説明

マイクロアクチュエータ、制振器、ヘッドジンバルアッセンブリ、及びこれを用いたディスクドライブ

【課題】 記録再生ヘッドの微小調整を実現しつつ、上述した振動の問題点を解決したヘッドジンバルアッセンブリ、及び、ディスクドライブに用いられる改良されたマイクロアクチュエータを実現すること。
【解決手段】ヘッドジンバルアッセンブリに搭載されるマイクロアクチュエータであって、サスペンションに接合されるベース部プレートと、少なくとも一つがPZT素子を備えており、ベース部プレートに連結され所定の第1の方向に向かって延びる一対のアクチュエータサイドアームと、少なくともアクチュエータサイドアームの動作によって生じる振動の少なくとも一部を制振する制振器と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクドライブにかかり、特に、これに用いるマイクロアクチュエータ、圧電素子(PZT)を備えた制振器、及び、ヘッドジンバルアッセンブリ(HGA)に関する。さらに、本発明は、記録再生時において磁気ヘッドを最適に位置決め制御する際に、マイクロアクチュエータの励起によって生じるサスペンション振動を抑制する制振システムを含むヘッドジンバルアッセンブリに搭載されるPZTマイクロアクチュエータの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
情報記憶装置として、データを記録するための磁気媒体と、ディスクに対して選択的に情報を記録再生するために磁気媒体上で位置決めされる可動可能な記録再生ヘッドと、を備えたディスクドライブが知られている。
【0003】
ユーザは、上述したようなディスクドライブに対して、常に大記憶容量を希望することはもちろんのこと、より高速にかつより正確な記録再生動作をも期待している。従って、ディスクドライブの製造者は、例えば、情報トラックの密度の増加や、トラック幅を狭くしたり、かつ/あるいは、トラック間隔を狭くしたりすることによって、より大容量になるようディスクドライブを改良し続けている。
【0004】
しかしながら、トラック密度を増加させる場合には、高記録密度のディスクを用いて迅速かつ正確に記録再生動作を実現するために、ディスクドライブが記録再生ヘッドの位置決め制御において上記増加に対応している必要がある。そして、トラック密度の増加に伴い、記憶媒体上の目的の情報トラック上で迅速かつ正確な記録再生ヘッドの位置決め制御を行うことは、より困難な技術となる。従って、ディスクドライブの製造者は、増加し続けているトラック密度の利益を生かすために、記録再生ヘッドの位置決め制御を改良する方法を常に探究している。
【0005】
高密度のディスクに対する記録再生ヘッドの位置決め制御を改良するためにディスクドライブの製造者によって効果的に用いられている一つの手法として、迅速かつ正確な記録再生ヘッドの位置決め制御を実現するために主となるアクチュエータと連動して作動するマイクロアクチュエータとして知られている補助アクチュエータを用いることが知られている。そして、かかるマイクロアクチュエータが組み込まれたディスクドライブは、2段アクチュエータシステムとして知られている。
【0006】
そして、記録再生ヘッドの速度を増加したり、高密度記録媒体上の目的のトラック上に記録再生ヘッドを微小位置調整するために、従来より、種々の2段アクチュエータシステムが開発されている。そのような2段アクチュエータシステムは、基本的には、主のアクチュエータとなるボイスコイルモータ(VCM)と、PZTマイクロアクチュエータといった補助的なマイクロアクチュエータと、を備えている。
【0007】
VCMアクチュエータは、記録媒体上の目的のトラック上に記録再生ヘッドを良好に位置調整するために支持するアクチュエータアームを回転させるサーボコントロールシステムによって制御されている。また、PZTマイクロアクチュエータは、位置決め速度を増加させたり、目的のトラック上に記録再生ヘッドを正確に位置決め調整するよう、VCMアクチュエータと協働して用いられる。従って、VCMアクチュエータは、記録再生ヘッドの位置を大きく調整し、一方、PZTマイクロアクチュエータは、記録媒体と相対的に記録再生ヘッドの位置が最適となるよう微小調整する。このようにVCMアクチュエータとPZTマイクロアクチュエータが結合することによって、効果的にかつ正確に高密度記録媒体に対する情報の記録再生を実現することができる。
【0008】
また、別のタイプのマイクロアクチュエータは、記録再生ヘッドの良好な位置決め調整を行うためのPZT素子が組み込まれている。そのようなPZTマイクロアクチュエータは、選択的にPZT素子を伸縮させるよう励起可能な電気的構成を備えている。そして、PZTマイクロアクチュエータは、例えば、記録再生ヘッドを回転させて駆動させるマイクロアクチュエータの動作を生じさせるべく伸縮するよう構成されている。このような動作は、VCMアクチュエータだけを用いたディスクドライブと比較して、記録再生ヘッドの位置を高速かつ良好に調整するために行われる。例えば、下記の特許文献1(発明の名称:マイクロアクチュエータ及びHGA)、及び、特許文献2(発明の名称:微小位置決めアクチュエータを備えたヘッドジンバルアッセンブリ、及び、これを用いたディスクドライブ、並びに、ヘッドジンバルアッセンブリの製造方法)に、従来例におけるPZTマイクロアクチュエータが開示されている。
【0009】
図22は、2段アクチュエータを組み込んだ従来例におけるディスクドライブのヘッドジンバルアッセンブリ277を示す。ディスクドライブは、磁気ディスクと、磁気ヘッドスライダ203が搭載されたHGA277を駆動するドライブアーム213と、を備えている。ディスク(図示せず)は、当該ディスクを回転させるスピンドルモータに搭載されている。ボイスコイルモータ(VCM)は、ドライブアームの動作を制御するため、換言すると、磁気ヘッドスライダ203をディスクの表面にてトラック間を移動するよう制御するために備えられている。これにより、記録再生ヘッドにて、ディスクに対するデータの記録再生が可能となる。そして、作動中には、記録再生ヘッドが組み込まれた磁気ヘッドスライダと回転している磁気ディスクとの間における空力的な相互作用によって浮上力が生じる。この浮上力は、サスペンション213によって与えられるバネ力と等しく反対に生じており、これにより、磁気ヘッドスライダが、回転している磁気ディスクの表面上空を所定の高さに浮上され、その浮上高さが保たれることとなる。
