説明

ポンプボトル玩具

【課題】 押出し操作によって貯留する液体を適量分だけ流出可能なポンプボトルに対してコミカルな表現動作を付与し子供達に自主的な手洗い等を行うよう導く。
【解決手段】 ポンプボトル玩具を、液体を貯留するボトル体1と、ボトル体1に吸引部を挿入し押出し部の操作により格納する付勢手段Sを収縮させた際にボトル体内の液体を流出するポンプ手段2と、ポンプ手段2の押出し部2aを突出しボトル体1を格納する動物・人形・架空生物等の外形を模倣してなる外側装飾容器3と、ボトル体1と外側装飾容器3との間隙に介在しポンプ手段2の押出し部2aと連結され押出し部2aとともに往復動する移動体4と、外側装飾容器3に形成された貫通孔に挿通され移動体4と外側装飾容器3とのいずれに対しても連結され移動体4の移動によって運動する可動部材5と、を具えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、押出し操作により貯留する液体を適量分だけ流出可能なポンプボトル玩具に関し、詳しくは押出し操作に伴いコミカルな動作をなすポンプボトル玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の新型インフルエンザは感染率が高く世界保健機構(WHO)はインフルエンザの世界的流行(パンデミック)が生じる可能性があることを警告している。
こうしたインフルエンザの流行を阻止するため大勢の人が集まるイベント等を中止する傾向があり、新聞やテレビ等ではなるべく人混みの多い場所への立ち入りを避けた方が良い事を伝えている。
しかしながら社会人は人混みの多い電車やバス等を利用せざるを得ず、また職場においても多くの人と会わざるを得ない。
【0003】
新型インフルエンザに代表されるような病原菌への感染を予防するためには「マスク」の着用と「手洗い」は極めて重要であり人から人への感染を防止する最も効果的な手段として定着している。
【0004】
一方、こうした大人の感染予防と異なり子供達は人から人への感染の危険性は低い。すなわち子供達は混雑する電車やバスそしてイベント会場のような人混みの多い場所に出向く機会は極めて少ない。
子供達にとっては手洗い、すなわち「手指衛生」が重要である。子供は大人のように細菌に対する知識がないので目にする物を好奇心に任せて触る傾向があり、その手を洗わずに帰宅することが考えられる。
帰宅時の手洗いは何より細菌の除去が主たる目的であり洗剤メーカーも子供達でも容易に泡が立つ子供用の液体石鹸等を提供している。
【0005】
またここ数年のインフルエンザの猛威を考慮して本格的な殺菌が可能な医療用の殺菌剤を設置する場所も多くなってきており、これらの殺菌剤は今日では一般家庭にも普及し始めている。
【0006】
殺菌剤は「速乾性手指消毒薬」と称される消毒液で、この消毒液は比較的短時間で気化するので水やタオルを必要とすることなく殺菌剤を付けて手をこするようにするだけで高い殺菌作用が得られる。こうした殺菌剤は通常「押出し式ポンプボトル」に入れられているものが殆どである。
【0007】
ところでこうした液体石鹸や殺菌剤は大人が使用することを目的としている物が大半であり肝心な子供達への配慮がなされていないのが現状である。
すなわち大人は細菌に対する意識がはっきりしているので自ら進んで手指衛生を心がけるが、子供達は手指衛生を怠ればどのような事態を引き起こすか理解出来ない。このため子供達は親から手洗いを無理に強制され嫌々行っているのが現状である。
【0008】
こうした不都合を解決するために本願出願人は子供達が手洗いを遊び感覚で楽しめるように下記特許文献1のポンプボトル玩具を発明するとともに当該ポンプボトル玩具の提供を行ってきた。このポンプボトル玩具は子グマの形をなしており押出し操作の際に腕を上げるユーモラスな仕草をなすもので子供達に大変好評を得ている。
【特許文献1】特許第4303694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記特許文献1のポンプボトルの操作性を再度詳しく検討した結果、下記に示すいくつかの不備があることが判明し、この不備を解決するために更なる改良を重ね本願発明に至った。
特許文献1に開示されるポンプボトルは、ポンプ自体が格納するスプリングと、ボトル体の下方に設置した付勢手段(スプリング)との両者を同時に収縮させなければならず、力の無い幼児達においてはその操作が困難であった。
【0010】
また、ポンプ自体が格納するスプリングとボトル体下方の付勢手段(スプリング)との両者を収縮させると収縮する距離が長くなり、それに伴い液体の流出部が大きく下降して流出部が手の平に当たるという問題も生じた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るポンプボトル玩具は上記従来の課題を解決するためになされたものでありポンプボトル玩具を、液体を貯留するボトル体と、ボトル体に吸引部を挿入し押出し部の操作により格納する付勢手段を収縮させた際にボトル体内の液体を流出するポンプ手段と、ポンプ手段の押出し部を突出しボトル体を格納する動物・人形・架空生物等の外形を模倣してなる外側装飾容器と、ボトル体と外側装飾容器との間隙に介在しポンプ手段の押出し部と連結され押出し部とともに往復動する移動体と、外側装飾容器に形成された貫通孔に挿通され移動体と外側装飾容器とのいずれに対しても連結され移動体の移動によって運動する可動部材と、を具えて構成する。
