説明

ポリマー混合物

本発明は、配送状態と使用状態の両方における筆記の影響、汚染およびクリーニング挙動、耐摩耗性ならびにきしり止挙動の特性に対して、長期の機能性の改善を示す、特に、自動車内装の装飾面用のポリマー混合物に関する。本発明のポリマー混合物は、
− 0重量%〜50重量%の少なくとも1つの水性ポリウレタン分散液および/またはポリエステル分散液および/またはポリエーテル分散液および/またはポリエステル−ポリアクリレート分散液および/またはポリアクリレート−ポリウレタン分散液および/またはポリアクリレート分散液および/またはこれらの少なくとも1つおよび/または2つ以上のその他ポリマーをベースとした分散液、
− 1重量%〜60重量%の少なくとも1つの水性ポリウレタン分散液および/またはポリエステルポリオール分散液および/またはポリエーテルポリオール分散液および/またはポリアクリレートポリオール分散液および/またはこれらの少なくとも1つおよび/または2つ以上のその他ポリマーをベースとした分散液であって、ポリマーまたは少なくとも1つのポリマーが、OH基および/またはNH基により官能化されていて、ポリマーの総量の不揮発性部分を基準として0.3重量%〜6.0重量%のOH含量またはNH含量を有する、分散液、
− 0重量%〜40重量%の少なくとも1つの非官能化スリップ添加剤、
− 1重量%〜40重量%の少なくとも1つの官能化スリップ添加剤、
− 0.2重量%〜50重量%の少なくとも1つの架橋剤または架橋剤系、
− 0重量%〜75重量%の少なくとも1つの艶消し剤、
− 0重量%〜50重量%の希釈剤、
− ポリマーの総量の不揮発性部分を基準として、0重量%〜50重量%のその他の補助剤
の組成を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、自動車内装の装飾面用のポリマー混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
箔付きプラスチック材料で構成された成型部品用の装飾面は、広く知られている。用いられるベース材料は、好ましくは、ポリ塩化ビニル(PVC)、特に、可塑化PVC、ポリウレタン(PU)、ポリオレフィン、ポリエステル(PES)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアクリレートまたはコポリマーをベースとするポリマー混合物で構成されたプラスチック材料である。例えば、参考文献「Jahnke,Manfred;Mielke,Dirk;Van Well,Michael:Dekorative Oberflaechen aus Pasten PVC fuer den Automobilinnenraum.[Decorative Surfaces of Paste PVC for the Automobile Interior]−In:SKZ−Fachtagung「PVC−Pasten」Sept.19/20,2007.Sueddeutsches Kunststoff−Zentrum,Wuerzburg,2007」を参照するとよい。
【0003】
装飾面において、ポリマー混合物は、好ましくは、装飾面用のトップコートおよび/またはワニスコートとして用いられる。ワニスコートは、1つ以上の同一または異なるポリマー混合物で構成されていてよい。摩擦挙動、感覚特性、特に、感触、レオロジー、艶消し挙動、光安定性および熱安定性を調整するために、ポリマー混合物を、様々な架橋成分、艶消し剤およびその他の補助剤とも呼ばれる添加剤と混合する。
【0004】
これまで公知の装飾面用のポリマー混合物には、次のような2つの大きな欠点がある。
I.配送状態において、筆記の影響、汚染およびクリーニング挙動、および耐摩耗性全てに関して、好ましくは、自動車内装における装飾面の表面特性のレベルが、現在の市場の要求を満たしていない。
II.設置状態では、これらの装飾面は、使用により継続的に摩耗される。厳しい使用に晒されるこの条件では、既存のポリマー混合物でコートされた装飾面は、配送状態よりも、筆記の影響、汚染およびクリーニング挙動、耐摩耗性ならびにきしり止挙動において著しい劣化を示す。これは、市場の要求から外れている。
【0005】
以下の文献は、好ましくは装飾面用の既存のポリマー混合物に関して先行技術と認識されている。
(D1)ドイツ特許出願公開第102005049521A1号明細書
