説明

マイクロカプセル内包多核カプセル及びその製造方法、マイクロカプセル内包多核カプセル分散液、感光性転写材料、画像形成方法

【課題】 経時での色別れや色割れに伴なう色ズレの発生を抑えたマイクロカプセル内包多核カプセルを提供する。
【解決手段】 発色成分Aを内包するマイクロカプセルと、該マイクロカプセル外に発色成分Aと反応して発色させる部位を有する発色成分B及び光重合性組成物とを少なくとも含むマイクロカプセル内包領域が少なくとも2種内包されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発色成分Aを内包するマイクロカプセル及び該発色成分Aと反応して発色させる発色成分Bを内包するマイクロカプセル内包多核カプセルの製造方法、並びにこれを用いた分散液、感光性転写材料、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多色の画像形成方法として、感光・感熱シートを使用した画像形成方法が知られているが、感光性組成物・発色成分がシート全面に塗布されているため、漂白方法は提案されているものの、非画像部のステインを未塗布部分と同等レベルに改善することはできていない。
【0003】
また、例えば、印刷・熱転写系でカラー画像を形成するためには、少なくともイエロー(Y)・マゼンタ(M)・シアン(C)3種のインキリボンを用いて順次記録する必要があり、プロセスが複雑で小型、安価な記録システムの構築が難しい。
【0004】
一方、多色の画像形成方法に感光性カプセルを用いる技術やカラー画像形成装置やそれに用いるマイクロカプセルトナーについては開示されたものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開平5−289325号公報
【特許文献2】特開2004−219984号公報
【特許文献3】特開2003−330228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献にはカプセルとしての具体的な製造例等についての記載はなく、当業者が追試して実施できる程度に記載された文献と言い難い。
また、発色色相の異なる複数種のマイクロカプセル内包カプセルを作製し、これらを数種混合して感光・感熱カラーインキとして使用しようとすると、インキが経時で色別れを起こしたり、インキが受像紙に染み込む際に色割れを起こしたりしてしまい、色相にズレを生じてしまう課題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、経時での色別れや色割れに伴なう色ズレの発生を抑えたマイクロカプセル内包多核カプセル及びその製造方法、マイクロカプセル内包多核カプセル分散液、及び感光性転写材料、並びに非画像部の白色度が高く、色別れや色割れに伴なう色ズレを抑えて色相の良好な色画像(好ましくは多色画像)の形成が可能な画像形成方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 発色成分Aを内包するマイクロカプセルと、該マイクロカプセル外に前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する発色成分B及び光重合性組成物とを少なくとも含むマイクロカプセル内包領域を少なくとも2種内包するマイクロカプセル内包多核カプセルである。
<2> 前記少なくとも2種のマイクロカプセル内包領域は、発色成分Aが発色成分Bと反応した際にそれぞれ異なる色相に発色するように構成されたことを特徴とする前記<1>に記載のマイクロカプセル内包多核カプセルである。
<3> 前記光重合性組成物が、重合性基を有する重合可能な化合物と光重合開始剤とを少なくとも含有することを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のマイクロカプセル内包多核カプセルである。
【0008】
<4> 前記重合可能な化合物の少なくとも一種を前記発色成分Bが兼ねることを特徴とする前記<3>に記載のマイクロカプセル内包多核カプセルである。
<5> 前記重合可能な化合物の少なくとも一種が、同一分子内に前記発色成分Aと前記発色成分Bとの反応を抑制する部位を有する発色抑制化合物であることを特徴とする前記<3>又は<4>に記載のマイクロカプセル内包多核カプセルである。
<6> 前記重合可能な化合物がエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物であり、前記光重合開始剤が光ラジカル発生剤であることを特徴とする前記<3>〜<5>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル内包多核カプセルである。
【0009】
<7> 前記マイクロカプセルが熱応答性マイクロカプセルであることを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル内包多核カプセルである。
<8> 前記マイクロカプセル内包領域がマイクロカプセルをカプセル壁で内包したマイクロカプセル内包カプセルである場合のカプセル壁、及び前記少なくとも2種のマイクロカプセル内包領域がカプセル壁で内包されたカプセルである場合のカプセル壁の少なくとも一方が、酸素バリヤ性を有することを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル内包多核カプセルである。
<9> 前記マイクロカプセル内包領域は、粒子径(直径)が40μm以下であることを特徴とする前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル内包カプセルである。
【0010】
<10> 前記少なくとも2種のマイクロカプセル内包領域は、中心波長λ1の光に感光する第1のマイクロカプセル内包領域、中心波長λ2の光に感光し、前記第1のマイクロカプセル内包領域と異なる色相に発色する第2のマイクロカプセル内包領域、・・・、及び中心波長λiの光に感光し、前記第1、第2、・・・、及び第i−1のマイクロカプセル内包領域とそれぞれ異なる色相に発色する第iのマイクロカプセル内包領域を含むことを特徴とする前記<1>〜<9>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル内包多核カプセルである。
<11> 前記マイクロカプセル内包領域は、少なくとも前記マイクロカプセルと前記光重合性組成物及び前記発色成分Bとが同一カプセルに内包されてなるマイクロカプセル内包カプセルであることを特徴とする前記<1>〜<10>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル内包多核カプセルである。
<12> 前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル内包多核カプセルを少なくとも含むマイクロカプセル内包多核カプセル分散液である。
<13> 支持体上に、前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル内包多核カプセルを少なくとも含む感光性層を有する感光性転写材料である。
【0011】
<14> 発色成分Aを内包するマイクロカプセルの分散物と、発色成分B及び光重合性組成物を含む分散物とを混合した混合液を少なくとも2種調製し、調製された少なくとも2種の前記混合液を用いて、液中硬化皮膜法により多核カプセル化してマイクロカプセル内包多核カプセルを作製するマイクロカプセル内包多核カプセルの製造方法である。
<15> 前記多核カプセル化は、多芯ノズル、膜乳化法、マイクロチャンネル乳化法、及びマイクロ流路分岐乳化法より選択される少なくとも1種の分散方法を用いて、前記液中硬化皮膜法により行なうことを特徴とする前記<14>に記載のマイクロカプセル内包多核カプセルの製造方法である。
<16> 発色成分Aを内包するマイクロカプセルの分散物と、発色成分B及び光重合性組成物を含む分散物とを混合した混合液を少なくとも2種調製し、調製された少なくとも2種の前記混合液を用いて、液中乾燥法及び/又は界面重合法により多核カプセル化してマイクロカプセル内包多核カプセルを作製するマイクロカプセル内包多核カプセルの製造方法である。
【0012】
<17> 少なくとも前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル内包多核カプセル又は前記<12>に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル分散液を含有する分散組成物を支持体上に付与し、乾燥させて感光性層を形成する工程と、形成された感光性層を画像様に露光する工程と、露光後の少なくとも前記感光性層を加熱により現像する工程と、を少なくとも有する画像形成方法である。
<18> 前記<13>に記載の感光性転写材料を受像シートに接触させ、少なくとも感光性層を転写する工程と、転写された感光性層を画像様に露光する工程と、露光後の少なくとも前記感光性層を加熱により現像する工程と、を少なくとも有する画像形成方法である。
【0013】
<19> 前記<13>に記載の感光性転写材料の少なくとも感光性層を画像様に露光する工程と、露光後の少なくとも前記感光性層を加熱により現像する工程と、前記感光性転写材料を受像シートに接触させ、現像後の少なくとも前記感光性層を前記受像シートに転写する工程と、を少なくとも有する画像形成方法である。
<20> 少なくとも前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル内包多核カプセル又は前記<12>に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル分散液を含有する分散組成物を仮支持体上に付与し、乾燥させて感光性層を形成する工程と、形成された感光性層を画像様に露光する工程と、露光後の少なくとも前記感光性層を加熱により現像する工程と、現像後、仮支持体上の少なくとも前記感光性層を受像シートに転写する工程と、を少なくとも有する画像形成方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、経時での色別れや色割れに伴なう色ズレの発生を抑えたマイクロカプセル内包多核カプセル及びその製造方法、マイクロカプセル内包多核カプセル分散液、及び感光性転写材料、並びに、非画像部の白色度が高く、色別れや色割れに伴なう色ズレを抑えて色相の良好な色画像(好ましくは多色画像)の形成が可能な画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル及びその製造方法について、詳細に説明すると共に、このマイクロカプセル内包多核カプセルを用いたマイクロカプセル内包多核カプセル分散液、感光性転写材料、及び画像形成方法について詳述する。
【0016】
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルは、少なくとも2種のマイクロカプセル内包領域を内包して構成されており、マイクロカプセル内包領域の各々は、発色成分Aを内包するマイクロカプセル(好ましくは熱応答性マイクロカプセル)と、該マイクロカプセル外に、光重合性組成物と、前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する発色成分Bとを少なくとも含んでなり、必要に応じて他の成分を用いて構成することができる。
【0017】
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルは、同一のカプセル内に2種以上のマイクロカプセル内包領域を更に内包して構成されるので、複数種のマイクロカプセル内包領域を同様に内包した複数個の同一カプセルを分散等により均一に存在させるようにすることで、同種のマイクロカプセル内包領域が経時で不均一化するのを効果的に回避し得、種類の異なる複数種のマイクロカプセル内包領域を均一に存在させることができる。
【0018】
マイクロカプセル内包多核カプセルに内包されているマイクロカプセル内包領域は、例えば、マイクロカプセルが更にカプセル化されたマイクロカプセル内包マイクロカプセル、マイクロカプセルが粒子中に取り込まれたマイクロカプセル内包粒子、マイクロカプセルがゲル体に取り込まれたマイクロカプセル内包ゲルなど、マイクロカプセルを包み込んで独立に存在する組織形態である。内包されるマイクロカプセルは、熱応答性マイクロカプセルであるのが好ましい。
【0019】
すなわち、多核とは、マイクロカプセル内包多核カプセルが小さい核が大きい核に内包されている関係を複数有する構造をいい、核にはカプセル粒、ゲル粒、樹脂粒などの形態が含まれる。よって、マイクロカプセル内包多核カプセルは、カプセル壁を持つカプセル形態のみで多核構造が形成されたものに限られず、カプセル形態以外に、例えばマイクロカプセルを内包したゲル粒や樹脂粒も核を構成する。
【0020】
前記マイクロカプセル内包領域は、熱現像の効率を上げ、また、記録の解像度が高く良好な画質を得るためには、粒子径(直径)が40μm以下であるのが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。
【0021】
また、個々のマイクロカプセル内包多核カプセルは、性質や機能等の異なる複数種のマイクロカプセル内包領域を含んでなるものであり、少なくとも、マイクロカプセル内包領域に内包されたマイクロカプセル(第1核)、及び該第1核を内包したマイクロカプセル内包領域(第2核)を含み、複数の第2核をさらに内包して粒子化(第3核)した3核以上の多核構造に構成される。
【0022】
ここで、第1核、第2核、第3核・・・第n核の多核構造のうち、少なくとも第1核はマイクロカプセル(好ましくは熱応答性マイクロカプセル)に構成され、他の核(n≧2)はいずれの形態からなるものでもよい。例えば、第2核(マイクロカプセル内包領域)は、第1核であるマイクロカプセルを更にカプセル壁でカプセル化したカプセル形態でもよいし、第1核であるマイクロカプセルをゲルや樹脂等の中に包み込んだゲルもしくは樹脂粒子の形態でもよい。
また同様に、第3核は、複数のマイクロカプセル内包領域を更にカプセル壁でカプセル化したカプセル形態でもよいし、複数のマイクロカプセル内包領域をゲルや樹脂等の中に包み込んだゲルもしくは樹脂粒子の形態でもよい。
【0023】
前記マイクロカプセル内包領域は、露光中心波長λ1の光に感光する第1のマイクロカプセル内包領域、露光中心波長λ2の光に感光し、前記第1のマイクロカプセル内包領域と異なる色相に発色する第2のマイクロカプセル内包領域、・・・、及び露光中心波長λiの光に感光し、前記第1、第2、・・・、及び第i−1のマイクロカプセル内包領域とそれぞれ異なる色相に発色する第iのマイクロカプセル内包領域で構成された態様が好ましい。
【0024】
すなわち、複数種のマイクロカプセル内包領域の具体的な組合せ例として、赤色(R)に発色する発色成分AR内包マイクロカプセルと発色成分ARを発色させる発色成分Bと中心波長λ1に感光性を持つ光重合性組成物と含む赤色発色用マイクロカプセル内包多核領域、緑色(G)に発色する発色成分AG内包マイクロカプセルと発色成分AGを発色させる発色成分Bと中心波長λ2(≠λ1)に感光性を持つ光重合性組成物とを含む緑色発色用マイクロカプセル内包多核領域、及び青色(B)に発色する発色成分AB内包マイクロカプセルと発色成分ABを発色させる発色成分Bと中心波長λ3(≠λ1,λ2)に感光性を持つ光重合性組成物とを含む青色発色用マイクロカプセル内包多核領域を組合せて含む多色発色系、などが挙げられる。
【0025】
例えば上記のように、発色色相の異なる複数種(例えばR、G、Bの3色)の発色成分A内包マイクロカプセルを同様に内包した複数個の同一カプセルを調製した場合、この同一カプセルを分散含有する塗布液を支持体上に塗布して発色層を塗設したときには、層中に発色色相の異なる発色成分A内包マイクロカプセルを均一に存在させることが可能であり、発色させた際の色相に偏りがなく、鮮やかで色相の良好な多色画像を得ることができる。
【0026】
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルの具体的な態様を図面を参照して説明する。
図1に概念的に示すように、液相12Y3中に、第1発色成分(例えばイエロー発色成分)Yが内包されたマイクロカプセル(第1核)12Y1が、発色成分Yを発色させる第2発色成分及び光重合性組成物(感光中心波長λ1=405nm)を含む分散粒子12Y2と共に分散含有された発色核(第2核)12と、同様に、液相13M3中に、第1発色成分(例えばマゼンタ発色成分)Mが内包されたマイクロカプセル(第1核)13M1が、発色成分Mを発色させる第2発色成分及び光重合性組成物(感光中心波長λ2=532nm)を含む分散粒子13M2と共に分散含有された発色核(第2核)13と、液相14C3中に、第1発色成分(例えばシアン発色成分)Cが内包されたマイクロカプセル(第1核)14C1が、発色成分Cを発色させる第2発色成分及び光重合性組成物(感光中心波長λ3=657nm)を含む分散粒子14C2と共に分散含有された発色核(第2核)14とがゲル体(第3核)2中に包まれて粒子状になった態様であってもよい。
【0027】
また、図3に概念的に示すように、ゲル相22Y3中に第1発色成分(例えばイエロー発色成分)Yが内包されたマイクロカプセル(第1核)22Y1が発色成分Yを発色させる第2発色成分及び光重合性組成物(感光中心波長λ1=405nm)を含む分散粒子22Y2と共に分散含有された発色核(第2核)22及び、同様に、前記図1における場合のように、ゲル相中に第1発色成分(例えばマゼンタ又はシアン発色成分)が内包されたマイクロカプセル(第1核)が第2発色成分及び光重合性組成物(感光中心波長λ2又はλ3(≠λ1))を含む分散粒子と共に分散含有された発色核(第2核)23、24がカプセル壁に内包されて水相中に分散された態様であってもよい。
【0028】
また、図5に概念的に示すように、液相32Y3中に第1発色成分(例えばイエロー発色成分)Yが内包されたマイクロカプセル(第1核)32Y1が発色成分Yを発色させる第2発色成分及び光重合性組成物(感光中心波長λ1=405nm)を含む分散粒子32Y2と共に分散された状態でカプセル化された発色核(第2核)32及び、同様に、前記図1における場合のように、液相中に第1発色成分(例えばマゼンタ又はシアン発色成分)が内包されたマイクロカプセル(第1核)が第2発色成分及び光重合性組成物(感光中心波長λ2又はλ3(≠λ1))を含む分散粒子と共に分散された状態でカプセル化された発色核(第2核)33、34がゲル体3中に包まれて粒子状になった態様であってもよい。
【0029】
更に、図6に概念的に示すように、液相42Y3中に第1発色成分(例えばイエロー発色成分)Yが内包されたマイクロカプセル(第1核)42Y1が発色成分Yを発色させる第2発色成分及び光重合性組成物(感光中心波長λ1=405nm)42Y2と共に分散された状態でカプセル化された発色核(第2核)42及び、同様に、前記図1における場合のように、液相中に第1発色成分(例えばマゼンタ又はシアン発色成分)が内包されたマイクロカプセル(第1核)が第2発色成分及び光重合性組成物(感光中心波長λ2又はλ3(≠λ1))を含む分散粒子と共に分散された状態でカプセル化された発色核(第2核)43、44が液相中に更に分散された状態で更にカプセル壁でカプセル化されたカプセルの態様であってもよい。
【0030】
本発明においては、マイクロカプセル内包領域がマイクロカプセルをカプセル壁で内包したマイクロカプセル内包カプセルである場合のカプセル壁、及び2種以上のマイクロカプセル内包領域がカプセル壁で内包されたカプセルである場合のカプセル壁の少なくとも一方が、酸素バリヤ性を有することが望ましい。これにより、マイクロカプセル内包領域中での重合硬化をより良好に行なえる。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)等の樹脂成分を含有する等によって行なえる。
【0031】
次に、マイクロカプセル内包多核カプセルを構成する成分等について詳述する。
−発色成分A,B−
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルを構成するマイクロカプセル内包領域は、発色成分Aの少なくとも1種をマイクロカプセルに内包して含有すると共に、発色成分A内包のマイクロカプセル外に該発色成分Aと反応して発色させる発色成分Bの少なくとも1種を含有する。
【0032】
発色成分A及び、該発色成分Aと反応して発色させる発色成分Bとの組み合わせとして、以下のようなものが挙げられる。
(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ。
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
【0033】
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
【0034】
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸又は塩基との組合せ(顔料が生成する組合せ)。
【0035】
〜発色成分A〜
発色成分Aとしては、上記の中でも、実質的に無色の電子供与性染料前駆体(以下、単に「電子供与性無色染料」という。)、又はジアゾニウム塩化合物が好ましい。
【0036】
〈電子供与性無色染料〉
前記電子供与性無色染料としては、従来より公知のものを使用することができ、前記電子受容性化合物と反応して発色するものであれば全て使用することができる。以下、その具体例を示す。但し、本発明に使用することができる電子供与性無色染料は、これらに限定されるものではない。
【0037】
具体的には、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、チアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
【0038】
フタリド系化合物としては、例えば、米国再発行特許第23,024号、米国特許第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号及び同第3,509,174号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノ−o−ブトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(p−ジエチルアミノ−o−ブトキシフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(p−ジプロピルアミノ−o−メチルフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−5−アザ(又は−6−アザ、又は−7−アザ)フタリド等が挙げられる。
【0039】
フルオラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3959,571号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−(ジベンジルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピペリジノアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3,4−ジクロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0040】
チアジン系化合物としては、例えば、ベンゾイルロイコンメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
【0041】
ロイコオーラミン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
【0042】
ローダミンラクタム系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム等が挙げられる。
【0043】
スピロピラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,971,808号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0044】
ピリジン系、ピラジン系化合物類としては、例えば、米国特許第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号に記載の化合物が挙げられる。
【0045】
フルオレン系化合物としては、例えば、特願昭61−240989号等に記載の化合物が挙げられる。
【0046】
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルを多色発色型に構成し、例えばカラー記録材料、感光性転写材料などのカラー画像形成用途とする場合は、シアン、マゼンタ、イエローから選ばれる1つ以上の電子供与性無色染料を選択することが望ましい。
前記シアン、マゼンタ、イエローの発色色素用の電子供与性無色染料としては、米国特許第4,800,149号等に記載の各電子供与性無色染料を使用することができる。さらに、イエロー発色色素用の電子供与性無色染料としては、米国特許第4,800,148号等に記載の電子供与性無色染料も使用でき、シアン発色色素用の電子供与性無色染料としては、特開平63−53542号等に記載の電子供与性無色染料も使用できる。
【0047】
〈ジアゾニウム塩化合物〉
前記ジアゾニウム塩化合物としては、下記式で表される化合物が好適に挙げられる。
Ar−N2 + X-
〔式中、Arは芳香族環基を表し、X-は酸アニオンを表す。〕
【0048】
このジアゾニウム塩化合物は、加熱によりカプラーとカップリング反応を起こして発色したり、光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0049】
前記式において、Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、ヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられ、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
【0050】
また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、
【0051】
3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基、等が挙げられる。
【0052】
また、これらの基は、さらに、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0053】
ジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmaxとしては、効果の点から450nm以下であることが好ましく、290〜440nmであることがより好ましい。
また、ジアゾニウム塩化合物としては、炭素数12以上で、水に対する溶解度が1%以下かつ酢酸エチルに対する溶解度が5%以上のジアゾニウム塩化合物が好ましい。
【0054】
本発明に好適なジアゾニウム塩化合物の具体例としては、特開2004−144852号公報の段落番号〔0035〕〜〔0040〕に記載の化合物等を挙げることができる。
【0055】
〜発色成分B〜
発色成分としては、前記電子供与性無色染料と反応して発色させる電子受容性化合物、前記ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させるカプラー化合物が好適である。また、発色成分Bは特に、同一分子内に重合性基と前記発色成分Aと反応して発色させる部位とを有する実質的に無色の化合物が好ましく、このような化合物の例として、重合性基を有する電子受容性化合物又は重合性基を有するカプラー化合物等の前記発色成分Aと反応して発色し、かつ光に反応して重合し、硬化するという両機能を有するものが好適に挙げられる。
【0056】
〈電子受容性化合物〉
前記電子供与性無色染料と反応して発色させる電子受容性化合物としては、それ自体が重合性基を有し、あるいは有しない電子受容性化合物のいずれをも使用できる。
【0057】
(i)重合性基を有しない電子受容性化合物
重合性基を有しない電子受容性化合物としては、例えば、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、酸性白土、ペントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
【0058】
具体的には、特公昭40−9309号、特公昭45−14039号、特開昭52−140483号、特開昭48−51510号、特開昭57−210886号、特開昭58−87089号、特開昭59−11286号、特開昭60−176795号、特開昭61−95988号等の公報に記載されている。
【0059】
上記の化合物について、下記化合物例を好適に挙げることができる。
前記フェノール誘導体としては、例えば、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、4,4’−sec−イソオクチリデンジフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4−p−メチルフェニルフェノール、4,4’−メチルシクロヘキシリデンフェノール、4,4’−イソペンチリデンフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
【0060】
前記サリチル酸誘導体としては、例えば、4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(tert−オクチル)サリチル酸、5−オクタデシルサリチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチルサリチル酸、5−テトラデシルサリチル酸、4−ヘキシルオキシサリチル酸、4−シクロヘキシルオキシサリチル酸、4−デシルオキシサリチル酸、4−ドデシルオキシサリチル酸、4−ペンタデシルオキシサリチル酸、4−オクタデシルオキシサリチル酸等、及びこれらの亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅、鉛塩等が挙げられる。
【0061】
前記重合性基を有しない電子受容性化合物の含有量としては、前記電子供与性無色染料1質量部に対して、0.2〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、良好な発色濃度が得られ、塗布を行なう場合の塗布適性が良好になる。
【0062】
(ii)重合性基を有する電子受容性化合物
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルは、後述する光重合性組成物の構成成分として重合性基を有する重合可能な化合物を用いる場合に該化合物として、重合性基を有する発色成分B、特に重合性基を有する電子受容性化合物を選択し、これにより重合硬化する機能を付与するようにしてもよい。
【0063】
重合性基を有する電子受容性化合物、すなわち同一分子中に電子受容性基と重合性基とを有する化合物としては、重合性基を有し、かつ前記発色成分Aの一つである電子供与性無色染料と反応して発色し、かつ光重合して膜を硬化しうるものであれば全て使用することができる。
【0064】
重合性基を有する電子受容性化合物としては、例えば、特開平4−226455号に記載の3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸、特開昭63−173682号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸のメタアクリロキシエチルエステル、アクリロキシエチルエステル、同59−83693号、同60−141587号、同62−99190号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸とヒドロキシメチルスチレンとのエステル、欧州特許29323号に記載のヒドロキシスチレン、特開昭62−167077号、同62−16708号に記載のハロゲン化亜鉛のN−ビニルイミダゾール錯体、同63−317558号に記載の電子受容性化合物等を参考にして合成できる化合物等が挙げられる。
【0065】
電子受容性基と重合性基とを同一分子内に有する電子受容性化合物のうち、下記一般式(I)で表される3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。
【0066】
【化1】

