マイクロ波療法の非侵襲的送達のための方法、装置およびシステム
マイクロ波療法の非侵襲的送達のための方法、装置、およびシステムを提供する。マイクロ波エネルギーは、種々の治療および/または審美的結果を達成するように、患者の表皮、真皮、および皮下組織に印加されてもよい。一実施形態では、マイクロ波エネルギーは、エネルギー発生器に接続されるエネルギー送達付与装置を介して標的組織に印加される。エネルギー送達付与装置は、マイクロ波エネルギーを標的組織に方向付けるために使用される、(とりわけ)モノポール、ダイポール、スロット、および/または導波管アンテナを含む、1つ以上のアンテナを備えてもよい。エネルギー送達付与装置はまた、非標的組織への熱破壊を回避するための冷却要素、および/または皮膚の襞の特定の部分において熱治療を局所化する吸引装置を備えてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第60/912,899号(名称「Methods and Apparatus for Reducing Sweat Production」、2007年4月19日出願)、米国仮特許出願第61/013,274号(名称「Methods,Delivery and Systems for Non−Invasive Delivery of Microwave Therapy」、2007年12月12日出願)、および米国仮特許出願第61/045,937号(名称「Systems and Methods for Creating an Effect Using Microwave Energy in Specified Tissue」、2008年4月17日出願)の米国特許法第119条第(e)項の優先権の利益を主張する。これらの優先権出願すべての全開示は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本願は、マイクロ波療法の非侵襲的送達のための方法、装置、およびシステムに関する。特に、本願は、種々の治療および/または審美的結果を達成するように、患者の表皮、真皮、および皮下組織にマイクロ波エネルギーを非侵襲的に送達するための方法、装置、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
種々の治療および/または審美的結果を達成するように、エネルギー療法を身体の全体を通して組織に適用できることが知られている。これらのエネルギー療法の有効性を改良し、最小限の有害な副作用または不快感を伴う強化した治療効果を提供する継続的な必要性が依然として残る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(治療の概説)
一実施形態では、マイクロ波療法であるエネルギー療法の非侵襲的送達のための方法、装置、およびシステムを本明細書で開示する。エネルギー療法は、多数の治療および/または審美的結果を達成するように、種々の標的組織に送達することができる。治療、治療効果、治療範囲/領域という用語は、標的組織および/または任意の標的構造の治療に関してもよく、治療自体は、修正、不活性化、無効化、脱神経、損傷、エレクトロポレーション、アポトーシス、壊死、凝固、アブレーション、熱変質、および破壊といった方法のうちの1つ以上で、標的組織および/または標的構造に影響を及ぼしてもよい。より具体的には、所望の治療効果を達成するために、一実施形態では、標的組織および/またはその中の標的構造において少なくとも約50℃の温度に到達するステップを使用することができる。加えて、一実施形態では、標的組織の熱アブレーションをもたらすために、標的組織を約60℃に加熱するのに十分な熱エネルギーを送達するステップを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書で提示される種々の装置、システム、および方法の、これらおよび他の特徴、側面および利点を、そのような装置、システム、および方法を図示するが、限定することを目的としない、ある実施形態の図面を参照して説明する。添付図面は、本明細書で論議される実施形態の概念を図示する目的によるものであり、一定の縮尺ではない場合があることを理解されたい。
【図1】図1は、一実施形態による、概略的な境界の標的および非標的組織を含む、皮膚の断面図を示す。
【図2A】図2Aは、付加的な関心の特徴を含む、皮膚の別の断面図を示す。
【図2B】図2Bは、アポクリンおよびエクリン汗腺を伴う皮膚の断面図を示す。
【図2C】図2Cは、皮膚および治療が所望されてもよい皮膚の特定領域の断面図を示す。
【図3A】図3Aは、一実施形態による、エネルギー付与装置を有する装置を示す。
【図3B】図3Bは、一実施形態による、付与装置にマイクロ波エネルギーを供給するためのマイクロ波発生器を示す。
【図4】図4は、一実施形態による、汗腺および標的組織の基部の付近に流体を注射する針を示す。
【図5】図5は、一実施形態による、マイクロ波発生器に電気的に接続される複数のマイクロ波アンテナを備える、非侵襲性エネルギー送達装置の等角図を示す。
【図6】図6は、皮膚の中にエネルギーを送達する、図5の非侵襲性エネルギー送達装置の断面側面図を示す。
【図7A】図7Aは、一実施形態による、モノポールアンテナを示す。
【図7B】図7Bは、一実施形態による、ダイポールアンテナを示す。
【図7C】図7Cは、一実施形態による、らせんアンテナを示す。
【図7D】図7Dは、一実施形態による、ループアンテナを示す。
【図7E】図7Eは、一実施形態による、成形外部導体を有するアンテナを示す。
【図7F】図7F−7Gは、一実施形態による、ホーンアンテナを図示する。
【図7G】図7F−7Gは、一実施形態による、ホーンアンテナを図示する。
【図8A】図8Aは、一実施形態による、同軸ケーブル内に配置された内部導体を有するアンテナの断面図を示す。
【図8B】図8Bは、一実施形態による、完全に同軸ケーブルから形成されたコイル状導体要素を有する、コイル状アンテナを示す。
【図8C】図8Cは、一実施形態による、内部導体から形成されたコイル状導体要素を有する、コイル状アンテナを示す。
【図9】図9は、一実施形態による、スロットアンテナの断面図を示す。
【図10A】図10Aは、一実施形態による、熱治療域を有する標的組織の断面図を示す。
【図10B】図10Bは、治療を受ける皮膚が熱傷すると予期される温度を図示する、時間温度曲線を示す。
【図11A】図11Aは、一実施形態による、マイクロ波発生器に電気的に接続される複数のマイクロ波アンテナを備える、非侵襲性エネルギー送達装置の等角図を示す。
【図11B】図11Bは、一実施形態による、エネルギー源およびエネルギー付与装置から遠隔に位置する冷却源の概略図を示す。
【図12】図12は、一実施形態による、皮膚を引っ張り、担持する真空の側面図を示す。
【図13】図13は、典型的な皮膚の襞の例を示す。
【図14】図14は、一実施形態による、2つのエネルギー送達要素を備えるエネルギー送達装置によって治療されている、皮膚の襞を示す。
【図15】図15は、一実施形態による、皮膚の襞の2つの側面上に配置された2つのスロットアンテナによって治療されている、皮膚の襞を示す。
【図16A】図16Aは、一実施形態による、吸引要素の斜視図を示す。
【図16B】図16Bは、図16Aの吸引要素の代替的な斜視図を示す。
【図17】図17は、特定の治療領域を識別するために皮膚領域を覆って使用され得る、標的治療部位「A」および標的治療部位「B」を示す、代表的なグリッドの実施形態を示す。
【図18A】図18A−Eは、皮膚領域を覆って使用され得る、特定の治療領域および非治療部位を図示する種々のパターンを示す。
【図18B】図18A−Eは、皮膚領域を覆って使用され得る、特定の治療領域および非治療部位を図示する種々のパターンを示す。
【図18C】図18A−Eは、皮膚領域を覆って使用され得る、特定の治療領域および非治療部位を図示する種々のパターンを示す。
【図18D】図18A−Eは、皮膚領域を覆って使用され得る、特定の治療領域および非治療部位を図示する種々のパターンを示す。
【図18E】図18A−Eは、皮膚領域を覆って使用され得る、特定の治療領域および非治療部位を図示する種々のパターンを示す。
【図19】図19は、段階的治療で使用される3つのテンプレートを示し、各テンプレートは、一実施形態によれば、全体的な治療領域の異なる部分への治療を可能にするように構成される。
【図20】図20は、一実施形態による、導波管アンテナおよび組織捕捉を含む、マイクロ波付与装置システムの概略図を示す。
【図21】図21は、一実施形態による、導波管アンテナおよび組織捕捉を含む、導波管付与装置システムの下面の概略図を示す。
【図21A】図21Aは、一実施形態による、ハンドルを含むマイクロ波付与装置の側面斜視図を示す。
【図21B】図21Bは、ハンドルおよび筐体を含む、図21Aのマイクロ波付与装置の代替的な斜視図を示す。
【図22】図22は、一実施形態による、スロットアンテナを含むマイクロ波付与装置システムの概略図を示す。
【図22A】図22Aは、一実施形態による、スロットアンテナおよび種々の調整可能な寸法パラメータを含む、マイクロ波付与装置システムの概略図を示す。
【図23】図23は、一実施形態による、スロットアンテナおよび組織捕捉を含む導波管付与装置システムの概略図を示す。
【図24】図24は、一実施形態による、複数のスロットアンテナおよび組織捕捉を含むマイクロ波付与装置システムの概略図を示す。
【図24A】図24Aは、同相駆動動作を有し、単一領域の治療に集中する、2つのアンテナをシミュレートすることによって作成される、コンピュータ生成画像を示す。
【図24B】図24Bは、第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で103度の位相シフトを伴って同相駆動動作を有する、2つのアンテナをシミュレートすることによって作成される、コンピュータ生成画像を示す。
【図24C】図24Cは、第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で170度の位相シフトを伴って同相駆動動作を有する、2つのアンテナをシミュレートすることによって作成される、コンピュータ生成画像を示す。
【図24D】図24Dは、第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で155度の位相シフトを伴って同相駆動動作を有する、2つのアンテナをシミュレートすることによって作成される、コンピュータ生成画像を示す。
【図25】図25は、一実施形態による、二重スロットアンテナおよび組織捕捉を含む、導波管付与装置システムの下面の概略図を示す。
【図26】図26は、一実施形態による、マイクロ波治療システムの概略図である。
【図27A】図27Aは、真皮/下皮接合部における正常なブタアポクリン汗腺の組織学的断面を示す。
【図27B】図27Bは、マイクロ波療法後1週間のブタ汗腺の組織学的断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、皮膚、その3つの主要層である、下皮100、真皮101、および表皮102、ならびに内部構造の断面図を示す。ある実施形態では、標的の組織学的構造(例えば、「標的組織」)が存在する、真皮101および皮下100組織(本明細書では下皮とも呼ばれる)の特定の領域内で治療を集中させる一方で、点線内の種々の区切られた領域で図1に図示されるように、表皮102および真皮101の標的組織の上側の組織(例えば、「表在性非標的組織」103)ならびに下皮100内の組織構造(例えば、「深部非標的組織」104)に最小の損傷を行うことが望ましくてもよい。構造のうちの1つ以上は、本明細書で開示される方法および装置の標的にされてもよい。
【0007】
図2Aは、エクリン汗腺106を含む他の身体構造を付加的に図示する、皮膚の別の断面図である。以下でさらに論議されるように、エクリン汗腺106は、深部真皮101層および/または下皮100の上部分に見出すことができる、コイル状の管状腺である。概して、数百万個の腺が、皮膚の表面、特に、手のひらおよび足の裏、無毛領域、および腋窩部を覆って存在する。1つの腺106が、皮膚の表面への対応する開口部を伴う単一腺管109を有してもよい一方で、いくつかの種類の腺の変化例は、共通の末端排出管を有する双腺、または複数の排出管を有する単一腺を含む(図示せず)。
【0008】
図2Bは、アポクリン107およびエクリン106(メロクリン)汗腺の療法を伴う皮膚の断面図を図示する。以下でさらに論議されるように、エクリン汗腺106は、概して真皮101の中でボール状の塊に輪を作る、表皮102からの長い管状延長部である。アポクリン汗腺107は、例えば、腋窩部、肛門周囲および恥部、陰嚢、大陰唇、および乳首の周囲にある。それらは、概して深部真皮101および下皮100の中にあり、それらの腺管102は、毛嚢の中で終端する。エクリン106およびアポクリン107汗腺の分泌細胞とそれらの基底膜との間には、筋上皮細胞がある。
【0009】
皮脂腺108は、それらの油状生成物である皮脂を、毛嚢の上部分に注ぐ、西洋ナシ形の腺である。いくつかの腺が同じ毛嚢に開口している場合でさえ、それらは真皮101の表材領域中の同じ水準に位置している。いくつかの皮脂腺108は、毛嚢とは無関係に退出し、皮膚表面、例えば、唇、瞼、陰茎亀頭、陰茎内皮の内側襞、小陰唇、および乳首の上に直接開口する。
【0010】
図2Cは、ある実施形態では、標的の組織学的構造(例えば、「標的組織」105)が存在する、真皮101および下皮100組織の特定の領域内で治療を集中させる一方で、エクリン汗腺107を標的にして上記で示されるように、表皮102および真皮101の標的組織105の上側の組織(例えば、「表在性非標的組織」103)ならびに下皮100内の組織構造(例えば、「深部非標的組織」104)に最小の損傷を行うことが望ましくてもよいことを図示する、皮膚(図2Aのような)の断面図である。
【0011】
身体の領域に応じて、標的組織105領域は、いくつかの実施形態では、皮膚の表面下約0.5mmから約4mmのどこかで始まり、皮膚の表面下約1mmから約10mmのどこかで終わってもよい。身体の領域に応じて、表在性非標的組織103領域は、いくつかの実施形態では、皮膚表面で始まり、皮膚の表面下約0.5mmから約4mmのどこかで終わってもよい。身体の領域に応じて、深部非標的組織104領域は、いくつかの実施形態では、皮膚の表面下約1mmから約10mmのどこかで始まってもよい。
【0012】
治療法に選択される具体的な種類の組織構造は、所望される1つまたは複数の具体的治療法に依存する。例えば、患者の発汗を低減するように、マイクロ波エネルギーをエクリン106またはアポクリン107汗腺に送達することができる。加えて、体臭の低減を達成するように、アポクリン汗腺107を治療することができる。別の実施形態では、皮膚の引き締め、しわの低減、および/または身体造形の目的で皮膚中のコラーゲンを収縮させるために、マイクロ波療法を使用することができる。他の実施形態では、毛嚢、にきび、セルライト、静脈瘤および毛細血管拡張症等の血管系、および本願で開示される種々の他の構造を治療するために、マイクロ波療法を使用することができる。したがって、標的組織105および非標的組織103、104の場所は、所望される具体的な治療法に基づく調整を必要としてもよい。
【0013】
(臨床的適応)
本明細書で開示されるシステムおよび方法によって治療することができる、解剖学的構造および臨床的適応の種々の非限定的な例を記載する。いくつかの実施形態では、複数の構造/疾患を同じ治療セッションで治療することができる。
【0014】
(多汗症)
多汗症は、汗腺からの汗の過剰分泌があると臨床的に診断された疾患である。交感神経系の過活性に起因すると考えられる、過剰発汗は、通常、手のひら、足の裏、および腋窩部で発生する。手のひらの多汗症は、手の過剰発汗の症状である。この症状はしばしば、冷たく湿った握手によって示される。足底の多汗症は、足の過剰発汗の症状である。この症状は、水泡および真菌感染症を引き起こす場合がある。腋窩部の多汗症は、腋の下の過剰発汗の症状である。そのような過剰発汗は、社会的にきまりが悪いだけでなく、衣服の汚染および腐敗さえ引き起こす場合もある。
【0015】
体内の汗腺は、アポクリン107およびエクリン106汗腺から成る。皮膚の真皮層101の中で表面的に位置する、エクリン汗腺106は、汗を分泌して体熱および温度を調節することができるように、身体の全面に位置する。下皮100内に存在し、下皮100と真皮層101との間の接合部に隣接する、アポクリン汗腺107は、毛嚢の中へ、油状で乳白色のタンパク質を豊富に含む生成物を分泌する。アポクリン汗の細菌消化が、足および腋の下領域で最も顕著となり得る、腋臭症または臭汗症または(すなわち、体臭)に大きく関与している。
【0016】
多汗症を治療するために使用される、種々の治療がある。例えば、化学的制汗剤および体臭防止剤が、個人衛生の問題として一般的に使用されている。制汗剤は、汗腺管を機械的に遮断し、それにより、汗が皮膚表面に到達することを防止する、アルミニウムベースの塩である。体臭防止剤は、皮膚表面のpHを変化させ、それにより、臭いを誘発する細菌の存在を最小化する。これらの製品の両方の効果は一時的であり、使用者によっては皮膚を刺激し得るため、これらの製品は、過剰発汗の症例の最適には及ばない解決法である。
【0017】
制汗剤および体臭防止剤に加えて、多汗症を治療するために、他の局所製剤が使用されてきた。例えば、グルタルアルデヒドおよびタンニン酸が、足底および手のひらの多汗症の治療で使用されてきた。しかしながら、これらの治療は、皮膚の醜い褐色化を引き起こす場合があるため、概して支持を失っている。
【0018】
抗コリン剤もまた、多汗症を治療するために、局所および全身の両方に塗布されてきた。これらの薬剤は、神経シナプスにおけるアセチルコリンの作用を阻害することによって、エクリン汗腺148の交感神経刺激を遮断する。口渇、尿閉、便秘、ならびに散瞳および毛様体筋麻痺等の視覚障害を含む、それらが引き起こす全身性副作用のため、これらの薬剤の使用は制限される。また、局所抗コリン剤は、コリン作動性神経終末に影響を及ぼすのに十分な量で皮膚に吸収するのが困難なことがある。
【0019】
一部の多汗症の患者は、汗腺切除および胸部交感神経切除術等の外科的治療を用いてきた。例えば、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、Takasuの米国特許第5,190,518号は、汗腺を無効化し、切除するための超音波外科用装置を開示している。これらの治療は、多汗症の軽減のより長い期間を提供する場合がある。しかしながら、これらの治療は、それらの侵襲性、悪影響、および費用により、めったに利用されない。例えば、手術は、皮膚、筋肉、および他の周辺組織の拘縮を引き起こす場合がある。交感神経切除術は、感染症、気胸、ホーマー症候群、ならびに胴体、背中、および大腿部の代償性多汗症を含む、合併症をもたらす場合がある。
【0020】
近年、ボツリヌス菌A型神経毒(例えば、BOTOX(登録商標))が、一部の患者の多汗症を治療するのに効果的であると証明されている。BOTOXは、自律神経と汗腺との間の神経腺接合点の神経を麻痺させるために、皮膚科医によって一般的に使用されている。神経接続が無効化されると、アセチルコリンがエクリン汗腺106に到達することができなくなり、それにより、多汗症患者の過度に活動的な交感神経系の成分を無効化する。しかしながら、この治療には、欠点がないわけではない。ボツリヌス菌毒素は、地球上で最も致死的な物質の1つであり、その結果として、患者の身体にそれを注射することは、危険に満ちている。加えて、アポクリン汗腺107は、ボツリヌス菌毒素によって遮断されないアドレナリン作動性神経によって神経支配されるため、ボツリヌス菌毒素の注射は、アポクリン汗腺からの分泌によって引き起こされる体臭に臨床的影響を及ぼさない。ボツリヌス菌毒素治療はまた、針による多数の苦痛を伴う注射を必要とする。さらに、この治療の結果は、数ヶ月しか続かず、それにより、繰り返される高価で苦痛を伴う治療を必要とする。
【0021】
前述のアプローチの短所を踏まえて、副作用がほとんどない、低侵襲性で、便利で、効果的で、持続的な治療が、多汗症を治療するための望ましい代替案となるであろう。
【0022】
(しわ)
しわもまた、老化過程、紫外線暴露、および喫煙を含む要因によって引き起こされる、非常に一般的な皮膚の症状である。個人が老化するにつれて、表皮細胞は、より薄くなり、互いへの付着力が低下する。より薄い細胞は、皮膚を著しくより薄く見せる。細胞の減少した付着力は、障壁機能の有効性を減少させ、水分が皮膚の中に保たれる代わりに放出されることを可能にし、乾燥を引き起こす。表皮細胞の数は、一部の患者では10年につき約10%減少し、老化するにつれて、さらにゆっくりと分裂し、皮膚が自己修復する能力を低下させる。
【0023】
真皮層101上の老化の影響は有意である。真皮層101が薄くなるだけでなく、コラーゲンがより少なく産生され、弾力性を提供するエラスチン繊維が摩滅する。皮膚の足場におけるこれらの変化は、皮膚にしわを作り、たるませる。また、経時的に、皮脂腺108がより大きくなるが、より少ない皮脂を産生し、汗腺の数が減少する。これらの変化の両方は、皮膚の乾燥につながる。
【0024】
真皮−表皮接合点の乳頭間隆起は、老化過程において平坦になり、皮膚をより脆弱で剪断しやすくする。この過程はまた、真皮101と接触している表面積を減少させ、また、皮膚の正常な修復過程を妨害することによって、表皮102上で利用可能な栄養素の量を減少させる。
【0025】
皮下層100では、脂肪細胞が年齢とともにより小さくなる。脂肪細胞が他の層からの損傷の「代理をする」ことができないため、このことは、さらに顕著なしわおよびたるみにつながる。
【0026】
表皮102のアブレーションは、より古く損傷した表皮細胞を破壊し、より新しい表皮細胞を表面に運び、コラーゲン形成を刺激することができる。加えて、より深部のコラーゲン繊維の熱拘縮は、全体的な皮膚拘縮を誘発することができる。例えば、深部真皮コラーゲンおよび皮下繊維性中隔の拘縮は、Thermage,Inc.(Hayward,CA)によって、別の熱的しわ治療システム用の潜在的な作用機構として提案されている。
【0027】
(臭汗症)
特に悪臭の強い汗(臭汗症)が、特に、腋窩部および足に発生し得る。しばしば多汗症と関連する、臭汗症は、アポクリン汗腺107の機能不全、細菌または真菌感染症、独特の臭いを産生する脂肪酸分解、ある食物の摂取、およびヒ素摂取のうちの1つ以上によって発生する場合がある。身体の全般的な清浄および頻繁な入浴、繰り返し靴下および下着を交換すること、薄着をすること、過剰発汗の回避、タンパク質、ニンニク、および香辛料等の、ある種の食物の過剰消費の回避、問題の領域の通気、特に靴下を履く前の足に散布剤を使用すること、過マンガン酸カリウム1:2000またはホルムアルデヒド溶液等の足用浸漬液を使用すること、ならびに体臭防止剤および抗菌殺菌石鹸を使用することを含む、種々の治療が利用可能であるが、常に理想的または実用的であるとは限らない。
【0028】
(色汗症)
色汗症は、アポクリン汗腺107の機能不全による、異常な色がついた汗である。一般的な部位は、顔を含み、汗の色は、場合によっては、黒、緑、青、または黄色となる場合がある。
【0029】
(にきび)
にきびは、毛嚢、皮脂腺、および毛で構成されている、毛嚢脂腺単位の疾患である。これらの単位は、手のひら、足の裏、足の上面、および下唇を除く、身体のどこにでも見出される。毛嚢脂腺単位の数は、顔、頸上部、および胸部上で最大である。皮脂腺108は、皮膚および毛を保湿することに関与する、皮脂と呼ばれる物質を産生する。青年期に、アンドロゲンと呼ばれるホルモンの影響下で、皮脂腺108が拡大し、より多くの皮脂を産生する。約20歳以降に、産生が減少し始める。アクネ箘として知られる細菌は、皮膚の常在菌である。それは、成長のための栄養素として皮脂を使用し、したがって、思春期の間に毛嚢の中で増加する。
【0030】
にきびのある人々は、にきびのない人々よりも毛嚢の中に多くのアクネ箘を有する場合がある。細菌の存在は、毛嚢に白血球を誘引する。これらの白血球は、毛嚢の壁を損傷する酵素を産生し、毛嚢の内容物が真皮に進入することを可能にする。この過程は、丘疹(赤い腫れ物)、膿疱、および結節として見られる炎症反応を引き起こす。細菌はまた、刺激物である遊離脂肪酸の形成を引き起こし、毛嚢中の炎症過程を増加させる。
【0031】
皮脂腺108によって産生される皮脂は、毛嚢内で剥がされている細胞と結合し、毛嚢を「充満」させる。毛嚢が「満杯」になると、皮脂は、皮膚表面に広がり、皮膚に脂ぎった外観を与える。この過程が正しく作動すると、皮膚が保湿され、健康なままとなる。
【0032】
皮脂が毛嚢の中に閉じ込められると、問題が発生する。依然として不明確な理由により、いくつかの毛嚢が閉塞される。皮脂は産生されるが、出て行く時に閉じ込められ、通常は剥がされる細胞が「粘着性」となり、毛嚢をふさぐ。毛嚢を閉塞する過程は、面疱形成と呼ばれる。それは、より多くの毛嚢に、黒にきびおよび白にきびとしても知られる、面疱と呼ばれる一種のにきびを形成させる。
【0033】
経口および局所レチノイド、抗生物質、剥離剤、および表皮の角質層のアブレーションをもたらす外科的皮膚剥離術を含む、種々の薬剤が、にきびの治療に使用されてきた。つい最近では、限局性温熱治療が導入されている。閉塞した毛嚢および皮脂腺108の個別部位を加熱することにより、腺内の細菌を死滅させて炎症の低減をもたらす。
【0034】
(セルライト)
セルライトは、特に大腿および臀部における、皮膚のくぼみ形成である。セルライトは概して、男性よりも女性にはるかに頻繁に影響を及ぼす。セルライトが脂肪組織の異常によって引き起こされると推測する多くの治療法が、近年の人気を得ているが、セルライトの基本的な病態生理学は、明確に識別されていない。組織病理学的サンプルは、セルライトが、下皮100から真皮101の中への脂肪組織の不規則な押出の結果かもしれないと示している。食餌療法および運動等の従来の治療法、および脂肪層切除術または脂肪吸引術等のより侵襲性の治療法には、それぞれ、いくつかの不利点がある。したがって、他の構造に有意に影響を及ぼすことなく、真皮脂肪組織を標的にする非侵襲的方法が、非常に望ましい。
【0035】
(発毛)
不要な発毛は、個人の遺伝的素因、多毛症およびアンドロゲンが影響した男性型多毛症等の内分泌学的疾患、ならびにある種の悪性腫瘍を含む、多数の要因によって引き起こされる場合がある。顔面の男性型多毛症に罹患した個人は、社会的および職業的活動の両方を妨害し、多くの困難を引き起こす程度に苦しめられ得る。その結果として、永久的病理変化を生じさせる方式で、不要な毛および他の皮下組織学的特徴を治療するための方法および装置が、非常に望ましい。
【0036】
脱毛溶液、ワックス脱毛、および電気分解等の過剰発毛に対する従来の治療は、多数の欠点を抱えている。脱毛溶液は、非永久的であり、敏感な皮膚に適切ではない場合がある、繰り返される塗布を必要とする。ワックス脱毛は、概して安全な技術であるが、同じく非永久的であり、繰り返しの、しばしば苦痛を伴う反復治療を必要とする。加えて、ワックス脱毛は、重度の毛嚢炎をもたらし、続いて、永久的なケロイド瘢痕をもたらすと報告されている。電気分解は、変化のない発毛の個人から満足に毛を除去するが、この個々の毛を標的にする方法は、苦痛を伴うとともに時間がかかる。加えて、適正な電気分解技術は、要求が厳しく、正確な針の挿入ならびに適切な強度および継続時間の両方を必要とする。ワックス脱毛と同様に、電気分解技術が適正に行われなければ、毛嚢炎および瘢痕化が生じる場合がある。
【0037】
高輝度の広帯域光、レーザ、または光化学的手段を利用する、近年開発された脱毛技術もまた、多数の短所を抱えている。これらの手技のほとんどでは、毛嚢または毛に栄養供給する皮膚組織を死滅させるのに十分な強度および継続時間で皮膚が光を照射される。衝突光は、皮膚ならびに毛嚢を標的にし、皮膚を熱傷させて、不快感および瘢痕化の可能性を引き起こし得る。さらに、レーザおよび他の治療は、必ずしも永久的ではなく、持続的な脱毛を生じさせるために、繰り返される適用を必要とする場合がある。最終的に、これらの光を用いた治療法の有効性は、皮膚のメラニンと毛のメラニンとの差異に依存する。メラニンの光吸収によって毛嚢を死滅させるように、熱が生成される。したがって、毛の色が薄い患者では、アブレーション熱を生成するには不十分なメラニンが毛嚢の中に存在している。逆に、暗色の皮膚の患者では、皮膚のメラニンがあまりに多くの光を吸収する場合があるため、皮膚アブレーションが毛嚢アブレーションと同時に発生する。
【0038】
(静脈瘤および毛細血管拡張症)
毛嚢のように、クモ状静脈は、皮下特徴である。それらは、主に皮膚表面の側方で小さい毛細血管流路として存在し、超過圧力によっていくらか充血し、皮膚表面において特徴的な静脈パターンを生じる。醜い美容的側面は別として、毛細血管拡張症はさらに、より重篤な医学的意味を持ち得る。したがって、適切な組織に永久的病理変化を生じさせる方式で、クモ状静脈および他の皮下組織学的特徴を治療するための方法および装置が、極めて望ましい。
【0039】
クモ状静脈の古典的な治療は、硬化療法であり、静脈の少なくとも一部に血液凝固および血液経路の封鎖を引き起こす硬化溶液を注入するために、注射針が使用される。時間とともに、血流が他の毛細血管経路を見出すにつれて、クモ状静脈は消滅する。多大な領域にわたって、治療される多数のクモ状静脈があり得るため、この手技は、時間がかかり、面倒であり、しばしば苦痛を伴う。また、任意の所与の用途における有効性が不確かであり、結果を観察できる前に大幅な遅延を必要とする。
【0040】
脱毛で使用される技術と同様である、浅部の浮き出た静脈の治療のための別の手技は、短い間隔での強い光エネルギーの印加を伴う。この技術は、皮膚表面および下層組織を集中波エネルギーに暴露し、熱凝固が発生するレベルに静脈構造を加熱する。特に、これらのエネルギーレベルは、あまりに高いため、一部の患者に不快感を引き起こし、特別な予防措置が取られない限り、付近の人々にも危険となり得る。加えて、たとえ暴露がほんの一瞬しか続かなくても、一部の患者は、焦げるか、または熱傷し得る。
【0041】
皮下異常が個人に生成し得る、重篤な問題により、有害な副作用または不快感なしで有益な病理変化を生じさせる方式で、そのような特徴を治療することが可能である一般的な必要性がある。最適な治療技術は、所望の効果に到達するために繰り返される適用を必要とせずに、永久的病理変化を生じさせるべきである。また、これらの手技は、非侵襲性となるべきであり、単一の毛嚢またはクモ状静脈に限定されない、多くの標的領域を網羅するべきであり、利用可能なエネルギーを最大限活用するべきである。最終的に、病理変化は、介在または下位層ではなく、標的にされた特徴だけで発生するべきである。
【0042】
(良性および悪性皮膚病変ならびに感染症)
光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、および黒色腫を含む、多数の悪性および前癌皮膚病変、ならびに、嚢胞、疣、母斑、カフェオレ斑点、および血管病変等の良性皮膚病変にも、非侵襲性局所治療が有益となるであろう。さらに、細菌、ウイルス、真箘、または寄生虫による皮膚および爪の感染症にも、非侵襲性局所治療方法が有益となり得る。
【0043】
(神経疾患)
下皮層100は、感覚神経終末によって神経支配される。例えば、多発性硬化症および帯状疱疹等の、例えば神経疾患による知覚過敏症の非侵襲性局所治療もまた、望ましいであろう。
【0044】
本明細書で開示される熱治療と組み合わせて、非標的組織への損傷および疼痛を防止するために、保護治療を採用することができる。一実施形態では、熱保護治療が使用されてもよい。例えば、皮膚組織のより深部の領域がエネルギー送達を介して加熱されている間に、皮膚の表皮層102および真皮層101の各部分を保護するように、表面冷却を適用することができる。種々の種類の能動的および受動的冷却を、この非標的組織103、104への熱保護を提供するように構成することができる。
【0045】
上記の臨床的適応は、概して外皮系(すなわち、皮膚および関連構造)に焦点を当てているが、当業者であれば、開示されたシステムおよび方法を使用して、種々の他の解剖学的構造を治療できることを理解するであろう。例えば、内臓組織、ならびに、脳、肺、心臓、胃、腸、胆嚢、膵臓、大動脈および他の動脈、静脈、膀胱、前立腺、卵巣、子宮、卵管等の臓器もまた、本願の実施形態を使用して治療することができる。
【0046】
治療法の送達はまた、1つ以上の空間構成または皮膚形状において、本明細書で開示される治療の多くを投与することによって促進されてもよい。例えば、治療は、皮膚表面と垂直に、皮膚面と平行に、またはその間の何らかの角度で方向付けることができる。加えて、皮膚は、所望のエネルギー送達を達成するように、種々の構成で配向することができる。例えば、平坦で平面的な構成の、上昇した配向の、または折り畳んだ形状の皮膚に、エネルギーを送達することができる。加えて、特定の配向および形状を達成するように、吸引を皮膚に印加することができる。
【0047】
マイクロ波療法はまた、複数の段階にわたって、およびパターン化した手配で治療を投与することによって促進されてもよい。このアプローチは、身体の治癒反応を強化し、合併症がほとんどない、より迅速な回復に役立つことができる。段階的でパターン化した治療の投与を支援するように、種々のテンプレートが開示されている。マイクロ波療法はまた、治療域への、または直接的に標的組織への外因性マイクロ波吸収剤の導入によって促進されてもよい。黒鉛、カーボンブラック、またはフェライト等のいくつかの物質は、優先的にマイクロ波を吸収し、局所熱的効果を増加させる。
【0048】
本明細書で開示される図面を参照すると、詳細は、一例として、およびある実施形態の例証的論議の目的として示されている。この点に関して、全ての構造的詳細が詳細に示されるわけではない場合がある。したがって、本願は、本明細書で開示される説明および説明図で説明される構成要素の構造および配設の詳細に限定されないことを理解されたい。加えて、本明細書で使用される用語は、説明の目的によるものであり、限定的として見なされるべきではないことを理解されたい。
【0049】
