ポータブル検出装置
対象物体を走査するポータブル検出装置は、一実施例では、タワーユニットと、センサユニットと電子ユニットとを具えており、それぞれ運搬および保管時に比較的素早く分解したり、使用時に組み立て直すため、互いに着脱可能に係合するよう構成されている。さらに、各ユニットは、容易に運搬したり比較的制約された空間で動作できるようなサイズに構成されている。センサユニットはタワーユニットの垂直方向を向いたタワー支柱と選択的に係合するよう構成され、タワー支柱の長さを横移動するだけではなく、その周りを水平および垂直方向に回転することもでき、対象物体の位置にかかわらずセンサユニットを関節接合して対象物体の近くに選択的に配置することができる。電子ユニットはタワーユニットと選択的に係合し、安全距離でセンサユニットを遠隔的に操作するよう構成されたポータブルコンピュータデバイスを提供している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年7月21日出願の米国仮特許出願第61/227,199号、名称「Portable Detection Apparatus(ポータブル検出装置)」の権利を主張するものであり、その出願日について権利を有する。当該出願の内容は、参照により本書に組み込まれている。
【0002】
本出願人は、本願に記載または言及された如何なる全ての米国特許および米国特許出願をも参照により本書に組み込んでいる。
【0003】
本発明の態様は一般に走査デバイスに関し、より具体的には、爆発物、あるいは他の危険または違法な物質を含有するか否かを判定する、不審物を走査するよう構成されたポータブルの多平面検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0004】
一般的に言えば、麻薬や放射性物質などの他の禁止物質の違法取引の増加に加えて、9/11の攻撃、ロンドンおよびマドリッドの乗物爆破、ムンバイ都市部の攻撃、およびその種の悲劇的な事件を含む増加するテロ活動の最近の傾向は、全ての政府、民間企業、および他の関連団体に、厳しくてより効果的な安全保障策を実施するように重圧を掛けてきた。加えて、膨大な量の現行レベルの海外旅行および貿易は更に、出入国港での貨物検査に付随する問題を既に困難にしている。
【0005】
商品の効率的な移動、ならびに公共輸送機関、航空産業、および観光業の確実性は、乗客、従業員、客、車両、および施設に対する脅威を素早く正確に特定し、情報伝達する機能に大きく依存している。公共輸送システム、交通機関のターミナル、空港、ホテル、ショッピングセンター、および他の大型公共会場は特にテロ攻撃に対して弱く、地域社会全体および国家の安全さえも危険にさらしてしまう。著しい経済的損失および重要設備の遮断は、短時間でさえも混乱を引き起こしうる。不審または放置された小包などによって設備を遮断する一度の出来事は、国の重要な基幹施設の他の重要な部門にまで及ぶ重大な機能的、心理学的(国民の信頼に関して)、および経済的影響を有する。
【0006】
現在、隠された禁制品の検出は主に、X線、蒸気検出、および追跡犬などの技術の利用に基づいている。これらは、含有量、密度、形状、または温度に基づいて物体または含有物質が爆発物、違法物質、または他の禁制品ではないかと推測するため、一般には「異常」検出器とみなされる。しかしながら、異常検出器は「不審な」物品を知らせるために有用である一方、問題の物体または含有物質が実際に爆発物、違法物質、または生物兵器であるか、単なる有害物質であるかを確実に判定することはできない。これを判定する唯一の方法は、物体またはその含有物質を化学分析などの補足検査または2次「確認」検出法にかけることである。例として、X線は多くの利点を有しているため大量の荷物の監視に広く使用されている。X線検出技術の製造は進歩し、比較的安価であり、その機械は適度な大きさであり、その存在は公共の場所にも受け入れられている。しかしながら、X線は、殆どの爆発物および違法薬物を含む有機物質を構成する低電子密度の要素と相互作用する確率が低いという主な欠点を有している。従って、これらの物質全てが、区別できないX線吸収特性または非干渉性の散乱特性を有しうる。さらに、X線スキャナは検査された物体の鮮明な画像ならびに密度による陰影を生成できるが、システムを妨害するために爆発物、違法物質、および他の禁制品を何らかの形状に成形する、あるいは梱包することができる。さらに、X線は特に、禁制品や危険物質を隠すために通常利用される比較的高密度な遮蔽物またはマスクを透かして見る機能はないため、検出漏れしやすい。さらに、X線システムは、キャプチャされた画像のオペレータの読み取りに大きく依存する。新しいX線機械は自動画像認識を組み込んで、オペレータに頼る代わりに画像が不審な物体を示しているか否かを判断するが、これらの機械も含有物を確実に識別することはできないため、疑わしい対象は開けて手動で検査せねばならない。これはX線などの異常検出器による検査を多くの場合に信頼性が低く不確かなものにして、許容しかねる割合の誤報を起こしやすい。
【0007】
従って、世界的な環境およびより正確かつ素早いスクリーニングへの要求事項、およびX線などの異常検出器に課せられた制約および負担は、確証的なスクリーニングを行えるさらに高性能で新しい技術を開発して取り入れる必要性を促してきた。このような代替的な方法の1つは、高透過性の高速中性子およびガンマ線分光による中性子放射化分析を含む。この「確認」技術を利用して、小さい郵便物から大きい貨物コンテナまでのサイズにわたる荷物内の爆発物、放射線核種、(遮蔽物または破片の可能性を示す)金属および特定の化学薬品を含む隠された禁制品や他の危険物質を、例え遮蔽または遮断されていても検出することができる。
【0008】
高速中性子放射化分析などの中性子検査法は通常、検査される物体の原子核に中性子を照射し、固有のガンマ線を放出させるか、検査している中性子のエネルギを変化させることに依存する。この放射線は、これらの要素それぞれに固有の非常に特殊なエネルギで生成される。高分解能検出器はこの放射線を収集し、特殊な電子回路やソフトウェアを介して検出した放射線のスペクトルを生成する。このスペクトルは単に、各エネルギビンにおける計数率である。これらのスペクトルと様々な要素に対して既知のスペクトルとの相関関係を算定することで、対象の組成の化学的同定をすることができる。従って、このプロセスは、対象内の疑わしい物質の存在だけではなく、量(または存在しないこと)を明らかにする。
【0009】
殆どの現実的な場面では、背景要素の影響がある。従って、高速中性子放射化分析法の検出感度や特定性は通常、隠された疑わしい物質のガンマエネルギの特徴を背景と明確に区別する機能に基づいている。このように、疑わしい物質の特徴と、場合によってはそれを囲んでいる大部分の無害な物質による特徴とを高い選択感度で区別するために、物体を慎重に走査せねばならない。さらに、高速中性子放射化分析などの現在の中性子放射化/ガンマ分析法は、指向性と範囲が不十分である。その結果として、広い領域は数回走査する必要があり、ひいては物体を完全に検査するための著しい時間とコンピュータ処理を必要とする。
【0010】
従って、中性子放射化ベースの走査法は多くの問題を提起している。第1に、現在知られている高速中性子放射化分析法を用いて物体全体を正確に走査すると、空港の荷物検査などの特定の状況で実用的に利用するには遅すぎるおそれがある。爆発物がある状況では、効果的な対応を促すためにできる限り早く爆発物を同定する必要がある。第2に、高速中性子放射化分析デバイスが物体を走査する時間が長くなるほど、より多くの中性子放射線が隣接した環境に放出され、その結果近くの人への被爆が増加するという潜在的に有害な状況を作り出してしまう。さらに、設備の観点から、中性子発生器および高分解能検出器の双方とも中性子放射への曝露が増加すると摩耗しやすくなる。第3に、大型の物体を繰り返し走査するために、通常の中性子放射化ベースのスキャナは、次の走査までの間に位置を変えて再開または再起動させるため電源を落とすか停止させねばならず、その結果、物体を完全に検査する時間の量、さらにはユーザが物体の近くで過ごす時間、または位置を変えている間にリスクがある隣接した領域にいる時間が増加する。
【0011】
先行技術の方法による更なる欠点は、中性子放射化分析の走査デバイスは大型で一般に不動式である点である。これらは通常、その大きさにより、乗物の駅、鉄道車両、またはホテルのロビーなどの屋内空間にアクセスできない車両搭載型システムとして、あるいは走査デバイス自体が物体へと移動するのではなく、走査するために対象物体をデバイスに持って行くことが必要な固定型の入口として構成される。例えば、空港の荷物検査の状況では、多くの場合は荷物がコンベアベルトに載せられ、このコンベアベルトが固定した走査デバイスを通って荷物を移動させる。これは空港の荷物検査などの状況では有効となりうるが、物体が公共の場所に、航空機の頭上の荷物入れに、あるいはアクセスが限られた他の空間に放置または放棄されて置かれている小包またはバッグである場合など、不審物を物理的に処理するか移動させることが本質的に危険である他の状況では有効ではない。これは特に、物体が既に不審物として警告され、高い危険性を有している場合に当てはまる。
【0012】
さらに、ユーザが発見された爆発物の破壊範囲または近接していることに気付いていない状況では、ユーザおよび周囲の人々の双方に多くの危険がある。このように、このような走査デバイスの動作では、広い面積にわたってセンサを移動させることを含むデバイスの操作を遠隔的に実行し、人間のオペレータが不審物から離れて、爆発物の場合には潜在的な爆発半径の、放射性核種の場合には潜在的な汚染地域の外側の安全距離に留まれることが必須である。
【0013】
以下の技術は、この分野における現状を規定している。
【0014】
Fenne等による1983年6月7日公開の米国特許第4,387,468号は概して、基部と、基部上の垂直軸を中心に回転する支柱とを具える携帯型X線装置に関するものである。可動台部が上下に移動するように支柱に取り付けられ、アームが可動台部と共に移動するよう可動台部に取り付けられている。アームの一端は、支柱と共に垂直軸を中心に180度にわたって回転するX線チューブヘッドアセンブリである。このチューブヘッドアセンブリは、制御回路のハウジングと共に、X線フィルムカセットビンとX線チューブを操作する制御回路によって釣り合いをとっている。チューブヘッドアセンブリはチューブヘッドがユニット基部の範囲内に上手く収まる保管および運搬姿勢に据えることができ、その結果ユニットの安定性に寄与している。
【0015】
Gomberg等による1990年4月17日公開の米国特許第4,918,315号は概して、隠れた物体を検査および/または調査するシステムおよび方法に関するものであり、物体に単一エネルギの中性子ビームを物体に作用させ、物体から拡散する中性子のエネルギ分布に注目して、拡散した中性子のエネルギ/強度分布を特定の要素の有無と相関させる。本発明を利用して、検査状態にある物体の組成に関する性質的または量的データを入手することができる。
【0016】
Pellegrino等による1996年3月12日公開の米国特許第5,499,284号は概して、平衡した関節X線チューブの支持アームを有する改良型の携帯X線ユニットに関するものであり、これにより支持している可動台部を動かす必要なく、取り付けられたX線チューブを垂直方向に位置調整することができる。改良型の携帯X線ユニットはさらに、移動時にX線チューブを支持可動台部に固定することができ、関節X線アームは関節X線アームを規定の位置に固定できる複数の電磁石駆動型のディスクブレーキを有している。可動台部の移動が必要な場合、2つのひずみゲージアセンブリによって可動台部と係合した力覚ハンドルに力を適用することで可動台部を移動させることができる。ひずみゲージアセンブリはモータ駆動制御回路に信号を提供し、可動台部に対してハンドルに適用された力の方向に、その力に比例して2つの駆動ホイールを推進させる。
【0017】
Vourvopoulosによる、それぞれ1999年11月9日および2003年5月13日に公開された米国特許第5,982,838号および第6,563,898号は概して、中性子照射により爆発物や薬物などの物質を検出するために用いられる方法およびポータブル装置に関するものである。この装置は、ポータブル中性子生成プローブおよび対応するコントローラと、データ収集コンピュータとを有する。このプローブは、物体を検査するために中性子を放出する。このプローブはさらに、高速中性子、熱中性子および中性子放射化反応からガンマ線を収集するガンマ線検出器を有する。これらの検出器から収集されたデータは、検査されている物体が爆発物または違法な禁制品を含有するか否かを判定するため、データのデコンヴォルーションをして物体を同定すべくコンピュータに送信される。
【0018】
Ergun等による1999年12月28日公開の米国特許第6,007,243号は概して、小型の携帯型X線のC型アームシステムに関するものであり、上段にビデオモニタを支持するカートを配置し、カートの前方から開いた下段に他の画像装備を配置する。C型アームはプラットフォーム下側のカートの側面に取り付けられたピボットによって支持されている。C型アームは棚またはビデオモニタを遮ることなく前方に延在することができ、さらに小さい設置面積のカートを可能にしながら平衡がとれた動作を与える。X線源のヒートシンクとしてのC型アームと、更なる回転軸を可能にするスイベルキャスタを使用すると、より小型の構造を作ることが可能となる。
【0019】
Lasiuk等による2008年1月15日公開の米国特許第7,319,738号は概して、パイプラインなどを検査するために用いる携帯型のX線写真デバイスに関するものであり、携帯型の可動台部車に連結された関節空中ブームを具える。回動マウントは空中ブームの遠位端に回転可能に連結される。摺動レールを有するプラットフォームは回動マウントに動作するよう連結される。取付固定具は架台に回転可能に取り付けられ、この架台は同様にプラットフォームの摺動レールに連結される。放射源および放射線検出器は、パイプラインまたは他の物体の外面を放射線で照射するために、固定具とは正反対の側面に取り付けられる。第1の位置調整手段が、パイプラインに対して走査装置を粗く位置調整するために設けられる。第2の位置調整手段が、パイプラインに対して走査装置を精密に位置調整するために設けられる。第2の位置調整手段は、放射源がパイプラインを放射線で照射しているときに遠隔位置から操作できる。第1および第2の位置調整手段は、走査装置を位置調整について多くの自由度を提供する。
