説明

ポンピング装置

【課題】複数の圧力チェンバと、前記圧力チェンバを真空引きするポンピング装置(100)とを有する差圧的にポンピングされる真空システムを提供する。
【解決手段】本発明のポンピング装置は、第1と第2の複合ポンプ(102,104)を有し、各複合ポンプは、第1入口(120,124)と、第2入口(122,126)と、第1と第2のポンピング・セクション(110,112)とを有する。ポンピング・セクションは、第1入口からポンプ内に入る流体が、第1と第2のポンピング・セクションを通り、第2入口からポンプに入る流体は、第2ポンピング・セクションのみを通る。第1ポンプ(102)の第1入口(120)は、第1低圧チェンバ(10)の出口に接続され、第1ポンプ(102)の第2入口(122)と第2ポンプ(104)の第1入口(124)は、第2の共通中圧チェンバ(16)の出口に接続され、第2ポンプ(104)の第2入口(126)は、第3高圧チェンバ(14)の出口に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンピング装置に関し、特に、複数のチェンバの差圧ポンピングを行うポンピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
差圧ポンピングを行う質量分析計システムにおいては、サンプルとキャリア・ガスが、解析する為に質量分析計内に導入される。このような一例を図1に示す。同図では、複数の真空引きされるインターフェース・チェンバの後に高真空チェンバ10が配置される。実際のチェンバ数は、システムの種類に依存する。図1に示した実施形態においては、システムは、第1と第2と第3の真空引きされるインターフェース・チェンバ12、14、16とを有する。
【0003】
第1インターフェース・チェンバ12は、真空引きされる質量分析計システム内の最高圧チェンバであり、ガス入口手段を有する。このガス入口手段を介してイオンはイオン・ソースから第1インターフェース・チェンバ12に吸引される。イオン・ソースは、採用されるイオン化装置によっては大気圧である。第2インターフェース・チェンバ14と後続のそれより低い圧力チェンバは、当業者に公知のイオン光学手段との解析手段とを有する。
【0004】
この例において、使用中は、第1インターフェース・チェンバ12は、1−10mbarの圧力にある。第2インターフェース・チェンバ14は、10-3−10-2mbarの圧力にある。第3インターフェース・チェンバ16は、10-5−10-4mbarの圧力にある。高真空チェンバ10は、10-7−10-6mbarの圧力にある。
【0005】
チェンバを真空引きするためには、この実施形態においては、低圧チェンバである高真空チェンバ10は、ターボ分子ポンプ20により真空引きされ、バッキング・ポンプ22にまたは真空システムの他の適宜のポイントに排気する。第2と第3のインターフェース・チェンバ14、16は、複合真空ポンプ24により真空引きされ、バッキング・ポンプ22に排気される。第1インターフェース・チェンバ12は、バッキング・ポンプ22により真空引きされる。バッキング・ポンプ22は、比較的大きく、床に設置された回転ベーンポンプあるいは他の適宜の種類の真空ポンプである。
【0006】
この例においては、複合真空ポンプ24は、ターボ分子段のセットからなる2個のポンピング・セクション30、32と、Holweck drag機構からなる第3ポンピング・セクション34とを有する。このHolweck drag機構の代わりに、例えば、シーグバーン・メカニズム(Siegbahn mechanism)またはゲーデ・メカニズム(Gaede mechanism)のようなドラグ・メカニズム(Drag mechanism)を用いることもできる。各ターボ分子段のセット30、32は、既知の傾斜構造のロータ・ブレードとステータ・ブレードの対を複数個有する(図1においては、ロータ・ブレードとステータ・ブレードの対が4個示されているが、如何なる数も採用可能である)。Holweck drag機構34は、環状ステータに対応する複数のロータリー・シリンダとヘリカル・チャネルとを有する(図1においては、2個のロータリー・シリンダが示されているが、如何なる数も採用可能である)。
【0007】
第1複合ポンプ入口36は、第3インターフェース・チェンバ16に接続され、第1複合ポンプ入口36を介して、ポンピングされた流体は直列に接続されたターボ分子段のセット30、32とHolweck drag 機構34とを通り、出口38を介してポンプから出る。第2複合ポンプ入口40は、第2インターフェース・チェンバ14に接続され、この第2複合ポンプ入口40を介してポンピングされた流体は、ターボ分子段のセット32とHolweck drag 機構34とを通り、出口38を介してポンプから出る。複合真空ポンプ24は、追加的な入口を有してもよい。例えばシステムに追加されたチェンバをポンピングする必要がある場合には、ターボ分子段とHolweck drag機構のポンピング段との間に、更に入口を有してもよい。
【0008】
各複合ポンプ入口に入る流体が、それぞれの複数の段を通って複合ポンプから出るので、複合真空ポンプ24は、第2、第3のインターフェース・チェンバ14、16に必要な真空レベルを与え、バッキング・ポンプ22が、第1インターフェース・チェンバ12とターボ分子ポンプ20に必要な真空レベルを与える。ターボ分子ポンプ20が、高真空チェンバ10に必要な真空レベルを与える。
【0009】
複数個の隣接するチェンバを真空引きするために複合ポンプを用いると、大きさ、コスト、構成要素の合理化の点では利点がある。しかし、コンダクタンスの観点からすると、通常の複合ポンピング装置の性能は、各中間チェンバがそれぞれに直接搭載される専用真空ポンプを使用して真空引きする構成に比較すると、劣る。
【0010】
