マッサージ機
【課題】 被施療者の足先の蒸れ度を検出して、温風又は送風により加温又は冷却することにより、蒸れ度を許容範囲内に納めて快適なマッサージが可能なマッサージ機を提供する。
【解決手段】
マッサージ手段50によって、被施療者の患部をマッサージするようにしたマッサージ機において、患部に送風を行なうファン30及び送風を選択的に温風に変えるヒータ60を具える。送風と温風の切替え制御によって、患部の蒸れ度を設定範囲に保つ。
【解決手段】
マッサージ手段50によって、被施療者の患部をマッサージするようにしたマッサージ機において、患部に送風を行なうファン30及び送風を選択的に温風に変えるヒータ60を具える。送風と温風の切替え制御によって、患部の蒸れ度を設定範囲に保つ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関し、患部のマッサージに加えて、患部近傍の蒸れ度を測定し、蒸れ度に応じて患部を冷却又は加温することによって、マッサージ効果をさらに高めると共に快適なマッサージが可能なマッサージ機を提供することである。
【背景技術】
【0002】
回転する一対の円盤状施療体を接近、離間させて、被施療者の患部、具体的には足先及び足裏を挟み揉み、押圧等するマッサージ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−204781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患部にマッサージを施すと、患部の血行がよくなって、患部の温度が上昇し発汗が促される。これに伴って蒸れが生じ、不快感を感じることがあった。
以下、本発明の説明において、患部近傍の「蒸れ度」とは、患部近傍の「湿度の高、低」のことであり、蒸れ度が大きいとは、湿度が高い、蒸れ度は小さいとは湿度が低いことである。
患部が蒸れると、患部又は患部を覆う着衣と、マッサージ手段との摩擦力が大きくなり、着衣に目立った皺が生じたり、患部に擦れ傷を生じる虞れがある。
足裏の蒸れ度が大きいと悪臭を発するので、足裏マッサージを受けていても不快である。
患部近傍の蒸れ度が小さいと、即ち、患部近傍が乾燥し過ぎていると、患部又は患部を覆う着衣とマッサージ手段との摩擦力が小さくなり過ぎる。この場合、患部近傍に対するマッサージ手段の滑りが大きくなって、マッサージ効果が低下する。
又、マッサージ手段と患部との摩擦力が変化すると、意図するマッサージ強さが得られない問題も起こる。
【0005】
本発明の目的は、被施療者の患部近傍の蒸れ度に応じて、患部を冷却又は加温し、患部近傍の蒸れ度を適正に保つことによって、マッサージ効果を高めると共に快適なマッサージが可能なマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のマッサージ機は、被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段(50)、患部近傍に作用する様に送風を行なうファン(30)、該ファン(30)を駆動するファン用モータ(32)、患部近傍を直接に温め或いはファンからの送風を温風とするためのヒータ(60)、患部近傍の蒸れ度を測定するセンサー(7)、及び該蒸れ度に応じてファン用モータ(32)とヒータ(60)の作動を制御する制御部(40)を具えている。
本発明において、マッサージ強さの制御が可能なマッサージ手段(50)を用い、制御部(40)により、センサー(7)が検出した蒸れ度に応じてマッサージ強さを制御することもできる。
【発明の効果】
【0007】
センサー(7)が被施療者の患部近傍の蒸れ度を測定し、蒸れ度が設定上限値より大きい場合は、制御部(40)は、ファン用モータ(32)を制御して送風を行ない或いは風量を増加させる。
これによって、送風が患部近傍に作用して、患部近傍を冷却して発汗を抑制し、又、患部近傍の湿気を強制排除し、蒸れ度を低下させる。
患部近傍の蒸れ度が設定下限値より小さい場合、制御部(40)は、ヒータ(60)をON或いはヒータの出力を大きくする。ヒータ(60)は患部近傍を直接に温め、或いは送風を温風に変え、或いは温風の温度を更に高めて患部近傍に作用させて患部近傍を温める。これによって患部近傍の発汗とその蒸発が促されて、患部近傍の蒸れ度が大きくなる。
上記の様に、患部近傍の蒸れ度に応じて、制御部(40)によりファン用モータ(32)とヒータ(60)を制御することにより、患部近傍と蒸れ度を適正に保つことができる。
従って、患部近傍の蒸れ度が大き過ぎて、患部又は患部を覆う着衣と、マッサージ手段との摩擦力が大きくなり、着衣に目立った皺が生じたり、患部に擦れ傷を生じることを防止できる。又、蒸れ度が大きくなることによる患部近傍からの悪臭の発生を防止できる。
患部近傍の蒸れ度が小さ過ぎて、患部又は患部を覆う着衣とマッサージ手段との摩擦力が小さくなり、即ち、患部近傍に対するマッサージ手段の滑りが大きくなって、マッサージ効果が低下することを防止できる。
又、マッサージ手段と患部との摩擦力の変化を抑えることができるので、意図するマッサージ強さを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図3に示す実施例のマッサージ機(10)は、被施療者が足裏をマッサージ機(10)に載せて、くるぶしよりも下側の足先をマッサージするものである。
【0009】
図1は、マッサージ機(10)の平面図、図2は、被施療者が足先を載せた状態を示すマッサージ機(10)の左側面図である。なお、説明を判り易くするために、以下、図1の下側及び図2の足先の先端側を「前」と称する。
図に示すように、マッサージ機(10)は、前側に向かって上方に傾斜するよう構成された樹脂製のケーシング(20)を基体として構成され、ケーシング(20)の前側の中央に形成された凹み(22)に配置されたマッサージ手段(図1及び図2では、可撓性のカバー(14)に覆われており視認できない)に被施療者が足先を載せることによって、足先のマッサージを受けることができるようにしたものである。
ケーシング(20)には、図1に示すように、被施療者が操作する操作部(12)が配備されており、裏面後方には、マッサージ機(10)を持ち運ぶための掴み部(26)が凹設されている。
【0010】
図3は、図2の線A−Aに沿う断面図である。なお、図3等の断面図において、図面の簡素化を図るために、断面のハッチングを省略している箇所がある。
図3に示すように、ケーシング(20)の内部には、マッサージ手段(50)(詳細については後述する)と、該マッサージ手段(50)の駆動手段となるマッサージ用モータ(51)、送風用のファン(30)、ファン用モータ(32)、送風用の流路(34)、及び、マッサージ機(10)を制御する制御部(40)が配置されている。制御部(40)及びファン(30)は、掴み部(26)に近い後方側に配置されている。
