マッサージ機
【課題】 施療効果の高い指圧マッサージを施すことができ、バリエーションに富んだメリハリのある効果的なマッサージを施すことのできるマッサージ機を提供する。
【解決手段】 一対の施療指40,40と、該施療指40,40が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸52と、該揉み軸52を回転させる揉みモータ51と、を具え、揉みモータ51を回転させることによって、施療指40,40が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指40,40の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施すマッサージユニット30を具えたマッサージ機において、揉みモータ51は、制御手段70によって制御され、制御手段70は、施療指40,40の間隔が最も広い位置及び/又は施療指40,40の間隔が最も狭い位置で、揉みモータ51の正転及び逆転を繰り返すように制御する。
【解決手段】 一対の施療指40,40と、該施療指40,40が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸52と、該揉み軸52を回転させる揉みモータ51と、を具え、揉みモータ51を回転させることによって、施療指40,40が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指40,40の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施すマッサージユニット30を具えたマッサージ機において、揉みモータ51は、制御手段70によって制御され、制御手段70は、施療指40,40の間隔が最も広い位置及び/又は施療指40,40の間隔が最も狭い位置で、揉みモータ51の正転及び逆転を繰り返すように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機の施療指の動作に関するものであり、具体的には、施療指によるマッサージ効果をより高めることのできるマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の肩、腰等の患部にマッサージを施す椅子型やベッド型のマッサージ機が知られている。この種装置では、被施療者の背中が当る背当り部の内部に一対の施療指を有するマッサージユニットを具えており、該施療指を前後を含む上下方向や横方向に往復移動させて、患部の叩きマッサージや揉みマッサージを行なったり、マッサージユニットを背当り部の長手方向に往復移動させるモータにより昇降運動させて、首筋から腰方向へローリングマッサージを行なっている。
【0003】
被施療者へのマッサージ効果を高めるために、マッサージユニットの昇降動作の開始と、施療指の接近動作の開始をほぼ同時に行なって、施療指の軌跡がX字型やZ字型となるように制御して、被施療者の背中全体にほぼ均一なマッサージを行なうマッサージ機を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−99392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
指圧は、施療効果が高い。従って、指圧マッサージがマッサージ動作として所望されるが、叩きマッサージはストロークが短く、また、X字型やZ字型のマッサージは揉みマッサージであるため、指圧的な動きがない。このため、施療効果の高いメリハリのある指圧マッサージを受けることはできなかった。
また、揉みマッサージと叩きマッサージを同時に行ない、叩きの位置を左右方向に連続的に変化させることも行なわれているが、叩きマッサージ本来の体感が損なわれるものであった。
【0006】
本発明の目的は、施療効果の高い指圧マッサージを施すことができ、また、叩きマッサージの体感を損なうことのないバリエーションに富んだメリハリのある効果的なマッサージを施すことのできるマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のマッサージ機は、
一対の施療指と、
該施療指が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸と、
該揉み軸を回転させる揉みモータと、を具え、
揉みモータを回転させることによって、施療指が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施すマッサージユニットを具えたマッサージ機において、
揉みモータは、制御手段によって制御され、
制御手段は、施療指の間隔が最も広い位置及び/又は施療指の間隔が最も狭い位置で、揉みモータの正転及び逆転を繰り返すように制御する。
【0008】
また、本発明のマッサージ機は、
一対の施療指と、
該施療指が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸と、
該揉み軸を回転させる揉みモータと、を具え、
揉みモータを回転させることによって、施療指が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施すマッサージユニットを具えたマッサージ機において、
揉みモータは、制御手段によって制御され、
制御手段は、施療指が、楕円軌道のうち、患部に近い側で広狭方向に往復移動する範囲で、揉みモータを正転及び逆転を繰り返すように制御する。
【0009】
さらに、本発明のマッサージ機は、
一対の施療指と、
該施療指が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸と、
該揉み軸を回転させる揉みモータと、を具え、
施療指が夫々偏心した状態で取り付けられる叩き軸と、
該叩き軸を回転させる叩きモータと、を具え、
揉みモータを回転させることによって、施療指が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指の間隔を広狭方向に往復移動し、叩きモータを回転させることによって、施療指を前後方向に往復移動させて、被施療者の患部に叩きマッサージを施すマッサージユニットを具えたマッサージ機において、
揉みモータ及び叩きモータは、制御手段によって制御され、
制御手段は、揉みモータと叩きモータを、交互に正転又は逆転させるように制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマッサージ機によれば、施療指の間隔が最も広い位置及び/又は施療指の間隔が最も狭い位置は、施療指の楕円軌道のうちで、広狭変化が小さく、施療指の突出量の変化が大きいから、この位置で揉みモータの正転及び逆転を繰り返すように制御することにより、指圧の如きマッサージを施すことができる。
【0011】
また、本発明のマッサージ機によれば、施療指の楕円軌道のうちで、患部に近い位置を移動しており、この範囲で揉みモータの正転及び逆転を繰り返すことによって、施療指が患部に強く当たりながらスライドするため、効果的なマッサージを施すことができる。
【0012】
さらに、本発明のマッサージ機によれば、揉みモータと叩きモータを交互に正転又は逆転させることにより、叩きマッサージを行なうときは、左右方向の位置は一定であるので、叩きマッサージの体感が損なわれることがなく、メリハリのある効果的なマッサージを施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を椅子型のマッサージ機(10)に適用した例について説明する。なお、本発明は、椅子型に限定されることなく、例えば、ベッド型のマッサージ機、更には介護用ベッドなどにも適用することができる。