質量分析計システムの種類によっては、ポンピング性能は、図1に示すように、追加的なガス負荷が、第2又は第3のインターフェース・チェンバ14、16の1つにコリジョン・セル(collision cell)、ガス反応セル、イオン・トラップを介して、導入される時には、大きな影響を受ける。図1に示す実施形態においては、追加的なガス導入は、第3インターフェース・チェンバ16内に導入されるように示されている。このチェンバ内の圧力を維持するためには、遙かに高いレベルのポンプ性能が、必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ポンピング装置のサイズ、コスト、ポンプ数を大幅に増加することなく、必要とされる性能レベルを提供する複数のチェンバ用のポンピング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、例えば質量分析計のような装置を有する本発明の差圧的にポンピングされる真空システムは、複数の圧力チェンバと、この圧力チェンバに取り付けられ、前記圧力チェンバを真空引きするポンピング装置とを有する。前記ポンピング装置は、第1と第2の複合ポンプを有し、前記各複合ポンプは、少なくとも、第1入口と、第2入口と、第1ポンピング・セクションと、前記第1ポンピング・セクションの下流側に配置された第2ポンピング・セクションとを有する。前記ポンピング・セクションは、前記第1入口からポンプ内に入る流体が、前記第1と第2のポンピング・セクションを通る。前記第2入口からポンプに入る流体は、第2ポンピング・セクションのみを通る。前記複数のポンプの内の一方のポンプの第2入口と他方のポンプの第1入口とは、共通の圧力チェンバからの出口あるいはそれぞれの出口に接続され、運転中は、第1複合ポンプは、前記第2複合ポンプに並列に、複数の圧力チェンバの一方を真空引きするよう配置される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記第1ポンプの第1入口は、第1の低圧チェンバからの出口に接続され、前記第1ポンプの第2入口と第2ポンプの第1入口とは、共通のより高圧のチェンバからの出口あるいはそれぞれの出口に接続される。例えば、前記第1ポンプの第2入口と第2ポンプの第1入口とは、第2の中圧チェンバからの出口あるいはそれぞれの出口に接続され、前記第2ポンプの第2入口は、第3の高圧チェンバからの出口に接続される。
【0014】
前記第1と第2のポンピング・セクションの少なくとも一方、より好ましくは両方は、少なくとも1個のターボ分子段を有する。これらは、同一サイズあるいは異なるサイズでもよい。例えば、第2ポンピング・セクションの段は、第1ポンピング・セクション段より大きくして、選択的ポンピング性能を提供するよう構成してもよい。
【0015】
好ましくは、前記第2複合ポンプは、第2ポンピング・セクションの下流側に第3ポンピング・セクションを有し、前記ポンピング・セクションは、前記第1入口からポンプ内に入る流体が、前記第1と第2と第3のポンピング・セクションを通り、前記第2入口からポンプに入る流体は、第2と第3のポンピング・セクションのみを通るよう配置される。好ましくは、前記第3ポンピング・セクションは、多段分子ドラグ機構、例えば、複数のチャネルが複数のらせん形態で配列される多段のHolweck機構を有する。
【0016】
少なくとも第2複合ポンプは、第4圧力チェンバからの流体が流れ込む第3入口を有し、前記ポンピング・セクションは、前記第4チェンバからポンプに入る流体は、第3ポンピング・セクションのみを通過するよう、配置される。前記第3ポンピング・セクションは、前記第3入口からそこを通る流体が、第2入口からそこを通る流体とは異なるパスを流れるよう配置される。前記第3ポンピング・セクションは、前記第3入口からそこを通る流体は、第2入口からそこを通る流体のパスのみを通るよう、配置される。各複合ポンプは、第4圧力チェンバからの流体が流れ込むよう配置された前記第3入口を有し、前記複合ポンプは、前記第1複合ポンプが、第2複合ポンプと並列に第4圧力チェンバを真空引きするよう、配置される。前記第3入口は、第4圧力チェンバの出口からそこに流体を搬送する導管手段に接続される。
【0017】
第2複合ポンプは、更に別のシステムを真空引きする必要がある時には、例えば、分子ターボ段とHolweck ポンピング段との間に、別の入口を具備してもよい。この追加されたポートを介してポンプに入った流体は、ポンピング・セクションの一部のみを通過するか、第1と第2の入口を介してポンプに入る流体の通路と一部別のパスを通過してもよい。
【0018】
少なくとも第2複合ポンプは、第3ポンピング・セクションから下流側に、さらなるポンピング・セクションを有する。前記のさらなるポンピング・セクションは、空力学的ポンピング機構、例えば、再生段を有する。他の種類の空力学的ポンピング機構は、側面流(side flow)機構、側面チャネル(side channel)機構、周囲流(peripheral flow)機構を含む。
【0019】
前記第2ポンプの第2入口は、第1ポンプの出口に接続される。この実施形態においては、前記第2ポンプの第2ポンピング・セクションは、大気圧で流体を排気する。第2ポンプの第2ポンピング・セクションは、空力学的ポンピング機構、例えば、再生段を有する。前記第2ポンプの第1ポンピング・セクションと前記第1ポンプの第2ポンピング・セクションの一方または両方は、分子ドラグ機構を有する。前記第1ポンプの第1ポンピング・セクションは、少なくとも1個のターボ分子段を有する。第1と第2のポンプの少なくとも一方は、それらの第1入口から上流側にさらなる入口を有する。前記第1ポンプは、さらなる入口と第1入口との間に配置された、さらなるポンピング・セクションを有し、前記さらなるポンピング・セクションは、少なくとも1個のターボ分子段を有してもよい。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、例えば質量分析計の様な装置を有する本発明の差圧的にポンピングされる真空システムは、複数の圧力チェンバと、前記圧力チェンバに取り付けられ、前記圧力チェンバを真空引きするポンピング装置とを有する。前記ポンピング装置は、第1と第2の複合ポンプを有し、前記各複合ポンプは、少なくとも、第1入口と、第2入口と、第1ポンピング・セクションと、前記第1ポンピング・セクションの下流側に配置された第2ポンピング・セクションとを有する。前記ポンピング・セクションは、前記第1入口からポンプ内に入る流体が、前記第1と第2のポンピング・セクションを通る。前記第2入口からポンプに入る流体は、第2ポンピング・セクションのみを通る。前記第1ポンプの第1入口は、第1の低圧チェンバからの出口に取り付けられ、前記第1ポンプの第2入口は、第2の中圧チェンバからの出口に取り付けられ、前記第2ポンプの第1入口は、第3の高圧チェンバからの出口に取り付けられ、前記第2ポンプの第2入口は、第1ポンプの出口に取り付けられ、前記第2ポンプの第2ポンピング・セクションは、大気圧で流体を排気する。
