説明

マイクロアレイの検出方法

【課題】マイクロアレイごとの性能劣化や洗浄不良などに加え、ハイブリダイゼーションの不良を客観的に判定する手段を提供する。
【解決手段】マイクロアレイを用いてプローブポリヌクレオチドとターゲットポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを検出する方法であって、1)複数種のプローブポリヌクレオチドがそれぞれ固定化された複数の検出用スポットに加えて、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドの2種以上が固定化された基準スポットを一箇所以上有するマイクロアレイに、蛍光標識されたターゲットポリヌクレオチドを接触させる工程、2)マイクロアレイを洗浄する工程、3)基準スポットにおける蛍光を測定し、所定の値を満たせば測定可と判断する工程、および4)測定可と判断されたら、プローブポリヌクレオチドが固定化された各検出用スポットにおける蛍光を測定する工程、を含む前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロアレイを用いてプローブポリヌクレオチドとターゲットポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な生物の遺伝子構造を明らかにするのみならず、その遺伝子機能をゲノムスケールで解明しようとする試みが行われつつあり、遺伝子機能を効率的に解析するための技術開発も急速に進んでいる。マイクロアレイは、スライドガラス等の担体に多数のポリヌクレオチドを所定の領域毎に整列固定させた高密度のアレイであり、遺伝子の塩基配列の決定、並びに遺伝子の発現、変異、多型性などの同時解析に非常に有用である。このマイクロアレイを用いた遺伝子情報の解析は、創薬研究、疾病の診断や予防法の開発などに極めて有用である。
【0003】
マイクロアレイを用いた検出では、まず担体表面に高密度に整列したプローブポリヌクレオチドに対して、放射性同位体や蛍光色素で標識したターゲットポリヌクレオチドをハイブリダイズさせる。このとき、プローブポリヌクレオチドと相補的な塩基配列をもつターゲットポリヌクレオチドは、プローブポリヌクレオチドと相補的にハイブリダイズするが、ハイブリダイズしなかったポリヌクレオチドは洗浄により除去される。
【0004】
マイクロアレイを用いたハイブリダイゼーションの検出では、マイクロアレイごとの性能劣化や洗浄不良などにより誤判定が起こる場合がある。しかし、その誤判定か否かの判断は、マイクロアレイを使用するユーザーに委ねられており、非常にあいまいであった。このような状況では検出器と反応装置とを組み合わせた自動装置で多数の試料を処理することは不可能であった。
【0005】
特許文献1には、スポットの輝度が検出器の検出下限以下である場合や検出上限以上である場合に生じる判定誤差をなくすために、プローブDNAを濃度を変えてスポットしたマイクロアレイを用い、特定の範囲の輝度を有するスポットの結果のみで判定する方法が記載されている。しかし、当該方法では、マイクロアレイごとの性能劣化や洗浄不良などを判定することはできない。
【0006】
特許文献2には、プローブアレイにマーカー物質を共有結合させ、このマーカー物質の位置に基づき、各プローブのスポットの位置の特定を迅速かつ正確に行う方法が記載されている。しかし、当該方法では、プローブアレイごとの性能劣化や洗浄不良などを判定することはできても、ハイブリダイゼーションやPCRに不具合があったどうかなどを判定することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第0880361号
【特許文献2】特許第4261661号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、マイクロアレイごとの性能劣化や洗浄不良などに加え、ハイブリダイゼーションやターゲットポリヌクレオチドの不良を客観的に判定する手段、ならびにスポットの位置決め手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、複数種のプローブポリヌクレオチドがそれぞれ固定化された検出用スポットに加えて、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドの2種以上が固定化された基準スポットを有するマイクロアレイを用い、これに蛍光標識されたターゲットポリヌクレオチドを接触させてハイブリダイゼーション反応させ、まず基準スポットの蛍光を測定することにより、検出用スポットの位置決めができるとともに、マイクロアレイごとの信頼性ならびにハイブリダイズ反応の信頼性を判定できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)マイクロアレイを用いてプローブポリヌクレオチドとターゲットポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを検出する方法であって、
1)複数種のプローブポリヌクレオチドがそれぞれ固定化された複数の検出用スポットに加えて、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドの2種以上が固定化された基準スポットを一箇所以上有するマイクロアレイに、蛍光標識されたターゲットポリヌクレオチドを接触させる工程、
2)マイクロアレイを洗浄することにより、未反応のターゲットポリヌクレオチドを除去する工程、
3)基準スポットにおける蛍光を測定し、所定の値を満たせば測定可と判断する工程、および
4)測定可と判断されたら、プローブポリヌクレオチドが固定化された各検出用スポットにおける蛍光を測定する工程、
を含む、前記方法。
(2)基準スポットに、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドの全種類が固定化されている、(1)記載の方法。
(3)マイクロアレイに接触させるターゲットポリヌクレオチドが、基準スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを必ず含むものである、(1)または(2)記載の方法。
(4)マイクロアレイにおいて、検出用スポットと基準スポットが整列して配置されており、基準スポットが少なくとも二箇所存在し、いずれか二箇所の基準スポットを結ぶ線を基準線として、基準スポットからの距離と基準線からの角度に基づいて検出用スポットの位置が検出される、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)検出用スポットと基準スポットが、外周が四角形の格子状に配置されており、基準スポットが四角形の異なる頂点に存在する、(4)記載の方法。
(6)マイクロアレイにおいて、検出用スポットと基準スポットが、外周が正方形または長方形の格子状に整列して配置されており、基準スポットがその対角線上の頂点に二箇所存在し、
各基準スポット上を通る二つの直線が垂直に交わる交点を検出し、
前記交点と各基準スポットとを結ぶ二つの結線の長さを検出し、
前記結線の長さとスポット数から結線上の各検出用スポット位置が検出される、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)マーカーポリヌクレオチドが、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドのいずれかと相補的なポリヌクレオチドと95%以上の相同性を有する、(1)〜(6)いずれかに記載の方法。
(8)プローブポリヌクレオチドとターゲットポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを検出するためのキットであって、
