マイクロバブル混入物、マイクロバブル混入セメント系材料及びその製造方法、並びにそのための製造装置
【課題】モルタル又はコンクリートの製造に際して、従来のAE剤や発泡剤、起泡剤などの混和剤に代わる気泡の混入方法として、マイクロバブル技術を応用する。
【解決手段】セメントミルク、モルタル又はコンクリートを混練するためのミキサー21に対して、前記ミキサー21から送給され、再びミキサーに返送させる循環流路22を形成するとともに、この循環流路22の中間にマイクロバブル発生装置1と、ポンプ24とを配設したセメントミルク、モルタル又はコンクリートの製造装置20において、前記練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混練した後、このフレッシュ状態のセメントミルク、モルタル又はコンクリートをマイクロバブル発生装置1を通過させることによりマイクロバブルを導入する。
【解決手段】セメントミルク、モルタル又はコンクリートを混練するためのミキサー21に対して、前記ミキサー21から送給され、再びミキサーに返送させる循環流路22を形成するとともに、この循環流路22の中間にマイクロバブル発生装置1と、ポンプ24とを配設したセメントミルク、モルタル又はコンクリートの製造装置20において、前記練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混練した後、このフレッシュ状態のセメントミルク、モルタル又はコンクリートをマイクロバブル発生装置1を通過させることによりマイクロバブルを導入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の微細な独立した気泡であるマイクロバブルを導入したマイクロバブル混入物、マイクロバブル混入セメント系材料及びその製造方法、並びにそのための製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンクリートやモルタルに、多量の独立した気泡を導入させることによって、ワーカビリティーが改善するとともに、凍結融解作用に対する抵抗性が増大できることが知られている。コンクリートやモルタルの製造過程において、AE剤をコンクリート中に添加し、連行空気泡を適量存在させると、連行空気泡がコンクリート中であたかもボールベアリングのような作用をするためワーカビリティーが改善され、所要のコンシステンシーを得るための単位水量を減少させることができるとともに、自由水の凍結による大きな膨張圧を緩和する働きをし、自由水の移動を可能にするため、凍結融解の繰り返し作用に対する抵抗性を著しく増大させることが可能となる。
【0003】
一方で、近年は、直径がマイクロメートルオーダーである気泡(以下、マイクロバブル)に関する研究が幾つか報告されている。キャビテーションによって直径が10ミクロン程度の気泡を発生させ、このマイクロバブルの気泡溶解及び浮上分離等の機能性を利用して、水産物の洗浄や水質浄化などに応用されている。
【0004】
前記マイクロバブルを発生させる装置としては、例えば下記特許文献1において、有底円筒形のスペース又は入口部が閉塞されたメガホン形状のスペースを有する容器本体と、同スペースの内壁円周面の一部にその接線方向に開設された加圧液体導入口と、前記円筒形のスペース底部又は前記メガホン形状のスペース入口部に開設された気体導入孔と、前記円筒形スペースの先部又は前記メガホン形状のスペースの先部に開設された旋回気液混合体導出口とから構成された旋回式マイクロバブル発生装置が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2では、加圧液体と気体との導入部と円筒状の気泡発生空間を有し、前記導入部内に、前記気泡発生空間に開口する加圧液体導入孔と気体導入孔を形成し、前記加圧液体導入孔を前記導入部の端面に開口し、前記気体導入孔を前記導入部の側面に開口し、前記気体導入孔と連通する気体導入管に気体導入量を調整する調整弁を設けたマイクロバブル発生ノズルが開示されている。
【0006】
他方、コンクリート二次製品の分野では、起泡剤や発泡剤を添加して練り混ぜることによりコンクリート中に多量の気泡を内在させるように軽量気泡コンクリートが製造され市場に提供されている。
【特許文献1】WO00/69550号公報
【特許文献2】WO01/36105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記AE剤を混入することにより微細気泡をコンクリート又はモルタル中に導入する方法の場合、混練時にAE剤を添加することになるが、導入空気量は、AE剤の種類や使用量の他、コンクリートの材料や配合条件などに影響されるため管理が非常に煩雑であった。空気量が減少する要因としては例えば、(1)単位セメント量の増加やセメント粉末度が大きい場合、(2)練り混ぜ水のpHが低く酸性の場合や不純物が多い時、(3)コンクリートの練り上がり温度が高くなった時、(4)練り混ぜミキサの性能低下や練り混ぜ時間が長くなった時、(5)ミキサ車による輸送時間が長くなった時やポンプ圧送圧力や距離が増大した時などを挙げることができる。また、種類によっては有害イオンとして作用するものがあるなどの問題があった。さらに、粒径の大きな気泡が多く存在すると、コンクリート中に空隙が生じて強度が低下する問題などもあった。
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、従来のAE剤や発泡剤、起泡剤などの混和剤に代わる気泡の混入方法として、マイクロバブル技術を応用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、粘性流体の材料混練時にマイクロバブルを導入したことを特徴とするマイクロバブル混入物が提供される。
【0010】
上記請求項1記載の発明においては、発泡剤、起泡剤などの混和剤を使用することなく、材料中に多数の微細な独立した気泡を一様に分布させることができるようになる。
【0011】
請求項2に係る本発明として、少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜたセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料において、該セメントミルク、モルタル又はコンクリートの材料混練時にマイクロバブルを導入したことを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料が提供される。
【0012】
上記請求項2記載の本発明においては、セメントミルク、モルタル又はコンクリートに、マイクロバブル発生装置により発生させたマイクロバブルを導入することにより、従来のAE剤や発泡剤、起泡剤などの混和剤を使用せずに、多数の微細な独立した気泡を一様に分布させることができるようになるとともに、AE剤を使用する場合より微細な気泡を導入でき、これによってワーカビリティ及び耐凍害性、強度が向上したセメントミルク、モルタル又はコンクリートを得ることが可能となる。前記マイクロバブル混入セメント系材料はフレッシュ状態、及び硬化後の両者を含むものである。なお、セメントミルクは主に練混ぜ水とセメントから構成され、モルタルは主に練混ぜ水とセメントと細骨材から構成され、コンクリートは主に練混ぜ水とセメントと細骨材・粗骨材から構成されるものである。
【0013】
請求項3に係る本発明として、少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水をマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、このマイクロバブル混入練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混合してセメントミルク、モルタル又はコンクリートを製造することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法が提供される。
【0014】
上記請求項3記載の発明においては、予め練混ぜ水にマイクロバブルを導入した後、セメントミルク、モルタル又はコンクリートとの混練を行うようにするものであり、特に水を対象とするためマイクロバブル発生装置として、他分野でも使用されている小型の装置で足りるようになる。
【0015】
請求項4に係る本発明として、少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水と、セメントとを混練しセメントミルク状態とした後、このセメントミルクをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、必要に応じて骨材を混合することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法が提供される。
【0016】
上記請求項4記載の発明は、練混ぜ水と、セメントとを混練したセメントミルク状態とした後、このセメントミルクをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、必要に応じて骨材を混合して製造するものであり、骨材が混入されていない状態でマイクロバブルを導入するため、マイクロバブル発生装置は小型の装置で足りるようになる。
【0017】
請求項5に係る本発明として、少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混練した後、このフレッシュ状態のセメントミルク、モルタル又はコンクリートをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法が提供される。
【0018】
上記請求項5記載の発明は、前記練混ぜ水と、セメントと、骨必要に応じて材とを混練した後、このフレッシュ状態のセメントミルク、モルタル又はコンクリートをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入するものであり、基本的にすべての材料を混練した状態でマイクロバブルを導入するため、マイクロバブル発生装置は若干大型化するが、セメントミルク、モルタル又はコンクリート状態でワーカビリティーを人為的に制御できるようになる。
【0019】
請求項6に係る本発明として、粘性流体材料、或いはセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料を混練するためのミキサーに対して、前記ミキサーから送給され、再びミキサーに返送させる循環流路を形成するとともに、この循環流路の中間にポンプと、マイクロバブル発生装置とを配設したことを特徴とするマイクロバブル混入物、マイクロバブル混入セメント系材料の製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上詳説のとおり本発明によれば、請求項1、6記載の発明によれば、マイクロバブル技術を応用することにより、発泡剤、起泡剤などの混和剤を使用することなく、材料中に多数の微細な独立した気泡を一様に分布させることができるようになる。
【0021】
請求項2〜6記載の発明によれば、従来のAE剤や発泡剤、起泡剤などの混和剤に代わる気泡の混入方法として、マイクロバブル技術を応用することにより、従来の混和剤による方法よりも、多数の微細な独立した気泡を効果的に導入可能になるとともに、ワーカビリティ及び耐凍害性等が向上できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0023】
本発明は、練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜたセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料において、該セメントミルク、モルタル又はコンクリートの材料混練時に、マイクロバブル発生装置により発生させたマイクロバブルを導入させることにより、AE剤等の気泡発生用混和剤を省略可能としたものである。
【0024】
〔装置構成〕
図1は本発明に係るセメントミルク、モルタル又はコンクリート(以下、包括してコンクリートともいう。)の製造装置を示す概略である。
【0025】
コンクリート製造装置20は、セメントミルク、モルタル又はコンクリートを混練するためのミキサー21に対して、前記ミキサー21から送給され、再びミキサー21に返送させる循環流路22を形成するとともに、この循環流路22の中間に、上流側から順にポンプ24と、マイクロバブル発生装置1とを配設したものである。
【0026】
