説明

マッサージ機

【課題】使用者の足先に対して温熱施療を良好に行うことができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】使用者の足先61を保持しつつ変位可能に構成されたフットレスト部22と、フットレスト部22に設けられ、足先61に温熱を付与可能に発熱するヒータ29と、ヒータ29がフットレスト部22に保持された足先61に対して密着する方向にフットレスト部22を付勢するコイルスプリング53とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の足先を保持するフットレスト部を備えるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば施療子の一種である揉み玉による叩き動作等によって使用者の身体を揉みほぐす機械としてマッサージ機が広く知られている。また、近年では、こうしたマッサージ機において、使用者の身体に接触する接触部分に熱源であるヒータを備え、マッサージを行いつつ使用者の身体に温熱を付与して温熱施療を行うマッサージ機が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のマッサージ機には、使用者の足先が挿入される凹部の底壁の裏面にヒータが配備されると共に、この凹部の側壁にエアバッグが配備されている。そして、使用者の足先が凹部に挿入された状態でエアバッグの膨張動作と収縮動作を反復して行うことにより、使用者の足先の側面や甲に対するマッサージ動作を行いつつ、使用者の足裏に対する温熱施療を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−172528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のマッサージ機では、使用者の着座姿勢の変化に伴って、使用者の足先が凹部内においてヒータから離間するように動いてしまうと、使用者の足裏に対してヒータによる温熱を十分に付与することができなくなる虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者の足先に対して温熱施療を良好に行うことができるマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のマッサージ機は、使用者の足先を保持しつつ変位可能に構成されたフットレスト部と、該フットレスト部に設けられ、前記足先に温熱を付与可能に発熱するヒータと、前記足先が前記フットレスト部に保持された状態において、前記ヒータが前記足先に対して密着する方向に前記フットレスト部を付勢する付勢手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のマッサージ機において、前記フットレスト部は、当該フットレスト部に保持された前記使用者の足先における踵寄りとなる部分に対応する位置に設けられた回動軸を中心として回動自在に構成されており、前記付勢手段は、前記回動軸を中心として前記フットレスト部を回動させるように付勢することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のマッサージ機において、前記フットレスト部は、使用者の脚部を保持するレッグレスト部に対して回動可能に連結されており、前記付勢手段は、前記フットレスト部において前記使用者の足裏を支持する足裏支持面が、前記レッグレスト部において前記使用者の脚部を支持する脚部支持面に対して交差する角度が小さくなる回動方向に、前記フットレスト部を付勢することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のマッサージ機において、前記付勢手段は、前記フットレスト部において、該フットレスト部に保持された前記足先におけるつま先寄りとなる部分に対応する部分を付勢することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のマッサージ機において、前記付勢手段は、エアバッグであって、前記エアバッグは、前記ヒータを挟んで前記足先とは反対側に配置されることを特徴とする。
また、本発明のマッサージ機において、前記フットレスト部は、前記ヒータを覆うカバーを有し、前記カバーは、熱伝導性の高い材料によって構成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のマッサージ機において、前記カバーは、金属粉が織り込まれた織物によって構成されることを特徴とする。
また、本発明のマッサージ機は、前記金属粉として銀が用いられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のマッサージ機において、前記フットレスト部は、前記ヒータを覆うカバーを有し、前記カバーは、互いに独立した第1織物及び第2織物が互いに重ね合わされて構成されており、前記第2織物は、前記第1織物の表面において前記使用者の足裏に対応する部分に着脱可能に重ね合わされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用者の足先に対して温熱施療を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る第1実施形態のマッサージ機を示す概略構成図。
