説明

マイクロチップ用液漏れ防止具及びマイクロチップホルダー

【課題】細胞チップのようなマイクロチップのX−Y方向及びZ方向(垂直方向)の位置決め性に優れ、細胞チップを容易に固定でき、試験液の漏れを簡単に防止できて、試験液の使用量を最少限に設定できるマイクロチップホルダー及びマイクロチップ用液漏れ防止具の提供を目的とする。
【解決手段】ホルダーベース部材にマイクロチップを位置決めするチップ収納部を形成し、このチップ収納部に装着したマイクロチップを上から押え固定する液漏れ防止具を備えた。
また、液漏れ防止具開口部に試験液を入れて使用するための、マイクロチップ表面と液漏れ防止具との間にシール部を形成するのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞レベルの検査・解析等に使用されるマイクロチップ用試験液の液漏れ防止具及びこれを用いたマイクロチップホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞レベルの検査及び解析の際に、マイクロウェルアレイチップ(以下必要に応じて単に細胞チップとも称する)やマイクロリアクター等のマイクロチップが使用されている。
例えばリンパ球を例に説明すると、人のからだの中にウィルスなどの病原体が侵入すると、Bリンパ球やTリンパ球が病原体を感知して、まず、病原体に特異的なリンパ球を増やし、次に抗体などを大量に作ったりウィルスなどが感染した細胞を殺したりすることでからだを守ろうとする。
このようなリンパ球を血液から効率よく検出して、免疫機能を解析等する場合には、直径約10ミクロン、深さ15〜20ミクロン程度の微小の穴を数万〜数十万個配列したマイクロウエルアレイチップが用いられている。
このマイクロウェルアレイチップの一つの穴に一つのリンパ球を収め、数十万個整列することで病原菌に有効なリンパ球の解析等をするには数十万個の穴を番地化してスキャナーで読みとれるようにしたり、例えばスポッターと称される選択的にリンパ球を吸い取る手段を備えているキャピラリーで個々のリンパ球を回収できるようにする必要がある。
【0003】
これまでに細胞チップとして基盤上にマイクロウエルを整列したシリコン製や樹脂製のマイクロチップが使用され、これらの細胞チップを固定し保持する方法として、本出願人らはスライドガラスに接着する方法を検討した。
しかし、この方法では次のような技術的問題が明らかになった。
【0004】
まず、スライドガラスに細胞チップを接着固定する際に、X−Y方向の位置を一義的に決めることが困難であった。
細胞チップのX−Y方向の位置がずれることでスキャナーでデータを読み取った後のデータ処理において、X−Y方向の位置のずれを補正しなければならず解析の時間がかかった。
次に、高さ方向(Z方向)の調整も困難であることが明らかになった。
スキャナーの焦点深度は+/−50ミクロンであるが、接着固定で水平方向の高さのバラツキが大きく、細胞チップのスキャン範囲での高さのバラツキを60ミクロン以内に抑えることができず、全てのスキャン範囲においてのデータの正確な取得が困難であった。 さらに、細胞チップの個々の穴から自動細胞取得装置でリンパ球を取り出す際には、自動細胞取得装置のスポッターの先端位置を個々の穴の位置に持って行く必要があるが、チップの高さ方向の位置がずれているために、穴の位置によりスポッターの先端位置を調節する必要があり、操作が煩雑になった。
そこで、スライドガラスに接着以外の方法で固定することも検討したが、スライドガラスそのものに約200ミクロン程度の厚みのバラツキがあり、これを小さくすることが困難であるので、スライドガラスを用いて高さ方向(Z方向)の調整は困難であることが判明した。
【0005】
また、スライドガラスに細胞チップを固定し、抗原で刺激するために試験液をかけてカバーグラスをかぶせる際に、液が横から漏れて流れ出す不具合も発生し、試験液の必要容量及び濃度等の設定も大変であった。
本願出願人らは、以上のような技術的課題を解決すべく精意研究した結果、本発明に至ったものである。
