアナトシランは、当業界公知であり、構造
【0038】
【化5】

【0039】
(式中、Rは、1〜20の炭素原子を有する、1価脂肪族基、脂環式基、又は芳香族基であり、好ましくは、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、4〜7の環炭素原子を有するシクロアルキル基、6、10又は14の核炭素原子を有するアリール基、及び1〜4の炭素原子を有する1個以上の置換基アルキル基を含むようなアリール基からなる群から選択される;Rは、1〜8の炭素原子を有する、1価の、脂肪族基、脂環式基、又は芳香族基であり、好ましくは、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、−R−O−R、及び
【0040】
【化6】

【0041】
(式中、Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基、Rは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基)からなる群から選択される;aは、0又は1、好ましくは0;Zは、炭素−シリコン結合を介しシリコン原子に結合した2価有機基)
によって典型的に表される。Z基の正確な性質は重要ではない、即ち、該基は、任意の形状を有し、イソシアナト基と適合性のあるグループの組合せをもつ。例えば、Z基は炭化水素基であってもよく、又はそれは、エーテル、ウレイド、ウレタン、チオウレタン結合などの結合を含んでもよい。Z基は、ハロゲンなどの置換基を含んでもよい。イソシアナトシランは、好ましくは、分子当たり少なくとも1つの遊離イソシアネート基の他に、平均で少なくとも1個の加水分解可能シラン基、好ましくは2個のこのような基を含む。分子量の有用な範囲は200〜約2,000である。本発明で有用なイソシアナトシランの例は、ガンマ−イソシアナトプロピルトリエトキシシランであるSilquest(登録商標)A-1310である。
【0042】
場合によっては、接着剤は、酸スカベンジャーを含む、公知かつ通常のアジュバントを更に含んでもよい。例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム;鉛塩、例えば、2塩基性鉛ホスファイト、2塩基性鉛フタレート、1水和3塩基性鉛マレエート、4塩基性鉛フマレート、それらの混合物;エポキシ化合物又は樹脂、例えば、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、エポキシシラン、エポキシフェノール;充填剤、例えば沈殿シリカ、TiO;再強化剤、例えば、カーボンブラック;及び着色ピグメントや色素などの着色剤である。
【0043】
本発明の接着剤は揮発性であり、種々のエラストマーや低極性ポリマー基材を、構造部材(例えば、金属窓チャンネル、装飾片、バンパーガード、縁成形など)に接着する。種々の組成や形態に関して、ポリマー材料および基材は限定されない。成形物品として、ホイル、押出しプロフィール、接着可能な射出成形部材が挙げられる。ポリマー材料の接着は、類似又は異なる材料に対してでよい。硬質熱可塑性物質を弾性材料に接着できる。エラストマーを、木、金属又はガラスなどの類似ではない基材に接着できる。代表的な金属は、鉄、スチール(ステンレススチールを含む)、鉛、アルミニウム、銅、しんちゅう、青銅、MONEL(登録商標)、ニッケル、亜鉛、及びリン酸塩処理、電流処理などで処理した金属などの通常の構造金属の任意のものから選択される。接着前に、金属表面は典型的には、当業界公知の1つ以上の方法(例えば、脱脂、グリット−吹き付け、亜鉛−リン酸塩処理など)に従って洗浄される。非金属基材として、ガラスパネル、織られた、又は織られていないガラス生地、E−ガラスなどといったガラス粗糸;生地、繊維又はポリアミド粗糸、ポリエステル、及びアラミド、例えば、ケブラー(E. I. du Pont de Nemours Co. ,(Inc.)の商標)が挙げられる。
【0044】
アルミニウムやスチールプロフィールは、ニトロソ化合物の非存在下、該接着剤で特にTPEに接着可能である。接着可能なポリマー基材材料として、低表面エネルギー(<45ダイン/cm)ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン, ポリエチレン, ポリエチレン-コ-プロピレン,C4- C8α−オレフィンと、エチレン及び/又はプロピレンとのコポリマー、ポリエチレン泡状物、ポリプロピレン泡状物、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM) ゴム、エチレン- プロピレン ゴム(EPR)など)、スチレン-エチレン-ブテン-スチレンコポリマー (SEBS), スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンコポリマー (SEPS), スチレン- イソプレン-スチレン (SIS) ゴム, スチレン-ブタジエンジエン-スチレン (SBS) ゴムなどが挙げられる。
【0045】
接着剤組成物は、通常の方法で(例えば、浸漬、スプレー、磨きなど)基材表面に塗布される。接着させるポリマーとの接触前に、基材表面を乾燥する。1つの接着方法においては、表面を接着剤で処理して、ポリマーと一緒に、中間の接着剤層をプレスし、アッセンブリーをポリマーが耐えられる所望温度に加熱する。接着する特定のポリマー又はエラストマーを考慮して、そして、基材との接触前後に、それが硬化されるかどうかを考慮して条件が予め選択される。ポリマーが硬化型であり、未だ硬化していないならば、硬化は、接着の間に行われるべきであり、ポリマー組成によって条件が決定されよう。加硫可能なエラストマーは、一般的には、約5〜約60分の範囲の時間、約140〜約200℃の温度で硬化されよう。硬化型ポリマーが硬化されたならば、接着温度は、15〜約120分で、約90〜約180℃の範囲でもよい。あるいは、塗布可能な状況において、固体フィルム又はテープ(100%固体接着剤システム)として一緒になるべき表面の間に接着剤を点在させて、前述のように接着を達成する。
【0046】
押出接着
本発明の好適方法局面として、接着剤で予め処理した連続又は延伸構造部材へ、熱可塑性加工ポリマーを接着することが挙げられる。処理済部材は、押出しダイの隣を、又はそれを介して通過させ、溶融ポリマー押出物に接合させ、次いで接合物品の冷却を行う。処理済基材は、オフラインで予め加熱してもよく、押出物との接合時に、所望の温度状態にすることができる。これは、金属片などの延伸構造プロフィール、チャンネルなどの成形プロフィールを、延伸部材を受け入れるように適合した押出しダイに供給することによって行われる。この公知の方法における接合に先立つ接着剤処理済基材への事前の加熱が伴っていようがいまいが、プロフィール基材の接着剤処理済部分と、押出されたポリマーとの間の耐久力のある接着が達成される。
【0047】
別の方法局面では、射出鋳型の空隙部に構造物品を断片として挿入して、溶融加工型ポリマーを閉鎖鋳型空隙に射出し、それによって、挿入物品の予め処理した表面に接触させて、結果的に、ポリマーと基材とを接着させる。接着剤は、この公知の様式において、鋳型空隙内で、熱可塑性射出ポリマーを接着するのに特に適している。この方法は、硬質基材(例えば、押された、又は成形された金属)の、所定面又は面の一部を、接着剤で処理して乾燥することを含む。処理済基材を射出鋳型の空隙の所定個所に挿入して、鋳型を閉じる。溶融した熱可塑性物質を、基材の接着剤処理済部分と接触する鋳型に射出する。接着物品を取り出すのに十分冷却した後に、完成した成形品を放出するか、又は分かれた鋳型から取り出す。熱可塑性溶融物への接合に先立つ接着剤被覆基材の事前の加熱が有っても無くても、挿入した硬質基材の接着剤処理済部分と溶融加工ポリマーとの間の耐久力のある接着が達成される。
【実施例1】
【0048】
実施例1
接着剤例A−Iを混合によって製造した。
【0049】
【表1】