【0067】
前記一般式(I)において、Xは、ハロゲン原子を表し、中でも、塩素原子が好ましい。Yは、重合性エチレン基を有する1価の基を表し、中でも、ビニル基を有するアラルキル基、アクリロイルオキシアルキル基、又はメタクリロイルオキシアルキル基が好ましく、炭素数5〜11のアクリロイルオキシアルキル基、又は炭素数6〜12のメタクリロイルオキシアルキル基がより好ましい。Zは、水素原子、アルキル基、又はアルコキシル基を表す。
【0068】
前記3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸としては、例えば、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸エステルビニルフェネチルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸ビニルフェニルプロピルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−アクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−メタクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−アクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−メタクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−アクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−メタクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−アクリロイルオキシオクチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−メタクリロイルオキシオクチル)エステル等が挙げられる。
【0069】
また、電子受容性基と重合性基とを同一分子内に有する電子受容性化合物として、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、
【0070】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、及びこれらの金属塩(例えば、亜鉛塩等)等も好適に挙げることができる。
【0071】
重合性基を有する電子受容性化合物の含有量としては、前記電子供与性無色染料1質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、充分な発色濃度が得られ、感度及び塗布する場合の塗布適性が良好になる。
【0072】
〜カプラー化合物〜
前記ジアゾニウム塩化合物と反応して発色させるカプラー化合物としては、それ自体が重合性基を有し、あるいは有しないカプラー化合物のいずれをも使用できる。
【0073】
(i)重合性基を有しないカプラー化合物
重合性基を有しないカプラー化合物としては、前記発色成分Aの1つであるジアゾニウム塩化合物と反応して発色しうるものであれば全て使用することができる。
【0074】
前記重合性基を有しないカプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々目的に応じて、複数種を併用することが可能である。
【0075】
重合性基を有しないカプラー化合物としては、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などを挙げることができ、本発明の目的に合致する範囲で適宜、選択して使用することができる。
【0076】
前記重合性基を有しないカプラー化合物としては、例えば、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、
【0077】
1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、
【0078】
N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0079】
重合性基を有しないカプラー化合物の詳細は、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平5−278608号、特開平5−297024号、特開平6−18669号、特開平6−18670号、特開平7−316280号等の公報に記載されている。本出願人が、先に提出した特願平8−027095号、特願平8−027096号、特願平8−030799号、特願平8−12610号、特願平8−132394号、特願平8−358755号、特願平8−358756号、特願平9−069990号等に記載したものも参照できる。
【0080】
重合性基を有しないカプラー化合物の含有量としては、前記ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.3〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、良好な発色濃度が得られ、塗布を行なう場合の塗布適性が良好になる。
【0081】
(ii)重合性基を有するカプラー化合物
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルは、後述する光重合性組成物の構成成分として重合性基を有する重合可能な化合物を用いる場合に該化合物として、重合性基を有する発色成分B、特に重合性基を有するカプラー化合物を選択し、これにより重合硬化する機能を付与するようにしてもよい。
【0082】
重合性基を有するカプラー化合物としては、重合性基を有し、かつ前記発色成分Aの一つであるジアゾニウム塩化合物と反応して発色し、かつ光重合して膜を硬化しうるものであれば全て使用することができる。
【0083】
重合性基を有するカプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々の目的に応じて、複数種を併用して用いることができる。
【0084】
重合性基を有するカプラー化合物の具体例としては、特開2004−144852号公報の段落番号〔0056〕〜〔0062〕に記載の化合物等が挙げられる。
【0085】
重合性基を有するカプラー化合物の含有量としては、前記ジアゾニウム塩化合物1質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、良好な発色濃度が得られ、塗布を行なう場合の塗布適性が良好になる。
【0086】
〜有機塩基,発色助剤〜
発色成分として、ジアゾニウム塩化合物及びカプラー化合物の組み合わせを使用する場合、カップリング反応を促進する目的で、有機塩基を用いることができる。
【0087】
有機塩基としては、例えば、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等を用いることが好ましい。
【0088】
具体的な例として、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン、4−ヒドロキシ安息香酸2−N−メチル−N−ベンジルアミノエチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸2−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルエステル、4−(3−N,N−ジブチルアミノプロポキシ)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−N,N−ジブチルアミノエトキシカルボニル)フェノキシ酢酸アミド等が挙げられる。
有機塩基は、1種単独で用いてよいし、2種以上併用して用いてもよい。
【0089】
これらは、特開昭57−123086号、特開昭60−49991号、特開昭60−94381号、特願平7−228731号、特願平7−235157号、特願平7−235158号等に記載されている。
【0090】
有機塩基の含有量としては、特に限定されるものではないが、ジアゾニウム塩化合物1モルに対して、1〜30モルが好ましい。
【0091】
さらに、発色反応を促進させる目的で、発色助剤を加えることもできる。発色助剤は、カプラー化合物又は塩基性物質の融点を低下させる、あるいはマイクロカプセル壁の熱透過性を向上させる作用を有することから、高い発色濃度が得られるものと考えられる。
【0092】
前記発色助剤としては、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、カルボン酸アミド化合物、スルホンアミド化合物等が挙げられる。
【0093】
−光重合性組成物−
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルは、光重合性組成物の少なくとも1種を含有する。本発明においては、既述のように種類の異なる複数種のマイクロカプセル内包領域を存在させ、光重合性組成物の重合硬化機能を利用して光により硬化部と非硬化部とを形成し、非硬化部で発色させて、所望色相からなる色画像を形成できる。
【0094】
光重合性組成物としては、光により重合硬化可能な領域を選択的に形成することができるものを選択して使用することができる。好ましくは、重合性基を有する重合可能な化合物と光重合開始剤とを少なくとも含有する組成物である。
【0095】
〜重合性基を有する重合可能な化合物〜
前記「重合性基を有する重合可能な化合物」は、例えば、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物が好適であり、既述した重合性基を有する発色成分B(特に電子受容性化合物、カプラー化合物)も含まれる。前記発色成分を重合性基を有する発色成分Bを用いて構成する場合、発色成分Aを発色させる重合性基を有しない発色成分と重合性基を有する重合可能な化合物とを用いずに、これらを兼ねて重合性基を有する発色成分Bを用いるようにすることが可能である。
【0096】
エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物としては、特に制限なく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類等のアクリル酸誘導体、アクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類等のメタクリル酸誘導体、メタクリル酸及びその塩、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリルエーテル類、アリルエステル類、などが挙げられる。
【0097】
具体的には、1個又は2個以上のオレフィン性二重結合を含む低分子量(モノマー性)もしくは高分子量(オリゴマー性)の化合物であってもよい。オレフィン性二重結合を含むモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート又はエチルメタクリレート等のアルキル若しくはヒドロキシアルキルアクリレート又はメタクリレートなどが挙げられる。また、シリコンアクリレートも有利である。他の例としては、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換された(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルのようなビニルエステル、イソブチルビニルエーテルのようなビニルエーテル、スチレン、アルキル−及びハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル又は塩化ビニリデンなどが挙げられる。
【0098】
2個又はそれ以上の二重結合を含むモノマーの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール又はビスフェノールAなどのジアクリレート、及び4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート又はトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0099】
比較的高分子量(オリゴマー性)の多不飽和化合物でもよく、例えば、(メタ)アクリル基を有するエポキシ樹脂、(メタ)アクリル基を有するポリエステル、ビニルエーテル又はエポキシ基を含むポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテルが挙げられる。さらに、不飽和オリゴマーの例として、不飽和ポリエステル樹脂であって、通常マレイン酸、フタル酸及び1種又はそれ以上のジオールから製造され、約500〜3000の分子量を有するものが挙げられる。加えて、ビニルエーテルモノマー及びオリゴマー、及びポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びエポキシ主鎖を有するマレート終末されたオリゴマーを用いることも可能である。より適したものは、ビニルエーテル基を有するオリゴマーとWO90/01512に記載のポリマーの組合わせである。
また、ビニルエーテル及びマレイン酸官能化されたモノマーのコポリマーもまた適している。この種の不飽和オリゴマーは、プレポリマーとして属することもできる。
【0100】
特に適した例としては、エチレン性不飽和カルボン酸及びポリオール又はポリエポキシドのエステル、及び主鎖又は側鎖においてエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば不飽和ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン及びそれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタジエン及びブタジエンコポリマー、ポリイソプレン及びイソプレンコポリマー、側鎖において(メタ)アクリル基を含むポリマー及びコポリマー、並びに、1種又はそれ以上のそのようなポリマーの混合物である。
【0101】
前記エチレン性不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、及びリノール酸又はオレイン酸のような不飽和脂肪酸等が挙げられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0102】
前記ポリオールとしては、芳香族及び、特に脂肪族及び環式脂肪族ポリオールが好適である。
前記芳香族ポリオールの例としては、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ノボラック及びレゾルシンが挙げられる。
【0103】
前記ポリエポキシドの例としては、前記ポリオール、特に芳香族ポリオール、及びエピクロロヒドリンをベースとするものである。
他の適したポリオールとしては、ポリマー鎖又は側鎖においてヒドロキシル基を含むポリマー及びコポリマーであり、例えば、ポリビニルアルコール及びそれらのコポリマー又はポリヒドロキシアルキルメタアクリレート又はそれらのコポリマーである。適した更なるポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0104】
前記脂肪族及び環式脂肪族ポリオールの例としては、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール;好ましくは200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びソルビトールである。
【0105】
ポリオールは、1種のカルボン酸で又は異なる不飽和カルボン酸で部分的に又は完全にエステル化されることができ、そして部分エステルにおいて遊離ヒドロキシル基は変性されることができ、例えば他のカルボン酸でエーテル化又はエステル化され得る。
【0106】
前記エステルとしては、例えば、以下のものが挙げられる。すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール−変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセロールジアクリレート及びトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、又はそれらの混合物、等である。
【0107】
また、前記重合性基を有する重合可能な化合物として適したものは、同一の又は異なる不飽和カルボン酸と、好ましくは2〜6個、特に2〜4個のアミノ基を有する芳香族、環式脂肪族及び脂肪族ポリアミンとのアミドである。
かかるポリアミンの例としては、エチレンジアミン、1,2−又は1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−又は1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ(β−アミノエトキシ)−又はジ(β−アミノプロポキシ)エタンである。その他、好ましくは側鎖においてさらなるアミノ基を有するポリマー及びコポリマー、及びアミノ末端基を有するオリゴアミドが好適である。
また、かかる不飽和アミドの例としては、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレート及びN−[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドなどが好適である。
【0108】
適した不飽和ポリエステル及びポリアミドは、例えば、マレイン酸から及びジオール又はジアミンから誘導される。マレイン酸のいくつかは他のジカルボン酸に置き換えることができる。それらはエチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンと一緒に使用されることができる。ポリエステル及びポリアミドは、ジカルボン酸から、エチレン性不飽和ジオール又はジアミンから、特に相対的に長鎖、例えば、6〜20個の炭素原子を有するものから誘導され得る。ポリウレタンの例としては、飽和又は不飽和ジイソシアネート及び不飽和、又はそれぞれ飽和のジオールから構成されるものが挙げられる。
【0109】
また、上記のポリブタジエン及びポリイソプレン及びそれらのコポリマーは既知である。適したコモノマーの例は、オレフィン、例えばエチレン、プロペン、ブテン及びヘキセン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン又は塩化ビニルである。側鎖において(メタ)アクリレート基を有するポリマーも同様に既知である。例えば、ノボラックをベースとするエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物として得ることができ、又はビニルアルコール若しくは(メタ)アクリル酸とエステル化されたそのヒドロキシアルキル誘導体とのホモ−若しくはコポリマーであることができ、又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでエステル化された(メタ)アクリレートのホモ−若しくはコポリマーであり得る。
【0110】
重合性基を有する重合可能な化合物は、光重合性組成物の用途に応じて、その構造中に他の機能を発現する部位を有する化合物であってもよく、例えば、発色成分の発色反応を促進する部位や発色を抑制する部位を有していてもよい。これらについては、発色抑制化合物として後述する。
【0111】
重合性基を有する重合可能な化合物の含有量としては、光重合性組成物の全質量に対して、通常10〜99質量%であり、30〜95質量%が好ましい。
【0112】
〜発色抑制化合物〜
発色成分Bとして、重合性基を有しない電子受容性化合物を用いる場合には、光重合性組成物を構成する「重合性基を有する重合可能な化合物」として、同一分子内に重合性基と前記発色成分A(電子供与性無色染料)及び重合性基を有しない電子受容性化合物の反応を抑制する部位とを有する光重合性モノマー(発色抑制化合物)F1を用いることができる。
この光重合性モノマーF1としては、例えば、アクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類;メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類;無水マレイン酸、マレイン酸エステル類;イタコン酸、イタコン酸エステル類;スチレン類;ビニルエーテル類;ビニルエステル類;N−ビニル複素環類;アリールエーテル類;アリルエステル類等が挙げられる。
【0113】
上記のうち、分子内に複数のビニル基を有する光重合性モノマーを使用することが好ましく、例えば、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等の多価アルコール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール等の多価フェノール類やビスフェノール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;アクリレート又はメタクリレート末端エポキシ樹脂;アクリレート又はメタクリレート末端ポリエステル等が挙げられる。
【0114】
中でも、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレート又はジエチレングリコールジメタクリレート等が特に好ましい。
【0115】
光重合性モノマーF1の分子量としては、約100〜約5000が好ましく、約300〜約2000がより好ましい。
【0116】
光重合性モノマーF1の含有量としては、前記発色成分Aと反応して発色させる発色成分B1質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、潜像形成性、発色濃度の点で効果的である。
【0117】
発色成分Bとして、重合性基を有しないカプラー化合物を用いる場合には、光重合性組成物を構成する「重合性基を有する重合可能な化合物」として、同一分子内に重合性基と前記発色成分A(ジアゾニウム塩化合物)及び重合性基を有しないカプラー化合物の反応を抑制する部位とを有する光重合性モノマー(発色抑制化合物)F2を用いることができる。
【0118】
この光重合性モノマーF2としては、例えば、カップリング反応の抑制効果を有する酸性基を有し、金属塩化合物でない光重合性モノマーであることが好ましい。例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、
【0119】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、
【0120】
β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、等が好適に挙げられる。
【0121】
光重合性モノマーF2の含有量としては、前記発色成分Aと反応して発色させる発色成分B1質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、潜像形成性、発色濃度の点で効果的である。
【0122】
〜光重合開始剤〜
光重合性組成物は、光重合開始剤の少なくとも1種を用いて好適に構成される。
光重合開始剤は、露光により例えばラジカル等の活性種を発生し、マイクロカプセル内包多核カプセル内で露光されたマイクロカプセル内包領域ごとに重合反応を起こし、かつその反応を促進させることができる。この重合反応により、複数種存在するマイクロカプセル内包領域を硬化させ、所望の画像様潜像を形成することができる。
【0123】
前記光重合開始剤は、公知のものの中から適宜選択することができ、中でも、300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物とを含有するものが好ましい。但し、前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」が、その構造内に300〜1000nmに最大吸収波長を有する色素部とボレート部との両構造を併せ持つ化合物の場合には、分光増感化合物を併用しなくてもよい。
【0124】
公知の光重合開始剤として、例えば、米国特許第4950581号(第20欄、第35行〜第21欄、第35行)に記載のものを挙げることができる。また、例えば、EP−A−137452、DE−A−2718254、DE−A−2243621、米国特許第4950581号(第14欄第60行〜第18欄第44行)に記載のトリアジン;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−スチルフェニル)−s−トリアジン等のトリハロメチルトリアジン等のトリアジン化合物が挙げられる。また、光重合開始剤をハイブリッド系で使用する場合には、フリーラジカル硬化剤に加えて、カチオン系光重合開始剤を挙げることもできる。
【0125】
前記カチオン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、米国特許第4950581号(第19欄、第17〜25行)に記載のパーオキサイド等のパーオキサイド化合物;米国特許第4950581号(第18欄、第60行〜第19欄10行)に記載の芳香族スルホニウム若しくはヨードニウム塩;(η6−イソプロピルベンゼン)−(η5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等のシクロペンタジエニル−アレーン鉄(II)錯塩等を好適に挙げることができる。
【0126】
さらに、色素/ホウ素化合物の例としては、特開昭62−143044号、特開平1−138204号、特表平6−505287号、特開平4−261406号等に記載のものも好適に挙げられる。
【0127】
