説明

マイクロ燃料電池

燃料電池、燃料電池配列及びこれらを製造する方法が開示される。燃料電池は、第一の電極層を通る第一の開口表面により画成された第一の開口と、第二の電極層を通る第二の開口表面により画成された第二の開口とを形成することにより、製造することができる。陽子交換膜が第一の電極層と第二の電極層との間に積層される。第一の開口の少なくとも一部分は、第二の開口と少なくとも部分的に整合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、燃料電池の分野、より具体的には、マイクロ燃料電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電池内の水素又はメタノールのような燃料を電気化学的に酸化させ、燃料の化学的エネルギを電力に直接、変換することにより、電気エネルギを発生させる。燃料電池は、最近、クリーンな電気エネルギの供給源として注目を集めている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
携帯型及び(又は)無線の電子装置への給電は、今日の市場にて重大な関心事である。多くの無線センサ及び(又は)携帯型電気通信及び計算装置の速度及び機能は、電源によって制限される傾向である一方、優れた電源の利用可能性は、電子装置自体の開発に遅れをとっている。このため、改良された電力供給及び管理が不断に探求されている。
【0004】
電子製品に使用するのに適した極小型の多数の燃料電池が今日、利用可能となっているが、これらの燃料電池を多岐に亙る用途のための、低コスト大量生産及びデバイスパッケージングに対する関心の度合いは低い。燃料電池を低コストで、しかも効率的に製造する方法のような事柄に関する文献情報は少ない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、全体として、燃料電池、燃料電池配列及びそれらの製造方法に関する。一例としての実施の形態において、燃料電池は、第一の電極層を通る第一の開口表面により画成された第一の開口を形成するステップと、第二の電極層を通る第二の開口表面により画成された第二の開口を形成するステップとにより形成される。次に、陽子交換膜を第一の電極層と第二の電極層との間に、陽子交換膜が第一の開口及び第二の開口を跨ぐように積層する。また、複数の燃料電池を、以下に更に説明するように、同様の要領にて形成することができる。
【0006】
幾つかの実施の形態において、第一の電極層及び第二の電極層と、陽子交換膜との間の接着を向上させるのに役立つよう、電極層と陽子交換膜との間に接着剤を提供することもできる。燃料電池の製造方法にしたがって、開口は、接着剤が提供される前、又は提供された後に形成してよい。
【0007】
幾つかの実施の形態において、第一の電極層及び(又は)第二の電極層は、導電性基板を有することができる一方、その他の実施の形態において、第一の電極層及び(又は)第二の電極層は、その少なくとも一部分に導電層が施された非導電性基板を含むことができる。導電層が施されるとき、導電層は、1つ又はより多数の燃料電池の電気接点を形成するようパターン化することができる。場合によっては、電気接点は、開口付近の隣接する陽子交換膜から陽子交換膜の幅を超える領域まで伸びるようにする。第一の電極層及び第二の電極層の双方にかかる電気接点が提供されるとき、第一の電極層における電気接点の少なくとも幾つかは、第一の電極層及び第二の電極層が互いに積層される際、第二の電極層における電気接点の少なくとも幾つかと電気的に接続された状態となる。第一及び第二の電極層にて電気接点を適正にパターン化することにより、2つ以上の燃料電池は、直列、並列又はその何らかの組み合わせにて電気的に接続し、所望の電気的出力特性を提供することができる。
【0008】
本明細書に開示された任意の数の方法を使用することにより、複数の燃料電池を形成することができる。例えば、第一の電極層及び第二の電極層は、各々が1つの燃料電池を画成する多数の開口を含むようにしてよい。陽子交換膜が第一の電極層と第二の電極層との間に積層されたとき、複数の燃料電池を形成することができる。次に、所望に応じて複数の燃料電池をダイシングし、単一の燃料電池又は燃料電池配列とすることができる。別の実施の形態において、第一の複数の開口と、第一の複数の電池接点とを有する第一の長さの材料は、第二の複数の開口と、第二の複数の電気接点とを有する第二の長さの材料と共に動かしてその間に陽子交換膜を有する接合単一体とすることができる。第二の複数の開口は第一の複数の開口と整合していることが好ましい。接合されたならば、形成される複数の燃料電池は、所望に応じてダイシングして単一の燃料電池又は燃料電池配列にすることができる。
