説明

ポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルム

【課題】フィルム厚さを10μm以下に薄膜化しても破断時の最大伸び率が300%を越え、かつ押出成形性が極めて良好な、食品容器包装用としての機械特性に優れたポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムを提供することである。
【解決手段】平均重合度1300の塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、アジピン酸ジアルキルエステル系可塑剤〔可塑剤(A)〕8〜32重量部、分子の両末端のそれぞれに安息香酸及び2−エチルヘキシル酸とジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物〔可塑剤(B)〕8〜32重量部、かつ可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が28〜42重量部の範囲であり、及びエポキシ化植物油〔可塑剤(C)〕10〜20重量部を含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなるポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高ストレッチ性を有し、業務用、営業用及び家庭用として、各種物品は勿論、食品容器包装に好適に適用できるポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムに関する。詳しくは、膜厚が従来品のポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムに比べて薄くてもフィルムの幅方向への破断時の伸び率が300%以上であり、機械包装に適用できる伸びと強度を有し、包装適性に優れたポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品容器包装用フィルムとして、ストレッチフィルムが種々開発され、食品の包装、特に精肉、鮮魚、青果等の生鮮食品を容器とともに包装するフィルムとして広く使用されている。同時に、これらのフィルムを用いて食品を包装する自動包装機として、高ストレッチ自動包装機、突き上げ式自動包装機やピロー式自動包装機等が開発、改善され、食品容器包装の効率化が図られている。
一方、食品容器包装用のストレッチフィルムとしては、透明性、防曇性、柔軟性およびヒートシール性等の性能に優れていることが必要である。
食品容器包装用ストレッチフィルムの素材としては、古くから塩化ビニル系樹脂からなるフィルムが、諸性能を満たすものとして適用されていた。
塩化ビニル系樹脂に、上記のようなストレッチフィルムとして必要な性能を付与するため種々の可塑剤が添加される。したがって、ストレッチ用フィルムの可塑剤として、優れた性能を付与し、かつ環境問題も引き起こさないものが検討されてきた。
【0003】
ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムとして、ジイソノニルアジペート、炭素原子数が6、8又は10の直鎖のアルキル基を有するジn−アルキルアジペート、炭素原子数が7又は9の直鎖及び又は側鎖のアルキル基を有するジアルキルアジペート、及びジ(2−エチルへキシル)アゼレートからなる群から選ばれるジアルキルエステルを可塑剤とするものが市販されている(特許第1569334号公報)。
【0004】
近年、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムは、特に生鮮食品の流通や大型店舗の食品販売方法の変遷に伴ない、また、進歩する食品容器包装技術等に適合するものが要請されている。特に、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムに包装材料としての性能を付与する可塑剤が種々検討されている。特開平7−149924号公報では、可塑剤としてジイソノニルアジペートと炭素数6〜8のアルキル基を有するアジピン酸ジエステルを用いることにより、膜厚が12.5〜14.5μmほどまで薄く、透明性も良好なストレッチフィルムが得られることを開示している。
【0005】
また、特開2002−293957号公報では、可塑剤として平均分子量が1000〜3000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤、炭素数が8以上のアルキル基を有するアジピン酸エステル系可塑剤及び/又は炭素数10以下のアルキル基を有する脂肪族アルコール2種以上とアジピン酸との反応で得られる混合アジピン酸エステル系可塑剤を用いるポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムを開示している。この発明ではフィルム厚を12μm以下へ薄膜化しても使用時に破れることがなく、押出成形性がきわめて良好であるとしている。
