ポンプ付き二重容器
【課題】 ポンプ付き二重容器の内容器の潰れ変形形態が、設定したものとなるようにすることにより、確実で安定した内容物の吐出動作を得ることを目的とする。
【解決手段】 潰れ変形自在な内容器1と、内容器1を収納保持する変形しない外容器8と、両容器に組付いて、ポンプ動作により内容器1の内容物を吐出するポンプ11とを有し、内容器1の胴部6にリブ条7を形成して、潰れ変形を一定形態に規制すると共に、内容器1と外容器8との間に外気を導入する通気部10を設けて、潰れ変形を円滑に行なわせる。
【解決手段】 潰れ変形自在な内容器1と、内容器1を収納保持する変形しない外容器8と、両容器に組付いて、ポンプ動作により内容器1の内容物を吐出するポンプ11とを有し、内容器1の胴部6にリブ条7を形成して、潰れ変形を一定形態に規制すると共に、内容器1と外容器8との間に外気を導入する通気部10を設けて、潰れ変形を円滑に行なわせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潰れ変形自在な内容器を、変形しない外容器に収納し、この内容器と外容器との組合わせ物に組付けたポンプにより、内容器内の内容物を、内容器を潰れ変形させながら吐出するポンプ付き二重容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
潰れ変形自在な薄肉容器である内容器を、変形しない外容器に収納保持し、この内容器と外容器との組合わせ物にポンプを、内容器に対しては密に、外容器に対しては着脱自在に組付け、内容器と外容器との間に外気の導入を自在にして構成されたポンプ付き二重容器が知られている。
【特許文献1】特開2004−307048号公報
【0003】
このポンプ付き二重容器は、ポンプの作用により内容器内の内容物を吐出するのであるが、内容物を吐出した内容器は、吐出した内容物の容積分だけ潰れ変形して減容化し、これにより内容器内に外気を吸入しないようにして、嫌気性内容物の良好な収納保持を達成している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、内容器の潰れ変形形態が一定せず、このため内容器の不良な潰れ変形のために、多量の内容物が吐出不能に残留する不都合が発生し易い、と云う問題があった。
【0005】
また、内容器が、フィルムを主体とした接着組立て物であるため、その製造に手間と時間とを要する、と云う問題があった。
【0006】
さらに、内容器の潰れ変形が不規則であるので、潰れ変形した内容器の外観が不体裁となり易く、このため内容器が外観として現出しないようにしなければならない、と云う不満があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、ポンプ付き二重容器の内容器の潰れ変形形態が、設定したものとなるようにすることを技術的課題とし、もって確実で安定した内容物の吐出動作を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるポンプ付き二重容器は、2軸延伸ブロー成形された合成樹脂製ボトルである内容器と、変形しない有底筒状の外容器と、内容器と外容器の組合わせ物に組付いて、内容器に収納された内容物を吐出するポンプとから構成されている。
【0009】
内容器の有底筒状をした胴部は、潰れ変形自在な薄肉構造なっており、この胴部には、胴部の潰れ変形を一定形態に規制するリブ条が形成されている。
【0010】
外容器と内容器は、外容器が内容器を吊り下げ状に収納保持する形態で組付けられており、この内容器と外容器の組合わせ物には、内容器と外容器との間に外気を導入する通気部が設けられている。
【0011】
ポンプは、内容器の内容物を吐出できる状態で、内容器の口筒部に密に組付くと共に、外容器の開口部に組付いている。
【0012】
内容器は、通常の2軸延伸ブロー成形手段により成形されるものであり、その肉薄程度は、内容器の一次成形品であるプリフォームの肉厚および延伸倍率の設定により、正確に設定される。
【0013】
この内容器に形成されたリブ条は、有底筒形状をしたプリフォームの胴筒部の内面と外面の少なくとも一方に設けたリブ片により形成されたもので、内容器が2軸延伸ブロー成形品であることから、主として内容器の胴部内周面に、この胴部の全高さ範囲に亘って形成されており、これにより胴部の潰れ変形を一定した形態に規制するようにしている。
【0014】
変形しない外容器は、内容器を吊り下げ状に収納保持することにより、内容器を自由に潰れ変形できる状態で保持すると共に、内容器が他の物品との接触により、不正に潰れ変形しないように保護している。
