説明

マッサージ機

【課題】簡単な構成により正確に使用者の肩位置を検出するとともに、マッサージ動作を効果的に使用者に伝えることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】 少なくとも座部と、脊もたれ部と、脊もたれ部内に昇降自在に設けられ、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる。マッサージユニットは、機械本体ユニット10の左右のフレームの下部において左右方向に固設された揺動軸11に揺動自在に取り付けられている。前記機械本体ユニットの左右のフレームの上部に固設されたエアーセルベース14には、前記マッサージユニットを揺動軸廻りに前方に揺動させるエアーセル15の後端が固定されており、また前記エアーセルの前端は、前記マッサージユニットの上部に設けられたあて板16に当接している。前記エアーセルにエアーを供給するエアー回路中に保持弁が配設されており、且つ前記マッサージユニットの揺動を検知する検知手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。さらに詳しくは、マッサージ機を使用する者の肩位置を検出する機構を備えたマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、椅子の脊もたれ部内に揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニットを上下動自在に配設することにより、使用者の首、肩、背中、腰に対して揉みや叩きのマッサージを行うようにした椅子型のマッサージ機が用いられている。また、このような椅子型のマッサージ機においては、近年、前記マッサージユニットの移動や動作を予めプログラムとして記憶させておき、このプログラムに基づく一連のマッサージを自動的に実行する自動施療機能を備えたものが開発されている。そして、この自動施療機能を備えたマッサージ機では、自動施療を行うに先立ち、使用者の肩等の位置を自動的に検出することによって、施療子がマッサージ動作する高さを使用者の座高に応じて自動的に変更し、使用者の手を煩わすことなく効果的なマッサージが行えるようにしたものが種々提案されている。
【0003】
例えば本出願人も、さきに、使用者側に向けて突出する支持体を介して施療子を設けるとともに、この支持体における施療子から後退した部分に、使用者の肩を直接的に検知する検出器を配設したマッサージ機(特許文献1参照)や、施療子が取り付けられた支持アームが所定の揺動範囲になったことを検出する揺動検出センサを設け、前記支持アームの移動位置と支持アームの揺動位置との関係から、マッサージ機に対する使用者の特定部位の位置を判別するようにしたマッサージ機(特許文献2参照)を提案している。
【0004】
【特許文献1】特開2001−70385号公報
【特許文献2】特開2001−238927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1及び2記載のマッサージ機は、いずれも簡単な構成により正確に使用者の肩位置を検出することができるものであるが、揉み動作及び/又は叩き動作を行う施療子の揺動を利用して肩位置を検出しており、そのため、当接する使用者の部位に応じて当該施療子が比較的小さな負荷で揺動できる構成を採用している。しかしながら、施療子が小さな負荷で揺動してしまうと、使用者に強い叩きや揉みマッサージを施療したいときに、かかる強い叩きや揉みマッサージを使用者に充分に伝えることができなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、簡単な構成により正確に使用者の肩位置を検出するとともに、マッサージ動作を効果的に使用者に伝えることができるマッサージ機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマッサージ機は、少なくとも座部と、この座部の後側に設けられた脊もたれ部と、この脊もたれ部内に昇降自在に設けられ、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニットを備えた機械本体ユニットとを備えたマッサージ機であって、
前記マッサージユニットは、前記機械本体ユニットの左右のフレームの下部において左右方向に固設された揺動軸に揺動自在に取り付けられており、
前記機械本体ユニットの左右のフレームの上部に固設されたエアーセルベースには、前記マッサージユニットを揺動軸廻りに前方に揺動させるエアーセルの後端が固定されており、