【0009】
本発明は、添付図面に関する本発明の色々な実施の形態の以下の詳細な説明を検討することにより、より完全に理解することができよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、色々な変更例及び代替的な形態にて具体化可能であるが、その特定例を図面に単に一例として示し、且つこれについて詳細に説明する。しかし、これは、本発明を記載された特定の一例としての実施の形態に限定することを意図するものではないことを理解すべきである。むしろ、本発明の精神及び範囲に属する全ての変更例、等価物及び代替例を包含することを意図するものである。
【0011】
以下の記載は、異なる図面において同様の部品を同様の番号にて表示する図面を参照しつつ読まれるべきである。必ずしも正確な縮尺通りではない図面は、選んだ実施の形態を示すものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。構造、寸法及び材料の例は、色々な要素に対して示してあるが、当該技術の当業者は、提供された例の多くが利用可能である適宜な代替例を有することが理解されよう。
【0012】
本発明は、全ての装置、特に、小型の電源を使用することができる装置と共に使用するため適用可能である。幾つかの一例としての実施の形態において、本発明は、燃料源として水素及び酸素を使用して電力を提供する。本発明は、このように限定されるものではないが、以下に記載した色々な一例としての実施の形態及び例の説明を通して本発明の色々な形態が理解されよう。
【0013】
図1Aないし図1Dは、色々な製造ステップにおける一例としてのマイクロ燃料電池の断面概略図である。図1Aにおいて、電極110は、頂面112と、底面114と、頂面112と底面114との間の距離により画成された厚さTとを有している。一例としての実施の形態において、非導電性基板とすることのできる基板115は、頂面の少なくとも一部分及び底面114の少なくとも一部分が導電性材料116にて被覆されている。導電性材料116は、例えば、所望に応じて、1000オングストローム以内又はそれ以上の厚さのような任意の有用な厚さとすることができる。また、頂面112における導電性材料116を、底面114における導電性材料116と電気的に接続する任意のフィードスルー接点117も示されている。一例としての実施の形態において、電極110は、例えば、0.0508mm(2ミル)以下の厚さのような任意の有用な厚さを有することができる。幾つかの実施の形態において、導電性材料116は、パターン化して1つ以上の電気接点又はパッドを形成することができる。導電性材料116のパターン化は、例えば、多数の燃料電池が同時に形成されるとき、隣接する燃料電池を電気的に隔離する助けとなる。
【0014】
図1Bにおいて、任意の接着剤層120を、電極110に配設することができる。接着剤層120は、導電性とし、また、従来の方法を使用して配設することができる。接着剤層120は、任意の有用な厚さを有することができ、また、上述した導電性材料116と同様に、幾つかの実施の形態にて、所望に応じてパターン化することが可能である。
【0015】
図1Cにおいて、開口135が電極110の厚さTにわたって形成されている。開口135は、例えば、押抜き、エッチング又はレーザ切断のような従来の方法を使用して形成することができる。開口135は、開口135を取り囲む開口表面130により形成される。開口135は、任意の寸法又は形状とすることができる。一例としての実施の形態において、開口135は、矩形、四角形、又は円形とし、また、1mm以下の断面表面積を有する。しかし、所望に応じて、その他の形状及び寸法を使用することも可能である。図1Aないし図1Cにおいて、接着剤120は、開口135が形成される前に施されるものとして示されている。しかし、その他の実施の形態において、開口135が形成された後、接触剤120を施すことができる。
【0016】
