説明

マッサージ機

【課題】温度の変化をともなう多様なマッサージ感を付与することが可能な構造を有するマッサージ機を提供する。
【解決手段】マッサージ機の揉み玉装置60には、マッサージ機構40の支持軸52により支持される揉み玉61と、この揉み玉61を覆う袋体62とが設けられている。またマッサージ機においては、袋体62内へのガスの供給および袋体62内からのガスの排出を行うガス制御装置70が設けられている。そして、袋体62内に供給されるガスを加熱または冷却する温度調節機構が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揉み玉装置を含むマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記マッサージ機として、特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1のマッサージ機では、揉み玉内のチューブにガスを供給することにより揉み玉を硬化させる。また、チューブからガスを排出することにより揉み玉を軟化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−153971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記マッサージ機によれば、ガスの供給および排出により揉み玉の硬さを変化させることができるため、多様なマッサージ感を身体に付与することができる。しかし、揉み玉の温度が変化することはないため、より多様なマッサージ感を付与するという点においてさらなる改善の余地が残されている。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、温度の変化をともなう多様なマッサージ感を付与することが可能な構造を有するマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための手段を以下に記載する。
・本発明のマッサージ機は、揉み玉装置を含み、前記揉み玉装置には、身体に押し付けられる揉み玉と、この揉み玉を覆う袋体とが設けられていること、前記袋体内へのガスの供給および前記袋体内からのガスの排出を行なうガス制御装置が設けられていること、ならびに、前記袋体内に供給されるガスおよび前記袋体内のガスの少なくとも一方を加熱または冷却する温度調節装置が設けられていることを特徴としている。
【0007】
・このマッサージ機においては、前記袋体内のガスが排出されることにともない前記揉み玉が硬化することが好ましい。
・このマッサージ機においては、前記揉み玉が多孔性材料により構成されていることが好ましい。
【0008】
・このマッサージ機においては、前記袋体内にガスが供給されることにともない前記揉み玉が軟化することが好ましい。
・このマッサージ機においては、前記ガス制御装置が負圧ポンプにより前記袋体内のガスを排出すること、ならびに、前記負圧ポンプが停止しているとき、前記温度調節装置により加熱または冷却されたガスが前記袋体内に供給されることが好ましい。
【0009】
・このマッサージ機においては、前記ガス制御装置が正圧ポンプにより前記袋体内にガスを供給すること、ならびに、前記正圧ポンプが動作しているとき、前記温度調節装置により加熱または冷却されたガスが前記袋体内に供給されることが好ましい。
【0010】
・このマッサージ機においては、前記揉み玉を支持する支持部材が設けられていること、ならびに、前記温度調節装置が前記支持部材を介して前記袋体内のガスを加熱または冷却することが好ましい。
【0011】
・このマッサージ機においては、前記揉み玉が蓄熱材を含めて構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、温度の変化をともなう多様なマッサージ感を付与することが可能な構造を有するマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態のマッサージ機について、(a)はその側面構造を示す側面図、(b)はその正面構造を示す正面図。
【図2】同実施形態のマッサージ機について、(a)は揉み玉装置の断面構造を示す断面図、(b)はマッサージ機構の一部の断面構造を示す断面図。
【図3】同実施形態のマッサージ機について、(a)は揉み玉装置の断面構造を示す断面図、(b)はマッサージ機構の一部の断面構造を示す断面図。
【図4】同実施形態のマッサージ機について、マッサージ機構のガスの通路を示す模式図。
【図5】本発明の第2実施形態のマッサージ機について、(a)は揉み玉装置の断面構造を示す断面図、(b)はマッサージ機構の一部の断面構造を示す断面図。