このマイクロバブル発生装置1においては、マイクロバブルを発生させるために、パイプ中心部を閉塞させ円周方向の流速を大きくすることでパイプ内を流れる水などの液体から強い旋回流を発生する翼型ノズルと、主流に比べて循環が卓越する流れを小さい流れに遷移させる渦崩壊用ノズルとを直列に配置した。また、マイクロバブルの径を調整するために、渦崩壊用ノズル内の圧力差を検出して旋回流に導入する気体の量を自動的に調節できるようにし、渦崩壊用ノズル内部で安定して渦崩壊が起きるようにした。
【0027】
図2はこのマイクロバブル発生装置1の本体、図3〜図5はこのマイクロバブル発生装置1の翼型ノズルの翼体、図6はこの翼型ノズルの翼体の一つの翼の展開図、図7はこのマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル、図8はこのマイクロバブル発生装置の給気装置を示す。
【0028】
図2〜図8に示すように、このマイクロバブル発生装置1は、翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を有する円筒状のパイプ2と給気装置5とからなる。翼型ノズル3は、円柱状の本体3aの前方aを半球状に成形し、この本体3aの外周面bの長手方向に複数の翼3bをそれらの後方cが彎曲するように設け、背面dに噴射孔3fを設けた翼体の外側をパイプ2により管状に覆ったものである。渦崩壊用ノズル4は、パイプ2の先端部eに配置されている。渦崩壊用ノズル4は、テーパー状に成形した縮流部4aに管状の渦崩壊部4bを連接したものである。給気装置5は、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの圧力差を検出し、翼型ノズル3に供給する気体5lの量を調整するものである。パイプ2においては、入口2a、翼型ノズル3、渦流部2b、渦崩壊用ノズル4の順に液体6が流れる。パイプ2は既存の設備に接続できるように様々なサイズに対応可能である。
【0029】
このマイクロバブル発生装置1では、パイプ2の入口2aに、マイクロバブルを発生させようとする水などの液体6を流し、翼型ノズル3により水流などの液体流6aを円周方向fに向けるとともに気柱6bを噴出させ、渦崩壊用ノズル4で縮流して渦崩壊させる。より詳細には、パイプ2の入口2aから入った液体6は、翼型ノズル3によって中心部が閉塞されるため、流速の増した液体流6aとなる。液体流6aは、翼型ノズル3の外周面bに存在する溝3dに沿って流れ、翼型ノズル3の円周方向fに向きを変えられることにより旋回流6cとなって渦流部2bを進む。渦流部2bでは、翼型ノズル3の噴射孔3fから放出された気柱6bが旋回流6cとともに螺旋状に流れる。渦崩壊用ノズル4に入ると、旋回流6cは縮流され、循環に比べて流れが卓越することで渦崩壊が起きる。この渦崩壊により大きな気泡が細かく潰され、マイクロバブル6dとなって渦崩壊用ノズル4の出口から放出される。ここで、渦崩壊用ノズル4の最小断面、すなわち渦崩壊部4bの断面における旋回流6cの回転周波数fe は、縮流部4aにおいて循環が保存されるとすると、渦流部2bにおける旋回流6cの回転周波数をf、パイプ2の内径をD、渦崩壊部4bの内径をDe としたとき、fe =(D/De )2 fとなる。
【0030】
翼型ノズル3は、水流などの液体流6aを螺旋状の旋回流6cに変換するとともに気柱6bを放出する器具であり、パイプ2の内部に、本体3aの外周面b上に複数の翼3bを設けた翼体が固定されている。翼型ノズル3は回転させる必要はなく、動力は不要である。なお、気柱6bとは、空気などの気体5lを勢い良く柱状に噴射させた気泡のことである。
【0031】
本体3aは円柱状(断面は長方形状)であり、前方aは半球状部3c(断面は半円状)と連接しており、背面dの中央に噴射孔3fを有する。
【0032】
翼3bは、半球状部3cの頂部3uから本体3aの背面端3vにかけて、本体3aの外周面b上を縦断するように設けた部材であり、液体流6aの向きを本体3aの円周方向fに変えるために、背面端3vに向かうにつれて湾曲している。半球状部3cにおける翼3bも全体としては半球状に成形される。ただし、半球状部3cにおける翼3bは必要に応じて省略することが可能である。翼3bは本体3aから突起状に出ているため、隣り合う翼3bと翼3bとの間には溝3dが存在する。
【0033】
半球状部3cは、パイプ2の入口2aから入ってきた液体6がスムーズに溝3dに流れ込むように丸めてある箇所である。パイプ2は、翼型ノズル3から放出される円周方向fの噴流から角運動量の大きな流体を生成するために必要である。
【0034】
溝3dは、翼3bにより仕切られた液体6の流れる通路である。翼3bが湾曲していることから、水平方向(パイプ2の中心軸方向)に流れていた液体流6aが、徐々に垂直方向に曲げられ、螺旋状の旋回流6aとなって翼型ノズル3から出ていく。
【0035】
噴射孔3fは、マイクロバブルの基となる気柱6bを放出する孔である。気柱6bは、本体3aの外周面bに設けられた給気孔3eから気体5lを供給することにより生成される。噴射孔3fから出た気柱6bは、旋回流6cとともに流れていく。
【0036】
翼3bは、液体6の流れを等分に分割するため、同じ形状のものを等間隔に配置する。翼間隔3gは翼3bを配置する間隔であり、この場合、翼数が6枚であるので翼間隔3gは60度であるが、これに限定されるものではない。
【0037】
翼角3hは半球状部3cにおける翼3bの大きさを決めるもので、中心から一定の角度を持って延びていき、本体3aに至ってからは、同じ幅を維持して延びる。なお、翼角3hは、大き過ぎると液体6の通り道が狭くなるので、例えば15度程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0038】
液体6の通り道となる溝3dの溝深さ3nは溝3dの深さであり、翼3bの高さでもある。なお、溝深さ3nは、翼型ノズル3のサイズにより適切な深さに調整することができる。
【0039】
ノズル長3iは翼型ノズル3の全体の長さであり、本体3aの長さである翼長3kと半球状部3cの半径である外半径3lとの和に等しい。なお、翼型ノズル3の大きさは、パイプ2の大きさが異なれば、適切な大きさも異なる。
【0040】
ノズル径3jは、翼型ノズル3の直径である。ノズル径3jは、翼3bの部分を含めた本体3aの直径でもあり、また、本体3aに連接することから、半球状部3cの直径でもある。
【0041】
翼3bは後方cが湾曲しているため、翼3b自体の長さは翼長3kよりも長くなる。また、半球状部3cにおける翼3bに関しては、翼長3kには含めないものとする。
【0042】
外半径3lは半球状部3cの翼3bの部分を含めた全体の半径であり、半球状部3cの頂部3uから本体3aまで垂直に下りた長さでもある。なお、隣り合う翼3bと翼3bとの間には溝3dが存在するため、外半径3lは、溝3dを埋めたものと考えた場合の半径を意味する。
【0043】
内半径3mは、半球状部3cの翼3bを除いた本体3aと連接される部分の半径である。内半径3mは、外半径3lとの差である溝深さ3nの分だけ出た位置から球状にしているため、内半径3mの頂部3uは外半径3lの頂部3uと一致する。
【0044】
孔距離3oは、噴射孔3fのある翼型ノズル3の背面端3vから給気孔3eの位置までの距離であり、例えば、翼長3kの半分の位置が好ましいが、これに限定されるものではない。また、給気孔3eは、液体6が通らない翼3b上に設けることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0045】
給気孔3eと噴射孔3fとは翼型ノズル3の内部で繋がっており、翼型ノズル3の外周面bに設けられた給気孔3eから供給された気体5lが、翼型ノズル3の背面dの中央に設けられた噴射孔3fから放出される。
【0046】
孔内径3pは、給気孔3eおよび噴射孔3fの直径である。孔内径3pの大きさは、噴射孔3fから出る気柱6bの量に影響を与えるため、適切なサイズに調整する必要があり、供給する気体5lの流量に応じて決められる。一例を挙げると、孔内径3pは2mm程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0047】
図6は、翼型ノズル3の一つの翼3bの形状を示す展開図であり、翼3bを湾曲させた様子をグラフ上で示したものである。グラフの横軸は翼端(翼の先端)からの流れ方向にとった距離、縦軸は周方向の距離を示す。翼3bが描く曲線は、0から翼長3kまでの範囲に存在する。なお、距離3qは、翼端からの距離が0と翼長3kとの間の任意の値とし、距離3rは、翼端からの距離が翼長3kの場合の値とする。
【0048】
勾配3sは距離3qにおける傾きであり、距離3qが0の場合は勾配3sも0度であるが、距離3qが増えるにつれて勾配3sも大きくなっていく。翼3bの勾配3sは、距離3qが0では液体流6aが流れに沿うこと、距離3rでは液体流6aを円周方向fに向かわせることが必要であるため付けたものである。勾配3sにより液体流6aを旋回流6cにすることができるが、翼3bにより円周方向fの流れが主流方向の流れに比べて大きくなり、結果として渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bで渦崩壊を引き起こすためには、翼3bの終端における勾配3tが、およそ55〜60度より大きくなる必要がある。具体的には、例えば、翼3bが本体3aの円周方向fとなす角度は5〜9度(あるいは5〜6度)、すなわち、距離3rにおける勾配3tは81〜85度(あるいは84〜85度)であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0049】
渦崩壊用ノズル4は、旋回流6cとともにパイプ2の渦流部2bを流れてきた気柱6bを渦崩壊させてマイクロバブル6dを発生させる器具であり、パイプ2の端に一体的に連接する。渦崩壊用ノズル4は縮流部4aと渦崩壊部4bとからなる。縮流部4aは、テーパー状に細くなる管であり、広い側はパイプ2の渦流部2bに連接され、狭い側は渦崩壊部4bに連接される。縮流部4aの細くなる角度(テーパー角)4eは、パイプ2などの大きさに依存し、必要に応じて選ばれる。この角度4eの一例を挙げると約20度であるが、これに限定されるものではない。渦崩壊部4bは、パイプ2の渦流部2bよりも細い円筒状の管であり、一端は縮流部4aの狭い側に連接され、他端が出口となる。渦崩壊部4bの内径4fもパイプ2の大きさなどに依存し、必要に応じて選ばれる。この内径4fは例えば0.5〜1.5cmであるが、これに限定されるものではない。
【0050】
パイプ2内を流れる液体6は、渦流部2bから縮流部4aの広い側に入り、縮流部4aの径が細くなっていくことで流速を増しながら渦崩壊部4bへと至る。液体6とともに流れてきた気柱6bは、渦崩壊部4bにおいて細かくされ、マイクロバブル6dとして渦崩壊用ノズル4の出口から放出される。
【0051】
渦崩壊用ノズル4の渦崩壊が発生するノズル径の最小値、すなわち臨界ノズル径は次のようにして求められる。
【0052】
詳細は省略するが、翼型ノズル3の翼3bによって生成される旋回流6cの回転周波数fはCassidy et. al., J. Fluid Mech., V.41, pp.727-736, 1970 による方法により求められ、fとfe との間にはfe =(D/De )2 fの関係が成り立つから、下式(1)となる。
【0053】
【数1】
【0054】
ここで、R=D/2(=図5に示す外半径3l)、Qはパイプ2に供給される液体6の流量、ρは液体6の密度、ε=re /R(ただし、re =De /2)、δ=h/R(hは図5に示す溝深さ3nと等しい)、κ=Nv Δθ/2π(ただし、Nv は翼3bの枚数、Δθ(rad.)は溝3dの角度(溝角))、θf は図6に示す勾配3tと等しく、α0 、α1 は定数でα0 =0.4、α1 =1である。
【0055】
渦崩壊用ノズル4の縮流部4aにおけるサーキュレーション数Γe は、下式(2)となる。
【0056】
【数2】
【0057】
ただし、ue は渦崩壊用ノズル4の出口における流速、ωe は渦崩壊部4bの断面における旋回流6cの回転角周波数である。この(2)式に(1)式のfe を代入すると、Γe は、下式(3)となる(Cassidy et. al., J. Fluid Mech., V.41, pp.727-736, 1970 を参照。) 。
【0058】
【数3】
【0059】
図9に、ε=1.5/4.0であるときの渦崩壊前のサーキュレーション数Γe のθf に対する変化をδを0.4/2、0.9/2と変えて求めた結果を示す。ただし、図9におけるΓcrは臨界サーキュレーション数でΓcr=2.0である(本マイクロバブル発生装置1ではΓcr≒2.0、より一般的な旋回流発生装置の場合の平均的な値はΓcr≒1/0.65(例えば、Spall et. al., Phys. Fluid, 30(11),pp.3434-3440, 1987)。図9に示すように、溝3dの深さ、すなわち溝深さ3n=hが大きくなるにしたがって、軸方向運動量に対する円周方向の運動量が相対的に小さくなり、結果として溝深さ3n=h、したがってδが大きいほどサーキュレーション数Γe は減少する。このため、溝深さ3n=hが大きくなると渦崩壊は起こりにくくなる。