図1Dには、第一の電極110Aと第二の電極110Bとの間に積層された陽子交換膜140が示されている。第一の電極110A及び第二の電極110Bは、上述した電極110と同様のものとすることができる。陽子交換膜140は、イオンが該膜を横断して伝導するのを許容する任意の適宜な材料とすることができる。陽子交換膜を形成する方法は、スピン又は溶媒キャスト(solution casting)のような現所の技術を包含し、且つ触媒上に予形成したフィルムを提供するステップを含む。一例としての商業的に利用可能な陽子交換膜は、デュポン(Dupont)が販売するナフィオン(Nafion)(登録商標名)(ポリテトラフルオロエチレン骨格を有するペルフルオロスルホン酸の膜)である。その他の陽子交換膜は商業的に利用可能であり、当該技術の当業者に既知である。1つの好ましい実施の形態において、陽子交換膜は、10ないし50μmの範囲の厚さを有する。しかし、所望であれば、その他の厚さを使用してもよい。陽子交換膜140は、例えば、陽子交換膜140に隣接する炭素/白金層のような、頂部及び底部の触媒層を更に含むことができる。
【0017】
一例としての実施の形態において、接着剤層120は、陽子交換膜140と第一の電極110Aとの間、陽子交換膜140と第二の電極110Bとの間に配設される。第一の電極110Aの開口は、第二の電極110Bの開口と整合され、これにより、燃料電池110を形成する。第一の電極110Aの開口と第二の電極110Bの開口との間の完全な整合は不要であるが、第一の電極110Aの開口は、第二の電極110Bの開口と少なくとも部分的に整合されることが好ましい。
【0018】
一例としての燃料電池100は、次のように作用する。例えば、水素又はメタノールのような燃料は、第一の電極110Aの開口135内に導入され、陽子交換膜140の第一の電極側部110Aにおける第一の触媒層に拡散する。第一の触媒層は、次式に従って、電子の除去を促進する(水素燃料の場合)。
【0019】
【数1】

メタノールの場合、関係は、
【0020】
【数2】

となる。
【0021】
電子は、第一の触媒層から第一の電極110Aにおける導電性材料116を通り、且つ外部回路(図示せず)を通って流れる一方、水素イオン(すなわち、陽子)は、陽子交換膜140を横断して陽子交換膜140の第二の電極側部110Bにおける第二の触媒層に向けて移動する。
【0022】
例えば、空気又は酸素のような酸化剤が第二の電極110Bの開口135内に向けられ、且つ陽子交換膜140における第二の触媒層に拡散する。この第二の触媒層にて、酸化剤からの酸素は、次式に従い、膜140を横断して流れる水素イオンと外部回路から第二の触媒層まで流れる電子との双方と反応して水を形成する。
【0023】
【数3】

【0024】
電子の流れは、所望の電流を提供し、また、水という副産物は、しばしば蒸発によって電池から除去される。図1Eは、図1Dに示したマイクロ燃料電池100の一例としての実施の形態の頂面概略図である。
【0025】
図2Aないし図2Dは、色々な製造ステップにおける別の一例としてのマイクロ燃料電池の断面概略図である。図2Aにおいて、電極210は、頂面212と、底面214と、頂面212と底面214との間の距離により画成された厚さTとを有する。一例としての実施の形態において、電極210は、例えば、導電性金属又は導電性ポリマーのような導電性材料である。一例としての実施の形態において、電極210は、例えば、0.0508mm(2ミル)以下の厚さのような任意の有用な厚さを有することができる。しかし、その他の厚さを使用することも可能である。
【0026】
図2Bにおいて、任意の接着剤層220は、電極210に配設することができる。接着剤層220は、導電性とし、また、従来の方法を使用して配設することができる。接着剤層220は、任意の有用な厚さを有することができる。
【0027】
図2Cにおいて、開口235は、電極210の厚さTにわたって形成することができる。開口235は、例えば、押抜き、エッチング又はレーザ切断のような従来の方法を使用して形成することができる。開口235は、開口235を取り囲む開口表面230により画成される。開口235は、任意の有用な寸法又は形状とすることができる。一例としての実施の形態において、開口235は、矩形、四角形又は円形であり、また、1mm以下の断面表面積を有している。図2Aないし図2Cにおいて、接着剤220は、開口235が形成される前に、施される状態で示されている。しかし、その他の実施の形態において、開口235が形成された後に、接着剤220を施してもよい。
【0028】
