説明

マイクロ流体デバイス用固体ベータ線検出器

マイクロ流体放射線クロマトグラフィーのような放射性薬品の合成及び分析に用いるベータ線検出器組立体。ベータ線検出器組立体は、組立体の本体として働く、電気浸透流を利用するように好ましくはガラスで作製した基部を有する。マイクロ流体チャンネルは基部を長さ方向に貫通する。ベータ粒子を検出するための固体帯電粒子検出器を、ベータ粒子を受けるように基部に関して位置決めする。基部の一部をマイクロ流体チャンネルと固体帯電粒子検出器の間に位置するようにし、その厚さをベータ粒子が実質的に透過して帯電粒子検出器により検出されるような値に選択する。1つの実施例において、基部はガラスで作製する。別の実施例において、基部を固体帯電粒子検出器と一体になるようにシリコンで作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研究及び臨床用の放射性薬品の合成及び分析の分野に係る。
【0002】
さらに詳細には、本発明はマイクロ流体デバイス用の固体ベータ線検出器に係る。
【背景技術】
【0003】
陽電子射出断層撮影の分野で技術革新及び成長が重要な領域として、研究及び臨床用の放射性薬品の迅速且つ自在な合成及び分析がある。放射性薬品の製造に必要な調製及び分析技術の1つとして、放射線クロマトグラフィーがある。
【0004】
放射線クロマトグラフィーは、流動状態または静止状態にある液体中の陽電子放射物質の量定を必要とする。近年ミクロンのスケールで開発された新しい化学技術(例えば、Lab-on-a-chipまたはμTAS)の使用により、新しい放射線分析デバイスの可能性及び必要性が生まれている。マイクロ流体化学の他の局面と同様に、これらのデバイスのスケールを新しい方向で活用することが可能である。マイクロ流体分離のユニークな特徴により、放射能検出器のような測定装置に新しい課題が生まれている。
【0005】
ここで提案する特定のケースでは、チャンネル及び壁厚を小さくすることにより消滅ガンマ線でなくて陽電子それ自体の固体検出器による検出可能性が生まれる。ガラス中の陽電子のレンジと、検出器、コリメータ及び試薬チャンネル全体を1つのデバイス内に微細加工する能力とが相俟って、これが可能になる。その結果得られるデバイスは、廃棄可能性と製造のばらつきが少ないことの点で現在の技術水準に照らし合わせると魅力的である。デバイスの感度、レンジ及び空間分解能は幾何学的構成により異なるが、ここでは最適化されている。
【0006】
固体検出器は、帯電粒子及びガンマ線の検出に使用できる。光子を検出するために、固体検出器は光電子またはコンプトン電子の発生に頼るが、これらによりイオン化が生じる。しかしながら、511keVでは、コンプトン及び光電子プロセスは低確率である。511keV(消滅光子)における典型的なシリコン検出器のガンマ線検出効率は1%未満である。
【0007】
LSOのようなシンチレータに結合されると、光ダイオードがより効率的である。幾何学的構成による効果を無視すると、厚さ4mmのLSO片による511keVのガンマ線のいわゆる吸収効率は約40%である。しかしながら、この放射線検出法には自然のコリメーションはない(同時計数はない)。感知体積の外側からの寄与を除去するために鉛による遮蔽が必要であり、空間分解能が低い。非常に小さいLSOチップ(幅1mm、流体からの距離が5mm)を用いても、幾何学的効率は約3.2%、総合効率は1.3%である。
【0008】
しかしながら、固体検出器における帯電粒子の検出効率はほぼ100%である。これは、帯電粒子が物質を通過する際常にエネルギーを失うからである。シリコンでは、約3eVのエネルギーを有する電子とホールの対が発生する。陽電子は、チャンネルと検出器の間のガラス窓を通過した後でも数百keVのエネルギーを有し、厚さ100μmの検出器内で完全に停止させることができる。完全空乏型シリコン検出器の感知領域はミリメートルのオーダーにすることができる。これは、検出器をヒットする各陽電子が105個のオーダーの電子とホールの対を発生させることを意味する。
【0009】
