説明

マイクロサテライトマーカーを用いるシバ属植物品種判別法

【課題】対照シバ属植物のゲノムDNAにおける特定のマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照シバ属植物品種に特異的な遺伝子型を指標とする被検シバ属植物の品種判別法などを提供することを課題とする。
【解決手段】ノシバの地上部、地下部ならびにカルス由来のESTから、マイクロサテライトを抽出し、それらを含むPCR断片が得られるようにプライマーを設計した。多品種のシバ属植物それぞれについて、ゲノムDNAを鋳型として、設計したプライマーペアを用いてPCRを行ない、それらのPCR産物に対して蛍光ラベル反応を行い、DNAアナライザーによる電気泳動で分離した。その結果、品種特異的なPCR断片長を検出することができ、品種特異的なPCR断片長を指標に被検シバ属植物の品種判定を行えることが判明した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロサテライトマーカーを用いるシバ属植物品種判別法に関する。
【背景技術】
【0002】
シバ属植物(Zoysia spp.)は、日本を含めた東アジアから東南アジアに自生するイネ科の多年生草種である。そのうち、ノシバ(Z. japonica)、コウライシバ/ビロードシバ(Z. tenuifolia)およびコウシュンシバ/ヒメコウライシバ(Z. matrella)は庭園、公園、競技場等に広く利用され、また放牧用飼料としても利用されている。そのため、常緑性、環境ストレス耐性あるいは病虫害抵抗性を持つ新品種育成が盛んに行なわれている。
【0003】
シバ属植物の品種・系統識別や分類には、主に形態の違いが指標とされてきた。形態観察以外の識別法として、DNAマーカーの利用が挙げられる。シバ属植物においては、制限酵素断片長多型マーカー(RFLP)やゲノム配列由来単純反復配列(マイクロサテライト)マーカーなどのDNAマーカーが開発されている。
【特許文献1】特開2005-27566
【特許文献2】特開平9-271399
【特許文献3】特開平5-184394
【非特許文献1】Ma et al. (2007) Molecular Ecology Notes, 7: 1323-1325
【非特許文献2】Cai et al. (2005) Theor. Appl. Genet., 112: 158-166
【非特許文献3】Tsuruta et al., (2005) Grassland Sci., 51: 249-257
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
芝利用の多様化に伴い、今後も新たな登録品種の増加が予想される。そのため、従来の形態的特徴による品種識別に加えて、DNAマーカーによる品種識別もまた併用することが望ましい。DNAマーカーによる品種識別としてはRFLPマーカーによる品種識別があるが、RFLPマーカーによる品種識別には大量のDNAが必要であり、操作も煩雑である点で不利である。また、DNAマーカーによる品種識別としてはマイクロサテライトマーカーによる品種識別がある。ゲノムDNA内のmRNAに転写されない領域に存在するマイクロサテライトは、そのマイクロサテライトが単離された生物と遠縁の生物には存在しない可能性があるので、そのようなマイクロサテライトをマーカーとした品種識別は汎用性に乏しい。
【0005】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、対照シバ属植物のゲノムDNAにおける特定のマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照シバ属植物品種に特異的な遺伝子型を指標とする被検シバ属植物の品種判別法、該方法に用いるための試薬やキット、該方法に使用できるオリゴヌクレオチド、該方法に使用できるオリゴヌクレオチドのセットなどを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。本発明者らは、ノシバの地上部、地下部ならびにカルス由来のEST(Expressed Sequence Tag)から、マイクロサテライトを抽出し、それらを含む90〜300bpのPCR断片が得られるようにプライマーを設計した。多品種のシバ属植物それぞれについて、ゲノムDNAを鋳型として、設計したプライマーペアを用いてPCRを行ない、それらのPCR産物に対して蛍光ラベル反応を行い、DNAアナライザー(キャピラリー式蛍光DNAシークエンサーとも呼ばれる)による電気泳動で分離した。その結果、品種特異的なPCR断片長を検出することができ、品種特異的なPCR断片長を指標に被検シバ属植物の品種判定を行えることが判明した。本発明は、この知見に基づくものであり、より詳細には、以下の〔1〕から〔10〕に記載の発明に関する。
〔1〕下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、対照シバ属植物と同一の品種であると判別される方法;
(a)対照シバ属植物のゲノムDNAにおける下記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照シバ属植物に特異的な遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(5)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(6)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(7)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(8)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(9)配列番号:17に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:18に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(10)配列番号:19に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:20に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(11)配列番号:21に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:22に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(12)配列番号:23に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:24に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、並びに、
(13)配列番号:25に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:26に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位。
〔2〕対照シバ属植物が、アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択される少なくとも1つのシバ属植物である、〔1〕に記載の方法。
〔3〕下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、対照シバ属植物と同一の品種であると判別される方法;
(a)アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかのシバ属植物のゲノムDNAにおける下記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(5)、(8)、(9)、(12)、及び、(13)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(5)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(6)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(7)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(8)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(9)配列番号:17に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:18に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(10)配列番号:19に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:20に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(11)配列番号:21に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:22に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(12)配列番号:23に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:24に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、並びに、
(13)配列番号:25に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:26に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位。
〔4〕〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の方法に用いるためのシバ属植物の品種判別用試薬。
〔5〕〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の方法に用いるためのシバ属植物の品種判別用キット。
〔6〕配列番号:1から26のいずれかに記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
〔7〕下記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも1組のセット;
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(E)配列番号:9に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:10に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(F)配列番号:11に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:12に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(G)配列番号:13に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:14に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(H)配列番号:15に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:16に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(I)配列番号:17に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:18に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(J)配列番号:19に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:20に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(K)配列番号:21に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:22に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(L)配列番号:23に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:24に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、並びに、