【図2】同実施形態のオットマンのフットレスト部を示す斜視図。
【図3】同実施形態のオットマンの内部構成を示す斜視図。
【図4】(a)はフットレスト部が最上方に回動した状態のオットマンの内部構成を示す側面図、(b)はフットレスト部が最下方に回動した状態のオットマンの内部構成を示す側面図。
【図5】(a)は使用者の足先が挿入される前のオットマンの内部構成を側方から見た模式図、(b)は使用者の足先が挿入された後のオットマンの内部構成を側方から見た模式図。
【図6】本発明に係る第2実施形態のマッサージ機の概略構成を示す側面図。
【図7】同実施形態におけるオットマンの概略構成を示す模式図であって、(a)は使用者の足先が挿入された後の状態を示す模式図、(b)は図7(a)に示す状態においてエアバッグの膨張動作が行われた後の状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のマッサージ機10は、図示しない床面上等に載置される脚部11を備え、その脚部11の上部には使用者が着座可能な座部12が固定されている。また、座部12の後部には、使用者が背中をもたれ掛けさせるための背もたれ部13が傾動可能に設けられる一方、座部12の前部には、使用者の脚を載せることができるオットマン14が設けられている。そして、座部12の両側には、使用者が腕を置くための左右一対の肘掛け部15が背もたれ部13から座部12の前方にかけて設けられている。
【0017】
背もたれ部13は、前面が開口された硬質樹脂材料からなる図示しない本体ケースを有する背もたれ部本体13aと、この背もたれ部本体13aの少なくとも前面を覆うカバー部13bとで構成される。背もたれ部本体13aの本体ケース内には、背もたれ部13の上下方向に沿って図示しないガイドレールが設けられるとともに、このガイドレールに沿って上下方向に移動可能にマッサージ機構20が組み付けられている。
【0018】
マッサージ機構20は、2次元方向または3次元方向に動作される施療子20aを備えている。そして、これらの施療子20aが前方に移動してカバー部13bの内面と摺接し、施療子20aがカバー部13bを介して使用者の肩や背中、腰等の施療部位に、揉みや叩き等のマッサージを施すようになっている。
【0019】
オットマン14は、使用者の脚部のうち下腿部分を保持するためのレッグレスト部21と、足先部分の足裏部分を保持するためのフットレスト部22とを別体に備えている。ここでの「下腿部分」は膝から足首までの部分を意味し、「足先部分」は足首から先の部分を意味している。
【0020】
レッグレスト部21は、使用者の下腿部分の裏側(脹脛)から保持可能な2つの脚部支持面としての脹脛支持面23(図3参照)と、各脹脛支持面23の左右両側から延出する側壁24とを有している。そして、各側壁24の間には、使用者の脚部(下腿)を挿入可能となっている。また、各側壁24には、使用者の左右の脚部に対応して膨縮動作が可能なエアバッグ25が内装されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、フットレスト部22は、使用者の足裏部分を支持可能な2つの足裏支持面26と、この足裏支持面26の左右両側から延出する側壁27とを有している。そして、フットレスト部22において左右両側の足裏支持面26の間に位置する側壁27の後端部には、図3に示すコイルスプリング53を挿通可能な挿通部28(図2参照)が形成されている。また、フットレスト部22の各足裏支持面26には、使用者の左右の足裏部分に温熱を付与するヒータ29が設けられている。
【0022】
また、図2に示すように、フットレスト部22には、該フットレスト部22の全体を覆う第1織物としての第1カバー30と、第1カバー30のうち各足裏支持面26に対応する部分を覆う2枚の第2織物としての第2カバー31とが設けられている。なお、第1カバー30及び第2カバー31は、銀が織り込まれた織物によってそれぞれ構成されている。また、第1カバー30において各足裏支持面26の前後方向の両端部に対応する部分には、第1面ファスナー32がそれぞれ設けられている。一方、第2カバー31における前後方向の両端部には、第2面ファスナー33がそれぞれ設けられている。そして、第2カバー31は、第1カバー30に対して着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0023】
次に、オットマン14の内部構成について説明する。