【0021】
各複合ポンプは、ポンピング・セクション用に、少なくとも1個のロータ要素をその上に搭載する駆動シャフトを有する。
【0022】
このシステムは、複数の差圧的にポンピングされるチェンバを有する、コーティングシステム、あるいは他のシステムを含む。
【0023】
本発明の複数の圧力チェンバを差圧的に真空引きする方法は、
(A)第1と第2の複合ポンプを有するポンピング装置を用意するステップと、前記各複合ポンプは、少なくとも、第1入口と、第2入口と、第1のポンピング・セクションと、前記第1のポンピング・セクションの下流側に配置される第2ポンピング・セクションとを有し、前記ポンピング・セクションは、第1入口からポンプに入る流体は、前記第1と第2のポンピング・セクションを通過し、前記第2入口からポンプに入る流体は、第2ポンピング・セクションのみを通過し、
(B)前記複合ポンプの入口を圧力チェンバに取り付けるステップと
を有し、これにより、複数のポンプの内の一方のポンプの第2入口と他方のポンプの第1入口が、共通圧力チェンバからの出口あるいはそれぞれの出口に接続され、運転中は、第1複合ポンプが、第2複合ポンプと並列に、前記圧力チェンバの内の1つを真空引きする。
【0024】
本発明のシステムの上記の特徴は、本発明の方法にも同様に適用できる。その逆も当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】差圧的にポンピングされる質量分析計システムを真空引きするのに適した公知のポンピング装置の断面図である。
【図2】差圧的にポンピングされる質量分析計システムを真空引きするのに適した本発明の第1実施形態のポンピング装置の断面図である。
【図3】差圧的にポンピングされる質量分析計システムを真空引きするのに適した本発明の第2実施形態のポンピング装置の断面図である。
【図4】差圧的にポンピングされる質量分析計システムを真空引きするのに適した本発明の第3実施形態のポンピング装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1の差圧的にポンピングされる質量分析計システムを真空引きするポンピング装置100の第1実施形態が図2に示されている。ポンピング装置100は、第1複合マルチポート・ポンプ102と、第2複合マルチポート・ポンプ104と、バッキング・ポンプ105とを有する。
【0027】
各複合ポンプ102、104は、多数の構成要素からなる本体106を有し、その中に駆動シャフト108が搭載される。シャフトの回転は、モータ(図示せず)により行われる。このモータは、例えば駆動シャフト108の周囲に配置されたブラスレスDCモータである。駆動シャフト108は、軸受け(図示せず)に対向して搭載される。例えば、駆動シャフト108は、永久磁石軸受けと油潤滑軸受けの混成システムで支持することもできる。駆動シャフト108の方向は、質量分析計システムの縦軸と同軸となるよう(図2において水平方向)示されているが、システムの性能と形状の要件によっては、傾斜して、例えば直角あるいは他の方向に傾斜させ、入口ポートを伸ばして具備させることもできる。
【0028】
各複合ポンプは、少なくとも3個のポンピング・セクション110、112、114を有する。第1ポンピング・セクション110は、ターボ分子段の組を有する。図2に示す実施形態においては、第1ポンピング・セクションであるターボ分子段110の組は、公知の傾斜構造の4枚のロータ・ブレードと4枚のステータ・ブレードとを有する。この実施形態においては、ロータ・ブレードは、駆動シャフト108と一体に形成されている。
【0029】
図2に示す実施形態においては、第2ポンピング・セクション112は第1ポンピング・セクション110と類似しており、公知の傾斜構造の4枚のロータ・ブレードと4枚のステータ・ブレードとを有するターボ分子段の組を有する。この実施形態においては、ロータ・ブレードは、駆動シャフト108と一体に形成されている。別の構成として、第2ポンピング・セクション112は、別の分子ポンピング・メカニズム、例えば外側に搭載されたヘリカル、ロータを具備してもよい。
【0030】
第1と第2のポンピング・セクションの下流側に、分子ドラグ機構、例えばHolweck dragドラグ機構の形態をとる第3ポンピング・セクション114が配置される。この実施形態においては、Holweck drag機構は、1つあるいは複数の円筒状シリンダと、それに対応するらせんチャネルを有する環状ロータとを有する。回転シリンダは、カーボン・ファイバから形成され、ディスク116上に搭載される。このディスク116が駆動シャフト108に結合される。この実施形態においては、ディスク116は、駆動シャフト108と一体に形成される。Holweck drag 機構114の下流側には、ポンプ出口118が配置される。バッキング・ポンプ105は、複合ポンプ102、104を、ポンプ出口118を介して補助する。別の構成としては、第1複合ポンプ102の出口を真空システム上の別のポイントに接続し、第1複合ポンプ102から出たガスは、ポンプ出口118を介して真空システムの別の部分を通り、バッキング・ポンプ105に入ってもよい。
【0031】
図2に示すように、各複合ポンプ102、104は、少なくとも2個の入口124,126を有する。各複合ポンプ102、104においては、第1の低圧入口が全てのポンピング・セクションの上流側に配置される。第2の中圧入口が第1ポンピング・セクション110と第2ポンピング・セクション112の間に配置される。2個の入口のみがこの実施形態では示されているが、各複合ポンプは、追加的なシステム・チェンバをポンプするために、必要によっては追加的な入口を、例えばターボ分子段とHolweck dragポンピング段との間に具備してもよい。追加的ポートを介してポンプに入る流体は、ポンピング・セクションの一部のみを通過する、あるいは、第1と第2の入口を通してポンプに入るのとは部分的に別のパスから入ってもよい。
【0032】