図2Dには、第一の電極210Aと第二の電極210Bとの間にて積層された陽子交換膜240が示されている。第一の電極210A及び第二の電極210Bは、上述した電極210と同様のものとすることができる。一例としての実施の形態において、陽子交換膜240と第一の電極210Aとの間、及び陽子交換膜240と第二の電極210Bとの間に接着剤層220が配設される。上記と同様に、第一の電極210Aの開口は、第二の電極210Bの開口と少なくとも部分的に整合される。完成された組立体は、燃料電池200を形成する。陽子交換膜240は、上述したように、陽子交換膜240に隣接する頂部及び底部触媒層を更に有することができる。図2Eは、図2Dに示されたマイクロ燃料電池200の一例としての実施の形態の頂面概略図である。
【0029】
図3Aないし図3Dは、製造中の色々なステップにおける別の一例としてのマイクロ燃料電池の断面概略図である。図3Aにおいて、電極310は、頂面312と、底面314と、頂面312と底面314との間の距離により画成された厚さTとを有している。一例としての実施の形態において、電極310は、例えば、導電性金属又は導電性ポリマーのような、導電性材料である。一例としての実施の形態において、電極310は、例えば、0.0508mm(2ミル)以下のような任意の有用な厚さを有することができる。
【0030】
一例としての実施の形態において、開口335は、電極310の厚さTにわたって予め形成することができる。開口335は、例えば、押抜き、エッチング又はレーザ切断のような従来の方法を使用して形成することができる。開口335は、開口335を取り囲む開口表面330により画成される。開口335は、任意の有用な寸法又は形状とすることができる。一例としての実施の形態において、開口335は、矩形、四角形又は円形とし、また、1mm以下の断面表面積を有する。
【0031】
図3Bにおいて、任意の接着剤層320を電極310上に配設することができる。接着剤層320は、導電性とし、また、従来の方法を使用して配設することができる。接着剤層320は、任意の有用な厚さを有することができる。図3Aないし図3Cにおいて、接着剤層320は、開口335が形成された後、施される状態で示されている。しかし、その他の実施の形態において、開口335が形成される前に、接着剤320を施してもよい。
【0032】
図3Cには、第一の電極310Aと第二の電極310Bとの間にて積層された陽子交換膜340が示されている。第一の電極310A及び第二の電極310Bは、上述した電極310と同様のものでよい。一例としての実施の形態において、陽子交換膜340と第一の電極310Aとの間、及び陽子交換膜340と第二の電極310Bとの間に接着剤層320が配設される。第一の電極310Aの開口は、第二の電極310Bの開口と少なくとも部分的に整合される。完成された組立体は、燃料電池300を形成する。陽子交換膜340は、上述したように、陽子交換膜340に隣接する頂部及び底部触媒層を更に有することができる。図3Dは、図3Cに示したマイクロ燃料電池300の一例としての実施の形態の頂面概略図である。
【0033】
図4Aないし図4Dは、製造中の色々なステップにおける別の一例としてのマイクロ燃料電池の断面概略図である。図4Aにおいて、電極410は、頂面412と、底面414と、頂面412と底面414との間の距離により画成された厚さTとを有する。一例としての実施の形態において、電極410は、非導電性材料又は基板415を有している。一例としての実施の形態において、電極410は、例えば、0.0508mm(2ミル)以下の厚さのような、任意の有用な厚さを有することができる。
【0034】
一例としての実施の形態において、開口435が電極410の厚さTにわたって予め形成される。開口435は、例えば、押抜き、エッチング又はレーザ切断のような従来の方法を使用して形成することができる。開口435は、開口435を取り囲む開口表面430により画成される。開口435は、任意の有用な寸法又は形状とすることができる。一例としての実施の形態において、開口435は、矩形、四角形又は円形とし且つ、1mm以下の断面表面積を有している。
【0035】
図4Aの一例としての実施の形態において、基板415には、開口表面430の少なくとも一部分、又はその全体が導電性材料416にて被覆される。更に、導電性材料は、頂面412の少なくとも一部分及び(又は)底面414の少なくとも一部分に配設することができる。幾つかの実施の形態において、導電性材料は、頂面412及び(又は)底面414上にパターン化してもよい。表面開口430における導電性材料116は、特に、基板415が燃料源に対し多少、多孔質である場合、燃料が開口435から逃げるのを防止するのを助けるシールを提供することができる。一例としての実施の形態において、導電性材料116は、例えば、1000オングストローム以内のような、任意の有用な厚さを有することができる。導電性材料116は、例えば、導電性金属又は導電性ポリマーとすることができる。