【0015】
ポンプは、内容器に密に組付くと共に、外容器の開口部に組付くので、外容器と内容器とは、ポンプにより相互組付きが達成されることになる。
【0016】
本発明の別の構成は、内容器のリブ条を、周方向に沿って等間隔に設けた複数の縦リブで構成した、ものである。
【0017】
リブ条を、複数の縦リブで構成したものにあっては、内容器の胴部は、その高さを減少させることなく、各リブ条間の薄肉部分が陥没変形する、と云う一定した形態で潰れ変形する。
【0018】
また、本発明の別の構成は、内容器のリブ条を、螺旋リブで構成した、ものである。
【0019】
リブ条を、螺旋リブで構成したものにあっては、内容器の胴部は、高さを減少させながら、上下のリブ条間の薄肉部分が陥没変形する、と云う一定した形態で潰れ変形する。
【0020】
また、本発明の別の構成は、内容器のリブ条を、軸対称に位置した同じ構造の螺旋リブで構成した、ものである。
【0021】
リブ条を、螺旋リブで構成したものにあっては、上下の螺旋リブ間の薄肉部分が軸対称に位置するので、内容器の胴部の、高さを減少させながらの潰れ変形は、傾くことなく、一定した形態で潰れ変形する。
【0022】
また、本発明の別の構成は、通気部を、外容器の開口部の上端面から外周面にかけて設けた溝で形成した、ものである。
【0023】
通気部を、外容器の開口部の上端面から外周面にかけて設けた溝で形成したものにあっては、外容器の開口部上端面が内容器の組付け載置面を形成するので、外容器に吊り下げ状に組付く内容器の組付き部分が、外容器の開口部上端面に載置した状態で、溝が、内容器と外容器との間への通気部を形成することになる。
【0024】
また、本発明の別の構成は、内容器を、口筒部の下端に、周端部を外容器の開口部に載置する外鍔状の口鍔部を設けて構成した、ものである。
【0025】
内容器を、口筒部の下端に口鍔部を設けて構成したものにあっては、この口鍔部が、外容器に対する内容器の組付き部分を構成することになるので、潰れ変形自在な胴部の径に合せて、内容器の組付き部分の径を設定することができる。
【0026】
また、本発明の別の構成は、ポンプを、このポンプの主体部分に密に嵌め込み組付く組付きキャップを設けて構成し、この組付きキャップを、内容器の口筒部に密に組付くと共に、外容器の開口部に着脱自在に組付く構成とした、ものである。
【0027】
ポンプを、組付きキャップを設けて構成したものにあっては、内容器に対する密な組付き、および外容器に対する着脱自在な組付きを、組付きキャップで達成するので、内容器と外容器の組合わせ物に対するポンプの主体部分の組付けは、ポンプの主体部分を、組付きキャップに、密に嵌め込み組付けすることにより達成される。
【0028】
また、本発明の別の構成は、外容器を透明とした、ものである。
【0029】
外容器を透明としたものにあっては、内容器を外部から観察することができ、また外容器の透明性を利用して、二重容器に立体感のある装飾を施すことが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明にあっては、内容器が2軸延伸ブロー成形品であるので、その胴部の薄肉程度を自由にかつ簡単に設定することができ、これにより潰れ変形し易い内容器を簡単に得ることができ、内容器の減容変形に伴う、内容物の円滑な吐出動作を得ることができる。
【0031】
内容器の胴部の潰れ変形を、一定した形態に規制するので、この変形形態に適合させて、内容物を無駄なく吐出させることが容易となる。
【0032】
変形しない外容器に、内容器を吊り下げ状に収納保持しているので、内容器の円滑な潰れ変形動作を得ることができると共に、機械的に弱い内容器を充分に保護することができ、これにより使い勝手の良さと安全性とを得ることができる。
【0033】
外容器と内容器とは、ポンプにより相互組付きが達成されることになるので、外容器と内容器との相互組付き構成を、簡単なものとすることができる。
【0034】
内容器のリブ条を、複数の縦リブで構成したものにあっては、内容器の胴部が、高さを減少させることなく、各リブ条間の薄肉部分が陥没変形する、と云う一定した形態で潰れ変形するので、中央に内容物の吐出通路を形成するのが容易であり、これにより内容物を無駄なく吐出させることができる。
【0035】
内容器のリブ条を、螺旋リブで構成したものにあっては、内容器の胴部が、高さを減少させながら、上下のリブ条間の薄肉部分が陥没変形する、と云う一定した形態で潰れ変形するので、胴部の潰れ変形、すなわち内容物の消費量に従って、胴部内の内容物が上昇してポンプに接近することになり、これにより最後まで確実で円滑な吐出動作を得ることができる。
