説明

ポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置

【課題】ケースの剛性を確保できるとともに、バッテリの取り出しやすいポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置を提供する。
【解決手段】バッテリ50の側面後端縁には突起部62が設けられている。装填されたバッテリ50を取り出す場合は、この突起部62に爪を引っ掛けて取り出す。これにより、バッテリ50の取り出しが容易になる。また、外装ケース12に形成する切欠き部64も最小限に留めることができ、外装ケース12の剛性低下を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置に係り、特に利用者が携帯して使用するバッテリ内蔵型のポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブルプリンタは利用者が携帯して使用するものであるため、バッテリを内蔵している。このバッテリは交換できるようにされており、利用者は、図6に示すように、外装ケース1に形成されたバッテリ蓋2を開けてバッテリ3の交換を行うようになっている。
【0003】
ところで、バッテリ3は外装ケース1内に完全に収容されてしまうものであるため、交換時にバッテリ3が抜き取りにくいという問題があった。このため、従来のポータブルプリンタでは、図6に示すように、バッテリ3の後端部側面位置に滑り止め4を形成し、この滑り止め4に指の腹を引っ掛けてバッテリ3を抜き取りやすいようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−277812号公報
【特許文献2】特開平11−254789号公報
【特許文献3】特開平04−092362号公報
【特許文献4】実願昭59−049271号(実開昭60−160466号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のポータブルプリンタのように、バッテリ3に滑り止め4を形成すると、その滑り止め4に指の腹が引っ掛かるようにするために、外装ケース1に指の形状に合った大きな切欠き部5を形成しなければならないという欠点があった。そして、このような大きな切欠き部5を形成すると、外装ケース1の剛性が低下するとともに、外観の意匠性も損なうという欠点があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、ケースの剛性を確保できるとともに、バッテリの取り出しやすいポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、ケースの表面に形成されたバッテリ挿入口からバッテリを挿入して装填するポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置であって、前記バッテリは、その側面後端縁に、前記バッテリ挿入口へのその挿入取り出し方向に直交する爪掛け用の突起部が突出して形成されていることを特徴とするポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置を提供する。
前記突起部は、棒状に形成されていることができる。
前記突起部は、断面半円形状に形成されていることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バッテリは、バッテリの側面後端縁に設けられた突起部に爪を引っ掛けて取り出す。このような構成とすることにより、従来、ケースに形成していた切欠きをなくすことも可能であり、また、形成したとしても最小限に留めることができる。これにより、ケースの剛性低下を防止できるとともに、取り出し作業も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るバッテリ交換装置を装備したポータブルプリンタを正面側から見た斜視図である。
【図2】本発明に係るバッテリ交換装置を装備したポータブルプリンタを背面側から見た斜視図である。
【図3】外装ケースの側面図である。
【図4】バッテリ挿入口の構成を示す斜視図である。
【図5】バッテリ挿入口の構成を示す斜視図である。
【図6】従来のポータブルプリンタのバッテリ挿入口の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面に従って本発明に係るポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置の好ましい実施例について詳説する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明に係るバッテリ交換装置を装備したポータブルプリンタを正面側から見た斜視図であり、図2は、本発明に係るバッテリ交換装置を装備したポータブルプリンタを背面側から見た斜視図である。同図に示すように、このポータブルプリンタ10の外装ケース12は偏平状の箱型に形成されており、ケース本体14とフロントカバー16とで構成されている。