なお、特開2002−156381号公報には、水密性を有するように覆うカバーを備えたサンプルキャリアに関する技術を開示するが、水平度が不充分であるだけでなく、水密構造が複雑である。
【0006】
【特許文献1】特開2002−156381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような背景技術の下に、試験液の漏れを簡単に防止できて、試験液の使用量を最少限に設定できるマイクロチップ用液漏れ防止具及び細胞チップのようなマイクロチップのX−Y方向及びZ方向(垂直方向)の位置決め性に優れ、細胞チップを容易に固定できるマイクロチップホルダーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るマイクロチップの液漏れ防止具は、モールド成形による樹脂製又はゴム製の枠体からなり、枠体に平面状の装着面を形成してマイクロチップの表面に装着したときに、マイクロチップの微少凹部の少なくとも一部が臨む開口部を枠体に形成していることを特徴とする。
【0009】
本発明において、マイクロチップとは、先に例として説明したリンパ球の免疫的検査・解析用マイクロウェルアレイチップのみならず、白血球、赤血球等の血液成分、あるいは細胞レベルの大きさの検体を個々のマイクロウエルに整列させるためのマイクロウエルアレイチップや、試験室、反応室及び流路を備えたマイクロリアクター等を含む。
従って、枠体からなる液漏れ防止具に平面状の装着面を形成してマイクロチップの表面に装着したときに、マイクロチップの微少凹部の少なくとも一部が臨む開口部を枠体に形成した趣旨は、マイクロチップの表面にはウエルアレイ領域や反応室等の微小凹部が形成されているが、試験等に必要とする最小範囲に合わせた開口部を枠体に形成することで、この開口部に最小限の試験液を入れ、試験評価できるようにした点にある。
よって、枠体(液漏れ防止具の外形)形状は矩形形状、リング形状と各種形状を採用できるが、一般的にはマイクロチップの平面形状に合わせることになる。
また、枠体に形成する開口部の形状や大きさもマイクロチップのウエルアレイ領域、あるいは、試験に必要なウエル数、マイクロリアクターにおける反応形態により、適宜選択設計できる。
【0010】
マイクロチップの表面に、液漏れ防止具の装着面を合わせるように装着して開口部に試験液を入れて使用することから、この液漏れ防止具の装着面にシール部を形成する必要があるが、樹脂製又はゴム製とすることで、容易にシール性を確保できる。
【0011】
本発明は、さらにマイクロチップホルダーに関し、ホルダーベース部材にマイクロチップを位置決めするチップ収納部を形成し、このチップ収納部に装着したマイクロチップを上から押え固定するための、請求項1記載の液漏れ防止具を用いたことを特徴とする。
本発明においてマイクロチップホルダーとは、マイクロチップを固定・保持するためのキャリアーホルダーをいう。
ここでキャリアーホルダーとは、試験サンプルを試験・評価装置に装着するホルダーをいう。
マイクロチップを位置決めするチップ収納部とは、マイクロチップを装着した際にマイクロチップをX−Y−Z方向に位置決めするためのものをいい、ホルダーベース部材の上面を掘り下げてこのチップ収納部を形成してもよく、ホルダーベース部に少なくともマイクロチップのコーナー部を位置決めする突壁を形成してチップ収納部を形成しても良い。
また、このマイクロチップホルダーにあっては、液漏れ防止具が、マイクロチップの押え具として作用する(以下必要に応じて液漏れ防止具又はチップ押え具と称する)。
そして枠体に形成した開口部から細胞チップをスキャニングしたり、キャピラリー操作を行う。
従って、マイクロチップを射出成形等の樹脂製にし、ホルダーベース部材及び液漏れ防止具をモールド成形による樹脂製とした場合には、マイクロチップの高さバラツキを60ミクロン以内におさえることができ、液漏れ防止具の硬さをマイクロチップより硬くすると、マイクロチップの平面矯正ができてよい。