【図6】同実施形態のマッサージ機について、(a)は揉み玉装置の断面構造を示す断面図、(b)はマッサージ機構の一部の断面構造を示す断面図。
【図7】同実施形態のマッサージ機について、マッサージ機構のガスの通路を示す模式図。
【図8】本発明の第3実施形態のマッサージ機について、マッサージ機構の一部の断面構造を示す断面図。
【図9】本発明のその他の実施形態のマッサージ機について、揉み玉装置の断面構造を示す断面図。
【図10】本発明のその他の実施形態のマッサージ機について、(a)は揉み玉装置の断面構造を示す断面図、(b)はマッサージ機構の一部の断面構造を示す断面図。
【図11】本発明のその他の実施形態のマッサージ機について、(a)は揉み玉装置の断面構造を示す断面図、(b)はマッサージ機構の一部の断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示されるように、マッサージ機1には、臀部を支持する座部10と、脚を支持するオットマン11と、背中を支持する背もたれ12と、各腕を支持する一対の肘掛13とが設けられている。またこの他に、座部10に対するオットマン11の姿勢を変更する第1姿勢変更機構20と、座部10に対する背もたれ12の姿勢を変更する第2姿勢変更機構30とが設けられている。
【0015】
背もたれ12の背フレーム12Aには、腰、背中、肩、および首等の施術部分を揉みほぐすマッサージ機構40が取り付けられている。マッサージ機構40は、背フレーム12Aに沿って移動することが可能な状態で背フレーム12Aに取り付けられている。
【0016】
マッサージ機構40には、駆動源となる駆動部41と、身体を揉みほぐす揉み玉装置60と、揉み玉装置60の内部のガスを給排するガス制御装置70とが設けられている。
マッサージ機1には、各姿勢変更機構20,30、およびマッサージ機構40を制御する制御装置100が設けられている。
【0017】
第1姿勢変更機構20には、駆動源となる第1電動モータ21と、同モータ21の出力軸に接続された第1ボールねじ22とが設けられている。第1ボールねじ22はオットマン11にも接続されている。
【0018】
第2姿勢変更機構30には、駆動源となる第2電動モータ31と、同モータ31の出力軸に接続された第2ボールねじ32とが設けられている。第2ボールねじ32は背もたれ12にも接続されている。
【0019】
オットマン11の動作について説明する。
オットマン11は、座部10とオットマン11との接続部分まわりを回転することによりその姿勢が変更される。以下では、オットマン11に脚が支持された状態において、膝関節が伸びる方向に向けてオットマン11が回転する方向を「上昇方向」とし、オットマン11が回転する方向において上昇方向と反対方向を「下降方向」とする。
【0020】
第1電動モータ21が正転するとき、第1ボールねじ22がその軸方向においてオットマン11に向けて移動する。これにともない、オットマン11が上昇方向に向けて回転する。
【0021】
第1電動モータ21が逆転するとき、第1ボールねじ22がその軸方向においてオットマン11から離間する方向に移動する。これにともない、オットマン11が下降方向に向けて回転する。
【0022】
背もたれ12の動作について説明する。
背もたれ12は、座部10と背もたれ12との接続部分まわりを回転することによりその姿勢が変更される。以下では、座部10に対して背もたれ12が起き上がる方向を「上昇方向」とし、上昇方向と反対方向を「下降方向」とする。
【0023】
第2電動モータ31が正転するとき、第2ボールねじ32がその軸方向において背もたれ12に向けて移動する。これにともない、背もたれ12が上昇方向に向けて回転する。
第2電動モータ31が逆転するとき、第2ボールねじ32がその軸方向において背もたれ12から離間する方向に移動する。これにともない、背もたれ12が下降方向に向けて移動する。
【0024】
図2および図3を参照して、揉み玉装置60の構成の詳細について説明する。
揉み玉装置60には、身体に押し付けられる揉み玉61と、この揉み玉を覆う袋体62と、揉み玉61を図1の駆動部41に対して回動することが可能な状態で支持する支持機構50とが設けられている。
【0025】
揉み玉61は、連続気泡体が設けられた多孔性材料により構成されている。多孔性材料としては、例えばスポンジ部材を用いることができる。
袋体62は、伸縮が可能な材料により構成されている。このような材料としては、例えばゴム材料を用いることができる。袋体62の内周縁は、揉み玉61に固定されている。
【0026】