【0011】
被施療者の足先に向けて送風を行なうファン(30)は、図3に示すように、マッサージ手段(50)と掴み部(26)との間のスペースに配置される。ファン(30)は、ファン用モータ(32)に連繋されており、ファン用モータ(32)の駆動によって回転する。
ファン(30)は、外周をファンカバー(33)によって包囲されている。ファンカバー(33)は、ファン(30)の周囲を囲む渦巻き状側板と、上部を覆う上板とからなり、上板の中央部には吸込口(33a)(図5参照)、側板のマッサージ手段(50)側には排気口(33b)が形成されている。図3や図4では、ファンカバーの上板を取り除いて示している。
【0012】
ファンカバー(33)の吸込口(33a)へのマッサージ機(10)の外部からの空気の供給は、ケーシング(20)の後端に形成された通気口(27)から行なわれる。通気口(27)は、ケーシング(20)に開設された孔に樹脂製のメッシュ体(28)を嵌め込んだものである。
掴み部(26)の近傍に通気口(27)を設けることにより、マッサージ機(10)を被施療者が持ち運びするときに目に付き易く、メッシュ体(28)が埃等により目詰りしているか否かを容易に確認できる利点がある。
【0013】
図4は、図3からマッサージ手段(50)を取り外した状態を示す断面図である。
ファンカバー(33)の排気口(33b)には、空気の流路(34)が形成されている。空気の流路(34)は、マッサージ手段(50)の下方に延びており、マッサージ手段(50)の下部にて、左右に分岐している。左右に分岐した流路(34)の先端は、さらに前後に分岐しており、前後に分岐した流路(34)は、図5に示すように、マッサージ手段(50)の形状に合わせて、上向きに円弧状に屈曲している。
【0014】
流路(34)には、図4及び図5に示すように、左右に分岐している流路(34)の分岐部分、前後に分岐している流路(34)の分岐部分、及び、流路(34)の先端には、夫々上向きに開口する空気吹出し口(35)が形成されている。マッサージ手段(50)の前後に開口する吹出し口(35c)(35b)は、被施療者の患部近傍に直接的に送風するものであり、足先にマッサージを施す場合、つま先側とかかと側に対向するよう開口することが望ましい。マッサージ手段(50)の下方にもマッサージ手段(50)に向けて吹出し口(35a)(35a)(35a)が開口している。
なお、後述のとおり、マッサージ手段(50)は、可撓性カバー(14)によって包囲され、吹出し口(35a)(35b)(35c)は、カバー(14)内で開口している。
【0015】
前後に分岐した流路(34)の前端には、ケーシング(20)の前方外側に形成された吹出し口(35d)(35d)が孔(38)(38)によって連通している。これにより、図5のように、可撓性カバー(14)内だけでなく、直接送風を患部に当てることができる。
【0016】
流路(34)の吹出し口(35)には、図5に示すように、夫々空気の吹き出し方向を制御するフラップ(37)を設けることが望ましい。フラップ(37)を形成することにより、吹出し口(35b)(35c)(35d)から排出される空気は、一定の方向性をもち(図5中矢印で示す)、効率的にマッサージ手段(50)や被施療者の患部に送風できる。図5の例では、吹出し口(35b)の前半分と吹出し口(35c)が足裏の中央に向かって傾き、土踏まず部分に送風し、吹出し口(35b)の後半分と吹出し口(35d)は上を向いてつま先やかかと部分に送風し、足裏全体を送風することができるようにしている。
【0017】
図4及び図5に示すように、ファンカバー(33)の直下流の流路(34)にヒータ(60)が配備される。ヒータ(60)は、電熱線をコイル状に巻回したものを例示できる。ヒータ(60)は制御部(40)に電気的に接続されており、ヒータ(60)に電流を流すと、電熱線が昇温し、流路(34)中を通る空気が加温される。その結果、ファン(30)から供給された送風は温風となって吹出し口(35)から放出される。
【0018】
ケーシング(20)の内部においては、図5に示すように、ヒータ(60)及びヒータ(60)よりも下流の流路(34)の空間と、制御部(40)の配置される空間は、ケーシング(20)の底面より突設した仕切り(24)によって分離している。このようにヒータ(60)と制御部(40)とを空間的に分離することによって、ヒータ(60)の熱が制御部(40)に伝わらず、制御部(40)が熱的影響を受けることはない。
【0019】
マッサージ手段(50)は、ケーシング(20)の前方に形成された凹み(22)に配備される。マッサージ手段(50)は、可撓性のカバー(14)(図1参照)によって覆われている。
マッサージ手段(50)は、ケーシング(20)の凹み(22)の左右に軸支(53)された駆動軸(52)と、該駆動軸(52)の中央に配備された回転ローラ部(57)、回転ローラ部(57)の両側に配備された2対の円盤状施療体(54)(54)を具える。駆動軸(52)の一端は、ケーシング(20)内に収容されたマッサージ用モータ(51)と減速機構(51a)を介して連繋されている。
【0020】
回転ローラ部(57)は、外周面に複数の押圧玉(57a)(57a)を具えた環状体であって、駆動軸(52)と一体回転可能となっている。駆動軸(52)を回転すると、回転ローラ部(57)は、駆動軸(52)と一体に回転し、被施療者が回転ローラ部(57)に足裏やふくらはぎを載せたときに、押圧玉(57a)でもってローリングマッサージを施す。
【0021】
円盤状施療体(54)(54)は、回転ローラ部(57)を挟んで左右対称に配備され、各円盤状施療体(54)は、夫々一対の円盤体(55)(55)を対称に傾斜させて形成し、円盤体(55)(55)の間に補助ローラ部(56)を挟んで構成される。
一対の円盤体(55)(55)の周囲には、夫々互いに向き合うように内方へ向かって複数の押圧指(55a)(55a)が突設され、補助ローラ部(56)にも複数の押圧玉(56a)(56a)を具えている。
一対の円盤体(55)(55)は、駆動軸(52)と一体に回転する基体部(55')の外周に、対称に傾斜させた状態で枢支される。補助ローラ部(56)は、駆動軸(52)と一体に回転する。
【0022】
マッサージ用モータ(51)を回転すると、駆動軸(52)と一体に円盤状施療体(54)(54)の基体部(55')及び補助ローラ部(56)が回転する。円盤体(55)(55)は、基体部(55')(55')に所定角度傾斜して枢支されているから、回転によって左右の幅を広狭変化しながら揺動し、円盤体(55)(55)間の足先等の患部を挟み揉みし、足裏を補助ローラ部(56)の押圧玉で押圧する。