本明細書で開示される実施形態は、エネルギーの経皮送達を介した真皮および皮下組織構造の治療に関する。マイクロ波エネルギーが概して好まれるが、意図された治療法を達成するために多くの他のエネルギーモダリティを使用できることを理解されたい。例えば、本明細書で開示される装置およびシステムが、電磁、X線、RF、DC、AC、マイクロ波、高密度焦点式超音(HIFU)を含む超音波、放射線、近赤外線、赤外線、および光/レーザといったモダリティのうちの1つ以上を送達するように構成されることが、可能であってもよい。皮膚および他の臓器の非マイクロ波ならびにマイクロ波治療を対象とする実施形態の非限定的な例は、例えば、その両方がそれらの全体で参照することにより組み込まれる、2007年4月19日出願の「Methods and Apparatus for Reducing Sweat Production」と題された米国仮特許出願第60/912,899号、および2007年12月12日出願の「Methods,Delivery and Systems for Non−Invasive Delivery of Microwave Therapy」と題された米国仮特許出願第61/013,274号で見出すことができ、特に、例えば、出願第60/912,899号の図8−32およびページ14−40で見られる。本発明の実施形態とともに使用することができる、さらなるマイクロ波システムおよび方法は、例えば、出願第61/045,937号の図2−25、およびページ11−18の添付説明で開示されている。61/045,937出願もまた、その全体で参照することにより、以前に組み込まれている。汗腺、皮脂腺、コラーゲン、毛嚢、セルライト、および上記のいずれかに血液を供給する血液系を含む、種々の組織構造が、上記に記載されるように標的にされてもよい。
【0050】
図3A−Bに図示されるシステムは、標的組織層105にマイクロ波エネルギー112を非侵襲的に送達するためのエネルギー付与装置111と、図3Bに示されるような導管114を介して付与装置111にマイクロ波エネルギー112を供給するためのマイクロ波発生器113とを有する、装置110を示す。この実施形態では、エネルギー付与装置111は、標的組織105にマイクロ波エネルギー112を送達するための少なくとも1つのアンテナを備える。アンテナは、装置が患者の皮膚に対して、またはその付近に設置されると、標的組織105および標的組織105内の標的構造を加熱して治療するように構成される。治療した標的組織105は、身体の免疫系および創傷治癒反応によって再吸収されるように適所に残されるか、または、任意の数の低侵襲技術を使用して摘出されるかのいずれかが可能である。表在性非標的組織103への損傷を防止するための冷却板115も図示されている。
【0051】
マイクロ波エネルギー112は、誘電加熱と呼ばれる過程によって、標的組織105によって吸収される。水分子等の組織中の分子は、電気双極子であり、それらは、一方の端に正電荷を、他方の端に負電荷を有する。マイクロ波エネルギー112が交流電場を誘発するにつれて、双極子は、電場と整列しようとして回転する。この分子回転は、分子が互いに衝突し、付加的な運動を引き起こすにつれて、熱を生成する。加熱は、比較的高い双極子モーメントを有する液体水分子において特に効率的である。
【0052】
マイクロ波加熱は、水分子が組織中に存在する時に、特に効率的であるため、標的組織において、または標的構造内に比較的高い水の含量または分子密度を有することが望ましくてもよい。この高含水量は、および治療点において、さらなるマイクロ波エネルギー吸収および結果として生じる加熱をもたらす。また、この現象は、標的組織105の優先的な加熱を可能にし、それにより、非標的組織103、104に対する影響を最小化する。
【0053】
標的組織105中の含水量を達成することができる、多数の方法がある。例えば、流体116(例えば、水、生理食塩水)などのボーラス投与を標的組織105または標的構造の中または付近に注射することにより、そのような領域をよりマイクロ波治療の影響を受けやすくする。図4は、汗腺および標的組織105の基部に近接した流体116の注射の実施形態を示す。汗腺を標的にする時、標的構造中のより高い含水量を達成するために、治療領域で発汗するように患者を誘発することができる(周囲温度または標的領域の温度を上昇させること等によって)。これらの場合のうちのいずれかで、水/汗のいずれも汗管を通って脱出することを防止するように、水が密集した汗腺をふさぐことができる。腺管を密封することは、制汗剤または任意の種類の生体適合性ポリマー被覆等のアルミニウムイオンベースの局所用製品を使用することによって達成することができる。外部水の添加は、いくつかの実施形態では必要とされない。特定の理論によって限定されずに、汗腺は、周辺組織と比較して、比較的高い含水量を自然に有し、それは、汗腺がマイクロ波エネルギー112を優先的に吸収することを可能にできる。さらに、汗腺は、概して、周辺組織に対してより高い濃度のイオン(例えば、より大きいイオン電位)を有し、それもまた、周辺組織に対するマイクロ波エネルギーの優先的な吸収を有利に可能にすることができる。
【0054】
当業者であれば、比較的低い含水量(例えば、セルライト)もまた、放射信号の電場を整合して低含水脂肪組織を優先的に加熱することによって、優先的にマイクロ波エネルギーによる標的にすることができると理解するであろう。標的組織に対するマイクロ波エネルギーの効果を制御するステップに関する、さらなる詳細は、2007年4月19日出願の「Methods and Apparatus for Reducing Sweat Production」と題された米国仮特許出願第60/912,899号、2008年4月17日出願の「Methods,Delivery and Systems for Non−Invasive Delivery of Microwave Therapy」と題された米国仮特許出願第61/013,274号、および2008年4月17日出願の「Systems and Methods for Creating an Effect Using Microwave Energy in Specified Tissue」と題された米国仮特許出願第61/045,937号に見出され、特に、例えば、出願第61/045,937号の図26−51およびページ8−33に見られる。
【0055】
図5に示されるように、マイクロ波エネルギーで標的組織105を治療するための装置は、プロセッサ(図示せず)と、プロセッサに接続されるエネルギー発生器113と、発生器に動作可能に連結される装置117とを含むように構成することができる。装置117はさらに、標的組織にエネルギーを送達するためのアンテナ等の、エネルギー送達付与装置111またはエネルギー送達要素を含むことができる。例示的実施形態では、ケーブル114(例えば、供給ライン)が、装置をエネルギー発生器113に電気的に接続する。他の実施形態では、プロセッサ、装置、および/またはエネルギー発生器113は、例えば、無線周波数信号を介して無線で接続することができる。好ましい実施形態では、エネルギー発生器113は、エネルギー付与装置111から遠隔に位置し、発生器113は、静置または移動式のいずれかとなり得る。代替として、付与装置111および発生器113は、携帯型ユニットを備えるように連結することができる。なおも代替として、付与装置111および発生器113は、単一ユニットに組み合わせることができる。
【0056】
図5は、マイクロ波発生器113に電気的に接続される複数のマイクロ波アンテナ120を備える、非侵襲性エネルギー送達装置117の実施形態を示す等角図である。一実施形態では、アンテナ120は、患者の皮膚119の標的領域に対する適用のために寸法設定される、実質的に平面的な付与装置板121に含有される。一実施形態では、装置117およびその中の付与装置板121は、治療されている組織の領域に実質的に一致するように寸法設定および構成することができる。加えて、付与装置板121は、装置117が患者の皮膚の外形に適合することを助けるように可撓性であってもよい。
【0057】
図6は、皮膚の中へのエネルギー112の送達を示す、図5の装置117の断面側面図である。そのような多重アンテナの実施形態では、同じ縦方向で同じ平面に沿ってアンテナ120を配向して、エネルギーを平面的に送達することが有用であってもよい。図5および6では、4つまたは5つのマイクロ波アンテナ120が互いに平行に配置されている。他の実施形態では、例えば、1、2、3、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上といった、より少ないか、またはより多くのマイクロ波アンテナ120が提供されてもよい。この平面構成により、1回の治療で、およびより一貫した様式で、エネルギー112をより大きい組織領域に送達することができる。いくつかの実施形態では、アンテナ120は、両方ともそれらの全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、Staufferらの米国特許第4,825,880号、またはStaufferの米国特許第6,330,479号において説明されているものと同様であってもよい。
【0058】
本明細書で後述されるように、熱治療と併せて、熱保護策を採用することができる。図5および6に示されるように、アンテナ120を含有する付与装置板121は、導管114によってマイクロ波発生器113に接続されてもよく、冷却液が、冷却剤循環機118から付与装置板121を往復して導管を通過している。冷却液は、患者の表皮102に保護域103を生成するため、保護域より下の標的組織105が治療される。標的組織105の奥深くの保護域104も図示されている。
【0059】
標的組織105に送達されるエネルギー112の量および治療効果の結果として生じる程度は、アンテナ120の数、それらの具体的構成、および各アンテナ120に送達される電力に基づいて調整することができる。一実施形態では、300MHzから20GHzに及ぶマイクロ波エネルギー出力周波数が、エネルギー送達装置に電力を供給するために好適となる。一実施形態では、約915MHzから約2450MHzまでのどこかのマイクロ波信号が、組織に対する治療効果をもたらすために優先的となる。代替として、約2.5GHzから約10GHzに及ぶ周波数を有する信号もまた、いくつかの実施形態では優先的であってもよい。加えて、マイクロ波エネルギーの送達を促進するために、固体状態、進行波管、および/またはマグネトロン構成要素を選択的に使用することができる。
【0060】
標的組織105へのエネルギー112の送達は、アンテナ120と組織との間のスタンドオフの形、および/または充填材料(例えば、誘電性の充填した導波管)の形も成すことができる低損失誘電体要素を組み込む、アンテナ120設計によって促進することができる。エネルギーが、典型的には、金属導体と身体組織との間の直接的な電気接点を介して伝送される、無線周波数等の他の形態の電気エネルギー送達とは異なり、マイクロ波エネルギーは、低損失誘電材料を介して送達されることができる。適正に構成された誘電体要素は、マイクロ波エネルギーが隣接組織に放射することを妨げず、治療経過にわたって標的組織へのエネルギーの送達を最適化するために、設計ツールとして利用することができる。皮膚および下層組織の誘電性質(誘電率および伝導度)は、水分の損失により、治療経過にわたって(例えば、温度が上昇するにつれて)変化し得るため、皮膚との直接接触からアンテナを除去する誘電体要素は、一貫した負荷を確保することによって、標的組織への一貫したエネルギー送達を維持するのに役立つことができる。このことは、皮膚および下層組織と比較して、アンテナ(すなわち、誘電体要素)と近接近した負荷の誘電特性が、治療中に比較的一貫したままであるので、達成される。一貫性を向上させることに加えて、組織の中への電力伝達を最大化するために、組織とアンテナとの間に設置される低損失誘電体(例えば、セラミック、PTFE、ポリイミド等)を利用することができる。誘電体は、エネルギー送達装置またはシステムの外部構成要素として(例えば、アンテナと組織との間の誘電「ブロック」として)、または両方の組み合わせとして、アンテナ自体に組み込まれ得る(例えば、充填材料として)。アンテナ設計に関する、さらなる詳細を以下で論議する。
【0061】
アンテナ設計に関して、本明細書に開示されるエネルギー送達機能を達成するために、いくつかの可能なアンテナ設計を実装することができる。いくつかの実施形態では、アンテナは、半剛性の同軸ケーブルの一部を使用して構築され、一方の端にアンテナを、他方の端にマイクロ波発生器を伴う。次いで、アンテナは、可撓性のマイクロ波ケーブルの長い部分に沿って発生器に接続される。また、ある導波管アンテナの実施形態では、導波管アンテナは、所望の臨床結果に応じて、適切な形または形状を伴う導波管類の一部を含むことができる。
【0062】
同軸ケーブルはさらに、内部導体シャフトと、外部導体とを備える。図7Aに図示されるような、モノポールアンテナ122を備える構成では、内部導体要素123が、内部導体シャフト124から外部導体125を越えて延在する。電磁エネルギーは、ワイヤ125の円周の周囲において、全方向性の放射パターン126でアンテナ122から放射される。図7Eに示される別の実施形態では、同軸ラインの外部導体125から不要な電流を断つために、導電性の遮蔽体またはスリーブ127がアンテナ122に追加され、したがって、近位に放射する電磁場を抑制する。図7Bに図示されるような、ダイポールアンテナ128構成では、外部導体125は、電場線が内部導体要素123から外部導体125まで伸張するような態様で露出される。
【0063】
アンテナ120の所望される性能に応じて、アンテナは、選択的に、図7Cに示されるらせんアンテナ129、図7Dに示されるループアンテナ130、または図7F−Gに示されるホーンアンテナ131を備えてもよい。これらの代替的なアンテナ構成は、幾何学的な放射パターンを提供する。例えば、図7Eに図示されるように、外部導体125は、内部導体要素123と外部導体125との間に生成される電場に指向性構成要素を提供するように、ホーン形状等の成形要素を備えてもよい。選択的に、図7Gに示されるように、外部導体要素125および/または内部導体要素123は、アンテナのエネルギー送達能力を最適化するように、誘電体要素によって縁取られるか、それに連結されるか、またはそれによって被覆されてもよい。
【0064】
別の実施形態では、標的組織へのエネルギー送達に関して、付与装置312は、マイクロ波電力源(図示せず)に連結される同軸ケーブル133に接続される、アンテナ132を備える。図8Aに図示されるように、アンテナ132はさらに、同軸ケーブル133内に配置される内部導体123を備え、内部導体要素123は、同軸ケーブル133の遠位端を越えて延在して、コイル状導体要素を形成する。冷却入口134および矢印によって画定された出口135も示されている。コイル状導体要素は、皮膚表面と整列することができる、比較的平坦な構造を提供して、標的組織の平面に一様な量のエネルギーを送達する。付与装置は、選択的に、その遠位端において、ポリマーまたはセラミックから成る薄い遮蔽体を備えてもよい。図8Bおよび8Cはそれぞれ、コイル状アンテナ構成の付加的な実施形態136、137を図示し、コイル状導体要素は、同軸ケーブル133全体(図8B)または内部導体123(図8C)のみを備えてもよい。
【0065】
上記で開示されるアンテナ設計に加えて、いくつかの他のアンテナ設計が、マイクロ波療法を送達するための装置において採用されてもよい。図9は、同軸ケーブル133および遮蔽139から成るスロットアンテナ138の実施形態の断面図を示す。マイクロ波発生器(図示せず)に接続される同軸ケーブル133は、内部導体123および外部導体125から成り、内部導体123および外部導体125は、アンテナ138の遠位部分141において、はんだ140でともに接合される。外部導体125は、円周スロット142を備え、それを通って、アンテナ138の電磁場は全方向性パターンで放射する。遮蔽構成要素139は、治療領域に向かって電磁場を方向付け、それにより、損失を最小化し、効率性を最大化するために、および、電磁場の迷放射を防止するために使用される。同軸スロットアンテナ138が不平衡構成で供給され、外部導体を下る近位電流を受けるため、近位に放射した電磁場は、同軸アンテナを縦方向に下って伝播することができ、アンテナに隣接して位置する表在性非標的組織103、104への望ましくない治療効果をもたらす場合がある。この結果を回避するために、表面電流および付随電場が非標的組織103、104から離れて方向付けられるように、アンテナ138の近位部分143を、144等における治療領域から離れる方向に屈曲させることができる。加えて、導電性エポキシまたははんだを使用して、遮蔽を同軸ケーブルに電気的に接続することによって、電磁場は、同軸ケーブルおよびアンテナの外側に沿ってさらに移動できなくなる。これらの電磁場は、遮蔽を介して治療領域に向け直すことができるように、アンテナ138の筐体内に保持される。スロットアンテナシステムもまた、示されるように、冷却回路118と、冷却板115とを含んでもよい。
【0066】
例えば、導波管、単一または多重スロットアンテナ、プリントスロットアンテナ、パッチアンテナ、およびビバルディアンテナといった、種々の他の種類のマイクロ波アンテナもまた、本明細書とともに使用することがきる。
【0067】
(マイクロ波発生器)
マイクロ波発生器113は、好ましくは、発生器ヘッドと、電力供給部と、アイソレータとを含む。発生器113は、約915MHzと15GHzとの間、より好ましくは、約2.45GHzと5.8GHzとの間等の約2.4GHzと9.2GHzとの間の周波数を有し、いくつかの実施形態では、わずか約300W、200W、100W、75W、またはそれ以下の出力電力の最大値を有するように構成されてもよい。
【0068】
(導波管アンテナ)
いくつかの実施形態では、システムは、導波管アンテナ145(例えば、図20に示されるような)を含む。アンテナは、好ましくは、約915MHzと15GHzとの間、より好ましくは、いくつかの実施形態では約2.45GHzと5.8GHzとの間等の、約2.4GHzと9.2GHzとの間の共振周波数を有する。
【0069】
導波管アンテナ145は、好ましくは、導波管145の所望の動作周波数および電場構成に構成される、断面サイズを有する。概して、最低次の横方向電場(TE)モードが利用される(例えば、TE10)が、横方向磁場(TM)、横方向電磁場(TEM)、エバネセント、またはハイブリッドモード等の他のモードが可能である。例えば、幅および高さ(長方形)または直径(円形)導波管形状は、導波管145の動作周波数および電場構成と相関する。充填材料、供給の種類および設置、およびモードフィルタリングの使用等の付加的なパラメータは、導波管145の動作周波数および電場構成に影響を及ぼす。当業者によって理解されるように、電磁放射ビームの横方向モードは、ビームの伝播方向と垂直(すなわち、直角)な平面内で測定される、放射の特定の強度パターンである。横方向モードは、導波管145に閉じ込められるマイクロ波において発生する。
【0070】
横方向モードは、導波管145に課せられる境界条件により発生する。可能なモードは、所与の導波管145の境界条件についてマクスウェル方程式を解くことによって求めることができる。横方向モードは、異なる種類に分類される。TEモード(横方向電場)には、伝播の方向に電場がない。TMモード(横方向磁場)には、伝播の方向に磁場がない。TEMモード(横方向電磁場)には、伝播の方向に電場または磁場がない。ハイブリッドモードは、伝播の方向に電場および磁場成分の両方を有するものである。エバネセント場は、導波管145からの横半径方向距離の関数として単調に増加する振幅を有するが、付随する位相シフトがない、時間変動場である。エバネセント場は、導波管145の内側で伝播する電磁波またはモードに連結され、すなわち、結合される。
【0071】
導波管145の長さは、導波管145の物理的長さが、所望の動作周波数における誘導波長145の半波長倍数である電気的長さに対応するように、調整することができる。このことは、負荷の中への導波管145供給からの効率的な一致を可能にする。
【0072】
導波管145は、所望の臨床目的、および治療される特定の解剖学的領域の形状に応じて、多種多様な断面形状を有することができる。いくつかの実施形態では、導波管145は、長方形、円形、楕円形、または六角形の断面形状を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、約1mmから100mmまでの挿入深度で、約0mmと誘導波長(λg)に等しい距離との間に同軸供給を設置することができる。設置は、最も好ましくは、同軸供給から導波管への電力の効率的な伝達のために最適化される。いくつかの実施形態では、同軸供給は、導波管145の深度の約5%から95%の間の挿入深度を有する。いくつかの実施形態では、同軸供給は、導波管145の深度の少なくとも80%の挿入深度を有する。
【0074】
標的組織105の領域で所望のエネルギー密度を有するために、アンテナ120は、いくつかの実施形態では、皮膚の0.5−5mm(例えば、約1.75mm等の、約1.5−2mmの間)以内、または他の実施形態では、所与の動作周波数において皮膚の数波長以内にあり得る。この距離は、本明細書では、アンテナスタンドオフ高さと呼ばれてもよい。スタンドオフ高さの変動は、マイクロ波放射の広がりに影響を及ぼす。非常に大きなスタンドオフにより、より大きい体積にわたる低減したエネルギー密度が達成される。逆に、スタンドオフ高さが少ししかないか、または全くないと、エネルギー密度は、概して、より小さい体積にわたってはるかに高い。大きいスタンドオフで治療エネルギー密度レベルを達成するために、有意に増加した入力電力レベルが必要である。スタンドオフによって強く影響される、組織中の深度におけるマイクロ波エネルギーの吸収パターンは、標的175と非標的(深部)組織104との間の相対安全限界に直接影響を及ぼす。最終的に、スタンドオフ高さは、導波管に対する荷重条件の大きな変動を引き起こし、導波管アンテナ145によって観察される反射電力レベルがスタンドオフの変化とともに変化する。いくつかの実施形態では、規準化された導波管145が使用される場合、スタンドオフ高さは、約ゼロ、またはマイナスにさえなり得る(例えば、皮膚が導波管145内にあり得る)。
【0075】
(誘電充填材)
誘電充填材料の選択は、種々の断面積の導波管145が特定の所望周波数で利用および伝播されることを可能にする。固定サイズの導波管のカットオフ周波数は、より大きい誘電率の材料を利用することによって減少させることができる。所望の治療サイズおよび2.4−9.2GHzの指定周波数範囲のために、K=2−30の誘電率を有する誘電充填材料が利用される。いくつかの実施形態では、好ましい誘電率は、K=10である。
【0076】
より大きいK値の誘電充填材料は、組織の誘電率により近い誘電率を有し、一般に、付与装置/組織接合部の間でより低い反射の可能性を与える。誘電率のいくつかの例は、皮膚(K=35−40)、脂肪(K=5−10)、筋肉(K=50)、または水(K=80)を含む。冷却要素1115または他の障壁を伴う実施形態では、誘電充填材料は、冷却要素115および皮膚によく調和する誘電率を有することに基づいて選択されてもよい。
【0077】
(同調スタブ)
いくつかの実施形態では、マイクロ波アンテナシステム、例えば、導波管システムは、特定の周波数における所与の組織負荷のための反射をさらに最小化するために、所与の組織の中への最適な電力伝達に使用することができる、金属の調整可能な同調スタブを含む。この強化は、製造および公差の変動の責任を負うのに役立つことができる。法外な費用がかかる場合がある、高い公差要求を有する代わりに、所望の機能的特性を達成するように各アンテナを同調することができる。いくつかの実施形態では、接着、リベット、はんだ付け、または同等物等の好適な手段によって、金属同調スタブをアンテナ(例えば、導波管145)の壁に固定することができる。スタブは、最上壁から導波管145経路へ直角に垂れ下がっている、実質的に導波管の縦方向の中心線の上に位置する、円筒形部材であり得る。スタブは、導波管145の中で種々の深度まで延在し得、導波管アンテナ145は発生器113に現れるインピーダンスに最適に適合するよう、正確に寸法設定されて配置され、効率的な電力伝達を可能にする。同調スタブは、実質的に抵抗成分がない無効インピーダンスを有利に提供する。
【0078】
(導波管の配列)
導波管付与装置は、複数の部位の同時または連続治療のための配列構成で設置することができる。加えて、本明細書の他の場所で論議されるように、導波管配列(双同軸スロットアンテナと同様)の有益な位相(同相場の構造的効果)動作の可能性が存在する。
【0079】
(ホーンアンテナ)
いくつかの実施形態では、ホーンアンテナ構成を形成するように、導波管アンテナの開口を遠位方向に外向きに広げることができる。このことは、エネルギー分散をより広範囲に広げ、ならびに、変動する組織負荷へのアンテナの頑健性を増加させることができる(すなわち、アンテナが組織組成の患者から患者への変動とよく適合する)。口広アンテナによって生成される、より幅広い設置面積は、増加した治療サイズの可能性を提供する。口広部はまた、導波管の製造公差を有利に増加させることもできる。例えば、5.8GHzの所望周波数を有するホーンアンテナは、いくつかの実施形態では、約5.5から6GHzまでの周波数範囲を有してもよい。
【0080】
(強化)
(保護冷却)
組織の熱治療では、非標的組織の不必要で潜在的に有害な熱破壊から保護することが有益であってもよい。皮膚の表皮102および真皮101層に送達される過剰エネルギーが、疼痛、不快感、乾燥、炭化、および周縁効果を引き起こすため、このことは、特に皮下治療の場合である。また、乾燥組織のインピーダンスが高すぎて、組織のより深部領域の中へエネルギーを進行させることができない場合があるため、周辺組織への乾燥、炭化、および周縁効果は、場合によっては治療の有効性を損ない得る。
【0081】
非標的組織への熱破壊、およびそれと関連するあらゆる厄介な問題を回避するために、エネルギー送達装置は、表在性非標的組織103(例えば、表皮102および真皮101の各部分)に冷却効果を提供するための冷却要素115を含むことができる。表皮102を伝導的に、および/または対流によって冷却し、冷却効果が真皮102に浸透することを可能にすることによって、冷却要素115は、図10Aで図示されるような表在性非標的組織のための熱保護域103を確立する。この保護域103を提供する冷却要素115により、非標的組織103、104への熱損傷の最小限の危険性を伴って標的組織105(例えば、図10Aの熱治療域105)を治療することができる。
【0082】
上記の図10Bは、熱傷が予想される温度以上(曲線B)および相当の損傷が発生する温度以下(曲線A)の皮膚温度を図示する、時間温度曲線を図示する。したがって、そのエネルギー治療中に、冷却システムを、所与の治療継続時間にわたって曲線B以下の非標的皮膚の表面温度(本明細書の他の場所で論議されるように、温度感知要素によって測定することができる)に、ならびにいくつかの実施形態では、曲線A以下に維持することが、非常に望ましくなる。
【0083】
疼痛および/または熱治療と関連する他の不快な感覚の危険性をさらに低減するために、冷却要素115は、表在性非標的組織103をさらに冷却して麻酔効果を生成することができる。採用される熱治療の種類および相補的冷却の関連必要性に応じて、冷却治療および/または麻酔効果は、熱治療の前、間、および/または後に適用されてもよい。保護冷却もまた、エネルギー送達を最大限化する一方で非標的組織103、104への悪影響を最小化するように、加熱治療とともに交互に適用されてもよい。
【0084】
冷却要素115は、多くの形をとることができる。冷却要素115は、静的な冷蔵液体(例えば、水、生理食塩水)または固体冷却剤(例えば、氷、セラミック板)の層、気体に変わる選択された相変化液体、またはそれらの何らかの組み合わせ(例えば、冷水で充填したシリンダ)等の、皮膚を伝導的に冷却する受動ヒートシンクとなり得る。冷却要素115はまた、表皮102の対流冷却のための、気体または液体のスプレーまたは流れ、あるいはエアロゾル粒子の形の能動冷却を提供することもできる。熱電冷却器(TEC)またはペルチェ要素もまた、効果的な能動冷却要素115となり得る。代替として、能動冷却要素115は、熱を運び去るように、隣接する循環流体を有する熱伝導性要素を備えることができる。
【0085】
冷却要素115はまた、非標的組織103、104を伝導的に冷却するための内部冷却構成要素として、装置に組み込むこともできる。例えば、エネルギー送達装置は、冷却構成要素115をエネルギー付与装置に連結することができ、その場合、冷却構成要素115は、隣接組織に伝導性冷却を能動的または受動的に提供することができる。受動冷却が提供される時、冷却構成要素115は、冷たい金属板またはブロックを備えてもよい。能動冷却が提供される時、冷却構成要素115は、熱伝導性要素を備えてもよく、その場合、冷蔵液体(例えば、水、ドライアイス、アルコール、不凍液)が、要素の内部構造を通して循環される。例えば、誘電体を含むマイクロ波エネルギー送達装置では、誘電体自体が冷却構成要素となり得る。別の例では、冷却構成要素115は、誘電体に隣接するように、アンテナ120に組み込むことができる。
【0086】
図11Aに示されるように、冷却構成要素115は、上記のような、少なくとも1つのマイクロ波アンテナ120を備える、エネルギー送達装置146に組む込むことができる。この実施形態では、隣接する皮膚組織119を冷却するために流体が使用される。この対流冷却は、選択的に、エネルギー発生器113内に統合されるか、それに連結されるか、またはそれから遠隔に位置し得る、冷却剤循環機118によって強化することができる。図11Bに示されるように、冷却循環機118は、エネルギー源113およびエネルギー付与装置121の両方から遠隔に位置する。循環流体(気体または液体)の性質および特性(例えば、媒体、流速、温度)は、標的組織に送達されるエネルギーの量および速度に照らして、所望の冷却効果を達成するように選択および修正することができる。
【0087】
任意の種類の冷蔵流体または冷媒が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ波エネルギーの送達のために最適化されるシステムは、冷却剤の中にイオンを有することを防止してもよい。高イオン含有量を伴う冷却剤は、概して、高い伝導度を有し、マイクロ波吸収および加熱につながり、マイクロ波場を混乱させ、組織へのエネルギー送達を改変する。低損失冷却剤のいくつかの例は、脱イオン水、および/または、ピーナツ、菜種、ヒマワリ、ベニバナ、またはオリーブ油等の植物油、蒸留水およびアルコール、またイソプロピルアルコールのうちの1つ以上を含む。一実施形態では、使用される冷却剤は、イソプロピルアルコールであり、それは、イソプロピルアルコールの凝固点が水よりも低いため、より低い温度での液体冷却を有利に可能にする。液体冷却剤を説明したが、気体および固体冷却剤もまた、本発明の範囲内である。
【0088】
冷却板は、いくつかの実施形態では、好ましくは、(1)熱伝導性である、つまり、組織と冷却流体との間の伝熱率を制御する、(2)マイクロ波信号の波長と比べて薄く(例えば、いくつかの実施形態では、約1mm未満、0.75mm、0.5mm、0.25mm、0.20mm、またはそれ以下)、組織の中への電力伝達/熱伝導度の効率性を最大化して、導波管145を皮膚の近くに保ち、スタンドオフ高さを最小化するために、低い電気伝導度(例えば、いくつかの実施形態では、約0.01未満のような、約0.5未満のシグマ)を有する、(3)湾曲を排除する一方で皮膚に適合するように十分な剛性であり、それにより、一貫した冷却を維持する(皮膚との一定の接触および均一な流動形状を介して)、(4)マイクロ波エネルギーを通す(例えば、非反射性である)材料でできているといった、機能のうちの1つ以上を含む。冷却板は、任意の好適な材料、例えば、約96%のアルミナ、またはいくつかの実施形態では熱分解炭素を含む、ガラスまたはセラミック複合材料でできていてもよい。
【0089】
誘電率範囲を満たす、低損失の冷却板材料が望ましい。それらは、固体または非固体(例えば、水、油)となり得る。いくつかの実施形態では、アルミナ(K=10)、ジルコニア、シリカ、ケイ酸アルミニウム、またはマグネシア等のセラミックが使用されてもよい。他の実施形態では、シリコーンゴム(K=3)等のポリマー、またはEccostockポリマー等のセラミック−ポリマー複合材料を利用することができる。具体的な材料を説明したが、当業者であれば、本願が記載された材料に限定されないことを理解するであろう。
【0090】
いくつかの実施形態では、冷却板は、好ましくは、望ましくないマイクロ波反射を最小化するのに十分薄い。例えば、いくつかの実施形態では、冷却板は、厚さが、わずか約10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、0.75mm、0.5mm、またはそれ以下であってもよい。
【0091】
導波管145(外壁)と充填物との間の接合部は、いくつかの実施形態では、不要な電場を回避するのに役立つように、約3mm未満、2mm、1.5mm、1mm、0.5mm、またはそれ以下等の最小空隙を有する。導波管冷却要素115とより小さい筐体または冷却チャンバとの間の接合部は、空隙を有するべきではない。
【0092】
(流動多岐管)
いくつかの実施形態では、冷却システムの流動チャンバは、流動チャンバにわたって一貫した流速を達成するように、入口および出口容器を含む。容器は、流動チャンバの両側に位置する。入口容器は、流体が、冷却チャンバ中の任意の点においてほぼ同じ速度で冷却チャンバを通って流れることができるように、冷却剤の蓄積を可能にする。この一定の流速は、熱伝導性障壁を提供するように、冷却板にわたって一貫した冷却を可能にする。出口における容器は、流動チャンバにわたって流動を阻害する、流体の停滞を有利に防止するのに役立つ。
【0093】