【0036】
内容器のリブ条を、螺旋リブで構成したものにあっては、上下の螺旋リブ間の薄肉部分が軸対称に位置するので、内容器の胴部の、高さを減少させながらの潰れ変形は、傾くことなく、一定した形態となり、これにより最後まで確実で円滑な吐出動作が、安定して得られることになる。
【0037】
通気部を、外容器の開口部の上端面から外周面にかけて設けた溝で形成したものにあっては、外容器に内容器が吊り下げ状に収納保持された状態で、通気部を形成することになり、このため通気部が、確実に形成されることになる。
【0038】
内容器を、口筒部の下端に口鍔部を設けて構成したものにあっては、潰れ変形自在な胴部の径に合せて、内容器の組付き部分の径を設定することができ、これにより外容器を、単純な有底円筒形状に構成しても、この外容器に対して、2軸延伸ブロー成形品である内容器を、支障なく組付けることができる。
【0039】
ポンプを、組付きキャップを設けて構成したものにあっては、ポンプの主体部分の、内容器と外容器の組合わせ物に対する組付けを、ポンプの主体部分の組付きキャップに対する密な嵌め込み組付けにより達成するので、組立て操作時におけるポンプの主体部の取扱いが簡単となる。
【0040】
外容器を透明としたものにあっては、外部から観察することができる内容器の一定形態の潰れ変形を、変化のある装飾として利用することが可能であり、また内容器の潰れ変形程度により、内容物の消費量を正確に判断することができ、さらに外容器の透明性を利用して、二重容器に立体感のある装飾を施すことが可能となるので、優れた装飾効果を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態例の、不規則に半縦断した全体側面図で、合成樹脂製2軸延伸ブロー成形品である内容器1は、外周面にアンダーカット結合部分と、係止片3と突設した口筒部2の外周面の下端に、有底円筒形状をした胴部6の外径よりも少し大きい径の口鍔部4を一体に周設し、口筒部2の下端に、径の小さい首部5を介して、潰れ変形が自在であるよう、薄肉に成形された胴部6が連設されている。
【0043】
外容器8は、透明な硬質合成樹脂による射出成形品またはブロー成形品で、内容器1の胴部6の外径よりも少し大きい内径を有する有底円筒形状をしており、外周面に螺条を刻設した開口部9には、上端面から外周面にかけて削設した溝により通気部10(図2参照)を形成している。
【0044】
なお、内容器1を、その口鍔部4で外容器8に組付ける構成にあっては、この内容器1の口鍔部4を利用して通気部10を形成することが可能である。すなわち、外容器8の開口部9の上端面に載置する口鍔部4の下面部分に、放射状に溝を削設し、これを通気部10としてもよい。
【0045】
ポンプ11は、上端にノズルヘッド13を組付けたポンプ本体12に、このポンプ本体12の組付き部分を形成する組付き肩部14を組付けたポンプの主体部分と、内容器1および外容器8に対する組付き機能部分を形成する組付きキャップ15とから構成されている。
【0046】
組付きキャップ15は、内容器1の口筒部2に、密にかつ係止片3との係止により回動不能に、嵌め込みによりアンダーカット結合し、また外容器8の開口部9の上端面に口鍔部4の周端部を載置させた状態で、この開口部9に着脱自在に螺合結合する。なお、開口部9の外周面の縦溝に代えた、組付きキャップ15の螺合部分に縦溝を設けて通気部10を構成することもできる。
【0047】
それゆえ、内容器1は、組付きキャップ15により、外容器8に対して、吊り下げ状に収納保持された状態で、組付け固定されることになる。
【0048】
ポンプ本体12に密に組付けられた組付き肩部14は、組付きキャップ15に対して、単純な嵌め込み操作により、密にかつ回動変位不能に組付けられるが、組付け肩部14の組付きキャップ15に対する組付きにより、ポンプ本体12は内容器1に対して密に組付くことになる。
【0049】
図3は、内容器1の第一の実施形態例の構造を示す、半縦断面図で、首部5から胴部6の全高さ範囲に亘った内周面に、三本の縦リブ状のリブ条7を等間隔(図4参照)に配置して構成されている。
【0050】
この第一の実施形態例にあっては、各リブ条7間の薄肉部分が、図4の二点鎖線で示した状態となって、高さを減少させることなく、胴部6を潰れ変形させることになるが、この胴部6の潰れ変形に際して、図4から明らかなように、胴部6内には、少なくとも各リブ条7に隣接して上下方向に延びる通路が形成されるので、内容物を殆ど残留させることなく吐出することができる。