前記300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物としては、この波長領域に最大吸収波長を有する分光増感色素が好ましい。かかる波長領域にある分光増感色素から、用いる光源に適合する吸収波長を有する色素を選択することにより高感度化することができる。マイクロカプセル内包多核カプセル中に複数種存在するマイクロカプセル内包領域は、例えば、該領域毎に各々発色色相の異なる発色成分と各々異なる吸収波長を有する分光増感色素とを存在させた構成とすることができ、各領域の各吸収波長に適合した光源を用いて画像様露光することによって、各マイクロカプセル内包領域(各色相)を高感度に所望の色相に発色させ得、高鮮鋭な単色もしくは多色の画像を形成することができる。
【0128】
前記分光増感色素としては、公知の化合物の中から適宜選択することができ、例えば、後述の「分光増感化合物と相互作用する化合物」に関する特許公報や、「Research Disclogure,Vol.200,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己・大河原信/編、1987年)等に記載のものが挙げられる。
【0129】
具体的には、特開昭58−15603号に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号、同60−53300号に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号、同62−3842号、特開昭59−89303号、同60−60104号に記載のメロシアニン化合物等が挙げられる。
【0130】
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載された色素も挙げることができ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素等が挙げられる。
【0131】
前記分光増感色素には、例えば、クマリン(ケトクマリン又はスルホノクマリンを含む。)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等が含まれる。
【0132】
前記分光増感色素を適宜使用することにより、光重合開始剤の分光感度を紫外〜赤外域に得ることが可能である。また、各種分光増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0133】
分光増感化合物の含有量としては、重合性基を有する重合可能な化合物の量に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
【0134】
前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」としては、重合性基又は重合可能な化合物の光重合反応を開始し得る公知の光ラジカル発生剤の中から、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。この化合物を前記分光増感化合物と共存させることにより、その分光吸収波長領域の照射光に感応して、高効率にラジカルを発生させ得るので、高感度化が図れ、かつ紫外〜赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。
【0135】
分光増感化合物と相互作用する化合物としては、光ラジカル発生剤として、有機系ボレート塩化合物、又は以下の化合物等を挙げることができる。
例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、アクリドン、CIBA社のビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類、等の芳香族ケトン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾイン及びベンゾインエーテル類;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二重体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体等の2,4,6−トリアリールイミダゾール二重体;四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン等のポリハロゲン化合物;特開昭59−133428号、特公昭57−1819号、特公昭57−6096号、米国特許第3615455号に記載の化合物;
【0136】
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(P−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン等の特開昭58−29803号記載のトリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリ−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリ−ブチルパーオキシベンゾエート、a,a’−ビス(ターシャリ−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリイブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の特開昭59−189340号記載の有機過酸化物;米国特許第4743530号に記載のアジニウム塩化合物;トリフェニールブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩、トリフェニールブチールボレートのテトラブチルアンモニウム塩、トリ(P−メトキシフェニール)ブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩等のヨーロッパ特許第0223587号に記載の有機ホウ素化合物;その他ジアリールヨードニウム塩類や鉄アレン錯体、等が挙げられる。
【0137】
また、2種又はそれ以上の化合物を組合わせたものも知られており、これらも使用することができる。2種又はそれ以上の化合物の組合せとしては、例えば、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とメルカプトベンズオキサゾール等との組合せ、米国特許第3427161号明細書に記載の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとベンゾインメチルエーテルとの組合せ、米国特許第4239850号明細書に記載のベンゾイル−N−メチルナフトチアゾリンと2,4−ビス(トリクロロメルチ)−6−(4’−メトキシフェニル)−トリアゾールとの組合せ、特開昭57−23602号公報に記載のジアルキルアミノ安息香酸エステルとジメチルチオキサントンとの組合せ、特開昭59−78339号公報の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとポリハロゲン化メチル化合物との三種組合わせ、等が挙げられる。中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとの組合せ、2,4−ジエチルチオキサントンと4−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの組合せ、又は4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体との組合せが好ましい。
【0138】
前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」のうち、光に曝されてラジカルを発生する光ラジカル発生剤が好ましく、特に有機系ボレート塩化合物、ベンゾインエーテル類、トリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体、有機過酸化物又はアジニウム塩化合物が好ましく、有機系ボレート塩化合物がより好ましい。
【0139】
前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」を前記分光増感化合物と併用することにより、露光された露光領域に局所的に、かつ効果的にラジカルを発生させることができ、高感度化を達成することができる。
【0140】
前記有機系ボレート塩化合物としては、特開昭62−143044号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号等に記載の有機ボレート化合物(以下、「ボレート化合物I」ということがある。)、又はカチオン性色素から得られる分光増感色素系ボレート化合物(以下、「ボレート化合物II」ということがある。)等が挙げられる。
【0141】
前記ボレート化合物Iの具体例としては、特開2004−144852号公報の段落番号〔0118〕〜〔0127〕に記載の化合物等が挙げられる。
また、有機ボレート化合物では、前記「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載のカチオン性色素より得ることのできる分光増感色素系有機ボレート化合物、すなわちボレート化合物IIも挙げることができる。
【0142】
このボレート化合物IIは、その構造内に色素部とボレート部とを併せ持つ化合物であり、露光時に、色素部の光吸収機能により効果的に光源エネルギーを吸収し、かつボレート部のラジカル放出機能により重合反応を促進すると同時に、併存する分光増感化合物を消色するという3つの機能を有するものである。
【0143】
具体的には、300nm以上の波長領域、好ましくは400〜1100nmの波長領域に最大吸収波長を有するカチオン性色素であれば、いずれも好適に用いることができる。中でも、カチオン性のメチン色素、ポリメチン色素、トリアリールメタン色素、インドリン色素、アジン色素、キサンテン色素、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダミン色素、アザメチン色素、オキサジン色素又はアクリジン色素等が好ましく、カチオン性のシアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダミン色素又はアザメチン色素がより好ましい。
【0144】
前記有機カチオン性色素から得られる分光増感色素系有機ボレート化合物(ボレート化合物II)は、有機カチオン性色素と有機ホウ素化合物アニオンとを用い、欧州特許第223,587A1号に記載の方法を参考にして得ることができる。
【0145】
カチオン性色素から得られるボレート化合物IIの具体例としては、特開2004−144852号公報の段落番号〔0132〕〜〔0138〕に記載の化合物等が挙げられる。
【0146】
前記ボレート化合物IIは、上記の通り、多機能な化合物であるが、高い感度と充分な消色性を得る観点から、光重合開始剤としては、分光増感化合物と「分光増感化合物と相互作用する化合物」とを適宜組合わせて構成されたものが好ましい。この場合、光重合開始剤としては、分光増感化合物とボレート化合物Iとを組合わせた光重合開始剤(1)、又はボレート化合物Iとボレート化合物IIとを組合わせた光重合開始剤(2)がより好ましい。
【0147】
このとき、光重合開始剤中に存在する分光増感色素と有機ボレート化合物との比率は、高感度化と定着工程の光照射による充分な消色性とを得る点で非常に重要となる。前記光重合開始剤(1)の場合、光重合開始剤中には、光重合反応に必要な分光増感化合物/ボレート化合物Iの比(=1/1:モル比)に加え、さらに層内に残存する分光増感化合物を充分に消色するのに必要な量のボレート化合物Iを添加することが充分な高感度化と消色性能とを確保する点から特に好ましい。すなわち、分光増感色素/ボレート化合物Iの比は、1/1〜1/50の範囲が好ましく、1/1.2〜1/30の範囲がより好ましいが、1/1.2〜1/20の範囲が最も好ましい。前記比が前記範囲内であると、充分な重合反応性と消色性とが得られ、塗布する場合の塗布適性にも優れる。
【0148】
前記光重合開始剤(2)の場合、ボレート化合物Iとボレート化合物IIとを、ボレート部位が色素部位に対して等モル比以上となるように組合わせて用いることが、充分な高感度化と消色性能とを得る点から特に好ましい。ボレート化合物I/ボレート化合物IIの比は、1/1〜50/1の範囲が好ましく、1.2/1〜30/1の範囲がより好ましいが、1.2/1〜20/1の範囲が最も好ましい。前記比が前記範囲内であると、充分な重合反応性と消色性とが得られ、感度にも優れる。
【0149】
光重合開始剤を構成する分光増感色素と有機ボレート化合物との総量は、前記「重合性基を有する重合可能な化合物」の量に対して、0.1〜10質量%の範囲が好ましく、0.1〜5質量%の範囲がより好ましく、0.1〜1質量%の範囲が最も好ましい。前記量が前記範囲内であると、本発明の効果を奏するのに有効であり、保存安定性、塗布適性を確保する点でも効果的である。
【0150】
また、光重合性組成物には、重合反応を促進する目的でさらに助剤として、酸素除去剤(oxygen scavenger)又は活性水素ドナーの連鎖移動剤等の還元剤や連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を添加することもできる。
前記酸素除去剤としては、例えば、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1銀塩又は酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられる。具体的には、N−フエニルグリシン、トリメチルパルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン酸が挙げられる。さらに、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物、アジド類等も重合促進剤として有用である。
【0151】
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル分散液は、既述の本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルを分散して含むものであり、必要に応じて他の成分を用いて構成することができる。
【0152】
以下、本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル及びこれを含む分散液の製造方法について詳述する。
【0153】
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルの製造方法の第1の態様は、発色成分Aを内包するマイクロカプセルの分散物と、発色成分B及び光重合性組成物を含む分散物とを混合した混合液を少なくとも2種調製し、調製された少なくとも2種の前記混合液を、液中硬化皮膜法により多核カプセル化してマイクロカプセル内包多核カプセルを作製するものである。
【0154】
また、本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルの製造方法の第2の態様は、発色成分Aを内包するマイクロカプセルの分散物と、発色成分B及び光重合性組成物を含む分散物とを混合した混合液を少なくとも2種調製し、調製された少なくとも2種の前記混合液を、液中乾燥法及び/又は界面重合法により多核カプセル化してマイクロカプセル内包多核カプセルを作製するものである。
【0155】
まず、発色成分Aを内包するマイクロカプセルの作製方法について説明する。ここでのマイクロカプセル化法は、従来公知の方法を用いることができる。
例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−771号等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法、特公平7−73069号、特開平4−101885号、特開平9−263057号に記載の方法等が挙げられる。
【0156】
マイクロカプセル化する方法としては、これらに限定されるものではないが、特に、発色成分Aをカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。前記界面重合法は、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れた記録材料を得ることができる。
【0157】
本発明において好ましいマイクロカプセルは、常温では、マイクロカプセル壁(以下、カプセル壁ともいう。)の物質隔離作用によりカプセル内外の物質の接触が妨げられ、ある値以上に熱及び/又は圧力が加えられた場合のみ、カプセル内外の物質の接触が可能となるようなものである。この現象は、カプセル壁の材料、カプセル芯物質(カプセルに内包する物質)、添加剤等を適宜選択することにより、カプセルの物性の変化として自由にコントロールすることができる。
好ましくは、熱が加えられた場合のみにカプセル内外の物質の接触が可能となる熱応答性マイクロカプセルである。
【0158】
カプセル壁の材料は、カプセル化した際の内部油滴及び/又は油滴外部に添加される。
前記カプセル壁の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアがより好ましい。高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
【0159】
前記水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0160】
例えば、ポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、水中に乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が起こし、マイクロカプセル壁を形成する。
【0161】
前記多価イソシアネート及びそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンとしては、米国特許第3281383号、同3773695号、同3793268号、特公昭48−40347号、同49−24159号、特開昭48−80191号、同48−84086号に記載のものを使用することもできる。
【0162】
本発明において、発色成分を含有するマイクロカプセルを形成する際、内包する発色成分は、該カプセル中に溶液状態で存在していても、固体状態で存在していてもよい。
発色成分Aを溶液状態でカプセルに内包させる場合、発色成分Aである電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物等を有機溶媒に溶解した状態でカプセル化すればよい。
【0163】
前記有機溶媒としては、一般に、高沸点溶媒の中から適宜選択することができ、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン、ジアリルエタン、常温で固体の化合物、オリゴマーオイル、ポリマーオイル等が用いられる。
具体的には、特開昭59−178451〜同59−178455号、同59−178457号、同60−242094号、同63−85633号、特開平6−194825号、同7−13310号〜同7−13311号、同9−106039号の各公報及び特願昭62−75409号明細書に記載の有機溶剤が挙げられる。
また、カプセル化の際には、上記の有機溶媒を使用せずに、いわゆるオイルレスカプセルとしてもよい。
有機溶媒の使用量としては、発色成分A100質量部に対し、1〜500質量部が好ましい。
【0164】
また、カプセルに内包しようとする発色成分Aの前記有機溶媒に対する溶解性が低い場合には、さらに補助溶剤として、溶解性の高い低沸点溶媒を併用することもできる。一方、前記有機溶媒を使用せずに前記低沸点溶媒を使用することもできる。
前記低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0165】
前記油相を乳化分散する水相には、水溶性高分子を溶解した水溶液が用いられる。そして、水相中に油相を投入した後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行なうが、前記水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にしうる保護コロイドとしての作用を有すると共に、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒としても作用する。
水溶性高分子は、0.01〜10質量%の水溶液として用いることができる。
ここで、乳化分散をさらに均一に行ない、より安定な分散液とするためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加することができる。
【0166】
前記保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。
前記アニオン性高分子としては、天然、合成のいずれのものも用いることができ、例えば、−COO−、−SO2−等の連結基を有するものが挙げられる。具体的には、アラビヤゴム、アルギン酸、ベクチン等の天然物;カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチン等のゼラチン誘導体、硫酸化デンプン、硫酸化セルロース、リグニンスルホン酸等の半合成品;無水マレイン酸系(加水分解物を含む)共重合体、アクリル酸系(メタクリル酸系)重合体及び共重合体、ビニルベンゼンスルホン酸系重合体及び共重合体、カルボキシ変成ポリビニルアルコール等の合成品が挙げられる。
【0167】
前記ノニオン性高分子としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
前記両性高分子としては、ゼラチン等が挙げられる。中でも、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0168】
前記界面活性剤としては、公知の乳化用界面活性剤の中から適宜選択することができ、例えば、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記のように保護コロイドと作用し、沈殿や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
前記界面活性剤の添加量としては、油相質量に対し、0.1%〜5%が好ましく、0.5%〜2%がより好ましい。
【0169】
乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させる目的で、乳化物を30〜70℃に加温する。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を低下させたり、十分な攪拌を行なう等の必要がある。一方、反応中に、別途凝集防止用の分散物を添加することもできる。カプセル壁形成反応の終点は、重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよその終点とみなすことができる。通常、数時間反応を行なうことにより、発色成分Aを内包するマイクロカプセルを得ることができる。
【0170】
発色成分Aを内包するマイクロカプセルの平均粒子径としては、20μm以下が好ましく、高解像度を得る観点から、10μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましい。また、形成したマイクロカプセル径が小さすぎると、一定固形分に対する表面積が大きくなり多量の壁剤が必要となることから、前記平均粒子径は0.1μm以上であることが好ましい。
なお、マイクロカプセルの平均粒子径は、レーザー回折粒度分布測定装置(例えば、(株)堀場製作所製のLA−700)を用いて測定した50%体積平均粒子径である。
【0171】
次に、発色成分Aを内包するマイクロカプセル外の、発色成分B及び光重合性組成物等の成分の分散物の調製について説明する。
【0172】
発色成分B及び光重合性組成物等のマイクロカプセル外成分は、サンドミル等の手段により固体分散して用いることもできるが、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることができる。
乳化分散して形成する乳化分散粒子径としては、1μm以下が好ましい。
【0173】
前記乳化分散は、マイクロカプセル外成分を含有する油相と界面活性剤及び/又は保護コロイドを含有する水相とを、高速撹拌、超音波分散等の微粒子乳化に用いる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置を用いて容易に行なうことができる。
【0174】
次に、マイクロカプセル内包多核カプセルの作製について具体的に説明する。
前記第1の態様の場合、発色成分Aを内包するマイクロカプセルの分散物と、発色成分B及び光重合性組成物を含む分散物とを混合した混合液を少なくとも2種調製し、調製された少なくとも2種の前記混合液を液中硬化皮膜法により多核カプセル化することによって、マイクロカプセル内包多核カプセルを作製する。
【0175】
発色成分Aを内包するマイクロカプセルの分散物(以下、カプセル分散物という。)、及び発色成分B及び光重合性組成物を含む分散物(好ましくは乳化分散物;以下、水系分散物という。)は、上記したようにして調製することができる。そして、カプセル分散物及び水系分散物をそれぞれ2種以上調製し、調製されたカプセル分散物と水系分散物とを組合わせて2種以上の混合液を調製する。