【0060】
溝深さ3n=hおよびθf を与えたとき、渦崩壊が発生するノズル半径の最小値、すなわち臨界ノズル半径εcr(臨界半径をrecr とするとεcr=recr /R)は、Γe =Γcrとおくことにより下式(4)のように得られる。したがって、翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4をε>εcrを満たすように設計することにより、渦崩壊用ノズル4で渦崩壊を起こさせることができる。
【0061】
【数4】
【0062】
図10に、渦崩壊の閾値をΓcr=2.0としたときの渦崩壊用ノズル4のε=re /Rのδ=h/Rに対する変化を、θf を50度、60度、70度、80度、84度と変えて求めた結果を示す。ただし、κ=3/4とした。図10中の○、×はそれぞれ、θf =84度として実験を行ったときに渦崩壊が生じた場合、生じなかった場合を示す。
【0063】
詳細は省略するが、旋回流6cによる分級効果によって、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bで放出されるマイクロバブル6dの径dは、下式(5)のように表される。
【0064】
【数5】
【0065】
ただし、νw は液体6の動粘性率である。この式においてΓe =O(1)であるから、νw が小さく、fe が大きいほど微細なマイクロバブル6dが生成されることが分かる。
【0066】
パイプ2に液体6を供給するために用いるポンプのパワーを一定としたとき、fe は、下式(6)となる。
【0067】
【数6】
【0068】
したがって、fe を大きくすることでマイクロバブル6dを生成するには高揚程ポンプ(Rが小さい)が有利である。
【0069】
給気装置5は、マイクロバブル発生装置1に気体5lを供給する装置であり、翼型ノズル3の給気孔3eに連結され、噴射孔3fから気柱6bを放出する。圧力検出器4cおよび圧力検出器4dは渦崩壊部4b内の圧力を検出する器具であり、圧力検出器4cは縮流部4aに連接する側に設けられ、圧力検出器4dは出口側に設けられている。これらの圧力検出器4cおよび圧力検出器4dにより圧力差を検知し、気体5lの供給量を自動的に調節する。
【0070】
給気装置5は、シリンダ5aおよびピストン5bなどの部材から構成される。この給気装置5と翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4との接続は、給気孔3eと通気孔5f、圧力検出器4cと高圧力部5j、圧力検出器4dと低圧力部5kとを繋ぐことで行う。シリンダ5aは給気装置5の外枠であり、内部に中空部分を有するほぼ円柱状の形状である。なお、シリンダ5aのサイズの一例を挙げると、長さ約7.0cm、直径約2.6cmであるが、これに限定されるものではない。
【0071】
シリンダ5aの先頭側には、シリンダ5aの側面を貫通する通気孔5fがあり、この通気孔5fの一端は、給気管5iにより給気孔3eに接続され、他端は、開放することで気体5lを取り込むが、特別な気体を使用する場合にはボンベなどを接続する。
【0072】
また、シリンダ5a内の中空部分は、ピストン5bおよびダイアフラム5mにより高圧力部5jと低圧力部5kとに分けられる。先頭側の高圧力部5jは、圧力検出器4cで検知した圧力となり、背後側の低圧力部5kは、圧力検出器4dで検知した圧力となる。
【0073】
なお、高圧力部5jおよび低圧力部5kには、それぞれ空気孔5gおよび空気孔5hが設けられる。空気孔5gおよび空気孔5hは、通常は閉じておくが、開放することにより内部の空気を抜くことができる。
【0074】
ピストン5bは、シリンダ5aの内部を往復移動する部材であり、可動部5c、バネ5dおよびストッパー5eなどからなる。ピストン5bが移動することにより、給気孔3eへ供給する気体5lの量を調節する。可動部5cは、シリンダ5a内を前後に動く部分であり、給気孔3eの開閉を行う杭状の前半部と、シリンダ5a内の高圧力部5jと低圧力部5kとを仕切る円柱状の後半部とからなる。可動部5cが最も前に移動した場合は、先端が通気孔5fを突き抜けて気体5lが通らないように塞いでしまい、可動部5cが最も後に移動した場合は、先端が通気孔5fから離れて気体5lを通す。
【0075】
バネ5dは、伸び縮みすることで可動部5cの移動を制御するもので、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差と連動して可動部5cの位置を調整する。高圧力部5jの圧力が増せばバネ5dが縮んで可動部5cを後方に移動させ、低圧力部5kの圧力が増せばバネ5dが伸びて可動部5cを前方に移動させる。
【0076】
ストッパー5eは、ピストン5bの端をシリンダ5aの後背部に固定することで、ピストン5bを支えている部材である。ストッパー5eで押さえることで、ピストン5bがシリンダ5a内で安定し、バネ5dの伸縮も有効に働き、可動部5cを移動させることができる。
【0077】
可動部5cとストッパー5eとはバネ5dにより接続されるが、バネ5dの内側で可動部5cとストッパー5eとをスライド構造にすることにより、バネ5dの部分の安定性を保つとともに、可動範囲を制御する。
【0078】
給気装置5は、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差を利用してピストン5bを移動させることにより、気体5lの供給を制御する。高圧力部5jおよび低圧力部5kは、圧力検出器4cおよび圧力検出器4dと管5n、5oで接続され、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの圧力を反映させる。具体的には、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの間の部分の渦崩壊部4bで渦崩壊が発生しているときは、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの圧力差が増大し、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差がバネ5dの反力よりも大きくなると、ピストン5bが右に移動して通気孔5fが開く。
【0079】
なお、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの間の部分の渦崩壊部4bで渦崩壊が発生しない場合は、給気孔3eへの給気量が多く、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの圧力差が小さい場合であり、給気量を制御するために、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力が均衡した際のピストン5bの位置を、通気孔5fが閉まる位置にしておく。
【0080】
図11Aおよび図11Bは渦崩壊用ノズル4での渦崩壊を示す図であり、渦崩壊ありの場合(図11A)の渦崩壊用ノズル4および渦崩壊なしの場合(図11B)の渦崩壊用ノズル4の状態を示したものであ。図11Aに示すように、渦崩壊ありの場合には、縮流部4aから来た気柱6bは、渦崩壊部4bの中間付近で渦崩壊し、マイクロバブル6dとなって出て行くため、渦崩壊部4bの出口における圧力は、渦崩壊部4bの入口における圧力よりも小さくなる。
【0081】
圧力検出器4cにより渦崩壊部4bの入口の圧力を検出し、圧力検出器4dにより渦崩壊部4bの出口の圧力を検出して、渦崩壊部4b内に圧力差があれば、正常に渦崩壊が起きており、このまま給気を行う。
【0082】
渦崩壊なしの場合(図11B)には、縮流部4aから来た気柱6bは、渦崩壊部4b内では渦崩壊せず、マイクロバブル6dとならないため、渦崩壊部4bの出口における圧力は、渦崩壊部4bの入口における圧力とほとんど変わらない。このとき、圧力検出器4cにより渦崩壊部4bの入口の圧力を検出し、圧力検出器4dにより渦崩壊部4bの出口の圧力を検出して、渦崩壊部4b内に圧力差がなければ、給気を抑制し、渦崩壊が起きるように調整する。
【0083】
このように、給気量が適正でなければ、気柱6bは渦崩壊せずマイクロバブル6dが得られないので、この第1の実施形態では、渦崩壊しているかどうかを渦崩壊部4bの圧力差によって確認し、さらに上述のようにこの圧力差を利用して自動的に給気量を調整することができる。
【0084】
次に、気体5lの給気量(気体流量)Qa とマイクロバブル6dの径dとの関係について説明する。
【0085】
渦崩壊用ノズル4の前面に張り付いた気柱6bが受ける剪断によって発生する気泡径を Hinzeスケール(圧力による分断作用と表面張力とが釣り合った平衡状態における径dH )に従って算定すると図12に示すようになる。詳細は省略するが、マイクロバブル6dが HinzeスケールdH まで微粒化されるときの気体5lの給気量Qa は、下式(7)で与えられる。
【0086】
【数7】
ここで、d0 は次の式 (8) 〜(10)から算定される。
【0087】
【数8】
【0088】
【数9】
【0089】
【数10】
【0090】
ただし、F(x)は下式(11)で表される。
【0091】
【数11】
ここで、γは気体5lと液体6との界面張力係数である。
【0092】
図13、図14および図15は、Γe がそれぞれ=2、3および4のときの給気量Qa を示す。
【0093】
Hinzeスケールのマイクロバブル6dを生成するときの給気量Qa と液体6の流量Qw との比は次式(12)で表される。
【0094】
【数12】
【0095】
図16、図17および図18は、Γe がそれぞれ2、3および4のときの給気量Qa と液体6の流量Qw との比をプロットしたものである。図16、図17および図18より、fe >100Hzおよびre <2cmの範囲内では、Qa /Qw はfe およびre にあまり依存しない。このときのQa /Qw を漸近的に計算すると次式(13)のようになる。
【0096】
【数13】
【0097】
この式はΓe 〜2.5の実験における値Qa /Qw 〜0.005により検証されている(山田ら、流体力学会年会2005、AM05−24−002)。
【0098】
渦崩壊用ノズル4の出口のエッジでは旋回流6cの剥がれによって音が発生するが、この音は、例えば、このエッジに微細な繊維(例えば、綿状のもの)を貼ったり、渦崩壊用ノズル4の縮流部4aの入り口にその直径方向に針金(例えば、数mm径のもの)を張り渡して上流の気柱6bを乱したりすることで消音することが可能である。
【0099】
次に、この発明の第2の実施形態によるマイクロバブル発生装置について説明する。
【0100】
図19に示すように、このマイクロバブル発生装置1においては、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの先端にテーパー部4hを設けて、出口をテーパー状に広げた。すなわち、第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4では、渦崩壊部4bの先端である出口の角度4iが0度であるのに対し、この第2の実施形態によるマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4では、渦崩壊部4bの出口の角度(テーパー角)4iを十分に大きくしたテーパー部4hを設けている。この角度4iは、具体的には、例えば60度または80度程度にするが、これに限定されるものではない。
【0101】
第1の実施形態の渦崩壊用ノズル4の場合は、渦流部2bで旋回流6cの中心付近に生じた気柱6bが、縮流部4aで流速が増され、渦崩壊部4bで細かく潰されることにより、マイクロバブル6dが発生するのに対して、この第2の実施形態の渦崩壊用ノズル4の場合は、気柱6bは渦崩壊部4bを通過し、テーパー部4hにおいて、コアンダ効果により気泡となって張り付く。テーパー部4hに張り付いた気泡は、渦流部2bから続く旋回流6cにより剪断または破砕され、マイクロバブル6dが発生する。このようにテーパー部4hに張り付くことにより、気泡が剪断を受ける時間が長くなり、気泡の微粒化が促進される。
【0102】
なお、コアンダ効果とは、流れの中に物体を置いたときに、置いた物体に沿って流れの向きが変わる流体の性質のことで、旋回流6cが渦崩壊部4bからテーパー部4hに入ってテーパー状に広がることで気柱6bも広がり、気泡がテーパー部4hに張り付く。
【0103】
