説明

マッサージユニット

【課題】複数の第1施療指を有し、人の手指による肩揉みに近い揉み挟みマッサージを施すことのできるマッサージユニットを提供する。
【解決手段】シャーシ12と、シャーシに配備された揉み用モータ14と、シャーシに軸支され、揉み用モータにより回転する主軸21と、該主軸の左右に配備され、主軸の軸芯に対して傾斜した斜軸25とを有する揉み軸20と、斜軸に回転可能に嵌まる係合孔32の形成されたアーム部31と、該アーム部の先端に配備され、被施療者の患部をマッサージする先端押圧子33と、アーム部の基端に形成され、シャーシと係合してアーム部が揉み軸と一体に回転することを規制する角度規制部材とを有する第1施療指30とを有するマッサージユニットにおいて、斜軸には、複数の第1施療指30,30a,30bが並んで配備されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の肩等の患部を挟み揉みすることのできるマッサージユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被施療者の肩、背中及び腰にマッサージを施すマッサージユニットを具えた椅子型マッサージ機が知られている。
この種椅子型マッサージ機において、被施療者の肩を押圧マッサージするだけでなく、人が肩を揉むような感覚のマッサージを施すことのできるマッサージユニットを搭載したものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のマッサージユニットは、上下に対向する第1施療指と第2施療指を夫々左右に一対有しており、第1施療指は、上下、左右に揺動する揺動レバーに対して揺動アームを介して連繋され、第2施療指は、揺動レバーに支持され、揺動アームに対してスライド可能となっている。
第1施療指には、先端に扁平球状の揉み玉を有し、該揉み玉が被施療者の患部を押圧する。
揺動アームは、両端が球状のボールリンクによって、シャーシに揺動角度が規制されるように接続されており、揺動レバーを上下、左右に揺動させることで、第1施療指と第2施療指を互いに接近、離間可能に作動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4046702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1施療指は、扁平球状の揉み玉を有しているが、できるだけ広い面積で肩揉みマッサージを施そうとする場合、単独の揉み玉では横に幅を広くするに留まり、人の手指による肩揉みとは感覚が違うものであった。
【0006】
本発明の目的は、複数の第1施療指を有し、人の手指による肩揉みに近い揉み挟みマッサージを施すことのできるマッサージユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のマッサージユニットは、
シャーシと、
シャーシに配備された揉み用モータと、
シャーシに軸支され、揉み用モータにより回転する主軸と、該主軸の左右に配備され、主軸の軸芯に対して傾斜した斜軸とを有する揉み軸と、
斜軸に回転可能に嵌まる係合孔の形成されたアーム部と、該アーム部の先端に配備され、被施療者の患部をマッサージする先端押圧子と、アーム部の基端に形成され、シャーシと係合してアーム部が揉み軸と一体に回転することを規制する角度規制部材とを有する第1施療指と、
を有するマッサージユニットにおいて、
斜軸には、複数の第1施療指が並んで配備されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマッサージユニットによれば、揉み軸の主軸先端に傾斜して配備された斜軸には、複数の第1施療指を具備している。
斜軸は、主軸から離れている位置ほど、主軸軸心からの偏心量は大きくなる。
従って、揉み軸を回転させると、各第1施療指は、主軸から軸と直交する方向に離れた位置にある偏心量の大きな第1施療指ほど、動きが大きく、また、当該第1施療指が、主軸からの偏心量の小さい第1施療指よりも先に動いて、且つ、最後まで動く。
即ち、各第1施療指は、同時に同じ力で被施療者の患部に作用するのではなく、偏心量の大きい第1施療指から順に患部に当たり、偏心量の小さい第1施療指が患部に当たった後、最初に偏心量の小さい第1施療指が患部から離れ、最後に偏心量の大きい第1施療指が患部から離れる。