例えば、イエロー発色成分Y(成分Y1)、マゼンタ発色成分M(成分M1)、又はシアン発色成分C(成分C1)をそれぞれ内包する3種のカプセル分散液Y、M又はC(水系の分散液)と、(1)成分Y1を発色させる成分Y2及び中心吸収波長405nmの光重合性組成物、(2)成分M1を発色させる成分M2及び中心吸収波長532nmの光重合性組成物、あるいは(3)成分C1を発色させる成分C2及び中心吸収波長657nmの光重合性組成物をそれぞれ含有する水系分散物Y、M又はCとを調製し、カプセル分散液Yと水系分散物Yと塩化カルシウム水溶液、カプセル分散液Mと水系分散物Mと塩化カルシウム水溶液、カプセル分散液Cと水系分散物Cと塩化カルシウム水溶液、をそれぞれ組み合わせて混合し、得られた3種の混合液Y,M,Cを用いて液中硬化皮膜法により多核カプセル化する。
【0176】
すなわち、液中硬化皮膜法による場合、酸多糖類(アラビアゴム、アルギン酸ソーダ、ペクチン酸、ヘパリン、ヒアルロン酸、水溶性キトサンなど)と、少なくとも2価の金属イオン(カルシウムイオン、第2鉄イオン、アルミニウムイオンなど)との組合せ、ポリビニルアルコールとホウ酸との組合せなどを別相にそれぞれ分けて添加し、界面で架橋的に反応させて核(カプセルを含む)を形成することができる。
【0177】
中でも、アルギン酸ソーダと塩化カルシウム水溶液、アルギン酸ソーダと酢酸アルミニウム水溶液、ペクチン酸ソーダと塩化カルシウム水溶液が好ましく、アルギン酸ソーダと塩化カルシウム水溶液が特に好ましい。カプセル液、固体分散物、乳化分散液の保護コロイドとしてポリビニルアルコールを使用する場合にはホウ酸を併用することが好ましい。
【0178】
粒子(核)を形成する方法としては、多芯ノズルを用いて一方の液をノズルから他方の液に滴下する方法(滴下法)、膜乳化法、マイクロチャンネル乳化法を用いて一方の液の微少粒子を作製し他方の液中に押し出す方法、マイクロ流路分岐乳化法などが好適である。100μmを超える粒子は、滴下法で簡便に作成することができ、それ以外では膜乳化法(SPG膜乳化法など)等が好ましい。
【0179】
液中硬化皮膜法による多核カプセル化は、例えば図7に示すようにして行なえる。上記のように調製した混合液Y,M,Cをそれぞれ容器51、52,53に収容し、各容器と連通するノズル10nA、10nB、10nCから混合液Y,M,Cを、図示しない容器と連通する10nDからのアルギン酸ナトリウム水溶液と共に、塩化カルシウム水溶液が収容された容器54に滴下すると、図1に示すマイクロカプセル内包多核カプセル15が得られる。このマイクロカプセル内包多核カプセルは、アルギン酸ナトリウム液がゲル化したゲル体2にイエロー発色核12、マゼンタ発色核13、シアン発色核14が内包されたゲル状粒子である。
【0180】
また、第2の態様として、前記第1の態様と同様に発色成分Aを内包するマイクロカプセルの分散物と発色成分B及び光重合性組成物を含む分散物とを混合した混合液を少なくとも2種調製した後、調製された少なくとも2種の混合液を液中乾燥法及び/又は界面重合法により多核カプセル化することによって、マイクロカプセル内包多核カプセルを作製するようにすることもできる。
【0181】
図8を参照して、液中硬化皮膜法と界面重合法による多核カプセル化を例に説明する。カプセル分散液(水系の分散液)Yと水系分散物Yとアルギン酸ナトリウム水溶液、カプセル分散液(水系の分散液)Mと水系分散物Mとアルギン酸ナトリウム水溶液、カプセル分散液(水系の分散液)Cと水系分散物Cとアルギン酸ナトリウム水溶液、をそれぞれ組み合わせて混合して得られた3種の混合液Y,M,Cを、それぞれ容器51、52,53に収容し、混合しながら各容器の底部に設けられたSPG膜の微細孔を介して塩化カルシウム水溶液が入った容器61、62,63に滴下してマイクロカプセル内包発色核分散液を得る。そして、得られた各マイクロカプセル内包発色核分散液をPVA水溶液と共に攪拌手段を備えた混合器70で混合し、攪拌混合して得られた分散液をノズルより滴下すると共にこのノズルの外周に設けられたノズルからアルギン酸ソーダを滴下しながら、塩化カルシウム水溶液が収容された容器80に滴下すると、図3に示すマイクロカプセル内包多核カプセル25が得られる。
このマイクロカプセル内包多核カプセルは、イエロー発色核12、マゼンタ発色核13、シアン発色核14が内包されたカプセル粒子である。
【0182】
次に、図9を参照して、液中硬化皮膜法と液中乾燥法によるW/O/W型の多核カプセル化の方法を説明する。カプセル分散液(水系の分散液)Yと水系分散物Yとポリビニルアルコール(PVA)水溶液、カプセル分散液(水系の分散液)Mと水系分散物MとPVA水溶液、カプセル分散液(水系の分散液)Cと水系分散物CとPVA水溶液、をそれぞれ組み合わせて混合して得られた3種の混合液Y,M,Cを、それぞれ容器51、52,53に収容し、混合しながら各容器の底部に設けられたSPG膜の微細孔を介して油相(例えば、可溶性ナイロンの塩化メチレン溶液)が入った容器61、62,63に滴下してマイクロカプセル内包乳化分散液を得る。そして、得られた各マイクロカプセル内包乳化分散液を攪拌手段を備えた混合器70で混合し、攪拌混合して得られた分散液をSPG膜の微細孔を介して攪拌手段を備えたPVA水溶液が収容された容器80に滴下し、乳化液とし、これを加熱しながら攪拌を行なって油相の溶剤(例えば塩化メチレン)を蒸発等して除去し、図1に示すマイクロカプセル内包多核カプセル25が得られる。
【0183】
マイクロカプセル内包多核カプセルの粒子径は、マイクロカプセル内包領域の粒子径の2〜40倍程度が好ましく、3〜5倍程度がより好ましい。
【0184】
なお、本明細書中において、マイクロカプセル、マイクロカプセル内包領域、及びマイクロカプセル内包多核カプセルの粒子径(直径)はいずれも、レーザー回折粒度分布測定装置(例えば、(株)堀場製作所製のLA−700)を用いて測定した50%体積平均粒子径である。
【0185】
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル及びその分散物は、感光波長が異なり、異なる色色相に発色する発色成分を内包するマイクロカプセル内包領域(マイクロカプセル内包カプセル等を含む。)を含んで多色発色に構成することで、感光・感熱性の発色カプセルとして種々応用することができる。
【0186】
本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル及びその分散物は、画像記録用の材料(例えば、感光性転写材料、感光感熱記録材料など)の用途に好適に用いることができる。
【0187】
〈感光性転写材料〉
本発明の感光性転写材料は、既述の本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルを少なくとも含む感光性層を有してなり、必要に応じて熱可塑性樹脂層や中間層、保護フィルムなどの他の層を設けて構成することができる。
【0188】
例えば、仮支持体(例えば、PETシートや熱転写用のリボン等)上に、該仮支持体側から順に熱可塑性樹脂と中間層と本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルを含む転写可能な感光性層と保護フィルムとを設けて構成できる。
【0189】
この感光性層に波長の異なる複数の光をそれぞれ画像様に照射して潜像形成し、ヒートローラ、サーマルヘッド、赤外線加熱器等の加熱手段により加熱して潜像に対応するカラー像を形成した後、このカラー像を目的の被転写体に転写することにより、あるいは感光性層を被転写体に転写した後、転写された感光性層に波長の異なる複数の光をそれぞれ画像様に照射して潜像形成し、前記加熱手段により加熱して潜像に対応するカラー像を形成することにより、画像形成することができる。
【0190】
−−熱可塑性樹脂層−−
感光性転写材料には、前記感光性層と仮支持体との間に、少なくとも一層の熱可塑性樹脂層を設けることができる。熱可塑性樹脂層は、アルカリ現像が可能であることが好ましく、転写時にはみ出した熱可塑性樹脂層自身による被転写体の汚染防止を可能とする点からアルカリ可溶性であることが好ましい。
【0191】
この熱可塑性樹脂層は、前記感光性層を被転写材に転写する際に、被転写材上に存在する凹凸に起因して発生する転写不良を効果的に防止するクッション材としての機能を有し、転写材料を被転写材に加熱圧着した際の被転写材上の凹凸に対応して変形し得、感光性層と被転写材との密着性を高めることができる。
【0192】
熱可塑性樹脂層の層厚としては、0.1〜20μmが好ましい。層厚が前記範囲内であると、転写時の仮支持体からの剥離性に優れると共に、被転写材上の凹凸を吸収するのに効果的であり、感光性層にレチキュレーションが発生し、転写不良を招来することもない。また、好ましくは1.5〜16μmであり、より好ましくは5〜15.0μmである。
なお、レチキュレーションとは、吸湿等の原因で中間層が伸びた等の際に、柔軟なクッション層が坐屈して感光性層の表面に細かい「しわ」が発生することをいい、転写不良の原因となる。
【0193】
熱可塑性樹脂層は、少なくともアルカリ可溶な熱可塑性樹脂を用いて構成することができ、必要に応じて適宜他の成分を用いることができる。アルカリ可溶な熱可塑性樹脂は、特に制限はなく適宜選択することができるが、実質的な軟化点が80℃以下であるものが好ましい。
【0194】
実質的な軟化点が80℃以下である熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレンとアクリル酸エステル共重合体とのケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステルや、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等との(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物、などが好適に挙げられ、また、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)に記載の軟化点が約80℃以下である有機高分子の内、アルカリ可溶性のものも挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0195】
また、実質的な軟化点が80℃以下であるものとして更に、それ自体が軟化点80℃以上の有機高分子物質であっても、該有機高分子物質にこれと相溶性のある各種可塑剤を添加して実質的な軟化点が80℃以下とされたものも挙げることができる。前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、などが挙げられる。
【0196】
アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層には、前記熱可塑性樹脂以外に他の成分として、仮支持体との接着力を調節する目的で、実質的に軟化点が80℃を超えない範囲内で各種ポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤等を添加することができる。
【0197】
−−中間層−−
感光性転写材料には、複数層を塗布する際及び塗布後の保存の際における成分の混合を防止する目的で、中間層を設けることが好ましい。特に、仮支持体上に設けられた前記熱可塑性樹脂層の上であって、該熱可塑性樹脂層と前記感光性層との間に設けることが好ましい。熱可塑性樹脂層と感光性層との形成には有機溶剤が用いられるが、中間層を設けることで両層が互いに混ざり合うのを防止できる。
【0198】
中間層としては、水又はアルカリ水溶液に分散ないし溶解するものが好ましい。中間層の構成材料には公知のものを使用でき、例えば、特開昭46−2121号公報及び特公昭56−40824号公報に記載のポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド類、水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種澱粉及びその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、マレイネート樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で用いる以外に2種以上を併用してもよい。
【0199】
上記の中でも、水溶性樹脂、すなわち水溶性の高分子材料を使用するのが好ましく、この中でも少なくともポリビニルアルコールを使用するのがより好ましく、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの併用が特に好ましい。
前記ポリビニルアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その鹸化度が80mol%以上のものが好ましい。
【0200】
ポリビニルピロリドンを使用する場合、その含有量は、中間層の固形分に対して、1〜75体積%が好ましく、1〜60体積%がより好ましく、10〜50体積%が特に好ましい。該含有量が前記範囲内であると、熱可塑性樹脂層との間で充分な密着性が得られ、酸素遮断能も良好である。
【0201】
中間層は、酸素透過率が小さいことが好ましい。すなわち、酸素遮断機能のある酸素遮断膜で構成されるのが好ましく、露光時の感度がアップし、露光機の時間負荷を低減し得、生産性を向上させ得ると共に、解像度も向上する。
【0202】
中間層の層厚としては、0.1〜5μm程度が好ましく、0.5〜2μmがより好ましい。中間層の厚みが上記の範囲内であると、酸素遮断性を低下させることがなく、また、現像時の中間層除去時間が増大するのを防止することができる。
【0203】
−仮支持体−
仮支持体としては、転写の支障とならない程度に前記熱可塑性樹脂層に対する剥離性を有するものが好ましく、化学的・熱的に安定で可撓性を有するものが好ましい。仮支持体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
仮支持体の厚みとしては、5〜300μm程度が好ましく、20〜150μmが好ましい。
【0204】
〈感光感熱記録材料〉
支持体上に本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル又はその分散物を塗布等により付与し、感光感熱記録層が設けられた感光感熱記録材料を作製することができる。感光感熱記録層に波長の異なる複数の光をそれぞれ画像様に照射して潜像形成し、ヒートローラ、サーマルヘッド、赤外線加熱器等の加熱手段により加熱して潜像に対応するカラー像を形成することができる。
【0205】
感光感熱記録材料を用いてカラー画像を形成する場合は一般に、イエロー、シアン、又はマゼンタの各色の発色成分を内包したマイクロカプセルをそれぞれ含む3種の感光感熱記録層用塗布液を用いて3層積層する等して各色の感光感熱記録層を形成し、それぞれの色を発色させるに必要な波長でそれぞれ露光し、熱現像、定着する工程を経る必要があるが、本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル又はその分散物を用いて感光感熱記録層を形成する場合には、1層を設けるのみでカラー画像を得ることが可能となる。
【0206】
〈カラーフィルタ〉
液晶ディスプレイ等の液晶表示装置を構成するカラーフィルタの着色画素を、本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル又はその分散物を用いて作製することができる。
【0207】
通常、液晶ディスプレイに備えられたカラーフィルタを構成する着色画素(R、G、B)を形成する場合、基板上にR画素形成層を形成しこれを画像様に露光、現像し、さらに同様に、G画素形成層を形成しこれを画像様に露光、現像し、B画素形成層を形成しこれを画像様に露光、現像することによりRGB3色の着色画素を形成している。また、カラーフィルタの着色画素(R、G、B)をラミネート方式で作製する場合には、仮支持体上にR画素形成用の感光感熱層を有する転写材料、G画素形成用感光感熱層を有する転写材料、及びB画素形成用感光感熱層を有する転写材料をそれぞれ作製し、これらを液晶ディスプレイをなす基板上に順次ラミネートして画像様に露光、現像する操作を繰り返し行なうことによってRGB3色の着色画素で構成されたカラーフィルタを作製している。しかし、本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル又はその分散物を用いることで、仮支持体上に、本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル又はその分散物を塗布等により付与して1層の着色画素形成用の感光感熱性層を有する感光性転写材料を作製し、この感光感熱性層を液晶ディスプレイをなす基板上にラミネートして着色画素(R、G、B)に対応させて画像様に露光し、現像を行なって、RGB3色で構成されたカラーフィルタを形成することができる。
【0208】
次に、本発明の画像形成方法について説明する。
本発明の画像形成方法の第1の態様は、少なくとも既述の本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル又はその分散液を含有する分散組成物を支持体上に付与し、乾燥させて感光性層を形成する工程(層形成工程)と、形成された感光性層を画像様に露光する工程(露光工程)と、露光後の少なくとも前記感光性層を加熱により現像する工程(加熱現像工程)とで構成されたものである。
【0209】
前記層形成工程では、分散組成物の支持体上への付与を塗布等により好適に行なうことができる。中でも、塗布によるのが好ましく、塗布は例えばコーティングバー、カーテンコーター、ダイコーター、スプレーコーター等を用いた公知の塗布方法により行なうことができる。また、スクリーン印刷、インクジェット方式等を用いて所望の位置に選択的に塗布するようにすることもできる。
塗布層の層厚としては、0.2〜50μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。
【0210】
前記露光工程では、マイクロカプセル内包多核カプセル(特に光重合性組成物)の感光波長に対応した波長光を選択して画像様に照射し、照射により潜像を形成する。潜像は、後の加熱現像工程で加熱した際に硬化する領域(硬化領域)と硬化しない領域(非硬化領域)とでなる。
潜像の形成は、キセノン光、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等のランプ、LED等、レーザー光(特に可視領域のレーザー光)を用いることが好ましい。キセノン光等を用いる場合には、所望の波長を得るためにバンドパスフィルタを介して露光することができる。
【0211】
画像品質向上のために、国際出願WO95/31754号に記載の、3M社提案のハロゲン化銀感光感熱記録材料に用いるレーザービームを照射する際、そのビームスポットが所定の範囲でオーバーラップするように照射することにより画像形成する記録方法にも使用することができる。
この記録方法は、潜像形成の際のレーザービームの照射過程において、(1)目標対象物上で、高さ又は長さの少なくとも一方が600μm以下のビームスポットを形成することのできる放射光源を用意し、また(2)この光源に感光する記録材料を所定の目標位置に配置した後に、まず、(3)前記光源が長さ又は幅の少なくとも一方が250μm以下のビームスポットとなるよう調整し、このビームを用いて画像分布に従い照射し、(4)照射したスポットに対して、次に照射するビームの少なくとも幾つかのスポットがオーバーラップして照射されるように、画像分布に従って照射する方法、あるいは記録材料を露光して潜像を形成する方法において、(1)感光させうる光源を用意し、(2)この光源のビームスポットの高さ又は長さの一方が600μm以下の小領域を複数照射し、そのうち、少なくとも1つの小領域に要するエネルギーの少なくとも10%、すなわち複数の小領域のうちの少なくとも10%が、他の1つの小領域とオーバーラップするように照射する方法等である。
【0212】
また、特開昭60−195568号公報に記載の記録方法(キャノン(株)提案)も適用することができる。すなわち、記録材料面に照射するレーザービームの入射角を傾けることにより、入射ビームが記録材料の感光層界面で反射する反射ピッチをビームスポット径より大きくし、記録材料に生ずる光干渉を防止する技術を用いることにより、より高品質の画像を得ることができる。
【0213】
前記加熱現像工程では、潜像が形成された感光性層を加熱し、非硬化領域の発色成分を反応させて発色させ、所望の色画像を可視化する。
加熱現像処理の温度は、80〜200℃が好ましく、85〜130℃がより好ましい。加熱温度が前記範囲内であると、充分な発色濃度が得られ、非画像部(地肌部)の着色及び支持体の損傷を回避できる。
加熱時間は、1秒〜5分が好ましく、3秒〜1分がより好ましい。
加熱方法は、従来公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、ヒートローラー、サーマルヘッド、赤外線加熱器等の加熱手段を用いて行なえる。
【0214】
また、加熱現像処理を施す前に、発色温度未満の所定の温度で均一に予熱する過程を設けると、さらに感度を向上させることができる。
また、加熱現像後、定着処理、すなわち感光性層表面を光照射することにより、感光性層中に残存する分光増感化合物、ジアゾニウム塩化合物等の地肌部の白色性を低下させる成分を分解又は失活させ、形成画像を定着することができる。この処理により、形成画像の濃度変動を抑制でき、画像保存性を大幅に向上させることができる。
【0215】
本発明の画像形成方法の第2の態様は、既述の本発明の感光性転写材料を受像シートに接触させ、少なくとも感光性層を転写する工程(転写工程)と、転写された感光性層を画像様に露光する工程(露光工程)と、露光後の少なくとも前記感光性層を加熱により現像する工程(加熱現像工程)とで構成されたものである。本態様は、受像シート上に感光性層を転写後、転写された感光性層に画像形成するようにしたものである。
【0216】
前記転写工程では、受像シートに感光性層の表面でラミネートし、受像シート上に感光性層を転写形成する。仮支持体上に膜状に形成された感光性樹脂層を基板面に加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着することによって貼り合せた後、仮支持体の剥離により感光性樹脂層を基板上に転写する。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられ、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0217】
具体的には、感光性転写材料から保護フィルム(カバーフィルム)を取除いた後、露出した感光性層の表面を被転写材である受像シート表面と重ね合わせ、加圧・加熱を行なって貼り合わせる(ラミネート)。貼り合わせは、公知のラミネーター(真空ラミネーターなど)を用いて好適に行なうことができ、より生産性を高める観点からは、オートカットラミネーターが好適である。
【0218】
また、第2の態様における露光工程及び加熱現像工程は、前記第1の態様における露光工程及び加熱現像工程と同様である。
【0219】
本発明の画像形成方法の第3の態様は、既述の本発明の感光性転写材料の少なくとも感光性層を画像様に露光する工程(露光工程)と、露光後の少なくとも前記感光性層を加熱により現像する工程(加熱現像工程)と、前記感光性転写材料を受像シートに接触させ、現像後の少なくとも前記感光性層を前記受像シートに転写する工程(転写工程)とで構成されたものである。本態様は、転写前に画像を形成しておき、形成された画像を所望の受像シートに転写するようにしたものである。
【0220】
なお、本態様における露光工程及び加熱現像工程は、前記第1の態様における露光工程及び加熱現像工程と同様であり、本態様における転写工程は前記第2の態様における転写工程と同様である。
また、感光性層は、既述の本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル又は本発明のマイクロカプセル内包多核カプセル分散液を含有する分散組成物を仮支持体上に付与し、乾燥させて形成することができる。分散組成物の付与は、既述のように、塗布によるのが好ましく、塗布は既述の公知の塗布方法により行なうことができる。ここでの塗布層の層厚も既述の通りである。
【実施例】
【0221】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、「平均粒径」は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−700(株式会社堀場製作所製)により測定されたメジアン径であり、イエロー、マゼンタ、シアンの反射濃度はいずれも、X−Rite938(レスポンスA;エックスライト社製)を用いて測定したものである。
【0222】
(実施例1):ポジ型
〔1〕電子供与性無色染料カプセル液(1)の調製
下記電子供与性無色染料(1)8.9gを酢酸エチル16.9gに溶解し、カプセル化剤である「タケネートD−110N」(武田薬品工業株式会社製)20gと「ミリオネートMR200」(日本ポリウレタン工業株式会社製)2gを添加した。この溶液を8%のフタル化ゼラチン42gと水14gと10%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液1.4gとを混合した混合液に添加し、20℃で乳化分散し乳化液を得た。
【0223】
得られた乳化液に2.9%のテトラエチレンペンタミン水溶液72gを加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間後に電子供与性無色染料(1)が芯に内包された、平均粒径0.5μmの電子供与性無色染料カプセル液(1)を得た。固形分は、水を添加して30%に調整を行なった。
【0224】
【化2】