この第2の実施形態の渦崩壊用ノズル4の寸法は、縮流部4aの入口の内径(=パイプ2の内径2d)、縮流部4aの角度4eおよび渦崩壊部4bの内径4fは、第1の実施形態の渦崩壊用ノズル4と同様であるが、円筒状の渦崩壊部4bの長さ4gについては、内径4fと同程度である。
【0104】
図20A、図20Bおよび図20Cは、渦崩壊部4bの形状を変えた場合のマイクロバブル発生装置1のマイクロバブル6dの発生状況を比較した図である。
【0105】
図20Aに示すように、第1の実施形態の渦崩壊用ノズル4の場合、パイプ2の渦流部2bから縮流部4aに流れてきた気柱6bは、渦崩壊部4bにおいて渦崩壊してマイクロバブル6dが発生するが、直線状の狭い範囲にしか広がらない。
【0106】
図20Bに示す渦崩壊用ノズル4は、渦崩壊部4bの全体をテーパー部とした場合であるが、このテーパー部において発生したマイクロバブル6dは、図20Aの場合に比べて僅かに範囲が広がる程度である。
【0107】
図20Cに示す渦崩壊用ノズル4の場合、テーパー部4hに張り付いた気泡を剪断または破砕することによりマイクロバブル6dが発生するので、マイクロバブル6dはテーパー状に非常に広い範囲に広がる。
【0108】
図21Aおよび図21Bは二種類の渦崩壊の様子を示す。いずれも渦崩壊用ノズル4の出口のテーパー部4hの急拡部の存在により渦は不安定となり渦崩壊が生じるが、図21Aに示す渦崩壊では、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの最小断面で流れが超臨界(supercritical)となり擾乱が上流に伝播できないのに対し、図21Bに示す渦崩壊では、渦崩壊用ノズル4の全領域で亜臨界(subcritical)となり擾乱は上流に伝播する。
【0109】
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの先端にテーパー部4hが設けられていることにより、旋回流6cはこのテーパー部4hに張り付く。このため、マイクロバブル6dの発生効率の向上を図ることができるとともに、テーパー部4hの角度4iの選定によりマイクロバブル6dの噴き出し方向の制御を容易に行うことができる。
【0110】
〔製造方法〕
次に、前述の方法により発生させたマイクロバブルの導入方法について、以下詳述する。
【0111】
〈第1形態例〉
前記ミキサ21に対して練混ぜ水のみを入れ、マイクロバブル発生装置1を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、ミキサ21内にセメント及び必要に応じて骨材を混入し、前記マイクロバブル混入練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混合してセメントミルク、モルタル又はコンクリートを製造するようにする。この形態例の場合には、特にマイクロバブルを導入する対象物質が水であるため、マイクロバブル発生装置1として小型のもので足りるようになる。
【0112】
〈第2形態例〉
前記ミキサ21に対して、練混ぜ水と、セメントとを入れ、これらを混練してセメントミルク状態とした後、前記マイクロバブル発生装置1を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、ミキサ21内に必要に応じて骨材を混入し、セメントミルク、モルタル又はコンクリートを製造するようにする。この場合は、マイクロバブルを導入する対象物質がセメントミルク(水+セメント)であり、粘性を有するものの、マイクロバブル発生装置1としては小型のもので足りるようになる。
【0113】
〈第3形態例〉
前記ミキサ21に対して、前記練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを入れ、これらを混練してフレッシュ状態のセメントミルク、モルタル又はコンクリートをマイクロバブル発生装置1を通過させることによりマイクロバブルを導入するようにする。この場合は、すべての材料を混練した状態でマイクロバブルを導入するため、マイクロバブル発生装置1は若干大型化するが、基本的にすべての材料を混練したセメントミルク、モルタル又はコンクリート状態でワーカビリティーを人為的に制御できるようになる。
【0114】
なお、以上の形態例においては、補助的にAE剤、発泡剤、起泡剤等の混和剤を混入することも可能である。この場合でも、AE剤、発泡剤、起泡剤等の混和剤の混入量低減に効果を有するようになる。
【0115】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、定置式ミキサー21に対してマイクロバブル発生装置1を設けるようにしたが、例えばミキサー車、吹付け台車などの移動式のものに対しても同様に適用することが可能である。
(2)上記形態例では、セメントミルク、モルタル又はコンクリート材料として、練混ぜ水、セメント、必要に応じて骨材の3種類を挙げているが、各種混和材等を混合してもよい。
(3)上記形態例では、練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜたセメントミルク、モルタル又はコンクリートにおいて、該セメントミルク、モルタル又はコンクリートの材料混練時に、マイクロバブル発生装置により発生させたマイクロバブルを導入させることにより、AE剤等の気泡発生用混和剤を省略可能とした例について述べたが、本発明は化学分野や食品分野等において、材料混練時に粘性を示す流動材料一般に対して適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係るセメントミルク、モルタル又はコンクリートの製造装置を示す概略である。
【図2】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の本体を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の翼型ノズルの翼体を示す斜視図である。
【図4】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の翼型ノズルの翼体を示す正面図である。
【図5】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の翼型ノズルの翼体を示す縦断面図である。
【図6】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の翼型ノズルの翼体の一つの翼の形状を示す略線図である。
【図7】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図である。
【図8】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の給気装置を示す縦断面図である。
【図9】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの縮流部におけるサーキュレーション数を説明するための略線図である。
【図10】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの臨界ノズル半径を説明するための略線図である。
【図11】(A)および(B)は、第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルで生じる渦崩壊を示す略線図である。
【図12】Hinzeスケールを説明するための略線図である。
【図13】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が2のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図14】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が3のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図15】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が4のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図16】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が2のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図17】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が3のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図18】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が4のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図19】第2の実施形態によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図である。
【図20】(A)、(B)および(C)は、第2の実施形態によるマイクロバブル発生装置におけるマイクロバブルの発生状況を他の例と比較した略線図である。
【図21】(A)および(B)は、第2の実施形態によるマイクロバブル発生装置における二種類の渦崩壊の様子を示す略線図である。
【符号の説明】
【0117】
1・1a〜1d…マイクロバブル発生装置、2…パイプ、2a…入口、2b…渦流部、2c…出口、2d…内径、3…翼型ノズル、3a…本体、3b…翼、3c…球状部、3d…溝、3e…給気孔、3f…噴射孔、3g…翼間隔、3h…翼角、3i…ノズル長、3j…ノズル径、3k…翼長、4…渦崩壊用ノズル、4a…縮流部、4b…渦崩壊部、4c…圧力検出器、4d…圧力検出器、5…給気装置、5a…シリンダ、5b…ピストン、5c…可動部、5d…バネ、5e…ストッパー、5j…高圧力部、5k…低圧力部、5l…気体、6…水、6a…水流、6b…気柱、6c…旋回流、6d…マイクロバブル、9…渦崩壊用ノズル、9a…テーパー部、9b…角度、9c…マイクロバブル、20…コンクリート製造装置、21…ミキサー、22…循環流路、23…マイクロバブル発生装置、24…ポンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の微細な独立した気泡であるマイクロバブルを導入したマイクロバブル混入物、マイクロバブル混入セメント系材料及びその製造方法、並びにそのための製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンクリートやモルタルに、多量の独立した気泡を導入させることによって、ワーカビリティーが改善するとともに、凍結融解作用に対する抵抗性が増大できることが知られている。コンクリートやモルタルの製造過程において、AE剤をコンクリート中に添加し、連行空気泡を適量存在させると、連行空気泡がコンクリート中であたかもボールベアリングのような作用をするためワーカビリティーが改善され、所要のコンシステンシーを得るための単位水量を減少させることができるとともに、自由水の凍結による大きな膨張圧を緩和する働きをし、自由水の移動を可能にするため、凍結融解の繰り返し作用に対する抵抗性を著しく増大させることが可能となる。
【0003】
一方で、近年は、直径がマイクロメートルオーダーである気泡(以下、マイクロバブル)に関する研究が幾つか報告されている。キャビテーションによって直径が10ミクロン程度の気泡を発生させ、このマイクロバブルの気泡溶解及び浮上分離等の機能性を利用して、水産物の洗浄や水質浄化などに応用されている。
【0004】
前記マイクロバブルを発生させる装置としては、例えば下記特許文献1において、有底円筒形のスペース又は入口部が閉塞されたメガホン形状のスペースを有する容器本体と、同スペースの内壁円周面の一部にその接線方向に開設された加圧液体導入口と、前記円筒形のスペース底部又は前記メガホン形状のスペース入口部に開設された気体導入孔と、前記円筒形スペースの先部又は前記メガホン形状のスペースの先部に開設された旋回気液混合体導出口とから構成された旋回式マイクロバブル発生装置が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2では、加圧液体と気体との導入部と円筒状の気泡発生空間を有し、前記導入部内に、前記気泡発生空間に開口する加圧液体導入孔と気体導入孔を形成し、前記加圧液体導入孔を前記導入部の端面に開口し、前記気体導入孔を前記導入部の側面に開口し、前記気体導入孔と連通する気体導入管に気体導入量を調整する調整弁を設けたマイクロバブル発生ノズルが開示されている。