また、偏心量の大きい第1施療指ほど、揺動範囲が大きくなるから、偏心量の大きい施療指ほど、患部に強く当たる。
従って、各第1施療指により被施療者の患部に施される施療力、施療時間は異なることとなり、患部には、人の手によるマッサージの如く、各第1施療指の変化に富んだマッサージを施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のマッサージユニットを斜め前方から見た斜視図である。
【図2】本発明のマッサージユニットを斜め後方から見た斜視図である。
【図3】本発明のマッサージユニットの部分分解図である。
【図4】図2の線IV−IVに沿う断面図である。
【図5】第1施療指と第2施療指が離間した状態を示す説明図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】第1施療指と第2施療指が接近した状態を示す説明図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9】本発明のマッサージユニットに樹脂製のカバーと布カバーを取り付けた使用状態を示す斜視図である。
【図10】被施療者が寝転んだ状態で本発明のマッサージユニットによりマッサージを受けている状態を示す説明図である。
【図11】本発明の異なる実施例を示すマッサージユニットを斜め前方から見た斜視図である。
【図12】本発明の異なる実施例を示すマッサージユニットを斜め後方から見た斜視図である。
【図13】本発明の異なる実施例を示すマッサージユニットの部分分解図である。
【図14】本発明のさらに異なる実施例を示すマッサージユニットの斜視図であって、先端押圧子と第2施療指が離間した状態を示している。
【図15】同マッサージユニットの斜視図であって、先端押圧子と第2施療指が接近した状態を示している。
【図16】同マッサージユニットの部分分解図である。
【図17】同マッサージユニットの第1施療指の先端押圧子と第2施療指が離間した状態を示す説明図である。
【図18】同マッサージユニットの第1施療指の先端押圧子と第2施療指が接近した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図2は、本発明のマッサージユニット(10)の斜視図、図3は、片側の第1施療指(30)(30a)(30b)、第2施療指(40)と、揉み軸(20)の端部を分解して示す図である。
本発明のマッサージユニット(10)は、シャーシ(12)上に回転可能に配備された揉み軸(20)の左右に夫々複数の第1施療指(30)(30a)(30b)と第2施療指(40)を有しており、これらを接近、離間させることにより、被施療者の肩等の患部を挟み揉みマッサージするものである。
本実施例では、第1施療指を3本ずつ(符号(30)(30a)(30b)で示す)配備しているが、本数はこれに限定されるものではない。また、第2施療指(40)は、必要に応じて設ければよい。
【0011】
なお、何れの図においても、マッサージユニット(10)の内部構造をわかりやすくするために、マッサージユニット(10)の外周に取り付けられるカバーやクッション、フレーム等を取り外して示しているが、実際に使用する場合には、図9及び図10に示すように、適宜樹脂製カバー(60)や布カバー(61)やクッション、フレーム等を取り付ければよい。
【0012】
図1乃至図3に示すように、本発明のマッサージユニット(10)は、シャーシ(12)の略中央に縦向きに配備された揉み用モータ(14)を駆動源として作動する構成を例示することができ、揉み用モータ(14)には、ギア等を内装した減速機構(15)を介して揉み軸(20)が連繋されており、揉み用モータ(14)の駆動により、揉み軸(20)を回転可能としている。
【0013】
揉み軸(20)は、略中央位置にて減速機構(15)に連繋された真っ直ぐな主軸(21)と、該主軸(21)の左右両端に取り付けられた傾斜軸部(22)を有している。
【0014】