このように、光子は検出器の総合応答に対して非常に小さなバックグラウンドとして寄与すると予想される。しかしながら、検出器に到達する光子はチャンネル構造の格段に大きな部分からくる可能性があるため、光子の寄与はモデル化されている。計算では問題ない。
【0010】
シリコン検出器の作動モードは計数率計モードであると予想される。エネルギーの測定値は、検出すべき放射線が既知の分岐比の陽電子であるため興味はない。事象レートを放射能と大まかに相関することが可能であり、同位体の変化または濃度の極端な逸脱があればそれに対して較正される。検出器が広い濃度範囲にわたって線形を示すと予想されるが、種々の検出器のパルス立上り時間の評価が放射能濃度の上限の予測について行われている。検出器はベータ線の計数により作動されるため、放射能の下限は主として幾何学的構造に基づく。
【0011】
クロマトグラフィーは、種々の化合物の溶解度差を利用して分離及び分析を行う化学分野である。分析あるいは分離すべき化合物又は混合物を溶媒(気体、液体または超臨界流体)に溶解させる。この溶媒を物質を分離する特異な溶解特性を有する固体物質上に通す。その気体または液体を移動相と呼び、その固体を固定相と呼ぶ。混合物中の種々の成分は固定相に溶解する時間が異なるため、固定相の端部への溶媒先端の到達から異なる遅延時間で該端部に到達する。この遅延時間を成分の保持時間と呼ぶ。保持時間は、移動相の流量だけでなく分離中の物質、移動相及び固定相に特有なものである。
【0012】
分析物のピーク幅は保持時間に比例するが、これは流量及び固定相の特性にも影響される。移動相における乱流拡散は濃度バンドを広くする作用がある。縦方向拡散は濃度効果を中和する作用があり、分離カラム上の時間と共に増加する。
【0013】
液体クロマトグラフィーにおける典型的な流量は、毎分100マイクロリットルから数ミリリットルである。使用する毛細管の寸法は直径が通常0.005インチであり、ピーク幅は通常10秒から1分のオーダーである。それに応じて、流速は通常毎分数メートルであり、予想されるピーク長は1メートル以上である。この理由により、典型的な放射線分析の用途では、毛細管を検出器に何回も巻き付けるのは異常ではない。しかしながら、マイクロ流体分離技術の出現により、これは最早ふさわしくないものになっている。
【0014】
マイクロ流体化学法は、確かに商業的成長カーブはより緩やかであるが、集積回路(IC)の出現及び発展により可能となった微細加工法の発展とほぼ軌を一にしている。しかしながら、断面が10乃至200ミクロンのチャンネルを操作して反応及び分析をより精密に制御する可能性の出現により、多数の研究者が過去十年の間この技術を育んで来た。
【0015】
マイクロ流体分離法の特性寸法及び速度を、下記の表で従来型液体クロマトグラフィーと比較する。チャンネルサイズが非常に小さいため、流速が小さくなるが分離は速くなる。ピーク幅に対する効果により、線形寸法の大きさが4オーダー減少する。このため、従来のものよりも有意に小さいサイズの検出器が必要となる。
【0016】
下表は、従来の液体クロマトグラフィーとマイクロ流体分離法の種々の物理的属性を比較したものである。
従来型 マイクロ流体
管断面積(mm2) 0.01 0.0001
流量(μl/min) 100 0.01
流速(mm/min) 104 10
ピーク幅(min) 0.1 0.01
ピーク幅(mm) 103 0.1
【0017】
この技術分野で欠けているのは、マイクロ流体デバイス上に組み込むことのできるベータ線検出器である。
【発明の概要】
【0018】
マイクロ流体放射線クロマトグラフィーのような放射性薬品の合成及び分析に使用するベータ線検出器組立体を開示する。ベータ線検出器組立体は、電気浸透流を利用するために好ましくはガラスで作製した基部を有し、この基部はベータ線検出器組立体の本体として働く。マイクロ流体チャンネルは基部の長さ方向に延びる。ベータ粒子を検出する固体帯電粒子検出器を設けるが、これはベータ粒子を受けるように基部に関して位置決めする。さらに、ベータ粒子を流体チャンネルから固体帯電粒子検出器へ透過させるために、1つの実施例では基部にコリメーションウェルを設ける。基部の一部がマイクロ流体チャンネルと固体帯電粒子検出器との間に位置するようにする。
