説明

マイクロ光ピックアップヘッド

【課題】 トラッキングやフォーカシングを行うためのアクチュエータの可動範囲を大幅に向上させることができる光ピックアップヘッドを提供する。
【解決手段】 フレームと、レンズと、キャリヤと、レバーと、フォーカシングアクチュエータとを備えるマイクロ光ピックアップヘッドが提供される。キャリヤは、レンズを運ぶためにフレームに配設されている。レバーは、作用アームと、荷重アームと、これら作用アームと荷重アームとの間に配設された支持部とを有する。荷重アームの長さは、作用アームの長さよりも長い。荷重アームは、キャリヤに接続されている。支持部は、フレームに固定されており、レバーの支点として用いられる。また、フォーカシングアクチュエータは、キャリヤがフォーカス方向に沿って移動することができるように作用アームに力を与えるのに用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光ピックアップヘッドに関し、特に、半導体製造プロセスにしたがって製造された光ピックアップヘッドに関する。この特許出願は、2005年9月14日に出願された台湾特許出願第094131704号の利益を享受するものであり、その内容は、引用することによってここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップヘッドは、光ディスクドライブのハードウェア構造において重要な部分である。光ピックアップヘッドの性能は、データにアクセスする際の速度及び密度と大いに関係がある。高密度のデータ保存についての今後の要求に対応して、ディスクのトラックピッチは、数ナノメータ程度にまで狭くなっている。現在の光ピックアップヘッドの質及び構造的なデザインによれば、位置決めの精度とシステムのアクセス速度は、ほとんど改善することができない。したがって、光記憶装置における今後の要求に対応して高い位置精度及び速いアクセス速度の特徴を有するマイクロ光ピックアップヘッドを開発することが必要である。米国特許出願公開第2004/0202101号明細書において、Kim等は、潤滑剤コーティングを光ピックアップヘッドに形成して光ピックアップヘッドのサイズ及び製造コストを低減するためにマイクロエレクトロメカニカルシステム(micro electromechanical system;MEMS)技術を用いる方法を開示している。また、Jong等は、第12回IEEE固体センサ・アクチュエータ・マイクロシステムズ国際会議(the 12th IEEE International Conference on Solid State Sensors, Actuators, and Microsystems)において、マイクロエレクトロメカニカルシステム技術にしたがって構成されたマイクロ光ピックアップヘッドモジュールを開示している。これらの開示から、マイクロエレクトロメカニカルシステム技術は、光ピックアップヘッドの今後の開発に関する主流の傾向であると考えることができる。
【0003】
マイクロエレクトロメカニカルシステムの光ピックアップヘッドは、トラッキング及びフォーカシングのために、櫛歯型アクチュエータを適用することができる。図1(A)及び図1(B)を用いて従来の櫛歯型アクチュエータの動作について説明する。図1(A)に示すように、櫛歯型アクチュエータ10は、櫛歯部12,14を備える。櫛歯部14は、弾性体16を介して静止面に固定されている。櫛歯部12,14に正電圧及び負電圧がそれぞれ印加されると、櫛歯部14を櫛歯部12に向かって引き寄せるような引力が、これら2つの櫛歯部12,14の間に発生する。バイアス電圧が除去されると、弾性体16の力は、櫛歯部14が元の位置に戻るのを可能とする。しかしながら、櫛歯部14の移動が大きすぎる場合には、弾性体16の力は、その均衡を失い、櫛歯部14が傾いてしまい、櫛歯部12と電気的に導通してしまう事態を招来する。その結果、櫛歯型アクチュエータ10は、図1(B)に示すように、焼き壊されてしまうかもしれない。したがって、従来の櫛歯型アクチュエータの可動範囲は、大きすぎることはない。