説明

マッサージ装置

【課題】使用者の要求に応じた多様なマッサージを行うことのできるマッサージ装置を提供する。
【解決手段】このマッサージ装置は、使用者の身体に押し付けられる回転動作可能な接触部材42と、この接触部材42の内部に設けられて同接触部材42を支持する支持部材41とを含む施療子30を備える。支持部材41に設けられて接触部材42に対向する支持部材41の外周面41Aの凹凸の度合いを変更するための変形機構50機構を含み、この変形機構50の施療形態として、凹凸の度合いが小さい第1施療形態およびこの第1施療形態よりも凹凸の度合いが大きい第2施療形態を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の身体に押し付けられる接触部材と、この接触部材の内部に設けられて同接触部材を支持する支持部材とを含む施療子を備えるマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のマッサージ装置では、揉み玉支持部により支持された揉み玉の内側の輪体部に複数の突起を設けるとともに、この内側の輪体部に同輪体部よりも可撓性のある外側の輪体部を外側に設けて構成された揉み玉を備えている。
【0003】
これにより、上記の指圧マッサージを実行するときには、揉み玉を身体に対して強く押し付けて剛性の高い内側の輪体部の突起を使用者の身体に押し当てることにより、使用者に対して強いマッサージ感を付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−295889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のマッサージ装置では、指圧マッサージのときに使用者に付与されるマッサージ感は、内側の輪体部における突起の外周形状により決められるため、さらに異なるマッサージ感を付与するためには、施療子を取り替える作業が必要となる。
【0006】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、その目的は、同じ施療子を用いて多様なマッサージを行うことのできるマッサージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための手段を以下に記載する。
・本発明のマッサージ装置は、使用者の身体に押し付けられる回転動作可能な接触部材と、この接触部材の内部に設けられて同接触部材を支持する支持部材とを含む施療子を備えるマッサージ装置において、前記支持部材に設けられて前記接触部材に対向する前記支持部材の面である外面の凹凸の度合いを変更するための変形機構を含み、この変形機構の施療形態として、前記凹凸の度合いが小さい第1施療形態およびこの第1施療形態よりも前記凹凸の度合いが大きい第2施療形態を有することを特徴とする。
【0008】
・このマッサージ装置においては、前記変形機構は、前記支持部材に対して移動することができる移動部材を含むものであり、前記支持部材に対する前記移動部材の位置を変更することにより前記施療形態を変更することが好ましい。
【0009】
・このマッサージ装置においては、前記支持部材に対する前記移動部材の状態について、前記移動部材の先端部が前記支持部材の外面と同じ位置にある状態を中立状態とし、前記移動部材の先端部が前記支持部材の外面よりも外側にある状態を突出状態とし、前記移動部材の先端部が前記支持部材の外面よりも内側にある状態を埋没状態として、前記変形機構は、前記支持部材に対する前記移動部材の状態を前記突出状態または前記埋没状態とすることにより前記施療形態を前記第2施療形態とし、前記支持部材に対する前記移動部材の状態を前記中立状態とすることにより前記施療形態を前記第1施療形態とするものであることが好ましい。
【0010】
・このマッサージ装置においては、前記突出状態において前記移動部材が前記支持部材から突出している部分の前記移動部材の長さを突出量として、前記変形機構は、前記突出量が小さい状態を前記第1施療形態とし、前記第1施療形態よりも前記突出量が大きい状態を前記第2施療形態とすることが好ましい。
【0011】
・このマッサージ装置においては、前記接触部材はその中心軸を通る断面が円柱形状の部材として形成され、前記移動部材が前記支持部材に対して前記接触部材の径方向に移動することが好ましい。
【0012】
・このマッサージ装置においては、前記接触部材はその中心軸を通る断面が円柱形状の部材として形成され、前記移動部材が前記支持部材に対して前記接触部材の軸方向に移動することが好ましい。
【0013】
・このマッサージ装置においては、前記接触部材はその中心軸を通る断面が円柱形状の部材として形成され、前記移動部材として、前記支持部材に対して前記接触部材の径方向に移動する第1移動部材と、前記支持部材に対して前記接触部材の軸方向に移動する第2移動部材とが設けられることが好ましい。
【0014】
・このマッサージ装置においては、前記施療子を互いに異なるパターンで動作するための複数の動作モードを備え、前記施療子の動作モードに応じて前記変形機構の施療形態を変更することが好ましい。
【0015】
・このマッサージ装置においては、前記施療子の施療動作が行われているときに前記変形機構の施療形態を変更することが好ましい。
・このマッサージ装置においては、前記施療子の動作モードとして、使用者に対して局部的に押付力を付与するための動作モードが選択されているとき、前記変形機構の施療形態として前記第2施療形態を選択することが好ましい。
【0016】
・このマッサージ装置においては、前記施療子の動作モードとして、使用者に対して広範囲に均一な押付力を付与するための動作モードが選択されているとき、前記変形機構の施療形態として前記第1施療形態を選択することが好ましい。
【0017】
・このマッサージ装置においては、前記施療子の動作モードとして、一対の施療子により使用者の身体を挟んでマッサージするための動作モードが選択されているとき、前記変形機構の施療形態として前記第2施療形態を選択することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、同じ施療子を用いて多様なマッサージを行うことのできるマッサージ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態のマッサージ装置について、(a)はその側面構造を示す側面図、(b)はその正面構造を示す正面図。
【図2】同実施形態のマッサージ装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態のマッサージ装置について、揉み玉が使用者の身体に押し付けられているときの施療子の側面図。
【図4】同実施形態のマッサージ装置の第1施療形態において、(a)は施療子の軸方向に沿う断面図、(b)は施療子の径方向に沿う断面図。
【図5】同実施形態のマッサージ装置の第2施療形態において、(a)は施療子の軸方向に沿う断面図、(b)は施療子の径方向に沿う断面図。
【図6】同実施形態のマッサージ装置の第2施療形態において、(a)は施療子の軸方向に沿う断面図、(b)は施療子の径方向に沿う断面図。