【0225】
〔2〕電子供与性無色染料カプセル液(2)の調製
前記電子供与性無色染料カプセル液(1)の調製において、電子供与性無色染料(1)を下記電子供与性無色染料(2)に代えたこと以外は、前記電子供与性無色染料カプセル液(1)の調製と同様にして、電子供与性無色染料(2)が芯に内包された、平均粒径0.5μmの電子供与性無色染料カプセル液(2)を得た。固形分は、水を添加して30%に調整を行なった。
【0226】
【化3】

【0227】
〔3〕電子供与性無色染料カプセル液(3)の調製
前記電子供与性無色染料カプセル液(1)の調製において、電子供与性無色染料(1)を下記電子供与性無色染料(3)に代えたこと以外は、前記電子供与性無色染料カプセル液(1)の調製と同様にして、電子供与性無色染料(3)が芯に内包された、平均粒径0.5μmの電子供与性無色染料カプセル液(3)を得た。固形分は、水を添加して30%に調整を行なった。
【0228】
【化4】

【0229】
〔4〕光重合性組成物の乳化液(1)の調製
下記の有機色素(1)0.11gと光ラジカル発生剤(1)0.75gとに、下記重合性の電子受容性化合物(1)4.2gと酢酸イソプロピル5.3gとを添加して攪拌溶解した。
【0230】
【化5】