その結果、従来の櫛歯型アクチュエータを光ピックアップヘッドのトラッキング及びフォーカシングに適用する場合には、従来の櫛歯型アクチュエータの動作は、制限されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、トラッキングやフォーカシングを行うためのアクチュエータの可動範囲を大幅に向上させることができる光ピックアップヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フレーム、レンズ、キャリヤ、レバー、及びフォーカシングアクチュエータを備える光ピックアップヘッドを提供することによって上述した目的を達成する。キャリヤは、レンズを運ぶためにフレームに配設されている。レバーは、作用アーム(effort arm)、荷重アーム(load arm)、及びこれら作用アームと荷重アームとの間に配設された支持部を有する。ここで、荷重アームの長さは、作用アームの長さよりも長い。また、荷重アームは、キャリヤに接続されている。さらに、支持部は、フレームに固定されており、レバーの支点として用いられる。そして、フォーカシングアクチュエータは、キャリヤがフォーカス方向に沿って移動するのを可能とするために作用アームに力を与えるのに用いられる。
【0006】
さらに、本発明にかかる光ピックアップヘッドは、フレームがトラッキング方向に沿って移動するように当該フレームを制御するために当該フレームに配設されたトラッキングアクチュエータを備える。トラッキングアクチュエータは、1対の櫛歯型電極を有する櫛歯型アクチュエータとすることができる。本発明にかかる光ピックアップヘッドは、さらに、可撓性のある連結要素と、可撓性のある支持要素とを備える。可撓性のある連結要素は、キャリヤがフォーカス方向に沿って移動するように荷重アームが当該キャリヤを駆動するのを可能とするために、キャリヤと荷重アームとを連結するのに用いられる。可撓性のある支持要素は、レバーがフレームに対して回転するのを可能とするために、当該フレームに支持部を固定するのに用いられる。
【0007】
さらにまた、キャリヤ、レバー、及びフォーカシングアクチュエータは、半導体製造プロセスにしたがって製造される。フォーカシングアクチュエータの材料は、単結晶シリコンを含む。本発明にかかる光ピックアップヘッドは、さらに、レンズを収容する収容スペースを有する保護カバーを備える。保護カバーの材料は、ガラス基板又は石英基板を含む。保護カバーは、収容スペースを形成する凹部をそれぞれ有する上カバーと下カバーとを備える。上カバーには、さらに、その上に光回折素子を配設することができる。
【0008】
また、本発明は、光ピックアップヘッドのフォーカシング方法を提供することによって上述した目的を達成する。まず、レンズを運ぶためにフレームに配設されたキャリヤが提供される。また、レバー及びフォーカシングアクチュエータを備えるフォーカシング装置が提供される。レバーは、作用アームと、荷重アームと、これら作用アームと荷重アームとの間に配設された支持部とを有する。ここで、荷重アームの長さは、作用アームの長さよりも長い。また、フォーカシングアクチュエータは、作用アームの作用端部に力を与えるのに用いられる。さらに、キャリヤは、荷重アームの荷重端部に接続されている。そして、支持部は、フレームに固定されており、レバーの支点として用いられる。続いて、フォーカシングアクチュエータは、作用端部で第1の移動量を発生するために作用アームに力を与える。最後に、キャリヤがフォーカス方向に沿って移動するように荷重アームが当該キャリヤを駆動するのを可能とするために、レバーの原理と第1の移動量とにしたがって、荷重端部に第1の移動量よりも大きい第2の移動量が発生される。
【0009】
また、フォーカシングアクチュエータは、1対の櫛歯型電極を有する櫛歯型フォーカシングアクチュエータとすることができる。この場合、本発明にかかるフォーカシング方法は、さらに、2つの櫛歯型電極間に引力を発生させるように当該櫛歯型電極間で互いに逆の極性を有するのを可能とするために、櫛歯型フォーカシングアクチュエータに電圧を印加するステップを備える。
【0010】
さらに、本発明は、フォーカシング装置を提供することによって上述した目的を達成する。本発明にかかるフォーカシング装置は、フォーカス方向に沿って移動するようにキャリヤを駆動するために光ピックアップヘッドのフレームに配設されている。本発明にかかるフォーカシング装置は、レバーと、フォーカシングアクチュエータとを備える。レバーは、作用アームと、荷重アームと、これら作用アームと荷重アームとの間に配設された支持部とを有する。ここで、キャリヤは、荷重アームに接続されている。また、支持部は、フレームに固定されており、レバーの支点として用いられる。さらに、フォーカシングアクチュエータは、作用アームに力を与えるために用いられる。そして、荷重アームの長さは、作用アームの長さよりも長い。