【0051】
この内容器1の第一の実施形態例に成形されるプリフォームPは、図5に示すように、有底筒状をした胴筒部P1の底部を除く内周面の全高さ範囲に亘って、図6に示すように、三本の縦リブ突条状のリブ片P2を、周方向に沿って等間隔に設けた構成となっている。
【0052】
図5に示したプリフォームPにおけるリブ片P2は、図6に示した縦リブ突条状に特定されることはなく、例えば図7に示すように、胴筒部P1の内周面の等間隔に位置した部分を、「弦」に沿って肉厚にして構成してもよい。
【0053】
図8は、内容器1の第二の実施形態例の構造を示す半縦断面図で、胴部6の全高さ範囲に亘った内周面に、一定ピッチの一本の螺旋リブを設け、この螺旋リブによりリブ条7を構成している。
【0054】
この内容器1の第二の実施形態例に成形されるプリフォームPは、図9に示すように、有底筒状をした胴筒部P1の底部を除く内周面の全高さ範囲に亘って、一定ピッチの螺旋リブ条状のリブ片P2を、刻設した構成となっている。
【0055】
図10は、内容器1の第三の実施形態例の構造を示す、縦方向に途中まで潰れ変形した状態の半縦断面図で、胴部6の全高さ範囲に亘った内周面に、一定ピッチの一対の螺旋リブを軸対象に設け、この一対の螺旋リブによりリブ条7を構成している。
【0056】
この内容器1の第三の実施形態例にあっては、リブ条7およびリブ条7間の潰れ変形する薄肉部分が、軸対称に位置しているので、発生する潰れ変形も軸対称に発生し易く、これにより縦方向に縮む状態となる潰れ変形が、傾くことなく、適正に行われることになる。
【0057】
内容器1の第三の実施形態例に成形されるプリフォームPは、図11に示すように、有底筒状をした胴筒部P1の底部を除く外周面の全高さ範囲に亘って、一定ピッチの一対の螺旋リブ条状のリブ片P2を、刻設した構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態例を示す、半縦断した全体側面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】内容器の第一の実施形態例を示す、半縦断面図である。
【図4】図3中、A−A線に沿って切断矢視した、平断面図である。
【図5】図3図示の内容器成形用プリフォームの、半縦断面図である。
【図6】図5に示したプリフォームの、一実施例の平面図である。
【図7】図5に示したプリフォームの、他の実施例の平面図である。
【図8】内容器の第二の実施形態例を示す、半縦断面図である。
【図9】図8図示の内容器成形用プリフォームの、半縦断面図である。
【図10】内容器の第三の実施形態例を示す、半縦断面図である。
【図11】図10図示の内容器成形用プリフォームの、半縦断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ;内容器
2 ;口筒部
3 ;係止片
4 ;口鍔部
5 ;首部
6 ;胴部
7 ;リブ条
8 ;外容器
9 ;開口部
10;通気部
11;ポンプ
12;ポンプ本体
13;ノズルヘッド
14;組付き肩部
15;組付きキャップ
P ;プリフォーム
P1;胴筒部
P2;リブ片
【技術分野】
【0001】
本発明は、潰れ変形自在な内容器を、変形しない外容器に収納し、この内容器と外容器との組合わせ物に組付けたポンプにより、内容器内の内容物を、内容器を潰れ変形させながら吐出するポンプ付き二重容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
潰れ変形自在な薄肉容器である内容器を、変形しない外容器に収納保持し、この内容器と外容器との組合わせ物にポンプを、内容器に対しては密に、外容器に対しては着脱自在に組付け、内容器と外容器との間に外気の導入を自在にして構成されたポンプ付き二重容器が知られている。
【特許文献1】特開2004−307048号公報
【0003】
このポンプ付き二重容器は、ポンプの作用により内容器内の内容物を吐出するのであるが、内容物を吐出した内容器は、吐出した内容物の容積分だけ潰れ変形して減容化し、これにより内容器内に外気を吸入しないようにして、嫌気性内容物の良好な収納保持を達成している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術にあっては、内容器の潰れ変形形態が一定せず、このため内容器の不良な潰れ変形のために、多量の内容物が吐出不能に残留する不都合が発生し易い、と云う問題があった。
【0005】
また、内容器が、フィルムを主体とした接着組立て物であるため、その製造に手間と時間とを要する、と云う問題があった。