【0036】
図4Bにおいて、任意の接着剤層420を電極410上に配設することができる。接着剤層420は、導電性とし、且つ従来の方法を使用して配設することができる。接着剤層420は、任意の有用な厚さを有することができる。場合によって、接着剤が施された後、開口が形成される一方、その他の場合、接着剤が施される前に開口が形成される。
【0037】
図4Cには、第一の電極410Aと第二の電極410Bとの間にて積層された陽子交換膜440が示されている。第一の電極410A及び第二の電極410Bは、上述した電極410と同様のものとすることができる。一例としての実施の形態において、接着剤層420は、陽子交換膜440と第一の電極410Aとの間、及び陽子交換膜440と第二の電極410Bとの間に配設される。上述したものと同様に、第一の電極410Aの開口は、第二の電極410Bの開口と少なくとも部分的に整合される。完成された組立体は、燃料電池400を形成する。陽子交換膜440は、上述したように、陽子交換膜440に隣接する頂部及び底部触媒層を更に有することができる。図4Dは、図4Cに示したマイクロ燃料電池400の一例としての実施の形態の頂面概略図である。
【0038】
図5は、マイクロ燃料電池配列の斜視図である。幾つかの一例としての実施の形態において、複数のマイクロ燃料電池500は、大きい材料のシート501にて経済的に製造することができる。シート510は、上述したように、頂部電極510A及び底部電極510Bに形成された複数の開口535を有することができる。開口の各々は、上述したように、開口断面表面積530を有している。陽子交換膜540は、好ましくは、燃料源に対して露出されるよう開口を跨いで頂部電極510Aと底部電極510Bとの間に配設することができる。
【0039】
図6は、色々な形態にダイシングされた、図5に示した燃料電池の配列600の斜視図である。図5のシート501は、単一の燃料電池に、又は複数の燃料電池配列に分割することができる。場合によって、燃料電池配列中の燃料電池は、用途に依存して、直列、並列又はその組み合わせにて接続することができる。燃料電池を直列に接続することは、出力電圧レベルを増大させる傾向となる一方、燃料電池を並列に接続することは、出力電流レベルを増大させる傾向となる。このように、燃料電池を並列及び(又は)直列に適宜に接続することにより、燃料電池の所望の電気的出力特性を実現することができる。一例としての実施の形態において、燃料電池配列の各々は、直列に電気的に接続された5つ以上の燃料電池を有することができる。
【0040】
図7は、本発明の一例としての実施の形態に従った燃料電池の配列700の分解斜視図である。一例としての実施の形態において、頂部電極710Aは、複数の開口735Aを有し、また、底部開口710Bは、複数の開口735を有する。開口735A、735Bは、頂部電極710Aと底部電極710Bとの間に配設された陽子交換膜740と少なくとも部分的に整合された状態で示されている。陽子交換膜740は、開口735A、735Bを跨ぎ且つ、陽子交換膜(PEM)の領域745A、745Bの間を伸びる状態で示されている。
【0041】
電気接点750Aは、頂部電極710Aの開口735Aから第一の領域755Aまで伸びている。電気接点750Bは、底部電極710Bの開口735Bから第一の領域755Bまで伸びている。頂部電極710Aにおける少なくとも1つの電気接点750Aは、重なり合い領域760A、760B内にて底部電極710Bにおける電気接点750Bと少なくとも部分的に重なり合う。一例として実施の形態において、陽子交換膜740は、重なり合い領域760A、760B内にて頂部電極710A又は底部電極710Bの間にて伸びない。このように、その間に陽子交換膜740が配設された状態にて頂部電極710Aが底部電極に積層されたとき、頂部電極710Aにおける電気接点750Aは、底部電極710Bにおける電気接点750Bと電気的に接続される。この電気接点は、1つのマイクロ燃料電池を別のマイクロ燃料電池と直列に電気的に接続することができる。同様の方法を使用して、マイクロ燃料電池を所望に応じて、並列に及び(又は)直列に電気的に接続することができる。
【0042】