実施例のマッサージ手段(50)は、後記の如く、制御部(40)からの指令により、マッサージ力の「強」、「弱」の調節がなされる。
マッサージ力の「強」とは、マッサージ用モータ(51)の回転速度を上げて、単位時間当たりの患部を挟み揉みする回数及び押圧玉での押圧回数を多くする。マッサージ力の「弱」とは、マッサージ用モータ(51)の回転速度を下げて単位時間当たりの患部を挟み揉みする回数及び押圧玉での押圧回数を少なくする。
或いは、マッサージ用モータ(51)を間歇回転させ、単位時間当たりのモータ(51)の回転が停止している時間と回転している時間の割合を変化させて、マッサージ力の「強」、「弱」の調節ができる。この場合モータ(51)回転している時間が長いほど、マッサージ力は「強」、モータ(51)回転している時間が短いほど、マッサージ力は弱となる。
【0023】
マッサージ手段(50)を包囲する可撓性カバー(14)は、図5に示す如く、その後端が、凹み(22)の後縁部に取り付けられ、その前端が、ケーシング(20)の前方下部に取り付けられている。詳述すれば、カバー(14)の前、後端部には、金属棒(14b)が縫い付けられ、この金属棒(14b)をケーシング(20)に形設した凹部(14c)に入れ、押え板(14d)で押さえて、ネジ(14e)でケーシング(20)に固定している。この可撓性カバー(14)は、通気性に優れた材料を用いることが望ましい。カバー(14)の材料として布を例示できる。また、図6に示すように、吹出し口(35b)(35c)と対向する位置(14a)のみメッシュ等の通気性に優れる材料にすることもできる。
【0024】
上記マッサージ機(10)上にて、足先の蒸れ度を測定するセンサー(7)が配備されている。
実施例のセンサー(7)は、超小型湿度センサー(例えば、神栄株式会社製、THP−728)であって、前記可撓性カバー(14)上に取り付けられ、図10に示す如く、前記制御部(40)に電気的に接続される。
【0025】
制御部(40)は、操作部(12)からの操作命令を受けて、ファン用モータ(32)、ヒータ(60)及びマッサージ用モータ(51)を制御する。
制御部(40)に具えたマイクロコンピュータは、マッサージすべき患部近傍の蒸れ度の許容設定範囲を記憶している。又、マイクロコンピュータは、センサー(7)での測定値と、許容設定範囲とを比較する比較回路を具えている。
【0026】
操作部(12)は運転選択スイッチ(図示せず)を具えており、該スイッチの操作によって、マッサージ機の運転を、大きくは下記の5つの運転モードから選択できる。
第1運転モード:マッサージ手段(50)の運転だけを行ない、ファン(30)及びヒータ(60)を作動させない。
第2運転モード:マッサージ手段(50)の運転と、ファン(30)を作動させる。
第3運転モード:マッサージ手段(50)の運転と、ファン(30)とヒータ(60)を作動させる。
第4運転モード:マッサージ手段(50)の運転と、センサー(7)を働かせてファン(30)及びヒータ(60)の運転を制御する。
第5運転モード:第4運転において、患部の蒸れ度に応じてマッサージ手段(50)のマッサージ強さを制御する。
【0027】
以下、本発明のマッサージ機(10)の各運転モードについて説明する。
第1運転モードでは、マッサージ用モータ(51)によってマッサージ手段(50)が作動する。これにより、マッサージ手段(50)の上に載せた足先をマッサージできる。具体的には、円盤状施療体(54)と補助ローラ部(56)によって足先の側面と足裏を同時にマッサージすることができる。回転ローラ部(57)に足裏を当てると、足裏のマッサージを受けることができる。
【0028】
夏場や風呂上がり等、被施療者が暑いと感じるときや、体温が上がっている場合には、そのままマッサージ機(10)によってマッサージを受けると、患部がさらに昇温して、蒸れ等の不快を感ずる。この場合、第2運転モードの選択が望ましい。
第2運転モードでは、ファン用モータ(32)を回転させて、図5に示すように、マッサージ手段(50)及び被施療者の患部に送風を行なう。送風により、患部が冷却され且つ湿気が強制除去がされて、蒸れや不快感を感じることなくマッサージを受けることができる。
【0029】
逆に、冬場や足先等の患部が冷えている場合、そのままマッサージ機(10)によってマッサージを受けると、マッサージ機(10)自体を冷たく感じたり、体温の低下による血行不良により、十分に効果のあるマッサージを受けることができない。このような場合、第3運転モードの選択が望ましい。
第3運転モードでは、ファン用モータ(32)を回転させると共に、ヒータ(60)を作動させる。図5に示すように、吹出し口(35b)(35c)(35d)より供給される温風が患部近傍に直接に当たって患部を暖めると共に、カバー(14)内にある吹出し口(35a)(35b)(35c)より供給される温風は、マッサージ手段(50)やカバー(14)内の空気を暖めてからカバー(14)を抜けて患部を暖める。従って、マッサージ機(10)が冷たいことによる不快感を感ずることがなく、また、体温の上昇に伴って血行が促進し、マッサージ効果を可及的に高めることができる。
【0030】
又、マッサージ機(10)を設置している室内の湿度が高い場合、靴下を着用したままマッサージを受ける場合等、足先が蒸れ易くなっている場合、或いは、マッサージ機(10)を設置している室内の湿度が低い場合、被施療者が乾燥肌でかさつき易い場合等では、第4運転モードの選択が望ましい。
第4運転モードでの制御を、図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
S1で足裏近傍の蒸れ度を測定する。
S2で、蒸れ度が許容上限以上であれば、ファン用モータ(32)をONにしてS1に戻る。
ファン(30)の回転によって足裏に送風され、足裏付近の冷却による発汗の抑制と、湿気の強制排除によって、蒸れ度が小さくなる。
S2で、蒸れ度が許容上限以下であれば、S3に移り、ファン(30)がONであればOFFにして、S4に移る。
ファン(30)の停止によって、足裏への送風が止まって足裏近傍の蒸れ度は上がる傾向となる。
S4では、蒸れ度が許容下限以下か否かを判定する。許容下限以下であれば、ファン用モータ(32)とヒータ(60)をONにして、S1に戻る。
ファン(30)の回転とヒータ(60)の発熱によって足裏に温風が送られので、患部近傍の発汗が促されて、蒸れ度が上がる傾向となる。
S4で蒸れ度が許容下限以上であると、S5へ移り、ここでヒータ(60)がONであればOFFにして、S1に戻る。