支持機構50には、駆動部41に接続されたアーム51と、アーム51の先端部分において直交するように設けられた支持軸52と、アーム51に対して支持軸52が回転することが可能な状態で支持する軸受部材53とが設けられている。またこの他に、支持軸52に接続された接続機構90が設けられている。接続機構90を介して図1のガス制御装置70による揉み玉装置60のガスの給排が行われる。なお、支持軸52は「支持部材」に相当する。
【0027】
駆動部41によりアーム51が駆動部41に対して回動動作する。支持軸52はアーム51と一体に動作する。支持軸52には、揉み玉61が取り付けられている。このため、アーム51により駆動部41に対して支持軸52とともに揉み玉61および袋体62が一体に回動する。
【0028】
支持軸52には、同支持軸52の軸方向において支持軸52を貫通する貫通孔である収容部分52Aと、収容部分52Aと揉み玉61とを連通する貫通孔である連通部分52Bとが形成されている。
【0029】
接続機構90には、ガス制御装置70に接続されるL型ジョイント91と、支持軸52の連通部分52Bに取り付けられL型コネクタ92と、L型ジョイント91およびL型コネクタ92を互いに接続するチューブ93とが設けられている。チューブ93は、L型ジョイント91およびL型コネクタ92の間のガスの流通を可能にしている。
【0030】
L型ジョイント91は、支持軸52の外部に設けられている。L型ジョイント91には、ガス制御装置70に接続される第1ジョイント91Aと、チューブ93に接続される第2ジョイント91Bとが設けられている。第2ジョイント91Bは、第1ジョイント91Aに対する回転が可能な状態で第1ジョイント91Aに取り付けられている。
【0031】
袋体62内のガスの給排態様について説明する。以下では、揉み玉装置60において袋体62の内部の圧力が大気圧と同じ状態を「基準状態」とし、ガス制御装置70により袋体62の内部の圧力が予め設定された負圧の値となる状態を「収縮状態」とする。なお、図2では基準状態の揉み玉装置60を示し、図3では収縮状態の揉み玉装置60を示している。
【0032】
揉み玉装置60が基準状態において、ガス制御装置70から接続機構90を介して袋体62内からガスが排出されるとき、揉み玉61の各気泡体が小さくなる。これにともない、揉み玉61の外径が小さくなる。また揉み玉61の外径が小さくなるにつれて袋体62が同様に小さくなる。このとき、袋体62の内部の圧力が負圧となる。
【0033】
そして、揉み玉装置60が収縮状態となったとき、基準状態から収縮状態までの範囲において揉み玉61の各気泡体が最小となる。これにともない、基準状態から収縮状態までの範囲において揉み玉61の外径が最小となるとともに袋体62の外径も最小となる。このとき、基準状態から収縮状態までの範囲において袋体62の内部の負圧が最大となる。
【0034】
揉み玉装置60が収縮状態において、接続機構90を介して袋体62内にガスが供給されるとき、揉み玉61の各気泡体が大きくなる。これにともない、揉み玉61の外径が大きくなる。また揉み玉61の外径が大きくなるにつれて袋体62が同様に大きくなる。袋体62内へのガスの供給は、外部の気圧(大気圧)と袋体62の内部の気圧とが互いに等しくなるまで、すなわち基準状態になるまで行われる。
【0035】
次に、袋体62内のガスの給排状態と揉み玉61の硬さとの関係は次のようになる。
(a)揉み玉装置60が基準状態においては、基準状態から収縮状態までの範囲において揉み玉61が最も軟らかい。
(b)揉み玉装置60が収縮状態においては、基準状態から収縮状態までの範囲において揉み玉61が最も硬い。
(c)揉み玉装置60が基準状態から収縮状態に変更されるにつれて、揉み玉61が硬くなる。
【0036】
図4を参照して、ガス制御装置70の構成の詳細について説明する。
ガス制御装置70には、袋体62内のガスを排出させる負圧ポンプ71と、袋体62内に供給するガスを貯める気室72と、気室72のガスを加熱または冷却する温度調節装置73とが設けられている。またこの他に、負圧ポンプ71、気室72、および袋体62の内部のそれぞれを接続するガス通路80と、ガス通路80内の連通態様を切り替える三方弁74と、ガス通路80に接続される上述の接続機構90とが設けられている。温度調節装置73としては、例えばペルチェ素子を用いることができる。
【0037】
ガス通路80には、第1通路81、第2通路82、および第3通路83が設けられている。第1通路81は、三方弁74と袋体62の内部(接続機構90)とを接続している。第2通路82は、三方弁74と負圧ポンプ71とを接続している。第3通路83は、三方弁74と気室72とを接続している。
【0038】
三方弁74は、電磁駆動されるとともに次のように切替態様を変更する。