冷却回路はまた、好ましくは、流体を所望の温度に冷却または加熱する温度制御要素と、ポンプとを含む。ポンプは、回路内の従来のポンプ、または代替として、ローラポンプ等の冷却回路の外側で機能するポンプであってもよい。
【0094】
冷却流体の流速は、任意の所望の冷却のために調整されてもよい。いくつかの実施形態では、流速は、ある実施形態では、約200−600ml/分の間、約200−400mL/分の間、または約600mL/分等の、約100−1,500ml/分の間となり得る。冷却板を横断する冷却流体の温度は、好ましくは、ある実施形態では、10℃−37℃、または約10℃−22℃等の、−5℃−40℃の間である。冷却板の形状および表面積は、好ましくは、治療される身体表面の表面積および形状に対して比例する。
【0095】
(形状)
本明細書で開示される実施形態の多くでは、治療は、標的組織に対する所望の治療効果を達成するように、局所的および/または低侵襲的に投与される。これらの実施形態のうちのいくつかでは、皮膚は、組織の平坦な多層として表され、治療は、その平面と実質的に垂直な方式で、標的組織に投与することができる。治療は、特定の皮膚形状に関して開示されてもよいが(例えば、垂直な局所送達、垂直な経皮挿入等)、そのような治療は、以下で論議されるものを含む、任意の数または種々の形状に関して投与されてもよいことを理解されたい。
【0096】
(組織取得/上昇した皮膚)
マイクロ波の送達を伴うエネルギー治療では、例えば、送達したエネルギーが身体に深く浸透しすぎ、深部非標的組織104、関連重要構造(例えば、血管、リンパ節、筋肉組織等)、および身体臓器に危害を引き起こす場合があるという危険性がある。したがって、下層組織から皮膚の一部分を備える標的組織を上昇させることが有益であってもよい。そのような上昇は、臨床医による手動操作を通して達成するか、または任意の数の装置を使用して促進することができる。例えば、図12に図示されるように、皮膚119を引張って担持し、それにより、治療のために皮膚を上昇させるために真空147を使用することができる。選択的に、吸引およびエネルギー送達を一斉に適用することができるように、真空−吸引装置147をエネルギー送達装置に組み込むことができる。
【0097】
別の実施形態では、滅菌接着剤を使用するツールが、治療のために皮膚を効果的に下支えすることができる。しかしながら、より単純には、臨床医は、治療のために、および治療中に皮膚上昇を達成および維持するために、任意の数の鉗子、トング、または他の装置を使用することができる。
【0098】
(折り畳まれた皮膚)
別の皮膚形状構成では、標的組織にエネルギーを送達する前に、最初に患者の皮膚を挟持して折り畳むことが有益であってもよい。リドカイン等の局所麻酔薬の最適な投与(局所または皮下)後、表皮102、真皮101、皮下層100が下層骨格筋から分離されるように患者の皮膚を把持し、部分的に引き離すことができる。いったん分離されると、皮膚の近接部が互いに隣接し、襞の一方の側面の皮下層100が、襞の他方の側面の皮下層100に直面するように、皮膚を折り畳むことができる。これらの隣接皮下層100を分離すると、標的組織152および標的152構造が密集した治療域をもたらす。図13は、皮膚の襞148の例を示す。皮膚の襞148は、最上部149と、2つの側面(1つしか示されていない)と、2つの縁151(1つしか示されていない)と、襞の縦方向の長さに沿った「挟まれた」標的組織域152とを備える。
【0099】
皮膚の襞133の中の標的組織152が豊富な領域に治療を集中させることにより、標的組織の2つの隣接層を単一治療で治療することができるため、より効率的な手技を可能にする。加えて、治療は、1つ以上の配向(例えば、襞の両側)から投与することができ、それは、より効果的で信頼性のある治療をもたらすことができる。また、皮膚が身体から引き離されているため、非標的構造155への損傷が最小化される。また、皮膚の襞148を適所に挟持または吸引する行為は、折り畳んだ組織への血流を一時的に制限するため、治療中に送達される熱エネルギーが血流によって消散される可能性が少ない。加えて、折り畳み構成によって皮膚中で引き起こされる神経活動が、疼痛管理の門制御説(以下で説明される)下の治療中に、患者の痛覚を低減してもよく、それは、皮膚の真空持ち上げ、ならびに皮膚の手動「挟持」の両方に適用可能となり得る。
【0100】
一実施形態では、図14に図示されるように、皮膚の襞148は、2つのエネルギー送達要素154を備えるエネルギー送達装置によって、対向側から治療される。エネルギー送達要素154は、襞の中央の治療域148にエネルギーを送達するように構成される。例えば、上記の図5に示されるように、1つ以上のマイクロ波発生器113に接続される1つ以上のマイクロ波アンテナ120を備える、エネルギー送達装置の場合、マイクロ波エネルギー112は、皮膚の襞の各側面から外側表皮層102を横断し、治療域152の深くに浸透することができる。以前の標的組織105へのマイクロ波エネルギー112の送達を最適化するために、選択的に、誘電体をこの治療で使用することができる。また、以前に示され、図5に関連して説明されるように、非標的組織の保護域155を生成するために、冷却要素115を皮膚表面上で使用することもできる。加えて、装置153は、治療中に襞を安定させるように、皮膚の襞148の両側に冷却要素115および/または誘電体要素を伴って構成することができる。
【0101】
別の実施形態では、2つ以上のエネルギー信号の加重効果を使用して、治療を標的組織152において集中させ、局限することができる。図15に図示されるように、示されるスロットアンテナ138等のアンテナは、皮膚の襞の両側から連続マイクロ波治療を送達するように、皮膚の襞133の両側(139等)に配置することができる。各アンテナ138からのエネルギー波は、第1アンテナ138からの波が第2アンテナ138からの波と調和し、標的組織域152において累積治療効果を生じることができるように、段階的となり得る。波はまた、治療が所望ではない領域(すなわち、非標的組織)で互いに打ち消すことができるように同期化することもできる。したがって、最適な治療は、標的組織が密集した領域において加法的であるが、他の領域において減法的である、エネルギー波を送達するように構成および協調される、アンテナ138を備える。
【0102】
上記で論議される実施形態の多くに関して記述されるように、吸引を用いて皮膚の襞を生成することが望ましくてもよい。例えば、吸引−真空147空洞を、前述の装置のうちのいずれかに組み込むことができる。図16A−Bは、筐体156と、吸引チャンバ157と、真空源(図示せず)への接続のための真空ポート(図示せず)と、同軸ケーブル133を介して電源に動作可能に接続される双スロットマイクロ波アンテナ138とを備える、吸引システム147の実施形態の斜視図を示す。各アンテナ138のための冷却流入口134および出口135ポートも示されている。真空源は、組織チャンバ157内で折り畳み配向にて皮膚を把持および担持するのに十分な真空力を提供するために構成することができる。装置は、手技の開始時に皮膚を単純に把持する、または治療の一部または全体にわたって皮膚を適所で担持するために、吸引147を利用してもよい。装置内のこのより低い圧力または吸引の領域は、標的組織をアンテナ138により近く並置させ、標的組織中の血流を低減するよう、装置を皮膚に接着させるのに役立ち、それにより、組織のより効率的な加熱を可能にする。
【0103】
吸引の使用は、多数の付加的な有益性を有する。例えば、吸引は、所望の形状で皮膚を配向させるのに有用となり得る。本明細書で開示される治療構成で示されるように、吸引は、皮膚を把持し、折り畳んだ皮膚または上昇構成のいずれかで保持するのに役立つことができる。また、治療のために皮膚を適所に持ってくるために吸引を使用することによって、治療変動性を最小限化することができる。臨床医は、吸引によって調節されるため、一貫した接触力について心配する必要がない。
【0104】
さらに、吸引することにより、血管が優先的に標的にされない実施形態では、標的組織の表面にあるか、または同じ平面内にある血管の有利な一時閉塞を可能にしてもよい。血管を通る流動を制限することによって、血管の含水量が減少され、マイクロ波エネルギーを介した望ましくない凝固を予防する。このことはまた、マイクロ波エネルギーが、非標的血管に方向付けられるよりもむしろ、標的組織により効率的に方向付けられるため、ヒートシンク効果を提供することもできる。
【0105】
しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、毛細血管拡張症または静脈瘤を治療するため等に、血管が優先的にマイクロ波エネルギーを吸収するように、血液が血管中にとどまるように吸引を採用することが望ましくてもよい。
【0106】
加えて、吸引は、皮膚中の伸張および圧受容器を誘起することによって疼痛を制御するのに役立ち、それにより、疼痛管理の門制御説を介して疼痛新信号を遮断してもよい。門制御設は、脊髄の後根神経節に到着する過剰な神経信号がシステムを圧倒し、脳への疼痛受容器信号の伝送を覆い隠すか、または遮断すると考える。この疼痛管理の機構は、埋込型電気疼痛制御ユニット、TENSシステム、Optilaseシステム、およびその他によって活用される。
【0107】
いくつかの実施形態では、吸引システム147は、所望される組織取得の領域にとって十分な圧力を伴って構成される、真空ポンプを含む。圧力は、約450−700mmHgの間、およびいくつかの実施形態では約650mmHgとなり得る。チャンバによって覆われる領域の形状は、いくつかの実施形態では卵形、または任意の他の所望の形状となり得る。15cm×25cmの長方形の導波管145および冷却板115を伴う実施形態では、吸引チャンバ157は、2つの外側の7.5cm半径の弧領域を伴う、15cm×25cmの中央長方形領域を有してもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ深度は、約30mm未満、25mm、20mm、15mm、10mm、7.5mm、5mm、またはそれ以下である。チャンバ壁は、いくつかの実施形態では、例えば、約20度等の約5−30度の間で、チャンバ157の基部から外に角度を成してもよい。
【0108】
吸引チャンバ157の深度は、取得および治療される時に皮膚が上昇される量を制御し、それは順に、皮膚組織内で形成される病変に影響を及ぼす。その圧迫および上昇状態で治療されると、皮下病変が圧迫された組織に生成される。吸引147が解放され、皮膚がチャンバ157およびその圧迫状態から係脱されると、病変が伸張される。結果は、より薄く、より幅広い皮下病変である。
【0109】
吸引システム147はまた、1つ以上の吸引ポート、例えば、それぞれ吸引チャネルを介して吸引域に接続される2つのポートを含むこともできる。吸引域は、吸引領域を最大限化するようにパターンを画定し、それは順に、吸引力を最大限化する。吸引領域はまた、組織歪曲も予防する。複数の吸引ポートを伴う実施形態では、ポートは遠位分岐に分かれて各吸引ポートと噛合することができる、吸引導管によって接続されてもよい。
【0110】
システム147はまた、上記のような種々のパラメータを制御するように、CPU等の制御要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、好ましい治療順序は、(1)吸引して所望の組織を取得する、(2)所望の組織を事前冷却する、(3)組織にエネルギーを送達する、(4)組織を事後冷却する、(5)吸引を解放する、である。本願で説明される実施形態とともに使用することができる、他の組織取得システム、装置、および方法は、例えば、その全体で参照することにより以前に組み込まれている、米国特許出願第61/045,937号のページ69−71で開示されている。
【0111】
以下の表は、送達したエネルギーによって生成される病変の厚さ、ならびに冷却システムによって生成される保護域の深度を制御するように改変することができる、種々のパラメータの非限定的な一覧である。記載される範囲は、特定の実施形態用にすぎず、記載された範囲外の他の範囲または値も、本発明の範囲内である。
【0112】
【表1−1】
【0113】
【表1−2】
いくつかの実施形態では、システムはまた、1つ以上の温度センサも含む。センサは、熱電対(TC)、サーミスタ、または光ファイバセンサ(金属が不足していれば、マイクロ波エネルギーと有利なことに相互作用しない)であってもよい。いくつかの実施形態では、温度センサは、皮膚表面と冷却板との間の接合部に位置する、熱電対センサである。いくつかの実施形態はまた、選択的に、冷却剤流入および/または流出容器の温度を測定するように、熱電対センサを含んでもよい。システムはまた、送達されるエネルギーおよび/または冷却剤温度を調整するか、または代替として、例えば、事前設定した最大皮膚また冷却剤温度が識別された場合にシステムを止めるように構成される、フィードバックループを含んでもよい。圧力または距離センサ等の他のセンサが、皮膚接触および係合を確認するように存在することができる。
【0114】
(薬剤)
本明細書で開示される治療の多くでは、標的組織105は、治療効果を生じさせるように損傷される。しかしながら、非標的組織103、104もまた、これらの治療のいくつかにおいて影響されてもよい。そのような治療は、治療の間および後の両方で発生する場合がある、疼痛、炎症、感染症、および瘢痕化等の合併症を有する場合がある。したがって、治療の前、間、および/または後に患者に薬剤を提供して、これらの合併症の発生率および影響を最小限化することが有益であってもよい。リドカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、テトラカイン、およびプロカイン等の疼痛用麻酔薬、炎症用のステロイドまたは非ステロイド剤、および感染症用の抗生物質となり得る、薬剤は、経口で、局所的に、静脈内に、または局所注射を介して投与することができる。
【0115】
(エネルギーの制御された送達)
標的組織105にエネルギーを送達するための、本明細書で開示される治療のうちのいくつかで、エネルギーの制御された送達が、過熱の結果としての標的組織105および非標的組織103、104への不必要な損傷(例えば、乾燥、炭化等)を回避するのに有用であってもよい。エネルギーの制御された送達はまた、より一貫した、予測可能で効率的な全体的治療をもたらしてもよい。したがって、組織にエネルギーを送達するためのプログラムされた命令を有する制御器をエネルギー送達システムに組み込むことが有益であってもよい。加えて、これらのプログラムされた命令は、エネルギーの制御された送達を自動化するためのアルゴリズムを備えてもよい。
【0116】
エネルギーの制御された送達を採用する実施形態では、前述の制御器を発電機に組み込まれるか、または連結することができ、制御器は、温度および/または電力プロファイルを備える事前設定アルゴリズムに従って、発電機を指揮する。これらのプロファイルは、標的組織において所望の治療効果を達成するために使用することができる、パラメータを定義してもよい。これらのパラメータは、電力および時間増分、最大許容温度、およびランプ速度(すなわち、温度/電力増加の速度)を含んでもよいが、それらに限定されない。リアルタイムまたは遅延生理学的および診断測定値を備えるフィードバック信号は、これらのパラメータおよびエネルギーの全体的送達を変調するために使用することができる。得ることができる測定値の中でも、治療部位および/または標的組織105における温度、インピーダンス、および/または反射電力が、特に有用となり得る。これらの測定値は、エネルギー送達が治療経過にわたって治療部位および標的組織において及ぼす効果を監視するのに役立ってもよい。エネルギー制御器は、固定係数を有してもよく、または制御器の係数は、エネルギー送達への組織反応に応じて変動されてもよい。加えて、エネルギー送達を制限するために、または感知した組織温度を制限するために、安全プロファイルを備えるアルゴリズムが採用されてもよい。これらのアルゴリズムは、エネルギー送達を止めるか、またはエネルギー送達を変調し得る。加えて、能動冷却要素115等の熱保護が採用される治療では、監視した領域に基づいて保護冷却を変調することができる。
【0117】
エネルギーの送達における温度測定値を考慮することによって、必要な治療効果を達成する一方で、治療の不必要な合併症を回避するように治療を投与することができる。例えば、標的組織105へのエネルギー送達は、所望の閾値温度が標的組織に対して到達されるまで着実に増加させる(すなわち、一定の比率で増加させる)ことができ、閾値温度は、治療効果を生じさせるために必要な温度である。電力増加、またはエネルギーの送達を完全に中止することによって、いったん閾値温度に到達すると、付加的および過剰な加熱に起因する、非標的組織103、104への危害を回避することができる。いくつかの実施形態では、例えば、皮膚の表面における、表在性非標的組織103の温度を判定し、標的組織温度のその温度測定値から推定することによって、標的組織の温度を間接的および非侵襲的に監視することができる。特定の患者の皮膚の厚さについて、調整を行うことができる。いくつかの実施形態では、表在性非標的組織103の温度を約45℃未満に維持することが望ましい。
【0118】
温度は、熱電対およびサーミスタを含む、任意の数のセンサを使用して測定することができ、そのようなセンサは、エネルギー送達要素154、エネルギー送達装置、および/またはエネルギー送達システムに組み込むことができる。例えば、熱電対は、エネルギー付与装置に埋め込むこと、エネルギー送達装置の一部としてアンテナに隣接して配置すること、または熱電対が発生器に直接配線されるように装置から離して位置することができる。測定される温度は、装置に直接隣接する組織、標的組織、または有用な温度測定値を提供する場合がある任意の他の組織の温度となり得る。エネルギー送達要素が組織と熱的に連通している(例えば、伝導を介して)場合、エネルギー送達要素に組み込まれるセンサは、要素自体の温度を測定してもよい。
【0119】
インピーダンスは、電気刺激への組織の反応を観察することによって、測定することができる。この測定は、組織への、および組織を通したエネルギー送達の程度を評価するのに役立つことができるため、有用である。例えば、高インピーダンスを有する組織に方向付けられるエネルギーは、組織のより深部領域に浸透するのが困難な場合がある。このことは、皮膚のインピーダンスが治療経過にわたって変化し得るため、皮膚組織の場合に特に重要である。組織は、加熱されるにつれて水分を失い、その伝導度は低下し、インピーダンスは増加する。乾燥するまで組織が加熱された場合、組織の抵抗性は、電気伝導を介した周辺組織へのエネルギー送達を損なう場合がある。エネルギー送達システムでインピーダンス測定フィードバックを採用することにより、標的組織105へのエネルギーの送達を最適化する一方で、標的組織105および非標的組織103、104の両方への悪影響を回避することができる。
【0120】
(段階的治療)
本明細書で開示される治療の多くでは、段階的に治療を行うことが望ましくてもよい。加えて、標的組織部105が初期段階で治療される一方で、他の部分は以降の段階で治療されるように、治療をパターン化することができる。例えば、図17に図示されるように、患者は、第1段階で治療される「A」と印付けられた領域と、第2段階で治療される「B」と印付けられた領域とを有し得る。加えて、治療は、少なくとも3、4、5、6、またはそれ以上の段階等のさらなる段階、および付加的な領域に分化され得る。選択的に、各領域が治療を複数回受容するように、治療は、複数の段階で同じ領域に投与され得る。一実施形態では、以降の段階で、特定の領域への治療は、エネルギーの増加または減少した量、または異なる治療の種類等とともに、変動してもよい。
【0121】
このアプローチには、多数の潜在的有益性がある。第1に、段階的治療は、治療と治療との間に治癒する機会を身体に与える。これは、数回のセッションにわたって組織の不連続領域を治療または熱損傷するステップは、1回のセッションで組織の比較的より大きい領域を治療または熱損傷するステップと比較して、より少なく、あまり重度ではない合併症を有する場合があるため、特に重要である。第2に、小さい治療領域を有する、パターン化した治療は、より有利な治癒反応を誘出する場合がある。治癒時間は、線維芽細胞が周辺組織から移動しなければならない距離に関係するため、より小さい治療領域は、より大きい治療領域よりもはるかに速く治癒する場合がある。図18A−Eは、種々のパターン化した治療の例を図示する。
【0122】
医療施術者にとって、段階的でパターン化した治療は、治療の有効性を追跡し、患者の具体的必要性に合わせた追跡治療を提供する機会を提供してもよい。例えば、腋窩部の多汗症の治療の場合、臨床医は、(1)治療の残りの領域を識別し、(2)腋の下の領域における発汗の全体的低減を判定するように、発汗がマッピングされる(例えば、ヨード染色)、追跡セッションを有ることができる。必ずしも100%の無汗症を所望するわけではない患者にとっては、段階的治療は、特定の時点で治療を中断することを可能にしてもよい。例えば、腋窩部の多汗症の重症例に罹患している患者は、発汗の少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上の低減で満足する場合があり、そのような低減のために必要な治療数に参加することしか望まない場合がある。
【0123】
加えて、段階的でパターン化した治療は、治癒過程中の身体の拘縮の反応を最小限化することができる。線維化(または瘢痕化)と呼ばれる過程では、線維芽細胞がコラーゲンの網目を横たえて組織の治癒を促進する。瘢痕の密度が増加するにつれて、治療した領域が拘縮し、それにより、その領域内の皮膚を引き締める。腋窩部の多汗症の治療の場合、拘縮は、患者の全可動域を潜在的に損ない得る。治療は、拘縮および/または患者に対するその影響を最小限化するように、パターン化し、段階分けすることができる。例えば、図18Cに描写される、細い治療領域は、最小限の腋窩部拘縮および腕の可動域に対する結果として生じる機能障害をもたらす。
【0124】
段階的および/またはパターン化した治療の適用を促進するために、テンプレートを使用することができる。図19は、3つのテンプレート158、159、160を備える段階的治療の一連を図示し、各テンプレートは、全体的な治療領域の異なる部分への治療を可能にするように構成される。テンプレート158、159、160は、エネルギー送達装置または1つ以上のエネルギー送達要素(図示せず)に係合して、段階的および/またはパターン化した治療の適用を促進するように構成されてもよい。テンプレート158、159、160は、所望のパターンおよび/または段階を反射するように、可撤性または調整可能部品を伴う、例えば、木材、プラスチック、または金属等の適切な材料でできている、単一フレームから成ることができる。代替として、テンプレート158、159、160はまた、複数の段階的治療の経過にわたって残留する、一時的マーカ、タトゥ、または染料(例えば、ヘナ)を使用して、患者の皮膚上に描かれる、1つ以上のパターンのものであってもよい。
【0125】
(システムの実施形態)
いくつかの実施形態では、非侵襲に、汗腺および周辺組織に熱的に影響を及ぼすようにマイクロ波エネルギーを使用するためのシステムおよび方法を開示する。そのようなシステムおよび方法は、例えば、過剰発汗または多汗症を治療するのに有用であってもよい。システムは、マイクロ波発生器と、マイクロ波付与装置と、冷却構成要素と、組織取得構成要素とを含む。
【0126】
マイクロ波付与装置は、患者の皮膚に対して、または隣接して設置され、患者の皮膚の指定深度における標的層に、具体的には、汗腺が存在する真皮および下皮の領域にエネルギーを送達するように構成される、1つ以上のマイクロ波アンテナを含む。ある実施形態では、患者の皮膚の標的領域にマイクロ波エネルギーを局限するように、付与装置の周囲に遮蔽が提供される。
【0127】
冷却構成要素は、患者の皮膚に接触し、標的層の上側の層、例えば、表皮を保護するように冷却するように構成される、(セラミック製等の)セラミック冷却板を含む。冷却構成要素はまた、冷却流体を受容するように構成される冷却板に隣接する、冷却剤流動回路チャンバも含む。冷却構成要素はまた、流体を冷却または加熱する温度調節構成要素と、流体を循環させるポンプとを含む。
【0128】
組織取得構成要素は、治療される皮膚を上昇させ、受容するための吸引チャンバと、真空ポンプと連通している1つ以上の吸引ポートと、皮膚の温度を測定するための熱電対ワイヤとを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、汗の産生を低減する方法は、治療される皮膚の領域を識別するステップと、吸引チャンバ内で皮膚を取得するように真空ポンプを起動するステップと、冷却要素を介して皮膚の第1層を冷却するステップと、皮膚の第1層が保護するように冷却されている間に、汗腺を含有する皮膚の第2層にマイクロ波エネルギー送達するステップであって、第2層は、皮膚表面に対して第1層よりも深い、ステップと、皮膚を解放するように真空ポンプを動作停止させるステップとを伴う。
【0130】
図20は、本願の一実施形態による、種々の皮膚特徴を治療するためのマイクロ波付与装置システム161を概略的に図示する。システムは、同軸ケーブル(図示せず)に動作可能に接続される導波管アンテナ145を含み、順に、同軸ケーブルは、マイクロ波発生器113(図示せず)に接続される。
【0131】
マイクロ波発生器113は、好ましくは、発生器ヘッドと、電力供給部と、アイソレータとを含む。発生器113は、約915MHzから15GHzの間、より好ましくは、約2.45GHzから5.8GHz等の約2.4GHzから9.2GHzの間の周波数を有し、いくつかの実施形態では、約300W、200W、100W、75W、またはそれ以下の出力電力最大値を有するように構成されてもよい。開示した実施形態とともに使用するために適合されてもよい、種々の医療用マイクロ波発生器は、例えば、Microsulis Medical Ltd.によるもの(9.2GHz MEA Treatment System)(Denmaed,Hants,UK)、AFx,Inc.,Fremont,CAによるFlex2またはFlex4 2.45GHz MWアブレーションシステム、Urologix,Minneapolis,MN)によるTargis and Prostatron 915 MHz System、およびBSD Medical,Salt Lake City,UTによるBSD−500温熱療法システムを含む。
【0132】
アンテナ145は、好ましくは、約915MHzから15GHzの間、より好ましくは、約2.45GHzから5.8GHz等の約2.4GHzから9.2GHzの間の周波数を有する。
【0133】
導波管アンテナ145は、好ましくは、導波管の所望の動作周波数および電場構成に構成される、断面サイズを有する。概して、最低次横方向電場(TE)モードが利用される(例えば、TE10)が、横方向磁場(TM)、横方向電磁場(TEM)、エバネセント、またはハイブリッドモード等の他のモードが可能である。例えば、幅および高さ(長方形)または直径(円形)導波管形状は、導波管145の動作周波数および電場構成と相関する。
【0134】
導波管145の長さは、好ましくは、導波管145の物理的長さが、所望の動作周波数における誘導波長の半波長倍数である電気的長さに対応するように、調整される。
【0135】
導波管145は、所望の臨床目的、および治療される特定の解剖学的領域の形状に応じて、任意の断面形状を有することができる。いくつかの実施形態では、導波管145は、長方形、円形、楕円形、または六角形の断面形状を有する。
【0136】
いくつかの実施形態では、約1mmから7mmの挿入深度で、導波管145の(内側)後壁から約1mmから10mmの間に、同軸供給(図示せず)を設置することができる。設置は、最も好ましくは、同軸供給から導波管145への電力の効率的な伝達のために最適化される。
【0137】
標的組織の領域で所望のエネルギー密度を有するために、アンテナ145が表皮102の0.5−5mm(例えば、約1.75mm等の、約1.5−2mmの間)以内にあることが好ましい。この距離は、本明細書では、スロットアンテナ構成の代替実施形態を示す、図22Aに示されるような、アンテナスタンドオフ高さ162と呼ばれてもよい。スタンドオフ高さ162の変動は、マイクロ波放射の広がりに影響を及ぼす。非常に大きなスタンドオフ高さ162により、より大きい体積にわたる低減したエネルギー密度が達成される。逆に、スタンドオフ高さ162が少ししかないか、または全くないと、エネルギー密度は、概して、より小さい体積にわたってはるかに高い。大きいスタンドオフ高さ162で治療エネルギー密度レベルを達成するために、有意に増加した入力電力レベルが必要である。スタンドオフ162によって強く影響される、組織中の深度におけるマイクロ波エネルギーの吸収パターンは、標的と非標的(深部)組織との間の相対安全限界に直接影響を及ぼす。最終的に、スタンドオフ高さ162は、導波管145に対する荷重条件の大きな変動を引き起こし、アンテナによって観察される反射電力レベルがスタンドオフの変化とともに変化する。
【0138】
導波管145の遠位端は、好ましくは、治療される皮膚119に直接接触する、冷却板166に少なくとも部分的に重ね合わせられる、冷却流体回路163を含む、冷却システムに動作可能に接続することができる。下層脂肪164および筋肉層165もまた、概略的に示されている。一実施形態では、長方形を伴って、冷却板は、長方形の形状および15mm×25mmの寸法を有する。流動チャンバの厚さは、好ましくは、約3mm未満、2mm、1.5mm、1mm、0.75mm、または0.5mmである。
【0139】
また、前述のように、真空源に動作可能に接続される、1つ以上の真空ポートも、図20に図示されている。付与装置、冷却構成要素、および真空ポートは、好ましくは、示されるように、全て内蔵型筐体168の中へ接続される。
【0140】
図21は、図20の導波管付与装置システム161の下面を概略的に図示する。示されているのは、冷却板166(示されるように長方形)を覆って続く冷却流体回路に遠位に動作可能に接続される、導波管145、およびそれぞれ冷却板166の側方にある2つの真空ポート167である。全ての要素は、好ましくは、治療される特定の領域への効率的なエネルギー送達、冷却、および吸引を促進するように、筐体168に含有される。
【0141】
図21Aは、本願の一実施形態による、導波管アンテナシステム用のハンドル169を含む、マイクロ波付与装置161の側面斜視図を図示する。図21Bは、筐体168(例えば、吸引チャンバ)、真空ポート167、および冷却板166も図示する、図21Aの導波管付与装置ハンドル169の別の図を図示する。
【0142】
(単一スロットの実施形態)
いくつかの実施形態では、マイクロ波付与装置システム170は、スロットアンテナ138を含む。スロットアンテナ138は、図22に示されるように、近位部分143と、屈曲部分144と、スロット142と、遠位先端部分141とを含む。スロットアンテナ138内のスロット同軸ケーブル(図示せず)の直径は、好ましくは、いくつかの実施形態では、わずか約200ワット、150ワット、またはそれ以下であってもよい、所望のマイクロ波電力に対処するほどに十分に大きい。スロットアンテナ138の直径もまた、アンテナの放射特性の変化を導入するように変動させることができる。いくつかの実施形態では、スロット138の直径は、いくつかの実施形態では約0.085”から0.25”まで等、またはある実施形態では0.085”から0.141”まで等の約0.047”から0.500”までの間である。
【0143】
スロット142の幅は、いくつかの実施形態では約1.5mm等の、約1mmから2mmのまで間等の、いくつかの実施形態では約0.5mmから5mmまでの間となり得る。一般に、スロット142の幅は、動作周波数ならびに「共振の深度」(言い換えれば、最適な周波数における組織の中への連結の量)の両方に強い影響を及ぼす。スロット142は、好ましくは、円周である一方で、非円周スロット142もまた、本願の範囲内である。
【0144】
示されるように、スロット142の遠位の部分141である、遠位アンテナ先端部分141は、いくつかの実施形態では、約8mm等の、約1mm−10mmの間等の、約0.5mm−15mmの間の長さを有することができる。先端部分141の長さは、アンテナの動作周波数に影響を及ぼすことができる。例えば、より長い遠位先端部分141は、より低い周波数をもたらす。
【0145】
スロット142の幅および遠位アンテナ先端141部分の長さは、組織中の深度における相対電力集中(比吸収率)、ならびに所望の周波数におけるアンテナから組織の中への電力伝達の効率に影響を及ぼす、原始変数である。
【0146】
スロットアンテナ138は、いくつかの実施形態では、近位スロットアンテナ143とスロット142との間に屈曲部分144を含む。屈曲部分144は、少なくとも約15、30、45、60、75、90、105、120、135度、またはそれ以上等の、任意の適切な湾曲角度を有することができる。示されるように、屈曲部分144は、約90度の湾曲角度を有する。スロットアンテナ138の屈曲部分144は、いくつかの利点を有することができる。不平衡同軸ラインによって供給される、スロットアンテナ138は、電源に戻って向かって、ケーブルの外部導体の上方へ近位に進行する、逆放射場を引き起こす、逆流を有する。屈曲144は、逆放射場によって引き起こされる第1の定在波の前の点で、ケーブルに導入される。このことは、ケーブルの外側遮蔽が組織に近接近している、ケーブルに沿った場所で発生し得る、不要な組織アブレーション領域がないことを確実にする。屈曲144の場所はまた、アンテナから組織の中への電力伝達特性に影響を及ぼし、治療にわたってさらなる一貫性を確保する。
【0147】
前述のようなアンテナスタンドオフ高さ162に関して、標的組織の領域で所望のエネルギー密度を得るために、アンテナが皮膚の0.5−5mm(例えば、約1.75mm等の、約1.5−2mmの間)以内にあることが好ましい。
【0148】