なお、マイクロチップをシリコン製とした場合には、液漏れ防止具で押え固定する際に面直角方向に部分的に応力集中して簡単に割れてしまうので、シリコンマイクロチップの上面と略同じ高さの段面(受け部)をマイクロチップの外周に設けて、液漏れ防止具による押し下げる力を受けることによりマイクロチップに応力集中するのを防止した。
このホルダーベース部材や液漏れ防止具は一体、又は別体でモルード成形することができる。
【0012】
また、枠体の開口部に試験液を入れて使用する場合には、試験液が蒸発してマイクロチップが乾かないように、この開口部を概ね塞ぐようにカバーグラスを載せるが、液漏れ防止具にカバーグラス位置決め用の突起を形成すると、カバーグラスの装着脱作業が容易になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、液漏れ防止具の装着面をマイクロチップの表面に接着固定することも可能である。
また、この液漏れ防止具は開口部の形状、大きさ、深さを最適化することにより最小限の試験液量とすることができる。
本発明においては、ホルダーベース部材にチップ収納部を形成してマイクロチップを装着し、上から液漏れ防止具で押える構造にしたので、マイクロチップをチップ収納部に装着するだけでX−Y方向及びZ方向(垂直方向)の位置決めができる。
また、液漏れ防止具がマイクロチップをホルダーベース部材に押える際にマイクロチップの上面の平面度を向上させる効果もある。
このようなマイクロチップホルダーは、樹脂で容易に製作でき、モールド成形により精度の高い平面度が容易に得られる。
また、モールド成形にて安価に量産できるので、使い捨て使用も可能であり、また再溶融し再成形した場合には、熱がかけられ殺菌するのでリサイクル使用もできる。
本発明に係るマイクロチップホルダーは、水平方向、垂直方向の位置精度が高く、スキャンした際に焦点がずれず、シグナルを精度良く測定でき、細胞を採取するときにキャピラリー等の位置が決めやすく、細胞回収の自動化に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に本発明に係るチップホルダー10の例を示す。
チップホルダー10は、ホルダーベース部材20と液漏れ防止具(チップ押え具)30から構成する。
図2にホルダーベース部材20の平面図(イ)、正面図(ロ)、側面図(ハ)をそれぞれ示し、図3に液漏れ防止具30の平面図(イ)、正面図(ロ)、側面図(ハ)をそれぞれ示す。
ホルダーベース部材20には、チップ収納部21を形成し、微小穴を数十万個備えたウェルアレイ領域41を有する樹脂製のマイクロチップ40を収納する。
図1に示した例では、ホルダーベース部材20は従来の汎用性スライドガラスを想定した矩形形状になっている。
また、チップ収納部は、マイクロチップの外形形状に合わせた位置決めの壁22で形成し、図1に示す例では、この位置決め壁22の形状は液漏れ防止具30の外形形状にも合致させている。
なお、チップ収納部の底部23の面とホルダーベース部の上面と同一面高さにしてもよく、ホルダーベース部材を掘り下げるようにしてチップ収納部を形成してもよい。
また、チップ収納部の底部23に例として想像線で示すような部分的開口部27を形成すると、樹脂製マイクロチップの場合に、透過光によるスキャンも可能である。
【0015】
チップ収納部21に樹脂製マイクロチップ40を収納し、その上から液漏れ防止具30を位置決め壁22に嵌合してマイクロチップを固定する。
樹脂製のマイクロチップにあっては割れにくいので、チップ押え具(液漏れ防止具)をチップ収納部にマイクロチップに重ねるようにして圧入するだけで容易に固定できる。
チップ押え具(液漏れ防止具)30は、ABS樹脂を用いて射出成形したものであり、開口部31を形成し、この開口部31に試験液を入れ、カバーガラスをかぶせて蒸発を防止する(カバーガラスの図示は省略した)。
また、この開口部を通して樹脂製マイクロチップ40に番地化した各マイクロウエルのリンパ球や細胞情報を取り出す。
図4に樹脂製マイクロチップ40を固定した状態の断面図を示す。
ホルダーベース部材20のチップ収納部にマイクロチップ40を収納し、液漏れ防止具30で固定している。