【図7】同実施形態における動作モードと使用者の部位と移動部材の位置と突出量との関係のまとめを示すテーブル。
【図8】本発明の第2実施形態のマッサージ装置の第1施療形態において、(a)は施療子の軸方向に沿う断面図、(b)は施療子が使用者の首に押し当てられているときの動作図。
【図9】同実施形態のマッサージ装置の第2施療形態において、(a)は施療子の軸方向に沿う断面図、(b)は施療子が使用者の首に押し当てられているときの動作図。
【図10】同実施形態における動作モードと使用者の部位と移動部材の位置と突出量との関係のまとめを示すテーブル。
【図11】本発明の第3実施形態のマッサージ装置について、動作モードと使用者の部位と移動部材の位置と突出量との関係のまとめを示すテーブル。
【図12】その他の実施形態のマッサージ装置について、(a)は施療子の軸方向に沿う断面図、(b)は施療子の軸方向に沿う断面図。
【図13】その他の実施形態のマッサージ装置について、(a)は施療子の軸方向に沿う断面図、(b)は施療子の径方向に沿う断面図。
【図14】その他の実施形態のマッサージ装置について、(a)は施療子の軸方向に沿う断面図、(b)は施療子の径方向に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に、マッサージ装置1の構成を示す。なお、図1(a)は使用者100が椅子10に着座した状態のマッサージ装置1の側面構造を示す。また、図1(b)は、マッサージ装置1の正面構造を示す。
【0021】
マッサージ装置1は、使用者100が着座するための椅子10と、使用者100に対してマッサージを行うマッサージ機構20と、マッサージ機構20の動作を制御するための制御部60(図2参照)とを含む。
【0022】
椅子10には、この椅子10を床面に設置する際の土台となる支持脚部11と、使用者100が着座する座部12と、背中を支持するための背もたれ13と、足を置くためのオットマン14と、肘を置くための肘掛15とが設けられている。
【0023】
以降では、マッサージ装置1の奥行方向において、マッサージ装置1の任意の位置に対してオットマン14が配置される側を「前側」とし、背もたれ13が配置される側を「後側」とする。また、マッサージ装置1の高さ方向において、マッサージ装置1の任意の位置よりも上方および下方をそれぞれ「上側」および「下側」とする。また、マッサージ装置1の幅方向において、使用者100の右側および左側となる側をそれぞれ「右側」および「左側」とする。
【0024】
背もたれ13の内部には、その幅方向の中央部にマッサージ機構20が設けられている。マッサージ機構20は、背もたれ13の上端から下端までにわたり延びるガイドレール21と、ガイドレール21の上端から下端までにわたり移動する駆動装置22と、使用者100に押し付けるための施療子30とにより構成されている。
【0025】
駆動装置22には、第1モータ23および第2モータ24および第3モータ25が設けられている(いずれも図2参照)。第1モータ23は、駆動装置22をガイドレール21に沿って高さ方向に移動させる。第2モータ24は、駆動装置22上において施療子30を幅方向に移動させる。また、第3モータ25は、揉み玉40を背もたれ13に対して前側または後側に移動させることにより、揉み玉40を使用者100に押し付ける力(以下、「押付力P」)を調節する。
【0026】
施療子30には、直接使用者100に押し付けられる揉み玉40と、この揉み玉40および駆動装置22を接続するアーム31と、揉み玉40の押付力Pを検出するロードセル33(図3参照)とが設けられている。なお、施療子30は、マッサージ装置1の中心線を基準に左右に一対設けられている。
【0027】
図2を参照して、マッサージ装置1の電気的な構成について説明する。
駆動装置22およびロードセル33と、制御部60との間では、次のように信号の送受信が行われる。
【0028】
すなわち、制御部60には、ロードセル33からの検出値および使用者100により入力される各種データの情報が入力される。制御部60では、入力された情報に基づいて、駆動装置22の動作を制御するための演算処理が行われる。制御部60からは、演算結果に応じて施療子30をガイドレール21に沿って移動させるための指令信号、施療子30を幅方向に移動させるための指令信号、施療子30の奥行方向の移動量(以下、「押出量」)を調節するための指令信号が送信される。
【0029】
制御部60による施療子30の制御態様について説明する。
制御部60は、ロードセル33にて得られた押付力Pと、選択されている施療子30の動作モードに応じた押付力Pの目標値との差を算出する。そして、算出した差に予め決定された係数を乗じた数値を算出し、その算出した数値に基づいて施療子30の押出量を変更する。これにより、施療子30の押付力Pが施療子30の動作モードに応じた目的の押付力Pとされる。
【0030】
図3を参照して、施療子30の構成について説明する。
ここで、支持軸32の中心軸の方向において施療子30の任意の位置に対して、アーム31が接続される側を「基端側」とし、その反対側を「先端側」とする。
【0031】
施療子30のアーム31には、揉み玉40を支持する支持軸32が設けられている。揉み玉40の内部には、変形機構50(図4参照)が設けられている。支持軸32の内部には、ロードセル33が設けられている。アーム31は、揉み玉40の径方向に伸びる板状の板アーム31Bと、板アーム31Bの先端部側に設けられた円筒形状の円筒アーム31Aとにより形成されている(いずれも図4参照)。
【0032】
揉み玉40は、支持軸32を包囲するように設けられる円柱形状の支持部材41と、この支持部材41を包囲するように外側に設けられる円柱形状の接触部材42とにより形成されている。支持部材41は、剛性の高い材料により構成されている。接触部材42は、支持部材41よりも剛性が低くかつ弾性変形可能な材料により形成されている。
【0033】
図3(a)に示すように、押付力Pが所定の押付力PX以下の押付力Pの範囲(以下、「押付力範囲PS」)内で揉み玉40が使用者100に押し付けられるときには、揉み玉40の接触部材42が弾性変形する。このため、使用者100にはソフトなマッサージ感が付与される。
【0034】
図3(b)に示すように、押付力Pが所定の押付力PXよりも大きい押付力Pの範囲(以下、「押付力範囲PT」)内で揉み玉40が使用者100に押し付けられるときには、揉み玉40の接触部材42が十分に弾性変形してそれ以上変形しない状態となる。このため、使用者100には、接触部材42を介して支持部材41が押し付けられるため、使用者にはハードなマッサージ感が付与される。
【0035】
図4を参照して、施療子30の内部構造について詳細に説明する。図4(a)に、施療子30の軸方向Sに沿う断面図を示す。また、図4(b)に、施療子30の径方向Dに沿う断面図を示す。
【0036】
以降では、揉み玉40の径方向Dにおいて、揉み玉40の任意の位置に対して支持軸32の中心軸側を「内側」とし、支持軸32とは反対側を「外側」とする。