(M)配列番号:25に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:26に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
〔8〕〔7〕に記載のセットを含有するシバ属植物の品種判別用試薬。
〔9〕〔7〕に記載のセットを含有するシバ属植物の品種判別用キット。
〔10〕アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかのシバ属植物のゲノムDNAを鋳型とし、下記(A)から(M)からなる群より選択されるいずれかのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物;
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(E)配列番号:9に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:10に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(F)配列番号:11に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:12に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(G)配列番号:13に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:14に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(H)配列番号:15に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:16に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(I)配列番号:17に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:18に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(J)配列番号:19に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:20に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(K)配列番号:21に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:22に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(L)配列番号:23に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:24に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、並びに、
(M)配列番号:25に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:26に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって、形態が類似するシバ属植物種内において、DNAレベルでの品種の識別、品種の雑種性や遺伝的背景の同定などが可能となる。また、本発明のマイクロサテライトは、EST由来のマイクロサテライト、すなわちゲノムDNA内のmRNAに転写される領域に存在するマイクロサテライトであるので、そのマイクロサテライトが単離されたシバ属植物と遠縁のシバ属植物にも存在する可能性が高い。よって、本発明は、マイクロサテライトが単離されたシバ属植物だけでなく、該シバ属植物と類縁のシバ属植物や遠縁のシバ属植物にも応用可能である。さらに、本発明において、複数のマイクロサテライト座位の遺伝子型を品種識別の指標とする場合は、品種判別法によって得られる結果の信頼性が高くなる。
【0008】
〔発明の実施の形態〕
本発明者らは、シバ属植物のゲノムDNAにおいて、下記(1)から(13)に記載のマイクロサテライト座位を解析したところ、該マイクロサテライト座位が多型性を示すことを見出した。また、本発明者らは、該マイクロサテライト座位の遺伝子型を解析したところ、特定のシバ属植物品種に特異的な遺伝子型が存在すること、及び、該遺伝子型を指標とすることにより、被検シバ属植物の品種判別を行えることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、以下の発明を提供する。
【0009】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、対照シバ属植物と同一の品種であると判別される方法;
(a)対照シバ属植物のゲノムDNAにおける下記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照シバ属植物に特異的な遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(5)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(6)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(7)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(8)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(9)配列番号:17に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:18に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(10)配列番号:19に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:20に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(11)配列番号:21に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:22に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(12)配列番号:23に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:24に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、並びに、
(13)配列番号:25に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:26に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位。
【0010】
なお、この方法では、遺伝子型が一致しなかったときに、被検シバ属植物の品種が、対照シバ属植物と同一の品種ではないと判定される。
【0011】
本発明において、「マイクロサテライト」とは、1つまたは複数の塩基を1反復単位とする反復配列を意味する。1つまたは複数の塩基としては、1から5の塩基が例示できるが、これに制限されるものではない。本発明の「マイクロサテライト」は、「SSR(Simple Sequence Repeat)」と表現することもできる。
【0012】
本発明において、「マイクロサテライト座位」とは、染色体又は遺伝地図上におけるマイクロサテライトの位置を意味する。本発明の「マイクロサテライト座位」は、「マイクロサテライト座」と表現することもできる。
【0013】
本発明において、「遺伝子型」とは、アリルの種類(パターン)を意味する。よって、本発明の「遺伝子型」は「アリルパターン」と表現することもできる。また、本発明の「アリル」は「アレル」や「対立遺伝子」と表現することもできる。また、本発明において、「マイクロサテライト座位の遺伝子型」とは、マイクロサテライト座位におけるアリルの種類を意味する。マイクロサテライト座位におけるアリルは、当該するマイクロサテライトの反復単位の繰り返し回数の違いによって種類わけされ、PCR産物中のマイクロサテライトの長さ、すなわち分子量サイズが異なるためにその違いを検出することができる。
【0014】
本発明において、「少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型」には、1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型、及び、複数のマイクロサテライト座位それぞれの遺伝子型の組み合わせが含まれる。
【0015】
本発明における「対照シバ属植物に特異的な遺伝子型」は「対照シバ属植物品種に特異的な遺伝子型」と表現することもできる。
【0016】
本発明における対照シバ属植物は、そのシバ属植物のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、そのシバ属植物に特異的な遺伝子型が検出されるシバ属植物である。対照シバ属植物としては、ノシバ、コウライシバ(ビロードシバ、ヒメシバ、キヌシバ)、コウシュンシバ(ヒメコウライシバ)、オニシバ等のZoysia属のシバ属植物が挙げられるが、シバ属植物である限り、これらに制限されるものではない。また、対照シバ属植物としては、例えば、以下の1から36からなる群より選択される少なくとも1つのシバ属植物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下の1から36のシバ属植物と類縁のシバ属植物や遠縁のシバ属植物もまた本発明の対照シバ属植物に含まれる。
1.アケミドリ(販売元:株式会社日本草地畜産種子協会、登録番号:第7224号、育成者権者:株式会社飼料作物改良増殖技術研究所)
2.青太郎(販売元:ゾイシアンジャパン)
3.アプロード(販売元:株式会社日本草地畜産種子協会、登録番号:第7226号、育成者権者:株式会社飼料作物改良増殖技術研究所)
4.朝駆(販売元:宮崎芝園、登録番号:第10487号、育成者権者:独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構)
5.朝萌(販売元:宮崎芝園、登録番号:第11724号、育成者権者:独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構)
6.バーニングラブ(販売元:株式会社住友林業、登録番号:第14694号、育成者権者:国立大学法人千葉大学)
7.ちばフェアグリーン(販売元:有限会社千葉グリーン技研、登録番号:第13775号、育成者権者:千葉県)
8.チバラフワン(販売元:有限会社千葉グリーン技研、登録番号:第11260号、育成者権者:千葉県)
9.コプロス(販売元:海水化学工業、登録番号:第10638号、育成者権者:海水化学工業株式会社)
10.デアンザ(販売元:株式会社ニチノー緑化、登録番号:第9132号、育成者権者:ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ カリフォルニア)
11.エルトロ(販売元:ニチノー緑化)
12.エメラルド(研究用途に限り千葉県農業総合研究センターより入手可能)
13.エクイターフ(販売元:株式会社芝良、登録番号:第13772号、育成者権者:日本中央競馬会)
14.フラッツ(販売元:海水化学工業、登録番号:第13648号、育成者権者:海水化学工業株式会社)
15.フジコンパクト(販売元:フジコンパクト生産販売部会(事務局JA南駿北部営農センター)、登録番号:第9210号、育成者権者:静岡県)
16.はるか(販売元:ジェイツー、登録番号:第5868号、育成者権者:株式会社ジャパン・ターフグラス)
17.はやと(販売元:ジェイツー、登録番号:第5869号、育成者権者:株式会社ジャパン・ターフグラス)
18.ヒメノ(販売元:ゾイシアンジャパン、登録番号:第9209号、育成者権者:ゾイシアンジャパン株式会社)
19.イナヒカリ(販売元:株式会社日本草地畜産種子協会、登録番号:第7225号、育成者権者:株式会社飼料作物改良増殖技術研究所)
20.クサセンリ(配布元:九州東海大学より研究機関に配布可能、登録番号:第10255号、育成者権者:学校法人東海大学)

21.メイヤー(販売元:研究用途に限り千葉県農業総合研究センターより入手可能)