傾斜軸部(22)は、後述する第1施療指(30)(30a)(30b)を支持する部材であり、図4に示すように、主軸(21)に嵌まる先端が斜めに切断された筒状の取付部材(23)間に、フランジ(24)を介して斜軸(25)が連繋されている。取付部材(23)は、主軸(21)に固定され、斜軸(25)が主軸(21)の軸芯に対して傾斜して配備される。斜軸(25)の先端には、前記取付部材(23)と同軸となるように取付部材(23)が配備されている。
斜軸(25)の傾斜角度は適宜設定することができ、主軸(21)の両側に配備される傾斜軸部(22)の斜軸(25)は、図に示すように左右同方向に突出するように取り付けたり、左右で逆方向に突出するように取り付けることができる。
取付部材(23)(23)は、シャーシ(12)に突設された軸受(13)に両持ち支持されている。
【0015】
斜軸(25)には、図5及び図7に示すように、斜軸(25)の軸芯から偏心した位置に後述する第2施療指(40)を揺動させる第2ロッド(19)の基端が当たり、第2ロッド(19)を往復動させる第2偏心カム(27)が形成されている。
【0016】
被施療者の患部を挟み揉む施療指は、傾斜軸部(22)に支持された上下一対の第1施療指(30)(30a)(30b)と第2施療指(40)から構成される。
【0017】
第1施療指(30)(30a)(30b)は、斜軸(25)に回転自在に嵌まる係合孔(32)を有し、シャーシ(12)から見て前方側に突出するアーム部(31)と、該アーム部(31)の先端に形成され、被施療者の患部を押圧する先端押圧子(33)を有する。各先端押圧子(33)は、被施療者の肩をマッサージする際に、肩を上部から押し付ける部位であり、人による肩揉みマッサージと似たマッサージ効果を得るために、夫々人の手の指程度の幅に構成することが望ましい。
第1施療指(30)(30a)(30b)は、傾斜軸部(22)の斜軸(25)に係合孔(32)を嵌め、最も内側の第1施療指(30a)のアーム部(31)の片面がフランジ(24)に当接するように傾斜軸部(22)に取り付けられる。
【0018】
各アーム部(31)の基端側には、シャーシ(12)に形成された角度規制溝(16)に嵌まり、角度規制部材(17)を形成する角度規制突起(36)が突設されている。角度規制突起(36)は、第1施療指(30)が揉み軸(20)に追従して一体に回転することを阻止し、傾斜軸部(22)の斜軸(25)に嵌まったアーム部(31)が、斜軸(25)の回転によって、左右方向に揺動する。
これにより、左右の第1施療部(30)(30a)(30b)は、斜軸(25)の回転に合わせて、接近、離間し、被施療者の患部をマッサージすることができる。
【0019】
斜軸(25)は、主軸(21)の軸心から離れるほど、偏心量は大きくなる。
従って、斜軸(25)の主軸(21)に対する偏心量が図4のような場合、揉み軸(20)を回転させると、各第1施療指(30)(30a)(30b)は、主軸(20)から軸と直交する方向に離れた位置にある偏心量の大きい内側と外側の第1施療指(30a)(30b)ほど、動きが大きく、また、偏心量の大きい内側と外側の第1施療指(30a)(30b)が、偏心量の小さい中央の第1施療指(30)よりも先に動いて、且つ、最後まで動く。
即ち、各第1施療指(30)(30a)(30b)は、同時に同じ力で被施療者の患部に作用するのではなく、偏心量の大きい内側と外側の第1施療指(30a)(30b)から順に患部に当たり、偏心量の小さい中央の第1施療指(30)が患部に当たった後、最初に中央の第1施療指(30)が患部から離れ、最後に偏心量の大きい内側と外側の第1施療指(30a)(30b)が患部から離れる。
また、偏心量の大きい内側と外側の第1施療指(30a)(30b)ほど、揺動範囲が大きくなるから、これら第1施療指(30a)(30b)ほど、偏心量の小さい中央の第1施療指(30a)よりも患部に強く当たる。
【0020】
斜軸(25)の主軸に対する偏心量が図4のような場合の第1施療指(30)(30a)(30b)の動きは上述したとおりであるが、例えば、斜軸(25)の先端側が、基端側に比べて主軸(21)に対して大きく偏心する場合には、外側の第1施療指(30b)、中央の第1施療指(30)、内側の第1施療指(30a)の順に動き出し、しかも、この順に上下の揺動幅も大きくなる。
逆に、斜軸(25)の基端側が、先端側に比べて主軸(21)に対して大きく偏心する場合には、各第1施療指(30)(30a)(30b)の動きは上記とは逆になる。
