説明

マイクロリアクタ

【課題】流路の成型に費やす手間及び時間が少なくて済むと共に強度に優れた構造のマイクロリアクタを提供する。
【解決手段】温度制御流体により熱交換を行いながら反応させるマイクロリアクタ1において、被反応流体を導入するための第1入口ポート22と、反応済流体を導出するための第1出口ポート32と、温度制御流体を導入するための第2入口ポート42と、温度制御流体を導出するための第2出口ポート52と、第1薄型基板67と第2薄型基板66とを交互に順次積層した薄板積層体6とを有し、第1薄型基板は、第1入口ポートと第1出口ポートとに連通可能に設けられ0.5mm幅以下の第1スリット67cを有し、第2薄型基板は、第2入口ポートと第2出口ポートとに連通可能に設けられ第1薄型基板に重ね合わせた状態で第1スリットに連通しない位置に形成された第2スリット66cを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微少な流路を用いて、流体の混合や反応を行うマイクロリアクタに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ化学プラントは、マイクロスケールの空間内での混合、化学反応、分離などを利用した生産設備であり、大型タンク等を用いた従来のバッチ方式のプラントと比較して多くの有利点を備える。例えば、複数の流体の混合や化学反応を短時間且つ微量の試料で行えること、装置が小型であるため実験室レベルで生成物の製造技術を確立できればナンバリングアップを行うことで容易に量産用の設備化ができること、爆発などの危険を伴う反応にも適用可能であること、多品種少量生産を必要とする化合物の生成などにも素早く適応できること、需要量に合わせた生産量の調整が容易にできることなどである。このため、化学工業や医薬品工業の分野では、流体の混合または反応を行い材料や製品を製造するための好適な装置として注目され、近年、その研究開発が盛んに行われている。
【0003】
マイクロ化学プラントは、材料供給装置、マイクロミキサ、熱交換装置、マイクロリアクタ、分離装置、これらの各装置を接続する配管、及び制御装置などを主構成要素とする。このうち、マイクロミキサ及びマイクロリアクタは、それぞれ流路幅が数μm〜1mm程度のオーダーである微少な流路を有し、この流路に導かれた複数種類の流体を互いに接触させることで混合または化学反応を生起するものである。マイクロミキサとマイクロリアクタとは、基本的には共通な構成とされ、一般にその用途が混合である場合はマイクロミキサと呼び、化学反応である場合はマイクロリアクタと呼ぶが、本明細書では、マイクロミキサもマイクロリアクタの一部として扱う。
【0004】
一般にマイクロリアクタは、混合または反応温度を制御できるように、熱交換器を備えている。熱交換器を備えたマイクロリアクタとして、例えば特許文献1や非特許文献1にその記載がある。
【0005】
特許文献1に記載のマイクロリアクタは、図5(A)に示すように、表面に複数本の溝71を備えた反応プレート72と、反応プレート72の下面に取り付けられ表面に複数本の溝73を備えた熱交換器74とを備える。反応プレート72と熱交換器74とは、それぞれに形成された溝71,73が平行となるように配置される。反応プレート72の溝71は被反応液の流路として機能し、熱交換器74の溝73は熱媒の流路として機能する。
【0006】
非特許文献1に記載のマイクロリアクタは、図5(B)に示すように、表面に複数本の溝81を備えた反応プレート82と、表面に複数本の溝83を備えた熱交換器84とを交互に積層して構成される。反応プレート82と熱交換器84とは、それぞれに形成された溝81,83が直交するように配置される。反応プレート82の溝81は被反応液の流路として機能し、熱交換器84の溝83は熱媒の流路として機能する。
【0007】
【特許文献1】特開2004−285001
【非特許文献1】「マイクロリアクター」(吉田潤一、シーエムシー出版)第29頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図5(A),(B)に示した各マイクロリアクタでは、いずれもその流路は断面視が略「凹」字形の有底溝で形成される。