前記エアーセルの前端は、前記マッサージユニットの上部に設けられたあて板に当接しており、
前記エアーセルにエアーを供給するエアー回路中に保持弁が配設されており、且つ
前記マッサージユニットの揺動を検知する検知手段が設けられていることを特徴としている。
【0008】
本発明のマッサージ機では、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニット自体を揺動自在とし、このマッサージユニットを、エアーセルを利用して前方に押し出している。そして、施療子に後方への負荷(施療子が使用者の背中の部分に当たっている場合等)が作用すると、マッサージユニットは後方に揺動するが、前記エアーセルにエアーを供給するエアー回路には保持弁が配設されているので、前記施療子への負荷が解除される(施療子が使用者の肩の部分にある場合等)と、エアーセルは元の状態に戻り、前記マッサージユニットは前方に揺動する。かかるマッサージユニットの揺動を検知手段で検知することで、使用者の肩位置を検出することができる。例えば、マッサージユニットを下部位置から上昇させると、前記施療子が腰の位置にあるときは、当該施療子は腰により前方への移動が制限される(エアーセルはやや収縮した状態にある)が、マッサージユニットを上昇させ、施療子が肩位置にくると、当該施療子は遮蔽物がなくなるため前方に移動する(エアーセルは膨張した状態にある)。この場合に、施療子が最も前進した状態となったときに、前記検知手段がオン信号を出すように設定しておくと、腰(このとき検知手段の信号はオフである)から上にマッサージユニットを上昇させていき、検知手段がオン信号を出した時点で前記施療子が肩位置に達したものと判断することができる。
【0009】
また、少なくとも座部と、この座部の後側に設けられた脊もたれ部と、この脊もたれ部内に昇降自在に設けられ、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニットを備えた機械本体ユニットとを備えたマッサージ機であって、
前記マッサージユニットは、前記機械本体ユニットの左右のフレームの下部において左右方向に固設された揺動軸に揺動自在に取り付けられており、
前記機械本体ユニットの左右のフレームの上部に固設されたケーシングには、前記マッサージユニットを揺動軸廻りに前方に付勢する弾性手段の後端が固定されており、
前記弾性手段の前端は、前記マッサージユニットの上部に設けられたあて板に固定されており、且つ
前記マッサージユニットの揺動を検知する検知手段が設けられていることを特徴としている。
この構成では、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニット自体を揺動自在とし、このマッサージユニットを、エアーセルに代えてバネ等の弾性手段を利用して前方に押し出している。この場合も施療子に後方への負荷(施療子が使用者の背中の部分に当たっている場合等)が作用すると、マッサージユニットは後方に揺動するが、前記マッサージユニットの後方には、当該マッサージユニットを揺動軸廻りに前方に付勢する弾性手段が配設されているので、前記施療子への負荷が解除される(施療子が使用者の肩の部分にある場合等)と、前記マッサージユニットは前方に揺動する。かかるマッサージユニットの揺動を検知手段で検知することで、前記エアーセルの場合と同様にして使用者の肩位置を検出することができる。
【0010】
前記マッサージユニットの左右のフレームの上部において左右方向に設けられた回転軸にピニオンが固設されており、前記マッサージユニットの上部には、前記ピニオンと噛み合うラックが、当該マッサージユニットの前後方向に沿って固設されているのが好ましい。大きな揺動範囲を実現することができるラックとピニオンからなる機械的駆動力を用いてマッサージユニットを前後動させることにより、マッサージに強弱をつけることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマッサージ機によれば、簡単な構成により正確に使用者の肩位置を検出するとともに、マッサージ動作を効果的に使用者に伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態に係るマッサージ機を詳細に説明する。なお、各図においては、特定の部品又は部分を見易くするために、他の部品等の図示を省略している場合がある。
