説明

マッサージ椅子

【課題】作動音による使用者の不快感を軽減できるマッサージ椅子を提供する。
【解決手段】肘掛け部15側の空気袋17と駆動装置21とを繋ぐ接続ホース19の途中のジョイント部材25には、その空気流路上の空気流通の抵抗となる抵抗部が備えられ、この抵抗部を有するジョイント部材25は、座面12の下側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアポンプや電磁弁等からなる駆動装置にて空気袋を膨縮させ、使用者に対して揉み動作や圧迫動作を施すエアマッサージ機能付きのマッサージ椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のマッサージ椅子は、座面や背もたれ部、オットマン等の各所に空気袋が設置されており、エアポンプや電磁弁等からなる駆動装置にて各空気袋に対してそれぞれ空気を給排させて該空気袋を膨縮させ、着座した使用者の臀部や腰部、ふくらはぎ部等の施療部位に対してエアマッサージが施される構成となっている。また、例えば特許文献1にて示されているマッサージ椅子のように、肘掛け部にも空気袋が設置され、着座した使用者の腕部に対してもエアマッサージが施される構成のものがある。
【0003】
このようなエアマッサージ機能を有するマッサージ椅子は、座面下に隠蔽されて設置される単一のエアポンプから各施療部位の空気袋の空気の給排を行っている。そのため、空気袋によってはポンプ能力が大き過ぎるため、この空気袋とエアポンプとを繋ぐホースの途中にその流路を絞る抵抗部が設けられる。また特許文献1のように、施療部位の中でも更に複数の空気袋を備え、各空気袋の膨縮に時間差を設けてより高度なマッサージ感を向上させるものにおいても、遅く膨らませる空気袋のホース途中に同じく抵抗部が用いられている。
【特許文献1】特開2005−349130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、抵抗部は、流路を絞る構造(オリフィス構造)をなすため、そこを通過する空気の流速は速い。そのため、空気袋が膨縮する際に抵抗部から空気通過に伴う音(作動音)が発生し、該抵抗部が使用者に近い程、不快感を与えてしまう虞があった。因みに、上記した特許文献1では、抵抗部からの音の対策についての開示及び示唆がなされておらず、作動音から来る使用者の不快感を軽減する余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、作動音による使用者の不快感を軽減することができるマッサージ椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、使用者の着座可能な座面を有する椅子本体にその使用者の施療部位に対応した位置に空気袋が設置され、前記座面の下側に備えられる駆動装置の空気の給排動作にて前記空気袋を膨縮させて前記使用者の施療部位のマッサージを行うマッサージ椅子であって、前記空気袋と前記駆動装置との間の空気流路上にその空気流通の抵抗となる抵抗部を備えるものであり、該抵抗部が前記座面の下側に配置されてなることをその要旨とする。
【0007】
この発明では、空気袋と駆動装置との間の空気流路上に備えられる抵抗部は、座面の下側に配置される。即ち、抵抗部から空気通過に伴う音(作動音)が発生するが、その抵抗部での作動音は、使用者との間に介在する座面にて遮蔽されて使用者に聞こえ難くなるとともに、座面下側に配置される駆動装置の作動音に紛れて、抵抗部からの作動音が単独で使用者に聞こえ難くなる。これにより、作動音による使用者の不快感が軽減される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマッサージ椅子において、前記抵抗部は、前記空気流路を形成する接続管同士を接続するジョイント部材に備えられていることをその要旨とする。
【0009】
この発明では、抵抗部は、接続管同士を接続するジョイント部材に備えられることから、接続管同士をジョイント部材にて接続するだけで、容易に空気流路上に抵抗部を設置できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のマッサージ椅子において、前記駆動装置は、圧縮空気を生成するエアポンプと、前記圧縮空気に基づく前記空気袋への給気とその排気とを切り替える電磁弁とを備えてなり、前記抵抗部は、前記電磁弁の吐出側接続部に備えられていることをその要旨とする。
【0011】