上記サイクルの繰り返しによって、足裏の蒸れ度が許容範囲から大きく外れることが防止され、快適なマッサージを受けることができる。
【0031】
第5運転モードでは、上記第4運転モードの制御に加えて、蒸れ度の度合いに応じて、マッサージ強さ(説明済)を自動調節したものである。これにより、より快適なマッサージが得られる。
【0032】
上記実施例では患部近傍への加温は、ヒータ(60)とファン(30)の組合せによって患部近傍に温風を送って行っているが、ヒータ(60)の発熱が、輻射熱として患部近傍に作用する様に、ヒータ(60)を配置して、ファン(30)を止めたまま患部近傍を加温することも可能である。
【0033】
又、実施例では、ファン(30)及びヒータ(60)は、共にON−OFFの制御であるが、これに限定されることなく、送風の「強」、「弱」、即ち、ファン用モータ(32)の回転数の制御、ヒータ「強」、「弱」、即ち、発熱量の大、小を制御可能となして、患部近傍への、加温、又は冷却を効果的に行って、患部近傍の蒸れ度を設定範囲に保つことができる。
【0034】
送風の「強」、「弱」とヒータ「強」、「弱」の具体的な制御例を3つ上げると、
その1:蒸れ度が大のとき、ファンが「強」、ヒータ(60)がOFF、蒸れ度が小のとき、ヒータがON、ファン(30)がOFFとなる様に制御する。
その2:蒸れ度が大のとき、ファンがON又は「強」、ヒータ(60)がOFF、
蒸れ度が小のとき、ヒータがON又は「強」、且つ、ファンがONとなる様に制御する。
その3:蒸れ度が大のとき、ファンがON又は「強」、ヒータ(60)がOFF、蒸れ度が小のとき、ヒータがON又は「強」、且つ、ファンが「強」となる様に制御する。
【0035】
図7は、フラップ(37)及び吹出し口(35)の異なる実施例を示している。図に示すように、フラップ(37)の有無やフラップ(37)の角度を変えることにより、所望の角度で吹出し口(35)から送出される空気の方向を調整することができる。図7では、マッサージ手段(50)の下方の吹出し口(35a)は形成されていない。
【0036】
図8は、マッサージ機(10)の前端をフード(16)によって包囲することができるようにしたものである。フード(16)を、図示のように、被施療者の足先を覆うように配置することによって、ヒータ(60)や体温による熱が外部に逃げにくく、また、被施療者のつま先が冷えてしまうこともない(図9参照)。フード(16)は、ケーシング(20)に回動自在に軸支して、使用しないときには開放するようにしてもよい。また、フード(16)をケーシング(20)から着脱可能としてもよい。
【0037】
なお、流路(34)に、消臭性分、芳香成分、除菌成分又は殺菌成分を付与する手段を配備することにより、吹出し口(35)から送出される空気に消臭、芳香、除菌又は殺菌成分を混入するようにして、リラックス効果や清潔感を高めるようにしてもよい。このような手段として、固形又はジェル状の消臭剤、芳香剤、除菌剤、殺菌剤を例示できる。また、通気口(27)にこのような成分を含有するフィルタを配置してもよい。
【0038】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0039】
例えば、本発明は、足先のマッサージ機に限らず、背中、肩、腰をマッサージするマッサージ機ゃ、エアバックによって、脚部や腕をエアー圧で押圧するエアーバック式マッサージ機に実施することが可能である。特に、エアーバック式マッサージ機は、患部にエアーバックが密着して蒸れ易くなるので、本発明の実施は一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のマッサージ機の平面図である。
【図2】本発明のマッサージ機の側面図である。
【図3】図2の線A−Aに沿う矢視断面図である。
【図4】図3からマッサージ手段を取り外した状態を示す断面図である。
【図5】ファン、ヒータ、流路及び吹出し口をわかりやすく図示した断面図である。
【図6】可撓性カバーの一部をメッシュ状にした実施例を示すマッサージ機の平面図である。
【図7】吹出し口及びフラップの異なる実施例を示す断面図である。
【図8】フードを具えたマッサージ機の側面図である。
【図9】フードを具えたマッサージ機内の空気の流れを示す断面図である。
【図10】制御ブロック図である。
【図11】制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
(10) マッサージ機
(14) カバー
(20) ケーシング
(30) ファン
(34) 流路
(35) 吹出し口
(37) フラップ
(40) 制御部
(50) マッサージ手段
(51) マッサージ用モータ
(60) ヒータ
(7) センサー
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関し、患部のマッサージに加えて、患部近傍の蒸れ度を測定し、蒸れ度に応じて患部を冷却又は加温することによって、マッサージ効果をさらに高めると共に快適なマッサージが可能なマッサージ機を提供することである。
【背景技術】
【0002】
回転する一対の円盤状施療体を接近、離間させて、被施療者の患部、具体的には足先及び足裏を挟み揉み、押圧等するマッサージ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−204781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患部にマッサージを施すと、患部の血行がよくなって、患部の温度が上昇し発汗が促される。これに伴って蒸れが生じ、不快感を感じることがあった。
以下、本発明の説明において、患部近傍の「蒸れ度」とは、患部近傍の「湿度の高、低」のことであり、蒸れ度が大きいとは、湿度が高い、蒸れ度は小さいとは湿度が低いことである。
患部が蒸れると、患部又は患部を覆う着衣と、マッサージ手段との摩擦力が大きくなり、着衣に目立った皺が生じたり、患部に擦れ傷を生じる虞れがある。
足裏の蒸れ度が大きいと悪臭を発するので、足裏マッサージを受けていても不快である。
患部近傍の蒸れ度が小さいと、即ち、患部近傍が乾燥し過ぎていると、患部又は患部を覆う着衣とマッサージ手段との摩擦力が小さくなり過ぎる。この場合、患部近傍に対するマッサージ手段の滑りが大きくなって、マッサージ効果が低下する。
又、マッサージ手段と患部との摩擦力が変化すると、意図するマッサージ強さが得られない問題も起こる。
【0005】