図4(a)に示すように、施療子30の内部には、支持部材41の外周の形状を変化させるための変形機構50が設けられている。
【0037】
変形機構50は、支持部材41に対して揉み玉40の径方向Dに移動する移動部材51と、同部材51を移動させるための押出部材52とを含む。また、円筒アーム31Aに設けられて押出部材52を先端側に押すエアバック53と、エアバック53に対する空気の給排通路となるエアチューブ55と、エアバック53およびエアチューブ55を接続するためのコネクタ54とを含む。
【0038】
移動部材51は、楕円形状の先端部51Aと、押出部材52により押される胴部51Bとにより形成されている。移動部材51は、剛性の高い部材により形成されている。先端部51Aは、胴部51Bよりも径方向Dの外側に設けられている。また、胴部51Bの内側の端面51Cは胴部51Bの軸方向に対して傾斜している。
【0039】
移動部材51は、揉み玉40の周方向において、等間隔に4つ設けられている。押出部材52は、施療子30の軸方向Sに沿う断面の形状が円筒形状に形成されているとともに、支持軸32の外周の一部を覆うように配置されている。エアバック53は、施療子30の軸方向Sに沿う断面において、各移動部材51を押し出す際のバランスをとるために、揉み玉40の周方向において、等間隔に4つ設けられている。各エアバック53が膨張して押出部材52が先端側に押し出されることにより、4つの移動部材51が支持部材41に対して径方向Dの外側に移動する。
【0040】
図4〜図6を参照して、移動部材51の動作態様について説明する。
ここで、支持部材41に対する軸方向Sについての押出部材52の位置を以下のように定義する。
・エアバック53が最も収縮しているとき、押出部材52は、支持部材41に対して最も基端側の「初期位置」に維持される。
・エアバック53が最も膨張しているとき、押出部材52は、支持部材41に対して最も先端側の「押出位置」に維持される。
・エアバック53の体積が最小時と最大時との中間のとき、押出部材52は、支持部材41に対して初期位置と押出位置の中間の「中間位置」に維持される。
【0041】
支持部材41に対する移動部材51の位置は次のように変化する。
図4(a)に示すように、エアバック53が収縮して、押出部材52が初期位置に維持されているとき、支持部材41に対する移動部材51の位置は、「中立位置」に維持される。すなわち、支持部材41に対する移動部材51の状態が中立状態となる。
【0042】
このとき、支持部材41の外面となる外周面41Aと先端部51Aとが同じ位置にある。また、移動部材51が支持部材41から突出している部分の移動部材51の長さ(以下、「突出量X」)は「0」となる。このため、支持部材41の外周面41Aは、凹凸の度合いが小さく平らな状態となる。なお、この状態は変形機構50の第1施療形態に相当する。
【0043】
図4(b)に示すように、移動部材51が中立位置に維持されているとき、押付力範囲PT内で揉み玉40が使用者100に押し付けられると、支持部材41の外周面41Aが接触部材42を介して使用者100に押し付けられる。このため、使用者100にはハードなマッサージ感が付与される。
【0044】
図5(a)に示すように、エアバック53に空気が供給されて、押出部材52が中間位置に変位するとき、支持部材41に対する移動部材51の位置は、「中間位置」に維持される。すなわち、支持部材41に対する移動部材51の状態が突出状態となる。
【0045】
具体的には、エアバック53により押出部材52が先端側に向けて押し出されて、押出部材52が中間位置まで移動するとき、移動部材51の先端部51Aが押出部材52により支持部材41の外側に押し出される。このとき、突出量Xは「0」よりも大きい「X1」となる。このため、支持部材41の外側の外周面41Aは、凹凸の度合いが大きい状態となる。なお、この状態は変形機構50の第2施療形態に相当する。
【0046】
図5(b)に示すように、移動部材51が中間位置に維持されているときに、押付力範囲PT内で揉み玉40が使用者100に押し付けられると、移動部材51の先端部51Aが接触部材42を介して使用者100に押し付けられる。このため、使用者100には、移動部材51が中立位置にあるときよりも局所的にハードなマッサージ感が付与される。
【0047】
押出部材52の位置は、押出部材52に設けられたセンサ(図示略)により検出される。そして、センサの検出値と目標の位置とに基づいて、エアバック53に対する空気の供給量が制御されることにより、押出部材52の位置が変更される。
【0048】
図6(a)に示すように、エアバック53にさらに空気が供給されて押出部材52が押出位置に変位するとき、支持部材41に対する移動部材51の位置は、「突出位置」に維持される。すなわち、支持部材41に対する移動部材51の状態が突出状態となる。
【0049】
具体的には、エアバック53により押出部材52が中間位置よりも先端側に向けて押し出されると、移動部材51の先端部51Aが支持部材41に対してさらに外側に押し出される。このとき、突出量Xは「X1」よりも大きい「X2」となる。このため、支持部材41の外側の外周面41Aは、移動部材51が中間位置に維持されているときに比べて凹凸の度合いが大きい状態となる。なお、この状態も変形機構50の第2施療形態に相当する。
【0050】
図6(b)に示すように、移動部材51が突出位置に維持されているときに、押付力範囲PT内で揉み玉40が使用者100に押し付けられると、移動部材51の先端部51Aが接触部材42を介して使用者100に押し付けられる。このため、使用者100には、移動部材51が中間位置に維持されているときよりも局所的に、よりハードなマッサージ感が付与される。
【0051】
図7を参照して、施療子30の動作モードについて説明する。
まず、施療子30の動作モードとして設定されている各モードについて説明する。
・「さすりモード」では、広範囲に均一な押付力Pを付与して、全身に広く優しくなでるようなマッサージ感が使用者100に付与されるように施療子30を制御する。
・「押し揉みモード」では、広範囲に均一な押付力Pを付与して、肩や腰等を押しつつ揉みこむようなマッサージ感が使用者100に付与されるように施療子30を制御する。
・「挟み揉みモード」では、広範囲に均一な押付力Pを付与して、左右一対の揉み玉40により首や腰を挟んで揉みこむようなマッサージ感が使用者100に付与されるように施療子30を制御する。
・「ローリングモード」では、広範囲に均一な押付力Pを付与して、背骨に沿って広く優しく円を描くようなマッサージ感が使用者100に付与されるように施療子30を制御する。
・「指圧モード」では、局所的に押付力Pを付与して、揉み玉40を使用者100にて対して、垂直に押し当てて患部を圧迫するようなマッサージ感が使用者100に付与されるように施療子30を制御する。
・「揉捏モード」では、局所的に押付力Pを付与して、患部をこねるように小さな円を描くようなマッサージ感が使用者100に付与されるように施療子30を制御する。
【0052】
