説明

マイクロ電気機械システムスイッチを用いた静電放電保護

インターフェース回路の実施形態が記載される。このインターフェース回路は、入力パッド、制御ノードおよびトランジスタを含み、これは、3つの端子を有する。第1の端子は、入力パッドに電気的に結合されており、第2の端子は、制御ノードに電気的に結合される。さらに、インターフェース回路は、マイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチを含み、これは、入力パッドおよび制御ノードに電気的に結合されており、MEMSスイッチは、トランジスタと並列である。MEMSスイッチの制御端子に適用される電圧が不在の場合、MEMSスイッチは閉じられ、その結果、入力パッドおよび制御ノードを電気的に結合する。さらに、電圧がMEMSスイッチの制御端子に適用された場合に、MEMSスイッチは開かれ、その結果、入力パッドおよび制御ノードの電気的結合を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明の実施形態は、回路に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、静電放電から回路を保護する方法および回路に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術)
多くの集積回路(IC)に対する主要な信頼性問題は、静電放電(ESD)である。ESDイベントの間、大量の電荷が、比較的短時間において、1つのオブジェクト(例えば、人間、伝送ラインまたは金属片)から別のオブジェクト(例えば、IC)に転送され、この結果、ICに対する著しい損傷を引き起こし得るピーク電流をもたらす。例えば、ESD損傷は、ゲート酸化物のブレークダウン、ゲート酸化物におけるボイド形成、および/または、相互接続の融解および蒸発を含む。ESDイベントに対するICの復元性を試験するために用いられる一般的なモデルは、人体モデルであり、人体モデルにおいては、試験下のICは、立ち上がり時間10〜30nsで1.3Aのピーク電流に耐えなければならない。別の広く用いられているESD要件は、ICが任意のピン上で2000Vに耐えるという能力である。
【0003】
図1は、例えば入力/出力回路等の既存のインターフェース回路100を示すブロック図である。この回路において、ESDは、入力パッド110を介して放出され得る。このようなイベントは、トランジスタ112の一方または両方に損傷を与え得るが、n型プルダウントランジスタ112−2は、典型的には、ESDに対してより敏感である。このトランジスタは、既存のインターフェース回路200における寄生効果(parasitic effect)を示すブロック図を提示する、図2においてさらに記載される。n型トランジスタ112−2に関連付けられた回路において、2つの「寄生」デバイスが存在するということに留意されたい。2つの「寄生」デバイスは、nチャネルにわたる横方向npnバイポーラトランジスタ、ドレイン(入力パッド110)と基板210(接地)との間、すなわち、n型トランジスタ112−2のn+領域とp基板との間のリバースダイオードを含む。
【0004】
一部の既存のCMOSインターフェース回路において、n型トランジスタ112−2に関連付けられた寄生バイポーラトランジスタは、いわゆる「スナップバック(snapback)」機構を介して、ESD保護を提供する。これは、電流310のグラフ300を既存のトランジスタに対する電圧312の関数として提示する、図3において示されている。ESDイベントの間の2次効果(例えば、nゲートストラッピング)を無視することにより、スナップバック機構は、本質的に、n型トランジスタ112−2(図2)におけるnチャネルを十分にオンにし、そして、これが、電荷を接地に伝導することを可能にする。スナップバック機構は、n型トランジスタ112−2(図2)のスナップバック電圧が、n型トランジスタ112−2(図2)に関連付けられた寄生ダイオードのブレークダウン電圧VCEよりも小さい限りにおいて、ESD保護を提供するということに留意されたい。
【0005】
不都合なことに、デバイスのスケールが変更されることに伴い、ゲート酸化物の厚さおよびpn接合部の幅は減少し、これは、ESDイベントが、ICに損傷を与えたり、破壊したりするエネルギーを低減したり、電圧を低下させたりすることを可能にする。さらに、250nm以下の臨界的な寸法を有する技術に対して、寄生ダイオードのブレークダウン電圧は、スナップバック電圧よりも小さくなり、その結果、寄生リバースpn接合部のブレークダウンを、n型トランジスタに対するプライマリESD保護デバイスに切り替えることは、しばしば十分ではない。
【0006】