本発明の目的は、被施療者の患部近傍の蒸れ度に応じて、患部を冷却又は加温し、患部近傍の蒸れ度を適正に保つことによって、マッサージ効果を高めると共に快適なマッサージが可能なマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のマッサージ機は、被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段(50)、患部近傍に作用する様に送風を行なうファン(30)、該ファン(30)を駆動するファン用モータ(32)、患部近傍を直接に温め或いはファンからの送風を温風とするためのヒータ(60)、患部近傍の蒸れ度を測定するセンサー(7)、及び該蒸れ度に応じてファン用モータ(32)とヒータ(60)の作動を制御する制御部(40)を具えている。
本発明において、マッサージ強さの制御が可能なマッサージ手段(50)を用い、制御部(40)により、センサー(7)が検出した蒸れ度に応じてマッサージ強さを制御することもできる。
【発明の効果】
【0007】
センサー(7)が被施療者の患部近傍の蒸れ度を測定し、蒸れ度が設定上限値より大きい場合は、制御部(40)は、ファン用モータ(32)を制御して送風を行ない或いは風量を増加させる。
これによって、送風が患部近傍に作用して、患部近傍を冷却して発汗を抑制し、又、患部近傍の湿気を強制排除し、蒸れ度を低下させる。
患部近傍の蒸れ度が設定下限値より小さい場合、制御部(40)は、ヒータ(60)をON或いはヒータの出力を大きくする。ヒータ(60)は患部近傍を直接に温め、或いは送風を温風に変え、或いは温風の温度を更に高めて患部近傍に作用させて患部近傍を温める。これによって患部近傍の発汗とその蒸発が促されて、患部近傍の蒸れ度が大きくなる。
上記の様に、患部近傍の蒸れ度に応じて、制御部(40)によりファン用モータ(32)とヒータ(60)を制御することにより、患部近傍と蒸れ度を適正に保つことができる。
従って、患部近傍の蒸れ度が大き過ぎて、患部又は患部を覆う着衣と、マッサージ手段との摩擦力が大きくなり、着衣に目立った皺が生じたり、患部に擦れ傷を生じることを防止できる。又、蒸れ度が大きくなることによる患部近傍からの悪臭の発生を防止できる。
患部近傍の蒸れ度が小さ過ぎて、患部又は患部を覆う着衣とマッサージ手段との摩擦力が小さくなり、即ち、患部近傍に対するマッサージ手段の滑りが大きくなって、マッサージ効果が低下することを防止できる。
又、マッサージ手段と患部との摩擦力の変化を抑えることができるので、意図するマッサージ強さを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図3に示す実施例のマッサージ機(10)は、被施療者が足裏をマッサージ機(10)に載せて、くるぶしよりも下側の足先をマッサージするものである。
【0009】
図1は、マッサージ機(10)の平面図、図2は、被施療者が足先を載せた状態を示すマッサージ機(10)の左側面図である。なお、説明を判り易くするために、以下、図1の下側及び図2の足先の先端側を「前」と称する。
図に示すように、マッサージ機(10)は、前側に向かって上方に傾斜するよう構成された樹脂製のケーシング(20)を基体として構成され、ケーシング(20)の前側の中央に形成された凹み(22)に配置されたマッサージ手段(図1及び図2では、可撓性のカバー(14)に覆われており視認できない)に被施療者が足先を載せることによって、足先のマッサージを受けることができるようにしたものである。
ケーシング(20)には、図1に示すように、被施療者が操作する操作部(12)が配備されており、裏面後方には、マッサージ機(10)を持ち運ぶための掴み部(26)が凹設されている。
【0010】
図3は、図2の線A−Aに沿う断面図である。なお、図3等の断面図において、図面の簡素化を図るために、断面のハッチングを省略している箇所がある。
図3に示すように、ケーシング(20)の内部には、マッサージ手段(50)(詳細については後述する)と、該マッサージ手段(50)の駆動手段となるマッサージ用モータ(51)、送風用のファン(30)、ファン用モータ(32)、送風用の流路(34)、及び、マッサージ機(10)を制御する制御部(40)が配置されている。制御部(40)及びファン(30)は、掴み部(26)に近い後方側に配置されている。
【0011】
被施療者の足先に向けて送風を行なうファン(30)は、図3に示すように、マッサージ手段(50)と掴み部(26)との間のスペースに配置される。ファン(30)は、ファン用モータ(32)に連繋されており、ファン用モータ(32)の駆動によって回転する。
ファン(30)は、外周をファンカバー(33)によって包囲されている。ファンカバー(33)は、ファン(30)の周囲を囲む渦巻き状側板と、上部を覆う上板とからなり、上板の中央部には吸込口(33a)(図5参照)、側板のマッサージ手段(50)側には排気口(33b)が形成されている。図3や図4では、ファンカバーの上板を取り除いて示している。
【0012】
ファンカバー(33)の吸込口(33a)へのマッサージ機(10)の外部からの空気の供給は、ケーシング(20)の後端に形成された通気口(27)から行なわれる。通気口(27)は、ケーシング(20)に開設された孔に樹脂製のメッシュ体(28)を嵌め込んだものである。
掴み部(26)の近傍に通気口(27)を設けることにより、マッサージ機(10)を被施療者が持ち運びするときに目に付き易く、メッシュ体(28)が埃等により目詰りしているか否かを容易に確認できる利点がある。
【0013】
図4は、図3からマッサージ手段(50)を取り外した状態を示す断面図である。
ファンカバー(33)の排気口(33b)には、空気の流路(34)が形成されている。空気の流路(34)は、マッサージ手段(50)の下方に延びており、マッサージ手段(50)の下部にて、左右に分岐している。左右に分岐した流路(34)の先端は、さらに前後に分岐しており、前後に分岐した流路(34)は、図5に示すように、マッサージ手段(50)の形状に合わせて、上向きに円弧状に屈曲している。
【0014】
流路(34)には、図4及び図5に示すように、左右に分岐している流路(34)の分岐部分、前後に分岐している流路(34)の分岐部分、及び、流路(34)の先端には、夫々上向きに開口する空気吹出し口(35)が形成されている。マッサージ手段(50)の前後に開口する吹出し口(35c)(35b)は、被施療者の患部近傍に直接的に送風するものであり、足先にマッサージを施す場合、つま先側とかかと側に対向するよう開口することが望ましい。マッサージ手段(50)の下方にもマッサージ手段(50)に向けて吹出し口(35a)(35a)(35a)が開口している。
なお、後述のとおり、マッサージ手段(50)は、可撓性カバー(14)によって包囲され、吹出し口(35a)(35b)(35c)は、カバー(14)内で開口している。