施療子30の動作モードとして、「さすりモード」が選択されているときは、いずれの部位に揉み玉40が押し付けられる場合であっても、移動部材51が中立位置に維持される。また、移動部材51が押し当てられることがなく、使用者100には、広範囲に均一な押付力Pが付与されて、ソフトなマッサージ感が付与される。
【0053】
施療子30の動作モードとして、「押し揉みモード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が首または背中に押し付けられるとき、移動部材51が中立位置に維持される。また、移動部材51が押し当てられることがなく、使用者100には、広範囲に均一な押付力Pが付与されて、ソフトなマッサージ感が付与される。
【0054】
施療子30の動作モードとして、「押し揉みモード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるとき、移動部材51が中間位置に維持される。また、移動部材51が突出量「X1」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、首または背中のマッサージ時よりもハードなマッサージ感が付与される。
【0055】
施療子30の動作モードとして、「挟み揉みモード」が選択されているときは、いずれの部位に揉み玉40が押し付けられる場合であっても、移動部材51が中立位置に維持される。また、移動部材51が押し当てられることがなく、使用者100には、広範囲に均一な押付力Pが付与されて、ソフトなマッサージ感が付与される。
【0056】
施療子30の動作モードとして、「ローリングモード」が選択されているときは、いずれの部位に揉み玉40が位置する場合であっても、移動部材51が中立位置に維持される。また、移動部材51が押し当てられることがなく、使用者100には、広範囲に均一な押付力Pが付与されて、ソフトなマッサージ感が付与される。
【0057】
施療子30の動作モードとして、「指圧モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が首または背中に押し付けられるとき、移動部材51が中立位置に維持される。また、移動部材51が押し当てられることがなく、使用者100には、広範囲に均一な押付力Pが付与されて、ソフトなマッサージ感が付与される。
【0058】
施療子30の動作モードとして、「指圧モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるとき、移動部材51が突出位置に維持される。また、移動部材51が突出量「X2」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、押し揉みモード時よりもハードなマッサージ感が付与される。
【0059】
施療子30の動作モードとして、「揉捏モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が首または背中に押し付けられるとき、移動部材51が中立位置に維持される。また、移動部材51が押し当てられることがなく、使用者100には、広範囲に均一な押付力Pが付与されて、ソフトなマッサージ感が付与される。
【0060】
施療子30の動作モードとして、「揉捏モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるとき、移動部材51が中間位置に維持される。また、移動部材51が突出量「X1」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、ハードなマッサージ感が付与される。
【0061】
制御部60は、押し揉みモード、指圧モード、および揉捏モードが実行されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるときに、次のように施療子30を制御する。
【0062】
例えば、指圧モードにて揉み玉40が肩に押し当てられるときには、移動部材51を突出位置に設定する。そして、揉み玉40が肩から背中に移動したとき、移動部材51を中立位置に設定する。このようにして、1つの動作モードのなかでも、マッサージを行う部位に応じて移動部材51の位置を変化させる。
【0063】
また制御部60は、押し揉みモード、指圧モード、および揉捏モードが実行されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるとき、次のように施療子30を制御する。
【0064】
すなわち、マッサージが開始されて所定時間が経過する前には、移動部材51を中立位置に設定し、使用者100を徐々に揉みほぐす。そして、所定時間が経過した後には、移動部材51を突出位置に設定して、適度な押付力Pを付与する。このようにして、1つの動作モードのなかでも、マッサージ開始後の時間に応じて移動部材51の位置を変化させる。なお、この場合の所定時間は、マッサージを施した部位が十分にほぐれか否かを判断するための時間として予め設定されている。
【0065】
本実施形態のマッサージ装置1によれば、以下の効果が得られる。
(1)マッサージ装置1では、変形機構50により移動部材51を支持部材41から突出させることにより、各動作モードに応じて外周面41Aの凹凸の度合いを変更して、第1施療形態および第2施療形態を変更する。すなわち、変形機構50の施療形態として、支持部材41の外周面41Aの凹凸の度合いが小さい第1施療形態およびこの第1施療形態よりも凹凸の度合いが大きい第2施療形態を有する。このため、1つの施療子30を用いて多様なマッサージを行うことができる。
【0066】
(2)また、上記の構成によれば、第2施療形態が選択されると、変形機構50により移動部材51が中間位置または突出位置に維持される。このとき、押付力範囲PT内で揉み玉40が使用者100に押し付けられると、使用者100には剛性の高い先端部51Aが押し付けられる。これにより、使用者100には、局所的な押付力Pが付与されるため、使用者100には、ハードなマッサージ感が付与される。
【0067】
また、第1施療形態が選択されると、変形機構50により移動部材51が中立位置に維持される。このとき、押付力範囲PS内で揉み玉40が使用者100に押し付けられると、接触部材42が弾性変形する範囲内でマッサージが行われる。これにより、使用者100には、広範囲かつ均一な押付力Pが付与されるため、使用者には、ソフトなマッサージ感が付与される。
【0068】
(3)マッサージ装置1では、移動部材51の突出量Xが「0」のとき、すなわち外周面41Aが平らな状態にあるときには第1施療形態となり、突出量Xが「X1」および「X2」のときには第2施療形態となる。
【0069】
この構成によれば、移動部材51の突出量Xが「0」のとき、押付力範囲PS内で揉み玉40が使用者100に押し付けられると、使用者にはソフトなマッサージ感が付与される。また、突出量Xが「X1」および「X2」のとき、押付力範囲PT内で揉み玉40が使用者100に押し付けられると、使用者には局所的に強いマッサージ感が付与される。
【0070】