【0019】
別の実施例では、基部と固体帯電粒子検出器は一体である。この点で、基部はシリコンで作られている。マイクロ流体チャンネルを、シリコン基部の表面上またはその本体内に設ける。第1及び第2の電極を、シリコン上にスクリーン法またはリソグラフィー法の何れかにより形成する。
【0020】
本発明は幾つかの態様で要約することができるが、その1つは、以下のように、マイクロ流体アセンブリ内の流体中の陽電子放射物質の濃度を量定するための検出器組立体であって、基部と、基部に形成した窓と、基部を介して流体が流れるように基部に設けたマイクロ流体チャンネルと、基部により支持される固体帯電粒子検出器とより成り、窓は帯電粒子検出器とマイクロ流体チャンネルの間に介在し、窓は固体帯電検出器が検出するためにマイクロ流体チャンネル内の陽電子放射物質からのベータ粒子が透過できるような十分な厚さを有する検出器組立体である。
【0021】
本発明はまた、以下のように要約できる:即ち、マイクロ流体アセンブリ内の陽電子放射物質の濃度を量定する検出器組立体は、基部と、流体が基部を通って流れることができるように基部に設けたマイクロ流体チャンネルと、マイクロ流体チャンネルに近接して基部に設けた、帯電粒子をコリメーションするためのコリメーション手段と、基部により支持され、コリメーション手段と連通関係にある固体帯電粒子検出器とより成る。
【0022】
本発明は再び以下のように要約可能である:即ち、マイクロ流体アセンブリ内の陽電子放射物質の濃度を量定する検出器組立体は、基部と、流体が基部を通って流れることができるように基部に設けたマイクロ流体チャンネルと、基部により支持される固体帯電粒子検出器と、マイクロ流体チャンネルに隣接して基部に設けた、固体帯電粒子検出器の線形分解能を増加させるための窓手段とより成る。
【0023】
窓または窓手段に隣接し、固体帯電粒子検出器を支持する基部の一部は、好ましくは、べータ粒子の透過を実質的に減衰させるに十分な厚さを有するため、固体帯電粒子検出器の線形分解能が増加する。
【0024】
検出器組立体は、好ましくは、さらに、基部に選択した深さのコリメーションウェルを備え、その深さはマイクロチャンネル内の流体から放出されるベータ粒子をコリメートするに十分な深さであり、このため検出器は窓を通過する粒子と基部により減衰される粒子を区別できる。
【0025】
1つの実施例において、基部と固体帯電粒子検出器は互いに一体である。検出器組立体の基部はガラス、ポリマー、シリコンまたはそれらの派生物より成る材料群から選択された材料で作製できる。
【0026】
固体帯電粒子検出器の第1の電極は、基部の第1の側に、第2の電極は基部の第2の側に第1の側から離隔して配置するのが好ましい。マイクロ流体チャンネルは第1又は/及び第2の電極に隣接して配置するのが好ましい。
【実施例】
【0027】
マイクロ流体放射線クロマトグラフィーのような放射性薬品の合成及び分析に用いるベータ線検出器組立体を、添付図面において参照番号10で総括的に示す。ベータ線検出器組立体10は、好ましくはガラスで作製し、ベータ線検出器組立体10の本体として働く基部15を有する。マイクロ流体チャンネル20は基部15を長さ方向に貫通する。ベータ粒子を検出するための固体帯電粒子検出器25が設けられているが、これはベータ粒子を受けるように基部15に関して位置決めされる。基部15の1つの実施例において、ベータ粒子がマイクロ流体チャンネル20から固体帯電粒子検出器25へ透過できるようにコリメーションウェル30が設けられている。基部の窓部分35は、マイクロ流体チャンネル20と固体帯電粒子検出器25の間に位置する。
【0028】