運転に際し、各入口は、差圧的にポンピングされる質量分析計システムのチェンバに接続される。この実施形態においては、第1複合ポンプ102の第1入口120は、高真空チェンバ10に接続される。第1複合ポンプ102の第2入口122と第2複合ポンプ104の第1入口124の両方は、第3インターフェース・チェンバ16に接続される。第2複合ポンプ104の第2入口126は、高圧の第2インターフェース・チェンバ14に接続される。最高気圧の準大気圧である第1インターフェース・チェンバ12は、バッキング・ポンプ105により真空引きされる。更なるインターフェース・チェンバが用いられる場合には、これらは更なる入口ポート(図示せず)に接続される。
【0033】
高真空チェンバ10から第1複合ポンプ102の第1入口120を通過した流体は、第1複合ポンプ102に入り、第1ポンピング・セクション110と第2ポンピング・セクション112とHolweck drag 機構114の全ての段を通過して、ポンプ出口118を介して第1複合ポンプ102から出る。
【0034】
第3インターフェース・チェンバ16から第1複合ポンプ102の第2入口122を通過した流体は、第1複合ポンプ102に入り、第2ポンピング・セクション112とHolweck drag 機構114の全ての段を通過して、ポンプ出口118を介して第1複合ポンプ102から出る。
【0035】
第3インターフェース・チェンバ16から第2複合ポンプ104の第1入口124を通過した流体は、第2複合ポンプ104に入り、第1ポンピング・セクション110と第2ポンピング・セクション112とHolweck drag 機構114の全ての段を通過して、ポンプ出口118を介して第2複合ポンプ104から出る。
【0036】
第2インターフェース・チェンバ14から第2複合ポンプ104の第2入口126を通過した流体は、第2複合ポンプ104に入り、第2ポンピング・セクション112とHolweck drag 機構114の全ての段を通過して、ポンプ出口118を介して第2複合ポンプ104から出る。
【0037】
この実施形態において、運転中は、図1のシステムと同様に動作する。第1インターフェース・チェンバ12は、1−10mbarの圧力にある。第2インターフェース・チェンバ14は、10-3−10-2mbarの圧力にある。第3インターフェース・チェンバ16は、10-5−10-4mbarの圧力にある。高真空チェンバ10は、10-7−10-6mbarの圧力にある。
【0038】
上記の実施形態において、複数のチェンバの内の1つを並列ポンピングすることは、2つの複合ポンプの別々の入口(即ち、第1複合ポンプ102の第2入口122と第2複合ポンプ104の第1入口124)を同一のチェンバ(即ち、インターフェースチェンバー16)に接続することにより実行できる。但し、これはガス負荷の分布状態と性能要件に依存して選択される。この構成は、付加的ガス負荷を第3インターフェース・チェンバ16内に導入することにより課される更なるポンピング要件と、差圧的にポンピングされる質量分析計システムの他のチェンバのそれぞれの両方に対し、ポンピング装置100のポンピング性能を最適化する。チェンバをこのように並列ポンピングすることにより、同一容量の単一のポンプ入口を用いるのよりも、並列にポンピングされるチェンバに対し、大きく性能を上げることができる。さらに、複合ポンプが「真に並列に」動作するような構成(すなわち2個の複合ポンプの類似機能の入口を用いて同一チェンバを真空引きする構成)とは対称的に、他のチェンバの接続に利用できる入口の数を最大にできる。例えば、2個の入口をそれぞれ有する2個の複合ポンプが、真に並列に動作すると、2個のチェンバに対してのみ差圧的にポンピングするが、複数のチェンバの内の一方を真空引きするために、異なる入口を用いる類似のポンプにより、少なくとも3個のチェンバを差圧的にポンピングすることができる。ポンピング装置100を2個の復号ポンプ102、104とバッキング・ポンプ105とにより最小化することより、低コストと構成要素数の少ないコンパクトなポンピング装置を提供できる。
【0039】
図2に示すように、複合ポンプ102、104は同一でもよい。このため、高真空チェンバ10をさらに合理化できる。但し、これは必ずしも必須要件ではない。複合ポンプ102、104は、好ましくは特定の質量分析計システムに対し、最適のポンピング性能を提供するよう選択されるが、これは、質量分析計システムの各段の特定のガス負荷を考慮に入れて行われる。
【0040】
バッキング・ポンプ105は、通常比較的大きな床置き型ポンプである。使用されるバッキング・ポンプの種類によって、第1インターフェース・チェンバ12でバッキング・ポンプにより提供される性能は、動作周波数に大きく影響される。例えば、50Hzの電源で駆動される直接ラインに接続されたバッキング・ポンプは、第1インターフェース・チェンバ12の性能に関しては、60Hzで駆動される同一のポンプによる性能よりも20%も低い。第1インターフェース・チェンバ12に、その他のチェンバ10、14、16は、全て接続されているので、第1インターフェース・チェンバ12の性能の如何なる変化も、その他のチェンバの性能に大きな影響を及ぼす。
【0041】
これらの問題を解決するために、図3は、複合ポンプにより差圧的にポンピングされる質量分析計システムからの全質量流の90%以上を真空引きするのに適した第2実施形態のポンピング装置200を示す。このポンピング装置200はポンピング装置100に類似するが、複合ポンプ102、104は、第1と第2の入口から下流側に配置される第3入口202を有する点が異なる。導管204は入口206を有し、そこを介して第1インターフェース・チェンバ12からの流体が導管204に入る。導管204は、この流体を複合ポンプ102、104のそれぞれの第3入口202に搬送し、第1インターフェース・チェンバ12の「真に並列な」ポンピングを提供する。これは、図2で説明した第3インターフェース・チェンバ16の並列ポンピングに加えて行われる。
【0042】