複数種のプローブポリヌクレオチドがそれぞれ固定化された複数の検出用スポットに加えて、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドの2種以上が固定化された基準スポットを一箇所以上有するマイクロアレイ、ならびに検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドのいずれかにハイブリダイズする蛍光標識されたマーカーポリヌクレオチドを含む、前記キット。
(9)基準スポットに、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドの全種類が固定化されている、(8)記載のキット。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、マイクロアレイごとの信頼性が判定でき、信頼性のあるマイクロアレイを用いて測定を実施することができる。さらに、ハイブリダイズ反応の信頼性を判定することができる。従って、誤判定を抑えることができる。また、自動反応装置などと組み合わせることで、自動でマイクロアレイの測定を高い信頼性をもって実施できる。また、基準スポットを、試料に追加の試薬等を添加することなく検出できるという点でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】マイクロアレイにおけるプローブDNA(検出用スポット)およびプローブDNA混合物(基準スポット)のスポット配置の一態様を示す。
【図2】マイクロアレイの蛍光検出に用いる検出器の一態様を示す。
【図3】マイクロアレイにおいてハイブリダイズ反応を実施した後、蛍光を測定した画像を示す。
【図4】マイクロアレイにおいてハイブリダイズ反応を実施した後、蛍光強度を測定した結果を示す。
【図5】マイクロアレイにおけるプローブDNA(検出用スポット)およびプローブDNA混合物(基準スポット)のスポット配置の一態様を示す。
【図6】2種類のマイクロアレイ(従来法および本発明)に対し、検体由来のターゲットDNAをハイブリダイゼーションさせ、蛍光を測定した結果を示す。
【図7】検体から抽出した核酸に対し、プライマーを入れずにPCRを行って得られたPCR産物をマイクロアレイに滴下して得られた蛍光画像を示す。
【図8】マイクロアレイにおけるプローブDNA(検出用スポット)およびプローブDNA混合物(基準スポット)のスポット配置の一態様を示す。スポット1〜17は検出用スポットであり、スポットAは基準スポットである。
【図9】マイクロアレイに対し、検体由来のターゲットDNAをハイブリダイゼーションさせ、蛍光を測定した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、マイクロアレイを用いてプローブポリヌクレオチドとターゲットポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを検出する方法に関する。
【0014】
本発明においてポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチドが包含され、DNAおよびRNAを含む核酸が包含される。DNAには、一本鎖DNAおよび二本鎖DNAが包含される。また、核酸には、リン酸ジエステル部位を修飾した人工核酸;フラノース部位のグリコシル結合やヒドロキシル基を修飾した人工核酸;核酸塩基部位を修飾した人工核酸;および糖・リン酸骨格以外の構造を利用した人工核酸なども包含され、より具体的には、リン酸部位の酸素原子を硫黄原子で置換したホスホロチオエート型、ホスホロジチオエート型、ホスホロジアミデート型、メチルホスホネート型またはメチルホスホノチオエート型の人工核酸;フラノース環上の置換基修飾型、糖環骨格が1炭素増炭したピラノース型、または多環式糖骨格型の人工核酸;ピリミジンC−5位修飾塩基型、プリンC−7位修飾塩基型、または環拡張修飾塩基型の人工核酸などが包含される。
【0015】
本発明においてプローブポリヌクレオチドは、当技術分野で通常用いられる意味を有し、目的遺伝子を検出するために用いられるポリヌクレオチドであって、目的遺伝子に対応するポリヌクレオチドまたはその断片と特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドをさす。プローブポリヌクレオチドとしては、通常、合成オリゴヌクレオチド、cDNAおよびゲノムDNA、それらの断片、ならびにそれらを変性させたもの(例えば、一本鎖を二本鎖に変性させたもの)等が用いられる。プローブポリヌクレオチドは、通常3〜5000塩基、好ましくは10〜1000塩基、さらに好ましくは15〜70塩基を有する。マイクロアレイに固定化するプローブポリヌクレオチドの濃度は、通常0.2μM〜50μMの範囲である。
【0016】
本発明においてターゲットポリヌクレオチドは、当技術分野で通常用いられる意味を有し、検出対象であるポリヌクレオチドをさす。ターゲットは標的と称される場合もある。通常、被検試料由来のポリヌクレオチドおよびそれを基にして酵素的に合成/増幅されたポリヌクレオチド、具体的には、mRNA、cDNA、aRNA、それらの断片、ならびにそれらを変性させたもの等が用いられる。
【0017】
ハイブリダイズ、ハイブリダイズ反応またはハイブリダイゼーションは、当技術分野で通常用いられる意味を有し、相補的な配列を持つポリヌクレオチド同士、例えば、一本鎖のDNA同士、一本鎖のRNA同士、または一本鎖のDNAと一本鎖のRNAが適切な条件下で二本鎖を形成することをいう。本発明においてハイブリダイゼーションは、好ましくはストリンジェントな条件下で実施する。
【0018】
本発明においては、蛍光標識されたターゲットポリヌクレオチドを用いる。標識方法や標識の種類は、プローブポリヌクレオチドとターゲットポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを検出できるものであれば特に制限されず、当技術分野で公知である。例えば、ターゲットポリヌクレオチドを合成または増幅する際に蛍光標識を共有結合させた基質(主にUTP)を取り込ませることにより、蛍光標識されたターゲットポリヌクレオチドを得ることができる。蛍光標識としては、Cy3およびCy5などのCyDye、FITC、RITC、ローダミン、テキサスレッド、TET、TAMRA、FAM、HEX、ROXなどが挙げられる。
【0019】
本発明では、マイクロアレイとして、プローブポリヌクレオチドが固定化された複数の検出用スポットに加えて、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドの2種以上、好ましくは全種類が固定化された基準スポットを一箇所以上、好ましくは少なくとも2箇所、より好ましくは2〜4箇所、さらに好ましくは2箇所有するマイクロアレイを用いる。基準スポットに固定化するプローブポリヌクレオチドの濃度は、合計で、通常0.2μM〜100μMの範囲である。基準スポットに固定化するプローブポリヌクレオチドの濃度は、それぞれが同じ濃度であり、合計で上記濃度であることが好ましい。
【0020】
本発明において、マイクロアレイの検出用スポットに固定化するプローブポリヌクレオチドの種類は、2種以上であり、通常、256種以下、好ましくは64種以下である。本発明では、基準スポットに、検出用スポットに固定化するプローブポリヌクレオチドの2種以上、好ましくは全種類を、好ましくは同じ濃度で固定化することから、プローブポリヌクレオチドの種類が多すぎると、基準スポットにおけるプローブポリヌクレオチド1種類あたりの濃度が低くなってしまい、基準スポットにおける蛍光が弱くなってしまうからである。