つまり、底部は流路の壁面の一部として残しておく必要があり、反応プレート及び熱交換器の板厚が0.5mm程度であることを考えると、底部は極めて薄いものとなり、流路の成型に多くの手間及び時間を費やす必要があり、しかも強度的にも問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、流路の成型に費やす手間及び時間が少なくて済むと共に強度に優れた構造のマイクロリアクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、請求項1のマイクロリアクタ1は、マイクロ流路を通過する被反応流体に対して温度制御流体により熱交換を行いながら反応させ反応済流体として導出するマイクロリアクタ1において、被反応流体を導入するための第1入口ポート22と、反応済流体を導出するための第1出口ポート32と、温度制御流体を導入するための第2入口ポート42と、温度制御流体を導出するための第2出口ポート52と、第1薄型基板67と第2薄型基板66とを交互に順次積層した薄板積層体6とを有し、第1薄型基板67は、第1入口ポート22と第1出口ポート32とに連通可能に設けられ0.5mm幅以下の第1スリット67cを有し、第2薄型基板66は、第2入口ポート42と第2出口ポート52とに連通可能に設けられ第1薄型基板67に重ね合わせた状態で第1スリット67cに連通しない位置に形成された第2スリット66cを有することを特徴とする。
【0011】
請求項2のマイクロリアクタ1では、第1薄型基板67は、第1薄型基板67の上下に積層される第2薄型基板66,68における第2スリット66c,68cの端部同士を連通させるための第1挿通孔67bを備え、第2薄型基板66は、第2薄型基板66の上下に積層される第1薄型基板65,67における第1スリット65c,67cの端部同士を連通させるための第2挿通孔66aを備える。
【0012】
請求項3のマイクロリアクタ1は、最上層の第1薄型基板65における第1スリット65cの端部が第1入口ポート22に連通し、最下層の第1薄型基板611における第1スリット611cの端部が第1出口ポート32に連通し、最上層の第2薄型基板64における第2スリット64cの端部が第2入口ポート42に連通し、最下層の第2薄型基板610における第2スリット610cの端部が第2出口ポート52に連通してなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、第2スリット66cは、第1薄型基板67と第2薄型基板66とを重ね合わせた状態で第1スリット67cに連通しない位置に形成される。このため、第1薄型基板67と第2薄型基板66とを交互に順次積層することにより、第1スリット67cは、密封された状態で第1入口ポート22と第1出口ポート32とに連通する。これと同様に第2スリット66cも、密封された状態で第2入口ポート42と第2出口ポート52とに連通する。これにより、第1スリット67cは被反応流体のマイクロ流路となり、第2スリット66cは温度制御流体の流路となる。したがって、従来と異なり、薄型基板上に底厚の薄い有底流路を成型する必要がなく、それに費やす手間及び時間を節減できる。そして強度的にも優れる。また、第2スリット66c,68cの端部同士を連通させ、第1スリット65c,67cの端部同士を連通させることにより、第2スリット66c,68cにより形成される流路の長さ、及び第1スリット65c,67cにより形成される流路の長さを長いものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明に係るマイクロリアクタの一部分解斜視図、図2,3はリアクタ本体を構成する各薄型基板の平面図である。
【0015】
図1に示すように、本発明に係るマイクロリアクタ1は、被反応液導入用プラグ2、反応済液導出用プラグ3、熱媒導入用プラグ4、熱媒導出用プラグ5、リアクタ本体6、ボルト7、ナット8及びOリング9から構成される。
【0016】
被反応液導入用プラグ2及び反応済液導出用プラグ3は、ステンレス鋼を材質とし、リアクタ本体6の長手方向一端側の上下にそれぞれ取付可能な有孔ブロック状体である。各プラグ2,3には、それぞれ厚さ方向に貫通する2本のボルト孔21,31が穿設され、中央部には厚さ方向に貫通する入口ポート22または出口ポート32が穿設される。入口ポート22は先窄状に形成され、先窄状の先端部分の内径は、リアクタ本体6における挿通穴61aの内径と同じサイズとされる。入口ポート22における先窄状の先端部分の外側周囲には、Oリング9を嵌着するための円形溝23を備える。出口ポート32も先窄状に形成され先窄状の先端部分の内径は、リアクタ本体6における挿通穴614a(図3(N)参照)の内径と同じサイズとされる。出口ポート32における先窄状の先端部分の外側周囲には、Oリング9を嵌着するための円形溝33を備える。
【0017】