【0006】
更に、特開2006−104241号公報では、可塑剤として、重量平均分子量が1000〜3000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤、重量平均分子量が1000〜3500のアクリル系重合体からなる可塑剤を含有する塩化ビニル系樹脂組成物を用いるポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムが開示されている。同様に特開2006−104242号公報では、可塑剤として、重量平均分子量が1000〜3000のアジピン酸系ポリエステル可塑剤、炭素数10以下のアルキル基を有する脂肪族アルコール2種以上とアジピン酸との反応で得られる混合アジピン酸エステル系可塑剤を含有する塩化ビニル系樹脂組成物を用いるポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムが開示されている。
これらのストレッチフィルムでは、10μm以下の薄膜で、食品容器の自動包装特性や防曇性に優れ、n−ヘプタン抽出量が30〜50ppm以下である。
上記の発明などから明らかなように食品容器包装用として、諸物性を満たし、かつフィルム厚を薄くしても破れることなどがなく、自動包装適性に優れたポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムが強く要請され、種々の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第1569334号公報
【特許文献2】特開平7−149924号公報
【特許文献3】特開2002−293957号公報
【特許文献4】特開2006−104241号公報
【特許文献5】特開2006−104242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、フィルムの厚さを10μm程度以下に薄膜化しても、幅方向への破断時の最大伸び率が300%以上であり、高ストレッチ自動包装機による食品容器包装用フィルムとして、包装機適性に優れたポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討し、その結果、平均重合度が1300の塩化ビニル系樹脂に、可塑剤として、アジピン酸ジアルキルエステル系可塑剤(A)、平均分子量388で分子の両末端のそれぞれに安息香酸及び2−エチルへキシル酸とジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物(B)及びエポキシ化植物油(C)を特定量で含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなるストレッチフィルムが、フィルムの厚みが約10μmの薄膜であっても、フィルムの押出し方向(MD)に対して直角方向(以下、幅方向という、TD)の破断時の最大伸び率が300%以上であり、自動食品容器包装機による包装適性に優れたポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムであることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、平均重合度1300の塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、アジピン酸ジアルキルエステル系可塑剤〔可塑剤(A)〕8〜32重量部、平均分子量388で分子の両末端のそれぞれに安息香酸及び2−エチルヘキシル酸とジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物〔可塑剤(B)〕8〜32重量部、かつ可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が28〜42重量部の範囲であり、及びエポキシ化植物油〔可塑剤(C)〕10〜20重量部を可塑剤として含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなるポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムであることを特徴とし、該フイルムの幅方向への破断時の最大伸び率が300%以上であるポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムによれば、フィルムの厚さを12μm以下、特に10μm程度に薄膜化しても、フィルムの幅方向、すなわち、フィルム製造の押出し方向と直角方向への伸びが大きく、破断時の最大伸び率が300%以上であり、自動食品容器包装機による包装特性に優れ、食品容器の包装時において、引伸ばしても破れることがなく、透明で、滑らかな手触り感や防曇性に優れた食品容器包装が可能である。