マイクロチップを固定する液漏れ防止具30の開口部31を形成する傾斜壁32は、約30〜45°に設定されている。
この傾斜壁32で囲まれた開口部31に試験液Sを入れるが、マイクロチップ40の表面を押える液漏れ防止具30の開口部の縁部がシール部33になっていて、試験液の液漏れを防止している。
従って、液漏れ防止具で試験液溜り部をシールするので試験液の量を最少限に設定できる。
【0016】
マイクロチップとしては、リンパ球や血液検査、細胞検査研究用に各種開発されており、上記に例を示した樹脂製(PMMA、PC)の他に、シリコン、シリコンゴム、ガラス等各種対応できる。ゴム製の場合にはPDMSが使用できる。
樹脂製のマイクロチップを用いると、仮にこの樹脂チップに多少のソリ等の変形が生じていても、それよりも硬度の高い樹脂製の液漏れ防止具を採用すると、平面度(水平度)が良くなる方向に作用する。
例えば、図1に示す例は樹脂製マイクロチップの大きさ約20mm×20mmで厚みは約1mm程度のものを使用し、液漏れ防止具の厚みtを約1mm程度を用いた場合に、チップ収納部の深さは液漏れ防止具が納まるように約2mm程度に設定されている。
これにより、液漏れ防止具がマイクロチップの平面度を向上するように押えて固定し、液漏れ防止具の開口部が試験液溜り部になり、シール部33から液が漏れない。
ホルダーベース部材20及び液漏れ防止具30の材質は特に限定されないが、樹脂を用いたモールド成形にて生産するのに適している。
特に、硬質樹脂(スチロール、ABS、MMA、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ素樹脂、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート等の硬質樹脂)を用いるのがマイクロチップを押え、シール性を確保するのに適している。
この図1に示す例では、マイクロチップ上面の平面高さのバラツキのレンジが約20ミクロン以内に抑えることができた。
従って、チップ収納部を形成している位置決め壁22でマイクロチップ40のX−Y方向の位置決めができ、ホルダーベース部材20の平面度と液漏れ防止具30の組み合わせにて水平度がスライドガラスに比較して飛躍的に向上し、スキャナーの読み取りやキャピラリーのフォーカス調整が容易になった。
【0017】
図5にはチップホルダーの他の実施例を示す。
ホルダーベース部材20aに形成したチップ収納部21aに収納するチップがシリコン製のマイクロチップ40aである場合には、面直角方向の応力により簡単に割れてしまうので、チップ押え具の圧入時にシリコン製チップに過剰の応力が負荷されないように受け部26aを設けたものである。
例えば、チップの外形に合わせた位置決め壁22aを形成し、それよりも大きいチップ押え具固定壁24aを別に形成する。
この場合のホルダーベース部材20aを図6に平面図(イ)、正面図(ロ)、側面図(ハ)として示し、液漏れ防止具30aを図7に平面図(イ)、正面図(ロ)、側面図(ハ)としてそれぞれ示す。
また、図8にシリコン製マイクロチップ40aの嵌着状態の断面図を示し、ホルダーベース部材20aのチップ収納部は2段面になっている。
シリコン製マイクロチップ40aの位置決め壁とは別に、チップ押え具固定壁24aに液漏れ防止具30aを嵌着(圧入)して固定する。
液漏れ防止具30aの開口部31aの縁部に形成したシール部33aがマイクロチップ40aの表面に当接して試験液をシールする。
この場合に図5に示すように、チップ収納部21aの外周に受け部26aを形成し、受け部の高さがシリコン製マイクロチップ40aの上面とほぼ同じ高さになっていて、液漏れ防止具30a傾斜壁32aでシリコン製マイクロチップ40aの表面を押えているので、シリコン製マイクロチップに応力集中しない。
このシリコン製マイクロチップ40aの大きさは、約20mm×11mmである。
【0018】