図22Aは、送達されるエネルギーおよび治療される皮膚表面積に応じて調整することができる、一実施形態による単一スロットアンテナ138の種々の寸法パラメータを図示する。示されているのは、アンテナスタンドオフ高さ162、アンテナ直径172、冷却チャンバ厚さ173、遮蔽/本体高さ174である。変数が単一スロットアンテナ構成とともに図示されているが、パラメータは、他のアンテナの実施形態についても調整できることが理解されるであろう。
【0149】
図22Aの概略図に示されるように、スロットアンテナシステム170は(導波管アンテナシステムとは対照的に)、いくつかの実施形態では、スロットアンテナ138のエネルギー送達の全方向性により、マイクロ波遮蔽要素139を含む。遮蔽要素139は、(1)遮蔽が効率を増加させ、したがって、全体的な電力を増加させてもよい、(2)電場の各部が漂遊することを防止することによって、遮蔽が複数の治療にわたってさらなる一貫性および信頼性を可能にしてもよい、(3)遮蔽が外部導体の下方へ近位に進行する電流を断ち、それにより、逆放射場を排除してもよい、(4)遮蔽が、アンテナの本質的な全方向性の放射特性を除去し、標的組織に向かって戻るようにエネルギーを方向付けし直してもよい、(5)組織中の最適な電力集中特性を達成し、ならびに効率的な電力伝達を可能にするために、遮蔽の形状が付加的なツールとして使用されてもよい、といった理由のうちの1つ以上により、有利となり得る。
【0150】
遮蔽139は、いくつかの実施形態では、固体または網目であってもよく、吸収性および/または反射性遮蔽性質を有してもよい。例えば、吸収性遮蔽が所望される場合は、黒鉛を使用することができる。金属遮蔽は、吸収性ではない、略反射性である。反射性網目遮蔽が使用される場合、使用される細孔のサイズは、概して波長に関係する(すなわち、より大きい波長がより大きい開口部を可能にする)。網目遮蔽は、組織取得の可視化、したがって、操作者による組織係合の確認を有利に可能にする。
【0151】
遮蔽139は、好ましくは、スロットアンテナ138から離れて最適な距離を置いて位置する。遮蔽139がスロットアンテナ138に近すぎると、アンテナ場が遮蔽139の一部(通常は縁)に連結する場合があり、連結した部分が不要な場所において放射し始め、「ホットスポット」効果として知られているものを生成する。したがって、いくつかの実施形態では、外側遮蔽139は、ホットスポット効果を十分に制限するか、または理想的には排除するよう、アンテナ138から離れて、少なくとも約5mm、7mm、10mm、またはそれ以上等の距離を置いて保たれる。加えて、なんらかの連結が遮蔽体縁において存在する場合、遮蔽は、皮膚と直接接触しないように持ち上げられてもよく、したがって、この場所における組織吸収を低減または除去する。遮蔽の近位後壁は、好ましくは放射場の逆放射を防止し、標的波長に向かって放射場をさらに集中させるよう、同軸ケーブルから適切な距離を置いて保たれる。遮蔽は、皮膚を保護するように、皮膚表面に隣接し、かつ平行に延在してもよい。アンテナから少なくともある距離を置いて、横方向に離間した遮蔽を有することが有利であってもよいため、所定の幅の治療窓を生成するために、皮膚表面の各部分を遮蔽することが望ましくてもよい。遮蔽要素の形状は、治療領域の形状および所望の臨床結果に応じて決定することができる。遮蔽要素形状のいくつかの例は、例えば、円筒形、半球形、および長方形である。
【0152】
冷却流体(図示せず)および板115等の冷却構成要素、ならびに組織取得構成要素およびそれらの各パラメータは、前述のとおりであってもよい。制御システムもまた、前述のとおりであってもよいが、動作パラメータは、導波管の実施形態と同様の結果を達成するために、必要以上の実験なしで変動させることができる。
【0153】
図23は、図22のスロット付与装置システム170の下面を概略的に図示する。示されているのは、冷却板115を覆って続く冷却流体回路に遠位に動作可能に接続される、スロットアンテナ138、およびそれぞれ冷却板115の側方にある2つの真空ポート167である。遮蔽139は、好ましくは、筐体171の少なくとも一部を包囲して、所望の治療領域外の不要なエネルギー送達を防止する。
【0154】
(双子スロット)
いくつかの実施形態では、マイクロ波付与装置システム175は、上記の図24に概略的に図示されるように、複数のスロットアンテナ176を含む。そのような構成では、2つ以上の同軸スロットアンテナ176は、位相配列として動作する。アンテナ176の間隔、アンテナ176との組織挟持部177の整合、および2つのアンテナ176への入力の間の位相関係は、所望の臨床結果に応じて当業者によって改変することができる、付加的な変数であってもよい。
【0155】
各アンテナ176によって生成される電場の間の相互作用は、互いに対するアンテナ176の間隔に応じて変動してもよい。アンテナ176をともに接近しすぎて離間しないように、注意しなければならず、それは、マイクロ波発生器(図示せず)の中へ戻る、一方のアンテナから他方のアンテナの中への大きな電力結合につながり得る。アンテナ176は、「挟持部の側面」構成で冷却流体から0mmから10mmまで離間することができ、「挟持部の上側」構成で互いから約8mmから30mmまで離れた距離を置いて離間することができる。
【0156】
アンテナ176との組織挟持取得との相対整列もまた、所望の臨床結果に応じて改変することができる。2つの構成が組織中の有利な電力集中パターンにつながると示されており、示されるように、「挟持部」177の両側におけるの双アンテナ176の整列、または他の実施形態では、「挟持部」177の上側における双アンテナ176の整列のいずれかである。両方の場合において、アンテナ挟持部177整列は、高電場の領域を治療部位で集中させる一方で、非標的組織で電場を低減することができるように、調整することができる。
【0157】
アンテナ176は、位相動作のために構成することができる。アンテナ176を同相で駆動すると、集中的な電場パターンをもたらし、2つのアンテナ176の間の建設的干渉が標的領域で発生し、相殺的干渉が非標的領域で発生する。そのような集中は、組織挟持部177構成の形状と組み合わせて、前述のような単一アンテナシステムよりも低い周波数の駆動信号が利用される、より高い可能性につながる。
【0158】
いくつかの実施形態では、同相動作に加えて、所望の臨床結果に応じて、アンテナ176の入力信号の間の位相差を導入することによって、2つのアンテナ176の間のピーク電場領域の相対空間位置を変動させることができる。このことは、「ビーム操縦」として知られている過程によって、優れた正確性で治療領域が異なる場所に方向付けられることを可能にする。例えば、治療領域は、正確に2つのアンテナ176の間にある領域から(同相動作による)、各アンテナに最も近接している組織領域中の二重治療領域を有する分岐治療領域(逆位相動作による)へ向け直すことができる。図24Aは、同相駆動動作による2つのアンテナのシミュレーションを図示する。
【0159】
図24Bは、逆位相駆動における2つのアンテナのシミュレーションを図示する(第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で103度の位相シフト)。
【0160】
図24Cは、第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で170度の位相シフトを伴う、2つのアンテナのシミュレーションを図示する。
【0161】
図24Dは、第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で155度の位相シフトを伴う、2つのアンテナのシミュレーションを図示する。
【0162】
二重スロットの実施形態では、遮蔽1208は、好ましくは、治療領域の外側のエネルギー分布を最小限化するように存在し、前述のとおりとなり得る。
【0163】
多重スロットアンテナシステム175の冷却構成要素およびパラメータは、導波管の実施形態に関して説明されるパラメータと同様となり得るが、いくつかの形状変化がある。二重スロットアンテナ構成175が示されている、1つの例示的実施形態では、冷却チャンバは、5つの異なる冷却面(178a、178b、178c、178d、178e)または表面を有し、1つの表面178cが組織挟持部177(冷却板表面の約9mm×27mmである)の最上部にあり、2つの表面178b、178dが略垂直に延在する挟持部の側面にあり(それぞれ冷却板表面の約10mm×27mmである)、2つの外側面178a、178eが略水平に延在する挟持部177の底部にある(それぞれ冷却板表面の約10mm×27mmである)。いくつかの実施形態では、冷却チャンバは、選択的に、セラミック冷却板178a−eを接続するために使用される、薄いポリアミドシートを含む。
【0164】
組織取得構成要素(図示せず)、例えば、吸引構成要素は、以下の付加的な考慮事項を伴って、前述のものと同様であってもよい。皮膚を挟持することによって、真皮および下皮層は、本質的に、筋肉層から分離されてもよい。このことは、装置が真皮に非常に制御された量のエネルギーを送達することを可能にする一方で、筋肉層を保護する。真空ポンプは、いくつかの実施形態では、約650mmHg等の、約400−700mmHgの吸引圧力を有してもよい。吸引チャンバは、任意の所望の形状を有してもよい。例えば、一実施形態では、吸引チャンバは、高さ約10mm×長さ約40mmで9mmの厚さの中心長方形部分を有してもよい。吸引チャンバ筐体の材料は、好ましくは、皮膚係合の視覚的確認を可能にするように、透明または半透明である。
【0165】
制御システムもまた、前述のとおりであってもよいが、動作パラメータは、導波管の実施形態と同様の結果を達成するために、必要以上の実験なしで変動させることができる。
【0166】
上記の図25は、図24の二重スロット付与装置システム175の下面を概略的に図示する。示されているのは、冷却板178を覆って続く冷却流体回路に遠位に動作可能に接続される、スロットアンテナ176、およびそれぞれ冷却板178の側方にある2つの真空ポート182である。遮蔽181は、好ましくは、所望の治療領域外の不要なエネルギー送達を防止するように、筐体179の少なくとも一部の周囲に存在する。
【0167】
以下の図26は、データ収集用のコンピュータ183と、マイクロ波信号発生器および増幅器184と、組織取得用の真空ポンプ185と、温度制御ユニット(いくつかの実施形態では冷蔵器であってもよい)と、循環ポンプ188とを含む、マイクロ波治療システムの一例を図示する。
【0168】
以下の図27Aは、真皮/下皮接合部における正常なブタアポクリン汗腺186(丸で囲まれている)の組織学的断面である。
【0169】
図27Bは、治療後炎症反応に関係する腺崩壊および白血球浸潤を図示する、マイクロ波療法1週間の状態のブタ汗腺187(丸で囲まれている)の組織学的断面である。この組織学は、マイクロ波印加の選択的性質を実証する。この種類の結果は、アンテナ設計およびエネルギー/冷却アルゴリズムのいくつかの異なる慎重に選択された組み合わせにより、達成することができる。1つのそのような組み合わせは、3秒のエネルギー印加による、55−60Wで使用される5.8GHz導波管アンテナ、およびエネルギー印加の間または20秒後の両方に対する22℃の冷却である。この組み合わせは、動物およびヒトの両方について肯定的な結果を提供すると示されている。
【0170】
(ある方法、システム、および他の実施形態の概説)
一実施形態では、本願は、皮膚組織を覆ってマイクロ波エネルギー送達付与装置を配置するステップと、マイクロ波エネルギー送達付与装置に近接して皮膚組織を固定するステップと、皮膚組織の表面を冷却するステップと、皮膚組織内の標的組織において熱的効果を生成するのに十分なエネルギーを、マイクロ波エネルギー送達付与装置を介して皮膚組織に送達するステップとを含む、患者の皮膚組織を治療するための方法を提供する。
【0171】
いくつかの実施形態では、皮膚組織を覆ってマイクロ波エネルギー送達付与装置を配置するステップはさらに、皮膚組織を覆って、単一スロット、多重スロット、導波管、ホーン、プリントスロット、らせん、パッチ、ビバルディ、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、マイクロ波アンテナを配置するステップを含んでもよい。
【0172】
いくつかの実施形態では、マイクロ波エネルギー送達付与装置に近接して皮膚組織を固定するステップはさらに、皮膚組織に吸引を印加するステップを含んでもよい。一実施形態では、皮膚組織に吸引を印加するステップはさらに、エネルギー送達付与装置に隣接する吸引チャンバ内で皮膚組織を少なくとも部分的に取得するステップを含んでもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、皮膚組織を固定するステップはさらに、皮膚組織を上昇させるステップを含んでもよい。
【0174】
いくつかの実施形態では、皮膚組織の表面を冷却するステップはさらに、冷却要素を前記皮膚表面と接触して配置するステップを含んでもよい。
【0175】
いくつかの実施形態では、皮膚組織の表面を冷却するステップはさらに、皮膚表面を伝導的に冷却するステップを含んでもよい。
【0176】
いくつかの実施形態では、皮膚組織の表面を冷却するステップはさらに、皮膚表面を対流によって冷却するステップを含んでもよい。
【0177】
いくつかの実施形態では、皮膚組織の表面を冷却するステップはさらに、皮膚表面を伝導的に、かつ対流によって冷却するステップを含んでもよい。
【0178】
いくつかの実施形態では、皮膚組織内の標的組織は、コラーゲン、毛嚢、セルライト、エクリン汗腺、アポクリン汗腺、皮脂腺、クモ状静脈、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。
【0179】
いくつかの実施形態では、皮膚組織内の標的組織は、皮膚組織の真皮層と皮下層との間の接合部を備えてもよい。
【0180】
いくつかの実施形態では、標的組織における熱的効果は、少なくとも1つの汗腺の熱変質を備えてもよい。
【0181】
いくつかの実施形態では、標的組織における熱的効果は、少なくとも1つの汗腺のアブレーションを備えてもよい。
【0182】
一実施形態では、方法はさらに、皮膚組織の診断パラメータを監視するステップを含んでもよい。診断パラメータは、インピーダンス、温度、および反射電力から成る群より選択されてもよい。
【0183】
一実施形態では、方法はさらに、患者に、麻酔薬、ステロイド、および抗生物質から成る群より選択される薬剤を投与するステップを含んでもよい。患者に薬剤を投与するステップはさらに、経口で、局所的に、または注射を介して、薬剤を投与するステップを含んでもよい。
【0184】
一実施形態では、本願は、マイクロ波エネルギー発生器と、患者の皮膚組織に近接した設置のために構成される、マイクロ波アンテナと、患者の皮膚組織と接触した設置のために構成される、冷却要素と、皮膚組織を上昇させ、皮膚組織を冷却要素と接触して設置するために構成される、吸引要素とを備える、患者の皮膚組織を治療するステップに関係するシステムを提供し、マイクロ波アンテナは、マイクロ波エネルギー発生器に動作可能に連結され、マイクロ波アンテナは、皮膚組織内の標的組織において熱的効果を生成するのに十分なエネルギーを皮膚組織に送達するように構成される。
【0185】
いくつかの実施形態では、マイクロ波アンテナは、単一スロット、多重スロット、導波管、ホーン、プリントスロット、パッチ、ビバルディ、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、マイクロ波アンテナは、導波管アンテナであってもよい。一実施形態では、導波管アンテナは、導波管アンテナの配列を備えてもよい。
【0187】
いくつかの実施形態では、マイクロ波アンテナは、単一スロットアンテナであってもよい。
【0188】
いくつかの実施形態では、マイクロ波アンテナは、二重スロットアンテナであってもよい。
【0189】
いくつかの実施形態では、マイクロ波エネルギー発生器は、約2.45GHzの周波数でマイクロ波エネルギーを送達するように構成されてもよい。
【0190】
いくつかの実施形態では、マイクロ波エネルギー発生器は、約5.8GHzの周波数でマイクロ波エネルギーを送達するように構成されてもよい。
【0191】
いくつかの実施形態では、冷却要素は、固体冷却剤、液体スプレー、ガス状スプレー、冷却板、熱電冷却器、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。
【0192】
いくつかの実施形態では、冷却要素は、熱伝導板を備えてもよい。熱伝導板は、マイクロ波エネルギーを実質的に通してもよい。一実施形態では、冷却要素はさらに、熱伝導板に隣接する流動チャンバを備えてもよく、流動チャンバは、液体冷却剤を保持するように構成される。一実施形態では、液体冷却剤は、流動チャンバを通って流れるように構成され、それにより、熱伝導板を冷却してもよい。液体冷却剤は、水、脱イオン水、アルコール、油、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。一実施形態では、液体冷却剤は、脱イオン水を備えてもよい。一実施形態では、液体冷却剤は、脱イオン水およびアルコールを備えてもよい。
【0193】
いくつかの実施形態では、熱伝導板は、セラミックを備えてもよい。
【0194】
いくつかの実施形態では、吸引要素は、皮膚組織の少なくとも一部分を取得するように構成される吸引チャンバを備えてもよい。吸引要素は、真空源に動作可能に連結されてもよい。一実施形態では、吸引チャンバはさらに、少なくとも1つの先細壁を伴って構成されてもよい。
【0195】
一実施形態では、システムはさらに、温度センサを備えてもよい。温度センサは、皮膚組織の温度を監視するために構成される熱電対を備えてもよい。
【0196】
一実施形態では、本願は、マイクロ波アンテナに隣接する熱伝導板と、吸引チャンバとを備える、患者の皮膚組織を非侵襲的に治療するためのマイクロ波エネルギー送達装置を提供し、熱伝導板は、皮膚組織に接触し、皮膚組織を冷却し、マイクロ波アンテナから皮膚組織を物理的に分離するように構成され、吸引チャンバは、皮膚組織を少なくとも部分的に取得し、皮膚組織を冷却板と接触させるように構成される。
【0197】
一実施形態では、マイクロ波エネルギー送達装置はさらに、過剰エネルギー場を含有するために構成される遮蔽体を備えてもよい。一実施形態では、遮蔽体は、反射材料から成ってもよい。一実施形態では、遮蔽体は、エネルギー吸収材料から成ってもよい。
【0198】
一実施形態では、本願は、皮膚組織にマイクロ波エネルギーを送達するステップと、皮膚組織に冷却要素を適用するステップとを含む、患者の皮膚組織に皮下病変を生成する方法を提供し、マイクロ波エネルギーは、ある電力、周波数、および継続時間で送達され、冷却要素は、皮膚組織の真皮層と皮下層との間の接合部において病変を生成するのに十分な温度および継続時間で適用される一方で、皮膚組織の表皮および真皮層における非標的組織の熱変質を最小限化する。
【0199】
一実施形態では、本願は、治療される皮膚の領域を識別するステップと、吸引チャンバ内で皮膚を取得するように真空ポンプを起動するステップと、冷却要素を介して皮膚の第1層を冷却するステップと、皮膚の第1層が保護するように冷却されている間に、汗腺を熱的に改変するのに十分なマイクロ波エネルギーを、汗腺を含有する皮膚の第2層に送達するステップであって、第2層は、皮膚表面に対して第1層よりも深い、ステップと、皮膚を解放するように真空ポンプを動作停止させるステップとを含む、患者の汗の産生を低減する方法を提供する。
【0200】
文脈が他に明確に要求しない限り、説明および請求項の全体を通して、「備える」、「−を備える」、および同等物といった用語は、排他的または包括的な意味とは対照的に、内含的な意味で、つまり、「−を含むが、それに限定されない」という意味で解釈されるものである。単数または複数を使用する言葉もまた、複数または単数をそれぞれ含む。請求項が2つ以上の項目の一覧を参照して「または」という言葉を使用する時、その言葉は、一覧中の項目のいずれか、一覧中の全項目、および一覧中の項目の任意の組み合わせといった、言葉の解釈の全てを網羅する。
【0201】
本発明の実施形態の上記の詳細な説明は、包括的となること、または本発明を上記で開示される正確な形態に限定することを目的としない。本発明の具体的実施形態および例が例証目的で上記に説明されているが、当業者であれば認識するように、種々の同等な修正が本発明の範囲内で可能である。例えば、ステップが所与の順番で提示されているが、代替実施形態は、異なる順番でステップを行ってもよい。本明細書で説明される種々の実施形態はまた、さらなる実施形態を提供するように組み合わせられてもよい。
【0202】
他の形態の電磁放射を含む関連方法、装置、およびシステムを利用する、マイクロ波および他の治療法、およびそのような治療法とともに行われてもよい治療についてのさらなる詳細は、本願が優先権を請求する、2007年4月19日出願の「Methods and Apparatus for Reducing Sweat Production」と題された米国仮特許出願第60/912,889号、2007年12月12日出願の「Methods, Delivery and Systems for Non− Invasive Delivery of Microwave Therapy」と題された米国仮特許出願第61/013,274号、2008年4月17日出願の「Systems and Methods for Creating an Effect Using Microwave Energy in Specified Tissue」と題された米国仮特許出願第61/045,937号といった、上記で参照した仮出願で説明されており、それぞれの全体は、参照することにより本願に組み込まれる。上記で記載した出願は、本願で前述のように、特定の主題について参照することにより組み込まれていてもよいが、出願者らは、これらの参照することによって組み込まれる出願の開示のいずれかまたは全てが、本願で説明される実施形態と組み合わせられ、組み込まれてもよいという点で、上記で識別された出願の開示全体が参照することにより本願に組み込まれることを意図する。本明細書で説明されるシステム、装置、および方法とともに利用されてもよい、実施形態の具体的な非限定例は、例えば、その全体で参照することにより以前に組み込まれている、出願第61/045,937号の図2−25およびページ9−18および56−69に見られる。
【0203】
一般に、以下の請求項で使用される用語は、上記の詳細な説明がそのような用語を明示的に定義しない限り、本発明を本明細書で開示される具体的実施形態に限定すると解釈されるべきではない。本発明のある側面は、ある請求形態で以下に提示されているが、本発明者らは、任意の数の請求形態で本発明の種々の側面を検討する。したがって、本発明者らは、本発明の他の側面について付加的な請求項を追求するために、本願を出願した後にそのような付加的な請求項を追加する権利を留保する。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第60/912,899号(名称「Methods and Apparatus for Reducing Sweat Production」、2007年4月19日出願)、米国仮特許出願第61/013,274号(名称「Methods,Delivery and Systems for Non−Invasive Delivery of Microwave Therapy」、2007年12月12日出願)、および米国仮特許出願第61/045,937号(名称「Systems and Methods for Creating an Effect Using Microwave Energy in Specified Tissue」、2008年4月17日出願)の米国特許法第119条第(e)項の優先権の利益を主張する。これらの優先権出願すべての全開示は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本願は、マイクロ波療法の非侵襲的送達のための方法、装置、およびシステムに関する。特に、本願は、種々の治療および/または審美的結果を達成するように、患者の表皮、真皮、および皮下組織にマイクロ波エネルギーを非侵襲的に送達するための方法、装置、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
種々の治療および/または審美的結果を達成するように、エネルギー療法を身体の全体を通して組織に適用できることが知られている。これらのエネルギー療法の有効性を改良し、最小限の有害な副作用または不快感を伴う強化した治療効果を提供する継続的な必要性が依然として残る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(治療の概説)
一実施形態では、マイクロ波療法であるエネルギー療法の非侵襲的送達のための方法、装置、およびシステムを本明細書で開示する。エネルギー療法は、多数の治療および/または審美的結果を達成するように、種々の標的組織に送達することができる。治療、治療効果、治療範囲/領域という用語は、標的組織および/または任意の標的構造の治療に関してもよく、治療自体は、修正、不活性化、無効化、脱神経、損傷、エレクトロポレーション、アポトーシス、壊死、凝固、アブレーション、熱変質、および破壊といった方法のうちの1つ以上で、標的組織および/または標的構造に影響を及ぼしてもよい。より具体的には、所望の治療効果を達成するために、一実施形態では、標的組織および/またはその中の標的構造において少なくとも約50℃の温度に到達するステップを使用することができる。加えて、一実施形態では、標的組織の熱アブレーションをもたらすために、標的組織を約60℃に加熱するのに十分な熱エネルギーを送達するステップを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書で提示される種々の装置、システム、および方法の、これらおよび他の特徴、側面および利点を、そのような装置、システム、および方法を図示するが、限定することを目的としない、ある実施形態の図面を参照して説明する。添付図面は、本明細書で論議される実施形態の概念を図示する目的によるものであり、一定の縮尺ではない場合があることを理解されたい。
【図1】図1は、一実施形態による、概略的な境界の標的および非標的組織を含む、皮膚の断面図を示す。
【図2A】図2Aは、付加的な関心の特徴を含む、皮膚の別の断面図を示す。
【図2B】図2Bは、アポクリンおよびエクリン汗腺を伴う皮膚の断面図を示す。
【図2C】図2Cは、皮膚および治療が所望されてもよい皮膚の特定領域の断面図を示す。
【図3A】図3Aは、一実施形態による、エネルギー付与装置を有する装置を示す。
【図3B】図3Bは、一実施形態による、付与装置にマイクロ波エネルギーを供給するためのマイクロ波発生器を示す。
【図4】図4は、一実施形態による、汗腺および標的組織の基部の付近に流体を注射する針を示す。
【図5】図5は、一実施形態による、マイクロ波発生器に電気的に接続される複数のマイクロ波アンテナを備える、非侵襲性エネルギー送達装置の等角図を示す。
【図6】図6は、皮膚の中にエネルギーを送達する、図5の非侵襲性エネルギー送達装置の断面側面図を示す。
【図7A】図7Aは、一実施形態による、モノポールアンテナを示す。
【図7B】図7Bは、一実施形態による、ダイポールアンテナを示す。
【図7C】図7Cは、一実施形態による、らせんアンテナを示す。
【図7D】図7Dは、一実施形態による、ループアンテナを示す。
【図7E】図7Eは、一実施形態による、成形外部導体を有するアンテナを示す。
【図7F】図7F−7Gは、一実施形態による、ホーンアンテナを図示する。
【図7G】図7F−7Gは、一実施形態による、ホーンアンテナを図示する。
【図8A】図8Aは、一実施形態による、同軸ケーブル内に配置された内部導体を有するアンテナの断面図を示す。
【図8B】図8Bは、一実施形態による、完全に同軸ケーブルから形成されたコイル状導体要素を有する、コイル状アンテナを示す。
【図8C】図8Cは、一実施形態による、内部導体から形成されたコイル状導体要素を有する、コイル状アンテナを示す。
【図9】図9は、一実施形態による、スロットアンテナの断面図を示す。
【図10A】図10Aは、一実施形態による、熱治療域を有する標的組織の断面図を示す。
【図10B】図10Bは、治療を受ける皮膚が熱傷すると予期される温度を図示する、時間温度曲線を示す。
【図11A】図11Aは、一実施形態による、マイクロ波発生器に電気的に接続される複数のマイクロ波アンテナを備える、非侵襲性エネルギー送達装置の等角図を示す。
【図11B】図11Bは、一実施形態による、エネルギー源およびエネルギー付与装置から遠隔に位置する冷却源の概略図を示す。
【図12】図12は、一実施形態による、皮膚を引っ張り、担持する真空の側面図を示す。
【図13】図13は、典型的な皮膚の襞の例を示す。
【図14】図14は、一実施形態による、2つのエネルギー送達要素を備えるエネルギー送達装置によって治療されている、皮膚の襞を示す。
【図15】図15は、一実施形態による、皮膚の襞の2つの側面上に配置された2つのスロットアンテナによって治療されている、皮膚の襞を示す。
【図16A】図16Aは、一実施形態による、吸引要素の斜視図を示す。
【図16B】図16Bは、図16Aの吸引要素の代替的な斜視図を示す。
【図17】図17は、特定の治療領域を識別するために皮膚領域を覆って使用され得る、標的治療部位「A」および標的治療部位「B」を示す、代表的なグリッドの実施形態を示す。
【図18A】図18A−Eは、皮膚領域を覆って使用され得る、特定の治療領域および非治療部位を図示する種々のパターンを示す。
【図18B】図18A−Eは、皮膚領域を覆って使用され得る、特定の治療領域および非治療部位を図示する種々のパターンを示す。
【図18C】図18A−Eは、皮膚領域を覆って使用され得る、特定の治療領域および非治療部位を図示する種々のパターンを示す。
【図18D】図18A−Eは、皮膚領域を覆って使用され得る、特定の治療領域および非治療部位を図示する種々のパターンを示す。
【図18E】図18A−Eは、皮膚領域を覆って使用され得る、特定の治療領域および非治療部位を図示する種々のパターンを示す。
【図19】図19は、段階的治療で使用される3つのテンプレートを示し、各テンプレートは、一実施形態によれば、全体的な治療領域の異なる部分への治療を可能にするように構成される。
【図20】図20は、一実施形態による、導波管アンテナおよび組織捕捉を含む、マイクロ波付与装置システムの概略図を示す。
【図21】図21は、一実施形態による、導波管アンテナおよび組織捕捉を含む、導波管付与装置システムの下面の概略図を示す。
【図21A】図21Aは、一実施形態による、ハンドルを含むマイクロ波付与装置の側面斜視図を示す。
【図21B】図21Bは、ハンドルおよび筐体を含む、図21Aのマイクロ波付与装置の代替的な斜視図を示す。
【図22】図22は、一実施形態による、スロットアンテナを含むマイクロ波付与装置システムの概略図を示す。
【図22A】図22Aは、一実施形態による、スロットアンテナおよび種々の調整可能な寸法パラメータを含む、マイクロ波付与装置システムの概略図を示す。
【図23】図23は、一実施形態による、スロットアンテナおよび組織捕捉を含む導波管付与装置システムの概略図を示す。
【図24】図24は、一実施形態による、複数のスロットアンテナおよび組織捕捉を含むマイクロ波付与装置システムの概略図を示す。
【図24A】図24Aは、同相駆動動作を有し、単一領域の治療に集中する、2つのアンテナをシミュレートすることによって作成される、コンピュータ生成画像を示す。
【図24B】図24Bは、第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で103度の位相シフトを伴って同相駆動動作を有する、2つのアンテナをシミュレートすることによって作成される、コンピュータ生成画像を示す。
【図24C】図24Cは、第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で170度の位相シフトを伴って同相駆動動作を有する、2つのアンテナをシミュレートすることによって作成される、コンピュータ生成画像を示す。
【図24D】図24Dは、第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で155度の位相シフトを伴って同相駆動動作を有する、2つのアンテナをシミュレートすることによって作成される、コンピュータ生成画像を示す。
【図25】図25は、一実施形態による、二重スロットアンテナおよび組織捕捉を含む、導波管付与装置システムの下面の概略図を示す。
【図26】図26は、一実施形態による、マイクロ波治療システムの概略図である。
【図27A】図27Aは、真皮/下皮接合部における正常なブタアポクリン汗腺の組織学的断面を示す。
【図27B】図27Bは、マイクロ波療法後1週間のブタ汗腺の組織学的断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、皮膚、その3つの主要層である、下皮100、真皮101、および表皮102、ならびに内部構造の断面図を示す。ある実施形態では、標的の組織学的構造(例えば、「標的組織」)が存在する、真皮101および皮下100組織(本明細書では下皮とも呼ばれる)の特定の領域内で治療を集中させる一方で、点線内の種々の区切られた領域で図1に図示されるように、表皮102および真皮101の標的組織の上側の組織(例えば、「表在性非標的組織」103)ならびに下皮100内の組織構造(例えば、「深部非標的組織」104)に最小の損傷を行うことが望ましくてもよい。構造のうちの1つ以上は、本明細書で開示される方法および装置の標的にされてもよい。
【0007】
図2Aは、エクリン汗腺106を含む他の身体構造を付加的に図示する、皮膚の別の断面図である。以下でさらに論議されるように、エクリン汗腺106は、深部真皮101層および/または下皮100の上部分に見出すことができる、コイル状の管状腺である。概して、数百万個の腺が、皮膚の表面、特に、手のひらおよび足の裏、無毛領域、および腋窩部を覆って存在する。1つの腺106が、皮膚の表面への対応する開口部を伴う単一腺管109を有してもよい一方で、いくつかの種類の腺の変化例は、共通の末端排出管を有する双腺、または複数の排出管を有する単一腺を含む(図示せず)。