食品容器包装用として、従来から求められている性能を損なうことなく、手包装は勿論、自動包装機による包装に適用できる。また、薄膜化を可能にしたため、ポリ塩化ビニル系ストレッチフィルムの製造コストが削減でき、また、使用済みフィルムの回収量の減少や回収作業効率も向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明において用いられる塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルを主体としたビニル系重合体であって、塩化ビニル単独重合体や塩化ビニルと共重合可能なモノマー、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸ジエステル、エチレンまたはプロピレン等との共重合体が挙げられる。これら塩化ビニル系樹脂は、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の通常の重合方法で得られたものであれば良い。好ましくは、平均重合度1300の塩化ビニル単独重合体または塩化ビニル系共重合体が用いられる。塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、JIS K6721で求められる値である。
塩化ビニル系樹脂の平均重合度が1300であれば、塩化ビニル系樹脂組成物の流動性が良好で、フィルムの押出成形性が優れ、また、ストレッチフィルムとしてのフィルムの物性、耐熱性、食品容器自動舗装機による包装特性、防曇性などが優れている。
【0013】
本発明において用いられる可塑剤は、アジピン酸ジアルキルエステル系可塑剤〔可塑剤(A)〕、平均分子量388で分子の両末端のそれぞれに安息香酸及び2−エチルへキシル酸とジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物〔可塑剤(B)〕及びエポキシ化植物油〔可塑剤(C)〕である。
【0014】
可塑剤(A)は、炭素原子数が6、8又は10の直鎖のアルキル基を有するアジピン酸ジn−アルキルエステル、具体的には、アジピン酸ジn−ヘキシル、アジピン酸ジn−オクチル、アジピン酸ジn−デシル等、及び炭素原子数が7又は9の直鎖及び又は側鎖のアルキル基を有するアジピン酸ジn−アルキルエステル又はアジピン酸ジiso−アルキルエステル、具体的には、アジピン酸ジn−へプチル、アジピン酸ジn−ノニル、アジピン酸ジiso−ヘプチル、アジピン酸ジiso−ノニル、ならびにジ(2−エチルへキシル)アゼレート等が挙げられるが、最も好ましくは、アジピン酸ジiso−ノニルが用いられる。
【0015】
また、可塑剤(B)は、平均分子量388で、分子の両末端のそれぞれに安息香酸及び2−エチルヘキシル酸とジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物である。例えば、韓国の株式会社LG化学の銘柄名:LGflex EBN.W(分子量:388、CAS Number:65227−26−0)として市販されているものが挙げられる。本発明のポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムは、該化合物を可塑剤(B)として含有した点に特徴があり、フィルムの膜厚が従来のストレッチフィルムより薄くても、高い倍率で十分な強度や包装適性を有する。
【0016】
本発明のポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムを得るための塩化ビニル系樹脂組成物において、上記可塑剤(A)及び可塑剤(B)の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、可塑剤(A)が8〜32重量部であり、可塑剤(B)が8〜32重量部であり、かつ、可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が28〜42重量部の範囲である。好ましくは、可塑剤(A)が10〜30重量部であり、可塑剤(B)が10〜30重量部であり、かつ、可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が30〜40重量部の範囲である。
可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が、28重量部未満では、自動包装機による食品容器の包装に際して幅方向に所望の倍率に延伸した時に切れやすく、包装機適性が良くない。一方、42重量部を超えると、包装機適性は良好であるが、ロール状に巻かれたストレッチフィルムの巻剥離特性が好ましくなく、滑りやすく、またストレッチフィルムの巻ロールの端面にずれが発生したりする傾向が大きくなり、包装機適性が低下する。また、ロール上に巻かれた状態のフィルムの色相が濃くなり、見栄えが損なわれる点で好ましくない。
【0017】