【0021】
本発明では、通常、マイクロアレイに接触させるターゲットポリヌクレオチドが、基準スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを必ず含む。従って、マイクロアレイに、蛍光標識されたターゲットポリヌクレオチドを接触させると、マイクロアレイが劣化しておらず、核酸増幅反応等の検出手順が正常に行われている限り、基準スポットにおいて必ずシグナルが検出される。そして、基準スポットにおけるシグナルの有無により、マイクロアレイごとの信頼性を判定でき、信頼性のあるマイクロアレイを用いて測定を実施することができる。さらに、ハイブリダイズ反応の信頼性も判定することができ、誤判定を抑えることができる。また、基準スポットの位置を基準として、検出用スポットの位置を自動的に決定することができるため、自動反応装置などと組み合わせることで、自動でマイクロアレイの測定を高い信頼性をもって実施できる。
【0022】
検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドとは、当該マイクロアレイが対象とする検出目的のために実質的に使用されるプローブポリヌクレオチドをさす。「検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチド全種類が固定化された」とは、上記のような当該マイクロアレイが対象とする検出目的のために実質的に使用されるプローブポリヌクレオチドの全種類が固定化されていることをさす。したがって、マイクロアレイに、対象の検出目的のために実質的に使用されないポリヌクレオチドが固定化されており、そのポリヌクレオチドが基準スポットに固定化されていなくとも、そのような態様は全種類が固定化された態様に包含される。
【0023】
検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチド全種類が固定化された態様は、ターゲットポリヌクレオチドが、マイクロアレイの検出用スポットに固定化された複数のプローブポリヌクレオチドのいずれかに必ずハイブリダイズするポリヌクレオチドを含み、どの検出用スポットにハイブリダイズしたかを検出することにより、ターゲットポリヌクレオチドを同定する場合に、好ましく使用される。換言すれば、マイクロアレイに接触させるターゲットポリヌクレオチドが、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドのいずれかにハイブリダイズするポリヌクレオチドを必ず含むものである態様に対し、好適である。なぜなら、そのようなターゲットポリヌクレオチドは、基準スポットに固定されたプローブポリヌクレオチドのいずれかに必ずハイブリダイズことから、マイクロアレイが劣化しておらず、核酸増幅反応等の検出手順が正常に行われている限り、基準スポットにおいて必ずシグナルが検出されるからである。そして、基準スポットにおけるシグナルの有無により、マイクロアレイごとの信頼性を判定でき、信頼性のあるマイクロアレイを用いて測定を実施することができる。さらに、ハイブリダイズ反応の信頼性も判定することができ、誤判定を抑えることができる。また、基準スポットの位置を基準として、検出用スポットの位置を自動的に決定することができるため、自動反応装置などと組み合わせることで、自動でマイクロアレイの測定を高い信頼性をもって実施できる。
【0024】
そのような態様としては、生体試料由来のターゲットヌクレオチドに対し、当該生体試料に必ず含まれる核酸に対するプローブポリヌクレオチドが固定化されたマイクロアレイを用いる場合が挙げられる。例えば、当該生体試料に必ず含まれる遺伝子由来の核酸であって、該遺伝子が複数のゲノム型(多型または変異)を有する場合に、そのすべてのゲノム型の核酸に対応するプローブポリヌクレオチド全種類がマイクロアレイの検出用スポットにそれぞれ固定化されている場合である。
【0025】
より具体的には、ABO式血液型の判定のために、ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子の多型(Yamamoto et al., 1990, Nature 345(17):229-233)のそれぞれに対応するプローブポリヌクレオチドのすべてをマイクロアレイの検出用スポットにそれぞれ固定化し、これにターゲットポリヌクレオチドとして、ヒトの細胞、組織または血液などの体液から抽出した核酸由来のターゲットポリヌクレオチド(例えば、当該核酸を鋳型としてABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を増幅させて得られるターゲットポリヌクレオチド)を接触させる場合などが挙げられる。他に、遺伝子多型判定による薬物応答性検査、薬効検査などが挙げられる。
【0026】
本発明は、ターゲットポリヌクレオチドが、マイクロアレイの検出用スポットに固定化された複数のプローブポリヌクレオチドのいずれかハイブリダイズするポリヌクレオチドを含まない場合も包含する。そのような場合は、基準スポットにおいてもシグナルは検出されない。従って、まず基準スポットの蛍光を検出し、所定の値を満たさなければ測定不可と判定することができる。例えば、ヒトに感染している可能性のあるウイルス(例えば、BKウイルス)における遺伝子(例えば、VP1遺伝子)の多型を同定することによりヒトの出身地等を判定する場合に、当該ウイルス遺伝子の多型に対応するプローブポリヌクレオチド全種類が固定化されたマイクロアレイを用いる場合が考えられる。検体がウイルスが感染していれば、検出用スポットのいずれかにおいて蛍光が検出されるとともに、基準スポットでも蛍光が検出されるので、まず基準スポットの蛍光を測定して所定の値を満たした場合のみ、検出用スポットの蛍光を測定すればよい。仮に、基準スポットで蛍光が検出されなければ、マイクロアレイが劣化しているか、核酸増幅反応の不良であるか、または検体が当該ウイルスに感染していないか、等の理由により測定不可と判定できるので、検出用スポットの蛍光を測定する必要はない。従って、本発明は、ダニ・カビの検査、食品や環境での微生物検査、人体への細菌・ウイルス感染の検査など、測定対象の有無を調べる場合などにも利用できる。
【0027】
本発明においては、上記マイクロアレイに、蛍光標識されたターゲットポリヌクレオチドを接触させることによりハイブリダイゼーション反応を実施し、洗浄により未反応のターゲットポリヌクレオチドを除去した後、まず基準スポットにおける蛍光を測定する。本発明においては、さらに、蛍光標識されたターゲットポリヌクレオチドに加えて、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドのいずれかにハイブリダイズする蛍光標識されたマーカーポリヌクレオチドをマイクロアレイに接触させてもよい。当該マーカーポリヌクレオチドは、通常、ストリンジェントな条件下で検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドのいずれかにハイブリダイズする蛍光標識されたマーカーポリヌクレオチドをさす。
【0028】
ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、低ストリンジェントな条件および高ストリンジェントな条件が挙げられるが、高ストリンジェントな条件が好ましい。低ストリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄において、例えば42℃、5×SSC、0.1%SDSで洗浄する条件であり、好ましくは50℃、5×SSC、0.1%SDSで洗浄する条件である。高ストリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄において、例えば65℃、0.1×SSCおよび0.1%SDSで洗浄する条件である。上記のようなストリンジェントな条件下では、いずれかのプローブポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドと高い相同性(相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上)を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドが、ハイブリダイズすることができる。