(D2)ドイツ特許出願公開第102005049520A1号明細書
(D3)ドイツ特許出願公開第102005020605A1号明細書
(D4)米国特許第6013364号明細書
(D5)米国特許第5034275号明細書
(D6)米国特許第4933237号明細書
(D7)欧州特許第0596932 B1号明細書
(D8)米国特許第5268215号明細書
【0006】
Dl、D2およびD3には、遊離基架橋可能なコーティング材料を作製するプロセスが開示されている。これらの事例におけるコーティング材料は、1つ以上のオリゴ−および/または1つ以上のポリウレタン(メタ)アクリレート、およびカーバメートおよび/またはビウレットおよび/またはアロファネートおよび/またはウレアおよび/またはアミド基を含む遊離基架橋可能な成分、または水素結合を形成する構造元素を有する遊離基架橋可能な成分を含む。
【0007】
D4には、皮のような触感を与えるプラスチック物品を改質する方法が記載されている。この事例で用いている2相PU塗料は、溶媒系ポリエステル−ポリオール系であり、平均分子量が1000〜5000、ヒドロキシル価が60〜200のポリエステル−ポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネートを含んでいる。
【0008】
ポリエステル支持箔上に不飽和カルボン酸基を含むコポリマーで構成された水系ポリウレタン系は、D5およびD6から公知である。D6のポリウレタンは、脂肪族ポリアミンを含有する鎖であって、鎖末端にN−メチロール−ヒドラジド基のある鎖を持つポリウレタンプレポリマーから誘導される。
【0009】
D7には、不規則に構成されたエチレン/プロピレン成分を有する少なくとも50重量%のプロピレンブロックコポリマー、15重量%〜30重量%の板形無機フィラー、0.5重量%〜5重量%のポリオルガノシロキサンおよび0.1重量%〜2重量%のエポキシ樹脂を含む傷防止ポリマー組成物が開示されている。
【0010】
D8には、ポリイソシアネートと反応性ポリジアルキルシロキサンの反応生成物で構成されたクリアコートコーティングが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
記述のとおり、引用した文献に開示されたポリマー組成物は、現在の市場の要求をもはや満たすものではない。従って、本発明は、配送状態と使用状態の両方における筆記の影響、汚染およびクリーニング挙動、耐摩耗性ならびにきしり止挙動の特性に対して、長期の機能性の改善を示す、特に、自動車内装の装飾面として用いるポリマー混合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、
− 0重量%〜50重量%の少なくとも1つの水性ポリウレタン分散液および/またはポリエステル分散液および/またはポリエーテル分散液および/またはポリエステル−ポリアクリレート分散液および/またはポリアクリレート−ポリウレタン分散液および/またはポリアクリレート分散液および/またはこれらの少なくとも1つおよび/または2つ以上のその他のポリマーをベースとした分散液、
− 1重量%〜60重量%の少なくとも1つの水性ポリウレタン分散液および/またはポリエステルポリオール分散液および/またはポリエーテルポリオール分散液および/またはポリアクリレートポリオール分散液および/またはこれらの少なくとも1つおよび/または2つ以上のその他ポリマーをベースとした分散液であって、ポリマーまたは少なくとも1つのポリマーは、OH基および/またはNH基により官能化されていて、ポリマーの総量の不揮発性部分を基準として0.3重量%〜6.0重量%のOH含量またはNH含量を有する、分散液、
− 0重量%〜40重量%の少なくとも1つの非官能化スリップ添加剤、
− 1重量%〜40重量%の少なくとも1つの官能化スリップ添加剤、
− 0.2重量%〜50重量%の少なくとも1つの架橋剤または架橋剤系、
− 0重量%〜75重量%の少なくとも1つの艶消し剤、
− 0重量%〜50重量%の希釈剤、
− ポリマーの総量の不揮発性部分を基準として、0重量%〜50重量%のその他の補助剤
の組成を特徴とする、上述のタイプのポリマー混合物により達成される。
【0013】
本明細書で用いる重量%の数字は、いずれの場合も、当該の混合成分の供給されたままの形態のものを指す。
【0014】