各第3入口202は、図3に示すように、Holweck drag 機構114の段の間あるいはその上流側に配置される。その結果、Holweck drag 機構114の全ての段は、第1入口120、第2入口122と導通状態にある。一方で、図3に示した配置においては、段の一部(1つあるいは複数の段)のみが第3入口202と導通状態にある。その結果、運転中は、第1インターフェース・チェンバ12から第3入口202を介して流れる流体は、それぞれの複合ポンプ内に入り、Holweck drag 機構114のチャネルの少なくとも一部を通過して、ポンプ出口118を介してポンプから出る。
【0043】
複合ポンプが、質量分析計システムの全流体質量の99%以上をまかなえるようにポンピング装置200を準備することにより、バッキング・ポンプの駆動周期に起因するシステム性能に関連する上記の問題を緩和できる。
【0044】
さらに、最高圧力チェンバである第1インターフェース・チェンバ12を並列ポンピングすることにより、第1インターフェース・チェンバ12の性能は4倍も大きくなる。このチェンバの性能を増加させることにより、後続のチェンバのガスの負荷を減少させることができ、これらのチェンバの性能を効率的に上昇させることができる。これにより、通常の複合ポンピング構成のコンダクタンス制限に関連する問題を解決できる。最高圧力チェンバの性能を上げることにより、イオン・ソースからのイオンとキャリア・ガスを質量分析計システム内に流すことができる。これにより、質量分析計システムの感度を向上させ、チェンバ内の最適の流体圧力を維持できる。チェンバ間の開口を増加させて、システムを通るイオンの増加を許容でき、且つチェンバ内の最適の流体圧力を維持できる。
【0045】
さらなるポンピング段を複合ポンプ102、104に追加することにより、バッキング・ポンプ105に必要とされる性能を下げることができる。例えば、第4のポンピング・セクション(図示せず)、例えば空力学的再生段(aerodynamic regenerative stage)を、Holweck drag 機構114の下流側に具備してもよい。この再生段は、複数のロータにより提供できるが、このロータは、Holweck drag 機構114のディスク116上に搭載された、あるいは一体に形成された隆起リングの環状列の形態である。Holweck drag 機構114のステータは、再生段のステータも構成する。このステータは、ロータがその中で回転する環状チャネルを有する。運転に際しては、このような変更されたポンピング装置は、差圧的にポンピングされる質量分析計システム(第1と第2の実施形態のポンピング装置100、200)のチェンバ内で類似の性能を提供できる。これらの実施形態により提供される性能の利点に加えて、本発明のこの構成は、さらなる2つの利点を提供できる。第1の利点は、さまざまなレベルの性能を具備したポンプ(例えば50Hzまたは60Hzで、ライン上で直接動作するバッキング・ポンプ)により補助された際でも、システム性能が変わらないことである。この構成の場合には、図3に記載されたシステムにおいては、システム性能の変動は、バッキング・ポンプ105の動作周波数が50Hzまたは60Hzで変わった場合でも、1%程度と低い。かくして、安定したシステム性能を具備するフレキシブルなポンピング装置を提供できる。
【0046】
第2の利点は、Holweck dragセクションの下流側にさらなるポンピング・セクションを配置することにより、複合ポンプ102、104の構成により、バッキング・ポンプ105の容量とサイズを、第1と第2の実施形態と比較して、大幅に低減できることである。この理由は、さらなるポンピング・セクションの為に、複合ポンプは、10mbar以上の圧力で流体を排気できるからである。これに対し、第1と第2の実施形態の複合ポンプ102、104は、1−10mbarの圧力でしか流体を排気できない。その結果バッキング・ポンプ105のサイズを大幅に減らすことができる。このサイズの小型化は、ある質量分析計システムにおいては、システム性能に悪影響を及ぼすことなく、大きさは、1/5−1/10にもなる。これにより、ポンピング装置の全電力消費を低減できる。
【0047】
このような構成によって、すなわち、さらなるポンピング・セクションをHolweck drag 機構114の下流側に配置することによって、複合ポンプ102、104の一方のみを、性能と電力の要件によっては、最高圧力チェンバ12に接続することが必要となることもある。別の構成として、第3入口202の少なくとも一方を、Holweck drag 機構114とさらなるポンピング・セクションの間に配置することにより、その入口を通り複合ポンプに入る流体は、Holweck drag 機構114を通過しなくなる。
【0048】
バッキング・ポンプ105を小型化する代わりに、複数のポンピング装置(それぞれがそれぞれの質量分析計システムを真空引きする)を1個のバッキング・ポンプに取り付けてもよい。これにより、質量分析計システム用のポンピング装置全体を小さくできる。
【0049】
図4に示されたポンピング装置300の第3実施形態により同様の利点を得られ、これは、差圧的にポンピングされる質量分析計システムからの全質量流の99%以上を真空引きして、複合ポンプを介してほぼ大気圧に排気できる。
【0050】
ポンピング装置300は、第2実施形態の第1複合ポンプ102に類似する第1複合ポンプ102を有する。概要を説明すると、複合ポンプ102は、多数の構成要素からなる本体106を有し、その中に駆動シャフト108が搭載される。シャフトの回転は、駆動シャフト108周囲に配置されたモータ(図示せず、例、ブラシレスdcモータ)により行われる。駆動シャフト108は、対向する軸受け(図示せず)上に搭載される。例えば、駆動シャフト108は、永久磁石軸受けと油潤滑軸受けのハイブリッド・システムによりサポートされる。複合ポンプ102は、3個のポンピング・セクション110、112、114を有する。第1ポンピング・セクション110と第2ポンピング・セクション112は、ターボ分子段の組を有するか、あるいは第2ポンピング・セクション112は、別の分子ポンピング機構、例えば外部挿入型、あるいはヘリカル・ロータにより提供される。図4に示す実施形態においては、ターボ分子段の各組は、公知の傾斜構造の4枚のロータ・ブレードと4枚のステータ・ブレードとを有する。この実施形態においては、ロータ・ブレードは駆動シャフト108と一体構成である。第3ポンピング・セクション114は、分子ドラグ機構、例えばHolweck dragドラグ機構である。この実施形態においては、Holweck drag機構は、1つあるいは複数の回転シリンダとそれに対応する環状ステータとを有し、この環状ステータがその中にらせん形状チャネルを有する。回転シリンダは、好ましくはカーボン・ファイバから形成され、駆動シャフト108上に配置されるディスク116上に搭載される。この実施形態において、ディスク116は、駆動シャフト108と一体に構成される。Holweck drag 機構114の下流側には、ポンプ出口118が配置される。
