説明

マッサージ機

【課題】マッサージ機構を可動したときに発生する騒音を抑制しつつ、軽量化を図ることのできる椅子型のマッサージ機を提供する。
【解決手段】背もたれ部の外縁を形成する外縁フレームと、この外縁フレームの幅方向中央部に、上下方向に延設された左右一対の支持フレームとを備え、前記支持フレーム間に、被施療者に当接して施療可能な施療体が突設されたマッサージ機構を昇降自在に支持する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関し、特に背もたれ部に施療体を昇降自在に配設した椅子式のマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な椅子式のマッサージ機は、被施療者が腰掛ける座部と、その座部の後部に背もたれ部とを備え、この背もたれ部に施療体を備えたマッサージ機構を上下昇降自在に取付けて構成されている。
【0003】
例えば、図10に示した従来の椅子式マッサージ機201では、背もたれ部205に取付けたマッサージ機構212に施療体としての一対のもみ玉214,214を備え、これにより、被施療者が座部(図示せず)に座った状態で、もみ玉214の動作とマッサージ機構212の昇降によりマッサージを受けることができるようになっている。
【0004】
マッサージ機構212の昇降機構としては、図示するように、背もたれ部205の外縁を構成する左右1対の縦フレーム210,210に、それぞれラック部211と凹状レール部209を形成する一方、マッサージ機構212に連設した回転軸220の左右端部に前記ラック部211に噛合するピニオン216とガイドローラ217とをそれぞれ回転自在に取付け、図示しないモータにより前記ピニオン216を回転させるとともに、ガイドローラ217を凹状レール部209内に当接させながら昇降させる構成がスタンダードなものとなっていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−007208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成の場合、マッサージするに際し、被施療者の体重がもみ玉214にかかると、それに伴いマッサージ機構212に連設した回転軸220が後方へ湾曲するおそれがあり、そうなると、回転軸220の最外側に位置するピニオン216やガイドローラ217の位置がずれてしまうおそれがある。このように、ピニオン216やガイドローラ217が歪んだ状態のままのマッサージ機構212が昇降すると、大きな動作音を発生させたり、あるいは昇降動作に支障を来したりするおそれがあった。
【0006】
また、背もたれ部の外縁を構成する縦フレーム210は、被施療者の体重による前後方向の荷重を受けても撓んだりすることがないように、また、マッサージ機構を介して偏荷重を受けても歪んだりしないように十分な剛性を有する金属材料で形成する必要があったため、必然的に重量も増し、マッサージ機201全体の重量を増加させていた。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、軽量化を図りつつ、マッサージ機構を昇降させたときの動作音を抑制可能なマッサージ機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明では、背もたれ部の外縁を形成する外縁フレームと、この外縁フレームの幅方向中央部に、上下方向に延設された左右一対の支持フレームと、を備え、前記支持フレーム間に、被施療者に当接して施療可能な施療体が突設されたマッサージ機構を昇降自在に支持したマッサージ機とした。
【0009】
(2)本発明は、上記(1)において、前記マッサージ機構を前記左右の支持フレームの間で昇降自在に支持する支持機構を備え、この支持機構は、前記支持フレームの前側に当接する第1の回転体と、前記支持フレームの後側に当接する第2の回転体とを具備し、これら回転体により、前記支持フレームを前後から挟持した状態で前記マッサージ機構を昇降可能としたことを特徴とする。
【0010】
(3)本発明は、上記(2)において、前記第1の回転体を、前記マッサージ機構に設けられたピニオンとし、このピニオンを、前記施療体の突出方向に歯列が形成され、前記支持フレームに取り付けられたラックと噛合させる一方、前記第2の回転体を、前記ピニオンと連結部材を介して連結したガイドローラとし、当該ガイドローラと前記ピニオンとにより、前記支持フレームを前後から挟持した状態で前記マッサージ機構を昇降可能としたことを特徴とする。
【0011】
(4)本発明は、上記(2)又は(3)のいずれかにおいて、少なくとも前記ラックと前記ピニオンとを合成樹脂により形成したことを特徴とする。
【0012】