【0011】
また、本発明にかかるフォーカシング装置は、半導体製造プロセスにしたがって製造され、可撓性のある連結要素と可撓性のある支持要素とを備える。可撓性のある連結要素は、荷重アームとキャリヤとを連結するために用いられる。可撓性のある支持要素は、フレームに支持部を固定するために用いられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、トラッキングやフォーカシングを行うためのアクチュエータの可動範囲を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の他の目的、特徴、及び利点は、望ましいものの限定されることはない具体例についての以下の詳細な記述から明らかとなるであろう。以下の記述は、添付した図面を参照してなされる。
【0014】
図2は、本発明の望ましい具体例による光ディスクドライブの光ピックアップヘッドの構成を示す図である。光ピックアップヘッド100は、フレーム110と、キャリヤ120と、トラッキング装置130と、フォーカシング装置400とを備える。キャリヤ120は、フレーム110に配設されており、図示しないが、レンズを保持して固定するための弾性体を有する。
【0015】
トラッキング装置130は、フレーム110がトラッキング方向に沿って移動するように当該フレーム110を制御するために用いられる。トラッキング装置130は、それぞれフレーム110を挟んで2つの対向する側に配設された第1の櫛歯型トラッキングアクチュエータ132と、第2の櫛歯型トラッキングアクチュエータ134とを備える。第1の櫛歯型トラッキングアクチュエータ132及び第2の櫛歯型トラッキングアクチュエータ134は、それぞれ、1対の櫛歯部を含む。一方の櫛歯部は、フレーム110に配設されており、他方の櫛歯部は、光ピックアップヘッド100を運ぶ図示しないそり(sled)又は片持ち梁(cantilever)に配設されている。第1の櫛歯型トラッキングアクチュエータ132を例にとる。第1の櫛歯型トラッキングアクチュエータ132は、その2つの櫛歯部が逆の極性を有するように電圧を印加することにより、キャリヤ120が第1のトラッキング方向Dt1に向かって移動するように当該キャリヤ120を駆動することができる。同様に、第2の櫛歯型トラッキングアクチュエータ134は、キャリヤ120が第2のトラッキング方向Dt2に向かって移動するように当該キャリヤ120を駆動することができる。また、櫛歯部は、トラッキング方向への可動範囲が増加するように、弧状に設計することができる。
【0016】
本発明の具体例としてのフォーカシング装置400は、キャリヤ120が第1のフォーカス方向又は第2のフォーカス方向に向かって移動するように当該キャリヤ120を制御することができる。さらに、フォーカシング装置400は、上向きのフォーカシングと下向きのフォーカシングとをそれぞれ制御するために用いられる1対の下向きのフォーカシング装置200と、1対の上向きのフォーカシング装置300とを有する。図3に、図2に示した下向きのフォーカシング装置200の拡大図を示す。下向きのフォーカシング装置200は、レバー230と、櫛歯型フォーカシングアクチュエータ250と、薄いフィルムシャフトによって形成された可撓性のある連結シャフト220等の可撓性のある連結要素と、薄いフィルムシャフトによって形成された可撓性のある支持シャフト240等の可撓性のある支持要素とを備える。レバー230は、3つの部分に分割することができる。すなわち、レバー230は、作用アーム212と、荷重アーム214と、作用アーム212と荷重アーム214との間に配設された支持部216とに大別される。支持部216は、荷重アーム214の長さが作用アーム212の長さよりも長くなるように作用端部の近くに配設されている。
【0017】