図1−3は、第1の実施例において予想される幾何学的関係を略示する。マイクロ流体チャンネル20は種々の寸法及び構成にすることができる。本願で説明するように、幅及び高さ/深さの寸法は固体帯電粒子検出器25の配置に関してのものである。即ち、これらの寸法表示は図示のように帯電粒子検出器25を上部へ配置することを想定している。もちろん、これら図示説明したものは、使用時におけるベータ線検出器組立体10の物理的配向または幾何学的形状を限定する意図はない。例えば、マイクロ流体チャンネル20は、そのチャンネル20を介する所望の流量特性に応じて、約2μmの狭さと、例えば1000μmのような幅にすることができる。同様に、マイクロ流体チャンネル20の最小高さを微細加工の限界及び流量を維持する必要性に基づいて選択するが、マイクロ流体チャンネル20の高さの上限はマイクロ流体チャンネル20内の流体が自己吸収、即ち、ベータ粒子を減衰させないように選択するのが好ましい。この点について、マイクロ流体チャンネル20の高さは、F18の崩壊に対して約1μm乃至200μmの範囲内にあるべきである。他の流体システムまたは同位体により他の寸法が決定される。
【0029】
ベータ線検出器組立体10は、ガラス、ポリマー、シリコンまたはそれらの派生物、もしくはマイクロ流体化学に使用される他の材料で作製可能であるが、ベータ線検出器組立体をガラスで作製するのが好ましい実施例を構成することがわかるであろう。ベータ粒子がマイクロ流体チャンネル10内の流体から固体帯電粒子検出器25へ通過できるようにするため、基板の表面にはコリメーションウェル30が設けられている。図面において、コリメーションウェル30を円筒形部分として示されているが、コリメーションウェル30は事実上任意の幾何学的形状または複雑な構成にできることがわかるであろう。
【0030】
図2を参照して、コリメーションウェル30は文字数字記号t3で略示する深さを有する。コリメーションウェル30の深さは、周囲の基板、即ち、周囲の基部材料の厚さが、選択された同位体の崩壊の特性エネルギー(例えば、F−18では635keV)を有するべータ粒子を実質的に減衰させるに十分なものであるように選択しなければならない。マイクロ流体チャンネル20と固体帯電粒子検出器25の窓の間に位置する基部15の窓部分35は、好ましくは、約50μm乃至約100μmの範囲内にあり、一般的に文字数字記号t2で示すが、ベータ粒子が透過できるように選択される。固体帯電粒子検出器25は、コリメーションウェル30の直径より大きいかそれと同じ程度であるのが好ましいが、所望の結果に応じて寸法を決定することも考えられる。
【0031】
本願に示すシステムは、1mm未満では線形分解能が可能であることが判明している。さらに、現在説明しているシステムは約28.6nCiの最小放射能を必要とする。計算上、本発明のシステムの好ましい実施例では、線形分解能が約0.3mm、感知体積が約0.18nlであることが示されており、オンチップ上に配置できるという別の利点を有する。
【0032】
最大放射能は検出器のパルス幅により決定されるであろう。安価なシリコン固体帯電粒子検出器の典型的な立上り時間は数ナノ秒のオーダーである。ガンマ線バックグラウンド減少の助けとなる薄い空乏領域を用いることにより、立上り時間が最小限に抑えられる。高速の電子装置によると、有意な不感時間効果を伴わずに毎秒1e7カウントの計数レートが可能であり、これは検知可能な最小放射能または感知体積が0.18nlにおいて約29mCiより6オーダー大きい増加を表す。
【0033】
大きなレンジ、小さな感知体積及びチップ上での検出に加えて、本発明はシンチレータ、光増倍管または同時計数用電子装置を用いずに放射能の低コストの検定を行う。
【0034】
本発明の別の実施例を残りの図面に開示する。例えば、上述した幾何学的構造は立体角がπより小さい構造を利用するに過ぎない。しかしながら、図4に示す検出器組立体10´には、その幾何学的構造に応じてマイクロ流体チャンネル20の両側または種々の側に多数の固体帯電粒子検出器を設けることが可能であり、それにより線形分解能を維持しながら計数効率を増加することができる。
【0035】
図5−7に示すように、シリコン固体帯電粒子検出器10´´´の窓材料及び不感層は同じ要素を構成する単一のコンポーネントまたは組立てモジューラ装置として形成または構成することができる。この例では、マイクロ流体プレート全体をシリコンで作製するのが好ましく、不感層/チャンネル表面の組合せ20´は気相成長または他の同様な方法で作製するのが好ましい。液体表面を導体に変換すると電気浸透流(EOF)の有用性が最小になるが、流体流は有用であり、EOFポンプをその流れの上流または下流で使用することができる。