【0014】
<構造説明>
マッサージ機(10)の椅子(11)は、図1に示すように、被施療者の腰掛ける座部(12)と、該座部(12)の後端から上向きに形成された背当り部(13)、座部(12)の左右両側に上向きに形成された肘掛け部(14)とから構成される。座部(12)、背当り部(13)、肘掛け部(14)は、夫々内部に金属製のパイプ、フレーム又はプレート等を連結して形成され、外周は、当て布やクッションにて包囲される。
【0015】
背当り部(13)の内部には、図1に示すように、上部及び下部に夫々上フレーム(16)と下フレーム(17)を具えており、上下のフレーム(16)(17)の左右両端部は、上下方向に平行に伸びる左右一対のガイドレール(18)(18)にて連結されている。ガイドレール(18)(18)の上端は、上フレーム(16)を越えて上方へ伸びており、ガイドレール(18)(18)の先端には、被施療者の頭部が当る頭当て部(15)が取り付けられている。ガイドレール(18)(18)の下部は、座部(12)を形成するフレームに枢支される。また、下フレーム(17)には、公知のリクライニング機構(19)に連結され、背当り部(13)は、座部(12)に対して揺動可能となっている。
ガイドレール(18)(18)は、断面形状がコ字状であって、溝が対向するように配置され、該ガイドレール(18)(18)に沿ってマッサージユニット(30)が昇降可能に取り付けられている。
【0016】
背当り部(13)の内部には、ガイドレール(18)(18)と平行に枢支されたネジ軸(22)と、該ネジ軸(22)を回転させる昇降モータ(21)からなる昇降手段(20)が配備されている。ネジ軸(22)の下端にはプーリ(23)を具え、昇降モータ(21)の回転軸とベルトを介して連繋されており、昇降モータ(21)を駆動すると、ネジ軸(22)が正回転又は逆回転を行なう。
ネジ軸(22)には、後述する制御手段(70)に電気的に接続されたエンコーダ(24)が配備されており、ネジ軸(22)の回転は、パルス信号として制御手段(70)に送信される。
【0017】
一方のガイドレール(18)の上下には、夫々リミットスイッチ(33)(34)が配備されており、マッサージユニット(30)が上または下方向の移動限界に到達すると、信号を制御手段(70)に送信する。
上又は下リミットスイッチ(33)(34)がマッサージユニット(30)を検出した状態からのネジ軸(22)のエンコーダパルス信号をカウントすることによって、マッサージユニット(30)の高さ位置を検出することができる。
【0018】
マッサージユニット(30)は、図1乃至図3に示すように、ガイドレール(18)(18)の溝に嵌まるローラ(31)(31)(31)(31)が上下に夫々左右一対ずつ枢支されたシャーシ(32)に、施療指(40)(40)と、該施療指(40)(40)を作動させる揉み手段(50)及び叩き手段(60)を具える。シャーシ(32)は、ネジ軸(22)に螺合するネジ筒(35)を有しており、前述のとおり、ネジ軸(22)を回転させると、マッサージユニット(30)がネジ推力によって昇降する。
【0019】
施療指(40)(40)は、略中央がくの字型に屈曲した板状のアーム(42)の上下両端に各一対の揉み玉(41)(41)を具え、アーム(42)の屈曲部分は板状のレバー(43)に枢支される。レバー(43)は、揉み手段(50)に回転自由に枢支されており、レバー(43)の後端は、球関節(44)を介して連結杆(45)が取り付けられ、該連結杆(45)は、叩き手段(60)に連繋される。
【0020】
揉み手段(50)は、施療指(40)(40)の各レバー(43)(43)を傾斜した状態で枢支する揉み軸(52)と、該揉み軸(52)を回転させる揉みモータ(51)を具える。詳しくは、揉み軸(52)に、偏心且つ互いに対称的に傾斜して固定されたカム体(52')に各レバー(43)は枢支されている。揉みモータ(51)からの動力は、減速機構(53)を介して揉み軸(52)に伝達される。
揉み軸(52)には、施療指(40)(40)が夫々傾斜した状態で枢支されており、レバー(43)(43)は連結杆(45)(45)に夫々接続されて回転が阻止されているから、揉み軸(52)を回転すると、左右の揉み玉(41)(41)が楕円状の軌道を描きつつ、接近、離間を繰り返しながら往復移動して、揉み動作を行なう(図7参照)。図7において、楕円状の軌道の前後方向の変化量は、カム体(52')が傾斜のみならず偏心していることにより大きくとれる。
【0021】
揉み軸(52)には、図2及び図4に示すように、マグネット(55)が取り付けられており、該マグネット(55)と、各マグネット(55)の回転移行路に対向してシャーシに配備されたリードスイッチ(56)によって、揉み軸(52)の回転が検出される。リードスイッチ(56)は、後述する制御手段(70)に電気的に接続され、マグネット(55)の検出をパルス信号として制御手段(70)に送信する。なお、リードスイッチ(56)は、両施療指(40)(40)の間隔が最も離れたときにマグネット(55)を検出するように、設置位置が調節されている。
また、揉みモータ(51)の回転は、エンコーダ(54)によって検出され、パルス信号として制御手段(70)に送信される。
リードスイッチ(56)がマグネット(55)を検出した状態、つまり、施療指(40)(40)の間隔が最も離れた状態からの揉みモータ(51)のエンコーダパルス数をカウントすることによって、施療指(40)(40)の間隔を知ることができる。
例えば、揉みモータ(51)と揉み軸(52)の減速比を、例えば40:1に設定すると、揉み軸(52)のリードスイッチ(56)がマグネット(55)を検出した後、次にマグネット(55)を検出するまでの間に、揉みモータ(51)のエンコーダ(54)は、揉みモータ(51)の回転を40回検出する。従って、両施療指(40)(40)の間隔は、揉み軸(52)のリードスイッチ(56)がマグネット(55)を検出した位置を原点(施療指間隔が最も離間した状態)とすると、揉みモータ(51)が10回転したときに、施療指間隔は中間、20回転で最も接近した状態となり、30回転で再び中間、40回転で原点に戻る。
【0022】
叩き手段(60)は、施療指(40)(40)の各連結杆(45)(45)を軸心から互いに180度ずれた状態で支持する叩き軸(62)と、該叩き軸を回転させる叩きモータ(61)を具える。叩きモータ(61)からの動力は、減速機構(63)を介して叩き軸(62)に伝達される。
叩きモータ(61)を回転すると、叩き軸(62)に偏心して連繋された連結杆(45)(45)を介して、施療指(40)(40)が上下方向(前後方向も含む)に往復移動して、叩き動作を行なう。
叩きモータ(61)にも同様に、エンコーダ(64)が配備されており、叩きモータ(61)の回転は、エンコーダ(64)からのパルス信号として制御手段(70)に送信される。
【0023】
マッサージ機(10)の動作の制御手段(70)について説明する。
図5は、マイコン(71)を主体として構成された制御手段(70)を示している。制御手段(70)は、マッサージ機(10)の適所に配備される。