図9には、液漏れ防止具の固定方法として圧入以外の例を示し、シリコン製マイクロチップ40aを収納し、上から液漏れ防止具30bにて押える際に、液漏れ防止具30bの側部に係止突起部34bを形成し、押出枠固定壁24bの内側に係止凹部25bを形成し、係着するようにした例である。
図9(B)に係着部の拡大図を示し、係止凹部25bのa寸法の方が係止突部34bのb寸法より少し大きくなるように設定されていて、突起部34bがチップ押え具固定壁24bと干渉して変形する恐れを防止している。
また、係着部を図9(A)に示すように、液漏れ防止具30bのコーナー部付近に対角状に設定すると、液漏れ防止具を取り外す際に突起部34bがないコーナー部から引き出すことができる。
【0019】
次に、液漏れ防止具及び位置決め壁等の応用展開例について説明する。
図10に示す例は、ホルダーベース部材20cに一体的にチップ押え具(液漏れ防止具)部分30cを形成した例である。
この場合に、チップ押え具30cとなる部分に開口部31cを形成し、傾斜壁32cの裏側にシール部33cを形成する。
従って、マイクロチップは下側から収納部21cに装着し、さらに下側からチップ固定プレート50にてマイクロチップ40を固定する。
チップ固定プレート50には、係止凹部51を形成し、チップ収納部側の係止突起部34cと係着する。
係着構造としては、どちら側に係止突起部を形成してもよい。
なお、試験液はチップ固定プレートのシール面52に液漏れ防止具側のシール部33cが当接することで外部には漏れない。
また、チップ固定プレート50に開口部を形成すると、透過スキャンも可能である。
【0020】
図11に示す例は、ホルダーベース部材20dにマイクロチップ40を位置決めする位置決め壁22dを対角上のコーナー部にのみ形成した例である。
この場合に、マイクロチップ40をチップ収納部21dに装着し、その上から液漏れ防止具30dに形成した係止突部34dを位置決め壁に形成した係止凹部25dに係着して、液漏れ防止具30dの開口部31dのシール部33dでマイクロチップを押圧シールする。
【0021】
図12に示す例は、ホルダーベース部材に液漏れ防止具を固定する方法の展開例である。
図1又は図5に示す例では、液漏れ防止具を位置決め壁22又は押え具固定壁24aに嵌入(圧入)してマイクロチップを押圧シールする方法であったが、この図12に示す方法は、ホルダーベース部材20eの表面部に係止凹部25eを形成し、液漏れ防止具30eの裏面に形成した係止突起部34eで係着する例である。
なお、この場合にホルダーベース部材側に係止突部を形成して液漏れ防止具側に係止凹部を形成するのも同様である。
また、液漏れ防止具30eにはシール部33eが形成されている。
【0022】
図13に示す例は、チップ収納部21fを凹部形状にして、この凹部に液漏れ防止具30fのシール部も凹部に挿入されるようにしている。
液漏れ防止具の係止突部34fとホルダーベース部材20fの係止凹部25fと上下方向に係着する方法は、図12に示すものと同様である。
【0023】
図14に示す例は、液漏れ防止具30gとホルダーベース部材20gの係着方法の展開例で、液漏れ防止具30gの係止突部34gが上下方向の係止凹部25gに沿って挿入係着する場合である。
【0024】
図15に示す例は、マイクロチップ収納部21h及び液漏れ防止具(チップ押え具)30hの形状が円形(リング状)状であってもよい例を示す。
【0025】
図16に示す例は、液漏れ防止具30にカバーグラス60の位置決め突起61、62、63、64を形成した例を示す。
液漏れ防止具の開口部内側に試験液を入れて使用する場合には、試験液が蒸発してマイクロチップが乾かないように、この液漏れ防止具の開口部を塞ぐようにカバーグラス60を載せるが、液漏れ防止具にカバーグラス位置決め用の突起を形成したことにより、カバーグラスの装着脱作業が容易になる。
この場合に、試験液を注入する開口部dが形成されるようにカバーグラス位置決め用の突起を形成するのがよい。
図17(イ)には、液漏れ防止具の開口部形状の変形例を示し、少量の試験液や、細胞数でよいときには、円形状31f、異形形状31eでも良い。
