マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子、及び検出キット
【課題】抗体よりも簡便に調製可能で、且つ抗体と比べて同等以上の結合性を有する、マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子、及びこの核酸分子を用いた検出キットを提供する。
【解決手段】マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子。マウス由来のIgG抗体への結合を検出する検出キット。上記の核酸分子を含有する試薬。
【解決手段】マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子。マウス由来のIgG抗体への結合を検出する検出キット。上記の核酸分子を含有する試薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子、及びこの抗体への結合を検出する検出キットに関する。
【背景技術】
【0002】
マウスや核酸分子等のオリゴヌクレオチドは、主としてタンパク質の合成に関与する分子種としての機能を主として有するものと考えられてきたが、リボザイムやRNAiといった、遺伝子がタンパク質や高分子等の分子種と直接相互作用することにより、分子種の有する機能を制御し得る現象が見出され、注目されている。なかでも、アプタマーは、近年、タンパク質などの分子種に結合して、その機能を改変し得る核酸として注目されており、医薬品等への応用を目的として、新規のアプタマーが多く取得されている。
【0003】
一方、マウス、ラット、ウサギなどの実験動物に由来するIgGなどの各クラスに属する抗体は、タンパク質などの抗原や、抗原−抗体複合体を形成し得る抗体など、高分子化合物に水素結合などの結合様式で結合し得るタンパク性の物質を総称する。抗体は、例えば抗原−抗体複合体における抗体に特異的に結合する抗体として、診断薬など医療分野等において広く用いられている。
【0004】
しかしながら、抗体は、抗原と特異的な活性を有する点で、有用であるものの、抗体の調製には、種々の問題が指摘されている。例えば、抗体を得るには、マウス、ラット、ウサギ等の被免疫動物に抗原を反復的に注入して免疫反応を惹起した後、血清等から、所望する、抗原との結合性を有する画分を調製する必要があり、作業の面でも、コストの面でも、非常に不利である。また、抗体は、この抗体が特異的に結合する抗原以外にも、種々のタンパク質や、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)といった容器等を構成する材料にも非特異的に結合する性質を有しており、ハンドリングの面でも不利である。さらに、抗体の調製には、上述の通り、被免疫動物を用いる必要があり、動物愛護の面からも、好ましいものではない。
【0005】
また、抗体は、上述の診断薬などに二次抗体として用いる場合、抗原−抗体複合体への結合の程度を分光光度的に検出するため、ペルオキシダーゼ等の標識化合物とのコンジュゲート体として用いられることが多いが、このようなコンジュゲート体の調製は、二次抗体の調製に加えて、さらに煩雑となる。
【0006】
さらに、現在の抗体市場においては、抗体の由来動物としては、抗体に対応する抗原の由来動物と免疫学的に交叉性を有さない点で、被検動物と異なる動物が挙げられ、例えば、ウサギ、ヤギ、モルモットが含まれる。しかしながら、抗体の由来動物として、マウスも汎用的に用いられており、マウスは、抗体の由来動物として、依然需要の高い動物であると言える。
【0007】
従って、抗体に代わって、抗原と特異的に結合し得る分子種が所望されていた。
【0008】
なお、出願人は出願時点までに本発明に関連する公開された先行技術文献を発見することができなかった。よって、先行技術文献情報を開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の従来の問題に鑑みてなされたものであって、抗体よりも簡便に調製可能で、且つ抗体と比べて同等以上の結合性を有する、マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による核酸分子は、マウス由来のIgG抗体に結合性を有することを特徴とする。
【0011】
一方、本発明による検出キットは、マウス由来のIgG抗体への結合を検出する検出キットであって、上記の核酸分子を含有する試薬を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マウス由来のIgG抗体と特異的に結合し得る核酸分子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(本発明による核酸分子)
本発明による核酸分子は、マウス由来のIgG抗体に結合性を有することを特徴とするものである。
【0014】
本発明において、核酸分子とは、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、ウラシル(U)など種々の核酸を有するヌクレオチドであれば、特に制約はなく、ssDNA、ssRNA、dsDNA、dsRNAなど、鎖の本数や、核酸が修飾されているか否か等に制約はない。また、本発明による核酸分子は、マウス由来のIgG抗体への結合の程度に影響を与えない範囲で、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲンや、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基など、適当に置換された核酸分子の置換体も包含する。RNAに対する修飾核酸としては、そのほかにもLNA(Locked Nucleic Acid)、ENA(2’−O,4’−C−Ethylene−bridged Nucleic Acids)、チオール化などが挙げられる。
【0015】
本発明において、マウス由来のIgG抗体のサブクラスとしては、特に制約はなく、例えば、サブクラス1、サブクラス2a及びサブクラス3並びにこれらを任意に有する異なるサブクラスを有するIgG抗体を混合したものが挙げられる。
【0016】
本発明による核酸分子は、いわゆるRNAプールなどの核酸分子と、標的物質としてのマウス由来のIgG抗体とを用いて、核酸分子と標的物質とが特異的に結合して形成される核酸分子/標的物質複合体から、この複合体の形成に関与した核酸分子のみを選択する方法で製造することが可能である。このような方法としては、例えば、SELEX法(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)と称される方法や、アガロースゲルやポリアクリルアミドゲルなどの担体を用いて核酸分子/標的物質複合体を得た後にこの複合体の形成に関与した核酸分子のみを回収する方法などが挙げられる。
【0017】
(SELEX法に準じた本発明による核酸分子の製造方法)
本発明による核酸分子は、SELEX法に従って、またこの方法に準じた方法で、RNAプールと標的物質とを反応させて得られるRNAプール−標的物質複合体を回収した後、この複合体から、この複合体の形成に関与したRNAプールのみを回収して、製造することが可能である。
【0018】
RNAプールとは、A、G、C及びUからなる群から選択された塩基、及びこの塩基の置換体を20〜120個程度連結した領域(この領域を、以下、「ランダム領域」と称する。)を有する遺伝子配列を総称する遺伝子の混合物をいう。従って、RNAプールは、420〜4120(1012〜1072)種類の複数の遺伝子が含まれ、430〜460(1018〜1036)種類の遺伝子が含まれることが好ましい。塩基の置換体としては、フッ素、塩素、臭素及び要素などのハロゲンや、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基など、適当に置換された塩基が挙げられる。また、上記の通り、LNA、ENA等を用いた修飾、チオール化などされた塩基が挙げられる。
【0019】
RNAプールは、ランダム領域を有する限り、その他の構造に制約はないが、本発明による核酸分子をSELEX法に準じて製造する場合、ランダム領域の5’末端及び/又は3’末端には、後述のPCR等で利用するプライマー領域や、DNA依存性RNAポリメラーゼの認識領域を有することが好ましい。例えば、ランダム領域は、5’末端側からT7プロモーターなどのDNA依存性RNAポリメラーゼの認識領域(以下、この領域を「RNAポリメラーゼ認識領域」と称する。)と、DNA依存性DNAポリメラーゼのプライマー領域(以下、この領域を「5’末端側プライマー領域」と称する。)とを連結し、この5’末端側プライマー領域の3’末端にランダム領域を連結し、さらにこのランダム領域の3’末端側にDNA依存性DNAポリメラーゼのプライマー領域(以下、この領域を、「3’末端側プライマー領域」と称する。)を連結した構造を有してもよい。また、RNAプールは、これらの領域の他に、標的物質への結合を補助する公知の領域を有してもよい。さらに、RNAプールは、ランダム領域の一部が各RNAプールにおいて同じ配列を有するものであってもよい。
【0020】
ランダム領域は、RNAプールのランダム領域のUをTに置き換えた初期プールを鋳型として、PCR法に基づいて、遺伝子増幅した後、得た遺伝子産物と、T7ポリメラーゼ等のDNA依存性RNAポリメラーゼとを反応させて、調製されてもよい。また、初期プールに相補的な遺伝子を合成し、RNAポリメラーゼ認識領域と、5’末端側プライマー領域に相補的な配列とからなるプライマーを、初期プールにおいてこのプライマーと相補的な遺伝子にアニーリングさせて、PCR法に基づいて、調製されてもよい。
【0021】
次に、このようにして合成したRNAプールと、標的物質であるマウス由来のIgG抗体とを水素結合などの分子間力を介して結合させる。この結合方法としては、RNAプールと標的物質とを、標的物質の結合などの機能が保たれる緩衝液中で一定時間インキュベートする方法が挙げられる。このようにして、緩衝液中でRNAプール−標的物質複合体が形成される。
【0022】
次に、このように形成されたRNAプール−標的物質複合体を回収する。緩衝液中には、この複合体の他、複合体の形成に関与しなかったRNAプールや標的物質が含まれるが、この複合体の回収方法としては、標的物質に結合性を有する核酸分子を回収することを目的として、緩衝液中に存在する複合体の形成に関与しなかったRNAプールを除去する方法により行えばよい。この方法としては、標的物質及びRNAプールの特定の成分への吸着性の違いを利用する方法や、複合体とRNAプールとの分子量の違いを利用する方法が挙げられる。
【0023】
標的物質及びRNAプールの特定の成分への吸着性の違いを利用した方法としては、例えば、ニトロセルロース等の標的物質に吸着性を有する膜を用いて、上述のRNAプール−標的物質複合体を有する緩衝液を濾過し、この膜上にRNAプール−標的物質複合体を吸着させ、その後、膜上に残存したRNAプール−標的物質複合体から、複合体の形成に関与したRNAプールを、例えばこの複合体におけるRNAプールと標的物質との結合を解除した後にRNAプールを回収する方法が挙げられる。
【0024】
また、RNAプール−標的物質複合体とRNAプールとの分子量の違いを利用した方法としては、アガロースゲルなど、RNAプールを通過させ得るがRNAプール−標的物質複合体を通過させ得ない程度のポアを有する担体を利用して、RNAプール−標的物質複合体とRNAプールとを電気的に分離し、この複合体から、複合体の形成に関与したRNAプールを回収する方法が挙げられる。
【0025】
次に、このようにして得たRNAプール−標的物質複合体から回収した複合体の形成に関与したRNAプールを用いて、遺伝子増幅を行う。この遺伝子増幅の方法としては、RNAプールに含まれる5’末端側プライマー領域、3’末端側プライマー領域、RNAポリメラーゼ認識領域を利用する方法が挙げられる。例えば、複合体の形成に関与したRNAプールの3’末端側プライマー領域に相補的な遺伝子断片をプライマーとして用いて、トリ骨髄芽球症ウィルス由来リバーストランスクリプターゼ(AMV Reverse Transcriptase)などのRNA依存性DNAポリメラーゼを用いた逆転写反応に従ってcDNAを調製した後、このcDNAに含まれる5’末端側プライマー領域及び3’末端側プライマー領域を利用して、DNA依存性DNAポリメラーゼを用いたPCR反応を行い、得た遺伝子産物に含まれるRNAポリメラーゼ認識領域を利用して、DNA依存性RNAポリメラーゼを用いて、in vitro転写反応を行って、RNAプールの遺伝子増幅を行ってもよい。
【0026】
このように遺伝子増幅された複合体の形成に関与したRNAプールと、標的物質とを用いて、上述のRNAプール−標的物質複合体を形成する方法以下の各方法を繰り返し行い、最終的に、標的物質としてのマウス由来のIgG抗体に特異的に結合する核酸分子、つまり、マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子を得ることができる。
【0027】
(本発明における二次構造予測)
本発明による核酸分子は、上記の通りに得ることが出来るが、その塩基配列に基づいた二次構造予測の手法を用いた結果を参照して、得た核酸分子の一部を改変されたものであってもよい。この二次構造予測としては、核酸分子の二次構造の候補を探索し、この探索された二次構造候補のうち、エネルギー的に安定な二次構造を予測する方法であれば、特に制約はない。例えば、核酸分子の塩基配列を、ワトソン・クリック型などの塩基対を構成するステム領域と、このステム領域以外の塩基で構成されるループ構造などの一本鎖領域とに分割して得た二次構造候補のエネルギー関数を最小化することに基づく二次構造予測であってもよい。
【0028】
この二次構造候補のエネルギー関数を最小化することに基づく二次構造予測について、説明する。まず、対象となる核酸分子の塩基配列のうち、ワトソン・クリック型などの塩基対を構成する塩基の候補と、この塩基対候補以外の一本鎖領域の候補とを探索する。探索された塩基対候補及び一本鎖領域候補の全組合せのうち、塩基対候補を構成する塩基と一本鎖領域候補を構成する塩基とが重複するなど、理論的に取り得ない組合せを除いて、二次構造候補を同定する。同定された二次構造候補のうち、二次構造候補のエネルギー関数を算出し、算出されたエネルギー関数が最小となる二次構造を探索する。この際、この二次構造候補のエネルギー関数の算出方法としては、二次構造候補を構成する個々のステム領域及び一本鎖領域の自由エネルギーに基づいて、この二次構造候補における自由エネルギーを、二次構造候補のエネルギー関数とする方法であってもよい。このようにして、同定された二次構造候補のうち、エネルギー関数の最も小さい二次構造を、対象となる核酸分子の塩基配列の二次構造とする。
【0029】
本発明による核酸分子は、このようにして得た二次構造の結果を参照して、二次構造のうちの特徴ある部位を構成する塩基の置換若しくは欠失によって、又は二次構造のうちの特徴ある部分への塩基の挿入などによって、改変されてもよい。例えば、上記の通り調製した核酸分子を親分子として、二次構造のステム領域及び/又は一本鎖領域を構成する塩基の一部を置換してもよい。また、二次構造のステム領域及び/又は一本鎖領域を構成する塩基の一部を欠失させてもよい。また、二次構造のステム領域及び/又は一本鎖領域に、単数又は複数の塩基を挿入して、ステム長さ及び/又は一本鎖領域の長さを短縮/延長してもよい。
【0030】
本発明による核酸分子は、この二次構造予測を用いて得た核酸分子の二次構造において、ステム長さ3以上のステム領域を、この核酸分子の末端に有することが好ましい。また、本発明による核酸分子において、ステム長さ3以上のステム領域の一本鎖領域側の末端の塩基に隣接する塩基が、アデニン以外の塩基であることが好ましい。また、本発明による核酸分子において、ステム長さ3以上のステム領域は、グアニン残基及びシトシン残基のみから構成されていることが好ましい。これらにより、マウス由来のIgG抗体への結合性がさらに向上される。
【0031】