【0021】
従って、各第1施療指(30)(30a)(30b)により被施療者の患部に施される施療力、施療時間は異なることとなり、患部には、各第1施療指(30)(30a)(30b)の変化に富んだマッサージを施すことができる。
【0022】
前記角度規制部材(17)を形成する角度規制突起(36)が係合する角度規制溝(16)は、シャーシ(12)に形成することができる。角度規制溝(16)は、主軸(21)と平行な方向に延びており、溝(16)の開口縁が各アーム部(31)と干渉する場合には、図に示すように、波形に形成することが望ましい。
【0023】
中央の第1施療指(30)のアーム部(31)には、係合孔(32)よりも先端側に、後述する第2施療指(40)を軸支する軸孔(38)の形成されたブラケット(37)が突設されている。
また、ブラケット(37)に隣接して、後述する第2ロッド(19)がスライド可能に嵌まる第2ガイド(39)が貫通開設されている。
第2ガイド(39)は、溝中心が、係合孔(32)の中心と軸孔(38)の中心とを結ぶ線に対して平行方向又は回転方向にズレるように形成されている。
【0024】
第2ガイド(39)には、一端が第2偏心カム(27)に当接し、他端が後述する第2施療指(40)の当たり(43)に当接する第2ロッド(19)がスライド可能に嵌まっている。第2ロッド(19)は、断面長方形の平板状のものを採用することができ、図5及び図7に示すように、他の部材(例えば、後述する軸(42))と干渉する場合には、その部分にテーパを形成してもよい。
揉み軸(20)を回転させると、第1施療部(30)は、角度規制部材(17)により回転が規制されているから、揉み軸(20)とは一体に回転せず、左右に往復運動する。このとき、アーム部(31)は、係合孔(32)が斜軸(25)に嵌まったまま同軸に回転するので、第2偏心カム(27)の偏心回転によって、第2偏心カム(27)に当接している第2ロッド(19)が第2ガイド(39)に沿って往復スライドする。第2ロッド(19)の往復スライド運動は、次に説明する第2施療指(40)の揺動運動の動力源となる。
【0025】
第2施療指(40)は、中央の第1施療指(30)に回動可能に支持されている。
第2施療指(40)は、図1乃至図4に示すように、第1施療指(30)よりも長さの小さい部材から構成される。
第2施療指(40)には、基端側外面に凹み(41)が形成されており、該凹み(41)の側面から前記アーム部(31)の軸孔(38)に嵌まる軸(42)が突設されている。
また、凹み(41)には、基端側へ向けて前記第2ロッド(19)の先端と当接する当たり(43)が突設されている。
第2施療指(40)は、軸(42)がブラケット(37)の軸孔(38)に嵌まって第1施療指(30)に軸支された状態で、当たり(43)が前記第2ロッド(19)の先端と当接するよう配備される。
【0026】
第2施療指(40)の先端は、中央の第1施療指(30)の先端押圧子(33)と対向する第2揉み面(44)が構成されている。第2揉み面(44)は、被施療者の肩を挟み揉みする際に、肩を後ろから押し上げる面であり、第2揉み面(44)の幅は、人による肩揉みマッサージと似たマッサージ効果を得るために、手の親指又はそれよりも少し広い程度とすることが望ましい。
【0027】
第2施療指(40)は、当たり(43)が第2ロッド(19)に密接に当たり、また、第2ロッド(19)が第2偏心カム(27)に密接に当たるように、図5に示すように、第1施療指(30)から離れる側に向けてバネ等の付勢手段(50)により付勢しておくことが望ましい。これにより、第2ロッド(19)のぐらつきや脱落が防止されると共に、第2偏心カム(27)の偏心回転を第2ロッド(19)を介して遊びなく第2施療指(40)に伝達し、第2施療指(40)の揺動運動に変換することができる。
【0028】
第2施療指(40)は、第2偏心カム(27)の回転により、第2ロッド(19)が往復運動することで、図5及び図7に示すように、第1施療指(30)に対して接近、離間する揺動運動を行なう。