【0006】
さらに、内容器の潰れ変形が不規則であるので、潰れ変形した内容器の外観が不体裁となり易く、このため内容器が外観として現出しないようにしなければならない、と云う不満があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、ポンプ付き二重容器の内容器の潰れ変形形態が、設定したものとなるようにすることを技術的課題とし、もって確実で安定した内容物の吐出動作を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるポンプ付き二重容器は、2軸延伸ブロー成形された合成樹脂製ボトルである内容器と、変形しない有底筒状の外容器と、内容器と外容器の組合わせ物に組付いて、内容器に収納された内容物を吐出するポンプとから構成されている。
【0009】
内容器の有底筒状をした胴部は、潰れ変形自在な薄肉構造なっており、この胴部には、胴部の潰れ変形を一定形態に規制するリブ条が形成されている。
【0010】
外容器と内容器は、外容器が内容器を吊り下げ状に収納保持する形態で組付けられており、この内容器と外容器の組合わせ物には、内容器と外容器との間に外気を導入する通気部が設けられている。
【0011】
ポンプは、内容器の内容物を吐出できる状態で、内容器の口筒部に密に組付くと共に、外容器の開口部に組付いている。
【0012】
内容器は、通常の2軸延伸ブロー成形手段により成形されるものであり、その肉薄程度は、内容器の一次成形品であるプリフォームの肉厚および延伸倍率の設定により、正確に設定される。
【0013】
この内容器に形成されたリブ条は、有底筒形状をしたプリフォームの胴筒部の内面と外面の少なくとも一方に設けたリブ片により形成されたもので、内容器が2軸延伸ブロー成形品であることから、主として内容器の胴部内周面に、この胴部の全高さ範囲に亘って形成されており、これにより胴部の潰れ変形を一定した形態に規制するようにしている。
【0014】
変形しない外容器は、内容器を吊り下げ状に収納保持することにより、内容器を自由に潰れ変形できる状態で保持すると共に、内容器が他の物品との接触により、不正に潰れ変形しないように保護している。
【0015】
ポンプは、内容器に密に組付くと共に、外容器の開口部に組付くので、外容器と内容器とは、ポンプにより相互組付きが達成されることになる。
【0016】
本発明の別の構成は、内容器のリブ条を、周方向に沿って等間隔に設けた複数の縦リブで構成した、ものである。
【0017】
リブ条を、複数の縦リブで構成したものにあっては、内容器の胴部は、その高さを減少させることなく、各リブ条間の薄肉部分が陥没変形する、と云う一定した形態で潰れ変形する。
【0018】
また、本発明の別の構成は、内容器のリブ条を、螺旋リブで構成した、ものである。
【0019】
リブ条を、螺旋リブで構成したものにあっては、内容器の胴部は、高さを減少させながら、上下のリブ条間の薄肉部分が陥没変形する、と云う一定した形態で潰れ変形する。
【0020】
また、本発明の別の構成は、内容器のリブ条を、軸対称に位置した同じ構造の螺旋リブで構成した、ものである。
【0021】
リブ条を、螺旋リブで構成したものにあっては、上下の螺旋リブ間の薄肉部分が軸対称に位置するので、内容器の胴部の、高さを減少させながらの潰れ変形は、傾くことなく、一定した形態で潰れ変形する。
【0022】
また、本発明の別の構成は、通気部を、外容器の開口部の上端面から外周面にかけて設けた溝で形成した、ものである。
【0023】
通気部を、外容器の開口部の上端面から外周面にかけて設けた溝で形成したものにあっては、外容器の開口部上端面が内容器の組付け載置面を形成するので、外容器に吊り下げ状に組付く内容器の組付き部分が、外容器の開口部上端面に載置した状態で、溝が、内容器と外容器との間への通気部を形成することになる。
【0024】
また、本発明の別の構成は、内容器を、口筒部の下端に、周端部を外容器の開口部に載置する外鍔状の口鍔部を設けて構成した、ものである。
【0025】
内容器を、口筒部の下端に口鍔部を設けて構成したものにあっては、この口鍔部が、外容器に対する内容器の組付き部分を構成することになるので、潰れ変形自在な胴部の径に合せて、内容器の組付き部分の径を設定することができる。
【0026】
また、本発明の別の構成は、ポンプを、このポンプの主体部分に密に嵌め込み組付く組付きキャップを設けて構成し、この組付きキャップを、内容器の口筒部に密に組付くと共に、外容器の開口部に着脱自在に組付く構成とした、ものである。
【0027】