意外にも、上述したポリマー系の組み合わせは、特に、少なくとも1つの官能化スリップ添加剤と併用すると、好ましくは、自動車内装の装飾面の長期機能性を改善できる、ということを見出した。
【0015】
この結果、市場の要求を満たし、配送状態ばかりでなく、特に、使用状態においても、筆記の影響、汚染およびクリーニング挙動、耐摩耗性ならびにきしり止挙動等の必要な特性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ポリマー混合物は、0重量%〜50重量%、少なくとも0.1重量%、特に、少なくとも0.5重量%の少なくとも1つの水性ポリウレタン分散液および/またはポリエステル分散液および/またはポリエーテル分散液および/またはポリエステル−ポリアクリレート分散液および/またはポリアクリレート−ポリウレタン分散液および/またはポリアクリレート分散液および/またはこれらの少なくとも1つおよび/または2つ以上のその他ポリマーをベースとした分散液を含む。任意で、挙げた分散液中に、追加のその他の成分として少なくとも1つのシリコーンが存在してもよく、本明細書で用いるシリコーンという用語は、例えば、W.Buechnerら、「Industrielle Anorganische Chemie」、Verlag Chemie,Weinheim、第4章ff.、1986またはD.Stoye und W.Freitag、「Lackharze」、Carl Hanser Verlag Munich Vienna、第9章ff.、1996に記載されたとおりである。ポリマー混合物は、水性ポリウレタン分散液を含み、高分子量かつ脂肪族のものが特に好ましい。ここでいう高分子量とは、ポリウレタンが、10を超えるモノマー単位を有するものを意味する。
【0017】
さらに、ポリマー混合物は、1重量%〜60重量%、好ましくは2.5重量%〜40重量%、より好ましくは5重量%〜30重量%の少なくとも1つの水性ポリウレタン分散液および/またはポリエステルポリオール分散液および/またはポリエーテルポリオール分散液および/またはポリアクリレートポリオール分散液および/またはこれらの少なくとも1つおよび/または2つ以上のその他ポリマーをベースとした分散液を含み、ポリマーまたは少なくとも1つのポリマーは、OH基および/またはNH基により官能化されていて、ポリマーの総量の不揮発性部分を基準として0.3重量%〜6.0重量%のOH含量またはNH含量を有する。任意で、上述の分散液中に、追加のその他の成分として少なくとも1つのシリコーンが存在してよい。
【0018】
ポリマー混合物は、好ましくは、OH基により官能化された水性ポリウレタン分散液を含み、OH基の量は、ポリマーの不揮発性部分を基準として、0.3重量%〜6.0重量%、好ましくは0.5重量%〜5.0重量%、より好ましくは0.7重量%〜4.8重量%である。ポリマー混合物は、0重量%〜40重量%、好ましくは0重量%〜30重量%、より好ましくは0重量%〜20重量%、より好ましくは0重量%〜10重量%、ただし、少なくとも0.1重量%、特に、少なくとも0.5重量%の少なくとも1つの非官能化スリップ添加剤をさらに含む。
【0019】
非官能化スリップ添加剤は、例えば、ポリジアルキルシロキサンおよび/またはポリジメチルシロキサン(PDMS)および/または変性ポリシロキサンおよび/または分岐ポリオルガノシロキサンおよび/またはポリオレフィンろうおよび/またはポリアミドろうおよび/またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および/または交互エチレン−クロロ−トリ−フルオロエチレンコポリマー(ECTFE)および/または過フッ素化アルコキシ樹脂(PFA)および/またはカルナバろう等の天然ろうを含む。ただし、非官能化スリップ添加剤は、ポリジメチルシロキサンで、10〜14 000Dシリコーン構造単位を有するのが好ましい。
【0020】
1重量%〜40重量%、好ましくは1重量%〜30重量%、より好ましくは1重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の少なくとも1つの官能化スリップ添加剤を含むのが、本発明に必須で、ポリマー混合物にとって有用であり、この場合、官能化および変性ポリシロキサンスリップ添加剤が好ましい。
【0021】