第2偏心カム(27)が偏心回転し、第2ロッド(19)が、第2ガイド(39)中を第2偏心カムに押されて外側に突出する方向に移動すると、第2施療指(40)は、当たり(43)が第2ロッド(19)に押し出されるが、第2施療指(40)は、第1施療指(30)に軸(42)により軸支されているから、図7に示すように軸(42)を中心に第1施療指(30)に接近する方向に揺動する。
逆に、図5に示すように、第2偏心カム(27)がさらに回転すると、付勢手段(50)の付勢力により、第2ロッド(19)が第2偏心カム(27)に追従して後退し、第2施療指(40)は、第1施療指(30)から離間する方向に揺動する。
上記を繰り返すことにより、第2施療指(40)は、第1施療指(30)に対して接近、離間する揺動運動を行なう。
【0029】
上記構成のマッサージユニット(10)について、被施療者が、図10に示すように、肩の上側に第1施療指(30)(30a)(30b)、背中側に第2施療指(40)が当たるようにマッサージユニット(10)をセットし、揉み用モータ(14)を駆動すると、減速機構(15)を介して揉み軸(20)に動力が伝達され、揉み軸(20)が回転する。揉み軸(20)は、主軸(21)の両端の傾斜軸部(22)に設けられた斜軸(25)が主軸(21)に対して傾いて回転するが、斜軸(25)に取り付けられた左右一対の第1施療指(30)(30a)(30b)は、角度規制部材(17)により、斜軸(25)との一体回転を阻止されているから、斜軸(25)の傾斜に合わせて左右に揺動し、互いに接近、離間する。これにより、被施療者の患部は、押圧マッサージを受けることができる。
【0030】
また、第2偏心カム(27)は、斜軸(25)に偏心した位置に設けられているから、図5及び図7に示すように、第2ガイド(39)から遠ざかる方向に第2偏心カム(27)が移動したときには、第2ロッド(19)を後退させ、第2ロッド(19)に当接している第2施療指(40)を第1施療指(30)から遠ざかる方向、即ち、第1施療指(30)(30a)(30b)と第2施療指(40)との間が開く方向に揺動させる。
【0031】
この状態から、さらに第2偏心カム(27)が回転し、第2ガイド(39)に近づく方向に移動すると、第2ロッド(19)が前進し、第2ロッド(19)が第2施療指(40)の当たり(43)を前方に押し出すことで、第2施療指(40)は、軸(42)を中心に第1施療指(30)(30a)(30b)に近づく方向、即ち、第1施療指(30)(30a)(30b)と第2施療指(40)との間隔が狭まる方向に揺動する。
【0032】
上記の如く、第2施療指(40)を第1施療指(30)(30a)(30b)に接近、離間させることにより、被施療者の患部に挟み揉みマッサージが施される。この揉み挟み動作は、人の手の4指と似た先端押圧子(33)を有する第1施療指(30)(30a)(30b)と、人の親指とほぼ同じ幅の第2揉み面(44)を有する第2施療指(40)により行なわれるから、まるで、人に肩揉みをしてもらっているかの如き感覚を得ることができる。
さらに、挟み揉み中に、第1施療指(30)(30a)(30b)は、左右に揺動し、第1施療指(30)(30a)(30b)に軸支された第2施療指(40)も追従して揺動するから、肩を摘みながら指圧を受ける如きマッサージを体感できる。
【0033】
第1施療指(30)は、先行技術文献で掲げた揺動アームを介することなく、斜軸(25)に直接支持されているため、斜軸(25)から伝達される力を殆んど損失することなく患部に作用させることができる。
また、第2施療指(40)も、第2偏心カム(27)からスライド運動する第2ロッド(19)を介して揺動力を受けているから、従来に比して、伝達される力の損失を抑えることができる。
また、第2施療指(40)も、偏心カム(27)からスライド運動するロッド(19)を介して揺動力を受けているから、従来に比して、伝達される力の損失を抑えることができる。また、第1施療指(30)(30a)(30b)の動きに影響を受けないので、負荷の状態に左右されずに、第1施療指(30)(30a)(30b)と第2施療指(40)で確実に挟み揉みすることができる。
従って、第1施療指(30)及び第2施療指(40)は、従来のように堅牢に構成する必要はなく、樹脂等により作成することが可能となり、また、第1施療指(30)(30a)(30b)及び第2施療指(40)を動かすための部品の点数を削減できる。従って、マッサージユニット(10)の軽量化、小型化、低コスト化を達成できる。