(第1切替態様)第1通路81と第2通路82とを連通し、かつ第1通路81と第3通路83とを遮断する。
(第2切替態様)第1通路81と第3通路83とを連通し、かつ第1通路81と第2通路82とを遮断する。
【0039】
制御装置100による負圧ポンプ71および三方弁74の制御態様について説明する。
(制御態様1)負圧ポンプ71を駆動させ、かつ三方弁74を第1切替態様に変更する。
(制御態様2)負圧ポンプ71を停止させ、かつ三方弁74を第2切替態様に変更する。
【0040】
制御装置100が制御態様1による制御を行うとき、揉み玉装置60がそのときどきの状態から収縮状態に向けて変更される。すなわち、揉み玉61の外径が小さくなるとともに、袋体62の負圧が大きくなる。
【0041】
制御装置100が制御態様2による制御を行うとき、揉み玉装置60がそのときどきの状態から基準状態に向けて変更される。すなわち、揉み玉61の外径が大きくなるとともに、袋体62の負圧が小さくなる。加えて、揉み玉61および袋体62が加熱または冷却される。
【0042】
次に、制御態様1および2のときのガスの流通態様について説明する。
図4(a)に示されるように、制御態様1においては、袋体62内のガスが接続機構90を介してガス制御装置70に排出される。ガス制御装置70に供給されたガスは、第1通路81から三方弁74および第2通路82を介して負圧ポンプ71に供給される。そして負圧ポンプ71から外部にガスが排出される。
【0043】
図4(b)に示されるように、制御態様2においては、袋体62内の気圧が接続機構90、第1通路81、三方弁74、第3通路83、および気室72の内部の気圧よりも低いため、気室72のガスが第3通路83、三方弁74、および第1通路81の順に流通する。そして接続機構90を介して袋体62内にガスが供給される。このとき、気室72のガスは、温度調節装置73により加熱または冷却される。このため、袋体62内には、温度調節装置73により加熱または冷却されたガスが供給される。
【0044】
(実施形態の効果)
本実施形態のマッサージ機1によれば以下の効果が得られる。
(1)マッサージ機1においては、温度調節装置73が設けられたガス制御装置70により袋体62内にガスが供給される。この構成によれば、温度調節装置73により加熱または冷却された気室72のガスが袋体62内に供給されるため、揉み玉61および袋体62のそれぞれが加熱または冷却された状態となる。この状態において、揉み玉61により身体をマッサージすることにより、揉み玉61および袋体62を介して身体に温感または冷感が付与される。したがって、温度の変化をともなう多様なマッサージ感を付与することができる。
【0045】
(2)マッサージ機1においては、ガス制御装置70および接続機構90により袋体62内のガスが排出される。そして基準状態よりも揉み玉61の外径が小さくなるとともに、基準状態よりも揉み玉61が硬くなる。この構成によれば、基準状態よりも揉み玉61が硬くなることにより揉み味を変更することができる。また、基準状態よりも揉み玉61の外径が小さくなることにより基準状態の揉み玉61よりも局所的なマッサージを行うことができる。
【0046】
(3)マッサージ機1においては、ガス制御装置70および接続機構90により袋体62内にガスが供給される。そして収縮状態よりも揉み玉61の外径が大きくなるとともに、収縮状態よりも揉み玉61が軟らかくなる。この構成によれば、収縮状態よりも揉み玉61が軟らかくなることにより揉み味を変更することができる。また、揉み玉61の外径が大きくなることにより収縮状態の揉み玉61よりも広範囲にわたるマッサージを行うことができる。
【0047】
(4)マッサージ機1においては、ガス制御装置70の負圧ポンプ71が駆動から停止に切り替えられた時に気室72内において温度調節装置73により加熱または冷却されたガスが袋体62内に供給される。この構成によれば、負圧ポンプ71が駆動したときには袋体62の内部の圧力が負圧となる。この状態において負圧ポンプ71を停止することにより気室72から袋体62内に向かいガスが流通する。このため、気室72により供給されたガスにより揉み玉61および袋体62を加熱または冷却することができる。
【0048】
(5)マッサージ機1においては、L型ジョイント91の第2ジョイント91Bが第1ジョイント91Aに対する回転が可能な状態で第1ジョイント91Aに取り付けられている。この構成によれば、揉み玉61、袋体62および支持軸52の回転にともない、第1ジョイント91Aに対して第2ジョイント91Bが回転する。すなわち、揉み玉61、袋体62および支持軸52の回転にともない、第1ジョイント91Aは回転しない。このため、第1ジョイント91Aが回転することにより第1通路81が回転することがない。したがって、第1通路81が回転することにともない第1通路81が揉み玉61および袋体62やL型ジョイント91等の他の部材に絡まることを抑制することができる。