図3に示すように、レッグレスト部21の内部に収納されたレッグフレーム体41は、下側が開放した略U字状をなす第1フレーム部41aと、該第1フレーム部41aにおける左右両側フレーム部分の下方寄りの部位間を幅方向となる左右方向に架橋する第2フレーム部41bとを有しており、前側から見た場合に全体として略四角環状をなすように構成されている。一方、フットレスト部22の内部に収納されたフットフレーム体42は、略U字状をなす前後一対のフレーム部42a,42bを有しており、上側から見た場合に両フレーム部42a,42bが互いに開放した側を対向させて連結された全体として略四角環状をなすように構成されている。そして、レッグフレーム体41における第1フレーム部41aの左右両側フレーム部分の下端部には、フットフレーム体42における各フレーム部42a,42bが左右一対の連結支持部43を介して回動可能に連結されている。
【0024】
連結支持部43は、レッグフレーム体41から前方斜め下方に向けて延設された第1連結部材44と、フットフレーム体42から後方斜め上方に向けて延設された第2連結部材45と、両連結部材44,45の各先端側部分において互いに重ね合う部位に左右方向へ貫通形成された挿通孔46に対して水平に挿通される回動軸47とを有している。なお、第1連結部材44の先端部には、それぞれ左右方向に沿う平面であって、且つ一方が挿通孔46よりも後側上方に位置すると共に他方が挿通孔46よりも前側下方に位置して互いに直交した関係にある第1当接面48と第2当接面49が形成されている。その一方、第2連結部材45には、回動軸47の軸方向でもある左右方向に沿う平面であって、且つ第2連結部材45の延設方向において挿通孔46が形成された位置よりも一端側及び他端側の双方に向けて延びるストッパ面50が形成されている。
【0025】
また、レッグフレーム体41の第2フレーム部41bにおける幅方向(左右方向)の略中央となる位置には、取付金具51が鉛直上方に延びるように取着されている。一方、フットフレーム体42のフレーム部42bにおける左右方向の略中央となる位置からは、アーム状をなす取付金具52が前方斜め上方に向けて延設されている。そして、これらの取付金具51,52は、左右方向において略同一となる位置に配置されている。また、これらの取付金具51,52の先端部の間には、フットフレーム体42を後方斜め上方に向けて付勢する付勢手段としてのコイルスプリング53が介設されている。
【0026】
そして、図4(a)に示すように、常には、コイルスプリング53の付勢力によりフットフレーム体42が回動軸47を中心として同図における時計方向に回動し、第2連結部材45のストッパ面50が第1連結部材44の先端部において左右方向及び前後方向に沿う第1当接面48に対して当接するようになっている。すなわち、使用者の足先61がフットレスト部22に挿入されていない場合には、第2連結部材45のストッパ面50が第1連結部材44の第1当接面48に対して当接し、レッグフレーム体41とフットフレーム体42とが略直交した位置関係となる。
【0027】
一方、図4(b)に示すように、コイルスプリング53の付勢力に抗してフットフレーム体42が回動軸47を中心として同図における反時計方向に回動した場合には、第2連結部材45のストッパ面50が第1連結部材44の先端部において左右方向及び上下方向に沿う第2当接面49に対して当接するようになっている。すなわち、この場合は、第2連結部材45のストッパ面50が第1連結部材44の第2当接面49に対して当接し、レッグフレーム体41とフットフレーム体42とが略平行な位置関係となる。
【0028】
なお、本実施形態では、第1連結部材44において第1当接面48と第2当接面49とが成す角度は約90度となっており、この角度がレッグフレーム体41に対してフットフレーム体42が相対回動可能とされる回動角度に相当している。そして、フットフレーム体42は、レッグフレーム体41に対して略直交する姿勢とレッグフレーム体41に対して略平行となる姿勢との間で、連結支持部43の回動軸47の回動軸線S1を中心として相対回動するようになっている。
【0029】
また、図4(a)及び図4(b)に示すように、コイルスプリング53からフットフレーム体42に対して作用する張力の作用線は、フットフレーム体42がレッグフレーム体41に対して相対回動可能とされる可動範囲内において、フットフレーム体42の回動中心となる連結支持部43の回動軸47の回動軸線S1よりも上方に位置している。そのため、コイルスプリング53は、常には、フットフレーム体42をレッグフレーム体41に対して重ね合わせるようにして、連結支持部43の回動軸47の回動軸線S1を中心としてフットフレーム体42を上方に引き上げる回動方向に付勢するようになっている。その結果、フットレスト部22において使用者の足裏を支持する足裏支持面26は、レッグレスト部21において使用者の脹脛を支持する脹脛支持面23に対して交差する角度が小さくなる回動方向にコイルスプリング53によって付勢されている。
【0030】
次に、上記のように構成されたマッサージ機10の作用について、特に、使用者の足先61がフットレスト部22に挿入される際の作用に着目して以下説明する。