(本発明による核酸分子の用途等)
本発明による核酸分子は、上記の通り、マウス由来のIgG抗体に結合性を有することを特徴とするものである。従って、本発明による核酸分子の用途としては、マウス由来のIgG抗体への結合性を利用する用途であれば特に制約はなく、SDS−PAGE(SDSポリアクリルアミド電気泳動法)法に準じて行われる泳動対象物の検出用として、ELISA法(酵素免疫測定法;enzyme−linked immunosorbent assay)の測定の対象物若しくはこの対象物からなる複合体の検出用として、ノースウェスタン法に準じて行われる泳動対象物の検出用として、又はマウス由来のIgG抗体若しくはこの抗体を利用した精製用として用いられてもよい。
【0032】
例えば、本発明による核酸分子をSDS−PAGE法に用いる場合には、泳動されたタンパク質を検出するために用いられてもよく、泳動されたタンパク質を検出するのに用いられたマウス由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよい。
【0033】
また、本発明による核酸分子をELISA法に用いる場合には、測定の対象となるマウスIgGを検出するのに用いられてもよく、また、測定の対象を検出するために用いられたマウス由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよい。
【0034】
また、本発明による核酸分子をノースウェスタン法に用いる場合には、電気泳動の対象となるマウス由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよく、また、泳動の対象となるタンパク質の検出に用いられるマウス由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよい。
【0035】
また、本発明による核酸分子をマウス由来のIgGの精製に用いる場合、精製の対象となるマウス由来のIgG抗体を精製するのに適当な形態で利用すればよく、例えば、本発明による核酸分子を、アガロースや合成樹脂からなるビーズに結合して、使用してもよい。このようにビーズに結合する形態としては、精製に用いる担体(例えば、アガロースや、合成樹脂からなるビーズ)に結合性を有するように、ビオチン化など、種々の改変が挙げられる。従って、本発明による核酸分子は、ビオチン化などの種々の改変を受けたものであってもよい。
【0036】
(本発明による核酸分子の応用例)
本発明による核酸分子の応用例としては、得た核酸分子を試薬、この試薬を有するキットなど、マウス由来のIgG抗体への結合性を利用したものが挙げられる。例えば、上記の本発明による核酸分子を含有する試薬を用いて、マウス由来のIgG抗体への結合を検出する検出キットとしてもよい。このようなキットの測定対象物としては、溶液、懸濁液のような液体系であってもよく、培養細胞や組織切片など、固形物であってもよい。
【0037】
また、本発明による検出キットにおいて、本発明による核酸分子以外の試薬としては、標的物質と核酸分子との結合を検出するために必要な物質を適宜選択すればよく、これは、検出キットに用いる核酸分子によって適宜選択すればよい。
【0038】
例えば、本発明による検出キットは、SDS−PAGE法(SDSポリアクリルアミド電気泳動法)に準じて行うものであってもよく、この場合、検出キットに含まれる試薬としては、電気泳動の対象となるタンパク質の検出に用いるマウスIgGに結合性を有する核酸分子であってもよく、また電気泳動の対象となるマウスIgGに結合性を有する核酸分子であってもよい。
【0039】
また、本発明による検出キットは、ELISA法(酵素免疫測定法;enzyme−linked immunosorbent assay)に準じて行うものであってもよく、この場合、検出キットに含まれる試薬としては、測定の対象となるマウスIgGに結合性を有する核酸分子が挙げられる。
【0040】
また、本発明による検出キットは、ノースウェスタン法に準じて行われるものであってもよく、この場合、検出キットに含まれる試薬としては、泳動の対象となるタンパク質の検出に用いられるマウスIgGに結合性を有する核酸分子であってもよく、また電気泳動の対象となるマウスIgGに結合性を有する核酸分子であってもよい。
【実施例】
【0041】
(製造例1)
配列番号13に示す初期プールを、北海道システム・サイエンス株式会社に依頼して合成した。この初期プール(500nM)と、プライマー1(配列番号14)と、プライマー2(配列番号15)と、5U/μLのDNAポリメラーゼ(商品名:TaKaRa Ex−Taq、タカラバイオ株式会社製、カタログ番号:RR001A)とを用いて、初期プールと、初期プールに相補的な遺伝子鎖とからなるcDNAを得た。次に、このようにして得たcDNAと、AmpliScribe(登録商標)T7 High Yield Transcription Kit(EPICENTER社製)とを用いて、転写反応を行い、RNAプール(配列番号16)を得た。
【0042】
このようにして得たRNAプールと、下記の標的物質1〜4とを、結合バッファー(20mM Tris−HCl pH7.4、150mM NaCl、5mM MgCl2)中で、室温、20分間インキュベートした。
【0043】
標的物質1:マウスIgG抗体(サンタクルス社製、カタログ番号sc−2025、0.1%アジ化ナトリウム及び0.1%ゼラチンを含有)であって、ゼラチンを取り除くためにカラム(Pro−chem社製 PROTEUS Protein G Mini Kit カタログ番号PC−MGK16)で精製したもの
標的物質2:マウス由来抗FLAG−IgG抗体(SIGMA社製、カタログ番号F3165、サブタイプ1)
標的物質3:マウス由来抗MBP−IgG抗体(NEB社製、カタログ番号E8032S、サブタイプ2a)
標的物質4:マウス由来抗体MBP−IgG抗体(MBL社製、カタログ番号M091−3、サブタイプ3)
【0044】
その後、得た混合物について、下記の[ゲル法]に準じて、第一のサイクルを行い、その後、下記の[フィルター法]に準じて、第二から第七のサイクルを行った。
【0045】
このようにして配列番号1〜4に示すRNAを得た。
【0046】
[ゲル法]
得た混合物を、1%のアガロースゲルのウェルに導入し、TB緩衝液(44.5mM Tris、44.5mM ホウ酸、5mM MgCl2、pH8.0)中、100Vで7分間、電気泳動を行った。その後、ウェルに残存する液を回収した。
【0047】
その後、回収した溶液は、エタノール沈殿を行った。その後、プライマー3(配列番号17)と、AMV由来逆転写酵素トランスクリプターゼ(ロシュ社製)とを用いて、55℃で、30分間、及び85℃で5分間、逆転写反応を行った。
【0048】
この反応産物全量と、5UのDNAポリメラーゼ(商品名:Ex−Taq、タカラバイオ株式会社製)と、30nMのプライマー1(配列番号14)と、プライマー2(配列番号15)とを用いて、90℃×50秒、53℃×70秒及び74℃×50秒の順で行うサイクルを1サイクルとして、3サイクルでPCR反応を行った。得た液にエタノール沈殿を施し、二本鎖DNA産物を得た。
【0049】
この二本鎖DNA産物を8μLのRNaseフリー水に溶解し、そのうち4μLと、16μLのT7RNAポリメラーゼ溶液(商品名:Ampliscribe(EPICENTRE社製))とを用いて、in vitro転写を行い、in vitro転写物を得た。なお、ここまでの工程を1サイクルと定義する。
【0050】
[フィルター法]
得た混合物を、ポップトップホルダーに固定したニトロセルロース膜に導入してろ過し、膜を1mLの結合バッファーで洗浄した。その後、この膜を400μLの溶出バッファー(20mM Tris−HCl pH7.4、150mM NaCl、7M 尿素)に浸漬して、90℃、5分間加温した。得た液にエタノール沈殿を施し、オリゴヌクレオチドを得た。
【0051】
その後、このオリゴヌクレオチド全量と、プライマー3(配列番号17)と、AMV由来逆転写酵素トランスクリプターゼ(10U、ロシュ・ダイアグノスティックス社製)とを用いて、55℃で、30分間、及び85℃で5分間、逆転写反応を行った。
【0052】
この反応産物全量と、5UのDNAポリメラーゼ(商品名:Ex−Taq、タカラバイオ株式会社製)と、30nMのプライマー1(配列番号14)と、プライマー2(配列番号15)とを用いて、90℃×50秒、53℃×70秒及び74℃×50秒の順で行うサイクルを1サイクルとして、4サイクル以上でPCR反応を行った。得た液にエタノール沈殿を施し、二本鎖DNA産物を得た。
【0053】
この二本鎖DNA産物を8μLのRNaseフリー水に溶解し、そのうち4μLと、2μLのT7RNAポリメラーゼ(商品名:Ampliscribe(EPICENTRE社製))とを用いて、in vitro転写を行い、in vitro転写物を得た。なお、ここまでの工程を1サイクルと称する。
【0054】
(実施例1)
配列番号1〜4について、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)を利用したバイオセンサーBiacore3000(ビアコア社製)を用いて、以下の通り測定した。
【0055】
まず、リガンドとして、配列番号1〜4に示す各RNAの3’末端側にアデニン24塩基を連結したものを、定法に従い調製した。5’末端側にビオチンを標識した24塩基のデオキシチミンをセンサーチップSA(ビアコア社製)に固定化し、つぎに、調製したRNAをデオキシチミンと結合させた。これに、200nMの標的物質5〜8を、流速20μL/分で2分間添加し、測定物の結合を観察した後、3分間にわたって解離を観察した。
【0056】
標的物質5:マウスIgG抗体(Normal mouseIgG(SantaCruz社製)、カタログ番号:sc−2025、サブタイプ:混合)
標的物質6:マウスIgG抗体(商品名、anti−FLAG M2、シグマ社製、カタログ番号:F3165、サブタイプ:1)
標的物質7:マウスIgG抗体(商品名Protein A Purified Mouse Monoclonal Anti−GST(Rockland社製)、カタログ番号:200−301−200、サブタイプ:1)
標的物質8:マウスIgG抗体(mouse IgG Fc fragment(Rockland社製)、カタログ番号:010−0103、サブタイプ:混合)
【0057】
反応は25℃で行った。この観察で結合の有無を観察した。結果を表1に示す。表1中、「+」印は、結合の見られたものを示しており、コントロールと比較してノイズ幅よりも大きなシグナルが観察されたものに相当する。
【0058】
また、上記の200nMの標的物質5〜8に代えて、200nM、100nM、50nM、25nM、12.5nM及び6.25nMのマウスIgG抗体(商品名、anti−FLAG M2、シグマ社製、カタログ番号:F3165、サブタイプ:1)を用いて得たセンサグラムから、各配列の結合定数(Kd値)を算出した。また、これらの結合定数の値について、χ(カイ)2乗検定を行った。結果を表2に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
(製造例2)
配列番号1に記載のRNAについて、上記の二次構造予測を行った。具体的には、対象となる配列番号1に示す塩基配列において、ワトソン・クリック型などの塩基対を構成する塩基の候補と、この塩基対候補以外の一本鎖領域の候補とを探索した。探索された塩基対候補及び一本鎖領域候補の全組合せのうち、塩基対候補を構成する塩基と一本鎖領域候補を構成する塩基とが重複するなど、理論的に取り得ない組合せを除いて、二次構造候補を同定した。同定された二次構造候補のうち、二次構造候補のエネルギー関数を算出し、算出されたエネルギー関数が最小となる二次構造を探索した。この際、この二次構造候補のエネルギー関数の算出方法としては、二次構造候補を構成する個々のステム領域及び一本鎖領域の自由エネルギーに基づいて、この二次構造候補における自由エネルギーを、二次構造候補のエネルギー関数とした。このようにして、同定された二次構造候補のうち、エネルギー関数の最も小さい二次構造を、対象となる核酸分子の塩基配列の二次構造とした。その結果を図1に示す。
【0062】
このようにして得た配列番号1の二次構造の結果を参照すると、16〜19残基目及び45〜48残基目の塩基が4塩基対からなるステム長を有するステム領域を形成することが分かった。そこで、このステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム領域のステム長さを2つ延ばし、5’末端側にGを付加した配列番号5に示すRNAを合成した。また、同様に、ステム領域のステム長さを2つ延ばすなどした配列番号6に示すRNAを合成した。さらに、配列番号6のステム領域に対応する配列を、グアニン残基及びシトシン残基のみからなるものとした配列番号7に示すRNAを合成した。
【0063】
(実施例2)
実施例1において、配列番号1〜4の代わりに、配列番号5〜7を用い、標的物質5〜8の代わりに、下記の標的物質9〜12の各標的物質を用いた以外は、実施例1と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表3に示す。
【0064】
標的物質9:マウスIgG抗体(mouse IgG Isotype Control IgG1(BD Biosciences社製)、カタログ番号:557273、サブタイプ:1)
標的物質10:マウスIgG抗体(mouse IgG Isotype Control IgG2a(BD Biosciences社製)、カタログ番号:553454、サブタイプ:2a)
標的物質11:マウスIgG抗体(mouse IgG Isotype Control IgG2b(BD Biosciences社製)、カタログ番号:557351、サブタイプ:2b)
標的物質12:マウスIgG抗体(mouse IgG Isotype Control IgG3(BD Biosciences社製)、カタログ番号:553486、サブタイプ:3)
【0065】
【表3】
【0066】
(比較例1)
実施例2において、配列番号5及び6に示すRNAの代わりに、配列番号1及び2の配列、並びに配列番号1〜4に示すRNAのうち、シトシン残基及びウリジン残基をDurascribe(登録商標) T7 Transcription Kit(EPICENTRE社製、カタログ番号:DS010925社製)を用いてフルオロ化した配列を用いた以外は、実施例2と同様に、結合の有無を観察した。その結果を表4に示す。なお、表4において、「1F」、「2F」、「3F」及び「4F」は、それぞれ、配列番号1〜4に示すRNAを上記の通りフルオロ化したものを示す。
【0067】
【表4】
【0068】
(実施例3)
比較例1において、配列番号1及び2並びにフルオロ化した各配列に代えて、配列番号1〜6に示すRNAのうち、ウリジン残基のみをDurascribe(登録商標) T7 Transcription Kit(EPICENTRE社製、カタログ番号:DS010925社製)を用いてフルオロ化した配列を用いた以外は、比較例1と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表5に示す。なお、表5において、「1FU」、「2FU」、「3FU」、「4FU」、「5FU」及び「6FU」は、それぞれ、配列番号1〜6に示すRNAを上記の通りフルオロ化したものを示す。
【0069】
【表5】
【0070】
(比較例2)
実施例3において、フルオロ化した各配列に代えて、配列番号1〜6に示すRNAのうち、シトシン残基のみをDurascribe(登録商標) T7 Transcription Kit(EPICENTRE社製、カタログ番号:DS010925社製)を用いてフルオロ化した配列を用いた以外は、実施例3と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表6に示す。なお、表6において、「1FC」、「2FC」、「3FC」、「4FC」、「5FC」及び「6FC」は、それぞれ、配列番号1〜4に示すRNAを上記の通りフルオロ化したものを示す。