マイコン(71)には、揉みモータ(51)、叩きモータ(61)及び昇降モータ(21)の駆動を制御する各モータ駆動回路(72)(73)(74)と、被施療者がマッサージ動作を選択する操作部(79)からの信号を受ける操作部I/F回路(76)、リクライニング機構(19)を制御するリクライニング制御回路(75)を具えており、前述の揉みモータ(51)、叩きモータ(61)及び昇降モータ(21)の回転を検出するエンコーダ(54)(64)(24)、揉み軸(52)のリードスイッチ(56)、ガイドレール(18)の上下に設けられたリミットスイッチ(33)(34)が接続されている。
上記制御手段(70)において、被施療者が操作部(79)を操作して、例えば、揉み、叩きやローリングマッサージを選択すると、その操作命令に応じて、各モータ駆動回路(72)(73)(74)から、モータ(51)(61)(21)への作動命令が発信され、マッサージが行なわれる。
【0024】
マッサージ機(10)の基本的なマッサージ動作について、タイミングチャート図に沿って説明する。
<動作1(揉みマッサージ)>
被施療者が操作部(79)にて揉みマッサージを選択すると、図6に示すように、揉みモータ(51)のみが正転し、図7に示すように、被施療者の患部に対して、施療指(40)(40)(実際には揉み玉(41)(41)(以下同じ))が略水平な平面にて楕円状の軌道を描きつつ、接近離間する。これにより、被施療者の患部に揉みマッサージが施される。
なお、図6等のタイミングチャートにおいて、「施療指回転角度」とは、図7に示す施療指(40)(40)の楕円軌道の回転角度を表している。例えば、施療指回転角度0°とは、施療指(40)(40)どうしが最も離れた状態、施療指回転角度90°とは、施療指(40)(40)が被施療者の患部に最も近づいた状態、施療指回転角度180°とは、施療指(40)(40)どうしが最も接近した状態、施療指回転角度270°とは、施療指(40)(40)が患部から最も離れた状態を示している。施療指(40)(40)の回転角度は、上記のように、リードスイッチ(56)がマグネット(55)を検出した状態からの揉みモータ(51)のエンコーダパルス数をカウントすることによって、知ることができる。
図7における施療指(40)(40)の回転方向(矢印で示す)は、揉みモータ(51)を正転させた場合の施療指(40)(40)の回転方向を示している。揉みモータ(51)を逆転させた場合には、施療指(40)(40)の回転方向は、図7の矢印とは逆方向となる。
【0025】
<動作2(叩きマッサージ)>
被施療者が操作部(79)にて叩きマッサージを選択すると、図8に示すように、叩きモータ(61)のみが回転し、被施療者の患部に対して、施療指(40)(40)が前後(上下も含む)に往復移動する。これにより、被施療者の患部に叩きマッサージが施される。図8では、施療指回転角度が45°の場合を示している。
【0026】
<動作3(叩き及び揉みマッサージ)>
被施療者が操作部(79)にて叩き及び揉みマッサージを選択すると、図9に示すように、叩きモータ(61)及び揉みモータ(51)の両方が回転し、施療指(40)(40)は、叩き動作を行ないながら接近離間し、被施療者の患部に叩きと揉みを複合させた叩き及び揉みマッサージが施される。
【0027】
<動作4(幅狭指圧マッサージ)>
幅狭指圧とは、施療指(40)(40)の間隔が最も狭い位置付近で、揉みモータ(51)の正転と逆転を繰り返すことによって、指圧マッサージを施すマッサージである。
具体的には、図10に示すように、図7にて施療指(40)(40)が最も接近した状態、即ち、図7のAで示す範囲で、揉みモータ(51)の正転、逆転を繰り返すマッサージである。図7のAで示す範囲は、図からもわかるように、施療指(40)(40)の間隔の変化は小さく、逆に、突出量は、最も大きく変化する。従って、この範囲で、揉みモータ(51)の正転と反転を繰り返すことにより、指圧のようなマッサージを施すことができる。
図10では、正転と逆転を一定の間隔を存して繰り返すようにしている。これは、被施療者の患部に施療指(40)(40)が当たる時間を長くして、施療指(40)(40)が患部に当たっている時間をより長くすることによって、指圧効果を高めるためである。
本マッサージのその他の実施例として、正転と逆転を連続して繰り返すものや、施療指(40)(40)が前方に突出している逆転から正転への間隔を長くするものを例示できる。
【0028】
<動作5(幅広指圧マッサージ)>
幅広指圧とは、施療指(40)(40)の間隔が最も広い位置付近で、揉みモータ(51)の正転と逆転を繰り返すことによって、指圧マッサージを施すマッサージである。
具体的には、図11に示すように、図7にて施療指(40)(40)が最も離間した状態、即ち、図7のBで示す範囲で、揉みモータ(51)の正転、逆転を繰り返すマッサージである。図7のBで示す範囲は、図からもわかるように、施療指(40)(40)の間隔の変化は小さく、逆に、突出量は、最も大きく変化する。従って、この範囲で、揉みモータ(51)の正転と逆転を繰り返すことにより、指圧のようなマッサージを施すことができる。
図11では、正転と逆転を一定の間隔を存して繰り返すようにしている。これは、被施療者の患部に施療指(40)(40)が当たる時間を長くすることによって、指圧効果を高めるためである。
本マッサージのその他の実施例として、正転と逆転を連続して繰り返すものや、施療指(40)(40)が前方に突出している正転から逆転への間隔を長くして、施療指(40)(40)が患部に当たっている時間をより長くするものを例示できる。
【0029】
<動作6(施療指の間隔を変えながらの叩きマッサージ)>
図12は、施療指(40)(40)の楕円状の軌道(図7参照)において、施療指(40)(40)を被施療者に近い軌道(約45°〜135°)で揉みモータ(51)を所定時間毎に正転、逆転させつつ、揉みモータ(51)が停止しているときに、叩きモータ(61)を駆動して、叩きマッサージを施すようにしたマッサージである。
図12に示すマッサージでは、揉みモータ(51)は、正転2回、逆転2回を交互に繰り返し、揉みモータ(51)の回転が停止しているときに、叩きモータ(61)を駆動している。
本マッサージによれば、施療指(40)(40)は、患部に強くあたりながらスライドし、停止したときに叩きマッサージが施されるので、叩きマッサージの体感が損なわれることなくメリハリのある効果的なマッサージを施すことができる。
【0030】
<動作7(施療指の間隔を変えながらの叩きマッサージ)>
図13は、上記動作6(図12)のマッサージにおいて、揉みモータ(51)の正転及び逆転の速度を遅くして、施療指(40)(40)の広狭変化の速度を遅くしたものである。
本マッサージによれば、施療指(40)(40)は、患部に強くあたりながらゆっくりとスライドし、停止したときに叩きマッサージが施されるので、効果的なマッサージを施すことができる。
【0031】
<動作8(施療指の間隔を変えながらの連続叩きマッサージ)>
図14は、上記動作6(図12)のマッサージにおいて、叩きモータ(61)を揉みモータ(51)の回転、停止に拘わらず、連続的に駆動するようにしたものである。
本マッサージによれば、施療指(40)(40)は、患部に強く当たりながらスライドし、常に心地よく効果の高い叩きマッサージを施すことができる。
【0032】
動作7と動作8は、施療指に加わる負荷、即ち、被施療者の体重の大小や、リクライニング角度の違いによって適宜選択することができ、負荷が小さいときには動作7、負荷が大きいときには動作8とすることにより、効果的なマッサージとすることができる。
【0033】
<動作9(指圧及び昇降マッサージ)>