【0008】
図2Bは、アポクリン107およびエクリン106(メロクリン)汗腺の療法を伴う皮膚の断面図を図示する。以下でさらに論議されるように、エクリン汗腺106は、概して真皮101の中でボール状の塊に輪を作る、表皮102からの長い管状延長部である。アポクリン汗腺107は、例えば、腋窩部、肛門周囲および恥部、陰嚢、大陰唇、および乳首の周囲にある。それらは、概して深部真皮101および下皮100の中にあり、それらの腺管102は、毛嚢の中で終端する。エクリン106およびアポクリン107汗腺の分泌細胞とそれらの基底膜との間には、筋上皮細胞がある。
【0009】
皮脂腺108は、それらの油状生成物である皮脂を、毛嚢の上部分に注ぐ、西洋ナシ形の腺である。いくつかの腺が同じ毛嚢に開口している場合でさえ、それらは真皮101の表材領域中の同じ水準に位置している。いくつかの皮脂腺108は、毛嚢とは無関係に退出し、皮膚表面、例えば、唇、瞼、陰茎亀頭、陰茎内皮の内側襞、小陰唇、および乳首の上に直接開口する。
【0010】
図2Cは、ある実施形態では、標的の組織学的構造(例えば、「標的組織」105)が存在する、真皮101および下皮100組織の特定の領域内で治療を集中させる一方で、エクリン汗腺107を標的にして上記で示されるように、表皮102および真皮101の標的組織105の上側の組織(例えば、「表在性非標的組織」103)ならびに下皮100内の組織構造(例えば、「深部非標的組織」104)に最小の損傷を行うことが望ましくてもよいことを図示する、皮膚(図2Aのような)の断面図である。
【0011】
身体の領域に応じて、標的組織105領域は、いくつかの実施形態では、皮膚の表面下約0.5mmから約4mmのどこかで始まり、皮膚の表面下約1mmから約10mmのどこかで終わってもよい。身体の領域に応じて、表在性非標的組織103領域は、いくつかの実施形態では、皮膚表面で始まり、皮膚の表面下約0.5mmから約4mmのどこかで終わってもよい。身体の領域に応じて、深部非標的組織104領域は、いくつかの実施形態では、皮膚の表面下約1mmから約10mmのどこかで始まってもよい。
【0012】
治療法に選択される具体的な種類の組織構造は、所望される1つまたは複数の具体的治療法に依存する。例えば、患者の発汗を低減するように、マイクロ波エネルギーをエクリン106またはアポクリン107汗腺に送達することができる。加えて、体臭の低減を達成するように、アポクリン汗腺107を治療することができる。別の実施形態では、皮膚の引き締め、しわの低減、および/または身体造形の目的で皮膚中のコラーゲンを収縮させるために、マイクロ波療法を使用することができる。他の実施形態では、毛嚢、にきび、セルライト、静脈瘤および毛細血管拡張症等の血管系、および本願で開示される種々の他の構造を治療するために、マイクロ波療法を使用することができる。したがって、標的組織105および非標的組織103、104の場所は、所望される具体的な治療法に基づく調整を必要としてもよい。
【0013】
(臨床的適応)
本明細書で開示されるシステムおよび方法によって治療することができる、解剖学的構造および臨床的適応の種々の非限定的な例を記載する。いくつかの実施形態では、複数の構造/疾患を同じ治療セッションで治療することができる。
【0014】
(多汗症)
多汗症は、汗腺からの汗の過剰分泌があると臨床的に診断された疾患である。交感神経系の過活性に起因すると考えられる、過剰発汗は、通常、手のひら、足の裏、および腋窩部で発生する。手のひらの多汗症は、手の過剰発汗の症状である。この症状はしばしば、冷たく湿った握手によって示される。足底の多汗症は、足の過剰発汗の症状である。この症状は、水泡および真菌感染症を引き起こす場合がある。腋窩部の多汗症は、腋の下の過剰発汗の症状である。そのような過剰発汗は、社会的にきまりが悪いだけでなく、衣服の汚染および腐敗さえ引き起こす場合もある。
【0015】
体内の汗腺は、アポクリン107およびエクリン106汗腺から成る。皮膚の真皮層101の中で表面的に位置する、エクリン汗腺106は、汗を分泌して体熱および温度を調節することができるように、身体の全面に位置する。下皮100内に存在し、下皮100と真皮層101との間の接合部に隣接する、アポクリン汗腺107は、毛嚢の中へ、油状で乳白色のタンパク質を豊富に含む生成物を分泌する。アポクリン汗の細菌消化が、足および腋の下領域で最も顕著となり得る、腋臭症または臭汗症または(すなわち、体臭)に大きく関与している。
【0016】
多汗症を治療するために使用される、種々の治療がある。例えば、化学的制汗剤および体臭防止剤が、個人衛生の問題として一般的に使用されている。制汗剤は、汗腺管を機械的に遮断し、それにより、汗が皮膚表面に到達することを防止する、アルミニウムベースの塩である。体臭防止剤は、皮膚表面のpHを変化させ、それにより、臭いを誘発する細菌の存在を最小化する。これらの製品の両方の効果は一時的であり、使用者によっては皮膚を刺激し得るため、これらの製品は、過剰発汗の症例の最適には及ばない解決法である。
【0017】
制汗剤および体臭防止剤に加えて、多汗症を治療するために、他の局所製剤が使用されてきた。例えば、グルタルアルデヒドおよびタンニン酸が、足底および手のひらの多汗症の治療で使用されてきた。しかしながら、これらの治療は、皮膚の醜い褐色化を引き起こす場合があるため、概して支持を失っている。
【0018】
抗コリン剤もまた、多汗症を治療するために、局所および全身の両方に塗布されてきた。これらの薬剤は、神経シナプスにおけるアセチルコリンの作用を阻害することによって、エクリン汗腺148の交感神経刺激を遮断する。口渇、尿閉、便秘、ならびに散瞳および毛様体筋麻痺等の視覚障害を含む、それらが引き起こす全身性副作用のため、これらの薬剤の使用は制限される。また、局所抗コリン剤は、コリン作動性神経終末に影響を及ぼすのに十分な量で皮膚に吸収するのが困難なことがある。
【0019】
一部の多汗症の患者は、汗腺切除および胸部交感神経切除術等の外科的治療を用いてきた。例えば、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、Takasuの米国特許第5,190,518号は、汗腺を無効化し、切除するための超音波外科用装置を開示している。これらの治療は、多汗症の軽減のより長い期間を提供する場合がある。しかしながら、これらの治療は、それらの侵襲性、悪影響、および費用により、めったに利用されない。例えば、手術は、皮膚、筋肉、および他の周辺組織の拘縮を引き起こす場合がある。交感神経切除術は、感染症、気胸、ホーマー症候群、ならびに胴体、背中、および大腿部の代償性多汗症を含む、合併症をもたらす場合がある。
【0020】
近年、ボツリヌス菌A型神経毒(例えば、BOTOX(登録商標))が、一部の患者の多汗症を治療するのに効果的であると証明されている。BOTOXは、自律神経と汗腺との間の神経腺接合点の神経を麻痺させるために、皮膚科医によって一般的に使用されている。神経接続が無効化されると、アセチルコリンがエクリン汗腺106に到達することができなくなり、それにより、多汗症患者の過度に活動的な交感神経系の成分を無効化する。しかしながら、この治療には、欠点がないわけではない。ボツリヌス菌毒素は、地球上で最も致死的な物質の1つであり、その結果として、患者の身体にそれを注射することは、危険に満ちている。加えて、アポクリン汗腺107は、ボツリヌス菌毒素によって遮断されないアドレナリン作動性神経によって神経支配されるため、ボツリヌス菌毒素の注射は、アポクリン汗腺からの分泌によって引き起こされる体臭に臨床的影響を及ぼさない。ボツリヌス菌毒素治療はまた、針による多数の苦痛を伴う注射を必要とする。さらに、この治療の結果は、数ヶ月しか続かず、それにより、繰り返される高価で苦痛を伴う治療を必要とする。
【0021】
前述のアプローチの短所を踏まえて、副作用がほとんどない、低侵襲性で、便利で、効果的で、持続的な治療が、多汗症を治療するための望ましい代替案となるであろう。
【0022】
(しわ)
しわもまた、老化過程、紫外線暴露、および喫煙を含む要因によって引き起こされる、非常に一般的な皮膚の症状である。個人が老化するにつれて、表皮細胞は、より薄くなり、互いへの付着力が低下する。より薄い細胞は、皮膚を著しくより薄く見せる。細胞の減少した付着力は、障壁機能の有効性を減少させ、水分が皮膚の中に保たれる代わりに放出されることを可能にし、乾燥を引き起こす。表皮細胞の数は、一部の患者では10年につき約10%減少し、老化するにつれて、さらにゆっくりと分裂し、皮膚が自己修復する能力を低下させる。
【0023】
真皮層101上の老化の影響は有意である。真皮層101が薄くなるだけでなく、コラーゲンがより少なく産生され、弾力性を提供するエラスチン繊維が摩滅する。皮膚の足場におけるこれらの変化は、皮膚にしわを作り、たるませる。また、経時的に、皮脂腺108がより大きくなるが、より少ない皮脂を産生し、汗腺の数が減少する。これらの変化の両方は、皮膚の乾燥につながる。
【0024】
真皮−表皮接合点の乳頭間隆起は、老化過程において平坦になり、皮膚をより脆弱で剪断しやすくする。この過程はまた、真皮101と接触している表面積を減少させ、また、皮膚の正常な修復過程を妨害することによって、表皮102上で利用可能な栄養素の量を減少させる。
【0025】
皮下層100では、脂肪細胞が年齢とともにより小さくなる。脂肪細胞が他の層からの損傷の「代理をする」ことができないため、このことは、さらに顕著なしわおよびたるみにつながる。
【0026】
表皮102のアブレーションは、より古く損傷した表皮細胞を破壊し、より新しい表皮細胞を表面に運び、コラーゲン形成を刺激することができる。加えて、より深部のコラーゲン繊維の熱拘縮は、全体的な皮膚拘縮を誘発することができる。例えば、深部真皮コラーゲンおよび皮下繊維性中隔の拘縮は、Thermage,Inc.(Hayward,CA)によって、別の熱的しわ治療システム用の潜在的な作用機構として提案されている。
【0027】
(臭汗症)
特に悪臭の強い汗(臭汗症)が、特に、腋窩部および足に発生し得る。しばしば多汗症と関連する、臭汗症は、アポクリン汗腺107の機能不全、細菌または真菌感染症、独特の臭いを産生する脂肪酸分解、ある食物の摂取、およびヒ素摂取のうちの1つ以上によって発生する場合がある。身体の全般的な清浄および頻繁な入浴、繰り返し靴下および下着を交換すること、薄着をすること、過剰発汗の回避、タンパク質、ニンニク、および香辛料等の、ある種の食物の過剰消費の回避、問題の領域の通気、特に靴下を履く前の足に散布剤を使用すること、過マンガン酸カリウム1:2000またはホルムアルデヒド溶液等の足用浸漬液を使用すること、ならびに体臭防止剤および抗菌殺菌石鹸を使用することを含む、種々の治療が利用可能であるが、常に理想的または実用的であるとは限らない。
【0028】
(色汗症)
色汗症は、アポクリン汗腺107の機能不全による、異常な色がついた汗である。一般的な部位は、顔を含み、汗の色は、場合によっては、黒、緑、青、または黄色となる場合がある。
【0029】
(にきび)
にきびは、毛嚢、皮脂腺、および毛で構成されている、毛嚢脂腺単位の疾患である。これらの単位は、手のひら、足の裏、足の上面、および下唇を除く、身体のどこにでも見出される。毛嚢脂腺単位の数は、顔、頸上部、および胸部上で最大である。皮脂腺108は、皮膚および毛を保湿することに関与する、皮脂と呼ばれる物質を産生する。青年期に、アンドロゲンと呼ばれるホルモンの影響下で、皮脂腺108が拡大し、より多くの皮脂を産生する。約20歳以降に、産生が減少し始める。アクネ箘として知られる細菌は、皮膚の常在菌である。それは、成長のための栄養素として皮脂を使用し、したがって、思春期の間に毛嚢の中で増加する。
【0030】
にきびのある人々は、にきびのない人々よりも毛嚢の中に多くのアクネ箘を有する場合がある。細菌の存在は、毛嚢に白血球を誘引する。これらの白血球は、毛嚢の壁を損傷する酵素を産生し、毛嚢の内容物が真皮に進入することを可能にする。この過程は、丘疹(赤い腫れ物)、膿疱、および結節として見られる炎症反応を引き起こす。細菌はまた、刺激物である遊離脂肪酸の形成を引き起こし、毛嚢中の炎症過程を増加させる。
【0031】
皮脂腺108によって産生される皮脂は、毛嚢内で剥がされている細胞と結合し、毛嚢を「充満」させる。毛嚢が「満杯」になると、皮脂は、皮膚表面に広がり、皮膚に脂ぎった外観を与える。この過程が正しく作動すると、皮膚が保湿され、健康なままとなる。
【0032】
皮脂が毛嚢の中に閉じ込められると、問題が発生する。依然として不明確な理由により、いくつかの毛嚢が閉塞される。皮脂は産生されるが、出て行く時に閉じ込められ、通常は剥がされる細胞が「粘着性」となり、毛嚢をふさぐ。毛嚢を閉塞する過程は、面疱形成と呼ばれる。それは、より多くの毛嚢に、黒にきびおよび白にきびとしても知られる、面疱と呼ばれる一種のにきびを形成させる。
【0033】
経口および局所レチノイド、抗生物質、剥離剤、および表皮の角質層のアブレーションをもたらす外科的皮膚剥離術を含む、種々の薬剤が、にきびの治療に使用されてきた。つい最近では、限局性温熱治療が導入されている。閉塞した毛嚢および皮脂腺108の個別部位を加熱することにより、腺内の細菌を死滅させて炎症の低減をもたらす。
【0034】
(セルライト)
セルライトは、特に大腿および臀部における、皮膚のくぼみ形成である。セルライトは概して、男性よりも女性にはるかに頻繁に影響を及ぼす。セルライトが脂肪組織の異常によって引き起こされると推測する多くの治療法が、近年の人気を得ているが、セルライトの基本的な病態生理学は、明確に識別されていない。組織病理学的サンプルは、セルライトが、下皮100から真皮101の中への脂肪組織の不規則な押出の結果かもしれないと示している。食餌療法および運動等の従来の治療法、および脂肪層切除術または脂肪吸引術等のより侵襲性の治療法には、それぞれ、いくつかの不利点がある。したがって、他の構造に有意に影響を及ぼすことなく、真皮脂肪組織を標的にする非侵襲的方法が、非常に望ましい。
【0035】
(発毛)
不要な発毛は、個人の遺伝的素因、多毛症およびアンドロゲンが影響した男性型多毛症等の内分泌学的疾患、ならびにある種の悪性腫瘍を含む、多数の要因によって引き起こされる場合がある。顔面の男性型多毛症に罹患した個人は、社会的および職業的活動の両方を妨害し、多くの困難を引き起こす程度に苦しめられ得る。その結果として、永久的病理変化を生じさせる方式で、不要な毛および他の皮下組織学的特徴を治療するための方法および装置が、非常に望ましい。
【0036】
脱毛溶液、ワックス脱毛、および電気分解等の過剰発毛に対する従来の治療は、多数の欠点を抱えている。脱毛溶液は、非永久的であり、敏感な皮膚に適切ではない場合がある、繰り返される塗布を必要とする。ワックス脱毛は、概して安全な技術であるが、同じく非永久的であり、繰り返しの、しばしば苦痛を伴う反復治療を必要とする。加えて、ワックス脱毛は、重度の毛嚢炎をもたらし、続いて、永久的なケロイド瘢痕をもたらすと報告されている。電気分解は、変化のない発毛の個人から満足に毛を除去するが、この個々の毛を標的にする方法は、苦痛を伴うとともに時間がかかる。加えて、適正な電気分解技術は、要求が厳しく、正確な針の挿入ならびに適切な強度および継続時間の両方を必要とする。ワックス脱毛と同様に、電気分解技術が適正に行われなければ、毛嚢炎および瘢痕化が生じる場合がある。
【0037】
高輝度の広帯域光、レーザ、または光化学的手段を利用する、近年開発された脱毛技術もまた、多数の短所を抱えている。これらの手技のほとんどでは、毛嚢または毛に栄養供給する皮膚組織を死滅させるのに十分な強度および継続時間で皮膚が光を照射される。衝突光は、皮膚ならびに毛嚢を標的にし、皮膚を熱傷させて、不快感および瘢痕化の可能性を引き起こし得る。さらに、レーザおよび他の治療は、必ずしも永久的ではなく、持続的な脱毛を生じさせるために、繰り返される適用を必要とする場合がある。最終的に、これらの光を用いた治療法の有効性は、皮膚のメラニンと毛のメラニンとの差異に依存する。メラニンの光吸収によって毛嚢を死滅させるように、熱が生成される。したがって、毛の色が薄い患者では、アブレーション熱を生成するには不十分なメラニンが毛嚢の中に存在している。逆に、暗色の皮膚の患者では、皮膚のメラニンがあまりに多くの光を吸収する場合があるため、皮膚アブレーションが毛嚢アブレーションと同時に発生する。
【0038】
(静脈瘤および毛細血管拡張症)
毛嚢のように、クモ状静脈は、皮下特徴である。それらは、主に皮膚表面の側方で小さい毛細血管流路として存在し、超過圧力によっていくらか充血し、皮膚表面において特徴的な静脈パターンを生じる。醜い美容的側面は別として、毛細血管拡張症はさらに、より重篤な医学的意味を持ち得る。したがって、適切な組織に永久的病理変化を生じさせる方式で、クモ状静脈および他の皮下組織学的特徴を治療するための方法および装置が、極めて望ましい。
【0039】
クモ状静脈の古典的な治療は、硬化療法であり、静脈の少なくとも一部に血液凝固および血液経路の封鎖を引き起こす硬化溶液を注入するために、注射針が使用される。時間とともに、血流が他の毛細血管経路を見出すにつれて、クモ状静脈は消滅する。多大な領域にわたって、治療される多数のクモ状静脈があり得るため、この手技は、時間がかかり、面倒であり、しばしば苦痛を伴う。また、任意の所与の用途における有効性が不確かであり、結果を観察できる前に大幅な遅延を必要とする。
【0040】
脱毛で使用される技術と同様である、浅部の浮き出た静脈の治療のための別の手技は、短い間隔での強い光エネルギーの印加を伴う。この技術は、皮膚表面および下層組織を集中波エネルギーに暴露し、熱凝固が発生するレベルに静脈構造を加熱する。特に、これらのエネルギーレベルは、あまりに高いため、一部の患者に不快感を引き起こし、特別な予防措置が取られない限り、付近の人々にも危険となり得る。加えて、たとえ暴露がほんの一瞬しか続かなくても、一部の患者は、焦げるか、または熱傷し得る。
【0041】
皮下異常が個人に生成し得る、重篤な問題により、有害な副作用または不快感なしで有益な病理変化を生じさせる方式で、そのような特徴を治療することが可能である一般的な必要性がある。最適な治療技術は、所望の効果に到達するために繰り返される適用を必要とせずに、永久的病理変化を生じさせるべきである。また、これらの手技は、非侵襲性となるべきであり、単一の毛嚢またはクモ状静脈に限定されない、多くの標的領域を網羅するべきであり、利用可能なエネルギーを最大限活用するべきである。最終的に、病理変化は、介在または下位層ではなく、標的にされた特徴だけで発生するべきである。
【0042】
(良性および悪性皮膚病変ならびに感染症)
光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、および黒色腫を含む、多数の悪性および前癌皮膚病変、ならびに、嚢胞、疣、母斑、カフェオレ斑点、および血管病変等の良性皮膚病変にも、非侵襲性局所治療が有益となるであろう。さらに、細菌、ウイルス、真箘、または寄生虫による皮膚および爪の感染症にも、非侵襲性局所治療方法が有益となり得る。
【0043】
(神経疾患)
下皮層100は、感覚神経終末によって神経支配される。例えば、多発性硬化症および帯状疱疹等の、例えば神経疾患による知覚過敏症の非侵襲性局所治療もまた、望ましいであろう。
【0044】
本明細書で開示される熱治療と組み合わせて、非標的組織への損傷および疼痛を防止するために、保護治療を採用することができる。一実施形態では、熱保護治療が使用されてもよい。例えば、皮膚組織のより深部の領域がエネルギー送達を介して加熱されている間に、皮膚の表皮層102および真皮層101の各部分を保護するように、表面冷却を適用することができる。種々の種類の能動的および受動的冷却を、この非標的組織103、104への熱保護を提供するように構成することができる。
【0045】
上記の臨床的適応は、概して外皮系(すなわち、皮膚および関連構造)に焦点を当てているが、当業者であれば、開示されたシステムおよび方法を使用して、種々の他の解剖学的構造を治療できることを理解するであろう。例えば、内臓組織、ならびに、脳、肺、心臓、胃、腸、胆嚢、膵臓、大動脈および他の動脈、静脈、膀胱、前立腺、卵巣、子宮、卵管等の臓器もまた、本願の実施形態を使用して治療することができる。
【0046】
治療法の送達はまた、1つ以上の空間構成または皮膚形状において、本明細書で開示される治療の多くを投与することによって促進されてもよい。例えば、治療は、皮膚表面と垂直に、皮膚面と平行に、またはその間の何らかの角度で方向付けることができる。加えて、皮膚は、所望のエネルギー送達を達成するように、種々の構成で配向することができる。例えば、平坦で平面的な構成の、上昇した配向の、または折り畳んだ形状の皮膚に、エネルギーを送達することができる。加えて、特定の配向および形状を達成するように、吸引を皮膚に印加することができる。
【0047】
マイクロ波療法はまた、複数の段階にわたって、およびパターン化した手配で治療を投与することによって促進されてもよい。このアプローチは、身体の治癒反応を強化し、合併症がほとんどない、より迅速な回復に役立つことができる。段階的でパターン化した治療の投与を支援するように、種々のテンプレートが開示されている。マイクロ波療法はまた、治療域への、または直接的に標的組織への外因性マイクロ波吸収剤の導入によって促進されてもよい。黒鉛、カーボンブラック、またはフェライト等のいくつかの物質は、優先的にマイクロ波を吸収し、局所熱的効果を増加させる。
【0048】
本明細書で開示される図面を参照すると、詳細は、一例として、およびある実施形態の例証的論議の目的として示されている。この点に関して、全ての構造的詳細が詳細に示されるわけではない場合がある。したがって、本願は、本明細書で開示される説明および説明図で説明される構成要素の構造および配設の詳細に限定されないことを理解されたい。加えて、本明細書で使用される用語は、説明の目的によるものであり、限定的として見なされるべきではないことを理解されたい。
【0049】
本明細書で開示される実施形態は、エネルギーの経皮送達を介した真皮および皮下組織構造の治療に関する。マイクロ波エネルギーが概して好まれるが、意図された治療法を達成するために多くの他のエネルギーモダリティを使用できることを理解されたい。例えば、本明細書で開示される装置およびシステムが、電磁、X線、RF、DC、AC、マイクロ波、高密度焦点式超音(HIFU)を含む超音波、放射線、近赤外線、赤外線、および光/レーザといったモダリティのうちの1つ以上を送達するように構成されることが、可能であってもよい。皮膚および他の臓器の非マイクロ波ならびにマイクロ波治療を対象とする実施形態の非限定的な例は、例えば、その両方がそれらの全体で参照することにより組み込まれる、2007年4月19日出願の「Methods and Apparatus for Reducing Sweat Production」と題された米国仮特許出願第60/912,899号、および2007年12月12日出願の「Methods,Delivery and Systems for Non−Invasive Delivery of Microwave Therapy」と題された米国仮特許出願第61/013,274号で見出すことができ、特に、例えば、出願第60/912,899号の図8−32およびページ14−40で見られる。本発明の実施形態とともに使用することができる、さらなるマイクロ波システムおよび方法は、例えば、出願第61/045,937号の図2−25、およびページ11−18の添付説明で開示されている。61/045,937出願もまた、その全体で参照することにより、以前に組み込まれている。汗腺、皮脂腺、コラーゲン、毛嚢、セルライト、および上記のいずれかに血液を供給する血液系を含む、種々の組織構造が、上記に記載されるように標的にされてもよい。
【0050】
図3A−Bに図示されるシステムは、標的組織層105にマイクロ波エネルギー112を非侵襲的に送達するためのエネルギー付与装置111と、図3Bに示されるような導管114を介して付与装置111にマイクロ波エネルギー112を供給するためのマイクロ波発生器113とを有する、装置110を示す。この実施形態では、エネルギー付与装置111は、標的組織105にマイクロ波エネルギー112を送達するための少なくとも1つのアンテナを備える。アンテナは、装置が患者の皮膚に対して、またはその付近に設置されると、標的組織105および標的組織105内の標的構造を加熱して治療するように構成される。治療した標的組織105は、身体の免疫系および創傷治癒反応によって再吸収されるように適所に残されるか、または、任意の数の低侵襲技術を使用して摘出されるかのいずれかが可能である。表在性非標的組織103への損傷を防止するための冷却板115も図示されている。
【0051】
マイクロ波エネルギー112は、誘電加熱と呼ばれる過程によって、標的組織105によって吸収される。水分子等の組織中の分子は、電気双極子であり、それらは、一方の端に正電荷を、他方の端に負電荷を有する。マイクロ波エネルギー112が交流電場を誘発するにつれて、双極子は、電場と整列しようとして回転する。この分子回転は、分子が互いに衝突し、付加的な運動を引き起こすにつれて、熱を生成する。加熱は、比較的高い双極子モーメントを有する液体水分子において特に効率的である。
【0052】
マイクロ波加熱は、水分子が組織中に存在する時に、特に効率的であるため、標的組織において、または標的構造内に比較的高い水の含量または分子密度を有することが望ましくてもよい。この高含水量は、および治療点において、さらなるマイクロ波エネルギー吸収および結果として生じる加熱をもたらす。また、この現象は、標的組織105の優先的な加熱を可能にし、それにより、非標的組織103、104に対する影響を最小化する。
【0053】
標的組織105中の含水量を達成することができる、多数の方法がある。例えば、流体116(例えば、水、生理食塩水)などのボーラス投与を標的組織105または標的構造の中または付近に注射することにより、そのような領域をよりマイクロ波治療の影響を受けやすくする。図4は、汗腺および標的組織105の基部に近接した流体116の注射の実施形態を示す。汗腺を標的にする時、標的構造中のより高い含水量を達成するために、治療領域で発汗するように患者を誘発することができる(周囲温度または標的領域の温度を上昇させること等によって)。これらの場合のうちのいずれかで、水/汗のいずれも汗管を通って脱出することを防止するように、水が密集した汗腺をふさぐことができる。腺管を密封することは、制汗剤または任意の種類の生体適合性ポリマー被覆等のアルミニウムイオンベースの局所用製品を使用することによって達成することができる。外部水の添加は、いくつかの実施形態では必要とされない。特定の理論によって限定されずに、汗腺は、周辺組織と比較して、比較的高い含水量を自然に有し、それは、汗腺がマイクロ波エネルギー112を優先的に吸収することを可能にできる。さらに、汗腺は、概して、周辺組織に対してより高い濃度のイオン(例えば、より大きいイオン電位)を有し、それもまた、周辺組織に対するマイクロ波エネルギーの優先的な吸収を有利に可能にすることができる。
【0054】
当業者であれば、比較的低い含水量(例えば、セルライト)もまた、放射信号の電場を整合して低含水脂肪組織を優先的に加熱することによって、優先的にマイクロ波エネルギーによる標的にすることができると理解するであろう。標的組織に対するマイクロ波エネルギーの効果を制御するステップに関する、さらなる詳細は、2007年4月19日出願の「Methods and Apparatus for Reducing Sweat Production」と題された米国仮特許出願第60/912,899号、2008年4月17日出願の「Methods,Delivery and Systems for Non−Invasive Delivery of Microwave Therapy」と題された米国仮特許出願第61/013,274号、および2008年4月17日出願の「Systems and Methods for Creating an Effect Using Microwave Energy in Specified Tissue」と題された米国仮特許出願第61/045,937号に見出され、特に、例えば、出願第61/045,937号の図26−51およびページ8−33に見られる。
【0055】
図5に示されるように、マイクロ波エネルギーで標的組織105を治療するための装置は、プロセッサ(図示せず)と、プロセッサに接続されるエネルギー発生器113と、発生器に動作可能に連結される装置117とを含むように構成することができる。装置117はさらに、標的組織にエネルギーを送達するためのアンテナ等の、エネルギー送達付与装置111またはエネルギー送達要素を含むことができる。例示的実施形態では、ケーブル114(例えば、供給ライン)が、装置をエネルギー発生器113に電気的に接続する。他の実施形態では、プロセッサ、装置、および/またはエネルギー発生器113は、例えば、無線周波数信号を介して無線で接続することができる。好ましい実施形態では、エネルギー発生器113は、エネルギー付与装置111から遠隔に位置し、発生器113は、静置または移動式のいずれかとなり得る。代替として、付与装置111および発生器113は、携帯型ユニットを備えるように連結することができる。なおも代替として、付与装置111および発生器113は、単一ユニットに組み合わせることができる。
【0056】
図5は、マイクロ波発生器113に電気的に接続される複数のマイクロ波アンテナ120を備える、非侵襲性エネルギー送達装置117の実施形態を示す等角図である。一実施形態では、アンテナ120は、患者の皮膚119の標的領域に対する適用のために寸法設定される、実質的に平面的な付与装置板121に含有される。一実施形態では、装置117およびその中の付与装置板121は、治療されている組織の領域に実質的に一致するように寸法設定および構成することができる。加えて、付与装置板121は、装置117が患者の皮膚の外形に適合することを助けるように可撓性であってもよい。
【0057】
図6は、皮膚の中へのエネルギー112の送達を示す、図5の装置117の断面側面図である。そのような多重アンテナの実施形態では、同じ縦方向で同じ平面に沿ってアンテナ120を配向して、エネルギーを平面的に送達することが有用であってもよい。図5および6では、4つまたは5つのマイクロ波アンテナ120が互いに平行に配置されている。他の実施形態では、例えば、1、2、3、または少なくとも4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上といった、より少ないか、またはより多くのマイクロ波アンテナ120が提供されてもよい。この平面構成により、1回の治療で、およびより一貫した様式で、エネルギー112をより大きい組織領域に送達することができる。いくつかの実施形態では、アンテナ120は、両方ともそれらの全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、Staufferらの米国特許第4,825,880号、またはStaufferの米国特許第6,330,479号において説明されているものと同様であってもよい。
【0058】
本明細書で後述されるように、熱治療と併せて、熱保護策を採用することができる。図5および6に示されるように、アンテナ120を含有する付与装置板121は、導管114によってマイクロ波発生器113に接続されてもよく、冷却液が、冷却剤循環機118から付与装置板121を往復して導管を通過している。冷却液は、患者の表皮102に保護域103を生成するため、保護域より下の標的組織105が治療される。標的組織105の奥深くの保護域104も図示されている。
【0059】
標的組織105に送達されるエネルギー112の量および治療効果の結果として生じる程度は、アンテナ120の数、それらの具体的構成、および各アンテナ120に送達される電力に基づいて調整することができる。一実施形態では、300MHzから20GHzに及ぶマイクロ波エネルギー出力周波数が、エネルギー送達装置に電力を供給するために好適となる。一実施形態では、約915MHzから約2450MHzまでのどこかのマイクロ波信号が、組織に対する治療効果をもたらすために優先的となる。代替として、約2.5GHzから約10GHzに及ぶ周波数を有する信号もまた、いくつかの実施形態では優先的であってもよい。加えて、マイクロ波エネルギーの送達を促進するために、固体状態、進行波管、および/またはマグネトロン構成要素を選択的に使用することができる。
【0060】
標的組織105へのエネルギー112の送達は、アンテナ120と組織との間のスタンドオフの形、および/または充填材料(例えば、誘電性の充填した導波管)の形も成すことができる低損失誘電体要素を組み込む、アンテナ120設計によって促進することができる。エネルギーが、典型的には、金属導体と身体組織との間の直接的な電気接点を介して伝送される、無線周波数等の他の形態の電気エネルギー送達とは異なり、マイクロ波エネルギーは、低損失誘電材料を介して送達されることができる。適正に構成された誘電体要素は、マイクロ波エネルギーが隣接組織に放射することを妨げず、治療経過にわたって標的組織へのエネルギーの送達を最適化するために、設計ツールとして利用することができる。皮膚および下層組織の誘電性質(誘電率および伝導度)は、水分の損失により、治療経過にわたって(例えば、温度が上昇するにつれて)変化し得るため、皮膚との直接接触からアンテナを除去する誘電体要素は、一貫した負荷を確保することによって、標的組織への一貫したエネルギー送達を維持するのに役立つことができる。このことは、皮膚および下層組織と比較して、アンテナ(すなわち、誘電体要素)と近接近した負荷の誘電特性が、治療中に比較的一貫したままであるので、達成される。一貫性を向上させることに加えて、組織の中への電力伝達を最大化するために、組織とアンテナとの間に設置される低損失誘電体(例えば、セラミック、PTFE、ポリイミド等)を利用することができる。誘電体は、エネルギー送達装置またはシステムの外部構成要素として(例えば、アンテナと組織との間の誘電「ブロック」として)、または両方の組み合わせとして、アンテナ自体に組み込まれ得る(例えば、充填材料として)。アンテナ設計に関する、さらなる詳細を以下で論議する。