【0036】
図6及び7を参照して、該図は検出器組立体10´´の別の実施例を示す。この実施例において、検出器は任意適当な半導電性材料で形成するのが好ましく、シリコン材料が好ましいが本発明はそれに限定されない。従って、基部15´はシリコンで構成され、マイクロ流体チャンネル20はそのシリコン中に作製される。マイクロ流体チャンネル20の流体表面上のオプションとしての不感層は、その構成及び望ましいまたは意図した使用法に応じて設けることができる。電極50をデバイスの外側に成長させることができるが、電極を基部15´の境界内部に配置して、他の成分または異物との問題となる不用意な接触を最小限に抑えることが考えられる。
【0037】
従って、本発明の範囲内のものとして、組立体全体の作製を自動化することが可能であるが、幾何学的構造をリソグラフィー法を用いて有意な精度で複製できることがわかるであろう。このようにすると、シリコンの検出器はチップに完全に集積化され、陽電子のコリメーションのためにリソグラフィーにより形成したガラス表面を使用する。
【0038】
図8を参照して、ベータ線検出器組立体100はマククロ流体チップにより支持されるが、コリメーションウェル30´のための実質的に垂直な、またはまっすぐな側面を必要としない。この実施例において、ベータ線検出器組立体100は全体をシリコンまたは上述した他の任意適当な材料で作製するのが好ましく、コリメーションウェル30´は好ましいシリコンを水酸化カリウム(KOH)でエッチングすることにより作製する。シリコンにおけるこのエッチング法によりスロープのある、または弓状のコリメーションウェル30´が形成されることがわかるであろう。
【0039】
その後、コリメーションウェル30´に適当な導電材料のめっきを施し、その上に別のシリコン110を成長させた電極50´とすることにより、自然の大きい立体角を有する検出器組立体100を形成することができる。
【0040】
図示説明した検出器の好ましい用途はクロマトグラフィーであるが、この検出器を放射能トレーサの用途に用いてもよく、放射能トレーサ供給システムの一部と成る。
【0041】
以上の説明から、当業者は、本発明は放射性薬品の合成及び分析(例えば、マイクロ流体放射線クロマトグラフィー)に関連使用するベータ線検出器組立体より成り、従来の装置及び方法に比べて有意な利点を与えることがわかるであろう。
【0042】
本発明を幾つかの実施例につき説明し、これらの実施例を詳細に説明したが、本出願人の意図には頭書の特許請求の範囲をいかなる理由であれ詳細事項に限定することが含まれていない。さらに別の利点及び変形例が本願の開示を構成する説明及び特許請求の範囲並びに頭書の特許請求の範囲を考慮すると明らかになるであろう。従って、本発明は、その広い局面において、特定の詳細事項、代表的な装置及び方法並びに図示説明した例に限定されない。従って、出願人の一般的な発明思想から逸脱することなく変形及び設計変更がかかる詳細事項から可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】マイクロ流体デバイスの流動状態の液体または静止状態の液体中の陽電子放射物質の濃度を量定するベータ線検出器組立体の実施例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すベータ線検出器組立体の概略的端部断面図である。
【図3】図1に示すベータ線検出器組立体の概略的側部断面図である。
【図4】図1に示すベータ線検出器組立体の別の実施例の概略的な端面図であり、2つの固体帯電粒子検出器を組み込んだものである。
【図5】ベータ線検出器の基部と固体帯電粒子検出器が一体であるベータ線検出器の別の実施例を示す斜視図である。
【図6】図5に示す実施例の概略的な端面図である。
【図7】マイクロ流体チャンネルがシリコン側に作製されているためベータ線検出器の基部と固体帯電粒子検出器の一体化が可能な本発明のベータ線検出器の別の実施例を示す概略的端面図である。