図15は、上記動作4(図10)の幅狭指圧マッサージに、マッサージユニット(30)の昇降動作を複合させたマッサージである。昇降モータ(21)により、マッサージユニット(30)を所定時間毎に昇降させることによって、幅狭指圧マッサージのマッサージ感覚を損なうことなく、被施療者の背骨に沿った広い範囲に施すことができる。
なお、上記動作5(図11)の幅広指圧マッサージにおいて、図15と同様に、昇降モータ(21)を所定時間毎に昇降させるようにしてもよい。
【0034】
<動作10(施療指の間隔を変えながらの叩き及び昇降マッサージ)>
図16は、上記動作6(図12)のマッサージに、マッサージユニット(30)の昇降動作を複合させたマッサージである。
昇降モータ(21)により、マッサージユニット(30)を所定時間毎に昇降させることによって、揉み及び叩きマッサージのマッサージ感覚を損なうことなく、患部の広い範囲に亘ってメリハリのある効果的なマッサージを施すことができる。
【0035】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0036】
例えば、上記実施例では、揉みモータ(51)、叩きモータ(61)及び昇降モータ(21)の回転と停止によって、施療指の移動速度を制御しているが、モータへの給電電力の大きさを変えたり、モータへの印加電圧を変えることによっても同様の制御を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、施療効果の高い指圧マッサージを施すことができ、バリエーションに富んだメリハリのある効果的なマッサージを施すことのできるマッサージ機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のマッサージ機の断面図である。
【図2】マッサージユニットの正面図である(但し、シャーシの向こう側に見える線も実線で表している)。
【図3】マッサージユニットの要部断面平面図である。
【図4】揉み軸の回転と、揉みモータ回転パルスとの関係を示す説明図である。
【図5】制御手段のブロック図である。
【図6】動作1のタイミングチャート図である。
【図7】揉みマッサージ時の施療指の軌跡を示す説明図である。
【図8】動作2のタイミングチャート図である。
【図9】動作3のタイミングチャート図である。
【図10】動作4のタイミングチャート図である。
【図11】動作5のタイミングチャート図である。
【図12】動作6のタイミングチャート図である。
【図13】動作7のタイミングチャート図である。
【図14】動作8のタイミングチャート図である。
【図15】動作9のタイミングチャート図である。
【図16】動作10のタイミングチャート図である。
【符号の説明】
【0039】
(10) マッサージ機
(20) 昇降手段
(30) マッサージユニット
(40) 施療指
(50) 揉み手段
(60) 叩き手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機の施療指の動作に関するものであり、具体的には、施療指によるマッサージ効果をより高めることのできるマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の肩、腰等の患部にマッサージを施す椅子型やベッド型のマッサージ機が知られている。この種装置では、被施療者の背中が当る背当り部の内部に一対の施療指を有するマッサージユニットを具えており、該施療指を前後を含む上下方向や横方向に往復移動させて、患部の叩きマッサージや揉みマッサージを行なったり、マッサージユニットを背当り部の長手方向に往復移動させるモータにより昇降運動させて、首筋から腰方向へローリングマッサージを行なっている。
【0003】
被施療者へのマッサージ効果を高めるために、マッサージユニットの昇降動作の開始と、施療指の接近動作の開始をほぼ同時に行なって、施療指の軌跡がX字型やZ字型となるように制御して、被施療者の背中全体にほぼ均一なマッサージを行なうマッサージ機を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−99392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
指圧は、施療効果が高い。従って、指圧マッサージがマッサージ動作として所望されるが、叩きマッサージはストロークが短く、また、X字型やZ字型のマッサージは揉みマッサージであるため、指圧的な動きがない。このため、施療効果の高いメリハリのある指圧マッサージを受けることはできなかった。
また、揉みマッサージと叩きマッサージを同時に行ない、叩きの位置を左右方向に連続的に変化させることも行なわれているが、叩きマッサージ本来の体感が損なわれるものであった。
【0006】
本発明の目的は、施療効果の高い指圧マッサージを施すことができ、また、叩きマッサージの体感を損なうことのないバリエーションに富んだメリハリのある効果的なマッサージを施すことのできるマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のマッサージ機は、
一対の施療指と、
該施療指が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸と、
該揉み軸を回転させる揉みモータと、を具え、
揉みモータを回転させることによって、施療指が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施すマッサージユニットを具えたマッサージ機において、
揉みモータは、制御手段によって制御され、
制御手段は、施療指の間隔が最も広い位置及び/又は施療指の間隔が最も狭い位置で、揉みモータの正転及び逆転を繰り返すように制御する。
【0008】
また、本発明のマッサージ機は、
一対の施療指と、
該施療指が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸と、
該揉み軸を回転させる揉みモータと、を具え、
揉みモータを回転させることによって、施療指が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施すマッサージユニットを具えたマッサージ機において、
揉みモータは、制御手段によって制御され、
制御手段は、施療指が、楕円軌道のうち、患部に近い側で広狭方向に往復移動する範囲で、揉みモータを正転及び逆転を繰り返すように制御する。
【0009】
さらに、本発明のマッサージ機は、
一対の施療指と、
該施療指が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸と、
該揉み軸を回転させる揉みモータと、を具え、
施療指が夫々偏心した状態で取り付けられる叩き軸と、
該叩き軸を回転させる叩きモータと、を具え、
揉みモータを回転させることによって、施療指が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指の間隔を広狭方向に往復移動し、叩きモータを回転させることによって、施療指を前後方向に往復移動させて、被施療者の患部に叩きマッサージを施すマッサージユニットを具えたマッサージ機において、
揉みモータ及び叩きモータは、制御手段によって制御され、
制御手段は、揉みモータと叩きモータを、交互に正転又は逆転させるように制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマッサージ機によれば、施療指の間隔が最も広い位置及び/又は施療指の間隔が最も狭い位置は、施療指の楕円軌道のうちで、広狭変化が小さく、施療指の突出量の変化が大きいから、この位置で揉みモータの正転及び逆転を繰り返すように制御することにより、指圧の如きマッサージを施すことができる。
