説明

マッサージ機

【課題】空気給排装置により膨張及び収縮する膨縮袋を活用して三次元的なストレッチまたはひねりを使用者の身体に行わせて、そのストレッチまたはひねりの効果が及ぶ身体施療部位における密度を高めたマッサージ機を提供する。
【解決手段】座部11aと背凭れ部12aとからなる椅子本体10a適所に空気給排装置3aにより押圧膨縮または押圧膨張保持する膨縮袋2aを内装したマッサージ機1aであって、該膨縮袋2aを座部11a及び背凭れ部12aにそれぞれ左右幅方向において複数並設すると共に、座部11aと背凭れ部12aとの間における椅子本体10aの長さ方向においてそれぞれ相隣する座部11aの膨縮袋2aと背凭れ部12aの膨縮袋2aとを同期膨縮する同期膨縮袋列群20aを構成し、背凭れ部12aの起立状態において各同期膨縮袋列群20aを左右幅方向において順次膨縮するよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気給排装置により膨張及び収縮する膨縮袋を活用して、三次元的なストレッチまたはひねりを実施することができるマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エアポンプ及びエア分配器を備えた空気給排装置による空気の給気及び排気(給排気)により膨張及び収縮(膨縮)を繰り返すエアーバック等の膨縮袋を複数並設したマッサージ機があり、中にはこれら膨縮袋の膨縮作用によって、使用者の身体に対して押圧マッサージを実施するだけでなく、ストレッチやひねり効果をもたらして筋肉の緊張緩和や精神的リラックスへ導くよう構成したものが存在している。
【0003】
例えば、図22で示すように、座部11と、この座部11の後ろに設けた背凭れ部12と、座部11の前に設けたオットマン20と、座部11の両側に設けたアームレスト部14、15と、各種の操作を行うリモートコントロール装置(リモコン)50と、座部11の下側に設けられた給排気装置100とを有した椅子式のマッサージ装置10が開示されている。
【0004】
この背凭れ部12には、左右に配置された肩用のエアバッグA1、A2と背中用のエアバッグA3、A4と腰上用のエアバッグA5、A6と腰下用のエアバッグA7、A8とが設けられている。
【0005】
前記給排気装置100は、エアを給気するためのポンプと、エアバッグA1〜A10を膨縮させるための電磁弁と、各電磁弁を制御する制御装置等とを備えている。制御装置はリモコン50からの操作信号に基づいて各電磁弁とポンプ等を制御して各種のマッサージを行うようになっている。そして、各電磁弁が開成されると各エアバッグA1〜A10とポンプとが連通して各エアバッグA1〜A10が膨張し、各電磁弁が閉成されると各エアバッグA1〜A10が外気に連通されて各エアバッグA1〜A10は収縮していくようになっている。
【0006】
このように構成したマッサージ装置10は、背凭れ部12において左右対称にそれぞれ複数配置されたエアバッグA1〜A8のうち、対称位置にない左右の両エアバッグを膨縮させるように構成したものであるため、体をひねるようなストレッチの体感を得ることができるものとされている。
【0007】
また、他の従来技術の例として図23及び図24に示すマッサージ椅子1があげられる。該マッサージ椅子1は座部2の左右部に、空気によって膨張収縮自在のエアーセル6,7を夫々配設すると共に、該エアーセル6,7に個別に空気を給排する給排気装置を接続した構成となっている。
【0008】
前記左のエアーセル6に前記給排気装置から空気を圧送すると図24に示す如く、該エアーセル6が膨張し、該エアーセル6の膨張によって利用者10の右脚部12及び右臀部を含む身体の右側全部が持ち上げられ、その作用により身体の左側部近傍が伸展し、次に、該給排気装置によって前記エアーセル6の空気を排出すると、利用者10の右脚部12は前記座部2に着座する。
【0009】
そして、前記エアーセル7の膨張収縮及び前記エアーセル6の膨張収縮を順次繰り返すと、利用者10の左右の脚部11,12は交互に上下動し、これによって利用者10の脚部、臀部、腰部、及び、身体の左側部近傍並びに右側部近傍の筋肉を伸展収縮させ、ストレッチ運動を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−152384号公報(第7頁、図1)