【0010】
しかしながら、VCMやヘッドサスペンションアッセンブリの固有の精度誤差により、ディスクに対してデータの記録再生を正確に行うための記録再生ヘッドの性能に悪影響を与え、磁気ヘッドスライダ203は、迅速かつ微小位置決め制御を実現することができない。従って、PZTマイクロアクチュエータ205は、上述したように、磁気ヘッドスライダと記録再生ヘッドとの位置制御を改善するために備えられている。特に、PZTマイクロアクチュエータ205は、VCMとヘッドサスペンションアッセンブリの耐共振性を補うために、より微小に磁気ヘッドスライダ203の位置ずれを補正する。そして、マイクロアクチュエータ205は、例えば、より小さい記録トラック間隔に対して使用することで、ディスクドライブにおけるトラックパーインチ(トラック/インチ(TPI))の値を50%増加させることができる。同時に、ヘッドのシークタイム、及び、セトリングタイムを減少させることができる。従って、PZTマイクロアクチュエータ205によって、ディスクドライブ、及び、それに用いられる情報記録ディスクの表面記録密度の飛躍的な増加が可能となる。
【0011】
そして、図22に示すように、マイクロアクチュエータの一形態は、U字型マイクロアクチュエータ205である。このU字型マイクロアクチュエータ205は、磁気ヘッドスライダを挟んで保持する2つのサイドアームを有し、このサイドアームの可動によって磁気ヘッドスライダの位置を可動することができる。しかしながら、サイドアームの可動は、その搭載領域であるサスペンションタング面、つまり、サスペンション自体に伝播される反力を引き起こす。この反力は、HGAの動的性能に悪影響を与える共振や振動をサスペンションに引き起こすこととなる。従って、マイクロアクチュエータから生じるサスペンション共振は、ディスクドライブの帯域幅を制限する一つの要因である。
【0012】
図23を参照すると、従来のPZTマイクロアクチュエータ205は、それぞれPZT素子が搭載された2つのセラミックビーム又はサイドビーム207を有するセラミックU字型フレーム297を備えている。そして、図22、図23を参照すると、PZTマイクロアクチュエータ205は、フレキシャ214に物理的に結合されている。このとき、3つの電子接続用ボール209(金ボール(GBB)又は半田ボール(SBB))にて、マイクロアクチュエータ205とサスペンショントレース配線210とが、各セラミックビーム207の側面にてそれぞれ接合されている。加えて、4つの金属ボール208(GBB又はSBB)が、磁気ヘッドスライダ203をトレース210に電気的接合させるために設けられている。
【0013】
図24に、磁気ヘッドスライダ203をマイクロアクチュエータ205に装着する工程を詳細に示す。図23、図24に示すように、磁気ヘッドスライダ203は、マイクロアクチュエータ205のセラミックビーム207によって磁気ヘッドスライダ203を駆動できるように、符号206に示す2箇所にて、エポキシ212を用いて2本のセラミックビーム207に装着される。
【0014】
そして、PZT素子は、セラミックビーム207にそれぞれ装着されており、マイクロアクチュエータがPZT素子の励起により磁気ヘッドスライダの可動制御を実現できる。さらに、サスペンショントレース配線210を介して電力が供給されると、マイクロアクチュエータ205のPZT部材は、U字型フレーム297を構成する2本のセラミックビーム207を変形させるよう伸縮し、これにより、磁気ヘッドスライダ203は磁気ディスクのトラック上を走査するよう可動される。こうして、微小ヘッド位置調整を実現できる。
【0015】
【特許文献1】特開2002−133803号公報
【特許文献2】特開2002−074871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、PZTマイクロアクチュエータは、上述したように、磁気ヘッドスライダの微小位置決めを行う際に、効果的で確実性のある解決策を有しているものの、結果としては、そのことが問題点となる。特に、PZTマイクロアクチュエータ205と磁気ヘッドスライダ203は、サスペンションタング面に搭載されているため、PZTマイクロアクチュエータ205が励起されたときには、サスペンション共振が生じうる。換言すると、マイクロアクチュエータ205のU字型フレーム297に動作が制限されるため、磁気ヘッドスライダ203を可動するために用いられたマイクロアクチュエータの並進運動により、サスペンションに振動が生じうる。そして、このサスペンション共振は、サスペンションのベースプレートを励起させる共振点と一致すると、大きな振動となり、このことは、サーボ帯域とハードディスクドライブ(HDD)の性能を制限してしまうことにもなる。
【0017】
ここで、図25に、ベースプレートを励起させた場合と、マイクロアクチュエータに搭載されたPZT素子を励起させた場合における、ゲインと周波数との関係を表す共振曲線を示す。図25の符号201は、サスペンションのベースプレートが振動したときの共振曲線を表し、符号202はマイクロアクチュエータが励起されたときの共振曲線を表す。この図を見ると、周波数が20kHz以下で、ベースプレートとマイクロアクチュエータの両方とも正負両方の大きなゲインのピークがあり、装置の共振特性に問題があることは明らかである。
【0018】
また、図25を見ると、ベースプレートの共振とマイクロアクチュエータの共振とが一致しており、重ね合わせられてさらに大きくなり、結果として装置にさらに振動が生じる、という問題がある。
【0019】
このため、記録再生ヘッドの微小調整を実現しつつ、上述した振動の問題点を解決したヘッドジンバルアッセンブリ、及び、ディスクドライブに用いられる改良されたマイクロアクチュエータを実現することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そこで、本発明の一形態であるマイクロアクチュエータは、