(4)マッサージ装置1では、変形機構50により移動部材51が支持部材41に対して揉み玉40の径方向Dに突出する。この構成によれば、揉み玉40の幅方向の外周面42Aを使用者100に押し付けてマッサージを実行する動作モードにおいて、移動部材51を径方向Dに突出することにより、使用者100の局所的な部位を的確に押圧することができる。
【0071】
(5)マッサージ装置1では、施療子30を互いに異なるパターンで動作する複数の動作パターンを備え、選択されている動作モードに応じて変形機構50により移動部材51の位置を変更する。この構成によれば、移動部材51の位置および移動部材51の突出量Xを変更することにより、使用者100に与える感覚を変化させることができる。
【0072】
(6)マッサージ装置1では、施療子30により施療動作が行われているときに、移動部材51を中立位置および中間位置および突出位置の間で切り替えて第1施療形態と第2施療形態とを変更する。この構成によれば、施療子30により施療動作が行われている最中に、使用者100のマッサージ部位に応じて移動部材51の位置を変更することができる。
【0073】
例えば、使用者100の部位の中でも首や背中等の刺激に弱い部位に揉み玉40が位置するときには、移動部材51を中立位置に維持する。この状態から揉み玉40が使用者100の部位の中でも肩や腰等の刺激に強い部位に移動したときには、移動部材51を突出位置に移動させる。このように、1つのモードが選択されてマッサージが行われているときにも、使用者100の部位に応じて移動部材51の突出状態を変化させることができるため、使用者100の部位や特徴に合わせた多様なマッサージを行うことができる。
【0074】
(7)マッサージ装置1では、押し揉みモード、指圧モードおよび揉捏モードが選択されて、揉み玉40が肩に位置するときには、移動部材51を中間位置に維持する。また、腰に位置するときには突出位置に維持する。この構成によれば、使用者100のマッサージ部位に応じて適した押付力Pを付与することができる。
【0075】
(8)マッサージ装置1では、さすりモードおよびローリングモードが選択されているときには、変形機構50により移動部材51を中立位置に維持する。この構成によれば、上記のモードが選択されてマッサージが実行される場合には、使用者100に広範囲に均一な押付力Pを付与することができる。このため、使用者にソフトなマッサージ感を付与することができる。
【0076】
(第2実施形態)
図8〜図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態のマッサージ装置1では、移動部材51を揉み玉40の径方向Dに突出させることにより、揉み玉40の軸方向Sの外周面42Aを身体に押し付けて実行される動作モードが選択されているときに使用者100に局所的に押付力Pを付与した。
【0077】
これに対して本実施形態のマッサージ装置1では、揉み玉40の軸方向Sに突出する移動部材71を備えている。そして、揉み玉40の先端側の外周面42Aを身体に押し付ける動作モードが選択されているときに、使用者100に局所的に押付力Pを付与する。ここでは、支持部材41から突出可能な移動部材を備えた変形機構を上記第1実施形態の変形機構50と区別するために、変形機構70とする。なお以下では、第1実施形態の構成からの変更点を中心に説明し、同実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0078】
図8を参照して、施療子30の内部構造について詳細に説明する。図8(a)に、施療子30の軸方向Sに沿う断面図を示す。また、図8(b)に、施療子30が使用者の首に押し付けられているときの動作図を示す。
【0079】
図8(a)に示すように、移動部材71は、支持部材41に対して、揉み玉の軸方向Sに移動する。押出部材72は、移動部材71を先端側に移動させる。
図8および図9を参照して、移動部材71の動作態様について説明する。
【0080】
図8(a)に示すように、エアバック53が収縮して、押出部材72が初期位置に維持されているとき、支持部材41に対する移動部材71の位置は、中立位置となる。このとき、移動部材71の先端部と支持部材41の外周面41Aとが同じ位置にある。また、突出量X「0」となるため、支持部材41の外側の外周面41Aは、凹凸の度合いが小さく平らな状態となる。
【0081】
図8(b)に示すように、移動部材71が中立位置に維持されているとき、押付力Pの押付力範囲PT内で揉み玉40が使用者100の首に押し付けられると、外周面41Aが接触部材42を介して使用者100に押し付けられる。このため、使用者100にはハードなマッサージ感が付与される。
【0082】
図9(a)に示すように、エアバック53にさらに空気が供給されて押出部材72が押出位置に変位するとき、支持部材41に対する移動部材71の位置は、突出位置となる。
具体的には、エアバック53により押出部材52が中間位置よりも先端側に向けて押し出されると、移動部材51が外側に押し出される。このとき、突出量Xは「X2」となるため、支持部材41の外側の外周面41Aは、移動部材71が中立位置に維持されているときに比べて凹凸の度合いが大きい状態となる。
【0083】
図9(b)に示すように、移動部材71が突出位置に維持されているときに、押付力Pの押付力範囲PT内で揉み玉40が使用者100に押し付けられると、移動部材71が接触部材42を介して使用者100に押し付けられる。このため、使用者100には、移動部材71が中立位置に維持されているときよりも局所的によりハードなマッサージ感が付与される。
【0084】
図10を参照して、施療子30の動作モードについて説明する。
本実施形態における「挟み揉みモード」では、局所的に押付力Pを付与して、左右一対の揉み玉40により首や腰を挟んで揉みこむようなマッサージ感が使用者100に付与されるように施療子30を制御する。
【0085】
施療子30の動作モードとして、「挟み揉みモード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が首または背中に押し付けられるとき、移動部材71が中間位置に維持される。また、移動部材71が突出量「X1」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、ハードなマッサージ感が付与される。
【0086】
施療子30の動作モードとして、「挟み揉みモード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるとき、移動部材71が突出位置に維持される。また、移動部材71が突出量「X2」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、首または背中のマッサージ時よりもハードなマッサージ感が付与される。
【0087】
施療子30の動作モードとして、「指圧モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が首または背中に押し付けられるとき、移動部材71が中間位置に維持される。また、移動部材71が突出量「X1」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、ハードなマッサージ感が付与される。