【0071】
【表6】
【0072】
(製造例3)
製造例2において、配列番号1の代わりに、配列番号4を用いた以外は、製造例2と同様に、二次構造を予測した。その結果を図2に示す。
【0073】
このようにして得た配列番号4の二次構造の結果を参照すると、16〜19残基目及び45〜48残基目の塩基が4塩基対からなるステム長を有するステム領域を形成することが分かった。
【0074】
製造例2において二次構造の予測を行った配列番号1とともに、本製造例3において二次構造の予測を行った配列番号4について、それぞれの二次構造に基づいて、種々のRNAを合成した。
【0075】
まず、配列番号1の二次構造においてステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム領域のステム長さを2つ延ばした配列番号8に示すRNAを合成した。また、配列番号1の二次構造においてステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、ステム領域のステム長4の塩基対を、グアニン残基及びシトシン残基からなるステム長5のステム領域とした配列番号9、及びステム長6のステム領域とした配列番号10を、それぞれ合成した。
【0076】
一方、配列番号4の二次構造においてステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、このステム領域に代えて、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム長さ4のステム領域を有する配列番号11に示すRNAを合成した。
【0077】
さらに、配列番号1の二次構造において、ステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム領域のステム長さを2つ延ばしたステム長5の配列において、3’末端側のステム領域に隣接するシトシン残基を、グアニン残基に改変した、配列番号12に示すRNAを合成した。
【0078】
またさらに、配列番号1の二次構造において、ステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム領域のステム長さを2つ延ばしたステム長6の、配列番号19に示すRNAを合成した。また、配列番号4の二次構造において、ステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム領域のステム長さを2つ延ばしたステム長6の、配列番号20に示すRNAを合成した。
【0079】
(実施例4)
実施例2において、配列番号5〜7の代わりに、配列番号8〜12及び19〜20を用いた以外は、実施例2と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表7に示す。
【0080】
【表7】
【0081】
(比較例3)
実施例4において、配列番号8〜12及び19〜20の代わりに、配列番号12において、5’末端側のステム領域に隣接するウリジン残基をグアニン残基に改変するとともに、3’末端側のステム領域に隣接するグアニン残基をアデニン残基に改変した配列番号18の配列を用いた以外は、実施例4と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表8に示す。
【0082】
【表8】
【0083】
(製造例4)
製造例1と同様に行い、配列番号21〜23を得た。
【0084】
(実施例5)
実施例1において、配列番号1〜4の代わりに、配列番号21〜23を用い、且つ標的物質5〜8の代わりに、標的物質9を用いて行った以外は、実施例1と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表9に示す。表9中、「+」印は、結合の見られたものを、「△」印は、わずかに結合が見られたものを示す。
【0085】
【表9】
【0086】
(製造例5)
安定化の目的のため、配列番号11の塩基のうち、5’末端から2残基目のグアニン残基をシトシン残基に、3’末端から2残基目のシトシン残基をグアニン残基に、それぞれ改変した配列(以下、本製造例において、改変配列と称する。)を合成した。
【0087】
得た改変配列の5’末端を、定法に従いビオチン化して、配列番号24に示すRNAを得た。
【0088】
また、改変配列の5’末端側にデオキシアデニンを5残基付加した配列を合成し、その5’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号25に示すRNAを得た。
【0089】
また、改変配列の3’末端側にデオキシアデニンを10残基付加した配列を合成し、その3’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号26に示すRNAを得た。
【0090】
また、改変配列の5’末端側に、炭素数18からなる炭素鎖(商品名; SPACER18, GLEN RESERCH社,品番10-1918-90)を3つ付加した配列を合成し、その5’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号27に示すRNAを得た。
【0091】
さらに、改変配列の3’末端を、定法に従いビオチン化して、配列番号28に示すRNAを得た。
【0092】
また、改変配列の3’末端側にデオキシアデニンを5残基付加した配列を合成し、その3’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号29に示すRNAを得た。
【0093】
また、改変配列の5’末端側にデオキシアデニンを10残基付加した配列を合成し、その5’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号30に示すRNAを得た。
【0094】
また、改変配列の3’末端側に、上記と同様に炭素数18からなる炭素鎖を3つ付加した配列を合成し、その5’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号31に示すRNAを得た。
【0095】
(実施例6)
実施例1において、配列番号1〜4に代えて、配列番号24〜27を用いた以外は、実施例1と同様に行い、各配列の結合定数(Kd値)を算出した。その結果を表10に示す。
【0096】
【表10】
【0097】
(実施例7)
実施例6において、配列番号24〜27のうち、配列番号25を用い、200nM、100nM、50nM、25nM、12.5nM及び6.25nMのマウスIgG抗体の代わりに、200nM、100nM、50nM、25nM、12.5nM及び6.25nMの標的物質9、10及び12を用いた以外は、実施例6と同様に行い、この配列の各標的物質に対する結合定数(Kd)を算出した。その結果を表11に示す。
【0098】
【表11】
【0099】
(実施例8)
96ウェルのELISAプレート(商品名:Immuno 96 Microwell Plates MaxiSorp(Nunc社製)、カタログ番号:430341)に、400ngの抗FLAGマウスIgG抗体(標的物質2)を有する50μLのPBS溶液(PBS:8.1mM Na2HPO4、1.47mM KH2PO4、137mM NaCl、2.68mM KCl(Nippon Gene社製、カタログ番号:314−90815))を各ウェルに分注し、4℃で一昼夜静置した。その後、ブロッキング溶液(PBS、0.05% Tween20、5mM MgCl2、1×デンハルト溶液及び0.1% アセチル化BSA)100μLを各ウェルに分注し、1時間、室温で静置し、その後、ウェルの液を取り除いた。
【0100】
その後、配列番号24〜27及び配列番号28〜31の配列からなるRNAであって、95度3分間の加熱後室温にて除冷しリフォールディングさせたもの(300nM)、及びストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(商品名ECL Streptavidin−HRP Conjugate、GEヘルスケアバイオサイエンス社製、カタログ番号:RPN2195)(1/500)を有するPBS−T+Mg溶液(PBS、0.05% Tween20及び5mM MgCl2)であるRNA溶液50μLを各ウェルに分注し、30分間、室温で静置した。
【0101】
その後、100μLのPBS−T+Mg溶液を用いて3回各ウェルを洗浄し、各ウェルに100μLのHRP基質(商品名:1−Step Turbo TMB−ELISA (PIERCE社製)、カタログ番号:34022))を加え、30分間、室温で反応させ、その後、1MのH2SO4で反応を停止した。各ウェルの450nmにおける吸光度(参照波長は620nm)を測定した。その結果を図3に示す。
【0102】
図3において、縦軸は、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いて得た吸光度を示し、横軸は、RNA溶液に含まれるRNAに対応する配列番号の番号を示す。また、「NC」は、RNA溶液において、RNAを有さないものを用いて得た結果を示し、「PC」は、標的物質2を有するPBS溶液を用いて一昼夜行う反応を行わずに、且つHRP基質を用いた反応を行う際に、ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(商品名ECL Streptavidin−HRP Conjugate、GEヘルスケアバイオサイエンス社製、カタログ番号:RPN2195)(1/500)を有するPBS−T+Mg溶液を添加した得た結果を示す。
【0103】
(実施例9)
実施例8において、下記(I)〜(V)の通りとした以外は、実施例8と同様に行い、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いた吸光度を得た。
【0104】
(I)抗FLAGマウスIgG抗体(標的物質2)の代わりに、下記(1)〜(6)の各IgGを用いた
(II)配列番号24〜27及び配列番号28〜31の配列からなるRNAの代わりに、配列番号28に示す配列からなるRNAを用いた
(III)リフォールディングさせたRNAの濃度を50nMとした
(IV)ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/500)に代えて、ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/1000)を用いた
(V)RNA溶液を各ウェルに分注して室温で静置する時間を20分間とした
【0105】
(1)マウス抗FLAG M2抗体(標的物質2)(図4中、マウスと表記)
(2)ウサギ抗GSTポリクローナル抗体(ケミコン社製、カタログ番号:AB3282)(図4中、ウサギと表記)
(3)ラットIgG(Santa Cruz社製、カタログ番号:sc−2026)(図4中、ラットと表記)
(4)ヤギ抗ウサギIgG(CHEMICON社製、カタログ番号:AP−132)(図4中、ヤギと表記)
(5)ヒト抗IgG(Bethyl社製、カタログ番号:P80−104)(図4中、ヒトと表記)
(6)モルモットIgG(Jackson Immuno Research社製、カタログ番号:006−000−002)(図4中、モルモットと表記)
【0106】
また、配列番号28に示す配列からなるRNAに代えて、ヒツジ由来の抗マウスIgG−HRP結合完全抗体(GE社製、カタログ番号:N931)をPBS−T+Mgで2000倍に希釈したものを用いて、上記と同様に吸光度を得た。その結果を図5に示す。なお、図4及び5において、「NC」及び「PC」は、図3と同様である。
【0107】
(実施例10)
実施例9において、下記(I)〜(III)の通りに変更した以外は、実施例9と同様に行い、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いた吸光度を得た。
【0108】
(I)上記(1)〜(6)の各IgGに代えて、下記表12に記載の(1)〜(14)の各IgGを用いた
(II)RNA溶液中のRNAの濃度を200nMとした
(III)各ウェルにHRP基質を添加して室温で反応させる時間を50分間とした
【0109】
その結果を図6に示す。なお、図6において、「NC」及び「PC」は、図3と同様である。
【0110】
【表12】
【0111】
(実施例11)
実施例9において、下記(I)〜(IV)の通りとした以外は、実施例9と同様に行い、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いた吸光度を得た。
【0112】
(I)400ngの標的物質2に代えて、1000ng、100ng、10ng、1ng、0.1ng、0.001ng及び0.0001ngの標的物質2を用いた
(II)リフォールディングさせたRNAの濃度を50nMとした
(III)ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/500)に代えて、ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/1000)を用いた
(IV)RNA溶液を各ウェルに分注して室温で静置する時間を20分間とした
【0113】
その結果を図7に示す。なお、図7において、横軸は、標的物質2の量を示し、縦軸は、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いて得た吸光度を示す。
【0114】
また、標的物質28に示す配列からなるRNAに代えて、ヒツジ由来の抗マウスIgG−HRP結合完全抗体(GE社製、カタログ番号:N931)をPBS−T+Mgで2000倍に希釈したものを用いて、上記と同様に吸光度を得た。その結果を図8に示す。図8において、横軸は、IgG抗体の量を示し、縦軸は、図7と同様である。
【0115】
(実施例12)
実施例8において、下記(I)〜(III)の通りとした以外は、実施例8と同様に行い、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いて得た吸光度を得た。
【0116】
(I)配列番号24〜27及び配列番号28〜31の配列からなるRNAであって、95度3分間の加熱後室温にて除冷しリフォールディングさせたもの(300nM)に代えて、800nM、400nM、200nM、100nM、50nM、25nM、12.5nM及び6.25nMの配列番号25の配列からなるRNAを用いた
(II)ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/500)に代えて、ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/1000)を用いた
(III)RNA溶液を各ウェルに分注して室温で静置する時間を20分間とした
【0117】
その結果を図9に示す。図9において、横軸は、用いたRNAの濃度を示し、縦軸は、図3と同様である。
【0118】
(実施例13)
SA−Agarose(商品名:UltraLink(登録商標)Immobilized Streptavidin Plus(PIERCE社製)、カタログ番号:53117)をカラム(Micro Bio−spin Chromatography columns (Bio−rad社製、カタログ番号:732−6204))に充填し、PBS溶液で2回洗浄した。
【0119】
一方、配列番号25に示すRNAとPBS−Mg溶液とからなるRNA溶液(RNA濃度10μM)を調製した。
【0120】
上記のSA−Agaroseを有するカラムに、このRNA溶液を添加し、4℃で1時間、インキュベーションした後、PBS溶液250μLを用いて、3回洗浄した。
【0121】
このようにして調製したカラムに、マウス腹水(Control mouse ascites fluiod Clone NS−1(SIGMA社製)、カタログ番号:M8273、23mg/mlタンパク)と標的物質2に示すマウス抗FLAG抗体とを有するPBS−Mg溶液(抗体濃度1mg/mL)(以下、腹水−抗FLAG抗体混合液と称する。)を添加し、室温で30分間、インキュベートした。
