説明

マッサージ機

【課題】当初の所要時間より短い時間での自動コースマッサージを行う。
【解決手段】予め設定されたプログラム通りに各種マッサージ動作を順次実行していく自動コースマッサージの機能を備えたものにおいて、自動コースマッサージ中の各種マッサージ動作のうちの主眼とするマッサージ動作を実行して他のマッサージ動作は省略する短縮動作モードを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機、ことに予め設定されたプログラム通りに各種マッサージ動作を順次実行していく自動コースマッサージの機能を備えたマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動コースマッサージの機能を備えたマッサージ機は従来より各種提供されているが、この自動コースマッサージとしては、大多数の人によって効果的であると思われるものが設定されており、また一般に複数種の自動コースマッサージ、たとえば全身を対象としたもの、首・肩を対象としたもの、腰部を対象としたものを使用者が選択可能に構成されている。また、自動コースマッサージでは、通常、15分間程度の時間をかけて各種マッサージ動作を順次実行していくものであるとともに、そのマッサージ効果を高めるために、身体を慣らすための導入用マッサージ動作を行った後に、主眼とするマッサージ動作を行い、次いで身体を整えるための仕上げ用マッサージ動作を行うのが一般的である。
【0003】
しかし、被施療者にしてみれば、個人的な好みから、特定のマッサージ動作を更に長く行って欲しい時や、あるマッサージ動作は不要であるために、他のマッサージ動作に早く移行して欲しい時がある。このために、特開平6−327739号公報には、あるマッサージ動作の実行中に操作すればそのマッサージ動作の繰り返しを指示することになるスイッチや、そのマッサージ動作を中止して次のマッサージ動作に移行させることになるスイッチを設けたものが開示されている。
【0004】
一方、被施療者には、例えば作業の合間に少しマッサージを受けたいという要望がある。この場合、上記の15分ほどの時間がかかることになる自動コースマッサージを選択したならば、自動コースマッサージの途中でマッサージを打ち切ることになり、選択された自動コースマッサージの本来のマッサージ効果が中途半端になったり、主眼とするマッサージ動作が行われる前に打ち切ってしまって、主眼とするマッサージ動作(例えば肩や首への重点的なマッサージ)を被施療者が全く得られない場合が生じる。
【0005】
上記のマッサージ動作を中止して次のマッサージ動作に移行させることになるスイッチを設けたものでは、自動コースマッサージの初期に行われる導入用の各マッサージ動作をスキップさせ、主眼とするマッサージ動作に早く移行させることが可能であるが、この場合、主眼となるマッサージ動作が始まるまでの導入用の複数のマッサージ動作に対して夫々スイッチを操作していかなかくてはならず、きわめて面倒である。
【特許文献1】特開平6−327739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような点に鑑み為されたものであり、その目的とするところは当初の所要時間より短い時間での自動コースマッサージを行うことができるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係るマッサージ機は、予め設定されたプログラム通りに各種マッサージ動作を順次実行していく自動コースマッサージの機能を備えたものにおいて、上記自動コースマッサージ中の各種マッサージ動作のうちの主眼とするマッサージ動作を実行して他のマッサージ動作は省略する短縮動作モードを備えていることに特徴を有している。
【0008】
短縮動作モードで自動コースマッサージを行わせれば、導入用のマッサージ動作や、主眼とするマッサージ動作の後に行われる仕上げ用マッサージ動作などが省略されて、主眼とするマッサージ動作が行われる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動コースマッサージ中の主眼とするマッサージ動作を短時間のうちに得ることができるために、時間が無い時にも被施療者が望むマッサージ動作を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明すると、マッサージ機の機構的な点については何ら限定するものではないために具体例を示すことはしないが、例えば椅子の背もたれなどに内蔵されて被施療者背面の首・肩から腰にかけての任意の位置に対して、複数種の手技によるマッサージを行うことができるものを好適に用いることができる。
【0011】
図1(a)は「さすり」、「たたき」、「指圧」、「もみ」の4種の手技を行うことができるとともに、各手技によるマッサージ動作の強さと速さとを調整することができるマッサージ機において、首を主要マッサージ対象とする自動コースマッサージにおけるマッサージ動作の実行順序と、施療度合いの変化とを示しており、図中イが導入用マッサージ動作、ロが主眼とするマッサージ動作、ハが仕上げ用としてのマッサージ動作に該当する。
【0012】
図2は上記自動コースマッサージ動作を可能としているマッサージ機のブロック図であり、図中1はマッサージ機構の動作を制御して、上記の各種マッサージ動作を行わせる制御部であり、該制御部1が備えるテーブル10には、上記の自動コースマッサージの手順が格納されている。図中11は自動コースマッサージを指示するための指示手段(スイッチ)、12,13は短縮動作モードで動作させるための短縮動作モード指示手段である。
【0013】
なお、上記テーブル10は、例えば首・肩に対するマッサージをメインにした自動コースマッサージ、腰部に対するマッサージをメインにした自動コースマッサージ等、複数種の自動コースマッサージに応じて複数設けられているのであるが、ここではテーブル10が一つだけのものを例として示している。