【0006】
他方、コンクリート二次製品の分野では、起泡剤や発泡剤を添加して練り混ぜることによりコンクリート中に多量の気泡を内在させるように軽量気泡コンクリートが製造され市場に提供されている。
【特許文献1】WO00/69550号公報
【特許文献2】WO01/36105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記AE剤を混入することにより微細気泡をコンクリート又はモルタル中に導入する方法の場合、混練時にAE剤を添加することになるが、導入空気量は、AE剤の種類や使用量の他、コンクリートの材料や配合条件などに影響されるため管理が非常に煩雑であった。空気量が減少する要因としては例えば、(1)単位セメント量の増加やセメント粉末度が大きい場合、(2)練り混ぜ水のpHが低く酸性の場合や不純物が多い時、(3)コンクリートの練り上がり温度が高くなった時、(4)練り混ぜミキサの性能低下や練り混ぜ時間が長くなった時、(5)ミキサ車による輸送時間が長くなった時やポンプ圧送圧力や距離が増大した時などを挙げることができる。また、種類によっては有害イオンとして作用するものがあるなどの問題があった。さらに、粒径の大きな気泡が多く存在すると、コンクリート中に空隙が生じて強度が低下する問題などもあった。
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、従来のAE剤や発泡剤、起泡剤などの混和剤に代わる気泡の混入方法として、マイクロバブル技術を応用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、粘性流体の材料混練時にマイクロバブルを導入したことを特徴とするマイクロバブル混入物が提供される。
【0010】
上記請求項1記載の発明においては、発泡剤、起泡剤などの混和剤を使用することなく、材料中に多数の微細な独立した気泡を一様に分布させることができるようになる。
【0011】
請求項2に係る本発明として、少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜたセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料において、該セメントミルク、モルタル又はコンクリートの材料混練時にマイクロバブルを導入したことを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料が提供される。
【0012】
上記請求項2記載の本発明においては、セメントミルク、モルタル又はコンクリートに、マイクロバブル発生装置により発生させたマイクロバブルを導入することにより、従来のAE剤や発泡剤、起泡剤などの混和剤を使用せずに、多数の微細な独立した気泡を一様に分布させることができるようになるとともに、AE剤を使用する場合より微細な気泡を導入でき、これによってワーカビリティ及び耐凍害性、強度が向上したセメントミルク、モルタル又はコンクリートを得ることが可能となる。前記マイクロバブル混入セメント系材料はフレッシュ状態、及び硬化後の両者を含むものである。なお、セメントミルクは主に練混ぜ水とセメントから構成され、モルタルは主に練混ぜ水とセメントと細骨材から構成され、コンクリートは主に練混ぜ水とセメントと細骨材・粗骨材から構成されるものである。
【0013】
請求項3に係る本発明として、少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水をマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、このマイクロバブル混入練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混合してセメントミルク、モルタル又はコンクリートを製造することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法が提供される。
【0014】
上記請求項3記載の発明においては、予め練混ぜ水にマイクロバブルを導入した後、セメントミルク、モルタル又はコンクリートとの混練を行うようにするものであり、特に水を対象とするためマイクロバブル発生装置として、他分野でも使用されている小型の装置で足りるようになる。
【0015】
請求項4に係る本発明として、少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水と、セメントとを混練しセメントミルク状態とした後、このセメントミルクをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、必要に応じて骨材を混合することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法が提供される。
【0016】
上記請求項4記載の発明は、練混ぜ水と、セメントとを混練したセメントミルク状態とした後、このセメントミルクをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、必要に応じて骨材を混合して製造するものであり、骨材が混入されていない状態でマイクロバブルを導入するため、マイクロバブル発生装置は小型の装置で足りるようになる。
【0017】
請求項5に係る本発明として、少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混練した後、このフレッシュ状態のセメントミルク、モルタル又はコンクリートをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法が提供される。
【0018】
上記請求項5記載の発明は、前記練混ぜ水と、セメントと、骨必要に応じて材とを混練した後、このフレッシュ状態のセメントミルク、モルタル又はコンクリートをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入するものであり、基本的にすべての材料を混練した状態でマイクロバブルを導入するため、マイクロバブル発生装置は若干大型化するが、セメントミルク、モルタル又はコンクリート状態でワーカビリティーを人為的に制御できるようになる。
【0019】
請求項6に係る本発明として、粘性流体材料、或いはセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料を混練するためのミキサーに対して、前記ミキサーから送給され、再びミキサーに返送させる循環流路を形成するとともに、この循環流路の中間にポンプと、マイクロバブル発生装置とを配設したことを特徴とするマイクロバブル混入物、マイクロバブル混入セメント系材料の製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上詳説のとおり本発明によれば、請求項1、6記載の発明によれば、マイクロバブル技術を応用することにより、発泡剤、起泡剤などの混和剤を使用することなく、材料中に多数の微細な独立した気泡を一様に分布させることができるようになる。
【0021】
請求項2〜6記載の発明によれば、従来のAE剤や発泡剤、起泡剤などの混和剤に代わる気泡の混入方法として、マイクロバブル技術を応用することにより、従来の混和剤による方法よりも、多数の微細な独立した気泡を効果的に導入可能になるとともに、ワーカビリティ及び耐凍害性等が向上できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0023】
本発明は、練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜたセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料において、該セメントミルク、モルタル又はコンクリートの材料混練時に、マイクロバブル発生装置により発生させたマイクロバブルを導入させることにより、AE剤等の気泡発生用混和剤を省略可能としたものである。
【0024】
〔装置構成〕
図1は本発明に係るセメントミルク、モルタル又はコンクリート(以下、包括してコンクリートともいう。)の製造装置を示す概略である。
【0025】
コンクリート製造装置20は、セメントミルク、モルタル又はコンクリートを混練するためのミキサー21に対して、前記ミキサー21から送給され、再びミキサー21に返送させる循環流路22を形成するとともに、この循環流路22の中間に、上流側から順にポンプ24と、マイクロバブル発生装置1とを配設したものである。
【0026】
このマイクロバブル発生装置1においては、マイクロバブルを発生させるために、パイプ中心部を閉塞させ円周方向の流速を大きくすることでパイプ内を流れる水などの液体から強い旋回流を発生する翼型ノズルと、主流に比べて循環が卓越する流れを小さい流れに遷移させる渦崩壊用ノズルとを直列に配置した。また、マイクロバブルの径を調整するために、渦崩壊用ノズル内の圧力差を検出して旋回流に導入する気体の量を自動的に調節できるようにし、渦崩壊用ノズル内部で安定して渦崩壊が起きるようにした。
【0027】
図2はこのマイクロバブル発生装置1の本体、図3〜図5はこのマイクロバブル発生装置1の翼型ノズルの翼体、図6はこの翼型ノズルの翼体の一つの翼の展開図、図7はこのマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル、図8はこのマイクロバブル発生装置の給気装置を示す。
【0028】
図2〜図8に示すように、このマイクロバブル発生装置1は、翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を有する円筒状のパイプ2と給気装置5とからなる。翼型ノズル3は、円柱状の本体3aの前方aを半球状に成形し、この本体3aの外周面bの長手方向に複数の翼3bをそれらの後方cが彎曲するように設け、背面dに噴射孔3fを設けた翼体の外側をパイプ2により管状に覆ったものである。渦崩壊用ノズル4は、パイプ2の先端部eに配置されている。渦崩壊用ノズル4は、テーパー状に成形した縮流部4aに管状の渦崩壊部4bを連接したものである。給気装置5は、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの圧力差を検出し、翼型ノズル3に供給する気体5lの量を調整するものである。パイプ2においては、入口2a、翼型ノズル3、渦流部2b、渦崩壊用ノズル4の順に液体6が流れる。パイプ2は既存の設備に接続できるように様々なサイズに対応可能である。
【0029】
このマイクロバブル発生装置1では、パイプ2の入口2aに、マイクロバブルを発生させようとする水などの液体6を流し、翼型ノズル3により水流などの液体流6aを円周方向fに向けるとともに気柱6bを噴出させ、渦崩壊用ノズル4で縮流して渦崩壊させる。より詳細には、パイプ2の入口2aから入った液体6は、翼型ノズル3によって中心部が閉塞されるため、流速の増した液体流6aとなる。液体流6aは、翼型ノズル3の外周面bに存在する溝3dに沿って流れ、翼型ノズル3の円周方向fに向きを変えられることにより旋回流6cとなって渦流部2bを進む。渦流部2bでは、翼型ノズル3の噴射孔3fから放出された気柱6bが旋回流6cとともに螺旋状に流れる。渦崩壊用ノズル4に入ると、旋回流6cは縮流され、循環に比べて流れが卓越することで渦崩壊が起きる。この渦崩壊により大きな気泡が細かく潰され、マイクロバブル6dとなって渦崩壊用ノズル4の出口から放出される。ここで、渦崩壊用ノズル4の最小断面、すなわち渦崩壊部4bの断面における旋回流6cの回転周波数fe は、縮流部4aにおいて循環が保存されるとすると、渦流部2bにおける旋回流6cの回転周波数をf、パイプ2の内径をD、渦崩壊部4bの内径をDe としたとき、fe =(D/De )2 fとなる。
【0030】
翼型ノズル3は、水流などの液体流6aを螺旋状の旋回流6cに変換するとともに気柱6bを放出する器具であり、パイプ2の内部に、本体3aの外周面b上に複数の翼3bを設けた翼体が固定されている。翼型ノズル3は回転させる必要はなく、動力は不要である。なお、気柱6bとは、空気などの気体5lを勢い良く柱状に噴射させた気泡のことである。
【0031】
本体3aは円柱状(断面は長方形状)であり、前方aは半球状部3c(断面は半円状)と連接しており、背面dの中央に噴射孔3fを有する。
【0032】
翼3bは、半球状部3cの頂部3uから本体3aの背面端3vにかけて、本体3aの外周面b上を縦断するように設けた部材であり、液体流6aの向きを本体3aの円周方向fに変えるために、背面端3vに向かうにつれて湾曲している。半球状部3cにおける翼3bも全体としては半球状に成形される。ただし、半球状部3cにおける翼3bは必要に応じて省略することが可能である。翼3bは本体3aから突起状に出ているため、隣り合う翼3bと翼3bとの間には溝3dが存在する。
