説明

マイクロRNA(miRNA)の二色リアルタイム/エンドポイント定量化

本発明は、2つのサンプルの間で、標的ポリヌクレオチド配列(特に、miRNAのような小さい標的ポリヌクレオチド)を検出するための方法、試薬、キット、および組成物に関する。リンカープローブの対は、標的ポリヌクレオチドの特定の種を照会するために、2つの異なる反応において利用され得る。検出用プローブの対、標的ポリヌクレオチドに特異的な単一のフォワードプライマー、およびリバースプライマーは、2つのサンプルの間の標的ポリヌクレオチドの発現レベルの相違を照会するために、増幅反応において使用され得る。いくつかの実施形態において、複数の小さいmiRNAは、複数のリンカープローブによって照会される。次いで、複数の照会されたmiRNAは、複数の増幅反応において解読され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本教示は、分子生物学および細胞生物学にあり、具体的には、miRNAのような標的ポリヌクレオチドを検出する分野にある
【背景技術】
【0002】
(導入)
RNA干渉(RNAi)は、転写後の遺伝子調節に関係する、高度に調整され、配列特異的な機構である。プロセスの最初の工程の間に、Dicerと称されるリボヌクレアーゼ(RNase)II様の酵素が、長い二本鎖RNA(dsRNA)および複雑なヘアピン前駆体を以下へと縮小させる:1)メッセンジャーRNA(mRNA)を分解する低分子干渉RNA(siRNA)、および2)切断について標的mRNAを標的化し得るか、または翻訳を弱める得るマイクロRNA(miRNA)。
【0003】
分子のsiRNA分類は、特徴的なジヌクレオチドの3’オーバーハングを有する21〜23ヌクレオチド(nt)の二重鎖(deplux)から構成されると考えられる(非特許文献1)。siRNAは、RNAiにおいて機能的中間体として作用することが示されており、具体的には、一般的には抗ウイルス性の細胞防御機構であると見なされるプロセスにおいて相補的なmRNA標的の切断を導く(非特許文献2、非特許文献3)。標的RNAの切断は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)によって触媒され、RISCは、siRNA誘導性エンドヌクレアーゼとして機能する(非特許文献4において概説される)。
【0004】
マイクロRNA(miRNA)は、代表的に、より大きいステム−ループの前駆体RNAからプロセシングされる、約22塩基長(18〜25塩基長)からなる一本鎖の内因性オリゴリボヌクレオチドを含む。miRNAをコードすることが認められた最初の遺伝子(C.elegansのlin−4およびlet−7)は、機能喪失変異に関連する発生のタイミングの欠損に基づいて同定された(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7による概説)。miRNA指示性の遺伝子調節の広さおよび重要性は、より多くのmiRNAならびに調節の標的および機能が見出されるにつれて明らかとなる。現在まで、合計で少なくとも700種のmiRNAが、C.elegans、Drosophila(非特許文献8)、マウス、ヒト(非特許文献9)、および植物(非特許文献10)において同定されている。それらの配列は、代表的に、異なる種の間で保存される。miRNAに関して18〜25ヌクレオチドの大きさの範囲が、現在までに最も一般的に見出される。
【0005】
大部分のmiRNAsの機能は、公知ではない。最近見出されたmiRNA機能は、ハエにおける細胞増殖、細胞死、および脂肪代謝の制御(非特許文献11;非特許文献12)、線虫におけるニューロンのパターン形成(非特許文献13)、哺乳動物における造血系の分化の調節(非特許文献14)、ならびに植物における葉および花の発育の制御(非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18)を含む。miRNAは遺伝子調節の新しい局面を示し得るという推測が、存在する。
【0006】
大部分のmiRNAは、クローニングによって見出されている。AmbionおよびQIAGENから研究者用に市販されている少数のクローニングキットが存在するが、そのプロセスは、労力を要し、そしてあまり正確ではない。さらに、miRNAの定量化に利用可能な信頼できる技術は、ほとんど存在していない(非特許文献19)。ノーザンブロッティングが、使用されているが、その結果は、定量的ではない(非特許文献20)。多くのmiRNA研究者らは、異なる組織、発生の異なる段階、または種々の化学的薬剤による処理後におけるmiRNAのレベルをモニタリングに関心を有する。しかし、miRNAの短い長さが、それらの研究を困難にしている。
【非特許文献1】Ambrosら、RNA、2003年、第9巻、第3号、p.277−279
【非特許文献2】Elbashirら、Nature、2001年、第411巻、第6836号、p.494−498
【非特許文献3】Elbashirら、Genes and Development、2001年、第15巻、第2号、p.188−200
【非特許文献4】Bartel、Cell、2004年、第116巻、第2号、p.281−297
【非特許文献5】Leeら、Cell、1993年、第75巻、第5号、p.843−854
【非特許文献6】Reinhartら、Nature、2000年、第403巻、第6772号、p.901−906
【非特許文献7】Pasquinelliら、Annual Review of Cell and Developmental Biology、2002年、第18巻、p.495−513
【非特許文献8】Fireら、Nature、1998年、第391巻、第6669号、p.805−811
【非特許文献9】Lagos−Quintanaら、Science、2001年、第294巻、第5543号、p.853−858
【非特許文献10】Reinhartら、Genes and Development、2002年、第16巻、第13号、p.1616−1626
【非特許文献11】Brenneckeら、cell、2003年、第113巻、第1号、p.25−36
【非特許文献12】Xuら、Current Biology、2003年、第13巻、第9号、p.790−795
【非特許文献13】JohnstonおよびHobert、Nature、2003年、第426巻、第6968号、845−849
【非特許文献14】Chenら、Science、2004年、第303巻、第5654号、p.83−87
【非特許文献15】AukermanおよびSakai、Plant Cell、2003年、第15巻、第11号、p.2730−2741
【非特許文献16】Chen、Science、2003年、第303巻、第5666号、p.2022−2025
【非特許文献17】Emeryら、Current Biology、2003年、第13巻、第20号、p.1768−1774
【非特許文献18】Palatnikら、Nature、2003年、第425巻、第6955号、p.257−263
【非特許文献19】Allawiら、「Third Wave Technologies」、RNA、2004年7月、第10巻、第7号、p.1153−61
【非特許文献20】Lagos−Quitanaら、Science、2001年、第294巻、第5543号、p.853−854
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
本教示は、2つのサンプルの各々において小さい標的ポリヌクレオチドを定量化するための方法であって、以下を包含する方法を提供する:第1のサンプル由来の小さい標的ポリヌクレオチドおよび第1のリンカープローブを含有する第1の反応混合物を提供する工程であって、ここで上記第1のリンカープローブが、3’標的特異的部分、ステム、およびループを含み、上記3’標的特異的部分が、上記標的ポリヌクレオチドの3’末端と塩基対形成する、工程;第2のサンプル由来の小さい標的ポリヌクレオチドおよび第2のリンカープローブを含有する第2の反応混合物を提供する工程であって、ここで上記第2のリンカープローブが、3’標的特異的部分、ステム、およびループを含み、上記3’標的特異的部分が、上記標的ポリヌクレオチドの3’末端と塩基対形成し、ここで上記第1の反応混合物中の小さい標的ポリヌクレオチドが、上記第2の反応混合物中の小さい標的ポリヌクレオチドと同じ種である、工程;上記第1の反応混合物中の小さい標的ポリヌクレオチドに上記第1のリンカープローブをハイブリダイズさせて第1の標的−リンカープローブ複合体を形成させ、そして上記第2の反応混合物中の小さい標的ポリヌクレオチドに上記第2のリンカープローブをハイブリダイズさせて第2の標的−リンカープローブ複合体を形成させる工程;上記第1の標的−リンカープローブ複合体と、上記第2の標的−リンカープローブ複合体とを混ぜ合わせてプールされた反応混合物を形成する工程であって、ここで上記プールされた反応混合物が、第1の伸長反応生成物および第2の伸長反応生成物を含有する工程;上記第1の伸長反応生成物および上記第2の伸長反応生成物を、第1の検出用プローブおよび第2の検出用プローブの存在下において増幅して、増幅された第1の伸長反応生成物および増幅された第2の伸長反応生成物を形成する工程であって、ここで上記第1の検出用プローブが、上記増幅された第1の伸長反応生成物に対応し、そして第2の検出用プローブが、第2の増幅された第2の伸長反応生成物に対応する、工程;ならびに上記第1の検出用プローブと上記第2の検出用プローブとを比較することによって上記2つのサンプル中の小さい標的ポリヌクレオチドの含量を検出する工程。
【0008】
いくつかの実施形態において、本教示は、第1のリンカープローブを含む反応容器、第2のリンカープローブを含む反応容器を備えるキットであって、ここで上記第1のリンカープローブおよび上記第2のリンカープローブが、同じ3’標的特異的部分および異なるサンプル同定部分を含む、キットを提供する。
【0009】
いくつかの実施形態において、本教示は、小さい標的ポリヌクレオチドの第1の種にハイブリダイズした第1のリンカープローブ、および上記小さい標的ポリヌクレオチドの第2の種にハイブリダイズした第2のリンカープローブを含有する反応混合物であって、ここで上記第1のリンカープローブが、第1のサンプル同定部分を含み、そして上記第2のリンカープローブが、第2のサンプル同定部分を含む、反応混合物を提供する。
【0010】
当業者は、以下に記載される図面が例示目的のためのみのものであることを理解する。図面は、決して本教示の範囲を限定することを意図しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(例示的な実施形態の説明)