【0015】
前後に分岐した流路(34)の前端には、ケーシング(20)の前方外側に形成された吹出し口(35d)(35d)が孔(38)(38)によって連通している。これにより、図5のように、可撓性カバー(14)内だけでなく、直接送風を患部に当てることができる。
【0016】
流路(34)の吹出し口(35)には、図5に示すように、夫々空気の吹き出し方向を制御するフラップ(37)を設けることが望ましい。フラップ(37)を形成することにより、吹出し口(35b)(35c)(35d)から排出される空気は、一定の方向性をもち(図5中矢印で示す)、効率的にマッサージ手段(50)や被施療者の患部に送風できる。図5の例では、吹出し口(35b)の前半分と吹出し口(35c)が足裏の中央に向かって傾き、土踏まず部分に送風し、吹出し口(35b)の後半分と吹出し口(35d)は上を向いてつま先やかかと部分に送風し、足裏全体を送風することができるようにしている。
【0017】
図4及び図5に示すように、ファンカバー(33)の直下流の流路(34)にヒータ(60)が配備される。ヒータ(60)は、電熱線をコイル状に巻回したものを例示できる。ヒータ(60)は制御部(40)に電気的に接続されており、ヒータ(60)に電流を流すと、電熱線が昇温し、流路(34)中を通る空気が加温される。その結果、ファン(30)から供給された送風は温風となって吹出し口(35)から放出される。
【0018】
ケーシング(20)の内部においては、図5に示すように、ヒータ(60)及びヒータ(60)よりも下流の流路(34)の空間と、制御部(40)の配置される空間は、ケーシング(20)の底面より突設した仕切り(24)によって分離している。このようにヒータ(60)と制御部(40)とを空間的に分離することによって、ヒータ(60)の熱が制御部(40)に伝わらず、制御部(40)が熱的影響を受けることはない。
【0019】
マッサージ手段(50)は、ケーシング(20)の前方に形成された凹み(22)に配備される。マッサージ手段(50)は、可撓性のカバー(14)(図1参照)によって覆われている。
マッサージ手段(50)は、ケーシング(20)の凹み(22)の左右に軸支(53)された駆動軸(52)と、該駆動軸(52)の中央に配備された回転ローラ部(57)、回転ローラ部(57)の両側に配備された2対の円盤状施療体(54)(54)を具える。駆動軸(52)の一端は、ケーシング(20)内に収容されたマッサージ用モータ(51)と減速機構(51a)を介して連繋されている。
【0020】
回転ローラ部(57)は、外周面に複数の押圧玉(57a)(57a)を具えた環状体であって、駆動軸(52)と一体回転可能となっている。駆動軸(52)を回転すると、回転ローラ部(57)は、駆動軸(52)と一体に回転し、被施療者が回転ローラ部(57)に足裏やふくらはぎを載せたときに、押圧玉(57a)でもってローリングマッサージを施す。
【0021】
円盤状施療体(54)(54)は、回転ローラ部(57)を挟んで左右対称に配備され、各円盤状施療体(54)は、夫々一対の円盤体(55)(55)を対称に傾斜させて形成し、円盤体(55)(55)の間に補助ローラ部(56)を挟んで構成される。
一対の円盤体(55)(55)の周囲には、夫々互いに向き合うように内方へ向かって複数の押圧指(55a)(55a)が突設され、補助ローラ部(56)にも複数の押圧玉(56a)(56a)を具えている。
一対の円盤体(55)(55)は、駆動軸(52)と一体に回転する基体部(55')の外周に、対称に傾斜させた状態で枢支される。補助ローラ部(56)は、駆動軸(52)と一体に回転する。
【0022】
マッサージ用モータ(51)を回転すると、駆動軸(52)と一体に円盤状施療体(54)(54)の基体部(55')及び補助ローラ部(56)が回転する。円盤体(55)(55)は、基体部(55')(55')に所定角度傾斜して枢支されているから、回転によって左右の幅を広狭変化しながら揺動し、円盤体(55)(55)間の足先等の患部を挟み揉みし、足裏を補助ローラ部(56)の押圧玉で押圧する。
実施例のマッサージ手段(50)は、後記の如く、制御部(40)からの指令により、マッサージ力の「強」、「弱」の調節がなされる。
マッサージ力の「強」とは、マッサージ用モータ(51)の回転速度を上げて、単位時間当たりの患部を挟み揉みする回数及び押圧玉での押圧回数を多くする。マッサージ力の「弱」とは、マッサージ用モータ(51)の回転速度を下げて単位時間当たりの患部を挟み揉みする回数及び押圧玉での押圧回数を少なくする。
或いは、マッサージ用モータ(51)を間歇回転させ、単位時間当たりのモータ(51)の回転が停止している時間と回転している時間の割合を変化させて、マッサージ力の「強」、「弱」の調節ができる。この場合モータ(51)回転している時間が長いほど、マッサージ力は「強」、モータ(51)回転している時間が短いほど、マッサージ力は弱となる。
【0023】
マッサージ手段(50)を包囲する可撓性カバー(14)は、図5に示す如く、その後端が、凹み(22)の後縁部に取り付けられ、その前端が、ケーシング(20)の前方下部に取り付けられている。詳述すれば、カバー(14)の前、後端部には、金属棒(14b)が縫い付けられ、この金属棒(14b)をケーシング(20)に形設した凹部(14c)に入れ、押え板(14d)で押さえて、ネジ(14e)でケーシング(20)に固定している。この可撓性カバー(14)は、通気性に優れた材料を用いることが望ましい。カバー(14)の材料として布を例示できる。また、図6に示すように、吹出し口(35b)(35c)と対向する位置(14a)のみメッシュ等の通気性に優れる材料にすることもできる。
【0024】
上記マッサージ機(10)上にて、足先の蒸れ度を測定するセンサー(7)が配備されている。
実施例のセンサー(7)は、超小型湿度センサー(例えば、神栄株式会社製、THP−728)であって、前記可撓性カバー(14)上に取り付けられ、図10に示す如く、前記制御部(40)に電気的に接続される。
【0025】
制御部(40)は、操作部(12)からの操作命令を受けて、ファン用モータ(32)、ヒータ(60)及びマッサージ用モータ(51)を制御する。
制御部(40)に具えたマイクロコンピュータは、マッサージすべき患部近傍の蒸れ度の許容設定範囲を記憶している。又、マイクロコンピュータは、センサー(7)での測定値と、許容設定範囲とを比較する比較回路を具えている。
【0026】
操作部(12)は運転選択スイッチ(図示せず)を具えており、該スイッチの操作によって、マッサージ機の運転を、大きくは下記の5つの運転モードから選択できる。