【0050】
上記接着剤を、0.0003〜0.0004インチ(0.007〜0.010 mm)のDFTでアルミニウムコイルパネルに塗布した。♯40ドローダウンバーを用いてアルミニウムパネルに接着剤を塗布した。鋳型の空隙に挿入した接着剤処理パネルへ射出成形したポリマー材料は、Santoprene(登録商標)及びSarlink(登録商標)TPEである。Santoprene(登録商標)は、Advanced Elastomer Systemsによって供給された。Sarlink(登録商標)は、DSM Elastomersによって供給された。接着剤を金属パネルに塗布した後、485° F (251 °C)のオーブンセットでピーク金属温度が435 °F (223 °C)となる加熱によって溶媒を除去した。
【0051】
示したサンプルは、250 °F (121 °C)で2’間、射出成形接着の前に予め加熱した。予め加熱をしてもしなくても、本発明に従って良好な接着が得られた。以下の条件下でToyo(登録商標)射出成形プレスを用いて挿入成形接着を行った。
射出圧力1,100 psi (7,000 kPa)。鋳型温度:160 °F (71 °C)。冷却サイクル:45秒。ゾーン温度:1-450 °F (232 °C), 2-450 °F (232 °C), 3-440 °F (226 °C), 4-430 °F (221 °C), 及び 5-420 °F (215 °C)。
プライヤーを用いて金属基材からポリマーを手で剥がすことで接着剤試験を行った。T−剥離試験においては、アルミニウムパネルはしばしば曲がり、接着剤は金属からリリースされた。パーセントゴムは、剥離後に金属基材に接着しているゴムの量を接着面積の%で表す。
【0052】
【表2】

【0053】
塩素化ポリプロピレンとシラン−イソシアネート付加物とを組合せたものは、どちらかの成分のみを含む接着剤A−Fとは対照的に、ハンドピール試験による最小50%ポリマー保持によって示されるように、TPEの両方のタイプを接着する。予め加熱する工程が有っても無くても接着が向上した。失敗した態様の大部分は、試験中に、金属が曲がってしまったという結果であった。
【0054】
上記実施例G、H、Iは、基材としてステンレススチールを用いて繰り返した。
【0055】
【表3】

【実施例2】
【0056】
実施例2
以下の接着剤を、0.0003〜0.0004インチ(0.007〜0.010 mm)でアルミニウムコイルパネルに塗布し、異なるフィルム形成ポリマーと比較した。500° F (260 °C)に設定したオーブン中で、接着剤の乾燥後のピーク金属温度は435 °F (224 °C)であった。各TPEは、成形前に160 °F (71°C)で一晩乾燥した。
【0057】
【表4】