【0051】
図4に示すように、複合ポンプ102は3個の入口を有する。第1低流体圧入口120は、全てのポンピング・セクションの上流側に配置される。第2中流体圧入口122は、第1ポンピング・セクション110と第2ポンピング・セクション112との間に配置される。第3高流体圧入口202は、Holweck drag 機構114の段の上流側あるいは、図4に示すように、段の間に配置される。かくして、Holweck drag機構の全ての段は、第1と第2の入口120、122と導通状態にあり、図4に示す構成においては、Holweck drag機構の段の一部(1つあるいはそれ以上)のみが第3入口202と導通状態にある。
【0052】
ポンピング装置300は、第2複合ポンプ302を有する。第2複合ポンプ302は、本体304を有し、その中に駆動シャフト306が搭載される。駆動シャフト306の回転は、駆動シャフト306の周囲に配置されたモータ308により行われる。駆動シャフト306は、対向する軸受け(図示せず)上に搭載される。第2複合ポンプ302は、2個のポンピング・セクション312、314を有する。第1ポンピング・セクション312は、分子ドラグ機構の形態である。例えば、本体304の上部部分内に形成されたHolweck dragドラグ機構である。第2ポンピング・セクション314は、第1ポンピング・セクション312の下流側に配置された空力学再生段の形態である。
【0053】
本体304は、3個の入口を有する。第1低流体圧入口316は、全てのポンピング・セクションの上流側に配置される。第2中流体圧入口318は、Holweck drag 機構312の段の間に配置され、Holweck drag 機構312の全ての段は、第1低流体圧入口316と導通状態にある。図4に示す実施形態においては、Holweck drag 機構312の段の一部(1個または複数個)のみが第2中流体圧入口318と導通状態にある。第3高流体圧入口320は、Holweck drag 機構312と再生段314の間に配置される。
【0054】
運転に際しては、第1複合ポンプ102の第1入口120は高真空最低圧チェンバ10に接続され、第1複合ポンプ102の第2入口122は、中圧インターフェース・チェンバ16に接続され、第2複合ポンプ302の第1入口316は、高圧インターフェース・チェンバ14に接続され、第1複合ポンプ102の第3入口202と第2複合ポンプ302の第2中流体圧入口318の両方は、最高圧インターフェース・チェンバ12に導管322を介して接続されて、このインターフェース・チェンバの並列ポンピングを行う。第2複合ポンプ302の第3入口320は、第1複合ポンプ102のポンプ出口118に接続される。
【0055】
最低圧チェンバ10から第1複合ポンプ102の第1入口120を通る流体は、第1複合ポンプ102に入り、第1ポンピング・セクション110と第2ポンピング・セクション112とHolweck drag 機構114の全てのチャネルを通過して、第1複合ポンプ102からポンプ出口118を介して出て、第2複合ポンプ302の再生段314を通過して第2複合ポンプ302からほぼ大気圧で出口324を介して出る。かくして、最低圧チェンバ10は、第1複合ポンプ102と第2複合ポンプ302の段の両方の直列接続により真空引きされる。
【0056】
中間圧力インターフェース・チェンバも同様に、第1と第2の複合ポンプ102、302の段の直列接続により真空引きされる。中間圧インターフェース・チェンバ16から第1複合ポンプ102の第2入口122を通る流体は、第1複合ポンプ102に入り、第2ポンピング・セクション112とHolweck drag 機構114の全てのチャネルを通過して、第1複合ポンプ102からポンプ出口118を介して出て、第2複合ポンプ302の再生段314を通過して、第2複合ポンプ302から出口324を介して、ほぼ大気圧で出る。
【0057】
前述したように、最高圧インターフェース・チェンバ12は、第1と第2の複合ポンプ102、302の異なる入口にそれを接続することにより、並列的に真空引きしてもよい。最高圧インターフェース・チェンバ12から第1複合ポンプ102の第3入口202を通過する流体は、第1複合ポンプ102に入り、Holweck drag 機構114の一部のみを通過して、第1複合ポンプ102からポンプ出口118を介して出て、第2複合ポンプ302の再生段314を通過して、第2複合ポンプ302から出口324を介して出る。最高圧インターフェース・チェンバ12から本体304の第2入口318を通過する流体は、第2複合ポンプ302に入り、Holweck drag 機構312の一部のみを通過して、再生段314をさらに通過して、第2複合ポンプ302から出口324を介して出る。
【0058】
高圧インターフェース・チェンバ14から第2複合ポンプ302の第1入口316を通過する流体は、第2複合ポンプ302に入り、Holweck drag 機構312と再生段314を通過して、第2複合ポンプ302から出口324を介して出る。
【0059】
この例において、運転中は、インターフェース・チェンバ12は、1−10mbarの圧力にある。インターフェース・チェンバ14は、10-3−10-2mbarの圧力にある。インターフェース・チェンバ16は、10-5−10-4mbarの圧力にある。高真空チェンバ10は、10-7−10-6mbarの圧力にある。この実施形態においては、複合ポンプ302は、ほぼ大気圧で流体を排気する。これにより、第1と第2の実施形態のバッキング・ポンプ105を全て省くことができる。
【0060】
図3の実施形態と同様に、複合ポンプ102、302の一方のみを、性能と電力要件によって、最高圧インターフェース・チェンバ12に接続することが必要となることがある。
【0061】