【特許文献2】特開2004−135807号公報(第7頁、図2及び図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記従来の特許文献1に開示されるマッサージ機は背凭れ部において、また特許文献2に開示されるマッサージ機は座部において、それぞれ二次元的なストレッチまたはひねりをもたらす構成となっている。
【0012】
すなわち、特許文献1のマッサージ機は、起立状態の背凭れ部における上下方向及び左右方向をそれぞれ軸としたストレッチまたはひねりを可能とする構成ではあるが、該背凭れ部における前後方向を軸とした同様のことが十分に行えず、また特許文献2のマッサージ機は、座部における前後方向及び左右方向をそれぞれ軸としたストレッチまたはひねりを可能とする構成ではあるものの、該座部における上下方向を軸とした同様のことを十分に実施することができない。
【0013】
そのため、ストレッチまたはひねり効果が身体の施療部位において隈無く行き渡らない部分が生じたり、または二次元的で単調なストレッチまたはひねりのために、使用者に対する満足度は比較的限られたものとなったりすることなどが課題となり、これを克服すべく上下方向及び左右方向、また前後方向をそれぞれ軸とする三次元的なひねりを可能とし、従来になかった隈無く高密度なストレッチまたはひねり効果をもたらすこの種のマッサージ機の実現が期待されていた。
【0014】
そこで、本発明は上記問題点を解消する為に成されたものであり、三次元的なストレッチまたはひねりを使用者の身体に行わせ、その効果が及ぶ身体施療部位における密度を高めたマッサージ機を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、本発明のマッサージ機は、座部と該座部後部で起倒可能に連結する背凭れ部とからなる椅子本体適所に、空気給排装置による空気の給排気により押圧膨縮または押圧膨張保持する膨縮袋を内装したマッサージ機であって、該膨縮袋を座部及び背凭れ部にそれぞれ左右幅方向において複数並設すると共に、座部と背凭れ部との間における椅子本体の長さ方向においてそれぞれ相隣する座部の膨縮袋と背凭れ部の膨縮袋とを同期膨縮する同期膨縮袋列群を構成し、背凭れ部の起立状態において各同期膨縮袋列群を左右幅方向において順次膨縮するようにしたものとしている。
【0016】
また、本発明のマッサージ機は、前記背凭れ部の前記膨縮袋を背凭れ部の長さ方向に複数並設すると共に、同方向においてそれぞれ相隣する各膨縮袋を同期膨縮するように構成したものとしている。
【0017】
さらに、本発明のマッサージ機は、前記座部に設けた前記膨縮袋を座部の長さ方向に複数並設したものとしている。
【0018】
また、本発明のマッサージ機は、前記座部または前記背凭れ部に設けた前記膨縮袋をそれぞれ左右一対からなるものとし、該左右一対からなる膨縮袋の中央にも前記膨縮袋を設けたものとしている。
【0019】
さらに、本発明のマッサージ機は、前記座部の前端に足載せ部を設け、該足載せ部において前記膨縮袋を前後一対に設けたものとしている。
【0020】
さらにまた、本発明のマッサージ機は、前記膨縮袋を前記座部の上方左右両側から膨縮させると共に座部の長さ方向に複数並設したものとしている。
【発明の効果】
【0021】
よって、本発明のマッサージ機は、前記膨縮袋を座部及び背凭れ部にそれぞれ左右幅方向において複数並設すると共に、座部と背凭れ部との間における椅子本体の長さ方向においてそれぞれ相隣する座部の膨縮袋と背凭れ部の膨縮袋とを同期膨縮する同期膨縮袋列群を構成し、背凭れ部の起立状態において各同期膨縮袋列群を左右幅方向において順次膨縮するようにしたため、二方向のみを軸としてストレッチやひねりを行う二次元的で単調なストレッチしか実施できなかった従来のマッサージ機とは異なり、上下方向と左右方向及び前後方向の三方向を軸とする三次元的で複雑なストレッチやひねりが可能となり、従来よりも隈無く高密度にストレッチやひねり効果がもたらされ、使用者の満足度を大幅に高めることができる。またこのような高密度的なストレッチやひねりは、血管やリンパ管等の流れを良好にする他、脂肪燃焼効果をもたらし使用者の健康に寄与し得る。
【0022】
また、本発明のマッサージ機は、前記背凭れ部の前記膨縮袋を背凭れ部の長さ方向に複数並設すると共に、同方向においてそれぞれ相隣する各膨縮袋を同期膨縮するように構成したため、使用者の上半身において全体的にストレッチやひねり効果を及ぼすことができる。