【0088】
施療子30の動作モードとして、「指圧モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるとき、移動部材71が突出位置に維持される。また、移動部材71が突出量「X2」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、首または背中のマッサージ時よりもハードなマッサージ感が付与される。
【0089】
施療子30の動作モードとして、「揉捏モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が首または背中に押し付けられるとき、移動部材71が中間位置に維持される。また、移動部材71が突出量「X1」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、ハードなマッサージ感が付与される。
【0090】
施療子30の動作モードとして、「揉捏モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるとき、移動部材71が突出位置に維持される。また、移動部材71が突出量「X2」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、首または背中のマッサージ時よりもハードなマッサージ感が付与される。
【0091】
本実施形態のマッサージ装置1によれば、第1実施形態の(1)の効果、すなわち1つの施療子30を用いて多様なマッサージを行うことができる旨の効果、および同実施形態の(2)および(3)および(5)〜(8)の効果が得られる。また、さらに以下の効果が得られる。
【0092】
(9)マッサージ装置1では、変形機構70により移動部材71が支持部材41に対して揉み玉40の軸方向Sに突出する。この構成によれば、揉み玉40の先端側の外周面42Aを身体に押し付けてマッサージを実行する動作モードにおいて、移動部材71を軸方向Sに突出させることにより、使用者100の局所的な部位を的確に押圧することができる。
【0093】
(第3実施形態)
図11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
第1実施形態のマッサージ装置1は、支持部材41に対して揉み玉40の径方向Dに移動する移動部材51を備えている。また、第2実施形態のマッサージ装置1は、支持部材41に対して揉み玉40の軸方向Sに移動する移動部材71を備えている。
【0094】
本実施形態のマッサージ装置1は、第1実施形態の移動部材51と第2実施形態の移動部材71とを併せて備えている。移動部材51は、第1移動部材に相当する。また移動部材71は、第2移動部材に相当する。なお以下では、第1実施形態および第2実施形態の構成からの変更点を中心に説明し、それら実施形態と共通する構成については同一の符合を付してその説明を省略する。
【0095】
図11を参照して、施療子30の動作モードについて説明する。
図11に、移動部材51の動作状態および移動部材71の動作状態に応じた施療子30の動作モードのまとめを示す。
【0096】
施療子30の動作モードとして、「さすりモード」が選択されているときは、いずれの部位に揉み玉40が押し付けられる場合であっても、各移動部材51,71が中立位置に維持される。このとき、使用者100には、広範囲に均一な押付力Pが付与されて、ソフトなマッサージ感が付与される。
【0097】
施療子30の動作モードとして、「押し揉みモード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が首または背中に押し付けられるとき、各移動部材51,71が中立位置に維持される。このとき、使用者100には、広範囲に均一な押付力Pが付与されて、ソフトなマッサージ感が付与される。
【0098】
施療子30の動作モードとして、「押し揉みモード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるとき、移動部材51が中間位置に維持される。また、移動部材51が突出量「X1」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、ハードなマッサージ感が付与される。なお、移動部材71は中立位置に維持される。
【0099】
施療子30の動作モードとして、「挟み揉みモード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が首または背中に押し付けられるとき、移動部材71が中間位置に維持される。また、移動部材71が突出量「X1」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、ハードなマッサージ感が付与される。なお、移動部材51は中立位置に維持される。
【0100】
施療子30の動作モードとして、「挟み揉みモード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるとき、移動部材71が突出位置に維持される。また、移動部材71が突出量「X2」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、ハードなマッサージ感が付与される。なお、移動部材51は中立位置に維持される。
【0101】
施療子30の動作モードとして、「ローリングモード」が選択されているときは、いずれの部位に揉み玉40が位置する場合であっても、各移動部材51,71が中立位置に維持される。このとき、使用者100には、広範囲に均一な押付力Pが付与されて、ソフトなマッサージ感が付与される。
【0102】
施療子30の動作モードとして、「指圧モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が首または背中に押し付けられるとき、移動部材71が中間位置に維持される。また、移動部材71が突出量「X1」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、ハードなマッサージ感が付与される。なお、移動部材51は中立位置に維持される。
【0103】
施療子30の動作モードとして、「指圧モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるとき、移動部材51が突出位置に維持される。また、移動部材71が突出位置に維持される。また、各移動部材51,71が突出量「X2」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、首または背中のマッサージ時よりもハードなマッサージ感が付与される。
【0104】
施療子30の動作モードとして、「揉捏モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が首または背中に押し付けられるとき、移動部材71が中間位置に維持される。また、移動部材71が突出量「X1」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、ハードなマッサージ感が付与される。なお、移動部材51は中立位置に維持される。