ポンプを、組付きキャップを設けて構成したものにあっては、内容器に対する密な組付き、および外容器に対する着脱自在な組付きを、組付きキャップで達成するので、内容器と外容器の組合わせ物に対するポンプの主体部分の組付けは、ポンプの主体部分を、組付きキャップに、密に嵌め込み組付けすることにより達成される。
【0028】
また、本発明の別の構成は、外容器を透明とした、ものである。
【0029】
外容器を透明としたものにあっては、内容器を外部から観察することができ、また外容器の透明性を利用して、二重容器に立体感のある装飾を施すことが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明にあっては、内容器が2軸延伸ブロー成形品であるので、その胴部の薄肉程度を自由にかつ簡単に設定することができ、これにより潰れ変形し易い内容器を簡単に得ることができ、内容器の減容変形に伴う、内容物の円滑な吐出動作を得ることができる。
【0031】
内容器の胴部の潰れ変形を、一定した形態に規制するので、この変形形態に適合させて、内容物を無駄なく吐出させることが容易となる。
【0032】
変形しない外容器に、内容器を吊り下げ状に収納保持しているので、内容器の円滑な潰れ変形動作を得ることができると共に、機械的に弱い内容器を充分に保護することができ、これにより使い勝手の良さと安全性とを得ることができる。
【0033】
外容器と内容器とは、ポンプにより相互組付きが達成されることになるので、外容器と内容器との相互組付き構成を、簡単なものとすることができる。
【0034】
内容器のリブ条を、複数の縦リブで構成したものにあっては、内容器の胴部が、高さを減少させることなく、各リブ条間の薄肉部分が陥没変形する、と云う一定した形態で潰れ変形するので、中央に内容物の吐出通路を形成するのが容易であり、これにより内容物を無駄なく吐出させることができる。
【0035】
内容器のリブ条を、螺旋リブで構成したものにあっては、内容器の胴部が、高さを減少させながら、上下のリブ条間の薄肉部分が陥没変形する、と云う一定した形態で潰れ変形するので、胴部の潰れ変形、すなわち内容物の消費量に従って、胴部内の内容物が上昇してポンプに接近することになり、これにより最後まで確実で円滑な吐出動作を得ることができる。
【0036】
内容器のリブ条を、螺旋リブで構成したものにあっては、上下の螺旋リブ間の薄肉部分が軸対称に位置するので、内容器の胴部の、高さを減少させながらの潰れ変形は、傾くことなく、一定した形態となり、これにより最後まで確実で円滑な吐出動作が、安定して得られることになる。
【0037】
通気部を、外容器の開口部の上端面から外周面にかけて設けた溝で形成したものにあっては、外容器に内容器が吊り下げ状に収納保持された状態で、通気部を形成することになり、このため通気部が、確実に形成されることになる。
【0038】
内容器を、口筒部の下端に口鍔部を設けて構成したものにあっては、潰れ変形自在な胴部の径に合せて、内容器の組付き部分の径を設定することができ、これにより外容器を、単純な有底円筒形状に構成しても、この外容器に対して、2軸延伸ブロー成形品である内容器を、支障なく組付けることができる。
【0039】
ポンプを、組付きキャップを設けて構成したものにあっては、ポンプの主体部分の、内容器と外容器の組合わせ物に対する組付けを、ポンプの主体部分の組付きキャップに対する密な嵌め込み組付けにより達成するので、組立て操作時におけるポンプの主体部の取扱いが簡単となる。
【0040】
外容器を透明としたものにあっては、外部から観察することができる内容器の一定形態の潰れ変形を、変化のある装飾として利用することが可能であり、また内容器の潰れ変形程度により、内容物の消費量を正確に判断することができ、さらに外容器の透明性を利用して、二重容器に立体感のある装飾を施すことが可能となるので、優れた装飾効果を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態例の、不規則に半縦断した全体側面図で、合成樹脂製2軸延伸ブロー成形品である内容器1は、外周面にアンダーカット結合部分と、係止片3と突設した口筒部2の外周面の下端に、有底円筒形状をした胴部6の外径よりも少し大きい径の口鍔部4を一体に周設し、口筒部2の下端に、径の小さい首部5を介して、潰れ変形が自在であるよう、薄肉に成形された胴部6が連設されている。
【0043】
外容器8は、透明な硬質合成樹脂による射出成形品またはブロー成形品で、内容器1の胴部6の外径よりも少し大きい内径を有する有底円筒形状をしており、外周面に螺条を刻設した開口部9には、上端面から外周面にかけて削設した溝により通気部10(図2参照)を形成している。