さて、図5(a)に示すように、使用者の足先61が挿入される前の状態では、コイルスプリング53の付勢力に従ってフットフレーム体42が上方に引き上げられている。この場合、フットフレーム体42側に設けられた第2連結部材45のストッパ面50が、レッグフレーム体41側に設けられた第1連結部材44の第1当接面48に当接して係止することにより、レッグフレーム体41とフットフレーム体42とが略直交した位置関係で保持される。
【0031】
続いて、図5(b)に示すように、座部12に着座した使用者の足先61が上方からフットレスト部22に対して挿入されると、使用者の足先61は、フットレスト部22に設けられたヒータ29を下方に押圧する。そして、使用者の足先61によって押圧されるフットレスト部22に収納されたフットフレーム体42は、コイルスプリング53の付勢力に抗して連結支持部43の回動軸47の回動軸線S1を中心として同図における反時計方向(すなわち、下方側)に回動する。
【0032】
この場合、フットフレーム体42には、コイルスプリング53の付勢力に基づき、使用者の足先61からの押圧力に抗するように、連結支持部43の回動軸47の回動軸線S1を中心とした同図における時計方向(すなわち、上方側)への回動力が反力として作用する。そのため、フットフレーム体42を収納するフットレスト部22には、コイルスプリング53からフットフレーム体42を通じて上方側への反力が作用する。その結果、フットレスト部22に設けられたヒータ29は、使用者の足先61に対して密着した状態となるため、ヒータ29の発熱に伴ってヒータ29から使用者の足先61に対して温熱が良好に付与される。
【0033】
特に、本実施形態では、フットフレーム体42の回動中心となる連結支持部43の回動軸47の回動軸線S1は、フットレスト部22に挿入される使用者の足先61における踵寄りとなる部分に位置している。そのため、フットフレーム体42がこの回動軸線S1を中心として回動すると、回動軸線S1に近接する使用者の足先61における踵寄りの部分が固定された状態で、回動軸線S1から離間した使用者の足先61におけるつま先寄りの部分が上方に押圧される。したがって、使用者の足先61には、ヒータ29からの温熱付与に併せてストレッチ効果が付与される。
【0034】
上記第1実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)フットレスト部22が使用者の足先61に密着する方向に付勢されることに伴って、ヒータ29がフットレスト部22に保持された使用者の足先61に対して温熱を十分に付与できるようになる。したがって、使用者の足先61に対して良好に温熱施療を行うことができる。
【0035】
(2)使用者の足先61がフットレスト部22に保持された状態で、フットレスト部22が回動軸47を中心として回動すると、特に、回動軸47から離間した使用者の足先61におけるつま先寄り部分がフットレスト部22を介して押圧される。そのため、使用者の足先61に対して温熱付与に併せてストレッチ効果を付与することができる。
【0036】
(3)コイルスプリング53は、フットレスト部22において使用者の足裏を支持する足裏支持面26が、レッグレスト部21において使用者の脹脛を支持する脹脛支持面23に対して交差する角度が小さくなる回動方向に、フットレスト部22を付勢する。そして、コイルスプリング53がフットレスト部22を付勢すると、フットレスト部22の足裏支持面26は使用者の足先61を押し上げる方向に変位する。そのため、使用者の足先61に対してフットレスト部22に設けられたヒータ29を良好に密着させる構成を容易に実現することができる。
【0037】
(4)ヒータ29を覆う第1カバー30及び第2カバー31は、熱伝導性の高い材料によって構成されている。そのため、ヒータ29からの使用者の足先61に対する温熱施療を維持しつつ、使用者の足先61からの押圧負荷に対してヒータ29を保護することができる。
【0038】
(5)第1カバー30及び第2カバー31は、金属粉が織り込まれた織物によって構成されている。そのため、熱伝導性の高い織物によって第1カバー30及び第2カバー31を構成することができる。
【0039】
(6)第1カバー30及び第2カバー31は、銀が織り込まれた織物によって構成されている。そのため、第1カバー30及び第2カバー31が消臭作用を有するものとなるため、マッサージ機10の使用に伴いフットレスト部22から汗等の臭いが発生することを抑制できる。また、第1カバー30及び第2カバー31が抗菌作用を有するものとなるため、マッサージ機10の使用に伴いフットレスト部22に雑菌が繁殖することを抑制できる。さらに、第1カバー30及び第2カバー31が高い熱伝導性を有するものとなるため、ヒータ29から使用者の足先61に対して良好に温感作用を付与することができる。
【0040】