官能化スリップ添加剤は、第1級および/または第2級および/または第3級アミノ基および/またはOH基により変性される。
【0022】
官能化スリップ添加剤のアミン価は、0.1〜3.0mgKOH/g、および/またはOH含量は、0.3重量%〜5.0重量%である。
【0023】
非官能化スリップ添加剤および官能化スリップ添加剤の総量は、いずれの場合も、ポリマー混合物の全構成成分の総量の不揮発性部分に対するスリップ添加剤の総量の不揮発性部分を基準として、1重量%〜40重量%、好ましくは5重量%〜25重量%である。
【0024】
ポリマー混合物は、0.2重量%〜50重量%の少なくとも1つの架橋剤または架橋剤系を含む。
【0025】
ポリマー混合物の架橋剤または架橋剤系は、ポリイソシアネートおよび/またはポリエポキシドおよび/またはエポキシシランおよび/またはアルコキシメチルメラミンおよび/または尿素樹脂をベースとする、かつ/またはポリカルボジイミドおよび/またはポリアジリジンをベースとする。ポリイソシアネートベースが好ましい。
【0026】
ポリイソシアネートが、架橋剤または架橋剤系のベースを構成する場合、ポリイソシアネートは、5重量%〜30重量%、好ましくは7重量%〜25重量%のNCO部分を有する。ポリイソシアネートのNCO対OHの架橋比は、1.0〜15.0、好ましくは1.0〜10.0、および/またはNCO対NH3−xの架橋比は、1.0〜5.0であり、式中、xは0.1〜2.9の値から選択することができる。
【0027】
ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)および/またはイソホロンジイソシアネート(IPDI)および/または4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)および/またはヘキサヒドロトリレンジイソシアネート(HTDI)であってよく、これらのポリイソシアネートは、それぞれ、ビウレット、ウレトジオンまたはアロファネートまたはイソシアヌレートまたはイミノオキサジアジンジオンの形態で存在させることができる。
【0028】
架橋剤または架橋剤系により架橋されたポリマー混合物のNCO含量は、0.2%〜9.0%、好ましくは0.3%〜8.0%である。
【0029】
架橋に意図される架橋方式には、当業者に知られた全てのものが含まれる。化学および/または物理架橋方式、例えば、アミン架橋、アジリジン架橋、カルボジイミド架橋、エナミン架橋、エポキシド架橋、エポキシシラン架橋、尿素架橋、ヒドラジド架橋、メラミン架橋または酸化乾燥が例示される。自己架橋系、例えば、アゾメチン架橋、カルボニルアミン反応も考えられ、中和剤の、および水の蒸発、自動酸化またはUV水性によりなされる。さらに可能な架橋方式は、シラン架橋および/または、例えば、UV放射線による放射線架橋である。同じく可能なのは、二重硬化架橋、すなわち、ポリウレタンとUV架橋化学作用の組み合わせである。
【0030】
ポリマー混合物は、0重量%〜75重量%、好ましくは0重量%〜50重量%、少なくとも0.1重量%、特に、少なくとも0.5重量の少なくとも1つの艶消し剤をさらに含み、艶消し剤は、水性ポリウレタン分散液をベースとし、かつ/またはポリマー−有機化合物をベースに艶消しを行うものである。
【0031】
ポリマー混合物において、0重量%〜50重量%、少なくとも0.1重量%、特に、少なくとも0.5重量%の希釈剤が存在し、希釈剤は、様々な重量比で水と2−プロパノールの混合物の形態とすることができる。
【0032】
その他の補助剤は、ポリマー混合物中に、0重量%〜50重量%、好ましくは0重量%〜45重量%、より好ましくは0重量%〜35重量%、少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%の量で存在する。これらの補助剤は、光安定剤、例えば、UV吸収剤および可逆性遊離基スカベンジャーおよび/または酸化防止剤および/または湿潤剤および/または基質湿潤剤および/または乳化剤および/または流れ制御剤および/または成膜助剤および/またはレオロジー助剤および/または難燃剤および/または殺生物剤および/または中和剤および/または消泡剤および/または増粘剤および/または無機フィラーおよび/または有機フィラーおよび/または顔料からなる群から選択される。
【0033】