図1は本発明の一実施の形態に係るマッサージ機の全体斜視図であり、このマッサージ機1は、脚体2により支持された座部3と、この座部3の後側に設けられた脊もたれ部4と、座部3の前方下側に設けられたフットレスト5と、座部3の左右両側に設けられた肘掛け部6と、一方の肘掛け部6に取り付けられた支持部7とを備えている。前記支持部7には、コントローラ8が脱着可能に取り付けられており、また脊もたれ部4は座部3に対してリクライニングが可能である。なお、本明細書において、前記脊もたれ部4の幅方向を「左右方向」、高さ方向を「上下方向」、奥行き方向を「前後方向」といい、また脊もたれ部4を正面から見て左側を「左側」、同じく右側を「右側」という。
【0013】
前記脊もたれ部4の内部には、「揉み」や「叩き」の動作をする施療子9を備えたマッサージユニットを含む機械本体ユニット10が内蔵されている。この機械本体ユニット10は、脊もたれ部4の内部において左右一対のガイド溝30aを有するガイドレール30に沿って昇降自在に設けられている。機械本体ユニット10には、図3〜4に示されるように、前記マッサージユニットを前後動させるための進退用モータ31、施療子9の幅を変えて揉み位置(揉み幅)を変更するための揉み位置変更用モータ32、施療子9に叩き動作をさせるための叩き用モータ33、及び施療子9に揉み動作をさせるための揉み用モータ34が配設されている。揉み位置変更用モータ32は機械本体ユニット10の左側下方において、その出力軸が左右方向に沿って配置されている。マッサージユニットの構成部品である叩き用モータ33は、当該マッサージユニットの右側下方において、その出力軸が前後方向に沿って配置されており、また揉み用モータ34は、同じく中央やや下方において、その出力軸が上下方向に沿って配置されている。これら進退用モータ31、揉み位置変更用モータ32、叩き用モータ33、及び揉み用モータ34の出力は、図4に示されるように、それぞれベルト31a、32a、33a、34aやプーリ、ウォームギア等の動力伝達手段を介して所定の部位に伝達される。そして、揉み位置変更用モータ32の出力は、前記ベルト32a、プーリ、及びマッサージユニットの下部において左右方向に沿って配設されたネジ棒(図示せず)に伝達され当該ネジ棒を回転させる。このネジ棒には、センターを境として右と左とで逆方向のネジが切られており、左右のネジ部のそれぞれに当該ネジ部と螺合するナット部が配設されている。ネジ棒を正転又は逆転させることで、一対のナット部を互いに接近又は離間させることができる。そして、このナット部の動きを利用して、マッサージユニットの前後方向に沿って配設されたシャフト廻りに揺動自在(シャフトを中心に時計方向又は反時計方向に揺動自在)にされている施療子9の位置を変更させている。
また、叩き用モータ33及び揉み用モータ34の出力は、偏心プーリや偏心リンク等によって偏心回動や揺動に変換され、前記施療子9に揉みや叩きといったマッサージ動作を行わせる。かかる揉み及び叩きのための機構としては、通常用いられているものを適宜採用することができるので、それらについての詳細な説明は省略する。なお、図2において、36、37及び38は、それぞれ断面コの字状のガイドレール30の後壁内面を摺動する第1ローラ、同じく前壁内面を摺動する第2ローラ及び同じく側壁内面を摺動する第3ローラであり、これら3種類のローラでガイドすることにより機械本体ユニット10をスムーズに昇降させることができる。この機械本体ユニット10は、ガイドレール30の下部に固定された昇降用モータ(図示せず)により昇降させられる。具体的には、前記昇降用モータの回転により、前記機械本体ユニット10の左右方向に沿って配設された昇降用シャフトが回転させられ、この昇降用シャフトに固設されているワイヤドラムが回転をする。このワイヤドラムには、ガイドレール30の上端に設けられたローラを介して、その端部が前記機械本体ユニット10に固定された上昇用ワイヤと、その端部が前記機械本体ユニット10に固定された下降用ワイヤとが巻回されており、前記ワイヤドラムを正転又は逆転させることで、機械本体ユニット10を上昇又は下降させることができるようになっている。
【0014】
本発明の特徴は、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニット自体を揺動させ、この揺動を検知することで肩位置を検出していることであり、前記マッサージユニットを前方に押し出す手段として、エアーセル又は弾性手段を用いている。
以下、このマッサージユニットを揺動させる機構について詳細に説明する。