(7)第2カバー31は、第1カバー30の表面において使用者の足裏に対応する部分に着脱可能に重ね合わされている。そのため、マッサージ機10の使用に伴い汚れやすい部分である足裏に対応する部分に位置する第2カバー31を容易に交換することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6及び図7に基づき説明する。なお、第2実施形態は、フットレスト部22を使用者の足先61に密着させる方向に付勢するための構成が第1実施形態と異なる。したがって、以下の説明においては、第1実施形態と相違する構成について主に説明するものとし、第1実施形態と同一又は相当する構成については同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0042】
さて、図6に示すように、本実施形態のレッグレスト部21の後面の下端部には、側面視略L字状をなす延出部材70が連結されている。延出部材70は、レッグレスト部21側を基端側として鉛直下方に延びるとともに、フットレスト部22よりも下方となる途中位置で前方に向けて略直角に屈曲した構成をなしている。そして、延出部材70の先端部の上面とフットレスト部22の下面との間には、付勢手段としてのエアバッグ71が介設されている。より詳しくは、このエアバッグ71は、フットレスト部22におけるその回動中心となる回動軸線S1よりも前端側部分を上方に付勢可能に構成されている。
【0043】
そして、本実施形態のマッサージ機10では、図7(a)に示すように、座部12に着座した使用者の足先61が上方からフットレスト部22に対して挿入されると、使用者の足先61によりフットレスト部22に設けられたヒータ29が下方に押圧される。そして、使用者の足先61によって押圧されたフットレスト部22は、回動軸線S1を中心として同図における反時計方向(すなわち、下方側)に回動する。
【0044】
続いて、ヒータ29を挟んで使用者の足先61とは反対側に配置されたエアバッグ71の膨張動作が行われる。すると、フットレスト部22は、使用者の足先61からの押圧力に抗するようにエアバッグ71から上方に向けて押圧力が作用することにより、回動軸線S1を中心として同図における時計方向(すなわち、上方側)に回動する。その結果、フットレスト部22に設けられたヒータ29は、使用者の足先61に対して密着した状態となるため、ヒータ29の発熱に伴ってヒータ29から使用者の足先61に対して温熱が良好に付与されるようになる。
【0045】
また、フットレスト部22が回動軸線S1を中心として回動すると、回動軸線S1に近接する使用者の足先61における踵寄りの部分が固定された状態で、回動軸線S1から離間した使用者の足先61におけるつま先寄りの部分が上方に押圧される。したがって、使用者の足先61には、ヒータ29からの温熱付与に併せてストレッチ効果が付与される。
【0046】
特に、本実施形態では、エアバッグ71からフットレスト部22に作用する付勢力は、フットレスト部22の回動中心となる回動軸線S1よりも前方寄りのフットレスト部22における前端側部分に対して作用する。そして、フットレスト部22には、エアバッグ71からの押圧力に基づき、回動軸線S1を中心とした回転モーメントが大きく作用する。そのため、エアバッグ71からフットレスト部22に作用する付勢力に基づいて、フットレスト部22に設けられたヒータ29は、使用者の足先61におけるつま先寄りの部分に対してより強固に密着した状態となる。したがって、ヒータ29の発熱に伴ってヒータ29から使用者の足先61におけるつま先寄りの部分に対して温熱がより良好に付与されるようになる。また、エアバッグ71の膨張動作に伴って使用者の足先61に対してより確実にストレッチ効果が付与される。
【0047】
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態の効果(1),(2),(4)〜(7)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(8)エアバッグ71からフットレスト部22に作用する付勢力は、フットレスト部22の回動軸線S1から大きく離間した部位に作用するため、フットレスト部22には、回動軸線S1を中心とした回転モーメントが大きく作用する。そのため、エアバッグ71は、大きな付勢力を要することなく、フットレスト部22に設けられたヒータ29を使用者の足先61に対して良好に密着させることができる。
【0048】
(9)エアバッグ71は、ヒータ29を挟んで使用者の足先61とは反対側に配置される。そのため、エアバッグ71の膨張動作が行われると、ヒータ29における使用者の足先61に対する密着性が向上するため、使用者の足先61に対して更に良好に温熱施療を行うことができる。
【0049】
なお、上記各実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記各実施形態において、第2カバー31を省略してもよい。この場合、第1カバー30から第1面ファスナー32を省略する構成を採用できる。
【0050】
・上記各実施形態において、銀に代えてアルミニウム等の他の金属粉が織り込まれた織物により第1カバー30及び第2カバー31のうち少なくとも一方を構成してもよい。