【0044】
なお、内容器1を、その口鍔部4で外容器8に組付ける構成にあっては、この内容器1の口鍔部4を利用して通気部10を形成することが可能である。すなわち、外容器8の開口部9の上端面に載置する口鍔部4の下面部分に、放射状に溝を削設し、これを通気部10としてもよい。
【0045】
ポンプ11は、上端にノズルヘッド13を組付けたポンプ本体12に、このポンプ本体12の組付き部分を形成する組付き肩部14を組付けたポンプの主体部分と、内容器1および外容器8に対する組付き機能部分を形成する組付きキャップ15とから構成されている。
【0046】
組付きキャップ15は、内容器1の口筒部2に、密にかつ係止片3との係止により回動不能に、嵌め込みによりアンダーカット結合し、また外容器8の開口部9の上端面に口鍔部4の周端部を載置させた状態で、この開口部9に着脱自在に螺合結合する。なお、開口部9の外周面の縦溝に代えた、組付きキャップ15の螺合部分に縦溝を設けて通気部10を構成することもできる。
【0047】
それゆえ、内容器1は、組付きキャップ15により、外容器8に対して、吊り下げ状に収納保持された状態で、組付け固定されることになる。
【0048】
ポンプ本体12に密に組付けられた組付き肩部14は、組付きキャップ15に対して、単純な嵌め込み操作により、密にかつ回動変位不能に組付けられるが、組付け肩部14の組付きキャップ15に対する組付きにより、ポンプ本体12は内容器1に対して密に組付くことになる。
【0049】
図3は、内容器1の第一の実施形態例の構造を示す、半縦断面図で、首部5から胴部6の全高さ範囲に亘った内周面に、三本の縦リブ状のリブ条7を等間隔(図4参照)に配置して構成されている。
【0050】
この第一の実施形態例にあっては、各リブ条7間の薄肉部分が、図4の二点鎖線で示した状態となって、高さを減少させることなく、胴部6を潰れ変形させることになるが、この胴部6の潰れ変形に際して、図4から明らかなように、胴部6内には、少なくとも各リブ条7に隣接して上下方向に延びる通路が形成されるので、内容物を殆ど残留させることなく吐出することができる。
【0051】
この内容器1の第一の実施形態例に成形されるプリフォームPは、図5に示すように、有底筒状をした胴筒部P1の底部を除く内周面の全高さ範囲に亘って、図6に示すように、三本の縦リブ突条状のリブ片P2を、周方向に沿って等間隔に設けた構成となっている。
【0052】
図5に示したプリフォームPにおけるリブ片P2は、図6に示した縦リブ突条状に特定されることはなく、例えば図7に示すように、胴筒部P1の内周面の等間隔に位置した部分を、「弦」に沿って肉厚にして構成してもよい。
【0053】
図8は、内容器1の第二の実施形態例の構造を示す半縦断面図で、胴部6の全高さ範囲に亘った内周面に、一定ピッチの一本の螺旋リブを設け、この螺旋リブによりリブ条7を構成している。
【0054】
この内容器1の第二の実施形態例に成形されるプリフォームPは、図9に示すように、有底筒状をした胴筒部P1の底部を除く内周面の全高さ範囲に亘って、一定ピッチの螺旋リブ条状のリブ片P2を、刻設した構成となっている。
【0055】
図10は、内容器1の第三の実施形態例の構造を示す、縦方向に途中まで潰れ変形した状態の半縦断面図で、胴部6の全高さ範囲に亘った内周面に、一定ピッチの一対の螺旋リブを軸対象に設け、この一対の螺旋リブによりリブ条7を構成している。
【0056】
この内容器1の第三の実施形態例にあっては、リブ条7およびリブ条7間の潰れ変形する薄肉部分が、軸対称に位置しているので、発生する潰れ変形も軸対称に発生し易く、これにより縦方向に縮む状態となる潰れ変形が、傾くことなく、適正に行われることになる。
【0057】
内容器1の第三の実施形態例に成形されるプリフォームPは、図11に示すように、有底筒状をした胴筒部P1の底部を除く外周面の全高さ範囲に亘って、一定ピッチの一対の螺旋リブ条状のリブ片P2を、刻設した構成となっている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態例を示す、半縦断した全体側面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】内容器の第一の実施形態例を示す、半縦断面図である。
【図4】図3中、A−A線に沿って切断矢視した、平断面図である。
【図5】図3図示の内容器成形用プリフォームの、半縦断面図である。
【図6】図5に示したプリフォームの、一実施例の平面図である。