【0011】
また、本発明のマッサージ機によれば、施療指の楕円軌道のうちで、患部に近い位置を移動しており、この範囲で揉みモータの正転及び逆転を繰り返すことによって、施療指が患部に強く当たりながらスライドするため、効果的なマッサージを施すことができる。
【0012】
さらに、本発明のマッサージ機によれば、揉みモータと叩きモータを交互に正転又は逆転させることにより、叩きマッサージを行なうときは、左右方向の位置は一定であるので、叩きマッサージの体感が損なわれることがなく、メリハリのある効果的なマッサージを施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を椅子型のマッサージ機(10)に適用した例について説明する。なお、本発明は、椅子型に限定されることなく、例えば、ベッド型のマッサージ機、更には介護用ベッドなどにも適用することができる。
【0014】
<構造説明>
マッサージ機(10)の椅子(11)は、図1に示すように、被施療者の腰掛ける座部(12)と、該座部(12)の後端から上向きに形成された背当り部(13)、座部(12)の左右両側に上向きに形成された肘掛け部(14)とから構成される。座部(12)、背当り部(13)、肘掛け部(14)は、夫々内部に金属製のパイプ、フレーム又はプレート等を連結して形成され、外周は、当て布やクッションにて包囲される。
【0015】
背当り部(13)の内部には、図1に示すように、上部及び下部に夫々上フレーム(16)と下フレーム(17)を具えており、上下のフレーム(16)(17)の左右両端部は、上下方向に平行に伸びる左右一対のガイドレール(18)(18)にて連結されている。ガイドレール(18)(18)の上端は、上フレーム(16)を越えて上方へ伸びており、ガイドレール(18)(18)の先端には、被施療者の頭部が当る頭当て部(15)が取り付けられている。ガイドレール(18)(18)の下部は、座部(12)を形成するフレームに枢支される。また、下フレーム(17)には、公知のリクライニング機構(19)に連結され、背当り部(13)は、座部(12)に対して揺動可能となっている。
ガイドレール(18)(18)は、断面形状がコ字状であって、溝が対向するように配置され、該ガイドレール(18)(18)に沿ってマッサージユニット(30)が昇降可能に取り付けられている。
【0016】
背当り部(13)の内部には、ガイドレール(18)(18)と平行に枢支されたネジ軸(22)と、該ネジ軸(22)を回転させる昇降モータ(21)からなる昇降手段(20)が配備されている。ネジ軸(22)の下端にはプーリ(23)を具え、昇降モータ(21)の回転軸とベルトを介して連繋されており、昇降モータ(21)を駆動すると、ネジ軸(22)が正回転又は逆回転を行なう。
ネジ軸(22)には、後述する制御手段(70)に電気的に接続されたエンコーダ(24)が配備されており、ネジ軸(22)の回転は、パルス信号として制御手段(70)に送信される。
【0017】
一方のガイドレール(18)の上下には、夫々リミットスイッチ(33)(34)が配備されており、マッサージユニット(30)が上または下方向の移動限界に到達すると、信号を制御手段(70)に送信する。
上又は下リミットスイッチ(33)(34)がマッサージユニット(30)を検出した状態からのネジ軸(22)のエンコーダパルス信号をカウントすることによって、マッサージユニット(30)の高さ位置を検出することができる。
【0018】
マッサージユニット(30)は、図1乃至図3に示すように、ガイドレール(18)(18)の溝に嵌まるローラ(31)(31)(31)(31)が上下に夫々左右一対ずつ枢支されたシャーシ(32)に、施療指(40)(40)と、該施療指(40)(40)を作動させる揉み手段(50)及び叩き手段(60)を具える。シャーシ(32)は、ネジ軸(22)に螺合するネジ筒(35)を有しており、前述のとおり、ネジ軸(22)を回転させると、マッサージユニット(30)がネジ推力によって昇降する。
【0019】
施療指(40)(40)は、略中央がくの字型に屈曲した板状のアーム(42)の上下両端に各一対の揉み玉(41)(41)を具え、アーム(42)の屈曲部分は板状のレバー(43)に枢支される。レバー(43)は、揉み手段(50)に回転自由に枢支されており、レバー(43)の後端は、球関節(44)を介して連結杆(45)が取り付けられ、該連結杆(45)は、叩き手段(60)に連繋される。
【0020】
揉み手段(50)は、施療指(40)(40)の各レバー(43)(43)を傾斜した状態で枢支する揉み軸(52)と、該揉み軸(52)を回転させる揉みモータ(51)を具える。詳しくは、揉み軸(52)に、偏心且つ互いに対称的に傾斜して固定されたカム体(52')に各レバー(43)は枢支されている。揉みモータ(51)からの動力は、減速機構(53)を介して揉み軸(52)に伝達される。
揉み軸(52)には、施療指(40)(40)が夫々傾斜した状態で枢支されており、レバー(43)(43)は連結杆(45)(45)に夫々接続されて回転が阻止されているから、揉み軸(52)を回転すると、左右の揉み玉(41)(41)が楕円状の軌道を描きつつ、接近、離間を繰り返しながら往復移動して、揉み動作を行なう(図7参照)。図7において、楕円状の軌道の前後方向の変化量は、カム体(52')が傾斜のみならず偏心していることにより大きくとれる。
【0021】
揉み軸(52)には、図2及び図4に示すように、マグネット(55)が取り付けられており、該マグネット(55)と、各マグネット(55)の回転移行路に対向してシャーシに配備されたリードスイッチ(56)によって、揉み軸(52)の回転が検出される。リードスイッチ(56)は、後述する制御手段(70)に電気的に接続され、マグネット(55)の検出をパルス信号として制御手段(70)に送信する。なお、リードスイッチ(56)は、両施療指(40)(40)の間隔が最も離れたときにマグネット(55)を検出するように、設置位置が調節されている。
また、揉みモータ(51)の回転は、エンコーダ(54)によって検出され、パルス信号として制御手段(70)に送信される。
リードスイッチ(56)がマグネット(55)を検出した状態、つまり、施療指(40)(40)の間隔が最も離れた状態からの揉みモータ(51)のエンコーダパルス数をカウントすることによって、施療指(40)(40)の間隔を知ることができる。
例えば、揉みモータ(51)と揉み軸(52)の減速比を、例えば40:1に設定すると、揉み軸(52)のリードスイッチ(56)がマグネット(55)を検出した後、次にマグネット(55)を検出するまでの間に、揉みモータ(51)のエンコーダ(54)は、揉みモータ(51)の回転を40回検出する。従って、両施療指(40)(40)の間隔は、揉み軸(52)のリードスイッチ(56)がマグネット(55)を検出した位置を原点(施療指間隔が最も離間した状態)とすると、揉みモータ(51)が10回転したときに、施療指間隔は中間、20回転で最も接近した状態となり、30回転で再び中間、40回転で原点に戻る。
【0022】
叩き手段(60)は、施療指(40)(40)の各連結杆(45)(45)を軸心から互いに180度ずれた状態で支持する叩き軸(62)と、該叩き軸を回転させる叩きモータ(61)を具える。叩きモータ(61)からの動力は、減速機構(63)を介して叩き軸(62)に伝達される。