22.みやこ(販売元:ジェイツー、登録番号:第4300号、育成者権者:株式会社ジャパン・ターフグラス)
23.オアシスグリーン(販売元:株式会社住友林業、登録番号:第14692号、育成者権者:国立大学法人千葉大学)
24.ロンパーフィールド(販売元:株式会社住友林業、登録番号:第14695号、育成者権者:国立大学法人千葉大学)
25.緑光(販売元:伊藤園、登録番号:第11964号、育成者権者:株式会社伊藤園)
26.相良姫(販売元:伊藤園、登録番号:第11963号、育成者権者:株式会社伊藤園)
27.スクラム(販売元:海水化学工業、登録番号:第13647号、育成者権者:海水化学工業株式会社)
28.シャムロン(配布元:九州東海大学より研究機関に配布可能、登録番号:第10254号、育成者権者:学校法人東海大学)
29.シルキーフィールド(販売元:株式会社住友林業、登録番号:第14693号、育成者権者:国立大学法人千葉大学)
30.草剣(販売元:研究用途に限り日本中央競馬会より入手可能、登録番号:第13773号、育成者権者:日本中央競馬会)
31.たねぞう(販売元:株式会社日本草地畜産種子協会、登録番号:第16032号、育成者権者:社団法人日本草地畜産種子協会)
32.ティーエムナイン(販売元:トヨタ自動車、登録番号:第14320号、育成者権者:トヨタ自動車株式会社)
33.つくば輝(販売元:研究用途に限り茨城県農業総合研究センターより入手可能、登録番号:第14789号、育成者権者:茨城県)
34.つくば太郎(販売元:研究用途に限り茨城県農業総合研究センターより入手可能、登録番号:第14790号、育成者権者:茨城県)
35.ビクトール(販売元:ニチノー緑化、登録番号:第9131号、育成者権者:ザリージェンツオブザユニバーシティー オブ カリフォルニア)
36.ヤエヤマ(配布元:九州東海大学より研究機関に配布可能、登録番号:第10080号、育成者権者:学校法人東海大学)
【0017】
なお、「登録番号」及び「育成者権者」とは、日本国の品種登録制度における登録番号及び育成者権者を意味する。
【0018】
本発明において、被検シバ属植物としては、シバ属植物の特徴を有する植物、シバ属植物の可能性がある植物、遺伝的にシバ属に近縁な植物種等が例示できるが、これらに制限されない。
【0019】
またシバ属植物の特徴としては、匍匐茎があり地を這うように広がる、が例示できるが、これらに限定されない。
【0020】
また、本発明における「品種」は、品種登録制度がある国においては「品種又は育成系統」と表現することもできる。「品種又は育成系統」における「品種」は品種登録制度における登録品種を意味し、「品種又は育成系統」における「育成系統」は品種登録制度における未登録品種(例えば、品種として確立される前の育成段階のもの、広く流通している系統などが例示できる)を意味する。
【0021】
本発明における「判別」は、「識別」、「同定」、「特定」、「鑑定」、又は「判定」と表現することもできる。
【0022】
本発明の具体的な態様としては、以下の発明が例示できるが、これらに限定されるものではなく、本発明には実施例の結果に基づき特定可能な全ての発明が含まれる。
【0023】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、青太郎と同一の品種であると判別される方法;
(a)青太郎のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(5)又は(8)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0024】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、バーニングラブと同一の品種であると判別される方法;
(a)バーニングラブのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(5)又は(8)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0025】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、デアンザと同一の品種であると判別される方法;
(a)デアンザのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0026】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、はやとと同一の品種であると判別される方法;
(a)はやとのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(12)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0027】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、ヒメノと同一の品種であると判別される方法;
(a)ヒメノのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(7)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0028】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、クサセンリと同一の品種であると判別される方法;
(a)クサセンリのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(7)又は(13)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0029】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、メイヤーと同一の品種であると判別される方法;
(a)メイヤーのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(6)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0030】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、ロンパーフィールドと同一の品種であると判別される方法;
(a)ロンパーフィールドのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(11)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0031】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、緑光と同一の品種であると判別される方法;
(a)緑光のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(5)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0032】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、相良姫と同一の品種であると判別される方法;
(a)相良姫のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(9)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0033】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、シャムロンと同一の品種であると判別される方法;
(a)シャムロンのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(5)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0034】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、朝萌と同一の品種であると判別される方法;
(a)朝萌のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(10)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0035】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、アケミドリと同一の品種であると判別される方法;
(a)アケミドリのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(5)及び(12)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0036】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、アプロードと同一の品種であると判別される方法;
(a)アプロードのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(2)、(4)、(5)、(6)、(9)又は(12)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(13)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0037】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、朝駆と同一の品種であると判別される方法;
(a)朝駆のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(3)、(9)又は(12)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(5)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0038】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、ちばフェアグリーンと同一の品種であると判別される方法;
(a)ちばフェアグリーンのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(8)又は(9)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(5)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0039】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、コプロスと同一の品種であると判別される方法;
(a)コプロスのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(5)及び(13)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0040】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、エメラルドと同一の品種であると判別される方法;
(a)エメラルドのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(8)又は(12)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(5)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0041】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、エクイターフと同一の品種であると判別される方法;
(a)エクイターフのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(6)又は(9)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(8)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0042】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、フラッツと同一の品種であると判別される方法;
(a)フラッツのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(9)又は(13)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(4)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0043】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、はるかと同一の品種であると判別される方法;