【0029】
上記のように、マーカーポリヌクレオチドは基準スポットに固定化されたいずれかのプローブポリヌクレオチドにハイブリダイズするように設計されており、かつ蛍光標識を有することから、ターゲットポリヌクレオチドがプローブにハイブリダイズしなくとも基準スポットにおいては蛍光が検出されるはずである。蛍光が検出されない、または蛍光の値が低いということは、基準スポットにおいてプローブポリヌクレオチドがマイクロアレイから失われていること、すなわち、検出用スポットのプローブポリヌクレオチドも同様に失われていることを意味する。あるいは、ハイブリダイズ反応に不具合があることを意味する。従って、基準スポットの蛍光を測定し、所定の値を満たすかどうか判定することにより、マイクロアレイが劣化しているか否か、換言すればマイクロアレイの信頼性を判断することができる。さらには、ハイブリダイズ反応の信頼性を判定することができる。
【0030】
マーカーポリヌクレオチドの蛍光標識は、特に制限されないが、ターゲットポリヌクレオチドの蛍光標識と同じものを用いるのが好ましい。同じものを用いることで、同じ検出器を用いて双方の蛍光標識を一括して測定することができ、迅速且つ簡便に測定を実施できる。
【0031】
本発明で用いるマイクロアレイにおいては、好ましくは、プローブポリヌクレオチドのスポット(検出用スポット)と基準スポットとが整列して、好ましくは格子状に配置されている。そして、好ましくは基準スポットが少なくとも二箇所存在し、いずれか二箇所の基準スポットを結ぶ線を基準線として、基準スポットからの距離および基準線からの角度に基づいて各検出用スポットの位置(スポットの中心)が検出される。より具体的には、基準スポットからの距離および基準線からの角度(各検出用スポットと基準スポットを結ぶ線と基準線とがなす角度)、並びに所望によりスポットピッチ等から各スポットの中心位置を決定することができる。
【0032】
また、検出用スポットと基準スポットを、外周が正方形または長方形の格子状に整列して配置し、基準スポットをその対角線上の向かい合う頂点に二箇所存在させることができる。この場合には、それぞれの基準スポット上を通る二つの直線が垂直に交わる交点を検出し、この交点とそれぞれの二箇所の基準スポットを結ぶ二つの結線を検出する。そして、結線の長さを算出しこの距離を、あらかじめ決定されている(四角形の外周上のスポット数−1)の数で割ることで、結線上の各スポット間隔が求められ、このスポット間隔から各スポット位置を検出することができる。例えば、スポットが4行×4列のマイクロアレイを用いたとする。このときは結線上のスポット数は4点である。結線の長さが900μmだったとすると、900÷(4−1)=300となり、スポット間隔は300μmとなる。これを用いて、基準スポットから結線上に300μm移動したところをスポットの中心とすることができ、さらにこの中心から結線上に300μm移動したところが次のスポットの中心となる。
【0033】
基準線を構成する二箇所の基準スポットは、マイクロアレイ上に整列したスポット群において、遠い位置に存在することが好ましい。検出用スポットと基準スポットは、外周が四角形の格子状に配置されており、基準スポットが四角形の異なる頂点に存在することが好ましい。
【0034】
検出用スポットと基準スポットにおける蛍光を測定するための検出器としては、例えば、蛍光レーザー顕微鏡、冷却CCDカメラおよびコンピュータを連結した蛍光スキャニング装置が用いられ、マイクロアレイ上の蛍光強度を自動的に測定することができる。CCDカメラの代わりに共焦点型または非焦点型のレーザーを用いてもよい。これにより、画像データが得られる。得られたデータから、マイクロアレイ上に固定化されたプローブポリヌクレオチドに対して相補性を有するターゲットポリヌクレオチドを同定することができ、これに基づいて遺伝子発現プロファイルを作成したり、ポリヌクレオチドの塩基配列を決定したりすることが可能になる。
【0035】
本発明で用いるマイクロアレイは、担体上にプローブポリヌクレオチドおよびプローブポリヌクレオチド混合物を固定化したものである。担体の材料としては、当技術分野で公知のものを使用でき、特に制限されない。例えば、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウム、銀、水銀、タングステンおよびそれらの化合物などの貴金属、およびグラファイト、カ−ボンファイバ−に代表される炭素などの導電体材料;単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などに代表されるシリコン材料、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)などに代表されるこれらシリコン材料の複合素材;ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、セラミクス、フォルステライト、感光性ガラスなどの無機材料;ポリエチレン、エチレン、ポリプロビレン、環状ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、ポリフェニレンオキサイドおよびポリスルホンなどの有機材料等が挙げられる。担体の形状も特に制限されないが、好ましくは平板状である。
【0036】
担体として、好ましくは表面にカーボン層と化学修飾基とを有する担体を用いる。表面にカーボン層と化学修飾基とを有する担体には、基板の表面にカーボン層と化学修飾基とを有するもの、およびカーボン層からなる基板の表面に化学修飾基を有するものが包含される。基板の材料としては、当技術分野で公知のものを使用でき、特に制限されず、上述の担体材料として挙げたものと同様のものを使用できる。
【0037】
微細な平板状の構造を有する担体が好適に用いられる。形状は、長方形、正方形および丸形など限定されないが、通常、1〜75mm四方のもの、好ましくは1〜10mm四方のもの、より好ましくは3〜5mm四方のものを用いる。微細な平板状の構造の担体を製造しやすいことから、シリコン材料や樹脂材料からなる基板を用いるのが好ましく、特に単結晶シリコンからなる基板の表面にカーボン層および化学修飾基を有する担体がより好ましい。単結晶シリコンには、部分部分でごくわずかに結晶軸の向きが変わっているものや(モザイク結晶と称される場合もある)、原子的尺度での乱れ(格子欠陥)が含まれているものも包含される。
【0038】
基板上に形成させるカーボン層としては、特に制限されないが、合成ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、軟ダイヤモンド(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)、アモルファスカーボン、炭素系物質(例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ)のいずれか、それらの混合物、またはそれらを積層させたものを用いることが好ましい。また、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化珪素、炭化タンタル、炭化トリウム、炭化チタン、炭化ウラン、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化クロム、炭化バナジウム等の炭化物を用いてもよい。ここで、軟ダイヤモンドとは、いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond Like Carbon)等の、ダイヤモンドとカーボンとの混合体である不完全ダイヤモンド構造体を総称し、その混合割合は、特に限定されない。