叩きモータ(61)を回転すると、叩き軸(62)に偏心して連繋された連結杆(45)(45)を介して、施療指(40)(40)が上下方向(前後方向も含む)に往復移動して、叩き動作を行なう。
叩きモータ(61)にも同様に、エンコーダ(64)が配備されており、叩きモータ(61)の回転は、エンコーダ(64)からのパルス信号として制御手段(70)に送信される。
【0023】
マッサージ機(10)の動作の制御手段(70)について説明する。
図5は、マイコン(71)を主体として構成された制御手段(70)を示している。制御手段(70)は、マッサージ機(10)の適所に配備される。
マイコン(71)には、揉みモータ(51)、叩きモータ(61)及び昇降モータ(21)の駆動を制御する各モータ駆動回路(72)(73)(74)と、被施療者がマッサージ動作を選択する操作部(79)からの信号を受ける操作部I/F回路(76)、リクライニング機構(19)を制御するリクライニング制御回路(75)を具えており、前述の揉みモータ(51)、叩きモータ(61)及び昇降モータ(21)の回転を検出するエンコーダ(54)(64)(24)、揉み軸(52)のリードスイッチ(56)、ガイドレール(18)の上下に設けられたリミットスイッチ(33)(34)が接続されている。
上記制御手段(70)において、被施療者が操作部(79)を操作して、例えば、揉み、叩きやローリングマッサージを選択すると、その操作命令に応じて、各モータ駆動回路(72)(73)(74)から、モータ(51)(61)(21)への作動命令が発信され、マッサージが行なわれる。
【0024】
マッサージ機(10)の基本的なマッサージ動作について、タイミングチャート図に沿って説明する。
<動作1(揉みマッサージ)>
被施療者が操作部(79)にて揉みマッサージを選択すると、図6に示すように、揉みモータ(51)のみが正転し、図7に示すように、被施療者の患部に対して、施療指(40)(40)(実際には揉み玉(41)(41)(以下同じ))が略水平な平面にて楕円状の軌道を描きつつ、接近離間する。これにより、被施療者の患部に揉みマッサージが施される。
なお、図6等のタイミングチャートにおいて、「施療指回転角度」とは、図7に示す施療指(40)(40)の楕円軌道の回転角度を表している。例えば、施療指回転角度0°とは、施療指(40)(40)どうしが最も離れた状態、施療指回転角度90°とは、施療指(40)(40)が被施療者の患部に最も近づいた状態、施療指回転角度180°とは、施療指(40)(40)どうしが最も接近した状態、施療指回転角度270°とは、施療指(40)(40)が患部から最も離れた状態を示している。施療指(40)(40)の回転角度は、上記のように、リードスイッチ(56)がマグネット(55)を検出した状態からの揉みモータ(51)のエンコーダパルス数をカウントすることによって、知ることができる。
図7における施療指(40)(40)の回転方向(矢印で示す)は、揉みモータ(51)を正転させた場合の施療指(40)(40)の回転方向を示している。揉みモータ(51)を逆転させた場合には、施療指(40)(40)の回転方向は、図7の矢印とは逆方向となる。
【0025】
<動作2(叩きマッサージ)>
被施療者が操作部(79)にて叩きマッサージを選択すると、図8に示すように、叩きモータ(61)のみが回転し、被施療者の患部に対して、施療指(40)(40)が前後(上下も含む)に往復移動する。これにより、被施療者の患部に叩きマッサージが施される。図8では、施療指回転角度が45°の場合を示している。
【0026】
<動作3(叩き及び揉みマッサージ)>
被施療者が操作部(79)にて叩き及び揉みマッサージを選択すると、図9に示すように、叩きモータ(61)及び揉みモータ(51)の両方が回転し、施療指(40)(40)は、叩き動作を行ないながら接近離間し、被施療者の患部に叩きと揉みを複合させた叩き及び揉みマッサージが施される。
【0027】
<動作4(幅狭指圧マッサージ)>
幅狭指圧とは、施療指(40)(40)の間隔が最も狭い位置付近で、揉みモータ(51)の正転と逆転を繰り返すことによって、指圧マッサージを施すマッサージである。
具体的には、図10に示すように、図7にて施療指(40)(40)が最も接近した状態、即ち、図7のAで示す範囲で、揉みモータ(51)の正転、逆転を繰り返すマッサージである。図7のAで示す範囲は、図からもわかるように、施療指(40)(40)の間隔の変化は小さく、逆に、突出量は、最も大きく変化する。従って、この範囲で、揉みモータ(51)の正転と反転を繰り返すことにより、指圧のようなマッサージを施すことができる。
図10では、正転と逆転を一定の間隔を存して繰り返すようにしている。これは、被施療者の患部に施療指(40)(40)が当たる時間を長くして、施療指(40)(40)が患部に当たっている時間をより長くすることによって、指圧効果を高めるためである。
本マッサージのその他の実施例として、正転と逆転を連続して繰り返すものや、施療指(40)(40)が前方に突出している逆転から正転への間隔を長くするものを例示できる。
【0028】
<動作5(幅広指圧マッサージ)>
幅広指圧とは、施療指(40)(40)の間隔が最も広い位置付近で、揉みモータ(51)の正転と逆転を繰り返すことによって、指圧マッサージを施すマッサージである。
具体的には、図11に示すように、図7にて施療指(40)(40)が最も離間した状態、即ち、図7のBで示す範囲で、揉みモータ(51)の正転、逆転を繰り返すマッサージである。図7のBで示す範囲は、図からもわかるように、施療指(40)(40)の間隔の変化は小さく、逆に、突出量は、最も大きく変化する。従って、この範囲で、揉みモータ(51)の正転と逆転を繰り返すことにより、指圧のようなマッサージを施すことができる。
図11では、正転と逆転を一定の間隔を存して繰り返すようにしている。これは、被施療者の患部に施療指(40)(40)が当たる時間を長くすることによって、指圧効果を高めるためである。
本マッサージのその他の実施例として、正転と逆転を連続して繰り返すものや、施療指(40)(40)が前方に突出している正転から逆転への間隔を長くして、施療指(40)(40)が患部に当たっている時間をより長くするものを例示できる。
【0029】
<動作6(施療指の間隔を変えながらの叩きマッサージ)>
図12は、施療指(40)(40)の楕円状の軌道(図7参照)において、施療指(40)(40)を被施療者に近い軌道(約45°〜135°)で揉みモータ(51)を所定時間毎に正転、逆転させつつ、揉みモータ(51)が停止しているときに、叩きモータ(61)を駆動して、叩きマッサージを施すようにしたマッサージである。
図12に示すマッサージでは、揉みモータ(51)は、正転2回、逆転2回を交互に繰り返し、揉みモータ(51)の回転が停止しているときに、叩きモータ(61)を駆動している。
本マッサージによれば、施療指(40)(40)は、患部に強くあたりながらスライドし、停止したときに叩きマッサージが施されるので、叩きマッサージの体感が損なわれることなくメリハリのある効果的なマッサージを施すことができる。
【0030】
<動作7(施療指の間隔を変えながらの叩きマッサージ)>
図13は、上記動作6(図12)のマッサージにおいて、揉みモータ(51)の正転及び逆転の速度を遅くして、施療指(40)(40)の広狭変化の速度を遅くしたものである。
本マッサージによれば、施療指(40)(40)は、患部に強くあたりながらゆっくりとスライドし、停止したときに叩きマッサージが施されるので、効果的なマッサージを施すことができる。