【0061】
アンテナ設計に関して、本明細書に開示されるエネルギー送達機能を達成するために、いくつかの可能なアンテナ設計を実装することができる。いくつかの実施形態では、アンテナは、半剛性の同軸ケーブルの一部を使用して構築され、一方の端にアンテナを、他方の端にマイクロ波発生器を伴う。次いで、アンテナは、可撓性のマイクロ波ケーブルの長い部分に沿って発生器に接続される。また、ある導波管アンテナの実施形態では、導波管アンテナは、所望の臨床結果に応じて、適切な形または形状を伴う導波管類の一部を含むことができる。
【0062】
同軸ケーブルはさらに、内部導体シャフトと、外部導体とを備える。図7Aに図示されるような、モノポールアンテナ122を備える構成では、内部導体要素123が、内部導体シャフト124から外部導体125を越えて延在する。電磁エネルギーは、ワイヤ125の円周の周囲において、全方向性の放射パターン126でアンテナ122から放射される。図7Eに示される別の実施形態では、同軸ラインの外部導体125から不要な電流を断つために、導電性の遮蔽体またはスリーブ127がアンテナ122に追加され、したがって、近位に放射する電磁場を抑制する。図7Bに図示されるような、ダイポールアンテナ128構成では、外部導体125は、電場線が内部導体要素123から外部導体125まで伸張するような態様で露出される。
【0063】
アンテナ120の所望される性能に応じて、アンテナは、選択的に、図7Cに示されるらせんアンテナ129、図7Dに示されるループアンテナ130、または図7F−Gに示されるホーンアンテナ131を備えてもよい。これらの代替的なアンテナ構成は、幾何学的な放射パターンを提供する。例えば、図7Eに図示されるように、外部導体125は、内部導体要素123と外部導体125との間に生成される電場に指向性構成要素を提供するように、ホーン形状等の成形要素を備えてもよい。選択的に、図7Gに示されるように、外部導体要素125および/または内部導体要素123は、アンテナのエネルギー送達能力を最適化するように、誘電体要素によって縁取られるか、それに連結されるか、またはそれによって被覆されてもよい。
【0064】
別の実施形態では、標的組織へのエネルギー送達に関して、付与装置312は、マイクロ波電力源(図示せず)に連結される同軸ケーブル133に接続される、アンテナ132を備える。図8Aに図示されるように、アンテナ132はさらに、同軸ケーブル133内に配置される内部導体123を備え、内部導体要素123は、同軸ケーブル133の遠位端を越えて延在して、コイル状導体要素を形成する。冷却入口134および矢印によって画定された出口135も示されている。コイル状導体要素は、皮膚表面と整列することができる、比較的平坦な構造を提供して、標的組織の平面に一様な量のエネルギーを送達する。付与装置は、選択的に、その遠位端において、ポリマーまたはセラミックから成る薄い遮蔽体を備えてもよい。図8Bおよび8Cはそれぞれ、コイル状アンテナ構成の付加的な実施形態136、137を図示し、コイル状導体要素は、同軸ケーブル133全体(図8B)または内部導体123(図8C)のみを備えてもよい。
【0065】
上記で開示されるアンテナ設計に加えて、いくつかの他のアンテナ設計が、マイクロ波療法を送達するための装置において採用されてもよい。図9は、同軸ケーブル133および遮蔽139から成るスロットアンテナ138の実施形態の断面図を示す。マイクロ波発生器(図示せず)に接続される同軸ケーブル133は、内部導体123および外部導体125から成り、内部導体123および外部導体125は、アンテナ138の遠位部分141において、はんだ140でともに接合される。外部導体125は、円周スロット142を備え、それを通って、アンテナ138の電磁場は全方向性パターンで放射する。遮蔽構成要素139は、治療領域に向かって電磁場を方向付け、それにより、損失を最小化し、効率性を最大化するために、および、電磁場の迷放射を防止するために使用される。同軸スロットアンテナ138が不平衡構成で供給され、外部導体を下る近位電流を受けるため、近位に放射した電磁場は、同軸アンテナを縦方向に下って伝播することができ、アンテナに隣接して位置する表在性非標的組織103、104への望ましくない治療効果をもたらす場合がある。この結果を回避するために、表面電流および付随電場が非標的組織103、104から離れて方向付けられるように、アンテナ138の近位部分143を、144等における治療領域から離れる方向に屈曲させることができる。加えて、導電性エポキシまたははんだを使用して、遮蔽を同軸ケーブルに電気的に接続することによって、電磁場は、同軸ケーブルおよびアンテナの外側に沿ってさらに移動できなくなる。これらの電磁場は、遮蔽を介して治療領域に向け直すことができるように、アンテナ138の筐体内に保持される。スロットアンテナシステムもまた、示されるように、冷却回路118と、冷却板115とを含んでもよい。
【0066】
例えば、導波管、単一または多重スロットアンテナ、プリントスロットアンテナ、パッチアンテナ、およびビバルディアンテナといった、種々の他の種類のマイクロ波アンテナもまた、本明細書とともに使用することがきる。
【0067】
(マイクロ波発生器)
マイクロ波発生器113は、好ましくは、発生器ヘッドと、電力供給部と、アイソレータとを含む。発生器113は、約915MHzと15GHzとの間、より好ましくは、約2.45GHzと5.8GHzとの間等の約2.4GHzと9.2GHzとの間の周波数を有し、いくつかの実施形態では、わずか約300W、200W、100W、75W、またはそれ以下の出力電力の最大値を有するように構成されてもよい。
【0068】
(導波管アンテナ)
いくつかの実施形態では、システムは、導波管アンテナ145(例えば、図20に示されるような)を含む。アンテナは、好ましくは、約915MHzと15GHzとの間、より好ましくは、いくつかの実施形態では約2.45GHzと5.8GHzとの間等の、約2.4GHzと9.2GHzとの間の共振周波数を有する。
【0069】
導波管アンテナ145は、好ましくは、導波管145の所望の動作周波数および電場構成に構成される、断面サイズを有する。概して、最低次の横方向電場(TE)モードが利用される(例えば、TE10)が、横方向磁場(TM)、横方向電磁場(TEM)、エバネセント、またはハイブリッドモード等の他のモードが可能である。例えば、幅および高さ(長方形)または直径(円形)導波管形状は、導波管145の動作周波数および電場構成と相関する。充填材料、供給の種類および設置、およびモードフィルタリングの使用等の付加的なパラメータは、導波管145の動作周波数および電場構成に影響を及ぼす。当業者によって理解されるように、電磁放射ビームの横方向モードは、ビームの伝播方向と垂直(すなわち、直角)な平面内で測定される、放射の特定の強度パターンである。横方向モードは、導波管145に閉じ込められるマイクロ波において発生する。
【0070】
横方向モードは、導波管145に課せられる境界条件により発生する。可能なモードは、所与の導波管145の境界条件についてマクスウェル方程式を解くことによって求めることができる。横方向モードは、異なる種類に分類される。TEモード(横方向電場)には、伝播の方向に電場がない。TMモード(横方向磁場)には、伝播の方向に磁場がない。TEMモード(横方向電磁場)には、伝播の方向に電場または磁場がない。ハイブリッドモードは、伝播の方向に電場および磁場成分の両方を有するものである。エバネセント場は、導波管145からの横半径方向距離の関数として単調に増加する振幅を有するが、付随する位相シフトがない、時間変動場である。エバネセント場は、導波管145の内側で伝播する電磁波またはモードに連結され、すなわち、結合される。
【0071】
導波管145の長さは、導波管145の物理的長さが、所望の動作周波数における誘導波長145の半波長倍数である電気的長さに対応するように、調整することができる。このことは、負荷の中への導波管145供給からの効率的な一致を可能にする。
【0072】
導波管145は、所望の臨床目的、および治療される特定の解剖学的領域の形状に応じて、多種多様な断面形状を有することができる。いくつかの実施形態では、導波管145は、長方形、円形、楕円形、または六角形の断面形状を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、約1mmから100mmまでの挿入深度で、約0mmと誘導波長(λg)に等しい距離との間に同軸供給を設置することができる。設置は、最も好ましくは、同軸供給から導波管への電力の効率的な伝達のために最適化される。いくつかの実施形態では、同軸供給は、導波管145の深度の約5%から95%の間の挿入深度を有する。いくつかの実施形態では、同軸供給は、導波管145の深度の少なくとも80%の挿入深度を有する。
【0074】
標的組織105の領域で所望のエネルギー密度を有するために、アンテナ120は、いくつかの実施形態では、皮膚の0.5−5mm(例えば、約1.75mm等の、約1.5−2mmの間)以内、または他の実施形態では、所与の動作周波数において皮膚の数波長以内にあり得る。この距離は、本明細書では、アンテナスタンドオフ高さと呼ばれてもよい。スタンドオフ高さの変動は、マイクロ波放射の広がりに影響を及ぼす。非常に大きなスタンドオフにより、より大きい体積にわたる低減したエネルギー密度が達成される。逆に、スタンドオフ高さが少ししかないか、または全くないと、エネルギー密度は、概して、より小さい体積にわたってはるかに高い。大きいスタンドオフで治療エネルギー密度レベルを達成するために、有意に増加した入力電力レベルが必要である。スタンドオフによって強く影響される、組織中の深度におけるマイクロ波エネルギーの吸収パターンは、標的175と非標的(深部)組織104との間の相対安全限界に直接影響を及ぼす。最終的に、スタンドオフ高さは、導波管に対する荷重条件の大きな変動を引き起こし、導波管アンテナ145によって観察される反射電力レベルがスタンドオフの変化とともに変化する。いくつかの実施形態では、規準化された導波管145が使用される場合、スタンドオフ高さは、約ゼロ、またはマイナスにさえなり得る(例えば、皮膚が導波管145内にあり得る)。
【0075】
(誘電充填材)
誘電充填材料の選択は、種々の断面積の導波管145が特定の所望周波数で利用および伝播されることを可能にする。固定サイズの導波管のカットオフ周波数は、より大きい誘電率の材料を利用することによって減少させることができる。所望の治療サイズおよび2.4−9.2GHzの指定周波数範囲のために、K=2−30の誘電率を有する誘電充填材料が利用される。いくつかの実施形態では、好ましい誘電率は、K=10である。
【0076】
より大きいK値の誘電充填材料は、組織の誘電率により近い誘電率を有し、一般に、付与装置/組織接合部の間でより低い反射の可能性を与える。誘電率のいくつかの例は、皮膚(K=35−40)、脂肪(K=5−10)、筋肉(K=50)、または水(K=80)を含む。冷却要素1115または他の障壁を伴う実施形態では、誘電充填材料は、冷却要素115および皮膚によく調和する誘電率を有することに基づいて選択されてもよい。
【0077】
(同調スタブ)
いくつかの実施形態では、マイクロ波アンテナシステム、例えば、導波管システムは、特定の周波数における所与の組織負荷のための反射をさらに最小化するために、所与の組織の中への最適な電力伝達に使用することができる、金属の調整可能な同調スタブを含む。この強化は、製造および公差の変動の責任を負うのに役立つことができる。法外な費用がかかる場合がある、高い公差要求を有する代わりに、所望の機能的特性を達成するように各アンテナを同調することができる。いくつかの実施形態では、接着、リベット、はんだ付け、または同等物等の好適な手段によって、金属同調スタブをアンテナ(例えば、導波管145)の壁に固定することができる。スタブは、最上壁から導波管145経路へ直角に垂れ下がっている、実質的に導波管の縦方向の中心線の上に位置する、円筒形部材であり得る。スタブは、導波管145の中で種々の深度まで延在し得、導波管アンテナ145は発生器113に現れるインピーダンスに最適に適合するよう、正確に寸法設定されて配置され、効率的な電力伝達を可能にする。同調スタブは、実質的に抵抗成分がない無効インピーダンスを有利に提供する。
【0078】
(導波管の配列)
導波管付与装置は、複数の部位の同時または連続治療のための配列構成で設置することができる。加えて、本明細書の他の場所で論議されるように、導波管配列(双同軸スロットアンテナと同様)の有益な位相(同相場の構造的効果)動作の可能性が存在する。
【0079】
(ホーンアンテナ)
いくつかの実施形態では、ホーンアンテナ構成を形成するように、導波管アンテナの開口を遠位方向に外向きに広げることができる。このことは、エネルギー分散をより広範囲に広げ、ならびに、変動する組織負荷へのアンテナの頑健性を増加させることができる(すなわち、アンテナが組織組成の患者から患者への変動とよく適合する)。口広アンテナによって生成される、より幅広い設置面積は、増加した治療サイズの可能性を提供する。口広部はまた、導波管の製造公差を有利に増加させることもできる。例えば、5.8GHzの所望周波数を有するホーンアンテナは、いくつかの実施形態では、約5.5から6GHzまでの周波数範囲を有してもよい。
【0080】
(強化)
(保護冷却)
組織の熱治療では、非標的組織の不必要で潜在的に有害な熱破壊から保護することが有益であってもよい。皮膚の表皮102および真皮101層に送達される過剰エネルギーが、疼痛、不快感、乾燥、炭化、および周縁効果を引き起こすため、このことは、特に皮下治療の場合である。また、乾燥組織のインピーダンスが高すぎて、組織のより深部領域の中へエネルギーを進行させることができない場合があるため、周辺組織への乾燥、炭化、および周縁効果は、場合によっては治療の有効性を損ない得る。
【0081】
非標的組織への熱破壊、およびそれと関連するあらゆる厄介な問題を回避するために、エネルギー送達装置は、表在性非標的組織103(例えば、表皮102および真皮101の各部分)に冷却効果を提供するための冷却要素115を含むことができる。表皮102を伝導的に、および/または対流によって冷却し、冷却効果が真皮102に浸透することを可能にすることによって、冷却要素115は、図10Aで図示されるような表在性非標的組織のための熱保護域103を確立する。この保護域103を提供する冷却要素115により、非標的組織103、104への熱損傷の最小限の危険性を伴って標的組織105(例えば、図10Aの熱治療域105)を治療することができる。
【0082】
上記の図10Bは、熱傷が予想される温度以上(曲線B)および相当の損傷が発生する温度以下(曲線A)の皮膚温度を図示する、時間温度曲線を図示する。したがって、そのエネルギー治療中に、冷却システムを、所与の治療継続時間にわたって曲線B以下の非標的皮膚の表面温度(本明細書の他の場所で論議されるように、温度感知要素によって測定することができる)に、ならびにいくつかの実施形態では、曲線A以下に維持することが、非常に望ましくなる。
【0083】
疼痛および/または熱治療と関連する他の不快な感覚の危険性をさらに低減するために、冷却要素115は、表在性非標的組織103をさらに冷却して麻酔効果を生成することができる。採用される熱治療の種類および相補的冷却の関連必要性に応じて、冷却治療および/または麻酔効果は、熱治療の前、間、および/または後に適用されてもよい。保護冷却もまた、エネルギー送達を最大限化する一方で非標的組織103、104への悪影響を最小化するように、加熱治療とともに交互に適用されてもよい。
【0084】
冷却要素115は、多くの形をとることができる。冷却要素115は、静的な冷蔵液体(例えば、水、生理食塩水)または固体冷却剤(例えば、氷、セラミック板)の層、気体に変わる選択された相変化液体、またはそれらの何らかの組み合わせ(例えば、冷水で充填したシリンダ)等の、皮膚を伝導的に冷却する受動ヒートシンクとなり得る。冷却要素115はまた、表皮102の対流冷却のための、気体または液体のスプレーまたは流れ、あるいはエアロゾル粒子の形の能動冷却を提供することもできる。熱電冷却器(TEC)またはペルチェ要素もまた、効果的な能動冷却要素115となり得る。代替として、能動冷却要素115は、熱を運び去るように、隣接する循環流体を有する熱伝導性要素を備えることができる。
【0085】
冷却要素115はまた、非標的組織103、104を伝導的に冷却するための内部冷却構成要素として、装置に組み込むこともできる。例えば、エネルギー送達装置は、冷却構成要素115をエネルギー付与装置に連結することができ、その場合、冷却構成要素115は、隣接組織に伝導性冷却を能動的または受動的に提供することができる。受動冷却が提供される時、冷却構成要素115は、冷たい金属板またはブロックを備えてもよい。能動冷却が提供される時、冷却構成要素115は、熱伝導性要素を備えてもよく、その場合、冷蔵液体(例えば、水、ドライアイス、アルコール、不凍液)が、要素の内部構造を通して循環される。例えば、誘電体を含むマイクロ波エネルギー送達装置では、誘電体自体が冷却構成要素となり得る。別の例では、冷却構成要素115は、誘電体に隣接するように、アンテナ120に組み込むことができる。
【0086】
図11Aに示されるように、冷却構成要素115は、上記のような、少なくとも1つのマイクロ波アンテナ120を備える、エネルギー送達装置146に組む込むことができる。この実施形態では、隣接する皮膚組織119を冷却するために流体が使用される。この対流冷却は、選択的に、エネルギー発生器113内に統合されるか、それに連結されるか、またはそれから遠隔に位置し得る、冷却剤循環機118によって強化することができる。図11Bに示されるように、冷却循環機118は、エネルギー源113およびエネルギー付与装置121の両方から遠隔に位置する。循環流体(気体または液体)の性質および特性(例えば、媒体、流速、温度)は、標的組織に送達されるエネルギーの量および速度に照らして、所望の冷却効果を達成するように選択および修正することができる。
【0087】
任意の種類の冷蔵流体または冷媒が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ波エネルギーの送達のために最適化されるシステムは、冷却剤の中にイオンを有することを防止してもよい。高イオン含有量を伴う冷却剤は、概して、高い伝導度を有し、マイクロ波吸収および加熱につながり、マイクロ波場を混乱させ、組織へのエネルギー送達を改変する。低損失冷却剤のいくつかの例は、脱イオン水、および/または、ピーナツ、菜種、ヒマワリ、ベニバナ、またはオリーブ油等の植物油、蒸留水およびアルコール、またイソプロピルアルコールのうちの1つ以上を含む。一実施形態では、使用される冷却剤は、イソプロピルアルコールであり、それは、イソプロピルアルコールの凝固点が水よりも低いため、より低い温度での液体冷却を有利に可能にする。液体冷却剤を説明したが、気体および固体冷却剤もまた、本発明の範囲内である。
【0088】
冷却板は、いくつかの実施形態では、好ましくは、(1)熱伝導性である、つまり、組織と冷却流体との間の伝熱率を制御する、(2)マイクロ波信号の波長と比べて薄く(例えば、いくつかの実施形態では、約1mm未満、0.75mm、0.5mm、0.25mm、0.20mm、またはそれ以下)、組織の中への電力伝達/熱伝導度の効率性を最大化して、導波管145を皮膚の近くに保ち、スタンドオフ高さを最小化するために、低い電気伝導度(例えば、いくつかの実施形態では、約0.01未満のような、約0.5未満のシグマ)を有する、(3)湾曲を排除する一方で皮膚に適合するように十分な剛性であり、それにより、一貫した冷却を維持する(皮膚との一定の接触および均一な流動形状を介して)、(4)マイクロ波エネルギーを通す(例えば、非反射性である)材料でできているといった、機能のうちの1つ以上を含む。冷却板は、任意の好適な材料、例えば、約96%のアルミナ、またはいくつかの実施形態では熱分解炭素を含む、ガラスまたはセラミック複合材料でできていてもよい。
【0089】
誘電率範囲を満たす、低損失の冷却板材料が望ましい。それらは、固体または非固体(例えば、水、油)となり得る。いくつかの実施形態では、アルミナ(K=10)、ジルコニア、シリカ、ケイ酸アルミニウム、またはマグネシア等のセラミックが使用されてもよい。他の実施形態では、シリコーンゴム(K=3)等のポリマー、またはEccostockポリマー等のセラミック−ポリマー複合材料を利用することができる。具体的な材料を説明したが、当業者であれば、本願が記載された材料に限定されないことを理解するであろう。
【0090】
いくつかの実施形態では、冷却板は、好ましくは、望ましくないマイクロ波反射を最小化するのに十分薄い。例えば、いくつかの実施形態では、冷却板は、厚さが、わずか約10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mm、0.75mm、0.5mm、またはそれ以下であってもよい。
【0091】
導波管145(外壁)と充填物との間の接合部は、いくつかの実施形態では、不要な電場を回避するのに役立つように、約3mm未満、2mm、1.5mm、1mm、0.5mm、またはそれ以下等の最小空隙を有する。導波管冷却要素115とより小さい筐体または冷却チャンバとの間の接合部は、空隙を有するべきではない。
【0092】
(流動多岐管)
いくつかの実施形態では、冷却システムの流動チャンバは、流動チャンバにわたって一貫した流速を達成するように、入口および出口容器を含む。容器は、流動チャンバの両側に位置する。入口容器は、流体が、冷却チャンバ中の任意の点においてほぼ同じ速度で冷却チャンバを通って流れることができるように、冷却剤の蓄積を可能にする。この一定の流速は、熱伝導性障壁を提供するように、冷却板にわたって一貫した冷却を可能にする。出口における容器は、流動チャンバにわたって流動を阻害する、流体の停滞を有利に防止するのに役立つ。
【0093】
冷却回路はまた、好ましくは、流体を所望の温度に冷却または加熱する温度制御要素と、ポンプとを含む。ポンプは、回路内の従来のポンプ、または代替として、ローラポンプ等の冷却回路の外側で機能するポンプであってもよい。
【0094】
冷却流体の流速は、任意の所望の冷却のために調整されてもよい。いくつかの実施形態では、流速は、ある実施形態では、約200−600ml/分の間、約200−400mL/分の間、または約600mL/分等の、約100−1,500ml/分の間となり得る。冷却板を横断する冷却流体の温度は、好ましくは、ある実施形態では、10℃−37℃、または約10℃−22℃等の、−5℃−40℃の間である。冷却板の形状および表面積は、好ましくは、治療される身体表面の表面積および形状に対して比例する。
【0095】
(形状)
本明細書で開示される実施形態の多くでは、治療は、標的組織に対する所望の治療効果を達成するように、局所的および/または低侵襲的に投与される。これらの実施形態のうちのいくつかでは、皮膚は、組織の平坦な多層として表され、治療は、その平面と実質的に垂直な方式で、標的組織に投与することができる。治療は、特定の皮膚形状に関して開示されてもよいが(例えば、垂直な局所送達、垂直な経皮挿入等)、そのような治療は、以下で論議されるものを含む、任意の数または種々の形状に関して投与されてもよいことを理解されたい。
【0096】
(組織取得/上昇した皮膚)
マイクロ波の送達を伴うエネルギー治療では、例えば、送達したエネルギーが身体に深く浸透しすぎ、深部非標的組織104、関連重要構造(例えば、血管、リンパ節、筋肉組織等)、および身体臓器に危害を引き起こす場合があるという危険性がある。したがって、下層組織から皮膚の一部分を備える標的組織を上昇させることが有益であってもよい。そのような上昇は、臨床医による手動操作を通して達成するか、または任意の数の装置を使用して促進することができる。例えば、図12に図示されるように、皮膚119を引張って担持し、それにより、治療のために皮膚を上昇させるために真空147を使用することができる。選択的に、吸引およびエネルギー送達を一斉に適用することができるように、真空−吸引装置147をエネルギー送達装置に組み込むことができる。
【0097】
別の実施形態では、滅菌接着剤を使用するツールが、治療のために皮膚を効果的に下支えすることができる。しかしながら、より単純には、臨床医は、治療のために、および治療中に皮膚上昇を達成および維持するために、任意の数の鉗子、トング、または他の装置を使用することができる。
【0098】
(折り畳まれた皮膚)
別の皮膚形状構成では、標的組織にエネルギーを送達する前に、最初に患者の皮膚を挟持して折り畳むことが有益であってもよい。リドカイン等の局所麻酔薬の最適な投与(局所または皮下)後、表皮102、真皮101、皮下層100が下層骨格筋から分離されるように患者の皮膚を把持し、部分的に引き離すことができる。いったん分離されると、皮膚の近接部が互いに隣接し、襞の一方の側面の皮下層100が、襞の他方の側面の皮下層100に直面するように、皮膚を折り畳むことができる。これらの隣接皮下層100を分離すると、標的組織152および標的152構造が密集した治療域をもたらす。図13は、皮膚の襞148の例を示す。皮膚の襞148は、最上部149と、2つの側面(1つしか示されていない)と、2つの縁151(1つしか示されていない)と、襞の縦方向の長さに沿った「挟まれた」標的組織域152とを備える。
【0099】
皮膚の襞133の中の標的組織152が豊富な領域に治療を集中させることにより、標的組織の2つの隣接層を単一治療で治療することができるため、より効率的な手技を可能にする。加えて、治療は、1つ以上の配向(例えば、襞の両側)から投与することができ、それは、より効果的で信頼性のある治療をもたらすことができる。また、皮膚が身体から引き離されているため、非標的構造155への損傷が最小化される。また、皮膚の襞148を適所に挟持または吸引する行為は、折り畳んだ組織への血流を一時的に制限するため、治療中に送達される熱エネルギーが血流によって消散される可能性が少ない。加えて、折り畳み構成によって皮膚中で引き起こされる神経活動が、疼痛管理の門制御説(以下で説明される)下の治療中に、患者の痛覚を低減してもよく、それは、皮膚の真空持ち上げ、ならびに皮膚の手動「挟持」の両方に適用可能となり得る。
【0100】
一実施形態では、図14に図示されるように、皮膚の襞148は、2つのエネルギー送達要素154を備えるエネルギー送達装置によって、対向側から治療される。エネルギー送達要素154は、襞の中央の治療域148にエネルギーを送達するように構成される。例えば、上記の図5に示されるように、1つ以上のマイクロ波発生器113に接続される1つ以上のマイクロ波アンテナ120を備える、エネルギー送達装置の場合、マイクロ波エネルギー112は、皮膚の襞の各側面から外側表皮層102を横断し、治療域152の深くに浸透することができる。以前の標的組織105へのマイクロ波エネルギー112の送達を最適化するために、選択的に、誘電体をこの治療で使用することができる。また、以前に示され、図5に関連して説明されるように、非標的組織の保護域155を生成するために、冷却要素115を皮膚表面上で使用することもできる。加えて、装置153は、治療中に襞を安定させるように、皮膚の襞148の両側に冷却要素115および/または誘電体要素を伴って構成することができる。
【0101】
別の実施形態では、2つ以上のエネルギー信号の加重効果を使用して、治療を標的組織152において集中させ、局限することができる。図15に図示されるように、示されるスロットアンテナ138等のアンテナは、皮膚の襞の両側から連続マイクロ波治療を送達するように、皮膚の襞133の両側(139等)に配置することができる。各アンテナ138からのエネルギー波は、第1アンテナ138からの波が第2アンテナ138からの波と調和し、標的組織域152において累積治療効果を生じることができるように、段階的となり得る。波はまた、治療が所望ではない領域(すなわち、非標的組織)で互いに打ち消すことができるように同期化することもできる。したがって、最適な治療は、標的組織が密集した領域において加法的であるが、他の領域において減法的である、エネルギー波を送達するように構成および協調される、アンテナ138を備える。
【0102】
上記で論議される実施形態の多くに関して記述されるように、吸引を用いて皮膚の襞を生成することが望ましくてもよい。例えば、吸引−真空147空洞を、前述の装置のうちのいずれかに組み込むことができる。図16A−Bは、筐体156と、吸引チャンバ157と、真空源(図示せず)への接続のための真空ポート(図示せず)と、同軸ケーブル133を介して電源に動作可能に接続される双スロットマイクロ波アンテナ138とを備える、吸引システム147の実施形態の斜視図を示す。各アンテナ138のための冷却流入口134および出口135ポートも示されている。真空源は、組織チャンバ157内で折り畳み配向にて皮膚を把持および担持するのに十分な真空力を提供するために構成することができる。装置は、手技の開始時に皮膚を単純に把持する、または治療の一部または全体にわたって皮膚を適所で担持するために、吸引147を利用してもよい。装置内のこのより低い圧力または吸引の領域は、標的組織をアンテナ138により近く並置させ、標的組織中の血流を低減するよう、装置を皮膚に接着させるのに役立ち、それにより、組織のより効率的な加熱を可能にする。
【0103】
吸引の使用は、多数の付加的な有益性を有する。例えば、吸引は、所望の形状で皮膚を配向させるのに有用となり得る。本明細書で開示される治療構成で示されるように、吸引は、皮膚を把持し、折り畳んだ皮膚または上昇構成のいずれかで保持するのに役立つことができる。また、治療のために皮膚を適所に持ってくるために吸引を使用することによって、治療変動性を最小限化することができる。臨床医は、吸引によって調節されるため、一貫した接触力について心配する必要がない。
【0104】
さらに、吸引することにより、血管が優先的に標的にされない実施形態では、標的組織の表面にあるか、または同じ平面内にある血管の有利な一時閉塞を可能にしてもよい。血管を通る流動を制限することによって、血管の含水量が減少され、マイクロ波エネルギーを介した望ましくない凝固を予防する。このことはまた、マイクロ波エネルギーが、非標的血管に方向付けられるよりもむしろ、標的組織により効率的に方向付けられるため、ヒートシンク効果を提供することもできる。
【0105】
しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、毛細血管拡張症または静脈瘤を治療するため等に、血管が優先的にマイクロ波エネルギーを吸収するように、血液が血管中にとどまるように吸引を採用することが望ましくてもよい。
【0106】
加えて、吸引は、皮膚中の伸張および圧受容器を誘起することによって疼痛を制御するのに役立ち、それにより、疼痛管理の門制御説を介して疼痛新信号を遮断してもよい。門制御設は、脊髄の後根神経節に到着する過剰な神経信号がシステムを圧倒し、脳への疼痛受容器信号の伝送を覆い隠すか、または遮断すると考える。この疼痛管理の機構は、埋込型電気疼痛制御ユニット、TENSシステム、Optilaseシステム、およびその他によって活用される。
【0107】
いくつかの実施形態では、吸引システム147は、所望される組織取得の領域にとって十分な圧力を伴って構成される、真空ポンプを含む。圧力は、約450−700mmHgの間、およびいくつかの実施形態では約650mmHgとなり得る。チャンバによって覆われる領域の形状は、いくつかの実施形態では卵形、または任意の他の所望の形状となり得る。15cm×25cmの長方形の導波管145および冷却板115を伴う実施形態では、吸引チャンバ157は、2つの外側の7.5cm半径の弧領域を伴う、15cm×25cmの中央長方形領域を有してもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ深度は、約30mm未満、25mm、20mm、15mm、10mm、7.5mm、5mm、またはそれ以下である。チャンバ壁は、いくつかの実施形態では、例えば、約20度等の約5−30度の間で、チャンバ157の基部から外に角度を成してもよい。
【0108】
吸引チャンバ157の深度は、取得および治療される時に皮膚が上昇される量を制御し、それは順に、皮膚組織内で形成される病変に影響を及ぼす。その圧迫および上昇状態で治療されると、皮下病変が圧迫された組織に生成される。吸引147が解放され、皮膚がチャンバ157およびその圧迫状態から係脱されると、病変が伸張される。結果は、より薄く、より幅広い皮下病変である。
【0109】
吸引システム147はまた、1つ以上の吸引ポート、例えば、それぞれ吸引チャネルを介して吸引域に接続される2つのポートを含むこともできる。吸引域は、吸引領域を最大限化するようにパターンを画定し、それは順に、吸引力を最大限化する。吸引領域はまた、組織歪曲も予防する。複数の吸引ポートを伴う実施形態では、ポートは遠位分岐に分かれて各吸引ポートと噛合することができる、吸引導管によって接続されてもよい。
【0110】
システム147はまた、上記のような種々のパラメータを制御するように、CPU等の制御要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、好ましい治療順序は、(1)吸引して所望の組織を取得する、(2)所望の組織を事前冷却する、(3)組織にエネルギーを送達する、(4)組織を事後冷却する、(5)吸引を解放する、である。本願で説明される実施形態とともに使用することができる、他の組織取得システム、装置、および方法は、例えば、その全体で参照することにより以前に組み込まれている、米国特許出願第61/045,937号のページ69−71で開示されている。
【0111】
以下の表は、送達したエネルギーによって生成される病変の厚さ、ならびに冷却システムによって生成される保護域の深度を制御するように改変することができる、種々のパラメータの非限定的な一覧である。記載される範囲は、特定の実施形態用にすぎず、記載された範囲外の他の範囲または値も、本発明の範囲内である。
【0112】
【表1−1】
【0113】