その結果、効果的なESD保護を提供するために、ICの入力パッド、出力パッド、電力パッドのまわりに、追加的な保護回路がしばしば追加される。例えば、典型的なインターフェース回路において、非寄生ダイオードが、ESD保護のために追加される。これは、既存のインターフェース回路400を示すブロック図を提示する、図4において示されている。典型的に、ダイオード410は、ESDイベントの間に発生し得る大電流に耐えることが可能でなければならない(n型トランジスタにわたるダイオードは、シャントとして機能し、全電流を流出させるということに留意されたい)。しかしながら、既存のプロセスを用いることにより、結果として得られるダイオードは、n型トランジスタ112−2と同程度のエリアを占有し得、これは、ICのコストを著しく増大させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、上述した問題を伴わない、例えばインターフェース回路等の回路をESDから保護するための回路および技術に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、入力パッド、制御ノードおよびトランジスタを含むインターフェース回路を提供し、これは3つの端子を有する。第1の端子は、入力パッドに電気的に結合され、第2の端子は、制御ノードに電気的に結合される。さらに、インターフェース回路は、マイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチを含み、これは、入力パッドおよび制御ノードに電気的に結合されており、MEMSスイッチは、トランジスタと並列である。MEMSスイッチの制御端子に適用される電圧が不在の場合、MEMSスイッチは閉じられ、その結果、入力パッドおよび制御ノードを電気的に結合する。さらに、電圧がMEMSスイッチの制御端子に適用される場合、MEMSスイッチは開かれ、その結果、入力パッドおよび制御ノードの電気結合を切断する。
【0009】
一部の実施形態において、MEMSスイッチは、静電放電(ESD)からトランジスタを保護するように構成されている。
【0010】
一部の実施形態において、インターフェース回路は、電圧を提供するための制御ノードを含む。この制御回路は、供給電圧がインターフェース回路に提供された場合に、電圧を提供する。さらに、制御回路は、チャージポンプを含み得る。この実施形態において、電圧は、インターフェース回路の供給電圧よりも大きいものであり得る。
【0011】
一部の実施形態において、制御ノードは、接地または供給電圧を電気的に結合するように構成されている。
【0012】
さらに、トランジスタは、n型であり得る。
【0013】
一部の実施形態において、インターフェース回路は、集積回路上に配置され得る。さらに、MEMSスイッチは、少なくとも部分的に、集積回路の金属層に配置され得る。
【0014】
一部の実施形態において、MEMSスイッチは、介在層によって分離された2つの金属接触を含む。この介在層は、5Ω/□(単位面積あたりのオーム)未満のシート抵抗を有し得る。さらに、介在層は、2Ω/□よりも大きいシート抵抗を有し得る。一部の実施形態意おいて、介在層は、グラファイト、サリサイドされた金属(salicided metal)、n型シリコン、p型シリコン、および/または、ドープされたポリシリコンを含む。介在層は、MEMSスイッチにおける金属間接触を防ぎ得るということに留意されたい。
【0015】
一部の実施形態において、MEMSスイッチは、メンブレンスイッチアーキテクチャおよび/または片持ちスイッチアーキテクチャを含む。さらに、MEMSスイッチは、垂直構成、水平構成、または、それらの組み合わせを有し得る。垂直構成は、インターフェース回路の平面外に実質的に整列させられ、水平構成は、インターフェース回路の平面内に実質的に整列させられるということに留意されたい。
【0016】
一部の実施形態において、MEMSスイッチは、インターフェース回路に適用される供給電圧が不在の場合に、閉じられる。
【0017】
別の実施形態は、インターフェース回路を表現するデータを含むコンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0018】
別の実施形態は、集積回路を提供する。
【0019】
別の実施形態は、ESDから集積回路におけるトランジスタを保護する方法を提供する。この方法の間、トランジスタと並列のMEMSスイッチの制御端子に適用される電圧が不在の場合に、トランジスタの2つの端子が、トランジスタと並列の閉じられたMEMSスイッチを介して互いに電気的に結合され、閉じられたMEMSスイッチは、インターフェースにおける入力パッドを制御ノードに電気的に結合する。そして、供給電圧がインターフェース回路に提供された場合に、MEMSスイッチを開くためにMEMSスイッチに電圧が適用され、その結果、トランジスタの2つの端子の電気結合を切断し、入力パッドおよび制御ノードの電気結合を切断する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、既存のインターフェース回路を示すブロック図である。