【0023】
さらに、本発明のマッサージ機は、前記座部に設けた前記膨縮袋を座部の長さ方向に複数並設したものとしているため、使用者の臀部から脚部にかかる広範なストレッチやひねりが可能となる。
【0024】
また、本発明のマッサージ機は、前記座部または前記背凭れ部に設けた前記膨縮袋をそれぞれ左右一対からなるものとし、該左右一対からなる膨縮袋の中央にも前記膨縮袋を設けたものとしているため、座部または背凭れ部におけるスムーズなストレッチやひねりが可能となるし、またはストレッチやひねりの度合いを使用者の好みに合わせて調節できる。
【0025】
さらに、本発明のマッサージ機は、前記座部の前端に足載せ部を設け、該足載せ部において前記膨縮袋を前後一対に設けたものとしているため、使用者の脛部におけるストレッチが可能となる。
【0026】
さらにまた、本発明のマッサージ機は、前記膨縮袋を前記座部の上方左右両側から膨縮させると共に座部の長さ方向に複数並設したものとしているため、特に使用者の脚部や臀部の側部におけるストレッチやひねりが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のマッサージ機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明のマッサージ機の一実施形態を示す使用状態図である。
【図3】本発明のマッサージ機に設けた膨縮袋の膨縮態様の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明のマッサージ機に設けた膨縮袋の膨縮態様の一実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明のマッサージ機に設けた膨縮袋の膨縮態様の一実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明のマッサージ機に設けた膨縮袋の膨縮態様の一実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明のマッサージ機における背凭れ部を座部に対し折り畳んだ状態の一実施形態を示す右側面図である。
【図8】本発明のマッサージ機における背凭れ部の起倒及び足載せ部の出没態様の一実施形態を示す右側面図である。
【図9】本発明のマッサージ機における座部及び背凭れ部にそれぞれ設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す右側面図である。
【図10】本発明のマッサージ機における座部に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す説明図である。
【図11】本発明のマッサージ機における座部に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す説明図である。
【図12】本発明のマッサージ機における背凭れ部に設けた膨縮袋の一実施形態を示す説明図である。
【図13】本発明のマッサージ機における背凭れ部に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す説明図である。
【図14】本発明のマッサージ機における背凭れ部に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す説明図である。
【図15】本発明のマッサージ機における背凭れ部に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す説明図である。
【図16】本発明のマッサージ機における背凭れ部に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す説明図である。
【図17】本発明のマッサージ機における背凭れ部に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す説明図である。
【図18】本発明のマッサージ機における椅子本体全域に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する平面説明図である。