第1運転モード:マッサージ手段(50)の運転だけを行ない、ファン(30)及びヒータ(60)を作動させない。
第2運転モード:マッサージ手段(50)の運転と、ファン(30)を作動させる。
第3運転モード:マッサージ手段(50)の運転と、ファン(30)とヒータ(60)を作動させる。
第4運転モード:マッサージ手段(50)の運転と、センサー(7)を働かせてファン(30)及びヒータ(60)の運転を制御する。
第5運転モード:第4運転において、患部の蒸れ度に応じてマッサージ手段(50)のマッサージ強さを制御する。
【0027】
以下、本発明のマッサージ機(10)の各運転モードについて説明する。
第1運転モードでは、マッサージ用モータ(51)によってマッサージ手段(50)が作動する。これにより、マッサージ手段(50)の上に載せた足先をマッサージできる。具体的には、円盤状施療体(54)と補助ローラ部(56)によって足先の側面と足裏を同時にマッサージすることができる。回転ローラ部(57)に足裏を当てると、足裏のマッサージを受けることができる。
【0028】
夏場や風呂上がり等、被施療者が暑いと感じるときや、体温が上がっている場合には、そのままマッサージ機(10)によってマッサージを受けると、患部がさらに昇温して、蒸れ等の不快を感ずる。この場合、第2運転モードの選択が望ましい。
第2運転モードでは、ファン用モータ(32)を回転させて、図5に示すように、マッサージ手段(50)及び被施療者の患部に送風を行なう。送風により、患部が冷却され且つ湿気が強制除去がされて、蒸れや不快感を感じることなくマッサージを受けることができる。
【0029】
逆に、冬場や足先等の患部が冷えている場合、そのままマッサージ機(10)によってマッサージを受けると、マッサージ機(10)自体を冷たく感じたり、体温の低下による血行不良により、十分に効果のあるマッサージを受けることができない。このような場合、第3運転モードの選択が望ましい。
第3運転モードでは、ファン用モータ(32)を回転させると共に、ヒータ(60)を作動させる。図5に示すように、吹出し口(35b)(35c)(35d)より供給される温風が患部近傍に直接に当たって患部を暖めると共に、カバー(14)内にある吹出し口(35a)(35b)(35c)より供給される温風は、マッサージ手段(50)やカバー(14)内の空気を暖めてからカバー(14)を抜けて患部を暖める。従って、マッサージ機(10)が冷たいことによる不快感を感ずることがなく、また、体温の上昇に伴って血行が促進し、マッサージ効果を可及的に高めることができる。
【0030】
又、マッサージ機(10)を設置している室内の湿度が高い場合、靴下を着用したままマッサージを受ける場合等、足先が蒸れ易くなっている場合、或いは、マッサージ機(10)を設置している室内の湿度が低い場合、被施療者が乾燥肌でかさつき易い場合等では、第4運転モードの選択が望ましい。
第4運転モードでの制御を、図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
S1で足裏近傍の蒸れ度を測定する。
S2で、蒸れ度が許容上限以上であれば、ファン用モータ(32)をONにしてS1に戻る。
ファン(30)の回転によって足裏に送風され、足裏付近の冷却による発汗の抑制と、湿気の強制排除によって、蒸れ度が小さくなる。
S2で、蒸れ度が許容上限以下であれば、S3に移り、ファン(30)がONであればOFFにして、S4に移る。
ファン(30)の停止によって、足裏への送風が止まって足裏近傍の蒸れ度は上がる傾向となる。
S4では、蒸れ度が許容下限以下か否かを判定する。許容下限以下であれば、ファン用モータ(32)とヒータ(60)をONにして、S1に戻る。
ファン(30)の回転とヒータ(60)の発熱によって足裏に温風が送られので、患部近傍の発汗が促されて、蒸れ度が上がる傾向となる。
S4で蒸れ度が許容下限以上であると、S5へ移り、ここでヒータ(60)がONであればOFFにして、S1に戻る。
上記サイクルの繰り返しによって、足裏の蒸れ度が許容範囲から大きく外れることが防止され、快適なマッサージを受けることができる。
【0031】
第5運転モードでは、上記第4運転モードの制御に加えて、蒸れ度の度合いに応じて、マッサージ強さ(説明済)を自動調節したものである。これにより、より快適なマッサージが得られる。
【0032】
上記実施例では患部近傍への加温は、ヒータ(60)とファン(30)の組合せによって患部近傍に温風を送って行っているが、ヒータ(60)の発熱が、輻射熱として患部近傍に作用する様に、ヒータ(60)を配置して、ファン(30)を止めたまま患部近傍を加温することも可能である。
【0033】
又、実施例では、ファン(30)及びヒータ(60)は、共にON−OFFの制御であるが、これに限定されることなく、送風の「強」、「弱」、即ち、ファン用モータ(32)の回転数の制御、ヒータ「強」、「弱」、即ち、発熱量の大、小を制御可能となして、患部近傍への、加温、又は冷却を効果的に行って、患部近傍の蒸れ度を設定範囲に保つことができる。
【0034】
送風の「強」、「弱」とヒータ「強」、「弱」の具体的な制御例を3つ上げると、
その1:蒸れ度が大のとき、ファンが「強」、ヒータ(60)がOFF、蒸れ度が小のとき、ヒータがON、ファン(30)がOFFとなる様に制御する。
その2:蒸れ度が大のとき、ファンがON又は「強」、ヒータ(60)がOFF、
蒸れ度が小のとき、ヒータがON又は「強」、且つ、ファンがONとなる様に制御する。
その3:蒸れ度が大のとき、ファンがON又は「強」、ヒータ(60)がOFF、蒸れ度が小のとき、ヒータがON又は「強」、且つ、ファンが「強」となる様に制御する。
【0035】
図7は、フラップ(37)及び吹出し口(35)の異なる実施例を示している。図に示すように、フラップ(37)の有無やフラップ(37)の角度を変えることにより、所望の角度で吹出し口(35)から送出される空気の方向を調整することができる。図7では、マッサージ手段(50)の下方の吹出し口(35a)は形成されていない。
【0036】
図8は、マッサージ機(10)の前端をフード(16)によって包囲することができるようにしたものである。フード(16)を、図示のように、被施療者の足先を覆うように配置することによって、ヒータ(60)や体温による熱が外部に逃げにくく、また、被施療者のつま先が冷えてしまうこともない(図9参照)。フード(16)は、ケーシング(20)に回動自在に軸支して、使用しないときには開放するようにしてもよい。また、フード(16)をケーシング(20)から着脱可能としてもよい。
【0037】