レバー230は、荷重アーム214に接続されている可撓性のある連結シャフト220を用いることによってキャリヤ120に接続されており、可撓性のある支持シャフト240を用いることによって支持部216をフレーム110に配設している。櫛歯型フォーカシングアクチュエータ250は、図2のレバー230の作用アーム212とフレーム110とにそれぞれ配設されている1対の櫛歯部252,254を備える。櫛歯部252は、櫛歯部254よりも低い位置に配設されている。櫛歯型フォーカシングアクチュエータ250に電圧が印加されると、櫛歯部252,254は逆の極性を有し、引力がこれら2つの櫛歯部252,254の間に発生する。櫛歯部254は、図2のフレーム110に配設されていることから、櫛歯部252は、上向きに駆動され、上向きの移動量を発生させるように作用アーム212を運ぶ。また、レバー230は、可撓性のある支持シャフト240を用いることによって図2のフレーム110に固定されていることから、当該フレーム110に対して回転し、下向きの移動量を発生させるように荷重アーム214を運ぶ。荷重アーム214は、キャリヤ120に対して回転して当該キャリヤ120を下向きに移動させ当該キャリヤ120を運ぶように、可撓性のある連結シャフト220を介して当該キャリヤ120に接続されている。
【0018】
図4に、図2に示した上向きのフォーカシング装置300の拡大図を示す。上向きのフォーカシング装置300は、櫛歯型フォーカシングアクチュエータ350を配設する方法が下向きのフォーカシング装置200とは異なる。櫛歯型フォーカシングアクチュエータ350は、レバー330の作用アーム312と図2のフレーム110とにそれぞれ配設されている2つの櫛歯部352,354を備える。櫛歯部352は、櫛歯部354よりも高い位置に配設されている。櫛歯型フォーカシングアクチュエータ350に電圧が印加されると、櫛歯部352,354は逆の極性を有し、引力がこれら2つの櫛歯部352,354の間に発生する。櫛歯部354は、図2のフレーム110に配設されていることから、櫛歯部352は、下向きに駆動され、下向きの移動量を発生させるように作用アーム312を運ぶ。また、レバー330は、可撓性のある支持シャフト340を介して図2のフレーム110に固定されていることから、当該フレーム110に対して回転し、作用アーム312が下向きの移動量を発生させるのを可能にする。荷重アーム314はまた、キャリヤ120に対して回転して当該キャリヤ120を上向きに移動させるように当該キャリヤ120を駆動するように、可撓性のある連結シャフト320を介して当該キャリヤ120に接続されている。したがって、キャリヤ120に配設されている図示しないレンズは、下向きのフォーカシング装置200と上向きのフォーカシング装置300とを介して、キャリヤ120が上向き又は下向きに移動するように当該キャリヤ120を制御することにより、フォーカシング動作を実行することができる。
【0019】
図5に、本発明の望ましい具体例による光ピックアップヘッドと、その保護カバーの構成を示す。レンズ140、キャリヤ120によって運ばれ、上カバー510の凹部512と下カバー520の凹部522とによって形成された収容スペース内に配設されている。上カバー510及び下カバー520の材料は、光が当該上カバー510及び当該下カバー520を通過して、光ピックアップヘッドのレンズ140その他の要素とともに完全な光路を形成することができるように、ガラス基板や石英基板等の透明材料を含む。上カバー510には、光ピックアップヘッドの光学特性を高めるために、レンズ140及び光路に対応して光回折素子515をさらに形成することができる。
【0020】
櫛歯型アクチュエータの可動範囲を増やすために本発明のフォーカシング装置がどのように使用されるかについて、図6(A)及び図6(B)の両方を用いて説明する。図6(A)は、本発明の望ましい具体例によるレバーの動作前における上向きのフォーカシング装置の構成を示す図である。図6(B)は、本発明の望ましい具体例によるレバーの動作後における上向きのフォーカシング装置の構成を示す図である。図6(A)に示すように、レンズ140は、弾性体を介してキャリヤ120に固定されている。上向きのフォーカシング装置300は、レバー330と、可撓性のある連結シャフト320と、可撓性のある支持シャフト340と、ここでは図示しない櫛歯型フォーカシングアクチュエータ350とを備える。レバー330は、長さがそれぞれL1,L2である作用アーム312と荷重アーム314とを備える。ここで、長さL1は、長さL2よりも短い。さらに、レバー330は、支点として用いられる支持部316を備える。レバー330は、当該レバー330が回転してもここでは図示しないフレーム110に対して動かないように、可撓性のある支持シャフト340を介して、支持部316及びフレーム110に接続されている。可撓性のある支持シャフト340は、基準点として用いることができる。