【0231】
得られた溶液を、8%ゼラチン水溶液13gと2%の下記界面活性剤(1)水溶液0.8gと2%の下記界面活性剤(2)水溶液0.8gとの混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機株式会社製)にて10,000回転で5分間乳化し、光重合性組成物の乳化液(1)を得た。固形分は、水を添加して25%に調整を行なった。
【0232】
【化6】

【0233】
〔5〕光重合性組成物の乳化液(2)の調製
下記の有機色素(2)0.05gと光ラジカル発生剤(2)0.25gとに、前記重合性の電子受容性化合物(1)5gと酢酸イソプロピル5.5gとを添加し、攪拌溶解した。
【0234】
【化7】

【0235】
得られた溶液を、8%ゼラチン水溶液13gと2%の前記界面活性剤(1)水溶液0.8gと2%の前記界面活性剤(2)水溶液0.8gとの混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機株式会社製)にて10000回転で5分間乳化し、光重合性組成物の乳化液(2)を得た。固形分は、水を添加して23%に調整を行なった。
【0236】
〔6〕光重合性組成物の乳化液(3)の調製
下記の有機色素(3)0.05gと前記光ラジカル発生剤(2)0.25gとに、前記重合性の電子受容性化合物(1)5gと酢酸イソプロピル5.5gとを添加し、攪拌溶解した。
【0237】
【化8】

【0238】
得られた溶液を、8%ゼラチン水溶液13gと2%の前記界面活性剤(1)水溶液0.8gと2%の前記界面活性剤(2)水溶液0.8gとの混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機株式会社製)にて10000回転で5分間乳化し、光重合性組成物の乳化液(3)を得た。固形分は、水を添加して23%に調整を行なった。
【0239】
〔7〕マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(1)の調製
前記電子供与性無色染料カプセル液(1)4gと、光重合性組成物の乳化液(1)12gと、5%の塩化カルシウム水溶液1gとを混合し、Y1液とした。同様にして、前記電子供与性無色染料カプセル液(2)4gと、光重合性組成物の乳化液(2)12gと、5%の塩化カルシウム水溶液1gとを混合し、M1液とし、また、前記電子供与性無色染料カプセル液(3)4gと、光重合性組成物の乳化液(3)12gと、5%の塩化カルシウム水溶液1gとを混合し、C1液とした。更に、1%アルギン酸ナトリウム水溶液50gをCS液とした。そして、図7に示すように容器に収容した。
【0240】
これらを、図2及び図7に示すように、1本のノズル内径が0.05mmである3本のノズル10nA、10nB、10nCと、これらを取り囲む内径0.15mmのノズル10nDとで構成された多芯ノズル10を用いて、ノズル10nA、10nB、10nC、10nDにそれぞれ、Y1液、M1液、C1液、CS液を流量0.86ml/分、流量1.28ml/分、流量0.86ml/分、流量8ml/分にて流し、図2に示すように、3%の塩化カルシウム水溶液11中に放出して粒子を形成し、約2分放置後取出して水洗し、水に分散させて、平均粒径約60μmの3種のマイクロカプセル内包発色核(イエロー発色核(Y1液)12、マゼンタ発色核(M1液)13、シアン発色核(C1液)14)を含む平均粒径180μmのマイクロカプセル内包多核カプセル15が水に分散されたマイクロカプセル内包多核カプセル分散液(1)を得た。
【0241】
得られた分散液中のマイクロカプセル内包多核カプセル15は、図1に示すように、CS液がゲル化した部位2にイエロー発色核(Y1液)12、マゼンタ発色核(M1液)13、シアン発色核(C1液)14がマイクロカプセル内包領域として内包されたゲル状粒子であり、水中に分散されている。このとき、イエロー発色核12には、電子供与性無色染料(1)内包カプセル12Y1と、光重合性組成物12Y2と、塩化カルシウム水溶液12Y3とが内包されており、未硬化のまま加熱されたときには、カプセル外の電子受容性化合物(1)がカプセル壁を通過して電子供与性無色染料(1)と反応しイエロー発色するようになっている。同一のマイクロカプセル内包多核カプセルに内包されているマゼンタ発色核13及びシアン発色核14についても同様である。
【0242】
〔8〕記録材料の作製及び画像記録
白色顔料を充填した厚み100μmの白色のポリエステルフィルム(「ルミラーE68L」、東レ株式会社製)に、前記マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(1)を、コーティングバーを用いて塗布層の乾燥質量が28g/m2になるように塗布し、30℃で10分間乾燥させて、記録材料を作製した。
【0243】
次いで、温度24℃、湿度60%の環境下、真空焼枠装置を用いて、ステップウェッジ及びBPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(ブルー露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、その後、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、ブルー未露光部では、電子供与性無色染料(1)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるイエロー色の発色(反射イエロー濃度OD=2.0)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0244】
同様に、ステップウェッジ及びBPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(グリーン露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、グリーン未露光部では電子供与性無色染料(2)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるマゼンタ色の発色(反射マゼンタ濃度OD=2.1)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0245】
また同様に、ステップウェッジ及びBPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(レッド露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、レッド未露光部では電子供与性無色染料(3)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるシアン色の発色(反射シアン濃度OD=2.2)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0246】
(実施例2)
〔1〕マイクロカプセル内包発色核分散液(1)〜(3)の調製
前記電子供与性無色染料内包カプセル液(1)4gと、前記光重合性組成物の乳化液(1)12gと、2%アルギン酸ナトリウム水溶液12gとを混合し、図8に示すように、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径3μm)を用いて乳化粒子を作製すると共に、3%の塩化カルシウム水溶液に放出してそのまま約2分放置後取出し、水洗して水に分散させ、平均粒径4μmで固形分8.5%のマイクロカプセル内包発色核分散液(1)を得た。
【0247】
同様にして、前記電子供与性無色染料カプセル液(2)4gと、前記光重合性組成物の乳化液(2)12gと、2%アルギン酸ナトリウム水溶液12gとを混合し、図8に示すように、SPG膜乳化装置(SPG細孔径3μm)を用いて乳化粒子を作製すると共に、3%の塩化カルシウム水溶液に放出してそのまま約2分放置後取出し、水洗して水に分散させ、平均粒径4μmで固形分8.5%のマイクロカプセル内包発色核分散液(2)を得た。
【0248】
また同様にして、前記電子供与性無色染料カプセル液(3)4gと、前記光重合性組成物の乳化液(3)12gと、2%アルギン酸ナトリウム水溶液12gとを混合し、図8に示すように、SPG膜乳化装置(SPG細孔径3μm)を用いて乳化粒子を作製すると共に、3%の塩化カルシウム水溶液に放出してそのまま約2分放置後取出し、水洗して水に分散させ、平均粒径4μmで固形分8.5%のマイクロカプセル内包発色核分散液(3)を得た。
【0249】
〔2〕マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(2)の調製
続いて、図8に示すように、上記より得たマイクロカプセル内包発色核分散液(1)10g、マイクロカプセル内包発色核分散液(2)15g、マイクロカプセル内包発色核分散液(3)10g、及び10%PVA−105水溶液(株式会社クラレ製)16gを混合し、CC1液とした。更に、2%アルギン酸ナトリウム水溶液50gをCS液とした。そして、CC1液及びCS液を、図4に示すようにノズル内径が0.05mmの中央ノズル20nAとそれを取り囲む広幅の内径0.10mmのノズル20nDとで構成された2芯ノズルを用いて、ノズル20nA、20nDにそれぞれCC1液、CS液を流量4ml/分、流量1ml/分にて流し、図4に示すように、3%の塩化カルシウム水溶液21中に放出して粒子を形成し、そのまま約2分放置後取出し、水洗して水に分散させ、平均粒径約4μmの3種のマイクロカプセル含有発色核(イエロー発色核22、マゼンタ発色核23、シアン発色核24)を含む平均粒径120μmのマイクロカプセル内包多核カプセル25が水に分散されたマイクロカプセル内包多核カプセル分散液(2)を得た。
【0250】
得られた分散液中のマイクロカプセル内包多核カプセル25は、図3に示すように、カプセル内にイエロー発色核22、マゼンタ発色核23、及びシアン発色核24がマイクロカプセル内包領域として内包されたカプセル粒子であり、水中に分散されている。このとき、イエロー発色核22は、CS液がゲル化した部位22Y3に電子供与性無色染料(1)内包カプセル22Y1と光重合性組成物12Y2とが内包されており、未硬化のまま加熱されたときには、カプセル外の電子受容性化合物(1)がカプセル壁を通過して電子供与性無色染料(1)と反応し発色するようになっている。同一のマイクロカプセル内包多核カプセルに内包されているマゼンタ発色核23及びシアン発色核24についても同様である。
【0251】
〔3〕記録材料の作製及び画像記録
白色顔料を充填した厚み100μmの白色のポリエステルフィルム(「ルミラーE68L」、東レ株式会社製)に、前記マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(2)を、コーティングバーを用いて塗布層の乾燥質量が36g/m2になるように塗布し、30℃で10分間乾燥させて、記録材料を作製した。
【0252】
次いで、温度24℃、湿度60%の環境下、真空焼枠装置を用いて、ステップウェッジ及びBPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(ブルー露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、ブルー未露光部では電子供与性無色染料(1)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるイエロー色の発色(反射イエロー濃度OD=1.9)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0253】
同様に、ステップウェッジ及びBPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(グリーン露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、グリーン未露光部では電子供与性無色染料(2)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるマゼンタ色の発色(反射マゼンタ濃度OD=2.0)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0254】
また同様に、ステップウェッジ及びBPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(レッド露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、レッド未露光部では電子供与性無色染料(3)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるシアン色の発色(反射シアン濃度OD=2.0)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0255】
(実施例3)
〔1〕マイクロカプセル内包乳化分散液(4)〜(6)の調製
前記電子供与性無色染料カプセル液(1)4gと、前記光重合性組成物の乳化液(1)12gと、10%PVA−105水溶液(株式会社クラレ製)4gとを混合し、図9示すように、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径3μm)を用いて、2%可溶性ナイロン(ウルトラミド1C、BASF社製)の塩化メチレン溶液(油相)100g中に放出して、平均粒径4μmのマイクロカプセル内包乳化分散液(4)を得た。
【0256】
続いて、同様にして、前記電子供与性無色染料カプセル液(2)4gと、光重合性組成物の乳化液(2)12gと、2%PVA−105水溶液(株式会社クラレ製)4gとを混合し、図9示すように、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径3μm)を用いて、10%可溶性ナイロン(ウルトラミド1C、BASF社製)の塩化メチレン溶液(油相)100g中に放出して、平均粒径4μmのマイクロカプセル内包乳化分散液(5)を得た。
【0257】
更に、同様にして、前記電子供与性無色染料カプセル液(3)4gと、光重合性組成物の乳化液(3)12gと、10%PVA105水溶液4gとを混合し、図9示すように、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径3μm)を用いて、2%可溶性ナイロン(ウルトラミド1C、BASF社製)の塩化メチレン溶液(油相)100g中に放出して、平均粒径4μmのマイクロカプセル内包乳化分散液(6)を得た。
【0258】
〔2〕マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(3)の調製
続いて、図9示すように、上記より得たマイクロカプセル内包乳化分散液(4)20g、マイクロカプセル内包乳化分散液(5)30g、及びマイクロカプセル内包乳化分散液(6)20gを攪拌、混合し、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径15μm)を用いて、1%PVA−217水溶液(株式会社クラレ製)100g中に放出して、マイクロカプセル内包乳化液を作製し、これを40℃で4時間加熱攪拌を行なって塩化メチレンを除去し、可溶性ナイロンを析出させて、図1に示すように、平均粒径10μmのマイクロカプセル内包多核カプセルが水に分散されたマイクロカプセル内包多核カプセル分散液(3)を得た。
【0259】
得られた分散液中のマイクロカプセル内包多核カプセルは、図1に示すように、可溶性ナイロンが析出した部位2にイエロー発色核12、マゼンタ発色核13、シアン発色核14がマイクロカプセル内包領域として内包された粒子であり、水中に分散されている。このとき、イエロー発色核12には、電子供与性無色染料(1)内包カプセル12Y1と、光重合性組成物12Y2と、塩化カルシウム水溶液12Y3とが内包され、未硬化のまま加熱されたときに発色するようになっており、同一のマイクロカプセル内包多核カプセルに内包されているマゼンタ発色核13及びシアン発色核14についても同様である。
【0260】
〔3〕記録材料の作製及び画像記録
白色顔料を充填した厚み100μmの白色のポリエステルフィルム(「ルミラーE68L」、東レ株式会社製)に、前記マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(3)を、コーティングバーを用いて塗布層の乾燥質量が34g/m2になるように塗布し、30℃で10分間乾燥させて、記録材料を作製した。
【0261】
次いで、温度24℃、湿度60%の環境下、真空焼枠装置を用いて、ステップウェッジ及びBPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(ブルー露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、ブルー未露光部では電子供与性無色染料(1)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるイエロー色の発色(反射イエロー濃度OD=1.9)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0262】
同様に、ステップウェッジ及びBPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(グリーン露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、グリーン未露光部では電子供与性無色染料(2)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるマゼンタ色の発色(反射マゼンタ濃度OD=2.0)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0263】
また同様に、ステップウェッジ及びBPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(レッド露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、レッド未露光部では電子供与性無色染料(3)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるシアン色の発色(反射シアン濃度OD=2.0)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0264】
(実施例4)
〔1〕マイクロカプセル内包カプセル分散液(7)〜(9)の調製
前記電子供与性無色染料カプセル液(1)4gと、前記光重合性組成物の乳化液(1)12gとを混合し、これに1,6−ヘキサメチレンジアミン0.2gを添加後、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径3μm)を用いて、シクロヘキサン28g、クロロホルム7g、及び1gのスパン85を混合液中に放出し、乳化液を得た。この乳化液に10%セバコイルクロライドのシクロヘキサン溶液4gを添加し、室温にて2時間攪拌を行ない、平均粒径4μmのマイクロカプセル内包カプセル分散液(7)を得た。
【0265】
同様にして、前記電子供与性無色染料カプセル液(2)4gと、前記光重合性組成物の乳化液(2)12gとを混合し、これに1,6−ヘキサメチレンジアミン0.2gを添加後、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径3μm)を用いて、シクロヘキサン28g、クロロホルム7g、及び1gのスパン85の混合液中に放出し、乳化液を得た。この乳化液に10%セバコイルクロライドのシクロヘキサン溶液4gを添加し、室温にて2時間攪拌を行ない、平均粒径4μmのマイクロカプセル内包カプセル分散液(8)を得た。
【0266】
また同様にして、前記電子供与性無色染料カプセル液(3)4gと、前記光重合性組成物の乳化液(3)12gとを混合し、これに1,6−ヘキサメチレンジアミン0.2gを添加後、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径3μm)を用いて、シクロヘキサン28g、クロロホルム7g、及び1gのスパン85の混合液中に放出し、乳化液を得た。この乳化液に10%セバコイルクロライドのシクロヘキサン溶液4gを添加し、室温にて2時間攪拌を行ない、平均粒径4μmのマイクロカプセル内包カプセル分散液(9)を得た。
【0267】
〔2〕マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(4)の調製
続いて、上記より得たマイクロカプセル内包乳化分散液(7)20g、マイクロカプセル内包乳化分散液(8)30g、及びマイクロカプセル内包乳化分散液(9)20gを混合し、更に2%可溶性ナイロン(ウルトラミド1C、BASF社製)の塩化メチレン溶液100gを添加した後、この液をSPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径15μm)を用いて1%PVA217水溶液(株式会社クラレ製)100g中に放出して、マイクロカプセル内包乳化液を作製した。そして、これを40℃で4時間加熱攪拌して塩化メチレンを除去し、可溶性ナイロン析出させて、図5に示すように、平均粒径13μmのマイクロカプセル内包多核カプセル35が水に分散されたマイクロカプセル内包多核カプセル分散液(4)を得た。
【0268】
得られた分散液中のマイクロカプセル内包多核カプセル35は、図5に示すように、可溶性ナイロンが析出した部位3にイエロー発色のマイクロカプセル内包マイクロカプセル32、マゼンタ発色のマイクロカプセル内包マイクロカプセル33、シアン発色のマイクロカプセル内包マイクロカプセル34が、マイクロカプセル内包領域として内包された粒子であり、水中に分散されている。このとき、イエロー発色のマイクロカプセル内包マイクロカプセル32には、電子供与性無色染料(1)内包カプセル32Y1と光重合性組成物32Y2とが内包されており、未硬化のまま加熱されたときには、カプセル32Y1外の電子受容性化合物(1)がカプセル壁を通過して電子供与性無色染料(1)と反応し発色するようになっている。同一のマイクロカプセル内包多核カプセルに内包されているマゼンタ、シアン発色のマイクロカプセル内包マイクロカプセル33,34についても同様である。
【0269】
〔3〕記録材料の作製及び画像記録
白色顔料を充填した厚み100μmの白色のポリエステルフィルム(「ルミラーE68L」、東レ株式会社製)に、前記マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(4)を、コーティングバーを用いて塗布層の乾燥質量が36g/m2になるように塗布し、30℃で10分間乾燥させて、記録材料を作製した。
【0270】
次いで、温度24℃、湿度60%の環境下、真空焼枠装置を用いて、ステップウェッジ及びBPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(ブルー露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、ブルー未露光部では電子供与性無色染料(1)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるイエロー色の発色(反射イエロー濃度OD=1.9)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0271】
同様に、ステップウェッジ及びBPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(グリーン露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、グリーン未露光部では電子供与性無色染料(2)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるマゼンタ色の発色(反射マゼンタ濃度OD=2.0)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0272】
また同様に、ステップウェッジ及びBPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(レッド露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、レッド未露光部では電子供与性無色染料(3)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるシアン色の発色(反射シアン濃度OD=2.0)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0273】
(実施例5)
〔1〕マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(5)の調製
実施例4で調製したマイクロカプセル内包カプセル分散液(7)20g、マイクロカプセル内包カプセル分散液(8)30g、及びマイクロカプセル内包カプセル分散液(9)20gを混合し、更にタケネートD−110N2gを添加した後、この液をSPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径15μm)を用いて、1%PVA217水溶液(株式会社クラレ製)100g中に放出して、マイクロカプセル内包乳化液を作製した。これを50℃で8時間加熱攪拌を行ない塩化メチレンを除去すると共に、ウレタンウレア壁を形成し、図6に示すように、平均粒径13μmのマイクロカプセル内包多核カプセル45が水に分散されたマイクロカプセル内包多核カプセル分散液(5)を得た。
【0274】
得られた分散液中のマイクロカプセル内包多核カプセル45は、図6に示すように、ウレタンウレア壁により3種のマイクロカプセル内包カプセル(イエロー発色のマイクロカプセル内包マイクロカプセル42、マゼンタ発色のマイクロカプセル内包マイクロカプセル43、及びシアン発色のマイクロカプセル内包マイクロカプセル44)を更にカプセル化し、マイクロカプセル内包領域として内包する多核構造に構成されたカプセル粒子であり、水中に分散されている。このとき、イエロー発色のマイクロカプセル内包マイクロカプセル42には、電子供与性無色染料(1)内包カプセル42Y1と光重合性組成物42Y2とが内包されており、未硬化のまま加熱されたときには、カプセル42Y1外の電子受容性化合物(1)がカプセル壁を通過して電子供与性無色染料(1)と反応し発色するようになっている。同一のマイクロカプセル内包多核カプセルに内包されているマゼンタ、シアン発色のマイクロカプセル内包マイクロカプセル43,44についても同様である。
【0275】
〔2〕記録材料の作製及び画像記録
白色顔料を充填した厚み100μmの白色のポリエステルフィルム(「ルミラーE68L」、東レ株式会社製)に、前記マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(5)を、コーティングバーを用いて塗布層の乾燥質量が36g/m2になるように塗布し、30℃で10分間乾燥した。
【0276】
次いで、温度24℃、湿度60%の環境下、真空焼枠装置を用いて、ステップウェッジ及びBPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(ブルー露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、ブルー未露光部では電子供与性無色染料(1)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるイエロー色の発色(反射イエロー濃度OD=1.9)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0277】
同様に、ステップウェッジ及びBPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(グリーン露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、グリーン未露光部では電子供与性無色染料(2)と重合性電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるマゼンタ色の発色(反射マゼンタ濃度OD=2.0)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0278】
また同様に、ステップウェッジ及びBPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(レッド露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、レッド未露光部では電子供与性無色染料(3)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるシアン色の発色(反射シアン濃度OD=2.0)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0279】
(実施例6)
実施例4と同様に作製したマイクロカプセル内包多核カプセル分散液(4)50gにSBRラテックス(固形分40%)5.0g、及びシリコンエマルション(KM786、信越化学工業株式会社)1.0gを混合し、インク組成物(1)を得た。このインク組成物を、裏面が離型処理された厚み8μmの支持体(帝人ポリエステルフイルム)に塗布層の乾燥質量が22g/m2になるようにグラビア塗工・乾燥することにより、熱転写インク層が形成された熱転写インクリボンを得た。
【0280】
温度24℃、湿度60%の環境下、実施例4と同様に、真空焼枠装置を用いて、ステップウェッジ及びフィルターを通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射し、更に順次フィルターを通して全面露光を行なった上で、サーマルヘッドを備えたプリンターを用いて、熱転写インクリボンの裏面より加熱を行なって熱転写インク層を加熱し、発色させると共に、受像シート(熱軟化性の合成紙)に転写した。各色の最大濃度は反射濃度(X−Rite938(レスポンスA)、エックスライト社製)で、イエロー濃度OD=0.7、マゼンタ濃度OD=0.8、シアン濃度OD=0.8であり、白色部は熱転写を行なわないので、ステインのない良好な白色が得られた。
【0281】
(実施例7)
実施例6と同様に作製した熱転写インクリボンを受像シート(熱軟化性の合成紙)に重ね、90℃の熱板で15秒間加熱して熱転写インク層を転写した。
続いて、温度24℃、湿度60%の環境下、実施例4と同様に、真空焼枠装置を用いて、熱転写インク層が転写された受像シートの転写面にステップウェッジ及びフィルターを通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射し、更に順次フィルターを通して全面露光を行なった。その後さらに、125℃の熱板で15秒間加熱したところ、各色の最大濃度は反射濃度(X−Rite938(レスポンスA)、エックスライト社製)で、イエロー濃度OD=0.7、マゼンタ濃度OD=0.8、シアン濃度OD=0.8であった。
【0282】
(実施例8)
実施例4と同様にして作製したマイクロカプセル内包多核カプセル分散液(4)を、100μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)ベースからなる仮支持体にインクジェットプリンタを用いて層の乾燥質量が32g/m2になるように吐出し、30℃で10分間乾燥させ、感光性層を形成した。
【0283】
続いて、温度24℃、湿度60%の環境下、実施例4と同様に、真空焼枠装置を用いて、感光性層が形成されたPETベースの層表面にステップウェッジ及びフィルターを通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射し、更に順次フィルターを通して全面露光を行なった。その後、受像シート(熱軟化性の合成紙)に重ね、125℃の熱板で30秒間加熱して感光性層を受像シートに転写すると共に、加熱現像を行なった。各色の最大濃度は、反射濃度でイエロー濃度OD=1.8、マゼンタ濃度OD=1.9、シアン濃度OD=2.0であった。白色部は熱転写を行なわないので、ステインのない良好な白色が得られた。
【0284】
(実施例9):ネガ型
〔1〕電子供与性無色染料内包カプセル(4)の調製
下記電子供与性無色染料(1)12.4gを酢酸エチル10.4gに溶解し、これにジシクロヘキシルフタレート12.4gとタケネートD−110N(武田薬品工業株式会社製)27gとミリオネートMR200(日本ポリウレタン工業株式会社製)3gを添加した。この溶液を、ポリビニルアルコール4.6g及び水74gの混合液に添加し、20℃で乳化分散し、平均粒径1.5μmの乳化液を得た。得られた乳化液に水100gを加え、撹拌しながら60℃に加温し、2時間後に電子供与性無色染料(1)を芯に含有した電子供与性無色染料内包カプセル液(4)を得た。なお、固形分は、カプセル液に水を添加して30%に調整した。
【0285】
〔2〕電子供与性無色染料内包カプセル(5)の調製
前記電子供与性無色染料内包カプセル(4)の調製に用いた電子供与性無色染料(1)を下記電子供与性無色染料(2)に代えたこと以外は、前記電子供与性無色染料内包カプセル(4)の調製と同様にして、電子供与性無色染料内包カプセル(5)を得た。なお、固形分は、カプセル液に水を添加して30%に調整した。
【0286】
〔3〕電子供与性無色染料内包カプセル(6)の調製
前記電子供与性無色染料内包カプセル(4)の調製に用いた電子供与性無色染料(1)を下記電子供与性無色染料(3)に変更した以外は、前記電子供与性無色染料内包カプセル(4)の調製と同様にして、電子供与性無色染料内包カプセル(6)を得た。なお、固形分は、カプセル液に水を添加して30%に調整した。
【0287】
【化9】