【図8】ベータ線検出器の基部と固体帯電粒子検出器が一体である固体ベータ線検出器のさらに別の実施例を示す概略的端面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体アセンブリ内の流体中の陽電子放射物質の濃度を量定するための検出器組立体であって、
基部と、
基部に形成した窓と、
基部を介して流体が流れるように基部に設けたマイクロ流体チャンネルと、
基部により支持される固体帯電粒子検出器とより成り、
窓は帯電粒子検出器とマイクロ流体チャンネルの間に介在し、
窓は固体帯電検出器が検出するためにマイクロ流体チャンネル内の陽電子放射物質からのベータ粒子が透過できるような十分な厚さを有する検出器組立体。
【請求項2】
窓に隣接し、固体帯電粒子検出器を支持する基部の一部はベータ粒子の透過を実質的に減衰させるに十分な厚さを有するため、固体帯電粒子検出器の線形分解能が増加する請求項1の検出器組立体。
【請求項3】
基部に選択した深さのコリメーションウェルをさらに備えた請求項1の検出器組立体。
【請求項4】
コリメーションウェルは窓と固体帯電粒子検出器の間に位置する請求項3の検出器組立体。
【請求項5】
コリメーションウェルはさらに、基部により画定される連続した側壁を有する請求項4の検出器組立体。
【請求項6】
コリメーションウェルはさらに、マイクロチャンネル内の流体から放出されるベータ粒子をコリメートするに十分な深さを有するため、検出器が窓を通過する粒子と基部により減衰される粒子を区別できる請求項5の検出器組立体。
【請求項7】
基部と固体帯電粒子検出器は互いに一体的である請求項1の検出器組立体。
【請求項8】
固体帯電粒子検出器の第1の電極は基部の第1の側に位置し、固体帯電粒子検出器の第2の電極は基部の第2の側にあって基部の第1の側とは離隔している請求項1の検出器組立体。
【請求項9】
マイクロ流体チャンネルは第1または/及び第2の電極に隣接している請求項8の検出器組立体。
【請求項10】
基部はガラス、ポリマー、シリコンまたはこれらの派生物より成る材料群から選択される材料で少なくとも一部が作られている請求項1の検出器組立体。
【請求項11】
基部はガラス、ポリマー、シリコンまたはこれらの派生物より成る材料群から選択される材料で少なくとも一部が作られている請求項6の検出器組立体。
【請求項12】
基部は、ガラス、ポリマー、ポリアクリレート、シリコンまたはこれらの派生物より成る材料群から選択される材料で少なくとも一部が作られている請求項7の検出器組立体。
【請求項13】
基部は、ガラス、ポリマー、ポリアクリレート、シリコンまたはこれらの派生物より成る材料群から選択される材料で少なくとも一部が作られている請求項9の検出器組立体。
【請求項14】
マイクロ流体アセンブリ内の陽電子放射物質の濃度を量定する検出器組立体であって、
基部と、
流体が基部を通って流れることができるように基部に設けたマイクロ流体チャンネルと、
マイクロ流体チャンネルに近接して基部に設けた、帯電粒子をコリメーションするためのコリメーション手段と、
基部により支持され、コリメーション手段と連通関係にある固体帯電粒子検出器とより成る検出器組立体。
【請求項15】
窓に隣接し、固体帯電粒子検出器を支持する基部の一部はベータ粒子の透過を実質的に減衰させるに十分な厚さを有するため、固体帯電粒子検出器の線形分解能が増加する請求項14の検出器組立体。
【請求項16】
コリメーション手段は窓と固体帯電粒子検出器の間に位置する請求項14の検出器組立体。
【請求項17】
コリメーション手段はさらに、基部により画定される連続した側壁を有する請求項16の検出器組立体。
【請求項18】
コリメーション手段はさらに、マイクロチャンネル内の流体から放出されるベータ粒子をコリメートするに十分な深さを有するため、検出器が窓を通過する粒子と基部により減衰される粒子を区別できる請求項17の検出器組立体。
【請求項19】
基部と固体帯電粒子検出器は互いに一体的である請求項14の検出器組立体。
【請求項20】