本教示の局面は、以下の実施例を考慮してさらに理解され得、これらの実施例は、決して本教示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書中で使用される節の見出しは、組織化の目的のためのみのものであり、そして決して記載される本発明の事柄を限定するものとして解釈されるべきではない。本願に引用される全ての文献および類似する資料としては、特許、特許出願、論文、書籍、学術論文、およびインターネットのウェブページが挙げられるが、これらに限定されず、それらは、目的に応じてその全体が参考として明白に援用される。援用された参考文献中の用語の定義が、本教示において提供される定義と異なるようである場合、本教示において提供される定義が支配する。本教示において考察される温度、濃度、時間などの前に、「約」との意味が存在し、その結果、軽微かつ実質的ではない偏差は、本明細書中の本教示の範囲内であることが認識される。本願において、単数形の使用は、特に明記されない限り、複数形を含む。例えば、「リンカープローブ(a linker probe)」は、1つより多いリンカープローブ(例えば、特定のリンカープローブ種の1つ以上のコピー、および特定のリンカープローブ型の1つ以上のバージョンであるが、これらに限定されない(例えば、第1のサンプル中の異なる標的ポリヌクレオチド種の多様性を照会する異なる第1のリンカープローブの多様性であるが、これに限定されない))が存在し得ることを意味する。また、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(contain)」、「含む(contains)」、「含んでいる(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含んでいる(including)」は、限定することを意図しない。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示および説明のためのみのものであり、そして本発明の制限ではないことが、理解される。
【0012】
(いくつかの定義)
本明細書中で使用される場合、用語「標的ポリヌクレオチド」とは、検出されることが求められるポリヌクレオチド配列をいう。標的ポリヌクレオチドは、任意の供給源から得られ得、そして任意の数の異なる組成上の成分を含み得る。例えば、標的は、核酸(例えば、DNAまたはRNA)、トランスファーRNA、siRNA、および任意の種々の小さい非翻訳RNA(例えば、Science、309:1567−1569(2005)を参照のこと)であり得、そして核酸アナログまたは他の核酸模倣物(mimic)を含み得る。標的は、メチル化されても非メチル化されてもそれらの両方であってもよい。標的は、重硫酸塩処理され、そして非メチル化されたシトシンであり得、これはウラシルに変換され得る。さらに、「標的ポリヌクレオチド」とは、標的ポリヌクレオチド自体、およびその代わりのもの(例えば、増幅産物、およびネイティブの配列)をいい得ることが認識される。いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチドは、miRNA分子である。いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチドは、小さい標的ポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、小さい標的ポリヌクレオチドは、25ヌクレオチド長以下であり得る。いくつかの実施形態において、小さい標的ポリヌクレオチドは、23ヌクレオチド塩基長以下であり得る。いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチドは、ポリ−A尾部を欠く。いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチドは、例えば、法医学的サンプル中に見出され得るが、これに限定されないような分解した供給源に由来する小さいDNA分子である(例えば、Butler、2001、Forensic DNA Typing:Biology and Technology Behind STR Markersを参照のこと)。本教示の標的ポリヌクレオチドは、任意の多くの供給源に由来し得、これらの供給源としては、ウイルス、原核生物、真核生物(例えば、植物、真菌、および動物であるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの供給源としては、全血、組織生検、リンパ液、骨髄、羊水、毛髪、皮膚、精液、生物戦争薬剤(biowarfare agent)、肛門分泌物、膣分泌物、汗、唾液、頬のスワブ、種々の環境性サンプル(例えば、農作物(agricultural)、水、および土壌)、研究用サンプル(一般的に、精製したサンプル(一般的に、培養した細胞、および溶解した細胞)が挙げられ得るが、これらに限定されない。標的ポリヌクレオチドが、当該分野において公知である任意の種々の手段(例えば、Applied Biosystems ABI PrismTM6100 Nucleic Acid PrepStation、およびABI PrismTM6700 Automated Nucleic Acid Workstation(Boomら、米国特許第5,234,809号、mirVana RNA単離キット(Ambion)など、ならびにLaoの米国仮特許出願「Pure miRNA Sample Preparation Method」(2005年9月12日出願)に記載されるアプローチ)を使用し、サンプルから単離され得ることが認識される。標的ポリヌクレオチドは、分析前に切断されても、せん断されてもよく、これは、機械的な力、超音波処理、制限エンドヌクレアーゼによる切断、または当該分野において公知である任意の方法のような手順の使用を包含することが、認識される。一般的に、本教示の標的ポリヌクレオチドは、一本鎖であるが、いくつかの実施形態において、この標的ポリヌクレオチドは、二本鎖であり得、そして一本鎖は、変性から生じ得る。
【0013】
本明細書中で使用される場合、用語「標的ポリヌクレオチドの3’末端領域」とは、リンカープローブの3’標的特異的部分がハイブリダイズする標的の領域をいう。いくつかの実施形態において、標的ポリヌクレオチドの3’末端領域と、リンカープローブの5’末端との間にギャップが、ギャップを埋める伸長反応を伴って存在し得るが、一般的にこのようなシナリオは、二重鎖を不安定化するであろう効果に起因して、好ましくない。いくつかの実施形態において、miRNA分子は、用語「miRNAの3’末端領域」が使用される場合において、標的である。
【0014】
本明細書中で使用される場合、用語「リンカープローブ」とは、対応する標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズした場合に、その3’末端から伸長され得る3’標的特異的部分、ステム、およびループを含む分子をいう。例示的なリンカープローブは、本教示において図2Aなどに示される。本教示のリンカープローブ、およびPCRプライマーが、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、改変されたリボヌクレオチド、改変されたデオキシリボヌクレオチド、改変されたホスフェート−糖−骨格のオリゴヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、またはそれらの組み合わせから構成され得ることが、認識される。種々のヌクレオチドアナログなどのいくつかの例示的な教示に関しては、Fasman、1989、Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology、pp.385−394、CRC Press、Boca Raton、Fla.、Loakes、N.A.R.2001、第29巻:2437−2447、およびPellestorら、Int J Mol Med.2004年4月;13(4):521−5、それらにおいて引用される参考文献、ならびにこれらの概説を引用する最近の論文を参照のこと。所定の標的ポリヌクレオチド配列を照会するためのリンカープローブの選択、およびリンカープローブの回収によって所定の反応において照会する標的ポリヌクレオチド配列の回収の選択は、当該分野において一般的に公知である手順を包含し、そして最小の二次構造および三次構造を有する配列、ゲノムの他の領域との最小の配列重複性を含む標的、所望の熱力学的特性、および手近な状況(context)において望ましい他のパラメータを有する標的領域を選択するためのアルゴリズムの使用を包含し得ることが認識される。
【0015】
本明細書中で使用される場合、用語「3’標的特異的部分」とは、標的ポリヌクレオチドに相補的であるリンカープローブの一本鎖部分をいう。3’標的特異的部分は、上記リンカープローブのステムから下流に配置される。一般的に、3’標的特異的部分は、6ヌクレオチド長と8ヌクレオチド長との間である。いくつかの実施形態において、3’標的特異的部分は、7ヌクレオチド長である。慣習的な実験が、他の長さをもたらし得ること、および8ヌクレオチドより長いか、または6ヌクレオチドより短い3’標的特異的部分もまた、本教示によって企図されることが、認識される。一般的に、3’標的特異的部分の最も3’側(3’−most)のヌクレオチドは、フォワードプライマーの3’ヌクレオチドと、最小の相補性の重複を有するか、または全く重複を有さないべきである;これらの領域における重複は、その後の増幅反応において所望されないプライマーダイマーの増幅産物を産生し得ることが、認識される。いくつかの実施形態において、3’標的特異的部分の最も3’側のヌクレオチドと、フォワードプライマーの3’ヌクレオチドとの間の重複は、0ヌクレオチド、1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、または3ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、3ヌクレオチドより多くのヌクレオチドが、3’標的特異的部分の最も3’側のヌクレオチドと、フォワードプライマーの3’ヌクレオチドとの間で相補的であり得るが、一般的に、このようなシナリオは、その中に分散したさらなる非相補的なヌクレオチドを伴い得る。いくつかの実施形態において、改変された塩基(例えば、LNA)は、上記リンカープローブのTmを上昇させるために3’標的特異的部分において使用され得る(例えば、Petersenら、Trends in Biochemistry(2003)、21:2:74−81を参照のこと)。いくつかの実施形態において、ユニバーサル塩基が、例えば、リンカープローブの、より小さいライブラリーを可能にするために使用され得る。ユニバーサル塩基はまた、未知の標的の検出を可能にするために、上記3’標的特異的部分中に使用され得る。ユニバーサル塩基のいくつかの説明に関しては、例えば、Loakesら、Nucleic Acids Research、2001、第29巻、第12号、2437−2447を参照のこと。いくつかの実施形態において、改変(LNAおよびユニバーサル塩基が挙げられるが、これらに限定されない)は、逆転写の特異性を改良し得、そして検出の特異性を潜在的に向上させ得る。
【0016】