【0049】
(第2実施形態)
図5〜図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態のマッサージ機1は、第1実施形態のマッサージ機1の一部を変更したものとして構成されている。このため、以下では第1実施形態のマッサージ機1と異なる点の詳細を説明し、同実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0050】
第1実施形態のマッサージ機1においては、負圧ポンプ71により袋体62内のガスを排出することにより揉み玉61および袋体62のそれぞれを収縮および膨張させている。これに対して、本実施形態のマッサージ機1においては、図7の正圧ポンプ75により袋体62内にガスを供給することにより揉み玉61および袋体62のそれぞれを膨張および収縮させている。また揉み玉61および袋体62のそれぞれの膨張および収縮の態様が異なる。
【0051】
図5および図6を参照して、揉み玉装置60の膨張態様および収縮態様について説明する。なお、袋体62の内部の圧力と大気圧とが等しい状態を「基準状態」とし、ガス制御装置70により袋体62の内部の圧力が予め設定された正圧になる状態を「膨張状態」とする。図5では基準状態の揉み玉装置60の状態を示し、図6では膨張状態の揉み玉装置60の状態を示している。
【0052】
揉み玉装置60が基準状態において、接続機構90を介して袋体62内にガスが供給されるとき、ガスは揉み玉61を通過するとともに袋体62を膨張させる。これにともない、揉み玉61の外径および袋体62の外径のそれぞれが大きくなる。このとき、揉み玉61の膨張度合よりも袋体62の膨張度合のほうが大きい。このため、揉み玉61から袋体62が離間する。またこのとき、袋体62の内部の圧力が大気圧よりも高くなる。すなわち正圧となる。
【0053】
そして、揉み玉装置60が膨張状態となったとき、基準状態から膨張状態までの範囲において揉み玉61の外径および袋体62の外径のそれぞれが最大となる。このとき、基準状態から膨張状態までの範囲において袋体62の内部の正圧が最大となる。
【0054】
揉み玉装置60が膨張状態において、接続機構90を介して袋体62内からガスが排出されるとき、揉み玉61の外径および袋体62の外径のそれぞれが小さくなる。このとき、揉み玉61の収縮度合よりも袋体62の収縮度合のほうが大きい。このため、揉み玉61に袋体62が接近する。そして、基準状態になったときには、揉み玉61と袋体62とが互いに接触する。
【0055】
次に、袋体62内のガスの給排状態と揉み玉装置60の硬さとの関係は次のようになる。なお、揉み玉装置60の硬さとは、揉み玉61および袋体62が身体に接触するときの揉み玉61および袋体62を含めた硬さである。
(a)基準状態においては、基準状態から膨張状態までの範囲において揉み玉装置60が最も軟らかい。
(b)膨張状態においては、基準状態から膨張状態までの範囲において揉み玉装置60が最も硬い。
(c)基準状態から膨張状態に変更するにつれて、揉み玉装置60が硬くなる。
【0056】
図7に示されるように、ガス制御装置70には、袋体62内にガスを供給する正圧ポンプ75と、袋体62内に供給するガスを貯める気室72と、気室72のガスを加熱または冷却する温度調節装置73とが設けられている。またこの他に、正圧ポンプ75、気室72、および袋体62の内部のそれぞれを接続するガス通路110と、ガス通路110内の連通態様を切り替える三方弁74と、ガス通路110に接続される接続機構90とが設けられている。
【0057】
ガス通路110には、第1通路111、第2通路112、第3通路113、および第4通路114が設けられている。第1通路111は、三方弁74と袋体62の内部(接続機構90)とを接続している。第2通路112は、三方弁74と正圧ポンプ75とを接続している。第3通路113は、三方弁74と外気とを接続している。第4通路114は、気室72と正圧ポンプ75とを接続している。
【0058】
三方弁74は、電磁駆動されるとともに次のように切替態様を変更する。
(第1切替態様)第1通路111と第2通路112とを連通し、かつ第1通路111と第3通路113とを遮断する。
(第2切替態様)第1通路111と第3通路113とを連通し、かつ第1通路111と第2通路112とを遮断する。
【0059】
制御装置100による正圧ポンプ75および三方弁74の制御態様について説明する。