【図7】図5に示したプリフォームの、他の実施例の平面図である。
【図8】内容器の第二の実施形態例を示す、半縦断面図である。
【図9】図8図示の内容器成形用プリフォームの、半縦断面図である。
【図10】内容器の第三の実施形態例を示す、半縦断面図である。
【図11】図10図示の内容器成形用プリフォームの、半縦断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ;内容器
2 ;口筒部
3 ;係止片
4 ;口鍔部
5 ;首部
6 ;胴部
7 ;リブ条
8 ;外容器
9 ;開口部
10;通気部
11;ポンプ
12;ポンプ本体
13;ノズルヘッド
14;組付き肩部
15;組付きキャップ
P ;プリフォーム
P1;胴筒部
P2;リブ片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の胴部を、潰れ変形自在な薄肉構造とした、2軸延伸ブロー成形された合成樹脂製ボトルである内容器と、該内容器を吊り下げ状に収納保持する、変形しない有底筒状の外容器と、前記内容器の口筒部に密に組付くと共に、前記外容器の開口部に組付いて、ポンプ動作により前記内容器内の内容物を吐出するポンプとを有し、前記内容器の胴部に、該胴部の潰れ変形を一定形態に規制するリブ条を形成し、前記内容器と外容器との間に外気を導入する通気部を設けて成る、ポンプ付き二重容器。
【請求項2】
内容器のリブ条を、周方向に沿って等間隔に設けた複数の縦リブで構成した請求項1記載のポンプ付き二重容器。
【請求項3】
内容器のリブ条を、螺旋リブで構成した請求項1記載のポンプ付き二重容器。
【請求項4】
内容器のリブ条を、軸対称に位置した同じ構造の螺旋リブで構成した請求項1記載のポンプ付き二重容器。
【請求項5】
通気部を、外容器の開口部の上端面から外周面にかけて設けた溝で形成した請求項1ないし4の何れかに記載のポンプ付き二重容器。
【請求項6】
内容器を、口筒部の下端に、周端部を外容器の開口部に載置する外鍔状の口鍔部を設けて構成した請求項1ないし5の何れかに記載のポンプ付き二重容器。
【請求項7】
ポンプを、該ポンプの主体部分に密に嵌め込み組付く組付きキャップを設けて構成し、該組付きキャップを、内容器の口筒部に密に組付くと共に、外容器の開口部に着脱自在に組付く構成とした請求項1ないし6の何れかに記載のポンプ付き二重容器。
【請求項8】
外容器を透明とした請求項1ないし7の何れかに記載のポンプ付き二重容器。
【請求項1】
有底筒状の胴部を、潰れ変形自在な薄肉構造とした、2軸延伸ブロー成形された合成樹脂製ボトルである内容器と、該内容器を吊り下げ状に収納保持する、変形しない有底筒状の外容器と、前記内容器の口筒部に密に組付くと共に、前記外容器の開口部に組付いて、ポンプ動作により前記内容器内の内容物を吐出するポンプとを有し、前記内容器の胴部に、該胴部の潰れ変形を一定形態に規制するリブ条を形成し、前記内容器と外容器との間に外気を導入する通気部を設けて成る、ポンプ付き二重容器。
【請求項2】
内容器のリブ条を、周方向に沿って等間隔に設けた複数の縦リブで構成した請求項1記載のポンプ付き二重容器。
【請求項3】
内容器のリブ条を、螺旋リブで構成した請求項1記載のポンプ付き二重容器。
【請求項4】
内容器のリブ条を、軸対称に位置した同じ構造の螺旋リブで構成した請求項1記載のポンプ付き二重容器。
【請求項5】
通気部を、外容器の開口部の上端面から外周面にかけて設けた溝で形成した請求項1ないし4の何れかに記載のポンプ付き二重容器。
【請求項6】
内容器を、口筒部の下端に、周端部を外容器の開口部に載置する外鍔状の口鍔部を設けて構成した請求項1ないし5の何れかに記載のポンプ付き二重容器。
【請求項7】
ポンプを、該ポンプの主体部分に密に嵌め込み組付く組付きキャップを設けて構成し、該組付きキャップを、内容器の口筒部に密に組付くと共に、外容器の開口部に着脱自在に組付く構成とした請求項1ないし6の何れかに記載のポンプ付き二重容器。
【請求項8】
外容器を透明とした請求項1ないし7の何れかに記載のポンプ付き二重容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−213854(P2008−213854A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50450(P2007−50450)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
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