レバー330は、当該レバー330がキャリヤ120に対して回転して当該キャリヤ120を駆動するのを可能とするために、可撓性のある連結シャフト320を介してキャリヤ120に接続されている。図6(B)を参照する。ここでは図示しない櫛歯型フォーカシングアクチュエータ350は、作用端部が法線610の1方向に沿って可撓性のある支持シャフト340に対応する移動量d1を発生させるのを可能とするために作用アーム312に力を与える。長さL2が長さL1よりも長いことから、レバーの原理と移動量d1とにしたがって、可撓性のある支持シャフト340に対応する移動量d2が、法線610の逆方向に沿って荷重端部に発生する。長さL2が長さL1よりも長く、移動量d2が移動量d1よりも大きいことから、キャリヤ120は、法線610の方向に沿ってフォーカシングするためのより大きい移動量を発生させることができる。本発明の具体例によれば、櫛歯型フォーカシングアクチュエータ350が荷重端部に移動量を発生させると、荷重端部に拡大した移動量が発生する。作用アーム312の長さと荷重アーム314の長さとの比率を調整することにより、櫛歯型フォーカシングアクチュエータ350の可動範囲は等価的に増加し、図2に示したフォーカシング装置400の機能は、効果的に向上することになる。
【0021】
なお、本発明の当業者は、本発明の技術が上述した具体例に制限されないことを理解するであろう。例えば、キャリヤ120、トラッキング装置130、フォーカシング装置400、可撓性のある連結シャフト220,320、可撓性のある支持シャフト240,340等の要素は、半導体製造プロセスにしたがって製造することができる。キャリヤ120、トラッキングアクチュエータ132,134、及びフォーカシングアクチュエータ250,350の材料は、単結晶シリコンを含む。フォーカシング装置のレバー230,330は、トランスミッションにおける十分な強度を有するように十分な硬度を有する必要がある。レバー230,330の厚さは、約80μmである。可撓性のある連結シャフト220,320及び可撓性のある支持シャフト240,340は、捻ることができるような可撓性を有する必要があり、薄膜製造プロセスにしたがって製造される。可撓性のある連結シャフト220,320及び可撓性のある支持シャフト240,340の厚さは、約2μmである。
【0022】
本発明の上述した具体例において開示された光ピックアップヘッドによれば、要素の大部分は、半導体製造プロセスにしたがって大量生産されることから、製造コストを低減することができる。また、フォーカシングアクチュエータは、当該フォーカシングアクチュエータの移動量が拡大するようにレバーを含むため、当該フォーカシングアクチュエータの機能と効率を向上させることができる。光透過率を悪化させることなく、外力の衝撃から光ピックアップヘッドを保護し、汚染からレンズを防ぐために、光ピックアップヘッドの上カバー及び下カバーに透明な保護カバーを導入する。総合的な光ピックアップヘッドの小型化は、読み出し/書き込み効率の改善に寄与する。
【0023】
本発明によるマイクロ光ピックアップヘッドは、以下の特徴を有することができる。第1に、光学用レンズのトラッキングとフォーカシングとを制御するのにマイクロアクチュエータを用いる設計により、位置決め精度が増加し、また、フォーカシングアクチュエータにレバーを導入する設計により、フォーカシングアクチュエータの可動範囲が大幅に向上する。第2に、光ピックアップヘッドの小型化にともない、システムのアクセス速度が大幅に向上し、システムのアクセス時間が大幅に減少する。第3に、保護カバーの徹底的な設計により、マイクロ光ピックアップヘッドは、読み出し/書き込みのプロセスの間にディスクに当たったり、塵埃によるダメージを受けたりするのを防ぐことができる。第4に、リソグラフィ製造プロセス(lithography manufacturing process)、薄膜成長製造プロセス(thin film deposition manufacturing process)、リアクティブイオンエッチング(reactive ion etching;RIE)製造プロセス、ディープリアクティブイオンエッチング(deep reactive ion etching;DRIE)製造プロセス等の半導体製造プロセスにしたがってマイクロ光ピックアップヘッドを製造する際に、マイクロエレクトロメカニカル技術を採用することにより、マイクロ光ピックアップヘッドは、大量生産に適したものとなり、製造コストをさらに低減することができる。