【図19】本発明のマッサージ機における椅子本体全域に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する平面説明図である。
【図20】本発明のマッサージ機における椅子本体全域に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する平面説明図である。
【図21】本発明のマッサージ機における座部表面及び座部の上方左右両側にそれぞれ設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す説明図である。
【図22】従来技術を示す参考図である。
【図23】従来技術を示す参考図である。
【図24】従来技術を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明のマッサージ機を、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。
図1は本発明のマッサージ機の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本発明のマッサージ機の一実施形態を示す使用状態図であり、図3乃至図6は本発明のマッサージ機に設けた膨縮袋の膨縮態様の一実施形態を示す斜視図であり、図7は本発明のマッサージ機における背凭れ部を座部に対し折り畳んだ状態の一実施形態を示す右側面図であり、図8は本発明のマッサージ機における背凭れ部の起倒及び足載せ部の出没態様の一実施形態を示す右側面図であり、図9は本発明のマッサージ機における座部及び背凭れ部にそれぞれ設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す右側面図であり、図10及び図11は本発明のマッサージ機における座部に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す説明図であり、図12は本発明のマッサージ機における背凭れ部に設けた膨縮袋の一実施形態を示す説明図であり、図13乃至図17は本発明のマッサージ機における背凭れ部に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す説明図であり、図18乃至図20は本発明のマッサージ機における椅子本体全域に設けた膨縮袋の膨縮態様に関する平面説明図であり、図21は本発明のマッサージ機における座部表面及び座部の上方左右両側にそれぞれ設けた膨縮袋の膨縮態様に関する一実施形態を示す説明図である。図22乃至図24は従来技術を示す参考図である。
【0029】
すなわち、本発明のマッサージ機1aは、図1及び図2の実施形態で示したように、使用者の臀部や大腿部が当接する座部11aと、該座部11aの後部に位置する使用者の背部や腰部が当接する背凭れ部12aとを椅子本体10aに設けたものである。
【0030】
前記背凭れ部12aは、前後方向に起倒(リクライニング)可能になっており、また前記座部11aの前端には、使用者の脛部を主に載置可能な足載せ部13aを前後方向に回動可能に連結している。
【0031】
これら前記座部11a及び前記背凭れ部12a、また前記足載せ部13aは、中空箱状の筐体フレームにスポンジゴム等のクッションを保持させて、その全体をカバーで覆った構成としている。
【0032】
また、前記座部11aの下部には、左右幅方向に直線状に延びる支持パイプ101aを横設しており、該支持パイプ101aの中央下部には、床面に直接して椅子本体10aの全体を土台として支持する円形のベース102aが底設されている。
【0033】
さらに、前記支持パイプ101aの左右両端上部において、使用者の手部及び腕部を載置する左右一対の肘掛け部14a・14aを立設させている。該左右一対の肘掛け部14a・14aの後端にそれぞれ設けた支軸141a・141aに前記背凭れ部12aが前後方向に回動可能に軸支された構成となっている。該背凭れ部12aは該支軸141aを支点として起立状態から後方への倒伏状態までの前後方向における起倒回動が可能であると共に、傾斜角度を調節することができるようにしている。
【0034】
加えて、図7に示すように前記背凭れ部12aを前方へ傾動させて前記座部11aと重合させるような態様で、二つ折り状態にすることも可能である。尚、この場合は背凭れ部12aの下端で座部11aを回動可能に連結させた部分の該連結を解除する。