(a)はるかのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(8)及び(12)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0044】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、イナヒカリと同一の品種であると判別される方法;
(a)イナヒカリのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)、(2)、(4)、(6)、(8)、(10)又は(12)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(9)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0045】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、スクラムと同一の品種であると判別される方法;
(a)スクラムのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)又は(13)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(4)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0046】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、シルキーフィールドと同一の品種であると判別される方法;
(a)シルキーフィールドのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)、(2)、(4)、(6)、(8)、(10)又は(12)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(9)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0047】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、草剣と同一の品種であると判別される方法;
(a)草剣のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(8)又は(12)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(5)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0048】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、たねぞうと同一の品種であると判別される方法;
(a)たねぞうのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)、(5)又は(8)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(12)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0049】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、ティーエムナインと同一の品種であると判別される方法;
(a)ティーエムナインのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)、(8)又は(13)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(6)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0050】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、つくば輝と同一の品種であると判別される方法;
(a)つくば輝のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)、(8)又は(13)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(6)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0051】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、つくば太郎と同一の品種であると判別される方法;
(a)つくば太郎のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)、(5)又は(8)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(12)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0052】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、チバラフワンと同一の品種であると判別される方法;
(a)チバラフワンのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)、(2)及び(12)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0053】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、エルトロと同一の品種であると判別される方法;
(a)エルトロのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)又は(3)に記載のマイクロサテライト座位、上記(6)又は(13)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(5)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0054】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、フジコンパクトと同一の品種であると判別される方法;
(a)フジコンパクトのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(5)又は(8)に記載のマイクロサテライト座位、(1)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(12)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0055】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、みやこと同一の品種であると判別される方法;
(a)みやこのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)、(2)、(4)、(12)又は(13)に記載のマイクロサテライト座位、(5)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(9)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0056】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、オアシスグリーンと同一の品種であると判別される方法;
(a)オアシスグリーンのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(2)、(8)又は(12)に記載のマイクロサテライト座位、(5)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(13)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型
【0057】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、ビクトールと同一の品種であると判別される方法;
(a)ビクトールのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(4)、(5)、(6)、(9)又は(13)に記載のマイクロサテライト座位、(8)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(12)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0058】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、ヤエヤマと同一の品種であると判別される方法;
(a)ヤエヤマのゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)又は(3)に記載のマイクロサテライト座位、上記(6)又は(13)に記載のマイクロサテライト座位、及び、(5)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0059】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、下記(a)で選択されるシバ属植物と同一の品種であると判別される方法に関する。この方法には、被検シバ属植物の品種が、下記36品種のいずれかであるのか、又は、それ以外であるのかを判別する方法も含まれる。
(a)アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかのシバ属植物のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(5)、(8)、(9)、(12)、及び、(13)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0060】
また、本発明は、下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、下記(a)で選択されるシバ属植物と同一の品種であると判別される方法に関する。この方法には、被検シバ属植物の品種が、下記36品種のいずれかであるのか、又は、それ以外であるのかを判別する方法も含まれる。
(a)アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかのシバ属植物のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(1)から(7)、(10)、(11)及び(13)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0061】
また、本発明は、下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、下記(a)で選択されるシバ属植物と同一の品種であると判別される方法に関する。この方法には、被検シバ属植物の品種が、下記36品種のいずれかであるのか、又は、それ以外であるのかを判別する方法も含まれる。
(a)アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかのシバ属植物のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される全てのマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0062】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として例示した上記発明も以下の形式で表現することができる。
【0063】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む、下記(b)に記載の遺伝子型が下記(a)に記載の遺伝子型と一致するか否かを判定する方法;
(a)対照シバ属植物のゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照シバ属植物に特異的な遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。遺伝子型同士が一致すると判定された場合、対照シバ属植物の品種が被検シバ属植物の品種の候補であると判断される。