本明細書中で使用される場合、用語「ステム」とは、上記3’標的特異的部分と上記ループとの間にあるリンカープローブの二本鎖領域をいう。一般的に、ステムは、6ヌクレオチド長と20ヌクレオチド長との間(すなわち、合計で12〜40個の別個のヌクレオチドに対して、6〜20個のヌクレオチドの相補的な対)である。いくつかの実施形態において、ステムは、8〜ヌクレオチド長〜14ヌクレオチド長である。当業者は、6ヌクレオチドより短いステムおよび20ヌクレオチドより長いステムが、慣習的な方法論の過程において、過度な実験を伴わずに同定され得ること、ならびにこのような、より短いステムおよびより長いステムが、本教示によって企図されることを認識する。いくつかの実施形態において、ステムは、ジップコード(zipcode)のような同定部分を含み得る。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語「ループ」とは、本教示において図2Aなどに示されるような、ステムの2つの相補鎖の間に位置するリンカープローブの領域をいう。代表的に、このループは、一本鎖ヌクレオチドを含むが、他の部分(改変されたDNAもしくはRNA、C18のようなCarbonスペーサー、および/またはPEG(ポリエチレングリコール))もまた、可能である。一般的に、このループは、4ヌクレオチド長と20ヌクレオチド長との間である。いくつかの実施形態において、このループは、14ヌクレオチド長と18ヌクレオチド長との間である。いくつかの実施形態において、このループは、16ヌクレオチド長である。当業者は、4ヌクレオチドより短いループおよび20ヌクレオチドより長いループが、慣習的な方法論の過程において、過度な実験を伴わずに同定され得ること、ならびにこのような、より短いループおよびより長いループが、本教示によって企図されることを認識する。いくつかの実施形態において、このループは、リバースPCRプライマー部分を含み得る。
【0018】
本明細書中で使用される場合、用語「同定部分」とは、特定のリンカープローブ種を同定し、そしてその結果が標的ポリヌクレオチド配列の起源のサンプルを決定するために使用され得る部分をいい、そしてジップコード、既知の数の核酸塩基、およびそれらの組み合わせが挙げられる種々の識別可能な部分をいい得る。いくつかの実施形態において、同定部分、または同定部分相補体は、検出用プローブにハイブリダイズし得、それによって、解読反応において標的ポリヌクレオチド配列を検出し得る。用語「同定部分相補体」とは、代表的に、核酸塩基の少なくとも1つの配列を含み、その核酸塩基の配列が、それらの対応する同定部分と少なくとも実質的に相補的であり、そしてそれらの対応する同定部分とハイブリダイズする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドをいう。代表的に、同定部分およびそれらの対応する同定部分相補体は、内部の自己ハイブリダイゼーション;異なる同定部分の種、反応組成物中のヌクレオチド配列(gDNAが挙げられるが、これに限定されない)、同定部分相補体の異なる種、またはプローブの標的特異的部分などとの、交差ハイブリダイゼーションを最小にするように選択されるが、同定部分とその対応する同定部分相補体との間の容易なハイブリダイゼーションに従うべきである。同定部分の配列および同定部分相補体の配列は、任意の適切な方法によって選択され得、この方法は、例えば、PCT公開番号WO96/12014およびWO96/41011ならびに欧州公開番号EP 799,897に記載されるようなコンピューターアルゴリズム;ならびにSantaLucia(Proc.Natl.Acad.Sci.95:1460−65(1998))のアルゴリズムおよびパラメータであるが、これらに限定されない。同定部分の説明は、とりわけ、米国特許第6,309,829号(その中で「タグセグメント」と称される);同第6,451,525号(その中で「タグセグメント」と称される);同第6,309,829号(その中で「タグセグメント」と称される);同第5,981,176号(その中で「グリッド(grid)オリゴヌクレオチド」と称される);同第5,935,793号(その中で「識別子タグ(identifier tag)」と称される);およびPCT公開番号WO01/92579(その中で「アドレス可能な担体(addressable support)に特異的な配列」と称される)に見出される。いくつかの実施形態において、上記リンカープローブのステム、上記リンカープローブのループ、またはそれらの組み合わせは、同定部分を含み得、そして上記検出用プローブは、対応する同定部分にハイブリダイズし得る。いくつかの実施形態において、上記検出用プローブは、上記標的ポリヌクレオチドに対応する同定部分および配列の両方とハイブリダイズし得る。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの同定部分(同定部分相補体の二重鎖)は、互いに10℃以下のΔT範囲(Tmax−Tmin)の内に納まる融解温度を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの同定部分(同定部分相補体の二重鎖)は、互いに5℃以下のΔT範囲の内に納まる融解温度を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも2つの同定部分(同定部分相補体の二重鎖)は、互いに2℃以下のΔT範囲の内に納まる融解温度を有する。
【0019】
本明細書中で使用される場合、用語「伸長反応」とは、リンカープローブの上記3’標的特異的部分が伸長して、標的ポリヌクレオチドに相補的な鎖を有する伸長反応生成物が形成される延長反応をいう。いくつかの実施形態において、上記標的ポリヌクレオチドは、miRNA分子であり、そして上記伸長反応は、逆転写酵素を含む逆転写反応である。いくつかの実施形態において、上記伸長反応は、Eubacteriaに由来するポリメラーゼを含む逆転写反応である。いくつかの実施形態において、上記伸長反応は、例えば、Applied Biosystems(カタログ番号N808−0192、およびN808−0098)から市販されているようなrTthポリメラーゼを含み得る。いくつかの実施形態において、上記標的ポリヌクレオチドは、miRNAまたは他のRNA分子であり、従って逆転写特性をも備えるポリメラーゼの使用により、本教示のいくつかの実施形態が、第1の逆転写反応、およびその後の増幅反応を包含し、それによって、本質的に単一の反応における2つの反応の統合を可能にし得ることが、認識される。いくつかの実施形態において、上記標的ポリヌクレオチドは、小さいDNA分子であり、そして上記伸長反応は、ポリメラーゼを含み、そしてDNAの第2の鎖の合成をもたらす。いくつかの実施形態において、上記伸長反応およびその後の増幅反応の統合が、本教示によってさらに企図される。
【0020】
本明細書中で使用される場合、用語「プライマー部分」とは、プライマーが任意の種々の当該分野において公知であるプライマーヌクレオチド伸長反応(例えば、PCR)のためにアニールし得る際の鋳型として、直接機能し得るか、またはその相補体の効力によって機能し得るポリヌクレオチド配列の領域をいう。2つのプライマー部分が単一のポリヌクレオチド上に存在する場合に、この2つのプライマー部分の方向は、一般的には異なることが、当業者により認識される。例えば、一方のPCRプライマーは、第1のプライマー部分に直接ハイブリダイズし得るが、他方のPCRプライマーは、第2のプライマー部分の相補体にハイブリダイズし得る。さらに、本明細書中で使用される場合、「ユニバーサル」プライマーおよびプライマー部分は、一般的に、特定のアッセイおよび宿主ゲノムに対してできる限り固有であるように選択され、そのアッセイの特異性が確保される。
【0021】
本明細書中で使用される場合、用語「フォワードプライマー」とは、伸長反応生成物部分および尾(tail)部分を含むプライマーをいう。上記フォワードプライマーの伸長反応生成物部分は、伸長反応生成物にハイブリダイズする。一般に、上記フォワードプライマーの伸長反応生成物部分は、9ヌクレオチド長と19ヌクレオチド長との間である。いくつかの実施形態において、上記フォワードプライマーの伸長反応生成物部分は、16ヌクレオチドである。上記尾部分は、上記伸長反応生成物部分から上流に配置され、そして上記伸長反応生成物と相補的ではない;しかし、増幅のラウンド後において、上記尾部分は、増幅産物の相補的な配列にハイブリダイズし得る。一般に、上記フォワードプライマーの尾部分は、5ヌクレオチド長と8ヌクレオチド長との間である。いくつかの実施形態において、上記フォワードプライマーの尾部分は、6ヌクレオチド長である。当業者は、フォワードプライマーの尾部分の、5ヌクレオチドより短い長さおよび8ヌクレオチドより長い長さが、慣習的な方法論の過程において、過度な実験を伴わずに同定され得ること、ならびにこのような、より短いフォワードプライマーの尾部分の長さおよびより長いフォワードプライマーの尾部分の長さが、本教示によって企図されることを認識する。さらに、当業者は、9ヌクレオチド長より短い上記フォワードプライマーの伸長反応生成物部分の長さおよび19ヌクレオチド長より長い上記フォワードプライマーの伸長反応生成物部分の長さが、慣習的な方法論の過程において、過度な実験を伴わずに同定され得ること、ならびにこのような、より短いフォワードプライマーの伸長反応生成物部分およびより長いフォワードプライマーの伸長反応生成物部分が、本教示によって企図されることを認識する。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「リバースプライマー」とは、伸長した場合に上記標的ポリヌクレオチドに相補的な鎖を形成するプライマーをいう。いくつかの実施形態において、上記リバースプライマーは、上記リンカープローブのループの領域と一致する。上記伸長反応の後、上記フォワードプライマーは伸長されて、第2の鎖生成物を形成し得る。上記リバースプライマーは、この第2の鎖生成物とハイブリダイズし、そして伸長されて増幅反応を継続し得る。いくつかの実施形態において、上記リバースプライマーは、上記リンカープローブのループの領域、上記リンカープローブのステムの領域、上記標的ポリヌクレオチドの領域、またはそれらの組み合わせと一致する。一般に、上記リバースプライマーは、13ヌクレオチド長と16ヌクレオチド長との間である。いくつかの実施形態において、上記リバースプライマーは、14ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、上記リバースプライマーは、非相補的な尾部領域をさらに含み得るが、このような尾部は、必ずしも必要とされない。いくつかの実施形態において、上記リバースプライマーは、「ユニバーサルリバースプライマー」であり、このユニバーサルリバースプライマーは、上記リバースプライマーの配列が異なる標的ポリヌクレオチドを照会する複数の異なる反応において使用され得るが、それにもかかわらず上記リバースプライマーは同じ配列であることを示す。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「上流」は、分子生物学におけるその慣習上の意味を持ち、そして「下流」領域の5’側にあるポリヌクレオチドの領域の位置をいう。それに対応して、用語「下流」とは、「上流」領域の3’側にあるポリヌクレオチドの領域の位置をいう。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「ハイブリダイゼーション」とは、二重鎖、三重鎖、または他の高次構造の形成を生じる、1つの核酸と別の核酸との相補的な塩基対を形成する相互作用をいい、そして本明細書中で、「アニーリング」と交換可能に使用される。代表的に、一次相互作用は、ワトソン/クリックおよびフーグスティン型の水素結合によって塩基特異的(例えば、A/TおよびG/C)である。