【表1−2】
いくつかの実施形態では、システムはまた、1つ以上の温度センサも含む。センサは、熱電対(TC)、サーミスタ、または光ファイバセンサ(金属が不足していれば、マイクロ波エネルギーと有利なことに相互作用しない)であってもよい。いくつかの実施形態では、温度センサは、皮膚表面と冷却板との間の接合部に位置する、熱電対センサである。いくつかの実施形態はまた、選択的に、冷却剤流入および/または流出容器の温度を測定するように、熱電対センサを含んでもよい。システムはまた、送達されるエネルギーおよび/または冷却剤温度を調整するか、または代替として、例えば、事前設定した最大皮膚また冷却剤温度が識別された場合にシステムを止めるように構成される、フィードバックループを含んでもよい。圧力または距離センサ等の他のセンサが、皮膚接触および係合を確認するように存在することができる。
【0114】
(薬剤)
本明細書で開示される治療の多くでは、標的組織105は、治療効果を生じさせるように損傷される。しかしながら、非標的組織103、104もまた、これらの治療のいくつかにおいて影響されてもよい。そのような治療は、治療の間および後の両方で発生する場合がある、疼痛、炎症、感染症、および瘢痕化等の合併症を有する場合がある。したがって、治療の前、間、および/または後に患者に薬剤を提供して、これらの合併症の発生率および影響を最小限化することが有益であってもよい。リドカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、テトラカイン、およびプロカイン等の疼痛用麻酔薬、炎症用のステロイドまたは非ステロイド剤、および感染症用の抗生物質となり得る、薬剤は、経口で、局所的に、静脈内に、または局所注射を介して投与することができる。
【0115】
(エネルギーの制御された送達)
標的組織105にエネルギーを送達するための、本明細書で開示される治療のうちのいくつかで、エネルギーの制御された送達が、過熱の結果としての標的組織105および非標的組織103、104への不必要な損傷(例えば、乾燥、炭化等)を回避するのに有用であってもよい。エネルギーの制御された送達はまた、より一貫した、予測可能で効率的な全体的治療をもたらしてもよい。したがって、組織にエネルギーを送達するためのプログラムされた命令を有する制御器をエネルギー送達システムに組み込むことが有益であってもよい。加えて、これらのプログラムされた命令は、エネルギーの制御された送達を自動化するためのアルゴリズムを備えてもよい。
【0116】
エネルギーの制御された送達を採用する実施形態では、前述の制御器を発電機に組み込まれるか、または連結することができ、制御器は、温度および/または電力プロファイルを備える事前設定アルゴリズムに従って、発電機を指揮する。これらのプロファイルは、標的組織において所望の治療効果を達成するために使用することができる、パラメータを定義してもよい。これらのパラメータは、電力および時間増分、最大許容温度、およびランプ速度(すなわち、温度/電力増加の速度)を含んでもよいが、それらに限定されない。リアルタイムまたは遅延生理学的および診断測定値を備えるフィードバック信号は、これらのパラメータおよびエネルギーの全体的送達を変調するために使用することができる。得ることができる測定値の中でも、治療部位および/または標的組織105における温度、インピーダンス、および/または反射電力が、特に有用となり得る。これらの測定値は、エネルギー送達が治療経過にわたって治療部位および標的組織において及ぼす効果を監視するのに役立ってもよい。エネルギー制御器は、固定係数を有してもよく、または制御器の係数は、エネルギー送達への組織反応に応じて変動されてもよい。加えて、エネルギー送達を制限するために、または感知した組織温度を制限するために、安全プロファイルを備えるアルゴリズムが採用されてもよい。これらのアルゴリズムは、エネルギー送達を止めるか、またはエネルギー送達を変調し得る。加えて、能動冷却要素115等の熱保護が採用される治療では、監視した領域に基づいて保護冷却を変調することができる。
【0117】
エネルギーの送達における温度測定値を考慮することによって、必要な治療効果を達成する一方で、治療の不必要な合併症を回避するように治療を投与することができる。例えば、標的組織105へのエネルギー送達は、所望の閾値温度が標的組織に対して到達されるまで着実に増加させる(すなわち、一定の比率で増加させる)ことができ、閾値温度は、治療効果を生じさせるために必要な温度である。電力増加、またはエネルギーの送達を完全に中止することによって、いったん閾値温度に到達すると、付加的および過剰な加熱に起因する、非標的組織103、104への危害を回避することができる。いくつかの実施形態では、例えば、皮膚の表面における、表在性非標的組織103の温度を判定し、標的組織温度のその温度測定値から推定することによって、標的組織の温度を間接的および非侵襲的に監視することができる。特定の患者の皮膚の厚さについて、調整を行うことができる。いくつかの実施形態では、表在性非標的組織103の温度を約45℃未満に維持することが望ましい。
【0118】
温度は、熱電対およびサーミスタを含む、任意の数のセンサを使用して測定することができ、そのようなセンサは、エネルギー送達要素154、エネルギー送達装置、および/またはエネルギー送達システムに組み込むことができる。例えば、熱電対は、エネルギー付与装置に埋め込むこと、エネルギー送達装置の一部としてアンテナに隣接して配置すること、または熱電対が発生器に直接配線されるように装置から離して位置することができる。測定される温度は、装置に直接隣接する組織、標的組織、または有用な温度測定値を提供する場合がある任意の他の組織の温度となり得る。エネルギー送達要素が組織と熱的に連通している(例えば、伝導を介して)場合、エネルギー送達要素に組み込まれるセンサは、要素自体の温度を測定してもよい。
【0119】
インピーダンスは、電気刺激への組織の反応を観察することによって、測定することができる。この測定は、組織への、および組織を通したエネルギー送達の程度を評価するのに役立つことができるため、有用である。例えば、高インピーダンスを有する組織に方向付けられるエネルギーは、組織のより深部領域に浸透するのが困難な場合がある。このことは、皮膚のインピーダンスが治療経過にわたって変化し得るため、皮膚組織の場合に特に重要である。組織は、加熱されるにつれて水分を失い、その伝導度は低下し、インピーダンスは増加する。乾燥するまで組織が加熱された場合、組織の抵抗性は、電気伝導を介した周辺組織へのエネルギー送達を損なう場合がある。エネルギー送達システムでインピーダンス測定フィードバックを採用することにより、標的組織105へのエネルギーの送達を最適化する一方で、標的組織105および非標的組織103、104の両方への悪影響を回避することができる。
【0120】
(段階的治療)
本明細書で開示される治療の多くでは、段階的に治療を行うことが望ましくてもよい。加えて、標的組織部105が初期段階で治療される一方で、他の部分は以降の段階で治療されるように、治療をパターン化することができる。例えば、図17に図示されるように、患者は、第1段階で治療される「A」と印付けられた領域と、第2段階で治療される「B」と印付けられた領域とを有し得る。加えて、治療は、少なくとも3、4、5、6、またはそれ以上の段階等のさらなる段階、および付加的な領域に分化され得る。選択的に、各領域が治療を複数回受容するように、治療は、複数の段階で同じ領域に投与され得る。一実施形態では、以降の段階で、特定の領域への治療は、エネルギーの増加または減少した量、または異なる治療の種類等とともに、変動してもよい。
【0121】
このアプローチには、多数の潜在的有益性がある。第1に、段階的治療は、治療と治療との間に治癒する機会を身体に与える。これは、数回のセッションにわたって組織の不連続領域を治療または熱損傷するステップは、1回のセッションで組織の比較的より大きい領域を治療または熱損傷するステップと比較して、より少なく、あまり重度ではない合併症を有する場合があるため、特に重要である。第2に、小さい治療領域を有する、パターン化した治療は、より有利な治癒反応を誘出する場合がある。治癒時間は、線維芽細胞が周辺組織から移動しなければならない距離に関係するため、より小さい治療領域は、より大きい治療領域よりもはるかに速く治癒する場合がある。図18A−Eは、種々のパターン化した治療の例を図示する。
【0122】
医療施術者にとって、段階的でパターン化した治療は、治療の有効性を追跡し、患者の具体的必要性に合わせた追跡治療を提供する機会を提供してもよい。例えば、腋窩部の多汗症の治療の場合、臨床医は、(1)治療の残りの領域を識別し、(2)腋の下の領域における発汗の全体的低減を判定するように、発汗がマッピングされる(例えば、ヨード染色)、追跡セッションを有ることができる。必ずしも100%の無汗症を所望するわけではない患者にとっては、段階的治療は、特定の時点で治療を中断することを可能にしてもよい。例えば、腋窩部の多汗症の重症例に罹患している患者は、発汗の少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上の低減で満足する場合があり、そのような低減のために必要な治療数に参加することしか望まない場合がある。
【0123】
加えて、段階的でパターン化した治療は、治癒過程中の身体の拘縮の反応を最小限化することができる。線維化(または瘢痕化)と呼ばれる過程では、線維芽細胞がコラーゲンの網目を横たえて組織の治癒を促進する。瘢痕の密度が増加するにつれて、治療した領域が拘縮し、それにより、その領域内の皮膚を引き締める。腋窩部の多汗症の治療の場合、拘縮は、患者の全可動域を潜在的に損ない得る。治療は、拘縮および/または患者に対するその影響を最小限化するように、パターン化し、段階分けすることができる。例えば、図18Cに描写される、細い治療領域は、最小限の腋窩部拘縮および腕の可動域に対する結果として生じる機能障害をもたらす。
【0124】
段階的および/またはパターン化した治療の適用を促進するために、テンプレートを使用することができる。図19は、3つのテンプレート158、159、160を備える段階的治療の一連を図示し、各テンプレートは、全体的な治療領域の異なる部分への治療を可能にするように構成される。テンプレート158、159、160は、エネルギー送達装置または1つ以上のエネルギー送達要素(図示せず)に係合して、段階的および/またはパターン化した治療の適用を促進するように構成されてもよい。テンプレート158、159、160は、所望のパターンおよび/または段階を反射するように、可撤性または調整可能部品を伴う、例えば、木材、プラスチック、または金属等の適切な材料でできている、単一フレームから成ることができる。代替として、テンプレート158、159、160はまた、複数の段階的治療の経過にわたって残留する、一時的マーカ、タトゥ、または染料(例えば、ヘナ)を使用して、患者の皮膚上に描かれる、1つ以上のパターンのものであってもよい。
【0125】
(システムの実施形態)
いくつかの実施形態では、非侵襲に、汗腺および周辺組織に熱的に影響を及ぼすようにマイクロ波エネルギーを使用するためのシステムおよび方法を開示する。そのようなシステムおよび方法は、例えば、過剰発汗または多汗症を治療するのに有用であってもよい。システムは、マイクロ波発生器と、マイクロ波付与装置と、冷却構成要素と、組織取得構成要素とを含む。
【0126】
マイクロ波付与装置は、患者の皮膚に対して、または隣接して設置され、患者の皮膚の指定深度における標的層に、具体的には、汗腺が存在する真皮および下皮の領域にエネルギーを送達するように構成される、1つ以上のマイクロ波アンテナを含む。ある実施形態では、患者の皮膚の標的領域にマイクロ波エネルギーを局限するように、付与装置の周囲に遮蔽が提供される。
【0127】
冷却構成要素は、患者の皮膚に接触し、標的層の上側の層、例えば、表皮を保護するように冷却するように構成される、(セラミック製等の)セラミック冷却板を含む。冷却構成要素はまた、冷却流体を受容するように構成される冷却板に隣接する、冷却剤流動回路チャンバも含む。冷却構成要素はまた、流体を冷却または加熱する温度調節構成要素と、流体を循環させるポンプとを含む。
【0128】
組織取得構成要素は、治療される皮膚を上昇させ、受容するための吸引チャンバと、真空ポンプと連通している1つ以上の吸引ポートと、皮膚の温度を測定するための熱電対ワイヤとを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、汗の産生を低減する方法は、治療される皮膚の領域を識別するステップと、吸引チャンバ内で皮膚を取得するように真空ポンプを起動するステップと、冷却要素を介して皮膚の第1層を冷却するステップと、皮膚の第1層が保護するように冷却されている間に、汗腺を含有する皮膚の第2層にマイクロ波エネルギー送達するステップであって、第2層は、皮膚表面に対して第1層よりも深い、ステップと、皮膚を解放するように真空ポンプを動作停止させるステップとを伴う。
【0130】
図20は、本願の一実施形態による、種々の皮膚特徴を治療するためのマイクロ波付与装置システム161を概略的に図示する。システムは、同軸ケーブル(図示せず)に動作可能に接続される導波管アンテナ145を含み、順に、同軸ケーブルは、マイクロ波発生器113(図示せず)に接続される。
【0131】
マイクロ波発生器113は、好ましくは、発生器ヘッドと、電力供給部と、アイソレータとを含む。発生器113は、約915MHzから15GHzの間、より好ましくは、約2.45GHzから5.8GHz等の約2.4GHzから9.2GHzの間の周波数を有し、いくつかの実施形態では、約300W、200W、100W、75W、またはそれ以下の出力電力最大値を有するように構成されてもよい。開示した実施形態とともに使用するために適合されてもよい、種々の医療用マイクロ波発生器は、例えば、Microsulis Medical Ltd.によるもの(9.2GHz MEA Treatment System)(Denmaed,Hants,UK)、AFx,Inc.,Fremont,CAによるFlex2またはFlex4 2.45GHz MWアブレーションシステム、Urologix,Minneapolis,MN)によるTargis and Prostatron 915 MHz System、およびBSD Medical,Salt Lake City,UTによるBSD−500温熱療法システムを含む。
【0132】
アンテナ145は、好ましくは、約915MHzから15GHzの間、より好ましくは、約2.45GHzから5.8GHz等の約2.4GHzから9.2GHzの間の周波数を有する。
【0133】
導波管アンテナ145は、好ましくは、導波管の所望の動作周波数および電場構成に構成される、断面サイズを有する。概して、最低次横方向電場(TE)モードが利用される(例えば、TE10)が、横方向磁場(TM)、横方向電磁場(TEM)、エバネセント、またはハイブリッドモード等の他のモードが可能である。例えば、幅および高さ(長方形)または直径(円形)導波管形状は、導波管145の動作周波数および電場構成と相関する。
【0134】
導波管145の長さは、好ましくは、導波管145の物理的長さが、所望の動作周波数における誘導波長の半波長倍数である電気的長さに対応するように、調整される。
【0135】
導波管145は、所望の臨床目的、および治療される特定の解剖学的領域の形状に応じて、任意の断面形状を有することができる。いくつかの実施形態では、導波管145は、長方形、円形、楕円形、または六角形の断面形状を有する。
【0136】
いくつかの実施形態では、約1mmから7mmの挿入深度で、導波管145の(内側)後壁から約1mmから10mmの間に、同軸供給(図示せず)を設置することができる。設置は、最も好ましくは、同軸供給から導波管145への電力の効率的な伝達のために最適化される。
【0137】
標的組織の領域で所望のエネルギー密度を有するために、アンテナ145が表皮102の0.5−5mm(例えば、約1.75mm等の、約1.5−2mmの間)以内にあることが好ましい。この距離は、本明細書では、スロットアンテナ構成の代替実施形態を示す、図22Aに示されるような、アンテナスタンドオフ高さ162と呼ばれてもよい。スタンドオフ高さ162の変動は、マイクロ波放射の広がりに影響を及ぼす。非常に大きなスタンドオフ高さ162により、より大きい体積にわたる低減したエネルギー密度が達成される。逆に、スタンドオフ高さ162が少ししかないか、または全くないと、エネルギー密度は、概して、より小さい体積にわたってはるかに高い。大きいスタンドオフ高さ162で治療エネルギー密度レベルを達成するために、有意に増加した入力電力レベルが必要である。スタンドオフ162によって強く影響される、組織中の深度におけるマイクロ波エネルギーの吸収パターンは、標的と非標的(深部)組織との間の相対安全限界に直接影響を及ぼす。最終的に、スタンドオフ高さ162は、導波管145に対する荷重条件の大きな変動を引き起こし、アンテナによって観察される反射電力レベルがスタンドオフの変化とともに変化する。
【0138】
導波管145の遠位端は、好ましくは、治療される皮膚119に直接接触する、冷却板166に少なくとも部分的に重ね合わせられる、冷却流体回路163を含む、冷却システムに動作可能に接続することができる。下層脂肪164および筋肉層165もまた、概略的に示されている。一実施形態では、長方形を伴って、冷却板は、長方形の形状および15mm×25mmの寸法を有する。流動チャンバの厚さは、好ましくは、約3mm未満、2mm、1.5mm、1mm、0.75mm、または0.5mmである。
【0139】
また、前述のように、真空源に動作可能に接続される、1つ以上の真空ポートも、図20に図示されている。付与装置、冷却構成要素、および真空ポートは、好ましくは、示されるように、全て内蔵型筐体168の中へ接続される。
【0140】
図21は、図20の導波管付与装置システム161の下面を概略的に図示する。示されているのは、冷却板166(示されるように長方形)を覆って続く冷却流体回路に遠位に動作可能に接続される、導波管145、およびそれぞれ冷却板166の側方にある2つの真空ポート167である。全ての要素は、好ましくは、治療される特定の領域への効率的なエネルギー送達、冷却、および吸引を促進するように、筐体168に含有される。
【0141】
図21Aは、本願の一実施形態による、導波管アンテナシステム用のハンドル169を含む、マイクロ波付与装置161の側面斜視図を図示する。図21Bは、筐体168(例えば、吸引チャンバ)、真空ポート167、および冷却板166も図示する、図21Aの導波管付与装置ハンドル169の別の図を図示する。
【0142】
(単一スロットの実施形態)
いくつかの実施形態では、マイクロ波付与装置システム170は、スロットアンテナ138を含む。スロットアンテナ138は、図22に示されるように、近位部分143と、屈曲部分144と、スロット142と、遠位先端部分141とを含む。スロットアンテナ138内のスロット同軸ケーブル(図示せず)の直径は、好ましくは、いくつかの実施形態では、わずか約200ワット、150ワット、またはそれ以下であってもよい、所望のマイクロ波電力に対処するほどに十分に大きい。スロットアンテナ138の直径もまた、アンテナの放射特性の変化を導入するように変動させることができる。いくつかの実施形態では、スロット138の直径は、いくつかの実施形態では約0.085”から0.25”まで等、またはある実施形態では0.085”から0.141”まで等の約0.047”から0.500”までの間である。
【0143】
スロット142の幅は、いくつかの実施形態では約1.5mm等の、約1mmから2mmのまで間等の、いくつかの実施形態では約0.5mmから5mmまでの間となり得る。一般に、スロット142の幅は、動作周波数ならびに「共振の深度」(言い換えれば、最適な周波数における組織の中への連結の量)の両方に強い影響を及ぼす。スロット142は、好ましくは、円周である一方で、非円周スロット142もまた、本願の範囲内である。
【0144】
示されるように、スロット142の遠位の部分141である、遠位アンテナ先端部分141は、いくつかの実施形態では、約8mm等の、約1mm−10mmの間等の、約0.5mm−15mmの間の長さを有することができる。先端部分141の長さは、アンテナの動作周波数に影響を及ぼすことができる。例えば、より長い遠位先端部分141は、より低い周波数をもたらす。
【0145】
スロット142の幅および遠位アンテナ先端141部分の長さは、組織中の深度における相対電力集中(比吸収率)、ならびに所望の周波数におけるアンテナから組織の中への電力伝達の効率に影響を及ぼす、原始変数である。
【0146】
スロットアンテナ138は、いくつかの実施形態では、近位スロットアンテナ143とスロット142との間に屈曲部分144を含む。屈曲部分144は、少なくとも約15、30、45、60、75、90、105、120、135度、またはそれ以上等の、任意の適切な湾曲角度を有することができる。示されるように、屈曲部分144は、約90度の湾曲角度を有する。スロットアンテナ138の屈曲部分144は、いくつかの利点を有することができる。不平衡同軸ラインによって供給される、スロットアンテナ138は、電源に戻って向かって、ケーブルの外部導体の上方へ近位に進行する、逆放射場を引き起こす、逆流を有する。屈曲144は、逆放射場によって引き起こされる第1の定在波の前の点で、ケーブルに導入される。このことは、ケーブルの外側遮蔽が組織に近接近している、ケーブルに沿った場所で発生し得る、不要な組織アブレーション領域がないことを確実にする。屈曲144の場所はまた、アンテナから組織の中への電力伝達特性に影響を及ぼし、治療にわたってさらなる一貫性を確保する。
【0147】
前述のようなアンテナスタンドオフ高さ162に関して、標的組織の領域で所望のエネルギー密度を得るために、アンテナが皮膚の0.5−5mm(例えば、約1.75mm等の、約1.5−2mmの間)以内にあることが好ましい。
【0148】
図22Aは、送達されるエネルギーおよび治療される皮膚表面積に応じて調整することができる、一実施形態による単一スロットアンテナ138の種々の寸法パラメータを図示する。示されているのは、アンテナスタンドオフ高さ162、アンテナ直径172、冷却チャンバ厚さ173、遮蔽/本体高さ174である。変数が単一スロットアンテナ構成とともに図示されているが、パラメータは、他のアンテナの実施形態についても調整できることが理解されるであろう。
【0149】
図22Aの概略図に示されるように、スロットアンテナシステム170は(導波管アンテナシステムとは対照的に)、いくつかの実施形態では、スロットアンテナ138のエネルギー送達の全方向性により、マイクロ波遮蔽要素139を含む。遮蔽要素139は、(1)遮蔽が効率を増加させ、したがって、全体的な電力を増加させてもよい、(2)電場の各部が漂遊することを防止することによって、遮蔽が複数の治療にわたってさらなる一貫性および信頼性を可能にしてもよい、(3)遮蔽が外部導体の下方へ近位に進行する電流を断ち、それにより、逆放射場を排除してもよい、(4)遮蔽が、アンテナの本質的な全方向性の放射特性を除去し、標的組織に向かって戻るようにエネルギーを方向付けし直してもよい、(5)組織中の最適な電力集中特性を達成し、ならびに効率的な電力伝達を可能にするために、遮蔽の形状が付加的なツールとして使用されてもよい、といった理由のうちの1つ以上により、有利となり得る。
【0150】
遮蔽139は、いくつかの実施形態では、固体または網目であってもよく、吸収性および/または反射性遮蔽性質を有してもよい。例えば、吸収性遮蔽が所望される場合は、黒鉛を使用することができる。金属遮蔽は、吸収性ではない、略反射性である。反射性網目遮蔽が使用される場合、使用される細孔のサイズは、概して波長に関係する(すなわち、より大きい波長がより大きい開口部を可能にする)。網目遮蔽は、組織取得の可視化、したがって、操作者による組織係合の確認を有利に可能にする。
【0151】
遮蔽139は、好ましくは、スロットアンテナ138から離れて最適な距離を置いて位置する。遮蔽139がスロットアンテナ138に近すぎると、アンテナ場が遮蔽139の一部(通常は縁)に連結する場合があり、連結した部分が不要な場所において放射し始め、「ホットスポット」効果として知られているものを生成する。したがって、いくつかの実施形態では、外側遮蔽139は、ホットスポット効果を十分に制限するか、または理想的には排除するよう、アンテナ138から離れて、少なくとも約5mm、7mm、10mm、またはそれ以上等の距離を置いて保たれる。加えて、なんらかの連結が遮蔽体縁において存在する場合、遮蔽は、皮膚と直接接触しないように持ち上げられてもよく、したがって、この場所における組織吸収を低減または除去する。遮蔽の近位後壁は、好ましくは放射場の逆放射を防止し、標的波長に向かって放射場をさらに集中させるよう、同軸ケーブルから適切な距離を置いて保たれる。遮蔽は、皮膚を保護するように、皮膚表面に隣接し、かつ平行に延在してもよい。アンテナから少なくともある距離を置いて、横方向に離間した遮蔽を有することが有利であってもよいため、所定の幅の治療窓を生成するために、皮膚表面の各部分を遮蔽することが望ましくてもよい。遮蔽要素の形状は、治療領域の形状および所望の臨床結果に応じて決定することができる。遮蔽要素形状のいくつかの例は、例えば、円筒形、半球形、および長方形である。
【0152】
冷却流体(図示せず)および板115等の冷却構成要素、ならびに組織取得構成要素およびそれらの各パラメータは、前述のとおりであってもよい。制御システムもまた、前述のとおりであってもよいが、動作パラメータは、導波管の実施形態と同様の結果を達成するために、必要以上の実験なしで変動させることができる。
【0153】
図23は、図22のスロット付与装置システム170の下面を概略的に図示する。示されているのは、冷却板115を覆って続く冷却流体回路に遠位に動作可能に接続される、スロットアンテナ138、およびそれぞれ冷却板115の側方にある2つの真空ポート167である。遮蔽139は、好ましくは、筐体171の少なくとも一部を包囲して、所望の治療領域外の不要なエネルギー送達を防止する。
【0154】
(双子スロット)
いくつかの実施形態では、マイクロ波付与装置システム175は、上記の図24に概略的に図示されるように、複数のスロットアンテナ176を含む。そのような構成では、2つ以上の同軸スロットアンテナ176は、位相配列として動作する。アンテナ176の間隔、アンテナ176との組織挟持部177の整合、および2つのアンテナ176への入力の間の位相関係は、所望の臨床結果に応じて当業者によって改変することができる、付加的な変数であってもよい。
【0155】
各アンテナ176によって生成される電場の間の相互作用は、互いに対するアンテナ176の間隔に応じて変動してもよい。アンテナ176をともに接近しすぎて離間しないように、注意しなければならず、それは、マイクロ波発生器(図示せず)の中へ戻る、一方のアンテナから他方のアンテナの中への大きな電力結合につながり得る。アンテナ176は、「挟持部の側面」構成で冷却流体から0mmから10mmまで離間することができ、「挟持部の上側」構成で互いから約8mmから30mmまで離れた距離を置いて離間することができる。
【0156】
アンテナ176との組織挟持取得との相対整列もまた、所望の臨床結果に応じて改変することができる。2つの構成が組織中の有利な電力集中パターンにつながると示されており、示されるように、「挟持部」177の両側におけるの双アンテナ176の整列、または他の実施形態では、「挟持部」177の上側における双アンテナ176の整列のいずれかである。両方の場合において、アンテナ挟持部177整列は、高電場の領域を治療部位で集中させる一方で、非標的組織で電場を低減することができるように、調整することができる。
【0157】
アンテナ176は、位相動作のために構成することができる。アンテナ176を同相で駆動すると、集中的な電場パターンをもたらし、2つのアンテナ176の間の建設的干渉が標的領域で発生し、相殺的干渉が非標的領域で発生する。そのような集中は、組織挟持部177構成の形状と組み合わせて、前述のような単一アンテナシステムよりも低い周波数の駆動信号が利用される、より高い可能性につながる。
【0158】
いくつかの実施形態では、同相動作に加えて、所望の臨床結果に応じて、アンテナ176の入力信号の間の位相差を導入することによって、2つのアンテナ176の間のピーク電場領域の相対空間位置を変動させることができる。このことは、「ビーム操縦」として知られている過程によって、優れた正確性で治療領域が異なる場所に方向付けられることを可能にする。例えば、治療領域は、正確に2つのアンテナ176の間にある領域から(同相動作による)、各アンテナに最も近接している組織領域中の二重治療領域を有する分岐治療領域(逆位相動作による)へ向け直すことができる。図24Aは、同相駆動動作による2つのアンテナのシミュレーションを図示する。
【0159】
図24Bは、逆位相駆動における2つのアンテナのシミュレーションを図示する(第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で103度の位相シフト)。
【0160】
図24Cは、第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で170度の位相シフトを伴う、2つのアンテナのシミュレーションを図示する。
【0161】
図24Dは、第1アンテナおよび第2アンテナの駆動信号の間で155度の位相シフトを伴う、2つのアンテナのシミュレーションを図示する。
【0162】
二重スロットの実施形態では、遮蔽1208は、好ましくは、治療領域の外側のエネルギー分布を最小限化するように存在し、前述のとおりとなり得る。
【0163】
多重スロットアンテナシステム175の冷却構成要素およびパラメータは、導波管の実施形態に関して説明されるパラメータと同様となり得るが、いくつかの形状変化がある。二重スロットアンテナ構成175が示されている、1つの例示的実施形態では、冷却チャンバは、5つの異なる冷却面(178a、178b、178c、178d、178e)または表面を有し、1つの表面178cが組織挟持部177(冷却板表面の約9mm×27mmである)の最上部にあり、2つの表面178b、178dが略垂直に延在する挟持部の側面にあり(それぞれ冷却板表面の約10mm×27mmである)、2つの外側面178a、178eが略水平に延在する挟持部177の底部にある(それぞれ冷却板表面の約10mm×27mmである)。いくつかの実施形態では、冷却チャンバは、選択的に、セラミック冷却板178a−eを接続するために使用される、薄いポリアミドシートを含む。
【0164】
組織取得構成要素(図示せず)、例えば、吸引構成要素は、以下の付加的な考慮事項を伴って、前述のものと同様であってもよい。皮膚を挟持することによって、真皮および下皮層は、本質的に、筋肉層から分離されてもよい。このことは、装置が真皮に非常に制御された量のエネルギーを送達することを可能にする一方で、筋肉層を保護する。真空ポンプは、いくつかの実施形態では、約650mmHg等の、約400−700mmHgの吸引圧力を有してもよい。吸引チャンバは、任意の所望の形状を有してもよい。例えば、一実施形態では、吸引チャンバは、高さ約10mm×長さ約40mmで9mmの厚さの中心長方形部分を有してもよい。吸引チャンバ筐体の材料は、好ましくは、皮膚係合の視覚的確認を可能にするように、透明または半透明である。
【0165】
制御システムもまた、前述のとおりであってもよいが、動作パラメータは、導波管の実施形態と同様の結果を達成するために、必要以上の実験なしで変動させることができる。
【0166】
上記の図25は、図24の二重スロット付与装置システム175の下面を概略的に図示する。示されているのは、冷却板178を覆って続く冷却流体回路に遠位に動作可能に接続される、スロットアンテナ176、およびそれぞれ冷却板178の側方にある2つの真空ポート182である。遮蔽181は、好ましくは、所望の治療領域外の不要なエネルギー送達を防止するように、筐体179の少なくとも一部の周囲に存在する。
【0167】
以下の図26は、データ収集用のコンピュータ183と、マイクロ波信号発生器および増幅器184と、組織取得用の真空ポンプ185と、温度制御ユニット(いくつかの実施形態では冷蔵器であってもよい)と、循環ポンプ188とを含む、マイクロ波治療システムの一例を図示する。
【0168】
以下の図27Aは、真皮/下皮接合部における正常なブタアポクリン汗腺186(丸で囲まれている)の組織学的断面である。
【0169】
図27Bは、治療後炎症反応に関係する腺崩壊および白血球浸潤を図示する、マイクロ波療法1週間の状態のブタ汗腺187(丸で囲まれている)の組織学的断面である。この組織学は、マイクロ波印加の選択的性質を実証する。この種類の結果は、アンテナ設計およびエネルギー/冷却アルゴリズムのいくつかの異なる慎重に選択された組み合わせにより、達成することができる。1つのそのような組み合わせは、3秒のエネルギー印加による、55−60Wで使用される5.8GHz導波管アンテナ、およびエネルギー印加の間または20秒後の両方に対する22℃の冷却である。この組み合わせは、動物およびヒトの両方について肯定的な結果を提供すると示されている。
【0170】
(ある方法、システム、および他の実施形態の概説)
一実施形態では、本願は、皮膚組織を覆ってマイクロ波エネルギー送達付与装置を配置するステップと、マイクロ波エネルギー送達付与装置に近接して皮膚組織を固定するステップと、皮膚組織の表面を冷却するステップと、皮膚組織内の標的組織において熱的効果を生成するのに十分なエネルギーを、マイクロ波エネルギー送達付与装置を介して皮膚組織に送達するステップとを含む、患者の皮膚組織を治療するための方法を提供する。
【0171】
いくつかの実施形態では、皮膚組織を覆ってマイクロ波エネルギー送達付与装置を配置するステップはさらに、皮膚組織を覆って、単一スロット、多重スロット、導波管、ホーン、プリントスロット、らせん、パッチ、ビバルディ、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、マイクロ波アンテナを配置するステップを含んでもよい。