熱媒導入用プラグ4及び熱媒導出用プラグ5は、上述した被反応液導入用プラグ2及び反応済液導出用プラグ3と同様にステンレス鋼を材質とし、リアクタ本体6の長手方向他端側の上下にそれぞれ取付可能な有孔ブロック状体である。各プラグ4,5には、それぞれ厚さ方向に貫通する2本のボルト孔41,51が穿設され、中央部には厚さ方向に貫通する入口ポート42または出口ポート52が穿設される。入口ポート42は先窄状に形成され、先窄部分の先端部分の内径は、リアクタ本体6における挿通穴61bの内径と同じサイズとされる。入口ポート42における先窄状の先端部分の外側周囲には、Oリング9を嵌着するための円形溝43を備える。出口ポート52も先窄状に形成され、先窄状の先窄部分の内径は、リアクタ本体6における挿通穴614b(図3(N)参照)の内径と同じサイズとされる。出口ポート52における先窄状の先端部分の外側周囲には、Oリング9を嵌着するための円形溝53を備える。
【0018】
リアクタ本体6は、図2,3に示すように、合計14枚の薄型基板61〜614から構成される。
【0019】
各薄型基板61〜614は、ステンレス鋼を材質とし、平面視がそれぞれ同一サイズの長方形を呈する。各薄型基板61〜614の厚さは0.5mm程度であり、各薄型基板61〜614の四隅には、それぞれ厚さ方向に貫通するボルト孔6hが穿設される。
【0020】
薄型基板61は、図2(A)に示すように、薄型基板61の長手方向についての両端にそれぞれ厚さ方向に貫通する円形の挿通孔61a,61bを備える。挿通孔61aはリアクタ本体6に被反応液を導入するための導入口となり、挿通孔61bはリアクタ本体6に熱媒を導入するための導入口となる。
【0021】
薄型基板62は、図2(B)に示すように、薄型基板62の長手方向についての両端にそれぞれ厚さ方向に貫通する長円形の挿通孔62a,62bを備える。挿通孔62a,62bは、薄型基板61と薄型基板62とを重ね合わせた状態で、それぞれ薄型基板61の挿通孔61a,61bに連通する。
【0022】
薄型基板63は、図2(C)に示すように、薄型基板63の長手方向についての一端に厚さ方向に貫通する2つの長円形の挿通孔63a、他端に3つの長円形の挿通孔63bを備える。2つの挿通孔63aは、薄型基板63の長手方向に直交する幅方向に沿って1列状となるように穿設される。3つの挿通孔63bは、薄型基板63の長手方向に直交する幅方向に沿って1列状となるように穿設される。挿通孔63a,63bは、薄型基板61と薄型基板62とを重ねた状態で、それぞれ薄型基板62の挿通孔62a,62bに連通する。
【0023】
薄型基板64は、図2(D)に示すように、薄型基板64の長手方向についての一端に厚さ方向に貫通する2つの円形の挿通孔64aを備える。2つの挿通孔64aは、薄型基板63と薄型基板64とを重ね合わせた状態で、それぞれ薄型基板63の2つの挿通孔63aに連通する。また、薄型基板64の長手方向に沿って互いに平行な3本のスリット64cを備える。3本のスリット64cの一端は、それぞれ薄型基板63と薄型基板64とを重ね合わせた状態で、それぞれ薄型基板63の挿通孔63bに連通する。
【0024】
薄型基板65は、図2(E)に示すように、薄型基板65の長手方向についての一端に厚さ方向に貫通する3つの円形の挿通孔65bを備える。3つの挿通孔65bは、薄型基板64と薄型基板65とを重ね合わせた状態で、それぞれ薄型基板64の3本のスリット64cに連通する。また、薄型基板65の長手方向に沿って互いに平行な2本のスリット65cを備える。各スリット65cは0.5mm幅とされる。薄型基板65における2本のスリット65cは、薄型基板64と薄型基板65とを重ね合わせた状態で、薄型基板64における3本のスリット64cに連通しない位置に形成される。2本のスリット65cの一端は、それぞれ薄型基板64と薄型基板65とを重ね合わせた状態で、それぞれ薄型基板64の挿通孔64aに連通する。
【0025】
図2(F),(G)及び図3(H)〜(K)に示すように、薄型基板66、薄型基板68及び薄型基板610は、それぞれ薄型基板64と同じものが使われ、薄型基板67、薄型基板69及び薄型基板611は、それぞれ薄型基板65と同じものが使われる。また、薄型基板612、薄型基板613及び薄型基板614は、それぞれ薄型基板63、薄型基板62及び薄型基板61と同じものが使われる。すなわち、薄型基板61〜614は合計14枚あるが、種類の異なるものは薄型基板61〜65の5種類であり、成型に費やす手間及び時間が少なくて済む。
【0026】