この発明では、抵抗部は、駆動装置をエアポンプとともに構成する電磁弁の吐出側接続部に備えられることから、抵抗部を有する部材を別途必要とすることなく、容易に空気流路上に抵抗部を設置できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作動音による使用者の不快感を軽減することができるマッサージ椅子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のマッサージ椅子10を示す。マッサージ椅子10の椅子本体10aは、左右一対の支持脚部11にて支持された座面12の後端に背もたれ部13が幅方向の回動軸にて傾動可能に組み付けられ、該座面12の前端にオットマン14が同方向の回動軸にて傾動可能に組み付けられてなる。また、座面12の両側には、前後方向に延びる肘掛け部15が組み付けられている。
【0014】
肘掛け部15の前端には、カバー片16が幅方向の回動軸にて傾動可能に組み付けられている。即ち、カバー片16は、その後端自由端側が肘掛け部15の上面から所定角度で拡開するように設けられており、使用者の前腕部(腕の肘から手側部分)が肘掛け部15との間に挿入できるようになっている。カバー片16と対向する肘掛け部15の上面には空気袋17が設置され、肘掛け部15の上面と対向するカバー片16の下面には2つの空気袋18a,18bが設置されている。空気袋17及び空気袋18a,18bには、それぞれ可撓性を有する接続ホース19,20の先端が接続され、該接続ホース19,20の基端は、座面12の下側の支持脚部11間に設置される駆動装置21に向けて取り回されている。
【0015】
駆動装置21は、家庭用商用電源の供給に基づいて電動駆動されるエアポンプ22と、該エアポンプ22にそれぞれ接続された複数の電磁弁23,24(図1では2つのみ図示)とを備えてなる。電磁弁23の吐出側接続部23aには肘掛け部15側の空気袋17から延びる接続ホース19の基端が接続されており、電磁弁24の吐出側接続部24aにはカバー片16側の空気袋18a,18bから延びる接続ホース20の基端が接続されている。
【0016】
肘掛け部15側の空気袋17から延びる接続ホース19は、2つのホース部材19a,19bで構成され、互いがジョイント部材25にて接続されている。図2に示すように、ジョイント部材25には、抵抗部25aと、その両側から延びる一対の筒状接続部25b,25cとを有し、該筒状接続部25b,25cの流路の内径よりも抵抗部25aの流路の内径が小さく絞られたオリフィス構造を備えてなる。ジョイント部材25の筒状接続部25bは、空気袋17側のホース部材19aと接続され、筒状接続部25cは、駆動装置21側のホース部材19bと接続されている。空気袋17側のホース部材19aは十分に長く、駆動装置21側のホース部材19bはそれに比べて短く構成されており、これによりジョイント部材25が座面12の下側における駆動装置21の近傍に配置される。
【0017】
そして、エアポンプ22の駆動により圧縮空気が生成され、電磁弁23,24が大気開放側から供給側に切り替わると、該エアポンプ22からの圧縮空気が接続ホース19,20を通じて空気袋17及び空気袋18a,18bに給気されて該空気袋17及び空気袋18a,18bが膨張する。このとき、接続ホース19の途中に設けたジョイント部材25の抵抗部25aの作用により、空気袋17の膨張が空気袋18a,18bよりも遅く、空気袋18a,18bから先に膨張するようになっている。一方、空気袋17及び空気袋18a,18bの所定の膨張動作が終了すると、電磁弁23,24が供給側から大気開放側に切り替わり、空気袋17及び空気袋18a,18b内の空気が大気に開放されて排気され、該空気袋17及び空気袋18a,18bの収縮動作となる。エアマッサージ時には、この膨張・収縮動作が繰り返される。
【0018】
これにより、肘掛け部15とカバー片16との間に使用者の前腕部を挿入した状態(この場合、手のひらを肘掛け部15の上面に向けて配置)では、先に膨張したカバー片16側の空気袋18a,18bが前腕部の上面にある手三里や曲池というツボを押圧しつつ、遅れて膨張する肘掛け部15側の空気袋17が前腕部全体を上方のカバー片16側に押圧し、所定押圧後、空気袋17及び空気袋18a,18b内の空気が抜かれて収縮し、その押圧状態から解放される。このように前腕部には、上下方向からの押圧に基づく揉みや圧迫といったエアマッサージが行われる。
【0019】
因みに、このマッサージ椅子10には、座面12の両側部には臀部用の一対の空気袋26が設置され、背もたれ部13の下部両側には腰部用の一対の空気袋27が設置され、オットマン14にはふくらはぎ部用の複数の空気袋28が設置されている。各空気袋26〜28は、エアポンプ22及び各空気袋26〜28に対応する電磁弁(図示略)の作動により膨縮が行われて、臀部や腰部、ふくらはぎ部といった各施療部位もエアマッサージが行われるようになっている。