【0035】
前記座部11aは、図8に示すように前記支持パイプ101aの中央から前方へ延設するスライド機構15aにより前後方向に移動可能となっている。該スライド機構15aは、図示しないが進退棒及び該進退棒をスライド可能に嵌合挿入する嵌合パイプとから構成してもよい。
【0036】
よって、前記背凭れ部12aを起立状態から後方へ倒伏させる場合、前記支軸141aよりも背凭れ部12aにおける上部分は後方へ傾倒すると共に、前記支軸141aよりも背凭れ部12aにおける下部分は前方へ突出することになり、これに伴って前記座部11aは前記足載せ部13aと共に前記スライド機構15aによって前方へスライドすることになる。
【0037】
尚、図示しないが前記背凭れ部12aの起倒機構(図示せず)や前記座部11aの前記スライド機構15a、また前記足載せ部13aの回動機構(図示せず)に、それぞれ適宜において油圧シリンダや電動アクチュエータを採用できる。
【0038】
図1に示すように、本発明のマッサージ機1aは、前記椅子本体10aの適所において、空気給排装置3aによる空気の給排気により押圧膨縮または押圧膨張保持する膨縮袋2aを内装して構成している。
【0039】
前記空気給排装置3aは、図示しないが圧縮空気を発生させるエアポンプと、該圧縮空気を各エアホースに分配する複数の電磁弁からなる分配器と、該分配器の内部機構を電子回路により制御する電子制御回路とから主に構成される。尚、図1に示すように該空気給排装置3aは前記座部11aの下部に配設する前記ベース102aに内装している。
【0040】
また、前記膨縮袋2aは、軟質樹脂やナイロンのシートによる溶着成形、または同材質のブロー成形等で製造され、前記空気給排装置3aの空気の給排気による継続的な膨縮に耐え得るものである。
【0041】
図1に示すように本発明のマッサージ機1aは、前記膨縮袋2aを前記座部11a及び前記背凭れ部12aにそれぞれ左右幅方向において複数並設させた構成のものであり、これらの各膨縮袋2a毎にそれぞれ独立して連通する前記電磁弁を設けているので、多様な押圧形態が可能となる。
【0042】
また、本発明のマッサージ機1aは、図18に示すように前記座部11aと前記背凭れ部12aとの間における前記椅子本体10aの長さ方向においてそれぞれ相隣する座部11aの膨縮袋2aと背凭れ部12aの膨縮袋2aとを同期膨縮する同期膨縮袋列群20aを設けたものとしている。
【0043】
この図18で示す構成の場合、前記同期膨縮袋列群20aは前記座部11a及び前記背凭れ部12aの左右幅方向において、左側列群、中央列群、右側列群の3列群に分設したものとしており、各同期膨縮袋列群20a毎に相隣する前記各膨縮袋2aが同期膨縮するようにしている。尚、この図面では左側列群の同期膨縮袋列群20aが膨張した状態を示している。
【0044】
さらに、本発明のマッサージ機1aは、前記背凭れ部12aの起立状態において前記各同期膨縮袋列群20aを左右幅方向において順次膨縮するようにしたものとして構成している。
【0045】
すなわち、前記各同期膨縮袋列群20a・20a・20aである前記の左側列群、中央列群、右側列群において、例えば図1及び図12に示す前記各膨縮袋2aが全て収縮した状態から、図3及び図13に示すように、まず左側列群のみを膨張させ、次いで図4及び図14に示すように中央列群を膨張させる。その後、右側列群を膨張させると図5及び図15に示すように、各膨縮袋2aが全て膨張状態となる。
【0046】
次に、図16に示すように、前記同期膨縮袋列群20aのうち、前記左側列群のみを収縮させ、次いで図17に示すように前記中央列群を収縮し、その後前記右側列群を収縮させると図1及び図12に示すように、各膨縮袋2aが全て収縮状態となる。また、再度前記左側列群を膨張させるようにして、前述した各同期膨縮袋列群の順次膨縮を一定間隔毎に繰り返す。
【0047】
尚、前記各同期膨縮袋列群20a・20a・20aの順次膨縮について、図12乃至図17で前記背凭れ部12aにおけるものを示したが、図11に示す前記座部11aにおいても同様の膨縮態様となる。
【0048】
このような前記座部11a及び起立状態の前記背凭れ部12aにおける前記同期膨縮袋列群20aの順次膨縮により、特に着座した使用者の臀部から腰部にかかる部位に対して、三次元的なストレッチやひねりを生じさせることが可能となる。
【0049】