【0105】
施療子30の動作モードとして、「揉捏モード」が選択されているとき、かつ揉み玉40が肩または腰に押し付けられるとき、移動部材51が突出位置に維持される。また、移動部材71が突出位置に維持される。また、各移動部材51,71が突出量「X2」の状態に維持される。これにより、使用者100には局所的な押付力Pが付与されて、ハードなマッサージ感が付与される。
【0106】
本実施形態のマッサージ装置1によれば、第1実施形態の(1)の効果、すなわち1つの施療子30を用いて多様なマッサージを行うことができる旨の効果、および同実施形態の(2)〜(8)の効果および第2実施形態の(9)の効果が得られる。また、さらに以下の効果が得られる。
【0107】
(10)マッサージ装置1では、移動部材51が支持部材41に対して径方向Dに突出するとともに、移動部材71が支持部材41に対して軸方向Sに突出する。この構成によれば、揉み玉40の軸方向Sの外周面および先端側の外周面42Aを身体に押し付けてマッサージを行う動作モードにおいて、例えば揉み玉40を首および肩の間のコーナ部に押し付けるときには、コーナ部に局所的に押付力Pを付与することができる。
【0108】
(その他の実施形態)
本発明のマッサージ機の実施態様は、上記各実施形態にて例示した内容に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また、以下に示される各変形例は、対応する実施形態にのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0109】
・上記第1実施形態では、移動部材51を支持部材41の軸方向Sの中央部に配置したが、中央部よりも軸方向Sの先端側または基端側に変更することもできる。
・上記第1実施形態では、揉み玉40の内部に周方向に4つの移動部材51を設けたが、これを1つまたは2つまたは3つまたは5つ以上とすることもできる。
【0110】
・上記第1実施形態では、エアバック53を揉み玉40の周方向において等間隔に4つ設けて移動部材51を押し出す際のバランスをとるようにしたが、次のように変更することもできる。すなわち、エアバック53の数を2つまたは3つまたは5つ以上のいずれかに変更し、各エアバック53を揉み玉40の周方向において等間隔に設けることにより、移動部材51を押し出す際のバランスをとることもできる。
【0111】
・上記第1実施形態では、4つの移動部材51に対して、1つの押出部材52を設けたが、4つの移動部材51に対してそれぞれ1つずつ押出部材52を設けることもできる。この場合の押出部材52としては、第1実施形態の円筒形状の押出部材52を周方向において4等分したものを用いることができる。さらに、この場合には、エアバック53を各押出部材52に対してそれぞれ1つずつ設けることにより、各移動部材51を互いに独立して移動させることもできる。
【0112】
・上記第2実施形態において、移動部材51の位置を同実施形態の位置よりも径方向Dの外側または内側に変更することもできる。
・上記第3実施形態では、揉み玉40の軸方向Sの側面および径方向Dの先端側の側面の双方が使用者100に接触する首および肩の間のコーナ部位に揉み玉40が位置するときに、各移動部材51,71をそれぞれ径方向Dおよび軸方向Sに突出させた。これに加えて、揉み玉40がウエスト付近の腰に位置するときにも左右の施療子30により腰を挟んだ状態で各移動部材51,71を突出させることもできる。
【0113】
・上記各実施形態では、突出量Xの突出段階として、「0」、「X1」および「X2」の3段階を設定したが、突出量Xの突出段階を1段階または2段階に変更することもできる。また、4段階以上に変更することもできる。突出量Xの段階多くなるにつれて移動部材51の突出量Xを細かく設定することができるため、身体の部位に応じて、また使用者の好みに応じて、より多様なマッサージを行うことができる。
【0114】
・上記各実施形態では、移動部材51の突出量Xを「0」、「X1」および「X2」との間で切り替えて移動部材51の突出状態を変更したが、突出量「0」に替えて突出量Xを「0」よりも大きくかつ「X1」よりも小さい量とすることもできる。
【0115】
・上記各実施形態の移動部材51を突出させる機構としてのエアバック53に代えて、以下の(A)〜(C)のいずれかを採用することもできる。
(A)図12に示すように、移動部材51に代えて、空気の供給または排出により膨張または収縮するエアバック91を設けるとともに、押出部材52に代えて、エアバック91に接続されて空気の流路となるエアチューブ92を設ける。エアチューブ92はアーム31に固定されている。また、エアバック91はエアチューブ92に固定されている。支持部材41には、エアバック91が突出した状態で支持軸32に対して接触部材42を回転させるための環状の溝が支持部材41の外周の全周にわたり形成されている。このため、接触部材42が支持軸32に対して回転するとき、接触部材42とエアバック91とがこすれ合いながら相対回転する。
【0116】
図12(a)に示すように、エアバック91が収縮しているとき、支持部材41に対するエアバック91の外側先端部の位置が中立位置に維持される。一方、図12(b)に示すように、エアバック91が膨張しているとき、エアバック91の外側先端部の位置が支持部材41に対して径方向Dに突出する突出位置に維持される。
【0117】
なお、支持軸32に対して接触部材42を円滑に回転させるために、以下の方法のうち少なくとも一方を採用することができる。
1.エアバック91が膨張したときに接触部材42と接触するエアバック91の外側先端部に潤滑材を塗布する。
2.エアバック91を接触部材42との摩擦抵抗が小さい材料にて構成する。
【0118】
(B)電磁石およびばねにより押出部材52を軸方向Sの基端側と先端側との間で移動させる。この構成では、電磁石により押出部材52が引きつけられているときには、押出部材52が先端側に維持される。このとき、移動部材51は突出状態となる。一方、押出部材52が電磁石に引きつけられていないときには、ばねの作用により押出部材52が軸方向Sの基端側に移動する。すなわち、移動部材51が中立位置に維持される。
【0119】
(C)板アーム31Bの先端側の端面にカムおよびこのカムを駆動させるカム機構を設ける。この構成では、カムにより押出部材52が押し出されるときには、移動部材51が突出位置に維持される。一方、押出部材52が押し出されないときには、移動部材51が中立位置に維持される。
【0120】
・上記各実施形態では、施療子30の動作モードに応じて4つの移動部材51の突出状態を互いに同じものとして設定したが、4つのうち少なくとも1つを異なる突出状態に設定することもできる。
【0121】
・上記各実施形態では、揉み玉40の形状を円柱形状としたが、球形状に変更することもできる。