【図2】図2は、既存のインターフェース回路における寄生効果を示すブロック図である。
【図3】図3は、既存のトランジスタに対する電圧の関数としての電流のグラフである。
【図4】図4は、既存のインターフェース回路を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従うインターフェース回路を示すブロック図である。
【図6A】図6Aは、本発明の実施形態に従うマイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチを示すブロック図である。
【図6B】図6Bは、本発明の実施形態に従うMEMSスイッチを示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に従う静電放電(ESD)からインターフェース回路におけるトランジスタを保護するための方法を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施形態に従うシステムを示すブロック図である。
【0021】
複数の図面を通して、同じ参照番号は、対応する部分を参照する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
以下の説明は、当業者が本発明を生産および使用することを可能にするために提示されており、そして、特定の用途およびその要件の文脈で提供されている。開示された実施形態に対する様々な改変は、当業者には明白であり得、本明細書中に定義されている一般的原理は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、その他の実施形態および用途に適用され得る。従って、本発明は、示されている実施形態に限定されるべきではなく、本明細書中に開示されている原理および特徴と整合する最も広い範囲に従うものであるべきである。
【0023】
インターフェース回路、方法、インターフェース回路を含む集積回路(IC)、インターフェース回路を表現するデータを含むコンピュータ読み取り可能な媒体の実施形態が、記載される。このインターフェース回路において、マイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチは、静電放電(ESD)から、入力パッドおよび制御ノード(これは、供給電圧(Vdd)または接地に対して結合され得る)に電気的に結合されたトランジスタを保護するために用いられ得る。特に、MEMSスイッチは、トランジスタと並列の入力パッドおよび制御ノードに電気的に結合され得る。MEMSスイッチの制御端子に適用される電圧が不在の場合(例えば、供給電圧が不在の場合に制御端子に適用される電圧が存在しない可能性がある場合、すなわち、供給電圧がインターフェース回路に適用されない場合)、MEMSスイッチは、入力パッドおよび制御ノードを電気的に結合するために閉じられ得る。(従って、MEMSスイッチのデフォルト状態は、入力パッドを接地に電気的に結合し、これは以後、「通常接地(noamally grounded)状態」と称される)。さらに、電圧が(例えば、制御回路によって)MEMSスイッチの制御端子に適用される場合、MEMSスイッチは、入力パッドおよび制御ノードが電気的結合を切断されるように、開かれる。
【0024】
一部の実施形態において、MEMSスイッチは、介在層によって分離された2つの金属接触を含む。この介在層は、MEMSスイッチにおける金属間接触(metal−to−metal contact)を防ぎ得る。
【0025】
「通常接地」された構成を有するMEMSスイッチを用いることにより、すなわち、入力パッドおよび制御ノード(例えば、接地、供給電圧、または、それらの両方)を電気的に結合することにより、インターフェース回路は、ESDから保護され得る。さらに、MEMSスイッチは、ダイオードと比較して、改善されたESD保護能力を与え得、そして、ICにおいて著しく小さい面積を占有し得、その結果、信頼性を改善し、そして、コストを低減し得る。
【0026】
以下の議論において、可逆、仮想シャントを接地に提供するMEMSスイッチは、ICにおけるESD保護の具体例として用いられる。しかしながら、様々な機械的スイッチが、インターフェース回路において用いられたり、または、ナノ電気機械システム(MEMS)スイッチを含むインターフェース回路を含むIC上に配置されたりし得る。
【0027】
以下、回路が機能していない場合(例えば、供給電圧および/または接地が回路に電気的に結合されており、回路が電力投入された後にこの接続を切る場合)に、通常接地構成を有するMEMSスイッチを含む回路の実施形態を記載する。これは、インターフェース回路500を示すブロック図を提示する、図5において示されている。