【0031】
<動作8(施療指の間隔を変えながらの連続叩きマッサージ)>
図14は、上記動作6(図12)のマッサージにおいて、叩きモータ(61)を揉みモータ(51)の回転、停止に拘わらず、連続的に駆動するようにしたものである。
本マッサージによれば、施療指(40)(40)は、患部に強く当たりながらスライドし、常に心地よく効果の高い叩きマッサージを施すことができる。
【0032】
動作7と動作8は、施療指に加わる負荷、即ち、被施療者の体重の大小や、リクライニング角度の違いによって適宜選択することができ、負荷が小さいときには動作7、負荷が大きいときには動作8とすることにより、効果的なマッサージとすることができる。
【0033】
<動作9(指圧及び昇降マッサージ)>
図15は、上記動作4(図10)の幅狭指圧マッサージに、マッサージユニット(30)の昇降動作を複合させたマッサージである。昇降モータ(21)により、マッサージユニット(30)を所定時間毎に昇降させることによって、幅狭指圧マッサージのマッサージ感覚を損なうことなく、被施療者の背骨に沿った広い範囲に施すことができる。
なお、上記動作5(図11)の幅広指圧マッサージにおいて、図15と同様に、昇降モータ(21)を所定時間毎に昇降させるようにしてもよい。
【0034】
<動作10(施療指の間隔を変えながらの叩き及び昇降マッサージ)>
図16は、上記動作6(図12)のマッサージに、マッサージユニット(30)の昇降動作を複合させたマッサージである。
昇降モータ(21)により、マッサージユニット(30)を所定時間毎に昇降させることによって、揉み及び叩きマッサージのマッサージ感覚を損なうことなく、患部の広い範囲に亘ってメリハリのある効果的なマッサージを施すことができる。
【0035】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0036】
例えば、上記実施例では、揉みモータ(51)、叩きモータ(61)及び昇降モータ(21)の回転と停止によって、施療指の移動速度を制御しているが、モータへの給電電力の大きさを変えたり、モータへの印加電圧を変えることによっても同様の制御を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、施療効果の高い指圧マッサージを施すことができ、バリエーションに富んだメリハリのある効果的なマッサージを施すことのできるマッサージ機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のマッサージ機の断面図である。
【図2】マッサージユニットの正面図である(但し、シャーシの向こう側に見える線も実線で表している)。
【図3】マッサージユニットの要部断面平面図である。
【図4】揉み軸の回転と、揉みモータ回転パルスとの関係を示す説明図である。
【図5】制御手段のブロック図である。
【図6】動作1のタイミングチャート図である。
【図7】揉みマッサージ時の施療指の軌跡を示す説明図である。
【図8】動作2のタイミングチャート図である。
【図9】動作3のタイミングチャート図である。
【図10】動作4のタイミングチャート図である。
【図11】動作5のタイミングチャート図である。
【図12】動作6のタイミングチャート図である。
【図13】動作7のタイミングチャート図である。
【図14】動作8のタイミングチャート図である。
【図15】動作9のタイミングチャート図である。
【図16】動作10のタイミングチャート図である。
【符号の説明】
【0039】
(10) マッサージ機
(20) 昇降手段
(30) マッサージユニット
(40) 施療指
(50) 揉み手段
(60) 叩き手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の施療指(40)(40)と、
該施療指(40)(40)が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸(52)と、
該揉み軸(52)を回転させる揉みモータ(51)と、を具え、
揉みモータ(51)を回転させることによって、施療指(40)(40)が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指(40)(40)の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施すマッサージユニット(30)を具えたマッサージ機において、
揉みモータ(51)は、制御手段(70)によって制御され、
制御手段(70)は、施療指(40)(40)の間隔が最も広い位置及び/又は施療指(40)(40)の間隔が最も狭い位置で、揉みモータ(51)の正転及び逆転を繰り返すように制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
一対の施療指(40)(40)と、
該施療指(40)(40)が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸(52)と、
該揉み軸(52)を回転させる揉みモータ(51)と、を具え、
揉みモータ(51)を回転させることによって、施療指(40)(40)が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指(40)(40)の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施すマッサージユニット(30)を具えたマッサージ機において、
揉みモータ(51)は、制御手段(70)によって制御され、
制御手段(70)は、施療指(40)(40)が、楕円軌道のうち、患部に近い側で広狭方向に往復移動する範囲で、揉みモータ(51)を正転及び逆転を繰り返すように制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
一対の施療指(40)(40)と、
該施療指(40)(40)が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸(52)と、
該揉み軸(52)を回転させる揉みモータ(51)と、を具え、
施療指(40)(40)が夫々偏心した状態で取り付けられる叩き軸(62)と、
該叩き軸(62)を回転させる叩きモータ(61)と、を具え、
揉みモータ(51)を回転させることによって、施療指(40)(40)が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指(40)(40)の間隔を広狭方向に往復移動し、叩きモータ(61)を回転させることによって、施療指(40)(40)を前後方向に往復移動させて、被施療者の患部に叩きマッサージを施すマッサージユニット(30)を具えたマッサージ機において、
揉みモータ(51)及び叩きモータ(61)は、制御手段(70)によって制御され、
制御手段(70)は、揉みモータ(51)と叩きモータ(61)を、交互に正転又は逆転させるように制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
制御手段(70)は、施療指(40)(40)が、楕円軌道のうち、患部に近い側で広狭方向に往復移動する範囲で、揉みモータ(51)を正転及び逆転させる請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
