説明

マスク及びマスクの製造方法

【課題】紗張り等を行うことでマスクの薄い部分が伸びてしまい印刷パターンにずれが生じることを防止する。
【解決手段】本発明に係るマスクは、マスク層4と補強部7とを備える。マスク層4は、印刷パターンに対応する開口10を有する印刷部11と、印刷部11よりも厚さの薄い非印刷部12とを有する。補強部7は、マスク層4の非印刷部12の表面の所定の範囲に形成され、所定の厚みを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スクリーン印刷用マスク及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基材上に印刷パターン形状のレジストを形成し、レジストが形成された領域を除いて金属層をめっきにより形成し、レジストと基材とを剥離することでスクリーン印刷用マスクを製造している。また、めっきにより形成され、印刷パターンに対応する開口を有する層と、めっきにより形成され、メッシュパターンに対応する開口を有する層とが積層された2層構造のスクリーン印刷用マスクがある。
【特許文献1】特開平05−85077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のスクリーン印刷用マスクでは、特に印刷パターンが一部に集中している場合等に、印刷パターンが存在する部分の厚さに比べ、印刷パターンが存在しない部分の厚さが薄くなる。このため、紗張り等を行うことで印刷パターンが存在しない薄い部分が伸びてしまい印刷パターンにずれが生じるという課題がある。
本発明は、例えば、マスクの厚さが薄い部分をなくし、印刷パターンにずれを生じさせないことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るマスクは、例えば、印刷パターンに対応する開口を有する印刷部と、上記印刷部よりも厚さの薄い非印刷部とを有するマスク層と、
上記マスク層の上記非印刷部の表面の所定の範囲に形成された所定の厚みを有する補強部と
を備えることを特徴とする。
【0005】
上記補強層は、上記印刷部から所定の間隔を持って形成された
ことを特徴とする。
【0006】
上記補強層は、上記非印刷部の厚さが上記印刷部の厚さと略同一となる厚みを有する
ことを特徴とする。
【0007】
上記印刷部と上記非印刷部とは、めっきにより形成された
ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るマスクの製造方法は、例えば、印刷パターンに対応する開口を有する印刷部と、上記印刷部よりも厚さの薄い非印刷部とを有するマスク層を形成するマスク層形成ステップと、
上記マスク層の上記非印刷部の表面の所定の範囲に形成された所定の厚みを有する補強部を形成する補強部形成ステップと
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るマスクの製造方法は、例えば、基材に印刷パターン形状の第1のレジストを形成するステップと、
上記第1のレジストが形成された領域を除いて、上記基材にマスク層をめっきにより形成するステップと、
上記第1のレジストと上記マスク層との表面の少なくとも上記第1のレジストの表面全体を覆うように第2のレジストを形成するステップと、
上記第2のレジストが形成された領域を除いて、上記マスク層に補強部をめっきにより形成するステップと、
上記第1のレジストと上記第2のレジストとを除去するステップと、
上記マスク層から上記基材を剥離するステップと
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るマスクによれば、マスクの厚さが薄い非印刷部に所定の厚みを有する補強部が形成されるため、マスクの厚さが薄い部分がない。したがって、紗張り等を行っても、印刷パターンにずれを生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
まず、図1、図2に基づき実施の形態1に係るマスクの形状について説明する。図1は、実施の形態1に係るマスクをスキージ側(インク側)から見た状態を示す図である。また、図2は、図1に示すA−A’断面図である。