【0024】
本発明が、一例を介して、また望ましい具体例として記述されていた一方で、本発明は、これに限定されるものではないことは理解されるべきである。これに対して、本発明は、様々な変形例並びに同様の配置及び処理を包含するように意図されるべきである。したがって、添付した特許請求の範囲は、そのような変形例並びに同様の配置及び処理を全て包含するように、最も広い解釈として与えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1(A)】従来の櫛歯型アクチュエータの動作を説明するための図である。
【図1(B)】従来の櫛歯型アクチュエータの動作を説明するための図であり、櫛歯部が傾いた様子を説明するための図である。
【図2】本発明の望ましい具体例による光ディスクドライブの光ピックアップヘッドの構成を説明する図である。
【図3】図2に示した下向きのフォーカシング装置の拡大図である。
【図4】図2に示した上向きのフォーカシング装置の拡大図である。
【図5】本発明の望ましい具体例による光ピックアップヘッドと、その保護カバーの構成を説明する図である。
【図6(A)】本発明の望ましい具体例によるレバーの動作前における上向きのフォーカシング装置の構成を説明する図である。
【図6(B)】本発明の望ましい具体例によるレバーの動作後における上向きのフォーカシング装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0026】
100 光ピックアップヘッド
110 フレーム
120 キャリヤ
130 トラッキング装置
132 第1の櫛歯型トラッキングアクチュエータ
134 第2の櫛歯型トラッキングアクチュエータ
140 フォーカシング装置
200 下向きのフォーカシング装置
212,312 作用アーム
214,314 荷重アーム
216,316 支持部
220,320 連結シャフト
230,330 レバー
240,340 支持シャフト
250,350 櫛歯型フォーカシングアクチュエータ
252,254,352,354 櫛歯部
300 上向きのフォーカシング装置
510 上カバー
512,522 凹部
515 光回折素子
520 下カバー
610 法線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
レンズと、
上記レンズを運ぶために上記フレームに配設されているキャリヤと、
作用アーム(effort arm)、荷重アーム(load arm)、及びこれら作用アームと荷重アームとの間に配設された支持部を有するレバーと、
上記キャリヤがフォーカス方向に沿って移動するのを可能とするために上記作用アームに力を与えるフォーカシングアクチュエータとを備え、
上記荷重アームの長さは、上記作用アームの長さよりも長く、
上記荷重アームは、上記キャリヤに接続されており、
上記支持部は、上記フレームに固定されており、上記レバーの支点として用いられること
を特徴とする光ピックアップヘッド。
【請求項2】
さらに、上記フレームがトラッキング方向に沿って移動するように当該フレームを制御するために当該フレームに配設されたトラッキングアクチュエータを備えること
を特徴とする請求項1記載の光ピックアップヘッド。
【請求項3】
上記トラッキングアクチュエータは、1対の櫛歯型電極を有する櫛歯型トラッキングアクチュエータであること
を特徴とする請求項2記載の光ピックアップヘッド。
【請求項4】
上記櫛歯型トラッキングアクチュエータは、弧状の櫛歯部を有すること
を特徴とする請求項3記載の光ピックアップヘッド。
【請求項5】
さらに、上記キャリヤがフォーカス方向に沿って移動するように上記荷重アームが当該キャリヤを駆動するのを可能とするために、当該キャリヤと当該荷重アームとを連結する可撓性のある連結要素を備えること
を特徴とする請求項1記載の光ピックアップヘッド。
【請求項6】
さらに、上記レバーが上記フレームに対して回転するのを可能とするために、当該フレームに上記支持部を固定する可撓性のある支持要素を備えること
を特徴とする請求項1記載の光ピックアップヘッド。
【請求項7】
上記キャリヤ、上記レバー、及び上記フォーカシングアクチュエータは、半導体製造プロセスにしたがって製造され、上記フォーカシングアクチュエータの材料は、単結晶シリコンを含むこと
を特徴とする請求項1記載の光ピックアップヘッド。