一対の施療指(40)(40)と、
該施療指(40)(40)が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸(52)と、
該揉み軸(52)を回転させる揉みモータ(51)と、を具え、
施療指(40)(40)が夫々偏心した状態で取り付けられる叩き軸(62)と、
該叩き軸(62)を回転させる叩きモータ(61)と、を具え、
揉みモータ(51)を回転させることによって、施療指(40)(40)が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指(40)(40)の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施し、叩きモータ(61)を回転させることによって、施療指(40)(40)を前後方向に往復移動させて、被施療者の患部に叩きマッサージを施すマッサージユニット(30)を具えたマッサージ機において、
揉みモータ(51)及び叩きモータ(61)は、制御手段(70)によって制御され、
制御手段(70)は、叩きモータ(61)を連続で回転させつつ、揉みモータ(51)を所定時間毎に正転及び逆転させるよう制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項6】
マッサージユニット(30)を上下方向に往復移動させる昇降モータ(21)を有しており、
昇降モータ(21)は、制御手段(70)によって制御され、
制御手段(70)は、揉みモータ(51)及び昇降モータ(21)、または、揉みモータ(51)、叩きモータ(61)及び昇降モータ(21)を交互に回転させるよう制御する請求項1乃至請求項5の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項1】
一対の施療指(40)(40)と、
該施療指(40)(40)が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸(52)と、
該揉み軸(52)を回転させる揉みモータ(51)と、を具え、
揉みモータ(51)を回転させることによって、施療指(40)(40)が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指(40)(40)の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施すマッサージユニット(30)を具えたマッサージ機において、
揉みモータ(51)は、制御手段(70)によって制御され、
制御手段(70)は、施療指(40)(40)の間隔が最も広い位置及び/又は施療指(40)(40)の間隔が最も狭い位置で、揉みモータ(51)の正転及び逆転を繰り返すように制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
一対の施療指(40)(40)と、
該施療指(40)(40)が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸(52)と、
該揉み軸(52)を回転させる揉みモータ(51)と、を具え、
揉みモータ(51)を回転させることによって、施療指(40)(40)が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指(40)(40)の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施すマッサージユニット(30)を具えたマッサージ機において、
揉みモータ(51)は、制御手段(70)によって制御され、
制御手段(70)は、施療指(40)(40)が、楕円軌道のうち、患部に近い側で広狭方向に往復移動する範囲で、揉みモータ(51)を正転及び逆転を繰り返すように制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
一対の施療指(40)(40)と、
該施療指(40)(40)が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸(52)と、
該揉み軸(52)を回転させる揉みモータ(51)と、を具え、
施療指(40)(40)が夫々偏心した状態で取り付けられる叩き軸(62)と、
該叩き軸(62)を回転させる叩きモータ(61)と、を具え、
揉みモータ(51)を回転させることによって、施療指(40)(40)が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指(40)(40)の間隔を広狭方向に往復移動し、叩きモータ(61)を回転させることによって、施療指(40)(40)を前後方向に往復移動させて、被施療者の患部に叩きマッサージを施すマッサージユニット(30)を具えたマッサージ機において、
揉みモータ(51)及び叩きモータ(61)は、制御手段(70)によって制御され、
制御手段(70)は、揉みモータ(51)と叩きモータ(61)を、交互に正転又は逆転させるように制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
制御手段(70)は、施療指(40)(40)が、楕円軌道のうち、患部に近い側で広狭方向に往復移動する範囲で、揉みモータ(51)を正転及び逆転させる請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
一対の施療指(40)(40)と、
該施療指(40)(40)が傾斜した状態で取り付けられる揉み軸(52)と、
該揉み軸(52)を回転させる揉みモータ(51)と、を具え、
施療指(40)(40)が夫々偏心した状態で取り付けられる叩き軸(62)と、
該叩き軸(62)を回転させる叩きモータ(61)と、を具え、
揉みモータ(51)を回転させることによって、施療指(40)(40)が夫々楕円軌道を描きつつ、施療指(40)(40)の間隔を広狭方向に往復移動し、被施療者の患部に揉みマッサージを施し、叩きモータ(61)を回転させることによって、施療指(40)(40)を前後方向に往復移動させて、被施療者の患部に叩きマッサージを施すマッサージユニット(30)を具えたマッサージ機において、
揉みモータ(51)及び叩きモータ(61)は、制御手段(70)によって制御され、
制御手段(70)は、叩きモータ(61)を連続で回転させつつ、揉みモータ(51)を所定時間毎に正転及び逆転させるよう制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項6】
マッサージユニット(30)を上下方向に往復移動させる昇降モータ(21)を有しており、
昇降モータ(21)は、制御手段(70)によって制御され、
制御手段(70)は、揉みモータ(51)及び昇降モータ(21)、または、揉みモータ(51)、叩きモータ(61)及び昇降モータ(21)を交互に回転させるよう制御する請求項1乃至請求項5の何れかに記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−204666(P2006−204666A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22621(P2005−22621)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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