図8は、マイクロ燃料電池を製造する一例としての方法を示す概略側面図である。一例としての実施の形態において、燃料電池の配列800は、図5に示した連続的なシート上にロールからロールの(roll−to−roll)過程にて形成することができる。頂部電極710Aの連続的な長さを第一のロール705Aに提供することができる。例えば、連続的な長さの底部電極710Bを第二のロール705B上に提供することができる。連続的な長さの頂部電極710Aと底部電極710Bとの間にて連続的な長さの陽子交換膜840と共に、連続的な長さの頂部電極710Aと底部電極710Bとを接合装置880内に同時に動かすことができる。開口は、予め形成し又は接合装置880に入る直前に形成することができる。頂部電極710A及び底部電極710Bの開口は、接合装置880に入る前に、少なくとも部分的に整合している。接合装置880は、頂部電極810A及び底部電極810Bに圧力を加えて本明細書にて説明した燃料電池積層体を形成する任意の従来の積層工程とすることができる。接着剤を使用すべきとき、接合装置880に入る前に、接着剤は、陽子交換膜及び(又は)頂部電極710A及び底部電極710Bに施すことができる。接合装置880から出た後、所望であれば、複数の燃料電池をダイシングして単一の燃料電池又は燃料電池配列にするためダイサーを提供することができる。
【0043】
図9は、燃料リザーバ909に取り付けられた一例としての燃料電池900の斜視図である。一例としての実施の形態において、燃料電池配列900は、リザーバ909に固定されて、陽子交換膜が開口を介してリザーバ909内の燃料に露呈されるようにする。リザーバ909は、水素又は同様のもののような燃料源を保持することができる。燃料電池配列900は、直列、並列又はその幾つかの組み合わせにて接続された2つ以上の燃料電池を表わす電気接点912A、912Bを有することができる。電気接点912A、912Bを使用して外部荷重に対し電力を提供することができる。この実施の形態において、副産物は水であり、この水は、陽子交換膜の外面に集まり且つ、周囲の空気に蒸発する。
【0044】
本発明は、上述した特定の実施の形態にのみ限定されものとみなすべきではなく、特許請求の範囲に妥当に記載された本発明の全ての形態を包含するものと理解すべきである。本発明が適用可能である色々な変更例、等価的な過程、及び多数の構造体は、本明細書を読んだとき、本発明の関係する技術の当業者に容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】1Aないし1Dは、製造中の色々なステップにおける一例としてのマイクロ燃料電池の断面概略図である。
【0046】
1Eは、図1Dに示したマイクロ燃料電池100の頂面概略図である。
【図2】2Aないし2Dは、製造中の色々なステップにおける別の一例としてのマイクロ燃料電池の断面概略図である。
【0047】
2Eは、図2Dに示したマイクロ燃料電池の頂面概略図である。
【図3】3Aないし3Cは、製造中の色々なステップにおける別の一例としてのマイクロ燃料電池の断面概略図である。
【0048】
3Dは、図3Cに示したマイクロ燃料電池の頂面概略図である。
【図4】4Aないし4Cは、製造中の色々なステップにおける別の一例としてのマイクロ燃料電池の断面概略図である。
【0049】
4Dは、図4Cに示したマイクロ燃料電池の頂面概略図である。
【図5】マイクロ燃料電池配列の斜視図である。
【図6】色々な形態にダイシングされた、図5に示した燃料電池配列の斜視図である。
【図7】本発明の別の一例としての実施の形態に従った燃料電池配列の分解斜視図である。
【図8】マイクロ燃料電池を製造する一例としての方法を示す概略側面図である。
【図9】燃料リザーバに取り付けられた一例としての燃料電池の斜視図である。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図4D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を製造する方法において、
第一の電極層を通る第一の開口表面により画成された第一の開口を形成するステップと、
第二の電極層を通る第二の開口表面により画成された第二の開口を形成するステップと、
第一の電極層と第二の電極層との間にて陽子交換膜を積層して第一の開口を第二の開口と少なくとも部分的に整合させ、燃料電池を形成するようにするステップと、