存在する有機フィラーおよび/または無機フィラーおよび/または顔料は、0重量%〜25重量%であるのが好ましい。
【0034】
また、当業者に知られたその他の補助剤を用いることができる。これらの補助剤について記載されているテキストブックとしては、以下のものが挙げられる。
・「Lackadditive」Johann Bieleman,Wiley−VCH,Weinheim,New York 1998。
・「Lehrbuch der Lacke und Beschichtungen,第4巻(Solvents,Plasticizers,Additives)、Martina Oertelt編、第2版、S.Hirzel Verlag,Stuttgart2007。
【0035】
本発明のポリマー混合物は、車両の、特に、ダッシュボードまたは内装トリム部分、特に、シートカバー材料の形態にある耐摩耗性材料としての用途がある。車両の、特に、ダッシュボードまたは内装トリム部分、特に、シートカバー材料の形態で、耐摩耗性製品の表面として機能する。
【0036】
さらに、ポリマー混合物は、コーティング材料として用いてよく、その場合、シングルコートまたはマルチコートのコーティング材料のいずれかとしての用いてよい。全コートにわたって得られる全乾燥膜厚は、0.5〜50g/m、好ましくは1〜35g/mである。
【実施例】
【0037】
ポリマー混合物を、ベースコートおよび仕上げコートで構成された実施例A、ベースコートおよび仕上げコートで構成された参照試料R、ならびに表1に示す対応の試験結果を参照してさらに説明していく。
【0038】
実施例A
【0039】
【表1】

【0040】
参照試料R
【0041】
【表2】

【0042】
表に、個々の試験について対応のDIN規格を示す。以下の試験は、DIN規格に従って行わなかったため、詳細は記載しない。
【0043】
汚染挙動:
手順、すなわち、汚染は、DIN EN ISO12947−2に基づく方法で行う。
【0044】
手順は、DIN EN ISO12947−2に基づく方法で行う。汚染試験について指定された積載重量は、中断なしで5000回の汚染について12kPaである。汚染された試料を、試料ホルダーから取り外し、中央で分割して、試料の半分を市販の内装用クリーナーで清浄にした。評価を比色分析により行う。
【0045】
爪応力(爪試験):
試験温度は23℃である。
試験試料は、半径r=8mm、厚さd=1mmおよびショアA硬度D85のプラスチックディスクである。
試験試料に、押圧15N、25Nおよび30Nを15cm/sで加え、試料の細い側を延伸する。
【0046】
引っ掻き跡により、永久的な目に見える損傷を表面に引き起こす。筆記した跡は、損傷のない、表面に目に見える変化である。
【0047】
逆マーチンデール:
手順は、研磨材を試料ホルダーヘッドに置き、測定試料を試料ホルダー案内板に置く以外は、DIN EN ISO 12947−2と似ている。
【0048】
入力OKは「十分」、すなわち、特に見つからなかった、すなわち、摩耗または引っ掻きが生じなかったことを示している。
【0049】
【表3】

【0050】
配送状態と使用状態の両方における筆記の影響、汚染およびクリーニング挙動、耐摩耗性ならびにきしり止挙動の特性に対して、長期機能性の市場の要求の観点での改善は、参照試料Rに比べて、実施例Aにおいて明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 0重量%〜50重量%の少なくとも1つの水性ポリウレタン分散液および/またはポリエステル分散液および/またはポリエーテル分散液および/またはポリエステル−ポリアクリレート分散液および/またはポリアクリレート−ポリウレタン分散液および/またはポリアクリレート分散液および/またはこれらの少なくとも1つおよび/または2つ以上のその他ポリマーをベースとした分散液、
− 1重量%〜60重量%の少なくとも1つの水性ポリウレタン分散液および/またはポリエステルポリオール分散液および/またはポリエーテルポリオール分散液および/またはポリアクリレートポリオール分散液および/またはこれらの少なくとも1つおよび/または2つ以上のその他ポリマーをベースとした分散液であって、前記ポリマーまたは少なくとも1つのポリマーが、OH基および/またはNH基により官能化されていて、前記ポリマーの総量の不揮発性部分を基準として0.3重量%〜6.0重量%のOH含量またはNH含量を有する、分散液、