又、本発明に係る塩化ビニル系樹脂組成物には、上記の可塑剤(A)及び可塑剤(B)のほか、エポキシ化植物油を可塑剤(C)として含有する。エポキシ化植物油とは、主に大豆や亜麻仁油などをエポキシ化して得られるものである。例えば、エポキシ化オレイン酸とエポキシ化リノール酸を含有するエポキシ化大豆油やエポキシ化オレイン酸とエポキシ化リノール酸及びエポキシ化リノレン酸を含有するエポキシ化亜麻仁油等がある。
本発明に係る塩化ビニル系樹脂組成物では、エポキシ化大豆油を好ましく使用できるが、とくに限定されない。
【0018】
本発明のポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムを得るための塩化ビニル系樹脂組成物において、上記エポキシ化植物油〔可塑剤(C)〕の含有量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して10〜20重量部であり、この含有量の範囲で、包装機適性の良好な高ストレッチフィルムが得られる。含有量が10重量部未満及び20重量部を超えると、得られるフィルムの包装機適性が不十分なものとなる傾向がある。
【0019】
さらに、本発明に係る塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲の量で、上記可塑剤の外、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、界面活性剤等を含有させることができる。
【0020】
本発明のポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムは、塩化ビニル系樹脂に対して、上記の特定の可塑剤(A)、可塑剤(B)及び可塑剤(C)、及び必要に応じて添加剤を、通常使用される混合機、例えば、ヘンシェルミキサー等を用いて通常の混合方法により均一に混合して塩化ビニル系樹脂組成物を調製し、得られた組成物を、T−ダイまたはインフレーション法等の製膜方法により製膜して、ストレッチフィルムを得ることができる。
得られるストレッチフィルムは、膜厚が10μm程度の薄膜であっても、JIS K7127の規格(プラスチックフイルム及びシートの引張試験法)に基づくフィルム幅方向の破断時の最大伸び率が300%を越え、フィルムの幅方向の延伸倍率が2.2倍である食品容器自動包装機、例えば、(株)寺岡精工製「AW−3600」においても、良好な包装機適性を示す。
【0021】
本発明のポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムは、主として食品容器包装及びその他各種物品の包装用としても、また家庭用又は業務用として使用することができる。業務用の自動包装機用としては、従来、用いられていた膜厚12μm程度のストレッチフィルムに対して、本願発明のストレッチフィルムでは、薄膜が10μm程度の薄膜であっても、ストレッチフィルムとしての透明性、強度、伸び、防曇性、自己粘着性等に優れ、自動包装機適性において優れ、また、ストレッチフィルムの製造コストの低減を図ることができ、また、使用済みフィルムの回収作業、及び回収量の低減にも寄与することができる。
【0022】
以下、本発明を実施例により、比較例とともに詳しく説明する。しかし、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
【実施例1】
【0023】
塩化ビニル系樹脂〔エチレン−塩化ビニル共重合体(エチレン1%);大洋塩ビ(株)TH−1300〕100重量部に、アジピン酸ジイソノニル(DINA)10重量部と分子の両末端のそれぞれに安息香酸及び2−エチルヘキシル酸とジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物〔株式会社LG化学(韓国)、銘柄名:LGflex EBN.W〕22重量部との合計量32重量部及びエポキシ化大豆油〔(株)ダイセル化学工業、製品略号:ESBO〕、15重量部を加え、さらにCa−Zn系安定剤1.0重量部、ポリ(ジ)グリセリン脂肪酸エステル1.5重量部、ソルビタン脂肪酸エステル1.0重量部およびポリオキシエチレンアルキルエーテル1.0重量部を加熱混合した塩化ビニル系樹脂組成物を、押出機でスクリュウー混練し、Tダイスから約210℃で溶融押出しを行い、引巻取機で巻き取った。フィルムは、それぞれ厚み12μm、10μmおよび8μmで、幅300mmのロール状に巻き取った。得られた高ストレッチフィルムを次の試験法で、引張特性と、自動包装装置〔(株)寺岡精工社製AW−3600〕により包装試験を実施した。剥離性、カット性、シワ、掴み滑り等の包装機適性の評価を行い、その結果を表−1に示した。
【0024】
〔破断時の最大伸び率及び破断強度〕
(株)オリエンテック社製「引張試験機:UCT−500」を用い、JIS K7127に基づき2号試験片(10mm×100mm)を用いて、温度23±2℃、引張速度500mm/minでフィルムが破断するまでの最大伸び率及び強度を求めた。
〔色相〕