塩基スタッキングおよび疎水性相互作用もまた、二重鎖安定性に寄与し得る。検出用プローブおよびプライマーを、相補的および実質的に相補的な標的配列にハイブリダイズさせるための条件は、例えば、Nucleic Acid Hybridization、A Practical Approach、B.HamesおよびS.Higgins編、IRL Press、Washington、D.C.(1985)ならびにJ.WetmurおよびN.Davidson、Mol.Biol.31:349以下参照(1968)に記載されるように周知である。一般に、このようなアニーリングが起こるか否かは、とりわけ、ポリヌクレオチドの長さおよび相補性、pH、温度、一価カチオンおよび二価カチオンの存在、ハイブリダイズする領域中のGヌクレオチドおよびCヌクレオチドの割合、媒体の粘性、ならびに変性剤の存在によって影響を受ける。このような可変性は、ハイブリダイゼーションに必要な時間に影響する。従って、好ましいアニーリング条件は、特定の用途に依存する。しかし、このような条件は、過度の実験を伴わずに、当業者によって慣用的に決定され得る。相補性が完全である必要はない(標的配列と本教示の一本鎖核酸との間のハイブリダイゼーションをあまり妨げない、少数の塩基対ミスマッチが存在し得る)ことが、認識される。しかし、最低限にストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションが起こり得ないほど塩基対ミスマッチの数が多い場合、その配列は、一般に、相補的な標的配列ではない。従って、本明細書中で相補性は、上記プローブまたはプライマーが本教示の目的を達成するために選択した反応条件下においてハイブリダイズするように、標的配列に十分に相補的であることが意味される。
【0025】
本明細書中で使用される場合、用語「増幅する」とは、標的ポリヌクレオチド、標的ポリヌクレオチドを代理するもの、またはそれらの組み合わせの少なくとも一部が、代表的には鋳型依存性の様式で複製される任意の手段をいい、これらの手段としては、線形的かまたは指数関数的のいずれかで核酸配列を増幅する広範な技術が挙げられるが、これらに限定されない。増幅する工程を行なうための例示的な手順としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられる。本教示において使用され得るさらなる技術の説明は、とりわけ、以下において見出され得る:Sambrookら、Molecular Cloning、第3版、;Ausbelら;PCR Primer:A Laboratory Manual、Diffenbach編、Cold Spring Harbor Press(1995);The Electronic Protocol Book、Chang Bioscience(2002)、Msuihら、J.Clin.Micro.34:501−07(1996);The Nucleic Acid Protocols Handbook、R.Rapley編、Humana Press、Totowa、NJ(2002);Abramsonら、Curr Opin Biotechnol.1993年2月;4(1):41−7、米国特許第6,027,998号;同第6,605,451号、Baranyら、PCT公開番号WO97/31256;Wenzら、PCT公開番号WO01/92579;Dayら、Genomics、29(1):152−162(1995)、Ehrlichら、Science 252:1643−50(1991);lnnisら、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications、Academic Press(1990);Favisら、Nature Biotechnology 18:561−64(2000);ならびにRabenauら、Infection 28:97−102(2000);Belgrader、Barany、およびLubin、Development of a Multiplex Ligation Detection Reaction DNA Typing Assay、Sixth International Symposium on Human Identification、1995(promega.com/geneticidproc/ussymp6proc/blegrad.htmlのワールドワイドウェブ上で入手可能);LCR Kit Instruction Manual、Cat.#200520、Rev.#050002、Stratagene、2002;Barany、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:188−93(1991);BiおよびSambrook、Nucl.Acids Res.25:2924−2951(1997);Zirviら、Nucl.Acid Res.27:e40i−viii(1999);Deanら、Proc Natl Acad Sci USA 99:5261−66(2002);BaranyおよびGelfand、Gene 109:1−11(1991);Walkerら、Nucl.Acid Res.20:1691−96(1992);Polstraら、BMC Inf.Dis.2:18−(2002);Lageら、Genome Res.2003年2月;13(2):294−307、ならびにLandegrenら、Science.241:1077−80(1988)、Demidov,V.、Expert Rev Mol Diagn.2002年11月;2(6):542−8.、Cookら、J Microbiol Methods.2003年5月;53(2):165−74、Schweitzerら、Curr Opin Biotechnol.2001年2月;12(1):21−7、米国特許第5,830,711号、同第6,027,889号、同第5,686,243号、公開されたP.C.T.出願WO0056927A3、および公開されたP.C.T.出願WO9803673A1。いくつかの実施形態において、新しく形成された核酸二重鎖は、最初に変性されないが、その後の1つ以上の工程においてそれらの二本鎖形態で使用される。伸長反応は、増幅する技術であり、この技術は、鋳型にアニールされるリンカープローブを、増幅する手段(例えば、ポリメラーゼおよび/または逆転写酵素)を使用して5’方向から3’方向で伸長する工程を包含する。いくつかの実施形態に従って、適切な緩衝液、塩、pH、温度、およびヌクレオチド三リン酸(それらのアナログおよび誘導体を含む)によって(すなわち、適切な条件下において)、ポリメラーゼは、アニールされたリンカープローブの3’末端にて開始して、鋳型鎖に相補的なヌクレオチドを取り込んで、相補鎖を生成する。いくつかの実施形態において、伸長のために使用されるポリメラーゼは、5’エキソヌクレアーゼ活性を欠くか、または実質的に欠く。本教示のいくつかの実施形態において、非慣習的なヌクレオチド塩基は、上記増幅反応産物中に導入され得、そしてこの産物は、この産物がその後の増幅について鋳型として機能できないようにするために、酵素的手段(例えば、グリコシラーゼ)および/または物理化学的手段によって処理される。いくつかの実施形態において、ウラシルは、反応混合物において核酸塩基として含まれ得、それによって、ウラシル−N−グリコシラーゼの使用による先のウラシル含有産物の持ち越しを除染するその後の反応を可能にする(例えば、公開されたP.C.T.出願WO9201814A2)。本教示のいくつかの実施形態において、任意の種々の技術が、例えば、Radstromら、Mol Biotechnol.2004年2月;26(2):133−46に記載されるように、増幅の成功を容易にするために、増幅の前に利用され得る。いくつかの実施形態において、増幅は、例えば、米国特許第6,153,425号および同第6,649,378号に記載されるような、サンプルの調製および検出を包含する自己完結した統合型のアプローチにおいて達成され得る。可逆的に改変された酵素(例えば、米国特許第5,773,258号に記載されるものが挙げられるが、これに限定されない)もまた、本開示の教示の範囲内である。本教示はまた、種々のウラシルベースの除染ストラテジーを企図し、ここで例えば、ウラシルは、増幅反応に組み込まれ得、次いで持ち越し産物は、種々のグリコシラーゼ処理によって除去される(例えば、米国特許第5,536,649号、およびAndersenらの米国仮特許出願60/584682を参照のこと)。当業者は、所望の酵素的活性を有する任意のタンパク質が本開示の方法およびキットにおいて使用され得ることを理解する。逆転写酵素を含むDNAポリメラーゼ、ウラシル−N−グリコシラーゼなどの説明は、とりわけ、Twyman、Advanced Molecular Biology、BIOS Scientific Publishers、1999;Enzyme Resource Guide、rev.092298、Promega、1998;SambrookおよびRussell;Sambrookら;Lehninger;PCR:The Basics;およびAusbelらにおいて見出され得る。
【0026】
本明細書中で使用される場合、用語「検出用プローブ」とは、増幅反応(代表的に、定量的PCR分析またはリアルタイムPCR分析、およびエンドポイント分析のための)において使用される分子をいう。このような検出用プローブは、標的ポリヌクレオチドの増幅をモニタリングするために使用され得る。いくつかの実施形態において、増幅反応において存在する検出用プローブは、生成されたアンプリコンの量を時間の関数としてモニタリングするのに適切である。このような検出用プローブとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:本明細書中に記載される5’−エキソヌクレアーゼアッセイ(TaqMan(登録商標))プローブ(米国特許第5,538,848号もまた参照のこと)、種々のステムループ分子ビーコン(例えば、米国特許第6,103,476号、および5,925,517号、ならびにTyagiおよびKramer、1996、Nature Biotechnology 14:303−308を参照のこと)、ステムのないビーコンもしくは直鎖状ビーコン(例えば、WO99/21881を参照のこと)、PNA Molecular BeaconsTM(例えば、米国特許第6,355,421号および同第6,593,091号を参照のこと)、直鎖状PNAビーコン(例えば、Kubistaら、2001、SPIE 4264:53−58を参照のこと)、非FRETプローブ(例えば、米国特許第6,150,097号を参照のこと)、Sunrise(登録商標)/Amplifluor(登録商標)プローブ(米国特許第6,548,250号)、ステムループおよび二重鎖のScorpionTMプローブ(Solinasら、2001、Nucleic Acids Research.29:E96および米国特許第6,589,743号)、バルジループプローブ(米国特許第6,590,091号)、偽ノット(pseudo knot)プローブ(米国特許第6,589,250号)、サイクリコン(米国特許第6,383,752号)、MGB EclipseTMプローブ(Epoch Biosciences)、ヘアピンプローブ(米国特許第6,596,490号)、ペプチド核酸(PNA)点灯プローブ、自己集合ナノ粒子プローブ、ならびに、例えば米国特許第6,485,901号;Mhlangaら、2001、Methods 25:463−471;Whitcombeら、1999、Nature.Biotechnology.17:804−807;Isacssonら、2000、Molecular.Cell.Probes.14:321−328;Svanvikら、2000、Anal Biochem.281:26−35;Wolffsら、2001、Biotechniques 766:769−771;Tsourkasら、2002、Nucleic Acids Research.30:4208−4215;Riccelliら、2002、Nucleic Acids Research.30:4088−4093;Zhangら、2002、Shanghai.34:329−332;Maxwellら、2002、J.Am.Chem.Soc.124:9606−9612;Broudeら、2002、Trends Biotechnol.20:249−56;Huangら、2002、Chem.Res.Toxicol.15:118−126;およびYuら、2001、J.Am.Chem.Soc.14:11155−11161に記載されるフェロセン修飾プローブ。検出用プローブはまた、クエンチャーを含み得、このクエンチャーとしては、ブラックホール(black hole)クエンチャー(Biosearch)、Iowa Black(IDT)、QSYクエンチャー(Molecular Probes)、ならびにDabsylおよびDabcelのスルホネート/カルボキシレートQuencher(Epoch)が挙げられるが、これらに限定されない。検出用プローブはまた、2つのプローブを含み得、ここで例えば、蛍光(fluor)が、一方のプローブ上にあり、そしてクエンチャーは、他方のプローブ上にあり、標的に対する上記2つのプローブの同時のハイブリダイゼーションは、シグナルを消光するか、またはその標的に対するハイブリダイゼーションは、蛍光の変化によってシグナルのサインを変化させる。検出プローブはまた、カルボキシレート基の代わりにSO3を有するフルオレセイン色素のスルホネート誘導体、フルオレセインのホスホラミダイト形態、CY 5のホスホラミダイト形態(例えば、Amershamから市販されている)を含む。いくつかの実施形態において、エチジウムブロマイド、SYBR(登録商標)Green I(Molecular Probes)、およびPicoGreen(登録商標)(Molecular Probes)のようなインターカレートする標識が使用され、それによって、検出用プローブの非存在下における増幅産物の、リアルタイム、またはエンドポイントでの可視化を可能にする。いくつかの実施形態において、リアルタイムの可視化は、インターカレートする検出用プローブおよび利用され得る配列ベースの検出用プローブの両方を含み得る。いくつかの実施形態において、上記検出用プローブは、上記増幅反応において相補的な配列にハイブリダイズしなかった場合に、少なくとも部分的に消光され、そして上記増幅反応において相補的な配列にハイブリダイズした場合に、少なくとも部分的に消光されない。いくつかの実施形態において、本教示の検出用プローブは、63〜69℃のTmを有するが、本教示によって導かれて、慣用的な実験が他のTmを有する検出用プローブを生じ得ることが、認識される。いくつかの実施形態において、プローブは、所望の熱力学的特性をさらに提供するために、種々の改変(例えば、副溝(minor groove)結合剤)(例えば、米国特許第6,486,308号を参照のこと)をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、検出用プローブは、同定部分または同定部分相補体に対応し得る。いくつかの実施形態において、上記同定部分または同定部分相補体、および対応する検出用プローブは、2つのヌクレオチドのみが変化し得る。例えば、サンプルAをコードする第1の同定部分は、2つのヌクレオチド塩基のみがサンプルBをコードする第2の同定部分と異なり得る。それに対応して、上記2つの検出用プローブは、2つのヌクレオチド塩基のみが互いに異なり得る。このような構成は、上記2つの検出用プローブの活性の間の望まれないバリエーションを最小化し得、従って上記2つのサンプルの間で所与の標的ポリヌクレオチドの間の発現レベルの相違を正確に定量化する能力を改良する。いくつかの実施形態において、上記検出用プローブは、わずかに単一のヌクレオチドによって互いに異なり得る。いくつかの実施形態において、上記検出用プローブは、3つのヌクレオチドが異なり得る。いくつかの実施形態において、上記検出用プローブは、4つのヌクレオチドが異なり得る。
【0027】
本明細書中で使用される場合、用語「対応する」とは、この用語が言及するエレメントの間の特定の関係をいう。「対応する」のいくつかの非限定的な例としては、以下が挙げられる:リンカープローブは、標的ポリヌクレオチドと一致し得、そしてその逆もまた同様である;フォワードプライマーは、標的ポリヌクレオチドと一致し得、そしてその逆もまた同様である;リンカープローブは、所与の標的ポリヌクレオチドに対するフォワードプライマーと一致し得、そしてその逆もまた同様である;上記リンカープローブの3’標的特異的部分は、標的ポリヌクレオチドの3’領域と一致し得、そしてその逆もまた同様である;検出用プローブは、標的ポリヌクレオチドの特定の領域と一致し得、そしてその逆もまた同様である;検出用プローブは、特定の同定部分と一致し得、そしてその逆もまた同様である。いくつかの場合において、対応するエレメントは、相補的であり得る。いくつかの場合において、対応するエレメントは、互いに相補的ではないが、一方のエレメントは、他方のエレメントの相補体に相補的であり得る。
【0028】
本明細書中で使用される場合、用語「またはそれらの組み合わせ」とは、この用語に先行する列挙された品目の全ての順列および組み合わせをいう。例えば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は、以下の少なくとも1つを含むことを意図する:A、B、C、AB、AC、BC、またはABC、および順序が特定の文脈において重要である場合にはまた、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCAB。この例を突き詰めると、1つ以上の品目または用語の反復を含む組み合わせ(BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなど)が、明白に含まれる。当業者は、代表的には、その文脈から明らかでない限り、あらゆる組み合わせにおいて品目または用語の数に制限が存在しないことを、理解する。
【0029】
本明細書中で使用される場合、一般に、用語「反応容器」とは、反応が本教示に従って起こり得る任意の容器をいう。いくつかの実施形態において、反応容器は、エッペンドルフチューブ、および現代的な分子生物学の実験室での一般的な実施におけるそのような他の容器であり得る。いくつかの実施形態において、反応容器は、マイクロタイタープレート中のウェル、スライドガラス上のスポット、または遺伝子発現用のApplied Biosystems TaqMan Low Density Array(かつてのMicroCardTM)中のウェルであり得る。例えば、複数の反応容器が、同一の支持体上に備わり得る。いくつかの実施形態において、例えば、Caliper and Fluidgmから入手可能なラボ−オン−ア−チップ(lab−on−a−chip)のようなデバイスは、反応容器を提供し得る。いくつかの実施形態において、Wenzらの米国仮特許出願11/059、824に記載されるような種々の微小流体アプローチ(microfluidic approach)が、利用され得る。種々の反応容器は、当該分野において利用可能であり、そして本教示の範囲内であることが、認識される。
【0030】
本明細書中で使用される場合、用語「検出」とは、標的ポリヌクレオチドの存在および/または含量および/または正体(identity)を決定する任意の種々の方法をいう。供与体部分とシグナル部分を利用するいくつかの実施形態において、特定のエネルギー転移蛍光染料を使用することができる。供与体(供与体部分)と受容体(シグナル部分)との対の特定の非限定的な例は、例えば、米国特許第5,863,727号、同第5,800,996号、および同第5,945,526号に例示される。供与体と受容体とのいくつかの組み合わせを使用することは、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)とも呼ばれている。いくつかの実施形態において、シグナル伝達プローブとして使用され得るフルオロフォアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ローダミン、シアニン3(Cy 3)、シアニン5(Cy 5)、フルオレセイン、VicTM、LizTM、TamraTM、5−FamTM、6−FamTM、およびテキサスレッド(Molecular Probes)(VicTM、LizTM、TamraTM、5−FamTM、および6−FamTMは、全てApplied Biosystems、Foster City、CA.から入手可能である)。いくつかの実施形態において、励起光への応答における蛍光シグナルを与える検出用プローブの量は、代表的に、増幅反応において生成される核酸の量と関係がある。従って、いくつかの実施形態において、蛍光シグナルの量は、増幅反応においてもたらされる生成物の量に関連する。従って、このような実施形態において、蛍光指示薬からの蛍光シグナルの強度を測定することによって、増幅産物の量を測定し得る。いくつかの実施形態に従って、内部標準を用いて、蛍光シグナルにより示される増幅産物を定量し得る。例えば、米国特許第5,736,333号を参照のこと。蛍光指示薬を含有する組成物を用いた熱サイクリング反応の実施、特定の波長の光線の放射、蛍光色素の強度の読み取り、および各サイクル後の蛍光の強度の呈示を行い得るデバイスが開発されている。サーマルサイクラー、光線放射器、および蛍光シグナル検出器を備えるデバイスが、例えば、米国特許第5,928,907号;同第6,015,674号;および同第6,174,670号において記載されており、そしてこれらには、以下が含まれるが、これらに限定されない:ABI Prism(登録商標)7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems、Foster City、California)、ABI GeneAmp(登録商標)5700 Sequence Detection System(Applied Biosystems、Foster City、California)、ABI GeneAmp(登録商標)7300 Sequence Detection System(Applied Biosystems、Foster City、California)、およびABI GeneAmp(登録商標)7500 Sequence Detection System(Applied Biosystems)。いくつかの実施形態において、これらの各々の機能は、別々のデバイスによって実施され得る。例えば、増幅のためにQ−βレプリカーゼ反応を用いる場合、この反応は、サーマルサイクラーで行われなくてもよいが、特定の波長で放射される光線、蛍光シグナルの検出、ならびに増幅産物の量の算出および呈示を含み得る。いくつかの実施形態において、熱サイクリングデバイスと蛍光検出デバイスとの組み合わせが、サンプル中での標的核酸配列の正確な定量のために使用され得る。いくつかの実施形態において、蛍光シグナルは、1つ以上の熱サイクルの間および/または後に検出され、そして呈示され得、従って、反応が「リアルタイム」で生じるにつれて増幅産物をモニタリングすることを可能にする。いくつかの実施形態において、どの程度の標的核酸配列が増幅前にサンプル中に存在したかを算出するために、増幅産物の量および増幅サイクルの数を使用し得る。いくつかの実施形態において、単に、サンプル中の標的核酸配列の存在を示すために十分な所定数のサイクル後に、増幅産物の量をモニタリングし得る。当業者は、任意の所与のサンプル型、プライマー配列、および反応条件について、所与の標的ポリヌクレオチドの存在を決定するために、何回のサイクルが十分であるかを容易に決定し得る。本明細書中で使用される場合、標的の存在を決定する工程は、その標的を同定する工程、および必要に応じて、その標的を定量化する工程を包含し得る。いくつかの実施形態において、増幅産物は、所与の数のサイクルが完了するとすぐに、ポジティブまたはネガティブとしてスコア付けされ得る。いくつかの実施形態において、結果は、データベースに対して、電子的に直接伝達されて、表にまとめられ得る。従って、いくつかの実施形態において、このような機器が使用される場合に、必要な時間および労働力を少なくして、多数のサンプルが処理および分析され得る。いくつかの実施形態において、異なる検出用プローブは、異なる標的ポリヌクレオチド間を識別し得る。このようなプローブの非限定的な例は、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブ(例えば、TaqMan(登録商標)プローブ分子)であり、ここで蛍光分子は、オリゴヌクレオチド連結エレメントを介して蛍光消光分子に付着されている。いくつかの実施形態において、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブのオリゴヌクレオチド連結エレメントは、同定部分またはその相補体の特定の配列に結合する。いくつかの実施形態において、異なる5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブ(各々、異なる波長で蛍光する)が、同じ増幅反応内の異なる増幅産物の間を識別し得る。例えば、いくつかの実施形態において、2つの異なる波長(WLおよびWL)で蛍光し、そして2つの異なる伸長反応生成物(それぞれ、A’およびB’)の2つの異なるステム領域に対して特異的である、2つの異なる5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブを使用し得る。増幅産物A’は、標的核酸配列Aがサンプル中にある場合に形成され、そして増幅産物B’は、標的核酸配列Bがサンプル中にある場合に形成される。いくつかの実施形態において、増幅産物A’および/またはB’は、適切な標的核酸配列がサンプル中に存在しなくても形成し得るが、このような増幅は、適切な標的核酸配列がサンプル中にある場合よりも少ない程度に、測定可能に生じる。増幅後、検出されるシグナルの波長およびそれらの強度に基づいて、どの特異的標的核酸配列がサンプル中に存在するかを決定し得る。従って、波長WLのみの適切な検出可能なシグナル値が検出される場合、サンプルが標的核酸配列Aを含むが、標的核酸配列Bを含まないことが分かる。波長WLおよびWLの両方の適切な検出可能なシグナル値が検出される場合、サンプルが標的核酸配列Aおよび標的核酸配列Bの両方を含むことが分かる。いくつかの実施形態において、検出は、任意の種々の移動度依存性の分析技術によって生じ得、この分析技術は、異なる分析物種の間の移動の差次的な速度に基づく。例示的な移動度依存性の分析技術としては、電気泳動、クロマトグラフィー、質量分析、沈降(例えば、勾配遠心分離)、流動分画、多段階抽出技術などが挙げられる。いくつかの実施形態において、移動度プローブは、増幅産物にハイブリダイズされ得、そして標的ポリヌクレオチドの同一性は、例えば、Rosenblumらの公開されたP.C.T.出願WO04/46344、およびWenzらのWO01/92579に記載されるように、溶離した移動度プローブの移動度依存性の分析技術を介して決定される。いくつかの実施形態において、検出は、種々のマイクロアレイおよび関連するソフトウェア(例えば、Applied Biosystems 1700 Chemiluminescent Microarray Analyzerを備えたApplied Biosystems Array Systemおよびとりわけ、Affymetrix、Agilent、Illumina、およびAmersham Biosciencesから入手可能な他の市販されているアレイシステム)によって達成され得る(Gerryら、J.Mol.Biol.292:251−62、1999;De Bellisら、Minerva Biotec 14:247−52、2002;およびStearsら、Nat.Med.9:140−45(補遺、2003を含む)も参照のこと)。検出が、標識されたプライマーの一部としてかもしくは増幅の間の標識されたdNTPの取り込みに起因するかのいずれかで反応生成物中に取り込まれるレポーター群または、反応生成物に付着したレポーター群(例えば、レポーター群を含むハイブリダイゼーションタグの相補体、または反応生成物に不可欠であるかもしくは反応生成物に付着するリンカーアームを介するが、これらに限定されない)を含み得ることがまた、認識される。例えば、質量分析を使用した未標識の反応生成物の検出もまた、本教示の範囲内である。
【0031】
(例示的な実施形態)
図1は、本教示に従った特定の方法の概要を示す。ここで、第1のサンプル(A)および第2のサンプル(B)は、別個の反応容器中に示される。上記第1の反応容器は、サンプルA由来の標的ポリヌクレオチド(例えば、マイクロRNA)を含み得、そして第2の反応は、サンプルB由来のマイクロRNAを含み得る。例えば、サンプルAは、野生型の生物学的供給源に由来し得、そしてサンプルBは、変異型の生物学的供給源に由来し得る。処理(例えば、サンプルA中のマイクロRNAを伸長生成物に変換し、そしてサンプルB中のマイクロRNAを伸長生成物に変換する逆転写反応)の後、上記2つのサンプルは1つに混合されて、単一の反応容器がA+Bを含み得る。次いで例えば、微小流体カード上でのリアルタイムPCR、またはエンドポイントPCRを行い、次いでハイブリダイゼーションアレイを実施することによる検出を使用して解読反応の収集を行い得、上記2つのサンプルの間のマイクロRNAの発現レベルを比較し得る。
【0032】
図2Aは、本教示のいくつかの実施形態に従った特定の組成物を示す。ここで、3’標的特異的部分(3)、ステム(4)、およびループ(5)を例示する第1のリンカープローブ(1)が、示される。また、3’標的特異的部分(6)、ステム(7)、およびループ(8)を例示する第2のリンカープローブ(2)が、示される。注目すべきは、第1のリンカープローブのステム(4)は、実線で示され、一方、第2のリンカープローブのステム(7)は、破線で示され、第1のリンカープローブのステム(4)の配列は、第2のリンカープローブのステム(7)の配列と異なることである。従って、これらのステムの配列は、ジップコードと見なされ得る。従って、サンプルAの正体は、例えば、上記第1のリンカープローブのステム中に配置される第1のジップコード配列によってコードされ得、そしてサンプルBの正体は、上記第2のリンカープローブのステム中に配置される第2のジップコード配列によってコードされ得る。上記第1のリンカープローブのループおよび上記第2のリンカープローブのループは、ユニバーサルリバースプライマーをコードし得る同じ配列を含み得る。
【0033】
図2B(最上部)において、サンプルA由来のmiRNAは、第1の反応容器中の第1のリンカープローブ(1)にハイブリダイズされ、そしてサンプルBに由来するmiRNAは、第2の反応容器中の第2のリンカープローブ(2)にハイブリダイズされる。サンプルA由来のmiRNAの種は、サンプルB由来のmiRNAの種と同じものと見なされ得る。従って、上記第1のリンカープローブの3’標的特異的部分の配列(TTCACACとして示される)は、第2のリンカープローブの3’標的特異的部分(TTCACACとして示される)と同じものである。上記第1の反応容器中のmiRNAに対する第1のリンカープローブのハイブリダイゼーションおよび上記第2の反応容器中のmiRNAに対する第2のリンカープローブのハイブリダイゼーションの後、1つ以上の下流の反応が、行われ得る。例えば、本教示のいくつかの実施形態において、上記リンカープローブは、連結反応においてmiRNA分子に対して連結される(中央)。次いでその連結産物は、伸長反応に供され、ここで酵素(例えば、ポリメラーゼおよび/または逆転写酵素)が利用されて、標的ポリヌクレオチドに相補的な鎖を形成するために上記リンカープローブの3’末端を伸長する。いくつかの実施形態において、上記リンカープローブは、上記miRNA分子に連結されず、そして伸長反応は、ハイブリダイズしたリンカープローブ/miRNA複合体上で行なわれる。上記2つの反応容器の各々における伸長反応生成物の生成の後、その次の加熱工程は、その分子のRNA成分を分解し、インタクトな核酸の新しく合成された鎖を残し得る(最下部)。
【0034】
図2Cに示される通り、第1のリンカープローブ(1)を有するサンプルA由来の伸長生成物、および第2のリンカープローブ(2)を有するサンプルB由来の伸長生成物は、1つに混合され得、そしてリアルタイムPCR(例えば、TaqManTM)が行われ得る。ここで、上記PCRにおける第1の検出用プローブは、フルオロフォア(florophore)Vicを示す標識(V)、およびクエンチャー(Q)を有する実線として表される。この第1の検出用プローブは、サンプルA由来のmiRNA伸長生成物を照会するように設計される。さらに、上記PCRにおける第2の検出用プローブは、フルオロフォアFamを示す標識(F)、およびクエンチャー(Q)有する破線として示される。この第2の検出用プローブは、サンプルB由来のmiRNA伸長生成物を照会するように設計される。miRNA特異的なフォワードプライマーおよびユニバーサルリバースプライマーは、上記PCRに含まれる。従って、単一のプライマー対が使用されて、サンプルA由来のmiRNAおよびサンプルB由来のmiRNAが増幅され得る。上記第1の検出用プローブと上記第2の検出用プローブとの間のシグナルにおける相違を使用して、上記リアルタイムPCRでのサンプルAとサンプルBとの間のmiRNAの発現レベルにおける相違が定量化され得る。
【0035】
上記ループは、本教示のいくつかの実施形態において、上記リバースプライマーに対応し得ることが、認識される。いくつかの実施形態において、上記検出用プローブは、上記増幅産物中の標的ポリヌクレオチドの3’末端領域に対応する、上記増幅産物の領域と一致し得、そして上記増幅産物中の標的ポリヌクレオチドの3’末端領域から上流の領域と一致し得、そして上記増幅産物中のリンカープローブのステムと一致し得る。いくつかの実施形態において、上記ステムの上流領域、および上記ループは、上記リバースプライマーに対応し得る。いくつかの実施形態において、上記検出用プローブは、上記増幅産物中のリンカープローブのステムと一致し得る。いくつかの実施形態において、上記ステムの上流領域、および上記ループは、上記リバースプライマーに対応し得る。これらの組成物の異なる機能領域を実現するための種々の関連したストラテジーが、本教示の観点から可能であること、およびこのような誘導体が、当業者にとって過度の実験を伴わない慣用的なものであることが、認識される。さらに、リンカープローブの例示的な設計の特徴は、Chenらの米国非仮出願10/947,460の図2に見出され得る。
【0036】
本教示のいくつかの実施形態において、図2に示される通り、リアルタイムアッセイよりもむしろ、エンドポイントアッセイが、行われ得る。例えば、Fam/VicのRn値の比は、サンプルBと比較した場合のサンプルAにおけるmiRNAの相対的な豊富さを決定し得る。
【0037】
図3において、2つのサンプル中のmiRNAを照会するためのアプローチは、マイクロアレイの読み出しによって示される。図3Aに示される通り、上部のリンカープローブのステムは、ジップコード1をコードし得るのに対して、下部のリンカープローブのステムは、ジップコードNをコードし得る。従って、複数の異なるmiRNA種1〜Nは、複数の異なるジップコード1〜Nによってコードされ得る。さらに、第1の複数のmiRNA起源(A)のサンプルは、各フォワードプライマーの尾部中のユニバーサルプライマーA部分によってコードされ得、そして第2の複数のmiRNA起源(B)のサンプルは、各フォワードプライマーの尾部中のユニバーサルプライマーB部分によってコードされ得る。この状況において、サンプルAに対するコード化PCR(encoding PCR)は、サンプルBに対するコード化PCRが行なわれる反応容器とは別の反応容器中で行なわれる。各コード化PCRは、それらの適切なユニバーサル尾部を有する複数の標的特異的なフォワードプライマーを含み、同じく上記リンカープローブのループ中にコードされたリバースプライマーを含む。次いで二次PCRが、行われ得、ここでサンプルAとサンプルとが1つに混合される。識別可能な標識(F1−フルオロフォア1)によって標識されたユニバーサルプライマーAは、サンプルAに由来する標的を伸長し、そして識別可能な異なる標識(F2−フルオロフォア2)によって標識されたユニバーサルプライマーは、サンプルBに由来する標的を伸長する。類似するTmの特徴およびプライマーAとプライマーBとの交差ハイブリダイゼーションを最低限にすることを保証するための手段は、反応の特異性を保存するために行なわれる。次いで、得られた混合型の標識されたPCRアンプリコンは、解読用のマイクロアレイにハイブリダイズされ得る。ここで、そのマイクロアレイは、対応する相補的なジップコード配列を有するスポットを含む。従って、所与のスポットは、標的ポリヌクレオチドの所与の種に対するハイブリダイゼーションをもたらす。F1〜F2のシグナルの比は、上記2つのサンプルの間の所与の標的ポリヌクレオチドについての発現レベルにおける相違の尺度を提供する。
【0038】
本教示はまた、リンカープローブ以外の構成を比較する反応を企図する。例えば、いくつかの実施形態において、粘着末端を有する2つのハイブリダイズした分子が、利用され得、ここで例えば、重複する3’粘着末端は、標的ポリヌクレオチドの3’末端領域とハイブリダイズする。本教示において利用され得る2つの分子の構成のいくつかの説明は、Chenら、米国非仮出願10/982,619に見出され得る。本明細書中の本教示の観点から考えて、当業者は、10/982,619のアプローチがまた、標的ポリヌクレオチドより長い伸長反応生成物を生じるために利用され得ることを認識する。より長いこれらの生成物は、例えば、上記反応生成物に導入されるさらなるヌクレオチドの利点を採ることによって、検出用プローブを用いて検出され得る。
【0039】
しかし、一般に、本教示のループ構造は、標的ポリヌクレオチド−リンカープローブ二重鎖のTmを上昇させる。任意の特定の理論に制限されずに、この上昇したTmは、塩基スタッキング効果に起因し得るらしい。また、本教示のリンカープローブの特徴は、上記伸長反応および/またはその後の増幅反応(例えばPCR)の間の非特異的なプライミングを最小化し得る。さらに、本教示のリンカープローブは、miRNAの成熟形態と前駆形態とを良好に区別し得る。
【0040】
具体的には、本教示は、上記リンカープローブが、標的ポリヌクレオチドに連結される実施形態、および例えば、Chenら、米国非仮出願10/947,460に記載されるような、上記リンカープローブが、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズされるが、標的ポリヌクレオチドに連結されない実施形態を企図する。
【0041】
本教示はまた、コード化反応スキームおよび解読反応スキームを企図し、例えば、Andersenら、米国非仮出願11/090,830およびLaoら、米国仮特許出願11/090,468に記載されるように、ここで第1のコード化伸長反応の後に、第2の解読する増幅反応が続く。
【0042】
本教示はまた、例えば、Whitcombeら、米国特許第6,270,967号に記載されるような、多重増幅ストラテジーにおいて異なる分子の数を最小化する、種々のストラテジーを企図する。
【0043】
単一工程アッセイの背景、および小さいプライマー組成物の背景において本教示のリンカープローブを使用するためのさらなるストラテジーは、LaoおよびStrausの出願された米国非仮出願10/944,153、ならびにElfaitouriら、J.Clin.Virol.2004、30(2):150−156に見出され得る。
【0044】
本教示が癌の診断および幹細胞の分化に関する新規の生物マーカーを発見するために利用され得る種々の背景は、Blochらの米国仮特許出願60/686,274に見出され得る。
【0045】
(キット)
特定の実施形態において、本教示はまた、特定の方法を実行することを促進するように設計されたキットを提供する。いくつかの実施形態において、キットは、本方法を実施するのに使用される2つ以上の構成要素を組み合わせることによって目的の方法の実行を促進するように機能する.いくつかの実施形態において、キットは、最終消費者による測定に対する必要性を最小限にするために、予め測定された単位量で構成要素を含み得る。いくつかの実施形態において、キットは、本教示の1つ以上の方法を実行するための説明書を備え得る。特定の実施形態において、上記キットの構成要素は、互いに組み合わせて機能するように最適化される。
【0046】
例えば、本教示は、逆転写酵素、第1の反応容器中の第1のリンカープローブ、および第2の反応容器中のおよび第2のリンカープローブを備えるキットを提供し、ここでこの第1のリンカープローブは、ステム、ループ、および3’標的特異的部分を含み、この3’標的特異的部分は、miRNAに対応し、そしてこのステムは、第1のサンプルの起源の正体をコードする第1の同定部分(例えば、ジップコード)をコードし、そしてここでこの第2のリンカープローブは、ステム、ループ、および3’標的特異的部分を含み、この3’標的特異的部分は、miRNAに対応し、そしてこのステムは、第2のサンプルの起源の正体をコードする第2の同定部分(例えば、ジップコード)をコードする。いくつかの実施形態において、上記キットは、DNAポリメラーゼを備え得る。いくつかの実施形態において、上記キットは、プライマー対を備え得る。いくつかの実施形態において、上記キットは、miRNAに特異的なフォワードプライマー、およびユニバーサルリバースプライマーをさらに備え得、ここでこのユニバーサルリバースプライマーは、上記リンカープローブのループのヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、上記キットは、複数のプライマー対を備え得、ここで各プライマー対は、複数の反応容器のうちの1つの反応容器中にある。いくつかの実施形態において、上記キットは、第1の検出用プローブおよび第2の検出用プローブを備え得る。いくつかの実施形態において、上記第1の検出用プローブは、増幅産物中の第1のリンカープローブのステム中の第1の同定部分のヌクレオチド、または増幅産物中の第1のリンカープローブのステムの相補体のヌクレオチドを含み、そしてこの第1の検出用プローブは、増幅産物中のmiRNAの3’末端領域のヌクレオチド、または増幅産物中のmiRNA相補体の3’末端領域のヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記第2の検出用プローブは、増幅産物中の第2のリンカープローブのステム中の第2の同定部分のヌクレオチド、または増幅産物中の第2のリンカープローブのステムの相補体のヌクレオチドを含み、そしてこの第2の検出用プローブは、増幅産物中のmiRNAの3’末端領域のヌクレオチド、または増幅産物中のmiRNA相補体の3’末端領域のヌクレオチドをさらに含む。
【0047】
本教示は、ハイブリダイズするための手段、連結のための手段、伸長するための手段、増幅するための手段、検出するための手段、またはそれらの組み合わせを備えるキットをさらに企図する。
【0048】
本教示は、これらの例示的な実施形態に関して記載されているが、当業者は、これらの例示的な実施形態の多くのバリエーションおよび改変が過度な実験を伴わずに可能であることを容易に理解する。全てのこのようなバリエーションおよび改変は、本教示の範囲内である。本教示の局面は、以下の実施例を考慮してさらに理解され得、この実施例は、決して本教示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0049】
シングルプレックス(single−plex)反応を脳サンプルおよび肝臓サンプル由来のマウスmiRNAの収集物に対して行い、miRNA標的ポリヌクレオチドの発現レベルを比較することができる。
【0050】
最初に、以下を含む2つの並行した6μlの反応を準備する:1μlのReverse Transcription Enzyme Mix(Applied Biosystems品番4340444)、0.5μlのdH2O、0.25μlの2M KCI、0.05μlのdNTP(各25mM)、1μlの10×RT緩衝液、0.25μlのApplied Biosystems RNase Inhibitor(10単位/μl)、および2.2μlのdH2O。次に、2μlの第1のリンカープローブ(0.25μM)およびRNAサンプル(2μlの0.25μg/μlマウス肝臓全RNA(Ambion、製品番号7810))を、第1の反応に添加し、そして、2μlの第2のリンカープローブ(0.25μM)およびRNAサンプル(2μlの0.25μg/μlマウス脳全RNA(Ambion、製品番号7812))を、第2の反応に添加する。次に、各反応を、混合し、軽くスピンし、そして氷上に5分間おいた。その後、各反応を、42℃にて30分間インキュベートし、次いで85℃にて5分間インキュベートし、次いで4℃に保つ。その後、これらの反応を、1つに混合し、そしてPCR増幅の前に30μlのdH2Oを添加することによって4倍に希釈する。
【0051】