【0033】
半球状部3cは、パイプ2の入口2aから入ってきた液体6がスムーズに溝3dに流れ込むように丸めてある箇所である。パイプ2は、翼型ノズル3から放出される円周方向fの噴流から角運動量の大きな流体を生成するために必要である。
【0034】
溝3dは、翼3bにより仕切られた液体6の流れる通路である。翼3bが湾曲していることから、水平方向(パイプ2の中心軸方向)に流れていた液体流6aが、徐々に垂直方向に曲げられ、螺旋状の旋回流6aとなって翼型ノズル3から出ていく。
【0035】
噴射孔3fは、マイクロバブルの基となる気柱6bを放出する孔である。気柱6bは、本体3aの外周面bに設けられた給気孔3eから気体5lを供給することにより生成される。噴射孔3fから出た気柱6bは、旋回流6cとともに流れていく。
【0036】
翼3bは、液体6の流れを等分に分割するため、同じ形状のものを等間隔に配置する。翼間隔3gは翼3bを配置する間隔であり、この場合、翼数が6枚であるので翼間隔3gは60度であるが、これに限定されるものではない。
【0037】
翼角3hは半球状部3cにおける翼3bの大きさを決めるもので、中心から一定の角度を持って延びていき、本体3aに至ってからは、同じ幅を維持して延びる。なお、翼角3hは、大き過ぎると液体6の通り道が狭くなるので、例えば15度程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0038】
液体6の通り道となる溝3dの溝深さ3nは溝3dの深さであり、翼3bの高さでもある。なお、溝深さ3nは、翼型ノズル3のサイズにより適切な深さに調整することができる。
【0039】
ノズル長3iは翼型ノズル3の全体の長さであり、本体3aの長さである翼長3kと半球状部3cの半径である外半径3lとの和に等しい。なお、翼型ノズル3の大きさは、パイプ2の大きさが異なれば、適切な大きさも異なる。
【0040】
ノズル径3jは、翼型ノズル3の直径である。ノズル径3jは、翼3bの部分を含めた本体3aの直径でもあり、また、本体3aに連接することから、半球状部3cの直径でもある。
【0041】
翼3bは後方cが湾曲しているため、翼3b自体の長さは翼長3kよりも長くなる。また、半球状部3cにおける翼3bに関しては、翼長3kには含めないものとする。
【0042】
外半径3lは半球状部3cの翼3bの部分を含めた全体の半径であり、半球状部3cの頂部3uから本体3aまで垂直に下りた長さでもある。なお、隣り合う翼3bと翼3bとの間には溝3dが存在するため、外半径3lは、溝3dを埋めたものと考えた場合の半径を意味する。
【0043】
内半径3mは、半球状部3cの翼3bを除いた本体3aと連接される部分の半径である。内半径3mは、外半径3lとの差である溝深さ3nの分だけ出た位置から球状にしているため、内半径3mの頂部3uは外半径3lの頂部3uと一致する。
【0044】
孔距離3oは、噴射孔3fのある翼型ノズル3の背面端3vから給気孔3eの位置までの距離であり、例えば、翼長3kの半分の位置が好ましいが、これに限定されるものではない。また、給気孔3eは、液体6が通らない翼3b上に設けることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0045】
給気孔3eと噴射孔3fとは翼型ノズル3の内部で繋がっており、翼型ノズル3の外周面bに設けられた給気孔3eから供給された気体5lが、翼型ノズル3の背面dの中央に設けられた噴射孔3fから放出される。
【0046】
孔内径3pは、給気孔3eおよび噴射孔3fの直径である。孔内径3pの大きさは、噴射孔3fから出る気柱6bの量に影響を与えるため、適切なサイズに調整する必要があり、供給する気体5lの流量に応じて決められる。一例を挙げると、孔内径3pは2mm程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0047】
図6は、翼型ノズル3の一つの翼3bの形状を示す展開図であり、翼3bを湾曲させた様子をグラフ上で示したものである。グラフの横軸は翼端(翼の先端)からの流れ方向にとった距離、縦軸は周方向の距離を示す。翼3bが描く曲線は、0から翼長3kまでの範囲に存在する。なお、距離3qは、翼端からの距離が0と翼長3kとの間の任意の値とし、距離3rは、翼端からの距離が翼長3kの場合の値とする。
【0048】
勾配3sは距離3qにおける傾きであり、距離3qが0の場合は勾配3sも0度であるが、距離3qが増えるにつれて勾配3sも大きくなっていく。翼3bの勾配3sは、距離3qが0では液体流6aが流れに沿うこと、距離3rでは液体流6aを円周方向fに向かわせることが必要であるため付けたものである。勾配3sにより液体流6aを旋回流6cにすることができるが、翼3bにより円周方向fの流れが主流方向の流れに比べて大きくなり、結果として渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bで渦崩壊を引き起こすためには、翼3bの終端における勾配3tが、およそ55〜60度より大きくなる必要がある。具体的には、例えば、翼3bが本体3aの円周方向fとなす角度は5〜9度(あるいは5〜6度)、すなわち、距離3rにおける勾配3tは81〜85度(あるいは84〜85度)であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0049】
渦崩壊用ノズル4は、旋回流6cとともにパイプ2の渦流部2bを流れてきた気柱6bを渦崩壊させてマイクロバブル6dを発生させる器具であり、パイプ2の端に一体的に連接する。渦崩壊用ノズル4は縮流部4aと渦崩壊部4bとからなる。縮流部4aは、テーパー状に細くなる管であり、広い側はパイプ2の渦流部2bに連接され、狭い側は渦崩壊部4bに連接される。縮流部4aの細くなる角度(テーパー角)4eは、パイプ2などの大きさに依存し、必要に応じて選ばれる。この角度4eの一例を挙げると約20度であるが、これに限定されるものではない。渦崩壊部4bは、パイプ2の渦流部2bよりも細い円筒状の管であり、一端は縮流部4aの狭い側に連接され、他端が出口となる。渦崩壊部4bの内径4fもパイプ2の大きさなどに依存し、必要に応じて選ばれる。この内径4fは例えば0.5〜1.5cmであるが、これに限定されるものではない。
【0050】
パイプ2内を流れる液体6は、渦流部2bから縮流部4aの広い側に入り、縮流部4aの径が細くなっていくことで流速を増しながら渦崩壊部4bへと至る。液体6とともに流れてきた気柱6bは、渦崩壊部4bにおいて細かくされ、マイクロバブル6dとして渦崩壊用ノズル4の出口から放出される。
【0051】
渦崩壊用ノズル4の渦崩壊が発生するノズル径の最小値、すなわち臨界ノズル径は次のようにして求められる。
【0052】
詳細は省略するが、翼型ノズル3の翼3bによって生成される旋回流6cの回転周波数fはCassidy et. al., J. Fluid Mech., V.41, pp.727-736, 1970 による方法により求められ、fとfe との間にはfe =(D/De )2 fの関係が成り立つから、下式(1)となる。
【0053】
【数1】
【0054】
ここで、R=D/2(=図5に示す外半径3l)、Qはパイプ2に供給される液体6の流量、ρは液体6の密度、ε=re /R(ただし、re =De /2)、δ=h/R(hは図5に示す溝深さ3nと等しい)、κ=Nv Δθ/2π(ただし、Nv は翼3bの枚数、Δθ(rad.)は溝3dの角度(溝角))、θf は図6に示す勾配3tと等しく、α0 、α1 は定数でα0 =0.4、α1 =1である。
【0055】
渦崩壊用ノズル4の縮流部4aにおけるサーキュレーション数Γe は、下式(2)となる。
【0056】
【数2】
【0057】
ただし、ue は渦崩壊用ノズル4の出口における流速、ωe は渦崩壊部4bの断面における旋回流6cの回転角周波数である。この(2)式に(1)式のfe を代入すると、Γe は、下式(3)となる(Cassidy et. al., J. Fluid Mech., V.41, pp.727-736, 1970 を参照。) 。
【0058】
【数3】
【0059】
図9に、ε=1.5/4.0であるときの渦崩壊前のサーキュレーション数Γe のθf に対する変化をδを0.4/2、0.9/2と変えて求めた結果を示す。ただし、図9におけるΓcrは臨界サーキュレーション数でΓcr=2.0である(本マイクロバブル発生装置1ではΓcr≒2.0、より一般的な旋回流発生装置の場合の平均的な値はΓcr≒1/0.65(例えば、Spall et. al., Phys. Fluid, 30(11),pp.3434-3440, 1987)。図9に示すように、溝3dの深さ、すなわち溝深さ3n=hが大きくなるにしたがって、軸方向運動量に対する円周方向の運動量が相対的に小さくなり、結果として溝深さ3n=h、したがってδが大きいほどサーキュレーション数Γe は減少する。このため、溝深さ3n=hが大きくなると渦崩壊は起こりにくくなる。
【0060】
溝深さ3n=hおよびθf を与えたとき、渦崩壊が発生するノズル半径の最小値、すなわち臨界ノズル半径εcr(臨界半径をrecr とするとεcr=recr /R)は、Γe =Γcrとおくことにより下式(4)のように得られる。したがって、翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4をε>εcrを満たすように設計することにより、渦崩壊用ノズル4で渦崩壊を起こさせることができる。
【0061】
【数4】
【0062】
図10に、渦崩壊の閾値をΓcr=2.0としたときの渦崩壊用ノズル4のε=re /Rのδ=h/Rに対する変化を、θf を50度、60度、70度、80度、84度と変えて求めた結果を示す。ただし、κ=3/4とした。図10中の○、×はそれぞれ、θf =84度として実験を行ったときに渦崩壊が生じた場合、生じなかった場合を示す。
【0063】
詳細は省略するが、旋回流6cによる分級効果によって、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bで放出されるマイクロバブル6dの径dは、下式(5)のように表される。
【0064】
【数5】
【0065】
ただし、νw は液体6の動粘性率である。この式においてΓe =O(1)であるから、νw が小さく、fe が大きいほど微細なマイクロバブル6dが生成されることが分かる。
【0066】
パイプ2に液体6を供給するために用いるポンプのパワーを一定としたとき、fe は、下式(6)となる。
【0067】
【数6】
【0068】
したがって、fe を大きくすることでマイクロバブル6dを生成するには高揚程ポンプ(Rが小さい)が有利である。
【0069】
給気装置5は、マイクロバブル発生装置1に気体5lを供給する装置であり、翼型ノズル3の給気孔3eに連結され、噴射孔3fから気柱6bを放出する。圧力検出器4cおよび圧力検出器4dは渦崩壊部4b内の圧力を検出する器具であり、圧力検出器4cは縮流部4aに連接する側に設けられ、圧力検出器4dは出口側に設けられている。これらの圧力検出器4cおよび圧力検出器4dにより圧力差を検知し、気体5lの供給量を自動的に調節する。
【0070】
給気装置5は、シリンダ5aおよびピストン5bなどの部材から構成される。この給気装置5と翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4との接続は、給気孔3eと通気孔5f、圧力検出器4cと高圧力部5j、圧力検出器4dと低圧力部5kとを繋ぐことで行う。シリンダ5aは給気装置5の外枠であり、内部に中空部分を有するほぼ円柱状の形状である。なお、シリンダ5aのサイズの一例を挙げると、長さ約7.0cm、直径約2.6cmであるが、これに限定されるものではない。
【0071】
シリンダ5aの先頭側には、シリンダ5aの側面を貫通する通気孔5fがあり、この通気孔5fの一端は、給気管5iにより給気孔3eに接続され、他端は、開放することで気体5lを取り込むが、特別な気体を使用する場合にはボンベなどを接続する。
【0072】
また、シリンダ5a内の中空部分は、ピストン5bおよびダイアフラム5mにより高圧力部5jと低圧力部5kとに分けられる。先頭側の高圧力部5jは、圧力検出器4cで検知した圧力となり、背後側の低圧力部5kは、圧力検出器4dで検知した圧力となる。
【0073】
なお、高圧力部5jおよび低圧力部5kには、それぞれ空気孔5gおよび空気孔5hが設けられる。空気孔5gおよび空気孔5hは、通常は閉じておくが、開放することにより内部の空気を抜くことができる。
【0074】