【0014】
自動コースマッサージが被施療者から指示された時、制御部1は上記テーブル10から該当する自動コースマッサージに関するデータを順次読み出して実行していくのであるが、上記テーブル10には、実行する手技の種類とマッサージ強さと速さと動作時間と動作位置(部位)のパラメータに加えて、短縮動作モードが指定された時に実行する動作なのかスキップする動作なのかを示す短縮パラメータも格納されている。
【0015】
図3に2つの短縮動作モードを備えたものにおけるテーブル10の一例を示す。図中の短縮パラメータ0はスキップを、短縮パラメータ1は実行を示している。短縮動作モード1に比して短縮動作モード2では、スキップする動作が多くなっている。ただし、いずれの短縮動作モードにおいても、前述の主眼とするマッサージ動作の全部または殆どはスキップされることはなく、導入用マッサージ動作及び仕上げ用マッサージ動作が主たるスキップ対象となっている。
【0016】
今、制御部1に対して自動コースマッサージを指示した時、制御部1は指示された自動コースマッサージ動作に関するテーブル10から最初の動作の動作パラメータを読み出し、その動作パラメータで指定された動作を実行させる。そして、動作パラメータ中の動作時間で指定された時間が経過すれば、ポインタを移して次の動作の動作パラメータを読み出して、その動作を実行させる。このようにして全ての動作を実行すれば、マッサージ機構を所定の位置に戻す。通常の自動コースマッサージが指示された時には、制御部1は短縮パラメータを無視するために、テーブル10上の全ての動作が実行される。
【0017】
これに対して、短縮動作モード1を指定した上で自動コースマッサージを指示したならば、制御部1は短縮動作モード1においてスキップが指定されている動作をスキップしつつマッサージ動作を順次実行させる。図1(b)はこの場合の動作を示している。
【0018】
短縮動作モード2を指定した上で自動コースマッサージを指示した場合には、短縮動作モード2でスキップが指定されている動作を全てスキップし、残る動作(図示例では主眼とするマッサージ動作)のみを実行させる(図1(c)参照)。
【0019】
スキップさせることになるマッサージ動作は、前述のように導入用マッサージ動作と仕上げ用マッサージ動作が主たる対象であるが、図1に示す例にも示しているように、主眼とするマッサージ動作の中にもスキップさせるものを含ませてもよく、また主眼としないマッサージ動作を全てスキップしないものであってもよい。
【0020】
短縮動作モード1に比して短縮動作モード2は、スキップさせる動作の数が多くなっているために、短縮動作モードでの自動コースマッサージは、短縮動作モード2の方がより早く終わる。
【0021】
図4に他例を示す。ここでは短縮動作モード時にも実行する動作について、その強さや速さ並びに動作時間を修正する短縮時修正パラメータもテーブル10に格納している。短縮動作モードで動作させた時には、スキップされずに実行される動作の強さと速さと動作時間を本来のものと異なるものとすることができる。
【0022】
強さや速さや動作時間の変更は、短縮モードの指定のための指定手段12,13と同様に、強さ指定手段15や速さ指定手段16や動作時間指定手段17を設けておき、テーブル10における強さパラメータや速さパラメータや動作時間パラメータが強さ指定手段15や速さ指定手段16や動作時間指定手段17で指定された方向に修正されるようにしておいてもよい。例えば強さ指定手段15が強さを1段階強くする設定になっておれば、テーブル10上の強さパラメータを1段大きくして、1段階強いマッサージ動作が常になされるようにするのである。
【0023】
上記の実施例では、自動コースマッサージのテーブル10に短縮動作パラメータを付加することで、短縮動作モード時にも上記テーブル10を利用するものを示したが、短縮動作モード用自動コースマッサージのためのテーブル10を別途設けておいてもよい。もちろん、該テーブル10には主眼とするマッサージ動作だけで構成された自動コースマッサージを記録しておく。
【0024】
このほか、短縮動作モードにおいては自動コースマッサージ中の各動作の動作時間パラメータだけを変更するもの、殊に導入用マッサージ動作と仕上げ用マッサージ動作の動作時間パラメータを短縮変更するものであってもよい。なお、動作時間パラメータを0分とした動作はスキップして省略した場合と同等となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)(b)(c)は本発明の実施の形態の一例における動作説明図である。
【図2】同上のブロック回路図である。
【図3】同上のテーブル内容の説明図である。
【図4】他例のテーブル内容の説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 制御部
10 テーブル
12 短縮動作モード指示手段
13 短縮動作モード指示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定されたプログラム通りに各種マッサージ動作を順次実行していく自動コースマッサージの機能を備えたものにおいて、上記自動コースマッサージ中の各種マッサージ動作のうちの主眼とするマッサージ動作を実行して他のマッサージ動作は省略する短縮動作モードを備えていることを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−104445(P2010−104445A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277398(P2008−277398)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】