マッサージ機
【課題】腕や脚などの被施療部に対して、マッサージ具自身が被施療部をマッサージしながら変位するマッサージ具を提供する。
【解決手段】被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体の内面に、それぞれ所定のタイミングで膨縮して前記被施療部を押圧し、エアマッサージしながら、前記殻体を、前記被施療部に対して変位可能とするエアバッグを配設した。すなわち、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体と、この殻体の内面に配設され、膨縮して前記被施療部をエアマッサージする少なくとも3個以上の複数のエアバッグと、前記複数のエアバッグにエアを供給するエア給排装置と、このエア給排装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数のエアバッグのうち、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するように前記エア給排装置を制御して、前記殻体を前記被施療部に対して変位可能とした。
【解決手段】被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体の内面に、それぞれ所定のタイミングで膨縮して前記被施療部を押圧し、エアマッサージしながら、前記殻体を、前記被施療部に対して変位可能とするエアバッグを配設した。すなわち、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体と、この殻体の内面に配設され、膨縮して前記被施療部をエアマッサージする少なくとも3個以上の複数のエアバッグと、前記複数のエアバッグにエアを供給するエア給排装置と、このエア給排装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数のエアバッグのうち、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するように前記エア給排装置を制御して、前記殻体を前記被施療部に対して変位可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕や脚をマッサージするマッサージ具、及び同マッサージ具を備える椅子式のマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、椅子式のマッサージ機は、被施療者が腰掛ける座部と、その座部の後部に背もたれ部とを備え、その背もたれ部にはもみ玉からなる施療体を備えたマッサージユニットがその背もたれ部において上下に昇降可能に設けられている。これにより、被施療者が椅子に座った状態で、もみ玉の動作とマッサージユニットの昇降によりマッサージを受けることができるようになっている。
【0003】
かかる椅子式のマッサージ機において、前記マッサージユニットとは別のマッサージ具を備え、着座した状態で手や腕をマッサージ可能としたものがあった。
例えば、血圧計のように、帯状に形成した巻付体にエアバッグを内包状態に配設し、これを腕などに巻き付けてエアバッグを膨縮させてエアマッサージするものが知られている。また、また、肘掛け部に、エアセルを内面に配設したトンネル形状とした手や腕専用のマッサージ具を取り付け、着座した状態で手や腕をエアマッサージ可能とした椅子式マッサージが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−028045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、腕に巻き付けるタイプのものにしても、上記特許文献1に記載のマッサージ機に開示されたマッサージ具にしても、エアセルが当接する部分は、マッサージ具に挿入した手又は腕の一部でしかなく、マッサージを受けることのできる施療範囲が限定されてしまっていた。
したがって、手全体又は腕全体についてマッサージを受けるには、被施療者が自ら手又は腕を動かす必要が生じていた。
【0006】
この発明は、上記課題を解決することのできるマッサージ具、及び同マッサージ具を備えた椅子式のマッサージ機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明では、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体の内面に、それぞれ所定のタイミングで膨縮して前記被施療部を押圧し、エアマッサージしながら、前記殻体を、前記被施療部に対して変位可能とするエアバッグを配設したマッサージ具とした。
【0008】
(2)本発明では、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体と、この殻体の内面に配設され、膨縮して前記被施療部をエアマッサージする少なくとも3個以上の複数のエアバッグと、前記複数のエアバッグにエアを供給するエア給排装置と、このエア給排装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数のエアバッグのうち、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するように前記エア給排装置を制御して、前記殻体を前記被施療部に対して変位可能としたマッサージ具とした。
【0009】
(3)本発明は、上記(1)又は(2)に記載のマッサージ具において、前記殻体は、その断面形状が、三角形、矩形又は円形の筒状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
(4)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のマッサージ具において、前記殻体内に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、当該自由端側が起立状に膨張する4個のエアバッグを略等間隔に配設し、前記制御装置は、前記被施療部を挟んで対向する1組のエアバッグを同期して膨縮させ、前記被施療部に対して偶力を発生させて前記殻体を前記被施療部に対して回動可能としたことを特徴とする。
【0011】
(5)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のマッサージ具において、前記殻体内に、その長さ方向に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、前記自由端側が起立状に膨張する第1のエアバッグと、膨張時に前記被施療部に対して直交方向に当接する第2のエアバッグとを配設し、前記制御装置は、前記第1のエアバッグと第2のエアバッグとを交互に膨張させて被施療部をそれぞれ押圧することにより、前記殻体を前記被施療部に対して移動可能としたことを特徴とする。
【0012】
(6)本発明では、被施療者が着座してマッサージを受ける椅子式のマッサージ機において、腕又は脚に装着可能とした上記(1)〜(5)のいずれかに記載のマッサージ具を、非固定状態に備えたマッサージ機とした。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、被施療部となる肢体にマッサージ具を装着してエアマッサージを実行すると、マッサージ具自身が自動的に被施療部に対して変位するため、被施療者自身が被施療部を動かさなくとも広範囲にわたるエアマッサージが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本実施形態に係るマッサージ具は、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体の内面に、それぞれ所定のタイミングで膨縮して前記被施療部を押圧し、エアマッサージしながら、前記殻体を、前記被施療部に対して変位可能とするエアバッグを配設したものである。
【0015】
すなわち、腕や脚などの肢体は、その断面形状が異形となっているため、かかる肢体に殻体を遊嵌し、殻体の内面に取付けたエアバッグに給気すると、エアバッグは被施療部の形状に沿って当接しながら膨張して当接箇所を押圧する一方、その反作用で変形しながら、最終的に収まり良い位置で膨張が終了する。エアバッグが変形しながら最終的に収まり良い位置に至るまでの間に、エアバッグを内側面に取付けた殻体は被施療部に対して変位する。したがって、被施療者は、施療部の広範囲に亘ってエアマッサージがなされる感覚が心地よく、快適な肢体のマッサージが可能となる。
【0016】
かかるマッサージ具のより具体的な構成は、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体と、この殻体の内面に配設され、膨縮して前記被施療部をエアマッサージする少なくとも3個以上の複数のエアバッグと、前記複数のエアバッグにエアを供給するエア給排装置と、このエア給排装置を制御する制御装置とを備えた構成とし、前記制御装置は、前記複数のエアバッグのうち、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するように前記エア給排装置を制御して、前記殻体を前記被施療部に対して変位可能としている。
【0017】
かかる構成により、エアバッグへの給排タイミングを適切に行えば、殻体に連続的な回転力が発生し、この殻体は腕又は脚に対して回転しながら、あるいは移動しながらマッサージすることが可能となる。
【0018】
エア給排装置としては、エアを送給するエアポンプと、このエアポンプから送給されるエアを、複数のエアバッグへ選択的に送給するための分流器とを設けておくことができる。分流器には、電磁弁などの開閉弁を介して各エアバッグに終端連通連結した給排管の始端が連通連結されている。
【0019】
前記殻体の形状としては、特に限定されるものではないが、その断面形状を、例えば、三角形、矩形又は円形の筒状に形成することができる。
【0020】
また、前記殻体の被施療部に対する変位を、回動によるものとすると、例えば、前記殻体内に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、当該自由端側が起立状に膨張する4個のエアバッグを略等間隔に配設し、前記制御装置は、前記被施療部を挟んで対向する1組のエアバッグを同期して膨縮させ、前記被施療部に対して偶力を発生させて前記殻体を前記被施療部に対して回動可能とすることができる。