【0122】
このようにして得たカラムを、遠心分離し、上清を回収し、素通り画分とした。さらにこのカラムに、PBS溶液250μLで3回洗浄し、この洗浄液を全て回収した。なお、これらの洗浄液をそれぞれ、洗浄液1、2及び3と称する。
【0123】
次に、このカラムに、50μLのPBS溶液を添加して、室温で10分間インキュベートし、カラムを遠心分離して、溶出液1を得た。また、このカラムに、上記と同様にPBS溶液を用いて、インキュベーション及び遠心分離を行い、溶出液2を得た。
【0124】
その後、このカラムに、50μLのPBS−EDTA溶液(PBS及び10mM EDTA)を添加して、室温で10分間インキュベートし、カラムを遠心分離して、溶出液3を得た。また、このカラムに上記と同様にPBS−EDTA溶液を用いて、インキュベーション及び遠心分離を行い、溶出液4を得た。
【0125】
その後、このカラムに、50μLのPBS−RNaseA(PBS+0.01mg/mL RNaseA)を添加して、室温で10分間インキュベートし、カラムを遠心分離して、溶出液5を得た。
【0126】
このようにして得た各サンプルを、SDSサンプルバッファーに加え、95℃で5分間加熱し、SDS−PAGE用サンプルとした。これを、5〜20%のSDS−PAGE用ゲルにアプライし、30分間泳動し、染色液(GelCode Blue Stain Reagent(PIERCE社製、カタログ番号:24590))で染色し、SDS−PAGE像を得た。その結果を図10に示す。なお、図10において、各レーンは、下記に示す通りである。
【0127】
M:Marker(Precision Plus Protein Kaleidoscope Standards(Bio−rad社製)、カタログ番号:161−0375)
1:腹水−抗FLAG抗体混合液 1μL(11.5μgl protein + 1μg anti−FLAG MAb相当)
2:素通り画分1μL (腹水−抗FLAG抗体混合液のカラム素通り画分total 50μL)
3:洗浄液3 5μL(カラムwash total 250μL)
4:溶出液1 5μL(PBS;Mg(−)での溶出画分 total 50μL)
4:溶出液2 5μL(PBS;Mg(−)での溶出画分 total 50μL)
6:溶出液3 5μL(PBS;EDTA(+)での溶出画分 total 50μL)
7:溶出液4 5μL(PBS;EDTA(+)での溶出画分 total 50μL)
8:溶出液5 5μL(PBS;RNA(+)での溶出画分 total 50μL)
9:溶出終了後のSA−Agarose 5μL(溶出後のSA−agarose−mouse IgGアプタマー複合体 total 50μL)
10:抗FLAG抗体 1μL(1mg/ml 1μg相当)
【0128】
(実施例14)
10mg/mLのDynabeads M−280 streptavidin(Invitrogen社製、カタログ番号:112.05D)250μLを1.5mLチューブに移し、MagnaRack(Invitrogen社製、カタログ番号:CS15000)に立て、上清を回収した後、PBS−Mg溶液(PBS及び5mM MgCl2)で2回洗浄した。
【0129】
一方、配列番号25及び26に示すRNAを有するPBS−Mg溶液(RNA濃度10μM)を調製した。
【0130】
上記のDynabeadsを有する液に、このRNA溶液を添加し、4℃で1時間、インキュベーションした後、PBS−Mg500μLを用いて、3回洗浄した。
【0131】
このようにして調製したDynabeadsに、マウス腹水(Control mouse ascites fluiod Clone NS−1(SIGMA社製)、カタログ番号:M8273、23mg/mlタンパク)と標的物質2に示すマウス抗FLAG抗体を有するPBS−Mg−I溶液(抗体濃度1mg/mL)とを有する腹水−抗FLAG抗体混合液を添加し、4℃で15分間、インキュベートした。
【0132】
このようにして得たDynabeadsを、遠心分離し、上清を回収し、素通り画分とした。さらにこのDynabeadsに、PBS−Mg溶液で3回洗浄し、この洗浄液を全て回収した。なお、これらの洗浄液をそれぞれ、洗浄液1、2及び3と称する。
【0133】
次に、このDynabeadsに、50μLのPBS溶液を添加して、4℃で10分間インキュベートし、カラムを遠心分離して、溶出液1を得た。さらに、このDynabeadsに、50μLのPBS−EDTA溶液(PBS、10mM EDTA及び1×ProtectRNA(登録商標)RNase Inhibitor(同前))を添加して、4℃で10分間インキュベートし、カラムを遠心分離して、溶出液2を得た。
【0134】
このようにして得た各サンプルを、SDSサンプルバッファーに加え、95℃で5分間加熱し、SDS−PAGE用サンプルとした。これを、5〜20%のSDS−PAGE用ゲルにアプライし、30分間泳動し、染色液(GelCode Blue Stain Reagent(PIERCE社製、カタログ番号:24590))で染色し、SDS−PAGE像を得た。その結果を図11に示す。なお、図11において、各レーンは、下記に示す通りである。
【0135】
M:Marker(Precision Plus Protein Kaleidoscope Standards(Bio−rad社製)、カタログ番号:161−0375)
1:腹水−抗FLAG抗体混合液 1μL(11.5μgl protein + 1μg anti−FLAG MAb相当)
2:溶出液1 40μL相当
(PBSのみでの溶出画分 total 50μLのうち40μLをTCA沈殿で濃縮)
3:溶出液2 40μL相当
(PBS+10mM EDTAでの溶出画分 total 50μLのうち40μLをTCA沈殿で濃縮)
4:溶出後に得たDynaBeads 5μL
(溶出後のDynaBeads−mouse IgGアプタマー複合体 total 50μL)
5:抗FLAG抗体 1μL(1mg/ml 1μg相当)
−:RNAなし
28:配列番号25に示すRNA
31:配列番号26に示すRNA
【0136】
(参考例1)
実施例8において、400ngの抗FLAGマウスIgG抗体(標的物質2)に代えて、0.01ng、0.025ng、0.05ng、0.1ng、0.25ng、0.5ng、1ng、2.5ng、5ng、10ng、25ng、50ng及び100ngの抗体を用い、配列番号24〜27及び配列番号28〜31の配列からなるRNAであって、95度3分間の加熱後室温にて除冷しリフォールディングさせたものの代わりに、実施例13で得た溶出液1、2、3、4及び5を100倍及び1000倍(溶出液3については、1000倍及び10000倍、溶出液5については、100倍)に希釈して得た液を用いた以外は、実施例8と同様に行い、溶出液1、2、3、4及び5に含まれるIgGの量を定量した。その結果を表13に示す。
【0137】
また、上記と同様に、実施例13で得た溶出液2に代えて、実施例14で得た溶出液1及び2を用いた以外は、上記と同様に、各溶出液に含まれるIgGの量を定量した。その結果を表13に示す。
【0138】
なお、IgGの量の定量には、上記の通りの抗体の希釈系列から導出した標準曲線に基づいて、定法に従い、行った。
【0139】
【表13】
【0140】
(実施例15)
標的物質として、N−Terminal FLAG−BAP Control Protein(SIGMA社製、カタログ番号;P7582)を用い、これをSDS−PAGE法に準じて、電気泳動を行い、得たバンドをPVDF膜(商品名:Hybond−P(GE社製)、カタログ番号:RPN1416F)に転写した。これを、一次抗体として、標的物質2に示すANTI−FLAG M2 Monoclonal Antibody (SIGMA社製、カタログ番号:F3165、ロット番号:086K6012)の500倍希釈液に浸漬し、洗浄・ブロッキングを行った後、得た膜を、配列番号24〜27及び配列番号28〜31に示す配列のRNAを有するRNA溶液(100nM、15μg/mL)で処理した。この膜を、化学発光基質としてChemiluminescent Peroxidase Substrate(SIGMA社製、カタログ番号:CPS−1−60)を用いて発光させ、発光像を観察した。その結果を、図12に示す。図12において、各レーンは、下記に示す通りである。なお、発光時間は、2秒であった。また、図12において、「SA−HRP」は、上記のRNA溶液を用いずに発光させて得た発光像である。
【0141】
M:ビオチン化した分子量マーカー
1:1μgのFLAG−BAP
2:200ngのFLAG−BAP
3:100ngのFLAG−BAP
【0142】
(実施例16)
実施例15において、N−Terminal FLAG−BAP Control Protein(SIGMA社製、カタログ番号;P7582)に加えて、標的物質2に示すANTI−FLAG M2 Monoclonal Antibody(SIGMA社製、カタログ番号:F3165、ロット番号:086K6012)を用い、配列番号24〜27及び配列番号28〜31に示す配列のRNAの代わりに、配列番号25を用いた以外は、実施例15と同様に行い、PDVF膜の発光像を得た。結果を図13に示す。図13において、各レーンは、下記の通りである。なお、発光時間は、8秒とした。
【0143】
M:ビオチン化した分子量マーカー
1:0.5μgの抗FLAG−マウスIgG抗体
2:0.5μgの抗FLAG−マウスIgG抗体及び100ngのFLAG−BAP
3:100ngのFLAG−BAP
【0144】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】製造例2で得た二次構造予測の結果である。
【図2】製造例3で得た二次構造予測の結果である。
【図3】実施例8で得た吸光度を示す棒グラフである。
【図4】実施例9において、配列番号28に示す配列からなるRNAを用いて得た吸光度を示す棒グラフである。
【図5】実施例9において、ヒツジ由来の抗マウスIgG−HRP結合完全抗体を用いて得た吸光度を示す棒グラフである。
【図6】実施例10で得た吸光度を示す棒グラフである。
【図7】実施例11において、配列番号28に示す配列からなるRNAを用いて得た吸光度を示すグラフである。
【図8】実施例11において、ヒツジ由来の抗マウスIgG−HRP結合完全抗体を用いて得た吸光度を示すグラフである。
【図9】実施例12において、400ngの標的物質2を用いて得た吸光度を示すグラフである。
【図10】実施例13で得たSDS−PAGE像である。
【図11】実施例14で得たSDS−PAGE像である。
【図12】実施例15で得たPDVF膜の発光像である。
【図13】実施例16で得たPDVF膜の発光像である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子、及びこの抗体への結合を検出する検出キットに関する。
【背景技術】
【0002】
マウスや核酸分子等のオリゴヌクレオチドは、主としてタンパク質の合成に関与する分子種としての機能を主として有するものと考えられてきたが、リボザイムやRNAiといった、遺伝子がタンパク質や高分子等の分子種と直接相互作用することにより、分子種の有する機能を制御し得る現象が見出され、注目されている。なかでも、アプタマーは、近年、タンパク質などの分子種に結合して、その機能を改変し得る核酸として注目されており、医薬品等への応用を目的として、新規のアプタマーが多く取得されている。
【0003】
一方、マウス、ラット、ウサギなどの実験動物に由来するIgGなどの各クラスに属する抗体は、タンパク質などの抗原や、抗原−抗体複合体を形成し得る抗体など、高分子化合物に水素結合などの結合様式で結合し得るタンパク性の物質を総称する。抗体は、例えば抗原−抗体複合体における抗体に特異的に結合する抗体として、診断薬など医療分野等において広く用いられている。
【0004】
しかしながら、抗体は、抗原と特異的な活性を有する点で、有用であるものの、抗体の調製には、種々の問題が指摘されている。例えば、抗体を得るには、マウス、ラット、ウサギ等の被免疫動物に抗原を反復的に注入して免疫反応を惹起した後、血清等から、所望する、抗原との結合性を有する画分を調製する必要があり、作業の面でも、コストの面でも、非常に不利である。また、抗体は、この抗体が特異的に結合する抗原以外にも、種々のタンパク質や、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)といった容器等を構成する材料にも非特異的に結合する性質を有しており、ハンドリングの面でも不利である。さらに、抗体の調製には、上述の通り、被免疫動物を用いる必要があり、動物愛護の面からも、好ましいものではない。
【0005】
また、抗体は、上述の診断薬などに二次抗体として用いる場合、抗原−抗体複合体への結合の程度を分光光度的に検出するため、ペルオキシダーゼ等の標識化合物とのコンジュゲート体として用いられることが多いが、このようなコンジュゲート体の調製は、二次抗体の調製に加えて、さらに煩雑となる。
【0006】
さらに、現在の抗体市場においては、抗体の由来動物としては、抗体に対応する抗原の由来動物と免疫学的に交叉性を有さない点で、被検動物と異なる動物が挙げられ、例えば、ウサギ、ヤギ、モルモットが含まれる。しかしながら、抗体の由来動物として、マウスも汎用的に用いられており、マウスは、抗体の由来動物として、依然需要の高い動物であると言える。
【0007】
従って、抗体に代わって、抗原と特異的に結合し得る分子種が所望されていた。
【0008】
なお、出願人は出願時点までに本発明に関連する公開された先行技術文献を発見することができなかった。よって、先行技術文献情報を開示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の従来の問題に鑑みてなされたものであって、抗体よりも簡便に調製可能で、且つ抗体と比べて同等以上の結合性を有する、マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による核酸分子は、マウス由来のIgG抗体に結合性を有することを特徴とする。
【0011】
一方、本発明による検出キットは、マウス由来のIgG抗体への結合を検出する検出キットであって、上記の核酸分子を含有する試薬を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マウス由来のIgG抗体と特異的に結合し得る核酸分子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(本発明による核酸分子)
本発明による核酸分子は、マウス由来のIgG抗体に結合性を有することを特徴とするものである。
【0014】
本発明において、核酸分子とは、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、ウラシル(U)など種々の核酸を有するヌクレオチドであれば、特に制約はなく、ssDNA、ssRNA、dsDNA、dsRNAなど、鎖の本数や、核酸が修飾されているか否か等に制約はない。また、本発明による核酸分子は、マウス由来のIgG抗体への結合の程度に影響を与えない範囲で、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素などのハロゲンや、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基など、適当に置換された核酸分子の置換体も包含する。RNAに対する修飾核酸としては、そのほかにもLNA(Locked Nucleic Acid)、ENA(2’−O,4’−C−Ethylene−bridged Nucleic Acids)、チオール化などが挙げられる。
【0015】
本発明において、マウス由来のIgG抗体のサブクラスとしては、特に制約はなく、例えば、サブクラス1、サブクラス2a及びサブクラス3並びにこれらを任意に有する異なるサブクラスを有するIgG抗体を混合したものが挙げられる。
【0016】
本発明による核酸分子は、いわゆるRNAプールなどの核酸分子と、標的物質としてのマウス由来のIgG抗体とを用いて、核酸分子と標的物質とが特異的に結合して形成される核酸分子/標的物質複合体から、この複合体の形成に関与した核酸分子のみを選択する方法で製造することが可能である。このような方法としては、例えば、SELEX法(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)と称される方法や、アガロースゲルやポリアクリルアミドゲルなどの担体を用いて核酸分子/標的物質複合体を得た後にこの複合体の形成に関与した核酸分子のみを回収する方法などが挙げられる。
【0017】
(SELEX法に準じた本発明による核酸分子の製造方法)
本発明による核酸分子は、SELEX法に従って、またこの方法に準じた方法で、RNAプールと標的物質とを反応させて得られるRNAプール−標的物質複合体を回収した後、この複合体から、この複合体の形成に関与したRNAプールのみを回収して、製造することが可能である。
【0018】
RNAプールとは、A、G、C及びUからなる群から選択された塩基、及びこの塩基の置換体を20〜120個程度連結した領域(この領域を、以下、「ランダム領域」と称する。)を有する遺伝子配列を総称する遺伝子の混合物をいう。従って、RNAプールは、420〜4120(1012〜1072)種類の複数の遺伝子が含まれ、430〜460(1018〜1036)種類の遺伝子が含まれることが好ましい。塩基の置換体としては、フッ素、塩素、臭素及び要素などのハロゲンや、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基など、適当に置換された塩基が挙げられる。また、上記の通り、LNA、ENA等を用いた修飾、チオール化などされた塩基が挙げられる。
【0019】
RNAプールは、ランダム領域を有する限り、その他の構造に制約はないが、本発明による核酸分子をSELEX法に準じて製造する場合、ランダム領域の5’末端及び/又は3’末端には、後述のPCR等で利用するプライマー領域や、DNA依存性RNAポリメラーゼの認識領域を有することが好ましい。例えば、ランダム領域は、5’末端側からT7プロモーターなどのDNA依存性RNAポリメラーゼの認識領域(以下、この領域を「RNAポリメラーゼ認識領域」と称する。)と、DNA依存性DNAポリメラーゼのプライマー領域(以下、この領域を「5’末端側プライマー領域」と称する。)とを連結し、この5’末端側プライマー領域の3’末端にランダム領域を連結し、さらにこのランダム領域の3’末端側にDNA依存性DNAポリメラーゼのプライマー領域(以下、この領域を、「3’末端側プライマー領域」と称する。)を連結した構造を有してもよい。また、RNAプールは、これらの領域の他に、標的物質への結合を補助する公知の領域を有してもよい。さらに、RNAプールは、ランダム領域の一部が各RNAプールにおいて同じ配列を有するものであってもよい。
【0020】
ランダム領域は、RNAプールのランダム領域のUをTに置き換えた初期プールを鋳型として、PCR法に基づいて、遺伝子増幅した後、得た遺伝子産物と、T7ポリメラーゼ等のDNA依存性RNAポリメラーゼとを反応させて、調製されてもよい。また、初期プールに相補的な遺伝子を合成し、RNAポリメラーゼ認識領域と、5’末端側プライマー領域に相補的な配列とからなるプライマーを、初期プールにおいてこのプライマーと相補的な遺伝子にアニーリングさせて、PCR法に基づいて、調製されてもよい。
【0021】
次に、このようにして合成したRNAプールと、標的物質であるマウス由来のIgG抗体とを水素結合などの分子間力を介して結合させる。この結合方法としては、RNAプールと標的物質とを、標的物質の結合などの機能が保たれる緩衝液中で一定時間インキュベートする方法が挙げられる。このようにして、緩衝液中でRNAプール−標的物質複合体が形成される。
【0022】
次に、このように形成されたRNAプール−標的物質複合体を回収する。緩衝液中には、この複合体の他、複合体の形成に関与しなかったRNAプールや標的物質が含まれるが、この複合体の回収方法としては、標的物質に結合性を有する核酸分子を回収することを目的として、緩衝液中に存在する複合体の形成に関与しなかったRNAプールを除去する方法により行えばよい。この方法としては、標的物質及びRNAプールの特定の成分への吸着性の違いを利用する方法や、複合体とRNAプールとの分子量の違いを利用する方法が挙げられる。
【0023】
標的物質及びRNAプールの特定の成分への吸着性の違いを利用した方法としては、例えば、ニトロセルロース等の標的物質に吸着性を有する膜を用いて、上述のRNAプール−標的物質複合体を有する緩衝液を濾過し、この膜上にRNAプール−標的物質複合体を吸着させ、その後、膜上に残存したRNAプール−標的物質複合体から、複合体の形成に関与したRNAプールを、例えばこの複合体におけるRNAプールと標的物質との結合を解除した後にRNAプールを回収する方法が挙げられる。
【0024】
また、RNAプール−標的物質複合体とRNAプールとの分子量の違いを利用した方法としては、アガロースゲルなど、RNAプールを通過させ得るがRNAプール−標的物質複合体を通過させ得ない程度のポアを有する担体を利用して、RNAプール−標的物質複合体とRNAプールとを電気的に分離し、この複合体から、複合体の形成に関与したRNAプールを回収する方法が挙げられる。
【0025】
次に、このようにして得たRNAプール−標的物質複合体から回収した複合体の形成に関与したRNAプールを用いて、遺伝子増幅を行う。この遺伝子増幅の方法としては、RNAプールに含まれる5’末端側プライマー領域、3’末端側プライマー領域、RNAポリメラーゼ認識領域を利用する方法が挙げられる。例えば、複合体の形成に関与したRNAプールの3’末端側プライマー領域に相補的な遺伝子断片をプライマーとして用いて、トリ骨髄芽球症ウィルス由来リバーストランスクリプターゼ(AMV Reverse Transcriptase)などのRNA依存性DNAポリメラーゼを用いた逆転写反応に従ってcDNAを調製した後、このcDNAに含まれる5’末端側プライマー領域及び3’末端側プライマー領域を利用して、DNA依存性DNAポリメラーゼを用いたPCR反応を行い、得た遺伝子産物に含まれるRNAポリメラーゼ認識領域を利用して、DNA依存性RNAポリメラーゼを用いて、in vitro転写反応を行って、RNAプールの遺伝子増幅を行ってもよい。
【0026】
このように遺伝子増幅された複合体の形成に関与したRNAプールと、標的物質とを用いて、上述のRNAプール−標的物質複合体を形成する方法以下の各方法を繰り返し行い、最終的に、標的物質としてのマウス由来のIgG抗体に特異的に結合する核酸分子、つまり、マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子を得ることができる。
【0027】
(本発明における二次構造予測)
本発明による核酸分子は、上記の通りに得ることが出来るが、その塩基配列に基づいた二次構造予測の手法を用いた結果を参照して、得た核酸分子の一部を改変されたものであってもよい。この二次構造予測としては、核酸分子の二次構造の候補を探索し、この探索された二次構造候補のうち、エネルギー的に安定な二次構造を予測する方法であれば、特に制約はない。例えば、核酸分子の塩基配列を、ワトソン・クリック型などの塩基対を構成するステム領域と、このステム領域以外の塩基で構成されるループ構造などの一本鎖領域とに分割して得た二次構造候補のエネルギー関数を最小化することに基づく二次構造予測であってもよい。
【0028】
この二次構造候補のエネルギー関数を最小化することに基づく二次構造予測について、説明する。まず、対象となる核酸分子の塩基配列のうち、ワトソン・クリック型などの塩基対を構成する塩基の候補と、この塩基対候補以外の一本鎖領域の候補とを探索する。探索された塩基対候補及び一本鎖領域候補の全組合せのうち、塩基対候補を構成する塩基と一本鎖領域候補を構成する塩基とが重複するなど、理論的に取り得ない組合せを除いて、二次構造候補を同定する。同定された二次構造候補のうち、二次構造候補のエネルギー関数を算出し、算出されたエネルギー関数が最小となる二次構造を探索する。この際、この二次構造候補のエネルギー関数の算出方法としては、二次構造候補を構成する個々のステム領域及び一本鎖領域の自由エネルギーに基づいて、この二次構造候補における自由エネルギーを、二次構造候補のエネルギー関数とする方法であってもよい。このようにして、同定された二次構造候補のうち、エネルギー関数の最も小さい二次構造を、対象となる核酸分子の塩基配列の二次構造とする。
【0029】
本発明による核酸分子は、このようにして得た二次構造の結果を参照して、二次構造のうちの特徴ある部位を構成する塩基の置換若しくは欠失によって、又は二次構造のうちの特徴ある部分への塩基の挿入などによって、改変されてもよい。例えば、上記の通り調製した核酸分子を親分子として、二次構造のステム領域及び/又は一本鎖領域を構成する塩基の一部を置換してもよい。また、二次構造のステム領域及び/又は一本鎖領域を構成する塩基の一部を欠失させてもよい。また、二次構造のステム領域及び/又は一本鎖領域に、単数又は複数の塩基を挿入して、ステム長さ及び/又は一本鎖領域の長さを短縮/延長してもよい。
【0030】
本発明による核酸分子は、この二次構造予測を用いて得た核酸分子の二次構造において、ステム長さ3以上のステム領域を、この核酸分子の末端に有することが好ましい。また、本発明による核酸分子において、ステム長さ3以上のステム領域の一本鎖領域側の末端の塩基に隣接する塩基が、アデニン以外の塩基であることが好ましい。また、本発明による核酸分子において、ステム長さ3以上のステム領域は、グアニン残基及びシトシン残基のみから構成されていることが好ましい。これらにより、マウス由来のIgG抗体への結合性がさらに向上される。
【0031】
(本発明による核酸分子の用途等)
本発明による核酸分子は、上記の通り、マウス由来のIgG抗体に結合性を有することを特徴とするものである。従って、本発明による核酸分子の用途としては、マウス由来のIgG抗体への結合性を利用する用途であれば特に制約はなく、SDS−PAGE(SDSポリアクリルアミド電気泳動法)法に準じて行われる泳動対象物の検出用として、ELISA法(酵素免疫測定法;enzyme−linked immunosorbent assay)の測定の対象物若しくはこの対象物からなる複合体の検出用として、ノースウェスタン法に準じて行われる泳動対象物の検出用として、又はマウス由来のIgG抗体若しくはこの抗体を利用した精製用として用いられてもよい。
【0032】
例えば、本発明による核酸分子をSDS−PAGE法に用いる場合には、泳動されたタンパク質を検出するために用いられてもよく、泳動されたタンパク質を検出するのに用いられたマウス由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよい。
【0033】
また、本発明による核酸分子をELISA法に用いる場合には、測定の対象となるマウスIgGを検出するのに用いられてもよく、また、測定の対象を検出するために用いられたマウス由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよい。
【0034】
また、本発明による核酸分子をノースウェスタン法に用いる場合には、電気泳動の対象となるマウス由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよく、また、泳動の対象となるタンパク質の検出に用いられるマウス由来のIgG抗体を検出するのに用いられてもよい。
【0035】
また、本発明による核酸分子をマウス由来のIgGの精製に用いる場合、精製の対象となるマウス由来のIgG抗体を精製するのに適当な形態で利用すればよく、例えば、本発明による核酸分子を、アガロースや合成樹脂からなるビーズに結合して、使用してもよい。このようにビーズに結合する形態としては、精製に用いる担体(例えば、アガロースや、合成樹脂からなるビーズ)に結合性を有するように、ビオチン化など、種々の改変が挙げられる。従って、本発明による核酸分子は、ビオチン化などの種々の改変を受けたものであってもよい。
【0036】
(本発明による核酸分子の応用例)
本発明による核酸分子の応用例としては、得た核酸分子を試薬、この試薬を有するキットなど、マウス由来のIgG抗体への結合性を利用したものが挙げられる。例えば、上記の本発明による核酸分子を含有する試薬を用いて、マウス由来のIgG抗体への結合を検出する検出キットとしてもよい。このようなキットの測定対象物としては、溶液、懸濁液のような液体系であってもよく、培養細胞や組織切片など、固形物であってもよい。
【0037】
また、本発明による検出キットにおいて、本発明による核酸分子以外の試薬としては、標的物質と核酸分子との結合を検出するために必要な物質を適宜選択すればよく、これは、検出キットに用いる核酸分子によって適宜選択すればよい。
【0038】
例えば、本発明による検出キットは、SDS−PAGE法(SDSポリアクリルアミド電気泳動法)に準じて行うものであってもよく、この場合、検出キットに含まれる試薬としては、電気泳動の対象となるタンパク質の検出に用いるマウスIgGに結合性を有する核酸分子であってもよく、また電気泳動の対象となるマウスIgGに結合性を有する核酸分子であってもよい。
【0039】
また、本発明による検出キットは、ELISA法(酵素免疫測定法;enzyme−linked immunosorbent assay)に準じて行うものであってもよく、この場合、検出キットに含まれる試薬としては、測定の対象となるマウスIgGに結合性を有する核酸分子が挙げられる。
【0040】
また、本発明による検出キットは、ノースウェスタン法に準じて行われるものであってもよく、この場合、検出キットに含まれる試薬としては、泳動の対象となるタンパク質の検出に用いられるマウスIgGに結合性を有する核酸分子であってもよく、また電気泳動の対象となるマウスIgGに結合性を有する核酸分子であってもよい。
【実施例】
【0041】
(製造例1)
配列番号13に示す初期プールを、北海道システム・サイエンス株式会社に依頼して合成した。この初期プール(500nM)と、プライマー1(配列番号14)と、プライマー2(配列番号15)と、5U/μLのDNAポリメラーゼ(商品名:TaKaRa Ex−Taq、タカラバイオ株式会社製、カタログ番号:RR001A)とを用いて、初期プールと、初期プールに相補的な遺伝子鎖とからなるcDNAを得た。次に、このようにして得たcDNAと、AmpliScribe(登録商標)T7 High Yield Transcription Kit(EPICENTER社製)とを用いて、転写反応を行い、RNAプール(配列番号16)を得た。
【0042】
このようにして得たRNAプールと、下記の標的物質1〜4とを、結合バッファー(20mM Tris−HCl pH7.4、150mM NaCl、5mM MgCl2)中で、室温、20分間インキュベートした。
【0043】
標的物質1:マウスIgG抗体(サンタクルス社製、カタログ番号sc−2025、0.1%アジ化ナトリウム及び0.1%ゼラチンを含有)であって、ゼラチンを取り除くためにカラム(Pro−chem社製 PROTEUS Protein G Mini Kit カタログ番号PC−MGK16)で精製したもの
標的物質2:マウス由来抗FLAG−IgG抗体(SIGMA社製、カタログ番号F3165、サブタイプ1)
標的物質3:マウス由来抗MBP−IgG抗体(NEB社製、カタログ番号E8032S、サブタイプ2a)
標的物質4:マウス由来抗体MBP−IgG抗体(MBL社製、カタログ番号M091−3、サブタイプ3)
【0044】
その後、得た混合物について、下記の[ゲル法]に準じて、第一のサイクルを行い、その後、下記の[フィルター法]に準じて、第二から第七のサイクルを行った。
【0045】
このようにして配列番号1〜4に示すRNAを得た。
【0046】
[ゲル法]
得た混合物を、1%のアガロースゲルのウェルに導入し、TB緩衝液(44.5mM Tris、44.5mM ホウ酸、5mM MgCl2、pH8.0)中、100Vで7分間、電気泳動を行った。その後、ウェルに残存する液を回収した。
【0047】
その後、回収した溶液は、エタノール沈殿を行った。その後、プライマー3(配列番号17)と、AMV由来逆転写酵素トランスクリプターゼ(ロシュ社製)とを用いて、55℃で、30分間、及び85℃で5分間、逆転写反応を行った。
【0048】
この反応産物全量と、5UのDNAポリメラーゼ(商品名:Ex−Taq、タカラバイオ株式会社製)と、30nMのプライマー1(配列番号14)と、プライマー2(配列番号15)とを用いて、90℃×50秒、53℃×70秒及び74℃×50秒の順で行うサイクルを1サイクルとして、3サイクルでPCR反応を行った。得た液にエタノール沈殿を施し、二本鎖DNA産物を得た。
【0049】
この二本鎖DNA産物を8μLのRNaseフリー水に溶解し、そのうち4μLと、16μLのT7RNAポリメラーゼ溶液(商品名:Ampliscribe(EPICENTRE社製))とを用いて、in vitro転写を行い、in vitro転写物を得た。なお、ここまでの工程を1サイクルと定義する。
【0050】
[フィルター法]
得た混合物を、ポップトップホルダーに固定したニトロセルロース膜に導入してろ過し、膜を1mLの結合バッファーで洗浄した。その後、この膜を400μLの溶出バッファー(20mM Tris−HCl pH7.4、150mM NaCl、7M 尿素)に浸漬して、90℃、5分間加温した。得た液にエタノール沈殿を施し、オリゴヌクレオチドを得た。
【0051】
その後、このオリゴヌクレオチド全量と、プライマー3(配列番号17)と、AMV由来逆転写酵素トランスクリプターゼ(10U、ロシュ・ダイアグノスティックス社製)とを用いて、55℃で、30分間、及び85℃で5分間、逆転写反応を行った。
【0052】
この反応産物全量と、5UのDNAポリメラーゼ(商品名:Ex−Taq、タカラバイオ株式会社製)と、30nMのプライマー1(配列番号14)と、プライマー2(配列番号15)とを用いて、90℃×50秒、53℃×70秒及び74℃×50秒の順で行うサイクルを1サイクルとして、4サイクル以上でPCR反応を行った。得た液にエタノール沈殿を施し、二本鎖DNA産物を得た。
【0053】
この二本鎖DNA産物を8μLのRNaseフリー水に溶解し、そのうち4μLと、2μLのT7RNAポリメラーゼ(商品名:Ampliscribe(EPICENTRE社製))とを用いて、in vitro転写を行い、in vitro転写物を得た。なお、ここまでの工程を1サイクルと称する。
【0054】
(実施例1)
配列番号1〜4について、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)を利用したバイオセンサーBiacore3000(ビアコア社製)を用いて、以下の通り測定した。
【0055】
まず、リガンドとして、配列番号1〜4に示す各RNAの3’末端側にアデニン24塩基を連結したものを、定法に従い調製した。5’末端側にビオチンを標識した24塩基のデオキシチミンをセンサーチップSA(ビアコア社製)に固定化し、つぎに、調製したRNAをデオキシチミンと結合させた。これに、200nMの標的物質5〜8を、流速20μL/分で2分間添加し、測定物の結合を観察した後、3分間にわたって解離を観察した。
【0056】
標的物質5:マウスIgG抗体(Normal mouseIgG(SantaCruz社製)、カタログ番号:sc−2025、サブタイプ:混合)
標的物質6:マウスIgG抗体(商品名、anti−FLAG M2、シグマ社製、カタログ番号:F3165、サブタイプ:1)
標的物質7:マウスIgG抗体(商品名Protein A Purified Mouse Monoclonal Anti−GST(Rockland社製)、カタログ番号:200−301−200、サブタイプ:1)
標的物質8:マウスIgG抗体(mouse IgG Fc fragment(Rockland社製)、カタログ番号:010−0103、サブタイプ:混合)
【0057】
反応は25℃で行った。この観察で結合の有無を観察した。結果を表1に示す。表1中、「+」印は、結合の見られたものを示しており、コントロールと比較してノイズ幅よりも大きなシグナルが観察されたものに相当する。
【0058】
また、上記の200nMの標的物質5〜8に代えて、200nM、100nM、50nM、25nM、12.5nM及び6.25nMのマウスIgG抗体(商品名、anti−FLAG M2、シグマ社製、カタログ番号:F3165、サブタイプ:1)を用いて得たセンサグラムから、各配列の結合定数(Kd値)を算出した。また、これらの結合定数の値について、χ(カイ)2乗検定を行った。結果を表2に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
(製造例2)
配列番号1に記載のRNAについて、上記の二次構造予測を行った。具体的には、対象となる配列番号1に示す塩基配列において、ワトソン・クリック型などの塩基対を構成する塩基の候補と、この塩基対候補以外の一本鎖領域の候補とを探索した。探索された塩基対候補及び一本鎖領域候補の全組合せのうち、塩基対候補を構成する塩基と一本鎖領域候補を構成する塩基とが重複するなど、理論的に取り得ない組合せを除いて、二次構造候補を同定した。同定された二次構造候補のうち、二次構造候補のエネルギー関数を算出し、算出されたエネルギー関数が最小となる二次構造を探索した。この際、この二次構造候補のエネルギー関数の算出方法としては、二次構造候補を構成する個々のステム領域及び一本鎖領域の自由エネルギーに基づいて、この二次構造候補における自由エネルギーを、二次構造候補のエネルギー関数とした。このようにして、同定された二次構造候補のうち、エネルギー関数の最も小さい二次構造を、対象となる核酸分子の塩基配列の二次構造とした。その結果を図1に示す。
【0062】
このようにして得た配列番号1の二次構造の結果を参照すると、16〜19残基目及び45〜48残基目の塩基が4塩基対からなるステム長を有するステム領域を形成することが分かった。そこで、このステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム領域のステム長さを2つ延ばし、5’末端側にGを付加した配列番号5に示すRNAを合成した。また、同様に、ステム領域のステム長さを2つ延ばすなどした配列番号6に示すRNAを合成した。さらに、配列番号6のステム領域に対応する配列を、グアニン残基及びシトシン残基のみからなるものとした配列番号7に示すRNAを合成した。
【0063】
(実施例2)
実施例1において、配列番号1〜4の代わりに、配列番号5〜7を用い、標的物質5〜8の代わりに、下記の標的物質9〜12の各標的物質を用いた以外は、実施例1と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表3に示す。
【0064】
標的物質9:マウスIgG抗体(mouse IgG Isotype Control IgG1(BD Biosciences社製)、カタログ番号:557273、サブタイプ:1)
標的物質10:マウスIgG抗体(mouse IgG Isotype Control IgG2a(BD Biosciences社製)、カタログ番号:553454、サブタイプ:2a)
標的物質11:マウスIgG抗体(mouse IgG Isotype Control IgG2b(BD Biosciences社製)、カタログ番号:557351、サブタイプ:2b)
標的物質12:マウスIgG抗体(mouse IgG Isotype Control IgG3(BD Biosciences社製)、カタログ番号:553486、サブタイプ:3)
【0065】
【表3】
【0066】
(比較例1)
実施例2において、配列番号5及び6に示すRNAの代わりに、配列番号1及び2の配列、並びに配列番号1〜4に示すRNAのうち、シトシン残基及びウリジン残基をDurascribe(登録商標) T7 Transcription Kit(EPICENTRE社製、カタログ番号:DS010925社製)を用いてフルオロ化した配列を用いた以外は、実施例2と同様に、結合の有無を観察した。その結果を表4に示す。なお、表4において、「1F」、「2F」、「3F」及び「4F」は、それぞれ、配列番号1〜4に示すRNAを上記の通りフルオロ化したものを示す。
【0067】
【表4】
【0068】
(実施例3)
比較例1において、配列番号1及び2並びにフルオロ化した各配列に代えて、配列番号1〜6に示すRNAのうち、ウリジン残基のみをDurascribe(登録商標) T7 Transcription Kit(EPICENTRE社製、カタログ番号:DS010925社製)を用いてフルオロ化した配列を用いた以外は、比較例1と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表5に示す。なお、表5において、「1FU」、「2FU」、「3FU」、「4FU」、「5FU」及び「6FU」は、それぞれ、配列番号1〜6に示すRNAを上記の通りフルオロ化したものを示す。
【0069】
【表5】
【0070】
(比較例2)
実施例3において、フルオロ化した各配列に代えて、配列番号1〜6に示すRNAのうち、シトシン残基のみをDurascribe(登録商標) T7 Transcription Kit(EPICENTRE社製、カタログ番号:DS010925社製)を用いてフルオロ化した配列を用いた以外は、実施例3と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表6に示す。なお、表6において、「1FC」、「2FC」、「3FC」、「4FC」、「5FC」及び「6FC」は、それぞれ、配列番号1〜4に示すRNAを上記の通りフルオロ化したものを示す。
【0071】
【表6】
【0072】
(製造例3)
製造例2において、配列番号1の代わりに、配列番号4を用いた以外は、製造例2と同様に、二次構造を予測した。その結果を図2に示す。
【0073】
このようにして得た配列番号4の二次構造の結果を参照すると、16〜19残基目及び45〜48残基目の塩基が4塩基対からなるステム長を有するステム領域を形成することが分かった。
【0074】
製造例2において二次構造の予測を行った配列番号1とともに、本製造例3において二次構造の予測を行った配列番号4について、それぞれの二次構造に基づいて、種々のRNAを合成した。
【0075】
まず、配列番号1の二次構造においてステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム領域のステム長さを2つ延ばした配列番号8に示すRNAを合成した。また、配列番号1の二次構造においてステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、ステム領域のステム長4の塩基対を、グアニン残基及びシトシン残基からなるステム長5のステム領域とした配列番号9、及びステム長6のステム領域とした配列番号10を、それぞれ合成した。
【0076】
一方、配列番号4の二次構造においてステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、このステム領域に代えて、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム長さ4のステム領域を有する配列番号11に示すRNAを合成した。
【0077】
さらに、配列番号1の二次構造において、ステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム領域のステム長さを2つ延ばしたステム長5の配列において、3’末端側のステム領域に隣接するシトシン残基を、グアニン残基に改変した、配列番号12に示すRNAを合成した。
【0078】
またさらに、配列番号1の二次構造において、ステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム領域のステム長さを2つ延ばしたステム長6の、配列番号19に示すRNAを合成した。また、配列番号4の二次構造において、ステム領域の末端側のいわゆるプライマー領域を欠失させ、グアノシン及びシチジンを用いて、ステム領域のステム長さを2つ延ばしたステム長6の、配列番号20に示すRNAを合成した。
【0079】
(実施例4)
実施例2において、配列番号5〜7の代わりに、配列番号8〜12及び19〜20を用いた以外は、実施例2と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表7に示す。
【0080】
【表7】
【0081】
(比較例3)
実施例4において、配列番号8〜12及び19〜20の代わりに、配列番号12において、5’末端側のステム領域に隣接するウリジン残基をグアニン残基に改変するとともに、3’末端側のステム領域に隣接するグアニン残基をアデニン残基に改変した配列番号18の配列を用いた以外は、実施例4と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表8に示す。
【0082】
【表8】
【0083】
(製造例4)
製造例1と同様に行い、配列番号21〜23を得た。
【0084】
(実施例5)
実施例1において、配列番号1〜4の代わりに、配列番号21〜23を用い、且つ標的物質5〜8の代わりに、標的物質9を用いて行った以外は、実施例1と同様に行い、結合の有無を観察した。その結果を表9に示す。表9中、「+」印は、結合の見られたものを、「△」印は、わずかに結合が見られたものを示す。
【0085】
【表9】
【0086】
(製造例5)
安定化の目的のため、配列番号11の塩基のうち、5’末端から2残基目のグアニン残基をシトシン残基に、3’末端から2残基目のシトシン残基をグアニン残基に、それぞれ改変した配列(以下、本製造例において、改変配列と称する。)を合成した。
【0087】
得た改変配列の5’末端を、定法に従いビオチン化して、配列番号24に示すRNAを得た。
【0088】
また、改変配列の5’末端側にデオキシアデニンを5残基付加した配列を合成し、その5’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号25に示すRNAを得た。
【0089】
また、改変配列の3’末端側にデオキシアデニンを10残基付加した配列を合成し、その3’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号26に示すRNAを得た。
【0090】
また、改変配列の5’末端側に、炭素数18からなる炭素鎖(商品名; SPACER18, GLEN RESERCH社,品番10-1918-90)を3つ付加した配列を合成し、その5’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号27に示すRNAを得た。
【0091】
さらに、改変配列の3’末端を、定法に従いビオチン化して、配列番号28に示すRNAを得た。
【0092】
また、改変配列の3’末端側にデオキシアデニンを5残基付加した配列を合成し、その3’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号29に示すRNAを得た。
【0093】
また、改変配列の5’末端側にデオキシアデニンを10残基付加した配列を合成し、その5’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号30に示すRNAを得た。
【0094】
また、改変配列の3’末端側に、上記と同様に炭素数18からなる炭素鎖を3つ付加した配列を合成し、その5’末端を、上記と同様にビオチン化して、配列番号31に示すRNAを得た。
【0095】
(実施例6)
実施例1において、配列番号1〜4に代えて、配列番号24〜27を用いた以外は、実施例1と同様に行い、各配列の結合定数(Kd値)を算出した。その結果を表10に示す。
【0096】
【表10】
【0097】
(実施例7)
実施例6において、配列番号24〜27のうち、配列番号25を用い、200nM、100nM、50nM、25nM、12.5nM及び6.25nMのマウスIgG抗体の代わりに、200nM、100nM、50nM、25nM、12.5nM及び6.25nMの標的物質9、10及び12を用いた以外は、実施例6と同様に行い、この配列の各標的物質に対する結合定数(Kd)を算出した。その結果を表11に示す。
【0098】
【表11】
【0099】
(実施例8)
96ウェルのELISAプレート(商品名:Immuno 96 Microwell Plates MaxiSorp(Nunc社製)、カタログ番号:430341)に、400ngの抗FLAGマウスIgG抗体(標的物質2)を有する50μLのPBS溶液(PBS:8.1mM Na2HPO4、1.47mM KH2PO4、137mM NaCl、2.68mM KCl(Nippon Gene社製、カタログ番号:314−90815))を各ウェルに分注し、4℃で一昼夜静置した。その後、ブロッキング溶液(PBS、0.05% Tween20、5mM MgCl2、1×デンハルト溶液及び0.1% アセチル化BSA)100μLを各ウェルに分注し、1時間、室温で静置し、その後、ウェルの液を取り除いた。
【0100】
その後、配列番号24〜27及び配列番号28〜31の配列からなるRNAであって、95度3分間の加熱後室温にて除冷しリフォールディングさせたもの(300nM)、及びストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(商品名ECL Streptavidin−HRP Conjugate、GEヘルスケアバイオサイエンス社製、カタログ番号:RPN2195)(1/500)を有するPBS−T+Mg溶液(PBS、0.05% Tween20及び5mM MgCl2)であるRNA溶液50μLを各ウェルに分注し、30分間、室温で静置した。
【0101】
その後、100μLのPBS−T+Mg溶液を用いて3回各ウェルを洗浄し、各ウェルに100μLのHRP基質(商品名:1−Step Turbo TMB−ELISA (PIERCE社製)、カタログ番号:34022))を加え、30分間、室温で反応させ、その後、1MのH2SO4で反応を停止した。各ウェルの450nmにおける吸光度(参照波長は620nm)を測定した。その結果を図3に示す。
【0102】
図3において、縦軸は、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いて得た吸光度を示し、横軸は、RNA溶液に含まれるRNAに対応する配列番号の番号を示す。また、「NC」は、RNA溶液において、RNAを有さないものを用いて得た結果を示し、「PC」は、標的物質2を有するPBS溶液を用いて一昼夜行う反応を行わずに、且つHRP基質を用いた反応を行う際に、ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(商品名ECL Streptavidin−HRP Conjugate、GEヘルスケアバイオサイエンス社製、カタログ番号:RPN2195)(1/500)を有するPBS−T+Mg溶液を添加した得た結果を示す。
【0103】
(実施例9)
実施例8において、下記(I)〜(V)の通りとした以外は、実施例8と同様に行い、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いた吸光度を得た。
【0104】
(I)抗FLAGマウスIgG抗体(標的物質2)の代わりに、下記(1)〜(6)の各IgGを用いた
(II)配列番号24〜27及び配列番号28〜31の配列からなるRNAの代わりに、配列番号28に示す配列からなるRNAを用いた
(III)リフォールディングさせたRNAの濃度を50nMとした
(IV)ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/500)に代えて、ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/1000)を用いた
(V)RNA溶液を各ウェルに分注して室温で静置する時間を20分間とした
【0105】
(1)マウス抗FLAG M2抗体(標的物質2)(図4中、マウスと表記)
(2)ウサギ抗GSTポリクローナル抗体(ケミコン社製、カタログ番号:AB3282)(図4中、ウサギと表記)
(3)ラットIgG(Santa Cruz社製、カタログ番号:sc−2026)(図4中、ラットと表記)
(4)ヤギ抗ウサギIgG(CHEMICON社製、カタログ番号:AP−132)(図4中、ヤギと表記)
(5)ヒト抗IgG(Bethyl社製、カタログ番号:P80−104)(図4中、ヒトと表記)
(6)モルモットIgG(Jackson Immuno Research社製、カタログ番号:006−000−002)(図4中、モルモットと表記)
【0106】
また、配列番号28に示す配列からなるRNAに代えて、ヒツジ由来の抗マウスIgG−HRP結合完全抗体(GE社製、カタログ番号:N931)をPBS−T+Mgで2000倍に希釈したものを用いて、上記と同様に吸光度を得た。その結果を図5に示す。なお、図4及び5において、「NC」及び「PC」は、図3と同様である。
【0107】
(実施例10)
実施例9において、下記(I)〜(III)の通りに変更した以外は、実施例9と同様に行い、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いた吸光度を得た。
【0108】
(I)上記(1)〜(6)の各IgGに代えて、下記表12に記載の(1)〜(14)の各IgGを用いた
(II)RNA溶液中のRNAの濃度を200nMとした
(III)各ウェルにHRP基質を添加して室温で反応させる時間を50分間とした
【0109】
その結果を図6に示す。なお、図6において、「NC」及び「PC」は、図3と同様である。
【0110】
【表12】
【0111】
(実施例11)
実施例9において、下記(I)〜(IV)の通りとした以外は、実施例9と同様に行い、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いた吸光度を得た。
【0112】
(I)400ngの標的物質2に代えて、1000ng、100ng、10ng、1ng、0.1ng、0.001ng及び0.0001ngの標的物質2を用いた
(II)リフォールディングさせたRNAの濃度を50nMとした
(III)ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/500)に代えて、ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/1000)を用いた
(IV)RNA溶液を各ウェルに分注して室温で静置する時間を20分間とした
【0113】
その結果を図7に示す。なお、図7において、横軸は、標的物質2の量を示し、縦軸は、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いて得た吸光度を示す。
【0114】
また、標的物質28に示す配列からなるRNAに代えて、ヒツジ由来の抗マウスIgG−HRP結合完全抗体(GE社製、カタログ番号:N931)をPBS−T+Mgで2000倍に希釈したものを用いて、上記と同様に吸光度を得た。その結果を図8に示す。図8において、横軸は、IgG抗体の量を示し、縦軸は、図7と同様である。
【0115】
(実施例12)
実施例8において、下記(I)〜(III)の通りとした以外は、実施例8と同様に行い、450nmの測定波長、620nmの参照波長を用いて得た吸光度を得た。
【0116】
(I)配列番号24〜27及び配列番号28〜31の配列からなるRNAであって、95度3分間の加熱後室温にて除冷しリフォールディングさせたもの(300nM)に代えて、800nM、400nM、200nM、100nM、50nM、25nM、12.5nM及び6.25nMの配列番号25の配列からなるRNAを用いた
(II)ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/500)に代えて、ストレプトアビジン−HRPコンジュゲート(1/1000)を用いた
(III)RNA溶液を各ウェルに分注して室温で静置する時間を20分間とした
【0117】
その結果を図9に示す。図9において、横軸は、用いたRNAの濃度を示し、縦軸は、図3と同様である。
【0118】
(実施例13)
SA−Agarose(商品名:UltraLink(登録商標)Immobilized Streptavidin Plus(PIERCE社製)、カタログ番号:53117)をカラム(Micro Bio−spin Chromatography columns (Bio−rad社製、カタログ番号:732−6204))に充填し、PBS溶液で2回洗浄した。
【0119】
一方、配列番号25に示すRNAとPBS−Mg溶液とからなるRNA溶液(RNA濃度10μM)を調製した。
【0120】
上記のSA−Agaroseを有するカラムに、このRNA溶液を添加し、4℃で1時間、インキュベーションした後、PBS溶液250μLを用いて、3回洗浄した。
【0121】
このようにして調製したカラムに、マウス腹水(Control mouse ascites fluiod Clone NS−1(SIGMA社製)、カタログ番号:M8273、23mg/mlタンパク)と標的物質2に示すマウス抗FLAG抗体とを有するPBS−Mg溶液(抗体濃度1mg/mL)(以下、腹水−抗FLAG抗体混合液と称する。)を添加し、室温で30分間、インキュベートした。
【0122】
このようにして得たカラムを、遠心分離し、上清を回収し、素通り画分とした。さらにこのカラムに、PBS溶液250μLで3回洗浄し、この洗浄液を全て回収した。なお、これらの洗浄液をそれぞれ、洗浄液1、2及び3と称する。
【0123】
次に、このカラムに、50μLのPBS溶液を添加して、室温で10分間インキュベートし、カラムを遠心分離して、溶出液1を得た。また、このカラムに、上記と同様にPBS溶液を用いて、インキュベーション及び遠心分離を行い、溶出液2を得た。
【0124】
その後、このカラムに、50μLのPBS−EDTA溶液(PBS及び10mM EDTA)を添加して、室温で10分間インキュベートし、カラムを遠心分離して、溶出液3を得た。また、このカラムに上記と同様にPBS−EDTA溶液を用いて、インキュベーション及び遠心分離を行い、溶出液4を得た。
【0125】
その後、このカラムに、50μLのPBS−RNaseA(PBS+0.01mg/mL RNaseA)を添加して、室温で10分間インキュベートし、カラムを遠心分離して、溶出液5を得た。
【0126】
このようにして得た各サンプルを、SDSサンプルバッファーに加え、95℃で5分間加熱し、SDS−PAGE用サンプルとした。これを、5〜20%のSDS−PAGE用ゲルにアプライし、30分間泳動し、染色液(GelCode Blue Stain Reagent(PIERCE社製、カタログ番号:24590))で染色し、SDS−PAGE像を得た。その結果を図10に示す。なお、図10において、各レーンは、下記に示す通りである。
【0127】
M:Marker(Precision Plus Protein Kaleidoscope Standards(Bio−rad社製)、カタログ番号:161−0375)
1:腹水−抗FLAG抗体混合液 1μL(11.5μgl protein + 1μg anti−FLAG MAb相当)
2:素通り画分1μL (腹水−抗FLAG抗体混合液のカラム素通り画分total 50μL)
3:洗浄液3 5μL(カラムwash total 250μL)
4:溶出液1 5μL(PBS;Mg(−)での溶出画分 total 50μL)
4:溶出液2 5μL(PBS;Mg(−)での溶出画分 total 50μL)
6:溶出液3 5μL(PBS;EDTA(+)での溶出画分 total 50μL)
7:溶出液4 5μL(PBS;EDTA(+)での溶出画分 total 50μL)
8:溶出液5 5μL(PBS;RNA(+)での溶出画分 total 50μL)
9:溶出終了後のSA−Agarose 5μL(溶出後のSA−agarose−mouse IgGアプタマー複合体 total 50μL)
10:抗FLAG抗体 1μL(1mg/ml 1μg相当)
【0128】
(実施例14)
10mg/mLのDynabeads M−280 streptavidin(Invitrogen社製、カタログ番号:112.05D)250μLを1.5mLチューブに移し、MagnaRack(Invitrogen社製、カタログ番号:CS15000)に立て、上清を回収した後、PBS−Mg溶液(PBS及び5mM MgCl2)で2回洗浄した。
【0129】
一方、配列番号25及び26に示すRNAを有するPBS−Mg溶液(RNA濃度10μM)を調製した。
【0130】
上記のDynabeadsを有する液に、このRNA溶液を添加し、4℃で1時間、インキュベーションした後、PBS−Mg500μLを用いて、3回洗浄した。
【0131】
このようにして調製したDynabeadsに、マウス腹水(Control mouse ascites fluiod Clone NS−1(SIGMA社製)、カタログ番号:M8273、23mg/mlタンパク)と標的物質2に示すマウス抗FLAG抗体を有するPBS−Mg−I溶液(抗体濃度1mg/mL)とを有する腹水−抗FLAG抗体混合液を添加し、4℃で15分間、インキュベートした。
【0132】
このようにして得たDynabeadsを、遠心分離し、上清を回収し、素通り画分とした。さらにこのDynabeadsに、PBS−Mg溶液で3回洗浄し、この洗浄液を全て回収した。なお、これらの洗浄液をそれぞれ、洗浄液1、2及び3と称する。
【0133】
次に、このDynabeadsに、50μLのPBS溶液を添加して、4℃で10分間インキュベートし、カラムを遠心分離して、溶出液1を得た。さらに、このDynabeadsに、50μLのPBS−EDTA溶液(PBS、10mM EDTA及び1×ProtectRNA(登録商標)RNase Inhibitor(同前))を添加して、4℃で10分間インキュベートし、カラムを遠心分離して、溶出液2を得た。
【0134】
このようにして得た各サンプルを、SDSサンプルバッファーに加え、95℃で5分間加熱し、SDS−PAGE用サンプルとした。これを、5〜20%のSDS−PAGE用ゲルにアプライし、30分間泳動し、染色液(GelCode Blue Stain Reagent(PIERCE社製、カタログ番号:24590))で染色し、SDS−PAGE像を得た。その結果を図11に示す。なお、図11において、各レーンは、下記に示す通りである。
【0135】
M:Marker(Precision Plus Protein Kaleidoscope Standards(Bio−rad社製)、カタログ番号:161−0375)
1:腹水−抗FLAG抗体混合液 1μL(11.5μgl protein + 1μg anti−FLAG MAb相当)
2:溶出液1 40μL相当
(PBSのみでの溶出画分 total 50μLのうち40μLをTCA沈殿で濃縮)
3:溶出液2 40μL相当
(PBS+10mM EDTAでの溶出画分 total 50μLのうち40μLをTCA沈殿で濃縮)
4:溶出後に得たDynaBeads 5μL
(溶出後のDynaBeads−mouse IgGアプタマー複合体 total 50μL)
5:抗FLAG抗体 1μL(1mg/ml 1μg相当)
−:RNAなし
28:配列番号25に示すRNA
31:配列番号26に示すRNA
【0136】
(参考例1)
実施例8において、400ngの抗FLAGマウスIgG抗体(標的物質2)に代えて、0.01ng、0.025ng、0.05ng、0.1ng、0.25ng、0.5ng、1ng、2.5ng、5ng、10ng、25ng、50ng及び100ngの抗体を用い、配列番号24〜27及び配列番号28〜31の配列からなるRNAであって、95度3分間の加熱後室温にて除冷しリフォールディングさせたものの代わりに、実施例13で得た溶出液1、2、3、4及び5を100倍及び1000倍(溶出液3については、1000倍及び10000倍、溶出液5については、100倍)に希釈して得た液を用いた以外は、実施例8と同様に行い、溶出液1、2、3、4及び5に含まれるIgGの量を定量した。その結果を表13に示す。
【0137】
また、上記と同様に、実施例13で得た溶出液2に代えて、実施例14で得た溶出液1及び2を用いた以外は、上記と同様に、各溶出液に含まれるIgGの量を定量した。その結果を表13に示す。
【0138】
なお、IgGの量の定量には、上記の通りの抗体の希釈系列から導出した標準曲線に基づいて、定法に従い、行った。
【0139】
【表13】
【0140】
(実施例15)
標的物質として、N−Terminal FLAG−BAP Control Protein(SIGMA社製、カタログ番号;P7582)を用い、これをSDS−PAGE法に準じて、電気泳動を行い、得たバンドをPVDF膜(商品名:Hybond−P(GE社製)、カタログ番号:RPN1416F)に転写した。これを、一次抗体として、標的物質2に示すANTI−FLAG M2 Monoclonal Antibody (SIGMA社製、カタログ番号:F3165、ロット番号:086K6012)の500倍希釈液に浸漬し、洗浄・ブロッキングを行った後、得た膜を、配列番号24〜27及び配列番号28〜31に示す配列のRNAを有するRNA溶液(100nM、15μg/mL)で処理した。この膜を、化学発光基質としてChemiluminescent Peroxidase Substrate(SIGMA社製、カタログ番号:CPS−1−60)を用いて発光させ、発光像を観察した。その結果を、図12に示す。図12において、各レーンは、下記に示す通りである。なお、発光時間は、2秒であった。また、図12において、「SA−HRP」は、上記のRNA溶液を用いずに発光させて得た発光像である。
【0141】
M:ビオチン化した分子量マーカー
1:1μgのFLAG−BAP
2:200ngのFLAG−BAP
3:100ngのFLAG−BAP
【0142】
(実施例16)
実施例15において、N−Terminal FLAG−BAP Control Protein(SIGMA社製、カタログ番号;P7582)に加えて、標的物質2に示すANTI−FLAG M2 Monoclonal Antibody(SIGMA社製、カタログ番号:F3165、ロット番号:086K6012)を用い、配列番号24〜27及び配列番号28〜31に示す配列のRNAの代わりに、配列番号25を用いた以外は、実施例15と同様に行い、PDVF膜の発光像を得た。結果を図13に示す。図13において、各レーンは、下記の通りである。なお、発光時間は、8秒とした。
【0143】
M:ビオチン化した分子量マーカー
1:0.5μgの抗FLAG−マウスIgG抗体
2:0.5μgの抗FLAG−マウスIgG抗体及び100ngのFLAG−BAP
3:100ngのFLAG−BAP
【0144】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】製造例2で得た二次構造予測の結果である。
【図2】製造例3で得た二次構造予測の結果である。
【図3】実施例8で得た吸光度を示す棒グラフである。
【図4】実施例9において、配列番号28に示す配列からなるRNAを用いて得た吸光度を示す棒グラフである。
【図5】実施例9において、ヒツジ由来の抗マウスIgG−HRP結合完全抗体を用いて得た吸光度を示す棒グラフである。
【図6】実施例10で得た吸光度を示す棒グラフである。
【図7】実施例11において、配列番号28に示す配列からなるRNAを用いて得た吸光度を示すグラフである。
【図8】実施例11において、ヒツジ由来の抗マウスIgG−HRP結合完全抗体を用いて得た吸光度を示すグラフである。
【図9】実施例12において、400ngの標的物質2を用いて得た吸光度を示すグラフである。
【図10】実施例13で得たSDS−PAGE像である。
【図11】実施例14で得たSDS−PAGE像である。
【図12】実施例15で得たPDVF膜の発光像である。
【図13】実施例16で得たPDVF膜の発光像である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウス由来のIgG抗体に結合性を有することを特徴とする核酸分子。
【請求項2】
マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子であって、
当該核酸分子は、該核酸分子の塩基配列をステム領域と一本鎖領域とに分割して得た二次構造候補のエネルギー関数を最小化することに基づく二次構造予測を用いて得た該核酸分子の二次構造において、ステム長さ3以上のステム領域を当該核酸分子の末端に有することを特徴とする核酸分子。
【請求項3】
前記のステム長さ3以上のステム領域の一本鎖領域側の末端の塩基に隣接する塩基は、アデニン以外の塩基であることを特徴とする請求項2に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記のステム長さ3以上のステム領域は、グアニン残基及びシトシン残基のみから構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の核酸分子。
【請求項5】
配列番号1に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項6】
配列番号2に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項7】
配列番号3に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項8】
配列番号4に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項9】
配列番号5に記載の配列からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項10】
配列番号6に記載の配列からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項11】
配列番号7に記載の配列からなることを特徴とする請求項1又は3に記載の核酸分子。
【請求項12】
配列番号8に記載の配列からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸分子。
【請求項13】
配列番号9に記載の配列からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項14】
配列番号10に記載の配列からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項15】
配列番号11に記載の配列からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸分子。
【請求項16】
配列番号12に記載の配列からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸分子。
【請求項17】
配列番号19に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項18】
配列番号20に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項19】
配列番号21に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項20】
配列番号22に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項21】
配列番号23に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項22】
配列番号24に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項23】
配列番号25に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項24】
配列番号26に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項25】
配列番号27に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項26】
配列番号28に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項27】
配列番号29に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項28】
配列番号30に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項29】
配列番号31に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項30】
ウリジン残基の2’位の水素をフルオロ化したものであることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項31】
前記IgG抗体は、サブタイプ1のIgG抗体、サブタイプ2aのIgG抗体及びサブタイプ3のIgG抗体からなる群から選択されたIgG抗体であることを特徴とする請求項1乃至30のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項32】
マウス由来のIgG抗体への結合を検出する検出キットであって、
請求項1乃至31のいずれか一項に記載の核酸分子を含有する試薬を有することを特徴とする検出キット。
【請求項1】
マウス由来のIgG抗体に結合性を有することを特徴とする核酸分子。
【請求項2】
マウス由来のIgG抗体に結合性を有する核酸分子であって、
当該核酸分子は、該核酸分子の塩基配列をステム領域と一本鎖領域とに分割して得た二次構造候補のエネルギー関数を最小化することに基づく二次構造予測を用いて得た該核酸分子の二次構造において、ステム長さ3以上のステム領域を当該核酸分子の末端に有することを特徴とする核酸分子。
【請求項3】
前記のステム長さ3以上のステム領域の一本鎖領域側の末端の塩基に隣接する塩基は、アデニン以外の塩基であることを特徴とする請求項2に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記のステム長さ3以上のステム領域は、グアニン残基及びシトシン残基のみから構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の核酸分子。
【請求項5】
配列番号1に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項6】
配列番号2に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項7】
配列番号3に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項8】
配列番号4に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項9】
配列番号5に記載の配列からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項10】
配列番号6に記載の配列からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項11】
配列番号7に記載の配列からなることを特徴とする請求項1又は3に記載の核酸分子。
【請求項12】
配列番号8に記載の配列からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸分子。
【請求項13】
配列番号9に記載の配列からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項14】
配列番号10に記載の配列からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項15】
配列番号11に記載の配列からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸分子。
【請求項16】
配列番号12に記載の配列からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の核酸分子。
【請求項17】
配列番号19に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項18】
配列番号20に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項19】
配列番号21に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項20】
配列番号22に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項21】
配列番号23に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項22】
配列番号24に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項23】
配列番号25に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項24】
配列番号26に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項25】
配列番号27に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項26】
配列番号28に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項27】
配列番号29に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項28】
配列番号30に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項29】
配列番号31に記載の配列からなることを特徴とする請求項1に記載の核酸分子。
【請求項30】
ウリジン残基の2’位の水素をフルオロ化したものであることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項31】
前記IgG抗体は、サブタイプ1のIgG抗体、サブタイプ2aのIgG抗体及びサブタイプ3のIgG抗体からなる群から選択されたIgG抗体であることを特徴とする請求項1乃至30のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項32】
マウス由来のIgG抗体への結合を検出する検出キットであって、
請求項1乃至31のいずれか一項に記載の核酸分子を含有する試薬を有することを特徴とする検出キット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図13】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図13】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−57451(P2010−57451A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228705(P2008−228705)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
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