【0288】
〔4〕光硬化性組成物の乳化液(4)の調製
下記光重合開始剤(1)0.2gと下記分光増感色素(1)0.2gと重合を促進するための助剤としてN−フェニルグリシンエチルエステル0.2gの酢酸エチル4g溶液との混合溶液に、下記電子受容性化合物(1)10g、及びトリメチロールプロパントリアクリレートモノマー(3官能アクリレート、分子量約296)8gを添加した。この溶液を、15%PVA水溶液19.2gと水4.8g及び下記の2%界面活性剤(1)水溶液0.8gと2%界面活性剤(2)水溶液0.8gとの混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機株式会社製)にて10000回転で5分間乳化し、光硬化性組成物の乳化液(4)を得た。なお、固形分は、光硬化性組成物の乳化物に水を添加して25%に調整した。
【0289】
【化10】

【0290】
【化11】

【0291】
〔5〕光硬化性組成物の乳化液(5)の調製
前記光硬化性組成物の乳化液(4)の調製に用いた光重合開始剤(1)0.2gと分光増感色素(1)0.2gとを、前記有機色素(2)0.1gと前記光ラジカル発生剤(2)0.5gとに代えたこと以外は、前記光硬化性組成物の乳化液(4)の調製と同様にして、光硬化性組成物の乳化液(5)を得た。なお、固形分は、光硬化性組成物の乳化物に水を添加して25%に調整した。
【0292】
〔6〕光硬化性組成物の乳化液(6)の調製
前記光硬化性組成物の乳化液(4)の調製に用いた光重合開始剤(1)0.2gと分光増感色素(1)0.2gとを、前記有機色素(3)0.1gと前記光ラジカル発生剤(2)0.5gとに代えたこと以外は、前記光硬化性組成物の乳化液(4)の調製に用いたと同様にして、光硬化性組成物の乳化液(6)を得た。なお、固形分は、光硬化性組成物の乳化物に水を添加して25%に調整した。
【0293】
〔7〕マイクロカプセル内包乳化分散液(13)〜(15)の調製
前記電子供与性無色染料カプセル液(4)1gと、前記光重合性組成物の乳化液(4)10gと、10%PVA105水溶液(株式会社クラレ製)4gとを混合し、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径4μm)を用いて、1%可溶性ナイロン(ウルトラミド1C、BASF
社製)の塩化メチレン溶液50g中に放出して、平均粒径5μmのマイクロカプセル内包乳化分散液(13)を得た。
【0294】
同様にして、前記電子供与性無色染料カプセル液(5)1gと、光重合性組成物の乳化液(5)10gと、10%PVA105水溶液4gとを混合し、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径4μm)を用いて1%可溶性ナイロン(ウルトラミド1C、BASF社製)の塩化メチレン溶液50g中に放出して、平均粒径5μmのマイクロカプセル内包乳化分散液(14)を得た。
【0295】
さらに同様にして、前記電子供与性無色染料カプセル液(6)1gと、光重合性組成物の乳化液(6)10gと、10%PVA105水溶液4gとを混合し、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径4μm)を用いて1%可溶性ナイロン(ウルトラミド1C、BASF社製)の塩化メチレン溶液50g中に放出して、平均粒径5μmのマイクロカプセル内包乳化分散液(15)を得た。
【0296】
〔8〕マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(6)の調製
次いで、上記より得たマイクロカプセル内包乳化分散液(13)20g、マイクロカプセル内包乳化分散液(14)20g、及びマイクロカプセル内包乳化分散液(15)20gを混合し、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径20μm)を用いて、1%PVA217水溶液(株式会社クラレ製)100g中に放出して、マイクロカプセル内包乳化液を作製し、これを40 ℃で4時間加熱攪拌して塩化メチレンを除去し、可溶性ナイロン析出させて、図1に示すように、平均粒径21μmのマイクロカプセル内包多核カプセルが水に分散されたマイクロカプセル内包多核カプセル分散液(5)を得た。
【0297】
〔9〕記録材料の作製及び画像記録
白色顔料を充填した厚み100μmの白色のポリエステルフィルム(「ルミラーE68L」、東レ株式会社製)に、前記マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(5)を、コーティングバーを用いて塗布層の乾燥質量が40g/m2になるように塗布し、30℃で10分間乾燥させて、記録材料を作製した。
【0298】
次いで、温度24℃、湿度60%の環境下、真空焼枠装置を用いて、ステップウェッジ及びBPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(ブルー露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、ブルー露光部では電子供与性無色染料(1)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるイエロー色の発色(反射イエロー濃度OD=1.6)を生じ、未露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0299】
同様に、ステップウェッジ及びBPB55フィルター(550nmに最大透過率を有する
バンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(グリーン露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、グリーン露光部では電子供与性無色染料(2)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるマゼンタ色の発色(反射マゼンタ濃度OD=1.8)を生じ、未露光部では発色濃度が低
下ないし発色が起こらなかった。
【0300】
さらに同様に、ステップウェッジ及びBPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(レッド露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、レッド露光部では電子供与性無色染料(3)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるシアン色の発色(反射シアン濃度OD=1.8)を生じ、未露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0301】
(実施例10)
〔1〕マイクロカプセル内包乳化分散液(16)の調製
酢酸エチル13.1部に、下記ジアゾ化合物(a)4.4部とフタル酸ジフェニル10.0部とを溶解し、さらに「タケネートD−110N」(武田薬品工業株式会社製)10.5部を添加し、均一に攪拌して混合液Aを得た。
別途、8%フタル化ゼラチン60.0部に、イオン交換水16.6部及びScraph AG−8(50%)(日本精化株式会社製)0.4部を添加して、混合液Bを得た。
【0302】
上記より得たジアゾ化合物(a)の混合液Aを混合液Bに添加し、ホモジナイザー(日本精機株式会社製)を用いて、40℃にて7000r.p.m.で10分間乳化分散した。得られた乳化液に、イオン交換水20.0部とジエチレントリアミン0.25部とを加え、攪拌しながら40℃で1時間加温し、さらにイオン交換水を30.0部添加後、攪拌しながら60℃にて3時間20分加温した。その後これに、イオン交換樹脂アンバーライトIRA67(オルガノ株式会社製)5.5部及びアンバーライトIRC50(オルガノ株式会社製)11.0部を加え、1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して除去し、固形分濃度が30.0%になるように濃度調整し、平均粒径1.7μmのジアゾ化合物内包マイクロカプセル液(i)を得た。
【0303】
【化12】