・上記各実施形態では、支持部材41に対して移動部材51が径方向Dまたは軸方向Sに突出することにより、支持部材41の外周面41Aの凹凸度合いを変化させているが、図13に示す構成により揉み玉40の形状を変更することもできる。この構成によれば、エアバック53に空気が供給されて膨張しているときには、押出部材52が支持部材41の軸方向Sの中間位置よりも先端側に維持される。このとき、移動部材51の外側の端面と支持部材41の外側の外周面41Aとが同じ位置にある中立状態となる。
【0122】
一方、図14に示すように、エアバック53に空気が供給されず収縮しているときには、押出部材52に支持されていた移動部材51が径方向Dの内側に移動する。すなわち、移動部材51の外側の端面が支持部材41の外周面41Aよりも内側にある埋没状態となると、支持部材41が移動部材51に対して径方向Dの外側に位置する。これにより、支持部材41の外周面41Aの凹凸度合いが変化する。
【0123】
・上記各実施形態では、施療子30の動作モードの実行中に身体の各部位に応じて移動部材51の突出状態を変更したが、施療子30の実行中には移動部材51の突出状態を変更しないものとすることもできる。すなわち、施療子30の動作モードを切り替えるタイミングにおいてのみ、移動部材51の突出状態を変更するものとすることもできる。
【0124】
・上記各実施形態では、移動部材51の位置を中立位置および中間位置および突出位置の3つで変更したが、中立位置と突出位置との間において移動部材51の位置を連続的に変化させることもできる。
【0125】
・上記各実施形態では、さすりモードおよびローリングモードが選択されているときには、移動部材51を常に中立位置に維持したが、これらのモードの選択中に移動部材51を支持部材41に対して突出させることもできる。また、移動部材51を突出状態に維持する動作モードが選択されているときにも、部位によっては移動部材51を中立状態に維持することもできる。
【符号の説明】
【0126】
1…マッサージ装置、30…施療子、41…支持部材、41A…外周面、42…接触部材、50…変形機構、51…移動部材、70…変形機構、71…移動部材、100…使用者、X…突出量、D…径方向、S…軸方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体に押し付けられる回転動作可能な接触部材と、この接触部材の内部に設けられて同接触部材を支持する支持部材とを含む施療子を備えるマッサージ装置において、
前記支持部材に設けられて前記接触部材に対向する前記支持部材の面である外面の凹凸の度合いを変更するための変形機構を含み、この変形機構の施療形態として、前記凹凸の度合いが小さい第1施療形態およびこの第1施療形態よりも前記凹凸の度合いが大きい第2施療形態を有する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ装置において、
前記変形機構は、前記支持部材に対して移動することができる移動部材を含むものであり、前記支持部材に対する前記移動部材の位置を変更することにより前記施療形態を変更する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のマッサージ装置において、
前記支持部材に対する前記移動部材の状態について、前記移動部材の先端部が前記支持部材の外面と同じ位置にある状態を中立状態とし、前記移動部材の先端部が前記支持部材の外面よりも外側にある状態を突出状態とし、前記移動部材の先端部が前記支持部材の外面よりも内側にある状態を埋没状態として、
前記変形機構は、前記支持部材に対する前記移動部材の状態を前記突出状態または前記埋没状態とすることにより前記施療形態を前記第2施療形態とし、前記支持部材に対する前記移動部材の状態を前記中立状態とすることにより前記施療形態を前記第1施療形態とするものである
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のマッサージ装置において、
前記突出状態において前記移動部材が前記支持部材から突出している部分の前記移動部材の長さを突出量として、
前記変形機構は、前記突出量が小さい状態を前記第1施療形態とし、前記第1施療形態よりも前記突出量が大きい状態を前記第2施療形態とする
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材はその中心軸を通る断面が円柱形状の部材として形成され、
前記移動部材が前記支持部材に対して前記接触部材の径方向に移動する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材はその中心軸を通る断面が円柱形状の部材として形成され、
前記移動部材が前記支持部材に対して前記接触部材の軸方向に移動する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項7】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記接触部材はその中心軸を通る断面が円柱形状の部材として形成され、
前記移動部材として、前記支持部材に対して前記接触部材の径方向に移動する第1移動部材と、前記支持部材に対して前記接触部材の軸方向に移動する第2移動部材とが設けられる
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記施療子を互いに異なるパターンで動作するための複数の動作モードを備え、
前記施療子の動作モードに応じて前記変形機構の施療形態を変更する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記施療子の施療動作が行われているときに前記変形機構の施療形態を変更する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記施療子の動作モードとして、使用者に対して局部的に押付力を付与するための動作モードが選択されているとき、前記変形機構の施療形態として前記第2施療形態を選択する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記施療子の動作モードとして、使用者に対して広範囲に均一な押付力を付与するための動作モードが選択されているとき、前記変形機構の施療形態として前記第1施療形態を選択する
ことを特徴とするマッサージ装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のマッサージ装置において、
前記施療子の動作モードとして、一対の施療子により使用者の身体を挟んでマッサージするための動作モードが選択されているとき、前記変形機構の施療形態として前記第2施療形態を選択する
ことを特徴とするマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−70789(P2012−70789A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216049(P2010−216049)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】