− 0重量%〜40重量%の少なくとも1つの非官能化スリップ添加剤、
− 1重量%〜40重量%の少なくとも1つの官能化スリップ添加剤、
− 0.2重量%〜50重量%の少なくとも1つの架橋剤または架橋剤系、
− 0重量%〜75重量%の少なくとも1つの艶消し剤、
− 0重量%〜50重量%の希釈剤、
− ポリマーの総量の前記不揮発性部分を基準として、0重量%〜50重量%のその他の補助剤
の組成を特徴とする、特に、自動車内装の装飾面用のポリマー混合物。
【請求項2】
OH基により官能化された水性ポリウレタン分散液を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマー混合物。
【請求項3】
前記官能化スリップ添加剤が、官能化および変性ポリシロキサンスリップ添加剤であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリマー混合物。
【請求項4】
前記官能化スリップ添加剤が、第1級および/または第2級および/または第3級アミノ基および/またはOH基により変性されていることを特徴とする請求項3に記載のポリマー混合物。
【請求項5】
前記官能化スリップ添加剤のアミン価が、0.1〜3.0mg KOH/gおよび/またはOH含量が、0.3重量%〜5.0重量%であることを特徴とする請求項3または4に記載のポリマー混合物。
【請求項6】
非官能化スリップ添加剤および官能化スリップ添加剤の総量が、前記ポリマー混合物の全構成成分の総量の前記不揮発性部分に対する前記スリップ添加剤の総量の前記不揮発性部分を基準として、1重量%〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー混合物。
【請求項7】
前記架橋剤または架橋剤系が、少なくとも1つのポリイソシアネートおよび/またはポリエポキシドおよび/またはエポキシシランおよび/またはアルコキシメチルアミンおよび/または尿素樹脂をベースとする、および/または少なくとも1つのポリカルボジイミドおよび/またはポリアジリジンをベースとすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマー混合物。
【請求項8】
前記架橋剤または前記架橋剤系が、ポリイソシアネートをベースとすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマー混合物。
【請求項9】
前記ポリイソシアネートが、5重量%〜30重量%のNCO部分を有することを特徴とする請求項8に記載のポリマー混合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマー混合物を含む表面を有する耐摩耗性製品。
【請求項11】
車両のダッシュボードまたは内装トリム部分、特に、シートカバー材料の形態にある請求項10に記載の耐摩耗性製品。
【請求項12】
耐摩耗性材料としての請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマー混合物の使用。
【請求項13】
車両のダッシュボードまたは内装トリム部分、特に、シートカバー材料を製造するための耐摩耗性材料としての請求項12に記載のポリマー混合物の使用。
【請求項14】
コーティング材料としての請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマー混合物の使用。
【請求項15】
0.5〜50g/mの全乾燥膜厚が得られるシングルコートまたはマルチコートのコーティング材料としての請求項14に記載のポリマー混合物の使用。

【公表番号】特表2011−505480(P2011−505480A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536388(P2010−536388)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063504
【国際公開番号】WO2009/071359
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(599004139)ベネツケ−カリコ・アーゲー (15)
【氏名又は名称原語表記】Benecke−Kaliko AG
【Fターム(参考)】