以上の薄型基板61〜614を上からこの順で積層し、拡散接合等により接合することでリアクタ本体6を形成する。そして、図1に示すように、リアクタ本体6の一端の上下にOリング9を介在させてそれぞれ被反応液導入用プラグ2及び反応済液導出用プラグ3を配置し、更にリアクタ本体6の他端部の上下にOリング9を介在させてそれぞれ熱媒導入用プラグ4及び熱媒導出用プラグ5を配置し、ボルト7を挿通孔21,6h,31及び挿通孔41,6h,51にそれぞれ挿通させナット8により締結し一体物とする。
【0027】
マイクロリアクタ1において、入口ポート22は、挿通孔61a、挿通孔62a、挿通孔63a及び挿通孔64aを介して薄型基板65における2本のスリット65cの一端に連通する。スリット65cは、薄型基板64と薄型基板65とを重ね合わせた状態で、薄型基板64における3本のスリット64cに連通しない位置に形成される。また、スリット65cは、薄型基板66と薄型基板65とを重ね合わせた状態で、薄型基板66における3本のスリット66cに連通しない位置に形成される。このため、薄型基板64と薄型基板65と薄型基板66とを重ね合わせた状態で、薄型基板64の表面とスリット65cの内壁と薄型基板66の表面とにより囲まれた被反応液用の流路が形成される。したがって、従来と異なり、薄型基板上に底厚の薄い有底流路を成型する必要がなく、それに費やす手間及び時間を節減できる。薄型基板67における2本のスリット67c、薄型基板69における2本のスリット69c、及び薄型基板611における2本のスリット611cについても、同様な構成により被反応液用の流路が形成され、最終的に挿通孔612a、挿通孔613a及び挿通孔614aを介して出口ポート32に連通するジグザグ状の流路となる。流路をジグザグ状とすることで、長い流路長を得ることができる。
【0028】
また、入口ポート42は、挿通孔61b、挿通孔62b及び挿通孔63bを介して薄型基板64における3本のスリット64cの一端に連通する。スリット64cは、薄型基板64と薄型基板65とを重ね合わせた状態で、薄型基板65における2本のスリット65cに連通しない位置に形成される。このため、薄型基板63と薄型基板64と薄型基板65とを重ね合わせた状態で、薄型基板63の表面とスリット64cの内壁と薄型基板65の表面とにより囲まれた熱媒用の流路が形成される。したがって、従来と異なり、薄型基板上に底厚の薄い有底流路を成型する必要がなく、それに費やす手間及び時間を節減できる。薄型基板66における3本のスリット66c、薄型基板68における3本のスリット68c、及び薄型基板610における3本のスリット610cについても、同様な構成により熱媒用の流路が形成され、最終的に挿通孔612b、挿通孔613b及び挿通孔614bを介して出口ポート52に連通するジグザグ状の流路となる。流路をジグザグ状とすることで、長い流路長を得ることができる。
【0029】
以上のように構成されたマイクロリアクタ1の使用例及び動作について、図4を参照して説明する。図4はマイクロリアクタ1の使用例及び動作を示す図である。
【0030】
図4に示すように、マイクロリアクタ1は、マイクロミキサ10及び熱媒循環装置11に接続して使用される。マイクロミキサ10とマイクロリアクタ1とは、マイクロミキサ10の出口ポート10bとマイクロリアクタ1の入口ポート22とを配管によりまたは直接に接続する。図4では、直接に接続した場合を示している。この場合は、ボルト7に十分長いものを使用し、マイクロミキサ10においてその肉厚方向に穿設された挿通孔(図示せず)に貫通させることでマイクロミキサ10とマイクロリアクタ1とを締結する。マイクロリアクタ1と熱媒循環装置11とは、マイクロリアクタ1の入口ポート42と熱媒循環装置11の出口ポート11bとを配管によりまたは直接に接続し、マイクロリアクタ1の出口ポート52と熱媒循環装置11の入口ポート11aとを配管によりまたは直接に接続する。図4では、配管により接続した場合を示している。
【0031】
図4において、マイクロミキサ10の入口ポート10aに所定の圧力で導入された複数種類の被混合液は、マイクロミキサ10に形成されたマイクロ流路10c内で混合され、混合済液として出口ポート10bから導出される。導出した混合済液は、被反応液としてマイクロリアクタ1の入口ポート22に導入され、リアクタ本体6の内部を、図4の矢印M1の経路を辿るようにして流れる。すなわち、被反応液は、リアクタ本体6を構成する各薄型基板61〜614において、挿通孔61a、挿通孔62a、挿通孔63a、挿通孔64a、スリット65c、挿通孔66a、スリット67c、挿通孔68a、スリット69c、挿通孔610a、スリット611c、挿通孔612a、挿通孔613a及び挿通孔614aの順で流れる(図2,3の矢印m1は、被反応液の流れる方向を示す)。そして、出口ポート32から導出される。