(5)本発明は、上記(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記外縁フレームを、前記支持フレームよりも軽量素材で形成したことを特徴とする。
【0013】
(6)本発明は、上記(1)〜(4)において、前記外縁フレームを、前記支持フレームよりも高強度素材で形成したことを特徴とする。
【0014】
(7)本発明は、上記(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記支持フレームは、上下方向に略直線的に伸延するとともに、前後方向に可撓性を有することを特徴とする。
【0015】
(8)本発明は、上記(1)〜(7)のいずれかにおいて、前記支持フレームを円形パイプ状に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、背もたれ部の外縁を形成する外縁フレームの幅方向中央部に、上下方向に延設された左右一対の支持フレームを設け、この支持フレーム間に、被施療者に当接して施療可能な施療体が突設されたマッサージ機構を昇降自在に支持したため、マッサージ機構に被施療者の体重がかかった場合、外縁フレームには昇降機構が存在せず、またその体重を外縁フレームでは直接受けることがないので外縁フレームの剛性や設計精度を特に高めなければならないといった制約がなくなり、例えば、外縁フレーム及び支持フレームそれぞれに適切な強度設計することによって、両フレームの素材として軽量素材を採用することが可能となり、マッサージ機の軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本実施形態に係るマッサージ機は、背もたれ部の外縁を形成する外縁フレームと、この外縁フレームの幅方向中央部に、上下方向に延設された左右一対の支持フレームと、を備え、前記支持フレーム間に、被施療者に当接して施療可能な施療体が突設されたマッサージ機構を昇降自在に支持している。すなわち、左右幅が広い外縁フレームに対して、幅狭の左右一対の支持フレームを別途設け、これにマッサージ機を昇降自在に取り付けている。なお、施療体としては、左右1対のもみ玉を好適に用いることができる。
【0018】
そして、前記マッサージ機構を前記左右の支持フレームの間で昇降自在に支持する支持機構を備えた構成としており、この支持機構は、前記支持フレームの前側に当接する第1の回転体と、前記支持フレームの後側に当接する第2の回転体とを具備し、これら回転体により、前記支持フレームを前後から挟持した状態で前記マッサージ機構を昇降可能としている。したがって、マッサージ機構を支持することのない外縁フレームには、さほど剛性や精度は求められず、しかも、被施療者の体重を、施療体を介して受ける支持フレームには、その前後から挟持した状態で前記マッサージ機構を昇降可能とした第1、第2回転体を備える支持機構を備えているため、荷重のかかる方向に支持フレームが少々撓んだりしても、マッサージ機構の昇降には支障はなく、円滑な昇降動作が実現できる。つまり、支持フレームについても、撓むことが許されないような剛性は不要であり、フレーム全体の軽量化が図れ、ひいてはマッサージ機全体の軽量化が図れることになる。
【0019】
このように、本実施形態に係るマッサージ機の特徴的な構成は、背もたれ部を形作る外縁フレームとは別に、この外縁フレームの幅方向中央部にマッサージ機構を支持する支持フレームを設けた点にあり、特に、従来、十分な剛性が必要とされた外縁フレームを軽量化することが可能となり、さらに、左右の外縁フレーム間の幅に比べて幅狭に配設される左右の支持フレームには、被施療者による荷重が偏倚することなくかかるため、捩れなどをさほど考慮する必要がなく、前後に撓む程度はマッサージ機構の昇降に支障がないため、支持フレームについても軽量素材を利用することが可能となっている。そのため、マッサージ機全体の軽量化を図ることができる。
【0020】
上記構成において、前記第1の回転体を、前記マッサージ機構に設けられたピニオンとし、このピニオンを、前記施療体の突出方向に歯列が形成され、前記支持フレームに取り付けられたラックと噛合させる一方、前記第2の回転体を、前記ピニオンと連結部材を介して連結したガイドローラとし、当該ガイドローラと前記ピニオンとにより、前記支持フレームを前後から挟持した状態で前記マッサージ機構を昇降可能とすることができる。
【0021】
すなわち、被施療者の体重は支持フレームに対して前後方向にかかるが、ガイドローラとピニオンとにより、支持フレームを前後から挟持したので、常にガイドローラは、ピニオンに当接する方向に押圧力を与えながら回転動作することで、マッサージ機構の昇降を円滑に行うことが可能となる。しかも、左右の支持フレーム間は、左右の外縁フレーム間よりもはるかに幅狭であり、被施療者からマッサージ機構を介して支持フレームにかかる荷重は偏倚することが少なく、そのため、ピニオンとラックとの噛合がずれたり、軋んだりすることもない。