【0034】
第2偏心カム(27)の斜軸(25)への偏心量、偏心角度直径等を適宜設定することで、第2施療指(40)の揺動範囲、即ち、第1施療指(30)(30a)(30b)と第2施療指(40)との揉み挟みの幅や、挟み揉みするタイミングを変えることもできる。
第2偏心カム(27)の外周形状は、本実施例では円形としているが、楕円形としたり、直線部分を設けることにより、第1施療指(30)と第2施療指(40)の接近時間を長くしたり、短くし、バラエティーに富んだ揉み挟みマッサージを提供することができる。
【0035】
なお、本発明のマッサージユニット(10)は、図9及び図10に示すように、外周に樹脂製カバー(60)及び施療指部分に布カバー(61)を配置して、枕型のマッサージ機として用いたり、ベッドに配置することで、被施療者Pが寝転んだ状態で肩等の患部にマッサージを受けることができる。被施療者Pが腰掛けた状態で肩等の患部にマッサージを受けることもできる。
本発明のマッサージユニット(10)は、椅子型マッサージ機の背凭れ部に上下動自在に配備して、被施療者の肩から腰にかけてマッサージすることもできる。
【0036】
図11乃至図13は、すべての第1施療指(30)(30a)(30b)に、第2施療指(40)(40)(40)を夫々配備した実施例である。なお、上記実施例と同じ符号は同じ部材を表わす。
各第1施療指(30)(30a)(30b)は、第2施療指(40)を軸支するブラケット(37)と、第2ロッド(19)がスライド可能に挿通する第2ガイド(39)を有しており、斜軸(25)には、第2ガイド(39)の延長線上に第2偏心カム(27)が3列形成されている。このような構成にすれば、第1施療指(30)(30a)(30b)と第2施療指(40)(40)(40)でより広範囲を挟み揉みすることができる。
【0037】
図14乃至図16は、第1施療指(30)(30a)(30b)の先端押圧子(33)をアーム部(31)に揺動可能に配備し、第1施療指(30)(30a)(30b)の揺動に合わせて、先端を第2施療指(40)側に向けて折り曲げ可能としたものである。
【0038】
各第1施療指(30)(30a)(30b)は、図16乃至図18に示すように、アーム部(31)の先端にブラケット(34)が突設されており、該ブラケット(34)には、先端押圧子(33)を軸支する軸孔(34a)が開設されている。
また、第1施療指(30)(30a)(30b)のアーム部(31)には、斜軸(25)への係合孔(32)から長手方向に第1ガイド(31a)が形成されており、該第1ガイド(31a)には、先端押圧子(33)を押圧する第1ロッド(18)がスライド可能に嵌まっている。
【0039】
第1ロッド(18)が当接する斜軸(25)部分には、図に示すように、斜軸(25)に対して偏心して形成された第1偏心カム(28)が夫々形成されている。第1偏心カム(28)に当接している第1ロッド(18)は、第1偏心カム(28)の偏心回転によって、第1ガイド(18)に沿って往復スライドする。第1ロッド(18)の往復スライド運動は、先端押圧子(33)の揺動運動の動力源となる。
【0040】
先端押圧子(33)は、上記のように、第1施療指(30)(30a)(30b)のアーム部(31)に設けられたブラケット(34)の軸孔(34a)に嵌まる軸(図示せず)が形成されており、第1施療指(30)(30a)(30b)に対して揺動可能に配備される。
また、前記第1ロッド(18)の先端と当接する当たり(35)が突設されている。
【0041】
先端押圧子(33)は、当たり(35)が第1ロッド(18)に密接に当たり、また、第1ロッド(18)が第1偏心カム(28)に密接に当たるように、図5と同様に、アーム部(31)に向けてバネ等の付勢手段(図5では符号(50))により付勢しておくことが望ましい。これにより、先端押圧子(33)、第1ロッド(18)のぐらつきや脱落が防止されると共に、第1偏心カム(28)の偏心回転を第1ロッド(18)を介して遊びなく先端押圧子(33)に伝達し、先端押圧子(33)の揺動運動に変換することができる。
【0042】