図1における斜線部分は補強部7である。つまり、この例では印刷パターンに対応する開口10の周囲所定の範囲8を除き、補強部7が存在する。また、図2に示すように、実施の形態1に係るマスクは、印刷パターンに対応する開口10を有する印刷部11と、印刷パターンに対応する開口10を有さない非印刷部12とを有するマスク層4と、補強部7とを備える。非印刷部12は、印刷部11と比べ厚さが薄い(W2<W3)。また、補強部7は、非印刷部12の表面の所定の範囲に形成されており、所定の厚みを有する。補強部7は、例えば、非印刷部12と補強部7との厚さを合わせた厚さ(W1)が、印刷部11の厚さ(W3)と略同一(W1=W3)となる厚さである。さらに、上述したように印刷パターンに対応する開口10の周囲所定の範囲8には補強部7が存在しないため、印刷パターンに対応する開口10の周囲所定の範囲8は、凹状に形成される。
ここで、補強部7を備える面がスキージ側(インク側)であり、その反対面が印刷側(ワーク側)である。つまり、補強部7を備える面上をスキージが摺動することでインクが移動する。
【0012】
実施の形態1に係るマスクは、厚みの薄い非印刷部12の表面に補強部7を備えるため、マスクの厚さが薄い部分がない。したがって、紗張り等を行っても、印刷パターンのずれを生じることがない。
また、実施の形態1に係るマスクは、補強部7は、印刷パターンに対応する開口10から所定の間隔を持って形成される。つまり、印刷パターンに対応する開口10の周囲所定の範囲8には補強部7を備えず、凹状に形成されている。したがって、スキージにより移動されたインクが印刷パターンに対応する開口10の周囲所定の範囲8に形成された凹状の部分の存在によりローリングする。よって、インクの流動性が高くなる。
【0013】
次に、図3から図12に基づき上記形状を有するマスクの製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、基材1を準備する。基材1の材質は例えばSUS(ステンレス鋼,Stainless Used Steel)、鉄板、アルミニウム等の導電性基材を用いる事ができる。または、導電性皮膜が形成された非導電性基材でもよく、例えば、ガラスにNi,Cr、ITO(Indium Tin Oxide)膜等の導電性物質を蒸着した基材でもよい。次に、図4に示すように、基材1上にレジスト2(感光性樹脂,第1のレジスト)をラミネートする。次に、図5に示すように、レジスト2の上に印刷パターンを有するパターンフィルム3を重ねて露光する。つまり、パターンフィルム3の印刷パターン形状の露光部分3−1が露光される。このように、フィルムを用いて印刷パターンをレジスト2に露光する方法に限られず、紫外線レーザー等を用いて印刷パターンをレジスト2に直接描画しても構わない。そして、パターンフィルム3を取り外し、現像する。すると、図6に示すように、レジスト2の露光された部分が残り、印刷パターン形状にレジスト2が形成される。次に、図7に示すように、レジスト2が形成された領域を除き、基材1上にマスク層4をニッケルストライクめっき等により形成する。ここで、マスク層4は、レジスト2付近に厚くめっきされ、その他の部分には薄くめっきされる。特に、レジスト2が密集している部分には厚くめっきされる。つまり、印刷パターンの開口が密集している場合、印刷部11は非印刷部12に比べ厚くなる。マスク層4を形成後、レジスト2を除去する。
次に、図8に示すように、マスク層4にレジスト5(感光性樹脂,第2のレジスト)をラミネートする。次に、図9に示すように、レジスト5の上に少なくともレジスト2が形成されていた領域(印刷パターンに対応する開口となる部分)の表面全体を覆う露光部分6−1を有するパターンフィルム6を重ねて露光する。パターンフィルム6を取り外し現像すると、図10に示すように、マスク層4の表面に少なくともレジスト2が形成されていた領域の表面全体を覆うようにレジスト5が硬化して残る。露光処理は上記同様に紫外線レーザー等を用いてレジスト5に直接描画しても構わない。次に、図11に示すように、レジスト5が形成された領域を除いて、マスク層4に補強部7をニッケル等のめっきにより形成する。ここで、補強部7は、非印刷部12と補強部7との厚さを合わせた厚さが、印刷部11の厚さと略同一となる程度の厚さである。つまり、補強部7の厚さは、非印刷部12が印刷部11と略同一の厚さとなる程度である。ここで、露光部分6−1を印刷部11よりも少し大きくすると、印刷部11から所定の間隔を持って補強部7が形成される。
そして、図12に示すように、レジスト5を除去し、マスク層4と補強部7から基材1を剥離する。
【0014】
ここで、図9に示すように、印刷パターンが密集している場合には、複数のレジスト2が形成されていた領域の表面を跨って覆うような露光部分6−1を有するパターンフィルム6を使用し、複数のレジスト2が形成されていた領域の表面を跨って覆うようにレジスト5を形成しても構わない。