【0304】
下記カプラー化合物(b)1.0部と、重合可能な下記化合物(c−1)5.04部と、下記熱重合禁止剤0.02部とを、酢酸イソプロピル6.3部中で75℃にて溶解した。さらに、下記分光増感色素0.05部と下記有機ホウ素化合物0.3部とを添加し、42℃にて溶解して混合液Cを得た。
別途、15%ゼラチン水溶液8.3部と、下記界面活性剤(1)の10%水溶液7.0部と、20%ジュリマーAC10LA(ポリアクリル酸;日本純薬株式会社製)0.62部と、イオン交換水0.9部とからなる混合液Dを調製した。
【0305】
上記より得た混合液Cを混合液Dに添加し、ホモジナイザー(日本精機株式会社製)を用いて、40℃にて10000r.p.m.で5分間乳化分散した。その後、40℃にて3時間脱溶媒処理を行なった後、固形分が30.0%になるように濃度調製し、光硬化性組成物の乳化液(ii)を得た。
【0306】
【化13】

【0307】
前記ジアゾ化合物内包マイクロカプセル液(i)2.0部と、前記光重合性組成物の乳化液(ii)6.6部と、15%ゼラチン水溶液0.9部とを混合し、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径4μm)を用いて、1%可溶性ナイロン(ウルトラミド1C、BASF社製)の塩化メチレン溶液50g中に放出して、平均粒径5μmのマイクロカプセル内包乳化分散液(16)を得た。
【0308】
〔2〕マイクロカプセル内包乳化分散液(17)の調製
酢酸エチル15.1部に、下記ジアゾニウム塩化合物(最大吸収波長365nm)2.8部、フタル酸ジフェニル3 .8部、フェニル2−ベンゾイロキシ安息香酸エステル3.9部、下記化合物(1)(商品名:ライトエステルTMP,共栄油脂化学株式会社製)4.2部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−Cの70%メタノール溶液、竹本油脂株式会社製)0.1部を添加し、加熱して均一に溶解した。この混合液に、カプセル壁材として、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物とキシリレンジイソシアネート/ビスフェノールA付加物との混合物(商品名:タケネートD119N(50%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業株式会社製)2.5部と、キシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物(商品名:タケネートD110N(75%酢酸エチル溶液)、武田薬品工業株式会社製)6.8部とを添加して均一に攪拌し、混合液Eを得た。
【0309】
【化14】

【0310】
次に、フタル化ゼラチン(商品名:MGPゼラチン、ニッピコラーゲン株式会社製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所株式会社製)0.9143部、及びイオン交換水367.1部を混合して40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0311】
前記フタル化ゼラチン水溶液48.9部にイオン交換水を21.0部を添加、混合し、これに更に前記混合液Eを加えて、ホモジナイザー(日本精機製作所株式会社製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られた乳化液に水24部を加えて均一化した後、40℃下で攪拌し、酢酸エチルを除去しながら3時間カプセル化反応を行なった。その後、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ株式会社製)4.1部及びアンバーライトIRC50(オルガノ株式会社製)8.2部を加え、更に1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、固形分濃度が20.0%になるように濃度調節し、ジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液(iii)を得た。
得られたマイクロカプセルの粒径は、粒径測定(LA−700,株式会社堀場製作所製で測定)の結果、メジアン径で0.43μmであった。
【0312】
次に、酢酸エチル36.9部に、下記カプラー化合物10.2部と、トリフェニルグアニジン(保土ヶ谷化学株式会社製)14.0部と、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(商品名:ビスフェノールM、三井石油化学株式会社製)14.0部と、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン14部と、3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラ(1−プロピロキシ)−1,1’−スピロビスインダン3.5部と、下記化合物(2)3.5部と、リン酸トリクレジル1.7部と、マレイン酸ジエチル0.8部と、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(商品名:パイオニンA−41−C(70%メタノール溶液)、竹本油脂株式会社製)4.5部とを溶解し、これに更に前記有機色素(2)0.26g及び前記光ラジカル発生剤(2)1.3gを溶解し、混合液Fを得た。
【0313】
【化15】

【0314】
アルカリ処理低イオンゼラチン(商品名:#750ゼラチン、新田ゼラチン株式会社製)25.5部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液,大東化学工業所株式会社製)0.7286部、水酸化カルシウム0 .153部、及びイオン交換水143.6部を混合し、50℃にて溶解して乳化物作製用のアルカリ処理ゼラチン水溶液を得た。
前記アルカリ処理ゼラチン水溶液206.3部にイオン交換水107.3部を混合し、これに更に前記混合液Fを添加してホモジナイザー(日本精機製作所株式会社製)を用いて40℃下で乳化分散した。得られたカプラー化合物乳化物を減圧、加熱し、酢酸エチルを除去した後、固形分濃度が24.5%になるように濃度調節を行ない、光重合性組成物の乳化液(iv)を得た。
得られた光重合性組成物の乳化液(iv)の粒径は、粒径測定(LA−700、株式会社堀場製作所製で測定)の結果、メジアン径で0.22μmであった。
【0315】
そして、前記ジアゾ化合物内包マイクロカプセル液(iii)3.3部と、前記光重合性組成物の乳化液(iv)10.0部と、15%ゼラチン水溶液0.9部とを混合し、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径4μm)を用いて、1%可溶性ナイロン(ウルトラミド1C、BASF社製)の塩化メチレン溶液50g中に放出して、平均粒径5μmのマイクロカプセル内包乳化分散液(17)を得た。
【0316】
〔3〕マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(7)の調製
前記マイクロカプセル内包乳化分散液(16)20g、前記マイクロカプセル内包乳化分散液(17)20g、及び実施例(3)のマイクロカプセル内包乳化分散液(6)20gを混合し、この混合液を、SPG膜乳化装置(SPGテクノ社製、SPGフィルターキット、SPG細孔径15μm)を用いて、1%PVA217水溶液100g中に放出して、マイクロカプセル内包乳化液を作製し、これを40℃で4時間加熱攪拌して塩化メチレンを除去し、可溶性ナイロン析出させて、図1に示すように、平均粒径25μmのマイクロカプセル内包多核カプセルが水に分散されたマイクロカプセル内包多核カプセル分散液(7)を得た。
【0317】
〔4〕記録材料の作製及び画像記録
白色顔料を充填した厚み100μmの白色のポリエステルフィルム(「ルミラーE68L」、東レ株式会社製)に、前記マイクロカプセル内包多核カプセル分散液(7)を、コーティングバーを用いて塗布層の乾燥質量が30g/m2になるように塗布し、30℃で10分間乾燥させて、記録材料を作製した。
【0318】
次いで、温度24℃、湿度60%の環境下、真空焼枠装置を用いて、ステップウェッジ及びBPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(ブルー露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、ブルー未露光部では電子供与性無色染料(1)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるイエロー色の発色(反射イエロー濃度OD=1.7)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0319】
同様に、ステップウェッジ及びBPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(グリーン露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(レッド露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、グリーン未露光部では電子供与性無色染料(2)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるマゼンタ色の発色(反射マゼンタ濃度OD=1.6)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【0320】
さらに同様に、ステップウェッジ及びBPB65フィルター(650nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射(レッド露光)し、潜像を形成した。さらに、BPB41フィルター(410nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(ブルー露光)し、BPB55フィルター(550nmに最大透過率を有するバンドパスフィルター)を通して500Wキセノンランプで30秒間光を全面照射(グリーン露光)し、露光後、この記録材料を125℃の熱板で15秒間加熱したところ、レッド未露光部では電子供与性無色染料(3)と電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるシアン色の発色(反射シアン濃度OD=1.8)を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。
【図面の簡単な説明】
【0321】
【図1】実施例1で作製した本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルの例を示す概略断面図である。
【図2】実施例1で多芯ノズルを用いて多核カプセル化しているところを説明するための説明図である。
【図3】実施例2で作製した本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルの例を示す概略断面図である。
【図4】実施例2で多芯ノズルを用いて多核カプセル化しているところを説明するための説明図である。
【図5】実施例4で作製した本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルの例を示す概略断面図である。
【図6】実施例5で作製した本発明のマイクロカプセル内包多核カプセルの例を示す概略断面図である。
【図7】液中硬化皮膜法により多核カプセル化する工程を示す概略工程図である。
【図8】液中硬化皮膜法により多核カプセル化する工程を示す概略工程図である。
【図9】液中硬化皮膜法により多核カプセル化する工程を示す概略工程図である。
【符号の説明】
【0322】
12,13,14,22,23,24,32,33,34,42,43,44…マイクロカプセル内包領域
12Y1,13M1,14C1…マイクロカプセル
15,25,35,45…マイクロカプセル内包多核カプセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発色成分Aを内包するマイクロカプセルと、該マイクロカプセル外に前記発色成分Aと反応して発色させる部位を有する発色成分B及び光重合性組成物とを少なくとも含むマイクロカプセル内包領域を少なくとも2種内包するマイクロカプセル内包多核カプセル。
【請求項2】
前記少なくとも2種のマイクロカプセル内包領域は、発色成分Aが発色成分Bと反応した際にそれぞれ異なる色相に発色するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル。
【請求項3】
前記光重合性組成物が、重合性基を有する重合可能な化合物と光重合開始剤とを少なくとも含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル。
【請求項4】
前記重合可能な化合物の少なくとも一種を前記発色成分Bが兼ねることを特徴とする請求項3に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル。
【請求項5】
前記重合可能な化合物の少なくとも一種が、同一分子内に前記発色成分Aと前記発色成分Bとの反応を抑制する部位を有する発色抑制化合物であることを特徴とする請求項3又は4に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル。
【請求項6】
前記重合可能な化合物がエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物であり、前記光重合開始剤が光ラジカル発生剤であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル。
【請求項7】
前記マイクロカプセルが熱応答性マイクロカプセルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル。
【請求項8】
前記マイクロカプセル内包領域がマイクロカプセルをカプセル壁で内包したマイクロカプセル内包カプセルである場合のカプセル壁、及び前記少なくとも2種のマイクロカプセル内包領域がカプセル壁で内包されたカプセルである場合のカプセル壁の少なくとも一方が、酸素バリヤ性を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル。
【請求項9】
前記マイクロカプセル内包領域は、粒子径(直径)が40μm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のマイクロカプセル内包カプセル。
【請求項10】
前記少なくとも2種のマイクロカプセル内包領域は、中心波長λ1の光に感光する第1のマイクロカプセル内包領域、中心波長λ2の光に感光し、前記第1のマイクロカプセル内包領域と異なる色相に発色する第2のマイクロカプセル内包領域、・・・、及び中心波長λiの光に感光し、前記第1、第2、・・・、及び第i−1のマイクロカプセル内包領域とそれぞれ異なる色相に発色する第iのマイクロカプセル内包領域を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル。
【請求項11】
前記マイクロカプセル内包領域は、少なくとも前記マイクロカプセルと前記光重合性組成物及び前記発色成分Bとが同一カプセルに内包されてなるマイクロカプセル内包カプセルであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のマイクロカプセル内包多核カプセルを少なくとも含むマイクロカプセル内包多核カプセル分散液。
【請求項13】
支持体上に、請求項1〜11のいずれか1項に記載のマイクロカプセル内包多核カプセルを少なくとも含む感光性層を有する感光性転写材料。
【請求項14】
発色成分Aを内包するマイクロカプセルの分散物と、発色成分B及び光重合性組成物を含む分散物とを混合した混合液を少なくとも2種調製し、調製された少なくとも2種の前記混合液を用いて、液中硬化皮膜法により多核カプセル化してマイクロカプセル内包多核カプセルを作製するマイクロカプセル内包多核カプセルの製造方法。
【請求項15】
前記多核カプセル化は、多芯ノズル、膜乳化法、マイクロチャンネル乳化法、及びマイクロ流路分岐乳化法より選択される少なくとも1種の分散方法を用いて、前記液中硬化皮膜法により行なうことを特徴とする請求項14に記載のマイクロカプセル内包多核カプセルの製造方法。
【請求項16】
発色成分Aを内包するマイクロカプセルの分散物と、発色成分B及び光重合性組成物を含む分散物とを混合した混合液を少なくとも2種調製し、調製された少なくとも2種の前記混合液を用いて、液中乾燥法及び/又は界面重合法により多核カプセル化してマイクロカプセル内包多核カプセルを作製するマイクロカプセル内包多核カプセルの製造方法。
【請求項17】
少なくとも請求項1〜11のいずれか1項に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル又は請求項12に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル分散液を含有する分散組成物を支持体上に付与し、乾燥させて感光性層を形成する工程と、
形成された感光性層を画像様に露光する工程と、
露光後の少なくとも前記感光性層を加熱により現像する工程と、
を少なくとも有する画像形成方法。
【請求項18】
請求項13に記載の感光性転写材料を受像シートに接触させ、少なくとも感光性層を転写する工程と、
転写された感光性層を画像様に露光する工程と、
露光後の少なくとも前記感光性層を加熱により現像する工程と、
を少なくとも有する画像形成方法。
【請求項19】
請求項13に記載の感光性転写材料の少なくとも感光性層を画像様に露光する工程と、
露光後の少なくとも前記感光性層を加熱により現像する工程と、
前記感光性転写材料を受像シートに接触させ、現像後の少なくとも前記感光性層を前記受像シートに転写する工程と、
を少なくとも有する画像形成方法。
【請求項20】
少なくとも請求項1〜11のいずれか1項に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル又は請求項12に記載のマイクロカプセル内包多核カプセル分散液を含有する分散組成物を仮支持体上に付与し、乾燥させて感光性層を形成する工程と、
形成された感光性層を画像様に露光する工程と、
露光後の少なくとも前記感光性層を加熱により現像する工程と、
現像後、仮支持体上の少なくとも前記感光性層を受像シートに転写する工程と、を少なくとも有する画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−98671(P2007−98671A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289201(P2005−289201)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】