すなわち、図9に示すように、前記座部11a及び前記背凭れ部12aにおける前記各膨縮袋2aの相互膨張動作により、左右方向(前記椅子本体10aの幅方向)の軸である左右軸A1を軸としたストレッチやひねりを生じさせるものとなり、また図13に示す場合は、背凭れ部12aにおいて上下方向(前記椅子本体10aの高さ方向)の軸である上下軸A2を軸としたストレッチやひねりを生じさせ、さらに図10に示す場合は、座部11aにおいて前後方向(前記椅子本体10aの長さ方向)の軸である前後軸A3を軸としたひねりを生じさせるものとなるため、本発明のマッサージ機1aは、これら左右軸A1、上下軸A2、前後軸A3の各軸におけるストレッチやひねりを同時に実施して、三次元的で複雑なストレッチまたはひねり効果をもたらす独特な構成のものとなっている。
【0050】
尚、前記左右軸A1を軸としたひねりは、前記座部11aに対する前記背凭れ部12aの起倒動作によっても生じさせることができる。
【0051】
また、本発明のマッサージ機1aは、図18に示すように前記背凭れ部10aの前記各膨縮袋2aを背凭れ部12aの長さ方向に複数並設すると共に、同方向においてそれぞれ相隣する各膨縮袋2aを同期膨縮するように構成したため、着座した使用者の上半身において全体的にストレッチやひねり効果を及ぼすことができる。
【0052】
さらに、本発明のマッサージ機1aは、前記座部11aにおいて該座部11aに設けた前記膨縮袋2aを座部11aの長さ方向に複数並設したものとしているため、使用者の臀部から脚部にかかる広範なストレッチやひねりが可能となる。
【0053】
例えば、図1に示す構成の場合のように、前記座部11aに左右幅方向において複数並設した前記各膨縮袋2a・2a・2aの前側に、同左右幅方向に長く形成したもう一つの前記膨縮袋2aを設けることができるし、或いは図18に示す構成の場合のように、座部11aに左右幅方向において複数並設した前記各膨縮袋2a・2a・2aの前側に、同左右幅方向に分割した形態の前記膨縮袋2aを設けることができる。
【0054】
また、本発明のマッサージ機1aは、図1及び図18に示すように前記座部11aまたは前記背凭れ部12aに設けた前記膨縮袋2aをそれぞれ左右一対からなるものとし、該左右一対からなる膨縮袋2aの中央にも前記膨縮袋2aを設けたものとして構成している。
【0055】
すなわち、前記背凭れ部12aの上下に設けた前記各左右一対の膨縮袋2a・2aのそれぞれの中央に跨って、上下に長く形成した前記膨縮袋2aを設けている。
【0056】
一方、前記座部11aの前記各左右一対の膨縮袋2a・2aの中央にも、前後に長く形成した前記膨縮袋2aを設けている。
【0057】
これらの前記座部11a及び前記背凭れ部12aにそれぞれ配設した左右、また中央の前記各膨縮袋2aは、前記各同期膨縮袋列群20a・20a・20aにそれぞれ属しており、前述した各同期膨縮袋列群20a・20a・20aにおける順次膨縮をスムーズに行うことが可能となる。
【0058】
また、これらの前記座部11a及び前記背凭れ部12aにそれぞれ配設した中央の前記各膨縮袋2aは、左右にそれぞれ配設する前記左右一対の膨縮袋2a・2aとは独立して膨縮させているため、該中央の前記各膨縮袋2aの膨張度合いを調節して、左右一対の膨縮袋2a・2aによるストレッチやひねりの度合いを使用者の好みに合わせられるよう構成してもよい。
【0059】
さらに、本発明のマッサージ機1aは、図1及び図6、また図18に示すように前記座部11aの前端に足載せ部13aを設け、該足載せ部13aにおいて前記膨縮袋2aを前後一対に設けたものとしている。
【0060】
この前記足載せ部13aにおける前記前後一対の各膨縮袋2aは、その表面側において足載せ部13aの左右幅方向に長く形成する突起部材22aをそれぞれ配設している。よって、これら各膨縮袋2aが膨張すると、該各突起部材22aはそれぞれ足載せ部13aの表面側へ移動し、該足載せ部13aに載置する使用者の両脚部(主に脛部)の裏側を押圧することになり、指圧マッサージが実施できる。
【0061】
また、前記足載せ部13aに設けた前記前後一対の各膨縮袋2aを交互に且つ一定時間において膨張を繰り返すことにより、使用者の両脚部に対するストレッチが可能となる。
【0062】
尚、この前記足載せ部13aの前記突起部材22aは、不使用時において足載せ部13aの表面から突出しないように足載せ部13aに内設している。