【0039】
カーボン層の形成は公知の方法で行うことができる。例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical vapor deposit)法、ECRCVD(Electric cyclotron resonance chemical vapor deposit)法、ICP(Inductive coupled plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric cyclotron resonance)スパッタリング法、イオン化蒸着法、アーク式蒸着法、レーザ蒸着法、EB(Electron beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法などが挙げられる。
【0040】
基板の表面にカーボン層を形成する場合、カーボン層の厚さは、通常、単分子層〜100μm程度であり、薄すぎると下地基板の表面が局部的に露出する可能性があり、逆に厚くなると生産性が悪くなるので、好ましくは2nm〜1μm、より好ましくは5nm〜500nmである。
【0041】
カーボン層が形成された基板の表面に化学修飾基を導入することにより、オリゴヌクレオチドプローブを担体に強固に固定化できる。導入する化学修飾基は、当業者であれば適宜選択することができ、特に制限されないが、例えば、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ホルミル基、ヒドロキシル基および活性エステル基が挙げられる。
【0042】
アミノ基の導入は、例えば、カーボン層をアンモニアガス中で紫外線照射することによりまたはプラズマ処理することにより実施できる。または、カーボン層を塩素ガス中で紫外線を照射して塩素化し、さらにアンモニアガス中で紫外線照射することにより実施できる。または、メチレンジアミン、エチレンジアミンで等の多価アミン類ガス中を、塩素化したカーボン層と反応させることによって実施することもできる。
【0043】
カルボキシル基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に適当な化合物を反応させることにより実施できる。カルボキシル基を導入するために用いられる化合物としては、例えば、式:X−R−COOH(式中、Xはハロゲン原子、Rは炭素数10〜12の2価の炭化水素基を表す)で示されるハロカルボン酸、例えばクロロ酢酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、2−クロロプロピオン酸、3−クロロプロピオン酸、3−クロロアクリル酸、4−クロロ安息香酸;式:HOOC−R−COOH(式中、Rは単結合または炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す)で示されるジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;式:R−CO−R−COOH(式中、Rは水素原子または炭素数1〜12の2価の炭化水素基、Rは炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す)で示されるケト酸またはアルデヒド酸;式:X−OC−R−COOH(式中、Xはハロゲン原子、Rは単結合または炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるジカルボン酸のモノハライド、例えばコハク酸モノクロリド、マロン酸モノクロリド;無水フタル酸、無水コハク酸、無水シュウ酸、無水マレイン酸、無水ブタンテトラカルボン酸などの酸無水物が挙げられる。
【0044】
エポキシ基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に適当な多価エポキシ化合物を反応させることによって実施できる。あるいは、カーボン層が含有する炭素=炭素2重結合に有機過酸を反応させることにより得ることができる。有機過酸としては、過酢酸、過安息香酸、ジペルオキシフタル酸、過ギ酸、トリフルオロ過酢酸などが挙げられる。
【0045】
ホルミル基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に、グルタルアルデヒドを反応させることにより実施できる。
【0046】
ヒドロキシル基の導入は、例えば、前記のように塩素化したカーボン層に、水を反応させることにより実施できる。
【0047】
活性エステル基は、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味する。エステル基のアルコール側に、電子求引性の基を有し、アルキルエステルよりも活性化されたエステル基である。活性エステル基は、アミノ基、チオール基、水酸基等の基に対する反応性を有する。さらに具体的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、シアノメチルエステル、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。より具体的には、活性エステル基としては、たとえばp−ニトロフェニル基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド基等が挙げられ、特に、N−ヒドロキシスクシンイミド基が好ましく用いられる。
【0048】
活性エステル基の導入は、例えば、前記のように導入したカルボキシル基を、シアナミドやカルボジイミド(例えば、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)などの脱水縮合剤とN−ヒドロキシスクシンイミドなどの化合物で活性エステル化することにより実施できる。この処理により、アミド結合を介して炭化水素基の末端に、N−ヒドロキシスクシンイミド基等の活性エステル基が結合した基を形成することができる(特開2001−139532)。
【0049】
プローブポリヌクレオチドおよびプローブポリヌクレオチド混合物を、それぞれスポッティング用バッファーに溶解してスポッティング用溶液を調製し、これを96穴もしくは384穴プラスチックプレートに分注し、分注した溶液をスポッター装置等によって担体上にスポッティングすることにより、マイクロアレイを製造することができる。または、スポッティング溶液をマイクロピペッターにて手動でスポッティングしてもよい。
【0050】
スポッティング後、プローブポリヌクレオチドおよびプローブポリヌクレオチド混合物が担体に結合する反応を進行させるため、インキュベーションを行うことが好ましい。インキュベーションは、通常−20〜100℃、好ましくは0〜90℃の温度で、通常0.5〜16時間、好ましくは1〜2時間にわたって行う。インキュベーションは、高湿度の雰囲気下、例えば、湿度50〜90%の条件で行うのが望ましい。インキュベーションに続き、担体に結合していないDNAを除去するため、洗浄液(例えば、50mM TBS/0.05%Tween20、2×SSC/0.2%SDS溶液、超純水など)を用いて洗浄を行うことが好ましい。
【0051】