【0021】
かかる構成により、被施療者が腕や手を動かさなくとも、腕や脚の周り全体をむらなくエアマッサージでき、従来にない極めて快適な腕、脚のエアマッサージが可能となる。
【0022】
なお、各エアバッグを構成する袋生地の厚みなどに変化をつけ、膨張時の形状を、例えば大きく膨出した部分と膨出部分が小さい部分とからなるいびつな形状となるようにするとともに、各エアバッグの配置を工夫することで、回転方向と直交する方向への移動も可能である。
【0023】
また、前記殻体の被施療部に対する変位を、脚や腕の長手方向への移動によるものとすると、前記殻体内に、その長さ方向に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、前記自由端側が起立状に膨張する第1のエアバッグと、膨張時に前記被施療部に対して直交方向に当接する第2のエアバッグとを配設し、前記制御装置は、前記第1のエアバッグと第2のエアバッグとを交互に膨張させて被施療部をそれぞれ押圧することにより、前記殻体を前記被施療部に対して移動可能とすることができる。
【0024】
かかる構成により、あたかも尺取虫のように、殻体が脚や腕の長手方向へ移動しながらマッサージが行われることになり、被施療者が腕や手を動かさなくとも広範囲のマッサージが可能となる。
【0025】
ところで、上述してきたマッサージ具は、被施療者が着座してマッサージを受ける椅子式のマッサージ機に、非固定状態で具備させておくとよい。
椅子式のマッサージ機としては、被施療者が腰掛ける座部と、その座部の後部に連設され、例えばもみ玉からなる施療体を備えたマッサージユニットが上下昇降自在に設けられた背もたれ部とを備えた構成とすれば、被施療者は、マッサージユニットによる全身のマッサージを受けることができ、必要に応じて腕又は脚に装着可能とした前記マッサージ具を装着して、腕や脚の快適なエアマッサージを楽しむことができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながらより具体的に説明する。図1は本実施形態に係る椅子式のマッサージ機の全体構成を示す斜視図、図2は同マッサージ機の制御ブロック図、図3は同マッサージ機におけるエア給排装置の概念的説明図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係るマッサージ機10は、被施療者が着座する座部31と、その座部31を支持する基台部35と、前記座部31の後側に倒伏自在にリクライニングできるように連結され、左右両側に体側施療部として機能する側壁部33を取付けた背もたれ部32とを有している。さらに、座部31の前側上部近傍に設けた枢支部37を中心に、上下方向へ揺動可能に連結した脚載部36を有している。
【0028】
また、前記基台部35を除く各部については、必要に応じて合成皮革などからなるカバーにより直接被覆するか、あるいは同じくカバーで被覆したクッション部材を配設している。
【0029】
図1に示すように、背もたれ部32は、縦に伸延する左右の縦フレーム(図示せず)を具備しており、この縦フレームの前側に、略中央に所定幅の長孔を形成した背もたれ板40を取付けるとともに、後側に背面カバー体41を取付け、この背面カバー体41と前記背もたれ板30との間にユニット配設空間を形成している。
【0030】
そして、このユニット配設空間に、被施療者を押圧によってマッサージするための左右一対のもみ玉(図示せず)を備え、このもみ玉を前記長孔に臨ませた状態で昇降可能とした機械式のマッサージユニット(図示せず)を配設している。
【0031】
また、前記背もたれ部32の長孔を挟んで、背もたれ板40の左右側上部には背中部用エアバッグ23を、左右側下部に腰部用エアバッグ24をそれぞれ配設し、エアポンプ15(図2参照)から供給されるエアによって背中や腰を押圧するエアマッサージを実行可能としている。
【0032】
また、座部31の後部側には臀下部用エアバッグ25を左右側には臀側部用エアバッグ26をそれぞれ取付けている。
【0033】
前記脚載部36は、左右の脚を受ける半円筒状の左右脚受部を並設した本体部38と、同本体部38の先端に連設するとともに左右の足裏を受ける半円筒状の左右足裏受を並設した足裏受部39とから構成されている。前記本体部38の各脚受部の両内側面には、左右で対をなす脚上部用エアバッグ21を取付けている。また、前記足裏受部39の各足裏受の両内側面にも、左右で対をなす脚下部用エアバッグ22を取付けている。
【0034】
また、図1に示すように、座部31には、その左右側に肘掛部34,34を設け、これら肘掛部34,34上に、それぞれ、本実施形態の要部ともなる腕部用施療部としての腕用のマッサージ具1が非固定状態に配設されている。
腕用のマッサージ具1は、後に詳述するが、筒状の殻体11と、この殻体11の内面に取り付けた腕部用のエアバッグ20a〜20dとを備えており、各エアバッグ20a〜20dは、前述のエアバッグ21〜26同様に、基台部35内に格納したエア給排装置によって個別に給排気されるようになっている。図1中、14はエアバッグ20a〜20dとエア給排装置とを連通連結した給排チューブである。
【0035】
すなわち、図3に示すように、エア給排装置は、各エアバッグ20〜26に給気するためのエアポンプ15を備え、エアポンプ15には、当該エアポンプ15から圧入される大気を一時的に貯留するとともに、各エアバッグ20〜26へ分流する分流器16が連通連結している。
【0036】
分流器16には、複数の吐気口が各エアバッグ20〜26に対応して設けてあり、各吐気口には当該吐気口を開閉する電磁弁B1,B2,…がそれぞれ設けてある。そして、この分流器16の各吐気口と、対応するエアバッグ20〜26とは耐圧ホースによってそれぞれ連結し、後述するように、制御ユニットG(図2参照)によってエアポンプ15及び電磁弁B1,B2,…の開閉動作を制御することにより、所要のエアバッグ20〜26に対して給排気して、エアバッグ20〜26を膨縮(膨張及び収縮)させる。これによって、マッサージ機10の使用者に対してエアマッサージが施されることになる。
【0037】
なお、前述した電磁弁B1,B2,…の開閉動作によって、エアバッグ20〜26を膨張・収縮させることができる一方、エアバッグ20〜26を膨張状態に保持することもできる。
【0038】
次に、本実施形態に係るマッサージ機10における動作全般を制御する制御ユニットG(制御手段)について説明する。
本実施形態に係る制御ユニットGは、例えば、基台部35内の所定箇所に配設されており、図2に示すように、CPUと、個別マッサージ設定情報やコース情報やその他各種マッサージモード実行プログラムなどを記憶する記憶手段としてのメモリ部G1と、前記エアポンプ15や各種モータなどの駆動制御を行う駆動制御部G2とを備えている。
【0039】
そして、CPUは、インターフェイスG3を介してリモコンR(図1)と、前記マッサージユニットに付設されたロータリエンコーダE1,E3,E4とに接続している。また、CPUはインターフェイスG4を介して前記マッサージユニット内に配設した昇降用モータm1、進退用モータm2、もみ用モータm3、及びたたき用モータm4に接続するとともに、エアバッグ20〜26用のエアポンプ15に接続している。
【0040】
かかる構成により、前記リモコンRに設けた操作部からの指令信号に基づき、制御ユニットGでは、様々なマッサージモードを組合せた複数の自動コースを実行し、使用者の所望するマッサージ形態に対応可能としている。すなわち、指圧、もみ、たたき、さすり、バイブ、ストレッチなどの基本マッサージ、さらにはローリング、エアマッサージなどの種類の異なったマッサージモードを、前記マッサージユニット及びエアバッグ20〜26を駆動して実行させることができる。
【0041】
本実施形態では、前記昇降用モータm1、もみ用モータm3、及びたたき用モータm4により駆動されるもみ玉駆動ユニットにより、メカ的なマッサージとして、叩き、指圧、もみ(もみ上げ/もみ下げ)、さざなみ(もみ下げとたたきの複合動作)、深もみ上げ/深もみ下げと、さらに、極もみ、極たたき、及び首ほぐしの特別マッサージを実行可能とし、特に被施療者の肩部については、前記進退用モータm2を駆動してもみ玉駆動ユニットを前方へ進出させ、肩部をその上方からあたかも整体師が行うような本格的マッサージが行えるようにしている。
【0042】
このように、制御ユニットGは、もみ玉の動作やマッサージユニットの昇降動作を制御して、もみ玉による機械的マッサージを実行させるとともに、エアバッグ20〜26の膨縮に関わるエアポンプ15のオン・オフ動作を制御している。
なお、図示しないが、前記制御ユニットGは、インターフェイスG3を介して、背もたれ部32のリクライニング角度を検出するリクライニング角度検出センサと接続するとともに、リモコンRに設けた液晶表示部の表示についても制御する。
【0043】
特に、本実施形態では、前記エアバッグ20a〜20dによる腕用のマッサージ具1によるエアマッサージにより、腕をエアマッサージしながら、当該腕用のマッサージ具1を腕に対して回動、あるいは腕の長手方向へ移動させたりすることが可能となっている。
【0044】
ここで、本実施形態の要部となる腕用のマッサージ具1について、図4〜図12を参照しながら詳述する。
【0045】
図4は腕用のマッサージ具1の横断面視による説明図であり、図示するように、腕用のマッサージ具1は、被施療部となる腕に遊嵌状態に装着可能な筒状の殻体11と、この殻体11の内面に配設した4個のエアバッグ20a〜20dとを具備している。
【0046】
本実施形態に係る腕用のマッサージ具1は、縦略150mm×横略150mmの断面視略矩形形状で、長さが略250mmの略矩形筒状に形成されており、エアバッグ20a〜20dによるマッサージ動作によって、腕に対して回動、あるいは腕の長手方向へ移動してその位置が変位しやすいように、比較的軽量な材料により構成されている。
【0047】
本実施形態に係る腕用のマッサージ具1は、不定形な曲面を有する人体の腕に直接当接して変形自在な布製の内カバー50と、断面視略矩形形状とした厚み略1mmの合成樹脂製の殻本体51と、この殻本体51の表面を被覆する合皮などの合成樹脂製の外カバー53と、この外カバー53と前記殻本体51との間に充填した厚み略10mmのチップウレタン52とから殻体11を形成している。なお、チップウレタン52は必ずしも必要ではなく、また、外カバー53は、布、紙などで成形してもよい。