【0172】
いくつかの実施形態では、マイクロ波エネルギー送達付与装置に近接して皮膚組織を固定するステップはさらに、皮膚組織に吸引を印加するステップを含んでもよい。一実施形態では、皮膚組織に吸引を印加するステップはさらに、エネルギー送達付与装置に隣接する吸引チャンバ内で皮膚組織を少なくとも部分的に取得するステップを含んでもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、皮膚組織を固定するステップはさらに、皮膚組織を上昇させるステップを含んでもよい。
【0174】
いくつかの実施形態では、皮膚組織の表面を冷却するステップはさらに、冷却要素を前記皮膚表面と接触して配置するステップを含んでもよい。
【0175】
いくつかの実施形態では、皮膚組織の表面を冷却するステップはさらに、皮膚表面を伝導的に冷却するステップを含んでもよい。
【0176】
いくつかの実施形態では、皮膚組織の表面を冷却するステップはさらに、皮膚表面を対流によって冷却するステップを含んでもよい。
【0177】
いくつかの実施形態では、皮膚組織の表面を冷却するステップはさらに、皮膚表面を伝導的に、かつ対流によって冷却するステップを含んでもよい。
【0178】
いくつかの実施形態では、皮膚組織内の標的組織は、コラーゲン、毛嚢、セルライト、エクリン汗腺、アポクリン汗腺、皮脂腺、クモ状静脈、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。
【0179】
いくつかの実施形態では、皮膚組織内の標的組織は、皮膚組織の真皮層と皮下層との間の接合部を備えてもよい。
【0180】
いくつかの実施形態では、標的組織における熱的効果は、少なくとも1つの汗腺の熱変質を備えてもよい。
【0181】
いくつかの実施形態では、標的組織における熱的効果は、少なくとも1つの汗腺のアブレーションを備えてもよい。
【0182】
一実施形態では、方法はさらに、皮膚組織の診断パラメータを監視するステップを含んでもよい。診断パラメータは、インピーダンス、温度、および反射電力から成る群より選択されてもよい。
【0183】
一実施形態では、方法はさらに、患者に、麻酔薬、ステロイド、および抗生物質から成る群より選択される薬剤を投与するステップを含んでもよい。患者に薬剤を投与するステップはさらに、経口で、局所的に、または注射を介して、薬剤を投与するステップを含んでもよい。
【0184】
一実施形態では、本願は、マイクロ波エネルギー発生器と、患者の皮膚組織に近接した設置のために構成される、マイクロ波アンテナと、患者の皮膚組織と接触した設置のために構成される、冷却要素と、皮膚組織を上昇させ、皮膚組織を冷却要素と接触して設置するために構成される、吸引要素とを備える、患者の皮膚組織を治療するステップに関係するシステムを提供し、マイクロ波アンテナは、マイクロ波エネルギー発生器に動作可能に連結され、マイクロ波アンテナは、皮膚組織内の標的組織において熱的効果を生成するのに十分なエネルギーを皮膚組織に送達するように構成される。
【0185】
いくつかの実施形態では、マイクロ波アンテナは、単一スロット、多重スロット、導波管、ホーン、プリントスロット、パッチ、ビバルディ、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、マイクロ波アンテナは、導波管アンテナであってもよい。一実施形態では、導波管アンテナは、導波管アンテナの配列を備えてもよい。
【0187】
いくつかの実施形態では、マイクロ波アンテナは、単一スロットアンテナであってもよい。
【0188】
いくつかの実施形態では、マイクロ波アンテナは、二重スロットアンテナであってもよい。
【0189】
いくつかの実施形態では、マイクロ波エネルギー発生器は、約2.45GHzの周波数でマイクロ波エネルギーを送達するように構成されてもよい。
【0190】
いくつかの実施形態では、マイクロ波エネルギー発生器は、約5.8GHzの周波数でマイクロ波エネルギーを送達するように構成されてもよい。
【0191】
いくつかの実施形態では、冷却要素は、固体冷却剤、液体スプレー、ガス状スプレー、冷却板、熱電冷却器、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。
【0192】
いくつかの実施形態では、冷却要素は、熱伝導板を備えてもよい。熱伝導板は、マイクロ波エネルギーを実質的に通してもよい。一実施形態では、冷却要素はさらに、熱伝導板に隣接する流動チャンバを備えてもよく、流動チャンバは、液体冷却剤を保持するように構成される。一実施形態では、液体冷却剤は、流動チャンバを通って流れるように構成され、それにより、熱伝導板を冷却してもよい。液体冷却剤は、水、脱イオン水、アルコール、油、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されてもよい。一実施形態では、液体冷却剤は、脱イオン水を備えてもよい。一実施形態では、液体冷却剤は、脱イオン水およびアルコールを備えてもよい。
【0193】
いくつかの実施形態では、熱伝導板は、セラミックを備えてもよい。
【0194】
いくつかの実施形態では、吸引要素は、皮膚組織の少なくとも一部分を取得するように構成される吸引チャンバを備えてもよい。吸引要素は、真空源に動作可能に連結されてもよい。一実施形態では、吸引チャンバはさらに、少なくとも1つの先細壁を伴って構成されてもよい。
【0195】
一実施形態では、システムはさらに、温度センサを備えてもよい。温度センサは、皮膚組織の温度を監視するために構成される熱電対を備えてもよい。
【0196】
一実施形態では、本願は、マイクロ波アンテナに隣接する熱伝導板と、吸引チャンバとを備える、患者の皮膚組織を非侵襲的に治療するためのマイクロ波エネルギー送達装置を提供し、熱伝導板は、皮膚組織に接触し、皮膚組織を冷却し、マイクロ波アンテナから皮膚組織を物理的に分離するように構成され、吸引チャンバは、皮膚組織を少なくとも部分的に取得し、皮膚組織を冷却板と接触させるように構成される。
【0197】
一実施形態では、マイクロ波エネルギー送達装置はさらに、過剰エネルギー場を含有するために構成される遮蔽体を備えてもよい。一実施形態では、遮蔽体は、反射材料から成ってもよい。一実施形態では、遮蔽体は、エネルギー吸収材料から成ってもよい。
【0198】
一実施形態では、本願は、皮膚組織にマイクロ波エネルギーを送達するステップと、皮膚組織に冷却要素を適用するステップとを含む、患者の皮膚組織に皮下病変を生成する方法を提供し、マイクロ波エネルギーは、ある電力、周波数、および継続時間で送達され、冷却要素は、皮膚組織の真皮層と皮下層との間の接合部において病変を生成するのに十分な温度および継続時間で適用される一方で、皮膚組織の表皮および真皮層における非標的組織の熱変質を最小限化する。
【0199】
一実施形態では、本願は、治療される皮膚の領域を識別するステップと、吸引チャンバ内で皮膚を取得するように真空ポンプを起動するステップと、冷却要素を介して皮膚の第1層を冷却するステップと、皮膚の第1層が保護するように冷却されている間に、汗腺を熱的に改変するのに十分なマイクロ波エネルギーを、汗腺を含有する皮膚の第2層に送達するステップであって、第2層は、皮膚表面に対して第1層よりも深い、ステップと、皮膚を解放するように真空ポンプを動作停止させるステップとを含む、患者の汗の産生を低減する方法を提供する。
【0200】
文脈が他に明確に要求しない限り、説明および請求項の全体を通して、「備える」、「−を備える」、および同等物といった用語は、排他的または包括的な意味とは対照的に、内含的な意味で、つまり、「−を含むが、それに限定されない」という意味で解釈されるものである。単数または複数を使用する言葉もまた、複数または単数をそれぞれ含む。請求項が2つ以上の項目の一覧を参照して「または」という言葉を使用する時、その言葉は、一覧中の項目のいずれか、一覧中の全項目、および一覧中の項目の任意の組み合わせといった、言葉の解釈の全てを網羅する。
【0201】
本発明の実施形態の上記の詳細な説明は、包括的となること、または本発明を上記で開示される正確な形態に限定することを目的としない。本発明の具体的実施形態および例が例証目的で上記に説明されているが、当業者であれば認識するように、種々の同等な修正が本発明の範囲内で可能である。例えば、ステップが所与の順番で提示されているが、代替実施形態は、異なる順番でステップを行ってもよい。本明細書で説明される種々の実施形態はまた、さらなる実施形態を提供するように組み合わせられてもよい。
【0202】
他の形態の電磁放射を含む関連方法、装置、およびシステムを利用する、マイクロ波および他の治療法、およびそのような治療法とともに行われてもよい治療についてのさらなる詳細は、本願が優先権を請求する、2007年4月19日出願の「Methods and Apparatus for Reducing Sweat Production」と題された米国仮特許出願第60/912,889号、2007年12月12日出願の「Methods, Delivery and Systems for Non− Invasive Delivery of Microwave Therapy」と題された米国仮特許出願第61/013,274号、2008年4月17日出願の「Systems and Methods for Creating an Effect Using Microwave Energy in Specified Tissue」と題された米国仮特許出願第61/045,937号といった、上記で参照した仮出願で説明されており、それぞれの全体は、参照することにより本願に組み込まれる。上記で記載した出願は、本願で前述のように、特定の主題について参照することにより組み込まれていてもよいが、出願者らは、これらの参照することによって組み込まれる出願の開示のいずれかまたは全てが、本願で説明される実施形態と組み合わせられ、組み込まれてもよいという点で、上記で識別された出願の開示全体が参照することにより本願に組み込まれることを意図する。本明細書で説明されるシステム、装置、および方法とともに利用されてもよい、実施形態の具体的な非限定例は、例えば、その全体で参照することにより以前に組み込まれている、出願第61/045,937号の図2−25およびページ9−18および56−69に見られる。
【0203】
一般に、以下の請求項で使用される用語は、上記の詳細な説明がそのような用語を明示的に定義しない限り、本発明を本明細書で開示される具体的実施形態に限定すると解釈されるべきではない。本発明のある側面は、ある請求形態で以下に提示されているが、本発明者らは、任意の数の請求形態で本発明の種々の側面を検討する。したがって、本発明者らは、本発明の他の側面について付加的な請求項を追求するために、本願を出願した後にそのような付加的な請求項を追加する権利を留保する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚組織を治療するためのシステムであって、
マイクロ波エネルギー発生器と、
該患者の該皮膚組織に近接して設置するように構成されるマイクロ波アンテナと、
該患者の該皮膚組織と接触して設置するように構成される冷却要素と、
該皮膚組織を上昇させ、該皮膚組織を該冷却要素と接触して設置するように構成される吸引要素と
を備え、該マイクロ波アンテナは、該マイクロ波エネルギー発生器に動作可能に連結され、該マイクロ波アンテナは、該皮膚組織内の標的組織において熱的効果を生成するのに十分なエネルギーを該皮膚組織に送達するように構成される、システム。
【請求項2】
前記マイクロ波アンテナは、単一スロット、多重スロット、導波管、ホーン、プリントスロット、パッチ、ビバルディ、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マイクロ波アンテナは、導波管アンテナである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記導波管アンテナは、導波管アンテナの配列を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記マイクロ波アンテナは、単一スロットアンテナである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記マイクロ波アンテナは、二重スロットアンテナを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記マイクロ波エネルギー発生器は、約2.45GHzの周波数でマイクロ波エネルギーを送達するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記マイクロ波エネルギー発生器は、約5.8GHzの周波数でマイクロ波エネルギーを送達するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記冷却要素は、固体冷却剤、液体スプレー、ガス状スプレー、冷却板、熱電冷却器、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記冷却要素は、熱伝導板を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記熱伝導板は、マイクロ波エネルギーを実質的に通す、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記熱伝導板は、セラミックを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記冷却要素は、さらに、前記熱伝導板に隣接する流動チャンバを備え、該流動チャンバは、液体冷却剤を保持するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記液体冷却剤は、前記流動チャンバを通って流れるように構成され、それにより、前記熱伝導板を冷却する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記液体冷却剤は、水、脱イオン水、アルコール、油、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記液体冷却剤は、脱イオン水を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記液体冷却剤はさらに、アルコールを備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記吸引要素は、前記皮膚組織の少なくとも一部分を取得するように構成される吸引チャンバを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記吸引チャンバは、真空源に動作可能に連結される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記吸引チャンバはさらに、少なくとも1つの先細壁を伴って構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
温度センサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記温度センサは、前記皮膚組織の温度を監視するために構成される熱電対を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
患者の皮膚組織を非侵襲的に治療するためのマイクロ波エネルギー送達装置であって、
マイクロ波アンテナに隣接する熱伝導板と、
吸引チャンバと
を備え、該熱伝導板は、該皮膚組織に接触し、該皮膚組織を冷却し、該皮膚組織を該マイクロ波アンテナから物理的に分離するように構成され、該吸引チャンバは、該皮膚組織を少なくとも部分的に取得し、該皮膚組織を冷却板と接触させるように構成される、装置。
【請求項24】
過剰エネルギー場を含有するように構成される遮蔽体をさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記遮蔽体は、反射材料から成る、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記遮蔽体は、エネルギー吸収材料から成る、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
患者の皮膚組織の中に皮下病変を生成する方法であって、
該皮膚組織にマイクロ波エネルギーを送達することと、
該皮膚組織に冷却要素を適用することと
を含み、該マイクロ波エネルギーは、ある電力、ある周波数、およびある継続時間で送達され、該冷却要素は、該皮膚組織の真皮層と皮下層との間の接合部において病変を生成するのに十分な温度および継続時間で適用される一方で、該皮膚組織の該表皮および該真皮層における非標的組織の熱変質を最小化する、方法。
【請求項28】
患者の汗の産生を低減する方法であって、
治療される皮膚の領域を識別することと、
吸引チャンバ内に該皮膚を取得するように真空ポンプを起動することと、
冷却要素を介して該皮膚の第1層を冷却することと、
該皮膚の第1層が保護的に冷却されている間に、汗腺を熱的に改変するのに十分なマイクロ波エネルギーを、該汗腺を含有する皮膚の第2層に送達することであって、該第2層は、皮膚表面に対して該第1層よりも深い、ことと、
該皮膚を解放するために該真空ポンプを動作停止させることと
を含む、方法。
【請求項29】
患者の皮膚組織を治療する方法であって、
該皮膚組織の上にマイクロ波エネルギー送達付与装置を配置することと、
該マイクロ波エネルギー送達付与装置に近接して該皮膚組織を固定することと、
該皮膚組織の表面を冷却することと、
該皮膚組織内の標的組織において熱的効果を生成するのに十分なエネルギーを、該マイクロ波エネルギー送達付与装置を介して該皮膚組織に送達することと
を含む、方法。
【請求項30】
該皮膚組織の上にマイクロ波エネルギー送達付与装置を配置することは、さらに、該皮膚組織の上に単一スロット、多重スロット、導波管、ホーン、プリントスロット、らせん、パッチ、ビバルディ、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、マイクロ波アンテナを配置することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記マイクロ波エネルギー送達付与装置に近接して前記皮膚組織を固定することはさらに、該皮膚組織に吸引を適用することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記皮膚組織に吸引を適用することは、さらに、前記エネルギー送達付与装置に隣接する吸引チャンバの中に該皮膚組織を少なくとも部分的に取得することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記皮膚組織を固定することはさらに、該皮膚組織を上昇させることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記皮膚組織の前記表面を冷却することは、さらに、冷却要素を該皮膚表面と接触して配置することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記皮膚組織の前記表面を冷却することは、さらに、該皮膚表面を伝導的に冷却することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記皮膚組織の前記表面を冷却することは、さらに、該皮膚表面を対流的に冷却することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記皮膚組織の前記表面を冷却することは、さらに、該皮膚表面を伝導的に、かつ対流的に冷却することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記皮膚組織内の前記標的組織は、コラーゲン、毛嚢、セルライト、エクリン汗腺、アポクリン汗腺、皮脂腺、クモ状静脈、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記皮膚組織内の前記標的組織は、該皮膚組織の真皮層と皮下層との間に接合部を備える、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記標的組織における熱的効果は、少なくとも1つの汗腺の熱変質を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
前記標的組織における熱的効果は、少なくとも1つの汗腺のアブレーションを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記皮膚組織の診断パラメータを監視することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
前記診断パラメータは、インピーダンス、温度、および反射電力から成る群より選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記患者に、麻酔薬、ステロイド、および抗生物質から成る群より選択される薬剤を投与することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
前記患者に薬剤を投与することはさらに、経口で、局所的に、または注射を介して、該薬剤を投与することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項1】
患者の皮膚組織を治療するためのシステムであって、
マイクロ波エネルギー発生器と、
該患者の該皮膚組織に近接して設置するように構成されるマイクロ波アンテナと、
該患者の該皮膚組織と接触して設置するように構成される冷却要素と、
該皮膚組織を上昇させ、該皮膚組織を該冷却要素と接触して設置するように構成される吸引要素と
を備え、該マイクロ波アンテナは、該マイクロ波エネルギー発生器に動作可能に連結され、該マイクロ波アンテナは、該皮膚組織内の標的組織において熱的効果を生成するのに十分なエネルギーを該皮膚組織に送達するように構成される、システム。
【請求項2】
前記マイクロ波アンテナは、単一スロット、多重スロット、導波管、ホーン、プリントスロット、パッチ、ビバルディ、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マイクロ波アンテナは、導波管アンテナである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記導波管アンテナは、導波管アンテナの配列を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記マイクロ波アンテナは、単一スロットアンテナである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記マイクロ波アンテナは、二重スロットアンテナを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記マイクロ波エネルギー発生器は、約2.45GHzの周波数でマイクロ波エネルギーを送達するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記マイクロ波エネルギー発生器は、約5.8GHzの周波数でマイクロ波エネルギーを送達するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記冷却要素は、固体冷却剤、液体スプレー、ガス状スプレー、冷却板、熱電冷却器、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記冷却要素は、熱伝導板を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記熱伝導板は、マイクロ波エネルギーを実質的に通す、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記熱伝導板は、セラミックを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記冷却要素は、さらに、前記熱伝導板に隣接する流動チャンバを備え、該流動チャンバは、液体冷却剤を保持するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記液体冷却剤は、前記流動チャンバを通って流れるように構成され、それにより、前記熱伝導板を冷却する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記液体冷却剤は、水、脱イオン水、アルコール、油、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記液体冷却剤は、脱イオン水を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記液体冷却剤はさらに、アルコールを備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記吸引要素は、前記皮膚組織の少なくとも一部分を取得するように構成される吸引チャンバを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記吸引チャンバは、真空源に動作可能に連結される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記吸引チャンバはさらに、少なくとも1つの先細壁を伴って構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
温度センサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記温度センサは、前記皮膚組織の温度を監視するために構成される熱電対を備える、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
患者の皮膚組織を非侵襲的に治療するためのマイクロ波エネルギー送達装置であって、
マイクロ波アンテナに隣接する熱伝導板と、
吸引チャンバと
を備え、該熱伝導板は、該皮膚組織に接触し、該皮膚組織を冷却し、該皮膚組織を該マイクロ波アンテナから物理的に分離するように構成され、該吸引チャンバは、該皮膚組織を少なくとも部分的に取得し、該皮膚組織を冷却板と接触させるように構成される、装置。
【請求項24】
過剰エネルギー場を含有するように構成される遮蔽体をさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記遮蔽体は、反射材料から成る、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記遮蔽体は、エネルギー吸収材料から成る、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
患者の皮膚組織の中に皮下病変を生成する方法であって、
該皮膚組織にマイクロ波エネルギーを送達することと、
該皮膚組織に冷却要素を適用することと
を含み、該マイクロ波エネルギーは、ある電力、ある周波数、およびある継続時間で送達され、該冷却要素は、該皮膚組織の真皮層と皮下層との間の接合部において病変を生成するのに十分な温度および継続時間で適用される一方で、該皮膚組織の該表皮および該真皮層における非標的組織の熱変質を最小化する、方法。
【請求項28】
患者の汗の産生を低減する方法であって、
治療される皮膚の領域を識別することと、
吸引チャンバ内に該皮膚を取得するように真空ポンプを起動することと、
冷却要素を介して該皮膚の第1層を冷却することと、
該皮膚の第1層が保護的に冷却されている間に、汗腺を熱的に改変するのに十分なマイクロ波エネルギーを、該汗腺を含有する皮膚の第2層に送達することであって、該第2層は、皮膚表面に対して該第1層よりも深い、ことと、
該皮膚を解放するために該真空ポンプを動作停止させることと
を含む、方法。
【請求項29】
患者の皮膚組織を治療する方法であって、
該皮膚組織の上にマイクロ波エネルギー送達付与装置を配置することと、
該マイクロ波エネルギー送達付与装置に近接して該皮膚組織を固定することと、
該皮膚組織の表面を冷却することと、
該皮膚組織内の標的組織において熱的効果を生成するのに十分なエネルギーを、該マイクロ波エネルギー送達付与装置を介して該皮膚組織に送達することと
を含む、方法。
【請求項30】
該皮膚組織の上にマイクロ波エネルギー送達付与装置を配置することは、さらに、該皮膚組織の上に単一スロット、多重スロット、導波管、ホーン、プリントスロット、らせん、パッチ、ビバルディ、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、マイクロ波アンテナを配置することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記マイクロ波エネルギー送達付与装置に近接して前記皮膚組織を固定することはさらに、該皮膚組織に吸引を適用することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記皮膚組織に吸引を適用することは、さらに、前記エネルギー送達付与装置に隣接する吸引チャンバの中に該皮膚組織を少なくとも部分的に取得することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記皮膚組織を固定することはさらに、該皮膚組織を上昇させることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記皮膚組織の前記表面を冷却することは、さらに、冷却要素を該皮膚表面と接触して配置することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記皮膚組織の前記表面を冷却することは、さらに、該皮膚表面を伝導的に冷却することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記皮膚組織の前記表面を冷却することは、さらに、該皮膚表面を対流的に冷却することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記皮膚組織の前記表面を冷却することは、さらに、該皮膚表面を伝導的に、かつ対流的に冷却することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記皮膚組織内の前記標的組織は、コラーゲン、毛嚢、セルライト、エクリン汗腺、アポクリン汗腺、皮脂腺、クモ状静脈、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記皮膚組織内の前記標的組織は、該皮膚組織の真皮層と皮下層との間に接合部を備える、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記標的組織における熱的効果は、少なくとも1つの汗腺の熱変質を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
前記標的組織における熱的効果は、少なくとも1つの汗腺のアブレーションを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記皮膚組織の診断パラメータを監視することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
前記診断パラメータは、インピーダンス、温度、および反射電力から成る群より選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記患者に、麻酔薬、ステロイド、および抗生物質から成る群より選択される薬剤を投与することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
前記患者に薬剤を投与することはさらに、経口で、局所的に、または注射を介して、該薬剤を投与することを含む、請求項44に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図19】
【図20】
【図21】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図22A】
【図23】
【図24】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図19】
【図20】
【図21】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図22A】
【図23】
【図24】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【公表番号】特表2010−524589(P2010−524589A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504299(P2010−504299)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/060929
【国際公開番号】WO2009/075904
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(505418308)ザ ファウンドリー, インコーポレイテッド (10)
【出願人】(509287278)ミラマー ラブズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/060929
【国際公開番号】WO2009/075904
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(505418308)ザ ファウンドリー, インコーポレイテッド (10)
【出願人】(509287278)ミラマー ラブズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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