揉み軸(20)を回転させると、斜軸(25)が回転し、上記実施例と同様の要領で、第1施療指(30)(30a)(30b)が揺動し、第1施療指(30)(30a)(30b)と第2施療指(40)は接近、離間する。
このとき、第1ロッド(18)が当接している第1偏心カム(28)も偏心回転し、第1ロッド(18)が、第1ガイド(31a)中を第1偏心カム(28)に押されて外側に突出する方向に移動すると、先端押圧子(33)は、当たり(35)が第1ロッド(18)に押し出されるが、先端押圧子(33)は、第1施療指(30)のアーム部(31)に軸支(34a)されているから、図15及び図18に示すように、軸支部(34a)を中心に第2施療指(40)に接近する方向に揺動する。
逆に、図17に示すように、第1偏心カム(28)がさらに回転すると、付勢手段の付勢力により、第1ロッド(18)が第1偏心カム(28)に追従して後退し、先端押圧子(33)は、図14及び図17に示すように、第2施療指(40)から離間する方向に揺動する。
上記を繰り返すことで、被施療者の患部は、先端押圧子(33)と第2施療指(40)により、まるで人が手で4指を曲げつつ親指と共に掴み揉みする如きマッサージを受けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、被施療者の患部に効果的なマッサージを施すことのできる施療指を具えたマッサージユニットとして有用である。
【符号の説明】
【0044】
(10) マッサージユニット
(14) 揉み用モータ
(16) 角度規制溝
(17) 角度規制部材
(18) 第1ロッド
(19) 第2ロッド
(20) 揉み軸
(22) 傾斜軸部
(25) 斜軸
(27) 第2偏心カム
(28) 第1偏心カム
(30) 第1施療指
(30a) 第1施療指
(30b) 第1施療指
(31) アーム部
(31a) 第1ガイド
(33) 先端押圧子
(36) 角度規制突起
(39) 第2ガイド
(40) 第2施療指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシと、
シャーシに配備された揉み用モータと、
シャーシに軸支され、揉み用モータにより回転する主軸と、該主軸の左右に配備され、主軸の軸芯に対して傾斜した斜軸とを有する揉み軸と、
斜軸に回転可能に嵌まる係合孔の形成されたアーム部と、該アーム部の先端に配備され、被施療者の患部をマッサージする先端押圧子と、アーム部の基端に形成され、シャーシと係合してアーム部が揉み軸と一体に回転することを規制する角度規制部材とを有する第1施療指と、
を有するマッサージユニットにおいて、
斜軸には、複数の第1施療指が並んで配備されていることを特徴とするマッサージユニット。
【請求項2】
先端押圧子は、前記第1施療指に偏心斜軸と略平行に軸支されており、
アーム部には、係合孔から長手方向に第1ガイドが形成され、
該第1ガイドの端部と隣接する斜軸の軸芯に、斜軸に偏心して配備された第1偏心カムを有しており、第1ガイドにスライド可能に嵌まり、基端が第1偏心カムに当接する第1ロッドを具え、先端押圧子は、前記第1ロッドの先端が当接する当たりを具える請求項1に記載のマッサージユニット。
【請求項3】
少なくとも1の第1施療指に、被施療者の患部をマッサージする第2施療指が揺動可能に配備され、
前記第1施療指には、係合孔から周面に向けて第2ガイドが形成され、
該第2ガイドと隣接する斜軸の軸芯に、斜軸に偏心して配備された第2偏心カムが形成され、
前記第2ガイドにスライド可能に嵌まり、基端が第2偏心カムに当接する第2ロッドと、を有しており、
第2施療指は、前記第2ガイドを有する第1施療指に揺動可能に支持され、前記第2ロッドの先端が当接する当たりを具える請求項1又は請求項2に記載のマッサージユニット。
【請求項4】
第2施療指は、各第1施療指に配備される請求項3に記載のマッサージユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−10854(P2012−10854A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148912(P2010−148912)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】