【0022】
また、少なくとも前記ラックと前記ピニオンは、合成樹脂により形成することが好ましく、金属製とするよりもはるかに軽量化が図れるとともに、マッサージ機構が昇降動作するときに発生するラックとピニオンとの噛合による音を抑えて静音化を実現することができる。
【0023】
上述してきた構成において、前記外縁フレームや支持フレームは、具体的には従来の椅子式マッサージ機のフレームよりも軽量な素材で形成するとよい。かかる構成とすることにより、マッサージ機の軽量化が確実に図れる。なお、軽量素材としては特に材料を限定するものではないが、特に支持フレームにおいては金属材料に限らず、しなりやすい材質も有利に適用でき、例えばカーボン材料や合成樹脂材料、発泡材料等などが考えられる。また、支持フレーム側に人体を支えるだけの十分な強度が備わっている場合、支持フレームの外側に例えば所定の幅を有する合成樹脂製の板状体で枠状に形成したものであっても外縁フレームの概念に含まれる。
【0024】
また、前記支持フレームを、上下方向に略直線的に伸延するとともに、前後方向に可撓性を有する材料で形成することができる。かかる構成とすることにより、マッサージ機の使い始めから使いこなしていくうちに、支持フレームが被施療者の体型及び体重に応じて適度に前後方向に撓み、被施療者にフィットした形状となることで、マッサージ機としての使い勝手が著しく向上し、施療効果も向上させることが可能となる。
【0025】
なお、前記支持フレームは、具体的には図1〜図8に示す円形パイプ状や図9に示すようなプレス品が適用される。
【0026】
円形パイプ状とすることで、軽量化を図りつつ強度を保つことができ、さらに、円形パイプの周曲面を前後方向よりピニオンとガイドローラで前後を挟持する構成であれば、マッサージ機構はピニオンとガイドローラで円形パイプを抱きながら昇降することになり、がたつきもなくスムーズな昇降動作を可能とすることができる。
【0027】
また、プレス品を採用する場合、製作コストの低減がより一層図られ、特に樹脂製のラックを取り付ける場合、支持フレームに取り付け孔を開設するが、その場合の位置精度が円形パイプに比べ良くコスト的にも有利である。
【0028】
特に望ましいと考えられる図9に示す実施例の場合、断面ハット形としてラックの取り付け側は平坦に、ガイドローラで受ける側の形状は円形パイプの場合と同様に円弧状にしている。
【0029】
このように構成することで、ラックの取り付け性がますます向上する一方、人体の直接的な押圧力を断面凹面状ガイドローラとの当接で良好に受けることができる。
【0030】
なお、マッサージ機構の昇降機構としては、必ずしもピニオンとラックとを用いる必要はない。例えば、マッサージ機構に、支持フレームを前後方向から挟持する前後一対のガイドローラを配設するとともに、マッサージ機構を例えばワイヤで吊って昇降する構成としてもよい。
【0031】
かかる構成によっても、マッサージ機構の昇降動作時に動作音を抑えて静音を図ることができるとともに、マッサージ機の軽量化を図ることができる。
【0032】
上記外縁フレームに弾性体を介して支持フレームを支持するように構成してもよい。
【0033】
かかる構成によれば、被施療者の体重による荷重に応じて弾性体が伸縮することで、外縁フレームより支持フレームが前後に沈み込み被施療者の体型を包み込みながらマッサージ機構によるマッサージを実施することができる。そして、マッサージ機構が、ラックアンドピニオンにより昇降し、ピニオンとその背部に配設されたガイドローラにより支持フレームを前後方向から挟持している構成、あるいは支持フレームを前後方向から挟持する前後一対のガイドローラにより支持されている構成などであれば、マッサージ機構が支持フレームを昇降動作する場合にもなんら支障はない。
【0034】
また、この場合、前記外縁フレームは、前記支持フレームよりも高強度素材で形成する構成とするとよく、マッサージ機構自体の重量や、被施療者の体重による荷重が支持フレームにかかっても、支持フレームは高強度素材からなる外縁フレームに弾性体を介してしっかりと支持されているため、背もたれ部が変形したりするおそれもない。
【0035】
以下、本発明に係る第1の実施形態について、図面を参照しながらより具体的に説明する。図1は本実施形態に係るマッサージ機の全体構成を示す側面視による説明図、図2は本実施形態に係るマッサージ機の全体構成を示す斜視図、図3はマッサージ機の背もたれ部に配設されたマッサージ機構の構成を示す側面図、図4はマッサージ機構の説明図であり、図4(a)は図3のA−A断面図、図4(b)は図4(a)の要部拡大図である。