【0064】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として例示した上記発明も以下の形式で表現することができる。
【0065】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、対照シバ属植物と同一の品種であると判別される方法;
(a)対照シバ属植物のゲノムDNAにおける下記(14)から(26)からなる群より選択される少なくとも1つの領域の遺伝子型であって、対照シバ属植物に特異的な遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ領域の遺伝子型、
(14)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(15)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(16)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(17)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(18)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(19)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(20)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(21)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(22)配列番号:17に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:18に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(23)配列番号:19に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:20に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(24)配列番号:21に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:22に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(25)配列番号:23に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:24に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、並びに、
(26)配列番号:25に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:26に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域。
【0066】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として例示した上記発明も以下の形式で表現することができる。
【0067】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、対照シバ属植物と同一の品種であると判別される方法;
(a)下記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも1つのセットをプライマーセットとするPCRの増幅対象となる対照シバ属植物のゲノムDNAにおける領域の遺伝子型であって、対照シバ属植物に特異的な遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ領域の遺伝子型、
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(E)配列番号:9に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:10に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(F)配列番号:11に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:12に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(G)配列番号:13に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:14に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(H)配列番号:15に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:16に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(I)配列番号:17に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:18に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(J)配列番号:19に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:20に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(K)配列番号:21に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:22に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(L)配列番号:23に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:24に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、並びに、
(M)配列番号:25に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:26に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
【0068】
本発明において「含む」という文言の代わりに、「からなる」という文言を使用できる。
【0069】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として例示した上記発明も以下の形式で表現することができる。
【0070】
下記(a)に記載のPCR産物の種類、及び、下記(b)に記載のPCR産物の種類を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較したPCR産物の種類が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、対照シバ属植物と同一の品種であると判別される方法;
(a)対照シバ属植物のゲノムDNAを鋳型とし、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも1つのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物の種類であって、対照シバ属植物に特異的なPCR産物の種類、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAを鋳型とし、(a)と同じセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物の種類。
【0071】
本発明において、「PCR産物の種類」とは、分子サイズによって分類されたPCR産物の種類(パターン)を意味し、「PCR産物の種類」は「PCRパターン」と表現することができる。「PCR産物の種類(PCRパターン)」は「遺伝子型(アレルパターン)」に相当する。
【0072】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として例示した上記発明も以下の形式で表現することができる。
【0073】
下記(a)に記載のPCR産物、及び、下記(b)に記載のPCR産物の同一性を決定する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程においてPCR産物が同一であったときに、被検シバ属植物の品種が、対照シバ属植物と同一の品種であると判別される方法;
(a)対照シバ属植物のゲノムDNAを鋳型とし、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも1つのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物であって、対照シバ属植物に特異的なPCR産物、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAを鋳型とし、(a)と同じセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物。
【0074】
以下に本発明の方法を例示するが、これに限定されるものではない。
本発明においては、まず、多品種のシバ属植物それぞれについて、ゲノムDNAにおける上記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型を検出する。次いで、多品種のシバ属植物うち特定又は1つの品種のシバ属植物に特異的な遺伝子型(以下、遺伝子型Xと称する)、及び、該遺伝子型Xを示すマイクロサテライト座位(以下、マイクロサテライト座位Yと称する)を同定する。また、該特定又は1つの品種のシバ属植物を対照シバ属植物とする。次いで、被検シバ属植物のゲノムDNAにおいて、マイクロサテライト座位Yと同じ座位の遺伝子型(以下、遺伝子型Zと称する)を同定する。次いで、遺伝子型X、及び、遺伝子型Zを比較する。比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、対照シバ属植物と同一の品種であると判別される。
【0075】
具体的には、まず、上記(1)から(13)からなる群より選択されるいずれかのマイクロサテライト座位におけるDNA領域をPCRにより増幅するためのプライマーを設計する。プライマーを設計する際には、プライマーの長さが20bp前後、Tm値が55〜60℃程度になることが好ましいが、これに制限されるものではない。プライマーはPrimer3 (Rozen and Skaletsky, 2000, In: Krawets and Misener (eds.) Bioinfomatics Methods and Protocols: Methods in Molecular Biology, Totowa, NJ, USA: Humana Press, 365-386)によって設計できる。上記(1)から(13)からなる群より選択されるいずれかのマイクロサテライト座位におけるDNA領域としては、上記(A)から(M)からなる群より選択されるいずれかのセットをプライマーセットとするPCRの増幅対象となるシバ属植物のゲノムDNAにおける領域である。
【0076】
次いで、設計したプライマーを合成する。プライマーは、その塩基配列情報に従って化学的に合成することができる。任意の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成する方法が公知である。たとえば、オリゴヌクレオチドは、DNA合成装置(DNA synthesizer)によって合成することができる。具体的には、現在、ホスホロアミダイト法やホスホン酸エステル法などの原理に基づく、DNA合成装置が実用化されている。これらのDNA合成装置は、与えられた塩基配列にしたがって、固相上に、ヌクレオチドモノマーをひとつずつ化学的に連結する。全ての反応工程は自動化されていて、目的とする塩基配列情報を入力することで合成が開始される。したがって、このようなDNA合成装置に対して、設計したプライマーの塩基配列を与えることによって、目的とするDNAを合成することができる。
【0077】