図2に示されるように、前記機械本体ユニット10の左右のフレーム10aの下部には、左右方向に延びる揺動軸11がボルト12により固設されており、この揺動軸11にマッサージユニット(図6参照)の左右のフレーム13が揺動自在に取り付けられている。また、前記機械本体ユニット10の左右のフレーム10aの上部には、水平断面が略コの字状のエアーセルベース14が固設されている。このエアーセルベース14は金属製プレートを折り曲げ加工又はプレス加工することで作製することができ、その側部14aの開口側端部に形成された取付部14bが前記フレーム10aにボルトで固定されている。エアーセルベース14の後部14cには前記マッサージユニットを揺動軸11廻りに前方に揺動させるエアーセル15の後端が固定されており、一方、このエアーセル15の前端は前記マッサージユニットの上部に設けられたあて板16に当接している。
【0015】
前記あて板16は略矩形状を呈しており、金属又は合成樹脂製プレートで作製することができる。このあて板16は、マッサージユニットの左右のフレーム13の上部に形成されたフランジ部13a(図5〜6参照)にボルトで固定されている。あて板16の左右方向の寸法(幅)は、前記エアーセルベース14の左右方向の内法寸法よりやや小さくされており(図5参照)、これによりあて板16は、前記エアーセルベース14内を前後方向に移動できるようになっている。なお、17はゴム等の弾性体からなるクッション体であり、あて板16の左右上端付近に配設されている。本実施の形態におけるクッション体17は、筒状の小径部17aと、この小径部17aの一端に形成された大径部17bと、前記小径部17aが嵌まる大きさの開口を有する環状体17cとで構成されており、前記小径部17aと大径部17bとは一体に形成されている。あて板16の左右上端付近に形成された孔(図示せず)に、前記小径部17aを後方から挿入し、ついで前記孔から突出した小径部17aを環状体17cの開口に嵌めるようにして当該環状体17cをあて板16及び小径部17aに固定することで、前記クッション体17をあて板16の左右上端付近に配設することができる。クッション体17の前面(主として環状体17cの表面)は、前記エアーセルベース14の側部14aの開口側端部に形成されたストッパ18に当接し、一方、クッション体17の後面(大径部17bの表面)はエアーセルベース14の後部14cの内面に当接して、あて板16の前後動に伴う騒音又は振動を低減させる役割を果たしている。
【0016】
エアーセルベース14の後部14cの外面には、図4に示されるように、前記エアーセル15にエアーポンプ(図示せず)からのエアーを供給するための供給口19が設けられており、この供給口19の一端の接続部19aにエアーチューブ20が接続され、このエアーチューブ20を介して前記エアーセル15内にエアーが供給される。エアーセル15内のエアーの圧力は、使用者が座部3に座り、背中を軽く施療子9に押し当てたときにスムーズにマッサージユニットが後方に揺動する程度の大きさに設定される。前記エアー供給回路としては、例えば図7に示されるように、エアーポンプPの吐出口とエアーセル15の供給口19とを結ぶエアーの経路中に電磁弁SVが配設され、且つこの電磁弁SVと供給口19の間に保持弁HVが配設されたものを採用することができる。なお、図7に例示されるエアー供給回路において、エアーセル15に供給するエアーの圧力を調整するためのレギュレータを前記電磁弁SVと供給口19の間に設けることができる。
【0017】
マッサージユニットの右側のフレーム13の外側面には、リミットスイッチ21が取り付けられており、このリミットスイッチ21に対応して、機械本体ユニット10の右側のフレーム10aには、ブラケット22が前方に突設されている。前記リミットスイッチ21とブラケット22は、マッサージユニットがエアーセル15により最も前進させられたときに、当該ブラケット22の底面が前記リミットスイッチ21のレバー21a(図5参照)を押圧してスイッチオンとなるように位置決めされている。
【0018】
図2において、23は、一端が前記機械本体ユニット10の左右の各フレーム10aに固定され、他端が前記マッサージユニットの左右の各フレーム13に固定され、当該マッサージユニットを後退方向に付勢するスプリングである。エアーセル15のエアーを排気することでマッサージユニットを元の位置に戻すことができるが、その際スプリング23の戻り力を利用することで、自動的にマッサージユニットを後退位置に戻すことができる。
【0019】
つぎに、前述したマッサージユニットの揺動動作について説明する。
まず、エアーポンプPを駆動させた後に電磁弁SVに通電して弁を開状態にすると、前記供給口19からエアーセル15内にエアーが供給され、これにより、エアーセル15が膨張し、当該エアーセル15の前端に当接しているあて板16を前方に押し出す。そして、その上端に前記あて板16が固定されているマッサージユニットが、揺動軸11を中心として前方に押し出される(揺動する)。