以上の説明は、本発明の一実施形態に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。
【符号の説明】
【0062】
10 高真空チェンバ
12 第1インターフェース・チェンバ
14 第2インターフェース・チェンバ
16 第3インターフェース・チェンバ
20 ターボ分子ポンプ
22 バッキング(後方)・ポンプ
24 複合真空ポンプ
30,32 セット
34 Holweck drag 機構
36 第1複合ポンプ入口
38 出口
40 第2複合ポンプ入口
100 ポンピング装置
102 第1複合ポンプ
104 第2複合ポンプ
105 バッキング(後方)・ポンプ
106 多構成本体
108 駆動シャフト
110,112,114 ポンピング・セクション
110 第1ポンピング・セクション
112 第2ポンピング・セクション
114 Holweck drag 機構
116 ディスク
118 ポンプ出口
120 第1入口
122 第2入口
124 第1入口
126 第2入口
200 ポンピング装置
202 第3入口
204 導管
206 入口
300 ポンピング装置
302 第2複合ポンプ
304 本体
306 駆動シャフト
308 モータ
312,314 ポンピング・セクション
312 第1ポンピング・セクション
314 第2ポンピング・セクション(再生段)
316 第1低流体圧入口
318 第2中流体圧入口
320 第3高流体圧入口
322 導管
324 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧力チェンバと、
前記圧力チェンバに取り付けられ、前記圧力チェンバを真空引きするポンピング装置と、
を有する差圧的にポンピングされる真空システムにおいて、
前記ポンピング装置は、第1と第2の複合ポンプを有し、
前記各複合ポンプは、少なくとも、第1入口と、第2入口と、第1ポンピング・セクションと、前記第1ポンピング・セクションの下流側に配置される第2ポンピング・セクションとを有し、
前記ポンピング・セクションは、
前記第1入口からポンプ内に入る流体が、前記第1と第2のポンピング・セクションを通り、
前記第2入口からポンプに入る流体は、第2ポンピング・セクションのみを通り、
前記複数のポンプの内の一方のポンプの第2入口と他方のポンプの第1入口とは、共通の圧力チェンバからの出口あるいはそれぞれの出口に接続され、
運転中は、第1複合ポンプは、前記第2複合ポンプに並列に、複数の圧力チェンバの一方を真空引きするよう配置されることを特徴とする差圧的にポンピングされる真空システム。
【請求項2】
前記第1ポンプの第1入口は、第1の低圧チェンバからの出口に接続され、
前記第1ポンプの第2入口と第2ポンプの第1入口とは、共通のより高圧のチェンバからの出口あるいはそれぞれの出口に接続されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記第1ポンプの第2入口と第2ポンプの第1入口とは、第2の中圧チェンバからの出口あるいはそれぞれの出口に接続され、
前記第2ポンプの第2入口は、第3の高圧チェンバからの出口に接続されることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記第1と第2のポンピング・セクションの少なくとも一方は、少なくとも1個のターボ分子段を有することを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記第1と第2のポンピング・セクションの両方は、少なくとも1個のターボ分子段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1と第2のポンピング・セクションの大きさは異なることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも前記第2複合ポンプは、第2ポンピング・セクションの下流側に第3ポンピング・セクションを有し、
前記ポンピング・セクションは、
前記第1入口からポンプ内に入る流体が、前記第1と第2と第3のポンピング・セクションを通り、
前記第2入口からポンプに入る流体は、第2と第3のポンピング・セクションのみを通るよう配置されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第3ポンピング・セクションは、多段の分子ドラグ機構を有することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記分子ドラグ機構は、複数のチャネルが複数のらせん形態で配列される多段のHolweck機構であることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも第2複合ポンプは、第4圧力チェンバからの流体が流れ込む第3入口を有し、
前記ポンピング・セクションは、前記第4チェンバからポンプに入る流体は、第3ポンピング・セクションのみを通過するよう、配置されることを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第3ポンピング・セクションは、前記第3入口からそこを通る流体が、第2入口からそこを通る流体とは異なるパスを流れるよう配置されることを特徴とする請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記第3ポンピング・セクションは、前記第3入口からそこを通る流体は、第2入口からそこを通る流体のパスの一部のみを通るよう、配置されることを特徴とする請求項11記載のシステム。
【請求項13】
各複合ポンプは、第4圧力チェンバからの流体が流れ込むよう配置された前記第3入口を有し、