固体帯電粒子検出器の第1の電極は基部の第1の側に位置し、固体帯電粒子検出器の第2の電極は基部の第2の側にあって基部の第1の側とは離隔している請求項14の検出器組立体。
【請求項21】
マイクロ流体チャンネルは第1または/及び第2の電極に隣接している請求項20の検出器組立体。
【請求項22】
基部はガラス、ポリマー、シリコンまたはこれらの派生物より成る材料群から選択される材料で少なくとも一部が作られている請求項14の検出器組立体。
【請求項23】
基部はガラス、ポリマー、シリコンまたはこれらの派生物より成る材料群から選択される材料で少なくとも一部が作られている請求項18の検出器組立体。
【請求項24】
基部は、ガラス、ポリマー、シリコンまたはこれらの派生物より成る材料群から選択される材料で少なくとも一部が作られている請求項19の検出器組立体。
【請求項25】
マイクロ流体アセンブリ内の陽電子放射物質の濃度を量定する検出器組立体であって、
基部と、
流体が基部を通って流れることができるように基部に設けたマイクロ流体チャンネルと、
基部により支持される固体帯電粒子検出器と、
マイクロ流体チャンネルに隣接して基部に設けた、固体帯電粒子検出器の線形分解能を増加させるための窓手段とより成る検出器組立体。
【請求項26】
窓手段に隣接し、固体帯電粒子検出器を支持する基部の一部はベータ粒子の透過を実質的に減衰させるに十分な厚さを有するため、固体帯電粒子検出器の線形分解能が増加する請求項25の検出器組立体。
【請求項27】
基部に選択した深さのコリメーションウェルをさらに備えた請求項25の検出器組立体。
【請求項28】
コリメーションウェルは窓手段と固体帯電粒子検出器の間に位置する請求項27の検出器組立体。
【請求項29】
コリメーションウェルはさらに、基部により画定される連続した側壁を有する請求項27の検出器組立体。
【請求項30】
コリメーションウェルはさらに、マイクロチャンネル内の流体から放出されるベータ粒子をコリメートするに十分な深さを有するため、検出器が窓を通過する粒子と基部により減衰される粒子を区別できる請求項29の検出器組立体。
【請求項31】
基部と固体帯電粒子検出器は互いに一体的である請求項25の検出器組立体。
【請求項32】
固体帯電粒子検出器の第1の電極は基部の第1の側に位置し、固体帯電粒子検出器の第2の電極は基部の第2の側にあって基部の第1の側とは離隔している請求項25の検出器組立体。
【請求項33】
マイクロ流体チャンネルは第1または/及び第2の電極に隣接している請求項32の検出器組立体。
【請求項34】
基部はガラス、ポリマー、シリコンまたはこれらの派生物より成る材料群から選択される材料で少なくとも一部が作られている請求項25の検出器組立体。
【請求項35】
基部はガラス、ポリマー、シリコンまたはこれらの派生物より成る材料群から選択される材料で少なくとも一部が作られている請求項28の検出器組立体。
【請求項36】
基部は、ガラス、ポリマー、シリコンまたはこれらの派生物より成る材料群から選択される材料で少なくとも一部が作られている請求項31の検出器組立体。
【請求項37】
基部は、ガラス、ポリマー、シリコンまたはこれらの派生物より成る材料群から選択される材料で少なくとも一部が作られている請求項32の検出器組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−524822(P2006−524822A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513236(P2006−513236)
【出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/012499
【国際公開番号】WO2004/095061
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505395939)モレキュラー テクノロジーズ インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MOLECULAR TECHNOLOGIES,INC.
【Fターム(参考)】