【0032】
一方、熱媒循環装置11から供給された熱媒は、マイクロリアクタ1の入口ポート42に導入される。入口ポート42から導入された熱媒は、リアクタ本体6の内部を、図4の一点鎖線矢印M2の経路を辿るようにして流れる。すなわち、熱媒は、リアクタ本体6を構成する各薄型基板61〜614において、挿通孔61b、挿通孔62b、挿通孔63b、スリット64c、挿通孔65b、スリット66c、挿通孔67b、スリット68c、挿通孔69b、スリット610c、挿通孔611b、挿通孔612b、挿通孔613b及び挿通孔614bの順で流れる(図2,3の矢印m2は、熱媒の流れる方向を示す)。そして、出口ポート52から導出される。このように、被反応液が流れる流路と熱媒が流れる流路とが交互に配置されるため、熱媒は被反応液に効率良く熱を伝達することができる。なお、用途に応じて熱媒の代わりに冷却水を用いても良い。これらの熱媒または冷却水が本発明の温度制御流体に相当する。
【0033】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上に開示した実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るマイクロリアクタの一部分解斜視図である。
【図2】リアクタ本体を構成する各薄型基板の平面図である。
【図3】リアクタ本体を構成する各薄型基板の平面図である。
【図4】マイクロリアクタの使用例及び動作を示す図である。
【図5】熱交換器を備えた従来のマイクロリアクタを示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 マイクロリアクタ
6 リアクタ本体(薄板積層体)
22 入口ポート(第1入口ポート)
32 出口ポート(第1出口ポート)
42 入口ポート(第2入口ポート)
52 出口ポート(第2出口ポート)
64 薄型基板(最上層の第2薄型基板)
64c スリット(第2スリット)
65 薄型基板(最上層の第1薄型基板)
65c スリット(第1スリット)
66 薄型基板(第2薄型基板)
66a 挿通孔(第2挿通孔)
66c スリット(第2スリット)
67 薄型基板(第1薄型基板)
67b 挿通孔(第1挿通孔)
67c スリット(第1スリット)
610 薄型基板(最下層の第2薄型基板)
610c スリット(第2スリット)
611 薄型基板(最下層の第1薄型基板)
611c スリット(第1スリット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流路を通過する被反応流体に対して温度制御流体により熱交換を行いながら反応させ反応済流体として導出するマイクロリアクタにおいて、被反応流体を導入するための第1入口ポートと、反応済流体を導出するための第1出口ポートと、温度制御流体を導入するための第2入口ポートと、温度制御流体を導出するための第2出口ポートと、第1薄型基板と第2薄型基板とを交互に順次積層した薄板積層体とを有し、第1薄型基板は、第1入口ポートと第1出口ポートとに連通可能に設けられ0.5mm幅以下の第1スリットを有し、第2薄型基板は、第2入口ポートと第2出口ポートとに連通可能に設けられ第1薄型基板に重ね合わせた状態で第1スリットに連通しない位置に形成された第2スリットを有することを特徴とするマイクロリアクタ。
【請求項2】
第1薄型基板は、第1薄型基板の上下に積層される第2薄型基板における第2スリットの端部同士を連通させるための第1挿通孔を備え、第2薄型基板は、第2薄型基板の上下に積層される第1薄型基板における第1スリットの端部同士を連通させるための第2挿通孔を備える請求項1に記載のマイクロリアクタ。
【請求項3】
最上層の第1薄型基板における第1スリットの端部が第1入口ポートに連通し、最下層の第1薄型基板における第1スリットの端部が第1出口ポートに連通し、最上層の第2薄型基板における第2スリットの端部が第2入口ポートに連通し、最下層の第2薄型基板における第2スリットの端部が第2出口ポートに連通してなる請求項1または請求項2に記載のマイクロリアクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−7558(P2007−7558A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191852(P2005−191852)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】