【0020】
上述の先行技術は、検査されている物体が爆発物または違法な禁制品を含む特定の要素を含有するか否かを検出するよう構成された、様々な種類の携帯型および/またはポータブル走査デバイスについて教示している。しかしながら、先行技術は、比較的容易に保管および配置ができるだけではなく、物体が比較的制約された空間に位置している場合でも、多くの異なる位置、向きおよび角度、さらには様々な高さで、異なる寸法の物体を遠隔的に走査できるモジュールデザインを有するようなポータブル検出装置については教示していない。本発明の態様はこれらの必要性を満たし、以下の概要に記載するような更に関連する利点を提供している。
【発明の概要】
【0021】
本発明の態様は、構成および使用法について以下に記載する例示的な利点を生じさせる特定の利益を教示している。
【0022】
本発明は、本書で以下に記載するように、爆発物あるいは他の危険または違法な物質を含有するか否かを判定すべく不審物を走査するよう構成されたポータブル検出装置を提供することにより、上述の問題を解決する。
【0023】
一実施例では、この装置はタワーユニットと、センサユニットと、電子ユニットとを具え、運搬および保管の際に比較的素早く分解したり使用時に組み立て直すため、それぞれが互いに着脱可能に係合するよう構成されている。さらに、これらのユニットはそれぞれ、比較的制約された空間で動作できるような大きさに構成されている。このタワーユニットは、比較的垂直な方向を向いたタワー支柱を有し、タワー支柱と摺動かつ回転可能に係合したタワーカラーが付随したタワー基部を具えている。従って、タワーカラーは、タワー支柱の長さを横移動し、その周りを水平方向に360度回転することができる。アームマウントはタワーカラーと回動するよう係合しており、摺動装着型の拡張アームを設けている。この構成により、拡張アームはタワーカラーに対して垂直方向に360度回転することができる。さらに、拡張アームは、センサユニットのセンサ端子を選択的に受けるよう構成されたセンサマウントを提供する。センサユニットはさらに、対象物体を走査する手段を提供する。従って、センサユニットがタワーユニットと係合した状態では、対象物体の垂直方向の位置に拘わらず、対象物体の近くに選択的に配置できるように、センサユニットを広範囲の位置に関節接合することができる。電子ユニットはタワーユニットとも選択的に係合でき、対象物体から離れた安全距離でセンサユニットを遠隔的に操作するよう構成されたポータブルコンピュータデバイスを提供する。
【0024】
使用時、オペレータは、タワーユニット、センサユニットおよび電子ユニットそれぞれを対象物体が位置する場所に運搬する。次いでタワーユニットが対象物体の近くに配置され、電子ユニットがタワー基部と係合して、タワーユニットを安定させて十分な釣合重りを与える。センサユニットは、対象物体の位置や向きに応じて、実質的に水平または垂直の走査方向の何れか一方に拡張アームと選択的に係合する。次いで、この拡張アームは、対象物体を走査する手段が対象物体と実質的に近接して配置されるように選択的に関節接合される。最終的に、ポータブルコンピュータデバイスを対象物体から離れた安全距離に移動させて、対象物体を走査すべくセンサユニットを遠隔的に操作するために使用する。
【0025】
上述の装置および使用方法に固有の主な目的は、先行技術によって教示されていない利点を提供することである。
【0026】
他の目的は、比較的容易に保管および配置することを可能にするだけでなく、物体が比較的制約された空間に位置している場合でさえも、多くの異なる位置、向きおよび角度、さらには様々な高さで物体を走査することを可能にするモジュールデザインを有するような装置を提供することである。
【0027】
更なる目的は、安全距離から遠隔的に操作できるような装置を提供することである。
【0028】
更なる目的は、オペレータが安全のために装置や対象物体からどの程度離れるべきかを判定できるような装置を提供することである。
【0029】
本発明の態様の他の特徴および利点は、例示により本発明の態様の原理を示す添付の図面と組み合わせて、以下の詳述から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
添付の図面は、本発明の態様を図示している。
【図1】図1は、本発明の実施例の側面図であり、本発明を組み立てた状態および分解した状態の双方を示している。
【図2】図2は、本発明の正面図である。
【図3】図3は、本発明の側面図である。
【図4】図4は、本発明の背面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例のタワーユニットと係合した一対の安定脚部の詳細図である。
【図6】図6は、タワーユニットのシーケンス図であり、タワーユニットの拡張アームが耐えうる広範囲の回転姿勢を図示している。
【図7】図7は、展開状態と運搬状態の間で移行しているときのタワーユニットのシーケンス図である。
【図8】図8は、本発明のシーケンス図であり、電子ユニットとタワーユニットの間の係合を図示している。
【図9】図9は、本発明の実施例の詳細図であり、対象物体を走査するセンサユニットの様々な位置調整機能を図示している。
【図10】図10は、タワーユニットの拡張アームと係合する補助マウントを有する、本発明のさらなる実施例の側面図である。
【図11】図11は、タワーユニットの拡張アームと係合する補助マウントを有する、本発明のさらなる実施例の側面図である。
【図12】図12は、電子ユニットの透視図である。
【図13】図13は、本発明の側面図である。
【図14】図14は、本発明の側面図である。
【図15】図15は、本発明の詳細な斜視図である。
【図16】図16は、本発明の実施例の部分的に分解した斜視図である。
【図17】図17は、本発明の更なる実施例のシーケンス図であり、補助マウントに取り付けられたときに拡張アームを中心に360度全体に回転するセンサユニットの能力を図示している。
【図18】図18は、本発明の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
上述の図面は実施例の少なくとも1つにおける本発明の態様を図示しており、さらに以下の説明に詳しく規定されている。
【0032】
ここで図1を見てみると、ポータブル検出装置20の実施例の側面図が示されている。この実施例では、この装置20はタワーユニット22と、センサユニット24と、電子ユニット26とを具えており、図1−4に最適に図示されているように、それぞれ互いに着脱可能に係合するよう構成されている。従って、これらの3つのモジュールユニット22、24および26は、運搬および保管のために素早く解体したり、対象部位に配置した後に走査を実行すべく組み立て直すことができる。さらに、ユニット22、24および26はそれぞれ、民間航空機の通路といった比較的制約された空間にも装置20が適合できるよう十分に小型で細い。
【0033】
図1−4を続けて参照すると、実施例では、タワーユニット22は、一組の対向するタワーホイール30を有するタワー基部28と、比較的垂直方向を向いた直線的に駆動するタワー支柱32とを具えている。タワーカラー34はタワー支柱32と摺動かつ回転可能に係合し、その結果、タワーカラー34はタワー支柱32の長さを横移動し、その周りを水平方向に360度回転することができる。さらに、アームマウント36がタワーカラー34と回動するように係合し、センサユニット24と着脱可能に係合するよう構成された、摺動装着型の拡張アーム38を設けており、このような係合については以下に詳しく説明している。図6に示すシーケンスは、拡張アーム38が耐えうる広範囲の回転姿勢を図示している。タワーカラー34に連結されているため、拡張アーム38はさらに、タワー支柱32の長さを横移動し、さらにその周りを水平方向に360度回転できる。さらに、拡張アーム38は、アームマウント36を介して垂直方向に360度回動し、アームマウント36の長さを横移動することができる。一実施形態では、タワーカラー34および拡張アーム38の双方の移動および位置調整は、固定ピン40、あるいは現在既知または後に開発される他の手段などを用いて手動で実現する。他の実施形態では、タワーカラー34および拡張アーム38の移動および位置調整は、線形アクチュエータあるいは現在既知または後に開発される他の手段などの動力を介して実現する。
【0034】
図5に最適に示すように、一対の対向する安定脚部42がタワー基部28と回動するように係合し、使用時にタワーユニット22を安定させるために安定脚部42が伸長している展開状態と、タワーユニット22の運搬時に安定脚部42が内側に折り畳まれた格納状態の間で選択的に動くよう構成されている。実施例では、安定脚部42はそれぞればね荷重の自在継手44によってタワー基部28に固定され、互いに回動するよう接続された少なくとも2の伸長脚部46を具えている。従って、図5に例示するように、安定脚部42は使用時の装置20の重量分布を適切に安定化させて平衡させるために幅広い位置に移動することができ、この重量分布は装置20が配置される表面の傾斜、更にはセンサユニット24の位置調整を含む多数の要因に左右される。代替的な実施形態では、装置20は更なる安定脚部または使用時に本発明を安定化させる他の手段を提供しうることに留意されたい。一実施形態では、安定脚部42の移動および位置調整は手動で実現する。他の実施形態では自動で実現する。図5に最もよく示すように、安定脚部42はさらに一組の選択的に伸長する安定脚末部48を設けることが好ましく、装置20が平坦でない表面に配置された場合に安定脚部42に必要な高さを加えるよう構成されている。一実施形態では、安定脚末部48は手動で伸長する。他の実施形態では、安定脚末部48は、ばね荷重の自己固定機構、あるいは現在既知または後に開発される他の手段などを用いて自動的に伸長する。さらに、安定脚末部48はゴムまたは他のパッドのように図示されているが、脚末部48の1以上はその代わりに、特に単独の(センサユニット24および/または電子ユニット26がない)状態で、タワーユニット22の支持および移動を容易にするキャスターとして構成されてもよい。
【0035】
続けて図5を参照すると、タワーユニット22はさらに、タワー支柱32の上端部52と係合し、タワーユニット22の運搬を補助するように構成された一組の格納式タワーハンドル50を設けることが好ましい。図7のシーケンスに最もよく図示されているように、タワーユニット22を運搬するため、タワーハンドル50は単に伸長し、タワーユニット22はタワーホイール30の後方へと傾き、その結果ユーザはタワーユニット22を展開または保管する姿勢に動かすことができる。
【0036】
図1に最適に図示されているように、タワー基部28はさらに、電子ユニット26と着脱可能に係合するよう構成された基部フック54を設けており、このような係合については以下に詳しく説明する。
【0037】
再び図1を続けて参照すると、実施例では、センサユニット24は、中性子発生器58と高分解能検出器60を設けているセンサハウジング56(図9)を具えている。図9に最適に示すように、中性子発生器58および検出器60は、センサハウジング56の同一側面に位置していることが好ましく、これにより、センサユニット24が対象物体62に接近している場合、センサユニット24の位置を変える必要なく中性子発生器58および検出器60の双方とも対象物体62の同一部位に動作できる。実施例のセンサユニット24は、速中性子放射化分析などの原子核走査法を実施するために中性子発生器58および検出器60を設けているが、センサユニット24は、X線走査などの他の種類の走査法を実施するために、代替的な実施形態において他の種類の走査ハードウェアを設けてもよいことに留意されたい。このように、本発明は高速中性子放射化分析の走査等にのみ限定されるものではなく、現在既知または後に開発される走査または検出法と併せて利用することもできると理解されたい。
【0038】
実施例では、センサハウジング56はさらに、他方から実質的に90度離れており、拡張アーム38に配置されたセンサマウント68と着脱可能に係合するよう構成された、水平センサ端子64および垂直センサ端子66をそれぞれ設けている。一実施形態では、図9に最適に示すように、センサマウント68は二重ピンとして構成されており、水平および垂直センサ端子64および66はそれぞれ対応する二重ピン端子として構成されている。代替的な実施形態では、センサマウント68は、現在既知または後に開発される、センサハウジング56と着脱可能に係合するように拡張アーム38上で機能する他の手段であってもよい。続けて図9を参照すると、センサマウント68が水平センサ端子64と係合した場合、センサユニット24は「外側を見る」姿勢となり、水平方向に対象物体62を走査することができる。代替的に、センサマウント68が垂直センサ端子66と係合した場合、センサユニット24は「上を見る」または「下を見る」姿勢となり、垂直方向すなわち対象物体62の上側または下側から対象物体62を走査することができる。さらに、上述のように、センサユニット24は拡張アーム38に着脱可能に装着されているため、センサユニット24は、アームマウント36を介して垂直方向に360度回動することに加えて、タワー支柱32の長さを横移動し、さらにその周りを水平方向に360度回転することができる。従って、センサユニット24は、比較的制約された空間でさえ、多くの異なる姿勢/向きおよび角度から様々な高さで対象物体62を走査することができる。
【0039】
更なる実施形態では、センサマウント68は拡張アーム38と摺動するよう係合しており、センサユニット24は拡張アーム38の長さを横移動することが可能となり、その結果センサユニット24が走査できる最大高さは増加する。
【0040】