【0028】
この回路において、MEMSスイッチ510−2は、n型トランジスタ112−2のドレイン端子およびソース端子をシャントし得、オプションのMEMSスイッチ510−1は、p型トランジスタ112−1のソース端子およびドレイン端子をシャントし得る。ESDイベントが発生する場合、電流サージは、MEMSスイッチ510−2を介する接地への直結した低抵抗の経路を有し、n型トランジスタ112−2は、保護される。(同様に、MEMSスイッチ510−1は、p型トランジスタ112−1を保護し得る)。さらに、(制御回路514によって提供される)電圧512がMEMSスイッチ510のいずれかに適用される場合、これらのスイッチのうちのいずれかの状態が開かれるように変化する場合に、対応するシャントが切断される。例えば、初期電力投入の間(インターフェース回路500を含むICが、最初に、供給電圧および/または接地に電気的に接続される場合)、MEMSスイッチ510は、電圧512を適用することにより、開位置に移動させられ、その結果、インターフェース回路500の通常動作を可能にする。
【0029】
MEMSスイッチ510の状態は、1回、数回、または、インターフェース回路500に対する電力がオフにされる場合に常に、閉から開に変化させられ得ることに留意されたい。従って、MEMSスイッチ510は、インターフェース回路500に適用される供給電圧が不在の場合に、閉じられ得る。例えば、MEMSスイッチ510は、電圧512が不在の場合に閉じられ得る。しかしながら、その他の実施形態において、MEMSスイッチ510は、2つの安定位置(開および閉)を有し得、電圧512は、状態を(例えば開に)変化させる間にのみ必要とされ得る。
【0030】
一部の実施形態において、電圧512は、インターフェース回路500に対する供給電圧以下である。しかしながら、一部の実施形態において、電圧512は、供給電圧以上であり得る。例えば、電圧512は、7Vまたは10Vであり得、供給電圧は、5V以下であり得る。その結果、一部の実施形態において、制御回路514は、オプションのチャージポンプ516を含む。
【0031】
MEMSスイッチのデフォルト状態または閉状態は、MEMSスイッチ600を示すブロック図を提示する、図6Aにおいて示されている。特に、このMEMSスイッチは、介在層614によって分離された2つの金属アーム612を含む。(介在層は、アーム612のうちの一方または両方に含まれ得るということに留意されたい)。
【0032】
介在層614は、MEMSスイッチ600が閉じられている場合に、金属間接触を防ぎ得、これは、アーム612−1が入力パッドに電気的に結合され、アーム612−2が供給電圧または接地に電気的に結合される場合に、MEMSスイッチ600が、例えば電圧512(図5)等の電圧を適用することにより開かれ、端子610を制御することを可能にする。これは、MEMSスイッチ650を示すブロック図を提示する、図6Bにおいて示されている。
【0033】
介在層614は、低い(しかし有限の)抵抗を有する、すなわち、金属よりも高いシート抵抗を有する(ESD電流を搬送するための十分な)優れた導体であり得る。例えば、介在層は、5Ω/□(単位面積あたりのオーム)未満のシート抵抗を有し得る。さらに、介在層は、2Ω/□よりも大きいシート抵抗を有し得る。一部の実施形態において、介在層は、グラファイト、サリサイドされた金属(salicided metal)、n型シリコン、p型シリコン、および/または、ドープされたポリシリコンを含む。介在層614は、原子層堆積および/または化学気相堆積を用いて製造され得るということに留意されたい。
【0034】
一部の実施形態において、スイッチ650は、アーム612上の金属接触(例えば銅)を含む。これらの金属接触は、金属接触のうちの1つに配置された導電性の介在層(例えば介在層614)によって分離され得る。さらに、この介在層は、その他の金属接触に対して「付着しない(non−stick)」ものであり得る。例えば、介在層は、導電性の窒化チタンフィルムの上部に堆積されたグラファイトであり得る。グラファイト層は、導電性の窒化チタンフィルムに付着または接着し得るが、その他の(銅であり得るか、または、銅を含み得る)金属接触に付着または接着してはならないということに留意されたい。
【0035】
図6Aおよび6Bは、片持ちスイッチ(cantilever−switch)アーキテクチャを示しているが、その他の実施形態において、メンブレンスイッチアークテクチャが用いられる。さらに、MEMSスイッチ600(図6A)および650は、垂直構成、水平構成、または、これらの組み合わせを有し得る。垂直構成は、インターフェース回路の平面外に実質的に整列させられ、水平構成は、インターフェース回路の平面内に実質的に整列させられるということに留意されたい。