さらにエアーが供給され、マッサージユニットが前方に揺動すると、やがて前記ブラケット22の底面がリミットスイッチ21のレバー21aを押し下げて、スイッチオンの状態となり、このオン信号を受けて、前記電磁弁SVが非通電となり弁を閉状態にする。リミットスイッチ21がスイッチオンの状態になるのと同時、又はその直後に前記クッション体17がストッパ18に当接するように、クッション体17とストッパ18の位置決めがされている。
【0020】
マッサージユニットが最も前方に揺動した状態で当該マッサージユニットに後ろ方向の負荷が作用すると、マッサージユニットは前記揺動軸11を中心として後方に揺動し、これによりエアーセル15が圧縮させられるが、前記エアーセル15にエアーを供給するエアー回路には保持弁HVが配設されているので、前記施療子への負荷が解除される(施療子が使用者の肩の部分にある場合等)と、エアーセル15は元の状態に戻り、前記マッサージユニットは前方に揺動する。
【0021】
また、本発明では、前記リミットスイッチ21のようにマッサージユニットの揺動を検知する検知手段を設け、マッサージユニット、すなわち施療子9の前進又は後退を検知するようにしており、これを利用してマッサージユニットを下部位置から上昇させることで、人体の肩位置を検出することができる。具体的には、エアーセル15に空気をいれた状態(エアーセル15を膨張させている状態)で施療子9が腰の位置にあるときに、使用者がマッサージ機に着座すると、当該施療子9は使用者の腰により後方へ押圧される(エアーセル15はやや収縮した状態になる)が、マッサージユニットを上昇させ、施療子9が肩位置にくると、当該施療子9は遮蔽物がなくなるため前方に移動する(エアーセルは膨張した状態にある)。この場合に、施療子9が最も前進した状態となったときに、前記リミットスイッチ21がオン信号を出すように設定しておくと、腰(このときリミットスイッチ21の信号はオフである)から上にマッサージユニットを上昇させていき、リミットスイッチ21がオン信号を出した時点で前記施療子9が肩位置に達したものと判断することができる。
【0022】
なお、本実施の形態では、前記マッサージユニットの左右のフレーム13の上部において左右方向に設けられた回転軸24にピニオン25が固設されており、また前記マッサージユニットの上部には、前記ピニオン25と噛み合う扇状のラック26が、当該マッサージユニットの前後方向に沿って固設されている。前記進退用モータ31の回転力は、ベルト31a、減速機構27を介して回転軸24に伝達され、この回転軸24に固設されたピニオン25を回転させる。そして、ピニオン25が回転すると、当該ピニオン25と噛み合っているラック26が前後方向に移動し、これによりマッサージユニットが前進又は後退する。この進退用モータ31による機械的な揺動の揺動軸と、前記エアーセル15による揺動の揺動軸11とは同軸である。このように、大きな揺動範囲を実現することができるラック26とピニオン25からなる機械的駆動力を用いてマッサージユニットを前後動させることにより、マッサージに強弱をつけることができる。
【0023】
また、本実施の形態では、マッサージユニットを前方に押圧する手段としてエアーセルを用いているが、これに代えてコイルばね等の弾性手段を用いることもできる。この場合、図8に示されるように、機械本体ユニット10の左右のフレーム10aの上部に固設された、水平断面が略コの字状のケーシング28にコイルばね29の後端が固定され、マッサージユニットの上部に設けられたあて板16に前記コイルばね29の前端が固定される。コイルばね29の前端は、あて板16の表面に形成するか又は取り付けられた短円柱状の突部16aに嵌め込まれて固定されており、一方、コイルばね29の後端も同様にして、ケーシング28の内面に形成するか又は取り付けられた短円柱状の突部(図示せず)に嵌め込まれて固定されている。前記あて板16は略矩形状を呈しており、金属又は合成樹脂製プレートで作製することができる。このあて板16の左右方向の寸法(幅)は、前記ケーシング28の左右方向の内法寸法よりやや小さくされており、これによりあて板16は、前記ケーシング28内を前後方向に移動できるようになっている。そして、前方向の移動は、ケーシング28の開口端に形成されたストッパ28aにより制限されている。なお、振動及び騒音を低減させるために、前記あて板16の前面にクッション体(図6に示される実施の形態において、17で示されるようなもの)を配設するのが好ましい。