本発明の一実施形態では、マイクロアレイを洗浄することにより、未反応のターゲットポリヌクレオチドを除去する工程の後、実際の測定、すなわちプローブポリヌクレオチドが固定化された各検出用スポットにおける蛍光の測定の前に、さらに以下の工程を実施することが好ましい。下記工程は、基準スポットにおける蛍光測定の前に実施してもよいし、後に実施してもよい。
複数のスポットについて、スポットの中心から一定の距離の位置の輝度をそれぞれ測定して、複数のバックグラウンド値を得る工程、
得られた複数のバックグラウンド値を代表するバックグラウンド代表値を算出する工程、および
すべてのスポットについて、または、バックグラウンド値を測定したすべてのスポットについて、バックグラウンド値とバックグラウンド代表値の差をそれぞれ算出し、所定の値以上の差を有するスポットが存在する場合には測定不可と判断する工程。
【0052】
ここで、スポットには、検出用スポットと基準スポットの双方が包含される。バックグラウンド値を得る複数のスポットとしては、マイクロアレイに整列して配置されたスポットのうち、少なくとも外周を形成するスポットすべてについてバックグラウンド値を測定することが好ましい。また、すべてのスポットについてバックグラウンド値を測定する必要はないが、すべてのスポットについてバックグラウンド値を測定してもよい。バックグラウンド値を測定する複数のスポットは、例えば、検出用スポットと基準スポットが、外周が四角形の格子状に配置されている場合、通常、少なくとも四角形の頂点の2スポット、好ましくは少なくとも四角形の頂点の4スポット、より好ましくは最外周のスポットすべてである。より具体的には、16行×16列のスポットであったときの最外周の60スポット、または16行×16列のスポットであったときの全スポットである256スポットである。
【0053】
スポットの中心から一定の範囲の位置の輝度をそれぞれ測定して、バックグラウンド値とする際、中心から一定の範囲は、スポットの大きさとスポット間隔等に基づいて適宜設定される。例えば、スポットの中心から一定の距離以上で、スポット間隔長を一辺としスポットの中心位置を中心とした四角形の範囲内とすることができる。例えば、スポット中心から70μm以上で一辺が1000μmの四角形の範囲内、好ましくはスポット中心から70μm以上で一辺が380μmの四角形の範囲内である。また、一定の範囲の位置のスポット全てまたは一部について輝度を測定した平均値をバックグラウンド値としてもよいし、一定の範囲の位置の一スポットのみの輝度を測定してそれをバックグラウンド値としてもよい。
【0054】
スポットの中心の位置決め方法は特に制限されないが、例えば、各スポットにおいて、所定の蛍光強度(例えば、3000以上)を有する部分を検出し、その部分の中心とすることができる。あるいは、二箇所の基準スポットの中心を結ぶ線を基準線とし、基準スポットからの距離および基準線からの角度、並びにスポットピッチ等から各スポットの中心位置を決定してもよい。
【0055】
バックグラウンド代表値は、測定した複数のバックグラウンド値を代表する値であれば特に制限されないが、好ましくは複数のバックグラウンド値の平均値またはメディアン値である。
【0056】
すべてのスポットについて、または、バックグラウンド値を測定した全てのスポットについてのバックグラウンド値とバックグラウンド代表値の差をそれぞれ算出し、所定の値以上の差を有するスポットが存在する場合は、スポット周囲のバックグラウンド値にばらつきが大きいと判定でき、従って、当該マイクロアレイは洗浄不良であり、信頼性に欠けることから測定不可と判断することができる。ここで、所定の値は、条件等によって異なるが、例えば、画像の表示が16ビット諧調であるときは1000以上に設定することができる。画像の表示が例えば8ビット諧調であるときは、50よりも小さい値を設定することができる。
【0057】
本発明の別の実施形態では、マイクロアレイを洗浄することにより、未反応のターゲットポリヌクレオチドを除去する工程の後、実際の測定、すなわちプローブポリヌクレオチドが固定化された各検出用スポットにおける蛍光の測定の前に、さらに以下の工程を実施することが好ましい。下記工程は、基準スポットにおける蛍光測定の前に実施してもよいし、後に実施してもよい。
複数のスポットについて、スポットの中心から一定の距離の位置の輝度をそれぞれ測定して、複数のバックグラウンド値を得る工程、
複数のバックグラウンド値の平均値またはメディアン値をバックグラウンド代表値として算出する工程、
バックグラウンド代表値が所定の値以上の場合には測定不可と判断する工程。
【0058】
ここで、スポットには、検出用スポットと基準スポットの双方が包含される。バックグラウンド値を得る複数のスポットとしては、マイクロアレイに整列して配置されたスポットのうち、少なくとも外周を形成するスポットすべてについてバックグラウンド値を測定することが好ましい。また、すべてのスポットについてバックグラウンド値を測定する必要はないが、すべてのスポットについてバックグラウンド値を測定してもよい。バックグラウンド値を測定する複数のスポットは、例えば、検出用スポットと基準スポットが、外周が四角形の格子状に配置されている場合、通常、少なくとも四角形の頂点の2スポット、好ましくは少なくとも四角形の頂点の4スポット、より好ましくは最外周のスポットすべてである。より具体的には、16行×16列のスポットであったときの最外周の60スポット、または16行×16列のスポットであったときの全スポットである256スポットである。
スポットの中心から一定の距離、および中心の決定方法については、上述のとおりである。
【0059】
複数のバックグラウンド値の平均値またはメディアン値であるバックグラウンド代表値が所定の値以上の場合には、スポット周囲のバックグラウンド値が全体的に大きいと判定でき、従って、当該マイクロアレイは洗浄不良であり、信頼性に欠けることから測定不可と判断することができる。ここで、所定の値は、条件等によって異なるが、例えば、16ビットのときは1000以上に設定することができる。
【0060】
本発明はまた、上記のとおりのプローブポリヌクレオチドとターゲットポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションの検出に使用するためのキットに関する。本発明のキットは、複数種のプローブポリヌクレオチドがそれぞれ固定化された複数の検出用スポットに加えて、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチド全種類が固定化された基準スポットを一箇所以上有するマイクロアレイ、ならびに検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドのいずれかにハイブリダイズする蛍光標識されたマーカーポリヌクレオチドを含む。プローブポリヌクレオチド、ターゲットポリヌクレオチド、プローブポリヌクレオチド混合物、マイクロアレイ、およびマーカーポリヌクレオチド等については、上述のとおりである。本発明のキットは、さらに、ハイブリダイゼーションバッファー、洗浄バッファー、マイクロプレート、ナイロンメンブレンなどを含んでいてもよい。
【0061】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0062】
実施例1 担体の調製
3mm角のシリコン基板にイオン化蒸着法を用いて、下記の条件で2層のDLC層の製膜を行った。
【0063】
【表1】

【0064】
得られた表面にDLC層を有するシリコン基板上に、下記の条件でアンモニアプラズマを用いて、アミノ基を導入した。
【0065】
【表2】

【0066】