ピストン5bは、シリンダ5aの内部を往復移動する部材であり、可動部5c、バネ5dおよびストッパー5eなどからなる。ピストン5bが移動することにより、給気孔3eへ供給する気体5lの量を調節する。可動部5cは、シリンダ5a内を前後に動く部分であり、給気孔3eの開閉を行う杭状の前半部と、シリンダ5a内の高圧力部5jと低圧力部5kとを仕切る円柱状の後半部とからなる。可動部5cが最も前に移動した場合は、先端が通気孔5fを突き抜けて気体5lが通らないように塞いでしまい、可動部5cが最も後に移動した場合は、先端が通気孔5fから離れて気体5lを通す。
【0075】
バネ5dは、伸び縮みすることで可動部5cの移動を制御するもので、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差と連動して可動部5cの位置を調整する。高圧力部5jの圧力が増せばバネ5dが縮んで可動部5cを後方に移動させ、低圧力部5kの圧力が増せばバネ5dが伸びて可動部5cを前方に移動させる。
【0076】
ストッパー5eは、ピストン5bの端をシリンダ5aの後背部に固定することで、ピストン5bを支えている部材である。ストッパー5eで押さえることで、ピストン5bがシリンダ5a内で安定し、バネ5dの伸縮も有効に働き、可動部5cを移動させることができる。
【0077】
可動部5cとストッパー5eとはバネ5dにより接続されるが、バネ5dの内側で可動部5cとストッパー5eとをスライド構造にすることにより、バネ5dの部分の安定性を保つとともに、可動範囲を制御する。
【0078】
給気装置5は、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差を利用してピストン5bを移動させることにより、気体5lの供給を制御する。高圧力部5jおよび低圧力部5kは、圧力検出器4cおよび圧力検出器4dと管5n、5oで接続され、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの圧力を反映させる。具体的には、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの間の部分の渦崩壊部4bで渦崩壊が発生しているときは、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの圧力差が増大し、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差がバネ5dの反力よりも大きくなると、ピストン5bが右に移動して通気孔5fが開く。
【0079】
なお、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの間の部分の渦崩壊部4bで渦崩壊が発生しない場合は、給気孔3eへの給気量が多く、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの圧力差が小さい場合であり、給気量を制御するために、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力が均衡した際のピストン5bの位置を、通気孔5fが閉まる位置にしておく。
【0080】
図11Aおよび図11Bは渦崩壊用ノズル4での渦崩壊を示す図であり、渦崩壊ありの場合(図11A)の渦崩壊用ノズル4および渦崩壊なしの場合(図11B)の渦崩壊用ノズル4の状態を示したものであ。図11Aに示すように、渦崩壊ありの場合には、縮流部4aから来た気柱6bは、渦崩壊部4bの中間付近で渦崩壊し、マイクロバブル6dとなって出て行くため、渦崩壊部4bの出口における圧力は、渦崩壊部4bの入口における圧力よりも小さくなる。
【0081】
圧力検出器4cにより渦崩壊部4bの入口の圧力を検出し、圧力検出器4dにより渦崩壊部4bの出口の圧力を検出して、渦崩壊部4b内に圧力差があれば、正常に渦崩壊が起きており、このまま給気を行う。
【0082】
渦崩壊なしの場合(図11B)には、縮流部4aから来た気柱6bは、渦崩壊部4b内では渦崩壊せず、マイクロバブル6dとならないため、渦崩壊部4bの出口における圧力は、渦崩壊部4bの入口における圧力とほとんど変わらない。このとき、圧力検出器4cにより渦崩壊部4bの入口の圧力を検出し、圧力検出器4dにより渦崩壊部4bの出口の圧力を検出して、渦崩壊部4b内に圧力差がなければ、給気を抑制し、渦崩壊が起きるように調整する。
【0083】
このように、給気量が適正でなければ、気柱6bは渦崩壊せずマイクロバブル6dが得られないので、この第1の実施形態では、渦崩壊しているかどうかを渦崩壊部4bの圧力差によって確認し、さらに上述のようにこの圧力差を利用して自動的に給気量を調整することができる。
【0084】
次に、気体5lの給気量(気体流量)Qa とマイクロバブル6dの径dとの関係について説明する。
【0085】
渦崩壊用ノズル4の前面に張り付いた気柱6bが受ける剪断によって発生する気泡径を Hinzeスケール(圧力による分断作用と表面張力とが釣り合った平衡状態における径dH )に従って算定すると図12に示すようになる。詳細は省略するが、マイクロバブル6dが HinzeスケールdH まで微粒化されるときの気体5lの給気量Qa は、下式(7)で与えられる。
【0086】
【数7】
ここで、d0 は次の式 (8) 〜(10)から算定される。
【0087】
【数8】
【0088】
【数9】
【0089】
【数10】
【0090】
ただし、F(x)は下式(11)で表される。
【0091】
【数11】
ここで、γは気体5lと液体6との界面張力係数である。
【0092】
図13、図14および図15は、Γe がそれぞれ=2、3および4のときの給気量Qa を示す。
【0093】
Hinzeスケールのマイクロバブル6dを生成するときの給気量Qa と液体6の流量Qw との比は次式(12)で表される。
【0094】
【数12】
【0095】
図16、図17および図18は、Γe がそれぞれ2、3および4のときの給気量Qa と液体6の流量Qw との比をプロットしたものである。図16、図17および図18より、fe >100Hzおよびre <2cmの範囲内では、Qa /Qw はfe およびre にあまり依存しない。このときのQa /Qw を漸近的に計算すると次式(13)のようになる。
【0096】
【数13】
【0097】
この式はΓe 〜2.5の実験における値Qa /Qw 〜0.005により検証されている(山田ら、流体力学会年会2005、AM05−24−002)。
【0098】
渦崩壊用ノズル4の出口のエッジでは旋回流6cの剥がれによって音が発生するが、この音は、例えば、このエッジに微細な繊維(例えば、綿状のもの)を貼ったり、渦崩壊用ノズル4の縮流部4aの入り口にその直径方向に針金(例えば、数mm径のもの)を張り渡して上流の気柱6bを乱したりすることで消音することが可能である。
【0099】
次に、この発明の第2の実施形態によるマイクロバブル発生装置について説明する。
【0100】
図19に示すように、このマイクロバブル発生装置1においては、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの先端にテーパー部4hを設けて、出口をテーパー状に広げた。すなわち、第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4では、渦崩壊部4bの先端である出口の角度4iが0度であるのに対し、この第2の実施形態によるマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4では、渦崩壊部4bの出口の角度(テーパー角)4iを十分に大きくしたテーパー部4hを設けている。この角度4iは、具体的には、例えば60度または80度程度にするが、これに限定されるものではない。
【0101】
第1の実施形態の渦崩壊用ノズル4の場合は、渦流部2bで旋回流6cの中心付近に生じた気柱6bが、縮流部4aで流速が増され、渦崩壊部4bで細かく潰されることにより、マイクロバブル6dが発生するのに対して、この第2の実施形態の渦崩壊用ノズル4の場合は、気柱6bは渦崩壊部4bを通過し、テーパー部4hにおいて、コアンダ効果により気泡となって張り付く。テーパー部4hに張り付いた気泡は、渦流部2bから続く旋回流6cにより剪断または破砕され、マイクロバブル6dが発生する。このようにテーパー部4hに張り付くことにより、気泡が剪断を受ける時間が長くなり、気泡の微粒化が促進される。
【0102】
なお、コアンダ効果とは、流れの中に物体を置いたときに、置いた物体に沿って流れの向きが変わる流体の性質のことで、旋回流6cが渦崩壊部4bからテーパー部4hに入ってテーパー状に広がることで気柱6bも広がり、気泡がテーパー部4hに張り付く。
【0103】
この第2の実施形態の渦崩壊用ノズル4の寸法は、縮流部4aの入口の内径(=パイプ2の内径2d)、縮流部4aの角度4eおよび渦崩壊部4bの内径4fは、第1の実施形態の渦崩壊用ノズル4と同様であるが、円筒状の渦崩壊部4bの長さ4gについては、内径4fと同程度である。
【0104】
図20A、図20Bおよび図20Cは、渦崩壊部4bの形状を変えた場合のマイクロバブル発生装置1のマイクロバブル6dの発生状況を比較した図である。
【0105】
図20Aに示すように、第1の実施形態の渦崩壊用ノズル4の場合、パイプ2の渦流部2bから縮流部4aに流れてきた気柱6bは、渦崩壊部4bにおいて渦崩壊してマイクロバブル6dが発生するが、直線状の狭い範囲にしか広がらない。
【0106】
図20Bに示す渦崩壊用ノズル4は、渦崩壊部4bの全体をテーパー部とした場合であるが、このテーパー部において発生したマイクロバブル6dは、図20Aの場合に比べて僅かに範囲が広がる程度である。
【0107】
図20Cに示す渦崩壊用ノズル4の場合、テーパー部4hに張り付いた気泡を剪断または破砕することによりマイクロバブル6dが発生するので、マイクロバブル6dはテーパー状に非常に広い範囲に広がる。
【0108】
図21Aおよび図21Bは二種類の渦崩壊の様子を示す。いずれも渦崩壊用ノズル4の出口のテーパー部4hの急拡部の存在により渦は不安定となり渦崩壊が生じるが、図21Aに示す渦崩壊では、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの最小断面で流れが超臨界(supercritical)となり擾乱が上流に伝播できないのに対し、図21Bに示す渦崩壊では、渦崩壊用ノズル4の全領域で亜臨界(subcritical)となり擾乱は上流に伝播する。
【0109】
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの先端にテーパー部4hが設けられていることにより、旋回流6cはこのテーパー部4hに張り付く。このため、マイクロバブル6dの発生効率の向上を図ることができるとともに、テーパー部4hの角度4iの選定によりマイクロバブル6dの噴き出し方向の制御を容易に行うことができる。
【0110】
〔製造方法〕
次に、前述の方法により発生させたマイクロバブルの導入方法について、以下詳述する。
【0111】
〈第1形態例〉
前記ミキサ21に対して練混ぜ水のみを入れ、マイクロバブル発生装置1を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、ミキサ21内にセメント及び必要に応じて骨材を混入し、前記マイクロバブル混入練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混合してセメントミルク、モルタル又はコンクリートを製造するようにする。この形態例の場合には、特にマイクロバブルを導入する対象物質が水であるため、マイクロバブル発生装置1として小型のもので足りるようになる。
【0112】
〈第2形態例〉
前記ミキサ21に対して、練混ぜ水と、セメントとを入れ、これらを混練してセメントミルク状態とした後、前記マイクロバブル発生装置1を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、ミキサ21内に必要に応じて骨材を混入し、セメントミルク、モルタル又はコンクリートを製造するようにする。この場合は、マイクロバブルを導入する対象物質がセメントミルク(水+セメント)であり、粘性を有するものの、マイクロバブル発生装置1としては小型のもので足りるようになる。
【0113】
〈第3形態例〉
前記ミキサ21に対して、前記練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを入れ、これらを混練してフレッシュ状態のセメントミルク、モルタル又はコンクリートをマイクロバブル発生装置1を通過させることによりマイクロバブルを導入するようにする。この場合は、すべての材料を混練した状態でマイクロバブルを導入するため、マイクロバブル発生装置1は若干大型化するが、基本的にすべての材料を混練したセメントミルク、モルタル又はコンクリート状態でワーカビリティーを人為的に制御できるようになる。