次いで、多品種からなる対照シバ属植物それぞれについて、ゲノムDNAを鋳型とし、合成したプライマーセットを用いてPCRを行う。本発明においては、好ましくは、まず対照シバ属植物のゲノムDNAの調製(ゲノムDNAの抽出)を行う。ゲノムDNAの調製は、例えば、対照シバ属植物の葉、根、種子、カルス、葉鞘、培養細胞等を用いて行うことができるが、これらに特に限定されない。これらの植物体もしくは植物細胞からのゲノムDNAの抽出は、当業者においては一般的に公知の方法、例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)法(Murray and Thompson, Nucleic Acids Research 8, p.4321−4325, 1980)等によって行うことができる。また、DNeasy(登録商標) Plant Mini Kit(QIAGEN)等を利用してゲノムDNAを抽出することができる。また、ゲノムDNAの抽出処理を行わず、例えば、直接細胞破砕液等を用いてPCRを実施することも可能である。
【0078】
PCR法としては、例えば、タッチダウンPCR法(Sato et al. 2005, DNA Res. 12, 301-364)が挙げられるが、これに限定されるものではなく、当業者においては、その反応条件等について実験または経験によって最適な条件を適宜選択して実施することが可能である。
【0079】
通常、PCRは、反応液および耐熱性ポリメラーゼを含む市販の試薬キット(rTaq, ExTaq, Takara; BIOTAQ, BIOLINEなど) 、および市販のPCR装置(GeneAmp(登録商標) PCR System 9700, ABIなど)等を利用して、簡便に実施することができる。
【0080】
次いで、PCRによって増幅されたPCR産物の分子サイズを測定する。PCRによって増幅されたPCR産物の分子サイズの測定方法としては、当業者に周知の方法が挙げられる。ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いる方法、アガロースゲル電気泳動を用いる方法、フラグメントアナライザーを用いる方法、マイクロチップ電気泳動装置(Multina, 島津)が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
具体的には、PCR産物を蛍光ラベルした後にキャピラリー電気泳動で分離し、分離された各々のPCR産物の分子サイズを測定する。あるいは、PCR産物を(ポリアクリルアミドゲル/アガロースゲルで)電気泳動で分離し、分離された各々のPCR産物の分子サイズを測定する。通常、予めサイズが既知のDNA断片(例えば、サイズマーカー)を対照として、分離された各々のPCR産物の分子サイズ(例えば、分子量や長さ)を測定する。次いで、分子サイズによってPCR産物を分類し、PCR産物の種類を特定する。特定されたPCR産物の種類は、マイクロサテライト座位の遺伝子型に相当する。
【0082】
次いで、多品種からなる対照シバ属植物のうち特定又は1つの対照シバ属植物に特異的な遺伝子型を示すマイクロサテライト座位を同定する。
【0083】
次いで、被検シバ属植物のゲノムDNAにおいて、多品種からなる対照シバ属植物のうち特定又は1つの対照シバ属植物に特異的な遺伝子型を示すマイクロサテライト座位と同じ座位の遺伝子型(以下、「被検シバ属植物における遺伝子型」と称する)を同定する。被検シバ属植物における遺伝子型の同定は、対照シバ属植物と同一の実験方法及び実験条件で行われることが好ましい。次いで、例えばBioNumerics (販売元:インフォコム、作製者:Applied Maths社)によって、対照シバ属植物に特異的な遺伝子型と被検シバ属植物における遺伝子型を比較する。
【0084】
本発明において、アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかの対照シバ属植物に特異的な遺伝子型としては、本実施例に記載された遺伝子型が例示できるが、これに限定されない。例えば、これら対照シバ属植物に特異的な遺伝子型としては、本実施例と異なるPCR条件によって増幅されたPCR産物を本実施例と同じ分離方法及び分離条件で分離したときに検出されるPCR産物の種類に相当する遺伝子型でもよいし、本実施例と同じPCR条件又は異なるPCR条件によって増幅されたPCR産物を本実施例と異なる分離方法及び分離条件で分離したときに検出されるPCR産物の種類に相当する遺伝子型でもよい。
【0085】
また、本発明は、本発明の方法に用いるためのシバ属植物の品種判別用試薬やシバ属植物の品種判別用キットを提供する。このような試薬やキットには、少なくとも次の構成要素i)が含まれる。
i)上記(1)から(13)からなる群より選択されるいずれかのマイクロサテライト座位におけるDNA領域をPCRにより増幅するためのオリゴヌクレオチドのセット
【0086】
上記キットには、前記構成要素i)に加え、次のような付加的な要素を含むことができる。
ii)DNAポリメラーゼ:本発明のキットは、鋳型依存性の相補鎖合成反応を触媒するDNAポリメラーゼを含むことができる。PCRなどの公知の核酸合成反応に利用されている種々のDNAポリメラーゼは、本発明に利用することができる。
iii)ヌクレオチド基質:本発明のキットは、核酸の相補鎖合成反応の基質として利用されるヌクレオチド類を含むことができる。具体的には、dCTP、dGTP、dTPT、およびdATPの少なくとも一つ、通常はこれらの全て(dNTP)をキットに含むことができる。これらのヌクレオチド類は、天然の構造のみならず、誘導体を利用することもできる。蛍光物資や結合性リガンドで修飾したヌクレオチド類が公知である。上記キットには、PCRにより増幅されたPCR産物のサイズが記載された書類を添付することができる。また、PCRにより増幅されたPCR産物のサイズ情報を機械読み取り可能なデータとし、それを格納した記録媒体としてキットに加えることもできる。
【0087】
本発明は、配列番号:1から26のいずれかに記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する。本発明は、さらに、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも1組のセットを提供する。このようなセットは、上記(1)から(13)からなる群より選択されるいずれかのマイクロサテライト座位におけるDNA領域をPCRにより増幅するためのオリゴヌクレオチドのセットの一例である。
【0088】
例えば、被検シバ属植物の品種が、青太郎と同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(E)又は(H)に記載のセットが例示できる。
【0089】
被検シバ属植物の品種が、バーニングラブと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(E)又は(H)に記載のセットが例示できる。
【0090】
被検シバ属植物の品種が、デアンザと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)に記載のセットが例示できる。
【0091】
被検シバ属植物の品種が、はやとと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(L)に記載のセットが例示できる。
【0092】
被検シバ属植物の品種が、ヒメノと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(G)に記載のセットが例示できる。
【0093】
被検シバ属植物の品種が、クサセンリと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(G)又は(M)に記載のセットが例示できる。
【0094】
被検シバ属植物の品種が、メイヤーと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(F)に記載のセットが例示できる。
【0095】
被検シバ属植物の品種が、ロンパーフィールドと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(K)に記載のセットが例示できる。
【0096】
被検シバ属植物の品種が、緑光と同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(E)に記載のセットが例示できる。
【0097】
被検シバ属植物の品種が、相良姫と同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(I)に記載のセットが例示できる。
【0098】
被検シバ属植物の品種が、シャムロンと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(E)に記載のセットが例示できる。
【0099】
被検シバ属植物の品種が、朝萌と同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(J)に記載のセットが例示できる。
【0100】
被検シバ属植物の品種が、アケミドリと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(E)及び(L)に記載のセットが例示できる。
【0101】
被検シバ属植物の品種が、アプロードと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(B)、(D)、(E)、(F)、(I)又は(L)に記載のセット、及び、(M)に記載のセットが例示できる。
【0102】
被検シバ属植物の品種が、朝駆と同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(C)、(I)又は(L)に記載のセット、及び、(E)に記載のセットが例示できる。
【0103】
被検シバ属植物の品種が、ちばフェアグリーンと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(H)又は(I)に記載のセット、及び、(E)に記載のセットが例示できる。
【0104】
被検シバ属植物の品種が、コプロスと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(E)及び(M)に記載のセットが例示できる。
【0105】
被検シバ属植物の品種が、エメラルドと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(H)又は(L)に記載のセット、及び、(E)に記載のセットが例示できる。
【0106】
被検シバ属植物の品種が、エクイターフと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(F)又は(I)に記載のセット、及び、(H)に記載のセットが例示できる。
【0107】
被検シバ属植物の品種が、フラッツと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(I)及び(M)からなる群より選択されるいずれか、並びに、(D)に記載のセットが例示できる。
【0108】
被検シバ属植物の品種が、はるかと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(H)及び(L)に記載のセットが例示できる。
【0109】
被検シバ属植物の品種が、イナヒカリと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)、(B)、(D)、(F)、(H)、(J)又は(L)に記載のセット、及び、(I)に記載のセットが例示できる。
【0110】
被検シバ属植物の品種が、スクラムと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)又は(M)に記載のセット、及び、(D)に記載のセットが例示できる。
【0111】
被検シバ属植物の品種が、シルキーフィールドと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)、(B)、(D)、(F)、(H)、(J)又は(L)に記載のセット、及び、(I)に記載のセットが例示できる。
【0112】
被検シバ属植物の品種が、草剣と同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(H)又は(L)に記載のセット、及び、(E)に記載のセットが例示できる。
【0113】
被検シバ属植物の品種が、たねぞうと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)、(E)又は(H)に記載のセット、及び、(L)に記載のセットが例示できる。
【0114】
被検シバ属植物の品種が、ティーエムナインと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)、(H)又は(M)に記載のセット、及び、(F)に記載のセットが例示できる。
【0115】