【0063】
さらに、図18乃至図20に示すように本発明のマッサージ機1aは、前記膨縮袋2aを前記座部11aの上方左右両側から膨縮させると共に座部11aの長さ方向に複数並設したものとしている。
【0064】
すなわち、この前記座部11aの上方左右両側から膨張する前記各膨縮袋2aを前記左右一対の肘掛け部14a・14aの各側面に配設している。尚、他にも図示しないが座部11aの左右両端から上方に立ち上がる壁部内面に設けてもよい。
【0065】
よって、図19に示すように一定時間において前記座部11aの左側上方側面または肘掛け部14aの左側側面に設けた前後の各前記膨縮袋2a・2aを膨張させて、使用者の脚部や臀部の側部におけるストレッチやひねり効果をもたらすことが可能となる。
【0066】
さらに図18で示す本発明のマッサージ機1aは、前記椅子本体10aの前記座部11a、前記背凭れ部12a、前記足載せ部13a、前記左右一対の肘掛け部14a・14aにおいて前記同期膨縮袋列群20aを5列として構成したものとしている。
【0067】
すなわち、前記左側の肘掛け部14aの側面または前記座部11aの左側上方において、前後に配設した前記各膨縮袋2a・2a(大腿部及び臀部の側面をそれぞれ押圧する)からなる列群を1列目とすると共に、前記背凭れ部12aの左側の各膨縮袋2a・2a・2a(頭部または頸部、背部、腰部をそれぞれ押圧する)と前記座部11aの左側の各膨縮袋2a・2a(大腿部及び臀部の裏面をそれぞれ押圧する)、及び前記足載せ部13aの左側の各膨縮袋2a・2a(脛部及び足首部の裏面をそれぞれ押圧する)からなる列群を2列目とし、また、前記背凭れ部12aの中央の膨縮袋2a(脊髄を押圧する)と前記座部11aの中央の膨縮袋2a(臀部中央裏面を押圧する)とからなる列群を3列目とする。
【0068】
さらに、前記背凭れ部12aの右側の前記各膨縮袋2a・2a・2a(頭部または頸部、背部、腰部をそれぞれ押圧する)と前記座部11aの右側の各膨縮袋2a・2a(大腿部及び臀部の裏面をそれぞれ押圧する)、及び前記足載せ部13aの右側の各膨縮袋2a・2a(脛部及び足首部の裏面をそれぞれ押圧する)からなる列群を4列目とすると共に、前記右側の肘掛け部14aの側面または前記座部11aの右側上方において、前後に配設した前記各膨縮袋2a・2a(大腿部及び臀部の側面をそれぞれ押圧する)からなる列群を5列目とする。
【0069】
このように、5列からなる前記同期膨縮袋列群20a・20a・20a・20a・20aを前述したような態様で各列群毎に左右幅方向において順次膨縮させると、一挙に使用者の全身に対してストレッチまたはひねりを実施することができ、特に前記背凭れ部12aを起立状態にして前記各同期膨縮袋列群20aを順次膨縮させる場合は、前記左右軸A1、前記上下軸A2、前記前後軸A3の三つ全てを軸とした三次元的なストレッチまたはひねりを使用者の背部から臀部または脚部にかけて実施することができるのである。
【0070】
また、図20で示す構成は、前記各同期膨縮袋列群20aを前記座部11a及び前記背凭れ部12a、また前記足載せ部13aと前記肘掛け部14aのそれぞれに分割したものとし、さらに該各同期膨縮袋列群20aの順次膨縮を座部11a、背凭れ部12a、足載せ部13a毎にそれぞれ実施させたものである。
【0071】
例えば図20に示すように、前記背凭れ部12aに構成した3列からなる前記同期膨縮袋列群20a・20a・20aを右側から左側へ順次膨縮させると同時に、前記座部11aに構成した同じく3列からなる前記同期膨縮袋列群20a・20a・20aを左側から右側へ順次膨縮させると共に、さらに同時に前記足載せ部13aに構成した2列からなる前記同期膨縮袋列群20a・20aを右側から左側へ順次膨縮させることができる。
【0072】
尚、前記座部11aにおける前記同期膨縮袋列群20a・20a・20aの順次膨縮に、前記左右の肘掛け部14a・14aに構成した同期膨縮袋列群20a・20aの膨縮を含ませることができ、例えば左側の肘掛け部14aの同期膨縮袋列群20a、座部11a左側の同期膨縮袋列群20a、座部11a中央の同期膨縮袋列群20a、座部11a右側の同期膨縮袋列群20a、右側の肘掛け部14aの同期膨縮袋列群20aという順序で膨縮させたり、または左側の肘掛け部14aの同期膨縮袋列群20aと座部11a左側の同期膨縮袋列群20aとを、及び右側の肘掛け部14aの同期膨縮袋列群20aと座部11a右側の同期膨縮袋列群20aとを同期膨縮させてもよい。