図17(ロ)には、液漏れ防止具がマイクロリアクター40bとなっている場合である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るマイクロチップホルダーの例を示す。
【図2】ホルダーベース部材の例を示す。
【図3】液漏れ防止具の例を示す。
【図4】マイクロチップの装着図の拡大断面図を示す。
【図5】チップホルダーの他の例を示す。
【図6】ホルダーベース部材の他の例を示す。
【図7】液漏れ防止具の他の例を示す。
【図8】マイクロチップ装着部の拡大断面図を示す。
【図9】液漏れ防止具の係着構造例を示す。
【図10】ホルダーベース部材に一体的に液漏れ防止具を形成した例を示す。
【図11】コーナー部のみにマイクロチップ位置決め壁を形成した例を示す。
【図12】液漏れ防止具とホルダーベース部材を上下方向から係着した例を示す。
【図13】マイクロチップ収納部を凹部形状にしつつ、液漏れ防止具を上下方向に係着した例を示す。
【図14】液漏れ防止具とホルダーベース部材との係着方法として係止凹部に沿って係止突片を挿入固定する例を示す。
【図15】液漏れ防止具形状が円形の例を示す。
【図16】液漏れ防止具にカバーグラス位置決め突起を設けた例を示す。
【図17】液漏れ防止具の開口部の応用例を示す。
【符号の説明】
【0027】
10 チップホルダー
20、20a、20b、20c、20d ホルダーベース部材
20e、20f、20g、20h ホルダーベース部材
21、21a、21b、21c チップ収納部
21d、21e、21f、21h チップ収納部
22、22a、22b、22d 位置決め壁
23、23a チップ収納部の底部
24a チップ押え具固定壁
25b、25d、25e、25f、25g 係止凹部
26a、26b チップ押え具受け面
27 ホルダーベース部材の開口部
30、30a、30b、30c、30d 液漏れ防止具(チップ押え具)
30e、30f、30g、30h 液漏れ防止具(チップ押え具)
31、31a、31b、31c、31d 液漏れ防止具(チップ押え具)の開口部
32、32a、32b、32c、32d、31e、31f 傾斜壁
33、33a、33b、33c、33d、33e シール部
34b、34c、34d、34e、34f、34g チップ押え具の係止突起部
40 樹脂製のマイクロチップ
40a シリコン製のマイクロチップ
50 チップ固定プレート
51 チップ固定プレートの係止凹部
52 チップ固定プレートのシール面
60 カバーグラス
61、62、63、64 液漏れ防止具に形成したカバーグラス位置決め突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールド成形による樹脂製又はゴム製の枠体からなる液漏れ防止具であって、枠体に平面状の装着面を形成してマイクロチップの表面に装着したときに、マイクロチップの微少凹部の少なくとも一部が臨む開口部を枠体に形成していることを特徴とするマイクロチップの液漏れ防止具。
【請求項2】
液漏れ防止具のマイクロチップ装着面に、シール部を形成したことを特徴とする請求項1記載のマイクロチップの液漏れ防止具。
【請求項3】
カバーグラス位置決め用の突起を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロチップの液漏れ防止具。
【請求項4】
ホルダーベース部材にマイクロチップを位置決めするチップ収納部を形成し、このチップ収納部に装着したマイクロチップを上から押え固定するための、請求項1記載の液漏れ防止具を用いたことを特徴とするマイクロチップホルダー。
【請求項5】
ホルダーベース部材及び液漏れ防止具が、モールド成形による樹脂製であることを特徴とする請求項4記載のマイクロチップホルダー。
【請求項6】
液漏れ防止具の硬さがマイクロチップより硬いことを特徴とする請求項5記載のマイクロチップホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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