を備える、燃料電池を製造する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、第一の電極層と陽子交換膜との間に、及び第二の電極層と陽子交換膜との間に接着剤を提供するステップを更に備える、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、接着剤を提供するステップは、第一及び(又は)第二の開口を形成するステップの前に行われる、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、開口を形成するステップは、第一の電極層と陽子交換膜との間、及び第二の電極層と陽子交換膜との間に接着剤を提供するステップの前に行われる、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、第一の電極層と第二の電極層とに導電層を設けるステップを更に備える、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、開口を形成するステップの後に、第一の電極層と第二の電極層とに導電層を提供するステップを更に備える、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、第一の電極層と第二の電極層とに導電層を設け、第一及び第二の電極層は実質的に非導電性であるようにするステップを更に備える、方法。
【請求項8】
複数の燃料電池を製造する方法において、
第一の電極シートを通して第一の複数の開口を形成するステップと、
第二の電極シートを通して第二の複数の開口を形成するステップと、
第一の電極シートと、第二の電極シートとの間にて陽子交換膜を積層して第一の複数の開口を第二の複数の開口と少なくとも部分的に整合し、複数の燃料電池を形成するようにするステップと、
を備える、複数の燃料電池を製造する方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、第一の電極シートと陽子交換膜との間に、及び第二の電極シートと陽子交換膜との間に接着剤を提供するステップを更に備える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、接着剤を提供するステップは、第一の複数の開口を形成し、且つ第二の複数の開口を形成するステップの前に行われる、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、開口を形成するステップは、第一の電極シートと陽子交換膜との間に、及び第二の電極シートと陽子交換膜との間に接着剤を提供するステップの前に行われる、方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法において、積層するステップは、第一の電極シートと第二の電極との間に陽子交換膜を積層し、第一の電極シート及び第二の電極シートは少なくとも1つの領域内にて陽子交換膜を超えて伸びるようにするステップを備える、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、陽子交換膜に隣接する第一の電極シートの表面に多数のパターン化した第一の電極と、陽子交換膜に隣接する第二の電極シートの表面に多数のパターン化した第二の電極とを提供し、第一及び第二のパターン化した電極の少なくとも一部が少なくとも1つの領域内に伸びるようにするステップを更に備える、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、第一の電極の少なくとも1つは、少なくとも1つの領域内にて第二の電極の少なくとも1つと重なり合い、且つ該少なくとも1つの第二の電極と電気的に接触する、方法。
【請求項15】
燃料電池において、
第一の電極であって、
第一の電極の頂面、
第一の電極の底面、
第一の電極の頂面と第一の電極の底面との間の第一の距離により画成された第一の電極の厚さ、及び
第一の電極の開口表面により画成された、第一の電極の厚さにわたる第一の電極開口を備える第一の電極と、
第二の電極であって、
第二の電極の頂面、
第二の電極の底面、
第二の電極の頂面と第二の電極の底面との間の第二の距離により画成された第二の電極の厚さ、及び
第二の電極の開口表面により画成された、第二の電極の厚さにわたる第二の電極開口を備える第二の電極と、
第一の電極の頂面の少なくとも一部分、第一の電極の底面の少なくとも一部分及び第一の電極の開口表面の少なくとも一部分に配設された第一の導電層と、