(制御態様1)正圧ポンプ75を駆動させ、かつ三方弁74を第1切替態様に変更する。
(制御態様2)正圧ポンプ75を停止させ、かつ三方弁74を第2切替態様に変更する。
【0060】
制御装置100が制御態様1による制御を行うとき、揉み玉装置60がそのときどきの状態から膨張状態に向けて変更される。すなわち、揉み玉61の外径が大きくなるとともに、袋体62の正圧が大きくなる。加えて、揉み玉61および袋体62が加熱または冷却される。
【0061】
制御装置100が制御態様2による制御を行うとき、揉み玉装置60がそのときどきの状態から基準状態に向けて変更される。すなわち、揉み玉61の外径が小さくなるとともに、袋体62の正圧が小さくなる。
【0062】
次に、制御態様1および2のときのガスの流通態様について説明する。
図7(a)に示されるように、制御態様1においては、ガス制御装置70において気室72のガスが第4通路114、正圧ポンプ75、第2通路112、三方弁74、および第1通路111の順に流通する。そして、ガス制御装置70から接続機構90を介して袋体62内にガスが供給される。このとき、気室72のガスは、温度調節装置73により加熱または冷却される。このため、袋体62内には、温度調節装置73により加熱または冷却されたガスが供給される。
【0063】
図7(b)に示されるように、制御態様2においては、袋体62の内部の気圧が接続機構90およびガス制御装置70の気圧(大気圧)よりも高いため、袋体62内のガスが接続機構90を介してガス制御装置70に排出される。ガス制御装置70に供給されたガスは、第1通路111から三方弁74および第3通路113を介して外気にガスが排出される。
【0064】
(実施形態の効果)
本実施形態のマッサージ機1によれば、第1実施形態の(5)の効果に加え、以下の(6)〜(8)の効果を奏することができる。
【0065】
(6)マッサージ機1においては、ガス制御装置70の正圧ポンプ75の駆動時に気室72内において温度調節装置73により加熱または冷却されたガスが袋体62内に供給される。この構成によれば、気室72により供給されたガスにより揉み玉61および袋体62のそれぞれが加熱または冷却された状態となる。この状態において、揉み玉61および袋体62により身体をマッサージすることにより、揉み玉61および袋体62を介して身体に温感または冷感が付与される。したがって、温度の変化をともなう多様なマッサージ感を付与することができる。
【0066】
(7)マッサージ機1においては、ガス制御装置70および接続機構90により袋体62内にガスが供給される。そして基準状態よりも袋体62の外径が大きくなるとともに、基準状態よりも揉み玉装置60が硬くなる。この構成によれば、基準状態よりも揉み玉装置60が硬くなることにより揉み味を変更することができる。また、袋体62内へのガスの供給量を調整することにより揉み玉装置60の硬さを調整することができる。
【0067】
(8)マッサージ機1においては、ガス制御装置70および接続機構90により袋体62内からガスが排出される。そして膨張状態よりも袋体62の外径が小さくなるとともに、膨張状態よりも揉み玉装置60が軟らかくなる。この構成によれば、膨張状態よりも揉み玉装置60が軟らかくなることにより揉み味を変更することができる。
【0068】
(第3実施形態)
図8を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態のマッサージ機1は第2実施形態のマッサージ機1の一部を変更したものとして構成されている。このため、以下では第2実施形態のマッサージ機1と異なる点の詳細を説明し、同実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0069】
第2実施形態のマッサージ機1においては、ガス制御装置70の気室72に温度調節装置73が設けられていることにより気室72の内部の加熱または冷却されたガスを袋体62内に供給している。
【0070】
これに対して本実施形態のマッサージ機1においては、支持軸52に温度調節装置120が設けられることにより、支持軸52を介して袋体62内のガスを加熱または冷却する。また、ガス制御装置70においては、温度調節装置73を省略している。
【0071】
支持軸52の収容部分52AにおいてL型コネクタ92よりも先端側の部分には、温度調節装置120が収容されている。温度調節装置120は、支持軸52の収容部分52Aを構成する内側面に接触している。
【0072】
温度調節装置120による揉み玉装置60の袋体62への伝熱経路は次のようになる。
(経路1)支持軸52、および揉み玉61を介して袋体62に伝熱する。
(経路2)支持軸52、および支持軸52と袋体62との接続部分を介して袋体62に伝熱する。