被検シバ属植物の品種が、つくば輝と同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)、(H)又は(M)に記載のセット、及び、(F)に記載のセットが例示できる。
【0116】
被検シバ属植物の品種が、つくば太郎と同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)、(E)又は(H)に記載のセット、及び、(L)に記載のセットが例示できる。
【0117】
被検シバ属植物の品種が、チバラフワンと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)、(B)及び(L)に記載のセットが例示できる。
【0118】
被検シバ属植物の品種が、エルトロと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)又は(C)に記載のセット、上記(F)及び(M)に記載のセット、及び、(E)に記載のセットが例示できる。
【0119】
被検シバ属植物の品種が、フジコンパクトと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(E)又は(H)に記載のセット、(A)に記載のセット、及び、(L)に記載のセットが例示できる。
【0120】
被検シバ属植物の品種が、みやこと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)、(B)、(D)、(L)又は(M)に記載のセット、(E)に記載のセット、及び、(I)に記載のセットが例示できる。
【0121】
被検シバ属植物の品種が、オアシスグリーンと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(B)、(H)又は(L)に記載のセット、(E)に記載のセット、及び、(M)に記載のセットが例示できる。
【0122】
被検シバ属植物の品種が、ビクトールと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(D)、(E)、(F)、(I)又は(M)に記載のセット、(H)に記載のセット、及び、(L)に記載のセットが例示できる。
【0123】
被検シバ属植物の品種が、ヤエヤマと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)又は(C)に記載のセット、上記(F)又は(M)に記載のセット、及び、(E)に記載のセットが例示できる。
【0124】
被検シバ属植物の品種が、アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかのシバ属植物と同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(E)、(H)、(I)、(L)、及び、(M)に記載のセットが例示できる。
【0125】
被検シバ属植物の品種が、アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかのシバ属植物と同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも(A)から(G)、(J)、(K)及び(M)に記載のセットが例示できる。
【0126】
被検シバ属植物の品種が、アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかのシバ属植物と同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(M)からなる群より選択される全てに記載のセットが例示できる。
【0127】
さらに、本発明は、アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかのシバ属植物のゲノムDNAを鋳型とし、上記(A)から(M)からなる群より選択されるいずれかのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物を提供する。該PCR産物の製造方法や利用方法は上述の通りである。
なお、本明細書において引用されたすべての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
【実施例】
【0128】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
本発明者らは、ノシバの地上部、地下部ならびにカルス由来のESTから、マイクロサテライトを抽出し、それらを含む90〜300bpのPCR断片が得られるようにプライマーを設計した。DNeasy(登録商標) Plant Mini Kit (QIAGEN)を用いて抽出したシバ属植物のゲノムDNAを鋳型として、設計したプライマーペアを用いてPCRを行なった。それらのPCR産物に対して蛍光ラベル反応を行い、DNAアナライザーで、品種特異的なPCR断片長を検出することにより品種判定を行なった。以下に主な実施例を記述する。
【0129】
1-1)反応液組成
1-1-1)384穴プレートでPCRを行なう場合の1検体あたりの反応液組成
鋳型DNA (~0.25 ng/μl) 2 μl
10xPCR緩衝液 [160 mM (NH4) 2SO4、67 mM Tris-HCl (pH8.8)、0.1% Tween20] 0.5 μl
2.5 mM each dNTP 0.4 μl
50 mM MgCl2 0.6 μl
25 μM each プライマー混合液 0.08 μl
耐熱性DNAポリメラーゼ (5 unit/μl、BIOTAQTM、BIOLINE社) 0.008 μl
水 1.412 μl
全量 5 μl
【0130】
1-1-2)96穴プレートでPCRを行なう場合の1検体あたりの反応液組成
鋳型DNA (~0.25 ng/μl) 4 μl
10xPCR緩衝液 [160 mM (NH4) 2SO4、67 mM Tris-HCl (pH8.8)、0.1% Tween20] 1 μl
2.5 mM each dNTP 0.8 μl
50 mM MgCl2 1.2 μl
25 μM each プライマー混合液 0.16 μl
耐熱性DNAポリメラーゼ (5 unit/μl、BIOTAQTM、BIOLINE社) 0.016 μl
水 2.824 μl
全量 10 μl
【0131】
1-2)PCR条件
Biometra社製あるいはABI社製のサーマルサイクラーを用いて、以下のプログラムでPCRを行なった。
94℃ 3分
[94℃ 30秒、 68℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 66℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 64℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 62℃ 30秒、72℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 60℃ 30秒、72℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 58℃ 30秒、72℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 55℃ 30秒、72℃ 30秒] 30サイクル
72℃ 10分
【0132】
1-3)蛍光ラベリング
タッチダウンPCR 法によるPCR後、増幅断片の蛍光ラベル反応を行なった。1μl PCR産物に対して5μlラベリングミックス*を添加し、37℃ 5分、57℃ 15分インキュベートした。エタノール沈殿を行い、70%エタノールでリンスし、脱気乾燥させた後、ホルムアミドマーカー液(ホルムアミド 5μl、サイズマーカー 0.025 μl)で溶解した。
*ラベリングミックス
Klenow fragment (8 unit/μl) 0.02 μl
ThermoSequenase (32 unit/μl) 0.005 μl
10 μM R6G-ddCTP (or R110-ddUTP, etc.) 0.004 μl
10x Klenow緩衝液 [120 mM Tris-HCl (pH8.3)、120 mM MgCl2] 0.5 μl
水 4.471 μl
全量 5μl
【0133】
1-4) フラグメント解析
蛍光ラベリングしたPCR増幅断片をABI3730 DNAアナライザーで泳動を行った。泳動後、GeneMapper ver.4.0でフラグメント解析を行った。
【0134】
1-5)結果
表1に示したプライマーペアを用いて、表2に示した日本のシバ属植物登録品種32品種を含めた36品種・系統の判別を行なった。表3にはフラグメントアナライザーで解析したPCR産物のサイズを、表4にはそれらのアリルをアルファベットで記号化した結果を示す。表3及び表4が示すように、これらのプライマーペアにおける供試36品種・系統間での推定対立遺伝子数は2〜6であった。また、表3及び表4が示すように、供試36品種・系統間で多型が認められ、これら全てのプライマーペアを組み合わせることにより供試した36品種・系統の識別が可能となった。
【0135】
【表1】

シバ属植物品種判別マーカーのプライマー配列
【0136】
【表2】

シバ属植物の判別対象品種
【0137】
【表3】

PCR産物のサイズ
【0138】
【表4】

アリルパターン
(サイズの小さいものからA, B…と表示した)
【0139】
1-6)考察
表2に示した36品種の識別マーカーは表4の結果より以下の組み合わせであることが判明した。
36品種全てを識別可能な最小マーカー数は5マーカー(ZOS0241, ZOS0506, ZOS1300, ZOS0644, ZOS2449)である。また、表2に示した品種群の中で、1品種を識別可能な最小マーカー数は1である。ZOS0078によって「デアンザ」を、ZOS0241によって「青太郎」、「シャムロン」、「バーニングラブ」ならびに「緑光」を、ZOS0347によって「メイヤー」を、ZOS0481によって「クサセンリ」ならびに「ヒメノ」を、ZOS0506によって「青太郎」ならびに「バーニングラブ」を、ZOS0644によって「相良姫」を、ZOS1300によって「はやと」を、ZOS2449によって「クサセンリ」をそれぞれ識別することが出来る。
【0140】
ZOS0227とZOS0078(あるいはZOS2449)によって「スクラム」、ZOS0227とZOS0644(あるいはZOS2449)によって「フラッツ」、ZOS0241とZOS0222(あるいはZOS0644、ZOS1300)によって「朝駆」、ZOS0241とZOS0506(あるいはZOS0644)によって「ちばフェアグリーン」、ZOS0241とZOS0506(あるいはZOS1300)によって「エメラルド」ならびに「草剣」、ZOS0241とZOS1300によって「アケミドリ」、ZOS0241とZOS2449によって「コプロス」、ZOS0347とZOS0078(あるいはZOS0506、ZOS2449)によって「ティーエムナイン」、「つくば輝」、ZOS0506とZOS0347(あるいはZOS0644)によって「エクイターフ」、ZOS0506とZOS1300によって「はるか」、ZOS0644とZOS0078(あるいはZOS0203、ZOS0227、ZOS0347、ZOS0506、ZOS0685、ZOS1300)によって「イナヒカリ」ならびに「シルキーフィールド」、ZOS1300とZOS0078(あるいはZOS0241、ZOS0506)によって「たねぞう」ならびに「つくば太郎」、ZOS2449とZOS0203(あるいはZOS0227、ZOS0241、ZOS0347、ZOS0644、ZOS1300)によって「アプロード」をそれぞれ識別することができる。また、ZOS0078とZOS0203とZOS1300によって「チバラフワン」、ZOS0078とZOS1300とZOS0241(あるいはZOS0506)によって「フジコンパクト」、ZOS0241とZOS0078(あるいはZOS0222)とZOS0347(あるいはZOS2449)によって「エルトロ」ならびに「ヤエヤマ」、ZOS0241とZOS0644とZOS0078(あるいはZOS0203、ZOS0227、ZOS1300、ZOS2449)によって「みやこ」、ZOS0241とZOS2449とZOS0203(あるいはZOS0506、ZOS1300)によって「オアシスグリーン」、ZOS0506とZOS1300とZOS0227(あるいはZOS0241、ZOS0347、ZOS0347、ZOS0644、ZOS2449)によって「ビクトール」をそれぞれ識別することができる。
【0141】
また、2つのマーカーの組み合わせで識別できる品種は17品種で、3つのマーカーの組み合わせで識別できる品種は7品種である。
【0142】