【0114】
なお、以上の形態例においては、補助的にAE剤、発泡剤、起泡剤等の混和剤を混入することも可能である。この場合でも、AE剤、発泡剤、起泡剤等の混和剤の混入量低減に効果を有するようになる。
【0115】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、定置式ミキサー21に対してマイクロバブル発生装置1を設けるようにしたが、例えばミキサー車、吹付け台車などの移動式のものに対しても同様に適用することが可能である。
(2)上記形態例では、セメントミルク、モルタル又はコンクリート材料として、練混ぜ水、セメント、必要に応じて骨材の3種類を挙げているが、各種混和材等を混合してもよい。
(3)上記形態例では、練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜたセメントミルク、モルタル又はコンクリートにおいて、該セメントミルク、モルタル又はコンクリートの材料混練時に、マイクロバブル発生装置により発生させたマイクロバブルを導入させることにより、AE剤等の気泡発生用混和剤を省略可能とした例について述べたが、本発明は化学分野や食品分野等において、材料混練時に粘性を示す流動材料一般に対して適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係るセメントミルク、モルタル又はコンクリートの製造装置を示す概略である。
【図2】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の本体を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の翼型ノズルの翼体を示す斜視図である。
【図4】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の翼型ノズルの翼体を示す正面図である。
【図5】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の翼型ノズルの翼体を示す縦断面図である。
【図6】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の翼型ノズルの翼体の一つの翼の形状を示す略線図である。
【図7】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図である。
【図8】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の給気装置を示す縦断面図である。
【図9】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの縮流部におけるサーキュレーション数を説明するための略線図である。
【図10】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの臨界ノズル半径を説明するための略線図である。
【図11】(A)および(B)は、第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルで生じる渦崩壊を示す略線図である。
【図12】Hinzeスケールを説明するための略線図である。
【図13】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が2のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図14】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が3のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図15】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が4のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図16】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が2のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図17】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が3のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図18】第1の実施形態によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が4のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図19】第2の実施形態によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図である。
【図20】(A)、(B)および(C)は、第2の実施形態によるマイクロバブル発生装置におけるマイクロバブルの発生状況を他の例と比較した略線図である。
【図21】(A)および(B)は、第2の実施形態によるマイクロバブル発生装置における二種類の渦崩壊の様子を示す略線図である。
【符号の説明】
【0117】
1・1a〜1d…マイクロバブル発生装置、2…パイプ、2a…入口、2b…渦流部、2c…出口、2d…内径、3…翼型ノズル、3a…本体、3b…翼、3c…球状部、3d…溝、3e…給気孔、3f…噴射孔、3g…翼間隔、3h…翼角、3i…ノズル長、3j…ノズル径、3k…翼長、4…渦崩壊用ノズル、4a…縮流部、4b…渦崩壊部、4c…圧力検出器、4d…圧力検出器、5…給気装置、5a…シリンダ、5b…ピストン、5c…可動部、5d…バネ、5e…ストッパー、5j…高圧力部、5k…低圧力部、5l…気体、6…水、6a…水流、6b…気柱、6c…旋回流、6d…マイクロバブル、9…渦崩壊用ノズル、9a…テーパー部、9b…角度、9c…マイクロバブル、20…コンクリート製造装置、21…ミキサー、22…循環流路、23…マイクロバブル発生装置、24…ポンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体の材料混練時にマイクロバブルを導入したことを特徴とするマイクロバブル混入物。
【請求項2】
少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜたセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料において、該セメントミルク、モルタル又はコンクリートの材料混練時にマイクロバブルを導入したことを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料。
【請求項3】
少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水をマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、このマイクロバブル混入練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混合してセメントミルク、モルタル又はコンクリートを製造することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法。
【請求項4】
少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水と、セメントとを混練しセメントミルク状態とした後、このセメントミルクをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、必要に応じて骨材を混合することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法。
【請求項5】
少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混練した後、このフレッシュ状態のセメントミルク、モルタル又はコンクリートをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法。
【請求項6】
粘性流体材料、或いはセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料を混練するためのミキサーに対して、前記ミキサーから送給され、再びミキサーに返送させる循環流路を形成するとともに、この循環流路の中間にポンプと、マイクロバブル発生装置とを配設したことを特徴とするマイクロバブル混入物、マイクロバブル混入セメント系材料の製造装置。
【請求項1】
粘性流体の材料混練時にマイクロバブルを導入したことを特徴とするマイクロバブル混入物。
【請求項2】
少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜたセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料において、該セメントミルク、モルタル又はコンクリートの材料混練時にマイクロバブルを導入したことを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料。
【請求項3】
少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水をマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、このマイクロバブル混入練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混合してセメントミルク、モルタル又はコンクリートを製造することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法。
【請求項4】
少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水と、セメントとを混練しセメントミルク状態とした後、このセメントミルクをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入した後、必要に応じて骨材を混合することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法。
【請求項5】
少なくとも練混ぜ水とセメントとを含み、必要に応じて骨材とを混合して練混ぜるセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料の製造方法において、前記練混ぜ水と、セメントと、必要に応じて骨材とを混練した後、このフレッシュ状態のセメントミルク、モルタル又はコンクリートをマイクロバブル発生装置を通過させることによりマイクロバブルを導入することを特徴とするマイクロバブル混入セメント系材料の製造方法。
【請求項6】
粘性流体材料、或いはセメントミルク、モルタル又はコンクリートのセメント系材料を混練するためのミキサーに対して、前記ミキサーから送給され、再びミキサーに返送させる循環流路を形成するとともに、この循環流路の中間にポンプと、マイクロバブル発生装置とを配設したことを特徴とするマイクロバブル混入物、マイクロバブル混入セメント系材料の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−191358(P2007−191358A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11947(P2006−11947)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【出願人】(591211917)川田建設株式会社 (18)
【出願人】(000172813)佐藤工業株式会社 (73)
【出願人】(000182030)若築建設株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【出願人】(591211917)川田建設株式会社 (18)
【出願人】(000172813)佐藤工業株式会社 (73)
【出願人】(000182030)若築建設株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
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