第二の電極の頂面の少なくとも一部分、第二の電極の底面の少なくとも一部分及び第二の電極の開口表面の少なくとも一部分に配設された第二の導電層と、
第一の導電層と第二の導電層とに接触し且つ、該第一の導電層と第二の導電層との間に配設された陽子交換膜とを備え、
第一の電極開口は、少なくとも部分的に第二の電極開口と整合される、燃料電池。
【請求項16】
請求項15に記載の燃料電池において、頂部触媒層と、陽子交換膜に隣接する底部触媒層とを更に備える、燃料電池。
【請求項17】
請求項15に記載の燃料電池において、陽子交換層は0.0254mm(1ミル)以下の厚さを有する、燃料電池。
【請求項18】
請求項15に記載の燃料電池において、第一の開口表面は1mm以下の第一の開口の断面表面積を画成する、燃料電池。
【請求項19】
請求項15に記載の燃料電池において、第一の導電層は1000Å以下の厚さを有する、燃料電池。
【請求項20】
請求項15に記載の燃料電池において、第二の導電層は1000Å以下の厚さを有する、燃料電池。
【請求項21】
請求項15に記載の燃料電池において、第一の電極の厚さ及び第二の電極の厚さは0.0508mm(2ミル)以下である、燃料電池。
【請求項22】
燃料電池において、
第一の開口を有する第一の電極と、
第二の開口を有する第二の電極と、
第一の電極と第二の電極と電気的に接触し且つ、該第一の電極と第二の電極との間に配設され、また、第一の開口及び第二の開口を跨ぐ陽子交換膜とを備え、
第一の開口は、少なくとも部分的に第二の開口と整合され、陽子交換層は、第一の開口と第二の開口との少なくとも主要部分を亙って非支持状態とされる、燃料電池。
【請求項23】
燃料電池において、
第一の複数の電気接点と、第一の複数の開口とを有し、少なくとも選ばれた第一の電気接点が隣接する相応する開口から第一の領域まで伸びる頂部層と、
第二の複数の電気接点と、第二の複数の開口とを有し、少なくとも選ばれた第二の電気接点が隣接する相応する開口から第二の領域まで伸びる底部層と、第一の領域は、重なり合い領域にて第二の領域と少なくとも部分的に重なり合うことと、
開口に隣接するが、重なり合い領域内でなしに、頂部層と底部層との間に配設された陽子交換膜と、
を備える、燃料電池。
【請求項24】
請求項23に記載の燃料電池において、陽子交換膜と頂部層との間、陽子交換膜と底部層との間、又は陽子交換膜と底部層及び頂部層との間に接着剤層が配設される、燃料電池。
【請求項25】
複数の燃料電池を製造する方法において、
第一の複数の開口と第一の複数の電気接点とを有する第一の長さの材料を提供するステップと、
第二の複数の開口と第二の複数の電気接点とを有する第二の長さの材料を提供するステップと、
陽子交換膜を提供するステップと、
第一の長さの材料を接合装置内に動かすステップと、
第二の複数の開口が第一の複数の開口と少なくとも部分的に整合するように第二の長さの材料を接合装置内に動かすステップと、
第一及び第二の長さの材料と共に且つ第一及び第二の長さの材料の間にて同時に陽子交換膜を接合装置内に動かし、陽子交換膜の少なくとも一部分が複数の第一及び第二の開口と整合されて複数の燃料電池を形成するようにするステップとを備える、複数の燃料電池を製造する方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、陽子交換膜と第一の長さの材料との間、陽子交換膜と第二の長さの材料との間、又は陽子交換膜と第一及び第二の長さの材料との間に接着剤層を提供するステップを更に備える、方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法において、複数の燃料電池をダイシングして単一の燃料電池にするステップを更に備える、方法。
【請求項28】
請求項25に記載の方法において、複数の燃料電池をダイシングして燃料電池配列にするステップを更に備える、方法。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−517371(P2007−517371A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547223(P2006−547223)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/042798
【国際公開番号】WO2005/067084
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】