その後、10μlのPCR増幅を、準備する:2μlの希釈した逆転写反応産物、1.3μlの10μM miRNA特異的Forward Primer、0.7μlの10μM Universal Reverse Primer、0.2μlの第1のTaqMan検出用プローブ、0.2μlの第2のTaqMan検出用プローブ、0.2μlのdNTP(各25mM)、0.6μlのdH2O、5μlの2×TaqManマスターミックス(Applied Biosystems、UNGを含まない)。この反応を、10分間の95℃の工程によって開始する。その後、各々、15秒間の95℃、および1分間の60℃を含むサイクルを、40回行う。第2のTaqMan検出用プローブからのシグナルに対する第1のTaqman検出用プローブからのシグナルの比較は、目的のマイクロRNAについての発現レベルにおける相違の尺度を与える。
【0052】
種々のプライマーおよび本教示に適用できるプローブについての例示的な設計は、表2を含めて、米国非仮出願10/947,460に見出され得る。
【0053】
本開示の教示は、種々の適用、方法、キット、および組成物を参照して記載されているが、種々の変化および改変は、本明細書中の教示から逸脱することなくなされることが認識される。上記の実施例は、本開示の教示を十分に例示するために提供され、そして本明細書中の教示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本教示のいくつかの実施形態に従った概要を示す。
【図2】図2は、本発明の教示のいくつかの実施形態に従った種々の方法において使用されるような種々の組成物の特定の局面を示す。
【図3】図3は、本発明のいくつかの実施形態に従った特定の方法を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのサンプルの各々において小さい標的ポリヌクレオチドを定量化するための方法であって、以下:
第1のサンプル由来の小さい標的ポリヌクレオチドおよび第1のリンカープローブを含有する第1の反応混合物を提供する工程であって、
ここで該第1のリンカープローブが、3’標的特異的部分、ステム、およびループを含み、該3’標的特異的部分が、該標的ポリヌクレオチドの3’末端と塩基対形成する、
工程;
第2のサンプル由来の小さい標的ポリヌクレオチドおよび第2のリンカープローブを含有する第2の反応混合物を提供する工程であって、
ここで該第2のリンカープローブが、3’標的特異的部分、ステム、ループを含み、該3’標的特異的部分が、該標的ポリヌクレオチドの3’末端と塩基対形成し、
ここで該第1の反応混合物中の小さい標的ポリヌクレオチドが、該第2の反応混合物中の小さい標的ポリヌクレオチドと同じ種である、
工程;
該第1の反応混合物中の小さい標的ポリヌクレオチドに該第1のリンカープローブをハイブリダイズして第1の標的−リンカープローブ複合体を形成し、そして該第2の反応混合物中の小さい標的ポリヌクレオチドに該第2のリンカープローブをハイブリダイズして第2の標的−リンカープローブ複合体を形成する工程;
該第1の標的−リンカープローブ複合体と、該第2の標的−リンカープローブ複合体とを混ぜ合わせてプールされた反応混合物を形成する工程であって、ここで該プールされた反応混合物が、第1の伸長反応生成物および第2の伸長反応生成物を含有する工程;
該第1の伸長反応生成物および該第2の伸長反応生成物を、第1の検出用プローブおよび第2の検出用プローブの存在下において増幅して、増幅された第1の伸長反応生成物および増幅された第2の伸長反応生成物を形成する工程であって、ここで該第1の検出用プローブが、該増幅された第1の伸長反応生成物に対応し、そして該第2の検出用プローブが、該第2の増幅された第2の伸長反応生成物に対応する、工程;ならびに
該第1の検出用プローブと該第2の検出用プローブとを比較することによって該2つのサンプル中の小さい標的ポリヌクレオチドの含量を検出する工程、
を包含する方法。
【請求項2】
前記第1のリンカープローブのステムが、第1のサンプル同定部分を含み、そして前記第2のリンカープローブのステムが、第2のサンプル同定部分を含み、そして前記第1の検出用プローブが、前記増幅反応の間に、前記増幅された第1の伸長反応生成物の対応するサンプル同定部分にハイブリダイズし、そして前記第2の検出用プローブが、該増幅反応の間に、前記増幅された第2の伸長反応生成物の対応するサンプル同定部分にハイブリダイズする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の検出用プローブおよび前記第2の検出用プローブの少なくとも1つが、前記増幅反応の間に、前記小さい標的ポリヌクレオチドに対応する配列に、さらにハイブリダイズする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、以下:
前記第1の反応混合物中の前記第1のリンカープローブを伸長して第1の伸長反応生成物を形成する工程;
前記第2の反応混合物中の前記第2のリンカープローブを伸長して第2の伸長生成物を形成する工程;および
該第1の伸長反応生成物と該第2の伸長生成物とを混ぜ合わせる工程、
を包含する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、以下:
前記第1の反応混合物と前記第2の反応混合物とを混ぜ合わせる工程;および
伸長反応を行う工程、
を包含する、方法。
【請求項6】
前記増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記小さい標的ポリヌクレオチドが、マイクロRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記検出用プローブの少なくとも1つが、ペプチド核酸(PNA)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記検出用プローブの少なくとも1つが、5’−ヌクレアーゼ切断可能プローブである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のリンカープローブおよび/または前記第2のリンカープローブの自己相補的なステムが、12ヌクレオチド〜16ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のリンカープローブの標的特異的部分、前記第2のリンカープローブの標的特異的部分、またはそれらの両方が、6ヌクレオチド〜8ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ループが、ユニバーサルリバースプライマー部分をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ループが、14ヌクレオチド〜18ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、以下:
前記第1の反応混合物が、複数の異なる小さい標的ポリヌクレオチド種に対応する、複数の異なるリンカープローブを含有し;
前記第2の伸長反応混合物が、複数の異なる小さい標的ポリヌクレオチド種に対応する、複数の異なるリンカープローブを含有し;
前記プールされた反応混合物のプールされた伸長反応生成物が、その後、複数の増幅反応に細分され;
各増幅反応が、プライマー対、前記第1のサンプルに対応する第1の検出用プローブ、および前記第2のサンプルに対応する第2の検出用プローブを含み;
小さい標的ポリヌクレオチドが、各増幅反応において検出される、
方法。
【請求項15】
少なくとも1つのプライマー対が、小さい標的ポリヌクレオチドに対応するフォワードプライマー、前記リンカープローブのループのユニバーサルリバースプライマー部分に対応するユニバーサルリバースプライマーを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記検出する工程が、エンドポイント分析を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記検出する工程が、リアルタイム分析を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記リアルタイム分析が、リアルタイムサーマルサイクラー上で行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
キットであって、以下:
第1のリンカープローブを含む反応容器;
第2のリンカープローブを含む反応容器;
を備え、ここで該第1のリンカープローブおよび該第2のリンカープローブが、同じ3’標的特異的部分および異なるサンプル同定部分を含む、キット。
【請求項20】
請求項19に記載のキットであって、逆転写酵素を含む反応容器をさらに備える、キット。
【請求項21】
請求項19に記載のキットであって、DNAポリメラーゼを含む反応容器をさらに備える、キット。
【請求項22】
請求項21に記載のキットであって、プライマー対、第1の検出用プローブ、および第2の検出用プローブをさらに備え、ここで該プライマー対、該第1の検出用プローブ、および該第2の検出用プローブが、同じ反応容器中に存在する、キット。
【請求項23】
前記プライマー対が、以下:
小さい標的ポリヌクレオチドに特異的なフォワードプライマー;および
ユニバーサルリバースプライマーであって、ここで該ユニバーサルリバースプライマーが、前記第1のリンカープローブのループおよび前記第2のリンカープローブのループにコードされる、ユニバーサルリバースプライマー、
を含む、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
反応混合物であって、以下:
小さい標的ポリヌクレオチドの第1の種にハイブリダイズした第1のリンカープローブ、および該小さい標的ポリヌクレオチドの第2の種にハイブリダイズした第2のリンカープローブ、
を含有し、ここで該第1のリンカープローブが、第1のサンプル同定部分を含み、そして該第2のリンカープローブが、第2のサンプル同定部分を含む、反応混合物。
【請求項25】
請求項24に記載の反応混合物であって、逆転写酵素をさらに含有する、反応混合物。
【請求項26】
請求項24に記載の反応混合物であって、前記小さい標的ポリヌクレオチドに特異的なフォワードプライマー、およびリバースプライマーをさらに含有し、ここで該リバースプライマーが、前記第1のリンカープローブのループおよび前記第2のリンカープローブのループにコードされ、そして該リバースプライマーをコードする該第1のリンカープローブの該ループの配列が、該リバースプライマーをコードする該第2のリンカープローブの該ループの配列と同じである、反応混合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−513028(P2008−513028A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532661(P2007−532661)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/033943
【国際公開番号】WO2006/034387
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】