【請求項8】
上記フォーカシングアクチュエータは、1対の櫛歯型電極を有する櫛歯型フォーカシングアクチュエータであること
を特徴とする請求項1記載の光ピックアップヘッド。
【請求項9】
さらに、レンズを収容する収容スペースを有する保護カバーを備えること
を特徴とする請求項1記載の光ピックアップヘッド。
【請求項10】
上記保護カバーの材料は、ガラス基板又は石英基板を含むこと
を特徴とする請求項9記載の光ピックアップヘッド。
【請求項11】
上記保護カバーは、
第1の凹部を有する上カバーと、
第2の凹部を有する下カバーとを備え、
上記第1の凹部及び上記第2の凹部は、ともに、上記収容スペースを形成すること
を特徴とする請求項9記載の光ピックアップヘッド。
【請求項12】
上記上カバーは、さらに、その上に配設された光回折素子を有すること
を特徴とする請求項11記載の光ピックアップヘッド。
【請求項13】
光ピックアップヘッドのフォーカシング方法であって、
レンズを運ぶためにフレームに配設されたキャリヤを提供するステップと、
作用アーム、上記作用アームの長さよりも長い荷重アーム、及び上記作用アームと上記荷重アームとの間に配設されて上記フレームに固定されており上記レバーの支点として用いられる支持部とを有するレバーと、上記作用アームの作用端部に力を与えるためのものであって上記荷重アームの荷重端部に接続されているフォーカシングアクチュエータとを備えるフォーカシング装置を提供するステップと、
上記作用端部で第1の移動量を発生するために上記フォーカシングアクチュエータを用いることによって上記作用アームに力を与えるステップと、
上記キャリヤがフォーカス方向に沿って移動するように上記荷重アームが当該キャリヤを駆動するのを可能とするために、上記レバーの原理と上記第1の移動量とにしたがって、上記荷重端部に上記第1の移動量よりも大きい第2の移動量を発生するステップとを備えること
を特徴とするフォーカシング方法。
【請求項14】
上記フォーカシング装置は、さらに、上記荷重アームと上記キャリヤとを連結する可撓性のある連結要素を備えること
を特徴とする請求項13記載のフォーカシング方法。
【請求項15】
上記フォーカシング装置は、さらに、上記フレームに上記支持部を固定する可撓性のある支持要素を備えること
を特徴とする請求項13記載のフォーカシング方法。
【請求項16】
上記フォーカシングアクチュエータは、1対の櫛歯型電極を有する櫛歯型フォーカシングアクチュエータであり、
当該フォーカシング方法は、さらに、2つの上記櫛歯型電極間で互いに逆の極性を有して引力を発生させるのを可能とするために、上記櫛歯型フォーカシングアクチュエータに電圧を印加するステップを備えること
を特徴とする請求項13記載のフォーカシング方法。
【請求項17】
キャリヤがフォーカス方向に沿って移動するように当該キャリヤを駆動するために光ピックアップヘッドのフレームに配設されたフォーカシング装置であって、
作用アーム、上記キャリヤに接続された荷重アーム、上記作用アームと上記荷重アームとの間に配設されて上記フレームに固定されており当該レバーの支点として用いられる支持部を有するレバーと、
上記作用アームに力を与えるフォーカシングアクチュエータとを備え、
上記荷重アームの長さは、上記作用アームの長さよりも長いこと
を特徴とするフォーカシング装置。
【請求項18】
半導体製造プロセスにしたがって製造されていること
を特徴とする請求項17記載のフォーカシング装置。
【請求項19】
さらに、
上記荷重アームと上記キャリヤとを連結する可撓性のある連結要素と、
上記フレームに上記支持部を固定する可撓性のある支持要素とを備えること
を特徴とする請求項17記載のフォーカシング装置。
【請求項20】
上記フォーカシングアクチュエータは、1対の櫛歯型電極を有する櫛歯型フォーカシングアクチュエータであること
を特徴とする請求項17記載のフォーカシング装置。

【図1(A)】
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【図1(B)】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(A)】
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【図6(B)】
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