【0036】
一部の実施形態において、MEMSスイッチ600(図6A)および650は、少なくとも部分的に、ICの1つ以上の金属層に配置され得る。さらに、MEMSスイッチ600(図6A)および650は、様々な技術を用いて製造され得、そのような技術は、例えば、当業者によって公知な、ネガティブプロセス(このプロセスにおいて、例えば犠牲層等の金属は、除去される)またはポジティブプロセス(このプロセスにおいて、金属は追加される)等である。しかしながら、その他の実施形態において、MEMSスイッチ600(図6A)および650は、インターフェース回路を含むICとは異なるプロセスを用いて製造され得るか、または、インターフェース回路を含むICとは異なる製造設備において製造され得る。従って、MEMSスイッチ600(図6A)および650は、例えば、フリップチップパッケージおよび/または可撓性ケーブルを用いて、ICに電気的に結合され得る。
【0037】
一部の実施形態において、MEMSスイッチ600(図6A)および650は、状態を変化させるために必要な電圧512(図5)のまわりの狭い範囲の電圧(例えば、数ボルト)を提供するように設計される。さらに、MEMSスイッチ600(図6A)および650は、減衰挙動(状態が変化する場合)、アーチング(arcing)、および/または、吸着を制御するように設計され得る。例えば、アーム612のうちの一方または両方の表面は、ネガティブプロセスまたはポジティブプロセスを用いて、粗くされ得る。
【0038】
通常接地構成を有するMEMSスイッチに基づくESD保護は、いくつかの利点を与える。特に、ダイオードベースの解決策と比較して、面積のコストが低減される。例えば、典型的な片持ちMEMSスイッチは、1×0.2μmの面積を占有する。さらに、MEMSスイッチは、活性面積の代わりに、相互接続層上に構成され得る。従って、MEMSスイッチは、インターフェース回路のn型トランジスタと重複し得、その結果、著しい面積の節約をもたらし得る。
【0039】
さらに、MEMSスイッチは、回路がESDに対して脆弱な場合に(例えばデバイスにおける据付けの前に、または、供給電圧および/または接地が切断される場合に)通常接地されるので、これは、ESDの瞬間的な放電を提供する。
【0040】
さらに、ESD誘起電流を放電する場合に、入力パッドと接地(または供給電圧)との間の金属「ショート」が理由で、MEMSスイッチは、ダイオードよりも遥かに高いESD電圧に耐えることが可能であり得る。
【0041】
一部の実施形態において、インターフェース回路500(図5)、MEMSスイッチ600(図6A)およびMEMSスイッチ650は、より少ないコンポーネントまたは追加的なコンポーネントを含む。さらに、2つ以上のコンポーネントが、単一のコンポーネントに組み合わされ得、および/または、1つ以上のコンポーネントの位置が変更させられ得る。
【0042】
以下、ESDからインターフェース回路におけるトランジスタを保護する方法の実施形態を記載する。図7は、ESDからインターフェース回路におけるトランジスタを保護する方法700を示すフローチャートを提示する。この方法の間、トランジスタの2つの端子は、トランジスタと並列のMEMSスイッチの制御端子に適用される電圧が不在の場合に、トランジスタと並列のMEMSスイッチを介して互いに電気的に結合され(710)、閉じられたMEMSスイッチは、インターフェース回路における入力パッドを制御ノードに電気的に接続する。そして、供給電圧がインターフェース回路に提供された場合に、MEMSスイッチを開くために電圧がMEMSスイッチに適用され、その結果、トランジスタの2つの端子の電気的結合を切断し、入力パッドおよび制御ノードの電気的結合を切断する(712)。
【0043】
方法700の一部の実施形態において、追加的なオペレーションまたはより少ないオペレーションが存在し得る。さらに、オペレーションの順序は変更させられ得、および/または、2つ以上のオペレーションが、単一のオペレーションに組み合わされ得る。
【0044】
本明細書中に記載されているデバイスまたは回路は、当該技術分野において利用可能なコンピュータ支援設計ツールを用いて実装され得、このような回路のソフトウェア記述を含むコンピュータ読み取り可能な媒体によって具現化され得る。これらのソフトウェア記述は、挙動記述、抵抗転送記述、論理コンポーネント記述、トランジスタ記述およびレイアウトの幾何学レベル記述であり得る。さらに、ソフトウェア記述は、格納媒体に格納され得るか、または、搬送波によって通信され得る。
【0045】
このような記述が実装されるデータフォーマットは、例えばC等の挙動言語をサポートするフォーマット、例えばVerilogおよびVHDL等の抵抗転送レベル(RTL)言語をサポートするフォーマット、幾何学技術言語(GDSII、GDSIII、GDSIV、CIF、MEBES等)をサポートするフィーマット、および、その他の適切なフォーマットおよび言語を含むが、これらには限定されない。さらに、機械読み取り可能な媒体上でのこのようなファイルのデータ転送は、インターネット上の種々の媒体の上で、または、例えばeメールを介して、電気的に行われ得る。例えば4mm磁気テープ、8mm磁気テープ、3−1/2インチフロッピー(登録商標)媒体、CD、DVD等のように、物理的ファイルが、機械読み取り可能な媒体上に実装され得るということに留意されたい。
【0046】
図8は、例えばコンピュータ読み取り可能なファイル等を格納するシステム800の実施形態を示すブロック図を提示する。このシステムは、高速ランダムアクセスメモリおよび/または不揮発性メモリ、例えば、少なくとも1つのデータプロセッサまたは中央処理ユニット(CPU)810、メモリ824、これらのコンポーネントを別のコンポーネントに結合するための1つ以上のワイヤまたは通信バス822を含み得る。メモリ824は、例えばROM,RAM,EPROM、EEPROM、フラッシュ、1つ以上のスマートカード、1つ以上の磁気ディスク格納デバイス、および/または、1つ以上の光学的格納デバイス等を含み得る。
【0047】
メモリ824は、回路コンパイラ826および回路記述828を格納し得る。回路記述828は、図5、6A、6Bに関して上述した回路の記述または回路のサブセットを含み得る。特に、回路記述828は、1つ以上のインターフェース回路830、1つ以上のトランジスタ832、1つ以上のMEMSスイッチ834、1つ以上の制御ロジック836、および/または、1つ以上の光学的チャージポンプ838の回路記述を含み得る。
【0048】
一部の実施形態において、システム800は、より少ないコンポーネントまたは追加的なコンポーネントを含む。さらに、2つ以上のコンポーネントが、単一のコンポーネントに組み合わされ得、および/または、1つ以上のコンポーネントの位置が変更させられ得る。
【0049】
上述の実施形態は、具体例としてのインターフェース回路を用いたが、その他の実施形態において、MEMSスイッチは、無数の用途において用いられ得る様々な回路、電子デバイス、ICに対するESD保護を提供するために用いられ得る。
【0050】
本発明の実施形態の上述した記載は、例示および記載のみを目的として提示された。これらは、排他的であること、または、本発明を開示された形式に限定することを意図されていない。従って、多くの改変および変形が、当業者には明白であり得る。従って、上述した開示は、本発明を限定することを意図されていない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフェース回路であって、
入力パッドおよび制御ノードと、
3つの端子を有するトランジスタであって、第1の端子は、該入力パッドに電気的に結合され、第2の端子は、該制御ノードに電気的に結合される、トランジスタと、
該入力パッドおよび該制御ノードに電気的に結合されるマイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチであって、該MEMSスイッチは、該トランジスタと並列である、MEMSスイッチと
を含み、
該MEMSスイッチの制御端子に適用される電圧が不在の場合、該MEMSスイッチは閉じられ、その結果、該入力パッドおよび該制御ノードを電気的に結合し、そして、該電圧が該MEMSスイッチの該制御端子に適用される場合、該MEMSスイッチは開かれ、その結果、該入力パッドおよび該制御ノードの電気的結合を切断する、インターフェース回路。
【請求項2】
前記MEMSスイッチは、静電放電(ESD)から前記トランジスタを保護するように構成される、請求項1に記載のインターフェース回路。
【請求項3】
前記電圧を提供する制御回路をさらに含む、請求項1に記載のインターフェース回路。
【請求項4】
前記制御回路は、供給電圧が前記インテーフェース回路に提供された場合に、前記電圧を提供する、請求項3に記載のインターフェース回路。
【請求項5】
前記制御回路は、チャージポンプを含む、請求項3に記載のインターフェース回路。
【請求項6】
前記電圧は、前記インターフェース回路の供給電圧よりも大きい、請求項1に記載のインターフェース回路。
【請求項7】
前記制御ノードは、接地または供給電圧に電気的に結合するように構成されている、請求項1に記載のインターフェース回路。
【請求項8】
前記トランジスタは、n型である、請求項1に記載のインターフェース回路。
【請求項9】
前記インターフェース回路は、集積回路上に配置される、請求項1に記載のインターフェース回路。
【請求項10】
前記MEMSスイッチは、少なくとも部分的に、前記集積回路の金属層に配置される、請求項9に記載のインターフェース回路。
【請求項11】
前記MEMSスイッチは、介在層によって分離された2つの金属接触を含む、請求項1に記載のインターフェース回路。
【請求項12】
前記介在層は、5Ω/□未満のシート抵抗を有する、請求項11に記載のインターフェース回路。
【請求項13】
前記介在層は、2Ω/□よりも大きいシート抵抗を有する、請求項12に記載のインターフェース回路。
【請求項14】
前記介在層は、前記MEMSスイッチにおける金属間接触を防ぐ、請求項11に記載のインターフェース回路。
【請求項15】
前記介在層は、サリサイドされた金属を含む、請求項11に記載のインターフェース回路。
【請求項16】
前記介在層は、グラファイトを含む、請求項11に記載のインターフェース回路。
【請求項17】
前記介在層は、n型シリコン、p型シリコン、または、ドープされたポリシリコンを含む、請求項11に記載のインターフェース回路。
【請求項18】
前記MEMSスイッチは、メンブレンスイッチアーキテクチャまたは片持ちスイッチアーキテクチャを含む、請求項1に記載のインターフェース回路。
【請求項19】
前記MEMSスイッチは、垂直構成または水平構成を有し、該垂直構成は、前記インターフェース回路の平面外に実質的に整列させられ、該水平構成は、該インターフェース回路の該平面内に実質的に整列させられる、請求項1に記載のインターフェース回路。
【請求項20】
前記MEMSスイッチは、前記インターフェース回路に適用される供給電圧が不在の場合に、閉じられる、請求項1に記載のインターフェース回路。
【請求項21】
インターフェース回路を表現するデータを含むコンピュータ読み取り可能な媒体であって、該インターフェース回路は、
入力パッドおよび制御ノードと、
3つの端子を有するトランジスタであって、第1の端子は、該入力パッドに電気的に結合され、第2の端子は、該制御ノードに電気的に結合される、トランジスタと、
該入力パッドおよび該制御ノードに電気的に結合されるマイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチであって、該MEMSスイッチは、該トランジスタと並列である、MEMSスイッチと
を含み、
該MEMSスイッチの制御端子に適用される電圧が不在の場合、該MEMSスイッチは閉じられ、その結果、該入力パッドおよび該制御ノードを電気的に結合し、そして、該電圧が該MEMSスイッチの該制御端子に適用される場合、該MEMSスイッチは開かれ、その結果、該入力パッドおよび該制御ノードの電気的結合を切断する、媒体。
【請求項22】
集積回路であって、
インターフェース回路
を含み、該インターフェース回路は、
入力パッドおよび制御ノードと、
3つの端子を有するトランジスタであって、第1の端子は、該入力パッドに電気的に結合され、第2の端子は、該制御ノードに電気的に結合される、トランジスタと、
該入力パッドおよび該制御ノードに電気的に結合されるマイクロ電気機械システム(MEMS)スイッチであって、該MEMSスイッチは、該トランジスタと並列である、MEMSスイッチと
を含み、
該MEMSスイッチの制御端子に適用される電圧が不在の場合、該MEMSスイッチは閉じられ、その結果、該入力パッドおよび該制御ノードを電気的に結合し、そして、該電圧が該MEMSスイッチの該制御端子に適用される場合、該MEMSスイッチは開かれ、その結果、該入力パッドおよび該制御ノードの電気的結合を切断する、集積回路。
【請求項23】
静電放電(ESD)から集積回路におけるトランジスタを保護する方法であって、
該トランジスタと並列の閉じられたMEMSスイッチの制御端子に適用される電圧が不在の場合に、該トランジスタと並列の閉じられたMEMSスイッチを介して、該トランジスタの2つの端子を互いに電気的に結合することであって、該閉じられたMEMSスイッチは、該インターフェース回路における入力パッドを制御ノードに電気的に結合する、ことと、
供給電圧が該インターフェース回路に提供される場合に、該MEMSスイッチを開くために該MEMSスイッチに電圧を適用し、その結果、該トランジスタの該2つの端子の電気的結合を切断し、該入力パッドおよび該制御ノードの電気的結合を切断することと
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−528848(P2011−528848A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520084(P2011−520084)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/050357
【国際公開番号】WO2010/011514
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(597035274)シノプシス, インコーポレイテッド (33)
【氏名又は名称原語表記】SYN0PSYS, INC.
【Fターム(参考)】