・上記各実施形態において、金属粉が織り込まれていない織物により第1カバー30及び第2カバー31のうち少なくとも一方を構成してもよい。
【0051】
・上記第2実施形態において、マッサージ機10の脚部11から前方に延出するように延出部材を設けるとともに、この延出部材とフットレスト部22との間にエアバッグ71を介設するようにしてもよい。
【0052】
・上記第1実施形態において、ヒータ29を挟んで使用者の足先61とは反対側となる位置に、フットレスト部22を付勢するコイルスプリング53を配置するようにしてもよい。
【0053】
・上記第2実施形態において、エアバッグ71は、フットレスト部22において使用者の足先61における踵寄りとなる部分に対応する部分を付勢するようにしてもよい。
・上記各実施形態において、オットマン14は、レッグレスト部21を省略した構成としてもよい。
【0054】
・上記各実施形態において、フットレスト部22を、使用者の足先61に対して接近させる方向に直線的に移動させる構成としてもよい。すなわち、フットレスト部22に設けられたヒータ29が使用者の足先61に対して接近可能な構成であれば、フットレスト部22の移動方向として任意の方向を採用することができる。
【0055】
・上記各実施形態において、使用者の足先61がフットレスト部22に挿入されていない場合に、レッグフレーム体41とフットフレーム体42とが鋭角又は鈍角をなすように交差した位置関係となるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10…マッサージ機、21…レッグレスト部、22…フットレスト部、23…脚部支持面としての脹脛支持面、26…足裏支持面、29…ヒータ、30…カバーを構成する第1織物としての第1カバー、31…カバーを構成する第2織物としての第2カバー、47…回動軸、53…付勢手段としてのコイルスプリング、61…足先、71…付勢手段としてのエアバッグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の足先を保持しつつ変位可能に構成されたフットレスト部と、
該フットレスト部に設けられ、前記足先に温熱を付与可能に発熱するヒータと、
前記足先が前記フットレスト部に保持された状態において、前記ヒータが前記足先に対して密着する方向に前記フットレスト部を付勢する付勢手段と
を備えたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記フットレスト部は、当該フットレスト部に保持された前記使用者の足先における踵寄りとなる部分に対応する位置に設けられた回動軸を中心として回動自在に構成されており、
前記付勢手段は、前記回動軸を中心として前記フットレスト部を回動させるように付勢することを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項2に記載のマッサージ機において、
前記フットレスト部は、使用者の脚部を保持するレッグレスト部に対して回動可能に連結されており、
前記付勢手段は、前記フットレスト部において前記使用者の足裏を支持する足裏支持面が、前記レッグレスト部において前記使用者の脚部を支持する脚部支持面に対して交差する角度が小さくなる回動方向に、前記フットレスト部を付勢することを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のマッサージ機において、
前記付勢手段は、前記フットレスト部において、該フットレスト部に保持された前記足先におけるつま先寄りとなる部分に対応する部分を付勢することを特徴とするマッサージ機。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のマッサージ機において、
前記付勢手段は、エアバッグであって、
前記エアバッグは、前記ヒータを挟んで前記足先とは反対側に配置されることを特徴とするマッサージ機。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載のマッサージ機において、
前記フットレスト部は、前記ヒータを覆うカバーを有し、
前記カバーは、熱伝導性の高い材料によって構成されることを特徴とするマッサージ機。
【請求項7】
請求項6に記載のマッサージ機において、
前記カバーは、金属粉が織り込まれた織物によって構成されることを特徴とするマッサージ機。
【請求項8】
請求項7に記載のマッサージ機において、
前記金属粉として銀が用いられていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のうち何れか一項に記載のマッサージ機において、
前記フットレスト部は、前記ヒータを覆うカバーを有し、
前記カバーは、互いに独立した第1織物及び第2織物が互いに重ね合わされて構成されており、
前記第2織物は、前記第1織物の表面において前記使用者の足裏に対応する部分に着脱可能に重ね合わされていることを特徴とするマッサージ機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate