説明

マスク作成方法、及び半導体装置の製造方法

【課題】デフォーカス時において、レジストパターンのコーナー部での断線の抑制が可能であり、マスク作成工程におけるプロセスマージンを拡大する。
【解決手段】第1のコーナー部を有する帯状パターンを含むマスクパターンの設計レイアウトデータに対してOPC処理を行う工程STEP1と、OPC処理されたマスクパターンを用いて、プロセスコンディション変動時の条件で露光した際のレジストパターンの形状を取得する工程STEP2と、第1のコーナー部に対応するレジストパターンの第2のコーナー部の幅を取得する工程STEP6と、第2のコーナー部の幅が所定の基準値以下である場合、透光性基板に形成された帯状パターンの第1のコーナー部の内側に補正パターンを配置する工程STEP8と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク作成方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程では、所望の形状とされたマスクパターンを有するフォト用マスク(「レチクル」ともいう)を用いて、フォトリソグラフィ技術により半導体基板上に上記マスクパターンを転写することが一般的に行われている。
【0003】
フォト用マスクは、ガラス等の透光性基板上に遮光膜となる金属膜(モリブデンやモリブデンシリサイド等)を堆積させ、次いで、該金属膜上にレジスト膜(感光性樹脂膜)を塗布し、次いで、マスクパターンを形成するためのレイアウトデータに基づき、電子線等を用いてレジスト膜に描画を行い、その後、現像したレジストパターンをマスクとするエッチングにより金属膜をパターニングすることで作成される。
【0004】
近年の半導体装置の微細化は、マスクプロセス技術、光リソグラフィ技術、及びエッチング技術等の微細パターン形成技術の飛躍的な進歩により実現されている。
【0005】
パターンサイズが充分大きい時代には、半導体基板上に形成したいパターンの平面形状をそのまま設計パターンとして描き、該設計パターンに忠実なマスクパターンを作成した後、マスクパターンを投影光学系によって半導体基板上に転写し、下地をエッチングすることによって、半導体基板上に略設計パターン通りのマスクパターンを形成することができた。
【0006】
しかしパターンの微細化が進むにつれて、各プロセスでパターンを忠実に形成することが困難になってきており、最終仕上がり寸法が設計パターン通りにならないという問題が生じてきた。
【0007】
これらの問題を解決するために、各プロセスでの変換差を考慮して、最終仕上がり寸法が設計パターンと等しくなるように、設計パターンと異なるマスクパターンを作成するマスクデータ処理が非常に重要になってきている。
【0008】
フォト用マスクに形成された微細なマスクパターンを、できるだけ正確に半導体基板上に転写するための一つの方法として、OPC(光学近接効果補正)を適用したフォトマスクを用いることが一般的に行われている。
このようなOPC処理を行うことで、最終仕上がり寸法が所望になるように、マスクパターンを適切に補正している。
【0009】
図10は、90度でクランクしたマスクパターン、及び該マスクパターンにより形成されるベストフォーカスでのレジストパターンを模式的に示す平面図である。
しかしながら、図10に示すように、90度でクランクしたマスクパターン101を用いて、ベストフォーカスでレジストパターン102を形成する場合、90度でクランクする箇所において、OPC処理による補正が過剰となり、レジストパターン102の形状にうねりが生じる恐れがあった。
【0010】
図11は、45度でクランクするマスクパターン、及び該マスクパターンにより形成されるベストフォーカスでのレジストパターンを模式的に示す平面図である。
特許文献1には、レジストパターン102に生じるうねりを抑制する方法として、図11に示すように、図10において90度でクランクする部分を面取りして、45度でクランクするマスクパターン104を形成し、マスクパターン104により形成されるベストフォーカスでのレジストパターン105に発生するうねりを抑制可能な光学近似補正が開示されている。
【0011】
また、特許文献2には、コンピュータに、第1の配線と、第1の配線と直角に接続する第2の配線とが存在する図形を、設計データから抽出させる工程と、第1の配線と第2の配線が直角に接続している部分を90度以外の角度で接続させるように変更した新たな設計データを作成する工程と、を具備する半導体装置の設計データ処理方法が開示されている。
【0012】
一方、近年、プロセスウインドOPC(Process Window OPC)と呼ばれる技術が開発されている(例えば、特許文献3参照。)。
プロセスウインドとは、良好な形状とされたレジストパターンを形成可能なパラメータ(具体的には、フォーカス、露光量、マスクの寸法ばらつき等)の範囲のことをいう。
【0013】
プロセスウインドOPCでは、プロセスパラメータ(フォーカス/露光量)を振ってプロセスウインドが無いかチェックし、プロセスウインドの狭いパターンがあった場合には、プロセスウインドの狭いパターンのターゲットをシフトさせてマージンを向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−301296号公報
【特許文献2】特開2007−33919号公報
【特許文献3】特開2010−152356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図12は、図11に示すベストフォーカス時のレジストパターン、及びデフォーカス時のレジストパターン(デフォーカス+60nm)を模式的に示す平面図である。
【0016】
しかしながら、図12に示すように、特許文献1記載の光学近似補正を用いた場合、ベストフォーカス時には所望の形状(レイアウトで描かれた半導体基板上に形成したい形状)とされたレジストパターン105を得ることができても、デフォーカス時では、OPCによる補正量が十分でないため、コーナー付近のレジストパターン107の幅が顕著に細くなり、プロセスマージンが減少するという問題があった。
【0017】
上記問題は、特に、半導体装置のうちの1つであるDRAM(Dynamic Random Access Memory)のように、微細な繰り返しパターンを形成する場合、繰り返しパターンに特化した光学条件(具体的には、斜入射照明)では繰り返し性の崩れるコーナー部のフォーカスマージンが減少してしまう。
【0018】
また、特許文献2に記載の方法では、様々なケースがあるため、自動(ツール等)で補正をすることが難しく、プロセスマージンを確保するためには人による補正が必要になってしまうという問題があった。
【0019】
また、特許文献3に記載のプロセスウインドOPCでは、ターゲットパターンのシフトによりマージンを向上させるため、マージンの改善効果が不十分な場合があった。
特に、露光特性に方向依存性のある照明(例えば、0/90度方向、及び45/135度方向のパターンの方向により焦点深度が異なる4点照明)では、デフォーカスでコーナー部の凸角がなくなるため、断線しやすいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一観点によれば、第1のコーナー部を有する帯状パターンを含むマスクパターンの設計レイアウトデータに対してOPC処理を行う工程と、前記OPC処理された前記マスクパターンを用いて、プロセスコンディション変動時の条件で露光した際のレジストパターンの形状を取得する工程と、前記第1のコーナー部に対応する前記レジストパターンの第2のコーナー部の幅を取得する工程と、前記第2のコーナー部の幅が所定の基準値以下である場合、透光性基板に形成された前記帯状パターンの前記第1のコーナー部の内側に補正パターンを配置する工程と、を有することを特徴とするマスク作成方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明のマスク作成方法の製造方法によれば、第1のコーナー部を有する帯状パターンを含むマスクパターンの設計レイアウトデータに対してOPC処理を行い、次いで、OPC処理されたマスクパターンを用いて、プロセスコンディション変動時の条件で露光した際のレジストパターンの形状を取得し、次いで、第1のコーナー部に対応するレジストパターンの第2のコーナー部の幅を取得し、第2のコーナー部の幅が所定の基準値以下である場合、透光性基板に形成された帯状パターンの第1のコーナー部の内側に補正パターンを配置することにより、第1のコーナー部の内側はデフォーカス時に寸法変化が小さいため、周辺に位置するパターンへの影響を抑制した上で、レジストパターンの第2のコーナー部の幅を所定の基準値以上にすることが可能となる。
【0022】
これにより、レジストパターンの第2のコーナー部での断線が抑制でき、マスク作成工程におけるプロセスマージンを拡大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の本実施の形態に係るマスク作成方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図2】90度の角度で曲がる第1のコーナー部を有する帯状パターンを含むマスクパターンを部分的に拡大した平面図である。
【図3】図2に示すマスクパターンをOPC処理後にデフォーカス条件(デフォーカス+60nm)で露光した際のレジストパターンを示す平面図である。
【図4】90度の角度で曲がる第1のコーナー部の内側に補正パターンである三角形パターンが配置されたマスクを模式的に示す平面図である。
【図5】図4に示すマスクを用いてデフォーカス条件(デフォーカス+60nm)で露光した際のレジストパターンを示す平面図である。
【図6】45度の角度で曲がる第1のコーナー部を有する帯状パターンを含むマスクパターンを部分的に拡大した平面図である。
【図7】図6に示すマスクパターンをOPC処理後にデフォーカス条件(デフォーカス+60nm)で露光した際のレジストパターンを示す平面図である。
【図8】45度の角度で曲がる第1のコーナー部の内側に補正パターンである四角形パターンが配置されたマスクを模式的に示す平面図である。
【図9】図8に示すマスクを用いてデフォーカス条件(デフォーカス+60nm)で露光した際のレジストパターンを示す平面図である。
【図10】90度でクランクしたマスクパターン、及び該マスクパターンにより形成されるベストフォーカスでのレジストパターンを模式的に示す平面図である。
【図11】45度でクランクするマスクパターン、及び該マスクパターンにより形成されるベストフォーカスでのレジストパターンを模式的に示す平面図である。
【図12】図11に示すベストフォーカス時のレジストパターン、及びデフォーカス時のレジストパターン(デフォーカス+60nm)を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際のマスク及びレジストパターンの寸法関係とは異なる場合がある。
【0025】
(実施の形態)
図1は、本発明の本実施の形態に係るマスク作成方法を説明するためのフローチャートを示す図である。図2は、90度の角度で曲がる第1のコーナー部を有する帯状パターンを含むマスクパターンを部分的に拡大した平面図である。
【0026】
図3は、図2に示すマスクパターンをOPC処理後にデフォーカス条件(デフォーカス+60nm)で露光した際のレジストパターンを示す平面図である。図4は、90度の角度で曲がる第1のコーナー部の内側に補正パターンである三角形パターンが配置されたマスクを模式的に示す平面図である。
図5は、図4に示すマスクを用いてデフォーカス条件(デフォーカス+60nm)で露光した際のレジストパターンを示す平面図である。
【0027】
図6は、45度の角度で曲がる第1のコーナー部を有する帯状パターンを含むマスクパターンを部分的に拡大した平面図である。図7は、図6に示すマスクパターンをOPC処理後にデフォーカス条件(デフォーカス+60nm)で露光した際のレジストパターンを示す平面図である。
【0028】
図8は、45度の角度で曲がる第1のコーナー部の内側に補正パターンである四角形パターンが配置されたマスクを模式的に示す平面図である。図9は、図8に示すマスクを用いてデフォーカス条件(デフォーカス+60nm)で露光した際のレジストパターンを示す平面図である。
【0029】
図1〜図9を参照して、本実施の形態のマスク作成方法について説明する。
始めに、図1に示す処理が開始されると、STEP1では、図2に示す第1のコーナー部11を有する帯状パターン12を含むマスクパターン13(マスク15を構成する全てのパターンに相当する)の設計レイアウトデータに対してOPC処理を行う。
【0030】
なお、図1では、1つの帯状パターン12の一部のみを図示しているが、実際には、マスクパターン13は、複数の帯状パターンを有する。また、マスクパターン13は、透光性基板14上に形成されている。また、透光性基板14及びマスクパターン13よりなる図2に示すフォト用のマスク15は、まだ完成されていない(補正が完了していない)段階のマスクである。
【0031】
続く、STEP2では、OPC処理されたマスクパターン13を用いて、プロセスコンディション変動時の条件(具体的には、デフォーカス条件(デフォーカス+60nm))で露光した際のレジストパターン18(図3参照)の形状を取得する。
図3に示すレジストパターン18の第2のコーナー部19は、図2に示すマスクパターン13の第1のコーナー部11に対応する部分である。
【0032】
なお、本実施の形態において、上記プロセスコンディション変動とは、フォトリソグラフィ工程において、大きな影響を占める、フォトマスク起因の変動(マスク作成時の寸法変動や誤差)、露光機起因の変動(焦点位置、露光量、マスク、ウェハステージの精度(傾斜等)他)、及び現像機起因の変動(温度や膜厚などのばらつき)のことをいう。
なお、プロセスコンディション変動に最も大きな影響を及ぼす要素は、デフォーカスである。
【0033】
次いで、STEP3では、図3に示すように、レジストパターン18のCD(Critical Dimension)値を取得する。このとき、レジストパターン18を構成する全てのパターンに対してCD値を取得する。
【0034】
次いで、STEP4では、プロセスコンディション変動時のCD値(STEP3で取得したCD値)が、予め入力された所定の基準値A(CD±10%)の範囲内かどうかの判定が行われる。
【0035】
STEP4において、Yesと判定された場合(CD値が所定の基準値A内と判定された場合)、処理はSTEP5へと進む。
また、STEP4において、Noと判定された場合(CD値が所定の基準値Aの範囲から外れたと判定された場合)、処理はSTEP5へと進む。
【0036】
STEP5では、レジストパターン18のうち、所定の基準値A未満とされた部分に対応するマスクパターン13のエッジ(側壁)に対して補正を行い、その後、処理は、STEP1へと戻る。
【0037】
続く、STEP6では、図3に示すように、レジストパターン18の第2のコーナー部19を取得する。露光装置の照明として露光特性に方向依存性が生じる照明を用いた場合、図3に示すように、レジストパターン18の第2のコーナー部19の形状が丸くなると共に、幅が細く(狭く)なる。
【0038】
なお、露光特性に方向依存性が生じる照明としては、例えば、Ann.(輪帯)、Cros.(90度4点照明)、クエーサー(45度4点照明)、ダイポール、6点照明、8点照明等を例に挙げることができる。
【0039】
また、EUV(Extreme Ultraviolet)露光装置には、Ann.、Cros.、クエーサー、及びダイポールが標準でインストールされているので、本実施の形態は、EUV露光装置を用いた場合にも適用できる。
さらに、Ann.、Corss.、及びダイポールが標準でインストールされているので液浸露光機(ASML)にも適用可能である。
【0040】
続く、STEP7では、第2のコーナー部19の幅(CD値)が所定の基準値B(例えば、40nm)以上であるか否かの判定が行われる。STEP7において、第2のコーナー部19の幅(CD値)が所定の基準値B(例えば、40nm)以上であると判定される(Yesと判定される)と、処理はSTEP9へと続く。
【0041】
また、STEP7において、第2のコーナー部19の幅(CD値)が所定の基準値B以下であると判定された場合(Noと判定された場合)には、処理はSTEP8へと進む。
そして、STEP8では、図4に示すように、透光性基板14に形成された帯状パターン12の第1のコーナー部11の内側11Aに補正パターンCを配置する。
【0042】
具体的には、例えば、図2に示すように、第1のコーナー部11が90度の角度で曲がっている場合、補正パターンCとして、第1のコーナー部11の内側11Aを構成する帯状パターン12の第1及び第2の辺12A,12Bと接触する三角形パターン22を配置し、その後、処理はSTEP1へと戻り、STEP1において、もう一度、OPC処理が行われる。
【0043】
図4に示す帯状パターン12の幅が50nmの場合、例えば、三角形パターン22の高さの初期値を5nmとし、5nmのステップで三角形パターン22の高さを大きくしていくことができる。
【0044】
このとき、ベストフォーカス時には、フォトリソ後の第2のコーナー部19の幅が広くなるため、レジストパターンの形状は、ターゲットとする寸法よりずれる。しかしながら、デフォーカス時に第2のコーナー部19の幅(CD値)が軽減される。
【0045】
本実施の形態では、図1に示すSTEP1〜STEP8の処理を繰り返し行うことで、第2のコーナー部19の幅(CD値)が所定の基準値B(例えば、40nm)以上なるように、補正を行う。
【0046】
このように、デフォーカス時において、第1のコーナー部11(90度に曲がるコーナー部)の外側と比較して形状変化の起こりにくい第1のコーナー部11の内側11Aに、補助パターンCである三角形パターン22を配置することにより、レジストパターン18の第2のコーナー部19の幅が所定の基準値Bよりも狭くなることを抑制可能となる。
これにより、レジストパターン18の第2のコーナー部19の断線が抑制でき、マスク15の作成工程におけるプロセスマージンを拡大させることができる。
【0047】
なお、三角形パターン22の寸法(大きさ)の初期値として最小寸法の4分の1の値から設計最小寸法までの範囲内の値を用いてもよい。この場合、過補正となった箇所は、三角形パターン22のサイズを小さくして、必要な寸法補正が得られるようにする。コーナー部の補正量は、コーナー部の周辺に位置する周辺パターンとの関係で最適化が変化する。
【0048】
ここで、図6〜図9を参照して、マスクパターン13を構成し、かつ45度の曲がりとされた第1のコーナー部24を有する帯状パターン23を補正する場合について説明する。
図6に示す第1のコーナー部24の内側24Aは、帯状パターン23の第1及び第2の辺23a,23bにより構成されている。
【0049】
始めに、図6に示すマスクパターン13をOPC処理し、OPC処理されたマスクパターン13を、デフォーカス条件(デフォーカス+60nm)で露光する。
これにより、図7に示すレジストパターン25の形状が取得される。図7に示すように、デフォーカス時のレジストパターン25の第2のコーナー部26は幅が細くなる。
【0050】
次いで、レジストパターン25の第2のコーナー部26の断線を抑制するために、図8に示すように、第1のコーナー部24の内側24Aに、補正パターンDとして四角形パターン28を配置する。
【0051】
四角形パターン28は、2つ長辺28a,28b及び2つの短辺28c,28dを有する。四角形パターン28は、四角形パターン28の一方の長辺28aが第1の辺23aと接触し、かつ四角形パターン28の他方の長辺28bと1つの短辺28cとで構成される角28Aが、第2の辺23b上に位置するように配置する。
【0052】
このとき、第1の辺23aと接触する四角形パターン28の長辺28aの長さLは、帯状パターン23の幅Wの1〜2倍の値にすると共に、第2の辺23bの長さ(言い換えれば、四角形パターン28の高さ)をパラメータとして、デフォーカス時の第2のコーナー部26の幅が狭くならないように設定する。
【0053】
この場合、ベストフォーカス時には、45度で曲がる第2のコーナー部の幅が広くなるが、デフォーカス時には、レジストパターン25の幅が十分広くすることが可能となる。
これにより、レジストパターン25の第2のコーナー部26の断線が抑制でき、マスク15の作成工程におけるプロセスマージンを拡大させることができる。
【0054】
ところで、従来技術であるプロセスウインドOPCでは、エッジをシフトさせるだけなので、コーナー部を大幅に太らせないと断線を防止することができなかった。
一方、本発明では、第1のコーナー部11,24の内側11A,24Aに補正パターンC,Dを配置することで、効果的にレジストパターン18,25の断線を抑制できる。
【0055】
また、本発明によれば、補正するパターンの周辺に位置するパターンに及ぼす影響を小さくすることができる。具体的には、例えば、コーナー部の幅が広くなると、その周辺に位置するスペースパターンの焦点深度が低下するが、本発明では、周辺パターンの焦点深度の低下を抑制できる。
【0056】
続く、STEP9では、レジストパターン18,25の全ての第2のコーナー部11,12の幅(CD値)のチェックが完了したかどうかの判定が行われる。
STEP9において、レジストパターン18,25の全ての第2のコーナー部11,12の幅(CD値)のチェックが完了していないと判定された場合(Noと判定された場合)、処理はSTEP6へと戻る。
【0057】
また、STEP9において、レジストパターン18,25の全ての第2のコーナー部11,12の幅(CD値)のチェックが完了したと判定された場合(Yesと判定された場合)、図1に示す処理は終了する。
【0058】
本実施の形態のマスク作成方法によれば、第1のコーナー部11,24を有する帯状パターン12,23を含むマスクパターン13の設計レイアウトデータに対してOPC処理を行い、次いで、OPC処理されたマスクパターン13を用いて、デフォーカス条件(プロセスコンディション変動に最も影響を及ぼす要素)で露光した際のレジストパターン18,25の形状を取得し、次いで、第1のコーナー部11,24に対応するレジストパターン18,25の第2のコーナー部19,26の幅を取得し、第2のコーナー部19,26の幅が所定の基準値B以下である場合、透光性基板14に形成された帯状パターン12,23の第1のコーナー部11,24の内側11A,24Aに補正パターンC,Dを配置することにより、第1のコーナー部11,24の内側はデフォーカス時に寸法変化が小さいため、周辺に位置するパターンへの影響を抑制した上で、レジストパターン18,25の第2のコーナー部19,26の幅を所定の基準値B以上にすることが可能となる。
【0059】
これにより、レジストパターン18,25の第2のコーナー部19,26での断線が抑制でき、マスク15の作成工程におけるプロセスマージンを拡大させることができる。
【0060】
なお、図1に示すSTEP7の位置は、OPC処理(STEP1)以降であれば、どこに配置してもよい。
上記マスク15(補正が完了したマスク)を用いて半導体装置を製造する場合には、先に図1〜図9で説明したマスク作成方法を用いて作成されたマスクを準備し、その後、マスク15を用いたフォトリソグラフィ技術により、図示していない基板(例えば、半導体基板)上に加工用レジストパターン(図示せず)を形成する。
【0061】
上記加工用レジストパターンは、実際には、基板に形成された絶縁膜或いは導電膜の上面に形成される。
例えば、該導電膜上に、上記加工用レジストパターンを形成し、その後、加工用レジストパターンを介したエッチングにより、導電膜をパターニングすることで、該導電膜よりなる配線のクランク部において、配線が断線することを抑制できる。
また、加工用レジストパターンは、導電膜をエッチング後に除去する。
【0062】
本発明は、例えば、半導体装置のうちの1つであるDRAM(Dynamic Random Access Memory)のように、微細な繰り返しパターンを形成する場合に有効であり、繰り返しパターンに特化した光学条件(具体的には、斜入射照明)を用いてもコーナー部のフォーカスマージンを拡大することができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、マスク作成方法及び半導体装置の製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
11,24…第1のコーナー部、11A,24A…内側、12,23…帯状パターン、12A…第1の辺、12B…第2の辺、13…マスクパターン、14…透光性基板、15…マスク、18,25…レジストパターン、19,26…第2のコーナー部、22…三角形パターン、23a…第1の辺、23b…第2の辺、28…四角形パターン、28a,28b…長辺、28c,28d…短辺、28A…角、L…長さ、W…幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコーナー部を有する帯状パターンを含むマスクパターンの設計レイアウトデータに対してOPC処理を行う工程と、
前記OPC処理された前記マスクパターンを用いて、プロセスコンディション変動時の条件で露光した際のレジストパターンの形状を取得する工程と、
前記第1のコーナー部に対応する前記レジストパターンの第2のコーナー部の幅を取得する工程と、
前記第2のコーナー部の幅が所定の基準値以下である場合、透光性基板に形成された前記帯状パターンの前記第1のコーナー部の内側に補正パターンを配置する工程と、
を有することを特徴とするマスク作成方法。
【請求項2】
前記第1のコーナー部が90度の角度で曲がっている場合、前記補正パターンとして、前記第1のコーナー部の内側を構成する前記帯状パターンの第1及び第2の辺と接触する三角形パターンを配置することを特徴とする請求項1記載のマスク作成方法。
【請求項3】
前記第1のコーナー部が45度の角度で曲がっている場合、前記第1のコーナー部の内側に、前記補正パターンとして四角形パターンを配置することを特徴とする請求項1記載のマスク作成方法。
【請求項4】
前記四角形パターンは、2つ長辺及び2つの短辺を有し、
前記第1のコーナー部の内側は、前記帯状パターンの第1及び第2の辺により構成されており、
前記四角形パターンは、該四角形パターンの一方の長辺が前記第1の辺と接触し、かつ前記四角形パターンの他方の長辺と1つの短辺とで構成される角が、前記第2の辺上に位置するように配置することを特徴とする請求項3記載のマスク作成方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載のマスク作成方法を用いて作成されたマスクを準備する工程と、
前記マスクを用いたフォトリソグラフィ技術により、基板上に加工用レジストパターンを形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記加工用レジストパターンを介して、前記基板を加工する工程と、
前記基板を加工後に、前記加工用レジストパターンを除去する工程と、
を含むことを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−109289(P2013−109289A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256214(P2011−256214)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】