【0058】
挿入成形接着複合材は、以下の条件を用いて、Toyo(登録商標)射出成形プレスを用いて得た。
射出圧力1,100 psi (7,000 kPa)。鋳型温度:160 °F (71 °C)。冷却サイクル:45秒。ゾーン温度:1-450 °F (232 °C), 2-450 °F (232 °C), 3-440 °F (226 °C), 4-430 °F (221 °C), 及び 5-420 °F (215 °C)。
失敗した態様は、R−ポリマー;RC−ポリマー−接着剤;CM−接着剤−金属である。
【0059】
【表5】

【0060】
【表6】

【0061】
剥離の結果によって、以下のことが示される:実施例2−Aは、金属ウエルをTPEポリマーの両方に接着させるのに対して、実施例2B−2Fは、ポリマーモードへの接着ができない。
【実施例3】
【0062】
実施例3
実施例2の接着剤について、予備的焼付け無しで加硫しながら圧縮成形する場合の、エラストマーなどといった他のポリマーとの接着について試験した。予め加熱(150°F/65 °C)した亜鉛リン酸塩処理スチールパネルに対して、接着剤をスプレー塗布した。乾燥フィルム厚さを0.001インチ(0.025 mm)にした。各々の処理パネルを圧縮鋳型に挿入して、原料エラストマーストックを塗工した。エラストマーを以下のように硬化した。
天然ゴム1-13' 340 °F (171 °C)
天然ゴム2-13' 340 °F (171 °C)
ニトリルゴム1-19.5' 340 °F (171 °C)
SBR 1-18' 340 °F (171 °C)
過酸化物硬化EPDM-7. 5' 340 °F (171 °C)
過酸化物硬化シリコーン-5' 350 °F (176 °C)
「*」は掃引、即ち、鋳型中の射出溶融流によって接着剤が動たために接着が失われたことを表す。
失敗態様は:R−ゴム;RC−ゴム−セメント;CM−セメント−金属である。
HPはハンドピールを示す。明示の場合、1次接着剥離力(N/m)はASTM D429Bで得た。失敗態様のパーセントは、接着面積のパーセントである。
結果:
【0063】
【表7】

【0064】
【表8】

【0065】
【表9】

【0066】
【表10】

【0067】
【表11】

【0068】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルガノシラン−イソシアネート付加物およびイソシアナト−オルガノシランからなる群から選択されるオルガノシラン含有成分と、後塩素化プロピレン反復単位を有するポリマーと、有機溶媒と、を含有する液体接着剤。
【請求項2】
ポリマーが、5,000〜60,000の重量平均分子量および10〜60重量%の塩素含量をもつ請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
ポリマーが、結晶性ポリプロピレン、非結晶性ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンコポリマーおよびプロピレン−C−C10−α−オレフィンコポリマーから選択される、請求項1に記載の接着剤。
【請求項4】
後塩素化ポリマーがマレエート化されている請求項1に記載の接着剤。
【請求項5】
有機溶媒が、芳香族及びハロゲン化芳香族炭化水素からなる群から選択される、請求項1に記載の接着剤。
【請求項6】
全固形分量が5〜50重量%である請求項1に記載の接着剤。
【請求項7】
オルガノシラン含有成分が、結合 −NH−C(O)−A−R−Si(式中、Aは、O、S、又はNであり、Rは、2価のC−C20ハイドロカルビル基である)を含むオルガノシラン−イソシアネート付加物である、請求項1に記載の接着剤。
【請求項8】
オルガノシラン含有成分が少なくとも1つの加水分解可能な基と少なくとも1つの遊離イソシアナト基を含み、構造(E)
【化1】

(式中、Rは、1〜20の炭素原子を有する1価の、脂肪族、環状脂肪族、又は芳香族基であり;Rは、1〜8の炭素原子を有する1価の、脂肪族、環状脂肪族、又は芳香族基、−R−O−R、及び
【化2】

(式中、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である)であり;aはゼロ又は1であり;Zは炭素−シリコン結合を介しシリコン原子に結合した2価の有機基である)
を有するイソシアナトシランである、請求項1に記載の接着剤。
【請求項9】
請求項1の接着剤で処理された連続又は延伸構造部材への、ポリマー押出物の接合方法であって、押出しダイの隣を、又はそれを介して接着剤処理済基材を通過させ、部材を押出物に接合して接合製品を形成し、該接合製品を冷却することを含む方法。
【請求項10】
接合製品が窓チャンネルである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1の接着剤で処理された構造部材への、射出成型ポリマーの接合方法であって、該部材を受け入れるように適合された射出鋳型空隙に接着剤処理済部材を挿入して、該部材の接着剤処理済表面を鋳型空隙に曝して、空隙にポリマーを射出して該ポリマーを部材の処理済表面と接触させて、ポリマーを冷却することを含む方法。

【公表番号】特表2006−520849(P2006−520849A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508862(P2006−508862)
【出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/005806
【国際公開番号】WO2004/078867
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(505127617)ロード コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】