【0036】
本実施形態に係るマッサージ機1は、図1及び図2に示すように、被施療者が着座する座部2と、その座部2を支持する基台部3と、座部2の後側に倒伏自在にリクライニングできるように連結された背もたれ部5と、座部2の前側上部近傍に設けた枢支部6を中心に、上下方向へ揺動可能に連結した脚載部7とを有しており、基台部3を除く各部については、必要に応じて合成皮革などからなるカバーにより直接、あるいはクッション部材を介して被覆している。
【0037】
本実施形態に係るマッサージ機1の特徴的な構成は、図示するように、背もたれ部5の外縁を形成する略長方形状の断面視チャンネル状に形成した外縁フレーム10の幅方向中央部に、上下方向に延設された左右一対の円形パイプからなる支持フレーム11を備え、これら両支持フレーム11間に、被施療者に当接して押圧によって施療可能な施療体としての左右一対のもみ玉14a、14bが突設された後述するマッサージ機構12を昇降自在に支持したことにある。
【0038】
また、マッサージ機1は、マッサージ機構12を左右の支持フレーム11,11の間で昇降自在に支持する支持機構を備えており、この支持機構は、支持フレーム11,11の前側に当接する第1の回転体と、前記支持フレーム11,11の後側に当接する第2の回転体とを具備したもので、これら2つの回転体により、支持フレーム11,11を前後から挟持した状態でマッサージ機構12を昇降可能としている。具体的には、図3及び図4に示すように、各支持フレーム11の前側に多数の歯列を形成したラック13を取付け、このラック13に噛合するピニオン17を前記第1の回転体とするとともに、このピニオン17とコ字形状の連結部材16を介して連結し、各支持フレーム11の後側に当接するように配設したガイドローラ18を第2の回転体としたフレーム支持部15を、各支持フレーム11に上下2ケ所ずつ設けている。
【0039】
下方に位置する左右のフレーム支持部15のピニオン17同士は、図3に示すように、昇降用の回転軸20にそれぞれ連結されており、この昇降用の回転軸20は昇降用モータm1に連動連結している。
【0040】
他方、上方に位置するフレーム支持部15のピニオン17同士は、図3及び図4に示すように、マッサージ機構12を前後に進退させる進退軸21を介して連結されており、いずれのピニオン17も支持フレーム11上に配設されたラック13と噛合している。
【0041】
図4(b)に示すように、各ガイドローラ18の周面22は、円形パイプからなる支持フレーム11の周曲面23に対応して凹状湾曲面としており、各ガイドローラ18は、ピニオン17と協働して、支持フレーム11を後側より抱持する状態で上下方向に回転動作することとなる。
【0042】
本実施形態におけるピニオン17及びラック13、そしてガイドローラ18は、いずれも合成樹脂により形成されており、支持機構の軽量化が図られている。
【0043】
また、ピニオン17及びガイドローラ18は連結部材16に回転自在に枢支され、ピニオン17及びガイドローラ18とで支持フレーム11を前後から挟持した状態で上下方向に昇降するため、安定した昇降動作が実現し、しかも、金属同士が当接するのとは異なり、昇降時の静音性が極めて高い。
【0044】
外縁フレーム10は、図1及び図2に示すように、断面コ字形状の左右の縦フレーム25を対向するように配設し、同両縦フレーム25の上下端部にそれぞれ横フレーム26を連設して略長方形の枠体を形成している。そして、上下の横フレーム26,26間に、取付け部材27を介して支持フレーム11を連結固定している。なお、取付け部材27は、横フレーム26に係合するように断面視略U字状としており、支持フレーム11の両端部を固設している。
【0045】
また、外縁フレーム10は、基台部3を構成する基台フレーム30に回動自在に枢支されている。すなわち、図1及び図2に示すように、基台フレーム30は、複数のフレームを連設することにより構成されており、基台フレーム30の底部を構成する左右の角フレーム31,31と、同角フレーム31,31の前部と中途部とをそれぞれ連結する連結フレーム32,32と、左右それぞれの角フレーム31の中途部より立設した枢支フレーム33と、左右それぞれの角フレーム31の前部より立設した前側フレーム34とから構成されており、前記枢支フレーム33の上端後部位置に枢支部9を設け、この枢支部9を介して、外縁フレーム10の中途に設けたブラケット36を連結している。
【0046】
そして、ブラケット36に、図示しないアクチュエータを連結することによって、外縁フレーム10が枢支部9を中心に回動自在となり、背もたれ部5がリクライニング自在となる。
【0047】
図中、35,35は前側フレーム34と枢支フレーム33の上部前側との間に掛け渡したプレート板であり、プレート板35,35間には座プレート37を掛け渡して座部クッション(図示せず)を載置可能な構成としている。