140mM 無水コハク酸および0.1M ホウ酸ナトリウムを含む1−メチル−2−ピロリドン溶液に30分間浸漬し、カルボキシル基を導入した。0.1M リン酸カリウムバッファー、0.1M 1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、20mM N−ヒドロキシスクシイミドを含む溶液に30分間浸漬し、活性化を行い、シリコン基板表面にDLC層および化学修飾基としてのN−ヒドロキシスクシイミド基を有する担体を得た。
【0067】
実施例2 マイクロアレイの作製
4種のABO式血液型判定用プローブDNA(プローブポリヌクレオチド)および4種の血液型判定用プローブDNAの混合物をそれぞれSol.6に溶解し、実施例1で作製した担体上に図1のような配置でスポット(日立ソフトウエアエンジニアリング製 SPBIO)した。すなわち、プローブDNAは検出用スポットに、プローブDNA混合物は基準スポットにスポットした。4種のプローブDNAは、それぞれが10μMの濃度となるように溶解して、それぞれスポットした。プローブDNA混合物は、4種のプローブDNAを等量混合し、合計で、2.5μM、5μM、10μM、20μM、または40μMの濃度となるように溶解してスポットした。例えば、プローブDNA混合物の40μMのスポットは、4種のプローブDNAをそれぞれ10μMずつ含む溶液をスポットしたことを示す。スポットピッチは、280μmとした。
【0068】
4種の血液型判定用プローブDNAの配列は、以下のとおりである。
AB型プローブ:5'-TCCTCGTGGTGACCCCTTGG-3'(配列番号1)
O型プローブ:5'-TCCTCGTGGTACCCCTTGGC-3'(配列番号2)
AO型プローブ:5'-ACAAGTACCTGCTGCGCCAC-3'(配列番号3)
B型プローブ:5'-ACAAGTACCTACTGCGCCAC-3'(配列番号4)
【0069】
O型プローブにハイブリダイズした核酸/AB型プローブにハイブリダイズした核酸の値(O型/AB型)に基づき、被検者の血液型がOO型、?O型または??型(?=AまたはB)であるかを判定できる。?O型は、AO型またはBO型を意味し、??型はAA型、AB型またはBB型を意味する。O型/AB型の値は、OO型>?O型>??型となる。従って、O型/AB型の値に閾値を設定することにより、OO型、?O型または??型のいずれであるかを判定できる。例えば、O型/AB型の値が3.0以上であればOO型と判定し、O型/AB型の値が1.0以上3.0未満であれば?O型と判定し、O型/AB型の値が1.0未満であれば??型と判定できる。
【0070】
B型プローブにハイブリダイズした核酸/AO型プローブにハイブリダイズした核酸の値(B型/AO型)に基づき、被検者の血液型がBB型、B?型または??型(?=AまたはO)であるかを判定できる。B?型は、AB型またはBO型を意味し、??型はAA型、AO型またはOO型を意味する。B型/AO型の値は、BB型>B?型>??型となる。従って、B型/AO型の値に閾値を設定することにより、BB型、B?型または??型のいずれであるかを判定できる。例えば、B型/AO型の値が3.0以上であればBB型と判定し、B型/AO型の値が1.0以上3.0未満であればB?型と判定し、B型/AO型の値が1.0未満であれば??型と判定できる。
【0071】
80℃で1時間ベーキングを実施した後に、2×SSC/0.2%SDS中、室温で、攪拌しながら15分間、および70℃で5分間洗浄し、続いて超純水で洗浄し、遠心乾燥することにより、プローブDNAおよびプローブDNA混合物がスポットされたマイクロアレイを作製した。
【0072】
実施例3 ターゲットDNAとのハイブリダイゼーション
(1)AO型およびBO型の血液型を有する被検者の頬芽細胞を採取し、核酸抽出を行い(QIAamp、キアゲン社製)、上記プローブDNAとハイブリダイズする領域(ABOグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子)を以下のプライマーセットを用いてPCRで増幅した(GeneAmp9700、ABI社製)。
フォワードプライマー1:5'-AGCTCAGCTTGCTGTGTGTT-3'(配列番号5)
リバースプライマー1:5'-AGATGCTGCATGAATGACC-3'(配列番号6)
フォワードプライマー2:5'-GCCTGCCTTGCAGATACGTG-3'(配列番号7)
リバースプライマー2:5'-CAGAGTTTACCCGTTCTGCT-3'(配列番号8)
標識は、CyDye(Cy5)を用いて行った。PCR溶液の組成およびPCR条件は以下のとおりとした。
【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
(2)ハイブリダイズバッファー(3×SSC/0.3%SDS)1μLにPCR産物2μLを混ぜ、実施例2で作製したマイクロアレイに滴下し、55℃で1時間ハイブリダイズを行った。2×SSC/0.2%SDSで洗浄し(10回揺動)、続いて2×SSCで洗浄した(10回揺動)。
【0076】
(4)蛍光の測定は、図2に示すような検出器を用いて実施した。赤色レーザーで励起光をマイクロアレイ全面に照射した(露光時間15秒)。蛍光フィルターにより、目的の波長以外の波長を有する光をカットした。
【0077】
図3にハイブリダイズ後、蛍光を測定した画像を示す。スポットの中心からφ100μm径内のピクセル数値のメディアン値を代表値として算出した結果を以下の表5および図4に示す。
【0078】
【表5】

【0079】
以上の結果から、検出用スポットに固定化されたプローブDNAのすべてを含む混合プローブを、検出用スポットと同じマイクロアレイにスポットしても、検出用スポットにおいて問題なく蛍光シグナルが検出され、かつ基準スポットにおいても蛍光シグナルが検出されることが示された。
【0080】
実施例4
実施例2と同様の手順により、4種のABO式血液型判定用プローブDNA(プローブポリヌクレオチド)および4種類の血液型判定用プローブDNA混合物を実施例1で作製した担体上に図5のような配置でスポットし、マイクロアレイを作製した。また、図5の基準スポットに何もスポットしないマイクロアレイも、従来法のマイクロアレイとして作製した。
【0081】
実施例3と同様の手順により、2種類のマイクロアレイに対し、AO型検体およびBO型検体由来のターゲットDNAを接触させ、蛍光強度を測定した。結果を図6に示す。従来法のマイクロアレイを用いた場合と、本発明のマイクロアレイを用いた場合では、各検出用スポットにおける蛍光強度に実質的な差はみられなかった。また、蛍光強度から算出した血液型を判定するための(O型プローブのスポットにおける蛍光強度/AB型プローブのスポットにおける蛍光強度)の値、および(B型プローブのスポットにおける蛍光強度/AO型プローブのスポットにおける蛍光強度)の値も、ほとんど差がなかった。
【0082】
以上から、検出用スポットに固定化されたプローブDNAのすべてを含む混合プローブを、検出用スポットと同じマイクロアレイにスポットしても、検出用スポットにおいて得られる蛍光強度は影響を受けないことが示された。
【0083】
実施例5
実施例3において、BO型検体から抽出した核酸に対し、プライマーを入れずにPCRを行って得られたPCR産物を、4種のABO式血液型判定用プローブDNA(プローブポリヌクレオチド)および4種類の血液型判定用プローブDNA混合物を実施例1で作製した担体上に図5のような配置でスポットして作成したマイクロアレイに滴下した。そして、その他は実施例3と同様の手順でハイブリダイゼーションおよび蛍光測定を実施した。得られた蛍光画像を図7に示す。
【0084】
