説明

マイクロマニピュレータ

【課題】 先端で微細加工が可能なマイクロマニピュレータを提供する。
【解決手段】 アームホルダ2に保持されるアーム3と、前記アーム3の先端に備えられたモータホルダ4と、前記モータホルダ4に固定された小型モータ5と、から構成され、前記小型モータ5の出力軸6はダイヤモンドで形成され、その先端にレーザ加工を行い、ドリル刃7を形成することにより、穴あけや切削等の微細加工が可能となり、また、ドリル刃の芯出し精度を考慮する必要が無くなり、より高精度な加工が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジー分野や、マイクロマシン分野等におけるマイクロマニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遺伝子、細胞、微小部品、微小工具などの微細な対象物を操作・加工することを目的としたマイクロマニピュレータがある。これはステージ上の対象物に、アーム部からなるマニピュレータによって、作業を行うもので、その駆動方式としては、純機械式タイプ、空気圧駆動タイプ、油圧(水圧)駆動タイプ、電磁力駆動タイプ、電動モータ駆動タイプ、圧電駆動タイプがある。細胞操作用マイクロマニピュレータは、一般に微動用と粗動用とで別々の駆動方式を用い、これらを組み合わせた構成となっている。制御方式としては、顕微鏡やカメラなどから得られる視覚情報を用いて、マニュアル操作で、その微小位置の制御を行っているのが主流である。
【0003】
また、下記特許文献1に記載のマイクロマニピュレータは、直線方向に移動自在な移動体と、この移動体に取り付けられた圧電・電歪素子と、この圧電・電歪素子の先端部に取り付けられたマイクロマニピュレータ用微小器具とを有するものである。
【特許文献1】特開2003−001574
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマイクロマニピュレータでは、その作業として、対象物を掴むもしくはエアによって吸い着けることにより、対象物を保持し、そのままアームを移動することによって、対象物を移動させることが可能である。また、上記特許文献1に示すような、マイクロマニピュレータは、圧電・電歪素子により可動するマイクロマニピュレータ用微小器具の卵細胞内への挿入を行うものである。しかしながら、このようなマイクロマニピュレータでは、穴あけや切削等の微細加工はできない。
【0005】
したがって、本発明は、上記の問題点を解決するため、先端で微細加工が可能なマイクロマニピュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、アーム先端に小型モータを固定し、該小型モータの出力軸の先端側にドリル刃が形成されたことを特徴とするマイクロマニピュレータとしている。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記小型モータの出力軸の先端に、ドリル刃が一体的に形成されたことを特徴とする請求項1記載のマイクロマニピュレータとしている。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記出力軸が工業用宝石で形成されたことを特徴とする請求項1もしくは2記載のマイクロマニピュレータとしている。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記小型モータの出力軸の先端に、キャップを固着させ、該キャップにドリル刃が形成されたことを特徴とする請求項1記載のマイクロマニピュレータとしている。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記キャップが工業用宝石で形成されたことを特徴とする請求項4記載のマイクロマニピュレータとしている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマイクロマニピュレータにおいて、アーム先端に小型モータを固定し、該小型モータの出力軸の先端にドリル刃を形成したことにより、穴あけや切削等の微細加工が可能となる。また、出力軸の先端にドリル刃を一体的に形成することにより、ドリル刃の芯出し精度を考慮する必要が無くなり、より高精度な加工が可能となる。
【0012】
また、本発明のマイクロマニピュレータでは、ドリル刃を工業用宝石で形成したことにより、摩耗に強く、長寿命化が可能なマイクロマニピュレータを形成することができる。
【0013】
また、本発明のマイクロマニピュレータでは、工業用宝石からなる、ドリル刃を形成されたキャップを小型モータの出力軸の先端側に固着することにより、加工性が良くなり、小型モータの出力軸の先端側に、ドリル刃を容易に形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の最良の形態に係るマイクロマニピュレータについて、添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明の第1実施例におけるマイクロマニピュレータ1は、アームホルダ2に保持されるアーム3と、前記アーム3の先端に備えられたモータホルダ4と、前記モータホルダ4に固定された小型モータ5と、から構成される。
【0016】
図2に示すように、前記出力軸6はダイヤモンドで形成され、その先端にレーザ加工を行い、ドリル刃7を形成する。
【0017】
このとき、前記アームホルダ2を保持しているベース8が移動することにより、前記アーム3が移動し、先端の前記ドリル刃7を加工対象物(図示せず)に接するまで移動させ、前記小型モータ5を駆動させ、前記ドリル刃7が高速回転し、微細加工を行う。
【0018】
図3に示すように、本発明の第2実施例におけるマイクロマニピュレータ9は、アームホルダ10に保持されるアーム11と、前記アーム11の先端に備えられたモータホルダ12と、前記モータホルダ12に固定された小型モータ13と、前記小型モータ13の出力軸14に固着されたキャップ15と、から構成される。
【0019】
図4に示すように、前記出力軸14に固着されたキャップ15は、ダイヤモンドで形成され、前記出力軸14の先端へロウ付けにより固着される。さらに、前記キャップ15は、前記出力軸14の先端へ固着後、レーザにより加工が行われ、ドリル刃16が形成される。
【0020】
このとき、前記アームホルダ10を保持しているベース17が移動することにより、前記アーム11が移動し、先端の前記ドリル刃16を有する前記キャップ15を加工対象物(図示せず)に接するまで移動させ、前記小型モータ13を駆動させ、前記出力軸14と共に前記キャップ15の前記ドリル刃16が高速回転し、微細加工を行う。
【0021】
本発明のマイクロマニピュレータでは、ドリル刃や、ドリル刃を有するキャップを小型モータの出力軸の先端に設けることにより、マニピュレータを用いた微細加工が可能となる。
【0022】
尚、本実施例では、ドリル刃や、ドリル刃を有するキャップを形成する工業用宝石としてダイヤモンドを用いたが、これに限るものではなく、サファイアやルビー等、硬質で摩耗に強い材料であればよい。また、ドリル刃の形状においても、図示する形状はその一例にすぎず、微細加工が可能な形状であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明における第1実施例のマイクロマニピュレータを示す正面図である。
【図2】本発明における第1実施例のマイクロマニピュレータの先端部を示す拡大図である。
【図3】本発明における第2実施例のマイクロマニピュレータを示す正面図である。
【図4】本発明における第2実施例のマイクロマニピュレータの先端部を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0024】
1,9 マイクロマニピュレータ
2,10 アームホルダ
3,11 アーム
4,12 モータホルダ
5,13 小型モータ
6,14 出力軸
7,16 ドリル刃
8,17 ベース
15 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム先端部に小型モータを固定し、該小型モータの出力軸の先端にドリル刃が形成されたことを特徴とするマイクロマニピュレータ。
【請求項2】
前記小型モータの出力軸の先端に、ドリル刃が一体的に形成されたことを特徴とする請求項1記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項3】
前記出力軸が工業用宝石で形成されたことを特徴とする請求項1もしくは2記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項4】
前記小型モータの出力軸の先端に、キャップを固着させ、該キャップにドリル刃が形成されたことを特徴とする請求項1記載のマイクロマニピュレータ。
【請求項5】
前記キャップが工業用宝石で形成されたことを特徴とする請求項4記載のマイクロマニピュレータ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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