また、最もアリル数の多いマーカーはZOS0241であり(6アリル)、最もアリルが少ないマーカーはZOS 0203、ZOS0222、ZOS0227、ZOS0685及びZOS1203である(2アリル)。
【0143】
さらに、「ちばフェアグリーン」と「ヤエヤマ」は、少なくともZOS0241で識別が可能である。それ以外の品種は2つ以上のマーカーで識別が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、対照シバ属植物と同一の品種であると判別される方法;
(a)対照シバ属植物のゲノムDNAにおける下記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照シバ属植物に特異的な遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(5)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(6)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(7)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(8)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(9)配列番号:17に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:18に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(10)配列番号:19に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:20に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(11)配列番号:21に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:22に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(12)配列番号:23に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:24に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、並びに、
(13)配列番号:25に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:26に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位。
【請求項2】
対照シバ属植物が、アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択される少なくとも1つのシバ属植物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検シバ属植物の品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検シバ属植物の品種が、対照シバ属植物と同一の品種であると判別される方法;
(a)アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかのシバ属植物のゲノムDNAにおける下記(1)から(13)からなる群より選択される少なくとも(5)、(8)、(9)、(12)、及び、(13)に記載のマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検シバ属植物のゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(5)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(6)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(7)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(8)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(9)配列番号:17に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:18に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(10)配列番号:19に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:20に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(11)配列番号:21に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:22に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(12)配列番号:23に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:24に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、並びに、
(13)配列番号:25に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:26に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の方法に用いるためのシバ属植物の品種判別用試薬。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の方法に用いるためのシバ属植物の品種判別用キット。
【請求項6】
配列番号:1から26のいずれかに記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
下記(A)から(M)からなる群より選択される少なくとも1組のセット;
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(E)配列番号:9に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:10に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(F)配列番号:11に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:12に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(G)配列番号:13に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:14に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(H)配列番号:15に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:16に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(I)配列番号:17に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:18に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(J)配列番号:19に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:20に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(K)配列番号:21に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:22に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(L)配列番号:23に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:24に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、並びに、
(M)配列番号:25に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:26に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
【請求項8】
請求項7に記載のセットを含有するシバ属植物の品種判別用試薬。
【請求項9】
請求項7に記載のセットを含有するシバ属植物の品種判別用キット。
【請求項10】
アケミドリ、青太郎、アプロード、朝駆、朝萌、バーニングラブ、ちばフェアグリーン、チバラフワン、コプロス、デアンザ、エルトロ、エメラルド、エクイターフ、フラッツ、フジコンパクト、はるか、はやと、ヒメノ、イナヒカリ、クサセンリ、メイヤー、みやこ、オアシスグリーン、ロンパーフィールド、緑光、相良姫、スクラム、シャムロン、シルキーフィールド、草剣、たねぞう、ティーエムナイン、つくば輝、つくば太郎、ビクトール、及び、ヤエヤマからなる群より選択されるいずれかのシバ属植物のゲノムDNAを鋳型とし、下記(A)から(M)からなる群より選択されるいずれかのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物;
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(E)配列番号:9に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:10に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(F)配列番号:11に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:12に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(G)配列番号:13に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:14に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(H)配列番号:15に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:16に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(I)配列番号:17に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:18に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(J)配列番号:19に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:20に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(K)配列番号:21に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:22に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(L)配列番号:23に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:24に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、並びに、
(M)配列番号:25に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:26に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。

【公開番号】特開2009−240268(P2009−240268A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93038(P2008−93038)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(504224153)国立大学法人 宮崎大学 (239)
【出願人】(596175810)財団法人かずさディー・エヌ・エー研究所 (40)
【Fターム(参考)】