【0012】
ケース本体14は、上部が円弧状の箱型に形成されており、その正面部に開口部が形成されている。フロントカバー16は、このケース本体14の開口部を覆うように取り付けられており、その下半分が円弧状に膨らみをもって形成されている。
【0013】
ここで、図3に示すように、フロントカバー16の両側面下部には、それぞれ支持片20、20が突出して形成されており、各支持片20、20には、それぞれ嵌合孔22、22が貫通して形成されている。一方、ケース本体14の両側面下部には、それぞれ外側に向けて支軸24、24が突出して形成されている。フロントカバー16に形成された支持片20、20の嵌合孔22、22は、この支軸24、24に嵌合されており、これによりフロントカバー16が支軸24、24を中心に回動自在に支持される。そして、このフロントカバー16が回動することにより、ケース本体14に形成された開口部が開閉される。
【0014】
なお、このフロントカバー16は、閉じられると図示しないロック機構によって自動的にロックされるようになっており、フロントカバー16を開ける場合は、このロックを図示しない開閉レバーで解除して開けるようになっている。
【0015】
以上のように構成された外装ケース12の両側面部には、それぞれサイドカバー26、26が取り付けられている。このサイドカバー26、26は、軟質樹脂で成形されており、外装ケース12は、このサイドカバー26、26によって横方向から受ける衝撃を緩和できるようになっている。
【0016】
また、図2に示すように、外装ケース12の背面部には、帯状に形成された一対の背面パッド32、32が所定の間隔をもって並列して取り付けられている。この一対の背面パッド32、32は、軟質樹脂で成形されており、外装ケース12の背面上端部近傍から外装ケース12の底面にかけて取り付けられている。
【0017】
一方、外装ケース12の正面部には、フロントカバー16の下部円弧部に3本の緩衝パッド34、34、34が所定の間隔をもって配設されている。この緩衝パッド34は、軟質樹脂によって断面半円形状に形成されており、フロントカバー16の支軸24と平行に配設されている。外装ケース12は、この緩衝パッド34、34、34によって落下時の衝撃を緩和できるようになっている。
【0018】
また、この外装ケース12の背面には、コネクタ収納室38が形成されている。このコネクタ収納室38内には、コネクタ36が収納配置されており、このコネクタ36にケーブル40を介してハンディーターミナル等の外部機器が接続される。
【0019】
なお、このコネクタ36に接続されたケーブル40は、背面パッド32、32に形成されたケーブルガイド溝32a、32a、…に嵌め込むことにより、スムーズなケーブルルートを形成することができるようになっている。
【0020】
また、コネクタ収納室38には、図示しない蓋が着脱自在に取り付けられるようになっており、水や埃等の異物の侵入を防止できるようにされている。
【0021】
以上のように構成された外装ケース12の内部には、印字装置やラベル給送装置、コントロールユニット等の印字に必要な種々の機構が内蔵されている。
また、フロントカバー16を開くとラベルの装填室が露出し、この装填室にロール状に巻回されたラベルが装填される。装填室に装填されたラベルは、印字装置に給送されて所望の情報が印字されたのち、外装ケース12の正面中央位置に配置されたラベル取出口18から排出される。
【0022】
ところで、上記のポータブルプリンタ10は、利用者が携帯して使用するものであるため、その電源としてバッテリ50を内蔵している。このバッテリ50は交換可能とされており、外装ケース12の側面に形成されたバッテリ挿入口44からバッテリ室(不図示)に装填するようにされている。
【0023】
ここで、このバッテリ50は、図4及び図5にその一部が示されているように、四角い棒状に形成されており、その軸線に沿って挿入するようにされている。一方、バッテリ挿入口44は、このバッテリ50の形状に合わせて矩形状に形成されており、蓋52で開閉できるようにされている。この蓋52は、サイドカバー26に一体成形されており、その内面には補強用のリブ54が一体成形されている。また、この蓋52の先端部には、一対の止部56、56が突出して形成されており、この止部56、56を外装ケース12に形成された止穴58、58に嵌入させることにより、蓋52が閉状態でロックされる。
【0024】
バッテリ挿入口44から挿入されたバッテリ50は、図5に示すように、バッテリ挿入口44に設けられたストッパーピン60によって抜け止めされる。
このストッパーピン60は出没自在に設けられており、図示しないスプリングで突出方向に付勢されている。バッテリ50を装填する際は、このストッパーピン60を押し下げてバッテリ50をバッテリ挿入口44から挿入する。押し下げられたストッパーピン60は、バッテリ50がバッテリ室に装填されると、自動的に突出してバッテリ50の端面に係合する。そしてこれにより、バッテリ50が抜け止めされる。