【0048】
そして、前記殻本体51の4面それぞれの内側に、エア供給口13が設けられた一端側を前記殻本体51に固定するとともに、他端を自由端とした前記エアバッグ20a〜20dを配設している。なお、エアバッグ20a〜20dは、例えばポリエチレン製であり、その大きさは略85mm×190mmとしている。
【0049】
このように、エアバッグ20a〜20dは、それぞれエア供給口13が設けられた一端側を前記殻本体51に固定するとともに、他端を自由端としているため、エアポンプ15からエアが供給されると、図4の一点鎖線で示すように、固定された一端側を中心に回動して自由端側が起立状に膨張する。したがって、腕を挟んで対向する1組のエアバッグ(例えば、20aと20c、20bと20d)を同期して膨縮させると偶力が生じ、エアバッグ20a〜20dを取付けた殻体11、ひいては腕用のマッサージ具1自身が、腕に対して図4の矢印で示すように回転可能となる。図4においては、腕に対して時計回りに回転するようになっている。
【0050】
図5に腕用のマッサージ具1の変形例を示す。
図5に示した腕用のマッサージ具1は、図4に示した腕用のマッサージ具1に対して、エアバッグ20a〜20dの形状を変えて、膨張時の形態もが異なるようにしている。
すなわち、図示するように、エアバッグ20a〜20dの一側面に絞り部54を形成しており、エアを供給すると、一点鎖線で示すように、絞り部54よりも先端側が勢いよく膨張して腕を押圧するようにしている。これにより、エア供給口13側の端部(一端側)を軸にしてエアバッグ20a〜20dが腕周りに勢いよく付勢された状態で膨張するため、腕を挟んで対向する1組のエアバッグ(例えば、20aと20c、20bと20d)を同期して膨縮させたときに生じる偶力が増し、腕に対する殻体11の回転力も増す。したがって、殻体11が強く回転することで、腕に対するエアマッサージ力も変化する。
【0051】
腕用のマッサージ具1のさらなる変形例を図6に示す。
図6に示した腕用のマッサージ具1は、図4及び図5に示した腕用のマッサージ具1に対して、エアバッグ20a〜20dの形状及び取付け位置を変えている。
すなわち、図示するように、4個のエアバッグ20a〜20dを、それぞれ殻本体51の内側面に対して、一方の隅部に偏倚して設けるとともに、各エアバッグ20a〜20dを蛇腹状に形成している。56a,56bは蛇腹部である。
【0052】
したがって、エアを供給すると、一点鎖線及び矢印で示すように、各エアバッグ20a〜20dはそれぞれ対向する殻本体51に直進するように膨張し、それぞれが腕の中心から大きく外れた位置を押圧する。したがって、腕を挟んで対向する1組のエアバッグ(例えば、20aと20c、20bと20d)を同期して膨縮させたときに、より大きな偶力を生じやすくなり、腕に対して殻体11自身も容易に回転することになる。
【0053】
特に、ここで示した例では、各エアバッグ20a〜20dの一端側の蛇腹部56bと他端側の蛇腹部56aとの深さを違えて、膨張時に、腕に当接する側がより膨出するようにして、より回転しやすくしている。
【0054】
また、図中、55は各エアバッグ20a〜20dに隣接させて配設した枕部であり、この枕部55を設けたことにより、各エアバッグ20a〜20dが膨出した際に腕から逃げることを防止して、マッサージ力が低下することを防止している。
【0055】
次に、上述してきた腕用のマッサージ具1の各エアバッグ20a〜20dへの給気について、図7〜図9を参照して説明する。図7〜図9は各エアバッグ20a〜20dへの給気タイミングチャートであり、エアバッグ20aに(1)を、エアバッグ20bに(2)を、エアバッグ20cに(3)を、エアバッグ20dに(4)を対応させている。
【0056】
本実施形態では、図7に示すタイミングで各エアバッグ20a〜20d給気しており、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するようにしている。すなわち、エアバッグ20aについてみると、エアバッグ20b,20dとは膨縮タイミングは同期せず、対向するエアバッグ20cと同期して膨出する。つまり、図示するように、制御ユニットGは、エア給排装置に対して、エアポンプ15を駆動させると、分流器16を制御して、先ずエアバック20a、20cにエアを供給し、その後、エアバッグ20b、20dにエアを供給するようにしている。
【0057】
すなわち、エアポンプ15が駆動している状態で、エアバッグ20a及びエアバッグ20cにエアを供給し、これらエアバッグ20a及びエアバッグ20cを膨張させると、図4〜図6に示したように、する。エアバッグ20a及びエアバッグ20cは、腕に当接しながら膨張する。さらに、エアが供給されることにより、エアバッグ20a及びエアバッグ20cの膨張する方向により偶力が生じ、殻体11に回転力が加わる。次いで、エアバッグ20a及びエアバッグ20cから排気すると同時に、エアバッグ20b及びエアバッグ20dに給気するのである。かかる給排制御を連続して行なうことにより、殻体11、すなわち腕用のマッサージ具1が腕に対して自力で回転する。
【0058】
このように、各エアバッグ20a〜20dにおいて、腕を挟んで対向する1組2個のエアバッグ(エアバッグ20a及びエアバッグ20c、エアバッグ20b及びエアバッグ20d)を互いに同期して膨縮させ、腕に対して偶力を発生させることによって、殻体11を腕周りで回転させ、腕の周方向に広い範囲でマッサージを行うことができるようになる。
【0059】
なお、各エアバッグ20a〜20dへのエア供給は、図8に示すタイミングチャート及び図9に示すタイミングチャートのように制御してもよい。
【0060】
すなわち、図8に示すように、まず、エアバッグ20a及び20cにエアを供給し、所定期間経過後、当該エアバッグ20a及び20cから排気する前に、エアバッグ20b及び20dにエアを供給し、その後、エアバッグ20b及び20dに給気がなされているタイミングでエアバッグ20a及び20cへのエアの供給を断つのである。この場合、隣り合うエアバッグ同士、例えば、エアバッグ20aについてみると、隣り合うエアバッグ20b,20dとは膨張状態は一部重なるものの、膨張開始タイミングは非同期であり、収縮状態は、排気開始から排気終了時点まで非同期となっている。そして、この場合も、腕を挟んで対向する1組2個のエアバッグ(エアバッグ20a及びエアバッグ20c、エアバッグ20b及びエアバッグ20d)については互いに同期して膨縮させ、腕に対して偶力を発生させることによって、殻体11を腕周りで回転させ、腕の周方向に広い範囲でマッサージを行うことができる。
【0061】
また、図9に示すように、エアバッグ20a、エアバッグ20b、エアバッグ20c、エアバッグ20dの順にエアを供給するようにしてもよい。
【0062】
この場合、隣り合うエアバッグ20aとエアバッグ20b、エアバッグ20bとエアバッグ20c、エアバッグ20cとエアバッグ20d、エアバッグ20dとエアバッグ20aとで、腕を掴むように押圧して、これが順次繰返されることによって、回転力を生起して殻体11を腕周りに回転させることができる。
【0063】
次に、図10及び図11を参照しながら、殻体11が腕の長手方向に移動して変位する移動式の腕用のマッサージ具1’について説明する。なお、殻体11の構成は、図4〜図6に示したものと同一であり、ここでは同一符号を付してその説明は省略する。
【0064】
図10に示すように、移動式の腕用のマッサージ具1’は、殻体11内に、その長さ方向に、それぞれエア供給口13が設けられた一端側を殻体11に固定して他端を自由端とし、この自由端側が固定された一端側を中心に回動して起立状に膨張する第1のエアバッグ20e,20fと、膨張時に腕に対して直交方向に当接する第2のエアバッグ20gとからなるエアバッグ群を、殻体11の内側面に少なくとも対向状態に1組配設している。ここでは、2組のエアバッグ群を備えたものとして、腕に対して十字状の4方向からエアマッサージが可能としている。
【0065】
各エアマッサージ群は、第2のエアバッグ20gを中央に配置し、これを挟むように第1のエアバッグ20e,20fを前後に配置している。なお、57は第2のエアバッグ20gに設けた蛇腹部であり、膨張時の直進性を高めている。
【0066】
そして、前記制御ユニットGは、第1のエアバッグ20e,20fと第2のエアバッグ20gとを交互に膨張させて腕をそれぞれ押圧させることにより、前記殻体11を腕に対して、あたかも尺取虫のように移動可能としている。
【0067】
すなわち、先ず第2のエアバッグ20gに給気して腕を保持して腕用のマッサージ具1’が自重により腕からずり落ちることを防止する。
次いで両端部に配設された第1のエアバッグ20e,20fのうち、例えば下方側に配設された第1のエアバッグ20fにエアを供給するとともに、第2のエアバッグ20gから排気して収縮させる。すると、第1のエアバッグ20fにエアが供給されることにより、この第1のエアバッグ20fは、中央部に配設された第2のエアバッグ20g側に付勢するように膨張する。これにより、図11に示すように、殻体11を上方(矢印U方向)に移動する推力が生じ、殻体11は僅かながら上方へ移動する。そして、その位置で再度第2のエアバッグ20gに給気して、腕を保持し、再び第1のエアバッグ20fにエアを供給する。すると、前述同様に僅かに殻体11は上方へ移動する。かかる動作を繰返すことにより、腕用のマッサージ具1’自身が腕に対して上方へ移動することになる。
【0068】
逆に、殻体11を下方に移動させるには、下方の第1のエアバッグ20fに代えて、上方の第1のエアバッグ20eにエアを供給することにより行えばよい。
【0069】
ここで、殻体11の形状及びエアバッグの配置について、図12を参照して簡単に説明する。図12は殻体形状を示す説明図である。
【0070】
殻体11は、上述してきた略矩形形状の他、例えば、断面が三角形又は円形とすることもできる。例えば、図12(a)に示すように、殻体11の断面を三角形形状とし、図示で各頂点部をなす殻体11の稜線内側部分にエアバッグ20を設けている。
また、図12(b)に示すものは、同じく断面が三角形形状であるが、図示において各辺部をなす殻体11の内側面にエアバッグ20を設けている。
さらに、図12(c)に示すものは、殻体11の断面が円形形状であり、所定距離を有して離間した位置に3個のエアバッグ20を、あるいは複数のエアバッグ20を3列に配設したものとしている。この図12(c)に示すように、殻体11を腕に対して変位させるためには、エアバッグ20は、少なくとも3個(列)以上配設することが望ましい。
【0071】
また、図12(d)に示したものは、断面視略コ字状にしたもので、一側面が開放されたものである。すなわち、樋状の殻体11’としている。この場合、殻体11’は筒状ではないため、腕を挿通する必要がなく、装着しやすいものの、マッサージ具1(1’)が腕から脱落するおそれがある。そこで、図示するように、開放された一側面にベルト60などを設けておくとよい。
【0072】
ところで、腕用のマッサージ具1(1’)は、本実施形態では、マッサージ機10の肘掛部34に非固定状態に配設している(図1参照)。肘掛部34に非固定状態に取付けるには、肘掛部34の所定位置と、殻体11の外カバー53に、例えば面ファスナーを設けておくことができる。
【0073】
上述してきた実施形態では、肢体に遊嵌状態に装着して用いるマッサージ具として、腕用のマッサージ具1(1’)を例にして説明したが、腕用のみならず、脚用に適用することもできる。
このとき、殻体11を筒状とした場合、脚の先端には足があるため挿入しにくいことが考えられる。そこで、前述した図12(d)に示すような樋状の殻体11’を備えるマッサージ具を用いるとよい。
【0074】
また、脚の長手方向に移動する脚用マッサージ具として、図13に示すような構成とすることもできる。
図13は所謂オットマンタイプとした脚用マッサージ具36’であり、殻体11’’には使用者のふくらはぎ部分を包むように当接可能とした左右の樋状脚保持面61L,61Rが形成されている。
【0075】
そして、これら樋状脚保持面61L,61Rの側面部分に、図10で説明したようなエアバッグ20e〜20gを配設している。
【0076】
使用者は、座部31に座した状態で、左右の脚を樋状脚保持面61L,61R内に位置させ、前述したように各エアバッグ20e〜20gへの給気を制御することにより、脚用マッサージ具36’を脚の上下方向に移動させることが可能となる。したがって、脚の長さ方向に亘り広範囲のエアマッサージが可能となる。
【0077】
以上説明してきたように、本実施形態に係るマッサージ機10では、マッサージ機10によるマッサージと同時にでも、あるいはいつでも自由にマッサージ具1(1’、36’)を用いて被施療部である肢体(腕や脚)のマッサージが行え、しかも、マッサージ具1(1’、36’)が被施療部に対して、マッサージしながら自身により変位するため、被施療者がいちいち被施療部の位置を変えなくとも、広範囲に亘る心地よいマッサージが可能となる。
【0078】
なお、本発明は、上述してきた実施形態に限定されるものではなく、具体的な形状、寸法、材料などは適宜設定可能である。
【0079】
また、上述してきた実施形態では、被施療部(腕や脚)に対して、マッサージしながらマッサージ具自身により変位するマッサージ具1(1’,36’)を、マッサージ機10に付設したものとして説明したが、マッサージ具1(1’,36’)は、単独で提供される場合がある。
その場合、制御ユニットGやエア給排装置を収容するとともに、操作部などを設けた本体が別途用意され、殻体11(11’,11’’)に配設されたエアバッグ20a〜20gとは、エアの流路となる給排チューブ14(図1参照)で連結されることになる。
【0080】
上述してきた実施形態より、以下のマッサージ具、及びマッサージ機が実現する。
【0081】
(1)本発明では、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体(例えば殻体11、殻体11’又は殻体11’’)の内面に、それぞれ所定のタイミングで膨縮して前記被施療部を押圧し、エアマッサージしながら、前記殻体を、前記被施療部に対して変位可能とするエアバッグ(例えば、エアバッグ20a〜20d又はエアバッグ20e〜20g)を配設したマッサージ具(例えば、マッサージ具1、マッサージ具1’、脚用マッサージ具36’)。
【0082】
被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体(例えば、殻体11、殻体11’又は殻体11’’)と、この殻体の内面に配設され、膨縮して前記被施療部をエアマッサージする少なくとも3個以上の複数のエアバッグ(例えば、エアバッグ20a〜20d又はエアバッグ20e〜20g)と、前記複数のエアバッグにエアを供給するエア給排装置(例えば、エアポンプ15と分流器16)と、このエア給排装置を制御する制御装置(例えば、制御ユニットG)と、を備え、前記制御装置は、前記複数のエアバッグのうち、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するように前記エア給排装置を制御して、前記殻体を前記被施療部に対して変位可能としたマッサージ具(例えば、マッサージ具1、マッサージ具1’、脚用マッサージ具36’)。
【0083】
前記殻体(例えば、殻体11)は、その断面形状が、三角形、矩形又は円形の筒状に形成されているマッサージ具(例えば、マッサージ具1、マッサージ具1’)。
【0084】
前記殻体(例えば殻体11、殻体11’又は殻体11’’)内に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、当該自由端側が起立状に膨張する4個のエアバッグ(例えば、エアバッグ20a〜20d)を略等間隔に配設し、前記制御装置(例えば、制御ユニットG)は、前記被施療部(例えば、腕又は脚)を挟んで対向する1組のエアバッグを同期して膨縮させ、前記被施療部に対して偶力を発生させて前記殻体を前記被施療部に対して回動可能としたマッサージ具(例えば、マッサージ具1)。
【0085】
前記殻体(例えば殻体11、殻体11’又は殻体11’’)内に、その長さ方向に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、前記自由端側が起立状に膨張する第1のエアバッグ(例えば、第1のエアバッグ20e,20f)と、膨張時に前記被施療部(例えば、腕又は脚)に対して直交方向に当接する第2のエアバッグ(例えば、第2のエアバッグ20g)とを配設し、前記制御装置(例えば、制御ユニットG)は、前記第1のエアバッグと第2のエアバッグとを交互に膨張させて被施療部をそれぞれ押圧することにより、前記殻体を前記被施療部に対して移動可能としたマッサージ具(例えば、マッサージ具1’又は脚用マッサージ具36’)。
【0086】
被施療者が着座してマッサージを受ける椅子式のマッサージ機(例えば、マッサージ機10)において、腕又は脚に装着可能とした上述の各マッサージ具(例えば、マッサージ具1、マッサージ具1’又は脚用マッサージ具36’)を、非固定状態に備えたマッサージ機。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態に係るマッサージ機の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係るマッサージ機の制御ブロック図である。
【図3】本実施形態に係るマッサージ機の給排気部に構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係るマッサージ機の腕用のマッサージ具を示す断面視による説明図である。
【図5】腕用のマッサージ具の変形例を示す説明図である。
【図6】腕用のマッサージ具の変形例を示す説明図である。
【図7】本実施形態に係るマッサージ機の腕用のマッサージ具の各エアバッグへの給気タイミングを説明図である。
【図8】本実施形態に係るマッサージ機の腕用のマッサージ具の各エアバッグへの給気タイミングを説明図である。
【図9】本実施形態に係るマッサージ機の腕用のマッサージ具の各エアバッグへの給気タイミングを説明図である。
【図10】他の実施形態に係る腕用のマッサージ具の縦断面視による説明図である。
【図11】他の実施形態に係る腕用のマッサージ具の移動動作を示す説明図である。
【図12】腕用のマッサージ具の殻体形状を示す説明図である。
【図13】脚用マッサージ具を示す説明図である。
【符号の説明】
【0088】
G 制御ユニット(制御手段)
1,1’ 腕用のマッサージ具
10 マッサージ機、
11,11’11’’ 殻体
20a〜20d エアバッグ
20e,20g 第1のエアバッグ
20f 第2のエアバッグ
36’ 脚用マッサージ具
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕や脚をマッサージするマッサージ具、及び同マッサージ具を備える椅子式のマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、椅子式のマッサージ機は、被施療者が腰掛ける座部と、その座部の後部に背もたれ部とを備え、その背もたれ部にはもみ玉からなる施療体を備えたマッサージユニットがその背もたれ部において上下に昇降可能に設けられている。これにより、被施療者が椅子に座った状態で、もみ玉の動作とマッサージユニットの昇降によりマッサージを受けることができるようになっている。
【0003】
かかる椅子式のマッサージ機において、前記マッサージユニットとは別のマッサージ具を備え、着座した状態で手や腕をマッサージ可能としたものがあった。
例えば、血圧計のように、帯状に形成した巻付体にエアバッグを内包状態に配設し、これを腕などに巻き付けてエアバッグを膨縮させてエアマッサージするものが知られている。また、また、肘掛け部に、エアセルを内面に配設したトンネル形状とした手や腕専用のマッサージ具を取り付け、着座した状態で手や腕をエアマッサージ可能とした椅子式マッサージが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−028045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、腕に巻き付けるタイプのものにしても、上記特許文献1に記載のマッサージ機に開示されたマッサージ具にしても、エアセルが当接する部分は、マッサージ具に挿入した手又は腕の一部でしかなく、マッサージを受けることのできる施療範囲が限定されてしまっていた。
したがって、手全体又は腕全体についてマッサージを受けるには、被施療者が自ら手又は腕を動かす必要が生じていた。
【0006】
この発明は、上記課題を解決することのできるマッサージ具、及び同マッサージ具を備えた椅子式のマッサージ機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明では、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体の内面に、それぞれ所定のタイミングで膨縮して前記被施療部を押圧し、エアマッサージしながら、前記殻体を、前記被施療部に対して変位可能とするエアバッグを配設したマッサージ具とした。
【0008】
(2)本発明では、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体と、この殻体の内面に配設され、膨縮して前記被施療部をエアマッサージする少なくとも3個以上の複数のエアバッグと、前記複数のエアバッグにエアを供給するエア給排装置と、このエア給排装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数のエアバッグのうち、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するように前記エア給排装置を制御して、前記殻体を前記被施療部に対して変位可能としたマッサージ具とした。
【0009】
(3)本発明は、上記(1)又は(2)に記載のマッサージ具において、前記殻体は、その断面形状が、三角形、矩形又は円形の筒状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
(4)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のマッサージ具において、前記殻体内に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、当該自由端側が起立状に膨張する4個のエアバッグを略等間隔に配設し、前記制御装置は、前記被施療部を挟んで対向する1組のエアバッグを同期して膨縮させ、前記被施療部に対して偶力を発生させて前記殻体を前記被施療部に対して回動可能としたことを特徴とする。
【0011】
(5)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のマッサージ具において、前記殻体内に、その長さ方向に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、前記自由端側が起立状に膨張する第1のエアバッグと、膨張時に前記被施療部に対して直交方向に当接する第2のエアバッグとを配設し、前記制御装置は、前記第1のエアバッグと第2のエアバッグとを交互に膨張させて被施療部をそれぞれ押圧することにより、前記殻体を前記被施療部に対して移動可能としたことを特徴とする。
【0012】
(6)本発明では、被施療者が着座してマッサージを受ける椅子式のマッサージ機において、腕又は脚に装着可能とした上記(1)〜(5)のいずれかに記載のマッサージ具を、非固定状態に備えたマッサージ機とした。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、被施療部となる肢体にマッサージ具を装着してエアマッサージを実行すると、マッサージ具自身が自動的に被施療部に対して変位するため、被施療者自身が被施療部を動かさなくとも広範囲にわたるエアマッサージが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本実施形態に係るマッサージ具は、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体の内面に、それぞれ所定のタイミングで膨縮して前記被施療部を押圧し、エアマッサージしながら、前記殻体を、前記被施療部に対して変位可能とするエアバッグを配設したものである。
【0015】
すなわち、腕や脚などの肢体は、その断面形状が異形となっているため、かかる肢体に殻体を遊嵌し、殻体の内面に取付けたエアバッグに給気すると、エアバッグは被施療部の形状に沿って当接しながら膨張して当接箇所を押圧する一方、その反作用で変形しながら、最終的に収まり良い位置で膨張が終了する。エアバッグが変形しながら最終的に収まり良い位置に至るまでの間に、エアバッグを内側面に取付けた殻体は被施療部に対して変位する。したがって、被施療者は、施療部の広範囲に亘ってエアマッサージがなされる感覚が心地よく、快適な肢体のマッサージが可能となる。
【0016】
かかるマッサージ具のより具体的な構成は、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体と、この殻体の内面に配設され、膨縮して前記被施療部をエアマッサージする少なくとも3個以上の複数のエアバッグと、前記複数のエアバッグにエアを供給するエア給排装置と、このエア給排装置を制御する制御装置とを備えた構成とし、前記制御装置は、前記複数のエアバッグのうち、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するように前記エア給排装置を制御して、前記殻体を前記被施療部に対して変位可能としている。
【0017】
かかる構成により、エアバッグへの給排タイミングを適切に行えば、殻体に連続的な回転力が発生し、この殻体は腕又は脚に対して回転しながら、あるいは移動しながらマッサージすることが可能となる。
【0018】
エア給排装置としては、エアを送給するエアポンプと、このエアポンプから送給されるエアを、複数のエアバッグへ選択的に送給するための分流器とを設けておくことができる。分流器には、電磁弁などの開閉弁を介して各エアバッグに終端連通連結した給排管の始端が連通連結されている。
【0019】
前記殻体の形状としては、特に限定されるものではないが、その断面形状を、例えば、三角形、矩形又は円形の筒状に形成することができる。
【0020】
また、前記殻体の被施療部に対する変位を、回動によるものとすると、例えば、前記殻体内に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、当該自由端側が起立状に膨張する4個のエアバッグを略等間隔に配設し、前記制御装置は、前記被施療部を挟んで対向する1組のエアバッグを同期して膨縮させ、前記被施療部に対して偶力を発生させて前記殻体を前記被施療部に対して回動可能とすることができる。
【0021】
かかる構成により、被施療者が腕や手を動かさなくとも、腕や脚の周り全体をむらなくエアマッサージでき、従来にない極めて快適な腕、脚のエアマッサージが可能となる。
【0022】
なお、各エアバッグを構成する袋生地の厚みなどに変化をつけ、膨張時の形状を、例えば大きく膨出した部分と膨出部分が小さい部分とからなるいびつな形状となるようにするとともに、各エアバッグの配置を工夫することで、回転方向と直交する方向への移動も可能である。
【0023】
また、前記殻体の被施療部に対する変位を、脚や腕の長手方向への移動によるものとすると、前記殻体内に、その長さ方向に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、前記自由端側が起立状に膨張する第1のエアバッグと、膨張時に前記被施療部に対して直交方向に当接する第2のエアバッグとを配設し、前記制御装置は、前記第1のエアバッグと第2のエアバッグとを交互に膨張させて被施療部をそれぞれ押圧することにより、前記殻体を前記被施療部に対して移動可能とすることができる。
【0024】
かかる構成により、あたかも尺取虫のように、殻体が脚や腕の長手方向へ移動しながらマッサージが行われることになり、被施療者が腕や手を動かさなくとも広範囲のマッサージが可能となる。
【0025】
ところで、上述してきたマッサージ具は、被施療者が着座してマッサージを受ける椅子式のマッサージ機に、非固定状態で具備させておくとよい。
椅子式のマッサージ機としては、被施療者が腰掛ける座部と、その座部の後部に連設され、例えばもみ玉からなる施療体を備えたマッサージユニットが上下昇降自在に設けられた背もたれ部とを備えた構成とすれば、被施療者は、マッサージユニットによる全身のマッサージを受けることができ、必要に応じて腕又は脚に装着可能とした前記マッサージ具を装着して、腕や脚の快適なエアマッサージを楽しむことができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながらより具体的に説明する。図1は本実施形態に係る椅子式のマッサージ機の全体構成を示す斜視図、図2は同マッサージ機の制御ブロック図、図3は同マッサージ機におけるエア給排装置の概念的説明図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係るマッサージ機10は、被施療者が着座する座部31と、その座部31を支持する基台部35と、前記座部31の後側に倒伏自在にリクライニングできるように連結され、左右両側に体側施療部として機能する側壁部33を取付けた背もたれ部32とを有している。さらに、座部31の前側上部近傍に設けた枢支部37を中心に、上下方向へ揺動可能に連結した脚載部36を有している。
【0028】
また、前記基台部35を除く各部については、必要に応じて合成皮革などからなるカバーにより直接被覆するか、あるいは同じくカバーで被覆したクッション部材を配設している。
【0029】
図1に示すように、背もたれ部32は、縦に伸延する左右の縦フレーム(図示せず)を具備しており、この縦フレームの前側に、略中央に所定幅の長孔を形成した背もたれ板40を取付けるとともに、後側に背面カバー体41を取付け、この背面カバー体41と前記背もたれ板30との間にユニット配設空間を形成している。
【0030】
そして、このユニット配設空間に、被施療者を押圧によってマッサージするための左右一対のもみ玉(図示せず)を備え、このもみ玉を前記長孔に臨ませた状態で昇降可能とした機械式のマッサージユニット(図示せず)を配設している。
【0031】
また、前記背もたれ部32の長孔を挟んで、背もたれ板40の左右側上部には背中部用エアバッグ23を、左右側下部に腰部用エアバッグ24をそれぞれ配設し、エアポンプ15(図2参照)から供給されるエアによって背中や腰を押圧するエアマッサージを実行可能としている。
【0032】
また、座部31の後部側には臀下部用エアバッグ25を左右側には臀側部用エアバッグ26をそれぞれ取付けている。
【0033】
前記脚載部36は、左右の脚を受ける半円筒状の左右脚受部を並設した本体部38と、同本体部38の先端に連設するとともに左右の足裏を受ける半円筒状の左右足裏受を並設した足裏受部39とから構成されている。前記本体部38の各脚受部の両内側面には、左右で対をなす脚上部用エアバッグ21を取付けている。また、前記足裏受部39の各足裏受の両内側面にも、左右で対をなす脚下部用エアバッグ22を取付けている。
【0034】
また、図1に示すように、座部31には、その左右側に肘掛部34,34を設け、これら肘掛部34,34上に、それぞれ、本実施形態の要部ともなる腕部用施療部としての腕用のマッサージ具1が非固定状態に配設されている。
腕用のマッサージ具1は、後に詳述するが、筒状の殻体11と、この殻体11の内面に取り付けた腕部用のエアバッグ20a〜20dとを備えており、各エアバッグ20a〜20dは、前述のエアバッグ21〜26同様に、基台部35内に格納したエア給排装置によって個別に給排気されるようになっている。図1中、14はエアバッグ20a〜20dとエア給排装置とを連通連結した給排チューブである。
【0035】
すなわち、図3に示すように、エア給排装置は、各エアバッグ20〜26に給気するためのエアポンプ15を備え、エアポンプ15には、当該エアポンプ15から圧入される大気を一時的に貯留するとともに、各エアバッグ20〜26へ分流する分流器16が連通連結している。
【0036】
分流器16には、複数の吐気口が各エアバッグ20〜26に対応して設けてあり、各吐気口には当該吐気口を開閉する電磁弁B1,B2,…がそれぞれ設けてある。そして、この分流器16の各吐気口と、対応するエアバッグ20〜26とは耐圧ホースによってそれぞれ連結し、後述するように、制御ユニットG(図2参照)によってエアポンプ15及び電磁弁B1,B2,…の開閉動作を制御することにより、所要のエアバッグ20〜26に対して給排気して、エアバッグ20〜26を膨縮(膨張及び収縮)させる。これによって、マッサージ機10の使用者に対してエアマッサージが施されることになる。
【0037】
なお、前述した電磁弁B1,B2,…の開閉動作によって、エアバッグ20〜26を膨張・収縮させることができる一方、エアバッグ20〜26を膨張状態に保持することもできる。
【0038】
次に、本実施形態に係るマッサージ機10における動作全般を制御する制御ユニットG(制御手段)について説明する。
本実施形態に係る制御ユニットGは、例えば、基台部35内の所定箇所に配設されており、図2に示すように、CPUと、個別マッサージ設定情報やコース情報やその他各種マッサージモード実行プログラムなどを記憶する記憶手段としてのメモリ部G1と、前記エアポンプ15や各種モータなどの駆動制御を行う駆動制御部G2とを備えている。
【0039】
そして、CPUは、インターフェイスG3を介してリモコンR(図1)と、前記マッサージユニットに付設されたロータリエンコーダE1,E3,E4とに接続している。また、CPUはインターフェイスG4を介して前記マッサージユニット内に配設した昇降用モータm1、進退用モータm2、もみ用モータm3、及びたたき用モータm4に接続するとともに、エアバッグ20〜26用のエアポンプ15に接続している。
【0040】
かかる構成により、前記リモコンRに設けた操作部からの指令信号に基づき、制御ユニットGでは、様々なマッサージモードを組合せた複数の自動コースを実行し、使用者の所望するマッサージ形態に対応可能としている。すなわち、指圧、もみ、たたき、さすり、バイブ、ストレッチなどの基本マッサージ、さらにはローリング、エアマッサージなどの種類の異なったマッサージモードを、前記マッサージユニット及びエアバッグ20〜26を駆動して実行させることができる。
【0041】
本実施形態では、前記昇降用モータm1、もみ用モータm3、及びたたき用モータm4により駆動されるもみ玉駆動ユニットにより、メカ的なマッサージとして、叩き、指圧、もみ(もみ上げ/もみ下げ)、さざなみ(もみ下げとたたきの複合動作)、深もみ上げ/深もみ下げと、さらに、極もみ、極たたき、及び首ほぐしの特別マッサージを実行可能とし、特に被施療者の肩部については、前記進退用モータm2を駆動してもみ玉駆動ユニットを前方へ進出させ、肩部をその上方からあたかも整体師が行うような本格的マッサージが行えるようにしている。
【0042】
このように、制御ユニットGは、もみ玉の動作やマッサージユニットの昇降動作を制御して、もみ玉による機械的マッサージを実行させるとともに、エアバッグ20〜26の膨縮に関わるエアポンプ15のオン・オフ動作を制御している。
なお、図示しないが、前記制御ユニットGは、インターフェイスG3を介して、背もたれ部32のリクライニング角度を検出するリクライニング角度検出センサと接続するとともに、リモコンRに設けた液晶表示部の表示についても制御する。
【0043】
特に、本実施形態では、前記エアバッグ20a〜20dによる腕用のマッサージ具1によるエアマッサージにより、腕をエアマッサージしながら、当該腕用のマッサージ具1を腕に対して回動、あるいは腕の長手方向へ移動させたりすることが可能となっている。
【0044】
ここで、本実施形態の要部となる腕用のマッサージ具1について、図4〜図12を参照しながら詳述する。
【0045】
図4は腕用のマッサージ具1の横断面視による説明図であり、図示するように、腕用のマッサージ具1は、被施療部となる腕に遊嵌状態に装着可能な筒状の殻体11と、この殻体11の内面に配設した4個のエアバッグ20a〜20dとを具備している。
【0046】
本実施形態に係る腕用のマッサージ具1は、縦略150mm×横略150mmの断面視略矩形形状で、長さが略250mmの略矩形筒状に形成されており、エアバッグ20a〜20dによるマッサージ動作によって、腕に対して回動、あるいは腕の長手方向へ移動してその位置が変位しやすいように、比較的軽量な材料により構成されている。
【0047】
本実施形態に係る腕用のマッサージ具1は、不定形な曲面を有する人体の腕に直接当接して変形自在な布製の内カバー50と、断面視略矩形形状とした厚み略1mmの合成樹脂製の殻本体51と、この殻本体51の表面を被覆する合皮などの合成樹脂製の外カバー53と、この外カバー53と前記殻本体51との間に充填した厚み略10mmのチップウレタン52とから殻体11を形成している。なお、チップウレタン52は必ずしも必要ではなく、また、外カバー53は、布、紙などで成形してもよい。
【0048】
そして、前記殻本体51の4面それぞれの内側に、エア供給口13が設けられた一端側を前記殻本体51に固定するとともに、他端を自由端とした前記エアバッグ20a〜20dを配設している。なお、エアバッグ20a〜20dは、例えばポリエチレン製であり、その大きさは略85mm×190mmとしている。
【0049】
このように、エアバッグ20a〜20dは、それぞれエア供給口13が設けられた一端側を前記殻本体51に固定するとともに、他端を自由端としているため、エアポンプ15からエアが供給されると、図4の一点鎖線で示すように、固定された一端側を中心に回動して自由端側が起立状に膨張する。したがって、腕を挟んで対向する1組のエアバッグ(例えば、20aと20c、20bと20d)を同期して膨縮させると偶力が生じ、エアバッグ20a〜20dを取付けた殻体11、ひいては腕用のマッサージ具1自身が、腕に対して図4の矢印で示すように回転可能となる。図4においては、腕に対して時計回りに回転するようになっている。
【0050】
図5に腕用のマッサージ具1の変形例を示す。
図5に示した腕用のマッサージ具1は、図4に示した腕用のマッサージ具1に対して、エアバッグ20a〜20dの形状を変えて、膨張時の形態もが異なるようにしている。
すなわち、図示するように、エアバッグ20a〜20dの一側面に絞り部54を形成しており、エアを供給すると、一点鎖線で示すように、絞り部54よりも先端側が勢いよく膨張して腕を押圧するようにしている。これにより、エア供給口13側の端部(一端側)を軸にしてエアバッグ20a〜20dが腕周りに勢いよく付勢された状態で膨張するため、腕を挟んで対向する1組のエアバッグ(例えば、20aと20c、20bと20d)を同期して膨縮させたときに生じる偶力が増し、腕に対する殻体11の回転力も増す。したがって、殻体11が強く回転することで、腕に対するエアマッサージ力も変化する。
【0051】
腕用のマッサージ具1のさらなる変形例を図6に示す。
図6に示した腕用のマッサージ具1は、図4及び図5に示した腕用のマッサージ具1に対して、エアバッグ20a〜20dの形状及び取付け位置を変えている。
すなわち、図示するように、4個のエアバッグ20a〜20dを、それぞれ殻本体51の内側面に対して、一方の隅部に偏倚して設けるとともに、各エアバッグ20a〜20dを蛇腹状に形成している。56a,56bは蛇腹部である。
【0052】
したがって、エアを供給すると、一点鎖線及び矢印で示すように、各エアバッグ20a〜20dはそれぞれ対向する殻本体51に直進するように膨張し、それぞれが腕の中心から大きく外れた位置を押圧する。したがって、腕を挟んで対向する1組のエアバッグ(例えば、20aと20c、20bと20d)を同期して膨縮させたときに、より大きな偶力を生じやすくなり、腕に対して殻体11自身も容易に回転することになる。
【0053】
特に、ここで示した例では、各エアバッグ20a〜20dの一端側の蛇腹部56bと他端側の蛇腹部56aとの深さを違えて、膨張時に、腕に当接する側がより膨出するようにして、より回転しやすくしている。
【0054】
また、図中、55は各エアバッグ20a〜20dに隣接させて配設した枕部であり、この枕部55を設けたことにより、各エアバッグ20a〜20dが膨出した際に腕から逃げることを防止して、マッサージ力が低下することを防止している。
【0055】
次に、上述してきた腕用のマッサージ具1の各エアバッグ20a〜20dへの給気について、図7〜図9を参照して説明する。図7〜図9は各エアバッグ20a〜20dへの給気タイミングチャートであり、エアバッグ20aに(1)を、エアバッグ20bに(2)を、エアバッグ20cに(3)を、エアバッグ20dに(4)を対応させている。
【0056】
本実施形態では、図7に示すタイミングで各エアバッグ20a〜20d給気しており、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するようにしている。すなわち、エアバッグ20aについてみると、エアバッグ20b,20dとは膨縮タイミングは同期せず、対向するエアバッグ20cと同期して膨出する。つまり、図示するように、制御ユニットGは、エア給排装置に対して、エアポンプ15を駆動させると、分流器16を制御して、先ずエアバック20a、20cにエアを供給し、その後、エアバッグ20b、20dにエアを供給するようにしている。
【0057】
すなわち、エアポンプ15が駆動している状態で、エアバッグ20a及びエアバッグ20cにエアを供給し、これらエアバッグ20a及びエアバッグ20cを膨張させると、図4〜図6に示したように、する。エアバッグ20a及びエアバッグ20cは、腕に当接しながら膨張する。さらに、エアが供給されることにより、エアバッグ20a及びエアバッグ20cの膨張する方向により偶力が生じ、殻体11に回転力が加わる。次いで、エアバッグ20a及びエアバッグ20cから排気すると同時に、エアバッグ20b及びエアバッグ20dに給気するのである。かかる給排制御を連続して行なうことにより、殻体11、すなわち腕用のマッサージ具1が腕に対して自力で回転する。
【0058】
このように、各エアバッグ20a〜20dにおいて、腕を挟んで対向する1組2個のエアバッグ(エアバッグ20a及びエアバッグ20c、エアバッグ20b及びエアバッグ20d)を互いに同期して膨縮させ、腕に対して偶力を発生させることによって、殻体11を腕周りで回転させ、腕の周方向に広い範囲でマッサージを行うことができるようになる。
【0059】
なお、各エアバッグ20a〜20dへのエア供給は、図8に示すタイミングチャート及び図9に示すタイミングチャートのように制御してもよい。
【0060】
すなわち、図8に示すように、まず、エアバッグ20a及び20cにエアを供給し、所定期間経過後、当該エアバッグ20a及び20cから排気する前に、エアバッグ20b及び20dにエアを供給し、その後、エアバッグ20b及び20dに給気がなされているタイミングでエアバッグ20a及び20cへのエアの供給を断つのである。この場合、隣り合うエアバッグ同士、例えば、エアバッグ20aについてみると、隣り合うエアバッグ20b,20dとは膨張状態は一部重なるものの、膨張開始タイミングは非同期であり、収縮状態は、排気開始から排気終了時点まで非同期となっている。そして、この場合も、腕を挟んで対向する1組2個のエアバッグ(エアバッグ20a及びエアバッグ20c、エアバッグ20b及びエアバッグ20d)については互いに同期して膨縮させ、腕に対して偶力を発生させることによって、殻体11を腕周りで回転させ、腕の周方向に広い範囲でマッサージを行うことができる。
【0061】
また、図9に示すように、エアバッグ20a、エアバッグ20b、エアバッグ20c、エアバッグ20dの順にエアを供給するようにしてもよい。
【0062】
この場合、隣り合うエアバッグ20aとエアバッグ20b、エアバッグ20bとエアバッグ20c、エアバッグ20cとエアバッグ20d、エアバッグ20dとエアバッグ20aとで、腕を掴むように押圧して、これが順次繰返されることによって、回転力を生起して殻体11を腕周りに回転させることができる。
【0063】
次に、図10及び図11を参照しながら、殻体11が腕の長手方向に移動して変位する移動式の腕用のマッサージ具1’について説明する。なお、殻体11の構成は、図4〜図6に示したものと同一であり、ここでは同一符号を付してその説明は省略する。
【0064】
図10に示すように、移動式の腕用のマッサージ具1’は、殻体11内に、その長さ方向に、それぞれエア供給口13が設けられた一端側を殻体11に固定して他端を自由端とし、この自由端側が固定された一端側を中心に回動して起立状に膨張する第1のエアバッグ20e,20fと、膨張時に腕に対して直交方向に当接する第2のエアバッグ20gとからなるエアバッグ群を、殻体11の内側面に少なくとも対向状態に1組配設している。ここでは、2組のエアバッグ群を備えたものとして、腕に対して十字状の4方向からエアマッサージが可能としている。
【0065】
各エアマッサージ群は、第2のエアバッグ20gを中央に配置し、これを挟むように第1のエアバッグ20e,20fを前後に配置している。なお、57は第2のエアバッグ20gに設けた蛇腹部であり、膨張時の直進性を高めている。
【0066】
そして、前記制御ユニットGは、第1のエアバッグ20e,20fと第2のエアバッグ20gとを交互に膨張させて腕をそれぞれ押圧させることにより、前記殻体11を腕に対して、あたかも尺取虫のように移動可能としている。
【0067】
すなわち、先ず第2のエアバッグ20gに給気して腕を保持して腕用のマッサージ具1’が自重により腕からずり落ちることを防止する。
次いで両端部に配設された第1のエアバッグ20e,20fのうち、例えば下方側に配設された第1のエアバッグ20fにエアを供給するとともに、第2のエアバッグ20gから排気して収縮させる。すると、第1のエアバッグ20fにエアが供給されることにより、この第1のエアバッグ20fは、中央部に配設された第2のエアバッグ20g側に付勢するように膨張する。これにより、図11に示すように、殻体11を上方(矢印U方向)に移動する推力が生じ、殻体11は僅かながら上方へ移動する。そして、その位置で再度第2のエアバッグ20gに給気して、腕を保持し、再び第1のエアバッグ20fにエアを供給する。すると、前述同様に僅かに殻体11は上方へ移動する。かかる動作を繰返すことにより、腕用のマッサージ具1’自身が腕に対して上方へ移動することになる。
【0068】
逆に、殻体11を下方に移動させるには、下方の第1のエアバッグ20fに代えて、上方の第1のエアバッグ20eにエアを供給することにより行えばよい。
【0069】
ここで、殻体11の形状及びエアバッグの配置について、図12を参照して簡単に説明する。図12は殻体形状を示す説明図である。
【0070】
殻体11は、上述してきた略矩形形状の他、例えば、断面が三角形又は円形とすることもできる。例えば、図12(a)に示すように、殻体11の断面を三角形形状とし、図示で各頂点部をなす殻体11の稜線内側部分にエアバッグ20を設けている。
また、図12(b)に示すものは、同じく断面が三角形形状であるが、図示において各辺部をなす殻体11の内側面にエアバッグ20を設けている。
さらに、図12(c)に示すものは、殻体11の断面が円形形状であり、所定距離を有して離間した位置に3個のエアバッグ20を、あるいは複数のエアバッグ20を3列に配設したものとしている。この図12(c)に示すように、殻体11を腕に対して変位させるためには、エアバッグ20は、少なくとも3個(列)以上配設することが望ましい。
【0071】
また、図12(d)に示したものは、断面視略コ字状にしたもので、一側面が開放されたものである。すなわち、樋状の殻体11’としている。この場合、殻体11’は筒状ではないため、腕を挿通する必要がなく、装着しやすいものの、マッサージ具1(1’)が腕から脱落するおそれがある。そこで、図示するように、開放された一側面にベルト60などを設けておくとよい。
【0072】
ところで、腕用のマッサージ具1(1’)は、本実施形態では、マッサージ機10の肘掛部34に非固定状態に配設している(図1参照)。肘掛部34に非固定状態に取付けるには、肘掛部34の所定位置と、殻体11の外カバー53に、例えば面ファスナーを設けておくことができる。
【0073】
上述してきた実施形態では、肢体に遊嵌状態に装着して用いるマッサージ具として、腕用のマッサージ具1(1’)を例にして説明したが、腕用のみならず、脚用に適用することもできる。
このとき、殻体11を筒状とした場合、脚の先端には足があるため挿入しにくいことが考えられる。そこで、前述した図12(d)に示すような樋状の殻体11’を備えるマッサージ具を用いるとよい。
【0074】
また、脚の長手方向に移動する脚用マッサージ具として、図13に示すような構成とすることもできる。
図13は所謂オットマンタイプとした脚用マッサージ具36’であり、殻体11’’には使用者のふくらはぎ部分を包むように当接可能とした左右の樋状脚保持面61L,61Rが形成されている。
【0075】
そして、これら樋状脚保持面61L,61Rの側面部分に、図10で説明したようなエアバッグ20e〜20gを配設している。
【0076】
使用者は、座部31に座した状態で、左右の脚を樋状脚保持面61L,61R内に位置させ、前述したように各エアバッグ20e〜20gへの給気を制御することにより、脚用マッサージ具36’を脚の上下方向に移動させることが可能となる。したがって、脚の長さ方向に亘り広範囲のエアマッサージが可能となる。
【0077】
以上説明してきたように、本実施形態に係るマッサージ機10では、マッサージ機10によるマッサージと同時にでも、あるいはいつでも自由にマッサージ具1(1’、36’)を用いて被施療部である肢体(腕や脚)のマッサージが行え、しかも、マッサージ具1(1’、36’)が被施療部に対して、マッサージしながら自身により変位するため、被施療者がいちいち被施療部の位置を変えなくとも、広範囲に亘る心地よいマッサージが可能となる。
【0078】
なお、本発明は、上述してきた実施形態に限定されるものではなく、具体的な形状、寸法、材料などは適宜設定可能である。
【0079】
また、上述してきた実施形態では、被施療部(腕や脚)に対して、マッサージしながらマッサージ具自身により変位するマッサージ具1(1’,36’)を、マッサージ機10に付設したものとして説明したが、マッサージ具1(1’,36’)は、単独で提供される場合がある。
その場合、制御ユニットGやエア給排装置を収容するとともに、操作部などを設けた本体が別途用意され、殻体11(11’,11’’)に配設されたエアバッグ20a〜20gとは、エアの流路となる給排チューブ14(図1参照)で連結されることになる。
【0080】
上述してきた実施形態より、以下のマッサージ具、及びマッサージ機が実現する。
【0081】
(1)本発明では、被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体(例えば殻体11、殻体11’又は殻体11’’)の内面に、それぞれ所定のタイミングで膨縮して前記被施療部を押圧し、エアマッサージしながら、前記殻体を、前記被施療部に対して変位可能とするエアバッグ(例えば、エアバッグ20a〜20d又はエアバッグ20e〜20g)を配設したマッサージ具(例えば、マッサージ具1、マッサージ具1’、脚用マッサージ具36’)。
【0082】
被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体(例えば、殻体11、殻体11’又は殻体11’’)と、この殻体の内面に配設され、膨縮して前記被施療部をエアマッサージする少なくとも3個以上の複数のエアバッグ(例えば、エアバッグ20a〜20d又はエアバッグ20e〜20g)と、前記複数のエアバッグにエアを供給するエア給排装置(例えば、エアポンプ15と分流器16)と、このエア給排装置を制御する制御装置(例えば、制御ユニットG)と、を備え、前記制御装置は、前記複数のエアバッグのうち、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するように前記エア給排装置を制御して、前記殻体を前記被施療部に対して変位可能としたマッサージ具(例えば、マッサージ具1、マッサージ具1’、脚用マッサージ具36’)。
【0083】
前記殻体(例えば、殻体11)は、その断面形状が、三角形、矩形又は円形の筒状に形成されているマッサージ具(例えば、マッサージ具1、マッサージ具1’)。
【0084】
前記殻体(例えば殻体11、殻体11’又は殻体11’’)内に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、当該自由端側が起立状に膨張する4個のエアバッグ(例えば、エアバッグ20a〜20d)を略等間隔に配設し、前記制御装置(例えば、制御ユニットG)は、前記被施療部(例えば、腕又は脚)を挟んで対向する1組のエアバッグを同期して膨縮させ、前記被施療部に対して偶力を発生させて前記殻体を前記被施療部に対して回動可能としたマッサージ具(例えば、マッサージ具1)。
【0085】
前記殻体(例えば殻体11、殻体11’又は殻体11’’)内に、その長さ方向に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、前記自由端側が起立状に膨張する第1のエアバッグ(例えば、第1のエアバッグ20e,20f)と、膨張時に前記被施療部(例えば、腕又は脚)に対して直交方向に当接する第2のエアバッグ(例えば、第2のエアバッグ20g)とを配設し、前記制御装置(例えば、制御ユニットG)は、前記第1のエアバッグと第2のエアバッグとを交互に膨張させて被施療部をそれぞれ押圧することにより、前記殻体を前記被施療部に対して移動可能としたマッサージ具(例えば、マッサージ具1’又は脚用マッサージ具36’)。
【0086】
被施療者が着座してマッサージを受ける椅子式のマッサージ機(例えば、マッサージ機10)において、腕又は脚に装着可能とした上述の各マッサージ具(例えば、マッサージ具1、マッサージ具1’又は脚用マッサージ具36’)を、非固定状態に備えたマッサージ機。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態に係るマッサージ機の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係るマッサージ機の制御ブロック図である。
【図3】本実施形態に係るマッサージ機の給排気部に構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係るマッサージ機の腕用のマッサージ具を示す断面視による説明図である。
【図5】腕用のマッサージ具の変形例を示す説明図である。
【図6】腕用のマッサージ具の変形例を示す説明図である。
【図7】本実施形態に係るマッサージ機の腕用のマッサージ具の各エアバッグへの給気タイミングを説明図である。
【図8】本実施形態に係るマッサージ機の腕用のマッサージ具の各エアバッグへの給気タイミングを説明図である。
【図9】本実施形態に係るマッサージ機の腕用のマッサージ具の各エアバッグへの給気タイミングを説明図である。
【図10】他の実施形態に係る腕用のマッサージ具の縦断面視による説明図である。
【図11】他の実施形態に係る腕用のマッサージ具の移動動作を示す説明図である。
【図12】腕用のマッサージ具の殻体形状を示す説明図である。
【図13】脚用マッサージ具を示す説明図である。
【符号の説明】
【0088】
G 制御ユニット(制御手段)
1,1’ 腕用のマッサージ具
10 マッサージ機、
11,11’11’’ 殻体
20a〜20d エアバッグ
20e,20g 第1のエアバッグ
20f 第2のエアバッグ
36’ 脚用マッサージ具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体の内面に、それぞれ所定のタイミングで膨縮して前記被施療部を押圧し、エアマッサージしながら、前記殻体を、前記被施療部に対して変位可能とするエアバッグを配設したことを特徴とするマッサージ具。
【請求項2】
被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体と、
この殻体の内面に配設され、膨縮して前記被施療部をエアマッサージする少なくとも3個以上の複数のエアバッグと、
前記複数のエアバッグにエアを供給するエア給排装置と、
このエア給排装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数のエアバッグのうち、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するように前記エア給排装置を制御して、前記殻体を前記被施療部に対して変位可能としたことを特徴とするマッサージ具。
【請求項3】
前記殻体は、その断面形状が、三角形、矩形又は円形の筒状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ具。
【請求項4】
前記殻体内に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、当該自由端側が起立状に膨張する4個のエアバッグを略等間隔に配設し、
前記制御装置は、
前記被施療部を挟んで対向する1組のエアバッグを同期して膨縮させ、前記被施療部に対して偶力を発生させて前記殻体を前記被施療部に対して回動可能としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ具。
【請求項5】
前記殻体内に、その長さ方向に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、前記自由端側が起立状に膨張する第1のエアバッグと、膨張時に前記被施療部に対して直交方向に当接する第2のエアバッグとを配設し、
前記制御装置は、
前記第1のエアバッグと第2のエアバッグとを交互に膨張させて被施療部をそれぞれ押圧することにより、前記殻体を前記被施療部に対して移動可能としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ具。
【請求項6】
被施療者が着座してマッサージを受ける椅子式のマッサージ機において、
腕又は脚に装着可能とした請求項1〜5のいずれか1項に記載のマッサージ具を、非固定状態に備えたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項1】
被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体の内面に、それぞれ所定のタイミングで膨縮して前記被施療部を押圧し、エアマッサージしながら、前記殻体を、前記被施療部に対して変位可能とするエアバッグを配設したことを特徴とするマッサージ具。
【請求項2】
被施療部となる肢体に遊嵌状態に装着可能な殻体と、
この殻体の内面に配設され、膨縮して前記被施療部をエアマッサージする少なくとも3個以上の複数のエアバッグと、
前記複数のエアバッグにエアを供給するエア給排装置と、
このエア給排装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数のエアバッグのうち、隣り合うエアバッグが非同期で膨縮するように前記エア給排装置を制御して、前記殻体を前記被施療部に対して変位可能としたことを特徴とするマッサージ具。
【請求項3】
前記殻体は、その断面形状が、三角形、矩形又は円形の筒状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ具。
【請求項4】
前記殻体内に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、当該自由端側が起立状に膨張する4個のエアバッグを略等間隔に配設し、
前記制御装置は、
前記被施療部を挟んで対向する1組のエアバッグを同期して膨縮させ、前記被施療部に対して偶力を発生させて前記殻体を前記被施療部に対して回動可能としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ具。
【請求項5】
前記殻体内に、その長さ方向に、それぞれ一端側を前記殻体に固定して他端を自由端とし、前記自由端側が起立状に膨張する第1のエアバッグと、膨張時に前記被施療部に対して直交方向に当接する第2のエアバッグとを配設し、
前記制御装置は、
前記第1のエアバッグと第2のエアバッグとを交互に膨張させて被施療部をそれぞれ押圧することにより、前記殻体を前記被施療部に対して移動可能としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ具。
【請求項6】
被施療者が着座してマッサージを受ける椅子式のマッサージ機において、
腕又は脚に装着可能とした請求項1〜5のいずれか1項に記載のマッサージ具を、非固定状態に備えたことを特徴とするマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−212361(P2008−212361A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53366(P2007−53366)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
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