【0073】
マッサージ機1においては、袋体62内のガスの給排状態と、揉み玉装置60の加熱および冷却状態との組合せは次のようになる。なお、以下では、次のように用語を定義する。揉み玉装置60が加熱されている状態を「加熱状態」とし、揉み玉装置60が冷却されている状態を「冷却状態」とする。また、揉み玉装置60が基準状態および収縮状態の間にある状態を「中間状態」とする。
(組合せ1)揉み玉装置60が基準状態、かつ揉み玉装置60が加熱状態。
(組合せ2)揉み玉装置60が基準状態、かつ揉み玉装置60が冷却状態。
(組合せ3)揉み玉装置60が収縮状態、かつ揉み玉装置60が加熱状態。
(組合せ4)揉み玉装置60が収縮状態、かつ揉み玉装置60が冷却状態。
(組合せ5)揉み玉装置60が中間状態、かつ揉み玉装置60が加熱状態。
(組合せ6)揉み玉装置60が中間状態、かつ揉み玉装置60が冷却状態。
【0074】
(実施形態の効果)
本実施形態のマッサージ機1によれば、第1実施形態の効果(3)および(5)に加え、以下の(9)の効果が得られる。
【0075】
(9)マッサージ機1においては、支持軸52に設けられた温度調節装置120により支持軸52を介して揉み玉装置60を加熱または冷却している。この構成によれば、ガス制御装置70から袋体62内へのガスの給排に依存せずに揉み玉61および袋体62のそれぞれが加熱または冷却される。したがって、揉み玉装置60の硬さに関係なく揉み玉61および袋体62のそれぞれが加熱または冷却されるため、上記の(組合せ1)〜(組合せ6)のように、多様なマッサージ感を身体に与えることができる。
【0076】
(その他の実施形態)
本発明の実施態様は、上記第1〜第3実施形態の内容に限定されるものではなく、例えば以下のように変更することもできる。また、以下の変形例は上記第1〜第3実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0077】
・第1実施形態(図4)では、負圧ポンプ71により袋体62内のガスを排出しているが、この負圧ポンプ71に加え、正圧ポンプ75を設けることもできる。この場合には、第3通路83の中間部分に正圧ポンプ75を設ける。そして、制御態様2のときに正圧ポンプ75を駆動することにより気室72のガスを袋体62内に供給する。
【0078】
・第2実施形態(図7)では、正圧ポンプ75により袋体62内にガスを供給しているが、この正圧ポンプ75に加え、負圧ポンプ71を設けることもできる。この場合には、第3通路83に負圧ポンプ71を設ける。そして、負圧ポンプ71と気室72とを第1通路111〜第4通路114とは別の通路により接続する。そして、制御態様2のときに負圧ポンプ71を駆動することにより袋体62内のガスを排出する。そして、負圧ポンプ71を介して気室72に袋体62内から排出されたガスを供給する。
【0079】
・第3実施形態(図8)では、ガス制御装置70から温度調節装置73を省略しているが、ガス制御装置70に温度調節装置73を設けることもできる。この場合、温度調節装置120により支持軸52を介して袋体62内のガスを加熱または冷却するとともに、温度調節装置73により袋体62内に供給するガスを加熱または冷却する。この構成によれば、揉み玉61および袋体62をより効率よく加熱または冷却することができる。
【0080】
・第1〜第3実施形態(図2、図5および図8)において、図9に示されるように、揉み玉61の内部に蓄熱材としての複数の金属球130を設けることもできる。また、蓄熱材として金属球130に代えて金属繊維を用いることもできる。
【0081】
・第2および第3実施形態(図5および図8)では、揉み玉61として多孔性材料により構成しているが、樹脂材料、ゴム材料等の多孔性材料以外の材料を用いることもできる。この場合、図10および図11に示されるように、揉み玉61と袋体62とを連通する2つの連通路140が揉み玉61に設けられる。また、接続機構90においては、L型コネクタ92に代えて各連通路140に連通されるT型コネクタ141が設けられる。
【0082】
袋体62内のガスの給排状態について説明する。以下では、図10では基準状態の揉み玉装置60を示し、図11では膨張状態の揉み玉装置60を示している。
揉み玉装置60が基準状態において、ガス制御装置70から袋体62内にガスが供給されるとき、接続機構90を介して各連通路140にガスが流通する。そして各連通路140を介して袋体62内にガスが供給される。これにともない、揉み玉61の外径および袋体62の外径のそれぞれが大きくなる。このとき、揉み玉61の膨張度合よりも袋体62の膨張度合のほうが大きい。このため、揉み玉61から袋体62が離間する。またこのとき、袋体62の内部の圧力は正圧となる。