前記複合ポンプは、前記第1複合ポンプが、第2複合ポンプと並列に、第4圧力チェンバを真空引きするよう、配置されることを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第3入口は、第4圧力チェンバの出口からそこに流体を搬送する導管手段に接続されることを特徴とする請求項13記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも第2複合ポンプは、第3ポンピング・セクションから下流側に、さらなるポンピング・セクションを有することを特徴とする請求項7乃至14の何れか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記のさらなるポンピング・セクションは、空力学的ポンピング機構を有することを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記空力学的ポンピング機構は、再生段を有することを特徴とする請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記複合ポンプから排気された流体を受領するために、バッキング・ポンプに直接接続された出口を有するさらなる圧力チェンバを有することを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記複合ポンプは、質量分析計の最高圧力チェンバが並列に真空引きされるよう、配置されることを特徴とする請求項1乃至17の何れか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2ポンプの第2入口は、第1ポンプの出口に接続されることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項21】
前記第2ポンプの第2ポンピング・セクションは、大気圧で流体を排気することを特徴とする請求項20記載のシステム。
【請求項22】
前記第2ポンプの第2ポンピング・セクションは、空力学的ポンピング機構を有する
ことを特徴とする請求項20又は21に記載のシステム。
【請求項23】
前記空力学的ポンピング機構は、再生段を有することを特徴とする請求項22記載のシステム。
【請求項24】
前記第2ポンプの第1ポンピング・セクションは、分子ドラグ機構を有することを特徴とする請求項19−23のいずれかに記載のシステム。
【請求項25】
前記第1ポンプの第2ポンピング・セクションは、分子ドラグ機構を有することを特徴とする請求項19乃至24の何れか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1ポンプの第1ポンピング・セクションは、少なくとも1個のターボ分子段を有することを特徴とする請求項19乃至25の何れか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1と第2のポンプの少なくとも一方は、それらの第1入口から上流側にさらなる入口を有することを特徴とする請求項19乃至26の何れか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1ポンプは、前記のさらなる入口と第1入口との間に配置された、さらなるポンピング・セクションを有することを特徴とする請求項27記載のシステム。
【請求項29】
前記さらなるポンピング・セクションは、少なくとも1個のターボ分子段を有することを特徴とする請求項28記載のシステム。
【請求項30】
複数の圧力チェンバと、
前記圧力チェンバに取り付けられ、前記圧力チェンバを真空引きするポンピング装置と、
を有する差圧的にポンピングされる真空システムにおいて、
前記ポンピング装置は、第1と第2の複合ポンプを有し、
前記各複合ポンプは、少なくとも、第1入口と、第2入口と、第1ポンピング・セクションと、前記第1ポンピング・セクションの下流側に配置された第2ポンピング・セクションとを有し、
前記ポンピング・セクションは、
前記第1入口からポンプ内に入る流体が、前記第1と第2のポンピング・セクションを通り、
前記第2入口からポンプに入る流体は、第2ポンピング・セクションのみを通る
よう配置され、
前記第1ポンプの第1入口は、第1の低圧チェンバからの出口に取り付けられ、
前記第1ポンプの第2入口は、第2の中圧チェンバからの出口に取り付けられ、
前記第2ポンプの第1入口は、第3の高圧チェンバからの出口に取り付けられ、
前記第2ポンプの第2入口は、第1ポンプの出口に取り付けられ、
前記第2ポンプの第2ポンピング・セクションは、大気圧で流体を排気することを特徴とする差圧的にポンピングされる真空システム。
【請求項31】
各複合ポンプは、ポンピング・セクション用に、少なくとも1個のロータ要素を搭載する駆動シャフトを有することを特徴とする請求項1乃至30の何れか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記複数の圧力チェンバは、質量分析計の一部を構成することを特徴とする請求項1乃至31の何れか1項記載のシステム。
【請求項33】
複数の圧力チェンバを差圧的に真空引きする方法において、
(A) 第1と第2の複合ポンプを有するポンピング装置を用意するステップと、
前記各複合ポンプは、少なくとも、第1入口と、第2入口と、第1のポンピング・セクションと、前記第1のポンピング・セクションの下流側に配置される第2ポンピング・セクションとを有し、
前記ポンピング・セクションは、
第1入口からポンプに入る流体は、前記第1と第2のポンピング・セクションを通過し、
前記第2入口からポンプに入る流体は、第2ポンピング・セクションのみを通過するよう配置され、
(B) 前記複合ポンプの入口を圧力チェンバに取り付けるステップと
を有し、
これにより、複数のポンプの内の一方のポンプの第2入口と他方のポンプの第1入口が、共通圧力チェンバからの出口あるいはそれぞれの出口に接続され、
運転中は、第1複合ポンプが、第2複合ポンプと並列に、前記圧力チェンバの内の1つを真空引きすることを特徴とする複数の圧力チェンバを差圧的に真空引きする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−106466(P2011−106466A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37279(P2011−37279)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【分割の表示】特願2007−517393(P2007−517393)の分割
【原出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(507261364)エドワーズ リミテッド (85)
【Fターム(参考)】