【0012】
また、前記可動部材は前記移動体あるいは前記外側装飾容器に回動可能に軸支され先端部位を外側装飾容器より突出した腕、翼、足、耳、尾等の身体駆動部を模倣してなる部材により構成する。
【0013】
また、動物・人形・架空生物等の外形を模倣した前記外側装飾容器に目を模る貫通孔を形成するとともに、前記移動体には往復動の各停止位置に対向する貫通孔対向面に瞳の絵模様を設けて構成する。
【0014】
また、動物・人形・架空生物等の外形を模倣した前記外側装飾容器に下顎を模る部材を開閉自在に軸支し、この下顎を外側装飾容器に回動可能に軸支される回動部材を介して前記移動体と連結し、移動体の往復動に連動して開閉動するよう構成することで上記従来の課題を解決しようとするものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係るポンプボトル玩具は上記従来の技術においては必須な部品であるボトル体下方の付勢手段(スプリング)を省略することが可能となる。これによってポンプ自体が格納するスプリングだけを収縮させることで液体を流出させるとともに玩具に動きを付与する事が可能であり、力の弱い幼児であってもその操作が容易に行える。
またポンプ自体が格納するスプリングを収縮させるのみで良いので流出部の下降は短く流出部が手の平に当たってしまう不都合も解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。図1はこの発明の請求項第1項、第2項、第3項、第4項に係るポンプボトル玩具の一実施形態を示す正面図であり図2は図1に示したポンプボトル玩具の構成を示す断面図である。
図1に示すようにこのポンプボトル玩具は垂れ下がった耳が特徴のビーグル犬を模した外形をなしている。そしてこの玩具の内部には図2に示すように液体石鹸や殺菌液等の液体を貯留するためのボトル体1が格納されている。このボトル体1は上端に液体の流入口を備え液体石鹸や殺菌液の詰め替えが可能となっている。
【0017】
一方図に示す2はポンプ手段であり、このポンプ手段2は広く一般に利用されている液体用のポンプでありボトル体1の流入口に着脱可能となっていて、上端部の押出し部2aを下方に向けて押すと内部に格納している付勢手段としてのスプリングSが収縮しボトル体1が貯留する液体を適量分だけ流出するようになっている。そして押出し部2aを開放するとスプリングSが押出し部2aを元の位置まで上昇させるものである。
【0018】
また図1に示す3は外側装飾容器であり、この外側装飾容器3はポンプ手段2の押出し部2aを外部に突出しボトル体1を収納するよう構成されていて図2に示すように外側装飾容器3とボトル体1との間には空隙が設けられている。
【0019】
そして4はボトル体1と外側装飾容器3との間に介在する移動体であり、この移動体4は上部をポンプ手段2の押出し部2aと連結部材4aを介して連結されていてボトル体1の両側面に垂直に形成されるガイド溝(不図示)に一部を挿入し押出し部2aとともに上下方向に往復移動するようになっている。
また連結部材4aはポンプ手段2を覆う筒状の部材であり、この連結部材4aは分離および合体が可能な一対の部材からなりポンプ手段2に対し着脱自在となっていて下端を移動体4の上端に接し、上端はポンプ手段2の押出し部2a下端近傍に位置している。
【0020】
一方図に示す5は可動部材であり、この例において可動部材5は耳5aを模した物が左右二つ、そして腕5bを模したものも左右二つ設けられている。そしてこれらの各可動部材は図2に示すようにそれぞれピンPにより外側装飾容器3に対して回動可能に支持され外側装飾容器3に設けられた孔部から突出するよう設けられている。
そしてこれら各可動部材5は、ピンPより内側方向に延長して設けられる連結片を備えていて、これら各連結片は移動体4に形成される貫通孔にそれぞれ挿入されている。
【0021】
また図1に示す6は外側装飾容器3の目を模る円形の貫通孔であり、この貫通孔6に対向する移動体4の対向面には図2に示すような瞳の絵模様が上下に一対描かれていて図1に示す状態、すなわちポンプ手段2を押し下げていない状態にあっては下方側の絵模様7が貫通孔6から見えるようになっている。
【0022】
一方、図3はこのビーグル犬の形状をなすポンプボトル玩具の「口元」を示す断面図である。図3(a)に示す8は犬の下顎であり、この下顎8は外側装飾容器3に設けられたピンPによって回動可能に支持されていてピンPより内部方向に延長して形成される当接片を有している。
また図3(a)に示す9は回動部材であり、この回動部材9も外側装飾容器3に設けられたピンPによって回動可能となっていてピンPを中心にして図において左右に平坦な上面が形成されている。そして回動部材9の各上面は図に示すように一方面が下顎8の当接片と、他方面が移動体4と、それぞれ接している。
【0023】
次に以上の構成からなるこのポンプボトル玩具の作用を説明する。
図1に示すようにポンプボトル玩具は常には両耳5aと両腕5bを下げている。そして両目としての貫通孔6からは下方側の絵模様が見られ図において右側に瞳を向けてよそ見をしているような表情となっている。また口は閉じた状態となっている。