ヘッドジンバルアッセンブリに搭載されるマイクロアクチュエータであって、
サスペンションに接合されるベース部プレートと、
少なくとも一つがPZT素子を備えており、ベース部プレートに連結され所定の第1の方向に向かって延びる一対のアクチュエータサイドアームと、
アクチュエータサイドアームの動作によって生じる振動の少なくとも一部を制振する制振器と、
を備えたことを特徴としている。
【0021】
そして、制振器は、少なくとも1つのPZT素子を有し、第1の方向とは反対方向である第2の方向にベース部プレートから延びる少なくとも1つの制振アームを備えた、ことを特徴としている。さらに、制振器は、それぞれPZT素子を有し、第2の方向に延びる一対の制振アームを備えた、ことを特徴としている。このとき、アクチュエータサイドアームと制振アームとは、外側面にPZT素子を有する、ことを特徴としている。
【0022】
また、上述した第1の方向と第2の方向とは、ベース部プレートに対して垂直方向である、ことを特徴としている。また、制振器は、両側部にPZT素子を有する1つの制振アームを備えた、ことを特徴としている。このとき、1つの制振アームは、ベース部プレートの中間部、あるいは、側部から延びて備えられている、ことを特徴としている。
【0023】
また、少なくとも1つの制振アームは、セラミック、ステンレススチール、シリコン、又は、重合体、にて形成されている、ことを特徴としている。そしてPZT素子は、セラミック又は薄膜のPZT素子である、ことを特徴としている。また、PZT素子は、単層構造あるいは多層構造のPZT素子である、ことを特徴としている。さらに、一対の制振アームは、支持プレートにて相互に連結されている、ことを特徴としている。
【0024】
また、本発明では、ヘッドジンバルアッセンブリをも提供しており、
マイクロアクチュエータと、
このマイクロアクチュエータに接合された磁気ヘッドスライダと、
マイクロアクチュエータを支持するサスペンションと、を備え、
マイクロアクチュエータは、
サスペンションと接合されるベース部プレートと、
少なくとも一つがPZT素子を備えており、ベース部プレートに連結され所定の第1の方向に向かって延びる一対のアクチュエータサイドアームと、
アクチュエータサイドアームの動作によって生じる振動の少なくとも一部を制振する制振器と、
を備えたことを特徴としている。
【0025】
そして、マイクロアクチュエータのベース部プレートがサスペンションに搭載されると共に、マイクロアクチュエータの全てのアームとサスペンションとの間に、平行な隙間を形成した、ことを特徴としている。
【0026】
さらに、本発明では、ディスクドライブを提供しており、
磁気ヘッドスライダと、マイクロアクチュエータと、このマイクロアクチュエータを支持するサスペンションと、を備えたヘッドジンバルアッセンブリと、
このヘッドジンバルアッセンブリに連結されるドライブアームと、
ディスクと、
このディスクを回転させるスピンドルモータと、を備え、
マイクロアクチュエータは、
サスペンションと接合されるベース部プレートと、
少なくとも一つがPZT素子を備えており、ベース部プレートに連結され所定の第1の方向に向かって延びる一対のアクチュエータサイドアームと、
アクチュエータサイドアームの動作によって生じる振動の少なくとも一部を制振する制振器と、
を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、制振システムが多様な構成を有しており、それぞれがマイクロアクチュエータの駆動による磁気ヘッドスライダの移動に起因するサスペンション振動の少なくとも一部を抑制する機能を有する。このとき、磁気ヘッドスライダは、マイクロアクチュエータの可動アームに接合されており、マイクロアクチュエータのベース部プレートは、サスペンション上に搭載されている。従って、マイクロアクチュエータが励起されると、可動アームが曲げられ、その結果、微小ヘッド位置調整を行うために磁気ヘッドスライダが可動される。同時に、制振システムが、マイクロアクチュエータの動作に起因するサスペンションの共振を抑制するために作動する。その結果、サスペンションの共振特性は改善され、大きなサーボ帯域幅を可能とし、ディスクドライブの容量を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の種々の実施例を、同一部分を指し示す参照番号(符号)が記載された図面を参照して説明する。本発明は、PZT素子を有するマイクロアクチュエータが、記録再生ヘッドの微小位置決めを行うために励起されたときに、マイクロアクチュエータからHGAサスペンションに伝播される振動を、減衰させるか除去するよう構成されている。そして、本発明の主な特徴は、マイクロアクチュエータが駆動されたときに、このマイクロアクチュエータの動作によって生じる反力を抑制する力を発生させるために作動する制振システムを備えていることである。望ましくは、マイクロアクチュエータにて用いられるPZT素子と同様のPZT素子を、制振システムに組み込むことである。マイクロアクチュエータのPZT素子によって生じる力と反対の力を生じさせるような制振システム上のPZT素子が、マイクロアクチュエータ上のPZT素子と関連して構成されるとよい。個別に作動するときには、マイクロアクチュエータと制振器は、サスペンションに伝播される振動が生じうる。しかし、本発明では、マイクロアクチュエータと制振器とを一緒に作動させることで、それぞれの振動が反対方向となり、お互いに打ち消しあう。マイクロアクチュエータによって生じた振動を制振させることによって、装置の共振特性が改善され、大きなサーボ帯域幅を可能とし、また、ディスクドライブの大記録容量化を図ることができる。
【0029】
なお、本発明の制振システムのいくつかの実施例を説明する。このうちいくつかは、上記図22、図23に従来例におけるHGAが記載されているように、図に記載して説明する。しかし、本発明は、以下の実施例に示すものに限定されない。そして、本発明の制振システムは、HGAの特有の構造に関係なく、マイクロアクチュエータを有するディスクドライブに適合して共振特性を改善するよう作動する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明である制振システムの実施例1におけるヘッドジンバルアッセンブリ3(HGA)の構成を示す。この第1の実施例は、図1乃至図2に示されており、これらの図に示す形式のHGAは、上述した図22、図23に示す従来例におけるものとほぼ同様の構成を有している。
【0031】
上述したように、HGAは、磁気ヘッドスライダ31と、マイクロアクチュエータ32と、磁気ヘッドスライダ31及びマイクロアクチュエータ32を支持するサスペンション8と、を備えている。サスペンションは、ロードビーム17と、フレキシャ13と、ヒンジ15と、ベースプレート11と、を備えている。ロードビーム17上には、ディンプル329(図5参照)が形成されている。また、フレキシャ13上には、その一端部(磁気ヘッドスライダ搭載側とは反対側)に、図示しない制御回路と接続される複数の接続パッド308が設けられており、また、他端部(磁気ヘッドスライダ31搭載側)には、複数のトレース配線309,311が設けられている。
【0032】
HGAは、ベースプレート11を介してディスクドライブのドライブアームと連結可能なよう構成されている。ボイスコイルモータ(VCM)は、ドライブアームを駆動制御するためにディスクドライブに備えられている。つまり、ディスクドライブのディスク上の目的の情報トラック上に記録再生ヘッドすなわち磁気ヘッドスライダの位置決めを行うために、VCMはディスクドライブに設けられている。
【0033】
ここで、上述したように、マイクロアクチュエータ32は、より迅速に、かつ、微小な位置決め制御を可能とするためばかりでなく、磁気ヘッドの動作時におけるシークタイムやセトリングタイムを減少させるために設けられている。従って、HGA3がディスクドライブに組み込まれていると、2段アクチュエータシステムは、記録再生ヘッドの大きな位置調整を行うためのVCMアクチュエータと、微小位置調整を行うためのマイクロアクチュエータと、を備えている。なお、図2は、図1に示すHGAの部分拡大図である。この図には、マイクロアクチュエータ32及び本実施例における制振システムをより詳細に示しており、これらについて以下に詳述する。
【0034】
図3を参照すると、フレキシャ13は、磁気ヘッドスライダ31に接続され、その可動を補助するムービングプレート323を備えており、また、磁気ヘッドスライダ31とマイクロアクチュエータ32を支持するために用いられるサスペンションタング面328を備えている。サスペンションタング面328は、ロードビーム17のディンプル329を介して磁気ヘッドスライダの中央で荷重を支えるよう構成されている。
【0035】
また、図2に示すHGAを参照すると、ロードビーム17には、ディスクドライブの通常の動作中、あるいは、ディスクドライブにあらゆる衝撃や振動が生じたときに、サスペンションタング部328が過度に曲がることを防ぐために、当該サスペンションタング部328を貫通して延びるリミッター207が形成されている。このサスペンションタング部328には、複数の電気的接続パッド310が形成されている。また、磁気ヘッドスライダ31には、その端面に複数の電気的接続パッド204が形成されていて、上記ムービングプレート323の接続パッド113に対応して接続される。
【0036】
ここで、図3に示すHGAの分解図をさらに詳細に見ると、本実施例では、マイクロアクチュエータ32は、H型フレーム320と、このフレームに搭載された4つのPZT素子321a,321b,321c,321dと、を備えている。そして、H型フレーム320は、例えば、ステンレス鋼などの金属、ジルコニアなどのセラミック、シリコン、高分子化合物、あるいは、その他の素材、で形成されている。また、H型フレーム320は、一対の駆動アーム322a,322bと、ベース部プレート352と、一対の制振アーム325a,325bと、を備えている。駆動アーム322a及び制振アーム325aは、対となる駆動アーム322b及び制振アーム325bと、ベース部プレート352を介して一体的となっている。加えて、マイクロアクチュエータ32の各側面に設けられたPZT素子321a,321b,321c,321dに対する3つの電気的接続パッド333が、H型フレーム320に形成されている。なお、これら3つの電気的接続パッド333は、サスペンションタング面328に形成された接続パッド310に対応するものである。
【0037】
続いて、図4(a)に示すように、両PZT素子321a,321c、あるいは、両PZT素子321d,321bは、共通のグラウンドパッドを共有しており、また各PZT素子にそれぞれ電気信号を入力するための他のパッドが設けられている。そして、3つの電気的ボール334が、H型フレーム320の各側面で、PZT素子をサスペンションに接続するために用いられる。また、磁気ヘッドスライダ31は、マイクロアクチュエータ32のH型フレーム320の2つの駆動アーム322a,322bの間に保持された状態となる。
【0038】
磁気ヘッドスライダ31とマイクロアクチュエータ32とは、所定のプロセスを用いて組み立てられ、例えば、図24に示す方法と同様の方法にて組み立てられる。特に、図3を参照すると、磁気ヘッドスライダ31は、マイクロアクチュエータ32のH型フレーム320に挿入される。そして、2つの駆動アーム322a,322bには、例えば、エポキシを用いて磁気ヘッドスライダ31が接合される。このとき、ベース部プレート352は、サスペンションタング面328とマイクロアクチュエータ32との間に、平行な隙間を形成させた状態で、サスペンションタング面328上に搭載される。なお、組み立てプロセスの他の形態としては、事前に磁気ヘッドスライダ31が挿入され、接合されたマイクロアクチュエータ32を、サスペンションに搭載してもよい。このように図2乃至図3に示すように、本発明の1つの特徴は、従来のHGAに対して本発明である制振器を組み込むといった、変更を加える必要がある、ということである。
【0039】
図4(a)に、本実施例におけるPZT素子の詳細を示す。この図に示すように、各PZT素子321a/321b又は321c/321dは、駆動アーム322a/322b又は325a/325bに、直接的に装着されたり、あるいは、層状に貼り付けられる。なお、図4(b)に示すように、両PZT素子(321a/321c又は321b/321d)を有するPZTユニットを、H型フレーム320の両側面に設けてもよい。そして、PZTユニットは、各駆動アーム322a/322b及び325a/325b上に装着される際に、それぞれ個々のPZT素子が反対向きとなるよう設けられる。各PZTユニットは、H型フレーム320の各側面上に形成された一対のPZT素子321a/321cあるいは321b/321dと一体化される個々の基板360を備えている。
【0040】
さらに詳述すると、PZT素子321a,321bは、微小ヘッド位置決めに用いられ、他の2つのPZT素子321c,321dは、マイクロアクチュエータが作動したきに生じるサスペンション振動を抑制するために用いられる。上記各機能は、電源を用いてPZT素子を選択的に励起し、それぞれを選択的に伸縮させ、その結果、各駆動アーム322a,322b,325a,325bを選択的に可動させることによって実現される。さらに、各対のPZT素子321a/321cあるいは321b/321dは、その中間位置に共通のグラウンドパッドを有しており、個々のPZT素子に入力するための2つの分離したパッドを有している。また、基板360は、セラミック、ステンレススチールなどの金属、高分子化合物などで形成されている。但し、基板360はこれらの材料に限定されない。また、PZT素子は、セラミックのブロックあるいは薄膜PZTにて形成されている。さらに、PZT素子は、単層あるいは多層PZTにて形成されている。
【0041】
図5は、本実施例におけるHGAの側面図である。この図に示すように、マイクロアクチュエータ32のベース部プレート352がサスペンションタング面328上に搭載されており、ロードビーム17のディンプル329がサスペンションタング面328とマイクロアクチュエータ32とを支持している。そして、マイクロアクチュエータ32とサスペンションタング面328との間には、磁気ヘッドスライダ31とマイクロアクチュエータ32、さらには、制振器が自由に可動できるよう、平行な隙間505,507が形成されている。
【0042】
図6及び図7は、本実施例における制振器の動作を説明するものである。図6を参照すると、マイクロアクチュエータ32に電圧が印加されると、第1の駆動アーム322aに装着されているPZT素子が収縮又は縮小するため、当該第1の駆動アーム322aが矢印601に示すように外側に曲がる。このアーム322aの外側への曲げ可動により、磁気ヘッドスライダの微小位置調整を容易に行うことができる。
【0043】
しかしながら、アーム322aの収縮動作は、ベース部プレート352に矢印602に示す方向にストレス(応力)を引き起こすこととなり、このストレスは、ベース部プレート352からサスペンションタング面に伝播され、これにより、サスペンション振動が生じうる。このため、本発明では、制振アーム325bを矢印603に示すよう外側方向に曲げるよう制振器に電圧を印加する。この付加された制振アーム325bの外側への曲げ可動により、ベースプレート部352には矢印604に示す方向のストレスが生じることとなり、これによって、サスペンション振動が生じうる。ところが、この付加された振動は、マイクロアクチュエータの動作によって生じたサスペンション振動と比較して逆位相を有しているため、各振動はお互いに打ち消しあい、結果として非常にクリアな共振曲線となる。
【0044】
図7は、磁気ヘッドスライダ31がマイクロアクチュエータによって矢印603’に示すよう、図6の場合とは反対方向に曲げられたときの動作を示している。図7に示すように、駆動アーム322bが矢印603’に曲げられると、ベース部プレート352に矢印604’に示す方向にストレス(応力)を引き起こすこととなる。そして、本発明では、制振アーム325aを矢印601’に示すように可動することによって、上記ストレス602’を抑制させる。このように、本発明の制振器を用いて、マイクロアクチュエータが磁気ヘッドスライダの微小位置決めを行う際にベース部プレートに生じる符号604及び602’に示されるストレスあるいは応力を抑制させることによって、クリアな共振カーブが達成される。加えて、制振アーム325a,325bには、図17の符号1102又は図18の符号1103に示すように、これらの両端部に支持プレートが連結されている。この支持プレート1102,1103は、振動をより効果的に制振するためのものである。さらに、駆動アーム322a又は322bが可動されたときに、支持プレートは、マイクロアクチュエータの動作とは反対方向の慣性動作を制振アーム325a,325bに
生じさせるため、さらに振動を抑制させることができる。
【0045】
図8(a)乃至図8(d)は、本発明において用いられる標準的な動作方法を示す。図8(c)、図8(d)は、各動作方法における周波数と対照した電圧を示すグラフである。また、図9には、本発明における動作を説明するために、制振器と磁気ヘッドスライダ31を備えたマイクロアクチュエータを別の角度から見た図を示す。図8(b)は、制振アーム325bが駆動アーム322aに対して反対方向の極性を有している場合における第1の動作方法を示す。第1の動作方法の操作入力を図8(c)に示す。この図に示すように、マイクロアクチュエータへの入力701aは正弦波形708の電圧であり、制振器への入力701bは逆正弦波形706の電圧である。図8(a)は、制振アーム325aが駆動アーム322bと同一方向の極性を有している場合における第2の動作方法を示す。第2の動作方法の操作入力を図8(d)に示す。この図に示すように、制振器への入力701bは、マイクロアクチュエータへの入力701aと同一の正弦波形709の電圧である。なお、符号703は、図8(a)、図8(b)においてグラウンドを示している。
【0046】
図10及び図11は、本発明における制振器を有するマイクロアクチュエータの共振テスト結果を示している。図10に示す線図802は、マイクロアクチュエータの動作における共振特性(図11における位相線図806を有する)を示し、線図803は、制振器の動作における共振特性(図11の逆位相線図804を有する)を示す。本発明によると、2つの逆位相の振動のため、サスペンション振動を抑制することができる。そして、図10における線図805は、共振ゲインの結果を示したものであり、図11の線図808は、共振位相の結果を示す。これらのテスト結果に示されるように、著しく改善され、サーボ帯域幅の拡張、ディスクの記憶容量の増大化容易に微小ヘッド位置調整を行うことができる。
【実施例2】
【0047】
図12は、本発明の第2の実施例を示している。本実施例では、マイクロアクチュエータに1つの制振アーム902が設けられている。換言すると、本実施例では、2つのPZT素子903,904が、それぞれ反対側に位置するよう、共通の基板である制振アーム902に装着されている。つまり、制振アーム902を挟んでそれぞれのPZT素子903,904が装着されている。
【実施例3】
【0048】
図13は、本発明の第3の実施例を示している。本実施例は、第2の実施例と構成が類似しているが、マイクロアクチュエータのベース部プレート352の端部ではなく、共通の制振アーム902がベース部プレート352の中央部分に位置している点で異なる。なお、PZT素子が装着された1つ又は複数の基板(制振アーム)の位置は、上述したものに限定されず、制振器によって決定される。また、マイクロアクチュエータの形状、構成、さらには、基板、PZT素子などは、デザインの選択や採用される特殊な用途に適合させるための問題であり、変更可能である。また、図8(a)〜(d)に記載されている動作方法は、本発明に基づいて別の方法に改良され、あるいは、ここで記載された他の同様の具体例と共に、用いることができる。
【実施例4】
【0049】
本発明の第4の実施例を、図14乃至図16を参照して説明する。本実施例では、ベース部プレート1007が、上述した他の実施例において説明したベース部プレート352と比較すると構成が異なる。図14には、4つのPZT素子1001,1002,1003,1004を装着したマイクロアクチュエータ及び制振器となりうるH型フレームを示す。2つの側部アーム1006,1008は、ベース部プレート1007の側面に形成されている。図15は、マイクロアクチュエータの磁気ヘッドスライダを搭載する場合における組み立て方法を示す。図16は、本実施例において、マイクロアクチュエータと制振器と磁気ヘッドスライダとを組み立てたときのときの様子を示す。この場合も動作方法は先に示した図8(a)〜図8(d)と同様である。
【実施例5】
【0050】
本発明の第5の実施例を、図17乃至図18を参照して説明する。本実施例では、マイクロアクチュエータの制振アーム325a,325bの末端部に、支持プレート1102又は1103が接合されている。図17に示す支持プレート1102は、制振アーム325a及び325bと、垂直に接合されている。一方、図18に示す支持プレート1103は、制振アーム325a及び325bと、水平に接合されている。加えて、2つの駆動アーム322a及び322bは、上述した支持プレート1102,1103と同様の構成の別の支持プレート(図示せず)と接合されている。そして、マイクロアクチュエータのアームと接合された支持プレートは、振動をより減少させるために機能する。
【実施例6】
【0051】
本発明の第6の実施例を、図19乃至図20を参照して説明する。本実施例では、制振アーム1002,1004が、支持プレート1107又は1108と、その端部で接合されている。支持プレート1107及び1108以外は、図14乃至図16とほぼ同様である。第6の実施例のように、図19における支持プレート1107は、制振アーム1002及び1104と垂直の姿勢で接合されており、支持プレート1108は、図20に示すように、制振アーム1002及び1104と水平の姿勢で接合されている。そして、上述同様に、マイクロアクチュエータのアームと接合された支持プレート1107,1108は、振動をより減少させるために機能する。なお、必要に応じて、本実施例、あるいは、他の実施例にて、符号322a,322bに示すような駆動アームと連結される支持プレート(図示せず)を付け加えて使用してもよい。
【0052】
以上のように、制振器を装備したマイクロアクチュエータの種々の実施例を説明したが、マイクロアクチュエータや制振器は、上述したものに限定されず、本発明の記述から理解される範囲で、他の構成であってもよい。例えば、制振器は、マイクロアクチュエータ自体から分離した構造体として備えられていてもよい。この場合には、制振器は、良好な振動抑制効果を有するよう、サスペンションタング面(又は別の場所)に搭載された1つのベース部プレートを有している。
【0053】
ここで、図21には、本発明の制振技術が組み込まれたディスクドライブ(HDD)を示す。このHDDは、ハウジング108と、磁気ディスク101と、スピンドルモータ102と、マイクロアクチュエータが微小ヘッド位置決め調整を行う際に、共振特性の改善が可能である本発明であるヘッドジンバルアッセンブリ3と、これに装備されたボイスコイルモータ107と、により、ディスクドライブ装置を実現することができる。特に、図21に示すHGA3は、これまでに説明してきたマイクロアクチュエータと制振器の具体化したものを搭載している。そして、ディスクドライブの構造、動作、組み立てプロセスは一般的に知られているため、その詳細な説明は省略する。
【0054】
以上、本発明の望ましい形状や具体例を記載したが、本発明の技術的思想の範囲で、種々の変更や改良がなされうる。従って、上述した実施例は、最適であるものの、本発明の特徴は上述したものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、ハードディスクドライブに装備されるヘッドジンバルアッセンブリに搭載されるマイクロアクチュエータに利用することができ、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例1におけるマイクロアクチュエータに制振器が搭載されたヘッドジンバルアッセンブリの構成を示す斜視図である。
【図2】図1に開示したヘッドジンバルアッセンブリの一部を示す拡大図である。
【図3】図2に開示したヘッドジンバルアッセンブリの一部を示す分解斜視図である。
【図4】図4(a),(b)は、図3に開示したマイクロアクチュエータのPZT素子部分の構成を示す図である。
【図5】図2に開示したヘッドジンバルアッセンブリのマイクロアクチュエータ部分を示す側面図である。
【図6】図1に開示した制振器と磁気ヘッドスライダとを搭載したマイクロアクチュエータの第1の動作状態を示す斜視図である。
【図7】図1に開示した制振器と磁気ヘッドスライダとを搭載したマイクロアクチュエータの第2の動作状態を示す斜視図である。
【図8】図8(a)は、図1に開示したマイクロアクチュエータの2つのPZT素子の電気的接続関係を示す図である。図8(b)は、2つのPZT素子の電気的接続関係の他の例を示す図である。図8(c)は、図8(b)に開示した2つのPZT素子の場合における電圧波形を示す図である。図8(d)は、図8(a)に開示した2つのPZT素子の場合における電圧波形を示す図である。
【図9】図1に開示した制振器と磁気ヘッドスライダとを搭載したマイクロアクチュエータの斜視図である。
【図10】本実施例における共振テスト結果を示す図である。
【図11】本実施例における共振テスト結果を示す図である。
【図12】実施例2における制振器を備えたマイクロアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図13】実施例3における制振器を備えたマイクロアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図14】実施例4における制振器を備えたマイクロアクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【図15】図14に開示したマイクロアクチュエータの組み立て時の様子を示す図である。
【図16】図14に開示したマイクロアクチュエータを組み立てた時の構成を示す斜視図である。
【図17】実施例5における制振器を備えたマイクロアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図18】実施例5における制振器を備えたマイクロアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図19】実施例6における制振器を備えたマイクロアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図20】実施例6における制振器を備えたマイクロアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図21】本発明のディスクドライブの構成を示す斜視図である。
【図22】従来例におけるヘッドジンバルアッセンブリの構成を示す斜視図である。
【図23】図22に開示したヘッドジンバルアッセンブリの一部であって、マイクロアクチュエータ及び磁気ヘッドスライダの構成を示す斜視図である。
【図24】図22に開示したマイクロアクチュエータに磁気ヘッドスライダを装着するときの工程を示す説明図である。
【図25】図22に開示したヘッドジンバルアッセンブリの共振曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
3 ヘッドジンバルアッセンブリ
8 サスペンション
11 ベースプレート
13 フレキシャ
15 ヒンジ
17 ロードビーム
31 磁気ヘッドスライダ
32 マイクロアクチュエータ
320 H型フレーム
321a,321b,321c,321d PZT素子
322a,322b 駆動アーム
325a,325b 制振アーム
328 サスペンションタング面
329 ディンプル
352 ベース部プレート
902 制振アーム
903,904 PZT素子
1001,1002,1003,1004 PZT素子
1006,1008 側部アーム
1007 ベース部プレート
1102,1103,1107,1108 支持プレート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドジンバルアッセンブリに搭載されるマイクロアクチュエータであって、
サスペンションに接合されるベース部プレートと、
少なくとも一つがPZT素子を備えており、前記ベース部プレートに連結され所定の第1の方向に向かって延びる一対のアクチュエータサイドアームと、
前記アクチュエータサイドアームの動作によって生じる振動の少なくとも一部を制振する制振器と、
を備えたことを特徴とするマイクロアクチュエータ。
【請求項2】
前記制振器は、少なくとも1つのPZT素子を有し、前記第1の方向とは反対方向である第2の方向に前記ベース部プレートから延びる少なくとも1つの制振アームを備えた、ことを特徴とする請求項1記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項3】
前記制振器は、それぞれPZT素子を有し、前記第2の方向に延びる一対の制振アームを備えた、ことを特徴とする請求項2記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項4】
前記アクチュエータサイドアームと前記制振アームとは、外側面にPZT素子を有する、ことを特徴とする請求項3記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1の方向と前記第2の方向とは、前記ベース部プレートに対して垂直方向である、ことを特徴とする請求項2,3又は4記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項6】
前記制振器は、両側部にPZT素子を有する1つの制振アームを備えた、ことを特徴とする請求項2,3,4又は5記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項7】
前記1つの制振アームは、前記ベース部プレートの中間部、あるいは、側部から延びて備えられている、ことを特徴とする請求項6記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの制振アームは、セラミック、ステンレススチール、シリコン、又は、重合体、にて形成されている、ことを特徴とする請求項2,3,4,5,6又は7記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項9】
前記PZT素子は、セラミック又は薄膜のPZT素子である、ことを特徴とする請求項2,3,4,5,6,7又は8記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項10】
前記PZT素子は、単層構造あるいは多層構造のPZT素子である、ことを特徴とする請求項2,3,4,5,6,7,8又は9記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項11】
前記一対の制振アームは、支持プレートにて相互に連結されている、ことを特徴とする請求項3,4又は5記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項12】
マイクロアクチュエータと、
このマイクロアクチュエータに装備された磁気ヘッドスライダと、
前記マイクロアクチュエータを支持するサスペンションと、を備え、
前記マイクロアクチュエータは、
前記サスペンションと接合されるベース部プレートと、
少なくとも一つがPZT素子を備えており、前記ベース部プレートに連結され所定の第1の方向に向かって延びる一対のアクチュエータサイドアームと、
前記アクチュエータサイドアームの動作によって生じる振動の少なくとも一部を制振する制振器と、
を備えたことを特徴とするヘッドジンバルアッセンブリ。
【請求項13】
前記制振器は、少なくとも1つのPZT素子を有し、前記第1の方向とは反対方向である第2の方向に前記ベース部プレートから延びる少なくとも1つの制振アームを備えた、ことを特徴とする請求項12記載のヘッドジンバルアッセンブリ。
【請求項14】
前記制振器は、それぞれPZT素子を有し、前記第2の方向に延びる一対の制振アームを備えた、ことを特徴とする請求項13記載のヘッドジンバルアッセンブリ。
【請求項15】
前記アクチュエータサイドアームと前記制振アームとは、外側面にPZT素子を有する、ことを特徴とする請求項14記載のヘッドジンバルアッセンブリ。
【請求項16】
前記第1の方向と前記第2の方向とは、前記ベース部プレートに対して垂直方向である、ことを特徴とする請求項13,14又は15記載のヘッドジンバルアッセンブリ。
【請求項17】
前記制振器は、両側部にPZT素子を有する1つの制振アームを備えた、ことを特徴とする請求項13,14,15又は16記載のヘッドジンバルアッセンブリ。
【請求項18】
前記1つの制振アームは、前記ベース部プレートの中間部、あるいは、側部から延びて備えられている、ことを特徴とする請求項17記載のヘッドジンバルアッセンブリ。
【請求項19】
前記マイクロアクチュエータの前記ベース部プレートがサスペンションに搭載されると共に、
前記マイクロアクチュエータの全てのアームと前記サスペンションとの間に、平行な隙間を形成した、
ことを特徴とする請求項13,14,15,16,17又は18記載のヘッドジンバルアッセンブリ。
【請求項20】
前記少なくとも1つの制振アームは、セラミック、ステンレススチール、シリコン、又は、重合体、にて形成されている、ことを特徴とする請求項13,14,15,16,17,18又は19記載のヘッドジンバルアッセンブリ。
【請求項21】
前記PZT素子は、セラミック又は薄膜のPZT素子である、ことを特徴とする請求項13,14,15,16,17,18,19又は20記載のヘッドジンバルアッセンブリ。
【請求項22】
前記PZT素子は、単層構造あるいは多層構造のPZT素子である、ことを特徴とする請求項13,14,15,16,17,18,19,20又は21記載のヘッドジンバルアッセンブリ。
【請求項23】
磁気ヘッドスライダと、マイクロアクチュエータと、このマイクロアクチュエータを支持するサスペンションと、を備えたヘッドジンバルアッセンブリと、
このヘッドジンバルアッセンブリに連結されるドライブアームと、
ディスクと、
このディスクを回転させるスピンドルモータと、を備え、
前記マイクロアクチュエータは、
サスペンションと接合されるベース部プレートと、
少なくとも一つがPZT素子を備えており、前記ベース部プレートに連結され所定の第1の方向に向かって延びる一対のアクチュエータサイドアームと、
前記アクチュエータサイドアームの動作によって生じる振動の少なくとも一部を制振する制振器と、
を備えたことを特徴とするディスクドライブ。
【請求項24】
前記制振器は、少なくとも1つのPZT素子を有し、前記第1の方向とは反対方向である第2の方向に前記ベース部プレートから延びる少なくとも1つの制振アームを備えた、ことを特徴とする請求項23記載のディスクドライブ。
【請求項25】
前記マイクロアクチュエータの前記ベース部プレートがサスペンションに搭載されると共に、
前記マイクロアクチュエータの全てのアームと前記サスペンションとの間に、平行な隙間を形成した、
ことを特徴とする請求項23又は24記載のディスクドライブ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2006−190452(P2006−190452A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373417(P2005−373417)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(500393893)新科實業有限公司 (361)
【氏名又は名称原語表記】SAE Magnetics(H.K.)Ltd.
【住所又は居所原語表記】SAE Technology Centre, 6 Science Park East Avenue, Hong Kong Science Park, Shatin, N.T., Hong Kong
【Fターム(参考)】