以上から、PCRが正常に行われていない場合は、検出用スポットだけでなく、プローブDNA混合物が固定化された基準スポットにおいても蛍光が検出されず、PCR不良であることを確認できることがわかった。すなわち、プローブ混合物が固定化された基準スポットにおける蛍光を測定し、蛍光が検出されれば核酸増幅反応が良好に行われたことの指針となり、画像を確認しなくても測定の可否をソフトウエア上で自動で判定できる。
【0085】
実施例6 マイクロアレイの作製
被検者に感染したBKウイルスのゲノム型(BKウイルスのVP1遺伝子のゲノム型)を判定するためのプローブDNA(17種)および該17種のプローブDNAの混合物をそれぞれSol.6に溶解し、実施例1で作製した担体上に図8のような配置でスポット(日立ソフトウエアエンジニアリング製 SPBIO)した。すなわち、プローブDNAは検出用スポット1〜17に、プローブDNA混合物は基準スポットAにスポットした。17種のプローブDNAは、それぞれが5μMの濃度となるように溶解して、それぞれスポットした。プローブDNA混合物は、17種のプローブDNAを等量混合し、合計で、85μMの濃度となるように溶解してスポットした。スポットピッチは、280μmとした。
17種のプローブDNAの配列は、以下のとおりである。
【0086】
【表6】

【0087】
80℃で1時間ベーキングを実施した後に、2×SSC/0.2%SDS中、室温で、攪拌しながら15分間、および70℃で5分間洗浄し、続いて超純水で洗浄し、遠心乾燥することにより、プローブDNAおよびプローブDNA混合物がスポットされたマイクロアレイを作製した。
【0088】
実施例7 ターゲットDNAとのハイブリダイゼーション
(1)3人のヒト被検者の尿から核酸抽出を行い(QIA、キアゲン社製)、上記プローブDNAとハイブリダイズする領域(BKウイルスのVP1遺伝子)を以下のプライマーセットを用いてPCRで増幅した(GeneAmp9700、ABI社製)。
フォワードプライマー:5'-CAAGTGCCAAAACTACTAAT-3'(配列番号26)
リバースプライマー:5'-TGCATGAAGGTTAAGCATGC-3'(配列番号27)
標識は、CyDye(Cy5)を用いて行った。PCR溶液の組成およびPCR条件は以下のとおりとした。
【0089】
【表7】

【0090】
【表8】

【0091】
(2)ハイブリダイズバッファー(3×SSC/0.3%SDS)にPCR産物2μLを混ぜ、実施例6で作製したマイクロアレイに滴下し、55℃で1時間ハイブリダイズを行った。2×SSC/0.2%SDSで洗浄し(10回揺動)、続いて2×SSCで洗浄した(10回揺動)。
【0092】
(4)蛍光の測定は、FLA8000(富士フイルム社製)で行った。図9にハイブリダイズ後、蛍光を測定した画像を示す。その結果、3人の被検者についてそれぞれ3種のBKウイルスのゲノム型を検出することができた。また、基準スポットにおいても蛍光が検出された。
【0093】
以上から、マイクロアレイの検出用スポットに17種のプローブDNAを固定化し、17種のプローブDNAの混合物を基準スポットに固定化した場合でも、検体由来のターゲットDNAをハイブリダイズさせることにより基準スポットで蛍光を検出でき、測定の可否を判定できること、基準スポットの蛍光に基づいて検出用スポットの位置決めが可能であることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロアレイを用いてプローブポリヌクレオチドとターゲットポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを検出する方法であって、
1)複数種のプローブポリヌクレオチドがそれぞれ固定化された複数の検出用スポットに加えて、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドの2種以上が固定化された基準スポットを一箇所以上有するマイクロアレイに、蛍光標識されたターゲットポリヌクレオチドを接触させる工程、
2)マイクロアレイを洗浄することにより、未反応のターゲットポリヌクレオチドを除去する工程、
3)基準スポットにおける蛍光を測定し、所定の値を満たせば測定可と判断する工程、および
4)測定可と判断されたら、プローブポリヌクレオチドが固定化された各検出用スポットにおける蛍光を測定する工程、
を含む、前記方法。
【請求項2】
基準スポットに、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドの全種類が固定化されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
マイクロアレイに接触させるターゲットポリヌクレオチドが、基準スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを必ず含むものである、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
マイクロアレイにおいて、検出用スポットと基準スポットが整列して配置されており、基準スポットが少なくとも二箇所存在し、いずれか二箇所の基準スポットを結ぶ線を基準線として、基準スポットからの距離と基準線からの角度に基づいて検出用スポットの位置が検出される、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
検出用スポットと基準スポットが、外周が四角形の格子状に配置されており、基準スポットが四角形の異なる頂点に存在する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
マイクロアレイにおいて、検出用スポットと基準スポットが、外周が正方形または長方形の格子状に整列して配置されており、基準スポットがその対角線上の頂点に二箇所存在し、
各基準スポット上を通る二つの直線が垂直に交わる交点を検出し、
前記交点と各基準スポットとを結ぶ二つの結線の長さを検出し、
前記結線の長さとスポット数から結線上の各検出用スポット位置が検出される、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
マーカーポリヌクレオチドが、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドのいずれかと相補的なポリヌクレオチドと95%以上の相同性を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
プローブポリヌクレオチドとターゲットポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを検出するためのキットであって、
複数種のプローブポリヌクレオチドがそれぞれ固定化された複数の検出用スポットに加えて、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドの2種以上が固定化された基準スポットを一箇所以上有するマイクロアレイ、ならびに検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドのいずれかにハイブリダイズする蛍光標識されたマーカーポリヌクレオチドを含む、前記キット。
【請求項9】
基準スポットに、検出用スポットに固定化されたプローブポリヌクレオチドの全種類が固定化されている、請求項8記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−135855(P2011−135855A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251(P2010−251)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【出願人】(390003193)東洋鋼鈑株式会社 (265)
【Fターム(参考)】