【0025】
ところで、バッテリ50は消耗品であるため、その容量がなくなると、充電あるいは新たなものに交換することが必要になる。そして、バッテリ50を充電あるいは交換するには、現在装填されているバッテリ50をバッテリ室から取り出すことが必要となる。本実施例のバッテリ交換装置を装備したポータブルプリンタ10では、このバッテリ50の取り出し作業を容易にするために、バッテリ50が、次のように構成されている。
【0026】
図4及び図5に示すように、バッテリ50には、一方側の側面後端縁に棒状の突起部62が取り付けられている。この突起部62は断面半円形状に形成されており、利用者はこの突起部62に爪を引っ掛けてバッテリ50をバッテリ室から取り出す。バッテリ挿入口44には、この突起部62に爪を引っ掛けるための半円形状の切欠き部64が形成されている。
【0027】
前記のごとく構成された本実施例のバッテリ交換装置を装備したポータブルプリンタ10でバッテリ50の交換は、次のように行われる。
【0028】
まず、消耗したバッテリ50を取り出す。
この場合、まず、蓋52を開ける。次に、ストッパーピン60を押し下げ、バッテリ50の抜け止めを解除する。そして、切欠き部64を利用して突起部62に爪を引っ掛け、そのままバッテリ50を引き抜く。
【0029】
次に、新たなバッテリ50を装填する。この場合、まず、ストッパーピン60を押し下げる。そして、バッテリ50をバッテリ挿入口44から挿入する。
バッテリ50がバッテリ室に装填されると、ストッパーピン60が自動的に突出するので、ストッパーピン60が突出したことを確認したのち、蓋52を閉める。
【0030】
このように、本実施例のバッテリ交換装置を装備したポータブルプリンタ10では、バッテリ50に突起部62が形成されているため、その取り出し作業を極めて簡単に行うことができる。
【0031】
この際、突起部62に爪を引っ掛けるための切欠き部64を外装ケース12に形成するが、その面積は極めて小さいものとなるため、外装ケース12の剛性を低下させることもない。
【0032】
なお、この切欠き部64は、突起部62に爪を引っ掛けやすくし、より取り出し作業を容易にするためのものであるため形成しなくてもよい。この場合、全く切欠き部がなくなるので、外装ケース12の剛性を更に向上させることができる。
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、バッテリに突起部を設け、この突起部を利用してバッテリの取り出し作業を行うため、きわめて簡単にバッテリの取り出し作業を行うことができる。また、従来、ケースに形成していた切欠きをなくすことも可能であり、形成したとしても最小限に留めることができるので、ケースの剛性低下を防止できる。
【符号の説明】
【0034】
10…ポータブルプリンタ、12…外装ケース、14…ケース本体、16…フロントカバー、18…ラベル取出口、20…支持片、22…嵌合孔、24…支軸、26…サイドカバー、32…背面パッド、34…緩衝パッド、36…コネクタ、38…コネクタ収納室、40…ケーブル、44…バッテリ挿入口、50…バッテリ、52…蓋、54…リブ、56…止部、58…止穴、60…ストッパーピン、62…突起部、64…切欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの表面に形成されたバッテリ挿入口からバッテリを挿入して装填するポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置であって、
前記バッテリは、その側面後端縁に、前記バッテリ挿入口へのその挿入取り出し方向に直交する爪掛け用の突起部が突出して形成されていることを特徴とするポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置。
【請求項2】
前記突起部は、棒状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置。
【請求項3】
前記突起部は、断面半円形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のポータブルプリンタにおけるバッテリ交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−274659(P2010−274659A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163973(P2010−163973)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【分割の表示】特願2000−209728(P2000−209728)の分割
【原出願日】平成12年7月11日(2000.7.11)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】