【0083】
そして、揉み玉装置60が膨張状態となったとき、基準状態から膨張状態までの範囲において揉み玉61の外径および袋体62の外径が最大となる。このとき、基準状態から膨張状態までの範囲において袋体62の内部の正圧が最大となる。
【0084】
揉み玉装置60が膨張状態において、袋体62内からガスが排出されるとき、袋体62内のガスは各連通路140を介して接続機構90およびガス制御装置70に排出される。このため、揉み玉61の外径および袋体62の外径のそれぞれが小さくなる。このとき、揉み玉61の収縮度合よりも袋体62の収縮度合のほうが大きい。このため、揉み玉61に袋体62が接近する。そして、揉み玉装置60が基準状態になるときには、揉み玉61と袋体62とが互いに接触する。
【0085】
・第1〜第3実施形態(図4、図7、および図8)において、温度調節装置73,120は、ガスを加熱のみ行うように変更することもできる。また、温度調節装置73,120は、ガスを冷却のみ行うように変更することもできる。
【0086】
・第1〜第3実施形態(図1)では、座部10、オットマン11、および背もたれ12が設けられた、いわゆる椅子型のマッサージ機1に本発明を適用した構成の一例を示しているが、本発明は椅子型のマッサージ機1に限られない。例えば、使用者が寝た状態でマッサージが行われる、いわゆるベッド型のマッサージ機に本発明を適用することもできる。要するに、身体に押し付けられる揉み玉が設けられたマッサージ機であれば本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1…マッサージ機、40…マッサージ機構、52…支持軸(支持部材)、60…揉み玉装置、61…揉み玉、62…袋体、70…ガス制御装置、71…負圧ポンプ、73…温度調節装置、75…正圧ポンプ、120…温度調節装置、130…金属球(蓄熱材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揉み玉装置を含むマッサージ機において、
前記揉み玉装置には、身体に押し付けられる揉み玉と、この揉み玉を覆う袋体とが設けられていること、
前記袋体内へのガスの供給および前記袋体内からのガスの排出を行なうガス制御装置が設けられていること、
ならびに、前記袋体内に供給されるガスおよび前記袋体内のガスの少なくとも一方を加熱または冷却する温度調節装置が設けられていること
を特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記袋体内のガスが排出されることにともない前記揉み玉が硬化すること
を特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマッサージ機において、
前記揉み玉が多孔性材料により構成されていること
を特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機において、
前記袋体内にガスが供給されることにともない前記揉み玉が軟化すること
を特徴とするマッサージ機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のマッサージ機において、
前記ガス制御装置が負圧ポンプにより前記袋体内のガスを排出すること、
ならびに、前記負圧ポンプが停止しているとき、前記温度調節装置により加熱または冷却されたガスが前記袋体内に供給されること
を特徴とするマッサージ機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のマッサージ機において、
前記ガス制御装置が正圧ポンプにより前記袋体内にガスを供給すること、
ならびに、前記正圧ポンプが動作しているとき、前記温度調節装置により加熱または冷却されたガスが前記袋体内に供給されること
を特徴とするマッサージ機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のマッサージ機において、
前記揉み玉を支持する支持部材が設けられていること、
ならびに、前記温度調節装置が前記支持部材を介して前記袋体内のガスを加熱または冷却すること
を特徴とするマッサージ機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のマッサージ機において、
前記揉み玉が蓄熱材を含めて構成されていること
を特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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