【0020】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、肘掛け部15側の空気袋17と駆動装置21とを繋ぐ接続ホース19の途中のジョイント部材25には、その空気流路上の空気流通の抵抗となる抵抗部25aが備えられ、この抵抗部25aを有するジョイント部材25は、座面12の下側に配置されている。即ち、ジョイント部材25の抵抗部25aから空気通過に伴う音(作動音)が発生するが、その抵抗部25aでの作動音は、使用者との間に介在する座面12にて遮蔽されて使用者に聞こえ難くなるとともに、座面12の下側に配置される駆動装置21の作動音に紛れて、抵抗部25aからの作動音が単独で使用者に聞こえ難くなる。これにより、作動音による使用者の不快感を軽減することができる。
【0021】
(2)本実施形態では、接続ホース19のホース部材19a,19b同士を接続するジョイント部材25に抵抗部25aが備えられていることから、ホース部材19a,19b同士をジョイント部材25にて接続するだけで、容易に空気流路上に抵抗部を設置することができる。
【0022】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ホース部材19a,19b同士を接続するジョイント部材25に抵抗部25aを備える構成としたが、これに限らず、例えば抵抗部を接続ホースに一体に形成してもよい。
【0023】
また、例えば図3(a)にて示す電磁弁23の吐出側接続部23aの通常内径に対し、図3(b)にて示す電磁弁23の吐出側接続部23bのようにその内径を小さく絞り、これを抵抗部としてもよい。このようにすれば、抵抗部を有する部材を別途必要とすることなく、容易に空気流路上に抵抗部を設置、特に作動音の生じる駆動装置21と一体的に設置することができる。またこの場合、1本の接続ホースが使用可能である。
【0024】
・上記実施形態では、肘掛け部15側の空気袋17の空気流路上に抵抗部を設置する構成であったが、例えばカバー片16側の空気袋18a,18bや、その他の空気袋26〜28に対して抵抗部を設置した構成のものに適用してもよい。
【0025】
・上記実施形態では、特に言及していないが、背もたれ部13に使用者の背中を施療する揉み玉による機械式のマッサージ機構を備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態におけるマッサージ椅子の概略構成図である。
【図2】抵抗部を有するジョイント部材の断面図である。
【図3】別例において(a)は通常タイプの電磁弁、(b)は抵抗部を有する電磁弁の一部断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10…マッサージ椅子、10a…椅子本体、12…座面、17…空気袋、19…空気流路を構成する接続ホース、19a,19b…接続管としてのホース部材、21…駆動装置、22…エアポンプ、23…電磁弁、23b…抵抗部を有する吐出側接続部、25…ジョイント部材、25a…抵抗部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の着座可能な座面を有する椅子本体にその使用者の施療部位に対応した位置に空気袋が設置され、前記座面の下側に備えられる駆動装置の空気の給排動作にて前記空気袋を膨縮させて前記使用者の施療部位のマッサージを行うマッサージ椅子であって、
前記空気袋と前記駆動装置との間の空気流路上にその空気流通の抵抗となる抵抗部を備えるものであり、該抵抗部が前記座面の下側に配置されてなることを特徴とするマッサージ椅子。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ椅子において、
前記抵抗部は、前記空気流路を形成する接続管同士を接続するジョイント部材に備えられていることを特徴とするマッサージ椅子。
【請求項3】
請求項1に記載のマッサージ椅子において、
前記駆動装置は、圧縮空気を生成するエアポンプと、前記圧縮空気に基づく前記空気袋への給気とその排気とを切り替える電磁弁とを備えてなり、
前記抵抗部は、前記電磁弁の吐出側接続部に備えられていることを特徴とするマッサージ椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−195611(P2009−195611A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43096(P2008−43096)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】