なお、流路(34)に、消臭性分、芳香成分、除菌成分又は殺菌成分を付与する手段を配備することにより、吹出し口(35)から送出される空気に消臭、芳香、除菌又は殺菌成分を混入するようにして、リラックス効果や清潔感を高めるようにしてもよい。このような手段として、固形又はジェル状の消臭剤、芳香剤、除菌剤、殺菌剤を例示できる。また、通気口(27)にこのような成分を含有するフィルタを配置してもよい。
【0038】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0039】
例えば、本発明は、足先のマッサージ機に限らず、背中、肩、腰をマッサージするマッサージ機ゃ、エアバックによって、脚部や腕をエアー圧で押圧するエアーバック式マッサージ機に実施することが可能である。特に、エアーバック式マッサージ機は、患部にエアーバックが密着して蒸れ易くなるので、本発明の実施は一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のマッサージ機の平面図である。
【図2】本発明のマッサージ機の側面図である。
【図3】図2の線A−Aに沿う矢視断面図である。
【図4】図3からマッサージ手段を取り外した状態を示す断面図である。
【図5】ファン、ヒータ、流路及び吹出し口をわかりやすく図示した断面図である。
【図6】可撓性カバーの一部をメッシュ状にした実施例を示すマッサージ機の平面図である。
【図7】吹出し口及びフラップの異なる実施例を示す断面図である。
【図8】フードを具えたマッサージ機の側面図である。
【図9】フードを具えたマッサージ機内の空気の流れを示す断面図である。
【図10】制御ブロック図である。
【図11】制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
(10) マッサージ機
(14) カバー
(20) ケーシング
(30) ファン
(34) 流路
(35) 吹出し口
(37) フラップ
(40) 制御部
(50) マッサージ手段
(51) マッサージ用モータ
(60) ヒータ
(7) センサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段、患部近傍に作用する様に送風を行なうファン、該ファンを駆動するファン用モータ、患部近傍を直接に温め或いはファンからの送風を温風とするためのヒータ、患部近傍の蒸れ度を測定するセンサー、及び該蒸れ度に応じてファン用モータとヒータの作動を制御する制御部を具えたマッサージ機。
【請求項2】
被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段、患部近傍に作用する様に送風を行なうファン、該ファンを駆動するファン用モータ、患部近傍を直接に温め或いはファンからの送風を温風とするためのヒータ、患部近傍の蒸れ度を測定するセンサー、及び該蒸れ度に応じてファン用モータとヒータの作動を制御する制御部及びファンから送給される空気を被施療者の患部近傍に誘導する流路を、ケーシング内に具えているマッサージ機。
【請求項3】
蒸れ度が大のとき、ファンがON又は「強」となり、蒸れ度が小のとき、ヒータがONする様に制御する請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
蒸れ度が大のとき、ファンがON又は「強」となり、蒸れ度が小のとき、ヒータがON又は「強」となり、且つ、ファンがONする様に制御する請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項5】
蒸れ度が大のとき、ファンがON又は「強」となる様に、蒸れ度が小のとき、ヒータがON又は「強」となり、且つ、ファンが「強」となる様に制御する請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項6】
マッサージ手段はマッサージ強さの制御が可能であり、制御部はセンサーが検出した蒸れ度に応じて、マッサージ強さを制御できる請求項1乃至5の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項1】
被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段、患部近傍に作用する様に送風を行なうファン、該ファンを駆動するファン用モータ、患部近傍を直接に温め或いはファンからの送風を温風とするためのヒータ、患部近傍の蒸れ度を測定するセンサー、及び該蒸れ度に応じてファン用モータとヒータの作動を制御する制御部を具えたマッサージ機。
【請求項2】
被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段、患部近傍に作用する様に送風を行なうファン、該ファンを駆動するファン用モータ、患部近傍を直接に温め或いはファンからの送風を温風とするためのヒータ、患部近傍の蒸れ度を測定するセンサー、及び該蒸れ度に応じてファン用モータとヒータの作動を制御する制御部及びファンから送給される空気を被施療者の患部近傍に誘導する流路を、ケーシング内に具えているマッサージ機。
【請求項3】
蒸れ度が大のとき、ファンがON又は「強」となり、蒸れ度が小のとき、ヒータがONする様に制御する請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
蒸れ度が大のとき、ファンがON又は「強」となり、蒸れ度が小のとき、ヒータがON又は「強」となり、且つ、ファンがONする様に制御する請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項5】
蒸れ度が大のとき、ファンがON又は「強」となる様に、蒸れ度が小のとき、ヒータがON又は「強」となり、且つ、ファンが「強」となる様に制御する請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項6】
マッサージ手段はマッサージ強さの制御が可能であり、制御部はセンサーが検出した蒸れ度に応じて、マッサージ強さを制御できる請求項1乃至5の何れかに記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−263017(P2006−263017A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82914(P2005−82914)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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