コイルばね29の数は、本発明において特に限定されるものではないが、バランスよくあて板16を押圧することができるので、あて板16の上下左右にそれぞれ1本ずつ、合計4本のコイルばね29を採用するのが好ましい。また、コイルばね29の付勢力は、使用者が座部3に座り、背中を軽く施療子9に押し当てたときにスムーズにマッサージユニットが後方に揺動する程度に設定される。なお、マッサージユニットを前方に押圧する手段としてコイルばね29を用いる場合、図2〜7に示される実施の形態における、スプリング23は省略される。
【0024】
さらに、本実施の形態では、マッサージユニットの前進又は後退を検知する手段として、リミットスイッチとブラケットを用いているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば光センサや磁気センサ等他の検知手段を用いることもできる。また、前述した実施の形態では、ラックとピニオンを用いて機械本体ユニット10を前後動させているが、本発明はかかる手段に限定されるものではなく、例えば送りネジとコマからなる機構や、流体圧シリンダ等を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のマッサージ機の一実施の形態の全体斜視図である。
【図2】本発明のマッサージ機における機械本体ユニットの一例の右前方斜視図である。
【図3】本発明のマッサージ機における機械本体ユニットの一例の左上方斜視図である。
【図4】本発明のマッサージ機における機械本体ユニットの一例の左後方斜視図である。
【図5】図2に示される機械本体ユニットからフレームを取り除いた状態を示す図である。
【図6】図2に示される機械本体ユニットにおけるマッサージユニットを示す図である。
【図7】本発明におけるエアーセルのエアー回路の一例を示す図である。
【図8】本発明のマッサージ機の他の実施の形態における機械本体ユニットの部分説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1マッサージ機
9施療子
10機械本体ユニット
11揺動軸
14エアーセルベース
15エアーセル
16あて板
21リミットスイッチ
22ブラケット
23スプリング
25ピニオン
26ラック
29コイルばね
HV保持弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも座部と、この座部の後側に設けられた脊もたれ部と、この脊もたれ部内に昇降自在に設けられ、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニットを備えた機械本体ユニットとを備えたマッサージ機であって、
前記マッサージユニットは、前記機械本体ユニットの左右のフレームの下部において左右方向に固設された揺動軸に揺動自在に取り付けられており、
前記機械本体ユニットの左右のフレームの上部に固設されたエアーセルベースには、前記マッサージユニットを揺動軸廻りに前方に揺動させるエアーセルの後端が固定されており、
前記エアーセルの前端は、前記マッサージユニットの上部に設けられたあて板に当接しており、
前記エアーセルにエアーを供給するエアー回路中に保持弁が配設されており、且つ
前記マッサージユニットの揺動を検知する検知手段が設けられていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
少なくとも座部と、この座部の後側に設けられた脊もたれ部と、この脊もたれ部内に昇降自在に設けられ、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニットを備えた機械本体ユニットとを備えたマッサージ機であって、
前記マッサージユニットは、前記機械本体ユニットの左右のフレームの下部において左右方向に固設された揺動軸に揺動自在に取り付けられており、
前記機械本体ユニットの左右のフレームの上部に固設されたケーシングには、前記マッサージユニットを揺動軸廻りに前方に付勢する弾性手段の後端が固定されており、
前記弾性手段の前端は、前記マッサージユニットの上部に設けられたあて板に固定されており、且つ
前記マッサージユニットの揺動を検知する検知手段が設けられていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
前記マッサージユニットの左右のフレームの上部において左右方向に設けられた回転軸にピニオンが固設されており、前記マッサージユニットの上部には、前記ピニオンと噛み合うラックが、当該マッサージユニットの前後方向に沿って固設されている請求項1〜2のいずれかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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