【0024】
この状態からポンプ手段2の押出し部2aを下げてボトル体1内の液体を流出させると図4に示すように移動体4は押出し部2aとともに下降し外装装飾容器3の孔部から突出している両耳5aと両腕5bはピンPを軸にして共に上昇し図5に示すように驚いた様な動きをなす。
【0025】
一方、移動体4の下降によって絵模様7も下降して貫通孔6とは上方側に描かれた瞳の絵模様が対向することになる。これによって図5に示すように左側に瞳を移動した表情へと変化する。
【0026】
そしてまた移動体4の下降により図3(b)に示すように回動部材9はピンPを中心に図において半時計方向に回動し下顎8の当接片を上昇させ下顎8を図5に示すように開くように動かすことが出来る。
【0027】
そしてポンプ手段2から手を離すとポンプ手段2のスプリングSが押出し部2aと移動体4の両者を元の位置へと上昇させるので両耳5aおよび両腕5bは図1に示す元の位置となり、また両目も元の表情になり口元も閉じた状態へ復帰する。
この発明に係るポンプボトル玩具は通常のポンプボトルの操作を行うことで上述したように両耳5a両腕5bを上げて驚いたようなコミカルな動きをなすと共に瞳をクリクリと移動する可愛い表情を見せる。そして口元を開閉する動物らしい動きも同時に表現することが可能である。
【0028】
このポンプボトル玩具によれば面倒でつまらない手洗い作業を遊び感覚の面白い作業にすることが出来る。これによって幼児達が自ら進んで手洗いを実行する習慣性を養うことが可能となる。
また上記従来のポンプボトルと比較してポンプ手段2のスプリングSを押し下げるのみで良いので力の無い幼児であってもその作業は容易に行える。
そしてポンプ手段2のスプリングSを押し下げるだけなので押出し部2aの下降距離は短く押出し部2aが手の平に当たってしまう不都合も解消することが出来る。
【0029】
なおこの実施例では可動部材を耳と腕によって構成する例を示したが可動部材はこれに限るものではなく、可動部材を例えば「翼」や「尾」等の動物や架空生物等の身体の可動部で構成しても良いことは無論である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】 本発明のポンプボトル玩具を示す正面図である。
【図2】 図1に示したポンプボトル玩具の内部構造を示す断面図である。
【図3】 図1に示したポンプボトル玩具の口元の構造、作用を示す断面図である。
【図4】 図1に示したポンプボトル玩具の作用を示す断面図である。
【図5】 図1に示したポンプボトル玩具の作用を示す正面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ボトル体
2 ポンプ手段
3 外側装飾容器
4 移動体
5 可動部材
6 貫通孔
7 絵模様
8 下顎
9 回動部材
S 付勢手段(スプリング)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出し操作により貯留する液体を適量分だけ流出可能で操作時にコミカルな動作を演出可能としたポンプボトル玩具であって、
このポンプボトル玩具を、
液体を貯留するボトル体と、
前記ボトル体に吸引部を挿入し押出し部の操作により格納する付勢手段を収縮させた際にボトル体内の液体を流出するポンプ手段と、
前記ポンプ手段の押出し部を突出し前記ボトル体を格納する動物・人形・架空生物等の外形を模倣してなる外側装飾容器と、
前記ボトル体と前記外側装飾容器との間隙に介在し前記ポンプ手段の押出し部と連結され押出し部とともに往復動する移動体と、
外側装飾容器に形成された貫通孔に挿通され移動体と外側装飾容器とのいずれに対しても連結され移動体の移動によって運動する可動部材と、
を具えて構成したことを特徴とするポンプボトル玩具。
【請求項2】
前記可動部材は前記移動体あるいは前記外側装飾容器に回動可能に軸支され先端部位を外側装飾容器より突出した腕、翼、足、耳、尾等の身体駆動部を模倣してなる部材により構成したことを特徴とする請求項1記載のポンプボトル玩具。
【請求項3】
動物・人形・架空生物等の外形を模倣した前記外側装飾容器に目を模る貫通孔を形成するとともに、前記移動体には往復動の各停止位置に対向する貫通孔対向面に瞳の絵模様を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のポンプボトル玩具。
【請求項4】
動物・人形・架空生物等の外形を模倣した前記外側装飾容器に下顎を模る部材を開閉自在に軸支し、この下顎を外側装飾容器に回動可能に軸支される回動部材を介して前記移動体と連結し、移動体の往復動に連動して開閉動するよう構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか記載のポンプボトル玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−153431(P2012−153431A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29147(P2011−29147)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(591211803)
【Fターム(参考)】