【0048】
ところで、本実施形態では、外縁フレーム10と支持フレーム11とは、いずれも金属製としているが、例えば、マッサージ機構12などを支持することがなく、また、被施療者の体重などを直接受けることもない外縁フレーム10を、軽量素材である合成樹脂材、あるいはカーボン繊維などで形成して、支持フレーム11よりもはるかに軽量化することにより、前記支持機構の軽量化と相俟って、マッサージ機1全体のさらなる軽量化を図ることもできる。
【0049】
次に、支持フレーム11,11に取り付けられるマッサージ機構12について説明する。マッサージ機構12は、図4(b)に示すように、左右上下にそれぞれ設けたフレーム支持部15のピニオン17とガイドローラ18とを連結する連結部材16を、上下間で連結材19を介して連結して枠体構造を形成し、その枠体間で、ピニオン17同士を連結する回転軸20及び進退軸21に必要部材を適宜連結しており、施療体である左右一対のもみ玉14a,14bを駆動するもみ玉駆動ユニット40を備えている。
【0050】
もみ玉駆動ユニット40は、もみ玉14a、14bを上下たたき方向に揺動させることによってたたき作動を行わせるたたき機構と、もみ玉14a、14bを偏心回動させることによってもみ作動を行わせるもみ機構と、当該マッサージ機構12を背もたれ部5の表側、すなわち、被施療者側に向けて進退移動させる進退機構とを備えている。そして、進退位置によって、もみ玉14a、14bによる被施療者への押圧力を変え、マッサージ強度を変えることができる。
【0051】
たたき機構は、主要構成要素としてたたき用モータm4を備えており、図示しないたたき用回動軸を介してもみ玉14a、14bと連動連結し、もみ玉14a、14bにたたき動作を行わせる。
【0052】
また、もみ機構は、主構成要素としてもみ用モータm3を備えており、図示しないもみ用回動軸を介してもみ玉14a、14bと連動連結し、もみ玉14a、14bにもみ動作を行わせる。
【0053】
また、進退機構は、主構成要素として進退用モータm2と、進退用モータm2により回転する進退軸21と、この進退軸21に設けられたピニオン44と、このピニオン44が噛合する円弧状ラック46とを備えており、もみ玉駆動ユニット40全体を前後方向へ進退移動させることができる。すなわち、進退用モータm2が駆動すると、進退軸21が回転し、進退軸21に取り付けたピニオン44が円弧状ラック46上を前後方向に移動することにより、もみ玉駆動ユニット40が弧を描くように進退する。
【0054】
本実施形態では、外縁フレーム10の縦フレーム25と支持フレーム11との間に所定の間隙が形成されるため、昇降用モータm1や進退用モータm2などをかかる間隙内に配設することにより、マッサージ機構12を背もたれ部5内に効率よく配置することができるとともに、左右の重量バランスが良好となるようにしている。
【0055】
以下、本マッサージ機1が備えるその他の構成について簡単に説明する。図1及び図2において、4は外縁フレーム10の縦フレーム25に取り付けられた体側施療部として機能する側壁部、8は座部2の左右側に設けられる肘掛部である。また、52は半円筒状の左右脚受部を並設した脚載本体部、53は足裏受部であり、いずれも脚載部7を構成している。
【0056】
また、図示しないが、座部2の後部側には臀下部用エアバッグ、前部側には腿部用エアバッグ、左右側には臀側部用エアバッグがそれぞれ取付けられ、脚載部7についても脚上部用エアバッグ、脚下部用エアバッグが取付けられる。また、背もたれ部5の左右側上部には背中部用エアバッグ、左右側下部に腰部用エアバッグがそれぞれ配設される。そして、各エアバッグは、基台部3内に配設されるエアポンプ(図示せず)から供給されるエアによって膨張収縮し、エアマッサージを実行することが可能となっている。
【0057】
上述してきたように、本実施形態に係るマッサージ機1は、外縁フレーム10の中央位置に上下に伸延させた左右の支持フレーム11,11にマッサージ機構12を昇降自在に配設した構成となっており、被施療者がマッサージを受けるために、座部2に座って背もたれ部5に寄りかかると、体重が後方に向かって掛かることとなる。このときマッサージ機構12に後方向への荷重がかかっており、マッサージ機構12を介して、これを支持している支持フレーム11に荷重が伝達され、支持フレーム11はやや後方へ撓んだ状態になることが考えられる。
【0058】