また、上記では、印刷パターンが密集している場合を図示したが、これに限らず、印刷パターンが密集していない場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0015】
上記説明において、補強部7は、図2に示す非印刷部12の表面に一様に形成した。しかし、これに限らず、例えば、補強部7を所定のパターンに形成しても構わない。つまり、補強部7を、複数の丸形、三角形、四角形、六角形、多角形等からなるパターンに形成しても構わない。すなわち、マスクを上から(図1と同様の方向から)見た場合、複数の丸形、三角形、四角形、六角形、多角形等に補強部7が形成されているとしても構わない。このように補強部7を形成することにより、各補強部7の間に凹部が形成される。凹部の存在によりペーストの流動性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1に係るマスクをスキージ側(インク側)から見た状態を示す図。
【図2】図1に示すA−A’断面図。
【図3】基材1を示す図。
【図4】基材1にレジスト2をラミレートした状態を示す図。
【図5】レジスト2に印刷パターンを有するパターンフィルム3を重ねた状態を示す図。
【図6】印刷パターン形状にレジスト2が形成された状態を示す図。
【図7】レジスト2が形成された領域を除き、基材1上にマスク層4を形成した状態を示す図。
【図8】レジスト2とマスク層4とにレジスト5をラミネートした状態を示す図。
【図9】レジスト5の上にパターンフィルム6を重ねた状態を示す図。
【図10】少なくともレジスト2の表面全体を覆うようにレジスト5が硬化して残った状態を示す図。
【図11】レジスト5が形成された領域を除いて、マスク層4に補強部7を形成した状態を示す図。
【図12】レジスト2とレジスト5とを除去し、マスク層4と補強部7から基材1を剥離した状態を示す図。
【符号の説明】
【0017】
1 基材、2,5 レジスト、3,6 パターンフィルム、4 マスク層、7 補強部、8 開口10の周囲所定の範囲、10 印刷パターンに対応する開口、11 印刷部、12 非印刷部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷パターンに対応する開口を有する印刷部と、上記印刷部よりも厚さの薄い非印刷部とを有するマスク層と、
上記マスク層の上記非印刷部の表面の所定の範囲に形成された所定の厚みを有する補強部と
を備えることを特徴とするマスク。
【請求項2】
上記補強部は、上記印刷部から所定の間隔を持って形成された
ことを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項3】
上記補強部は、上記非印刷部の厚さが上記印刷部の厚さと略同一となる厚みを有する
ことを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項4】
上記印刷部と上記非印刷部とは、めっきにより形成された
ことを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項5】
印刷パターンに対応する開口を有する印刷部と、上記印刷部よりも厚さの薄い非印刷部とを有するマスク層を形成するマスク層形成ステップと、
上記マスク層の上記非印刷部の表面の所定の範囲に形成された所定の厚みを有する補強部を形成する補強部形成ステップと
を備えることを特徴とするマスクの製造方法。
【請求項6】
基材に印刷パターン形状の第1のレジストを形成するステップと、
上記第1のレジストが形成された領域を除いて、上記基材にマスク層をめっきにより形成するステップと、
上記第1のレジストを除去するステップと、
上記マスク層の表面の少なくとも上記第1のレジストが形成されていた領域の表面全体を覆うように第2のレジストを形成するステップと、
上記第2のレジストが形成された領域を除いて、上記マスク層に補強部をめっきにより形成するステップと、
上記第2のレジストを除去するステップと、
上記マスク層から上記基材を剥離するステップと
を備えることを特徴とするマスクの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−200959(P2008−200959A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38625(P2007−38625)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(300071823)株式会社ボンマーク (54)
【Fターム(参考)】