ロール状に巻かれたストレッチフィルムの色相を視感により評価した。
○:良好
×:不良(くすんだ色となる)
〔包装機適性〕
剥離性:ロール状の巻回体からの引出し時、滑り、ズレ、ゆるみ等の引き取りの状態
を評価した。
○:問題を起すことなく良好である。
△:多少問題がある。
×:引出し難い、滑りを起しロール末端が次第に崩れる等の問題を起す。
カット性:機械包装時におけるカット性を評価した。
○:良好にカットされる。
×:カットが円滑ではない。
シワ:巻回体から引出す時、または包装物のフィルム表面に生じるシワの有無を評価
した。
○:シワを生じない。
×:包装物にシワを生じ、また、円滑に引出せず、シワを生じる。
掴滑り:フィルムを横手方向の両端を両面から掴んで搬送するベルトでの掴みの状態
を評価した。
○:抜けることがない。
×:容易に抜け包装不良を起こす。
包装機適性の総合評価
◎:良好
△:十分な適用性に欠ける。
×:問題あり
【実施例2】
【0025】
実施例1と同様の方法で、表−1に示すように使用する可塑剤の量を変えてフィルムを調製し、それぞれのフィルムの引張特性を測定し、色相および包装機適性を評価した。結果を表−1に纏めて示す。
【実施例3】
【0026】
実施例1と同様の方法で、表−1に示すように使用する可塑剤の量を変えてフィルムを調製し、それぞれのフィルムの引張特性を測定し、色相および包装機適性を評価した。結果を表−1に纏めて示す。
【実施例4】
【0027】
実施例1と同様の方法で、表−1に示すように使用する可塑剤の量を変えてフィルムを調製し、それぞれのフィルムの引張特性を測定し、色相および包装機適性を評価した。結果を表−1に纏めて示す。
【実施例5】
【0028】
実施例1と同様の方法で、表−1に示すように使用する可塑剤の量を変えてフィルムを調製し、それぞれのフィルムの引張特性を測定し、色相および包装機適性を評価した。結果を表−1に纏めて示す。
【実施例6】
【0029】
実施例1と同様の方法で、表−1に示すように使用する可塑剤の量を変えてフィルムを調製し、それぞれのフィルムの引張特性を測定し、色相および包装機適性を評価した。結果を表−1に纏めて示す。
【0030】
比較例1〜6
実施例1と同様の方法で、使用する可塑剤の量を変えて試験を行った。それぞれのフィルムの引張特性を測定し、色相および包装機適性を評価した結果を表1に纏めて示す。
【0031】
【表1】

【0032】
注)表−1において、次を示す。
可塑剤(A)は、アジピン酸ジイソノニル〔(株)ジェイプラス、製品名:DINA〕、
可塑剤(B)は、平均分子量388で分子の両末端のそれぞれに安息香酸及び2−エチルヘキシル酸とジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物〔(株)LG化学(韓国)、銘柄名:LGflex EBN.W〕、
可塑剤(C)は、エポキシ化大豆油〔(株)ダイセル化学工業、製品略号:ESBO〕。
【産業上の利用可能性】
【0033】
食品容器包装用のストレッチフィルムとして、現行品に比べ膜厚が薄いにもかかわらず、破断時の最大伸び率が300%を越え、破断強度に優れ食品容器自動包装用機への適用性に優れ、フィルムの製造コスト、食品容器包装用として適用効率や回収効率が向上し、食品容器包装用高ストレッチフィルムとして産業上の利用可能性が大きく向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均重合度1300の塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、アジピン酸ジアルキルエステル系可塑剤〔可塑剤(A)〕8〜32重量部、平均分子量388で分子の両末端のそれぞれに安息香酸及び2−エチルヘキシル酸とジエステルを構成するトリエチレングリコール化合物〔可塑剤(B)〕8〜32重量部、かつ可塑剤(A)と可塑剤(B)の合計量が28〜42重量部の範囲であり、及びエポキシ化植物油〔可塑剤(C)〕10〜20重量部を可塑剤として含有する塩化ビニル系樹脂組成物からなるポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルムであって、該フィルムの幅方向への破断時の最大伸び率が300%以上であることを特徴とするポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルム。
【請求項2】
アジピン酸ジアルキルエステル系可塑剤が、アジピン酸ジイソノニルである請求項1記載のポリ塩化ビニル系高ストレッチフィルム。

【公開番号】特開2010−209193(P2010−209193A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55916(P2009−55916)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000111432)三井化学ファブロ株式会社 (36)
【Fターム(参考)】