【0073】
図21に示すのは、使用者の臀部を効率的に上方へ持ち上げてストレッチさせる構成を示している。すなわち、前記座部11aの表面において前記左右一対の膨縮袋2a・2aを設けると共に、各膨縮袋2aは座部11aの中央側にそれぞれ止着部21aにて止着したものとしている。
【0074】
また、前記座部11aの上方左右両側、または前記左右一対の肘掛け部14a・14aの側面にもそれぞれ前記膨縮袋2aを設けており、該各膨縮袋2aはその上側に設けた止着部21aで止着している。
【0075】
よって図21に示すように、例えば前記座部11a表面右側の前記膨縮袋2aは、右側から中央上方へ向かう方向で膨張して使用者の右側臀部を上方へ押し上げる際、座部11aの上方右側または右側の前記肘掛け部14aの側面に設けた前記膨縮袋2aも右側から中央上方へ向かう方向で膨張して、前記座部11aにおいて使用者の上半身の重量のほとんどがかかる臀部の持ち上げを補助することができるのである。
【0076】
これまで説明してきた本発明のマッサージ機1aに適用する前記各膨縮袋2aは、膨張幅や膨張方向に応じて適宜重合させてもよい。尚、図1で示した実施形態は、前記背凭れ部12aの最下位に設けた前記左右一対の膨縮袋2a・2a及び前記座部11aの最後位に設けた前記左右一対の膨縮袋2a・2aをそれぞれ重合状したものとしている。
【符号の説明】
【0077】
1a マッサージ機
10a 椅子本体
101a 支持パイプ
102a ベース
11a 座部
12a 背凭れ部
13a 足載せ部
14a 肘掛け部
141a 支軸
15a スライド機構
2a 膨縮袋
20a 同期膨縮袋列群
21a 止着部
22a 突起部材
3a 空気給排装置
A1 左右軸
A2 上下軸
A3 前後軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と該座部後部で起倒可能に連結する背凭れ部とからなる椅子本体適所に、空気給排装置による空気の給排気により押圧膨縮または押圧膨張保持する膨縮袋を内装したマッサージ機であって、該膨縮袋を座部及び背凭れ部にそれぞれ左右幅方向において複数並設すると共に、座部と背凭れ部との間における椅子本体の長さ方向においてそれぞれ相隣する座部の膨縮袋と背凭れ部の膨縮袋とを同期膨縮する同期膨縮袋列群を構成し、背凭れ部の起立状態において各同期膨縮袋列群を左右幅方向において順次膨縮するよう構成したことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記背凭れ部の前記膨縮袋を背凭れ部の長さ方向に複数並設すると共に、同方向においてそれぞれ相隣する各膨縮袋を同期膨縮するように構成したことを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記座部に設けた前記膨縮袋を座部の長さ方向に複数並設したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記座部または前記背凭れ部に設けた前記膨縮袋をそれぞれ左右一対からなるものとし、該左右一対からなる膨縮袋の中央にも前記膨縮袋を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記座部の前端に足載せ部を設け、該足載せ部において前記膨縮袋を前後一対に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記膨縮袋を前記座部の上方左右両側から膨縮させると共に座部の長さ方向に複数並設したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−50852(P2012−50852A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240704(P2011−240704)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【分割の表示】特願2007−128672(P2007−128672)の分割
【原出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】