かかる状態において、マッサージ機構12を昇降作動すると、昇降用モータm1からの動力が回転軸20を介してピニオン17に伝達され、ピニオン17が回転することでマッサージ機構12は昇降駆動するが、このとき、左右の支持フレーム11をフレーム支持部15で前後方向より挟持した状態でガイドローラ18及びピニオン17が回転するため、支持フレーム11にかかる荷重や、そのための前後方向の少々の撓みに関係なく、マッサージ機構12は円滑に昇降動作し、ラック13、ガイドローラ18及びピニオン17が合成樹脂よりなるため、動作時に発生する動作音も著しく抑制される。
【0059】
また、本実施形態のマッサージ機1では、背もたれ部5を形作る外縁フレーム10とは別に、この外縁フレーム10の幅方向中央部にマッサージ機構12を支持する支持フレーム11を設けたことから、従来、十分な剛性が必要とされた外縁フレーム10を軽量化することが可能となる。
【0060】
さらに、外縁フレーム10の左右の縦フレーム25,25間に比べて幅狭に配設された左右の支持フレーム11,11には、被施療者による荷重が偏倚することなくかかるため、捩れなどをさほど考慮する必要がなく、前後に撓む程度は、上述した支持機構(フレーム支持部15)の構成により、マッサージ機構12の昇降には全く支障がない。そのため、支持フレーム11についても軽量素材を利用することも可能であり、より大幅な軽量化が期待できる。
【0061】
また、本実施形態に係る支持フレーム11は金属製の円形パイプにより形成され、上下方向に略直線的に伸延配設されているが、その変形例として、前後方向に可撓性を有する支持フレーム62とすることもできる。
【0062】
以下、第1の実施形態の変形例1について説明する。図5は、第1の実施形態の変形例1を示す断面視による説明図である。なお、この図5では、理解を容易にするために、支持フレームの撓み度合いを誇張して示している。第1の実施形態と変形例1が異なる点は、支持フレームが前後方向に可撓性を有し、経時的に塑性変形する点にある。
【0063】
図5に示すように、この変形例1に係る可撓性を有する支持フレーム62は、マッサージを実行するために被施療者による荷重が繰り返しかかると、例えば、一点鎖線で示すように後方向に弓なりに湾曲した状態に変形する。
【0064】
しかし、マッサージ機構12は、前述したように、支持フレーム62の上下左右の4ヶ所でフレーム支持部15により支持されており、フレーム支持部15のピニオン17とガイドローラ18とで支持フレーム62を前後方向から挟持状態としている。したがって、たとえ支持フレーム62が湾曲した状態においても、マッサージ機構12の昇降動作には支障がなく、ピニオン17とラック13との噛合による動作音の発生もなく静音を維持することが可能となる。しかも、支持フレーム62の前後方向への湾曲度合いは、被施療者の体型に応じたものとなるため、被施療者にフィットした背もたれ部5となり、被施療者にとって心地よいマッサージが実現する。このように、本変形例1によれば、被施療者がマッサージ機1を使用していく間に、当該被施療者の体重、体型に応じて支持フレーム62が前後方向に撓み、施療者の体型にフィットした形状に変形するのである。したがって、マッサージ機1としての使い勝手が向上し、施療効果も向上する。
【0065】
本変形例1によれば、支持フレーム62は上下方向に略直線的に伸延し、前後方向に可撓性を有するのであるが、この場合の外縁フレーム10は、好ましくは支持フレーム62よりも高強度素材で形成するとよい。あるいは、支持フレーム62よりも特に高強度ではなくとも、支持フレーム62を介して荷重を受けた際に、変形しない程度の強度を有するものとする必要がある。
【0066】
次に、第1の実施形態の変形例2について説明する。図6は、第1の実施形態の変形例2を示す正面図である。変形例2では、外縁フレームを板状に形成した点にある。
【0067】
変形例2に係る背もたれ部71の外縁フレーム70は、図6に示すように、発泡材料や合成樹脂材料により、所定の幅を有する長板状の板体で矩形枠状に形成しており、これを背もたれ部71の骨格としている。この外縁フレーム70で囲繞された空間に、マッサージ機構12を昇降自在に支持する支持フレーム11を配設している。
【0068】
この変形例2によれば、背もたれ部71を著しく軽量化することが可能である。外縁フレーム70の発泡材上を合成皮革などからなるカバーにより直接被覆することが可能となり、さらに背もたれ部71の軽量化を図ることができる。なお、この例のように、外縁フレーム70を単一素材で形成する他、例えば発泡材料と合成樹脂材料とを重ね合わせて形成してもよい。
【0069】
また、この変形例2の背もたれ部71に、前述した変形例1における可撓性の支持フレーム62を適用してもよい。
【0070】
本発明に係るマッサージ機の第2の実施形態について、図7を参照しながら説明する。図7(a)はマッサージ機構の支持機構を示す側面視による説明図、図7(b)は、フレーム支持部の平面視による説明図である。
【0071】
本実施形態では、上述した第1の実施形態に係るマッサージ機構12のフレーム支持部15のピニオン17と、支持フレーム11に取り付けたラック13とを用いることなくマッサージ機構12を昇降動作させるようにしている点に特徴がある。すなわち、本実施形態では、フレーム支持部15が、支持フレーム11を前後方向から挟持する前側ガイドローラ83と後側ガイドローラ89とを備えており、このフレーム支持部80をワイヤ82で吊り、このワイヤ82を介してマッサージ機構12を支持フレーム11に沿って昇降作動させる構成としている。
【0072】
図7(a)に示すように、第1の回転体としての前側ガイドローラ83と第2の回転体としての後側ガイドローラ89とを連結する連結部材16に、上部ブラケット85と下部ブラケット86とを連設し、これら上部ブラケット85と下部ブラケット86とにワイヤ82の端部をそれぞれ連結している。ワイヤ82は、背もたれ部5内の上下にそれぞれ配設されたプーリー88,88に巻回されており、下方のプーリー88は巻取りモータ87に連動連結されている。
【0073】
前側、後側ガイドローラ83,89はそれぞれ合成樹脂製であり、前側ガイドローラ83を後側ガイドローラ89よりも大径とし、いずれのガイドローラ83,89も、図7(b)に示すように、その周面84,22を支持フレーム11の円形パイプの周曲面23に対応して凹状の曲面に形成し、支持フレーム11の前後側から当接して、支持フレーム11を抱持した状態で上下方向に回転動作する。
【0074】
かかる構成により、巻取りモータ87を正逆回転してワイヤ82を上下させれば、支持フレーム11に沿ってマッサージ機構12を安定した状態で昇降作動させることができる。しかも、ワイヤ82を介しての昇降であり、かつ前側ガイドローラ83及び後側ガイドローラ89は合成樹脂製なので、昇降動作で発生する音は抑制され、きわめて静かである。
【0075】
最後に、本発明に係るマッサージ機の第3の実施形態について、図8を参照して説明する。本実施形態では、外縁フレームを支持フレームよりも高強度素材で形成するとともに、支持フレームを、弾性体を介して外縁フレームに吊支している。
【0076】
図示するように、背もたれ部5の外縁を形成する外縁フレーム90は略長方形状の枠状に形成され、上下に配設した横フレーム92,92に、弾性体としてのコイルスプリング102を介して支持フレーム103を吊支している。本実施形態における支持フレーム103は、ラック13を前面に設けた左右の縦パイプ104,104の上端同士及び下端同士を横パイプ105,105で連結して、外縁フレーム90同様に略長方形状の枠状に形成されており、前記コイルスプリング102を支持フレーム103の四隅に連結している。
【0077】
この実施形態においても、これまでの実施形態同様に、マッサージ機構12は4ヶ所に設けたフレーム支持部15により、支持フレーム103に昇降自在に取り付けられており、フレーム支持部15は、支持フレーム103のラック13に噛合するピニオン17と、支持フレーム103の後側に当接するガイドローラ18とを備えている(図4参照)。
【0078】
このように、支持フレーム103を、弾性体を介して外縁フレーム10に支持させた場合、マッサージ機構12が支持フレーム103間を昇降動作する際に、被施療者の体重などに応じて弾性体であるコイルスプリング102が伸長し、外縁フレーム90よりも後方へ支持フレーム103が沈み込む。すなわち、支持フレーム103には荷重による曲げモーメントなどが加わらないため、支持フレーム103の強度はさほど必要ではなく、マッサージ機構12を支持できるだけの強度があればよい。そのため、この実施形態では、支持フレーム103よりも外縁フレーム90を高強度素材で形成している。
【0079】
また、このように外縁フレーム90を高強度素材で形成した場合、例えば、背もたれ部5に、何らかの大きな外力が加わったとしても、外縁フレーム90が高強度素材で形成されているので、背もたれ部5が変形することがない。
【0080】
また、支持フレーム103が外縁フレーム90よりも沈み込んだとしても、マッサージ機構12はフレーム支持部15を介して支持フレーム103にしっかりと支持されているため、昇降動作には何ら支障をきたさない。また、支持フレーム103が沈み込むと、それに伴い、被施療者の身体も外縁フレーム90内に沈み込み、被施療者は、あたかも背もたれ部5に包み込まれた状態となって、心地よいマッサージが実現できる。
【0081】
なお、この実施形態に係る背もたれ部5の構造においても、図7に示したワイヤ駆動のように、マッサージ機構12をラックアンドピニオン方式以外の方法で昇降させることができる。勿論、その場合は、フレーム支持部15には、前後ガイドローラを設けるとよい。
【0082】
また、上述してきた例では、支持フレームを円形パイプ状として説明したが、図9に示すように、断面ハット形としたプレス品を採用することもできる。
【0083】
図示するように、支持フレーム110は、円形パイプの場合と同様にガイドローラ18や後側ガイドローラ89を受ける側の形状を円弧状とした断面視略U字状の溝部112と、この溝部112の左右からそれぞれ外側に折曲させてラック13の取付面となる鍔部111,111とから一体的にプレス成型され、断面ハット形状に形成されている。そして、鍔部111,111上には、図示しない取付孔を介して樹脂により一体成型されたラック130を取付けている。
【0084】
このように、支持フレーム110はプレス成型することによってより製作コストの低減が図られており、特に、前記取付孔の位置精度も円形パイプに比べて良好となるため、ラック130の取り付け性が向上し、コスト的にも有利となっている。しかも、被施療者の直接的な押圧力を、この場合でも、前述してきたように断面凹面状としたガイドローラ18(89)との当接で良好に受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1の実施形態に係るマッサージ機の全体構成を示す側面視による説明図である。
【図2】同マッサージ機の全体構成を示す斜視図である。
【図3】マッサージ機構の構成を示す側面図である。
【図4】同マッサージ機構の説明図である。
【図5】第1の実施形態に係るマッサージ機の変形例1を示す側面図である。
【図6】第1の実施形態に係るマッサージ機の変形例2を示す側面図である。
【図7】第2の実施形態に係るマッサージ機の要部を示す説明図である。
【図8】第3の実施形態に係るマッサージ機の要部を示す説明図である。
【図9】支持フレームの変形例を示す説明図である。
【図10】従来のマッサージ機構の昇降機構を示す説明図である。
【符号の説明】
【0086】
1 マッサージ機
10 外縁フレーム
11 支持フレーム
12 マッサージ機構
13 ラック
15 フレーム支持部
16 連結部材
17 ピニオン
18 ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背もたれ部の外縁を形成する外縁フレームと、この外縁フレームの幅方向中央部に上下方向に延設された左右一対の支持フレームと、
を備え、
前記支持フレーム間に、被施療者に当接して施療可能な施療体が突設されたマッサージ機構を昇降自在に支持した
ことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記マッサージ機構を前記左右の支持フレームの間で昇降自在に支持する支持機構を備え、
この支持機構は、
前記支持フレームの前側に当接する第1の回転体と、前記支持フレームの後側に当接する第2の回転体とを具備し、これら回転体により、前記支持フレームを前後から挟持した状態で前記マッサージ機構を昇降可能とした
ことを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記第1の回転体を、前記マッサージ機構に設けられたピニオンとし、このピニオンを、前記施療体の突出方向に歯列が形成され、前記支持フレームに取り付けられたラックと噛合させる一方、前記第2の回転体を、前記ピニオンと連結部材を介して連結したガイドローラとし、当該ガイドローラと前記ピニオンとにより、前記支持フレームを前後から挟持した状態で前記マッサージ機構を昇降可能とした
ことを特徴とする請求項2記載のマッサージ機。
【請求項4】
少なくとも前記ラックと前記ピニオンとを合成樹脂により形成した
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記外縁フレームを、前記支持フレームよりも軽量素材で形成した
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記外縁フレームを、前記支持フレームよりも高強度素材で形成した
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記支持フレームは、上下方向に略直線的に伸延するとともに、前後方向に可撓性を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記支持フレームを円形パイプ状に形成した
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−160136(P2009−160136A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341036(P2007−341036)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】