図10および11に示すように、補助的な「立ち上がりプレート」マウント70を拡張アーム38の端部72に係合させてもよい。従って、拡張アーム38が比較的垂直方向を向いてセンサユニット24が補助マウント70と係合した状態では、センサユニット24は、水平か垂直方向、すなわち「外側を向いて」いようと「上を向いて」いようとさらに高い地点で走査することができる。図17および18を参照すると、更なる実施形態では、補助マウント70は拡張アーム38の端部72と回動するよう係合している回転プレート71を有しており、その結果、図18に最適に示されているように、補助マウント70に取り付けられた場合にセンサユニット24は拡張アーム38の端部の周りを完全に360度回転することが可能となる。従って、回転プレート71はセンサユニット24のスタッキング姿勢に回転機能を加え、これにより走査装置20が最大高さで動作しているときも水平方向の回転は失われない。最終的に、本発明の態様によると更に代替的な実施形態では、センサユニット24は、特に民間航空機の乗客キャビンの頭上の荷物入れのような困難な空間を考慮して、比較的幅広く異なる高さにおいても狭い範囲の定位置に就くことができる。再び、当該技術分野の当業者は、立ち上がり回転プレート71が特定の機械的構成の状態で図示および記載されているが、本発明の概念および範囲から逸脱することなく、現在既知または後に開発される他のこのような構造的要素を利用してもよいということを理解するであろう。
【0041】
センサユニット24はさらに、装置20の使用時にセンサユニット24の現在の向きを判断するよう構成されたジャイロスコープ(図示せず)を設けることが好ましい。この情報は対象物体62の走査をより正確に実施するよう補助し、さらに走査が始まる前に装置20を適切に安定化させるよう確保する。
【0042】
タワーユニット22と同様に、センサユニット24は一対のセンサホイール74と格納式のセンサハンドル76(図9)を設けており、装置20を分解したときにセンサユニット24を容易に所望の目的地に運搬することが可能となる。
【0043】
図12−15に示すように、実施例では電子ユニット26は電子ハウジング78を具えており、この電子ハウジング78は、細長いハウジングシャフト80と摺動可能に係合し、電子ハウジング78がハウジングシャフト80の遠位端82の方へと移動してハウジングシャフト80の近位端84が露出する展開状態(図14および15)と、電子ハウジング78が近位端84の方へと移動した格納状態(図12および13)の間で移動するよう構成されている。安定脚部42と同様に、電子ハウジング78の展開状態は、使用時の装置20の重量分布を適切に安定化させて平衡させるように構成されている。
【0044】
図15に最適に示すように、ハウジングシャフト80の遠位端82は、電子ハウジング78を適切に配置し、ハウジングシャフト80上での動作を制限するハウジングストッパ86を設けている。近位端84は係合ロッド88を設けており、これは装置20の使用時にタワーユニット22の基部フック54(図1)と着脱可能に係合するよう構成されている。近位端84はさらにブレーキパドル90を設けており、これはブレーキパドル90が固定位置へと下方に回転したときに、展開状態にある電子ハウジング78を選択的に固定するよう構成されている。ブレーキパドル90はさらに、ブレーキパドル90が固定位置にあるときにタワーホイール30と係合して回転固定するよう構成された一組のホイールロック92を具備している。従って、ブレーキパドル90は、装置20を使用している間、電子ハウジング78が展開状態にあり、タワーユニット22が定置状態となるよう確保する。
【0045】
さらに、タワーユニット22およびセンサユニット24と同様に、電子ユニット26は一対の電子ホイール94と電子ハンドル96(図14)を設けており、装置20を分解したときに電子ユニット26を所望の目的地へと容易に運搬することが可能となる。
【0046】
電子ユニット26はセンサユニット24と通信し、これによりその間のデータ交換およびコマンドが可能となる。この通信は、現在既知または後に開発されるいかなる種類の有線または無線通信プロトコルを介して実現することができる。図12に示すように、電子ハウジング78は、ラップトップコンピュータなどのポータブルコンピュータデバイス100を保管するよう構成されたコンパートメント98を設けることが好ましい。好適な実施形態では、装置20は、ポータブルコンピュータデバイス100のグラフィカルユーザインタフェース(「GUI」)を介して制御される。装置20を保管および運搬している間、ポータブルコンピュータデバイス100はコンパートメント98に保管され、装置20を配置して使用する場合には、ポータブルコンピュータデバイス100は、以下に詳しく記載されているように、ユーザが安全に装置20を操作するために取り外されて、遠隔位置へと運ばれる。
【0047】
実施例では、図16に最適に示すように、電子ユニット26はさらに、ポータブルコンピュータデバイス100と電子ユニット26を相互接続する長さのケーブル104を有するイーサリール(ether reel)102を設けており、実施例ではこの長さはおよそ75乃至150フィート(75−150’)であるが、基本的に状況に適した如何なる長さにもすることができる。このモータ付イーサリール102は、イーサリール102から繰り出されたケーブル104の量、拡大解釈すると、ポータブルコンピュータデバイス100が残りの電子ユニット26からどの程度遠いかを追跡するよう構成されたインクリメンタルエンコーダ(図示せず)を有している。本発明の態様による情報により、検査が走査プロセスを始める前からユーザが装置20から安全距離に居られるだけでなく、以下に詳しく記載するように、発見された爆発物から安全距離にいない場合にユーザに警告するよう使用することもできる。代替的な無線の実施形態では、電子ユニット26とポータブルコンピュータデバイス100はセルラー式、RF、赤外線、または現在既知または後に開発される他の無線送信技術を介してリンクして通信しており、電子ユニット26の空間位置、実質的には近接する対象物体62はGPS、あるいは現在既知または後に開発される他のこのような技術を利用して判断され、ポータブルコンピュータデバイス100と対象物体62の間の距離はそれを基に判断されると理解されたい。更なる安全機構として、オペレータが必要に応じて、装置20を、特にセンサユニット24が高速中性子放射化分析などの中性子走査を伴う実施例では中性子発生器58を直ちに停止させることができるように、ポータブルコンピュータデバイス100に近接しているケーブル104内に配線されたキルスイッチ105があってもよい。
【0048】
上述のように、タワーユニット22、センサユニット24、電子ユニット26はそれぞれ互いに着脱可能に係合するよう構成されており、運搬および保管のために素早く分解したり、対象部位に配置した後に走査を実施すべく再び組み立て直すことができる。従って、装置20を使用するとき、タワーユニット22、センサユニット24、および電子ユニット26はそれぞれ、対象物体62が位置している対象部位へと手動で運搬される。次いで電子ユニット26はタワーユニット22と係合し、図8に示すように展開状態に移動し、さらに、図15に示すようにブレーキパドル90が固定姿勢に移動する。次いでセンサユニット24が拡張アーム38と適切に係合し、装置20が位置している表面の傾斜ならびにセンサユニット24の位置調整に基づいて装置20の重量分布を平衡させるように安定脚部42が適切に配置される。センサユニット24は、タワーカラー34、拡張アーム38、および/または回転プレート71を調整することにより、対象物体62に近接した適切な位置に移動する。上述のように、これらの調整は一実施形態では手動で行われ、代替的な実施形態では電気機械的に行われる。調整が電気機械的に行われる場合、電子ユニット26は触覚ジョイスティック(図示せず)を設けていることが好ましく、ジョイスティックは、ユーザがタワーカラー34、タワーホイール30、安定脚部42、拡張アーム38、回転プレート71、およびセンサユニット24のうち少なくとも1つを正確に制御できるように構成される。
【0049】
対象物体62が、タワーユニット22が移動するには小さすぎる制約された空間内に位置している場合には、本発明はタワーユニット22なしでも使用できることに留意されたい。このような状況では、センサユニット24および電子ユニット26が対象物体62の近くに手動で運ばれて配置される。
【0050】
上述の実施形態それぞれの様々な特徴は、手動および自動/モータ付構成要素の如何なる論理的な組み合わせをも包含することができ、このような組み合わせは本発明の範囲内に含まれるということにも留意されたい。
【0051】
一旦センサユニット24が対象物体62の近くに適切に配置されると、ユーザは電子ユニット26のコンパートメント98からポータブルコンピュータデバイス100を取り外して対象物体62から離れた安全距離に運ぶ。次いでポータブルコンピュータデバイス100を用いて装置20を遠隔的に操作し、走査プロセスを開始する。
【0052】
更なる実施形態では、センサユニット24は、センサハウジング56に装着され、装置20を使用している間にユーザが対象物体62を遠隔的に見る、あるいは走査の対象平面に沿った位置を示すことができるように構成された、カメラまたはレーザまたは他のこのようなデバイス(図示せず)を設けている。レーザを使用するかフライトカメラ(図示せず)の計測時間により、システムがオペレータに対象物体62の形状や距離を自動的に報告することが可能となる。このレーザおよび/またはカメラはポータブルコンピュータデバイス100と通信し、オペレータのコンソールに組み込まれるデータを提供し、その結果、ユーザが対話せねばならないグラフィカルインタフェースの数が減少する。
【0053】
対象物体62の大きさに応じて、装置20は一度の走査または複数回の走査のいずれかで対象物体62を検査することができ、装置20、特にセンサユニット24は、対象物体62全体が検査されるまで次の走査との間に、手動で位置を変えるか電気機械式/自動的の何れかで位置を変えられる。このような位置の変更は、ジョイスティックまたは電子ユニット26に組み込まれる予めプログラムされたアルゴリズムなどの手段によって、あるいはポータブルコンピュータデバイス100のGUIインタフェースを介して実行される。
【0054】
実施例では、センサユニット24は中性子発生器58および検出器60を設けており、装置20は2回走査法を実行することができ、これは前述の指向性および範囲の制約の大部分について解決し、対象物体62のサイズによりセンサユニット24が対象物体62全体を一度の走査で検査することの妨げとなる場合に爆発物または他の違法物質を同定するのに要する時間を減少させる。対象物体62の右上の角および左下の角を電子的または空間的に「作った」後、例えば、電子ユニット26は走査される表面積を計算し、センサユニット24が一連の走査を通して対象物体62全体に及ぶことができる走査パターンを作りだす。
【0055】
センサユニット24は予備密度走査を実施し、中性子発生器58を起動して、検出器60を利用して単に入射したガンマ線の計数率を読み込む。ガンマ計数率は、中性子発生器58および検出器60の前方の物質の密度と比例する。このセンサユニット24は、センサユニット24が重複部を最小限にして各位置に一時停止している間、以前に作りだした走査パターンに沿って手動または自動の何れかで移動する。各位置で得られる計数率データは密度グラフに記録かつプロットされ、このグラフは異なる色に示された異なる密度の位置を用いて、ポータブルコンピュータデバイス100上に対象物体62のマップを表示する。この密度情報は、ユーザによって手動で、あるいは電子ユニット26によってプログラムで、危険な材料の密度と適合する密度の領域を選択するように使用することができる。手動モードでは、ユーザはポータブルコンピュータデバイス100を用いて検査したい位置を選択することができ、その位置は記録される。自動モードでは、ユーザが規定した閾値を上回るか、ユーザが規定した範囲内に合う位置が記録される。
【0056】
センサユニット24は対象物体62上の選択または記録された各位置に自動的に移動し、徹底的な化学分析検査を実施する。組み合わせたり希釈されて数百の変形物を作ることができる多くの基本型の爆発物および違法薬物が存在するが、殆どが水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、塩素(Cl)、およびカリウム(K)成分から構成されている。さらに、これらの物質は幸いにも、1以上の成分特徴について最も一般的な材料から明確に区別されている。例えば窒素ベースの爆発物は、窒素と酸素の割合が比較的に高いことにより識別される。一方、違法薬物は通常、水素と炭素が豊富であり窒素と酸素に乏しい。さらに、殆どの爆発物は、殆どの日常的なHCNO物質よりも高い密度を有している。これらの特徴は、爆発物、違法薬物、および他の対象物体62内側の他の材料の間に隠された禁制品の存在を同定するのに利用することができる。
【0057】
更なる実施形態では、好適な実施形態では追加のプレスクリーニングツールとしてではあるが、既知または開発されたハードウェアを利用するX線、静止画像、あるいは他の光学的または視覚的スクリーニングプロセスを上述の密度走査および付加的または異なるプレスクリーニングツールにおける付加的なオーバーレイとして利用することができ、これは多くの場合、一連の最初にあり、次いでX線または他の走査から事前に検出された異常に基づく密度走査、次いで密度走査の結果に基づく完全な化学検査がある。全てのこのようなスクリーニングデータは、途切れることなく組み合わせて利用できるように、TCP/IPを介して分析すべくプロセッサに移すことができる。
【0058】
実施例の装置20は対象物体62の疑わしい部位にのみ完全な化学分析検査を実施するため、現行の実施形態を用いて走査の合計回数を大幅に減少させることができる。走査回数の減少は結果として、爆発物および違法物質の同定を著しく素早くし、さらに対象物体62内の位置を示すことができる。拡大解釈すると、中性子発生器58の稼働時間が短くなるため、放出される中性子の合計量も著しく減少させることができ、さらに装置20の寿命が延びる。安全性に関して、このように走査の時間および頻度を抑える機能は、環境内の放射線量を低下させ、さらにユーザが対象物体62に繰り返し接近する必要性をなくすため、その結果ユーザは潜在的に危険な物質の近くで過ごす時間を短くすることが可能となり、結果として電離放射線への被爆は低下する。
【0059】
走査データ、既知の走査容積の幾何学形状および対象物体62までの距離から、走査状態にある体積を試算することができる。この情報と化学分析走査の結果から検出された物質の知識をこれらの材料の既知の配合および密度と組み合わせて、対象内にあったとしても爆発物の量を上手く試算することが可能である。この方法は、たとえ非常に少量が検出されたとしても、走査領域の容積を高精度で判定するため、従来の方法よりもはるかに正確となる。
【0060】
上述のように、ポータブルコンピュータデバイス100が遠隔位置に運ばれたときにイーサリール102から繰り出されるケーブル104の量を追跡することで、イーサリール102は電子ユニット26とポータブルコンピュータデバイス100の間の距離を算出することができる。ユーザが対象物体62の破壊範囲またはそれに接近していることの何れにも気付いていない状況では、ユーザおよび近くにいる人々の双方にとって多大な危険がある。
【0061】
実施例では、センサユニット24は中性子発生器58および検出器60を内蔵し、装置20は対象物体62の化学分析検査を実施し、電子ユニット26は上記のような想定される爆発物あるいは他の危険または違法な物質の存在を同定する。さらに、存在する爆発物の種類および量に関連する入手した情報を有する電子ユニット26は、ユーザが入力しなくとも自動的にリアルタイムで、潜在的な爆発半径を効果的に算出することができる。これは、エネルギおよび爆発の性質を含む爆発物の組成特性の予めプログラムされたデータベースを用いて、電子ユニット26により実施される。電子ユニット26が、算出された爆発半径と比較したイーサリール102によって繋がれている相当距離に基づいてユーザが潜在的な爆発半径の範囲内にいると判断した場合、装置20はユーザに適切に警告を発して通知する。この電子ユニット26はさらに、ユーザが安全のために装置20および対象物体62からどの程度離れなければならないかをポータブルコンピュータデバイス100を介して計算し、表示することができる。この「安全距離」情報を用いて、人々が安全を確保するためにどの程度遠くまで避難すべきかを算出することもできる。
【0062】
高速中性子放射化分析の手段による検査を介する装置20は、金属(爆弾の破片または遮蔽物の存在を示しうる)または放射性核種(「ダーティボム」の爆発物と併せて、その存在を示しうる)のような、存在している他の危険物質の種類および量を測定することもできることに留意されたい。従って、電子ユニット26で算出された爆発半径によって、装置20は、金属が存在する場合には爆弾の破片の噴出距離、有害な放射性核種が存在する場合には広い汚染領域の危険効果を考慮する。
【0063】
上述の実施形態それぞれの様々な特徴は、論理的に組み合わせてもよく、それらは本発明の範囲内に含まれることを意図していることに留意されたい。
【0064】
本発明の態様が少なくとも1の実施例を参照して記載されてきたが、当該技術分野における当業者は本発明はそれらに限定されないと明確に理解するであろう。それどころか、本発明の範囲は添付された特許請求の範囲のみと併せて解釈すべきであり、発明者は主張している主題が本発明であると考えていることは明確である。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年7月21日出願の米国仮特許出願第61/227,199号、名称「Portable Detection Apparatus(ポータブル検出装置)」の権利を主張するものであり、その出願日について権利を有する。当該出願の内容は、参照により本書に組み込まれている。
【0002】
本出願人は、本願に記載または言及された如何なる全ての米国特許および米国特許出願をも参照により本書に組み込んでいる。
【0003】
本発明の態様は一般に走査デバイスに関し、より具体的には、爆発物、あるいは他の危険または違法な物質を含有するか否かを判定する、不審物を走査するよう構成されたポータブルの多平面検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0004】
一般的に言えば、麻薬や放射性物質などの他の禁止物質の違法取引の増加に加えて、9/11の攻撃、ロンドンおよびマドリッドの乗物爆破、ムンバイ都市部の攻撃、およびその種の悲劇的な事件を含む増加するテロ活動の最近の傾向は、全ての政府、民間企業、および他の関連団体に、厳しくてより効果的な安全保障策を実施するように重圧を掛けてきた。加えて、膨大な量の現行レベルの海外旅行および貿易は更に、出入国港での貨物検査に付随する問題を既に困難にしている。
【0005】
商品の効率的な移動、ならびに公共輸送機関、航空産業、および観光業の確実性は、乗客、従業員、客、車両、および施設に対する脅威を素早く正確に特定し、情報伝達する機能に大きく依存している。公共輸送システム、交通機関のターミナル、空港、ホテル、ショッピングセンター、および他の大型公共会場は特にテロ攻撃に対して弱く、地域社会全体および国家の安全さえも危険にさらしてしまう。著しい経済的損失および重要設備の遮断は、短時間でさえも混乱を引き起こしうる。不審または放置された小包などによって設備を遮断する一度の出来事は、国の重要な基幹施設の他の重要な部門にまで及ぶ重大な機能的、心理学的(国民の信頼に関して)、および経済的影響を有する。
【0006】
現在、隠された禁制品の検出は主に、X線、蒸気検出、および追跡犬などの技術の利用に基づいている。これらは、含有量、密度、形状、または温度に基づいて物体または含有物質が爆発物、違法物質、または他の禁制品ではないかと推測するため、一般には「異常」検出器とみなされる。しかしながら、異常検出器は「不審な」物品を知らせるために有用である一方、問題の物体または含有物質が実際に爆発物、違法物質、または生物兵器であるか、単なる有害物質であるかを確実に判定することはできない。これを判定する唯一の方法は、物体またはその含有物質を化学分析などの補足検査または2次「確認」検出法にかけることである。例として、X線は多くの利点を有しているため大量の荷物の監視に広く使用されている。X線検出技術の製造は進歩し、比較的安価であり、その機械は適度な大きさであり、その存在は公共の場所にも受け入れられている。しかしながら、X線は、殆どの爆発物および違法薬物を含む有機物質を構成する低電子密度の要素と相互作用する確率が低いという主な欠点を有している。従って、これらの物質全てが、区別できないX線吸収特性または非干渉性の散乱特性を有しうる。さらに、X線スキャナは検査された物体の鮮明な画像ならびに密度による陰影を生成できるが、システムを妨害するために爆発物、違法物質、および他の禁制品を何らかの形状に成形する、あるいは梱包することができる。さらに、X線は特に、禁制品や危険物質を隠すために通常利用される比較的高密度な遮蔽物またはマスクを透かして見る機能はないため、検出漏れしやすい。さらに、X線システムは、キャプチャされた画像のオペレータの読み取りに大きく依存する。新しいX線機械は自動画像認識を組み込んで、オペレータに頼る代わりに画像が不審な物体を示しているか否かを判断するが、これらの機械も含有物を確実に識別することはできないため、疑わしい対象は開けて手動で検査せねばならない。これはX線などの異常検出器による検査を多くの場合に信頼性が低く不確かなものにして、許容しかねる割合の誤報を起こしやすい。
【0007】
従って、世界的な環境およびより正確かつ素早いスクリーニングへの要求事項、およびX線などの異常検出器に課せられた制約および負担は、確証的なスクリーニングを行えるさらに高性能で新しい技術を開発して取り入れる必要性を促してきた。このような代替的な方法の1つは、高透過性の高速中性子およびガンマ線分光による中性子放射化分析を含む。この「確認」技術を利用して、小さい郵便物から大きい貨物コンテナまでのサイズにわたる荷物内の爆発物、放射線核種、(遮蔽物または破片の可能性を示す)金属および特定の化学薬品を含む隠された禁制品や他の危険物質を、例え遮蔽または遮断されていても検出することができる。
【0008】
高速中性子放射化分析などの中性子検査法は通常、検査される物体の原子核に中性子を照射し、固有のガンマ線を放出させるか、検査している中性子のエネルギを変化させることに依存する。この放射線は、これらの要素それぞれに固有の非常に特殊なエネルギで生成される。高分解能検出器はこの放射線を収集し、特殊な電子回路やソフトウェアを介して検出した放射線のスペクトルを生成する。このスペクトルは単に、各エネルギビンにおける計数率である。これらのスペクトルと様々な要素に対して既知のスペクトルとの相関関係を算定することで、対象の組成の化学的同定をすることができる。従って、このプロセスは、対象内の疑わしい物質の存在だけではなく、量(または存在しないこと)を明らかにする。
【0009】
殆どの現実的な場面では、背景要素の影響がある。従って、高速中性子放射化分析法の検出感度や特定性は通常、隠された疑わしい物質のガンマエネルギの特徴を背景と明確に区別する機能に基づいている。このように、疑わしい物質の特徴と、場合によってはそれを囲んでいる大部分の無害な物質による特徴とを高い選択感度で区別するために、物体を慎重に走査せねばならない。さらに、高速中性子放射化分析などの現在の中性子放射化/ガンマ分析法は、指向性と範囲が不十分である。その結果として、広い領域は数回走査する必要があり、ひいては物体を完全に検査するための著しい時間とコンピュータ処理を必要とする。
【0010】
従って、中性子放射化ベースの走査法は多くの問題を提起している。第1に、現在知られている高速中性子放射化分析法を用いて物体全体を正確に走査すると、空港の荷物検査などの特定の状況で実用的に利用するには遅すぎるおそれがある。爆発物がある状況では、効果的な対応を促すためにできる限り早く爆発物を同定する必要がある。第2に、高速中性子放射化分析デバイスが物体を走査する時間が長くなるほど、より多くの中性子放射線が隣接した環境に放出され、その結果近くの人への被爆が増加するという潜在的に有害な状況を作り出してしまう。さらに、設備の観点から、中性子発生器および高分解能検出器の双方とも中性子放射への曝露が増加すると摩耗しやすくなる。第3に、大型の物体を繰り返し走査するために、通常の中性子放射化ベースのスキャナは、次の走査までの間に位置を変えて再開または再起動させるため電源を落とすか停止させねばならず、その結果、物体を完全に検査する時間の量、さらにはユーザが物体の近くで過ごす時間、または位置を変えている間にリスクがある隣接した領域にいる時間が増加する。
【0011】
先行技術の方法による更なる欠点は、中性子放射化分析の走査デバイスは大型で一般に不動式である点である。これらは通常、その大きさにより、乗物の駅、鉄道車両、またはホテルのロビーなどの屋内空間にアクセスできない車両搭載型システムとして、あるいは走査デバイス自体が物体へと移動するのではなく、走査するために対象物体をデバイスに持って行くことが必要な固定型の入口として構成される。例えば、空港の荷物検査の状況では、多くの場合は荷物がコンベアベルトに載せられ、このコンベアベルトが固定した走査デバイスを通って荷物を移動させる。これは空港の荷物検査などの状況では有効となりうるが、物体が公共の場所に、航空機の頭上の荷物入れに、あるいはアクセスが限られた他の空間に放置または放棄されて置かれている小包またはバッグである場合など、不審物を物理的に処理するか移動させることが本質的に危険である他の状況では有効ではない。これは特に、物体が既に不審物として警告され、高い危険性を有している場合に当てはまる。
【0012】
さらに、ユーザが発見された爆発物の破壊範囲または近接していることに気付いていない状況では、ユーザおよび周囲の人々の双方に多くの危険がある。このように、このような走査デバイスの動作では、広い面積にわたってセンサを移動させることを含むデバイスの操作を遠隔的に実行し、人間のオペレータが不審物から離れて、爆発物の場合には潜在的な爆発半径の、放射性核種の場合には潜在的な汚染地域の外側の安全距離に留まれることが必須である。
【0013】
以下の技術は、この分野における現状を規定している。
【0014】
Fenne等による1983年6月7日公開の米国特許第4,387,468号は概して、基部と、基部上の垂直軸を中心に回転する支柱とを具える携帯型X線装置に関するものである。可動台部が上下に移動するように支柱に取り付けられ、アームが可動台部と共に移動するよう可動台部に取り付けられている。アームの一端は、支柱と共に垂直軸を中心に180度にわたって回転するX線チューブヘッドアセンブリである。このチューブヘッドアセンブリは、制御回路のハウジングと共に、X線フィルムカセットビンとX線チューブを操作する制御回路によって釣り合いをとっている。チューブヘッドアセンブリはチューブヘッドがユニット基部の範囲内に上手く収まる保管および運搬姿勢に据えることができ、その結果ユニットの安定性に寄与している。
【0015】
Gomberg等による1990年4月17日公開の米国特許第4,918,315号は概して、隠れた物体を検査および/または調査するシステムおよび方法に関するものであり、物体に単一エネルギの中性子ビームを物体に作用させ、物体から拡散する中性子のエネルギ分布に注目して、拡散した中性子のエネルギ/強度分布を特定の要素の有無と相関させる。本発明を利用して、検査状態にある物体の組成に関する性質的または量的データを入手することができる。
【0016】
Pellegrino等による1996年3月12日公開の米国特許第5,499,284号は概して、平衡した関節X線チューブの支持アームを有する改良型の携帯X線ユニットに関するものであり、これにより支持している可動台部を動かす必要なく、取り付けられたX線チューブを垂直方向に位置調整することができる。改良型の携帯X線ユニットはさらに、移動時にX線チューブを支持可動台部に固定することができ、関節X線アームは関節X線アームを規定の位置に固定できる複数の電磁石駆動型のディスクブレーキを有している。可動台部の移動が必要な場合、2つのひずみゲージアセンブリによって可動台部と係合した力覚ハンドルに力を適用することで可動台部を移動させることができる。ひずみゲージアセンブリはモータ駆動制御回路に信号を提供し、可動台部に対してハンドルに適用された力の方向に、その力に比例して2つの駆動ホイールを推進させる。
【0017】
Vourvopoulosによる、それぞれ1999年11月9日および2003年5月13日に公開された米国特許第5,982,838号および第6,563,898号は概して、中性子照射により爆発物や薬物などの物質を検出するために用いられる方法およびポータブル装置に関するものである。この装置は、ポータブル中性子生成プローブおよび対応するコントローラと、データ収集コンピュータとを有する。このプローブは、物体を検査するために中性子を放出する。このプローブはさらに、高速中性子、熱中性子および中性子放射化反応からガンマ線を収集するガンマ線検出器を有する。これらの検出器から収集されたデータは、検査されている物体が爆発物または違法な禁制品を含有するか否かを判定するため、データのデコンヴォルーションをして物体を同定すべくコンピュータに送信される。
【0018】
Ergun等による1999年12月28日公開の米国特許第6,007,243号は概して、小型の携帯型X線のC型アームシステムに関するものであり、上段にビデオモニタを支持するカートを配置し、カートの前方から開いた下段に他の画像装備を配置する。C型アームはプラットフォーム下側のカートの側面に取り付けられたピボットによって支持されている。C型アームは棚またはビデオモニタを遮ることなく前方に延在することができ、さらに小さい設置面積のカートを可能にしながら平衡がとれた動作を与える。X線源のヒートシンクとしてのC型アームと、更なる回転軸を可能にするスイベルキャスタを使用すると、より小型の構造を作ることが可能となる。
【0019】
Lasiuk等による2008年1月15日公開の米国特許第7,319,738号は概して、パイプラインなどを検査するために用いる携帯型のX線写真デバイスに関するものであり、携帯型の可動台部車に連結された関節空中ブームを具える。回動マウントは空中ブームの遠位端に回転可能に連結される。摺動レールを有するプラットフォームは回動マウントに動作するよう連結される。取付固定具は架台に回転可能に取り付けられ、この架台は同様にプラットフォームの摺動レールに連結される。放射源および放射線検出器は、パイプラインまたは他の物体の外面を放射線で照射するために、固定具とは正反対の側面に取り付けられる。第1の位置調整手段が、パイプラインに対して走査装置を粗く位置調整するために設けられる。第2の位置調整手段が、パイプラインに対して走査装置を精密に位置調整するために設けられる。第2の位置調整手段は、放射源がパイプラインを放射線で照射しているときに遠隔位置から操作できる。第1および第2の位置調整手段は、走査装置を位置調整について多くの自由度を提供する。
【0020】
上述の先行技術は、検査されている物体が爆発物または違法な禁制品を含む特定の要素を含有するか否かを検出するよう構成された、様々な種類の携帯型および/またはポータブル走査デバイスについて教示している。しかしながら、先行技術は、比較的容易に保管および配置ができるだけではなく、物体が比較的制約された空間に位置している場合でも、多くの異なる位置、向きおよび角度、さらには様々な高さで、異なる寸法の物体を遠隔的に走査できるモジュールデザインを有するようなポータブル検出装置については教示していない。本発明の態様はこれらの必要性を満たし、以下の概要に記載するような更に関連する利点を提供している。
【発明の概要】
【0021】
本発明の態様は、構成および使用法について以下に記載する例示的な利点を生じさせる特定の利益を教示している。
【0022】
本発明は、本書で以下に記載するように、爆発物あるいは他の危険または違法な物質を含有するか否かを判定すべく不審物を走査するよう構成されたポータブル検出装置を提供することにより、上述の問題を解決する。
【0023】
一実施例では、この装置はタワーユニットと、センサユニットと、電子ユニットとを具え、運搬および保管の際に比較的素早く分解したり使用時に組み立て直すため、それぞれが互いに着脱可能に係合するよう構成されている。さらに、これらのユニットはそれぞれ、比較的制約された空間で動作できるような大きさに構成されている。このタワーユニットは、比較的垂直な方向を向いたタワー支柱を有し、タワー支柱と摺動かつ回転可能に係合したタワーカラーが付随したタワー基部を具えている。従って、タワーカラーは、タワー支柱の長さを横移動し、その周りを水平方向に360度回転することができる。アームマウントはタワーカラーと回動するよう係合しており、摺動装着型の拡張アームを設けている。この構成により、拡張アームはタワーカラーに対して垂直方向に360度回転することができる。さらに、拡張アームは、センサユニットのセンサ端子を選択的に受けるよう構成されたセンサマウントを提供する。センサユニットはさらに、対象物体を走査する手段を提供する。従って、センサユニットがタワーユニットと係合した状態では、対象物体の垂直方向の位置に拘わらず、対象物体の近くに選択的に配置できるように、センサユニットを広範囲の位置に関節接合することができる。電子ユニットはタワーユニットとも選択的に係合でき、対象物体から離れた安全距離でセンサユニットを遠隔的に操作するよう構成されたポータブルコンピュータデバイスを提供する。
【0024】
使用時、オペレータは、タワーユニット、センサユニットおよび電子ユニットそれぞれを対象物体が位置する場所に運搬する。次いでタワーユニットが対象物体の近くに配置され、電子ユニットがタワー基部と係合して、タワーユニットを安定させて十分な釣合重りを与える。センサユニットは、対象物体の位置や向きに応じて、実質的に水平または垂直の走査方向の何れか一方に拡張アームと選択的に係合する。次いで、この拡張アームは、対象物体を走査する手段が対象物体と実質的に近接して配置されるように選択的に関節接合される。最終的に、ポータブルコンピュータデバイスを対象物体から離れた安全距離に移動させて、対象物体を走査すべくセンサユニットを遠隔的に操作するために使用する。
【0025】
上述の装置および使用方法に固有の主な目的は、先行技術によって教示されていない利点を提供することである。
【0026】
他の目的は、比較的容易に保管および配置することを可能にするだけでなく、物体が比較的制約された空間に位置している場合でさえも、多くの異なる位置、向きおよび角度、さらには様々な高さで物体を走査することを可能にするモジュールデザインを有するような装置を提供することである。
【0027】
更なる目的は、安全距離から遠隔的に操作できるような装置を提供することである。
【0028】
更なる目的は、オペレータが安全のために装置や対象物体からどの程度離れるべきかを判定できるような装置を提供することである。
【0029】
本発明の態様の他の特徴および利点は、例示により本発明の態様の原理を示す添付の図面と組み合わせて、以下の詳述から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
添付の図面は、本発明の態様を図示している。
【図1】図1は、本発明の実施例の側面図であり、本発明を組み立てた状態および分解した状態の双方を示している。
【図2】図2は、本発明の正面図である。
【図3】図3は、本発明の側面図である。
【図4】図4は、本発明の背面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例のタワーユニットと係合した一対の安定脚部の詳細図である。
【図6】図6は、タワーユニットのシーケンス図であり、タワーユニットの拡張アームが耐えうる広範囲の回転姿勢を図示している。
【図7】図7は、展開状態と運搬状態の間で移行しているときのタワーユニットのシーケンス図である。
【図8】図8は、本発明のシーケンス図であり、電子ユニットとタワーユニットの間の係合を図示している。
【図9】図9は、本発明の実施例の詳細図であり、対象物体を走査するセンサユニットの様々な位置調整機能を図示している。
【図10】図10は、タワーユニットの拡張アームと係合する補助マウントを有する、本発明のさらなる実施例の側面図である。
【図11】図11は、タワーユニットの拡張アームと係合する補助マウントを有する、本発明のさらなる実施例の側面図である。
【図12】図12は、電子ユニットの透視図である。
【図13】図13は、本発明の側面図である。
【図14】図14は、本発明の側面図である。
【図15】図15は、本発明の詳細な斜視図である。
【図16】図16は、本発明の実施例の部分的に分解した斜視図である。
【図17】図17は、本発明の更なる実施例のシーケンス図であり、補助マウントに取り付けられたときに拡張アームを中心に360度全体に回転するセンサユニットの能力を図示している。
【図18】図18は、本発明の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
上述の図面は実施例の少なくとも1つにおける本発明の態様を図示しており、さらに以下の説明に詳しく規定されている。
【0032】
ここで図1を見てみると、ポータブル検出装置20の実施例の側面図が示されている。この実施例では、この装置20はタワーユニット22と、センサユニット24と、電子ユニット26とを具えており、図1−4に最適に図示されているように、それぞれ互いに着脱可能に係合するよう構成されている。従って、これらの3つのモジュールユニット22、24および26は、運搬および保管のために素早く解体したり、対象部位に配置した後に走査を実行すべく組み立て直すことができる。さらに、ユニット22、24および26はそれぞれ、民間航空機の通路といった比較的制約された空間にも装置20が適合できるよう十分に小型で細い。
【0033】
図1−4を続けて参照すると、実施例では、タワーユニット22は、一組の対向するタワーホイール30を有するタワー基部28と、比較的垂直方向を向いた直線的に駆動するタワー支柱32とを具えている。タワーカラー34はタワー支柱32と摺動かつ回転可能に係合し、その結果、タワーカラー34はタワー支柱32の長さを横移動し、その周りを水平方向に360度回転することができる。さらに、アームマウント36がタワーカラー34と回動するように係合し、センサユニット24と着脱可能に係合するよう構成された、摺動装着型の拡張アーム38を設けており、このような係合については以下に詳しく説明している。図6に示すシーケンスは、拡張アーム38が耐えうる広範囲の回転姿勢を図示している。タワーカラー34に連結されているため、拡張アーム38はさらに、タワー支柱32の長さを横移動し、さらにその周りを水平方向に360度回転できる。さらに、拡張アーム38は、アームマウント36を介して垂直方向に360度回動し、アームマウント36の長さを横移動することができる。一実施形態では、タワーカラー34および拡張アーム38の双方の移動および位置調整は、固定ピン40、あるいは現在既知または後に開発される他の手段などを用いて手動で実現する。他の実施形態では、タワーカラー34および拡張アーム38の移動および位置調整は、線形アクチュエータあるいは現在既知または後に開発される他の手段などの動力を介して実現する。
【0034】
図5に最適に示すように、一対の対向する安定脚部42がタワー基部28と回動するように係合し、使用時にタワーユニット22を安定させるために安定脚部42が伸長している展開状態と、タワーユニット22の運搬時に安定脚部42が内側に折り畳まれた格納状態の間で選択的に動くよう構成されている。実施例では、安定脚部42はそれぞればね荷重の自在継手44によってタワー基部28に固定され、互いに回動するよう接続された少なくとも2の伸長脚部46を具えている。従って、図5に例示するように、安定脚部42は使用時の装置20の重量分布を適切に安定化させて平衡させるために幅広い位置に移動することができ、この重量分布は装置20が配置される表面の傾斜、更にはセンサユニット24の位置調整を含む多数の要因に左右される。代替的な実施形態では、装置20は更なる安定脚部または使用時に本発明を安定化させる他の手段を提供しうることに留意されたい。一実施形態では、安定脚部42の移動および位置調整は手動で実現する。他の実施形態では自動で実現する。図5に最もよく示すように、安定脚部42はさらに一組の選択的に伸長する安定脚末部48を設けることが好ましく、装置20が平坦でない表面に配置された場合に安定脚部42に必要な高さを加えるよう構成されている。一実施形態では、安定脚末部48は手動で伸長する。他の実施形態では、安定脚末部48は、ばね荷重の自己固定機構、あるいは現在既知または後に開発される他の手段などを用いて自動的に伸長する。さらに、安定脚末部48はゴムまたは他のパッドのように図示されているが、脚末部48の1以上はその代わりに、特に単独の(センサユニット24および/または電子ユニット26がない)状態で、タワーユニット22の支持および移動を容易にするキャスターとして構成されてもよい。
【0035】
続けて図5を参照すると、タワーユニット22はさらに、タワー支柱32の上端部52と係合し、タワーユニット22の運搬を補助するように構成された一組の格納式タワーハンドル50を設けることが好ましい。図7のシーケンスに最もよく図示されているように、タワーユニット22を運搬するため、タワーハンドル50は単に伸長し、タワーユニット22はタワーホイール30の後方へと傾き、その結果ユーザはタワーユニット22を展開または保管する姿勢に動かすことができる。
【0036】
図1に最適に図示されているように、タワー基部28はさらに、電子ユニット26と着脱可能に係合するよう構成された基部フック54を設けており、このような係合については以下に詳しく説明する。
【0037】
再び図1を続けて参照すると、実施例では、センサユニット24は、中性子発生器58と高分解能検出器60を設けているセンサハウジング56(図9)を具えている。図9に最適に示すように、中性子発生器58および検出器60は、センサハウジング56の同一側面に位置していることが好ましく、これにより、センサユニット24が対象物体62に接近している場合、センサユニット24の位置を変える必要なく中性子発生器58および検出器60の双方とも対象物体62の同一部位に動作できる。実施例のセンサユニット24は、速中性子放射化分析などの原子核走査法を実施するために中性子発生器58および検出器60を設けているが、センサユニット24は、X線走査などの他の種類の走査法を実施するために、代替的な実施形態において他の種類の走査ハードウェアを設けてもよいことに留意されたい。このように、本発明は高速中性子放射化分析の走査等にのみ限定されるものではなく、現在既知または後に開発される走査または検出法と併せて利用することもできると理解されたい。
【0038】
実施例では、センサハウジング56はさらに、他方から実質的に90度離れており、拡張アーム38に配置されたセンサマウント68と着脱可能に係合するよう構成された、水平センサ端子64および垂直センサ端子66をそれぞれ設けている。一実施形態では、図9に最適に示すように、センサマウント68は二重ピンとして構成されており、水平および垂直センサ端子64および66はそれぞれ対応する二重ピン端子として構成されている。代替的な実施形態では、センサマウント68は、現在既知または後に開発される、センサハウジング56と着脱可能に係合するように拡張アーム38上で機能する他の手段であってもよい。続けて図9を参照すると、センサマウント68が水平センサ端子64と係合した場合、センサユニット24は「外側を見る」姿勢となり、水平方向に対象物体62を走査することができる。代替的に、センサマウント68が垂直センサ端子66と係合した場合、センサユニット24は「上を見る」または「下を見る」姿勢となり、垂直方向すなわち対象物体62の上側または下側から対象物体62を走査することができる。さらに、上述のように、センサユニット24は拡張アーム38に着脱可能に装着されているため、センサユニット24は、アームマウント36を介して垂直方向に360度回動することに加えて、タワー支柱32の長さを横移動し、さらにその周りを水平方向に360度回転することができる。従って、センサユニット24は、比較的制約された空間でさえ、多くの異なる姿勢/向きおよび角度から様々な高さで対象物体62を走査することができる。
【0039】
更なる実施形態では、センサマウント68は拡張アーム38と摺動するよう係合しており、センサユニット24は拡張アーム38の長さを横移動することが可能となり、その結果センサユニット24が走査できる最大高さは増加する。
【0040】
図10および11に示すように、補助的な「立ち上がりプレート」マウント70を拡張アーム38の端部72に係合させてもよい。従って、拡張アーム38が比較的垂直方向を向いてセンサユニット24が補助マウント70と係合した状態では、センサユニット24は、水平か垂直方向、すなわち「外側を向いて」いようと「上を向いて」いようとさらに高い地点で走査することができる。図17および18を参照すると、更なる実施形態では、補助マウント70は拡張アーム38の端部72と回動するよう係合している回転プレート71を有しており、その結果、図18に最適に示されているように、補助マウント70に取り付けられた場合にセンサユニット24は拡張アーム38の端部の周りを完全に360度回転することが可能となる。従って、回転プレート71はセンサユニット24のスタッキング姿勢に回転機能を加え、これにより走査装置20が最大高さで動作しているときも水平方向の回転は失われない。最終的に、本発明の態様によると更に代替的な実施形態では、センサユニット24は、特に民間航空機の乗客キャビンの頭上の荷物入れのような困難な空間を考慮して、比較的幅広く異なる高さにおいても狭い範囲の定位置に就くことができる。再び、当該技術分野の当業者は、立ち上がり回転プレート71が特定の機械的構成の状態で図示および記載されているが、本発明の概念および範囲から逸脱することなく、現在既知または後に開発される他のこのような構造的要素を利用してもよいということを理解するであろう。
【0041】
センサユニット24はさらに、装置20の使用時にセンサユニット24の現在の向きを判断するよう構成されたジャイロスコープ(図示せず)を設けることが好ましい。この情報は対象物体62の走査をより正確に実施するよう補助し、さらに走査が始まる前に装置20を適切に安定化させるよう確保する。
【0042】
タワーユニット22と同様に、センサユニット24は一対のセンサホイール74と格納式のセンサハンドル76(図9)を設けており、装置20を分解したときにセンサユニット24を容易に所望の目的地に運搬することが可能となる。
【0043】
図12−15に示すように、実施例では電子ユニット26は電子ハウジング78を具えており、この電子ハウジング78は、細長いハウジングシャフト80と摺動可能に係合し、電子ハウジング78がハウジングシャフト80の遠位端82の方へと移動してハウジングシャフト80の近位端84が露出する展開状態(図14および15)と、電子ハウジング78が近位端84の方へと移動した格納状態(図12および13)の間で移動するよう構成されている。安定脚部42と同様に、電子ハウジング78の展開状態は、使用時の装置20の重量分布を適切に安定化させて平衡させるように構成されている。
【0044】
図15に最適に示すように、ハウジングシャフト80の遠位端82は、電子ハウジング78を適切に配置し、ハウジングシャフト80上での動作を制限するハウジングストッパ86を設けている。近位端84は係合ロッド88を設けており、これは装置20の使用時にタワーユニット22の基部フック54(図1)と着脱可能に係合するよう構成されている。近位端84はさらにブレーキパドル90を設けており、これはブレーキパドル90が固定位置へと下方に回転したときに、展開状態にある電子ハウジング78を選択的に固定するよう構成されている。ブレーキパドル90はさらに、ブレーキパドル90が固定位置にあるときにタワーホイール30と係合して回転固定するよう構成された一組のホイールロック92を具備している。従って、ブレーキパドル90は、装置20を使用している間、電子ハウジング78が展開状態にあり、タワーユニット22が定置状態となるよう確保する。
【0045】
さらに、タワーユニット22およびセンサユニット24と同様に、電子ユニット26は一対の電子ホイール94と電子ハンドル96(図14)を設けており、装置20を分解したときに電子ユニット26を所望の目的地へと容易に運搬することが可能となる。
【0046】
電子ユニット26はセンサユニット24と通信し、これによりその間のデータ交換およびコマンドが可能となる。この通信は、現在既知または後に開発されるいかなる種類の有線または無線通信プロトコルを介して実現することができる。図12に示すように、電子ハウジング78は、ラップトップコンピュータなどのポータブルコンピュータデバイス100を保管するよう構成されたコンパートメント98を設けることが好ましい。好適な実施形態では、装置20は、ポータブルコンピュータデバイス100のグラフィカルユーザインタフェース(「GUI」)を介して制御される。装置20を保管および運搬している間、ポータブルコンピュータデバイス100はコンパートメント98に保管され、装置20を配置して使用する場合には、ポータブルコンピュータデバイス100は、以下に詳しく記載されているように、ユーザが安全に装置20を操作するために取り外されて、遠隔位置へと運ばれる。
【0047】
実施例では、図16に最適に示すように、電子ユニット26はさらに、ポータブルコンピュータデバイス100と電子ユニット26を相互接続する長さのケーブル104を有するイーサリール(ether reel)102を設けており、実施例ではこの長さはおよそ75乃至150フィート(75−150’)であるが、基本的に状況に適した如何なる長さにもすることができる。このモータ付イーサリール102は、イーサリール102から繰り出されたケーブル104の量、拡大解釈すると、ポータブルコンピュータデバイス100が残りの電子ユニット26からどの程度遠いかを追跡するよう構成されたインクリメンタルエンコーダ(図示せず)を有している。本発明の態様による情報により、検査が走査プロセスを始める前からユーザが装置20から安全距離に居られるだけでなく、以下に詳しく記載するように、発見された爆発物から安全距離にいない場合にユーザに警告するよう使用することもできる。代替的な無線の実施形態では、電子ユニット26とポータブルコンピュータデバイス100はセルラー式、RF、赤外線、または現在既知または後に開発される他の無線送信技術を介してリンクして通信しており、電子ユニット26の空間位置、実質的には近接する対象物体62はGPS、あるいは現在既知または後に開発される他のこのような技術を利用して判断され、ポータブルコンピュータデバイス100と対象物体62の間の距離はそれを基に判断されると理解されたい。更なる安全機構として、オペレータが必要に応じて、装置20を、特にセンサユニット24が高速中性子放射化分析などの中性子走査を伴う実施例では中性子発生器58を直ちに停止させることができるように、ポータブルコンピュータデバイス100に近接しているケーブル104内に配線されたキルスイッチ105があってもよい。
【0048】
上述のように、タワーユニット22、センサユニット24、電子ユニット26はそれぞれ互いに着脱可能に係合するよう構成されており、運搬および保管のために素早く分解したり、対象部位に配置した後に走査を実施すべく再び組み立て直すことができる。従って、装置20を使用するとき、タワーユニット22、センサユニット24、および電子ユニット26はそれぞれ、対象物体62が位置している対象部位へと手動で運搬される。次いで電子ユニット26はタワーユニット22と係合し、図8に示すように展開状態に移動し、さらに、図15に示すようにブレーキパドル90が固定姿勢に移動する。次いでセンサユニット24が拡張アーム38と適切に係合し、装置20が位置している表面の傾斜ならびにセンサユニット24の位置調整に基づいて装置20の重量分布を平衡させるように安定脚部42が適切に配置される。センサユニット24は、タワーカラー34、拡張アーム38、および/または回転プレート71を調整することにより、対象物体62に近接した適切な位置に移動する。上述のように、これらの調整は一実施形態では手動で行われ、代替的な実施形態では電気機械的に行われる。調整が電気機械的に行われる場合、電子ユニット26は触覚ジョイスティック(図示せず)を設けていることが好ましく、ジョイスティックは、ユーザがタワーカラー34、タワーホイール30、安定脚部42、拡張アーム38、回転プレート71、およびセンサユニット24のうち少なくとも1つを正確に制御できるように構成される。
【0049】
対象物体62が、タワーユニット22が移動するには小さすぎる制約された空間内に位置している場合には、本発明はタワーユニット22なしでも使用できることに留意されたい。このような状況では、センサユニット24および電子ユニット26が対象物体62の近くに手動で運ばれて配置される。
【0050】
上述の実施形態それぞれの様々な特徴は、手動および自動/モータ付構成要素の如何なる論理的な組み合わせをも包含することができ、このような組み合わせは本発明の範囲内に含まれるということにも留意されたい。
【0051】
一旦センサユニット24が対象物体62の近くに適切に配置されると、ユーザは電子ユニット26のコンパートメント98からポータブルコンピュータデバイス100を取り外して対象物体62から離れた安全距離に運ぶ。次いでポータブルコンピュータデバイス100を用いて装置20を遠隔的に操作し、走査プロセスを開始する。
【0052】
更なる実施形態では、センサユニット24は、センサハウジング56に装着され、装置20を使用している間にユーザが対象物体62を遠隔的に見る、あるいは走査の対象平面に沿った位置を示すことができるように構成された、カメラまたはレーザまたは他のこのようなデバイス(図示せず)を設けている。レーザを使用するかフライトカメラ(図示せず)の計測時間により、システムがオペレータに対象物体62の形状や距離を自動的に報告することが可能となる。このレーザおよび/またはカメラはポータブルコンピュータデバイス100と通信し、オペレータのコンソールに組み込まれるデータを提供し、その結果、ユーザが対話せねばならないグラフィカルインタフェースの数が減少する。
【0053】
対象物体62の大きさに応じて、装置20は一度の走査または複数回の走査のいずれかで対象物体62を検査することができ、装置20、特にセンサユニット24は、対象物体62全体が検査されるまで次の走査との間に、手動で位置を変えるか電気機械式/自動的の何れかで位置を変えられる。このような位置の変更は、ジョイスティックまたは電子ユニット26に組み込まれる予めプログラムされたアルゴリズムなどの手段によって、あるいはポータブルコンピュータデバイス100のGUIインタフェースを介して実行される。
【0054】
実施例では、センサユニット24は中性子発生器58および検出器60を設けており、装置20は2回走査法を実行することができ、これは前述の指向性および範囲の制約の大部分について解決し、対象物体62のサイズによりセンサユニット24が対象物体62全体を一度の走査で検査することの妨げとなる場合に爆発物または他の違法物質を同定するのに要する時間を減少させる。対象物体62の右上の角および左下の角を電子的または空間的に「作った」後、例えば、電子ユニット26は走査される表面積を計算し、センサユニット24が一連の走査を通して対象物体62全体に及ぶことができる走査パターンを作りだす。
【0055】
センサユニット24は予備密度走査を実施し、中性子発生器58を起動して、検出器60を利用して単に入射したガンマ線の計数率を読み込む。ガンマ計数率は、中性子発生器58および検出器60の前方の物質の密度と比例する。このセンサユニット24は、センサユニット24が重複部を最小限にして各位置に一時停止している間、以前に作りだした走査パターンに沿って手動または自動の何れかで移動する。各位置で得られる計数率データは密度グラフに記録かつプロットされ、このグラフは異なる色に示された異なる密度の位置を用いて、ポータブルコンピュータデバイス100上に対象物体62のマップを表示する。この密度情報は、ユーザによって手動で、あるいは電子ユニット26によってプログラムで、危険な材料の密度と適合する密度の領域を選択するように使用することができる。手動モードでは、ユーザはポータブルコンピュータデバイス100を用いて検査したい位置を選択することができ、その位置は記録される。自動モードでは、ユーザが規定した閾値を上回るか、ユーザが規定した範囲内に合う位置が記録される。
【0056】
センサユニット24は対象物体62上の選択または記録された各位置に自動的に移動し、徹底的な化学分析検査を実施する。組み合わせたり希釈されて数百の変形物を作ることができる多くの基本型の爆発物および違法薬物が存在するが、殆どが水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、塩素(Cl)、およびカリウム(K)成分から構成されている。さらに、これらの物質は幸いにも、1以上の成分特徴について最も一般的な材料から明確に区別されている。例えば窒素ベースの爆発物は、窒素と酸素の割合が比較的に高いことにより識別される。一方、違法薬物は通常、水素と炭素が豊富であり窒素と酸素に乏しい。さらに、殆どの爆発物は、殆どの日常的なHCNO物質よりも高い密度を有している。これらの特徴は、爆発物、違法薬物、および他の対象物体62内側の他の材料の間に隠された禁制品の存在を同定するのに利用することができる。
【0057】
更なる実施形態では、好適な実施形態では追加のプレスクリーニングツールとしてではあるが、既知または開発されたハードウェアを利用するX線、静止画像、あるいは他の光学的または視覚的スクリーニングプロセスを上述の密度走査および付加的または異なるプレスクリーニングツールにおける付加的なオーバーレイとして利用することができ、これは多くの場合、一連の最初にあり、次いでX線または他の走査から事前に検出された異常に基づく密度走査、次いで密度走査の結果に基づく完全な化学検査がある。全てのこのようなスクリーニングデータは、途切れることなく組み合わせて利用できるように、TCP/IPを介して分析すべくプロセッサに移すことができる。
【0058】
実施例の装置20は対象物体62の疑わしい部位にのみ完全な化学分析検査を実施するため、現行の実施形態を用いて走査の合計回数を大幅に減少させることができる。走査回数の減少は結果として、爆発物および違法物質の同定を著しく素早くし、さらに対象物体62内の位置を示すことができる。拡大解釈すると、中性子発生器58の稼働時間が短くなるため、放出される中性子の合計量も著しく減少させることができ、さらに装置20の寿命が延びる。安全性に関して、このように走査の時間および頻度を抑える機能は、環境内の放射線量を低下させ、さらにユーザが対象物体62に繰り返し接近する必要性をなくすため、その結果ユーザは潜在的に危険な物質の近くで過ごす時間を短くすることが可能となり、結果として電離放射線への被爆は低下する。
【0059】
走査データ、既知の走査容積の幾何学形状および対象物体62までの距離から、走査状態にある体積を試算することができる。この情報と化学分析走査の結果から検出された物質の知識をこれらの材料の既知の配合および密度と組み合わせて、対象内にあったとしても爆発物の量を上手く試算することが可能である。この方法は、たとえ非常に少量が検出されたとしても、走査領域の容積を高精度で判定するため、従来の方法よりもはるかに正確となる。
【0060】
上述のように、ポータブルコンピュータデバイス100が遠隔位置に運ばれたときにイーサリール102から繰り出されるケーブル104の量を追跡することで、イーサリール102は電子ユニット26とポータブルコンピュータデバイス100の間の距離を算出することができる。ユーザが対象物体62の破壊範囲またはそれに接近していることの何れにも気付いていない状況では、ユーザおよび近くにいる人々の双方にとって多大な危険がある。
【0061】
実施例では、センサユニット24は中性子発生器58および検出器60を内蔵し、装置20は対象物体62の化学分析検査を実施し、電子ユニット26は上記のような想定される爆発物あるいは他の危険または違法な物質の存在を同定する。さらに、存在する爆発物の種類および量に関連する入手した情報を有する電子ユニット26は、ユーザが入力しなくとも自動的にリアルタイムで、潜在的な爆発半径を効果的に算出することができる。これは、エネルギおよび爆発の性質を含む爆発物の組成特性の予めプログラムされたデータベースを用いて、電子ユニット26により実施される。電子ユニット26が、算出された爆発半径と比較したイーサリール102によって繋がれている相当距離に基づいてユーザが潜在的な爆発半径の範囲内にいると判断した場合、装置20はユーザに適切に警告を発して通知する。この電子ユニット26はさらに、ユーザが安全のために装置20および対象物体62からどの程度離れなければならないかをポータブルコンピュータデバイス100を介して計算し、表示することができる。この「安全距離」情報を用いて、人々が安全を確保するためにどの程度遠くまで避難すべきかを算出することもできる。
【0062】
高速中性子放射化分析の手段による検査を介する装置20は、金属(爆弾の破片または遮蔽物の存在を示しうる)または放射性核種(「ダーティボム」の爆発物と併せて、その存在を示しうる)のような、存在している他の危険物質の種類および量を測定することもできることに留意されたい。従って、電子ユニット26で算出された爆発半径によって、装置20は、金属が存在する場合には爆弾の破片の噴出距離、有害な放射性核種が存在する場合には広い汚染領域の危険効果を考慮する。
【0063】
上述の実施形態それぞれの様々な特徴は、論理的に組み合わせてもよく、それらは本発明の範囲内に含まれることを意図していることに留意されたい。
【0064】
本発明の態様が少なくとも1の実施例を参照して記載されてきたが、当該技術分野における当業者は本発明はそれらに限定されないと明確に理解するであろう。それどころか、本発明の範囲は添付された特許請求の範囲のみと併せて解釈すべきであり、発明者は主張している主題が本発明であると考えていることは明確である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物体が爆発物あるいは他の危険または違法な物質を含有しているか否かを判定すべく対象物体を走査するポータブル検出装置において、当該装置が:
タワーユニットであって:
比較的垂直方向を向いたタワー支柱を有するタワー基部と;
前記タワー支柱と摺動かつ回転可能に係合するタワーカラーであって、前記タワー支柱の長さを横移動し、その周りを水平方向に回転できるタワーカラーと;
前記タワーカラーと回動するよう係合し、摺動可能に装着された拡張アームを設けているアームマウントであって、前記拡張アームは前記タワーカラーに対して垂直方向に回転できるアームマウントと;
前記拡張アームに配置されるセンサマウントとを具えるタワーユニットと;
前記タワーユニットと選択的に係合できるセンサユニットであって:
前記対象物体を走査する手段を提供しているセンサハウジングと;
前記センサハウジングに配置され、前記センサマウントと選択的に係合するよう構成されている少なくとも1のセンサ端子とを具えるセンサユニットと;
前記タワーユニットと選択的に係合し、前記センサユニットを操作するよう構成された電子ユニットとを具えており;
前記タワーユニット、センサユニットおよび電子ユニットは、比較的制約された空間内で動作できるようなサイズに構成されており、比較的容易に運搬および保管のために分解したり、配置した後に走査を実行すべく組み立て直すことができることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記電子ユニットが、細長いハウジングシャフト上で摺動可能に係合し、使用時に当該装置の重量分布を安定化させて平衡させるよう構成された電子ハウジングを具えることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載のポータブル検出装置において、前記タワー基部が、前記ハウジングシャフトの係合ロッドと着脱可能に係合するよう構成された基部フックを設けていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項4】
請求項2に記載のポータブル検出装置において、前記電子ハウジングが、前記センサユニットを操作するポータブルコンピュータデバイスを格納するよう構成されたコンパートメントを設けていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載のポータブル検出装置において、前記電子ハウジングがさらに、前記ポータブルコンピュータデバイスと電子ユニットを相互接続する長さのケーブルを有するイーサリールを提供しており、前記イーサリールは、前記ポータブルコンピュータデバイスが遠隔位置に運ばれたときに当該イーサリールから繰り出される前記ケーブルの量を追跡することにより、前記電子ユニットと前記ポータブルコンピュータデバイスの間の距離を測定するよう構成されていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載のポータブル検出装置において、オペレータが必要に応じて前記センサユニットを直ちに停止させることができるように、キルスイッチが前記ポータブルコンピュータデバイスに近接した前記ケーブル内に組み込まれていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、一対の対向する安定脚部が、前記タワー基部と回動するよう係合し、使用時に前記タワーユニットを安定させるべく前記安定脚部が伸長した展開状態と、前記タワーユニットの運搬時に前記安定脚部が内側に折り畳まれた格納状態の間で選択的に移動するよう構成されていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項8】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記対象物体を走査する手段が、中性子発生器と高分解能検出器を具えていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載のポータブル検出装置において、前記中性子発生器および検出器が互いに近接して配置されており、これにより使用時、前記センサユニットの位置を変える必要なく、それぞれが前記対象物体の同一部分に動作できることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項10】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記センサマウントが二重ピンとして構成されており、前記少なくとも1のセンサ端子が対応する二重ピン端子として構成されていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項11】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記少なくとも1のセンサ端子が、前記センサユニットが前記対象物体を実質的に水平方向に走査できるよう構成された水平センサ端子、および前記センサユニットが前記対象物体を実質的に垂直方向に走査できるよう構成された垂直センサ端子であることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項12】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記センサマウントが前記拡張アームと摺動可能に係合しており、前記タワーユニットの位置を変える必要なく前記センサユニットが動作できる最大範囲を増加させるべく、前記センサユニットは前記拡張アームの長さを横移動できることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項13】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記拡張アームの端部が、前記拡張アームが実質的に垂直方向を向いているときに前記センサユニットを選択的に受けるよう構成された補助マウントを設けており、その結果、前記センサユニットが動作できる最大高さが増加することを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項14】
請求項13に記載のポータブル検出装置において、前記補助マウントが前記拡張アームの端部と回動するよう係合しており、前記センサユニットは前記補助マウントと係合しているときに、その端部の周りを水平方向に回転できることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項15】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記タワーユニット、センサユニットおよび電子ユニットがそれぞれ一対のホイールおよび格納型ハンドルを設け、運搬および配置を補助することを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項16】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記センサユニットがさらに、当該装置の使用時に前記センサユニットの向きを測定するよう構成されたジャイロスコープを設けていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項17】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記センサユニットがさらに、当該装置の使用時にユーザが前記対象物体を遠隔的に見る、あるいは走査する対象平面に沿ってその位置を示すことができる手段を設けていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項18】
対象物体が爆発物あるいは他の危険または違法な物質を含有しているか否かを判定すべく対象物体を走査するポータブル検出装置において、当該装置が:
タワーユニットであって:
比較的垂直方向を向いたタワー支柱を有するタワー基部と;
前記タワー支柱と摺動かつ回転可能に係合するタワーカラーであって、前記タワー支柱の長さを横移動し、その周りを水平方向に回転できるタワーカラーと;
前記タワーカラーと回動するよう係合し、摺動可能に装着された拡張アームを設けているアームマウントであって、前記拡張アームは前記タワーカラーに対して垂直方向に回転できるアームマウントと;
前記拡張アームに配置されるセンサマウントとを具えるタワーユニットと;
センサユニットであって:
前記対象物体を走査する手段を提供しているセンサハウジングと;
前記センサハウジングに配置され、前記センサマウントと選択的に係合するよう構成されている水平センサ端子であって、当該センサユニットが前記対象物体を実質的に水平方向に走査できるようにする水平センサ端子と;
前記水平センサ端子からほぼ90度離れて前記センサハウジングに配置され、前記センサマウントと選択的に係合するよう構成されている垂直センサ端子であって、当該センサユニットが前記対象物体を実質的に垂直方向に走査できるようにする垂直センサ端子とを具えるセンサユニットと;
前記タワーユニットと選択的に係合する電子ユニットであって:
前記センサユニットを操作するポータブルコンピュータデバイスを格納するよう構成されたコンパートメントを設けている電子ハウジングと;
前記ポータブルコンピュータデバイスと前記電子ハウジングの間の空間的な距離を測定する手段とを具えている電子ユニットとを具えており;
前記タワーユニット、センサユニットおよび電子ユニットが、比較的制約された空間内で動作できるようなサイズに構成されており、比較的容易に運搬および保管のために分解したり、配置した後に走査を実施すべく組み立て直すことができることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項19】
対象物体が爆発物あるいは他の危険または違法な物質を含有しているか否かを判定すべく対象物体を走査する方法において、当該方法が:
タワーユニット、センサユニットおよび電子ユニットそれぞれを前記対象物体が位置する場所に運搬するステップと;
前記タワーユニットを前記対象物体に近接して配置するステップと;
前記電子ユニットを前記タワーユニットのタワー基部と係合させるステップと;
前記センサユニットを、前記タワーユニットのタワー支柱に摺動かつ回転可能に装着されたタワーカラー自体に回転可能に取り付けられた拡張アームに係合させるステップと;
前記センサユニットの前記対象物体を走査する手段が前記対象物体と実質的に近接して配置されるように、前記拡張アームおよびタワーカラーを関節接合するステップと;
前記電子ユニットのポータブルコンピュータデバイスを前記対象物体から離れた安全距離に移動させるステップと;
前記対象物体を走査するため、前記ポータブルコンピュータデバイスを用いて前記センサユニットを遠隔的に操作するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法がさらに:
前記センサユニットが一連の走査を経て前記対象物体の全体を通過できるよう、前記対象物体の表面積に基づく走査パターンを作りだすステップと;
前記走査パターンに沿って前記対象物体の予備密度走査を実施し、密度グラフを作るステップと;
既知の爆発物または他の違法物質の密度と潜在的に一致する前記密度グラフの領域を同定するステップと;
前記対象物体の同定された領域に詳細な化学分析検査を実施し、爆発物または他の違法物質の実際の存在を判定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
対象物体が爆発物あるいは他の危険または違法な物質を含有しているか否かを判定すべく対象物体を走査するポータブル検出装置において、当該装置が:
タワーユニットであって:
比較的垂直方向を向いたタワー支柱を有するタワー基部と;
前記タワー支柱と摺動かつ回転可能に係合するタワーカラーであって、前記タワー支柱の長さを横移動し、その周りを水平方向に回転できるタワーカラーと;
前記タワーカラーと回動するよう係合し、摺動可能に装着された拡張アームを設けているアームマウントであって、前記拡張アームは前記タワーカラーに対して垂直方向に回転できるアームマウントと;
前記拡張アームに配置されるセンサマウントとを具えるタワーユニットと;
前記タワーユニットと選択的に係合できるセンサユニットであって:
前記対象物体を走査する手段を提供しているセンサハウジングと;
前記センサハウジングに配置され、前記センサマウントと選択的に係合するよう構成されている少なくとも1のセンサ端子とを具えるセンサユニットと;
前記タワーユニットと選択的に係合し、前記センサユニットを操作するよう構成された電子ユニットとを具えており;
前記タワーユニット、センサユニットおよび電子ユニットは、比較的制約された空間内で動作できるようなサイズに構成されており、比較的容易に運搬および保管のために分解したり、配置した後に走査を実行すべく組み立て直すことができることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記電子ユニットが、細長いハウジングシャフト上で摺動可能に係合し、使用時に当該装置の重量分布を安定化させて平衡させるよう構成された電子ハウジングを具えることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載のポータブル検出装置において、前記タワー基部が、前記ハウジングシャフトの係合ロッドと着脱可能に係合するよう構成された基部フックを設けていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項4】
請求項2に記載のポータブル検出装置において、前記電子ハウジングが、前記センサユニットを操作するポータブルコンピュータデバイスを格納するよう構成されたコンパートメントを設けていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載のポータブル検出装置において、前記電子ハウジングがさらに、前記ポータブルコンピュータデバイスと電子ユニットを相互接続する長さのケーブルを有するイーサリールを提供しており、前記イーサリールは、前記ポータブルコンピュータデバイスが遠隔位置に運ばれたときに当該イーサリールから繰り出される前記ケーブルの量を追跡することにより、前記電子ユニットと前記ポータブルコンピュータデバイスの間の距離を測定するよう構成されていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載のポータブル検出装置において、オペレータが必要に応じて前記センサユニットを直ちに停止させることができるように、キルスイッチが前記ポータブルコンピュータデバイスに近接した前記ケーブル内に組み込まれていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、一対の対向する安定脚部が、前記タワー基部と回動するよう係合し、使用時に前記タワーユニットを安定させるべく前記安定脚部が伸長した展開状態と、前記タワーユニットの運搬時に前記安定脚部が内側に折り畳まれた格納状態の間で選択的に移動するよう構成されていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項8】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記対象物体を走査する手段が、中性子発生器と高分解能検出器を具えていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載のポータブル検出装置において、前記中性子発生器および検出器が互いに近接して配置されており、これにより使用時、前記センサユニットの位置を変える必要なく、それぞれが前記対象物体の同一部分に動作できることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項10】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記センサマウントが二重ピンとして構成されており、前記少なくとも1のセンサ端子が対応する二重ピン端子として構成されていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項11】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記少なくとも1のセンサ端子が、前記センサユニットが前記対象物体を実質的に水平方向に走査できるよう構成された水平センサ端子、および前記センサユニットが前記対象物体を実質的に垂直方向に走査できるよう構成された垂直センサ端子であることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項12】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記センサマウントが前記拡張アームと摺動可能に係合しており、前記タワーユニットの位置を変える必要なく前記センサユニットが動作できる最大範囲を増加させるべく、前記センサユニットは前記拡張アームの長さを横移動できることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項13】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記拡張アームの端部が、前記拡張アームが実質的に垂直方向を向いているときに前記センサユニットを選択的に受けるよう構成された補助マウントを設けており、その結果、前記センサユニットが動作できる最大高さが増加することを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項14】
請求項13に記載のポータブル検出装置において、前記補助マウントが前記拡張アームの端部と回動するよう係合しており、前記センサユニットは前記補助マウントと係合しているときに、その端部の周りを水平方向に回転できることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項15】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記タワーユニット、センサユニットおよび電子ユニットがそれぞれ一対のホイールおよび格納型ハンドルを設け、運搬および配置を補助することを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項16】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記センサユニットがさらに、当該装置の使用時に前記センサユニットの向きを測定するよう構成されたジャイロスコープを設けていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項17】
請求項1に記載のポータブル検出装置において、前記センサユニットがさらに、当該装置の使用時にユーザが前記対象物体を遠隔的に見る、あるいは走査する対象平面に沿ってその位置を示すことができる手段を設けていることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項18】
対象物体が爆発物あるいは他の危険または違法な物質を含有しているか否かを判定すべく対象物体を走査するポータブル検出装置において、当該装置が:
タワーユニットであって:
比較的垂直方向を向いたタワー支柱を有するタワー基部と;
前記タワー支柱と摺動かつ回転可能に係合するタワーカラーであって、前記タワー支柱の長さを横移動し、その周りを水平方向に回転できるタワーカラーと;
前記タワーカラーと回動するよう係合し、摺動可能に装着された拡張アームを設けているアームマウントであって、前記拡張アームは前記タワーカラーに対して垂直方向に回転できるアームマウントと;
前記拡張アームに配置されるセンサマウントとを具えるタワーユニットと;
センサユニットであって:
前記対象物体を走査する手段を提供しているセンサハウジングと;
前記センサハウジングに配置され、前記センサマウントと選択的に係合するよう構成されている水平センサ端子であって、当該センサユニットが前記対象物体を実質的に水平方向に走査できるようにする水平センサ端子と;
前記水平センサ端子からほぼ90度離れて前記センサハウジングに配置され、前記センサマウントと選択的に係合するよう構成されている垂直センサ端子であって、当該センサユニットが前記対象物体を実質的に垂直方向に走査できるようにする垂直センサ端子とを具えるセンサユニットと;
前記タワーユニットと選択的に係合する電子ユニットであって:
前記センサユニットを操作するポータブルコンピュータデバイスを格納するよう構成されたコンパートメントを設けている電子ハウジングと;
前記ポータブルコンピュータデバイスと前記電子ハウジングの間の空間的な距離を測定する手段とを具えている電子ユニットとを具えており;
前記タワーユニット、センサユニットおよび電子ユニットが、比較的制約された空間内で動作できるようなサイズに構成されており、比較的容易に運搬および保管のために分解したり、配置した後に走査を実施すべく組み立て直すことができることを特徴とするポータブル検出装置。
【請求項19】
対象物体が爆発物あるいは他の危険または違法な物質を含有しているか否かを判定すべく対象物体を走査する方法において、当該方法が:
タワーユニット、センサユニットおよび電子ユニットそれぞれを前記対象物体が位置する場所に運搬するステップと;
前記タワーユニットを前記対象物体に近接して配置するステップと;
前記電子ユニットを前記タワーユニットのタワー基部と係合させるステップと;
前記センサユニットを、前記タワーユニットのタワー支柱に摺動かつ回転可能に装着されたタワーカラー自体に回転可能に取り付けられた拡張アームに係合させるステップと;
前記センサユニットの前記対象物体を走査する手段が前記対象物体と実質的に近接して配置されるように、前記拡張アームおよびタワーカラーを関節接合するステップと;
前記電子ユニットのポータブルコンピュータデバイスを前記対象物体から離れた安全距離に移動させるステップと;
前記対象物体を走査するため、前記ポータブルコンピュータデバイスを用いて前記センサユニットを遠隔的に操作するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法がさらに:
前記センサユニットが一連の走査を経て前記対象物体の全体を通過できるよう、前記対象物体の表面積に基づく走査パターンを作りだすステップと;
前記走査パターンに沿って前記対象物体の予備密度走査を実施し、密度グラフを作るステップと;
既知の爆発物または他の違法物質の密度と潜在的に一致する前記密度グラフの領域を同定するステップと;
前記対象物体の同定された領域に詳細な化学分析検査を実施し、爆発物または他の違法物質の実際の存在を判定するステップとを含むことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2013−500470(P2013−500470A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521754(P2012−521754)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/042746
【国際公開番号】WO2011/011516
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(512012067)クリアー パス テクノロジーズ,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CLEAR PATH TECHNOLOGIES,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/042746
【国際公開番号】WO2011/011516
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(512012067)クリアー パス テクノロジーズ,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CLEAR PATH TECHNOLOGIES,INC.
【Fターム(参考)】
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